以下本発明を詳述する。
先ず、本発明において用いられる蛍光性化合物について、以下に説明する。
先ず前記一般式(A1−1)〜(A1−6)で表される化合物について説明する。
一般式(A1−1)中、X1、X2はアリール基または複素環基を表し、R1、R2はアリール基、複素環基、脂環式炭化水素の残基またはシクロアルコキシ基を表し、かつ、R1、R2のいずれか一方は脂環式炭化水素の残基またはシクロアルコキシ基を表す。また、R1、R2は脂環式或いは複素環式の環を形成してもよい。また、X1、X2が環を形成しても良い。
アリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基、フルオレニル基等がある。複素環基としては、ピロリル基、ピロリジニル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、トリアゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、フリル基、チエニル基、チアゾリル基、等がある。脂環式炭化水素の残基としては、シクロアルキル基、シクロアルケニル基等の残基があり、脂環式炭化水素の残基として特に好ましくはシクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)である。シクロアルコキシ基としては例えばシクロプロピルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等である。また、R1、R2により形成される脂環式或いは複素環式の環としてはシクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン等の脂環式の環、ジオキサジエン等のヘテロ環式の環があげられる。
一般式(A1−2)中、X3、X4はアリール基または複素環基を表し、R3、R4はアリール基、複素環基、アリールオキシ基、アルキルチオ基またはアリールチオ基を表し、かつ、R3、R4のいずれか一方はアリールオキシ基、アルキルチオ基またはアリールチオ基を表す。また、X3、X4が環を形成しても良い。
アリール基、複素環基としては、一般式(A1−1)においてX1、X2についてあげられたものと同様の基を表し、アリールオキシ基、アリールチオ基におけるアリール基も前記アリール基と同様の基を表す。アルキルチオ基としては例えばメチルチオ基等の基を表す。
一般式(A1−3)中、X5、X6はアリール基または複素環基を表し、R5、R6はアリール基、複素環基、ハロゲン原子を表し、かつ、R5、R6のいずれか一方はハロゲン原子を表す。また、X5、X6が環を形成しても良い。
X5、X6のアリール基、複素環基としては、一般式(A1−1)においてX1、X2についてあげられたものと同様の基を表し、ハロゲン原子としてはフッ素、塩素等を表す。特に好ましくはフッ素原子である。
一般式(A1−4)中、Ar11はアリーレン基を表し、R11、R12、R13、R14は水素原子または置換基を表し、R15、R16は水素原子又は置換基を表すが、R15、R16の少なくともいずれか一方は脂環式炭化水素の残基を表す。R12とR14、R11とR13、R12またはR14とR16、R11またはR13とR15が脂環式の或いは複素環式の環を形成しても良い。
Ar11で表されるアリーレン基としては、例えばフェニレン基、ナフタレン基、アントラセン基、また、ビフェニレン基等の2価の基を表し、R15、R16は水素原子又は置換基を表すが、脂環式炭化水素の残基としてはシクロアルキル基、シクロアルケニル基等の残基があり、脂環式炭化水素の残基として特に好ましくはシクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、アダマンチル基等)である。特にR15、R16の両方が脂環式炭化水素の残基である場合が好ましい。また、R12とR14、R11とR13、R12またはR14とR16、R11またはR13とR15で4員〜7員の脂環式の或いは複素環式の環、例えば、シクロブテン環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、フルオレン環等を形成してもよい。
一般式(A1−5)中、Ar21はアリーレン基を表し、R21、R22、R23、R24は水素原子または置換基を表し、R25、R26は水素原子又は置換基を表すが、R25、R26の少なくともいずれか一方はアリールオキシ基、アルキルチオ基またはアリールチオ基を表す。R22とR24、R21とR23、R22またはR24とR26、R21またはR23とR25が環を形成しても良い。
Ar21は前記Ar11で表される基と同様の基を表す。R25、R26におけるアリールオキシ基、アリールチオ基のアリール基については、一般式(1)においてX1、X2についてあげられたものと同様の基を表し、アルキルチオ基についてはメチルチオ、エチルチオ、イソプロピルチオ基等の基を表す。但し、R25、R26の少なくともいずれか一方はアリールオキシ基、アルキルチオ基またはアリールチオ基であり、好ましくはR25、R26の両方がアリールオキシ基、アルキルチオ基またはアリールチオ基である。R22とR24、R21とR23、R22またはR24とR26、R21またはR23とR25とのうち特にR22とR24またはR21とR23は協同してフルオレン環等を形成してもよい。
一般式(A1−6)中、Ar31はアリーレン基を表し、R31、R32、R33、R34は水素原子または置換基を表し、R35、R36は水素原子又は置換基を表すが、R35、R36の少なくともいずれか一方はハロゲン原子である。又、R32とR34、R31とR33、R32またはR34とR36、R31またはR33とR35が環を形成しても良い。
Ar31は前記Ar11で表される基と同様の基を表し、R35、R36は水素原子又は置換基を表すが、R35、R36のいずれか一方はハロゲン原子であり、好ましくは両方がハロゲン原子である。ハロゲン原子としてはフッ素、塩素等を表す。特に好ましくはフッ素原子である。また、特にR32とR34またはR31とR33は協同してフルオレン環等を形成してもよい。
一般式(A1−4)、(A1−5)、(A1−6)において、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R31、R32、R33、R34、R35、R36が置換基を表す場合、それらの置換基の具体例としては、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロ−n−ブチル基、パーフルオロ−t−ブチル基、t−ブチル基、ベンジル基等)、又脂環式炭化水素の残基、例えばシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)及びシクロアルケニル基(例えばシクロヘキセニル基、シクロペンテニル基)等が、更に、アラルキル基(例えばベンジル基、2−フェネチル基等)、アリール基(例えばフェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基、フルオレニル基等)、アルコキシ基(例えばエトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ基等)、アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオ、イソプロピルチオ基等)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ基、ナフチルチオ基、p−トリルチオ基、p−クロロフェニルチオ基)、ヒドロキシル基、アミノ基(ジメチルアミノ基、ジアリールアミノ基)、アルケニル基(例えばアリル基、1−エテニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、1−オクタデセニル基等)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)等が挙げられる。これらの基はさらに置換されていてもよく、前記置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、アミノ基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基等が挙げられる。
以下に、これら一般式で表される具体的化合物例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下に、これら本発明の化合物の具体的な合成例を示す。
合成例〈化合物(A1−1−1)の合成〉
反応容器を脱気後、窒素雰囲気下で、化合物(A1)10gを脱水テトラヒドロフラン50mlに溶解した。その後、反応液を−5℃〜0℃に保ちながら、シクロヘキシルマグネシウムブロミドをテトラヒドロフラン溶液で化合物(A1)に対して等モルとなる分だけ滴下した。反応液は0℃で1時間攪拌後、室温で30分攪拌した。その後、反応液を水にあけ、酢酸エチルにて抽出した。有機層を5%炭酸ナトリウム水溶液で洗った後、3回水洗し有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥後、酢酸エチルとテトラヒドロフランを減圧留去した。カラムクロマトグラフィーで精製した後、アセトニトリルで再結晶を行い、目的の化合物(A1−1−1)を9.3g(収率75%)得た。
NMRおよびマススペクトルにより、目的化合物(A1−1−1)であることを確認した。
合成例〈化合物(A1−4−8)の合成〉
反応容器を脱気後、窒素雰囲気下で、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンニッケル(II)クロリドを0.05gと化合物(B1)5gを脱水テトラヒドロフラン50mlに溶解した。その後、反応液を−5℃〜0℃に保ちながら、シクロヘキシルマグネシウムブロミドをテトラヒドロフラン溶液で化合物(B1)に対して2倍モルとなる分だけ滴下した。反応液は0℃で1時間攪拌後、室温で30分攪拌した。その後、反応液を水あけし、酢酸エチルにて抽出した。有機層を5%炭酸ナトリウム水溶液で洗った後、3回水洗し有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥後、酢酸エチルとテトラヒドロフランを減圧留去した。カラムクロマトグラフィーで精製した後、アセトニトリルで再結晶を行い、化合物(B2)を4.7g(収率65%)得た。
脱気後、窒素雰囲気下で、化合物(B2)を4.0g、ベンゾフェノン12.3gを脱水テトラヒドロフラン50mlに溶解した。さらに、四塩化チタンを3.0ml反応液に投入した後、亜鉛のテトラヒドロフラン溶液100mlを懸濁のまま、ゆっくり滴下した。反応液を3時間リフラックスした。その後、3%塩酸水溶液を50ml滴下し、2時間攪拌した後、反応液を水あけし、酢酸エチルにて抽出した。有機層を3回水洗し有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥後、酢酸エチルとテトラヒドロフランを減圧留去した。カラムクロマトグラフィーで精製した後、メタノールで再結晶を行い、化合物(A1−4−8)を4.1g(収率51%)得た。
NMRおよびマススペクトルにより、目的化合物(A1−4−8)であることを確認した。
合成例〈化合物(A1−6−2)の合成〉
反応容器を脱気後、窒素雰囲気下で、テレフタルアルデヒド10gと亜リン酸ジエチル10gとトリエチルアミン15gを添加し室温で10分攪拌した。析出物をろ過して、ジクロロメタンで洗浄することにより(C1)を24g得た(収率80%)。次いで、脱気後、窒素雰囲気下で(C1)3.2gをジクロロメタン50mlに懸濁溶解した溶液に、室温でジエチルアミノ硫黄トリフルオリド(DAST)5gを添加した。滴下後は、黄色溶液となった。この溶液を20分攪拌後、5%の炭酸水素ナトリウム水溶液を添加し、反応をクエンチした。反応液を水あけし、ジクロロメタンの有機層を抽出した。有機層を2回水洗してから硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去することで(C2)を2.3g得た(収率78%)。更に、(C2)2.0gを窒素雰囲気下で100mlの脱水テトラヒドロフランに溶解し、ドライアイス/アセトンで−78度に冷却した。この反応液に、n−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液10mlをゆっくり滴下した。1時間撹拌後、ベンゾフェノンを2.0gを添加し、しばらく撹拌した後、室温にしてさらに3時間攪拌した。その後、溶媒を減圧留去し、酢酸エチルと水を添加し有機層を抽出した。硫酸マグネシウムで乾燥後、酢酸エチルを減圧留去し、カラムクロマトグラフィーにより精製して、1.6gの目的物を得た(収率70%)。NMRおよびマススペクトルにより、目的化合物(A1−6−2)であることを確認した。
合成例〈化合物(A1−5−2)の合成〉
従来公知の方法で化合物(D1)を合成した。(D1)5.0gを窒素雰囲気下で200mlの脱水テトラヒドロフランに溶解し、ドライアイス/アセトンで−78度に冷却した。この反応液に、n−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液25mlをゆっくり滴下した。1時間撹拌後、メチルジスルファニルメタンを3.0g添加し、しばらく撹拌した後、室温にしてさらに3時間攪拌した。その後、溶媒を減圧留去し、酢酸エチルと水を添加し有機層を抽出した。硫酸マグネシウムで乾燥後、酢酸エチルを減圧留去し、カラムクロマトグラフィーで精製し(D2)を4.6g得た(収率74%)。(D2)を4.0gとベンゾフェノン4.0gを、ジメチルスルホキシド100mlに溶解し、これにカリウムt−ブトキシド2.0gを加え、窒素気流下9時間加熱攪拌した後、一晩放置した。得られた混合物にメタノール100mlを加え、析出した結晶を濾過した。濾過した結晶を水100mlで3回、続いてメタノール100mlで3回洗浄し、カラム精製を行って目的物を2.9gを得た(収率65%)。NMRおよびマススペクトルにより、目的化合物(A1−5−2)であることを確認した。
前記一般式(A2−1)で表される化合物について説明する。
一般式(A2−1)において、Pはリン原子を表し、R11、R12、R13、R14およびR15は一価の置換基をあらわす。
一価の置換基としては、アルキル基(メチル基、エチル基、i−プロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基等)、アリール基(フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基等)、アルケニル基(ビニル基、プロペニル基、スチリル基等)、アルキニル基(エチニル基等)、アルキルオキシ基(メトキシ基、エトキシ基、i−プロポキシ基、ブトキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基等)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基、i−プロピルチオ基等)、アリールチオ基(フェニルチオ基等)、アミノ基、アルキルアミノ基(ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチルメチルアミノ基等)、アリールアミノ基(アニリノ基、ジフェニルアミノ基等)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、シアノ基、ニトロ基、複素環基(ピロール基、ピロリジル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基等)等が挙げられる。隣接する置換基同士は環を形成しても良い。
好ましくは、R11〜R15のうち、少なくとも3個が芳香族基の時であり、より好ましくは、R11〜R15の全てが芳香族基の時である。芳香族基としては上記アリール基およびヘテロアリール基(ピロール基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル等)が挙げられる。
次に、一般式(A2−2)について説明する。Pはリン原子を表し、R21、R22およびR23は一価の置換基をあらわし、Xはカルコゲン原子を表す。
一価の置換基としては一般式(A2−1)中のR11〜R15と同様の置換基が挙げられ、カルコゲン原子として好ましくは酸素原子または硫黄原子であり、最も好ましくは、酸素原子である。
次に一般式(A2−3)について説明する。式中、Pはリン原子を表し、R31は一価の置換基をあらわし、X31、X32、X33、X34、X35、X36、X37およびX38はそれぞれ窒素原子またはC−R32をあらわす。X31、X32、X33、X34、X35、X36、X37およびX38の複数がC−R32であらわされるとき、それぞれは同じでも異なっていてもよい。R32は一価の置換基をあらわす。
一価の置換基としては一般式(A2−1)中のR11〜R15と同様の置換基が挙げられる。好ましくは、一般式(A2−4)で表される時であり、より好ましくは、一般式(A2−4)中のR41が芳香族基である時である。
本発明の化合物は、有機エレクトロルミネッセンス素子のいずれの層に用いても良いが、固体状態において強い蛍光を持つ化合物であり、電場発光性にも優れており、発光材料として有効に使用できる。また、金属電極からの優れた電子注入性および電子輸送性に非常に優れているため、他の発光材料を用いた素子において、電子輸送材料として使用した場合にも、優れた発光効率を示す。
以下に具体的な化合物の例を挙げるが、本発明は、これらに限定されるものではない。
更に、本発明者等は、リン光発光用の材料について鋭意検討を重ねた結果、分子内にリン原子を有する化合物をリン光発光素子のいずれかの層に含有させて有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した場合に、素子の発光輝度および寿命が改善されることを見出した。
本発明に係わる化合物は分子内にリン原子を含有している化合物であり、好ましくは一般式(A2−5)〜A2−(7)および前記の一般式(A2−1)〜(A2−4)に示される化合物である。
一般式(A2−5)において、Pはリン原子を表し、R51、R52およびR53は一価の置換基をあらわす。一価の置換基としては一般式(A2−1)中のR11〜R15と同様の置換基が挙げられる。好ましくは、R51、R52およびR53がすべて芳香族基である時である。
次に一般式(A2−6)について説明する。Pはリン原子を表し、R61は一価の置換基をあらわし、X61、X62、X63およびX64はそれぞれ窒素原子またはC−R62をあらわす。X61、X62、X63およびX64の複数がC−R62であらわされるとき、それぞれは同じでも異なっていてもよい。R62は一価の置換基をあらわす。一価の置換基としては一般式(A2−1)中のR11〜R15と同様の置換基が挙げられる。好ましくは、一般式(A2−7)で表される時であり、より好ましくは、一般式(A2−7)中のR71が芳香族基である時である。
以下に、具体的化合物例を示すが、本発明に係わるリン化合物が、これらに限定されるものではない。
以下に、一般式(B1−1)、一般式(B1−6)、一般式(B1−11)及び一般式(B1−13)で表される化合物について詳しく説明する。
一般式(B1−1)において、R1〜R4各々は、水素原子、置換又は無置換のアルキル基(メチル基、エチル基、i−プロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、t−ブチル基等)、シクロアルキル基(シクロプロピル基、シクロヘキシル基等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、i−プロポキシ基、ブトキシ基等)又はハロゲン原子(弗素原子、塩素原子等)のうちいずれか1つの基を表し、Ar1は2価の芳香族炭化水素基を表し、好ましくは一般式(B1−3)、一般式(B1−4)、一般式(B1−5)のうちいずれか1つの基を表す。
Ar2は一般式(B1−2)で表されるアリール基を表す。
一般式(B1−2)においてR9は水素原子、置換又は無置換のアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子のうちいずれか一つの基を表し、R5〜R9各々は、水素原子または置換基を表し、置換基は、ハロゲン原子(弗素原子、塩素原子等)、アルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、ヒドロキシエチル、メトキシメチル、トリフルオロメチル、t−ブチル等)、シクロアルキル基(シクロペンチル、シクロヘキシル等)、アラルキル基(ベンジル、2−フェネチル等)、アリール基(フェニル、ナフチル、p−トリル、p−クロロフェニル等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、ブトキシ等)、アリールオキシ基(フェノキシ等)、シアノ基、複素環基(ピロール、ピロリジル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピリジル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、ベンゾオキサゾリル等)のうちいずれか1つの基が選ばれ、これらの基は更に置換されてもよい。また、R5とR6、R6とR7、R7とR8、R8とR9の置換基は互いに結合して環を形成してもよく、ベンゼン環ともに環を形成しても良い。(例えば、下記化171で示す、9−フェナンスリル基、9−フェナントロリル基の如く。)
一般式(B1−3)、一般式(B1−4)、一般式(B1−5)において、R10〜R25各々は、水素原子、置換又は無置換のアルキル基(メチル基、エチル基、i−プロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、t−ブチル基等)、シクロアルキル基(シクロプロピル基、シクロヘキシル基等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、i−プロポキシ基、ブトキシ基等)、置換又は無置換のアリール基(フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基、フェナンスリル基、アントリル基等)、ハロゲン原子(弗素原子、塩素原子等)のうちいずれか1つの基を表す。
一般式(B1−6)において、R26〜R29各々は、水素原子、置換又は無置換のアルキル基(メチル基、エチル基、i−プロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、t−ブチル基等)、シクロアルキル基(シクロプロピル基、シクロヘキシル基等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、i−プロポキシ基、ブトキシ基等)又はハロゲン原子(弗素原子、塩素原子等)のうちいずれか1つの基を表し、Ar3は2価の芳香族炭化水素基を表し、好ましくは一般式(B1−8)、一般式(B1−9)、一般式(B1−10)のうちいずれか1つの2価のアリーレン基を表す。
Ar4は一般式(B1−7)で表されるアリール基を表す。
一般式(B1−7)においてR34は水素原子、置換又は無置換のアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子のうちいずれか一つを表し、R30〜R33各々は、水素原子または置換基を表し、置換基としては、ハロゲン原子(弗素原子、塩素原子等)、アルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、ヒドロキシエチル、メトキシメチル、トリフルオロメチル、t−ブチル等)、シクロアルキル基(シクロペンチル、シクロヘキシル等)、アラルキル基(ベンジル、2−フェネチル等)、アリール基(フェニル、ナフチル、p−トリル、p−クロロフェニル等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、ブトキシ等)、アリールオキシ基(フェノキシ等)、シアノ基、複素環基(ピロール、ピロリジル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピリジル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、ベンゾオキサゾリル等)のうちいずれか1つの基で、これらの基は更に置換されてもよい。また、R30とR31、R31とR32、R32とR33、R33とR34の置換基は互いに結合して環を形成してもよく、ベンゼン環ともに縮合環を形成しても良い。
一般式(B1−8)、一般式(B1−9)、一般式(B1−10)においてR35〜R50各々は、水素原子、置換又は無置換のアルキル基(メチル基、エチル基、i−プロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、t−ブチル基等)、シクロアルキル基(シクロプロピル基、シクロヘキシル基等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、i−プロポキシ基、ブトキシ基等)、置換又は無置換のアリール基(フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基、フェナンスリル基、アントリル基等)又はハロゲン原子(弗素原子、塩素原子等)のうちいずれか1つの基を表す。
一般式(B1−11)において、R82〜R85各々は、水素原子、置換又は無置換のアルキル基(メチル基、エチル基、i−プロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、t−ブチル基等)、シクロアルキル基(シクロプロピル基、シクロヘキシル基等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、i−プロポキシ基、ブトキシ基等)、又はハロゲン原子(弗素原子、塩素原子等)のうちいずれか1つの基を表し、X1は一般式(B1−12)で表されるアリール基を表す。一般式(B1−12)において、R86はアルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、ヒドロキシエチル、メトキシメチル、トリフルオロメチル、t−ブチル等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、ブトキシ等)、ハロゲン原子(弗素原子、塩素原子等)のうちいずれか1つの置換基を表し、好ましくはメチル基、トリフルオロメチル基、弗素原子を表す。R87〜R89は各々、水素原子、置換又は無置換のアルキル基(メチル基、エチル基、i−プロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、t−ブチル基等)、シクロアルキル基(シクロプロピル基、シクロヘキシル基等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、i−プロポキシ基、ブトキシ基等)、置換又は無置換のアリール基(フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基、フェナンスリル基、アントリル基等)又はハロゲン原子(弗素原子、塩素原子等)のうちいずれか1つを表す。Ar8は芳香族炭化水素基を表し、芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基、フェナンスリル基、アントリル基等が挙げられ、それらは更に置換基を有していてもよく、それらの置換基のうち隣接する置換基は互いに結合して環を形成していても良い。好ましくは1−ナフチル基、9−フェナンスリル基を表す。
一般式(B1−13)において、R90〜R93各々は、水素原子、置換又は無置換のアルキル基(メチル基、エチル基、i−プロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、t−ブチル基等)、シクロアルキル基(シクロプロピル基、シクロヘキシル基等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、i−プロポキシ基、ブトキシ基等)、又はハロゲン原子(弗素原子、塩素原子等)のうちいずれか1つの基を表し、X2は一般式(14)で表されるアリール基を表す。一般式(B1−14)において、R94はアルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、ヒドロキシエチル、メトキシメチル、トリフルオロメチル、t−ブチル等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、ブトキシ等)、ハロゲン原子(弗素原子、塩素原子等)のうちいずれか1つの置換基を表し、好ましくはメチル基、トリフルオロメチル基、弗素原子を表す。R95〜R97は各々、水素原子、置換又は無置換のアルキル基(メチル基、エチル基、i−プロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、t−ブチル基等)、シクロアルキル基(シクロプロピル基、シクロヘキシル基等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、i−プロポキシ基、ブトキシ基等)、置換又は無置換のアリール基(フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基、フェナンスリル基、アントリル基等)又はハロゲン原子(弗素原子、塩素原子等)のうちいずれか1つを表す。Ar9は芳香族炭化水素基を表し、芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基、フェナンスリル基、アントリル基等が挙げられ、それらは更に置換基を有していてもよく、それらの置換基のうち隣接する置換基は互いに結合して環を形成していても良い。好ましくは1−ナフチル基、9−フェナンスリル基を表す。
次に一般式(B1−1)、(B1−6)、(B1−11)及び(B1−13)で表される化合物の代表的な合成例を述べる。
[合成例] 化合物B1−(I)−1の合成
4−ブロモビフェニル13.3gを窒素雰囲気下脱水テトラヒドロフラン150mlに溶解し、−78℃でn−ブチルリチウム−ヘキサン(1.5M/L)溶液を57.1ml滴下し、30分撹拌後、トリメトキシボラン12.8mlのテトラヒドロフラン50ml溶液を滴下した後、反応溶液に酸を加え、pH=2にした。反応溶液を抽出、乾燥、濃縮、再結晶することで化合物(A)を8.62g(収率76%)得た。
