JP4852839B2 - 変異型ホスホリボシルピロリン酸シンセターゼ及びl−ヒスチジンの製造方法 - Google Patents

変異型ホスホリボシルピロリン酸シンセターゼ及びl−ヒスチジンの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4852839B2
JP4852839B2 JP2004326981A JP2004326981A JP4852839B2 JP 4852839 B2 JP4852839 B2 JP 4852839B2 JP 2004326981 A JP2004326981 A JP 2004326981A JP 2004326981 A JP2004326981 A JP 2004326981A JP 4852839 B2 JP4852839 B2 JP 4852839B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mutant
prpp synthetase
synthetase
bacterium
histidine
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004326981A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005160474A (ja
JP2005160474A5 (ja
Inventor
ヴィタリエヴナ クリャチコ エレーナ
サイドヴィッチ シャクロフ ルステム
イヴァノヴィッチ コズロフ ユーリー
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ajinomoto Co Inc
Original Assignee
Ajinomoto Co Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ajinomoto Co Inc filed Critical Ajinomoto Co Inc
Publication of JP2005160474A publication Critical patent/JP2005160474A/ja
Publication of JP2005160474A5 publication Critical patent/JP2005160474A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4852839B2 publication Critical patent/JP4852839B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N9/00Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
    • C12N9/10Transferases (2.)
    • C12N9/12Transferases (2.) transferring phosphorus containing groups, e.g. kinases (2.7)
    • C12N9/1235Diphosphotransferases (2.7.6)
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12PFERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
    • C12P13/00Preparation of nitrogen-containing organic compounds
    • C12P13/04Alpha- or beta- amino acids
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12PFERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
    • C12P13/00Preparation of nitrogen-containing organic compounds
    • C12P13/04Alpha- or beta- amino acids
    • C12P13/24Proline; Hydroxyproline; Histidine

