JP4854867B2 - 電動機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、永久磁石を有する回転子を備えた電動機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
永久磁石を用いた電動機は、一般的に回転子内に複数の永久磁石を配置して極を形成した回転子と、この回転子に対向して取り囲むように配置された固定子とを備えている。固定子は回転子に対向する面にコイルが設けられており、このコイルに交流電流を通電することにより回転磁界を形成する。運転中の電動機は、回転子に埋め込まれている永久磁石の磁束と回転磁界の磁束とが回転子及び固定子の間のエアギャップを介して連結し、回転子を同期速度で回転させる。
【0003】
例えば図12は、特開2000−228838公報に掲載された従来の電動機と同様の構成を示す要部斜視図である。図12において、電動機101は回転子102と、この回転子102の周囲に設けられた固定子103とを備えている。回転子102は、極毎に磁石挿着穴104を有した回転子鉄心105と、この各磁石挿着穴104に挿着された複数(例えば3つ)の永久磁石106とを有している。各磁石挿着穴104は径方向に垂直の方向に細長い長方形断面であり、この長方形断面内に複数の永久磁石106が並べられて挿着されている。固定子103は、回転子102側にスロット107を有しており、このスロット107に固定子コイル(図示しない)が挿入されている。回転子102と固定子103との間には隙間108があり、回転子102と固定子103とが接触して破損しないようになっている。
【0004】
この電動機101は、固定子103の固定子コイルに交流電流を通電することによって回転磁界が形成され、この回転磁界により回転子102の永久磁石105の磁束と連結して回転子102が回転磁界に同期して回転する。このとき、永久磁石106には磁束の通過による渦電流が発生し、これが渦電流損となって電動機101全体の効率低下の原因となるが、1つの極に複数の永久磁石106が挿着されているため、1つの極に1つの永久磁石106が挿着された場合より、渦電流の経路が全体として長くなって渦電流自体を小さくすることができるので渦電流損を低減することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような従来の電動機101の構成では、磁石挿着穴104は径方向に垂直な方向に細長い断面であるので、回転子鉄心105の周囲部分の肉厚がその磁石挿着穴104の断面の両端で小さくなる。また、この周囲部分は両端の肉厚が薄い部分で繋がって回転子鉄心105の一部となっている。従って、回転子102が大型で高速回転した場合には、永久磁石106にかかる遠心力により回転子鉄心105の周囲部分に大きな負荷がかかり、肉厚の薄い部分では耐えきれずにこの回転子鉄心105の周囲部分が破損して永久磁石106が外に飛び出る可能性があるという問題点があった。
【0006】
また、磁石挿着穴104は、断面が径方向に垂直な方向に延びた長方形であるので、隙間108における極毎の永久磁石106の磁束密度分布は回転磁界の基本波成分に一致せず、トルクリップルによって電動機101の効率が低下するという問題点があった。
【0007】
そこでこの発明は、上記のような問題点を解決することを課題とするもので、大型で高速回転するときにも破損しないような信頼性が高く、トルクリップルが小さくて効率の良い電動機を得ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る電動機は、極を有する回転子と、前記回転子の外側に設けられた固定子とを備えた電動機において、前記回転子は、前記極毎に周方向に互いに間隔をおいて形成された複数の穴を有する回転子鉄心と、各前記穴にそれぞれ1つずつ挿着された永久磁石とを有し、前記永久磁石は、極毎において前記回転子及び前記固定子の間の磁束密度が正弦波状分布となるように配設され、極毎における各永久磁石のうち、中央部分の永久磁石が径方向内側に最も大きく張り出し、かつ中央部分の永久磁石の径方向の長さが最も大きくなっており、周方向両側に向かうにつれて永久磁石の径方向の長さが小さくなっており、永久磁石は、回転子鉄心の外周面と永久磁石の固定子側の面との距離がほぼ一定となるように配設されている。
【0009】
また、前記永久磁石は、軸線方向に垂直な平面における断面形状の固定子側が弧状である。
【0012】
また、前記永久磁石は、極毎に3つずつ配設されている。
【0014】