次に化合物(A)3.44gと1,2−ジブロモベンゼン1.86gをテトラヒドロフラン−水2層系の溶媒中、炭酸カリウム2.18g、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム910mgの存在下、20時間還流することで、化合物B1−(I)−1を1.96g(収率65%)得た。
[合成例] 化合物B1−(II)−32の合成
1−ブロモ−2−メチルナフタレン20.0gを窒素雰囲気下脱水テトラヒドロフラン100mlに溶解し、−78℃でn−ブチルリチウム−ヘキサン(1.5M/L)溶液を90.5ml滴下し、30分撹拌後、トリメトキシボラン23.2mlのテトラヒドロフラン100ml溶液を滴下した後、反応溶液に酸を加え、pH=2にした。反応溶液を抽出、乾燥、濃縮、再結晶することで化合物(B)を9.41g(収率56%)得た。
化合物(B)4.69gと1,4−ジブロモベンゼン11.9gをトルエン60mlとエタノール10mlの混合溶媒に加え、そこにテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム300mgと2M/Lの炭酸ナトリウム水溶液25mlを添加し、18時間還流した。その後、抽出、乾燥、カラムクロマトグラフィーで精製、再結晶することで、化合物(C)を6.60g(収率88%)得た。
次に化合物(C)6.37gを窒素雰囲気下脱水テトラヒドロフラン50mlに溶解し、−78℃でn−ブチルリチウム−ヘキサン(1.5M/L)溶液を21.4ml滴下し、30分撹拌後、トリメトキシボラン5.50mlのテトラヒドロフラン20ml溶液を滴下した後、反応溶液に酸を加え、pH=2にした。反応溶液を抽出、乾燥、濃縮、再結晶することで化合物(D)を3.93g(収率70%)得た。
化合物(D)3.14gと1,3−ジブロモベンゼン1.28gをテトラヒドロフラン−水2層系の溶媒中、炭酸カリウム3.31g、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム629mgの存在下、20時間還流することで化合物B1−(II)−32を1.50g(収率54%)得た。
[合成例] 化合物B1−(II)−39の合成
トリフェニルホスフィン31.0g、塩化ニッケル7.65g及び金属亜鉛19.3gを窒素雰囲気下脱水ジメチルアセトン100mlに加えて撹拌下加熱し、100度で1−ブロモナフチル61.1gを50mlの脱水ジメチルアセトンに溶かした溶液を滴下した。続いて4時間100度で加熱撹拌し、反応液を中和、抽出、乾燥、濃縮、再結晶することで、化合物(E)を84g(56%)得た。
次に化合物(E)70gを塩化メチレン800mlに溶かし、氷冷し、0度で臭素43.9gを塩化メチレン100mlに溶かした溶液を液体クロマトグラフィーで反応追跡しながら滴下した。反応液を洗浄、抽出、乾燥、濃縮、再結晶することで化合物(F)を79.2g(収率86%)得た。
化合物(F)50gを窒素雰囲気下脱水テトラヒドロフラン200mlに溶解し、−78℃でn−ブチルリチウム−ヘキサン(1.5M/L)溶液を100ml滴下し、30分撹拌後、トリメトキシボラン20mlのテトラヒドロフラン30ml溶液を滴下した後、反応溶液に酸を加え、pH=2にした。反応溶液を抽出、乾燥、濃縮、再結晶することで化合物(G)を33.8g(収率76%)得た。
化合物(G)4.47gと1,3−ジブロモベンゼン1.61gをテトラヒドロフラン−水2層系の溶媒中、炭酸カリウム4.14g、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム790mgの存在下、20時間還流することで化合物B1−(II)−39を2.31g(収率58%)得た。
以下に、本発明における一般式(B1−1)、(B1−6)、(B1−11)及び(B1−13)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
次に、一般式(B2−1)で表される化合物について説明する。
前記一般式(B2−1)において、Zで表されるn価の連結基としては、特に制限はないが、好ましくは一般式(B2−2)〜一般式(B2−7)のZ1〜Z6で表される連結基である。
前記一般式(B2−1)において、R1〜R8は各々水素原子または置換基を表すが、置換基としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、i−プロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、プロペニル基、スチリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基等)、アルキルオキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、i−プロポキシ基、ブトキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、i−プロピルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、アミノ基(例えば、ジメチルアミノ基、メチルアミノ基、ジフェニルアミノ基等)、シアノ基、ニトロ基、複素環基(例えば、ピロール基、ピロリジル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基等)等が挙げられる。芳香族基としては、上記アリール基およびヘテロアリール基(例えば、ピロール基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル等)が挙げられる。隣接する置換基同士は互いに縮合し環を形成しても良い。
前記一般式(B2−2)〜(B2−7)において、Ra〜Rfは各々水素原子または置換基を表すが、その具体例は前記R1〜R8と同義である。
前記一般式(B2−1)〜(B2−7)において、Arで表される2価のアリーレン基は、任意の芳香族化合物の任意の位置から、水素原子または置換基を2個取り除いた残基のことであり、該アリーレン基は炭化水素で構成されていても、ヘテロ原子を含む複素環であっても、縮合していてもよい。
前記一般式(B2−8)において、Ar1で表されるm価のアリーレン基は、任意の芳香族化合物の任意の位置から、水素原子または置換基をm個取り除いた残基のことであり、該アリーレン基は炭化水素で構成されていても、ヘテロ原子を含む複素環であっても、縮合していてもよい。
一般式(B2−1)〜(B2−8)で表される本発明に係る各化合物は、固体状態において強い蛍光を持つ化合物であり、電場発光性にも優れており、発光材料として有効に使用できる。また、金属電極からの優れた電子注入性および電子輸送性が非常に優れているため、他の発光材料又は本発明に係る上記化合物を発光材料として用いた素子において、本発明に係る化合物を電子輸送材料、またはホールブロッカーとして使用した場合、優れた発光効率を示す。
以下、一般式(B2−1)〜(B2−8)で表される化合物の具体的な例を以下に列挙するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明に係る上記化合物は、既知の合成方法に従って容易に合成することができるが、以下に示す合成ルートにより、より簡便に合成することができる。
上記反応は、オーガニックレター誌、Vol.3,No.16,p2579〜2581(2001年)に詳細に説明されている。
次いで、一般式(B3−1)で表される化合物について説明する。
一般式(B3−1)において、Y1、Y2は、各々炭素原子と共に4員環〜8員環を形成可能な2価基であり、4員環〜8員環の骨格形成に用いられる原子数は、各々独立に0〜6の範囲である。但し、前記原子数が0の場合は、Y1またはY2で表される2価基は結合手(単に、結合ともいう、ここで、結合手とは単結合または二重結合を表す。)を表す。
《2価基》
Y1、Y2で各々表される2価基としては、2価の炭化水素基が好ましく、例えば、アルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、プロピレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等)、アルケニレン基(例えば、ビニレン基、プロペニレン基等)、アルキニレン基(例えば、エチニレン基、3−ペンチニレン基等)が挙げられる。
ここで、前記のアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基の主鎖を構成する炭素原子は、部分的に酸素原子や硫黄原子に置き換わっていてもよい。
一般式(B3−1)において、炭素原子と共に各々5員環〜8員環を形成する、Z1、Z2で各々表される原子群とは、前記5員環〜前記8員環の骨格形成に用いられる原子数の総和が、各々4〜7のものであり、かつ、前記主鎖は、各々少なくとも1つの芳香族環と縮合環を形成していることが特徴である。
《5員環〜8員環》
一般式(B3−1)において、Z1、Z2が各々炭素原子と共に形成する5員環〜8員環としては、シクロペンタジエン環、1.4−ジヒドロピリジン環、γ−チオピラン環、γ−ピラン環、シクロヘキサジエン環、シクロヘプタジエン環、シクロオクタジエン環等が挙げられるが、中でも好ましく用いられるのは、シクロペンタジエン環、1.4−ジヒドロピリジン環、γ−チオピラン環、γ−ピラン環等である。
《縮合環形成している芳香族環》
また、一般式(B3−1)において、Z1、Z2が各々炭素原子と共に形成する、上記の5員環〜8員環と縮合環を形成する芳香族環としては、芳香族炭素環(例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、p−テルフェニル環、ジフェニルメタン環、トリフェニルメタン環、ビベンジル環、スチルベン環、インデン環、テトラリン環、アントラセン環、フェナントレン環等)や芳香族複素環基例えば、フラン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、1,2,3−オキサジアゾール環、1,2,3−トリアゾール環、1,2,4−トリアゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、s−トリアジン環、ベンゾフラン環、インドール環、ベンゾチオフェン環、ベンズイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、プリン環、キノリン環及びイソキノリン環等等が挙げられる。
上記の中でも好ましく用いられる芳香族環としては、ベンゼン環、ビフェニル環、スチルベン環等が挙げられる。
また、一般式(B3−1)において、Z1、Z2が各々炭素原子と共に形成する、上記の5員環〜8員環と縮合環を形成する芳香族環は、同一でも異なっていてもよい。
《芳香族環上の置換基》
また、上記の芳香族環は、更に置換基を有していてよく、前記置換基としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、iso−プロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、プロペニル基、スチリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基等)、アルコキシル基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、iso−プロポキシ基、ブトキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、iso−プロピルキオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、アミノ基(例えば、ジメチルアミノ基、メチルアミノ基、ジフェニルアミノ基等)、シアノ基、ニトロ基、複素環基(例えば、ピロリル基、ピロリジニル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基等)等が挙げられる。芳香族基としては上記アリール基およびヘテロアリール基(ピロール基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル等)が挙げられ、それぞれの置換基は更に、任意の置換基で置換されていてもよい。
一般式(B3−2)で表される化合物について説明する。
一般式(B3−2)において、Y1、Y2、Y3、Y4で各々表される基は、前記一般式(B3−1)において、Y1、Y2で各々表される基と同義である。更に、一般式(B3−2)において、Z1、Z2で各々表される基は、前記一般式(B3−1)において、Z1、Z2で各々表される基と同義である。
以下に、前記一般式(B3−1)または(B3−2)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
前記一般式(B3−1)または(B3−2)で表される化合物は、J.Chem.Soc.,Chem.Commun.309−310(1998)、Tetrahedron Lett.3855−3856(2001)等に記載の方法を参照して合成することが出来る。
本発明に係わる上記の化合物は、好ましくは、後述する発光層や電子輸送層に含有されることである。
前記一般式(B3−1)または(B3−2)で表される化合物は、固体状態において強い蛍光を示す化合物であり、電場発光性にも優れており、有機EL素子の発光材料として有効に使用できる。また、金属電極からの優れた電子注入性および電子輸送性に非常に優れているため、前記一般式(B3−1)または(B3−2)で表される化合物を電子輸送材料(またはホールブロッカー)として使用した場合、有機EL素子は、優れた発光効率を示すことをも本発明者等は併せて見いだした。
一般式(B4−1)で表される化合物について説明する。
R1及びR2で表される置換基としては、アルキル基(メチル基、エチル基、i−プロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基等)、アルケニル基(ビニル基、プロペニル基、スチリル基等)、アルキニル基(エチニル基等)、アリール基(フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基等)、アルキルオキシ基(メトキシ基、エトキシ基、i−プロポキシ基、ブトキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基等)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基、i−プロピルチオ基等)、アリールチオ基(フェニルチオ基等)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、アミノ基(ジメチルアミノ基、メチルアミノ基、ジフェニルアミノ基等)、シアノ基、ニトロ基、複素環基(ピロール基、ピロリジル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基等)等が挙げられる。芳香族基としては上記アリール基及びヘテロアリール基(ピロール基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル等)が挙げられ、それぞれの置換基は更に任意の置換基で置換されていてもよい。また、隣接する置換基同士は互いに縮合し環を形成してもよい。
R3〜R6は水素原子または置換基を表すが、その具体例は前記R1と同義である。R3またはR4の少なくとも一方は置換基を表すが、特に好ましい置換基はアルキル基である。
Arで表される2価のアリーレン基は、任意の芳香族化合物の任意の位置から、水素原子または置換基を2個取り除いた残基のことであり、アリーレン基は炭化水素で構成されていても、ヘテロ原子を含む複素環であっても、縮合していてもよい。
Ar1及びAr2で表されるアリール基としては、芳香族炭化水素環基であっても芳香族複素環基であってもよく、さらに縮合環を形成していてもよい。具体例としては、フェニル基、1−ナフチル基、9−アントリル基、9−フェナンスリル基、2−ピリジル基、4−キノリル基、2−チエニル基等が挙げられる。なお、Ar1またはAr2のいずれか一方が、
で表されることが好ましい。
本発明の化合物は、固体状態において強い蛍光を持つ化合物であり、電場発光性にも優れており、発光材料として有効に使用できる。また、金属電極からの優れた電子注入性及び電子輸送性に非常に優れているため、他の発光材料または本発明の化合物を発光材料として用いた素子において、本発明の化合物を電子輸送材料(またはホールブロッカー)として使用した場合優れた発光効率を示す。
以下に具体的な化合物の例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の化合物は、特開2001−93670及びJ.Am.Chem.Soc.120,p.9714(1998)記載の方法に準じて合成することができる。
一般式(B5−1)で表される化合物について説明する。
式中、R11〜R14は水素原子又は一価の置換基を表し、少なくとも1つは炭素原子、酸素原子、硫黄原子又はケイ素原子を介して結合する置換基を表す。
R11〜R14で表される一価の置換基としては、アルキル基(メチル基、エチル基、i−プロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基等)、アリール基(フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基等)、アルケニル基(ビニル基、プロペニル基、スチリル基等)、アルキニル基(エチニル基等)、アルキルオキシ基(メトキシ基、エトキシ基、i−プロポキシ基、ブトキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基等)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基、i−プロピルキオ基等)、アリールチオ基(フェニルチオ基等)、アミノ基、アルキルアミノ基(ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチルメチルアミノ基等)、アリールアミノ基(アニリノ基、ジフェニルアミノ基等)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、シアノ基、ニトロ基、複素環基(ピロール基、ピロリジル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基等)、シリル基(トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、トリフェニルシリル基等)等が挙げられる。
それぞれの置換基は更に置換基を有していても良い。又、置換基同士が結合し、環を形成しても良い。
一般式(B5−1)において、好ましくはR11、R12、R13及びR14のうち少なくとも1つが炭化水素芳香族基(上記のアリール基)であり、更に好ましくは一般式(B5−2)で表される場合である。
一般式(2)においてAr21〜Ar23は芳香族基を表し、R21〜R23は一価の置換基を表す。l、m及びnはそれぞれ0〜4の整数を表す。
好ましくはR21〜R23がアルキル基であり、l、m及びnが2〜4の場合であり、更に好ましくはAr21〜Ar23のうち少なくとも1つがチエニル基の時である。尚、l、m、nが2〜4の場合、対応する複数のR21、R22及びR23は同一でも異なっていても良い。
又、一般式(B5−1)で表される化合物が一般式(B5−3)で表される特定構造の縮合環であることも好ましい。
一般式(B5−3)において、R31は水素原子又は一価の置換基を表し、n3は0〜2を表し、Z3は5員環を形成するのに必要な原子群を表す。
Z3で形成される5員環は、更に置換基を有していてもよい。R31で表される一価の置換基としては、R11〜R14と同様のものが挙げられる。n3が2の場合、複数のR31は同一でも異なっていても良い。
以下に、具体的化合物例を示すが、これらに限定されるものではない。
又、これらの化合物の分子量は600〜2000であることが好ましい。分子量が600〜2000であるとTg(ガラス転移温度)が上昇し、熱安定性が向上し、素子寿命が改善される。より好ましい分子量は800〜2000である。
これらの化合物は公知の方法によって製造が可能であるが、例えば特開2001−93670等に記載された方法を用いることができる。
前記一般式(B6−1)で表される化合物について説明する。
式中、Ar1、Ar2及びAr3は6員芳香族基を表し、Ar11、Ar12、Ar13は6員芳香族基又は5員単環芳香族基を表す。Ar1、Ar2、Ar3、Ar11、Ar12及びAr13で表される6員芳香族基は、更に縮合環を形成しても良い。具体的には炭化水素芳香族基(フェニル基、ナフチル基、フェナンスリル基、アントリル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基等)又は複素芳香族基(ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、キノリル基、トリアジニル基、キナゾキニル基、アクリジニル基等)を表す。
Ar11、Ar12、Ar13で表される5員単環芳香族基としては、ピロリル基、チエニル基、フリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基等が挙げられる。Ar1、Ar2、Ar3、Ar11、Ar12及びAr13は更に置換基を有していても良い。
一般式(B6−1)で表される化合物は、好ましくはAr1、Ar2、Ar3、Ar11、Ar12及びAr13が全て単環芳香族基であり、更に好ましくはAr1、Ar2及びAr3が炭化水素芳香族基であり、Ar11、Ar12、Ar13が6員複素芳香族基である場合、又はAr11、Ar12、Ar13の少なくとも1つがチエニル基である場合である。
本発明に用いられるトリアジン誘導体は、更に好ましくは一般式(B6−2)で表される場合である。一般式(B6−2)においてAr21、Ar22及びAr23は、6員芳香族基又は5員単環芳香族基を表し、R1、R2及びR3は一価の置換基を表す。l、m及びnはそれぞれ1〜4の整数を表す。Ar21、Ar22及びAr23で表される6員芳香族基、5員芳香族基としては一般式(B6−1)中のAr11、Ar12、Ar13と同様のものが挙げられる。
R1、R2及びR3で表される一価の置換基としては、アルキル基(メチル基、エチル基、i−プロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基等)、アリール基(フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基等)、アルケニル基(ビニル基、プロペニル基、スチリル基等)、アルキニル基(エチニル基等)、アルキルオキシ基(メトキシ基、エトキシ基、i−プロポキシ基、ブトキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基等)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基、i−プロピルキオ基等)、アリールチオ基(フェニルチオ基等)、アミノ基、アルキルアミノ基(ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチルメチルアミノ基等)、アリールアミノ基(アニリノ基、ジフェニルアミノ基等)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、シアノ基、ニトロ基、複素環基(ピロール基、ピロリジル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基等)等が挙げられる。
一般式(B6−2)において、好ましくはR1、R2及びR3がアルキル基であり、l、m及びnが2〜4のときであり、最も好ましくは、R1、R2及びR3がメチル基であり、l、m及びnが4のときである。
一般式(B6−2)において、好ましくはAr21、Ar22又はAr23のうち少なくとも1つがチエニル基である。
以下に、具体的化合物例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
又、これらの化合物の分子量は600〜2000であることが好ましい。分子量が600〜2000であるとTg(ガラス転移温度)が上昇し、熱安定性が向上し、素子寿命が改善される。より好ましい分子量は800〜2000である。
これらの化合物は公知の方法によって製造が可能であるが、例えば特開2001−93670等に記載された方法を用いることができる。
次いで、本発明に係るカルバゾール誘導体化合物について説明する。
本発明に係るカルバゾール誘導体化合物としては、前記一般式(B7−1)で表されるカルバゾール誘導体化合物である。
一般式(B7−1)で表される誘導体化合物について説明する。
一般式(B7−1)において、R1〜R11は水素原子または置換基を表し、そのうち、R1〜R3の少なくとも1つは前記一般式(B7−2)で表される部分構造を有する。
一般式(B7−1)において、R1〜R11で表される置換基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、iso−プロピル基、ヒドロキシエチル基、トリフルオロメチル基、tert−ブチル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アラルキル基(例えば、ベンジル基等)、アルコキシアルキル基(例えば、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、プロポキシエチル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基等)、アルケニル基(例えば、2−プロペニル基、3−ブテニル基、1−メチル−3−プロペニル基、3−ペンテニル基、1−メチル−3−ブテニル基、4−ヘキセニル基、ビニル基、スチリル基等)、アルキニル基(エチニル基、プロパルギル基等)、アルコキシル基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、iso−プロポキシ基、ブトキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、iso−プロピルキオ基等)、アリールチオ基(フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アミノ基、アルキルアミノ基(例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチルメチルアミノ基等)、アリールアミノ基(アニリノ基、ジフェニルアミノ基等)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、シアノ基、ニトロ基、複素環基(例えば、ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、フリル基、ピロリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、セレナゾリル基、スルホラニル基、ピペリジニル基、ピラゾリル基、テトラゾリル基、ピロリジル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基等)、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、トリフェニルシリル基等)等が挙げられる。
上記の置換基は、更にさらに置換基を有していても良い。
一般式(B7−2)において、Z1、Z2は、各々芳香環(芳香族炭素環、芳香族複素環)を形成するのに必要な原子群、R21〜R23は、各々水素原子または置換基を表すが、少なくとも1つは置換基をあらわし、nは0または1を表す。
Z1、Z2で形成される芳香環の例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナンスレン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、キノリン環等が挙げられ、好ましくはZ1、Z2が共にベンゼン環の時である。R21〜R23で表される置換基としては、上記一般式(B7−1)において、R1〜R11で表される置換基と同義である。
一般式(B7−1)において、好ましくはR1〜R3で表される置換基のうち少なくとも1つがカルバゾール骨格(カルバゾール母核ともいう)を部分構造として有するときである。一般式(B7−2)において、好ましくは、R21〜R24の少なくとも1つがアルキル基である時であり、より好ましくはnが0であり、R23及びR24が置換基である時、最も好ましいのは、nが1であり、R21〜R24の全てが置換基である時である。
ここで、R23及びR24で表される置換基、R21〜R24で表される置換基とは、上記一般式(B7−1)において、R1〜R11で表される置換基と同義である。
以下に、一般式(B7−1)で表される化合物の具体的を示すが、本発明はこれらに限定されない。
また、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の熱安定性を向上させ、且つ、素子寿命伸長の観点から、一般式(B7−1)で表されるカルバゾール誘導体化合物の分子量は600〜2000の範囲であることが好ましく、更に好ましくは、800〜2000の範囲である。
本発明に係る一般式(B7−1)で表されるカルバゾール誘導体化合物は公知の方法によって製造が可能であるが、例えば、特開2000−21572号公報等に記載された方法を参照して合成することが出来る。
以下、一般式(B8−1)で表されるカルバゾール誘導体について説明する。
一般式(B8−1)において、R1〜R13は水素原子または一価の置換基を表し、そのうち、R1〜R8の少なくとも1つは一般式(B8−1−1)に示す構造を有する。R1〜R13で表される一価の置換基としては、アルキル基(メチル基、エチル基、i−プロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基等)、アリール基(フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基等)、アルケニル基(ビニル基、プロペニル基、スチリル基等)、アルキニル基(エチニル基等)、アルキルオキシ基(メトキシ基、エトキシ基、i−プロポキシ基、ブトキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基等)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基、i−プロピルキオ基等)、アリールチオ基(フェニルチオ基等)、アミノ基、アルキルアミノ基(ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチルメチルアミノ基等)、アリールアミノ基(アニリノ基、ジフェニルアミノ基等)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、シアノ基、ニトロ基、複素環基(ピロール基、ピロリジル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基等)、シリル基(トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、トリフェニルシリル基等)等が挙げられる。それぞれの置換基はさらに置換基を有していても良い。また、置換基同士が結合し、環を形成しても良い。