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Description

本発明はバイオテクノロジーに関し、具体的にはL-ヒスチジンなどのL−アミノ酸の製造法に関する。より具体的には、本発明はプリン及びL−ヒスチジンの生合成に関わる新規なフィードバック耐性酵素の使用に関する。より具体的には、本発明はエシェリヒア・コリ由来の新規なフィードバック耐性変異型ホスホリボシルピロリン酸シンセターゼ(PRPPシンセターゼ)、該酵素を保持する腸内細菌科の細菌、及び該細菌の菌株を使用した発酵法によるL−ヒスチジンの製造法に関する。
従来、L-アミノ酸は天然より得られた細菌株又はL−アミノ酸生産能が向上するように特異的に改変された該細菌の変異株を用いた発酵法により製造されてきた。
例えば、組換えDNAによる微生物の形質転換(例えば、米国特許明細書第4,278,765号)など、L−アミノ酸生産能を向上させるための多くの方法が開示されている。これらの方法は、アミノ酸生合成に関与する酵素の活性を増強させること、及び/又は生成したL−アミノ酸によるフィードバック阻害に対して標的酵素を脱感作させることに基づいている(例えば、特開昭56−18596号公報(1981年)、国際公開第95/16042号パンフレット、又は米国特許第5,661,012号及び6,040,160号明細書)。
5−ホスホリボシル−α−1−ピロリン酸(ホスホリボシルピロリン酸;PRPP)及びアデノシン−5’−3リン酸(ATP)はヒスチジン生合成の開始基質である。PRPPは、ヒスチジン生合成経路と、ピリミジンヌクレオチド、プリンヌクレオチド、ピリジンヌクレオチド及びトリプトファンの生合成へ分岐する経路をつなぐ(エシェリヒア・コリとサルモネラ、第2版、F.C. Neidhardt主編、ASM Press、Washington D.C.、1996)。
多くのヌクレオチドがATPと競合してPRPPシンセターゼの活性を阻害する。しかしながら、アデノシン−5’−2リン酸(ADP)が唯一の強力なヌクレオチド阻害剤であり、それはATPと競合し、活性部位とは別の部位に結合するアロステリックな阻害剤である(Hove-Jensen, B.ら、J. Biol. Chem. 261:6765-6771 (1986))。
改変されたPRPPシンセターゼを保持する変異体がエシェリヒア・コリ及びサルモネラ・ティフィムリウムの両方において得られている。エシェリヒア・コリの変異体の一つは、ATPに対するKm値が27倍増加したPRPPシンセターゼを生成し、該酵素はAMPによっては阻害されない。この変異は128位のアスパラギン酸のアラニンによる置換(prsDA変異)によって生じる。サルモネラ・ティフィムリウムのprs変異体は温度感受性で、野生型PRPPシンセターゼの約20%の活性しかない。この変異型酵素はATPとリボース5−リン酸に対するKm値が上昇しており、ADPによる阻害への感受性が低下している。この変異は78位のアルギニンのシステインによる置換によるものである(エシェリヒア・コリとサルモネラ、第2版、F.C. Neidhardt主編、ASM Press、Washington D.C.、1996)。
ヒトにおいてはPRPPシンセターゼの異常な活性化及びプリンヌクレオチド耐性が、高尿酸血症、痛風及び神経発生異常に関与していることがよく知られている(Becker M.A. ら、Arthritis Rheum, 18:6 Suppl: 687-94 (1975); Zoref E.ら、J. Clin. Invest., 56(5): 1093-9 (1975))。異常活性化されたPRPPシンセターゼを持つヒトにおける
尿酸の過剰生産は、PRPP生成の増加、及びそれに伴うプリンヌクレオチドのde novo合成の増加によって起こる。これは、成熟酵素の113位のアミノ酸残基におけるアスパラギンからセリンへの置換に相当する、変異型遺伝子の341位の塩基におけるAからGへの置換によって起こる。そのような変異型シンセターゼは、ATPに対して非競争的なメカニズムで通常の酵素を阻害するプリンヌクレオチドに耐性である(Roessler, B.J.ら、J. Biol. Chem., v. 268, No 35, 26476-26481 (1993); Becker, M.A.ら、J. Clin. Invest.,
96(5): 2133-41 (1995))。
プリンヌクレオシド生産能を有し、prsDA変異を保持するエシェリヒア属細菌を用いた発酵によるプリンヌクレオシドの製造法が開示されている(欧州特許出願EP1004663A1)。しかしながら、プリンヌクレオチドによるフィードバックに耐性である細菌のPRPPシンセターゼ、及びL-ヒスチジン生産菌を用いたL-ヒスチジン生産を向上させるためにそのような変異型PRPPシンセターゼを利用することは、現在のところ報告されていない。
本発明の課題は、新規な細菌由来変異型PRPPシンセターゼを提供すること、L−ヒスチジン生産能の向上したL−ヒスチジン生産菌を開発すること、及び該細菌を用いたL−ヒスチジンの製造法を提供することである。
上記課題は、エシェリヒア・コリ由来の新規変異型PRPPシンセターゼを構築することにより達成された。すなわち、prsA遺伝子の高い保存性(Taira M.ら、J. Biol. Chem., v. 262, No 31, pp.14867-14870 (1987))に基づき、ヒトのアスパラギン−113変異に相当する変異を有するエシェリヒア・コリの変異型PRPPシンセターゼを構築した。L−ヒスチジン生産菌の細胞にその付加的なコピーを導入し、該変異型PRPPシンセターゼを用いることによりL−ヒスチジン生産が向上することを見出した。このようにして本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
1)エシェリヒア・コリの野生型ホスホリボシルピロリン酸シンセターゼにおいて、115位に相当するL−アミノ酸残基が他のL−アミノ酸残基に置換され、プリンヌクレオチドによるフィードバック阻害が脱感作された、細菌変異型ホスホリボシルピロリン酸シンセターゼ(PRPPシンセターゼ)。
2)野生型PRPPシンセターゼにおいて、115位に相当するアスパラギン酸残基がセリン残基に置換された、1)の変異型PRPPシンセターゼ。
3)野生型PRPPシンセターゼがエシェリヒア・コリのものである、1)又は2)の変異型PRPPシンセターゼ。
4)115位以外の1又は複数の位置において、1又は数個のアミノ酸の欠失、置換、挿入又は付加を含み、プリンヌクレオチドによるフィードバック阻害が脱感作された、3)の変異型PRPPシンセターゼ。
5)1)〜4)のいずれかの変異型PRPPシンセターゼをコードするDNA。
6)5)のDNAを保持し、L−ヒスチジン生産能を有する腸内細菌科の細菌。
7)変異型PRPPシンセターゼの活性が上昇した、6)の細菌。
8)エシェリヒア属に属する、7)の細菌。
9)変異型PRPPシンセターゼ遺伝子の発現量を増加させることによって変異型PRPPシンセターゼの活性が上昇した、7)の細菌。
10)変異型PRPPシンセターゼ遺伝子のコピー数を増加させること、又は該遺伝子
