JP4854538B2 - シールド機及びチャンバ内閉塞管理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、シールド機のチャンバ内の土砂の流動性を監視し、チャンバ内の土砂の閉塞場所を早期に発見でき、チャンバ内の土砂閉塞を未然に防ぐシールド機及びチャンバ内閉塞管理方法に関するものである。
従来から、地山を掘削しトンネルを施工するために、シールド機が使われている。シールド機は、前面の掘削部で地山を掘削し、掘削した土砂をチャンバ内で攪拌しながら、スクリューコンベアなどの排土装置で後面へ排出する。
チャンバ内の土砂は、必要に応じて加泥剤が注入され、排出しやすいように粘性を落とす処理がなされる。しかし、過度の加泥剤の注入は、排出土砂量を増やし、またその後の排出土砂の処理を困難なものとする。したがって、加泥剤の注入量は必要最低限に抑えることが望ましい。
しかし、加泥剤が不足すると、特に粘土質の土砂は、チャンバ内で隔壁等に付着しやすく、チャンバ内で堆積する。土砂の堆積により閉塞を引き起こすと、復旧に多大な工数を要する。
チャンバ内の土砂の閉塞を防ぐシールド機として、隔壁の上縁が下縁よりもカッタヘッド側に傾斜しており、隔壁の両側縁部が中央近傍よりもカッタヘッド側に近くなるように折り曲げ状又は湾曲状に形成することで、隔壁への土砂の付着を防ぐシールド機がある(特許文献1)。
また、チャンバ内の土砂の流動性を測定する装置として、隔壁を貫通し、チャンバ内へ出没可能に設置される回転板を有し、チャンバ内で回転板を回転駆動させて、土砂からの回転抵抗から土砂の流動方向とその大きさを推定する測定装置がある(特許文献2)。
特開2006−70685号公報 特開2005−90174号公報
しかし、特許文献1に記載の手法では、チャンバ内の土砂の隔壁への付着を抑える効果はあるが、チャンバ内の土砂の流動性を把握することはできず、また、チャンバ内の土砂の流動性に応じた、適切な加泥剤注入量、注入位置を設定することもできないという問題がある。
また、特許文献2に記載の手法は、チャンバ内の土砂の流動方向と大きさを推定するものであるが、チャンバ内の局部的な閉塞を検出することはできないという問題がある。また、チャンバ内の流動性分布については、別に算出した流動解析によって予測するものであり、直接チャンバ内の閉塞状態を測定することはできないという問題がある。更に、測定装置自体へ土砂が付着した際は、正確な流動性の測定ができない恐れがある。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、シールド機のチャンバ内の土砂の流動性を監視し、チャンバ内の土砂の閉塞場所を早期に発見することで、チャンバ内の土砂閉塞を未然に防ぐシールド機、チャンバ内閉塞管理方法を提供することを目的とする。
前述した目的を達成するため、第1の発明は、スキンプレート内に設けられたチャンバ内で掘削土砂を攪拌し、前記土砂を排出するシールド機であって、前記チャンバ内の土砂の温度を測定する温度計測手段と、前記温度を用いて、前記チャンバ内の土砂の閉塞状況を判定する判定手段と、を具備することを特徴とするシールド機である。
前記チャンバ内の土圧の変化を計測する土圧変化計測手段を、更に具備し、前記判定手段は、前記温度と前記土圧の変化を用いて、前記チャンバ内の土砂の閉塞状況を判定してもよい。
前記チャンバ内の土砂の流動性を計測する流動性計測手段を、更に具備し、前記判定手段は、前記温度と前記流動性を用いて、前記チャンバ内の土砂の閉塞状況を判定してもよい。
前記チャンバ内の土圧の変化を計測する土圧変化計測手段と、前記チャンバ内の土砂の流動性を計測する流動性計測手段と、を更に具備し、前記判定手段は、前記温度、前記土圧の変化、前記流動性を用いて、前記チャンバ内の土砂の閉塞状況を判定してもよい。