一般式(B8−1−1)において、Z1、Z2は環を形成するのに必要な原子群、R21〜R24は水素原子または一価の置換基を表し、nは0または1を表し、nが0のとき、R23およびR24の少なくとも1つは一価の置換基を表し、nが1のとき、R21〜R24の少なくとも1つは一価の置換基を表す。R21〜R24で表される一価の置換基としてはR1〜R13で表される一価の置換基と同様のものが挙げられる。
一般式(B8−1)において、好ましくはR1〜R8で表される一価の置換基のうち少なくとも1つがカルバゾール骨格を有するときである。一般式(B8−1−1)において、好ましくは、R21〜R24の少なくとも1つがアルキル基である時であり、より好ましくはnが0であり、R23およびR24が一価の置換基である時、または、nが1であり、R21〜R24のうち少なくとも2つが一価の置換基である時であり、最も好ましいのは、nが1であり、R21〜R24の全てが一価の置換基である時である。
以下に、具体的化合物例を示すが、本発明における化合物がこれらに限定されるものではない。
又、これらの化合物の分子量は600〜2000であることが好ましい。分子量が600〜2000であるとTg(ガラス転移温度)が上昇し、熱安定性が向上し、素子寿命が改善される。より好ましい分子量は800〜2000である。
次に一般式(B8−1)で表される化合物の代表的な合成例を述べる。
合成例 化合物(B8−2)の合成
窒素雰囲気下、酢酸パラジウム0.33gとトリ−tert−ブチルホスフィン1.4mlを脱水キシレン200mlに加えた。その後、4−ブロモトルエンを25g、カルバゾール25g、ナトリウム−tert−ブトキシド15gを添加し、6時間加熱還流した。その後、抽出処理、乾燥、濃縮、カラム精製することで、化合物(A)を28g得た。(収率75%)
次に塩化メチレン800mlに化合物(A)25gを加え、これに0度で31gの臭素を滴下し、1時間撹拌後抽出処理、乾燥、濃縮、再結晶することで38gの化合物(B)を得た。(収率94%)
化合物(B)30gを窒素雰囲気下脱水テトラヒドロフラン450mlに溶解し、−60℃でn−ブチルリチウム−ヘキサン(1.5M/L)溶液を58ml滴下し、30分撹拌後、ヨードメタン11mlを滴下した後、室温に戻し、抽出処理、乾燥、濃縮、再結晶することで化合物(C)を20g得た。(収率80%)
化合物(C)20gを窒素雰囲気下脱水テトラヒドロフラン200mlに溶解し、−78℃でn−ブチルリチウム−ヘキサン(1.5M/L)溶液を48ml滴下し、30分撹拌後、トリメトキシボラン15mlのテトラヒドロフラン25ml溶液を滴下した後、反応溶液に酸を加え、pH=2にした。反応溶液を抽出、乾燥、濃縮して得られた化合物(D)を含む反応生成物を精製せずに次のステップに用いた。
得られた化合物(D)を含む反応生成物と2,5−ジブロモパラキシレン6.85gをテトラヒドロフラン400mlに溶解し、炭酸カリウム15.7gをごく少量の水に溶かした溶液を加え、窒素を15分間吹き込んだ後でテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)を1.8g加え、16時間加熱還流した。反応溶液を抽出処理、乾燥、濃縮、カラム精製、昇華精製を行うことで化合物(B8−2)を4.9g得た。(収率29%)NMR及びマススペクトルにより目的物であることを確認した。その他の化合物も同様な方法或いは公知の方法によって製造が可能である。
一般式(B9−1)で表されるカルバゾール誘導体化合物について説明する。
一般式(B9−1)において、R1〜R8で各々表されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、iso−プロピル基、ヒドロキシエチル基、トリフルオロメチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
一般式(B9−1)において、R1〜R8で各々表されるアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基等が挙げられる。
一般式(B9−1)において、R1〜R8で各々表されるアルコキシル基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、iso−プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。
一般式(B9−1)において、R1〜R8で各々表されるアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等が挙げられる。
一般式(B9−1)において、R1〜R8で各々表されるアルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、iso−プロピルキオ基等が挙げられる。
一般式(B9−1)において、R1〜R8で各々表されるアリールチオ基としては、例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等が挙げられる。
一般式(B9−1)において、R1〜R8で各々表されるアルキルアミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチルメチルアミノ基等が挙げられる。
一般式(B9−1)において、R1〜R8で各々表されるアリールアミノ基としては、例えば、アニリノ基、ジフェニルアミノ基等が挙げられる。
一般式(B9−1)において、R1〜R8で各々表される複素環基としては、例えば、ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、フリル基、ピロリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、セレナゾリル基、スルホラニル基、ピペリジニル基、ピラゾリル基、テトラゾリル基、ピロリジル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基等が挙げられる。
一般式(B9−1)において、R1〜R8で各々表されるシリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、トリフェニルシリル基等が挙げられる。
一般式(B9−1)において、R1〜R8で各々表される上記の置換基は、更に置換基を有していても良い。
本発明では、請求項2に記載のように、前記一般式(B9−1)で表されるカルバゾール誘導体化合物において、R1〜R8で表される基の少なくとも1つの基がアリール基であることが好ましい。
更に、本発明では、請求項4に記載のように、前記一般式(B9−1)において、R1〜R8で表される置換基のうち少なくとも1つがカルバゾール骨格(カルバゾール母核ともいう)を部分構造として有することが好ましい。
また、本発明では、前記一般式(B9−1)で表されるカルバゾール誘導体化合物において、R1〜R8で表される基の少なくとも1つの基が、下記一般式(B9−2)で表される部分構造を有することが好ましい。
ここで、前記一般式(B9−2)で表される部分構造について説明する。
一般式(B9−2)において、Z1、Z2は、各々芳香族炭素環または芳香族複素環を形成するのに必要な原子群を表し、R21〜R24は、各々水素原子または置換基を表すが、少なくとも1つは置換基をあらわし、nは0または1を表す。
nが0のとき、R23、R24の少なくとも1つは置換基をあらわし、nが1のとき、R21〜R24の少なくとも1つは置換基を表す。
一般式(B9−2)において、Z1、Z2で各々形成される芳香族炭素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、インデン環、テトラリン環、アントラセン環、フェナントレン環等が挙げられる。
一般式(2)において、Z1、Z2で各々形成される芳香族複素環としては、フラン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、1,2,3−オキサジアゾール環、1,2,3−トリアゾール環、1,2,4−トリアゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、s−トリアジン環、ベンゾフラン環、インドール環、ベンゾチオフェン環、ベンズイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、プリン環、キノリン環及びイソキノリン環等が挙げられる。
本発明では、請求項9に記載のように、上記の中でも、Z1、Z2が、各々ベンゼン環であることが好ましい。
一般式(B9−2)において、R21〜R24で表される置換基としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、iso−プロピル基、ヒドロキシエチル基、トリフルオロメチル基、tert−ブチル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アラルキル基(例えば、ベンジル基等)、アルコキシアルキル基(例えば、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、プロポキシエチル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基等)、アルケニル基(例えば、2−プロペニル基、3−ブテニル基、1−メチル−3−プロペニル基、3−ペンテニル基、1−メチル−3−ブテニル基、4−ヘキセニル基、ビニル基、スチリル基等)、アルキニル基(エチニル基、プロパルギル基等)、アルコキシル基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、iso−プロポキシ基、ブトキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、iso−プロピルキオ基等)、アリールチオ基(フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アミノ基、アルキルアミノ基(例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチルメチルアミノ基等)、アリールアミノ基(アニリノ基、ジフェニルアミノ基等)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、シアノ基、ニトロ基、複素環基(例えば、ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、フリル基、ピロリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、セレナゾリル基、スルホラニル基、ピペリジニル基、ピラゾリル基、テトラゾリル基、ピロリジル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基等)、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、トリフェニルシリル基等)等が挙げられる。上記の置換基は、更にさらに置換基を有していても良い。
中でも、一般式(B9−2)において、好ましくは、R21〜R24の少なくとも1つがアルキル基である時であり、より好ましくはnが0であり、R23およびR24が置換基である時、最も好ましいのは、nが1であり、R21〜R24の全てが置換基である時である。
ここで、R21〜R24で表される置換基とは、上記一般式(B9−1)において、R1〜R8で表される各基と同義である。
以下に、一般式(B9−1)で表される化合物の具体的を示すが、本発明はこれらに限定されない。
前記一般式(B9−1)で表されるカルバゾール誘導体化合物の分子量は350〜2000の範囲にあることが好ましく、更に、該素子の熱安定性を向上させ、且つ、素子寿命伸長の観点から、前記カルバゾール誘導体化合物の分子量は600〜2000の範囲であることが好ましく、更に好ましくは、800〜2000の範囲である。
本発明に係る一般式(B9−1)で表されるカルバゾール誘導体化合物の、有機エレクトロルミネッセンス素子を構成するいずれか1層中での含有量としては、50質量%以上であることが好ましく、更に好ましくは、80質量%〜95質量%であり、特に好ましくは、90質量%〜95質量%である。
本発明に係る、一般式(B9−1)で表されるカルバゾール誘導体化合物は従来公知の方法によって製造が可能であるが、例えば、下記に示すような合成例1(化合物B9−11の合成)に記載の合成方法を参照して合成出来る。
以下、本発明に係る、一般式(1)で表されるカルバゾール誘導体化合物の合成例の一態様を示す。
《合成例:化合物B9−11の合成》
(スキーム1):3−ヨード−9−エチルカルバゾールの合成
3−アミノ−9−エチルカルバゾール(50g)をサンドマイヤー反応により3−ヨード−9−エチルカルバゾール(25g)合成した。
(スキーム2):反応生成物1の合成
3−ヨード−9−エチルカルバゾール(1.7g)を含むテトラヒドロフラン溶液を−78℃下、n−ブチルリチウムを(3.5ml)滴下、攪拌し、30分後、トリメトキシボランを(1.5ml)滴下し、12時間攪拌した。攪拌後の溶液を抽出、濃縮して反応生成物1を得た。
(スキーム3):化合物B9−11の合成
得られた反応生成物1を1,4−ジブロモ−2,5−メチルベンゼン(0.47g)、テトラキストリフェニルフォスフィンパラジウム(0.4g)、炭酸カリウム(1.0g)を含むテトラヒドロフラン(300ml)、水(30ml)から構成される混合溶媒に溶解させ、70℃、6時間攪拌した。
反応溶液を抽出、乾燥、濃縮、カラム精製、昇華精製を行うことにより、化合物B9−11(1.5g)を得た。
化合物B9−11の分子構造は、NMR(核磁気共鳴スペクトル)及びマススペクトルにより目的物であることを確認した。
一般式(B10−1)で表される化合物について説明する。
一般式(B10−1)において、R1〜R3で表される置換基としては、各々、アルキル基(メチル基、エチル基、i−プロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基等)、アルキルオキシ基(メトキシ基、エトキシ基、i−プロポキシ基、ブトキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基等)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)を示し、また、隣接する置換基同士は互いに縮合し環を形成しても良い。
一般式(B10−1)においてArは縮合芳香族基を表わすが、この場合の縮合芳香族基としては、炭化水素環系芳香族基でも複素環系芳香族基でもよく、例えば、ナフチル基、フェナンスリル基、アントリル基、ピレニル基、キノリル基、カルバゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ピロロピラゾリル基、イミダゾピリジル基、ピラゾロトリアゾリル基等がその代表例として挙げられる。
これらの化合物は、固体状態において強い蛍光を持つ化合物であり、電場発光性にも優れており、発光材料として有効に使用できる。また、金属電極からの優れた電子注入性及び電子輸送性に非常に優れているため、他の発光材料、または本発明の化合物を発光材料として用いた素子において、これらの化合物を電子輸送材料(またはホールブロッカー)として使用した場合、優れた発光効率を示す。
以下に具体的な化合物の例を挙げるが、本発明は、これらに限定されるものではない。
合成例 化合物B10−1(9,10−ジ(トリフェニルシリル)アントラセン)の合成
以下の反応は乾燥窒素ガス雰囲気下で行った。
三口フラスコに9,10−ジブロモアントラセン3.36g(10mmol)、テトラメチルエチレンジアミン4.52ml(30mmol)、脱水エーテル32ml、脱水テトラヒドロフラン100mlを入れ、撹拌しながら−55〜−50℃に保った。N−ブチルリチウムヘキサン溶液(1.6M)15.5ml(25mmol)をシリンジで加えた。濃赤色の反応溶液を同温度で1時間撹拌の後、10mlの脱水テトラヒドロフランに溶かしたトリフェニルクロロシラン8.82g(30mmol)を滴下した。徐々に昇温し、室温でさらに12時間撹拌した。蒸留水を加えて反応を止めた後、蒸留水で洗浄、有機層を無水炭酸カリウムで乾燥し、濾液をロータリーエバポレーターで濃縮、減圧乾燥した。
シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:クロロホルム=1:2)でRf値約0.25の成分を分離し、ヘキサンで繰り返し再結晶した。
収量1.74g(約25%)
1H−NMR(CDCl3,TMS)δ6.78(d,J=7.01,2H,ArH),6.79(d,J=6.77,2H,ArH),7.24〜7.41(m,12H,PhH),7.63〜7.66(m,18H,PhH),8.04(d,J=7.01,2H,ArH),8.05(d,J=6.77,2H,ArH)
前記一般式(B11−1)で表される化合物について説明する。
前記一般式(B11−1)において、RおよびR′で表される置換基としては、アルキル基(メチル基、エチル基、i−プロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基等)、アリール基(フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基、ピロール基、ピリジル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、トリアゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、チエニル基、カルバゾリル基等)、アルケニル基(ビニル基、プロペニル基、スチリル基等)、アルキニル基(エチニル基等)、アルキルオキシ基(メトキシ基、エトキシ基、i−プロポキシ基、ブトキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基等)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基、i−プロピルキオ基等)、アリールチオ基(フェニルチオ基等)、アミノ基、アルキルアミノ基(ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチルメチルアミノ基等)、アリールアミノ基(アニリノ基、ジフェニルアミノ基等)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、シアノ基、ニトロ基、非芳香族性複素環基(ピロリジル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、等)、シリル基(トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、トリフェニルシリル基等)等が挙げられる。それぞれの置換基はさらに置換基を有していても良い。
この中で好ましいものとしては、アリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。nは0〜4の整数を表し、mは0〜4の整数を表し、nが2以上の整数を表す場合、複数のRは互いに縮合して環を形成してもよく、mが2以上の整数を表す場合、複数のR′は互いに縮合して環を形成してもよい。
L1およびL2で表される2価の連結基としてはアルキレン、アルケニレン等の非芳香族系の2価の連結基、或いは、芳香族系の2価の連結基を表す。非芳香族系の2価の連結基、例えばアルキレン、アルケニレン等の基のうち好ましくはアルキレン基であるが、これらは置換されていてもよく、置換基としては前記R、R′等で挙げられた基が挙げられるが、好ましくはメチレン、エチレン等の無置換のアルキレン基である。又、これら非芳香族系の置換基、例えばアルキレン等の基は、骨格となる炭素原子が構成するメチレン或いは置換メチレン等の基が酸素原子、硫黄原子或いは窒素原子等のヘテロ原子で置換されたエーテル、チオエーテル、又イミノ構造を有するものであってもよい。
又、芳香族系の2価の置換基としては同様にフェニレン基、ビフェニレン基等のほか、このような芳香族基が、メチレン、エチレン等のアルキレン基、又前記骨格となるメチレン基等がヘテロ原子により置換されたエーテル、チオエーテル基等を含むアルキレン基、或いは酸素原子、硫黄原子、窒素原子等によりそれぞれエーテル結合、チオエーテル結合、イミノ基等を介してそれぞれ複数連結した基であってもよい。
前記一般式(B11−1)で示されるシクロファン化合物のうち好ましいものは一般式(B11−2)で表される化合物である。
一般式(B11−2)において、R1〜R8は水素原子または置換基を表し、置換基としては、アルキル基(メチル基、エチル基、i−プロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基等)、アリール基(フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基、ピロール基、ピリジル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、トリアゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、チエニル基、カルバゾリル基等)、アルケニル基(ビニル基、プロペニル基、スチリル基等)、アルキニル基(エチニル基等)、アルキルオキシ基(メトキシ基、エトキシ基、i−プロポキシ基、ブトキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基等)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基、i−プロピルキオ基等)、アリールチオ基(フェニルチオ基等)、アミノ基、アルキルアミノ基(ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチルメチルアミノ基等)、アリールアミノ基(アニリノ基、ジフェニルアミノ基等)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、シアノ基、ニトロ基、非芳香族性複素環基(ピロリジル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、等)、シリル基(トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、トリフェニルシリル基等)等が挙げられる。それぞれの置換基はさらに置換基を有していても良い。又、隣接する例えばR1及びR2、R3及びR4、R5及びR6、R7及びR8等の基同士は連結して環を形成していてもよい。
この中で好ましいものとしては、アリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
R9〜R16は水素原子または置換基を表すが、置換基としては前記R1〜R8で説明したものと同義であるが、好ましくは水素原子である。
一般式(B11−3)において、Ra、Rb、RcおよびRdは水素原子または置換基を表すが、該置換基は前記R1〜R8で説明したものと同義であり、好ましい置換基も同様である。
以下に、一般式(B11−1)、(B11−2)および(B11−3)で表される化合物の具体例を示すが、本発明におけるシクロファン化合物はこれらに限定されるものではない。
これらのシクロファン化合物は公知の方法で容易に合成でき、一般的には下記に示す合成経路で比較的良好な収率で得ることができる。
(合成例)
シクロファンに置換アミノ基を導入する場合
(合成例2)
シクロファンに置換アリール基を導入する場合
以上の合成方法は下記文献にも記載されている一般的なものである。
M.Nishiyama et al.,Tetrahedron Lett.39(1998),2367−2370
特許316360号(JP)アリールアミン類の合成法 東ソー 西山ら(出願日97.4.15 優先日96.4.19)
J.F.Hartwig,Angew.Chem.Ind.Ed.37(1998),2046−2067
M.Nishiyama et al.,Tetrahedron Lett.41(2000),481−484
N.Miyaura et al.,Synth.Commun.11(7)(1981)、513−519
又、これらの化合物の分子量は300〜2000であることが好ましい。分子量が300〜2000であるとTg(ガラス転移温度)が上昇し、熱安定性が向上し、素子寿命が改善される。より好ましい分子量は500〜2000である。
ただし、これらの化合物を繰り返し単位の一部として含むポリマーであってもよく、その場合は上記好ましい分子量から逸脱しても構わない。
次に、一般式(C1−1−1)〜一般式(C1−8−2)に示される化合物について説明する。分子内にオレフィンを含有している化合物を本発明にいてホスト化合物として用いることができるが、好ましくは一般式(C1−1−1)〜一般式(C1−8−2)に示される化合物である。
一般式(C1−1−1)中、R1、R2、R3、R4は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、複素環基又はシアノ基を表す。
アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロ−n−ブチル基、パーフルオロ−t−ブチル基、t−ブチル基、ベンジル基等がある。
アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等がある。
アリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基等がある。
複素環基としては、ピロリル基、ピロリジル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、トリアゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、フリル基、チエニル基、チアゾリル基等がある。
これらの基はさらに置換されていてもよく、置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、アミノ基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基等が挙げられる。
一般式(C1−1−1)中、R1、R2、R3、R4のうち、少なくとも一つは、アリール基、または、複素環基である。
好ましくは、R1、R2、R3、R4のうち、2つがアリール基又はすべてアリール基の時である。
一般式(C1−1−2)中、X1、X2はアリール基または、複素環基を表し、R5、R6はアリール基、複素環基、または、脂環式炭化水素の残基を表し、かつ、R5、R6のいずれか一方は脂環式炭化水素の残基を表す。R5、R6は脂環式の環を形成してもよい。脂環式炭化水素の残基としては、シクロアルキル基、シクロアルケニル基等の残基がある。脂環式炭化水素の残基として、特に好ましくは、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)である。これらの基は、さらに置換されていても良い。
一般式(C1−1−3)中、X3、X4はアリール基、または、複素環基を表し、R7、R8はアリール基、複素環基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、または、ハロゲン原子を表し、かつ、R7、R8のいずれか一方はアリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、または、ハロゲン原子を表す。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等がある。好ましくは、フッ素原子である。
一般式(C1−2−1)中、R9、R10、R11、R12は、水素原子、または、置換基を表し、R9、R10、R11、R12の少なくとも一つの置換基は、下記一般式(C1−2−2)で表される。
一般式(C1−2−2)
*−A20−A21−R20
式中、A20、A21は単環の芳香族環、または、複素環を表し、R20は水素原子、または、置換基を表し、*は結合部位を表す。
一般式(C1−2−2)、そして(C1−2−3)中、A20、A21、A22、A23、A24、A25及び一般式(5)中、A51、A52、A53、A54は、それぞれ独立に単環の芳香族環または複素環を表す。単環の芳香族環または複素環の具体例としてはベンゼン、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イミダゾール、チアゾール、トリアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン等が挙げられる。
R21からR24は、水素原子、または、置換基であり、R21からR24で表される置換基としては、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロ−n−ブチル基、パーフルオロ−t−ブチル基、t−ブチル基、ベンジル基等)、シクロアルキル基(例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アラルキル基(例えばベンジル基、2−フェネチル基等)、アリール基(例えばフェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基、フルオレニル基等)、アルコキシ基(例えばエトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ基等)、ヒドロキシル基、アミノ基(ジメチルアミノ基、ジアリールアミノ基)、アルケニル基(例えばアリル基、1−エテニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、1−オクタデセニル基等)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)等が挙げられる。これらの基はさらに置換されていてもよく、前記置換基としては、一般式(C1−1−1)で挙げたものが挙げられる。