の発現が上昇するように該遺伝子の発現調節配列を改変することによって、変異型PRPPシンセターゼの活性が上昇した、9)の細菌。
11)変異型PRPPシンセターゼ遺伝子の付加的なコピーを該細菌の染色体に組み込むことによって、前記コピー数を増加させる、10)の細菌。
12)6)〜11)のいずれかの細菌を培地で培養して該培地中にL−ヒスチジンを生成蓄積させ、L−ヒスチジンを該培地から採取する、L−ヒスチジンの製造法。
13)前記細菌がヒスチジン生合成遺伝子の発現が上昇した細菌である、12)の方法。
野生型PRPPシンセターゼの115位に相当するアスパラギン酸残基における置換を有するPRPPシンセターゼを「変異型PRPPシンセターゼ」、該変異型PRPPシンセターゼをコードするDNAを「変異型prsA遺伝子」または「変異型PRPPシンセターゼ遺伝子」と呼ぶことがある。また、置換を有さないPRPPシンセターゼを「野生型PRPPシンセターゼ」と呼ぶことがある。
以下、本願発明を詳細に説明する。
<1>変異型PRPPシンセターゼ及び変異型prsA遺伝子
ヒトPRPPシンセターゼのプリンヌクレオチド耐性に伴う異常活性化は、遺伝学的、機能的には、prsA遺伝子における一塩基置換によって生じることが知られている(Roessler, B.J. ら、J. Biol. Chem., v. 268, No 35, 26476-26481 (1993))。prsA遺伝子の高い保存性(Taira M. ら、J. Biol. Chem., v. 262, No 31, pp.14867-14870 (1987))に基づき、ヒトのアスパラギン−113変異に相当する変異を有するエシェリヒア・コリの変異型PRPPシンセターゼが構築された。そのような変異はどの細菌由来のPRPPシンセターゼにおいても知られていない。「細菌由来のPRPPシンセターゼ」と言う語句は、腸内細菌科の細菌、コリネ型細菌、バチルス属細菌などにおいて存在するPRPPシンセターゼを意味する。腸内細菌科の細菌はエシェリヒア属、エルビニア(Erwinia)属、プロヴィデンシア(Providencia)属及びセラチア属に属する細菌を含み、エシェリヒア属が好ましい。
エシェリヒア・コリの野生型PRPPシンセターゼ(EC 2.7.6.1)のアミノ酸配列における、エシェリヒア・コリのPRPPシンセターゼの115位のアスパラギン酸に相当するアミノ酸残基の置換はどのアミノ酸でも良いが、セリンが好ましく、これにより、主にグアノシン-5'-二リン酸(GDP)、アデノシン-5'-二リン酸(ADP)、アデノシン-5'‐一リン酸(AMP)などのプリン二及び一リン酸ヌクレオチドのようなプリンヌクレオチドに耐性の変異型PRPPシンセターゼが生じる。
変異型PRPPシンセターゼは該配列に基づき、通常の方法によって野生型prsA遺伝子に変異を導入することによって得ることができる。野生型prsA遺伝子としては、エシェリヒア・コリのprsA遺伝子が挙げられる(GenBank Accession NC_000913の塩基番号1260151〜1261098, gi:16129170、配列番号1)。prsA遺伝子はエシェリヒア・コリK-12株染色体上のychMとychBのORFの間に位置する。したがって、prsA遺伝子は該遺伝子の塩基配列に基づいて調製されたプライマーを用いたPCR(polymerase chain reaction; White, T.J. ら、Trends Genet., 5, 185 (1989))によって得ることができる。他の微生物のPRPPシンセターゼをコードする遺伝子も同様にして得ることができる。
変異型PRPPシンセターゼは、PRPPシンセターゼ活性が低下しない限り115位以外の1または複数の位置において1または数個のアミノ酸の欠失、置換、挿入、または付加を含んでいてもよい。「PRPPシンセターゼ活性」という語句は、リボース−5−リン酸及びATPから、AMPを放出して5−ホスホリボシル−α−1−ピロリン酸(PRPP)を
生成する反応を触媒する活性を意味する。抽出物のPRPPシンセターゼ活性及びADPによる阻害の程度は、K. F. Jensenらの方法(Analytical Biochemistry, 98, 254-263 (1979))を部分的に改良した方法を用いて測定することができる。具体的には、[α−32P]ATPを基質として用い、反応によって生成する[32P]AMPを測定する。
「数個」というアミノ酸の数はタンパク質の3次元構造におけるアミノ酸残基の位置や種類によって異なる。これは以下の理由による。すなわち、いくつかのアミノ酸は互いに高い相同性を有しており、そのようなアミノ酸における違いはタンパク質の3次元構造にあまり影響を与えない。したがって、本発明の変異型PRPPシンセターゼは、PRPPシンセターゼを構成する全アミノ酸残基に対し、30〜50%以上、好ましくは50〜70%以上の相同性を有し、PRPPシンセターゼ活性を有するものであってもよい。
本発明において、「115位に相当するL−アミノ酸残基」とは、配列番号2のアミノ酸配列の115位のアミノ酸残基に相当するアミノ酸残基を意味する。エシェリヒア・コリのPRPPシンセターゼにおいては、115位のアミノ酸はアスパラギン酸である。アミノ酸の位置は変化しうる。例えば、N末端に一アミノ酸挿入されると、もともと115位に位置していたアミノ酸残基は116位となる。そのような場合、もとの115位に相当するアミノ酸残基が本発明の115位のアミノ酸残基として定義される。
エシェリヒア・コリのPRPPシンセターゼの115位に相当するL−アミノ酸残基を決定するためには、エシェリヒア・コリのPRPPシンセターゼのアミノ酸配列(配列番号2)と目的の細菌のPRPPシンセターゼのアミノ酸配列のアラインメントを行い、目的の細菌のPRPPシンセターゼにおいて115番によって定義されるL−アミノ酸を決定することが必要である。
上記変異型PRPPシンセターゼと実質的に同じタンパク質をコードするDNAは、例えば、塩基配列を改変することによって、例えば、特定の位置の1またはそれ以上のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入または付加を含むように部位特異的変異導入法を行うことによって得ることができる。上記のようにして改変されたDNAは、従来知られた変異処理によって得ることができる。変異処理は、変異型prsA遺伝子を含むDNAをインビトロにおいて、例えば、ヒドロキシルアミンで処理する方法、変異型prsA遺伝子を保持する微生物、例えば、エシェリヒア属細菌を紫外線照射やN−メチル−N−ニトロ−N’−ニトロソグアニジン(NTG)や亜硝酸などの通常用いられる変異剤で処理する方法を含む。
上記のような塩基の欠失、置換、挿入または付加は、天然に生じる変異(ミュータントまたはバリアント)、例えば、個体やPRPPシンセターゼを保持する細菌の種や属の違いによる変異を含む。
変異型PRPPシンセターゼと実質的に同じタンパク質をコードするDNAは、変異処理された変異型PRPPシンセターゼを保持する細胞から、公知のprsA遺伝子配列を有するDNAまたはその一部のプローブとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつPRPPシンセターゼ活性を有するタンパク質をコードするDNAを単離することによって得ることができる。