前記判定手段が、前記チャンバ内で土砂の閉塞を判定すると、土砂の閉塞部へ加泥剤を注入する手段を更に有してもよい。
第1の発明によれば、流動性計測器による土砂抵抗の測定及び、土圧計による土圧の変化の測定及び、温度計による土砂の温度の測定を行うことができ、シールド機のチャンバ内の土砂の流動性及び閉塞状態を把握する事ができる。このため、閉塞場所を早期に発見し、チャンバ内の土砂閉塞を未然に防ぐシールド機を提供することができる。
第2の発明は、第1の発明のシールド機により、チャンバ内の土砂の閉塞を管理する方法であって、前記温度計測手段によりチャンバ内の土砂の温度を計測する工程(a)と、前記温度を用いて、前記チャンバ内の土砂の閉塞状況を判定する工程(b)と、を具備することを特徴とするチャンバ内閉塞管理方法である。
前記工程(b)でチャンバ内で土砂の閉塞を判定すると、土砂の閉塞部へ加泥剤を注入する工程(m)を更にしてもよい。
第2の発明によれば、温度計による土砂の温度の測定を行うことで、シールド機のチャンバ内の土砂の流動性及び閉塞状態を把握する事ができ、チャンバ内の土砂閉塞を未然に防ぐチャンバ内閉塞管理方法を提供することができる。
第3の発明は、第1の発明のシールド機により、チャンバ内の土砂の閉塞を管理する方法であって、前記温度計測手段によりチャンバ内の土砂の温度を計測する工程(c)と、前記土圧変化計測手段によりチャンバ内の土砂の土圧の変化を計測する工程(d)と、前記温度、前記土圧の変化を用いて、前記チャンバ内の土砂の閉塞状況を判定する工程(e)と、を具備することを特徴とするチャンバ内閉塞管理方法である。
前記工程(e)でチャンバ内で土砂の閉塞を判定すると、土砂の閉塞部へ加泥剤を注入する工程(m)を更にしてもよい。
第3の発明によれば、土圧計による土圧の変化の測定及び、温度計による土砂の温度の測定を行うことで、シールド機のチャンバ内の土砂の流動性及び閉塞状態をより正確に把握する事ができ、チャンバ内の土砂閉塞を未然に防ぐチャンバ内閉塞管理方法を提供することができる。
第4の発明は、第1の発明のシールド機により、チャンバ内の土砂の閉塞を管理する方法であって、前記温度計測手段によりチャンバ内の土砂の温度を計測する工程(f)と、前記流動性計測手段によりチャンバ内の土砂の流動性を計測する工程(g)と、前記温度、前記流動性を用いて、前記チャンバ内の土砂の閉塞状況を判定する工程(h)と、を具備することを特徴とするチャンバ内閉塞管理方法である。
前記工程(h)でチャンバ内で土砂の閉塞を判定すると、土砂の閉塞部へ加泥剤を注入する工程(m)を更にしてもよい。
第4の発明によれば、流動性計測器による土砂抵抗の測定及び、温度計による土砂の温度の測定を行うことで、シールド機のチャンバ内の土砂の流動性及び閉塞状態をより早期に把握する事ができ、チャンバ内の土砂閉塞を未然に防ぐチャンバ内閉塞管理方法を提供することができる。
第5の発明は、第1の発明のシールド機により、チャンバ内の土砂の閉塞を管理する方法であって、前記温度計測手段によりチャンバ内の土砂の温度を計測する工程(i)と、前記土圧計測手段によりチャンバ内の土砂の土圧の変化を計測する工程(j)と、前記流動性計測手段によりチャンバ内の土砂の流動性を計測する工程(k)と、前記温度、前記土圧の変化、前記流動性を用いて、前記チャンバ内の土砂の閉塞状況を判定する工程(l)と、を具備することを特徴とするチャンバ内閉塞管理方法である。
前記工程(l)でチャンバ内で土砂の閉塞を判定すると、土砂の閉塞部へ加泥剤を注入する工程(m)を更にしてもよい。
第5の発明によれば、流動性計測器による土砂抵抗の測定及び、土圧計による土圧の変化の測定及び、温度計による土砂の温度の測定を行うことで、シールド機のチャンバ内の土砂の流動性及び閉塞状態をより正確に把握する事ができ、閉塞場所を早期に発見し、チャンバ内の土砂閉塞を未然にチャンバ内閉塞管理方法を提供することができる。