一般式(C1−2−3)において、A22、A23が複素環の場合、ヘテロ原子が2個以上の場合が好ましい。
一般式(C1−3)、(C1−4)において、A31、A41、A42は、芳香族環、または、複素環を表す。これらの芳香族環、または、複素環は、単環基、縮合多環基、または、単環もしくは縮合多環を含む芳香族単位が連結した基である。具体的には、ベンゼン、トルエン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、フルオレン、ピレン、ペリレン、トリフェニレン、アズレン、フルオレノン、フラン、チオフェン、ピロール、ピリジン、オキサゾール、ピラジン、ピリミジン、オキサジアゾール、トリアゾール、インドール、キノリン、イソキノリン、カルバゾール、アクリジン、ベンゾチアゾール、フェナントロリン、キナクリドン等の置換もしくは未置換の芳香族環もしくは縮合芳香環の残基、さらには、ビフェニル、ターフェニル、ビナフチル、トリフェニルベンゼン、ジフェニルアントラセン、ルブレン、ビピリジン、ビキノリン、ビチオフェン、等の芳香環構造単位同士が直接連結した残基である。
A41、A42は、スチリル基、または、置換スチリル基が置換基として導入された場合が最も好ましい。
一般式(C1−6)において、A61は芳香族環基、または、複素環基を表す。芳香族環基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基、フェナンスリル基、ピレニル基、コロニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、複素環基としては、フルオレニル基、フラニル基、チエニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、イミダゾリル基、等が挙げられる。
一般式(C1−5)において、A51、A52、A53、A54は単環の芳香族環、または、複素環を表し、R51、R52、R53、R54、R55、R56は水素原子、または、置換基を表す。芳香族環基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基、フェナンスリル基、ピレニル基、コロニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、複素環基としては、フルオレニル基、フラニル基、チエニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、イミダゾリル基、等が挙げられる。
一般式(C1−3)、(C1−4)、(C1−5)、(C1−6)、(C1−7)、(C1−8−1)、(C1−8−2)において、R31〜R36、R41〜R48、R51〜R56、R61〜R63、R71〜R76、R81〜R92は、水素原子、または、置換基を表す。R31〜R36、R41〜R48、R51〜R56、R61〜R63、R71〜R76、R81〜R92が置換基の場合、その具体例としては、一般式(C1−2−1)〜(C1−2−3)の中で挙げたものと同義である。R35、R36が置換基を表す場合、好ましくは、脂環系炭化水素の残基、ハロゲン原子、アルキルチオ基、アリールチオ基、または、アリールオキシ基であり、さらに、好ましくは、フッ素原子である。R41、R42は、水素原子が好ましい。R52、R53が置換基を表す場合、好ましくはフッ素原子である。
一般式(C1−8−1)、(C1−8−2)において、X5、X6、X7は、−O−,−S−,−NRa−を表す。ここで、Raは置換基である。Z1、Z2、Z3は、5員環と共に縮合環を形成するのに必要な原子群である。具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、複素環等が挙げられる。
本発明に係わるこれらのホスト化合物は、分子内の部分構造としてトリアリールアミンを含有しても良い。また、素子の寿命に関しては,5配位のアルミニウム錯体を電子輸送層に導入した場合、大きく改善され好ましい。
以下に、具体的化合物例を示すが、本発明のホスト化合物が、これらに限定されるものではない。
これらの化合物は、固体状態において強い蛍光を持つ化合物であり、電場発光性にも優れており、発光材料として有効に使用できる。
これらの化合物は、従来既知の方法で合成できる。例えば、登録特許第3086272号や登録特許第3214674号等に詳しい。
一般式(C2−1)で表される化合物について説明する。
一般式(C2−1)において、R11、R12、R13、R14、X1及びY1は水素原子または一価の置換基を表し、Z1はCR15R16、O、S、SiR17R18を表す。R15、R16、R17及びR18は水素原子または一価の置換基を表す。
R11、R12、R13、R14、X1、Y1、R15、R16、R17、R18の一価の置換基としては、アルキル基(メチル基、エチル基、i−プロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基等)、アリール基(フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基等)、アルキルオキシ基(メトキシ基、エトキシ基、i−プロポキシ基、ブトキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基等)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基、i−プロピルチオ基等)、アリールチオ基(フェニルチオ基等)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、シアノ基、ニトロ基、複素環基(ピロール基、ピロリジル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基等)、芳香族基等が挙げられる。芳香族基としては上記アリール基及びヘテロアリール基(ピロール基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ピリジル基等)が挙げられる。隣接する置換基同士は環を形成してもよい。好ましくは、Z1がOまたはSiR17R18のときであり、一価の置換基の好ましい例としては、アルキル基または芳香族基である。
本発明の化合物は、固体状態において強い蛍光を持つ化合物であり、電場発光性にも優れており、発光材料として有効に使用できる。また、金属電極からの優れた電子注入性及び電子輸送性に非常に優れているため、他の発光材料を用いた有機EL素子に電子輸送材料として使用した場合、優れた発光効率を示す。
以下に具体的な化合物の例を挙げるが、本発明は、これらに限定されるものではない。
本発明のホスト化合物は分子内に珪素原子を含有する化合物であり、好ましい化合物としては、前記一般式(C2−2)または一般式(C2−3)で表される繰り返し構造単位を有するポリシラン、また前記一般式(C2−4)〜(C2−7)で表される化合物があげられる。
前記一般式(C2−2)において、R21及びR22はアルキル基、芳香族基、アルコキシ基またはアリールオキシ基である。R21及びR22で表されるアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、i−プロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基等が挙げられ、芳香族基の例としては、フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基、ピロール基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル等が挙げられる。アルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、i−プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられ、アリールオキシ基としてはフェノキシ基等が挙げられる。nは3以上の整数を表す。
また、前記一般式(C2−3)においてR31は一般式(C2−2)中のR21と同義であり、Ar31はアリーレン基を表す。Ar31で表されるアリーレン基の例としては、例えば1,4−フェニレン、1,5−ナフチレン基が挙げられ、R32、R33はそれぞれ独立に、アルキル基、芳香族基を表す。R32、R33で表されるアルキル基及び芳香族基は、前記R21で表されるアルキル基及び芳香族基と同義である。
次に前記一般式(C2−4)で表される化合物について説明する。一般式(C2−4)においてR41、R42、R43及びR44は一価の置換基であり、少なくとも1個は芳香族基を表す。一価の置換基としては、アルキル基(メチル基、エチル基、i−プロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基等)、アリール基(フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基等)、アルキルオキシ基(メトキシ基、エトキシ基、i−プロポキシ基、ブトキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基等)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基、i−プロピルチオ基等)、アリールチオ基(フェニルチオ基等)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、シアノ基、ニトロ基、複素環基(ピロール基、ピロリジル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基等)等が挙げられる。芳香族基としては、上記アリール基及びヘテロアリール基(ピロール基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ピリジル基等)が挙げられる。好ましくは、R41、R42、R43及びR44がすべて芳香族基である時である。一般式(C2−4)において好ましくは全てが芳香族基である時であり、より好ましくはR41、R42、R43及びR44の少なくとも1つが縮合芳香族基であるときである。
次に一般式(C2−5)について説明する。R51、R52、X5及びY5はそれぞれ独立に水素原子または一価の置換基を表す。Z51、Z52はそれぞれ独立に窒素原子またはCR53を表し、R53は水素原子または一価の置換基を表す。一価の置換基の例としてはR41で表される置換基と同様の置換基が挙げられる。隣接する置換基同士は環を形成してもよい。
また、一般式(C2−6)においてR61、R62、R63、R64、R65、R66、R67、R68、X6及びY6は水素原子または一価の置換基を表し、一価の置換基の例としてはR61で表される置換基と同様の置換基が挙げられる。
次に一般式(C2−7)について説明する。R71、R72、R73、R74、X7及びY7は水素原子または一価の置換基を表す。一価の置換基の例としてはR41で表された置換基と同様の置換基が挙げられる。Z7はCR75R76、NR77、O、SまたはSiR78R79を表す。R75、R76、R77、R78及びR79は水素原子または一価の置換基を表す。一価の置換基の例としてはR41で表される置換基と同様の置換基が挙げられる。好ましくはZ7がCR75R76、OまたはSiR78R79である。
以下に、具体的化合物例を示すが、本発明の化合物はこれらに限定されるものではない。
一般式(C2−7)で表される化合物の例としては、上記化合物C2−7−1〜C2−7−4以外に前記化合物C2−1−1〜C2−1−22が含まれる。
以下に、本発明の一般式(C3−1)乃至一般式(C3−4)で表される化合物について詳しく説明する。
一般式(C3−1)乃至一般式(C3−4)において、Ar11乃至Ar16、Ar21乃至Ar28、Ar31乃至Ar40、Ar41乃至Ar52は各々置換基を有していても良い芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表し、それぞれ異なっていても同一でも良い。芳香族炭化水素基としては、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−ビフェニル、3−ビフェニル、9−フェナンスリル基等が挙げられ、芳香族複素環基としてはチオフェニル、キノリル、イソキノリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル基等が挙げられる。
置換基としては特に制限はないが、好ましくはアルキル基(メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基等)、アルコキシ基(メトキシ基等)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)、アリール基(フェニル基等)が挙げられ、それぞれ結合して環を形成してもよい。
次に本発明の一般式(C3−1)乃至一般式(C3−4)で表される化合物の代表的な合成例を述べる。
[合成例] 化合物(C3−13)の合成
9−(ジブロモメチレン)−フルオレン2.90gを窒素雰囲気下脱水テトラヒドロフラン40mlに溶解し、−90℃でn−ブチルリチウム−ヘキサン(1.5mol/L)溶液を6.33ml滴下し、30分撹拌後、フェニルチオレート銅(I)を1.64g加えた後昇温し、室温で24時間撹拌した後、反応溶液を抽出、乾燥、濃縮し、カラムクロマトグラフィーで精製、再結晶することで化合物(C3−13)を1.00g(収率22%)得た。
[合成例] 化合物(C3−14)の合成
1,1−ジブロモ−2,2−ジフェニルエチレン5.00gを窒素雰囲気下脱水テトラヒドロフラン100mlに溶解し、−90℃でn−ブチルリチウム−ヘキサン(1.5mol/L)溶液を10.8ml滴下し、30分撹拌後、CuI・P(n−butyl)3を2.91g加えた後昇温し、室温で24時間撹拌した後、反応溶液を抽出、乾燥、濃縮し、カラムクロマトグラフィーで精製、再結晶することで化合物(C3−14)を3.59g(収率34%)得た。
以下に、一般式(C3−1)乃至一般式(C3−4)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下に、本発明の一般式(C4−1)で表される化合物について詳しく説明する。
一般式(C4−1)において、Ar1及びAr2はそれぞれ置換基を有していても良い2価の芳香族炭化水素群又は芳香族複素環群を表し、異なっていても同一でも良い。芳香族炭化水素群としては、1,4−フェニレン、1,4−ナフチレン、1,6−ナフチレン、4,4′−ビフェニレン等が挙げられ、芳香族複素環群としては、5,5′−(2,2′)−ビチオフェニル、5,5′−(2,2′)−ビ(1,3,4)−オキサジアゾリル、4,7−ベンゾチアゾリル、4,7−1H−インドリル、4,7−1H−ベンゾトリアゾリル等挙げられる。置換基としては好ましくはアルキル基(メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基等)、アルコキシ基(メトキシ基等)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)、アリール基(フェニル基等)が挙げられる。
R1〜R12はそれぞれ独立に水素原子、置換又は無置換のアルキル基(メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基等)、シクロアルキル基(シクロヘキシル基等)、アルコキシ基(メトキシ基等)又はハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)を表す。
次に本発明の一般式(C4−1)で表される化合物の代表的な合成例を述べる。
[合成例] 化合物(C4−9)の合成
2−ブロモチオフェン15.0gを窒素雰囲気下脱水テトラヒドロフラン200mlに溶解し、−78℃でn−ブチルリチウム−ヘキサン(1.5mol/L)溶液を67.5ml滴下し、30分撹拌後、塩化亜鉛15.7gを加えた。さらに30分撹拌後、1,8−ジヨードナフタレン8.74gとテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム200mgを加えた後昇温し、室温で20時間撹拌した後、反応溶液を抽出、乾燥、濃縮し、カラムクロマトグラフィーで精製することで、化合物(A)を3.20g(収率48%)得た。次に化合物(A)3.0gを窒素雰囲気下脱水エーテル100mlに溶解し、0℃でn−ブチルリチウム−ヘキサン(1.5mol/L)溶液を20.6ml滴下し、30分撹拌した後、塩化銅(II)4.71gを加え、室温まで昇温した。反応溶液を抽出、乾燥、濃縮したのち、再結晶することで化合物(C4−9)を1.05g(収率18%)得た。
[合成例] 化合物(C4−3)の合成
1−ブロモ−4−トリメチルシリルベンゼン22.9gを窒素雰囲気下脱水テトラヒドロフラン300mlに溶解し、−78℃でn−ブチルリチウム−ヘキサン(1.5mol/L)溶液を80ml滴下し、30分撹拌後、塩化亜鉛17.7gを加えた。30分撹拌後、1,8−ジヨードナフタレン9.50gとテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム3.00gを加えた後昇温し、室温で15時間撹拌した後、反応溶液を抽出、乾燥、濃縮し、カラムクロマトグラフィーで精製することで、化合物(B)を6.37g(収率60%)得た。化合物(B)6.37gを四塩化炭素100mlに溶解し、−20℃で一塩化ヨウ素1.5mlを加え、その後50℃に昇温し、30分撹拌し、反応溶液を抽出、乾燥、濃縮することで、化合物(C)を4.90g(収率74%)得た。次に化合物(C)4.9gを窒素雰囲気下脱水テトラヒドロフラン100mlに溶解し、−78℃でn−ブチルリチウム−ヘキサン(1.5mol/L)溶液を13.5ml滴下し、30分撹拌後、トリ(n−ブチル)塩化すず12.5mlを加え、室温まで昇温した。反応液を抽出、乾燥、濃縮し、カラムクロマトグラフィーで精製することで、化合物(D)を6.00g(収率76%)得た。化合物(D)6.00gを100mlのテトラヒドロフランに溶解し、硝酸銅三水和物3.72gを加え、室温まで昇温した。一時間撹拌後、反応溶液を抽出、乾燥、濃縮した後、再結晶することで化合物(C4−3)を1.60g(収率41%)得た。
以下に、本発明における一般式(C4−1)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下に、本発明の一般式(C5−1)及び一般式(C5−2)で表される化合物について詳しく説明する。
一般式(C5−1)において、S1及びS2はそれぞれスチリル基を表す。スチリル基は一般式(C5−3)で表される。
式中、Rは置換基を表し、sは0〜4の整数を表し、※は結合部分を表す。複数のS1及びS2は各々同一でも異なっていてもよい。また、2重結合部分はシス型でもトランス型でもよい。一般式(C5−3)の波線は、一般式(C5−3)が一般式(C5−4)、一般式(C5−5)の両方の場合を表すことを意味する。
また、一般式(C5−1)において、L1、L2は2価の連結基を表し、好ましくは以下のような連結基を表し、各々置換基を有していてもよい。(※は結合部位を表す。)
上述の連結基の置換基としては、特に限定はないが、アルキル基(メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基等)、アルコキシ基(メトキシ基等)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)、アリール基(フェニル基等)が挙げられる。
一般式(C5−2)において、Ar1〜Ar3は2価のアリーレン基を表し、各々異なっていても同一でもよい。2価のアリーレン基としては、1,2−フェニレン、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、1,4−ナフチレン、2,6−ナフチレン、4,4′−ビフェニレン、3,3′−ビフェニレン、3,6−フェナンスレンが挙げられる。qは0〜6の整数を表す。また一般式(C5−2)の波線は、上述した一般式(C5−3)における波線と同義である。
以下に、本発明における一般式(C5−1)及び一般式(C5−2)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
次に本発明の一般式(C5−1)及び一般式(C5−2)で表される化合物の代表的な合成例を述べる。
合成例(化合物(C5−1))
〈化合物(A)の合成〉
3−ブロモベンジルホスホニウム塩5.5gを窒素雰囲気下、DMSO50mlに溶解し、室温で撹拌下、カリウム−t−ブトキシド1.33gを加え、1分間撹拌した後、1,3−ジホルミルベンゼン(イソフタルアルデヒド)657mgを加え、水にあけ、抽出、乾燥、濃縮した。これをカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物(A)を770mg(収率36%)得た。
〈化合物(B)の合成〉
化合物(A)1.17gを窒素雰囲気下、THF30mlに溶解し、−78℃でn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液3.9mlを滴下し、30分撹拌後、DMF4.4mlを加え、室温まで昇温した。反応溶液を水にあけ、抽出、乾燥、濃縮し、カラムクロマトグラフィーで精製し、化合物(B)を888mg(収率:ほぼ定量的)得た。
〈化合物(C5−1)の合成〉
亜鉛1.3gとヨウ化第一銅0.13gを減圧下加熱乾燥し、窒素置換した後、脱水ジメトキシエタン30mlを加え、続いて四塩化チタン1.1mlを加えた。反応が穏やかになってから、3時間還流した後氷冷し、0℃で化合物(B)338mgをジメトキシエタン10mlに溶かした溶液を滴下した。滴下終了後、終夜室温で撹拌し、続いて6時間還流した。反応溶液をアルミナカラムに通し、抽出、乾燥、濃縮した後、カラムクロマトグラフィーで精製し、化合物(C5−1)を無色粉末として226mg(収率74%)得た。
化合物(C5−1)の合成プロセスを次に示す。
合成例(化合物(C5−12))
〈化合物(C)の合成〉
4−ブロモベンジルホスホニウム塩4.2gを窒素雰囲気下、DMSO40mlに溶解し、室温で撹拌下、カリウム−t−ブトキシド1.01gを加え、1分撹拌した後、1,4−ジホルミルベンゼン(パラフタルアルデヒド)502mgを加え、水にあけ、抽出、乾燥、濃縮した。これをカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物(C)を490mg(収率30%)得た。
〈化合物(D)の合成〉
化合物(C)2.02gを窒素雰囲気下、THF60mlに溶解し、−78℃でn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液6.80mlを滴下し、30分撹拌後、DMF7.6mlを加え、室温まで昇温した。反応溶液を水にあけ、抽出、乾燥、濃縮し、カラムクロマトグラフィーで精製し、化合物(D)を1.45g(収率93%)得た。
〈化合物(C5−12)の合成〉
亜鉛3.9gとヨウ化第一銅0.39gを減圧下加熱乾燥し、窒素置換した後、脱水ジメトキシエタン45mlと脱水トルエン45mlの混合溶媒を加え、続いて四塩化チタン3.3mlを加えた。反応が穏やかになってから、3時間還流した後氷冷し、0℃で化合物(D)1.01gをジメトキシエタン30mlに溶かした溶液を滴下した。滴下終了後終夜室温で撹拌し、続いて6時間還流した。反応溶液をアルミナカラムに通し、抽出、乾燥、濃縮した後、カラムクロマトグラフィーで精製し、化合物(C5−12)を黄色粉末として484mg(収率53%)得た。
化合物(C5−12)の合成プロセスを次に示す。
合成例(化合物(C5−20))
〈化合物(E)の合成〉
3−ブロモ−5−t−ブチルベンジルホスホニウム塩2.4gを窒素雰囲気下、DMSO30mlに溶解し、室温で撹拌下、カリウム−t−ブトキシド500mgを加え、1分撹拌した後、1,4−ジホルミルベンゼン(パラフタルアルデヒド)270mgを加え、水にあけ、抽出、乾燥、濃縮した。これをカラムクロマトグラフィーで精製し化合物(E)を1.06g(収率96%)得た。
〈化合物(F)の合成〉
化合物(E)1.06gを窒素雰囲気下、THF30mlに溶解し、−78℃でn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液2.83mlを滴下し、30分撹拌後、DMF3.2mlを加え、室温まで昇温した。反応溶液を水にあけ、抽出、乾燥、濃縮し、カラムクロマトグラフィーで精製し化合物(F)を823mg(収率95%)得た。
〈化合物(C5−20)の合成〉
亜鉛1.3gとヨウ化第一銅0.13gを減圧下加熱乾燥し、窒素置換した後、脱水ジメトキシエタン15mlと脱水トルエン15mlの混合溶媒を加え、続いて四塩化チタン1.1mlを加えた。反応が穏やかになってから、3時間還流した後氷冷し、0℃で化合物(F)414mgをジメトキシエタン10mlに溶かした溶液を滴下した。滴下終了後終夜室温で撹拌し、続いて6時間還流した。反応溶液をアルミナカラムに通し、抽出、乾燥、濃縮した後、カラムクロマトグラフィーで精製し化合物(C5−20)を無色粉末として197mg(収率51%)得た。
化合物(C5−20)の合成プロセスを次に示す。
次いで、本発明において用いられる更に別の蛍光性化合物について説明する。
本発明者等は、有機エレクトロルミネッセンスに用いることのできる蛍光性化合物、特にホスト化合物として用いられる蛍光性化合物について鋭意検討を重ねた結果、素子の発光輝度と蛍光性化合物の分子中の窒素原子数と炭素原子数の比(N/C)に、ある対応関係があることを見出しており、その結果、N/Cがある程度小さい値をとる場合に、発光輝度のさらなる向上が認められた。これは、N/Cがある程度大きくなると、ホスト化合物の分子中の窒素原子の何らかの作用により発光輝度に限界が見られるものと推定される。したがって、例えば、燐光性化合物をドーパントに用いた有機EL素子の発光輝度を向上させるには、ホスト化合物のN/Cを小さくすることが有効であることが分かった。
本発明において、蛍光性化合物は光励起により2個の電子スピンが反平行の状態である励起一重項からの発光が観測される化合物のことであり、燐光性化合物は光励起により2個の電子スピンが平行の状態である励起三重項からの発光が観測される化合物である。ここで、本発明に記載の燐光性化合物では、前記蛍光性化合物の励起一重項状態、または、励起三重項状態からのエネルギー移動により、室温(15〜30℃)において励起三重項状態が形成されると考えられている。通常、燐光発光は77°Kの低温でしか観測不能と考えられていたが、近年室温で燐光発光を観測できる化合物が見出されてからは、多くの化合物がイリジウム錯体系など重金属錯体系化合物を中心に合成検討されている(例えば、S.Lamansky et al.,J.Am.Chem.Soc.,123巻、4304ページ、2001年)。
本発明において、蛍光性化合物の蛍光極大波長は、蛍光性化合物をガラス基板上に100nm蒸着したときの蒸着膜の蛍光スペクトルを測定した時の極大値である。
本発明において、蛍光性化合物と燐光性化合物の両方を含有する発光層をもつ有機エレクトロルミネッセンス素子において、分子中の窒素原子数と炭素原子数の比(N/C)が0以上0.05以下のホスト化合物を燐光性化合物と併用する場合に、特異的に発光輝度の向上が認められたため、本発明において、燐光性化合物のホストとして組み合わせる蛍光性化合物は、該分子中の窒素原子数と炭素原子数の比(N/C)が0以上0.05以下のものであることが好ましい。この理由については余り明確ではないが、前述のように窒素原子数と炭素原子数の比(N/C)がある程度大きくなると、ホスト化合物の分子中の窒素原子の何らかの作用により発光輝度に限界が見られるためと推定される。
また、本発明において、燐光性化合物のホストとして組み合わせる蛍光性化合物が、該分子中の窒素原子数と炭素原子数の比(N/C)が0より大きく0.03以下のものであると、特異的に発光寿命が長くなり好ましい。この理由については余り明確ではないが、ある程度以上の発光寿命を有するためには窒素原子を有するホスト化合物をもちいることが好ましいが、窒素原子数と炭素原子数の比(N/C)がある程度大きくなると窒素原子の何らかの作用により寿命に限界がみられるためと推定される。
本発明において、ドーパントとして組み込む燐光性化合物の燐光発光極大波長は、ホストの蛍光性化合物の蛍光極大波長に比べ、より長波であることが必要である。これによりドーパントとして組み込んだ燐光性化合物の励起三重項による発光を利用した有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子を得ることができる。従って、素子を構成した状態において電界発光により得られる発光極大波長は、該ホストとして用いた蛍光性化合物の単独での蛍光極大波長(蛍光性化合物をガラス上に100nm蒸着したときの蒸着膜で蛍光スペクトルを測定した時の極大値)よりも長波である。
本発明において、ホスト化合物として用いる蛍光性化合物の蛍光極大波長は350nmから440nmであることが好ましく、更に好ましいのは390nm〜410nmである。
又、低分子系の有機材料は、分子量が小さいと熱安定性が劣るため、発光輝度が十分ではない場合がある。本発明に用いる燐光性化合物のホストとなる蛍光性化合物は、熱安定性の観点から分子量が600以上であることが好ましく用いられる。
本発明の燐光性化合物は溶液中の燐光量子収率が、25℃において0.001以上である。好ましくは、0.01以上である。さらに好ましくは、0.1以上である。
以下に、励起三重項状態の量子収率φpの測定手段及びその理論について述べる。
励起一重項状態から基底状態へは無輻射遷移と蛍光放出により、それぞれ速度定数、ksn、kfで励起エネルギーを失う。この他に、励起三重項状態への遷移が速度定数、kiscで起き失活する。ここで、励起一重項状態の寿命、τsは次式で定義される。
τs=(ksn+kf+kisc)−1
また、蛍光の量子収率、φfは次式で定義される。
φf= kf・τs
励起三重項状態から基底状態へは無輻射遷移と燐光放出によりそれぞれ、速度定数、ktn、kpで失活する。また、励起三重項状態の寿命、τtは次式で定義される。
τt=(ktn+kp)−1
τtは10−6〜10−3秒であり、長いものは数秒に及ぶ場合もある。そして、燐光の量子収率、φpは励起三重項状態の生成の量子収率、φSTを用いて次のように定義される。
φp=φST・kp・τt