ここでいう「ストリンジェントな条件」とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件を意味する。この条件を明確に数値化することは困難であるが、例えば、ストリンジェントな条件は、相同性の高いDNA、例えば互いに50%以上の相同性を有するDNAがハイブリダイズし、それより相同性の低いDNAがハイブリダイズしない条件を含む。
タンパク質またはDNAの相同性の程度を評価するためには、BLASTサーチ、FASTAサーチおよびCrustalWなどの計算法が使用できる。
BLAST(Basic Local Alignment Search Tool)は、blastp、blastn、blastx、megablast、tblastn、tblastxなどのプログラムによって採用されている帰納的なサーチアルゴリズムである。これらのプログラムは、Karlin, Samuel and Stephen F. Altschulの統計学的方法(「一般的なスコア手法を用いて分子配列の特徴の統計学的有意性を決定する方法“Methods for assessing the statistical significance of molecular sequence features by using general scoring schemes”」Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1990, 87:2264-68; 「分子配列における複数のハイスコアセグメントのためのアプリケーション及び統計解析“Applications and statistics for multiple high-scoring segments in molecular sequences”」Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1993, 90:5873-7)を用いて有意性を結果に帰する。
FASTAサーチ法は、W. R. Pearsonによって記載された方法 (「FASTP とFASTAを用いた迅速かつ高感度の配列比較“ Rapid and Sensitive Sequence Comparison with FASTP and FASTA”」Methods in Enzymology, 1990 183:63- 98)である。
CrustalWは、Thompson J.D., Higgins D.G. and Gibson T.J. によって記載された方法である(「配列重み付け、部位特異的ギャップペナルティ及び重みマトリクス選択による進歩的な複数配列アラインメントの感度の向上“CLUSTAL W: improving the sensitivity of progressive multiple sequence alignment through sequence weighting, position-specific gap penalties and weight matrix choice”」Nucleic Acids Res. 1994, 22:4673-4680)。
それとは別に、ストリンジェントな条件は、サザンハイブリダイゼーションの通常の洗いの条件、すなわち、60℃、1×SSC,0.1%SDS、好ましくは、0.1×SSC、0.1%SDSに相当する塩濃度においてDNAが互いにハイブリダイズする条件が例示される。バリアントをコードし、prsA遺伝子とハイブリダイズするDNAのためのプローブとしては、配列番号1の塩基配列の部分配列を用いることもできる。そのようなプローブは、配列番号1の塩基配列に基づいて作製されたオリゴヌクレオチドをプライマーに、配列番号1の塩基配列を含むDNAフラグメントを鋳型に用いたPCRによって調製される。約300bpの長さのDNAフラグメントをプローブとして用いた場合、ハイブリダイゼーションの洗いの条件は、例えば、50℃、2XSSC、0.1%SDSの条件が挙げられる。洗いの時間はブロッティングに用いるメンブレンの種類によるが、一般に、製造者によって推奨されている。例えば、HybondTM+ナイロンメンブレン(アマシャム)に推奨されている、ストリンジェントな条件での洗いの時間は15分である。
上記条件下でハイブリダイズするDNAは遺伝子のコード領域にストップコドンが生じたもの、活性中心への変異により活性を失ったものも含む。しかしながら、そのような不適当なものは該遺伝子を、商品として入手可能な発現ベクターに連結し、PRPPシンセターゼ活性を調べることにより容易に除かれる。
<2>本発明の細菌
本発明の細菌は、L−ヒスチジン生産能を有し、本発明の変異型PRPPシンセターゼをコードする遺伝子を保持する腸内細菌科の細菌である。さらに、本発明の細菌は、L−ヒスチジン生産能を有し、本発明の変異型PRPPシンセターゼの活性が上昇した腸内細菌科の細菌である。具体的には、本発明の細菌は、L−ヒスチジン生産能を有する腸内細菌科の細菌であって、細菌の細胞内で本発明のタンパク質の活性を高めることによって該細菌によるL−ヒスチジン生産能が高められた細菌である。具体的には、本発明の細菌は
、L−ヒスチジン生産能を有するエシェリヒア属菌であって、細菌の細胞内で本発明のタンパク質、すなわち、変異型PRPPシンセターゼの活性を高めることによって該細菌によるL−ヒスチジン生産能が高められた細菌である。より具体的には、本発明の細菌は、染色体上又はプラスミド上に過剰発現された変異型prsA遺伝子を含むDNAを保持し、L−ヒスチジン生産能が高められた細菌である。
「L−ヒスチジン生産能を有する細菌」とは、本発明の細菌を培地で培養したときに培地中にL−ヒスチジンを蓄積する能力を有する細菌を意味する。L−ヒスチジン生産能は育種によって付与されたり、高められたりしてもよい。ここでいう「L−ヒスチジン生産能を有する細菌」はまた、野生株又は親株に比べて多い量のL−ヒスチジンを培地中に生成・蓄積できる細菌を意味する。好ましくは、0.5g/L以上、より好ましくは1.0g/L以上のL−ヒスチジンを、培地中に生成・蓄積できる細菌を意味する。
腸内細菌科の細菌は、エシェリヒア属細菌、エルビニア属細菌、プロビデンシア属細菌及びセラチア属細菌を含む。
「エシェリヒア属細菌」とは、微生物学の分野の当業者に知られた分類によってエシェリヒア属に分類される細菌を意味する。本発明において用いられるエシェリヒア属細菌の例としては、エシェリヒア・コリ(E.coli)が挙げられる。
「変異型PRPPシンセターゼの活性が上昇した」とは、細胞あたりの該活性が非改変株、例えば、野生株よりも高くなったことを意味する。例えば、細胞あたりの変異型PRPPシンセターゼ分子の数が増加する場合、及び変異型PRPPシンセターゼあたりの非活性が増加する場合などが挙げられる。さらに、比較対象として用いる野生株としてはエシェリヒア・コリK−12株が挙げられる。変異型PRPPシンセターゼの細胞内活性の上昇の結果、培地中のL−ヒスチジン蓄積量の増加が観察される。