本発明によれば、シールド機のチャンバ内の土砂の流動性を監視し、チャンバ内の土砂の閉塞場所を早期に発見でき、チャンバ内の土砂閉塞を未然に防ぐシールド機、チャンバ内閉塞管理方法を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本実施の形態に係るシールド機1を示す図である。シールド機1は、筒状のスキンプレート3と、スキンプレート3の前方に設けられたカッタ部7と、スキンプレート3内に設けられた隔壁5と、隔壁5の下方に設けられた穴部より土砂をシールド機1後方へ排出するスクリューコンベア22とから構成される。
カッタ部7は、カッタスポーク11と、カッタスポーク11の前面に設置されたカッタビット13と、カッタスポーク11後面の外周部に設置された攪拌棒26とから構成される。攪拌棒26は、カッタ部7の回転にともない、チャンバ8内の土砂を攪拌する。カッタスポーク11は、回転軸9を介して隔壁5後面に設置されたカッタ駆動用電動機15に接続される。カッタ部7はカッタ駆動用電動機15により、回転軸9を介して回転し、前方の地山を掘削する。
掘削された土砂は、カッタスポーク11の隙間から、カッタスポーク11と隔壁5との間のチャンバ8へ流入し、攪拌棒26及び隔壁5に設置されたアジテータ27により攪拌され、隔壁5の下方に設けられた穴部から、スクリューコンベア22によりシールド機1後方へ排出される。
カッタスポーク11のチャンバ8側には、流動性計測器17が設置され、カッタスポーク11の中心から外周方向に、流動性計測器17a、17b、17cが設置される。流動性計測器17による測定値は、図示しない制御部へ送信される。この制御部は、種々の信号が入力され、これらの信号に基づき、シールド機1の掘進制御を行う。流動性計測器17の詳細は後述する。
隔壁5には、複数の土圧計19と温度計21が設置される。土圧計19は、チャンバ8内の土砂の土圧を測定するものである。通常、切羽の安定の為、チャンバ8内の土圧は一定値以上に保たれる。温度計21は、チャンバ8内の土砂の温度を測定するものである。土圧計19と温度計21の測定値は、図示しない制御部へ送信される。
図2は、シールド機1を前方から見た概略図である。6本のカッタスポーク11は放射状にお互い中央で接合され、更に中間リング23により隣り合うカッタスポーク11同士が接合される。カッタスポーク11の前面には、カッタビット13と加泥剤注入口25が設けられる。加泥剤注入口25は、カッタスポーク11の外周部にそれぞれ1箇所設けられ、中間リング23の中央付近にもそれぞれ1箇所設けられる。また、加泥剤注入口25は、カッタ部7の中心付近とカッタ部7中心と中間リング23の中心付近にも各1箇所設けられる。
図3は、図2のカッタ部7を透視した概略図である。隔壁5には、土圧計29、温度計21、加泥剤注入口25が、複数箇所設置される。隔壁5の下部には、穴24が設けられ、穴24からスクリューコンベア22により土砂が排出される。また、隔壁5の中心近傍には、アジテータ27が4ヶ所設けられる。アジテータ27は、中心を軸にして回転可能であり、チャンバ8内の土砂を攪拌する役割をもつ。
図4は、流動性計測器17の構造を示す図である。流動性計測器17は、棒状のセンサーロッド29と、ロードセル33とから構成される。ロードセル33はカッタスポーク11内部の中空部12に設置される。棒状のセンサーロッド29は、カッタスポーク11に設けられた穴30に挿入され、端部を中空部12内に設置されたロードセル33に接合され、もう一方の端部は、チャンバ8内へ突出している。