上記パラメータは、第4版実験化学講座7の分光IIの398ページ(1992年版、丸善)に記載の方法により測定することが出来る。上記パラメータ中、燐光性化合物の溶液中での燐光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明においては溶媒としてテトラヒドロフランを用いて測定を行ったものである。
本発明における置換基の立体パラメータEsとは、Taftによって定義された置換基定数であり、例えば「薬物の構造活性相関 化学の領域 増刊122号 南江堂社刊」に記載されている。特に本発明で言うEs値とは、水素原子を基準としたものであり、すなわちEs(H=0)の値であり、メチル基を基準としたEs(CH3=0)と定義したEs値から1.24差し引いた値を示す。その代表的な値を表1に示す。
本発明に用いる蛍光性化合物は、蛍光性化合物分子中の窒素原子数と炭素原子数の比(N/C)が0以上0.05以下である化合物をホスト化合物として燐光性化合物と併用することが好ましい。これにより、より発光輝度が高く、発光寿命にも優れた有機EL素子を提供することができるが、別の観点からみると、本発明においては燐光性化合物と組み合わせて用いるホスト化合物として、前記一般式(C6−I)〜(C6−V)で表される化合物を用いることが有用である。
以下に、本発明における一般式(C6−I)〜(C6−V)で表される化合物について詳しく説明する。
前記一般式(C6−I)において、nは0から3の整数を表し、R1及びR2は各々、置換基を表し、置換基として好ましくは、アルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、ヒドロキシエチル、メトキシメチル、トリフルオロメチル、t−ブチル等)、ハロゲン原子(弗素、塩素等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、ブトキシ等)が挙げられる。Arは置換基を有していても良い芳香族炭化水素環又は芳香族複素環基を表し、好ましくはナフチル、ビナフチル、キノリル、イソキノリル、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル等を表す。nが2以上の整数を表すとき、複数のR1、R2は同一であっても異なっていてもよい。
一般式(C6−II)においてn4、n5及びn6は各々0から7の整数を表す。一つ又は複数のR6、R7及びR8は各々アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ハロゲン、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環基の中から選ばれる置換基を表し、メチル基、ナフチル基が特に好ましい。
n4〜n6が2以上の整数を表すとき、複数のR6〜R8は同一であっても異なっていてもよい。
一般式(C6−III)において、R11〜R16、X1〜X9は水素原子又は置換基を表し、それぞれ異なっていても同一でも良い。R11〜R16で表される基としては、好ましくは、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、トリフルオロメチル基、t−ブチル基等)が挙げられる。ただし、R11〜R16のそれぞれの立体パラメータEsR11〜EsR16値の合計値は、EsR11+EsR12+EsR13+EsR14+EsR15+EsR16≦−2.0を満たす。尚、互いに隣接する置換基同士は縮合して環構造を形成していてもよい。X1〜X9で表される置換基としてはアルキル基、アリール基、複素環基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アミノ基等が好ましく、特にX2、X5、X8はアリール基又はアミノ基(特にジアリールアミノ基)であることがさらに好ましい。
一般式(C6−IV)において、R101〜R128はそれぞれ水素原子、または、置換基を表し、R101〜R104の少なくとも一つは置換基を表す。R101〜R128が置換基を表す場合、その置換として好ましくは、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロ−n−ブチル基、パーフルオロ−t−ブチル基、t−ブチル基等)、シクロアルキル基(例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アラルキル基(例えばベンジル基、2−フェネチル基等)、アリール基(例えばフェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基等)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ基等)、アリールアミノ基(例えば、ジフェニルアミノ基等)等が挙げられる。これらの基はさらに置換されていてもよく、前記置換基としては、ハロゲン原子、水素原子、トリフルオロメチル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、ジアルキルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジアリールアミノ基等が挙げられる。
一般式(C6−IV)において、R101〜R104の置換基としては、アルキル基が好ましく、中でも、R101〜R104のいずれか2つ、または、4つがメチル基であることがもっとも好ましい。
一般式(C6−V)において、R201〜R206はそれぞれ水素原子、または、置換基を表す。R201〜R206が置換基を表す場合、その置換基としては前記R101〜R128の例で挙げられている置換基が好ましい。さらに好ましくは、アリール基、または、置換アリール基であり、最も好ましくはフェニル基または、置換フェニル基である。
一般式(C6−I)〜(C6−V)で表される化合物の中でも、分子中の窒素原子数と炭素原子数の比(N/C)が0.05以下であることが好ましく、分子中の窒素原子数と炭素原子数の比(N/C)が0.03以下であることが最も好ましい。
以下に、本発明における一般式(C6−I)〜(C6−V)で表される化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
又、本発明に用いることのできる分子中の窒素原子数と炭素原子数の比(N/C)が0以上0.05以下である蛍光性化合物としては、前記一般式(C6−I)〜(C6−V)で表される化合物の他にも以下の様な化合物があげられる。
一般式(C7−1)〜(C7−3)で表される化合物について説明する。式中、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6は各々環を形成するに必要な原子群を表し、Z1、Z2のいずれか一方、Z3、Z4のいずれか一方、Z5、Z6のいずれか一方は、少なくとも置換または無置換の、7〜9員の非共役環であるか、または、このうち、Z1、Z2、Z5は、ヘテロ原子を2個以上有する共役の8員環である。Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6に置換基を有する場合、その置換基のσpは、−0.90以上0.50以下である。Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6で表される環を形成するに必要な原子群としては、3員以上の環であれば特に限定されるものではなく、炭素原子と水素原子のみで構成された炭化水素環でもよく、またヘテロ原子を含んでいる複素環でも良い。好ましくは5〜12員の環である。また7〜9員の非共役環は、炭素原子と水素原子のみで構成された炭化水素環でもよいし、ヘテロ原子を含んでいる複素環でも良いが、共役の8員環の場合は、ヘテロ原子が必ず2個以上含まれる。また、これらは任意の置換基を複数個それぞれ独立に有していてもよい。
また、一般式(C7−1)〜(C7−3)において、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6の両方が、置換または無置換の、7〜9員の非共役の環であるか、または、このうち、Z1、Z2、Z5はヘテロ原子を2個以上有する共役の8員環である場合であってもよい。
一般式(C7−1)〜(C7−3)におけるZ1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6は、単環でも縮合環でも良い。縮合環の場合は、複数の置換基が互いに縮合してさらに環を形成している場合であるが、単環であることが好ましい。n1、n2は1以上の整数、n3は0以上の整数である。n1、n2は1の場合が好ましく、n3は0の場合が好ましい。
また、前記一般式(C7−1)〜(C7−3)の、Z1〜Z6が下記一般式(C7−5)〜(C7−10)で表されることが好ましい。
式中、X1は−CRd=または−N=、Y1は−NRe−、−C(Rf)2−、−O−または−S−である。ただし、Rdはσpが−0.90以上0.50以下の置換基、Re、Rfは水素原子または置換基であり、m1は1〜3の整数、*は結合部位である。
前記一般式(C7−5)〜(C7−10)の、Rdはσpが−0.90以上0.30以下の置換基である
前記一般式(C7−5)〜(C7−10)の、Rdはσpが−0.90以上0.00以下の置換基である。
前記一般式(C7−5)〜(C7−10)において、m1=1である。
前記一般式(C7−1)または(C7−3)におけるZ1、Z2のうちいずれか一つ、または、Z5が下記一般式(C7−11)で表されることが好ましい。
式中、Rc1は水素原子または置換基であり、n4は1〜5の整数である。
前記一般式(C7−1)または(C7−3)におけるZ1、Z2のうちいずれか一つ、または、Z5は下記一般式(C7−12)で表されることが更に好ましい。
式中、Rc2、Rc3、Rc4は水素原子または置換基であり、n5は1〜4の整数である。
一般式(C7−1)〜(C7−3)において、Ra1、Ra2、Ra3、Ra4、Ra5、Ra6、Ra7はそれぞれ水素原子または置換基を表す。Ra1、Ra2、Ra3、Ra4、Ra5、Ra6、Ra7は、各々独立して、水素原子または置換基を表すが、Ra1〜Ra7で表される置換基としては、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロ−n−ブチル基、パーフルオロ−t−ブチル基、t−ブチル基等)、シクロアルキル基(例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アラルキル基(例えばベンジル基、2−フェネチル基等)、アリール基(例えばフェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基等)、アルコキシ基(例えばエトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ基等)、アミノ基(ジメチルアミノ基、ジアリールアミノ基)、水酸基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)等が挙げられる。これらの基はさらに置換されていてもよく、前記置換基としては、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、ジベンジルアミノ基、ジアリールアミノ基、ジアルキルアミノ基等が挙げられる。
Ra1〜Ra7は水素原子が好ましいが、置換基として好ましくは、アルキル基、アリール基である。
X1は−CRa=または−N=、Y1は−NRb−または−C(Rc)2−である。ただし、Raはσpが−0.90以上0.50以下の置換基、Rb、Rcは水素原子または置換基、mは1〜3の整数、*は結合部位である。
Rb、Rc及び一般式(C7−4)におけるRb1、Rb2、Rb3、Rb4、Rb5、Rb6は前記一般式(C7−1)におけるRa1、Ra2と同義である。
一般式(C7−4)におけるAで表される置換または無置換の、7〜9員の非共役環、または、ヘテロ原子を2個以上有する共役の8員環において、Aが置換基を有する場合、その置換基のσpは、−0.90以上、0.50以下であり、好ましくは下記一般式(C7−16)〜(C7−18)で表される。
式中、X2は−CRd1=または−N=、Y2は−NRe1−、−C(Rf1)2−、−O−または−S−である。ただし、Rd1、Re1、Rf1は水素原子または置換基であり、m2は1〜3の整数、*は結合部位である。
Rd1、Re1、Rf1が置換基を表す場合、その置換基のσpは、−0.90以上、0.50以下である。一般式(C7−11)、(C7−12)におけるRc1、Rc2、Rc3、Rc4は、前記一般式(C7−1)におけるRa1、Ra2と同義である。n4は1〜5の整数であり、n5は1〜4の整数である。
本発明において置換基のσp値が−0.9以上0.5以下の置換基の代表例としては、メチル基、エチル基、シクロプロピル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、シクロブチル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、n−ペンチル基、シクロヘキシル基、アミノ基(メチルアミノ基,オクチルアミノ基,アニリノ基,ジブチルアミノ基、アセチルアミノ基)、ウレイド基(例えばエチルウレイド基,オクチルウレイド基等)、ヒドロキシル基、アルキルオキシ基(メトキシ基,エトキシ基,プロポキシ基、ドデシルオキシ基,ベンジルオキシ基)ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、ホルミル基、カルバモイル基(例えば、カルバモイル、モルホリノカルバモイル、N−メチルカルバモイル等の各基)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等の各基)、アシル基(例えば、アセチル、ベンゾイル等の各基)等が挙げられる。
好ましくは、上記の置換基の中でも−0.9以上0.3以下の置換基であり、更に好ましくは、上記の置換基の中で−0.9以上0.0以下の置換基である。
σp値は、Hammett等によって安息香酸エステルの加水分解に及ぼす置換基の電子的効果から求められた置換基定数であり、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー23巻、420−427(1958)、実験化学講座14巻(丸善出版社)、フィジカル・オーガニック・ケミストリー(McGraw Hill Book社:1940),ドラックデザインVII巻(Academic Prees New York:1976)、薬物の構造活性相関(南江堂:1979)、ジャーナル・オブ・メディカルケミストリー(Journal of Medical Chemistry)第20巻、304頁、1977年、記載のC.ハンシュ(C.Hansch)等に詳しく記載されている。
また、本発明においては、前記一般式(C7−1)、(C7−2)または(C7−3)で表される化合物と共に、燐光性化合物(ドーパント若しくはゲスト化合物ともいう)或いは、素子となった状態での電界発光によって得られる発光波長が前記一般式(C7−1)、(C7−2)または(C7−3)で表される化合物の蛍光極大波長よりも長波である蛍光性化合物を用いることができる。
前記一般式(C7−1)、(C7−2)及び(C7−3)における、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6及びRa1、Ra2、Ra3、Ra4、Ra5、Ra6、Ra7は前記の定義に加えて、更にσpが−0.90以下0.50以上の置換基をも包含する。具体的には、シアノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基等が挙げられる。
以下に、これらの化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
本発明の化合物は、固体状態において強い蛍光を持つ化合物であり、電場発光性にも優れており、発光材料として有効に使用できる。
以下に本発明の化合物の合成方法を示す。
〈合成方法〉
1−ホルミル−1,3,5−シクロヘプタトリエン(1−1)を文献記載の方法(Bull.Chem.Soc.Jpn.の第66巻1号275ページ(1993年))で合成した。
ジメチル−p−トリルアミンを従来公知の方法でWittg試薬(1−2)とした。次に、(1−1)0.5gと(1−2)2gを窒素気流下でドライTHF100ml中に溶解し、攪拌しながらカリウム−t−ブトキシド0.5gを加えた。室温で4時間攪拌した後、一晩放置した。得られた混合物に酢酸エチルと水を加え、有機層を抽出した。硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去した。カラム精製を行い、本発明の化合物(C7−A−10)0.5gを得た(収率45%)。
〈合成方法〉
(2−1)5.0gとベンゾフェノン4.6gを、ジメチルスルホキシド100mlに溶解し、これにカリウム−t−ブトキシド2.8gを加え、窒素気流下、室温で4時間攪拌した後、一晩放置した。得られた混合物にメタノール100mlを加え、析出した結晶を濾過した。濾過生成物を水100mlで3回、続いてメタノール100mlで3回洗浄し、カラム精製を行い、本発明の化合物(C7−H−10)を3.0gを得た(収率30%)。
上記の化合物は、NMRスペクトルとマススペクトルで確認を行った。
本発明においてホスト化合物等に用いられる別の蛍光性化合物としては、分子内にホウ素原子を含有している化合物であり、好ましくは、前記一般式(C8−1)で表される化合物である。一般式(C8−1)において、Bはホウ素原子を表し、R11、R12およびR13は一価の置換基を表す。但し、R11、R12およびR13の少なくとも1つは芳香族基を表す。R11、R12、R13で表される一価の置換基としては、アルキル基(メチル基、エチル基、i−プロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基等)、アリール基(フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、i−プロポキシ基、ブトキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基等)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基、i−プロピルキオ基等)、アリールチオ基(フェニルチオ基等)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、シアノ基、ニトロ基、複素環基(ピロリル基、ピロリジル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基等)等が挙げられる。芳香族基としては上記アリール基およびヘテロアリール基(ピロリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル等)が挙げられる。好ましくは、R11、R12およびR13がすべて芳香族基である時である。
次に一般式(C8−2)について説明する。一般式(C8−2)においてBはホウ素原子を表し、Ar21およびAr22は芳香族基を表し、Aは2〜15価の基を表し、nは2〜15を表す。Ar21およびAr22で表される芳香族基は一般式(C8−1)と同様のものが挙げられる。また。Aで表される2〜15価の基とは、好ましくは、単環基、縮合多環基、または、単環もしくは縮合多環を含む芳香族単位が連結した基である、また、これらの環は炭素、酸素、窒素、イオウ原子からなる原子で連結された2〜15価の基でも良い。
Aの具体例としては、ベンゼン、トルエン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、フルオレン、ピレン、ペリレン、トリフェニレン、アズレン、フルオレノン、フラン、チオフェン、ピロール、ピリジン、オキサゾール、ピラジン、ピリミジン、オキサジアゾール、トリアゾール、インドール、キノリン、イソキノリン、カルバゾール、アクリジン、ベンゾチアゾール、フェナントロリン、キナクリドン等の置換もしくは未置換の芳香族環もしくは縮合芳香環の残基、さらには、ビフェニル、ターフェニル、ビナフチル、トリフェニルベンゼン、ジフェニルアントラセン、ルブレン、ビピリジン、ビキノリン、ビチオフェン、などの芳香環構造単位同士が直接連結した残基、スチルベン、ジフェニルメタン、ジフェニルエーテル、ベンゾフェノン、ジフェニルスルフィド、トリフェニルアミン等の芳香環構造単位同士が、非芳香環構造単位を介して連結した骨格を有する化合物の残基である。
次に、一般式(C8−3)について説明する。一般式(C8−3)において、Bはホウ素原子を表し、Ar31は単環の芳香族環を表し、R31、R32、R33およびR34は一価の置換基を表す。nは1〜5を表す。Ar31で表される単環の芳香族基の具体例としてはベンゼン、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イミダゾール、チアゾール、トリアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン等が挙げられる。また、これらの単環の芳香族基は更に置換されていてもよい。R41、R42、R43およびR44で表される一価の置換基としては一般式(C8−1)と同様のものが挙げられる。
一般式(C8−3)の化合物は、好ましくは一般式(C8−4)で表され、Ar41、Ar42、Ar43およびAr44で表される芳香族基は、一般式(C8−2)のAr21と同様のものが挙げられ、R45が一価の置換基の場合の例としては、一般式(C8−1)で例示した置換基と同様のものが挙げられる。
次に、一般式(C8−5)について説明する。Bはホウ素原子を表し、Cは炭素原子を表し、A51、A52、A53、A54、A55およびA56は炭素原子または窒素原子を表し、Z51、Z52およびZ53は芳香族環を形成するのに必要な原子群を表し、R51、R52、R53、R54、R55およびR56はそれぞれ独立に水素原子または一価の置換基を表し、R51〜R56のうち、少なくとも4つは置換基を表す。R57、R58およびR59はそれぞれ独立に水素原子または一価の置換基を表し、l3、n3およびm3はそれぞれ独立に0〜7を表す。Z51、Z52およびZ53で形成される芳香族環とは、一般式(C8−2)のAで例示した芳香族環もしくは縮合芳香環が挙げられる。また、R51〜R59で表される一価の置換基の例としては、一般式(C8−1)で例示した置換基と同様のものが挙げられる。
好ましくは、R51〜R56が全て一価の置換基である時であり、より好ましくは、R51〜R56がそれぞれ独立にアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基またはハロゲン原子である時である。
次に一般式(C8−6)について説明する。Ar61、Ar62、Ar63およびAr64は各々独立に置換又は無置換の芳香族基を表し、Q61は芳香族基を表し、n4は1〜5を表す。Ar61、Ar62、Ar63およびAr64で表される芳香族基は、一般式(C8−2)のAr21と同様のものが挙げられ、Q61で表される芳香族基は、一般式(C8−3)のAr31と同様のものが挙げられる。
また、ホスト化合物の分子量は600〜2000であることが好ましい。分子量が600〜2000であると、Tg(ガラス転移温度)が上昇し、熱安定性が向上し、素子寿命が改善される。より好ましくは分子量が800〜2000である。
以下に、具体的化合物例を示すが、これらに限定されるものではない。
これらの化合物は公知の方法によって製造が可能であるが、例えば特開2001−93670等に記載された方法を用いることができる。
本発明者等は、また、燐光性のドーパント化合物を含有する発光層と陰極間に形成される少なくとも1層を構成する蛍光性化合物について鋭意検討を重ねた結果、その蛍光極大波長、分子量、分子中の水素原子とフッ素原子の総和に対するフッ素原子の比(F/(H+F))が特定の値をとる場合に、発光輝度及び寿命の向上が得られることを見出した。具体的には、蛍光極大波長が415nm以下で、分子量が500〜2000で、分子中の水素原子とフッ素原子の総和に対するフッ素原子の比が0〜0.9である有機エレクトロルミネッセンス素子は発光輝度が高く寿命が長いことを見出した。
また、本発明の効果をより発現するためには、上記化合物の蛍光極大波長は405nm以下が好ましく、分子量は700〜2000が好ましく、分子中の水素原子とフッ素原子の総和に対するフッ素原子の比は0.1〜0.7が好ましい。さらに、発光層のホスト化合物の蛍光極大波長は415nm以下が好ましく、405nm以下がより好ましい。発光層と陽極間に形成される少なくとも1層を構成する化合物の蛍光極大波長は415nm以下が好ましい。
本発明においては、陰極と発光層間に少なくとも1層の電子輸送層が形成され、該電子輸送層に用いられる電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)が、蛍光極大波長が415nm以下で、分子量が500〜2000で、分子中の水素原子とフッ素原子の総和に対するフッ素原子の比(F/(H+F))が0〜0.9である電子輸送材料(以下、本発明における電子輸送材料ということがある)である。該電子輸送材料が、複数である場合、陰極側の発光層表面に隣接する電子輸送層が本発明における電子輸送材料から構成されることが好ましい。該電子輸送材料の例を以下に挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明に係る一般式(C9−1)で表される化合物(Siとカルバゾール誘導体から構成される化合物)について説明する。
一般式(C9−1)の式中、Rは水素または1価の置換基を表す。1価の置換基としては脂肪族炭化水素基、芳香族基、芳香族ヘテロ環基を表し、好ましくは脂肪族炭化水素基であり、より好ましくはアルキル基(メチル基、エチル基、i−プロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(ビニル基、プロペニル基、スチリル基等)である。
Lは2価の連結基を表し、炭素、ケイ素、窒素、ホウ素、酸素、硫黄、金属、金属イオン等で形成される連結基、縮合多環基、複素単環基または置換フェニル基である。好ましくは、炭素原子、窒素原子、ケイ素原子、ホウ素原子、酸素原子、硫黄原子、縮合多環基、複素単環基または置換フェニル基であり、さらに好ましくは、アルキル基(メチル基、エチル基、i−プロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(ビニル基、プロペニル基、スチリル基等)、アルキニル基(エチニル基等)、アルキルオキシ基(メトキシ基、エトキシ基、i−プロポキシ基、ブトキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基等)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基、i−プロピルキオ基等)、アリールチオ基(フェニルチオ基等)、アミノ基、アルキルアミノ基(ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチルメチルアミノ基等)、アリールアミノ基(アニリノ基、ジフェニルアミノ基等)、縮合多環基(ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ベンゾオキサゾール基、ベンゾチアゾール基、ベンゾイミダゾール基)、複素単環基(フリル基、チエニル基、ピロール基、ピリミジル基、ピラジン基、トリアジン基、ピロリジル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基等)及び置換フェニル基(トリル基、キシリル基、トリメチルフェニル基、テトラメチルフェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基)である。
Aは、カルバゾール環の活性部位に置換基を有する下記カルバゾール誘導体残基を表す。
式中、R1〜R9のうち1箇所がLと結合され、その残りのR1〜R9は水素原子または一価の置換基を表し、カルバゾール環の活性部位R4またはR7の少なくとも1つがフェニル基以外の一価の置換基で置換されている。R1〜R8で表される一価の置換基としては、アルキル基(メチル基、エチル基、i−プロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基等)、アリール基(置換フェニル基(トリル基、キシリル基、トリメチルフェニル基、テトラメチルフェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基)、ナフチル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基等)、アルケニル基(ビニル基、プロペニル基、スチリル基等)、アルキニル基(エチニル基等)、アルキルオキシ基(メトキシ基、エトキシ基、i−プロポキシ基、ブトキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基等)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基、i−プロピルキオ基等)、アリールチオ基(フェニルチオ基等)、アミノ基、アルキルアミノ基(ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチルメチルアミノ基等)、アリールアミノ基(アニリノ基、ジフェニルアミノ基等)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、シアノ基、ニトロ基、複素環基(ピロール基、ピロリジル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基等)、シリル基(トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、トリフェニルシリル基等)等が挙げられる。それぞれの置換基はさらに置換基を有していてもよい。また、置換基同士が結合し、環を形成してもよい。
本発明に係る一般式(C9−1)で表される化合物の分子量は350〜3000の範囲であることが好ましい。一般に、高性能な有機EL素子を作製するには真空蒸着法が可能で、かつ均一なアモルファスガラスを形成する材料を用いることが好ましい。化合物の構造によっても異なるが、分子量が350未満ではガラス転移点が低く耐熱性に乏しい有機EL素子しか作製できず、またガラス状態の安定性に欠けるため結晶化しやすいことから安定な有機EL素子が作製できない。一方、分子量が3000を超えると真空蒸発による製膜ができない傾向があり、高性能な有機EL素子を作製する上では問題となる。
以下に、具体的化合物例を示すが、本発明における化合物がこれらに限定されるものではない。