細菌細胞内の変異型PRPPシンセターゼの活性増強は、変異型PRPPシンセターゼをコードする遺伝子の発現を高めることによって達成される。変異型PRPPシンセターゼ遺伝子としては、腸内細菌科の細菌に由来する変異型PRPPシンセターゼをコードする遺伝子、コリネ型細菌などの他の細菌由来の遺伝子のいずれを使用することもできる。これらの中では、エシェリヒア属細菌に由来する遺伝子が好ましい。
タンパク質をコードするDNAで形質転換するとは、該DNAを例えば、通常の方法によって細菌の細胞内へ導入し、本発明のタンパク質をコードする遺伝子の発現を増強し、細菌の細胞内におけるタンパク質の活性を高めることを意味する。
遺伝子発現を増強する方法は、遺伝子のコピー数を増加させる方法を含む。遺伝子をエシェリヒア属細菌内で機能しうるベクターへ導入することにより、遺伝子のコピー数を増加させることができる。そのような目的のためには、マルチコピーベクターが好ましく用いられる。マルチコピーベクターとしては、pBR322, pUC19, pBluescript KS+, pACYC177, pACYC184, pAYC32, pMW119, pET22bなどが例示できる。さらに、遺伝子発現の増加は、例えば、相同組換えなどの方法により細菌の染色体に遺伝子を多コピーで導入することによっても達成される。
一方、遺伝子発現の増強は、本発明のDNAを、本来のプロモーターの代わりに、より強力なプロモーターの制御下に配置することによっても達成される。プロモーターの強さは、RNA合成を開始する活動の頻度によって定義される。プロモーターの強度を評価する方法、強力なプロモーターの例は、Deuschle, U., Kammerer, W., Gentz, R., Bujard,
H.によって記載されている(エシェリヒア・コリのプロモーター:インビボでの強さにより別の構造を示す。“Promoters in Escherichia coli: a hierarchy of in vivo strength indicates alternate structures.” EMBO J. 1986, 5, 2987-2994)。例えば、PR
プロモーターが強力な構成的プロモーターとして知られている。その他の公知の強力なプロモーターは、ラムダファージ等のPLプロモーター、lacプロモーター、trpプロモーター、trcプロモーターなどである。
翻訳を高めることは、本発明のDNAに、本来のシャイン−ダルガノ配列(SD配列)の代わりに、より効率的なSD配列を導入することによって達成される。なお、SD配列は、mRNAの開始コドンの上流の、リボソーム16SRNAと相互作用する領域である(Shine J. and Dalgarno L., Proc. Natl. Acad. Sci. U S A, 1974, 71, 4, 1342-6)。
強力なプロモーターの使用は、遺伝子の多コピー化と組合わせてもよい。
染色体DNAの調製、ハイブリダイゼーション、PCR、プラスミドDNAの調製、DNAの消化及びライゲーション、形質転換、プライマーオリゴヌクレオチドの選択などの方法は、当業者に良く知られている通常の方法でよい。これらの方法は、Sambrook, J., and Russell D.の 「モレキュラークローニング実験室マニュアル第3版」"Molecular Cloning A Laboratory Manual, Third Edition", Cold Spring Harbor Laboratory Press (2001)などに記載されている。
本発明の細菌は、上記DNAをL−ヒスチジン生産能を本来的に有する細菌に導入することによって得ることができる。あるいは、本発明の細菌は、上記DNAを保持する細菌に、L−ヒスチジン生産能を付与することによって得ることができる。
本発明のタンパク質の活性を高めるために用いる野生株としては、L−ヒスチジン生産能を有するエシェリヒア属細菌、エシェリヒア属に属するL−ヒスチジン生産株、例えば、エシェリヒア・コリ24株(VKPM B-5945, ロシア特許2003677)、エシェリヒア・コリ80株(VKPM B-7270, ロシア特許2119536)、エシェリヒア・コリNRRL B−12116〜B12121株(米国特許4388405)、エシェリヒア・コリH−9342(FERM BP-6675)及びH−9343株(FERM BP-6676)(米国特許6344347)、エシェリヒア・コリH−9341株(FERM BP-6674)(欧州特許出願1085087A2)、エシェリヒア・コリAI80/pFM201株(米国特許6258554)などが挙げられる。
L−ヒスチジン生産菌は、さらにL−ヒスチジン生合成酵素の発現が高められるように改変されることが好ましい。L−ヒスチジン生合成に効果的な酵素は、hisG遺伝子、hisBHAFIオペロン、好ましくはヒスチジンによるフィードバック阻害が脱感作されたATPホスホリボシルトランスフェラーゼをコードするhisG遺伝子を含む(ロシア特許2003677及び2119536)。
<3>本発明の方法
本発明の方法は、本発明の細菌を培地で培養し、該培地中にL−ヒスチジンを生産蓄積させる工程、及び該培地からL−ヒスチジンを採取する工程を含む。
本発明の方法において、培養および培養液からのL-ヒスチジンの採取、精製等は、微生物を用いてアミノ酸を生産する従来の発酵法と同様にして行えばよい。培養に使用する培地としては、炭素源、窒素源、無機物を含有し、必要があれば使用菌株が生育に要求する栄養源を適当量含有するものであれば、合成培地でも天然培地でもよい。炭素源としては、グルコースやシュークロースをはじめとする各種炭水化物、各種有機酸があげられる。また使用する微生物の資化性によってはエタノールやグリセロール等のアルコールを用いることも出来る。窒素源としては、アンモニアや、硫酸アンモニウム等の各種のアンモニウム塩類や、アミン類その他の窒素化合物や、ペプトン、大豆加水分解物、発酵菌体分解物等の天然窒素源を用いることが出来る。無機物としては、燐酸一カリウム、硫酸マグネ
シウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、塩化カルシウム等が用いられる。必要に応じて付加的な栄養素を培地に添加することもできる。例えば、細菌がプロリンを生育に必要とする場合(プロリン要求性)、十分量のプロリンを培地に培養用として添加することができる。
培養は、振盪培養、通気撹拌培養等の好気的条件下で行うことが好ましく、培養温度は通常には20〜42℃で、好ましくは37〜40℃の範囲で行う。培地のpHは通常には5〜9の範囲であり、6.5〜7.2の範囲が好ましい。培地のpHは、アンモニア、炭酸カルシウム、各種酸、各種塩基、緩衝液などによって調整することができる。通常、1〜5日の培養によって、液体培地中に目的とするアミノ酸が蓄積する。
培養終了後、培養液から菌体などの固形物を遠心分離や膜分離法で除去し、イオン交換法、濃縮法、晶析法等によって目的とするアミノ酸を採取、精製することが出来る。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。実施例中において、アミノ酸は特にことわらない限りL体である。