センサーロッド29は、カッタスポーク11と、穴30近傍で、ピン31により回転可能に接合される。すなわち、センサーロッド29は、ピン31を中心に回転する事ができる。また、穴30のセンサーロッド29とカッタスポーク11との隙間は、伸縮可能なシール32でシールされ、チャンバ8からカッタスポーク11内の中空部12へ土砂が流入することを防いでいる。
カッタ部7が、図中矢印B方向へ回転すると、センサーロッド29のチャンバ8への突出部は、チャンバ8内の土砂から土砂抵抗34を受ける。センサーロッド29のチャンバ8への突出部が土砂抵抗34を受けると、センサーロッド29は、ピン31を支点としてロードセル33へ土砂抵抗34に応じた力を伝達する。ロードセル33は、センサーロッド29から受ける力を荷重として計測し、測定値は、図示しない制御部へ送信される。すなわち、土砂の閉塞箇所においては、センサーロッド29が土砂から受ける荷重が大きくなる為、ロードセル33での荷重の計測により、土砂の閉塞を検出する事ができる。ここで、センサーロッド29の材質は特に規定しないが、炭素鋼やステンレス鋼が使用できる。
次に、流動性計測器17の動作について説明する。図5は、チャンバ8内に土砂が閉塞した場合を示す概念図である。なお、カッタ部7は透視図とし、隔壁5は図示を省略する。カッタスポーク11には、流動性計測器17が設置されており、カッタスポーク11の中心部から外周方向に、流動性計測器17a、17b、17cが設置されている。
カッタ部7は図中矢印B方向へ回転する。チャンバ8内には、図に示す位置に土砂閉塞部35が生じている。図中Aは、土砂閉塞部35に相当する、カッタ部7の回転角度を示す。すなわち、カッタスポーク11に設置された流動性計測器17は、Aに相当する回転位置にて土砂閉塞部35を通過する。
図6は、流動性計測器17の計測結果を示す概念図である。ロードセルa、b、cは、それぞれ、流動性計測器17a、17b、17cに対応するロードセル33の測定値を示し、図6はカッタスポーク11が1回転する間のそれぞれのロードセル33の測定値を示す図である。また、図中A部は、図5の回転角度Aに相当する回転角度を示す。
流動性計測器17aは、A位置を通過する際、土砂閉塞部35からの土砂抵抗34が大きくなることを示す。すなわち、流動性計測器17aが設置される円周上のA位置に相当する部位に土砂閉塞部35がある事が分かる。同様に、流動性計測器17bが設置される円周上のA位置に相当する部位にも土砂閉塞部35がある事が分かる。しかし、流動性計測器17cは、A位置でもほとんど土砂抵抗34が変化しない。このことから、流動性計測器17cが設置される円周上には、土砂閉塞部35は存在しないことが分かる。
図6は、カッタ部7の回転トルク計測値の変化も合わせて示すが、回転トルクでは、図5に示す局部的な土砂閉塞35を発見することはできない。しかし、流動性計測器17によれば、シールド機1が掘削中であっても連続して土砂の流動性を把握することができ、土砂閉塞部35の位置を早期に発見する事ができる。
次に、土圧計19の動作について説明する。図7は、図5に示す位置に土砂閉塞部35が存在する場合の土圧計19による土圧の変化の計測結果を示す概念図である。土圧計19は隔壁5に10箇所設置される。土圧計19による土圧の測定は、隔壁5を250mm×250mmの格子状の分割エリア41に分割し、制御部は、各分割エリア41近くの3点の土圧計19から、各エリア41の土圧を算出する。土圧の算出は連続して行われ、制御部は、分割エリア41ごとに新旧データの差である土圧の変化を算出し、算出結果を表示部に色の分布により表示する。
すなわち、土砂閉塞部35が存在すると、その近傍は土砂が流動しない為、近傍の土圧が変化しなくなる。このため、土圧の変化が一定値以下となる分割エリア41を土圧無変化部37として判定し、この分割エリア41の位置を土砂閉塞部35の位置として検出する。
図7においては、土圧計19a部に土砂閉塞部35が存在する為、土圧計19aの土圧の変化がほとんどなくなる。このため、近傍の分割エリア41が土圧無変化部37として判定され、土砂閉塞部35の位置を検出する事ができる。
次に、温度計21の動作について説明する。図8は、図5に示す位置に土砂閉塞部35が存在する場合の温度計21による土砂の温度の計測結果を示す概念図である。温度計21は隔壁5に27箇所設置される。温度計21による土砂の温度の測定は、隔壁5を250mm×250mmの格子状の分割エリア41に分割し、制御部は、各分割エリア41近くの3点の温度計21から、各エリア41の土砂の温度を算出し、図8に示すように温度分布を表示する。
土砂がチャンバ8内で流動している場合は、チャンバ8内の土砂温度はほぼ均一に保たれる。しかし、土砂閉塞部35では、閉塞した土砂と攪拌部との摩擦による熱が発生し、また、カッタ駆動用電動機15からの熱が拡散せず、蓄熱されるため、周囲の土砂と比較して土砂閉塞部35の土砂の温度は上昇する。すなわち、制御部は、土砂温度が一定値以上となる分割エリア41を高温部43と判定し、この分割エリア41の位置を、土砂閉塞部35の位置として検出する。ここで、温度計としては、特に規定しないが、通常のシース型熱電対が使用できる。
図8においては、土砂閉塞部35の影響で近傍の土砂温度が上昇するため、近傍の分割エリア41を高温部43として判定し、土砂閉塞部35の位置を検出することができる。
次に、本実施の形態の動作について説明する。図9は、温度計21により土砂の閉塞を検出するチャンバ内閉塞管理方法における、掘削を開始してから終了するまでのフローチャートである。掘削を開始した後、制御部は、まずカッタ部7の回転トルクの計測を行う(ステップ101)。地盤が変化した場合には、回転トルクが変動する。
次に、制御部は、回転トルクが規定値内であるかを判定する(ステップ102)。回転トルクが規定値内でない場合は、加泥剤の注入量、注入位置の最適化をはかり(ステップ103)、ステップ101へ戻る。
回転トルクが規定値内である場合は、制御部は、土砂の温度を計測する(ステップ104)。
次に、制御部は、土砂の温度が規定値内であるかを判定する(ステップ105)。判定は、前述した分割エリア41ごとに行われ、規定値を超える部位があれば、ステップ107へ進み、閉塞部と判定した部位へ加泥剤を注入し(ステップ107)、ステップ101へ戻る。
以上の動作を掘進が終了するまで繰り返す。
このように、本実施の形態によれば、温度計21により土砂の温度を計測することで、チャンバ8内の土砂の流動性を細かく計測する事ができる。すなわち、温度計21は故障にも強く、また、設置場所をとらず、安価である為、多数の温度計21を設置する事ができる。このため、チャンバ8内全体を計測する事ができ、チャンバ8内の土砂の閉塞傾向を確実に検出する事ができる。
次に、第2の実施の動作について説明する。図10は、温度計21に加え、流動性計測器17、土圧計19により土砂の閉塞を検出するチャンバ内閉塞管理方法における、掘削を開始してから終了するまでのフローチャートである。ここで、第2の実施の形態において、第1の実施の形態と同様な工程については、重複した説明を避ける。
掘削を開始した後、制御部は、まずカッタ部7の回転トルクの計測を行い(ステップ201)、回転トルクが規定値内であるかを判定する(ステップ202)。回転トルクが規定値内でない場合は、加泥剤の注入量、注入位置の最適化をはかり(ステップ203)、ステップ201へ戻る。
回転トルクが規定値内である場合は、制御部は、温度計21によるチャンバ8内の土砂温度の計測及び、土圧計19による土圧の変化の計測及び、流動性計測器17に土砂の流動性の計測を行う(ステップ204〜206)。
次に、制御部は、温度計21、土圧計19、流動性計測器17の各計測値が、全て規定値内であるかを判定する(ステップ207)。