本発明に係る、一般式(C9−1)で表される化合物は従来公知の方法によって製造が可能である。以下に、例示した化合物C9−A−16について合成経路の一例を示すが、その他の化合物も同様の方法及び下記文献及び公知の合成法によって製造することが可能である。
Buchanan Tucker,J.Chem.Soc.,1958,2750
Steinhoff Henry,J.Org.Chem.,29,1964,2808
Spialter et al,J.Amer.Chem.Soc.,77,1955,6227
各化合物は、NMR(核磁気共鳴スペクトル)及びマススペクトルにより同定することができる。
一般式(C10−1)で表される化合物について説明する。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子とは、該素子を構成する少なくとも一つの層に前記一般式(C10−1)で表される化合物を少なくとも一つ含有するが、好ましくは上記の化合物が発光層に含有されることである。
特開2000−21572号公報、同2002−8860号公報において、カルバゾール誘導体の分子の真中のビアリール部位に連結基を導入している。ここに記載の化合物から、特定の連結基を残して、その連結基を互いにつないでいるアリール基を省略した分子構造とした場合に、有機EL素子材料としての特性が著しく改善される場合があることが分かった。
これらの連結基は非芳香族系の環状連結基である。具体的には、下記一般式(a)〜(g)に記載の基である。
式中、R101〜R110、R111〜R118、R201〜R208、R301〜R308、R401〜R408、R211〜R216、R311〜R316はそれぞれ水素原子または置換基を表す。*は連結部位を表す。
このようなカルバゾール誘導体を有機EL素子材料として評価した結果、発光効率、及び発光寿命の改善効果が見られた。これは、カルバゾリル基を非芳香族系の環状連結基で連結させることにより化合物の特性が改善され、安定化効果が大きくなるものと推察している。
一般式(C10−1)において、−A1は一般式(C10−2)で表され、同一でも異なっていてもよい。式中、X1は非芳香族系の環状連結基であり、好ましくは一般式(a)〜(g)で表される基を表す。一般式(a)〜(g)において*は連結する部位を表す。nは1〜4の整数であり、好ましくはnは2〜4の整数である。但し、X1が一般式(a)〜(g)で表される基を表すときには、nは2または4である。
一般式(C10−2)において、R1、R2は各々独立して、水素原子または置換基を表す。R1、R2が置換基を表す場合、その置換基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、t−ブチル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アラルキル基(例えば、ベンジル基、2−フェネチル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基、メシチル基等)、アルコキシ基(例えば、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基等)、シアノ基、水酸基、アルケニル基(例えば、ビニル基等)、スチリル基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子等)、複素環基(例えば、ピロリル基、ピリジル基、フリル基、チエニル基等)等が挙げられる。これらの基は更に置換されていてもよい。R1、R2が置換基を表す場合、好ましくはアルキル基、アルコキシ基またはアリール基である。
na、nbは0〜4の整数である。
連結基である一般式(a)〜(g)について説明する。
R101〜R110、R111〜R118、R201〜R208、R301〜R308、R401〜R408、R211〜R216、R311〜R316は、それぞれ水素原子または置換基を表す。R101〜R110、R111〜R118、R201〜R208、R301〜R308、R401〜R408、R211〜R216、R311〜R316が置換基を表す場合、その置換基はR1、R2で述べた置換基と同義である。好ましくはアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基等)等が挙げられる。
一般式(a)〜(g)で好ましくは(a)である。
これらの化合物は、カルバゾリル基の任意の部分で互いに多量化してもよい。多量化する場合、任意の二価の連結基を介してもよいし、直接結合してもよい。多量化することによって、分子の熱安定性が向上するため、素子特性の向上にさらなる寄与が得られる。二価の連結基として、好ましくは置換または無置換のアリーレン基である。
以下に、本発明の化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。カルバゾリル基が2個で、非芳香族系の環状連結基がX11のとき、その構造及びX11の具体例は下記で示される。更に、具体的カルバゾリル基はカルバゾリル基部分のR12〜R26基の組み合わせでC−1〜C−8の如く表される。従って、本発明の化合物の具体例はC−1〜C−8とA−1〜A−15の全ての組み合わせであり、本発明の例示化合物は例示(C−1)(A−3)の如く表される。
カルバゾリル基が4個で、非芳香族系の環状連結基がX21のとき、その構造及びX21の具体例は下記で示される。更に、具体的カルバゾリル基はカルバゾリル基部分のR31〜R62基の組み合わせでD−1〜D−9の如く表される。従って、本発明の化合物の具体例はD−1〜D−9とB−1〜B−7の全ての組み合わせであり、本発明の例示化合物は例示(D−2)(B−5)の如く表される。
また、上記組み合わせで表現されない本発明の具体的化合物として、以下が挙げられる。
本発明の化合物の代表的製造例を以下に示す。その他の化合物についても同様の方法により製造することができる。
合成例:例示(C−1)(A−9)の合成
1,1′−ジブロモシクロヘキサン2.0g、カルバゾール2.8g及びカリウム−t−ブトキシド1.9gをジメチルホルムアミドに溶解し、9時間加熱還流した。反応終了後、有機層を抽出し、カラム精製を行った。精製後の化合物を酢酸エチルで再結晶し、白色の例示(C−1)(A−9)を得た(収率52%)。NMRスペクトル、マススペクトルにより例示(C−1)(A−9)であることを確認した。
合成例:例示(D−1)(B−1)の合成
化合物(B)とカルバゾールを合成例1と同様の方法により反応させ、例示(D−1)(B−1)を得た。NMRスペクトル、マススペクトルにより例示(D−1)(B−1)であることを確認した。
合成例:例示1の合成
3−ブロモカルバゾールとカルバゾールと1,1′−ジブロモシクロヘキサンを合成例1と同様の方法により反応させ、化合物(C)を得た。化合物(C)を従来公知の方法により、ボロン酸に変更した(化合物D)。化合物(C)と化合物(D)をテトラヒドロフラン中、塩基の存在下、パラジウム触媒を用いて20時間加熱還流させた。反応終了後、有機層を抽出し、カラム精製を行った。精製後の化合物をトルエンで再結晶させると、白色の例示1を得ることができる。
一般式(C11−1)で表されるカルバゾール誘導体化合物について詳しく説明する。
一般式(C11−1)におけるAは、芳香環残基を表し、その例としてはベンゼン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−トリアジン、ピロール、イミダゾール、フラン、チオフェン、アズレン等が挙げられる。さらに、これらの芳香環残基の任意の組み合わせによる縮合芳香環残基であってもよく、こうした縮合芳香環残基の例としてはナフタレン、アントラセン、ジチエノベンゼン、カルバゾール、キノリン等を挙げることができるが、縮合していない単環式の芳香環残基である方がより好ましい。これらの芳香環残基は置換基を有していてもよく、置換基の例としてはアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、(t)ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、プロパルギル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、複素環基(例えば、ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、フリル基、ピロリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、セレナゾリル基、スルホラニル基、ピペリジニル基、ピラゾリル基、テトラゾリル基等)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子等)、アルコキシル基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシル基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基またはアリールスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子等が挙げられる。なおこれらの基は、更に上記の置換基によって置換されていてもよいし、また、それらが互いに縮合して更に環を形成してもよい。
一般式(C11−1)においてR1〜R8はいずれも水素原子または置換基を表し、これらが同時に水素原子であることはなく、すなわち一般式1のAに結合しているのはカルバゾール誘導体残基である。置換基の例としては前記一般式(C11−1)のAに結合しうる置換基の例と同様であるが、R2〜R7については水素原子、脂肪族基、脂肪族オキシ基、脂肪族チオ基、芳香族基、芳香族オキシ基、芳香族チオ基であることが好ましく、さらにはR2、R3、R6、R7の少なくともいずれかに置換基を有している場合がより好ましい。またR1及びR8としては水素原子、ハロゲン原子、フッ化アルキル基のいずれかであることが好ましい。
一般式1においてnは自然数を表し、nが2以上である場合には、Aで表される芳香環骨格に複数のカルバゾール誘導体残基が結合することになるが、この場合複数のカルバゾール誘導体残基は同じであっても異なっていてもよい。
本発明に係る化合物は、後述する有機EL素子の正孔輸送層、電子輸送層、発光層のいずれに用いることも可能であるが、好ましくは電子輸送層または発光層、特に好ましくは発光層において燐光発光性化合物へエネルギーを移動させて自身は発光することのない、当業に従事する技術者に「ホスト化合物」として知られる材料として用いた場合、量子効率と発光輝度に優れ、特に耐久性について高い性能を示す有機EL素子を作製することができる。本発明に係る化合物が公知の材料に対して優れた特性を示すことができる理由または動作機構については明らかではないが、置換基を有していないカルバゾール残基が有機EL素子としての動作時または保存時、特に動作時において電気的・熱的エネルギーにより分解するためか、または励起状態において好ましからざる化学反応を生じて分解するために、材料としての安定性を損なっているのではないかと推測される。本発明に係る化合物は置換基を有することによって、このような不安定性を減じることができ、これにより耐久性の高い有機EL素子の作製に好適なのではないかと考えられる。
以下にZ01〜Z24として、本発明に係る化合物の部分構造をなすカルバゾール誘導体残基の例を示し、これらを部分構造とする本発明に係る化合物の例をC11−1〜C11−63として示した。しかしながら、本発明の態様がこれらZ01〜Z24及びC11−1〜C11−63の構造によって限定されるものではない。
また、本発明に係る化合物の分子量は600〜2000であることが好ましい。分子量が600〜2000であるとTg(ガラス転移温度)が上昇し、熱安定性が向上し、素子寿命が改善される。より好ましい分子量は800〜2000である。
本発明に係る化合物は、Tetrahedron Lett.,39(1998),2367−2370ページ、日本国特許3161360号、Angew.Chem.Int.Ed.,37(1998),2046−2067ページ、Tetrahedron Lett.,41(2000),481−484ページ、Synth.Commun.,11(7),(1981),513−519ページ、及びChem.Rev.,2002,102,1359−1469ページ等に記載の合成反応等、当業に従事する技術者には周知の合成方法によって製造することができる。以下に、例示した化合物C11−1及びC11−21について合成経路の一例を示すが、その他の化合物も同様の方法及び前記文献及び公知の合成法によって製造することが可能である。
本発明に係る一般式(C12−1)で表される化合物(Siとカルバゾール誘導体から構成される化合物)について説明する。
一般式(C12−1)の式中、Rは水素原子又は置換基を表す。置換基としては脂肪族炭化水素基、芳香族基、芳香族ヘテロ環基を表し、好ましくは脂肪族炭化水素基であり、より好ましくはアルキル基(メチル基、エチル基、i−プロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(ビニル基、プロペニル基、スチリル基等)である。これらのアルキル基は置換基を有してもよい。
Lは単なる結合手又は置換基を有さないフェニレン基を表す。
Aはカルバゾール残基を表し、Lとの結合部位がカルバゾール骨格のN位である場合は、カルバゾール残基の少なくとも一つ以上の置換箇所に、それぞれ置換基を有してもよいアルキル基(メチル基、エチル基、i−プロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等。ただし、カルバゾール環の2位と7位に置換する場合はt−ブチル基であることはない)、アルキルオキシ基(メトキシ基、エトキシ基、i−プロポキシ基、ブトキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基等)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基、i−プロピルキオ基等)、アリールチオ基(フェニルチオ基等)、アルキルアミノ基(ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチルメチルアミノ基等)、アリールアミノ基(アニリノ基、ジフェニルアミノ基等)若しくは複素環基(フリル基、チエニル基、ピロール基、ピリミジル基、ピラジン基、トリアジン基、ピロリジル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基等)又は置換基を有するフェニル基(トリル基、キシリル基、トリメチルフェニル基、テトラメチルフェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基等)又はアミノ基が置換されている。また、Lとの結合がカルバゾール骨格のN位以外である場合は、N位にはそれぞれ置換基を有してもよい分岐アルキル基(i−プロピル基、s−ブチル基、t−ブチル基、t−アミル基等)、アルキルオキシ基(メトキシ基、エトキシ基、i−プロポキシ基、ブトキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基等)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基、i−プロピルキオ基等)、アリールチオ基(フェニルチオ基等)、アルキルアミノ基(ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチルメチルアミノ基等)、アリールアミノ基(アニリノ基、ジフェニルアミノ基等)若しくは複素環基(フリル基、チエニル基、ピロール基、ピリミジル基、ピラジン基、トリアジン基、ピロリジル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基等)又は置換基を有するフェニル基(トリル基、キシリル基、トリメチルフェニル基、テトラメチルフェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基等)又はアミノ基が置換されている。nは3又は4の整数を表すが、4が好ましい。
高性能有機EL素子を作製するためには、一般的に真空蒸着法が可能で、かつ、均一なアモルファスガラスを形成する材料を使用することが望ましい。使用される材料の分子量が350未満であると、ガラス転移温度が低く耐熱性に乏しい素子しか作製できず、また、ガラス状態の安定性に欠けるために結晶化しやすいことから、安定な素子を作製できない等の問題がある。一方、分子量が3000を超えるような高分子量では、真空蒸着による成膜ができない傾向があり、高性能有機ELを作製する上では問題となっている。
以下に、具体的化合物例を示すが、本発明における化合物がこれらに限定されるものではない。
上記一般式(C12−1)で表される化合物は、有機EL素子を構成する、下記に示すような何れかの層(例えば、正孔輸送層、発光層、正孔ブロック層、電子輸送層等)に含有していてもよいが、特に、後述するようにホスト化合物として発光層に含有する場合、または、発光層に隣接する層に含有する場合に、更に、高発光輝度、高発光効率を示し、かつ、耐久性が向上した有機EL素子が提供できることがわかった。
本発明に係る一般式(C12−1)で表される化合物の、有機EL素子を構成するいずれか1層中での含有量としては、50質量%以上であることが好ましく、更に好ましくは、80〜95質量%であり、特に好ましくは、90〜95質量%である。
本発明に係る、一般式(C12−1)で表される化合物は従来公知の方法によって製造が可能である。以下に、例示した化合物C12−A−1について合成経路の一例を示すが、その他の化合物も同様の方法及び下記文献及び公知の合成法によって製造することが可能である。
Buchanan Tucker,J.Chem.Soc.,1958,2750
Steinhoff Henry,J.Org.Chem.,29,1964,2808
Spialter et al,J.Amer.Chem.Soc.,77,1955,6227
各化合物は、NMR(核磁気共鳴スペクトル)及びマススペクトルにより同定することができる。
一般式(D1−1)〜(D1−4)で表される化合物について説明する。
一般式(D1−1)において、X11、X12、X13、X14はC−RaまたはNを表し、X11、X12、X13、X14の少なくとも一つはNを表す。一般式(D1−3)において、X31、X32はC−RbまたはNを表し、X31、X32の少なくとも一つはNを表す。
一般式(D1−1)〜(D1−4)において、Ra、Rb、R23、R24、R43、R44、R45、R46は各々独立して、水素原子または置換基を表す。R11、R12、R21、R22、R31、R32、R41、R42は置換基を表す。
一般式(D1−3)おいて、Z1は環を形成するのに必要な原子群を表す。Z1で表される環を形成するに必要な原子群としては、3員以上の環であれば特に限定されるものではなく、炭素原子と水素原子のみで構成された炭化水素環でもよく、またヘテロ原子を含んでいる複素環でもよい。好ましくは5〜7員の環である。また、これらは任意の置換基を複数個それぞれ独立に有していてもよい。
一般式(D1−1)〜(D1−4)において、Ra、Rb、R23、R24、R43、R44、R45、R46、R11、R12、R21、R22、R31、R32、R41、R42が置換基を表す場合、その置換基としては、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロ−n−ブチル基、パーフルオロ−t−ブチル基、t−ブチル基等)、シクロアルキル基(例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アラルキル基(例えばベンジル基、2−フェネチル基等)、アリール基(例えばフェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基等)、アルコキシ基(例えばエトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ基等)、シアノ基、水酸基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)等が挙げられる。これらの基はさらに置換されていてもい。
一般式(D1−1)〜(D1−4)において、R11、R12、R21、R22、R31、R32、R41、R42がアルキル基またはアリール基である場合が最も好ましい。
次に、一般式(D1−5)〜(D1−8)で表される化合物について説明する。
一般式(D1−5)において、Arは芳香族環、Aは非共役の複素環、n1は2〜6の整数を表す。
一般式(D1−6)において、Bは非共役の複素環、n2は2〜6の整数を表す。Arで表される芳香族環としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、トリアジン、フラン、チオフェン、ピロール等が挙げられる。A、Bで表される非共役の複素環としては、3員以上の非共役の複素環であれば特に限定されるものではない。好ましくは5〜7員の非共役の複素環であり、最も好ましくは5員の非共役の複素環である。また、これらは任意の置換基を複数個それぞれ独立に有していてもよい。本発明でいうところの非共役の複素環とは、複素環化合物のうち共役の複素環化合物を除いた共役していない複素環化合物を表す。
一般式(D1−6)において、n2は2または3であることが好ましい。一般式(6)で表される化合物のうち、Bは一般式(D1−7)または(D1−8)で表されることが好ましい。特に一般式(D1−7)で表されることが好ましい。
式中、X61、X62、X63はC−RcまたはNを表し、X61、X62、X63の少なくとも一つはNを表す。Rcは水素原子または置換基を、R61、R62は置換基を表す。*はベンゼン環との結合部位を表す。
式中、X71、X72、X73はC−RdまたはNを表し、X71、X72、X73の少なくとも一つはNを表す。Rdは水素原子または置換基を、R71、R72は置換基を表す。*はベンゼン環との結合部位を表す。
一般式(D1−7)、(D1−8)において、X61、X62、X63はC−RcまたはNを表し、X61、X62、X63の少なくとも一つはNを表す。X71、X72、X73はC−RdまたはNを表し、X71、X72、X73の少なくとも一つはNを表す。Rc、Rdは各々独立して、水素原子または置換基を表す。R61、R62、R71、R72は置換基を表す。*はベンゼン環との結合部位を表す。Rc、Rd、R61、R62、R71、R72が置換基を表す場合の置換基は、一般式(D1−1)〜(D1−4)で示した置換基と同義である。
一般式(D1−1)〜(D1−6)で表される化合物の具体例を以下に示す。
これらの化合物の代表的製造例を以下に示す。その他の化合物についても同様の方法により製造することができる。
(合成例) 化合物(D1−2−1)の合成
化合物(2)40gとNaH17gを窒素気流下で、脱水トルエン300mlに溶解し60度に保った。この溶液に、化合物(1)37gを脱水トルエン100mlに溶解したものを滴下し、8時間加熱還流をした。その後、反応液に水を徐々に添加し、濃硫酸で中和した。酢酸エチルとテトラヒドロフランと水で分液後、有機層を抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去してから、トルエンで再結晶すると、化合物(3)20gを得た。
化合物(3)20gをアセトン250mlに溶解して、炭酸カリウム29g、ヨードメタン30gを加え、1.5日間室温で攪拌した。アセトンを減圧留去後、反応液を中和した。酢酸エチルとテトラヒドロフランと水を添加後、有機層を抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。酢酸エチル:ヘキサンが1:15の溶離液でカラム精製し、化合物(4)9.7gを得た。
化合物(4)5gとヒドラジン一水和物0.8gをジクロロエタンに溶解し、7時間加熱還流し、化合物(5)3.5gを得た。
化合物(5)3gをテトラヒドロフラン60ml−水5mlからなる2層系の溶媒中、炭酸カリウム、パラジウム触媒の存在下、1.3gのフェニルボロン酸と反応させることで2.0gの化合物(D1−2−1)を得た。NMR(核磁気共鳴スペクトル)及びマススペクトルにより目的物であることを確認した。
一般式(D2−1)〜(D2−3)で表される化合物について説明する。
前記一般式(D2−1)〜(D2−3)において、Z1〜Z3は各々非共役な7員環を形成するに必要な原子群を表す。Z1〜Z3は各々置換基を有していても良い。X11〜XX14は各々C−Ra又は窒素原子を表す。又、一般式(D2−1)〜(D2−3)において、Ra、R11〜R14は各々独立して、水素原子又は置換基を表す。Ra、R11〜R14が各々置換基を表す場合、その置換基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロ−n−ブチル基、パーフルオロ−t−ブチル基、t−ブチル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アラルキル基(例えば、ベンジル基、2−フェネチル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基等)、アルコキシ基(例えば、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基等)、シアノ基、水酸基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)等が挙げられる。これらの基は、更に置換されていてもよい。
前記一般式(D2−3)において、R21、R22は、各々σpが−0.5以上、0.0以下の置換基である。
本発明において、置換基のσp値が−0.5以上、0.0以下の置換基の代表例としては、メチル基、エチル基、シクロプロピル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、シクロブチル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、n−ペンチル基、シクロヘキシル基、ヒドロキシル基、アルキルオキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ドデシルオキシ基、ベンジルオキシ基)等が挙げられる。
σp値は、Hammett等によって安息香酸エステルの加水分解に及ぼす置換基の電子的効果から求められた置換基定数であり、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー23巻、420〜427頁(1958)、実験化学講座14巻(丸善出版社)、フィジカル・オーガニック・ケミストリー(McGraw Hill Book社:1940),ドラックデザインVII巻(Academic Prees New York:1976)、薬物の構造活性相関(南江堂:1979)、ジャーナル・オブ・メディカルケミストリー(Journal of Medical Chemistry)第20巻、304頁、1977年、記載のC.ハンシュ(C.Hansch)等に詳しく記載されている。
次いで、請求項4〜6に係る一般式(D2−4)〜(D2−6)で表される化合物について説明する。
前記一般式(D2−4)において、X21〜X24は各々C−Rb又は窒素原子を表す。又、一般式(D2−4)〜(D2−6)において、Rb、R31〜R34、R41〜R48、R53〜R56は、各々独立して、水素原子又は置換基を表す。Rb、R31〜R34、R41〜R48、R53〜R56が、各々置換基を表す場合、その置換基としては、前述の一般式(D2−1)〜(D2−3)で示した置換基と同義である。
前記一般式(D2−6)において、R51、R52は、各々σpが−0.5以上、0.0以下の置換基である。具体的には、前述の一般式(D2−3)におけるR21、R22と同義である。
前記一般式(D2−4)〜(D2−6)において、好ましくは、R31、R32、R45、R46、R53、R54が各々アリール基である場合が好ましい。
以下に、前記一般式(D2−1)〜(D2−6)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明に係る上記化合物の代表的製造例を以下に示す。その他の化合物についても同様の方法により製造することができる。
(合成例:例示化合物D2−5−8の合成)
化合物(2)の40gとNaHの17gとを窒素気流下で、脱水トルエン300mlに溶解し60度に保った。この溶液に、化合物(1)の37gを脱水トルエン100mlに溶解したものを滴下した。滴下終了後、一昼夜攪拌をした。その後、反応液に濃硫酸を添加して中和した後、酢酸エチルと水で分液した。有機層を抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去してから、トルエンで再結晶して、化合物(3)を20g得た。
化合物(3)の15gと化合物(4)の5gとをエタノール200ml、酢酸10mlの溶液に溶解し、4時間加熱攪拌した。反応液を冷やしてから、濃塩酸を10ml添加した。一昼夜冷蔵庫に保管した後、生成した沈殿物をろ過して化合物(5)を8g得た。
化合物(5)の5gを、テトラヒドロフラン60ml−水5mlからなる2層系の溶媒中で、炭酸カリウム、パラジウム触媒の存在下、3.5gのフェニルボロン酸(6)と反応させることで、3.1gの例示化合物D2−5−8を得た。NMR(核磁気共鳴スペクトル)及びマススペクトルにより目的物であることを確認した。
一般式(D3−1)〜(D3−6)で表される化合物について説明する。
一般式(D3−1)において、式中、A1とA2は一般式(A)から(G)で表される部分構造から選ばれる基であり、同一でも異なっていても良い。B0は炭素原子数を少なくとも7個以上有する二価の連結基である。一般式(A)において、B1とB2の中のいずれか一つが、B0に相当し、その他は一価の置換基である。n1は0から4の整数である。一般式(B)において、B3とB4の中のいずれか一つが、B0に相当し、その他は一価の置換基である。n2は0から3の整数である。一般式(C)において、B5とB6の中のいずれか一つが、B0に相当し、その他は一価の置換基である。n3は0から3の整数である。一般式(D)において、B7とB8の中のいずれか一つが、B0に相当し、その他は一価の置換基である。n4は0から2の整数である。一般式(E)において、B9とB10の中のいずれか一つが、B0に相当し、その他は一価の置換基である。n5は0から2の整数である。一般式(F)において、B11とB12の中のいずれか一方が、B0に相当し、一方は一価の置換基である。一般式(G)において、B13とB14の中のいずれか一方が、B0に相当し、一方は一価の置換基である。なお、一般式(A)〜(E)において、一価の置換基はそれぞれ互いに縮合して環を形成することはない。