[実施例1]エシェリヒア・コリからの野生型prsA遺伝子のクローニング及び変異型prsDA及びprsDS遺伝子の構築
エシェリヒア・コリK-12株の全塩基配列は既に決定されている(Science, 277, 1453-1474, 1997)。報告された塩基配列に基づいて、配列番号3(プライマー1)及び配列番号4(プライマー2)で表されるプライマーを、prsA遺伝子の増幅のために合成した。プライマー1にはBglII認識サイトが5’側に導入されており、プライマー2にはXbaI認識サイトが5’側に導入されている。
エシェリヒア・コリK-12株の染色体DNAをPCRの鋳型用に、通常の方法にて調製した。Applied Biosystems GeneAmp PCR System 2400PCRを用いて以下の条件によりPCRを行った。最初に95℃、3分のDNA熱変性、次に、95℃、30秒の熱変性;60℃、60秒のアニーリング;72℃、120秒の伸長を30サイクル、最後に72℃、7分のポリマー化。反応には、Taqポリメラーゼ(Fermentas, Lithuania)を用いた。得られた、プロモーターを含まないprsA遺伝子を含むPCRフラグメントをBglIIとXbaIで処理し、同じ制限酵素で前もって処理された染色体導入用ベクターpMW119-PRのPRプロモーターの制御下に挿入した。ベクターpMW119-PRは、購入可能なベクターpMW119に、λファージPRプロモーター、及びさらなるMu統合に必要なattR及びattLサイトを挿入することによって構築した。このようにして、pMW119-PR-prsAを得た。
変異型prsDA遺伝子(変異型prsDA遺伝子によってコードされるPRPPシンセターゼにおいて128位のアスパラギン酸をアラニンに置換したもの)を、プライマー1(配列番号3)及び2(配列番号4)、及び鋳型にプラスミドpUCprsDAを用いて上記のようなPCRを行うことにより得た。プラスミドpUCprsDAは、欧州特許出願EP1004663A1に詳細が記載されている。得られたPCR産物をBglIIとXbaIで処理し、同じ制限酵素で前もって処理された統合用ベクターpMW119-PRのPRプロモーターの制御下に挿入した。このようにしてpMW119-PR-prsDAを得た。
変異型prsDS遺伝子(変異型prsDS遺伝子によってコードされるPRPPシンセターゼにおいて115位のアスパラギン酸をセリンに置換したもの)を2つの連続したPCRにより構築した。第1段階では、エシェリヒア・コリK12株の染色体DNAを鋳型として、第1のフラグメント用にプライマー1(配列番号3)及び3(配列番号5)を、第2のフラグメント用にプライマー2(配列番号4)及び4(配列番号6)を用いて、2つのフラグメントを増幅した。次に、得られたPCR産物を電気泳動で分離し、ゲルから溶出した。第2のPCRでは、2つのDNAフラグメントをアニールさせ、変異型prsDS遺伝子を完成させた。得られた、プロモーターを含まないprsDS遺伝子を含むPCRフラグメントをBglIIとXbaIで処理し、同じ制限酵素で前もって処理された統合用ベクターpMW119−PRのPRプロモーターの制御下に挿入した。このようにしてpMW119−PR−prsDSを得た。
[実施例2]purH遺伝子高発現のヒスチジン生産に対する影響
染色体に組み込まれたprsA、prsDA、又はprsDS遺伝子の付加的なコピーを含む3種類のL−ヒスチジン生産株を構築した。L−ヒスチジン生産株であるエシェリヒア・コリ80株をprsA、prsDA、又はprsDS遺伝子を細菌染色体上に組み込むための親株として用いた。80株はロシア特許2119536号に記載されており、ロシアン・ナショナル・コレクション・オブ・インダストリアル・マイクロオーガニズム(Russian National Collection of Industrial Microorganisms (ロシア、113545モスクワ、1stドロズニー プロエズド、1)にアクセス番号VKPM B-7270のもとに寄託されている。
80株の染色体への遺伝子の組み込みは2段階で行った。第1段階では、ヒスチジン生産株である80株を、レプリコンrep(p15A)、及びトランスポザーゼ遺伝子(ファージMu-ctsのcts62、ner、A、B遺伝子)を含み、TetRマーカーを保持するヘルパープラスミドで形質転換した。得られた株を、第2段階では、pMW119-PR-prsA、pMW119-PR-prsDA、又はpMW119-PR-prsDSで形質転換した。遺伝子の染色体への組み込みのために、熱ショックを与えた細胞を1mlのL-培地に移し、44℃で20分、37℃で40分インキュベートし、次いで、10μg/mlのテトラサイクリンと100μg/mlのアンピシリンを含むL-寒天培地に広げた。30℃で48時間以内に生育してきたコロニーを1mlのL-培地でイノキュレートし、試験管内にて42℃で72時間インキュベートした。各試験官につき、約10個のコロニーを、アンピシリン及びテトラサイクリン耐性について調べた。両方の抗生物質に感受性のコロニーについて、染色体上にprs遺伝子の付加的なコピーが存在するかを、プライマー1(配列番号3)及びプライマー5(配列番号7)を用いたPCRによって調べた。プライマー5はMuファージのattRサイトに相補的な配列を含む。その目的のために、新しく単離したコロニーを50μlの水に懸濁し、そのうちの1μlをPCRに用いた。PCRの条件は以下のとおりである。最初に95℃、5分のDNA熱変性、次に、95℃、30秒の熱変性;57℃、60秒のアニーリング;72℃、120秒の伸長を30サイクル、最後に72℃、7分のポリマー化。調べたうちのいくつかの抗生物質感受性コロニーが必要な1515bpのフラグメントを含んでいた。このようにして、80:: PR-prsA、80:: PR-prsDA、80:: PR-prsDS株を得た。
ミニジャーのバッチ発酵のために、L-寒天培地で生育させた各株のひとかき分をL-培地に移し、30℃で回転(140rpm)させながら培地の吸光度がOD540約2.0になるまで培養した。次いで、種培養の25mlを250mlの発酵用培地に添加し、29℃で回転(1500rpm)させながら培養した。バッチ発酵はおよそ35〜40時間続けた。培養後、培地中に蓄積したヒスチジンの量をペーパークロマトグラフィーによって決定した。ペーパーは移動相:n−ブタノール:酢酸:水=4:1:1(v/v)で展開させた。ニンヒドリン(0.5%)のアセトン溶液を可視化するための試薬として用いた。
発酵培地の組成は以下のとおり(pH6.0)(g/l):
グルコース 100.0
豆濃 全窒素量(total nitrogen)として0.2
(NH42SO4 8.0
KH2PO4 1.0
MgSO4・7H2O 0.4
FeSO4・7H2O 0.02
MnSO4 0.02
チアミン 0.001
ベタイン 2.0
L-プロリン 0.8
L-グルタミン酸 3.0
L-アスパラギン酸 1.0
アデノシン 0.1
結果を表1に示す。
Figure 0004852839
表1に示されるように、プリンヌクレオチドによるフィードバックに耐性のPRPPシンセターゼをコードする変異型prsA遺伝子を用いることにより、エシェリヒア・コリ80株のヒスチジン生産が向上した。