土砂温度及び土圧変化の判定は、前述した分割エリア41ごとに行われる。計測された土砂の流動性、土砂温度、土圧変化のいずれか一つでも、規定値を超える部位があれば、ステップ209へ進み、閉塞部と判定した部位へ加泥剤を注入し(ステップ209)、ステップ201へ戻る。
計測された土砂の流動性、土砂温度、土圧変化が全ての部位で規定値内である場合は、ステップ201に戻り、以上の動作を掘進が終了するまで繰り返す。
このように、第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。また、温度計21のみでなく、流動性計測器17、土圧計19と合わせることで、チャンバ8内の土砂の閉塞傾向をより確実に検出する事ができる。
すなわち、温度計21のみによる計測では、チャンバ8内において、たとえばカッタ駆動用電動機15から遠い部位での土砂の閉塞については、温度が上昇するまでに時間がかかる場合があり、土砂閉塞の発見が遅れる恐れもある。
しかし、流動性計測器17によれば、シールド機のチャンバ8内の土砂の流動性を監視し、チャンバ8内の土砂の閉塞場所を早期に発見することができ、チャンバ8内の土砂閉塞を未然に防ぐことができる。
また、土圧計19により土圧の変化を測定することで、流動性計測器17のみでは検出できないチャンバ8内の土砂の閉塞を検出する事ができる。すなわち、流動性計測器17は、設置位置の円周上しか計測する事ができないため、チャンバ8内全体を計測することはできない。また、流動性計測器17自体に土砂が付着した場合に、正確な計測ができない場合がある。
しかし、土圧計19により土圧の変化を計測することで、上述した問題点を補完し、確実にチャンバ8内の土砂の閉塞を検出することができる。
更に、チャンバ8内の土砂の閉塞部位をより詳細に検出できるため、閉塞部位のみに加泥剤注入すればよく、必要以上な広範囲に加泥剤を注入する必要がない。このため、必要最低限の加泥剤の注入量で、チャンバ8内の土砂の閉塞を未然に防ぐ事ができる。
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、第2の実施の形態において、温度計21による計測結果に加え、土圧計19及び、流動性計測器17による計測結果をもとに、チャンバ8内の土砂閉塞を判定しているが、土圧計19及び流動性計測器17のいずれか一方のみを温度計21と組み合わせて、チャンバ8内の土砂閉塞を判定しても良い。また、各計測手段の計測順序は特定されない。
第1の実施の形態に係るシールド機1の側面から見た図。 第1の実施の形態に係るシールド機1の前方から見た図。 第1の実施の形態に係るシールド機1の前方から、カッタ部7を透視した図。 流動性計測器17の構造を示す図。 チャンバ8内に土砂が閉塞した場合の概念図。 流動性計測器17によるチャンバ8内の土砂の流動性の計測結果を示す概念図。 土圧計19によるチャンバ8内の土圧の変化の計測結果を示す概念図。 温度計21によるチャンバ8内の土砂の温度の計測結果を示す概念図。 第1の実施の形態にかかるシールド機1の動作を示すフローチャート 第2の実施の形態にかかるシールド機1の動作を示すフローチャート
符号の説明
1………シールド機
3………スキンプレート
5………隔壁
7………カッタ部
8………チャンバ
9………回転軸
11………カッタスポーク
13………カッタビット
15………カッタ駆動用電動機
17………流動性計測器
19………土圧計
21………温度計
22………スクリューコンベア
23………中間リング
24………穴
25………加泥剤注入口
26………攪拌棒
27………アジテータ
29………センサーロッド
30………穴
31………ピン
32………シール
33………ロードセル
34………土砂抵抗
35………土砂閉塞部
37………土圧無変化部
41………分割エリア
43………高温部

Claims (10)