一般式(A)〜(G)において、B0であることが好ましいのは、それぞれB2、B4、B6、B8、B10、B12、B14である。
本発明の一般式(D3−1)〜(D3−6)で表される化合物について説明する。式中、X11、X12、X13、X14、X15は二価の基を表し、X11、X12は炭素原子を少なくとも13個以上有する。又、X13、X14、X15も炭素原子を少なくとも13個以上有するものが好ましい。具体的には、アルキレン基、アリーレン基、複素アリーレン基、酸素原子、硫黄原子、及びこれらの組み合わせ等が挙げられる。好ましくは、アリーレン基、連結基(i)又は(ii)を挙げることができる。
連結基(i)、(ii)において、Ar1、Ar2、Ar3、Ar4はアリーレン基を表す。Ra、Rb、Rcはアルキル基を表す。nは0〜10の整数を表す。連結基(i)、(ii)において、連結する部位はAr1、Ar2及びAr3、Ar4である。
又、一般式(D3−1)〜(D3−6)において、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R31、R32、R33、R34、R35、R36、R41、R42、R43、R44、R51、R52、R53又はR54は、各々独立して、水素原子、又は置換基を表す。
ただし、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18はそれぞれ互いに縮合して環を形成することはない。以下同様に、R21〜R26、R31〜R36、R41〜R44、及びR51〜R54もそれぞれ互いに縮合して環を形成することはない。
R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R31、R32、R33、R34、R35、R36、R41、R42、R43、R44、R51、R52、R53又はR54が、置換基を表す場合、その置換基としては、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロ−n−ブチル基、パーフルオロ−t−ブチル基、t−ブチル基等)、シクロアルキル基(例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アラルキル基(例えばベンジル基、2−フェネチル基等)、アリール基(例えばフェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基等)、アルコキシ基(例えばエトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ基等)、シアノ基、水酸基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)等が挙げられる。これらの基はさらに置換されていてもよい。
一般式(D3−2)において、R11、R14、R15、R18のうち少なくとも二つはアリール基である場合が好ましい。また、一般式(3)において、R21、R23、R24、R26のうち少なくとも二つはアリール基である場合が好ましい。
R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R31、R32、R33、R34、R35、R36、R41、R42、R43、R44、R51、R52、R53又はR54が置換基を表す場合、好ましくは、アルキル基、又はアリール基である。
以下に、本発明の一般式(D3−1)〜(D3−6)で表される化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
本発明の化合物の代表的製造例を以下に示す。その他の化合物についても同様の方法により製造することができる。
(合成例) 化合物(D3−1−2)の合成
オルトトリジン5.0gと2,5ヘキサンジオン5.0gを酢酸50mlに溶解し3時間加熱攪拌した。反応終了後、反応液に、酢酸エチル、水を加えて有機層を抽出した。硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去してからカラムクロマトグラフィーで精製した後、アセトニトリルで再結晶し、化合物(D3−1−2)を6.9g得た(収率80%)。
NMRスペクトル、マススペクトルにより化合物(D3−1−2)であることを確認した。
(合成例) 化合物(D3−1−8)の合成
合成例1において、2,5ヘキサンジオンを1,2ジベンゾイルエタンに変更した以外は、合成例1にのっとって化合物(1−8)を合成した。
NMRスペクトル、マススペクトルにより化合物(1−8)であることを確認した。
(合成例) 化合物(D3−8−1)の合成
シクロヘキサノン20gとアニリン38gを濃塩酸中で40時間加熱還流した。反応液を中和後、反応液に、酢酸エチル、水を加えて有機層を抽出した。硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去してからカラムクロマトグラフィーで精製しアミン化合物を31g得た。該アミン化合物と1,2ジベンゾイルエタンを合成例2にのっとって合成し化合物(D3−8−1)を得た。
NMRスペクトル、マススペクトルにより化合物(D3−8−1)であることを確認した。
以下に、本発明の一般式(E1−1)、(E1−5)で表される化合物について詳しく説明する。
前記一般式(E1−1)中、X1〜X12は水素原子又は置換基を表し各々異なっていても同一でも良く、X1、X4、X5、X8、X9及びX12のうち少なくとも一つは置換基を表す。置換基として好ましくは、アルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、ヒドロキシエチル、メトキシメチル、トリフルオロメチル、t−ブチル等)、ハロゲン原子(弗素、塩素等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、ブトキシ等)が挙げられる。A1〜A3は置換又は無置換の芳香族炭化水素基を表し、各々異なっていても同一でも良く、好ましくはフェニル、ビフェニル、ナフチル、ビナフチル、フェナンスリル等を表す。
前記一般式(E1−1)中、好ましくはX1、X5、及びX9は置換基を表す。置換基として好ましくは、アルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、ヒドロキシエチル、メトキシメチル、トリフルオロメチル、t−ブチル等)、ハロゲン原子(弗素、塩素等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、ブトキシ等)が挙げられる。
前記一般式(E1−1)中、但し、X1、X4、X5、X8、X9及びX12のそれぞれの立体パラメータEsX1、EsX4、EsX5、EsX8、EsX9及びEsX12値の合計値は、EsX1+EsX4+EsX5+EsX8+EsX9+EsX12≦−1.3を満たすものも好ましい。
A1〜A3は下記一般式(E1−2)で表される基を表し、各々異なっていても同一でも良い。
式中、Ar2及びAr3は置換又は無置換の芳香族炭化水素基を表し、各々異なっていても同一でも良く、好ましくは置換又は無置換のフェニル基を表す。
また、一般式(E1−2)におけるAr2及びAr3はA1〜A3はまた、好ましくは、下記一般式(E1−3)で表される基を表し、各々異なっていても同一でも良い。
一般式(E1−3)中、X17〜X21は水素原子又は置換基を表し、置換として好ましくは、アルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、ヒドロキシエチル、メトキシメチル、トリフルオロメチル、t−ブチル等)、ハロゲン原子(弗素、塩素等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、ブトキシ等)が挙げられる。
前記一般式(E1−1)中、X1〜X12は水素原子又は置換基を表し各々異なっていても同一でも良く、X1、X4、X5、X8、X9及びX12のうち少なくとも一つは置換基を表す。置換基として好ましくは、アルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、ヒドロキシエチル、メトキシメチル、トリフルオロメチル、t−ブチル等)、ハロゲン原子(弗素、塩素等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、ブトキシ等)が挙げられる。
前記一般式(E1−1)のA1〜A3は、また好ましくは、下記一般式(E1−4)で表される基を表し、各々異なっていても同一でも良い。
式中、Ar4及びAr5は置換又は無置換の芳香族炭化水素基を表し、各々異なっていても同一でも良い。また、X13〜X16は水素原子又は置換基を表し、各々異なっていても同一でも良い。置換基として好ましくは、アルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、ヒドロキシエチル、メトキシメチル、トリフルオロメチル、t−ブチル等)、ハロゲン原子(弗素、塩素等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、ブトキシ等)が挙げられる。Ar4及びAr5は置換又は無置換の芳香族炭化水素基を表し、各々異なっていても同一でも良く、好ましくはフェニル基を表す。
前記一般式(E1−1)中、X1〜X12は水素原子又は置換基を表し各々異なっていても同一でも良く、X1、X5、及びX9は置換基を表す。置換基として好ましくは、アルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、ヒドロキシエチル、メトキシメチル、トリフルオロメチル、t−ブチル等)、ハロゲン原子(弗素、塩素等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、ブトキシ等)が挙げられる。A1〜A3は前記一般式(4)で表される基を表し、各々異なっていても同一でも良い。
前記一般式(E1−1)中、X1〜X12は水素原子又は置換基を表し各々異なっていても同一でも良い。但し、X1、X4、X5、X8、X9及びX12のそれぞれの立体パラメータEsX1、EsX4、EsX5、EsX8、EsX9及びEsX12値の合計値は、EsX1+EsX4+EsX5+EsX8+EsX9+EsX12≦−1.3を満たす。A1〜A3は前記一般式(4)で表される基を表し、各々異なっていても同一でも良い。
一般式(E1−5)中、X27〜X38は水素原子又は置換基を表し、各々異なっていても同一でも良い。置換基として好ましくは、アルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、ヒドロキシエチル、メトキシメチル、トリフルオロメチル、t−ブチル等)、ハロゲン原子(弗素、塩素等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、ブトキシ等)が挙げられる。Ar6〜Ar11は置換又は無置換の芳香族炭化水素基を表し、各々異なっていても同一でも良く、好ましくは置換又は無置換のフェニル基を表す。
上記一般式(E1−5)において、Ar6〜Ar11は一般式(E1−3)で表されるものが好ましい。
一般式(E1−3)中、X17〜X21は水素原子又は置換基を表し、各々異なっていても同一でも良い。置換基として好ましくは、アルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、ヒドロキシエチル、メトキシメチル、トリフルオロメチル、t−ブチル等)、ハロゲン原子(弗素、塩素等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、ブトキシ等)が挙げられる。
前記一般式(E1−1)〜(E1−5)で示される芳香族アミン化合物の合成法は特に限定されない。トリフェニルアミンを臭素化し、臭素置換物を得た後、これに相当する芳香族炭化水素のボロン酸をパラジウム触媒と塩基でスズキカップリングさせて合成する方法、トリフェニルアミンにKI、KIO3、酢酸を加えてフェニル基へのヨウ素置換物を得た後、これに、相当する2級アミン化合物を反応させて合成する方法、トリフェニルアミンを臭素化し、臭素置換物を得た後、これに相当する2級アミンを反応させて合成する方法が例示される。他のものについてもこの反応を利用して合成することができる。
次にこれらの代表的化合物を例示する。
又、これらの化合物を有機EL素子の正孔輸送層として用いる場合、その純度が発光特性に影響を与えるため、合成後、再沈精製、昇華精製等の純化をすることが望ましい。
一般式(E2−1)、(E2−5)で表される化合物について説明する。
一般式(E2−1)、(E2−5)で表される化合物は、ガラス転移温度(Tg)が高いことから、有機エレクトロルミネッセンス素子の材料としての熱安定性も十分にあり、Tgとしては100度以上であることが好ましい。
前記一般式(E2−1)において、X1乃至X8、及びR1乃至R20は各々水素原子又は置換基を表し、各々異なっていても同一でも良く、X1、X2、X5及びX6のうち少なくとも1つは置換基を表す。X1乃至X8、及びR1乃至R20が置換基を表す場合、その置換として好ましくは、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロ−n−ブチル基、パーフルオロ−t−ブチル基、t−ブチル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アラルキル基(例えば、ベンジル基、2−フェネチル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基等)、アリールアミノ基(例えば、ジフェニルアミノ基等)等が挙げられる。これらの基はさらに置換されていてもよく、置換基としては、例えば、ハロゲン原子、水素原子、トリフルオロメチル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、ジアルキルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジアリールアミノ基等が挙げられる。
前記一般式(E2−1)で表される化合物は、好ましくは下記一般式(E2−2)で表される。
一般式(E2−2)において、X1乃至X8、及びR1乃至R20は各々水素原子又は置換基を表し、各々異なっていても同一でも良く、X1、X2、X5及びX6のうち少なくとも2つは置換基を表す。置換基としては、上述の一般式(E2−1)で置換基の例として記載したものと同じものが挙げられる。
前記一般式(E2−1)で表される化合物はまた、好ましくは下記一般式(E2−3)で表される。
一般式(E2−3)において、X1乃至X8、及びR1乃至R20は各々水素原子又は置換基を表し、各々異なっていても同一でも良く、X1、X2、X5及びX6のうち少なくとも3つは置換基を表す。置換基としては、上述の一般式(E2−1)で置換基の例として記載したものと同じものが挙げられる。
前記一般式(1)で表される化合物はまた、好ましくは下記一般式(E2−4)で表される。
一般式(E2−4)において、X1乃至X8、及びR1乃至R20は各々水素原子又は置換基を表し、各々異なっていても同一でも良く、X1、X2、X5及びX6は置換基を表す。置換基としては、上述の一般式(E2−1)で置換基の例として記載したものと同じものが挙げられる。
前記一般式(E2−5)において、X1乃至X8、及びR1乃至R20は各々水素原子又は置換基を表し、各々異なっていても同一でも良く、X1、X2、X5及びX6のそれぞれの立体パラメータEsX1、EsX2、EsX5及びEsX6の合計値(EsX1+EsX2+EsX5+EsX6)が−2.5以下である。
前記一般式(E2−1)、(E2−5)で示される化合物の合成法は特に限定されない。例えば、芳香族アミンと芳香族沃素化物との銅触媒を用いるウルマン反応によっておこなうことができる。また、トリフェニルアミンのハロゲン化物どうしを、ニッケル、パラジウム触媒を用いてカップリング反応させてもおこなうことができる。たとえば、臭化物をグリニヤール試薬とし、別の臭化物とニッケル触媒(Ni(dpp)Cl2等)を用いてカップリングすることができる。また、臭化物をアルキルリチウム試薬を用いてリチウム化した後、ほう酸に誘導したものと、別の臭化物をパラジウム触媒(Pd(PPh3)4等)を用いてカップリングすることができる。また、臭化物を亜鉛を還元剤として、ニッケル触媒を用いてカップリングすることができる。
また、これらの有機化合物を有機EL素子の正孔輸送層として用いる場合、その純度が発光特性に影響を与えるため、合成後、再沈精製、昇華精製等の純化をすることが望ましい。
以下に、本発明に係る一般式(E2−1)〜(E2−5)で表される有機化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の化合物について更に詳細に説明する。
先ず、本発明において、一般式(F1−1)〜(F1−3)で表される化合物について説明する。式中、M0はインジウム又はガリウムを表す。又、一般式(F1−1)〜(F1−3)において、R1〜R12、R21〜R32、R41〜R52、L1は各々独立して、水素原子、または、置換基を表す。R1〜R12、R21〜R32、R41〜R52、L1が置換基を表す場合、その置換基としては、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロ−n−ブチル基、パーフルオロ−t−ブチル基、t−ブチル基等)、シクロアルキル基(例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アラルキル基(例えばベンジル基、2−フェネチル基等)、アリール基(例えばフェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基等)、アルコキシ基(例えばエトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ基等)、シアノ基、アミノ基(ジメチルアミノ基、ジアリールアミノ基)、水酸基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)等が挙げられる。
これらの基はさらに置換されていてもよく、置換基としては、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、ジベンジルアミノ基、ジアリールアミノ基、ジアルキルアミノ基等が挙げられる。
また、R1〜R12、R21〜R32、R41〜R52が置換基を表す場合、R1〜R12の置換基どうし、R21〜R32の置換基どうし、R41〜R52の置換基どうしは、各々連結して環を形成してもよい。
L1が置換基を表す場合、好ましくは、アリール基(例えばフェニル基、ビフェニル基、フェナンスリル基、ナフチル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基等)又は複素環基である。
前記一般式(F1−2)及び(F1−3)において、M1はインジウム又はガリウムを表し、L2、L3は複素環基を表す。複素環基としては、ピロリル基、ピロリジニル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、トリアゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、フリル基、チエニル基、チアゾリル基、テトラゾリル基、オキサジアゾリル基、トリアゾリル基等がある。
又、前記一般式(F1−1)のL1が複素環基の場合、その複素環基として、又、一般式(F1−2)及び(F1−3)においてL2、L3で表される複素環基として、下記一般式(F1−A)〜(F1−D)で表される基が好ましい。
式中、Raは水素原子又は置換基を表し、*は硫黄原子又は酸素原子との結合部位を表す。
式中、Rbは水素原子又は置換基を表し、Z1は環を形成するのに必要な原子群を表し、*は硫黄原子又は酸素原子との結合部位を表す。
式中、Rcは水素原子又は置換基を表し、*は硫黄原子又は酸素原子との結合部位を表す。
式中、Rd、Reは水素原子又は置換基を表し、*は硫黄原子又は酸素原子との結合部位を表す。
一般式(F1−A)〜(F1−D)において、Ra、Rb、Rc、Rd、Reは水素原子又は置換基を表す。Ra、Rb、Rc、Rd、Reが置換基を表す場合、その置換基としては一般式(F1−1)〜(F1−3)において説明したものと同義であり、好ましくは、アルキル基、アリール基である。
又、これらの基はさらに置換されていてもよい。
Z1で表される環を形成するに必要な原子群としては、3員以上の環であれば特に限定されるものではなく、炭素原子と水素原子のみで構成された炭化水素環でもよく、またヘテロ原子を含んでいる複素環でも良い。好ましくは5〜7員の環である。また、これらは任意の置換基を複数個それぞれ独立に有していてもよい。
一般式(F1−4)、(F1−5)で表される化合物について説明する。式中、M2、M3はアルミニウム、インジウム又はガリウムを表し、M4、M5はインジウム又はガリウムを表す。Ra1〜Ra24、Rb1〜Rb24は各々独立して、水素原子、または、置換基を表す。Ra1〜Ra24、Rb1〜Rb24が置換基を表す場合、その置換基としては一般式(F1−1)〜(F1−3)において説明したものと同義である。好ましくは、アルキル基、アリール基である。これらの基はさらに置換されていてもよい。
また、Ra1〜Ra24、Rb1〜Rb24が置換基を表す場合、Ra1〜Ra24の置換基どうし、Rb1〜Rb24の置換基同士は、各々連結して環を形成してもよい。以下に、本発明の化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
本発明の化合物の代表的製造例を以下に示す。その他の化合物についても同様の方法により製造することができる。
(合成例)
2−メチル−8−キノリノールの試料0.8gを、1.0gのインジウムイソプロポキシドを含む無水エタノール溶液40ml中で加熱攪拌した。約30分後、その溶液をセライトろ過して不溶物を除去した。ろ液に、更に2−メチル−8−キノリノールの試料0.8gとチオフェノール1.1gを含有するエタノール溶液を加え、4時間攪拌しながら加熱還流して室温に戻し、エタノールで洗浄した。風乾後の固体質量は、1.0g(収率は37%)となった。
マススペクトルにより化合物(F1−1−1)であることを確認した。
本発明に係る一般式(G1−1)〜(G1−5)で表される特定構造を有する金属錯体化合物について説明する。
前記一般式(G1−1)において、Z11は炭素原子および窒素原子とともに複素芳香族環を形成するのに必要な原子群を表し、Z12は炭素原子とともに非芳香族環を形成するのに必要な原子群を表し、Mは金属を表す。Z11で形成される芳香族環としては、例えば、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンズイミダゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズオキサゾール環、キナゾリン環、フタラジン環等が挙げられる。Z12で形成される非芳香族環としては、例えば、以下に記載の環が挙げられる。
一般式(G1−1)において、好ましくはZ12で表される非芳香環が、R−2またはR−6である。
次に、一般式(G1−2)について説明する。
一般式(G1−2)において、Z21およびZ22は、各々炭素原子および窒素原子とともに芳香環を形成するのに必要な原子群を表し、Mは金属を表す。Z21で形成される芳香環は、前記Z11と同様の芳香環が挙げられ、Z22で形成される芳香環としては、例えば、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、インドール環、ベンズイミダゾール環等が挙げられる。好ましくは、ピロール環、トリアゾール環の時である。
次に、一般式(G1−3)について説明する。
一般式(G1−3)において、Z31は炭素原子および窒素原子とともに芳香族環を形成するのに必要な原子群を表し、Z32は炭素原子とともに芳香族5員環を形成するのに必要な、炭素、窒素または酸素原子により構成される原子群を表し、Mは金属を表す。Z31で形成される芳香環としては前記Z11と同様の芳香環が挙げられ、Z32で形成される芳香族5員環としては、例えば、ピロール環、フラン環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環等を挙げることができ、好ましくは含窒素芳香環であり、より好ましくは窒素または酸素原子が複数個含まれる含窒素芳香環である。
次に、一般式(G1−4)について説明する。
一般式(G1−4)において、Z41は炭素原子および窒素原子とともに環を形成するのに必要な原子群を表し、Z42は炭素原子とともに環を形成するのに必要な原子群を表し、Mは金属を表す。Z41で形成される芳香環は、前記Z11と同様の芳香環が挙げられ、Z42で形成される芳香環は、芳香環でも非芳香環でもかまわないが、好ましくは非芳香環である。
次に、一般式(G1−5)について説明する。
一般式(G1−5)において、Z51は炭素原子および窒素原子とともに複素芳香族環を形成するのに必要な原子群を表し、Z52は炭素原子とともにアズレン環を形成するのに必要な原子群を表し、Mは金属を表す。Z51で形成される芳香環はZ11と同様の芳香環が挙げられる。
上記説明した一般式(G1−1)〜(G1−5)において、Z11、Z12、Z21、Z22、Z31、Z32、Z41、Z42、Z51およびZ52によって形成される環は、更に置換基を有していても良く、また、置換基同士が結合して、更に環を形成しても良い。また、一般式(G1−1)〜(G1−5)において、Mは元素の周期律表でVIII属の金属であることが好ましく、より好ましくはMがイリジウム、オスミウムまたは白金であり、最も好ましくはMがイリジウムである。
以下に、一般式(G1−1)〜(G1−5)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明は、これらに限定されるものではない。
本発明に係る一般式(G1−1)〜(G1−5)で表される化合物は、当業者で公知の方法に従って合成することができ、例えば、J.Am.Chem.Soc.,123巻、4304ページ(2001年)及びInorg.Chem.,40巻、1704ページ(2001年)等に記載のイリジウム錯体の合成例に準じて、得ることができる。
本発明に係わる白色発光有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記一般式(A1−1)〜(F1−5)でそれぞれ表される化合物から選ばれる化合物、また、前記一般式(C2−2)または(C2−3)で表される構造単位を有するポリシラン化合物、前記、分子中の窒素原子数と炭素原子数の比(N/C)が、0以上0.05以下である蛍光性化合物、更には、前記蛍光極大波長が415nm以下、分子量が500〜2000、分子中の水素原子とフッ素原子の総和に対するフッ素原子の比(F/(H+F))が0〜0.9である蛍光性化合物等は有機エレクトロルミネッセンス素子を構成する何れの層に含有されても良いが、
前記一般式(A1−1)〜(F1−5)で表される化合物のうち、前記一般式(A1−1)〜(A1−6)、一般式(A2−1)〜(A2−7)、一般式(B1−1)、一般式(B1−6)、一般式(B1−11)、一般式(B1−13)、一般式(B2−1)〜(B2−8)、一般式(B3−1)〜(B3−2)、一般式(B4−1)、一般式(B5−1)〜(B5−3)、一般式(B6−1)〜(B6−2)、一般式(B7−1)、一般式(B8−1)、一般式(B9−1)、一般式(B10−1)、一般式(B11−1)〜(B11−3)、一般式(C1−1−1)、(C1−1−2)、(C1−1−3)、一般式(C1−2−1)、(C1−2−3)、一般式(C1−3)〜(C1−7)、一般式(C1−8−1)、(C1−8−2)、一般式(C2−1)、一般式(C2−4)〜(C2−7)、一般式(C3−1)〜(C3−4)、一般式(C4−1)、一般式(C5−1)〜(C5−2)、一般式(C6−I)〜(C6−V)、一般式(C7−1)〜(C7−4)、一般式(C8−1)〜(C8−6)、一般式(C9−1)、一般式(C10−1)、一般式(C11−1)、一般式(C12−1)、一般式(D1−1)〜(D1−6)、一般式(D2−1)〜(D2−6)、一般式(D3−1)〜(D3−6)、一般式(E1−1)、一般式(E1−5)、一般式(E2−1)及び(E2−5)でそれぞれ表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物は、少なくとも発光層、正孔輸送層、電子輸送層のいずれか1層に含有することが好ましい。
また、前記一般式(C2−2)、(C2−3)で表される構造単位を有するポリシラン、前記分子中の窒素原子数と炭素原子数の比(N/C)が、0以上0.05以下である蛍光性化合物、または、蛍光極大波長が415nm以下、分子量が500〜2000、分子中の水素原子とフッ素原子の総和に対するフッ素原子の比(F/(H+F))が0〜0.9である蛍光性化合物等も、発光層、正孔輸送層、電子輸送層のいずれか1層に含有させ用いるとよい。
中でも、前記、一般式(A1−1)〜(A1−6)、一般式(A2−1)〜(A2−7)、一般式(B1−1)、一般式(B1−6)、一般式(B1−11)、一般式(B1−13)、一般式(B2−1)〜(B2−8)、一般式(B3−1)、(B3−2)、一般式(B4−1)、一般式(B5−1)〜(B5−3)、一般式(B6−1)、(B6−2)、一般式(B7−1)、一般式(B8−1)、一般式(B9−1)、一般式(B10−1)、一般式(B11−1)〜(B11−3)、一般式(C1−1−1)、(C1−1−2)、(C1−1−3)、一般式(C1−2−1)、(C1−2−3)、一般式(C1−3)〜(C1−7)、一般式(C1−8−1)、(C1−8−2)、一般式(C2−1)、一般式(C2−4)〜(C2−7)、一般式(C3−1)〜(C3−4)、一般式(C4−1)、一般式(C5−1)、(C5−2)、一般式(C6−I)〜(C6−V)、一般式(C7−1)〜(C7−4)、一般式(C8−1)〜(C8−6)、一般式(C9−1)、一般式(C10−1)、一般式(C11−1)、一般式(C12−1)、一般式(D1−1)〜(D1−6)、一般式(D2−1)〜(D2−6)および一般式(D3−1)〜(D3−6)でそれぞれ表される化合物等は、少なくとも発光層、電子輸送層のいずれか1層に含有させるとよい。
また、特に発光層にホスト化合物として含有するのが好ましい。
