JP4854665B2 - 携帯型隔離囲繞器 - Google Patents

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Description

本願は、本願と同名称でエクスプレスメール第EV567833985US号及び管理番号98141.0027が付された2005年8月2日付米国特許出願に基づく優先権主張を伴う出願であり、当該2005年8月2日付出願は2004年8月3日付米国特許出願第10/910939号の一部継続出願であり、当該2004年8月3日付出願は2002年11月14日付米国特許出願第10/294313号の一部継続出願であり、当該2002年11月14日付出願は2001年11月14日付米国暫定特許出願第60/332750号に基づく優先権主張を伴う出願である。なお、これらの出願の全内容は、この参照を以て本願に繰り入れることとする。
本発明は、その挙動範囲をベッド周辺に制限すること或いは外部から隔離することが望ましい患者用の隔離囲繞器を、提供するシステムに関する。
脳損傷、認知症、アルツハイマー型痴呆等を発病・発症している患者が怪我や事故に見舞われることを防ぐため、その患者に常時気配りしなければならなくなることがある。その種の患者の様子及び面倒を見るシステム及び方法としては、古くから、ベッドに備え付けの紐や抑制具、拘束衣、鎮静剤、監視装置、専任介護者、隔離部屋等やその組合せを用いたシステム及び方法がある。しかしながら、こうした古典的なシステム及び方法の多くは関係者の誰にとっても厄介なものであり、またかなり費用の嵩むものでもあった。例えば、患者をベッド紐によってベッドにくくりつけその行動を抑制すると、その拘束患者は動きたくても動けず寝返りを打ちたくて打てない状態になり、ひいては非常に不機嫌になりまた非常に興奮して、別の病や外傷を患うことにもなりかねない。また、例えば拘束患者に専任介護者を付け、毎日毎日、しかも一日中、その患者の世話を見させるとしたら、法外な費用が必要になる。
昨今においては、こうした患者や介護者からの需要を満たすべく、患者の挙動範囲を制限しつつも患者がベッド上で自在に動けるようにする手法が、何種類か開発されている。例えば、この参照を以てその内容が本願に繰り入れられるところの特許文献1(発明者:Eads et al.)、特許文献2(発明者:Chadwick et al.)等に記載されている囲繞器付ベッド装置である。しかしながら、この従来技術には幾つか問題がある。特に、挙動制限が求められる状態はあまり長く続くものではなく、従って囲繞器の移設、組立及び分解は割合に頻繁に行われるものである。それにもかかわらず、従来は、囲繞器の組立及び分解にかなりの人力が必要であったし、分解時に緩めた部品がなくなりやすくて運搬や保管が面倒且つ困難であったし、組立の際にはそれなりの道具、かなりのノウハウ、並びに多大な人力が必要であったし、しかも組み立てた状態では嵩張るので容易に運搬及び保管できなかった。
また、通常、患者が病院の救急治療室内に運び込まれるのは、その患者の症状が何らかの形態での隔離が望ましい症状である旨、医療スタッフが確信したときである。そうした患者については、まず何回かの予診が行われ、更なる検査、診察、入院、手術、或いはより緊急な処置が必要かどうかが判断されることとなろう。こうした手順の実施には、その患者をその病院設備内で場所から場所へと移送する必要があり、また移送先では何らかの隔離処置を執って患者や介護者を十分に保護する必要がある。しかしながら、それには場所毎に隔離ユニットを配する必要があり、隔離ユニット自体のコストに加え場所毎に浄化(デコンタミネーション)コストも発生するので、コストが嵩んで所要コストが非常に高額になる。また、各所に導入した隔離ユニットが新たな汚染源となる可能性もある。更に、時折、囲繞器内に隔離した状態で面倒を見なければならない患者が発生することがある。そうした場合、その患者を所要隔離状態に保ちつつ患者の面倒を見るには、エアロック付の囲繞器が必要になる。
特許文献3に記載されている隔離囲繞器は、携帯可能且つ折り畳み可能で内部に清浄気を供給できるタイプであり、上方に膨満させることが可能な充填室、この充填室に連結されており充填室内無菌乃至無塵環境に大気圧より高い又は低い気圧を供給可能な濾過気源、並びに周囲カーテンを備えている。使用時には、設置先の部屋の床面に周囲カーテンの下部を固定して封止し、その床面を隔離囲繞器の内底面として用いる。従って、部屋の床面が囲繞器内のあらゆる汚染にさらされるので、この文献に記載の隔離囲繞器は、動作中に移動させることが困難乃至不可能である。更に、この囲繞器は、その内底面たる床面に蝶番によってウィングを固定し、そのウィングによって囲繞器自体を支える構造を採っているため、動作中に形を歪めてドア、エレベータ等に通すこともできない。
米国特許第5216291号明細書 米国特許第6263529号明細書 米国特許第5314377号明細書
そこで、本発明は、上記従来技術の短所乃至問題点のうち1個又は複数個を克服することを目的とする。
本発明に係る隔離囲繞器は、人間が乗れるようその骨格上にマットレスが敷かれたベッドの周辺領域に人間を隔離する装置である。本隔離囲繞器は、ベッドを囲える支持骨格と、支持骨格に装着でき対外気封止された隔離室を形成する天蓋とを備える。この隔離室はベッド骨格よりも上方に拡がり、その中のベッド上にいる人間が自在に動くことができる。また、天蓋は、少なくとも(i)マットレス上を覆え又は(ii)マットレスとベッド骨格の間に挟める底部壁を有する。更に、支持骨格には、車輪、キャスタ、スライダ等の支持骨格運搬装置を装着する。この支持骨格運搬装置によれば、支持骨格及び天蓋をベッドと共に運搬でき、従って隔離室内のベッド上にいる人間を移送できる。ベッド骨格及び天蓋の支持骨格は、一体形成して同一運搬装置上に装着してもよいし、別体形成して別々の運搬装置上に装着してもよい。但し、後者の場合でも、隔離室内の患者を場所から場所へと移送できるよう、ベッド骨格及び天蓋支持骨格が協調移動するように構成する。また、隔離室には環境制御装置を通流連結できる。この環境制御装置は、(i)隔離室内への流入気及び隔離室外への排出気のうち少なくとも一方を濾過する濾過器、並びに(ii)隔離室内に空気を送り込んで隔離室内気圧を外気圧より高くする動作及び隔離室内から空気を吸い出して隔離室内気圧を外気圧より低くする動作のうち少なくとも一方を行えるポンプを有する。
本発明を実施する際には、例えば、上部横倒し支持材の一方の側には第1直立支持材を、また他方の側には第2直立支持材をそれぞれつなぐことによって、支持骨格を形成する。天蓋には、アクセス部及び透かし部を少なくとも1個ずつ設けるとよい。アクセス部は、動かすことによって閉状態から開状態へまた開状態から閉状態へと切り替わり、開状態では隔離室内にアクセスできるよう天蓋を貫く開口が形成される。透かし部とは、天蓋の外から隔離室内を見るための部分である。
環境制御装置には、弁を少なくとも1個設け、その弁によってポンプによる空気流の方向を選択的に制御するようにするとよい。例えば、その弁を用い、(i)隔離室内に空気が送り込まれ隔離室内気圧が外気圧より高くなる方向、並びに(ii)隔離室内から空気が吸い出され隔離室内気圧が外気圧より低くなる方向、のうちどちらかになるよう、ポンプによる空気流の方向を選択的に制御することができる。また、環境制御装置には、隔離室及びその中の人間を移送している間中、装置を動作させることができるように、バッテリを少なくとも1個設けるとよい。
本隔離囲繞器には、また、支持骨格に着脱可能で装着時には支持骨格の横につながるエアロック骨格と、エアロック骨格により支持されるエアロック天蓋とを設け、そのエアロック天蓋により、隔離室及び環境制御装置と通流連結できる封止されたエアロック室が形成されるようにするとよい。環境制御装置は、例えば、隔離室内及びエアロック室内に実質的に同じ又は似通った気圧条件が生じるように構成する。即ち、外気圧に対して所定圧高い気圧又は低い気圧が生じるように構成する。また、エアロック骨格を入れ子式、回動式、又はその双方の方式により支持骨格に装着するとよい。本発明を実施する際には、例えば、環境制御装置に紫外(UV)光源を設け、隔離室内に流入する空気及び隔離室外に流出する空気のうち一方又は双方を、そのUV光源により滅菌するようにするとよい。