Claims (10)

  1. L−ヒスチジン生産能を有する腸内細菌科の細菌を培地で培養して該培地中にL−ヒスチジンを生成蓄積させ、L−ヒスチジンを該培地から採取する、L−ヒスチジンの製造方法であって、
    前記細菌が、変異型ホスホリボシルピロリン酸シンセターゼ(PRPPシンセターゼ)をコードするDNAを保持し、
    前記変異型PRPPシンセターゼが、エシェリヒア・コリの野生型ホスホリボシルピロリン酸シンセターゼにおいて、115位に相当するL−アミノ酸残基が他のL−アミノ酸残基に置換され、プリンヌクレオチドによるフィードバック阻害が脱感作された、細菌変異型PRPPシンセターゼである、方法
  2. 前記変異型PRPPシンセターゼが、野生型PRPPシンセターゼにおいて、115位に相当するアスパラギン酸残基がセリン残基に置換された変異型PRPPシンセターゼである、請求項1に記載の方法。
  3. 野生型PRPPシンセターゼがエシェリヒア・コリの野生型PRPPシンセターゼである、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記変異型PRPPシンセターゼが、115位以外の1又は複数の位置において、1又は数個のアミノ酸の欠失、置換、挿入又は付加を含み、プリンヌクレオチドによるフィードバック阻害が脱感作された変異型PRPPシンセターゼである、請求項3に記載の方法。
  5. 前記細菌が、変異型PRPPシンセターゼの活性が上昇した細菌である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記細菌が、エシェリヒア属に属する細菌である、請求項5に記載の方法。
  7. 変異型PRPPシンセターゼ遺伝子の発現量を増加させることによって変異型PRPPシンセターゼの活性が上昇した、請求項5に記載の方法。
  8. 変異型PRPPシンセターゼ遺伝子のコピー数を増加させること、又は該遺伝子の発現が上昇するように該遺伝子の発現調節配列を改変することによって、変異型PRPPシンセターゼの活性が上昇した、請求項7に記載の方法。
  9. 変異型PRPPシンセターゼ遺伝子の付加的なコピーを該細菌の染色体に組み込むことによって、コピー数を増加させる、請求項8に記載の方法。
  10. 前記細菌がヒスチジン生合成遺伝子の発現が上昇した細菌である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
JP2004326981A 2003-11-10 2004-11-10 変異型ホスホリボシルピロリン酸シンセターゼ及びl−ヒスチジンの製造方法 Expired - Fee Related JP4852839B2 (ja)