また、極内に配設された前記永久磁石は、中間部が希土類磁石で、両側部がフェライト磁石である。
【0015】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る電動機の回転子の構成を示す要部断面図である。図1において、電動機1は極を有する回転子2を備えている。回転子2は、周方向に互いに間隔をおいて設けられた複数の磁石挿着穴4を有する回転子鉄心5と、各磁石挿着穴4に挿着された永久磁石6とを有している。
【0016】
磁石挿着穴4は、極毎に複数集まって挿着穴群7を構成している。また、各磁石挿着穴4は軸方向に垂直な面に沿った断面形状がそれぞれ異なっており、全体として挿着穴群7の断面形状が正弦波形状となるように配設されている。なお、図では各磁石挿着穴4は回転子2の径方向に垂直な面に底面が一致するように配設されている。さらに、各磁石挿着穴4は互いに間隔をおいて配設されているため、回転子鉄心5の一部が各磁石挿着穴4の間に仕切り壁8として介在している。
【0017】
永久磁石6は、各磁石挿着穴4に1つずつ挿着されており、挿着穴群7に挿着された永久磁石6で永久磁石群9を構成している。各永久磁石6は各磁石挿着穴4に挿着されており、その各永久磁石6の軸方向に垂直な面に沿った断面形状と各磁石挿着穴4の断面形状とが同一形状となっている。従って、永久磁石群9も全体として挿着穴群7の断面形状と同一形状となっている。
【0018】
他の構成は従来技術と同様である。
【0019】
このような構成では、回転子2が高速で回転する場合、各永久磁石6に大きな遠心力が働くが、各永久磁石6の両側面に仕切り壁8が設けられているので、各永久磁石6の回転子2の外周側及び内周側の回転子鉄心5が仕切り壁8により強固に結びついている。従って、回転子鉄心5は、回転子2の径方向、即ち各永久磁石6に遠心力が働く方向に対する耐力が従来技術に比べて増大する。
【0020】
また、極毎の永久磁石群9が軸方向に垂直な断面において形状が全体として正弦波形状となっているので、回転子2と固定子103との隙間108には極毎に磁束密度分布が回転磁界の基本波である正弦波分布に近づき、トルクリップルを低減することができる。
【0021】
なお、永久磁石群9の断面形状の固定子103側の面は正弦波形状に限定する必要はなく、弧状等のように隙間108における極毎の磁束密度分布が回転磁界の基本波に近づくような形状にすればトルクリップルを低減できる。
【0022】
また、各永久磁石6の底面は径方向に垂直な面に一致するように配設する必要はなく、隙間108における磁束密度分布が回転磁界の基本波に近づくような形状にすればトルクリップルを低減できる。
【0023】
実施の形態2.
図2は、この発明の実施の形態2に係る電動機の構成を示す要部断面図である。図2において、回転子21は周方向に並べて配設された複数の磁石挿着穴41を有する回転子鉄心51と、この磁石挿着穴41に挿着された永久磁石61とを有している。
【0024】
複数の磁石挿着穴41は、極毎に挿着穴群71を構成している。この挿着穴群71を構成している各磁石挿着穴41は軸方向に垂直な断面形状がそれぞれ異なっている。各磁石挿着穴41は間隔をおいて配設されているので、各磁石挿着穴41の間には仕切り壁81が介在している。また、各磁石挿着穴41はその固定子103側の面である外側穴面41aと回転子2の外周面との距離tがほぼ一定となるように配設されている。さらに、挿着された永久磁石61による隙間108における磁束密度分布が回転磁界の基本波である正弦波形状となるように各磁石挿着穴41の大きさ及び形状が調整されている。ここでは、挿着穴群71における中央部分の磁石挿着穴41が径方向内側に最も大きく張り出しており、円周方向両側に向かうにつれて磁石挿着穴41の径方向の長さが小さくなっている。
【0025】
永久磁石61は、磁石挿着穴41に挿着されている。従って、各永久磁石61の断面形状は各磁石挿着穴41の断面形状と同一になっている。また、極毎に設けられた挿着穴群71に挿着された各永久磁石61によって永久磁石群91が構成され、各永久磁石61の固定子103側の面である外側磁石面61aと回転子21の外周面との距離が一定値tとなっている。
【0026】
他の構成は実施の形態1と同様である。
【0027】
従って、回転子21が高速で回転した場合、実施の形態1と同様の効果を奏する。さらに、回転子21の外周面と各外側磁石面61aとの距離tがどの位置でもほぼ一定であるので、実施の形態1よりも永久磁石群91の両側において距離tが小さくなり、各永久磁石61の漏れ磁束が低減し電動機出力が増大する。
【0028】
実施の形態3.
図3は、この発明の実施の形態3に係る電動機の構成を示す要部断面図である。図3において、回転子22は周方向に並べて配設された複数の磁石挿着穴42を有する回転子鉄心52と、この磁石挿着穴42に挿着された永久磁石62とを有している。
【0029】
複数の磁石挿着穴42は、極毎に挿着穴群72を構成している。また、各磁石挿着穴42は軸方向に垂直な断面形状が長方形であり、回転子22における内周側の辺が径方向に垂直な直線に一致するように配設されている。さらに、挿着穴群72の各磁石挿着穴42は回転子22の外周側における長方形断面の辺の中点が全て回転磁界の基本波形状に一致するようになっている。なお、各磁石挿着穴42は互いに仕切り壁82を介して配設されている。
【0030】
永久磁石62は直方体であり、各磁石挿着穴42に挿着されている。また、挿着穴群72に挿着された複数の永久磁石62により永久磁石群92が構成されている。
【0031】
他の構成は実施の形態1と同様である。
【0032】
このような構成では、回転子22が高速で回転する場合、実施の形態1と同様の効果を奏する。さらに、永久磁石62は直方体であるので、作製が容易でコストが低減する。
【0033】
実施の形態4.
図4は、この発明の実施の形態4に係る電動機の構成を示す要部断面図である。図4において、回転子23は周方向に並べて配設された複数の磁石挿着穴43を有する回転子鉄心53と、この磁石挿着穴43に挿着された永久磁石63とを有している。
【0034】
複数の磁石挿着穴43は、極毎に3つずつ配設されており、この極毎の3つの磁石挿着穴43により挿着穴群73が構成されている。また、各磁石挿着穴43は軸線方向に垂直な断面形状が長方形となっている。さらに、挿着穴群73の中央の磁石挿着穴43aはその両側の磁石挿着穴43bより回転子23の径方向に長さが大きくなっている。なお、各磁石挿着穴43は仕切り壁83を介して配設されている。
【0035】
永久磁石63は、各磁石挿着穴43に挿着されており、挿着穴群73を構成する磁石挿着穴43に挿着された永久磁石63によって永久磁石群93が構成されている。従って、永久磁石群93は3つの直方体の永久磁石63から構成され、中央の永久磁石63aは両側の永久磁石63bよりも回転子23の径方向に長く形成されている。
【0036】
図5は、外径290mmの回転子を回転数4000r/minで回転させたときの永久磁石群を構成する永久磁石の数とそのときの必要な機械強度及び電動機の出力との関係を示すグラフである。図5において、永久磁石群を構成する永久磁石の数が多くなると、これら各永久磁石間に介在する仕切り壁による結合力によって、遠心力に対する機械的強度は大きくなる。しかし、永久磁石の数が多くなり仕切り壁の数が多くなると、永久磁石からの磁束が仕切り壁を通って漏れるので、電動機出力は低下する。この例では、永久磁石群を構成する永久磁石の数が1つでは仕切り壁による結合力がないので必要な機械強度より小さくなり、遠心力に耐えることができない。逆に、永久磁石群を構成する永久磁石の数が5つになると、仕切り壁による結合力により遠心力には耐えることができるが、漏れ磁束の増加のために電動機出力が低下してしまう。
【0037】
従って、出力を最大限確保したまま回転子を高速(ここでは外径290mmで回転数4000r/min)で回転させるためには、永久磁石群を構成する永久磁石が3つのときが最適であることがわかる。
【0038】
次に、回転子と固定子との隙間に極毎に形成される磁束密度分布について考えてみる。図6は、3つの同一の永久磁石が回転子鉄心に配設されて永久磁石群を構成した状態の断面図であり、図7は、3つの永久磁石が回転子鉄心に中央が大きな永久磁石となるように配設されて永久磁石群を構成した状態の断面図である。また、図8は、図6における回転子及び固定子の隙間に形成される磁束密度分布を示す模式的な説明図であり、図9は、図7における回転子及び固定子の隙間に形成される磁束密度分布を示す模式的な説明図である。図8及び図9における正弦波分布は理想的な磁束密度分布であり、比較の対象とするために示したものである。
【0039】
回転子と固定子との隙間の磁束密度分布は極毎に回転磁界の基本波分布(多くの場合は正弦波分布)であれば、トルクリップルが小さくなり電動機効率が向上する。図6及び図8において、同一の形状及び大きさの永久磁石により永久磁石群が構成されているため、磁束密度分布に永久磁束群の中で大小がつきにくく、連続的に変化する理想的な正弦波分布に比べると大きな差異がある。図7及び図9において、永久磁石群を構成する中央の永久磁石が両側の永久磁石より大きいので、中央の磁束密度も大きく、永久磁石群の中で磁束密度分布の大小がつき、図8の磁束密度分布よりも正弦波分布に近づけることができる。