従って、本発明の一実施形態によれば、囲繞器を容易に組み立て、分解し、運搬し、保管し、清掃することができる。
また、本発明によれば、患者が自在にまた気持ちよく動けるようにしつつ、患者をある領域内に隔離しその挙動範囲を安全に制限することができる。
本発明によれば、更に、封止された隔離用正圧又は検疫用負圧囲繞器を動作状態のままでまたその中に患者を収容したままで運搬することができる。従って、患者を場所から場所へと移送する際、例えばある病院内で部屋から部屋へと移動させる際に、患者を囲繞器外に出す必要がなくなる。
そして、本発明は融通が利き様々な用途に使用できる。即ち、本発明は様々な形態で実施でき、既知のものも未知のものも含め様々な用途向けに使用でき、またプロセス、装置、システム、器具及び方法の何れの形態でも実施できるので、そのことをご理解頂きたい。以下、別紙図面を参照しつつ説明を行う。この説明によって、上述のものもそれ以外のものも含め、本発明に係る装置及び方法の特徴的構成がより明らかになろう。
本件技術分野における習熟者(いわゆる当業者)が本発明の構成要素、構成手法及びその用途をより容易に理解できるようにするため、以下の説明では別紙図面を参照することとする。
患者の挙動範囲をベッド周辺領域に制限し又は患者をベッド周辺領域に隔離するための囲繞器には、従来、数多くの問題があった。本発明は、そうした多くの問題を解決するものである。以下、本発明の好適な実施形態について、関連する図面を参照しつつ、詳細に説明する。いわゆる当業者であれば、以下の説明から、本発明に係るシステムの特徴的構成やその効果をより明瞭且つ迅速に理解できるであろう。なお、別紙図面中、類似する構成部材には類似する参照符号を付すこととする。
本発明に係る囲繞器は、患者の挙動範囲をベッド周辺領域に安全に制限できる装置である。しかも、患者がベッド周辺領域内で自在に動くことができ、介護者や付添人がその患者の挙動許容範囲内を見ることができ、介護者や付添人が患者にアクセスできるよう随意に閉止可能に開口を設けることもでき、囲繞器周辺がどのような様子になっているかを患者が見ることや患者が周囲になじむことができ、折り畳み可能で非使用時における保管及び運搬が容易なように実施することもできる。但し、いわゆる当業者であれば本願による教示に基づき理解できるように、本発明に係る囲繞器及びその天蓋は、折り畳み不能型、ベッド骨格装着型、ベッド骨格固定型等、その特性が異なる様々な支持骨格の何れとも併用することができる。
図1に、本発明の一実施形態に係る囲繞器100を示す。この囲繞器100は人間の挙動範囲をベッド200上に制限でき、その人間の挙動を抑止する抑制具が要らず、しかも折り畳むことができるよう、構成されている。この囲繞器100の用途としては主に病院環境が想定されており、またベッド200としては病院用の標準的なベッドが想定されている。また、この囲繞器100はアルミニウムによって形成されたユニット状の支持骨格110を有しており、この骨格110の規模によって、囲繞器100内で人間が挙動できる範囲(挙動許容範囲)の拡がりが決まる。ご推察通り、この骨格110は、既知未知の別を問わず様々な素材によって形成することができる。十分に頑丈で軽量な支持骨格110を形成するには、例えば、鋼、PVCパイプ、アルミニウム、プラスチック、炭素繊維混合物、その他金属等や、これらの任意の組合せを用いればよい。また、特に図5Aから見て取れるように、この骨格110には運搬用にキャスタが設けられている。
また、支持骨格110の周りには、中の人間が挙動許容範囲外に出てしまうことを防ぐべく天蓋102がゆったりと掛けられており、またこの天蓋102は骨格110の上又は上方の所定箇所にて骨格110に固定されている。いわゆる当業者であれば本願による開示に基づき理解できるように、固定手段としては、ジッパー(登録商標;以下省略)、骨格110の構成部品に沿ってスライドする布スリーブ、ベルクロ(登録商標;以下省略)、これらに類するもの又はそれらの任意の組合せを用いることができる。また、この天蓋102は、外からベッド200の一部にアクセスしてそれを調整することができるよう構成されている。例えば、ジッパー108を操作することによって、天蓋102の一部を動かし隔離室内にアクセスすることができる。天蓋102にて使用するジッパーは何れもセルフロッキング型にするのが望ましい。
図示例における天蓋102は支持骨格110より内側に掛けられている。天蓋102は、例えば、ビニール又はナイロン製の部分104と、黒いナイロン製の網106とを組み合わせて形成するとよい。黒色が望ましいのは、周知の通り、黒色或いは茶色や青色のような濃色の網の方が見通しがよく且つ汚れが目立ちにくいからである。また、ナイロン製が望ましいのは、ビニール製の網に比べかなり軽量になり取扱が容易になるためである。
図2A及び図2Bに示すように、支持骨格110は、廂部111、基部113、並びに廂部111を支持して基部113上に固定するための4本の棒状直立支持材118から構成されている。組み上がった状態では剛性が高いので、基部113を下にし骨格110を床面上に設置、支持することができる。また、図1に示したように囲繞器100内のベッド200には頭側部分202と脚側部分204の区別があるので骨格110にも頭側と脚側の区別があるが、その形状自体は図示の通り対称形状でよい。また、骨格110の強度及び安定度は、成人が出ていこうとして力を加えても損傷したり脱落・壊縮したりしない程度の強度及び安定度にするとよい。
図2Aに示すように、基部113は、その横倒し支持材として2本の非直線状長尺支持材115及び2本の横断支持材117を有している。支持材115は互いにほぼ平行になるよう配置されており、それぞれ、頭側部分112h、脚側部分112f、並びにそれらを連結する連結材114から構成されている。また、これらの支持材115の間には2本の支持材117が互いに平行になるよう横たわっており、それら支持材117は何れも2個の部分120を連結材114によって連結した構成を有している。従って、これらの支持材115及び117により長方形を形成でき、そのサイズは概ね病院用の標準的なベッド200のサイズに見合ったサイズにすることができる。病院用の標準的なベッド200としては約90.25インチ×36.64インチのサイズのベッドが用いられることが多いが(1インチ=2.54×10-2m)、ご理解頂けるように、囲繞器100のサイズ、とりわけその基部113及び廂部111により形成される長方形のサイズは如何様にも設定でき、従ってどのようなベッドサイズ向けにもすることができる。
更に、支持骨格110の下隅には4個のコーナーブラケット116が設けられている。これらのブラケット116は、基部113を構成する非直線状長尺支持材115及び横断支持材117の端部を、その支持材115,117を随意に首振りさせうるように保持している。また、各支持材115,117の中央には連結材114が配されており、この連結材114によってその構成腕同士が連結されているので、この連結材114をいわば中折れ点として各支持材115,117を回動させることができる。こうすることで、後に図4及び図5を参照して説明するように、骨格110を好適に折り畳むことが可能になる。また、基部113を構成する支持材のうち支持材115の中寄り部分は、囲繞器100の内側に向かって張り出している。これも、同じく折り畳み型囲繞器100の実現に役立っている。
基部113の上方には、互いに平行な4本の方形断面棒状直立支持材118によって廂部111が支持されている。廂部111は、その横倒し支持材として2本の直線状長尺支持材121及び2本の横断支持材123を備えている。支持材121は、互いに平行になるようその頭側の端と脚側の端との間に差し渡されており、その間には、互いに平行になるよう、また病院用の標準的なベッド200とほぼ同じサイズの長方形が形成されるよう、支持材123が差し渡されている。また、上隅に設けられている4個のコーナーブラケット116は、廂部111を構成する支持材121及び123の端部を、その支持材121,123を随意に下方に首振りさせうるよう、保持している。更に、廂部111を構成するこれらの支持材121及び123の長手方向中央部には、各支持材121,123の構成腕同士を連結する連結材114が設けられており、この連結材114を中折れ点として各支持材121,123の構成腕を回動させることができる。これらの構造は、折り畳み型囲繞器100の実現に役立っている。
図2A及び図2Bに示すように、棒状直立支持材118は、組立に際しコーナーブラケット116に堅固に固定されている。但し、いわゆる当業者であれば本願中の開示に基づき理解できるように、各支持材118をブラケット116と一体化した実施形態や、分解時にブラケット116から随意に取り外せるよう廂部111の支持材121と支持材123を単層一体化した実施形態や、その頭側の端及び脚側の端に合計2枚の頑丈な平板を配置しそれらによって廂部111を基部113の上方に支持する実施形態(図4中の仮想線を参照)や、廂部111及び基部113を構成する支持材のうち互いに平行な長尺状支持材だけ又は互いに平行な横断支持材だけに連結材114を設けた部分折り畳み型の実施形態もあり得る。
囲繞器100内にベッド200を配置するには、まず基部113の頭側部分112hと脚側部分112fの連結、即ち中折れ点に位置する連結材114による連結を解除し、その上で、頭側部分112hと脚側部分112fの端部を持ち上げて図2A中の矢印Aに沿い上方に回せばよい。これによって障害がなくなるので、また大抵のベッド200の下には車輪206が付いているので、囲繞器100内にベッド200を支障なく運び入れることができる。囲繞器100内にベッド200を配置し終えたら、その端部を押し下げることで頭側部分112h及び脚側部分112fを下方に回し、更にそれら頭側部分112h及び脚側部分112fを連結材114によって互いに不動固定すればよい。その後は、例えば天蓋102によって形成される隔離室内又は当該隔離室の内底面を形成する天蓋底部壁の下方にマットレスを配置し、患者をベッド200上に招じ入れ、そして天蓋102を所定位置に固定する。或いは、天蓋102を骨格110周囲に掛けて所定箇所で固定し、天蓋102に設けた図1の開口180を介し患者を隔離室内に迎え入れるようにしてもよい。また、基部113無しで本発明を実施することもできる。例えば、各棒状直立支持材の下端を板状にし、その脚部板によって支持骨格を支持する構造としてもよい。また、病院用の標準的なベッド200は頭板及び足板を差し込むためのスロットを有しているので、それらのスロットに挿入できるよう各棒状直立支持材の下部をポスト状にしておき、ベッド200の頭板スロット及び足板スロットから頭板及び足板を取り外し、代わりに各棒状直立支持材のポスト状部分を挿入して、ベッド200を囲うように隔離囲繞器を立てるようにしてもよい。また、各棒状直立支持材を、ベッド又はアダプタ板にボルトで固定する等してベッドに不動固定してもよい。
図3A〜図3Dに示すように、コーナーブラケット116は外枠140及び内枠142から構成されている。これらは金属によって形成するのが望ましく、また溶接或いはリベット固定によって相互固定するのが望ましい。外枠140は、略三角の横板148の縁に2枚の三角形の立板149の縁を継ぎ合わせたが如き形状であり、それらの立板149によって形成される通り道151内に、棒状直立支持材118の一部を受け入れることができる。内枠142は、外枠140への装着のための縁取り143及び2枚の三角形の立板145を有している。更に、とりわけ図3Dに示されているように、やはり溶接、リベット固定等により支持材118がブラケット116に不動固定されている。また、同図中の屈曲金属板144は支持強度、締まり強度及び剛性を向上させるための部材であり、内枠142及び支持材118に溶接又はリベットで固定されている。なお、ご推察の通り、これらの支持材118、枠140及び142並びに板144は様々な手法で形成できる。例えば一枚板による形成、リベット固定、ネジ固定、接着固定等である。要は、所要機能を実現できる適切な形状を形成できればよい。また、構造的支持強度向上手法としては、板144による手法だけでなく、ブラケット116の形状を工夫する手法も使用できる。即ち、支持材118が隙間なく嵌るようブラケット116の形状を工夫することにより、支持材118をブラケット116に不動固定することができる。
図3E〜図3Hに示すように、図2A中の基部113又は廂部111を構成する支持材115、117、121及び123の端部150は、コーナーブラケット116に対し回動可能固定できるよう、構成されている。即ち、図3Fに示すように、各支持材の端部150は丸みを有しており、また図示しないピンを挿通できるピボット軸孔152を有している。ピボット軸孔152に挿通されたピンは例えば図3A〜図3Dに示した孔146即ちブラケット116の孔にも挿通され、コッターピン等を用い所定角度位置に固定され、更に図3Hに示すナイロン被覆付のステンレス鋼製テザー166によって支持骨格110に固定される。ピボット軸孔152を中心とした回動動作を滑らかにし摩耗を少なくするには、そのピボット軸孔152の内側にテフロン(登録商標;以下省略)製のブッシングを予め嵌め込んでおけばよい。組立時には、図示しないロッキングファスナ例えばキャプティブネジによって、支持材115、117、121及び123をブラケット116に不動固定する。例えば、図示しないが支持材115、117、121及び123に孔を設ける一方、その支持材孔と位置が揃うようブラケット116にも孔を設けておき、そのブラケット孔と支持材孔の双方にロッキングファスナを通せばよい。その際、予め両孔の内面にネジ山を形成しておきそれを利用して固定することもできるし、またナットとボルトの組合せを用いて固定することもできる。
他方、図3I〜図3Lに示されている連結材114は、それを用いた中折れ点連結により各支持材115、117、121及び123を形成する際、随意に回動可能固定及び不動固定できるように構成されている。即ち、図示しないピボットピンを支持材115、117、121及び123のピボット軸孔152に挿通し、更に連結材114に設けられている開口158に挿通することにより、支持材115、117、121及び123における中折れ点連結を形成することができる。即ち、各支持材115、117、121及び123の内側端部150を連結材114により回動可能に保持させることができる。また、連結材114には図3Jに示すように孔159及び160が、支持材115、117、121及び123には図3E及び図3Gに示すように孔153及び156が、それぞれ設けられているので、図示しないピンを両脇の孔159及び153に、また図示しないファスナを中央の孔160及び156に、それぞれ挿通することにより、支持材115、117、121及び123を連結材114に不動固定することができる。また、その際、例えば一対のナット板119を使用することによって、連結力を支持材115、117、121及び123上に面分散させることができる。即ち、端部150に設けられている孔156の両側に1枚ずつナット板119を配置し、ピンを孔159及び153だけでなくナット板119の開口163にも通し、ファスナを孔160及び156だけでなくナット板119の孔161にも通すようにすればよい。一方のナット板119の孔161を通ったファスナは他方のナット板119の対応する孔161にネジ込まれるので、孔156の各側でナット板119の位置が固定されることとなる。また、ピン及びファスナにロッキングリングを付設しておけば、ナット板119との当接、連携がキャプティブになるので、分解時の紛失を防ぎまた保管能率を向上させることができる。更に、図示しないテフロン製ブッシングを中央の孔156内に予め嵌め込んでおくことで、本来なら非常に厳しく求められる公差を緩和でき、それでいて十分な嵌り具合を実現することができる。