また、前記、少なくとも1つの層に下記一般式(C2−2)または(C2−3)で表される構造単位を有するポリシラン、分子中の窒素原子数と炭素原子数の比(N/C)が、0以上0.05以下である蛍光性化合物や、蛍光極大波長が415nm以下、分子量が500〜2000、分子中の水素原子とフッ素原子の総和に対するフッ素原子の比(F/(H+F))が0〜0.9である蛍光性化合物等についても、発光層または電子輸送層のいずれかに含有する場合に、白色発光有機エレクトロルミネッセンス素子を構成するうえで好ましい。特に発光層にホスト化合物として含有するのが好ましい。
また、本発明に係わる白色発光有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記、一般式(E1−1)、一般式(E1−5)、一般式(E2−1)および一般式(E2−5)でそれぞれ表される化合物については、正孔輸送層に含有させると好ましく、正孔輸送物質として優れた化合物である。
また、前記、一般式(D1−1)〜(D1−6)、一般式(D2−1)〜(D2−6)、一般式(D3−1)〜(D3−6)および一般式(F1−1)〜(F1−5)でそれぞれ表される化合物については、正孔阻止層(電子輸送層)に含有させるのが好ましく、優れた正孔ブロック層を形成する。
以上のように、本発明に係わる蛍光性化合物は、それぞれ前記の好ましい態様において用いることにより、発光輝度が高く、発光効率の向上および耐久性の両立を達成した有機エレクトロルミネッセンス素子が提供される。
本発明において、前記蛍光性化合物は発光層において用いるとき、ホスト化合物として、ドーパント化合物と共に用いられるが、本発明において「ホスト化合物」とは、2種以上の化合物で構成される発光層中にて混合比(質量)の最も多い化合物のことを意味し、それ以外の化合物については「ドーパント化合物」という。例えば、発光層を化合物A、化合物Bという2種で構成し、その混合比がA:B=10:90であれば化合物Aがドーパント化合物であり、化合物Bがホスト化合物である。更に、発光層を化合物A、化合物B、化合物Cの3種から構成し、その混合比がA:B:C=5:10:85であれば、化合物A、化合物Bがドーパント化合物であり、化合物Cがホスト化合物である。従って、本発明における燐光性化合物はドーパント化合物の一種である。
本発明における「燐光性化合物」とは励起三重項からの発光が観測される化合物であり、燐光量子収率が、25℃において0.001以上の化合物である。燐光量子収率は好ましくは0.01以上、更に好ましくは0.1以上である。
上記燐光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中での燐光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明に用いられる燐光性化合物は、任意の溶媒の何れかにおいて上記燐光量子収率が達成されれば良い。
本発明で用いられる燐光性化合物としては、好ましくは元素の周期律表でVIII属の金属を含有する錯体系化合物であり、更に好ましくは、イリジウム化合物、オスミウム化合物、又は白金化合物(白金錯体系化合物)であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
以下に、本発明で用いられる燐光性化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。これらの化合物は、例えば、Inorg.Chem.40巻、1704〜1711に記載の方法等により合成できる。
また、本発明に係わる白色発光有機EL素子において、前記ホスト化合物と共に用いられる特に好ましい燐光性化合物としては、前記一般式(G1−1)〜(G1−5)で表される化合物である。
又、別の形態では、ホスト化合物と燐光性化合物の他に、燐光性化合物からの発光の極大波長よりも長波な領域に、蛍光極大波長を有する蛍光性化合物を少なくとも1種含有する場合もある。この場合、ホスト化合物と燐光性化合物からのエネルギー移動で、有機EL素子としての電界発光は蛍光性化合物からの発光が得られる。蛍光性化合物として好ましいのは、溶液状態で蛍光量子収率が高いものである。ここで、蛍光量子収率は10%以上、特に30%以上が好ましい。具体的な蛍光性化合物は、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、又は希土類錯体系蛍光体等が挙げられる。
ここでの蛍光量子収率も、前記第4版実験化学講座7の分光IIの362頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定することが出来る。
前記燐光性化合物は、前記のような燐光量子収率が、25℃において0.001以上であるほか、前記ホストとなる蛍光性化合物の蛍光極大波長よりも長い燐光発光極大波長を有するものである。これにより、ホストとなる蛍光性化合物の発光極大波長より長波の燐光性化合物を用いて燐光性化合物の発光、即ち三重項状態を利用した、ホスト化合物の蛍光極大波長よりも長波において電界発光するEL素子を得ることができる。従って、用いられる燐光性化合物の燐光発光極大波長としては特に制限されるものではなく、原理的には、中心金属、配位子、配位子の置換基等を選択することで得られる発光波長を変化させることができる。
例えば、350〜440nmの領域に蛍光極大波長を有する蛍光性化合物をホスト化合物として用い、例えば、緑の領域に燐光を有するイリジウム錯体を用いることで緑領域に電界発光する有機EL素子を得ることが出来る。
本明細書の蛍光性化合物及び燐光性化合物が発光する色は、「新編色彩科学ハンドブック」(日本色彩学会編、東京大学出版会、1985)の108頁の図4.16において、分光放射輝度計CS−1000(ミノルタ製)で測定した結果をCIE色度座標に当てはめたときの色で決定される。
《有機EL素子の構成層》
有機EL素子の基本的な構成層について説明する。
本発明において、有機EL素子の層構成の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
(i)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
(ii)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(iii)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
(iv)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
(v)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
《陽極》
有機EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としてはAu等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO2、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In2O3−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。陽極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また、陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。さらに膜厚は材料にもよるが、通常10〜1000nm、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
《陰極》
一方、陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えばマグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜1000nm、好ましくは50nm〜200nmの範囲で選ばれる。なお、発光を透過させるため、有機EL素子の陽極または陰極のいずれか一方が、透明または半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
次に、本発明の有機EL素子の構成層として用いられる、注入層、正孔輸送層、電子輸送層等について説明する。
《注入層》:電子注入層、正孔注入層
注入層は必要に応じて設け、電子注入層と正孔注入層があり、上記のごとく陽極と発光層または正孔輸送層の間、及び、陰極と発光層または電子輸送層との間に存在させてもよい。
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日 エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層(陽極バッファー層)と電子注入層(陰極バッファー層)とがある。
陽極バッファー層(正孔注入層)は、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層等が挙げられる。
陰極バッファー層(電子注入層)は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。
上記バッファー層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるが、その膜厚は0.1nm〜100nmの範囲が好ましい。
阻止層は、上記のごとく、有機化合物薄膜の基本構成層の他に必要に応じて設けられるものである。例えば特開平11−204258号、同11−204359号、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日 エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層であり、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
前記、一般式(D1−1)〜(D1−6)、一般式(D2−1)〜(D2−6)、一般式(D3−1)〜(D3−6)および一般式(F1−1)〜(F1−5)でそれぞれ表される化合物について正孔阻止層に用いて有利であることは述べた。
一方、電子阻止層とは広い意味では正孔輸送層であり、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。
正孔輸送層、電子輸送層は単層もしくは複数層設けることができる。
本発明の有機EL素子においては、発光層のホスト、発光層に隣接する正孔輸送層、発光層に隣接する電子輸送層すべての材料の蛍光極大波長が415nm以下であることが好ましい。
《発光層》
本発明に係る発光層は、電極または電子輸送層、正孔輸送層から注入されてくる電子および正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であっても良い。
発光層に使用される材料(以下、発光材料という)は、蛍光または燐光を発する有機化合物または錯体であることが好ましく、有機EL素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができる。このような発光材料は、主に有機化合物であり、所望の色調により、例えば、Macromol.Synth.,125巻,17〜25頁に記載の化合物等を用いることができるが、本発明においては前記燐光性化合物が好ましい。
本発明において発光材料として用いられる前記化合物は、発光性能の他に、正孔輸送機能や電子輸送機能を併せ持っていても良く、正孔輸送材料や電子輸送材料の殆どが、発光材料としても使用できる。
その他の発光材料として、p−ポリフェニレンビニレンやポリフルオレンのような高分子材料でも良く、さらに前記発光材料を高分子鎖に導入した、または前記発光材料を高分子の主鎖とした高分子材料を使用しても良い。
この発光層は、上記化合物を、例えば真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法などの公知の薄膜化法により製膜して形成することができる。発光層としての膜厚は、特に制限はないが、通常は5nm〜5μmの範囲で選ばれる。この発光層は、これらの発光材料一種又は二種以上からなる一層構造であってもよいし、あるいは、同一組成又は異種組成の複数層からなる積層構造であってもよい。本発明の有機EL素子の好ましい態様は、発光層が二種以上の材料からなり、その内の一種が本発明の化合物であるときである。
また、この発光層は、特開昭57−51781号公報に記載されているように、樹脂などの結着材と共に上記発光材料を溶剤に溶かして溶液としたのち、これをスピンコート法などにより薄膜化して形成することができる。このようにして形成された発光層の膜厚については、特に制限はなく、状況に応じて適宜選択することができるが、通常は5nm〜5μmの範囲である。
発光層を構成する材料が2種以上であるとき、主成分をホスト、その他の成分をドーパントといい、本発明に係るドーパントは、前記燐光性化合物が用いられることが好ましい。
その場合、主成分であるホスト化合物に対するドーパントの混合比は好ましくは質量で0.1質量%〜15質量%未満である。
(ホスト化合物)
本発明の白色発光有機エレクトロルミネッセンス素子において、ホスト化合物としては、前記、一般式(A1−1)〜(A1−6)、一般式(A2−1)〜(A2−7)、一般式(B1−1)、一般式(B1−6)、一般式(B1−11)、一般式(B1−13)、一般式(B2−1)〜(B2−8)、一般式(B3−1)、(B3−2)、一般式(B4−1)、一般式(B5−1)〜(B5−3)、一般式(B6−1)、(B6−2)、一般式(B7−1)、一般式(B8−1)、一般式(B9−1)、一般式(B10−1)、一般式(B11−1)〜(B11−3)、一般式(C1−1−1)、(C1−1−2)、(C1−1−3)、一般式(C1−2−1)、(C1−2−3)、一般式(C1−3)〜(C1−7)、一般式(C1−8−1)、(C1−8−2)、一般式(C2−1)、一般式(C2−4)〜(C2−7)、一般式(C3−1)〜(C3−4)、一般式(C4−1)、一般式(C5−1)、(C5−2)、一般式(C6−I)〜(C6−V)、一般式(C7−1)〜(C7−4)、一般式(C8−1)〜(C8−6)、一般式(C9−1)、一般式(C10−1)、一般式(C11−1)、一般式(C12−1)、一般式(D1−1)〜(D1−6)、一般式(D2−1)〜(D2−6)および一般式(D3−1)〜(D3−6)でそれぞれ表される化合物、また、前記、少なくとも1つの層に下記一般式(C2−2)または(C2−3)で表される構造単位を有するポリシラン、分子中の窒素原子数と炭素原子数の比(N/C)が、0以上0.05以下である蛍光性化合物や、蛍光極大波長が415nm以下、分子量が500〜2000、分子中の水素原子とフッ素原子の総和に対するフッ素原子の比(F/(H+F))が0〜0.9である蛍光性化合物等が好ましいことも前に述べた。
発光層のホスト化合物は、有機化合物または錯体であることが好ましく、本発明においては、好ましくは蛍光極大波長が415nm以下である。ホスト化合物の極大波長を415nm以下にすることにより可視光、前記ドーパントの発光において、特にBGR発光が可能となる。
つまり蛍光極大波長を415nm以下にすることにより、通常のπ共役蛍光もしくは燐光材料において、π−π吸収を420nm以下に有するエネルギー移動型のドーパント発光が可能である。また415nm以下の蛍光を有することから非常にワイドエネルギーギャップ(イオン化ポテンシャル−電子親和力、HOMO−LUMO)であるので、キャリアトラップ型にも有利に働く。
このようなホスト化合物としては、有機EL素子に使用される公知のものの中から任意のものを選択して用いてもよい。また前記の正孔輸送材料や電子輸送材料の殆どが発光層ホスト化合物としても使用できる。
ポリビニルカルバゾールやポリフルオレンのような高分子材料でもよく、さらに前記ホスト化合物を高分子鎖に導入した、または前記ホスト化合物を高分子の主鎖とした高分子材料を使用してもよい。
ホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、かつ、発光の長波長化を防ぎ、なおかつ高Tg(ガラス転移温度)である化合物が好ましい。
(ドーパント)
次にドーパントについて述べる。
原理としては2種挙げられ、一つはキャリアが輸送されるホスト上でキャリアの再結合が起こってホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーをドーパントに移動させることでドーパントからの発光を得るというエネルギー移動型、もう一つはドーパントがキャリアトラップとなり、ドーパント化合物上でキャリアの再結合が起こりドーパントからの発光が得られるというキャリアトラップ型であるが、いずれの場合においても、ドーパント化合物の励起状態のエネルギーはホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件である。
本発明の白色発光有機エレクトロルミネッセンス素子において、ドーパントと
して好ましいものは、化589〜化591で表される化合物、特にIr錯体、また、本発明一般式(G1−1)〜(G1−5)で表される化合物である。
本発明は実質白色の発光を生じる有機エレクトロルミネッセンス素子に関するものであるが、現在のところ単一の発光材料で白色発光を示すものがないため、複数の発光材料により複数の発光色を同時に発光させて混色により白色発光をえる。複数の発光色の組み合わせとしては、青色、緑色、青色の3原色の3つの発光極大波長を有する発光材料を含有させたものでも良いし、青色と黄色、青緑と橙色等の補色の関係を利用した2つの発光極大波長を有する発光材料を含有したものでも良い。勿論4以上の発光極大波長を有する発光材料を組み合わせてもかまわない。
例えば、発光材料としてリン光性ドーパントを用いる場合には、発光波長の異なる前記の関係を有する複数のドーパントを用いて混色により白色発光を得る。また蛍光性発光材料の場合にも同様である。
また、複数の発光色を得るための発光材料の組み合わせは、複数の、燐光または蛍光で発光する材料を、複数組み合わせたもの、これら蛍光または燐光で発光する発光材料と、発光材料からの光を励起光として発光する色素材料と組み合わせたものいずれでも良い。
発光層の材料としては特に制限はなく、前記、公知の発光材料の中から任意のものを選択して組み合わせて白色化すれば良いが、特に、燐光を利用して発光する素子を形成する場合に用いられる発光ホストとしては、カルバゾール誘導体、ビフェニル誘導体、スチリル誘導体、ベンゾフラン誘導体、チオフェン誘導体、アリールシラン誘導体等の部分構造を単位として含む材料が挙げられる。なかでもカルバゾール誘導体とビフェニル誘導体は高い発光効率を示す好ましい発光材料である。
正孔輸送層を設ける場合は、材料に特に制限はないが、アノード電極からの正孔を、発光する層に伝達する機能を有していれば良く、前記の、従来光導電材料において、正孔の電荷注入材料として慣用されているものや、EL素子の正孔輸送層に用いられている公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。
電子輸送層を設ける場合においても、特に制限はなく、カソード電極からの電子を、発光する層に伝達する機能を有していればよく、前記の公知の材料の中から任意のものを選択して用いることができる。
《正孔輸送層》
正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層もしくは複数層設けることができる。
本発明の白色発光有機エレクトロルミネッセンス素子において、正孔輸送材料としては、前記、一般式(E1−1)、一般式(E1−5)、一般式(E2−1)および一般式(E2−5)でそれぞれ表される化合物が好ましいが、特に制限はなく、従来、光導伝材料において、正孔の電荷注入輸送材料として慣用されているものやEL素子の正孔注入層、正孔輸送層に使用される公知のものの中から任意のものを選択して用いることもできる。
正孔輸送材料は、正孔の注入もしくは輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。他に、例えばトリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また、導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
正孔輸送材料としては、上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第三級アミン化合物を用いることが好ましい。
芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル;N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル;4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、さらには、米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、p型−Si,p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
また、本発明においては正孔輸送層の正孔輸送材料は415nm以下に蛍光極大波長を有することが好ましい。すなわち、正孔輸送材料は、正孔輸送能を有しつつかつ、発光の長波長化を防ぎ、なおかつ高Tgである化合物が好ましい。
この正孔輸送層は、上記正孔輸送材料を、例えば真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5〜5000nm程度である。この正孔輸送層は、上記材料の一種または二種以上からなる一層構造であってもよい。
《電子輸送層》
電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層もしくは複数層設けることができる。
従来、単層の電子輸送層、及び複数層とする場合は発光層に対して陰極側に隣接する電子輸送層に用いられる電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)としては、下記の材料が知られている。
さらに、電子輸送層は、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。
本発明の白色発光有機エレクトロルミネッセンス素子において、本発明に係わる前記の化合物のなかでは、一般式(D1−1)〜(D3−6)、また(F1−1)〜(F1−5)で表される化合物が正孔阻止材料として好ましい。
この電子輸送層に用いられる材料(以下、電子輸送材料という)の例としては、本発明に係わる前記化合物のほか、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンペリレンなどの複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体などが挙げられる。さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。
さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えばトリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)など、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることができる。その他、メタルフリー若しくはメタルフタロシアニン、又はそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基などで置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。また、発光層の材料として例示したジスチリルピラジン誘導体も、電子輸送材料として用いることができるし、正孔注入層、正孔輸送層と同様に、n型−Si、n型−SiCなどの無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
電子輸送層に用いられる好ましい化合物は、415nm以下に蛍光極大波長を有することが好ましい。すなわち、電子輸送層に用いられる化合物は、電子輸送能を有しつつかつ、発光の長波長化を防ぎ、なおかつ高Tgである化合物が好ましい。
《基体(基板、基材、支持体等ともいう)》
本発明の有機EL素子に係る基体としては、ガラス、プラスチック等の種類には特に限定はなく、また、透明のものであれば特に制限はないが、好ましく用いられる基板としては例えばガラス、石英、光透過性樹脂フィルムを挙げることができる。特に好ましい基体は、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能な樹脂フィルムである。
樹脂フィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。
樹脂フィルムの表面には、無機物もしくは有機物の被膜またはその両者のハイブリッド被膜が形成されていてもよい。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の発光の室温における外部取り出し効率は1%以上であることが好ましく、より好ましくは2%以上である。ここに、外部取り出し量子効率(%)=有機EL素子外部に発光した光子数/有機EL素子に流した電子数×100である。
また、カラーフィルター等の色相改良フィルター等を併用してもよい。
本発明の白色発光有機EL表示素子は少なくとも2種類の異なる発光極大波長を有する有機EL素子からなるが、有機EL素子を作製する好適な例を説明する。
《有機EL素子の作製方法》
本発明の有機EL素子の作製方法の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極からなる有機EL素子の作製法について説明する。
まず適当な基体上に、所望の電極物質、例えば陽極用物質からなる薄膜を、1μm以下、好ましくは10nm〜200nmの膜厚になるように、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陽極を作製する。次に、この上に素子材料である正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、正孔阻止層の有機化合物薄膜を形成させる。
この有機化合物薄膜の薄膜化の方法としては、前記の如くスピンコート法、キャスト法、インクジェット法、蒸着法、印刷法等があるが、均質な膜が得られやすく、かつピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着法またはスピンコート法が特に好ましい。さらに層ごとに異なる製膜法を適用してもよい。製膜に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は、使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50〜450℃、真空度10−6Pa〜10−2Pa、蒸着速度0.01nm〜50nm/秒、基板温度−50℃〜300℃、膜厚0.1nm〜5μmの範囲で適宜選ぶことが望ましい。
これらの層の形成後、その上に陰極用物質からなる薄膜を、1μm以下好ましくは50nm〜200nmの範囲の膜厚になるように、例えば蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陰極を設けることにより、所望の有機EL素子が得られる。この有機EL素子の作製は、一回の真空引きで一貫して正孔注入層から陰極まで作製するのが好ましいが、途中で取り出して異なる製膜法を施してもかまわない。その際、作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行う等の配慮が必要となる。
図1は本発明に係る白色有機エレクトロルミネッセンス素子の実施の形態の一例を簡略化して示すものであり、ガラス等の基板10の表面に陽極1、正孔輸送層11、発光層(代表的には発光材料(ドーパント)およびホスト化合物からなる)3、電子輸送層12、陰極2を積層することによって形成してある。そして陽極1に正電圧を、陰極2に負電圧を、電圧2〜40V程度印加すると、電子輸送層12を介して発光層3に注入された電子と、正孔輸送層11を介して発光層3に注入されたホールとが、発光層3内で再結合して発光が起こるものである。
各層を構成する材料については前記の通りであるが、最も簡便に白色発光素子を構成するには、発光層における、ホスト化合物と共に用いる発光材料に、発光特性が互いに補色の関係にある、例えば青と黄または青緑と橙等補色の関係にある発光色を有する2種のドーパントを組み合わせる、また、青、緑、赤にそれぞれ3色に発光するドーパント(リン光性化合物)を、その発光効率を考慮しながら、適宜、混合してドープすることによって得ることが出来る。勿論、充分な白色光を得るために4種以上の発光材料を組み合わせてもよい。
本発明の白色有機エレクトロルミネッセンス素子は、基本的にはドーパントを混合するだけで、発光層もしくは正孔輸送層或いは電子輸送層等の形成時のみマスクを設け、マスクにより塗り分けるなど単純に配置するだけでよく、他層は共通であるのでマスク等のパターニングは不要であり、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等で例えば電極膜を形成でき、生産性も向上するものである。この方法によれば、複数色の発光素子をアレー状に並列配置した白色有機EL装置と異なり、素子自体が発光白色である。
また作製順序を逆にして、陰極、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。
このようにして得られた白色表示素子に、直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として電圧2〜40V程度を印加すると、白色の発光が観測できる。また、逆の極性で電圧を印加しても電流は流れずに発光は全く生じない。さらに、交流電圧を印加する場合には、陽極が+、陰極が−の状態になったときのみ発光する。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
本発明の白色発光有機EL素子は、表示デバイス、ディスプレー、各種発光光源に用いることができるが、家庭用照明用、車内照明、また露光光源のような一種のランプとして、また液晶表示装置のバックライトとして表示装置にも有用に用いられる。
その他、時計等のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体等の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等、更には表示装置を必要とする一般の家庭用電気器具等広い範囲の用途が挙げられる。