  1. スキンプレート内に設けられたチャンバ内で掘削土砂を攪拌し、前記土砂を排出するシールド機であって、
    前記チャンバ内の土砂の温度を測定する温度計測手段と、
    前記温度を用いて、前記チャンバ内の土砂の閉塞状況を判定する判定手段と、
    を具備することを特徴とするシールド機。
  2. 前記チャンバ内の土圧の変化を計測する土圧変化計測手段を、更に具備し、
    前記判定手段は、前記温度と前記土圧の変化を用いて、前記チャンバ内の土砂の閉塞状況を判定することを特徴とする請求項1記載のシールド機。
  3. 前記チャンバ内の土砂の流動性を計測する流動性計測手段を、更に具備し、
    前記判定手段は、前記温度と前記流動性を用いて、前記チャンバ内の土砂の閉塞状況を判定することを特徴とする請求項1記載のシールド機。
  4. 前記チャンバ内の土圧の変化を計測する土圧変化計測手段と、
    前記チャンバ内の土砂の流動性を計測する流動性計測手段と、
    を、更に具備し、
    前記判定手段は、前記温度、前記土圧の変化、前記流動性を用いて、前記チャンバ内の土砂の閉塞状況を判定することを特徴とする請求項1記載のシールド機。
  5. 前記判定手段が、前記チャンバ内で土砂の閉塞を判定すると、土砂の閉塞部へ加泥剤を注入する手段を更に有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のシールド機。
  6. 請求項1記載のシールド機により、チャンバ内の土砂の閉塞を管理する方法であって、
    前記温度計測手段によりチャンバ内の土砂の温度を計測する工程(a)と、
    前記温度を用いて、前記チャンバ内の土砂の閉塞状況を判定する工程(b)と、
    を具備することを特徴とするチャンバ内閉塞管理方法。
  7. 請求項2記載のシールド機により、チャンバ内の土砂の閉塞を管理する方法であって、
    前記温度計測手段によりチャンバ内の土砂の温度を計測する工程(c)と、
    前記土圧変化計測手段によりチャンバ内の土砂の土圧の変化を計測する工程(d)と、
    前記温度、前記土圧の変化を用いて、前記チャンバ内の土砂の閉塞状況を判定する工程(e)と、
    を具備することを特徴とするチャンバ内閉塞管理方法。
  8. 請求項3記載のシールド機により、チャンバ内の土砂の閉塞を管理する方法であって、
    前記温度計測手段によりチャンバ内の土砂の温度を計測する工程(f)と、
    前記流動性計測手段によりチャンバ内の土砂の流動性を計測する工程(g)と、
    前記温度、前記流動性を用いて、前記チャンバ内の土砂の閉塞状況を判定する工程(h)と、
    を具備することを特徴とするチャンバ内閉塞管理方法。
  9. 請求項4記載のシールド機により、チャンバ内の土砂の閉塞を管理する方法であって、
    前記温度計測手段によりチャンバ内の土砂の温度を計測する工程(i)と、
    前記土圧計測手段によりチャンバ内の土砂の土圧の変化を計測する工程(j)と、
    前記流動性計測手段によりチャンバ内の土砂の流動性を計測する工程(k)と、
    前記温度、前記土圧の変化、前記流動性を用いて、前記チャンバ内の土砂の閉塞状況を判定する工程(l)と、
    を具備することを特徴とするチャンバ内閉塞管理方法。
  10. 請求項6における前記工程(d)、請求項7における前記工程(e)、請求項8における前記工程(h)、請求項9における前記工程(l)において、前記チャンバ内で土砂の閉塞を判定すると、土砂の閉塞部へ加泥剤を注入する工程(m)を更に有することを特徴とする請求項6から請求項9のいずれかに記載のチャンバ内閉塞管理方法。
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