運搬や保管のため支持骨格110を折り畳む際には、図4及び図5に示すように、まず、その骨格110を構成する対コーナーブラケット116及び対連結材114支持材締結を緩めた上で、4本の棒状直立支持材118を直立した状態のまま同じ場所に寄せ集めていく。すると、各支持材115、117、121及び123の外側端部150がブラケット116を中心に、また内側端部150即ち中折れ点側の端部が連結材114を中心に、それぞれ蝶番的に作動し回る。その際、廂部横断支持材123と基部横断支持材117の中央部同士の衝突は、支持材118の縦寸を予め適宜設定しておくことで回避できる。また、廂部長尺支持材121と基部長尺支持材115の中央部同士の衝突は、支持材118の縦寸設定だけでは回避できないが、基部長尺支持材115を非直線状としてあるので、直線状の廂部長尺支持材121と非直線状の基部長尺支持材115とが中央部同士で機械的に干渉しあうことを防ぐことができる。即ち、完全に折り畳んだ状態でも両者は単に重なり合うだけである。こうした作業の末、骨格110は最小形状に折り畳まれ、図5に示すように運搬及び保管に適した状態になる。また、骨格110を最小状態に保つには、例えば図示しない紐を骨格110に取り付けておきそれを用いて骨格110を縛ればよく、或いは運搬用の袋を準備しておきその中に折り畳んだ骨格110を入れるようにしてもよい。また、図5A及び図5Bに示す別の実施形態では、上側の長尺支持材121の連結材114’の各端にその連結材114’を連通するよう一対ずつ第1開口171が、下側の長尺支持材123の連結材114’の片端にその連結材114’を連通するよう一対の第2開口173が、各直立支持材118の中央部にその支持材118を貫通するよう第3開口175が、そして各直立支持材118の第3開口175と対応する基部側ブラケット116とのほぼ中間点に第3開口175から90°ずらした向きの第4開口177が、それぞれ形成されている。図5Bに示すように、完全に折り畳まれた状態では第1開口171の位置と第3開口175の位置が揃い、第2開口173の位置と第4開口177の位置が揃っているので、位置が揃った開口内を連通するようファスナ179を挿通すれば、骨格110を折り畳み状態でロックすることができる。図示したファスナ179はいわゆる当業者に知られているタイプの迅速連結ピンであり、例えば図3Hに示したタイプのテザーを用いて骨格110に支持することができる。いわゆる当業者であれば本願による教示から理解できるように、このファスナ179として使用するには本願記載のファスナ機能を奏しうるものであればよく、既知未知の別を問わず様々な種類のファスナをファスナ179として使用することができる。これもまた、いわゆる当業者であれば本願による教示から理解できるように、天蓋102を所定位置に取り付けたままの状態で骨格110を折り畳むこともできる。
図6及び図7に、他の実施形態に係る天蓋302の全体像を示す。この天蓋302は前述の天蓋102に類似した構成であるので、ここでは後者の構成部材の参照符号の冒頭にある「1」を「3」に置き換えた参照符号を用い、前者の構成部材中の類似する部材を指し示しすこととしている。また、そのメッシュ即ち網306のサイズ及び色も、前述のものと同様良好な見通し性及び汚れ耐性が得られるよう(例えば黒色、青色及び茶色を含む一群の濃色の中から選んで)、且つ患者の指等の物体乃至物品が不測に通り抜けることがないよう、設定されている。更に、この天蓋302はスリーブ303によって上方で固定されており、図2Aに示した支持骨格110の廂部111より下方へと掛けられている。また、天蓋302は、ベッドの一部にアクセスしてベッドを調整することができるよう構成されている。例えば、本件技術分野に属する知識に基づき、その下部平板308に図示しないジッパーを設け、ベッドの一部に好適にアクセスできるようにしておくとよい。また、とりわけ図7に示されているように、スリーブ303はナイロン材310、発泡材312及び網314から形成されている。発泡材312は支持骨格110への取付時にクッションとして機能する部分であり、セル密度の高いクッション材により形成することによって、天蓋302洗浄時における水分吸収を妨げることができる。また、水分が吸収されたとしても網314を介して排出することができるため、より乾燥しやすくなる。更に、とりわけ図7に示されているように、各スリーブ303にはその軸と平行な方向に沿って細長い継ぎ目が形成されている。この継ぎ目を被支持部として利用することにより、各スリーブ303を対応する骨格形成支持材構成部分112又は120(図2A参照)に、好適に取り付けることができる。いわゆる当業者であれば本願による教示に基づき理解できるように、この継ぎ目には、例えばジッパーやベルクロ(より一般には鈎と環による係止部材)等、そのスリーブを対応する骨格形成支持材上方に密着固定するのに適した既知又は未知の仕組みを組み込むことができる。また、その骨格110の棒状直立支持材118に対する天蓋302の固定にも、スリーブ303を用いることができる。
図8A及び図8Bに、図2A中の各棒状直立支持材118に被せる襟アセンブリ320を示す。このアセンブリ320を使用することによって、収容患者の怪我を防ぐことができる。また、この襟アセンブリ320と類似した別の襟アセンブリを他の骨格構成部分に被せれば、患者が怪我を負う確率を更に減らすこともできる。また、このアセンブリ320も、スリーブ303と同じくナイロン材322、発泡材324及び網326によって形成されており、またファスナ328を備えている。この構造であれば、骨格110の保守や組立を容易に行うことができ、また骨格110による患者の怪我を簡便に防止することができる。また、このアセンブリ320の外形は、骨格110にぴったりとまた美しく被さるような形状にしておく。ファスナ328を設けてあるため、骨格110にアセンブリ320を好適に被せることができる。このファスナ328は、例えば布上に複数対の鈎及び環を設けた構成とするのが望ましい。
いわゆる当業者であれば本願による教示に基づき理解できるように、例示した天蓋は既知未知の別を問わず様々なタイプの支持骨格と併用することができる。例えば、折り畳み不能型骨格、上述の支持骨格110とは異なる形態で折り畳まれる骨格、そのサイズを調整できる骨格等と併用できる。例えば図9に示す例では、骨格形成支持材のうち1本又は複数本が入れ子式になっており、その支持材(図では棒状直立支持材118)の長さを変化させうるよう複数個の固定具105が設けられている。この構成によれば、骨格サイズを望み通りに調整することができるため、例えば小児用、児童用、双子用、肥満者用、クイーンサイズ、キングサイズ等、様々なサイズのベッドを収容することができる。また、こうした入れ子式支持材は、上述の折り畳み型骨格においてだけでなく、折り畳み不能型骨格においても採用することができる。また、この天蓋は、使用時状態のまま丸ごと動かさなければならない骨格かそれとも囲繞器運搬時又は保管時にその固定部分を分解しなければならない骨格かの別を問わず、また図1に示したものと同じくベッド周辺の床面に設置される骨格か、ベッド骨格に固定しベッドの横に張り出させたキャスタによりベッドと共に移動させられる骨格か、囲繞器支持骨格兼ベッド骨格となるようベッド骨格上に搭載された骨格か、車輪、キャスタ、ベアリング等のように回転、摺動等する既知又は未知タイプの運搬装置によってベッドと共に又はベッド抜きで運搬できる骨格かの別を問わず、各種の折り畳み不能型骨格と併用することができる。更には、複数個の支持骨格モジュール乃至サブアセンブリに分解して運搬又は保管することができるモジュール式支持骨格とすることもできる。加えて、天蓋によって形成されその中に患者が隔離される封止された隔離室の底部壁が、ベッド及び場合によってはその上のマットレスの上に敷かれるようにすれば、ベッド及びマットレスの汚染を防止することができる。隔離室内の患者は、天蓋、支持骨格及びベッドと共に、また隔離室から出ることなく、場所から場所へと移送することができる。
図10に、本発明の他の実施形態に係る囲繞器400の全体像を示す。また、図11及び図12に、本発明の更に他の実施形態に係る囲繞器500の全体像を示す。これらの囲繞器400及び500は多くの点で前述の隔離囲繞器100と類似しているので、後者の構成部材の参照符号の冒頭にある「1」を「4」又は「5」にした参照符号を用い、前者の構成部材のうちそれと類似するものを指し示すこととしている。これからより詳細に説明するように、囲繞器400及び500はとりわけ検疫用隔離囲繞器や患者隔離ユニットとして好適に使用できる。
まず、図10に示す囲繞器400は、幾分模式化して破線で示した支持骨格410及びその上に装着された天蓋402から構成されている。骨格410は例えば前述の折り畳み型骨格110と同じ構成であり、骨格410への天蓋402の装着形態も前述の形態と同じく着脱型スリーブで骨格形成支持材に装着するという形態を採っている。こうして骨格410に天蓋402を装着すると、少なくとも患者を収容できる程度に広く且つその患者の挙動範囲を所定範囲に制限できる程度に狭い隔離室405が、形成されることとなる。前述の天蓋102及び302とこの天蓋402との違いの一つは、これから述べる通り、天蓋402によって形成される隔離室405が天蓋外部空間から分離されており、従って天蓋内患者を検疫乃至隔離できることである。また、看取できるように、この天蓋402には複数個の手袋ポート402Aや複数個の見通し可能な(例えば透明な)窓406が形成されており、医師、介護者その他の人間は手袋ポート402Aを利用して患者や天蓋402内の隔離室405にアクセスすることができ、また窓406を介し中を見ることができる。こうした検疫用天蓋402は、既知未知の別を問わず様々な素材によって形成可能である。即ち、伝染病その他、検疫乃至隔離が必要な様々な状況下・条件下にある患者を安全且つ効果的に隔離できる素材であればよく、例えばビニール等のポリマー素材を使用することができる。また、天蓋402の外部には環境制御ユニット409が配備されている。この環境制御ユニット409は隔離室405内と通流可能につながっており、隔離室405内への空気流入及び隔離室405内からの空気排出を含め、隔離室405内の様々な環境条件を制御する役割を担っている。更に、この検疫用天蓋402には迅速に切り離せるタイプの連結部402Bが1個又は複数個、設けられている。この連結部402Bは、検疫用天蓋402からIVライン等を導入するのに使用される。加えて、この検疫用天蓋402には1個又は複数個のポート乃至エアロック402Cが設けられている。このポート乃至エアロック402Cは天蓋402の外壁を貫通しており、隔離室405内への食物、薬品その他の搬入や隔離室405外へのゴミの排出等に使用することができる。こうしたポート402Cは、ポート402Cとしての機能を発揮できる限り既知未知の別を問わず様々な種類の無菌運搬ポート又はそれに類する装置によって実現することができる。ポート402Cとして使用する無菌運搬ポートには、UV照射装置等、隔離室405から排出されるあらゆる物体を滅菌可能な滅菌装置を設け、隔離室405外が汚染されないようにする。更に、当該滅菌装置としては、滅菌装置としての機能を発揮しうるものである限り、既知未知の別を問わず様々な種類の装置を使用することができる。
次に、図11及び図12に示す囲繞器500は、その天蓋502内に隔離室505と隣り合わせに(但し隔離室505とは分離して)エアロック室507が形成されている点で、囲繞器400と異なっている。なお、後により詳細に説明するように、支持骨格及び天蓋の側壁にエアロックを随時取り付け、囲繞器をエアロック有りの状態からエアロック無しの状態へ又はその逆へとコンバートできるよう、取外可能型のエアロックを使用してもよい。本実施形態においては、図示の如く少なくとも隔離室505と隣り合わせに設けるエアロック室507を収容する必要がある分、支持骨格510の横方向寸法が支持骨格410のそれより大きくなっている。
図11に示すように、隔離室505は、患者が寝ているベッド503の上方に形成するのが望ましい。そのようにすれば、患者の位置が最適になり、診断、介護、処置等を効果的に施すことができる。また、隔離室505内のベッド503は、例えばその上下位置を調整できるものにするとよい。更に、必要に応じ支持骨格510及び検疫用天蓋502双方を適宜操作することにより、患者が寝ているベッド503を隔離室505から容易に外に出しまた交換することができる。また、図示の実施形態では、隔離室505の内底面が少なくとも1個の底部壁505Aによって形成されている。更に、患者が寝ているベッド503が所定位置にある状態ではベッド503のマットレス501より上に隔離室505の底部壁505Aがあり、従ってマットレス501が隔離室505の外にある。これに対し、マットレス501が患者が寝ているベッド503の上で隔離室505内にある形態、即ち隔離室内底面を形成する少なくとも1個の底部壁505Aがマットレス501とベッド503の他の構成部分との間にある形態で、本発明を実施することもできる。こうした代替的実施形態に対し図示実施形態が有している利点の一つは、マットレス501及びベッド503が隔離室505内から隔離されているのでマットレス501及びベッド503の汚染を防ぐことができ、使用後にマットレス501及びベッド503を滅菌乃至清掃する必要もないことである。図示の実施形態には、もう一つ、骨格510を運搬するための手段をその骨格510に設けることができる、という利点がある。例えば車輪、キャスタ、ベアリング、スライダ等、移動機能を実現できるものであれば、既知未知の別を問わない。そうした構成では、骨格510及び天蓋502をベッド503と共に運搬すること、ひいては囲繞器500内に収容されベッド503に寝ている患者ごと移送することができる。従って、本実施形態に係る隔離囲繞器500によれば、従来型囲繞器使用時に生じていた問題、例えば患者を運ぶ際にその患者を外に出さねばならないという問題や、動かした後にあった場所を浄化しなければならないという問題を、なくすことができる。
隔離室505には、更に、1個又は複数個の透明部506が設けられている。この透明部506を利用すれば、検疫対象患者を効果的に観察することができる。また、患者の側からも、透明部506を介して囲繞器500外を見ることができる。透明部506は、望みに応じ、透明にすることも有色にすることもできる。透明部506は、隔離室505を形成している他の壁面と協働して、隔離室505を好適に気密封止する。
隔離室505には、更に、1個又は複数個のアクセスパネル505Bが設けられている。このパネル505Bは、必要に応じ随意に開放しまた随意に気密封止することができるので、必要ならばこのパネル505Bを介し検疫対象患者に好適に且つ直接にアクセスすることができる。また、図示しないが、パネル505BにUV光源や消毒ガス源等の浄化手段を設けておくとよい。パネル505Bは透明でも半透明でも不透明でもよい。パネル505Bに暗色網状被覆、暗色網状層等の網状部分を設け、当該パネル505Bを通して見たときまぶしさを感じないようにしてもよい。或いは、これらの工夫を任意に組み合わせてもよい。
隔離室505には、更に、図11に最もよく示されているように、更に1個又は複数個のアクセス用手袋ポート505Cが設けられている。このポート505Cは、例えば図示の如くアクセスパネル505Bに形成する等、隔離室505を形成する外壁を介して内部にアクセスできるように形成する。更に、このポート505Cにも、他の箇所と同じく適当な浄化手段を設けるのが望ましい。ポート505Cを利用することで、検疫対象患者との直接接触を避け間接的に接触することができる。
また、エアロック室507は隔離室505の脇に隣り合わせに設けられており、支持骨格510の全長乃至全幅に亘って拡がっている。このエアロック室507には、例えば1個又は複数個の出入り口507Aを設け、エアロック室507内に好適にアクセスできるようにしておく。また、隔離室505に通ずるアクセスパネル505Bと同様、エアロック室507に通ずるこの出入り口507Aも、必要に応じ随時開放させまた気密封止することができるようにしておくとよく、また図示しない浄化手段を設け人間が安全にエアロック室507に出入りできるようにしておくとよい。また、隔離室505の壁に設けた透明部506とほぼ同様に、エアロック室507にも1個又は複数個の窓507Bを設けておくとよい。隔離室505と隣り合う位置に隔離室505から分離してエアロック室507を設けるには、骨格510の上部から下部にかけて上下に延びる少なくとも1個のパーティション、例えば側壁505Dを設けるとよい。また、図示の実施形態においては、エアロック室507と隔離室505が共通の天蓋502内にまとめて形成されており、また共通の骨格510によって支持されている。天蓋502の骨格510上への装着形態は前述の天蓋102のそれと同じでよく(即ち着脱可能なスリーブを用い骨格510の上部支持材に取り付ける形態でよく)、その装着先の骨格510も前述の骨格110と同じ構成でよい。骨格510は、それ以外の種類の骨格、例えば折り畳み不能型骨格や、囲繞器サイズを調整できるよう入れ子式支持材により構成された骨格でもよい。加えて、いわゆる当業者であれば本願による教示から理解できるように、エアロック室507を別体形成して隔離室505に連結するようにしてもよいし、図示しないがエアロック室507の骨格を別体の骨格として形成しそれを骨格510に連結するようにしてもよいし、それらを組み合わせてもよい。
また、本実施形態における窓507B、アクセスパネル505B、出入り口507A及び透明部506は、何れも、単層構造にすることもできるし多層構造にすることもできる。例えば、本実施形態におけるこれらの部分を、随意に不透明層、着色層、透明層等により形成することができ、またそうした層を複数層乃至複数種類設けることもできる。それらの部分を多層構造にすることによって、例えば、室内の見え具合(可視性)を制御できる他、室内に入射する外光の量を制御することができる。更に、こうした窓のうち何個かに、天蓋102及び302との関連で先に説明した暗色網状層を設け、その網状層を窓枠内に残して他の何個かの層を取り外すことや下部に寄せ集めることができるようにしてもよい。その状態では、天蓋502は検疫用隔離囲繞器ではなく挙動範囲限定用囲繞器の天蓋として使用されることとなる。或いは、網状層を何個かの透明又は半透明層と併用して前述の通りまぶしさを抑えるようにしてもよい。
環境制御システム509は、少なくとも1個の空気ポンプ、HEPA(登録商標;以下省略)等の適当な濾過システム、並びに隔離室505及びエアロック室507と通流連結可能な1個又は複数個の吸排気ポートを備える構成とするのが望ましく、また、容易に移動できるよう、携帯に適したコンパクトで軽量な構成とするのが望ましい。環境制御システム509は、更に、適当な操作乃至制御によって隔離室505、エアロック室507又はその双方に対し随意に連結できるよう、構成することができる。また、必要なら、支持骨格510により保持されるように環境制御システム509を構成することもできる。これによって、効率的、効果的且つ自己完結的な携帯型検疫ユニット、即ち様々な種類の検疫乃至隔離に好適に使用できるユニットを実現できる。また、上述の通り、例えば車輪、キャスタ、ベアリング、スライダ等、囲繞器運搬に適する既知又は未知の装置を骨格510に設け、骨格510及び天蓋502をベッド503と共に運搬できるようにすれば、囲繞器500内のベッド503上に寝かされている患者ごと移送できる。その際、囲繞器500と共に中の患者を場所から場所へと搬送する間もシステムを動作状態に保つには、環境制御システム509をバッテリでバックアップしておけばよい。
図13〜図17に、本発明の他の実施形態に係る囲繞器600の全体像を示す。この囲繞器600は前述の囲繞器400及び500と類似した構成であるので、後者の構成部材の参照符号の最初にある「4」又は「5」を「6」に置き換えたものを、前者の構成部材のうち類似するものの参照符号として使用することとする。この囲繞器600は、囲繞器500と違い、そのエアロック室607が隣の隔離室605から分離していて折り畳むことができる。また、図中の支持骨格610は前述の折り畳み不能型であるが、折り畳み型骨格を用いることもできる。骨格610は車輪乃至キャスタ611を備えているので、使用時等にはそれによって骨格610及び天蓋602を運搬することができる。また、エアロック室607の骨格613は骨格610とは別体になっており、骨格610に連結して使用される。また、エアロック骨格613は、隔離室605のすぐ隣にエアロック室607を収容することができるよう、骨格610内に側方から入れ子式に嵌め込まれている。更に、図面から読み取れるように、エアロック骨格613は側壁枠615及び複数本の横倒し支持材617から構成されており、側壁枠615は長方形又は正方形の枠となるよう2本の横倒し支持材及び2本の直立支持材から構成されている。横倒し支持材617の一端は側壁枠615に、他端は骨格610の対応する直立支持材に、それぞれ立面内で回動可能に連結されている。更に、横倒し支持材617と骨格610側の対応する直立支持材との連結は、横倒し支持材617を随時取り外せるよう、ピンその他の適当なファスナ619によって行われている。また、この図に示したエアロック室607用の天蓋602Bは図15に示すように天蓋602とは別体になっており、エアロック骨格613への天蓋602Bの装着は、同図に示すように骨格610への天蓋602の装着と同じ形態で行うことができる。即ち、前述のものと同様、対応する天蓋に設けられている取付用のスリーブを対応する骨格の上部横倒し支持材に取り付け、そこからその天蓋を垂らすことによって、何れも装着することができる。更に、エアロック天蓋602Bは、主天蓋602から随時取り外すことができ且つ両者間が効果的に気密封止されるよう、例えばジッパー、ベルクロ製ファスナその他の適当な仕組みを用いて天蓋602とつなげ封止する。
図14及び図15に示すように、隔離室505と同様の環境である隔離室605は、患者の位置が介護や観察を効率的に行える最適な位置となるよう、例えば患者が寝ているベッド603の上方に形成するのが望ましい。この構成では、支持骨格610及び隔離用の天蓋602双方を適宜操作乃至制御することにより、患者が寝ているベッド603を必要に応じ搬出乃至交換することができる。患者が寝ているベッド603は、随意に上下動できるように構成しておくのが望ましい。また、この図から読み取れるように、ベッド603のマットレス601は隔離室605より下方即ち隔離室605外に配置されている。従って、ベッド603が所定位置にある状態では、隔離室605を画する壁のうち少なくとも1個の底部壁605Aが、マットレス601よりも上にある。無論、隔離室605を画する壁のうち少なくとも1個の底部壁605Aをマットレス601とベッド603の残りの部分との間に配置し、マットレス601がベッド603の上方且つ隔離室605内に位置するようにしてもよいが、図示の実施形態はその種の構成に対して幾つかの利点を有している。その一つは、マットレス601及びベッド603をその骨格610、モータ、リフト部等を含めて隔離室605から隔離すること、従ってマットレス601及びベッド603の汚染を防ぐことができ、ひいては使用後にマットレス601及びベッド603を浄化乃至清掃する必要をなくせることである。なお、ご理解頂けるように、ベッド603にはモータ、ギア、油圧駆動系等が組み込まれているので、その浄化はひどく困難乃至不可能である。また、図14から読み取れるように、天蓋602の底部壁605Aには、十分な生地寸法によって形成された十分に大きなゆとり部分605Bを持たせておく。そうしたゆとり部分605Bがあれば、マットレス601の頭側部分乃至マットレス601のうちゆとり部分605Bの下にある部分を、望みに応じ起こしたり寝かしたりすることができる。また、この図に示すゆとり部分605Bには、好ましくも、頂面部及び3個の側方延長部が発生している。頂面部とは、マットレス601の上面上(マットレス601が天蓋602の底部壁605A上にある場合はマットレス601の下面下)にあり、同面を概ね覆っている部分である。側方延長部とは、天蓋602の基部とゆとり部分605Bの頂面部との間をつなぐ部分である。これら側方延長部には、例えばプリーツや折り目を付けておく。そのようにしておけば、ベッド603を起こしたり寝かしたりしたときに、隔離室605と外気との間の気密封止を損ねることなく、ベッド603に対しゆとり部分605Bの頂面部を従動させることができる。また、ベッド603の頭側部分を完全に直立させる必要があるのであれば、ベッド603の限界上端位置まで底部壁605A自体を昇降させうるように、構成しておくとよい。前述のようにスリーブによって天蓋602を支持骨格610に装着する手法は、この昇降動作を実現する上でとりわけ有益である。
隔離室605を画する壁には、更に1個又は複数個の透明部606が設けられている。この透明部606を利用することにより、隔離されている患者を効率的に観察できるだけでなく、患者がこの透明部606を通して囲繞器600外を見ることもできる。この透明部606は、隔離室605を画する他の壁面と同じく望みに応じて透明にも色つきにもすることができるが、何れにせよ空気が漏洩しないよう気密封止するのが望ましい。そのようにすれば、天蓋602は必然的に密閉され、その内部に隔離室605が形成される。従って、その中に患者を収容して外気から隔絶することができる。また、天蓋602はそれ単独で密閉状態を保つことができる。即ち、天蓋602だけで自己完結的に密閉型囲繞器600が形成され、外部物体の表面例えば床面は密閉に関与することがない。また、上述の通り、天蓋602は好ましくも着脱型スリーブによって支持骨格610に装着されているので、使用後における骨格610からの天蓋602の取り外しは容易であり、その浄化も、既知未知の別を問わず様々な手法で行うことができる。また、使用するたびに天蓋602を使い捨てるようにしてもよいし、天蓋602及び外気に対し封止されるよう天蓋602の内面に着脱型ライナを組み込み、そのライナを使用後に捨てて新品(例えば事前滅菌しておいたもの)と交換するようにしてもよい。
隔離室605を画する壁には、更に1個又は複数個のアクセスパネル605が設けられている。このパネル605は随意に開放できまた必要に応じ気密封止することができるので、このパネル605を利用することによって、必要に応じまた好適に、患者に直接接触することができる。また、このパネル605には、更に、図示しないUV光源、消毒ガス源等の浄化手段を設けることができる。加えて、このパネル605は透明でも半透明でも不透明でもよい。また、パネル605に暗色網状被覆や暗色網状層等の網状部分を設け、当該パネル605を介して向こう側を見るときのまぶしさを抑えることもできる。パネル605についてこうした工夫を任意に組み合わせることも可能である。
また、隔離室605を画する壁には、先に隔離室505について図11に示したように、1個又は複数のアクセス用手袋ポートを設けることができる。これによって、検疫中又は隔離中の患者と直に接触することを避け間接的に接触することができる。
また、エアロック室607は隔離室605と隣り合うよう横方向に拡がっており、その拡がりは支持骨格610のほぼ全長乃至全幅に亘っている。このエアロック室607にも、隔離室505と同じように、1個又は複数個の出入り口、アクセスパネル、窓、パーティション乃至側壁といったものを設けることができる。更に、骨格610への天蓋602の装着は、前述した天蓋102の装着と同様にして行うことができる。即ち、例えば着脱型スリーブを骨格610の上部支持材に装着する方法で行うことができる。加えて、骨格610は前述した骨格110と同様の構成でもよいし異なる構成でもよい。例えば、折り畳み不能型骨格としてもよいし、囲繞器サイズを調整できるよう何個かの入れ子式支持材を用いた骨格としてもよい。図示した実施形態においては、骨格610によってベッド603、環境制御システム609更には関連するダクトも支持されている。即ち、ベッド骨格及び天蓋骨格610が一体化され単一の支持骨格を形成している。また、環境制御装置609は、隔離室605及びエアロック室607内に実質的に同一の又は近接した圧力状態を発生させうるよう、即ち外気圧に対し所定圧高い又は低い圧力を両者の内部に発生させうるよう、構成されている。
図16及び図17に示すように、この環境制御システム609は、例えば少なくとも1個の空気ポンプ612、HEPAその他の適当な濾過システム614、図示しないUV光源や消毒ガス源等の浄化手段616(但し必須ではない)、1個又は複数個の通流方向ダンパ乃至弁618、並びに1個又は複数個の吸排気ポート620を備え、ダクト621を介し隔離室605と通流しまたエアロック室607と通流可能な構成とするのが望ましい。また、このシステム609は、患者の隔離/検疫が必要な場合は外気に対して負圧の環境とし、患者の保護が必要な場合は外気に対して正圧の環境とする、というように、ダンパ乃至弁618の操作乃至制御によって選択的に環境を切り替えられるよう構成されている。また、図面から見て取れるようにダクト621はU字状であり、隔離室605の頭側の端及び脚側の端に達している。更に、頭側の吸排気ポート620は、ベッド603の頭側部分を起こしても倒しても気流の妨げにならないよう、図示の如く脚側の吸排気ポート620より高い位置に設けられている。但し、いわゆる当業者であれば本願における教示に基づき理解できるように、ダクトやポートの構成や配置は必要に応じ或いは希望に応じ定めればよく、図示のものとは異なるものにすることもできる。また、携帯できる程度にコンパクトにまた比較的軽量になるようにシステム609を構成し、容易に運搬できるようにするのが望ましい。更に、システム609にバッテリバックアップ電源622を組み込んでおき、運搬中や停電中も動作が継続されるようにするのが望ましい。更に、隔離室605やエアロック室607にシステム609を随意に連結して動作させうるようにするのが望ましい。また、これは必須ではないが、様々な種類の検疫作業に適した効率的、効果的且つ自己完結的な携帯型検疫ユニットを実現できるよう、システム609を支持骨格610によって保持するようにするのが望ましい。
エアロック室607を作動させるときには、そのエアロック室607内が大気圧で隔離室605と通流していない状態で、医師、介護者、付添人等がそのエアロック室607内に踏み込む。エアロック室607内に入ったら、医師等は、エアロック天蓋602Bに設けられているアクセスパネル605等を閉じ、そのエアロック室607を外気に対して封止し、そして環境制御装置609を作動させ、エアロック室607内気圧が隔離室605内気圧とほぼ同じ気圧になるように設定する。環境制御装置609は、エアロック室607及び隔離室605に設けられている気圧センサ(いわゆる当業者に既知のものでよい)により気圧を検知し、両者の気圧が概ね等しくなったら音響的手段、可視的手段又はその双方によって通知乃至表示し、隔離室605をエアロック室607に対して開放してもよいことを知らせる。医師等は、これを受けてパネル605を開け隔離室605内にアクセスできるようにし、隔離室605内のベッド603の上に横たわっている患者の世話をする。患者の世話を終えたら、医師等はパネル605を閉ざして装置609を作動させる。装置609はエアロック室607内の空気を吸い出して濾過、UV照射等の手段により滅菌し、然る後にその空気を外気中に排出する。
本発明の実施形態のうち目下のところ最適と考えられる実施形態の利点は、エアロック骨格及び天蓋を必要なときだけ取り付ければよく、従ってその隔離囲繞器をエアロック付の状態からエアロック無しの状態へ又はその逆へと比較的容易且つ迅速にコンバートできることである。なお、本願における「エアロック」は正圧エアロック及び負圧エアロックの何れをも包含する意味であることに注意されたい。また、当該実施形態の更なる利点は、弁618のスイッチングで隔離囲繞器の隔離室内を高圧環境から低圧環境へと容易且つ迅速にコンバートできることである。なお、高圧環境とは、隔離室内の患者が例えば免疫不全患者である場合にその患者を外的環境から保護する際形成すべき環境をいい、低圧環境とは、隔離室内の患者を外気から保護しながら検疫し或いは患者例えば空気伝染性の病気等の伝染病を患っている患者から外部の人間を保護しつつその患者を検疫する際形成すべき環境をいう。
また、当該実施形態の更なる利点は、従来から病院に設けられているタイプの扉、玄関、廊下等を通り抜けられるよう囲繞器の寸法を定められることである。即ち、隔離患者を隔離室外に出すことなく例えばある病院内で場所から場所へと搬送できるよう工夫して、囲繞器が構成されている。また、本発明の実施に当たり、バッテリバックアップ系にマイクロプロセッサを設け、そのマイクロプロセッサによってバッテリ残存電力を調べてその値を示すデータを発生させ、その値が所定レベル(例えば現在の水準で電力を使用し続けたら約10〜20分もつ電力レベル)を下回ったときに音響アラーム、可視アラーム又はその双方を発生させるようにするとよい。また、システムが電源コンセントに接続されていない状態でバッテリ残存電力が0に低下したときや、バッテリがまだ新しいものに交換されていない期間に、ダンパ/弁が自動的に開くようにしておくのが望ましい。ダンパ/弁が開けば隔離室内に空気が流れ込むので、隔離室内の患者に害が及ぶことを防止できる。加えて、隔離室及びエアロック室内の状態を監視しまた隔離室及びエアロック室内の条件を制御するためのセンサを、囲繞器内に設けることができる。設けることができるセンサには様々な種類があり、既知未知の別を問わないが、例えば気圧センサ、湿度センサ、温度センサ等を用いて適宜フィードバック制御を行えば、隔離室やエアロックの内部の気圧、湿度、温度等を所望の通りに安定化することができる。囲繞器内には、更に、COセンサやCO2センサ等のケミカルセンサや、センサの出力が所望範囲外になった場合に警報信号を発する音響式や可視式の警報器や、場合によっては、隔離室やエアロックを出入りする空気の流量をセンサ出力に基づき調整するための適当なフィードバック制御手段を、設けることができる。囲繞器には、更に、隔離室内の患者の保護や隔離室外の人間の保護のため、様々な工夫を施すことができる。例えば、ある患者をその隔離室内に初めて入室させるときに、環境制御システムがユーザに対して内圧設定(即ち高圧環境か低圧環境か)の確認を求めるようにするとよい。この確認によって、システムに対して正確な操作が行われたかどうか、ひいては患者とその介護者等の隔離囲繞器外の人間との双方を保護できるかどうかを、確認することができる。
いわゆる当業者であれば本願記載の事項に基づき理解できるように、図示内容及びそれに関連しての詳細な説明は、本発明の好適な実施形態及びそれに施しうる様々な変形を提示するためのものである。このように専ら好適な実施形態に基づき本発明について説明したが、いわゆる当業者であれば迷いなく理解できるように、本願発明即ち特許請求の範囲に記載の発明の神髄及び技術的範囲を逸脱することなしに、本発明に対して様々な変更乃至変形を施すことが可能である。
ベッド用折り畳み型拘束囲繞器のベッド配置済状態を示す図である。 図1に示した拘束囲繞器の支持骨格の組立後状態を示す斜視図である。 図1に示した拘束囲繞器の支持骨格の組立後状態を示す底面図である。 図1に示した支持骨格のコーナーブラケットの外枠を示す斜視図である。 図1に示した支持骨格のコーナーブラケットの内枠を示す斜視図である。 図1に示した支持骨格の組み上げ途中のコーナーブラケットを示す斜視図である。 図1に示した支持骨格の組み上げ途中の2個のコーナーブラケット及びその固定先の棒状直立支持材を示す斜視図である。 図1に示した支持骨格の支持材の端部を示す頂面図である。 図1に示した支持骨格の支持材の端部を示す底面図である。 図1に示した支持骨格の支持材の端部を示す側面図である。 図1に示した拘束囲繞器のテザーを示す斜視図である。 図1に示した支持骨格の連結材を示す側面図である。 図1に示した支持骨格の連結材を示す頂面図である。 図1に示した支持骨格の連結材を示す端面図である。 図1に示した支持骨格のナット板を示す平面図である。 図1に示した支持骨格の折り畳み途中状態を示す斜視図である。 図1に示した支持骨格の完全折り畳み後状態を示す斜視図である。 折り畳み型支持骨格の他の実施形態、特に連通開口に迅速連結ファスナを挿通し、そのファスナをテザーで支持骨格に固定することによって、折り畳み後の最小状態で支持骨格をロックすることが可能な実施形態を示す斜視図である。 図5Aに示した支持骨格、特にその支持骨格を折り畳み状態でロックするのに使用される迅速連結ファスナの挿通経路を示す部分斜視図である。 他の実施形態に係る囲繞器の天蓋を示す斜視図である。 図6に示した天蓋のスリーブを示す部分分解図である。 図6に示した天蓋と併用される襟アセンブリの例を示す部分分解図である。 図8Aに示した襟アセンブリのB−B線沿い断面図である。 支持骨格用入れ子式支持材の例を示す斜視図である。 本発明の他の実施形態に係り検疫用囲繞器乃至患者隔離ユニットに適する囲繞器を示す斜視図である。 本発明の他の実施形態に係り検疫用囲繞器乃至患者隔離ユニットに適する囲繞器を示す切欠斜視図である。 図11に示した囲繞器を示すまた別の切欠斜視図である。 本発明の他の実施形態に係り取り外し可能な入れ子式エアロックを備え検疫用囲繞器乃至患者隔離ユニットに適する囲繞器を示す斜視図である。 図13に示した囲繞器内のベッドの頭側部分を起こし明瞭化のためエアロック等の部材を省いて描いた斜視図である。 図13に示した隔離室及びエアロックにおける気流を示す図である。 図13に示した隔離室における正圧条件下気流及び環境制御システムを示す図である。 図13に示した隔離室における負圧条件下気流及び環境制御システムを示す図である。

Claims (5)

  1. 人間が乗れるようベッド骨格上にマットレスが敷かれたベッドの周辺領域に人間を隔離する隔離囲繞器であって、
    ベッドを囲える支持骨格と、
    支持骨格に装着でき、その中のベッド上にいる人間が自在に動ける広さを有する対外気封止された隔離室をベッド骨格よりも上方に形成でき、且つ少なくとも(i)マットレス上に敷かれ、又は(ii)マットレスとベッド骨格の間に挟める底部壁を有し、支持骨格に天蓋を固定するための少なくとも一つの手段と、支持骨格に固定されない天蓋の部分がベッドの可動部分に連結してあらゆる方向に動く場合にも、天蓋の少なくとも一部を支持骨格に固定するために、天蓋の少なくとも一部に取り付けられる手段とを含む天蓋と、
    支持骨格及び天蓋をベッドと共に運搬することひいては隔離室内のベッド上にいる患者を移送することができるよう支持骨格に装着された支持骨格運搬装置と、
    隔離室と通流連結でき、(i)隔離室内への流入気及び隔離室外への排出気のうち少なくとも一方を濾過する濾過器、並びに(ii)隔離室内に空気を送り込んで隔離室内気圧を外気圧より高くする動作及び隔離室内から空気を吸い出して隔離室内気圧を外気圧より低くする動作のうち少なくとも一方を行えるポンプを有する環境制御装置と、
    隔離室と環境制御装置のうち少なくとも一方と通流連結でき、支持骨格に着脱可能で、少なくともエアロック天蓋の一部はベッドの可動部分に連結してあらゆる方向に動くことができるエアロック天蓋とエアロック骨格とを含み、少なくとも折り畳みを行うことができるエアロック室と、
    を備える隔離囲繞器。
  2. 請求項記載の隔離囲繞器であって、囲繞器は、隔離室内の患者を隔離室から出ることなく移送することができる隔離囲繞器。
  3. 請求項1記載の隔離囲繞器であって、その天蓋が、動かすことによって閉状態から開状態へまた開状態から閉状態へと切り替わり開状態では隔離室内にアクセスできるよう天蓋を貫く開口が形成されるアクセス部と、天蓋外から隔離室内を見ることができる透かし部とを、少なくとも1個ずつ有する隔離囲繞器。
  4. 請求項1記載の隔離囲繞器であって、その天蓋が、迅速に切断可能な1個又は複数個の連結部を有し、隔離室内にいる人間の生物学的要求をこの連結部を介して賄える隔離囲繞器。
  5. 請求項1記載の隔離囲繞器であって、
    支持骨格に被せる怪我防止用の襟部を少なくとも1個有する隔離囲繞器。
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