【0040】
図10は、永久磁石群を構成する永久磁石の数とこの永久磁石群により形成される磁束密度分布及び正弦波分布の一致率との関係を示すグラフである。なお、永久磁石群を構成する永久磁石は全て直方体であり、発生する隙間の磁束密度分布が最も正弦波分布に近づくように各永久磁石の径方向の長さを調整している。図10において、永久磁石群を構成する永久磁石の数が1つである場合と3つである場合とを比べてみると、3つである場合のほうが1つである場合よりも磁束密度分布が正弦波分布に明らかに近くなっている。また、永久磁石の数が5つである場合は、3つである場合に比べてそれほど変化していない。図5における永久磁石の数が3つから5つに増加したときの電動機出力の低下を考慮に入れると、永久磁石を5つにしてトルクリップルの低減による電動機効率の向上による効果は図5の電動機出力の低下をカバーするほどの大きな効果はないことが分かる。
【0041】
従って、永久磁石群を構成する永久磁石の数を3つにして、図4に示す構成の回転子23とすることによって、外径290mmの回転子が回転数4000r/minという高速で回転しても、遠心力による回転子の破損を起こさず、しかも電動機出力及び電動機効率が極端に低下しない電動機を得ることができる。
【0042】
なお、外径が290mmより小さい回転子であれば、当然、永久磁石に与える遠心力も小さくなるので、外径290mmに限定する必要はなく、それ以下であってもよい。また、回転数が4000r/minより小さければ、同様に遠心力も小さくなるので、それ以下であってもよい。
【0043】
実施の形態5.
図11は、この発明の実施の形態5に係る電動機の構成を示す要部断面図である。図11において、回転子24は周方向に並べて配設された複数の磁石挿着穴44を有する回転子鉄心54と、この磁石挿着穴44に挿着された永久磁石64とを有している。
【0044】
複数の磁石挿着穴44は、極毎に3つずつ配設されており、この極毎の3つの磁石挿着穴44により挿着穴群74が構成されている。また、各磁石挿着穴44は軸線方向に垂直な断面形状が長方形となっている。これら各磁石装着穴44は同一の形状及び大きさである。なお、各磁石挿着穴44は仕切り壁84を介して配設されている。
【0045】
永久磁石64は、各磁石挿着穴44に挿着されており、挿着穴群74を構成する磁石挿着穴44に挿着された永久磁石64によって永久磁石群94が構成されている。また、永久磁石群94は3つの直方体の永久磁石64から構成され、中央の磁石挿着穴44aに装着された中央の永久磁石64aは希土類磁石等の残留磁束密度の高い永久磁石であり、その両側の磁石挿着穴44bに装着された永久磁石64bはフェライト磁石等の希土類磁石等より残留磁束密度の低い永久磁石となっている。
【0046】
他の構成は実施の形態1と同様である。
【0047】
このような構成では、極毎に中央部分に残留磁束密度の高い希土類磁石等を配設しているので、回転子24と固定子103との隙間に形成される磁束密度分布が極毎に中央部分が大きくなった分布になり、回転磁界の基本波である正弦波分布に近づき、トルクリップルが小さくなることによって電動機効率が向上する。
【0048】
また、各磁石挿着穴44及び各永久磁石64の形状及び大きさが同一であるので、作製が容易で、コストが低減する。
【0049】
なお、挿着穴群74の中央の磁石挿着穴44a及び永久磁石64aはその両側の磁石挿着穴44b及び永久磁石64bと回転子24の径方向の長さが異なっていても、回転子24と固定子103との隙間に形成される磁束密度分布が正弦波分布に近づく場合に限り、構わない。
【0050】
また、永久磁石群94の中間部がその両側部よりも磁束密度が大きければ、トルクリップルによる電動機効率の低下を抑制できるので、永久磁石群94を構成する永久磁石は直方体に限定しなくてもよく、その数は3つより多くても構わない。
【0051】
【発明の効果】
以上の説明から明らかな通り、この発明によれば、極を有する回転子と、前記回転子の外側に設けられた固定子とを備えた電動機において、前記回転子は、前記極毎に周方向に互いに間隔をおいて形成された複数の穴を有する回転子鉄心と、各前記穴に挿着された永久磁石とを有し、前記永久磁石は、極毎において前記回転子及び前記固定子の間の磁束密度が正弦波状分布となるように配設されているので、前記永久磁石の間に前記回転子鉄心の一部が介在し、高速回転による遠心力に対する耐力をつけることができ前記回転子が破損することがなく、トルクリップルを小さくして効率を良くすることができる。
【0052】
また、前記永久磁石は、軸線方向に垂直な平面における断面形状の固定子側が弧状であるので、前記回転子と前記固定子との隙間に形成される磁束密度分布が正弦波分布に近づきトルクリップルを小さくして効率を良くすることができる。
【0053】
また、前記永久磁石は、前記回転子鉄心の外周面と前記永久磁石の固定子側の面との距離がほぼ一定となるように配設されたので、前記永久磁石の漏れ磁束が少なくなり、電動機出力を増加できる。
【0054】
また、前記永久磁石は、直方体であるので、作製が容易でコストを低減できる。
【0055】
また、前記永久磁石は、極毎に3つずつ配設されているので、電動機出力を極端に低下させずに前記回転子は高速回転による遠心力に対する耐力を有することができる。
【0056】
また、前記永久磁石は、中央の永久磁石が両側の永久磁石より径方向に大きくなっているので、前記回転子と前記固定子との隙間に形成される磁束密度分布が正弦波分布に近づき、トルクリップルを小さくして効率を良くすることができる。
【0057】
また、極内に配設された前記永久磁石は、中間部が希土類磁石で、両側部がフェライト磁石であるので、各前記永久磁石の形状及び大きさを変更せずに、前記回転子と前記固定子との隙間に形成される磁束密度分布を正弦波分布に近づけ、トルクリップルを小さくして効率を良くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1に係る電動機の構成を示す要部断面図である。
【図2】 この発明の実施の形態2に係る電動機の構成を示す要部断面図である。
【図3】 この発明の実施の形態3に係る電動機の構成を示す要部断面図である。
【図4】 この発明の実施の形態4に係る電動機の構成を示す要部断面図である。
【図5】 外径290mmの回転子を回転数4000r/minで回転させたときの永久磁石群を構成する永久磁石の数とそのときの必要な機械強度及び電動機の出力との関係を示すグラフである。
【図6】 3つの同一の永久磁石が回転子鉄心に配設されて永久磁石群を構成した状態の断面図である。
【図7】 3つの永久磁石が回転子鉄心に中央が大きな永久磁石となるように配設されて永久磁石群を構成した状態の断面図である。
【図8】 図6における回転子及び固定子の隙間に形成される磁束密度分布を示す模式的な説明図である。
【図9】 図7における回転子及び固定子の隙間に形成される磁束密度分布を示す模式的な説明図である。
【図10】 永久磁石群を構成する永久磁石の数とこの永久磁石群により形成される磁束密度分布及び正弦波分布の一致率との関係を示すグラフである。
【図11】 この発明の実施の形態5に係る電動機の構成を示す要部断面図である。
【図12】 従来の電動機の構成を示す要部斜視図である。
【符号の説明】
1 電動機、2,21,22,23,24 回転子、103 固定子、4,41,42,43,44 磁石挿着穴、43a,44a 中央の磁石挿着穴、43b,44b 両側の磁石挿着穴、5,51,52,53,54 回転子鉄心、6,61,62,63,64 磁石挿着穴、63a,64a 中央の永久磁石、63b,64b 両側の永久磁石、7,71,72,73,74 挿着穴群、8,81,82,83,84 仕切り壁、9,91,92,93,94 永久磁石群。
Claims (4)
- 極を有する回転子と、前記回転子の外側に設けられた固定子とを備えた電動機において、
前記回転子は、前記極毎に周方向に互いに間隔をおいて形成された複数の穴を有する回転子鉄心と、各前記穴にそれぞれ1つずつ挿着された永久磁石とを有し、
前記永久磁石は、極毎において前記回転子及び前記固定子の間の磁束密度が正弦波状分布となるように配設され、
極毎における各前記永久磁石のうち、中央部分の前記永久磁石が径方向内側に最も大きく張り出し、かつ前記中央部分の前記永久磁石の径方向の長さが最も大きくなっており、周方向両側に向かうにつれて前記永久磁石の径方向の長さが小さくなっており、
前記永久磁石は、前記回転子鉄心の外周面と前記永久磁石の固定子側の面との距離がほぼ一定となるように配設されたことを特徴とする電動機。 - 前記永久磁石は、軸線方向に垂直な断面形状の固定子側が弧状であることを特徴とする請求項1に記載の電動機。
- 前記永久磁石は、極毎に3つずつ配設されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電動機。
- 極内に配設された前記永久磁石は、中間部が希土類磁石で、両側部がフェライト磁石であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の電動機。
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