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
RU2003132412 2003-11-10
RU2003132412 2003-11-10
RU2004120501/13A RU2282660C2 (ru) 2003-11-10 2004-07-07 Мутантная фосфорибозилпирофосфатсинтетаза, фрагмент днк, бактерия рода escherichia - продуцент l-гистидина и способ продукции l-гистидина
RU2004120501 2004-07-07

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2005160474A JP2005160474A (ja) 2005-06-23
JP2005160474A5 JP2005160474A5 (ja) 2010-10-07
JP4852839B2 true JP4852839B2 (ja) 2012-01-11

Family

ID=34437062

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004326981A Expired - Fee Related JP4852839B2 (ja) 2003-11-10 2004-11-10 変異型ホスホリボシルピロリン酸シンセターゼ及びl−ヒスチジンの製造方法

Country Status (5)

Country Link
EP (1) EP1529839B1 (ja)
JP (1) JP4852839B2 (ja)
AT (1) ATE391772T1 (ja)
DE (1) DE602004012948T2 (ja)
RU (1) RU2282660C2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4729984B2 (ja) 2004-12-22 2011-07-20 日産自動車株式会社 車両用制動力制御方法、及び車両用制動力制御装置
BR112013004379A2 (pt) 2010-08-27 2016-05-17 Metabolic Explorer Sa produção fermentativa de ácido glicólico com um microorganismo modificado
DE102012016716A1 (de) 2012-08-22 2014-02-27 Forschungszentrum Jülich GmbH Verfahren zur Herstellung von Vektoren enthaltend ein für in seiner feedback-Inhibierung gemindertes oder ausgeschaltetes Enzym kodierendes Gen und deren Verwendung für die Herstellung von Aminosäuren und Nukleotiden
KR101904666B1 (ko) * 2017-08-02 2018-11-29 씨제이제일제당 (주) Atp 포스포리보실기 전이효소 변이체 및 이를 이용한 l-히스티딘 생산방법

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61274692A (ja) * 1985-05-29 1986-12-04 Kyowa Hakko Kogyo Co Ltd L−ヒスチジンの製造法
JPS6236197A (ja) * 1985-08-09 1987-02-17 Ajinomoto Co Inc 発酵法によるl−ヒスチジンの製造法
JPH02474A (ja) * 1988-12-26 1990-01-05 Kyowa Hakko Kogyo Co Ltd L―ヒスチジンの製造法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005160474A (ja) 2005-06-23
ATE391772T1 (de) 2008-04-15
DE602004012948T2 (de) 2009-05-28
RU2282660C2 (ru) 2006-08-27
EP1529839A1 (en) 2005-05-11
EP1529839B1 (en) 2008-04-09
DE602004012948D1 (de) 2008-05-21
RU2004120501A (ru) 2006-01-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8071339B2 (en) Mutant phosphoribosylpyrophosphate synthetase and method for producing L-histidine
US7399618B2 (en) Method for producing L-histidine using bacteria of Enterobacteriaceae family
JP4626220B2 (ja) 腸内細菌科の細菌を用いたl−ヒスチジンの製造法
JP4682454B2 (ja) 新規変異型n−アセチルグルタミン酸合成酵素及びl−アルギニンの製造法
EP1942183B1 (en) A mutant acetolactate synthase and a method for producing branched-chain L-amino acids
RU2215783C2 (ru) МУТАНТНАЯ N-АЦЕТИЛГЛУТАМАТ СИНТАЗА (ВАРИАНТЫ), ФРАГМЕНТ ДНК, ШТАММ БАКТЕРИИ Escherichia coli - ПРОДУЦЕНТ АРГИНИНА (ВАРИАНТЫ) И СПОСОБ ПОЛУЧЕНИЯ L-АРГИНИНА
EP1650296B1 (en) Mutant serine acetyltransferase and process for producing l-cysteine
RU2175351C2 (ru) Фрагмент днк из escherichia coli, определяющий повышенную продукцию l-аминокислот (варианты), и способ получения l-аминокислот
KR101261147B1 (ko) L-아미노산의 생산능이 향상된 미생물 및 이를 이용하여 l-아미노산을 생산하는 방법
KR101835935B1 (ko) L-아르기닌을 생산하는 코리네박테리움 속 미생물 및 이를 이용한 l-아르기닌의 제조 방법
KR102028554B1 (ko) 신규한 프로모터 및 이를 이용한 l-아미노산 생산 방법
KR20130082124A (ko) 자일로즈 이용능이 부여된 코리네박테리움 속 미생물 및 이를 이용한 l-라이신의 생산방법
KR100830289B1 (ko) L-아르기닌 생산 변이주 및 이의 제조방법
WO2014027702A1 (en) Method for producing l-arginine using bacterium of the family enterobacteriaceae having n-acetylornithine deacetylase with downregulated activity
CN109790557B (zh) 控制生物膜分散以产生氨基酸或氨基酸衍生产物
JP4852839B2 (ja) 変異型ホスホリボシルピロリン酸シンセターゼ及びl−ヒスチジンの製造方法
KR102527895B1 (ko) GlxR 단백질 변이체 또는 이를 이용한 쓰레오닌 생산방법
KR20070062778A (ko) 2-옥소글루타레이트 디히드로게나제를 코딩하는 유전자가불활성화된 미생물, 그를 제조하는 방법 및 상기 미생물을이용하여 l-글루타민을 생산하는 방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070725

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100622

A524 Written submission of copy of amendment under article 19 pct

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A524

Effective date: 20100823

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20110517

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110808

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20110816

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110927

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111010

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141104

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4852839

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141104

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees