以下、実施例に係る弾球遊技機に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本実施例のパチンコ機1を示す正面図である。図示のパチンコ機1は、島構造体に着脱可能に装着される矩形枠状の木製外枠2と、外枠2に固着されたヒンジ3を介して開閉可能に枢着される前枠4とで構成されている。この前枠4には、遊技盤5が裏側から着脱自在に装着され、その前側には、ガラス扉6と前面板7とが夫々開閉自在に枢着されている。
前面板7には発射用の遊技球を貯留する上皿8が装着され、前枠4の下部には、上皿8から溢れ出し又は抜き取った遊技球を貯留する下皿9と、発射ハンドル10とが設けられている。発射ハンドル10は発射モータM2と連動しており、発射ハンドル10の回動角度に応じて動作する打撃槌によって遊技球が発射される。
上皿8のほぼ中央には、ランプを内蔵する楕円形のチャンスボタン11が設けられている。なお、このチャンスボタン11は、遊技者の左手で操作できる位置に設けられており、遊技者は、発射ハンドル10から右手を離すことなくチャンスボタン11を操作できる。このチャンスボタン11は、通常時には機能していないが、ゲーム状態がボタンチャンス状態となると内蔵ランプが点灯されて操作可能となる。なお、ボタンチャンス状態は、必要に応じて設けられるゲーム状態である。
上皿8の右部には、カード式球貸し機に対する球貸し操作用の操作パネル12が設けられ、カード残額を3桁の数字で表示する度数表示部12aと、所定金額分の遊技球の球貸しを指示する球貸しスイッチ12bと、ゲーム終了時にカードの返却を指令する返却スイッチ12cとが設けられている。
図2に示すように、遊技盤5には、金属製の外レールと内レールとからなるガイドレール13が環状に設けられ、その内側の遊技領域5aの略中央には、液晶カラーディスプレイDISPが配置されている。また、遊技領域5aの適所には、左右2つの図柄始動口15A,15Bと、単一の大入賞口16と、左右4つの普通入賞口17と、左右2つの通過口であるゲート18とが配設されている。これらの入賞口及びゲート15〜18は、それぞれ内部に検出スイッチを有しており、遊技球の通過を検出できるようになっている。
液晶ディスプレイDISPの下部には、7セグメントLEDやドットマトリクスなどで構成される特別図柄表示部14A,14Bが設けられている。特別図柄表示部14A,14Bは、左右の図柄始動口15A,15Bに対応して2つ設けられており、各図柄始動口15A,15Bに遊技球が入賞することを条件に実行される大当り抽選の抽選結果を明示する。各特別図柄表示部14A,14Bは、対応する図柄始動口15A,15Bに遊技球が入賞すると、表示内容の変動動作を開始し、その後、大当り状態か否かの抽選結果を表示して停止するようになっている。図示のように、特別図柄表示部14A,14Bが7セグメントLEDで構成されている場合、大当り状態であれば特別図柄(例えば「1」〜「9」)の何れかを表示し、ハズレ状態あれば「−」を表示する。
特別図柄表示部14A,14Bの下部には、それぞれ4個のLEDランプで構成された2つの抽選保留数表示部19A,19Bが、図柄始動口15A,15Bに対応して設けられている。抽選保留数表示部19A,19Bは、特別図柄表示部14A,14Bの変動動作中に、同じ図柄始動口15A,15Bに更に遊技球が入賞したことを示しており、4個を限度に遊技球の入賞が記憶され、その後の大当り抽選処理が保留状態となる。本実施例では、抽選保留数なる用語を使用するが、抽選保留数は、特別図柄表示部14A,14Bにおける、変動動作の変動保留数も合わせて意味している。
本実施例の場合、液晶ディスプレイDISPは、従来装置のように、特別図柄表示部として機能するのではなく、演出図柄を変動表示する演出図柄表示部20として機能している。そして、特別図柄表示部14A又は特別図柄表示部14Bと同期した演出動作を実行している。具体的には、大当り状態に関わる演出図柄(簡易的には、特別図柄と同じ「1」〜「9」)を変動表示すると共に、背景画像や各種のキャラクタなどをアニメーション的に表示している。
例えば、図柄始動口15Aに遊技球が入賞すると、特別図柄表示部14Aの変動動作が開始されるのに合わせて、演出図柄表示部20でも変動動作が開始される。そして、特別図柄表示部14Aの変動動作が終了して、大当り抽選の当否結果(例えば、「1」〜「9」又は「−」)が表示されるタイミングでは、演出図柄表示部20でも、大当り抽選の当否結果に応じた表示をして変動動作を終了させる。
液晶ディスプレイDISPの右上部には、普通図柄表示部21が設けられている。普通図柄表示部21は普通図柄を表示するものであり、ゲート18を通過した遊技球が検出されると、表示される普通図柄が所定時間だけ変動し、遊技球のゲート18の通過時点において抽出された抽選用乱数値により決定される停止図柄を表示して停止するようになっている。なお、普通図柄の変動動作中に、遊技球がゲート18を通過した場合には、4個を上限として変動動作の開始が保留される。
ところで、演出図柄表示部20がハズレの停止状態となって静止した後、図柄始動口15Aに改めて遊技球が入賞したと仮定すると、先に説明した通り、特別図柄表示部14Aと、演出図柄表示部20の表示図柄が所定時間だけ変動し、図柄始動口15Aへの遊技球の入賞タイミングに応じた抽選結果に基づいて決定される停止図柄で停止する。そして、特別図柄表示部14Aと演出図柄表示部20の停止図柄が「7」及び「7・7・7」などの特別図柄のとき、「大当り」と称される特別遊技が開始される。
大入賞口16は、前方に開放可能な開閉板16aで開閉されるが、特別遊技が開始されると、相当数の遊技球が突入するほどの長い時間、開閉板16aが開放されるようになっている。また、大入賞口16の内部には、入賞した遊技球を検出する所定個数、例えば1個の入賞検出器が設けられている。
左右2つの図柄始動口15A,15Bのうち、特に、図柄始動口15Aは、一対の開閉爪を備えた電動式チューリップで開閉され、普通図柄表示部21の変動後の停止図柄が当り図柄を表示した場合には、開閉爪が所定時間だけ開放されるようになっている。
大入賞口16の開閉板16aが開放された後、所定時間が経過し、又は所定数(例えば10個)の遊技球が入賞すると開閉板16aが閉じる。このとき、最大で例えば16回まで特別遊技が継続され、遊技者に有利な状態に制御される。
なお、特別図柄表示部14の変動後の停止図柄が特別図柄のうちの特定図柄であった場合には、特別遊技の終了後のゲームが高確率状態となるという特典が付与される。この特定図柄による大当りを「確変大当り」と言うこともあるが、この実施例では、例えば「1」〜「9」の特別図柄のうち、奇数値(1,3,5,7,9)を特に特定図柄として、確変大当り用に使用している。
図3は、実施例に係るパチンコ機1の全体構成を示すブロック図である。図示の通り、このパチンコ機1は、遊技動作を中心的に制御する主制御基板30と、主制御基板30からの制御コマンド(変動パターンコマンドなど)を、コマンド中継基板31を経由して受信して演出動作を実行する演出制御基板32と、払出モータM1を制御して遊技球を払出す払出制御基板33と、発射モータM2によって遊技球を発射させる発射制御基板34とを中心に構成されている。
図示の通り、主制御基板30には、普通図柄表示部21と2つの特別図柄表示部14A,14Bとが接続されており、主制御基板30による直接的な制御によって図柄変動動作を実現している。また、主制御基板30には、各4つのLEDからなる抽選保留数表示部19A,19Bが接続されて、これらが主制御基板30によって直接的に制御されている。先に説明した通り、抽選保留数表示部19A,19Bでは、特別図柄表示部14A,14Bにおける変動動作の開始待ちの個数(本質的には、大当り抽選処理が保留されている個数)が明示される。
更にまた、主制御基板30には、各入賞口及びゲート15〜18の検出スイッチからのスイッチ信号が入力されると共に、ソレノイドSLNを制御して大入賞口16aを開閉している。
演出制御基板32は、LEDランプ群、液晶ディスプレイDISP、及びスピーカSPに接続されて各部の演出動作を制御している。すなわち、液晶ディスプレイDISPの演出図柄表示部20で図柄演出動作が実行されると、これに合わせて、LEDランプ群によるランプ演出動作や、スピーカSPによる音声演出動作を実現している。なお、演出制御基板32には、チャンスボタン11が接続されている。
主制御基板30、演出制御基板32、及び払出制御基板33は、それぞれワンチップマイコンを備えるコンピュータ回路が搭載されており、演出制御基板32及び払出制御基板33は、主制御基板30からの制御コマンドを受けて個別的な制御動作を実現している。そこで、主制御基板30や演出制御基板32に搭載された回路、及びその回路によって実現される動作を機能的に総称して、以下、主制御部30、演出制御部32、及び払出制御部33と称することがある。また、払出制御部33や演出制御部32を指してサブ制御部ということがある。
図4は、主制御部30の回路構成を示すブロック図である。図示の通り、主制御部30は、ワンチップマイコンからなるCPU回路30aと、CPU動作クロックCLKの整数倍の周波数であるクロック信号Φ0を発生するシステムクロック発生部30bと、CPUからのアドレス信号に基づき各部のチップセレクト信号を生成するデコード回路30cと、CPUからのデータを出力するための出力ポート回路30dと、外部データをCPUが取り込むための入力ポート回路30eと、各サブ制御部31,32,33に制御コマンドを出力する出力駆動回路30fと、遊技盤各部のスイッチ類のON/OFF状態を入力するスイッチ入力回路30gと、を中心に構成されている。なお、CPU回路30aには、Z80CPU(Zilog社)相当品のCPUコアが内蔵されている。
図3の構成からなる主制御部30は、図5に示すタイマ割込み処理を所定時間(2mS)毎に実行することによって、パチンコ機1の動作全体を総括的に制御している。以下、図5に基づいて説明すると、タイマ割込みが生じると、各レジスタの内容がスタック領域に退避された後(ST10)、乱数作成処理が行なわれる(ST11)。乱数作成処理には、普通図柄処理ST19や特別図柄処理ST23における抽選処理で使用される当り用カウンタRGや大当り用カウンタCTの更新処理を含んでいる。
当り用カウンタRGや大当り用カウンタCTは、ステップST11において、それぞれ所定数値範囲内でインクリメント(+1)処理によって更新され、更新後のカウンタの値は、それぞれ、当り判定用乱数値や大当り判定用乱数値として当否抽選処理で活用される。具体的には、当り用カウンタRGの値は、遊技球がゲート18を通過した場合に、普通図柄処理(ST19)における当り抽選処理で使用され、大当り用カウンタCTの値は、遊技球が図柄始動口15A又は15Bを通過した場合に、特別図柄処理(ST23)における大当り抽選処理に使用される。なお、乱数作成処理(ST11)においては、普通図柄表示部21や特別図柄表示部14における停止図柄を決定するための、当り図柄用乱数作成処理や、大当り図柄用乱数作成処理も含んでいる。
以上のような乱数作成処理(ST11)が終わると、各遊技動作の時間を管理しているタイマについてタイマ減算処理が行なわれる(ST12)。減算されるタイマは、大入賞口16の開放時間や、その他の遊技演出時間を管理するものである。したがって、ステップST12の処理には、特別図柄表示部14A,14Bにおける図柄変動動作を管理する図柄変動タイマTMの減算処理を含んでいる(図7(a)参照)。
この実施例では、図7(a)に示すように、図柄変動タイマTMは、特別図柄表示部14Aの図柄変動を管理する特図A変動タイマTAと、特別図柄表示部14Bの図柄変動を管理する特図B変動タイマTBとに区分されている。そして、特図A変動タイマTAは、図柄始動口14Bへの入賞に起因する大当り中(特別図柄Bの大当り中)でないことを条件に(ST36)、割込み処理毎に、デクリメント処理される(ST37)。同様に、特図B変動タイマTBは、図柄始動口14Aへの入賞に起因する大当り中(特別図柄Aの大当り中)でないことを条件に(ST39)、割込み処理毎に、デクリメント処理される(ST40)。なお、特図A変動タイマTA≠0の状態では、特図Aの大当り中であることはなく、特図B変動タイマTB≠0の状態では、特図Bの大当り中であることはない。
以上のようなタイマ減算処理(図5のST12)が終わると、図柄始動口15やゲート18の検出スイッチを含む各種スイッチ類のスイッチ信号が入力されて記憶される(ST13)。図6は、スイッチ入力管理処理の一部である、図柄始動口チェック処理を図示したものである。
図6に示すように、先ず、図柄始動口15Aがチェックされ(ST30)、図柄始動口15Aの検出スイッチがON状態であれば、ワークエリアのHORYU(a)の値から、この段階における抽選保留数が判定される(ST31)。
そして、抽選保留数が4未満であれば、抽選保留数を示すHORYU(a)の値がインクリメントされると共に(ST32)、大当り抽選処理における判定用乱数値が取得されてワークエリアの記憶欄RND(a)に記憶される(ST33)。具体的には、ステップST11で更新された大当り用カウンタCTの値が、ステップST33のタイミングで取得されて判定用乱数値となり、この判定用乱数値が、書込みポインタWRが指示する記憶欄RND(a)に格納される。抽選保留数の最大値が4個であることから、記憶欄RND(a)には、判定用乱数値が最大4つ格納できるようになっている。なお、書込みポインタWRは、書込み処理の後にインクリメントされる。
また、大当り図柄用の乱数値についても同様に取得されて、ワークエリアの記憶欄ZU(a)に記憶される(ST34)。記憶欄ZU(a)の構成や記憶方法は、記憶欄RND(a)の場合と全く同じである。
以上説明したステップST30〜ST34と同様の処理が始動口Bへの入賞についても行われる。すなわち、図柄始動口15Bがチェックされ(ST30’)、図柄始動口15Bの検出スイッチがON状態であれば、この段階における抽選保留数が判定される(ST31’)。そして、抽選保留数が4未満であれば、抽選保留数を示すHORYU(b)の値がインクリメントされると共に(ST32’)、大当り抽選処理における判定用乱数値RNDが取得されてワークエリアの記憶欄RND(b)に記憶される(ST33’)。また、大当り図柄用の乱数値ZUが取得されて、ワークエリアの記憶欄ZU(a)に記憶される(ST34’)。
その後の処理について、図5に戻って説明を続けると、ステップST14では、この段階で生成されているコマンドをサブ制御部32,33に伝送する。その後、エラー管理処理が行われるが(ST15)、エラー管理処理とは、遊技球の補給が停止したり、遊技球が詰まっていないかなど、機器内部に異常が生じていないかの判定を意味する。次に、払出制御部33向けの制御コマンドを作成した後(ST16)、この段階で生成されている制御コマンドを該当するサブ制御部に伝送する(ST17)。
続いて、現在が当り中の動作モードでないことを条件に、普通図柄処理を行う(ST19)。普通図柄処理とは、普通電動役物を作動させるか否かの判定を意味する。具体的には、ステップST13のスイッチ入力結果によって遊技球がゲートを通過していると判定された場合に、乱数生成処理(ST11)で更新された当り用カウンタRGを、当り当選値と対比して行われる。そして、対比結果が当選状態であれば当り中の動作モードに変更する。また、当り中となれば、普通電動役物の作動に向けた処理を行う(ST21)。
次に、必要な制御コマンドを該当するサブ制御部に伝送し(ST22)、特別図柄処理を行う(ST23)。特別図柄処理とは、大入賞口16など特別電動役物を作動させるか否かの判定であり、大当り抽選処理を含んだ処理である。概略動作は、図7(b)に示す通りであり、動作ステイタスの値に応じて、特別図柄の変動動作を開始させる変動開始処理(ST43)→特別図柄の変動中処理(ST44)→特別図柄や演出図柄の変動を終了させる特図A(B)変動終了処理(ST45)の順に動作内容が推移するようになっている。
図8は、変動開始処理(ST43)の内容を更に詳細に図示したものであり、図柄始動口15Aに関するもの(図8(a))と、図柄始動口15Bに関するもの(図8(b))に区分して表示している。図柄始動口15Aに関する図8(a)について説明すると、先ず、現在が、特別図柄Bについて大当り中の動作モードでないことを条件に(ST50)、HORYU(a)の値から抽選保留数がチェックされる(ST51)。
図6において説明したように、図柄始動口15Aに遊技球が入賞すると、HORYU(a)の値がインクリメント処理されるので、ゼロ以外の値になっている(ST32)。したがって、この段階でHORYU(a)≠0である場合は、図柄始動口15Aへの入賞が発生したことを意味するので、保留個数HORYU(a)をデクリメントした後(ST52)、ステップST33及びST34の処理で記憶されている大当り用乱数値RND及び大当り図柄用乱数値ZUを、記憶エリアから読み出す(ST53,ST54)。
読出し動作は、必ず、記憶エリアRND(a),ZU(a)の先頭アドレスに対して行われる(図6の読出しポインタRD参照)。そして、読出し動作後、記憶エリアRND(a),ZU(a)の各データは、先頭アドレスに向けて記憶位置が一つ分シフトされ、また、書込みポインタWRの値はデクリメントされる。
次に、読み出した乱数値RNDに基づいて大当り抽選処理を行い、大当り状態か否かの当否を判定する(ST55)。また、変動動作後の停止図柄についても抽選処理によって決定する(ST56)。なお、大当り抽選に当選している場合には、乱数値ZUに基づいて当選状態の特別図柄を決定する。次に、特別図柄表示部14Aにおける図柄変動時間を設定した後(ST57)、動作ステイタスを00Hから01Hに変更して処理を終える(ST58)。なお、以上説明したステップST50〜ST58と同様の処理が、図柄始動口15Bに関しても同様に実行される。
図9及び図10は、特別図柄Aに関する変動時間の設定処理(ST57)について説明したフローチャートである。なお、特別図柄Bに関する変動時間の設定処理(ST57’)についても同様であり、図11及び図12に記載されている。
先ず、これら変動時間の設定処理を概略的に説明する。変動時間の設定処理(ST57,ST57’)は、連続予告フラグREN=0の「通常動作モード」と、連続予告フラグREN=1の「連続予告演出モード」とに二分されている。図10及び図12の連続予告演出モード(REN=1)では、図9及び図11の通常動作モード(REN=0)で準備した連続予告演出を実現する処理が実行される。また、連続予告演出の実行中に、もし大当り抽選処理で大当り状態となると、連続予告演出モードから通常動作モードに戻るように制御されている。
ここで、連続予告演出とは、演出図柄表示部20における演出動作であり、図柄始動口15A,15Bへの遊技球入賞に伴う、連続的な特別の演出動作(予告演出)が毎回外れ状態で終わるものの、連続して実行される全ての予告演出を消化すると、最終的に大当り状態になることを期待させるものである。つまり、遊技者は、繰り返し実行される、同一又は関連する予告演出によって、大当り状態の到来への期待感を高めることになる。但し、連続予告演出は、必ずしも、大当り状態の到来で終わる必要はなく、この実施例では、適度な確率で外れ状態で終わらせている。
このような連続予告演出は、本実施例では、一方の図柄始動口に関わる演出図柄表示部20での演出動作を、他方の図柄始動口に関わる演出動作に先行して連続的に実行することによって実現している。そして、通常動作モード(REN=0)では、ST61〜ST74(又はST61’〜ST74’)において、連続予告演出を実行するか否かが決定される。そして、連続予告演出を行う場合には、その準備処理が実行される。
以下、特別図柄表示部14Aに表示される特別図柄(特別図柄A)の変動時間設定について、図9のフローチャートに基づいて説明する。先ず、連続予告フラグRENの値が判定されるが(ST60)、ここでは、REN=0の通常動作モードであったと仮定する。
通常動作モードの場合には、最初に、特別図柄Aに関する抽選処理(つまり、始動入賞口15Aへの入賞に関わる抽選処理ST55)の抽選結果を示す大当りフラグの値を参照し、大当り状態か否かを判定する(ST61)。そして、大当り状態であれば、当選状態の変動パターンの何れかを抽選によって選択し、これを一時的に保存する(ST62)。一方、外れ状態であれば、外れの変動パターンの何れかを抽選によって選択し、これを一時的に保存する(ST63)。
この変動パターンは、演出図柄表示部20における図柄演出動作(図柄変動)の内容を規定したものであり、大当り抽選の当否結果だけでなく、リーチ演出などを含む演出動作の総時間Taを特定している。なお、このような変動パターンが選択されたことによって、演出制御部32に伝送される演出動作用の制御コマンドである変動パターンコマンドも一意的に特定される。
ステップST62又はST63の処理に続いて、特別図柄表示部14Bが変動動作中か否かが判定される(ST64)。具体的には、特別図柄表示部14Bにおいて、現在、特別図柄(特別図柄B)が変動中であるか否かが判定される。そして、特別図柄Bが変動中でなければ、ステップST71の処理に移行するが、変動中であれば、図柄始動口15Bに関わる抽選保留数HORYU(b)がチェックされる(ST65)。そして、HORYU(b)<2であればステップST71の処理に移行する。
一方、抽選保留数HORYU(b)が2以上であれば、演出図柄表示部20において連続予告演出を行うか否かを抽選によって決定する(ST66)。そして、この抽選に当選すれば、特別図柄表示部14Aで変動動作する特別図柄Aの変動時間を変更する(ST68)。すなわち、ステップST62又はST63で決定された変動パターンの演出時間の総時間Taに、演出図柄表示部20で実行される予告演出の総演出時間を加算する。
ここでは、演出図柄表示部20における連続予告演出一回の演出時間が常にTxであり、これを抽選保留数HORYU(b)の数だけ繰り返すと仮定すると、Ta←Ta+HORYU(b)×Txの演算によって、特別図柄表示部14Aにおける特別図柄Aの総変動時間とする。なお、連続予告演出一回の演出時間Txは、一回の予告演出を終えて次回の予告演出を開始するまでの休止時間(インターバル)を含んだ値である(図15、図16参照)。
ところで、上記の説明では、連続予告演出の繰り返し回数を、抽選保留数HORYU(b)の数に一致させ、また連続予告演出一回の演出時間Txを一定時間に設定したが、特にこのような構成に限定されるものではない。すなわち、連続予告演出の繰り返し回数は、HORYU(b)を越えない範囲で適宜に設定できるし、連続予告演出一回の演出時間も一定値である必要はない。
いずれにしても、変動パターンの演出時間の総時間Taに、連続予告演出の総演出時間を加算した後(ST68)、連続予告演出の連続回数を、変数NBに格納し、連続予告フラグRENを1にセットする(ST69)。そして、連続予告演出の繰り返し回数NBを特定した連続予告コマンドPTxを、演出制御部32に送信する(ST70)。
続いて、ステップST62又はST63で決定された変動パターンに対応する変動パターンコマンドPT(ai)を、コマンドバッファに格納する(ST71)。格納された変動パターンコマンドは、その後のステップST26(図5)のタイミングで演出制御部32に伝送される。また、決定された変動パターンコマンドに対応して、演出図柄表示部20における演出総時間Taも自動的に決定されるので、これを一時的にワークエリアSUMに格納する(ST72)。演出総時間Taは、ステップST68の処理を経て変更されている場合がある。
そもそも演出動作の総時間Taは、演出図柄表示部20における演出動作の総時間を規定するものであるが、原則として、特別図柄表示部14Aにおける図柄変動の総時間にも一致している。但し、例えば、特別図柄表示部14Aでの変動動作開始時に、特別図柄表示部14Bが変動動作中であるような場合には、演出図柄表示部20の演出総時間と特別図柄表示部14Aの変動総時間が一致しない。
それは、特別図柄表示部14Aでの変動動作開始時に、特別図柄表示部14Bが変動動作中である場合には、演出図柄表示部20も変動動作中であるので、演出図柄表示部20での自己の演出動作の開始タイミングが遅れることによる。すなわち、直ちに始まった特別図柄表示部14Aでの変動動作の終了タイミングと、遅れた始まった演出図柄表示部20での演出動作の終了タイミングとを一致させるには、直ちに始まる特別図柄表示部14Aにおける図柄変動動作の総時間を増加させて補正する必要がある。
具体的には、特別図柄表示部14Bにおける変動動作の残り時間Tbを、特図B変動タイマTBから算出し、SUM←SUM+Tbの演算から、今回の特別図柄表示部14Aにおける変動総時間を補正する(ST73)。なお、特別図柄表示部14Bが変動動作中でない場合には、特図B変動タイマTBの値Tbがゼロであるから、Tbの値に拘わらずSUM←SUM+Tbの演算を施したので足りる。そして、補正演算後のワークエリアSUMの値を、特図A変動タイマTAに初期値設定する(ST74)。
このようにして、通常動作モードにおける変動時間の設定が行われる。この動作を整理すると、演出図柄表示部20で連続予告演出を行う場合には、連続予告コマンドPTxが演出制御部32に送信されると共に、特別図柄Aの変動タイマTAの初期値がTa+HORYU(b)×Tx+Tbに設定される。一方、演出図柄表示部20で連続予告演出を行わない場合には、特別図柄Aの変動タイマTAの初期値がTa+Tbに設定される。なお、上式において、変動残り時間Tbは、厳密には、特図B変動タイマTBの値と、変動動作を終えてから次回の変動動作を開始するまでの休止時間(インターバル)とを加算した値である。
以上、特別図柄Aについて変動時間の設定処理を説明したが、特別図柄Bについての変動時間の設定処理も同様であり、図11に示す通りである。すなわち、通常動作モードにおいて予告演出を行うか否かが決定され、演出図柄表示部20で連続予告演出を行う場合には、連続予告コマンドPTxが演出制御部32に送信されると共に(ST70’)、特別図柄Bの変動タイマTBの初期値が、Tb+HORYU(a)×Tx+Taに設定される(ST68’,ST72’〜ST74’)。一方、演出図柄表示部20で連続予告演出を行わない場合には、特別図柄Bの変動タイマTBの初期値が、Tb+Taに設定される(ST72’〜ST74’)。
この場合も、変動残り時間Taは、厳密には、特図A変動タイマTAの値と、変動動作を終えから次回の変動動作を開始するまでの休止時間(インターバル)とを加算した値である。また、連続予告演出一回の演出時間Txは、一回の予告演出を終えてから次回の予告演出を開始するまでの休止時間(インターバル)を含んだ値である。
続いて、図10及び図12に基づいて、連続予告フラグREN=1である連続予告演出モードについて説明する。先に説明した通り、連続予告フラグRENは、ステップST69又はステップST69’の処理でREN=1とされる。また、図10は、図柄始動口15Aへの入賞に起因する特別図柄Aの変動開始処理(ST43)の一部である「変動時間の設定処理」を構成している。一方、図12は、図柄始動口15Bへの入賞に起因する特別図柄Bの変動開始処理(ST43)の一部である「変動時間の設定処理」を構成している。
さて、先にした図9に関する説明では、予告演出回数NBが、HORYU(b)に設定され(ST69)、これに対応して連続予告フラグRENが1にセットされた(ST69)。そこで、以下では、図9の説明に続けて、特別図柄Bの変動時間設定処理について、図12を参照しつつ説明する。
変動時間の設定処理(特別図柄B)における判定処理(図11のST60’)において、連続予告フラグREN=1であると、図12に示す連続予告演出モードの動作が開始される。そして、先ず、特別図柄Bに関する抽選処理(始動入賞口15Bへの入賞に関わる抽選処理ST55)の抽選結果を示す大当りフラグの値を参照し、大当り状態か否かを判定する(ST75’)。
この判定の結果、外れ状態であれば、図9のステップST69の処理で初期設定された予告演出回数NBの値がデクリメントされ(ST76’)、ゼロとなるか否かが判定される(ST77’)。そして、予告演出回数NB≠0であると、ステップST78’の処理をスキップする。一方、デクリメント処理によってNB=0となる場合は、今回が最後の予告演出動作であることを意味するので、次回のタイマ割込み時から通常動作モードに戻すべく、連続予告フラグRENをゼロに戻してステップST79’に移行する(ST78’)。
ステップST79’では、連続予告演出用の変動パターンを選択し、これに対応する変動パターンコマンドをコマンドバッファに格納する(ST80’)。なお、格納された変動パターンコマンドは、ステップST26(図5)の処理によって演出制御部32に伝送される。
次に、特別図柄Bの変動タイマTBの初期値が、連続予告演出用の演出時間に設定される(ST81’)。先に説明したように、この実施例では、連続予告演出の演出時間は全てTxであると仮定しているので、ステップST81’の処理では、変動タイマTB←Txの設定処理が実行される。
一方、ステップST75’の大当りフラグの判定において、大当り状態であると判定されると、演出制御部32に対してキャンセルコマンドPTcを伝送する(ST82’)。これは、大当たり抽選(ST55,ST55’)に外れたことを報知して終わることを予定している連続予告演出を、そのまま継続して実行できなくなったためである。すなわち、連続予告演出は、各回の大当たり抽選結果が外れ状態であることを予定して開始されているが、所定回数の連続予告演出を消化し終わる前に大当り状態となったため、そのことを演出制御部32に通知するのである(ST82’)。なお、通知を受けた演出制御部32では、残存する未消化の連続予告演出を擬似的に実行することになるが、この点は図13及び図14に関して後述する。
キャンセルコマンドPTcを伝送するステップST82’の処理が終われば、次回のタイマ割込み時から通常動作モードに戻すべく、連続予告フラグRENをゼロに戻す(ST83’)。そして、大当り状態の変動パターンを抽選によって選択して、これを一時保存する(ST84’)。
その後の処理は、通常動作モードにおけるST71’〜ST74’(図11)と同じであり、変動パターンに対応する変動パターンコマンドをコマンドバッファに格納し(ST71’)、特別図柄Bの変動タイマTBをTb+Taに初期設定する。先に説明した通り、Tbは、ステップST84の処理で選択された変動パターンに固有の、演出図柄表示部20における演出時間である。また、Taは、特別図柄Aの変動タイマTAの残り時間であり、特別図柄表示部14Aにおける特別図柄Aが変動中でない場合にはTa=0となる。
以上、図9〜図12を参照して、特別図柄A及び特別図柄Bの変動時間の設定処理を説明した。また、これは、図8のステップST57,ST57’の処理の具体的内容を示している。そして、ステップST57,ST57’の変動時間の設定処理は、図7の変動開始処理(ST43)の一部を構成している。
このようにして、図7に示す特別図柄の変動開始処理(ST43)が実行されると、次回のタイマ割込み時からは、特別図柄の変動動作と図柄変動タイマTMの減算処理が実行される。動作ステイタス01Hの時に実行される変動中処理では、先ず、図柄変動タイマTMがゼロか否かが判定され、ゼロでなければ何もしないで処理を終える。このような処理を繰り返していると、やがて図柄変動タイマTM(具体的にはTA又はTB)がゼロになるので、TM=0の場合には、移行処理として、演出制御部32の演出動作を終了させるための「図柄確定コマンド」を送信すると共に、動作ステイタスを01Hから02Hに変更する。
動作ステイタスが02Hに変化すると、次回のタイマ割込みによる変動終了処理(ST45)では、所定時間後に特別図柄表示部14の図柄変動動作を終了させると共に、動作ステイタスを02Hから00Hに変更する。そして、もしステップST55、ST55’の大当り抽選において大当り状態となっていれば、動作モードを「大当り中」として処理を終える。
特別図柄処理(ST23)は、概略、図7(b)に示す通りであり、大当り抽選処理(ST55,ST55’)によって当選状態となれば、変動終了処理(ST44)において、大当り中の動作モードに変わる。また、大当り中となれば、大入賞口など特別電動役物の作動に向けた処理を行う(ST25)。
図5に戻って説明を続けると、次に、ステップST26では、ステップST71(図9及び図10)、ステップST80(図10)などの処理で生成された変動パターンコマンドPTiがサブ制御部に伝送される(ST26)。次に、ワークエリアのHORYU(a),HORYU(b)に格納されている抽選保留数を抽選保留数表示部19A,19Bに表示する(ST27)。そして、最後に、ステップST10の処理で退避しておいたレジスタを復帰させてタイマ割込み処理を終える(ST28)。その結果、メインルーチンの処理に戻ることになるが、所定時間(2mS)経過すると、再度ステップST10の処理が開始されるので、ステップST10〜28の処理は、2mS毎に繰り返されることになる。
以上説明した図5のフローチャートについて、制御コマンドの伝送処理について確認すると、大当り抽選処理の結果に応じて決定される変動パターンコマンドPTiは、ステップST26のタイミングで演出制御部32に伝送される。また、連続予告抽選に当選した場合には、変動パターンコマンドの伝送に先立って、連続予告コマンドPTxがステップST70,ST70’のタイミングで演出制御部32に伝送される。なお、この連続予告コマンドPTxは、連続予告演出の予告演出回数を特定したものとなっている。
連続予告演出を開始されると、一方の図柄始動口への遊技球入賞に関わる大当り抽選処理が連続的に実行され、その抽選結果が外れ状態であると、演出制御部32に、連続予告演出用の変動パターンコマンドが伝送される(ST80,ST80’,ST26)。一方、予定の演出回数を消化する以前に、大当り抽選処理に当選すると、大当りを示す変動パターンコマンドに先立って、キャンセルコマンドPTcが演出制御部32に伝送される(ST82,ST82’)。
図13及び図14は、上記のような制御コマンドを受ける演出制御部32の動作を示すフローチャートである。図13は、演出制御部32における制御コマンドの受信割込み処理の一部を示し、図14は、タイマ割込み処理の一部を示している。演出制御部32では、演出図柄表示部20における図柄演出を実現しているが、その図柄演出は、主制御部30から受けた変動パターンコマンドに基づいて実行される。
そのため、演出制御部32には、演出動作の開始順序を特定して、変動パターンコマンドを格納する演出バッファBUFが用意されている。この実施例では、演出バッファBUFの上位アドレスから下位アドレスに向けて、順番に図柄演出が実行されるようになっており、主制御部30から受けた変動パターンコマンドは、原則として、演出バッファBUFの上位アドレスから順番に格納される。具体的には、受信した変動パターンコマンドを、書込み用ポインタWRが指示する演出バッファBUFのエリアに格納している。そして書込み処理を終える毎に、書込みポインタWRの値をインクリメントしている。
但し、連続予告演出を実行する場合には、例えば特別図柄Aの当選状態を報知するに先立って、連続予告演出として、特別図柄Bの外れ状態を連続的に報知している。したがって、連続予告演出時には、主制御部30から受けた特別図柄Aに関する(通常は当選状態の)変動パターンコマンドより上位アドレスに、後から受ける特別図柄Bに関する変動パターンコマンド(予告演出用コマンド)を格納する必要がある。そこで、かかる変則的な動作を実現するため、この実施例では、演出制御部32に、特別記憶エリアSPを設け、最初に受けた変動パターンコマンド(上記の例では特別図柄Aに関するコマンド)を、一時的に保存するようにしている。
そして、その後に受ける予告演出用のコマンド(上記の例では特別図柄Bに関するコマンド)を、演出バッファBUFの上位アドレスから下位アドレスに順番に格納するようにしている。このようにして、連続する全ての予告演出用の変動パターンコマンドを格納し終わると、特別エリアSPに一時保存していた変動パターンコマンドを演出バッファBUFに格納する。
なお、このようにして演出バッファBUFに格納された変動パターンコマンドは、実行段階では、常に、演出バッファBUFの最上位アドレスから読み出され、その変動パターンコマンドに対応する図柄演出が実行される。そして、演出バッファBUFの最上位アドレスから変動パターンコマンドが読み出された後は、演出バッファBUFの全格納データが全て1つ上位の記憶エリアに移動され、最下位の記憶エリアには無効データNULが格納される。なお、変動パターンコマンドと図柄演出とを一対一に対応させるのではなく、各変動パターンコマンド毎に、総演出時間が共通である複数の図柄演出を用意しておき、その何れかを抽選によって選択したのでも良いのは勿論である。
以上を踏まえて、図13及び図14のフローチャートを説明する。演出制御部32では、コマンド中継基板31を経由して制御コマンドを受けると、CPUに対して受信割込みを受けるように構成されている。図13に示すように、受信割込み処理では、先ず、キャンセルコマンドPTcを受信したか否か判定される(ST85)。図12に関して説明したように、キャンセルコマンドPTcは、連続予告演出動作を予定通りには消化できなくなったことを示す制御コマンドである。
そこで、キャンセルコマンドPTcを受けた演出制御部32では、その段階で未消化状態の連続予告演出の個数分だけ、擬似コマンドを演出バッファBUFに格納する(ST86a)。後述するように、未消化の連続予告演出の個数は、変数KAZUで特定される。
演出バッファBUFに擬似コマンドを格納すると(ST86a)、未消化の連続予告演出の個数を示す変数KAZUをゼロにして(ST86b)、特別記憶エリアSPに格納されている変動パターンコマンドを、演出バッファBUFに格納して処理を終える(ST86c)。先に説明した通り、特別記憶エリアSPは、連続予告コマンドPTxに引き続いて受信した変動パターンコマンド(通常は当選状態を示す変動パターンコマンド)を、一時的に格納しておく記憶エリアである。
以上のような例外処理(ST86a〜86c)の後、受信した制御コマンドが連続予告コマンドであるか否かが判定される(ST87)。連続予告コマンドは、これから連続予告演出を開始すべきことを指示する制御コマンドである。また、この連続予告コマンドは、連続して実行すべき予告演出の継続回数nも特定している。そこで、開始フラグSTARTを1にセットすると共に、予告演出の継続回数nを変数KAZUに格納する(ST88)。
次に、受信した制御コマンドが変動パターンコマンドか否かが判定される(ST89)。変動パターンコマンドは、演出制御部32における演出動作の概略種別と、演出総時間を規定するものであるが、もし変動パターンコマンドを受信した場合であれば、最初に、開始フラグSTARTの値がチェックされる(ST90)。開始フラグSTARTは、直前に、連続予告コマンドPTxを受信したか否かを示している。したがって、開始フラグSTART=1の状態で受信した変動パターンコマンドは、連続予告演出を経た後に、実効化されるべきものであることになる。そこで、開始フラグSTART=1の状態で受信した変動パターンコマンドを、特別記憶エリアSPに一時記憶して(ST91)、開始フラグSTARTをゼロに戻して受信割込み処理を終える(ST92)。
ステップST90の判定において、開始フラグSTART=0と判定された場合には、変数KAZUの値が1より大きいか否か判定される(ST93)。そして、KAZU>1であれば、変数KAZUをデクリメントすると共に(ST94)、受信した変動パターンコマンドを演出バッファBUFに格納する(ST95)。なお、KAZU>1の状態で受信する変動パターンコマンドは、連続予告演出用の変動パターンコマンドである。
ステップST93の判定で、KAZU>1でないと判定された場合は、KAZU=1又はKAZU=0である。そこで、先ずKAZU=1か否かが判定される(ST96)。KAZU=1の状態で受信する変動パターンコマンドは、連続予告演出における最終の変動パターンコマンドである。そこで、変数KAZUをデクリメントして(ST97)、受信した変動パターンコマンドを演出バッファBUFに格納すると共に(ST98)、その下位の記憶エリアに、特別記憶エリアSPに一時保存していた変動パターンコマンドを格納する(ST99)。
一方、ステップST96の判定で、KAZU=1でないと判定された場合は、KAZU=0であって連続予告演出を意味しない変動パターンコマンドを受信したことを意味している。そこで、かかる場合には、受信した変動パターンコマンドを、演出バッファBUFに格納する(ST100)。なお、上記した全ての場合を含め、演出バッファBUFに変動パターンコマンドを格納する際には、書込みポインタWRの指示する記憶エリアに格納され、その後、書込みポインタWRはインクリメントされる。また、演出バッファBUFは、初期状態では全記憶エリアには無効データNULLが格納されている。
以上説明した処理のうち、特に、ステップST87〜99の処理を確認すると次の通りである。連続予告演出の実行が主制御部30で決定されると(ST66,ST66’参照)、主制御部30は、PTx⇒PT(a1)⇒PT(b1)⇒PT(b2)⇒・・・⇒PT(bn)の順番に制御コマンドを演出制御部32に伝送する。ここで、PTxは連続予告コマンド、PT(a)は(通常は)大当り状態を示す変動パターンコマンド、PT(b1)PT(b2)・・・PT(bn)は連続予告演出用の変動パターンコマンドである。
これに対して、演出制御部32では、PTxの受信に起因して連続個数nを把握すると共に、PT(a1)を一時保存する。そして、演出バッファBUFには、PT(b1)、PT(b2)、・・・PT(bn)の順番に変動パターンコマンドを格納し、最後にPT(a1)を格納する。したがって、演出図柄表示部20では、変動パターンコマンドの受信順ではなく、PT(b1)⇒PT(b2)⇒・・・⇒PT(bn)⇒PT(a1)の順番に、図柄演出を実行することが可能となる。
なお、連続予告演出の途中で大当り状態が発生した場合には、主制御部30は、PTx⇒PT(a)⇒PT(b1)⇒PTc(キャンセルコマンド)の順番に制御コマンドを演出制御部32に伝送する。この場合には、キャンセルコマンドPTcを受けた演出制御部32は、擬似コマンドPTfを自動的に演出バッファBUFに格納した後に、一時保存していたPT(a1)を格納する。したがって、演出図柄表示部20では、変動パターンコマンドの受信順ではなく、PT(b1)⇒PTf⇒・・・⇒PTf⇒PT(a1)の順番に、図柄演出を実行することが可能となる。なお、擬似コマンドPTfによる連続予告演出の演出時間は、正規の演出時間と同じTxに設定されているのは勿論である。
以上のような受信割込み処理は、演出制御部32が制御コマンドを受ける毎に起動されるが、これとは別に、演出制御部32では、所定時間毎にタイマ割込み処理が起動されるよう構成されている。図14は、演出制御部32のタイマ割込み処理の一部を示すフローチャートである。
タイマ割込み処理では、演出バッファBUFの先頭アドレスが空か否か、具体的には、先頭アドレスの内容が無効データNULLか否か判定される(ST110)。その判定の結果、先頭アドレスが空でない場合には、現在が演出動作中でないことを条件に(ST111)、演出バッファBUFの先頭アドレスの内容が読み出され、検出フラグFGが1にセットされる(ST112)。そして、先頭アドレスから変動パターンコマンドが読み出された後は、演出バッファBUFの全ての記憶内容が一つ上位のアドレスにシフトされ、有効データの記憶されていた最下位のアドレスには、無効データNULLが書き込まれる。また、これに合わせて、書込みポインタWRの値もデクリメントされる。
次に、検出フラグFGが1か否か判定され(ST113)、FG=1なら検出フラグをクリアした後(ST114)、演出バッファの先頭アドレスから読み出した変動パターンコマンドに基づく演出動作を開始する(ST115)。したがって、受信した変動パターンコマンドPTiで規定される演出総時間の間、演出図柄表示部20では図柄演出動作が実行される。なお、特別図柄表示部14における図柄変動時間は、変動時間設定処理(図9〜図12)において適宜に補正されているので、演出図柄表示部20と特別図柄表示部14における図柄変動は、同じタイミングで終了する。
図7(b)の変動終了処理に関連して説明した通り、演出図柄表示部20における図柄変動の終了時には、主制御部30から演出停止コマンドが伝送されてくる。そして、演出制御部32では、演出停止コマンドの受信に同期して図柄演出動作を終了している。但し、主制御部30からキャンセルコマンドPTcを受けた後、演出バッファに格納された擬似コマンドについては、主制御部30から演出停止コマンドが伝送されない。そこで、演出制御部32では、擬似コマンドの実行時においては、擬似的な連続予告演出を行った後に、演出動作を自動的に停止している。
図15及び図16は、連続予告演出に関して、主制御基板30と演出制御基板32の動作内容を示すタイムチャートである。先ず、図15に基づいて、時間の推移と共に説明する。
<タイミングt1> 最初、図柄始動口15Aに関わる抽選保留数は、4個であるが、t1の少し前のタイミングで抽選処理が行われて抽選保留数が3個となり、t1タイミングで、演出制御部32に変動パターンコマンドPT(a1)が伝送される。
<タイミングt2> 次に、特別図柄Aに関わる特別図柄表示部14Aにおける変動動作(A1)と、演出図柄表示部20における演出動作(A1演出変動)とが共に実行されている途中の、t2の少し前のタイミングで、図柄始動口15Bに遊技球が入賞する(B1入賞)。その結果、大当り抽選処理(図8のST55’)が実行されるが、図示例では、その結果大当り状態となり、更に連続予告抽選(図11のST66’)にも当選している。
そのため、先ず、連続予告コマンドPTxが演出制御部32に伝送され、次に、大当り状態を示す変動パターンコマンドPT(b1)が伝送されている。連続予告コマンドPTxの伝送時における、特別図柄Aに関わる抽選保留数は3であるから、連続予告コマンドPTxは3個の抽選保留数を特定したものとなっている。また、特別図柄Bの変動時間は、その時の特図A変動タイマTAの残り時間Taと、三回分の予告演出時間3×Txと、変動パターンコマンドPT(b1)で特定される演出時間Tbとの総和となっている。なお、この変動時間の総和演算は、連続する予告演出のインターバル時間や、特別図柄Aの変動終了後の停止時間を、加味した加算演算であるのは前述の通りである。
一方、連続予告コマンドPTxと変動パターンコマンドPT(b1)とを連続して受信した演出制御部32では、変数KAZUを3に初期設定すると共に(ST88)、変動パターンコマンドPT(b1)を特別記憶エリアSPに格納する(ST91)。
<タイミングt3,t4,t5,t6,t7> その後、特別図柄Aに関わる特別図柄表示部14Aにおける変動動作や、演出図柄表示部20における演出動作が終わると、保留状態の特別図柄Aに関わる抽選保留数が連続して消化される。
具体的には、t3のタイミングで、連続予告演出用の変動パターンコマンドPT(a2)が、演出制御部32に伝送され(ST80,ST26)、同様に、t4のタイミングで変動パターンコマンドPT(a3)が、t6のタイミングで変動パターンコマンドPT(a4)が演出制御部32に伝送される(ST80,ST26)。なお、その途中のタイミングt5で図柄始動口15Aに遊技球が入賞して抽選保留数が1から2に増加しているが、連続予告演出の延べ繰り返し回数(=3)が変化することはない。
演出制御部32では、変動パターンコマンドPT(a2),PT(a3),PT(a4)を、この順番に演出バッファBUFに記憶する(ST95,ST98)。そして、変動パターンコマンドPT(a4)を記憶した後で、特別記憶エリアSPに一時記憶しておいた大当り状態の変動パターンコマンドPT(b1)を記憶する(ST99)。したがって、タイミングt3、t4、t6から、連続的な予告演出が実行され、その後、タイミングt7から変動パターンコマンドPT(b1)に基づく演出動作が開始される。
<タイミングt7,t8> 主制御部30では、タイミングt7の少し前に、タイミングt5で入賞した遊技球についての大当り抽選処理が実行される。そして、その結果を示す変動パターンコマンドPT(a5)が、t7のタイミングで演出制御部32に伝送される。なお、その変動パターンコマンドPT(a5)は、演出制御部32において、演出バッファBUFに普通に記憶される(ST100)。
この時、演出制御部32では、変動パターンコマンドPT(b1)に基づく演出動作が開始されているが、PT(b1)は、大当り状態の変動パターンであるから、t8のタイミングから大当り状態となる。なお、大当り状態に突入すると主制御部30で管理している変動タイマTAは、減算動作を中止している(図7(a)参照)。
そして、演出図柄表示部20では、大当り状態のゲームが終了すると、タイミングt9から変動パターンコマンドPT(a5)に基づく演出動作を開始し、タイミングt10で演出動作を終了する。このタイミングt10では、変動タイマTAもゼロとなっているので、主制御部30は、特別図柄表示部14Aにおける変動動作を終了させる。
図16は、連続予告演出が開始された後、特別図柄Aに関わる大当り抽選において、大当り状態となった例外的な場合を示すタイムチャートである。図示例では、連続予告動作が開始された後、タイミングt4に先立った大当り抽選において、大当り状態になっている。そのため、主制御部30では、タイミングt4で、キャンセルコマンドPTcを演出制御部32に伝送し(図10のST82)、続いて、大当り状態の変動パターンコマンドPT(a3)を伝送している。
一方、キャンセルコマンドPTcを受けた演出制御部32では、2個の擬似コマンドを演出バッファBUFに格納し(ST86a)、その後、一時保存していた変動パターンコマンドPT(b1)を演出バッファBUFに格納する(ST86c)。そのため、演出制御部32では、引き続き円滑に連続予告演出が実行され、その後に変動パターンコマンドPT(b1)に基づく演出動作が実行される。
以上、本発明の実施例について具体的に説明したが、具体的な記載内容は特に本発明を限定するものではない。すなわち、特に、フローチャートで例示する具体的な制御方法は何ら本発明を限定するものではない。
例えば、上記の実施例では、主制御部30は、演出制御部32における演出動作開始のタイミングを特に指示しておらず、演出制御部32は、演出バッファBUFの開始アドレスに有効なデータが格納されている限り、自動的に演出動作を開始している。しかし、演出制御部32は、主制御部30から変動パターンコマンドを受けることを条件に演出動作を開始するようにしても良い。
但し、このような実施態様を採る場合には、連続予告演出の演出動作を終えた段階で、例えば、抽選保留数が0であると、主制御部30から演出制御部32に向けた、変動パターンコマンドの送出がないことになる。そこで、このような場合には、主制御部30は、変動パターンコマンドに代えて、例えばデモコマンドを送出することが考えられ、演出制御部32は、デモコマンドを受けたタイミングで、演出バッファBUFに残っている図柄演出を開始することになる。なお、演出バッファBUFが空であれば、デモ用の図柄演出が開始される。