JP4852170B1 - 木部塗装改修工法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】木部塗装改修工法は、噴き出しノズル口がスリット状に開口するとともに基端から噴き出しノズル口に向けて拡大した平面略台形状の平ノズルを備えたエアーブラスト装置を用いて、噴き出しノズルからの噴き出しエアー圧を0.29〜0.39MPa及びエアー消費量を4.8〜6.2m3/分に設定して、ブラストメディアとして平均粒径が0.2〜0.3mm及びモース硬度が2.5〜3.5に調製された重曹又はクルミ殻等の自然由来物を直線状にエアー噴射し、この直線状のエアー噴射を略垂直方向に相対移動させて木部塗装の旧塗膜を除去する旧塗膜除去工程を行い、旧塗膜を除去した木部表面に植物油脂を塗膜形成成分とした木材用塗料を塗装する塗装工程を行う。
【選択図】図1
Description
木部塗装を新規の塗装に改修する木部塗装改修工法であって、
噴き出しノズル口がスリット状に開口するとともに基端から噴き出しノズル口に向けて拡大した平面略台形状の平ノズルを備えたエアーブラスト装置を用いて、噴き出しノズルからの噴き出しエアー圧を0.29〜0.39MPa及びエアー消費量を4.8〜6.2m3/分に設定して、ブラストメディアとして平均粒径が0.2〜0.3mm及びモース硬度が2.5〜3.5に調製された重曹又は植物種子殻を直線状にエアー噴射し、この直線状のエアー噴射を略垂直方向に相対移動させて木部塗装の旧塗膜を除去する旧塗膜除去工程を行い、
旧塗膜を除去した木部表面に植物油脂を塗膜形成成分とした木材用塗料であって塗料全量に対して30〜90重量%の植物油脂と、1〜25重量%の顔料とを含む木材用塗料を塗装する塗装工程を行う。
上記旧塗膜除去工程に際してブラストメディアに重曹を用いる場合は、エアーブラスト装置の平ノズルの両平面に取り付けた水ノズルから水道水圧により水道水をも噴射するのが好ましい。
実施形態による木部塗装改修工法は、木部塗装を新規の塗装に改修するに際して、木部塗装の旧塗膜を除去する旧塗膜除去工程と、旧塗膜を除去した木部表面に専用の木材用塗料を塗装する塗装工程とを行うものである。
塗膜形成成分は、塗料の主成分である天然植物油脂が使用される。この天然植物油脂としては、例えば、亜麻仁油、えの油、桐油、サフラワー油、大豆油、パーム油、ひまし油、やし油等が挙げられる。
顔料は、耐候性の高い無機顔料、有機顔料が使用される。無機顔料としては、例えば、弁柄、群青、鉱物を粉砕した天然鉱物顔料、酸化鉄、酸化チタン等が挙げられる。有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、多環系顔料、レーキ顔料などが挙げられる。
添加剤は、例えば、界面活性剤、防腐剤、消泡剤、レベリング剤、乾燥剤等が挙げられる。なお、この木材用塗料では、新木材を塗装するものよりも植物油脂の配合量を多くしている。木材用塗料の粘度が低すぎて塗工性を阻害しないように、適正粘度化に寄与する粘度調整剤を塗料全量に対して0.1〜10.0重量%の割合で混合するのが好ましい。この粘度調整剤は、有機系、無機系の物質が使用され、例えば、有機系ではアマイドワックス、ポリエチレンワックスなど、無機系ではシリカ、ベントナイト、ヘクトライトなどが使用される。
(実施例1)
(1)旧塗膜除去工程
木板に木工用塗料(日本エンバイロケミカルズ株式会社の商品名「キシラデコール」)を刷毛塗りで2回塗装したものを、3年間放置した旧塗膜除去用の塗装木板に対して、上記エアーブラスト装置10を用いて、重曹をブラストメディアとして使用して平ノズル3からエアー噴射させるとともに水ノズル5から水道水を水道水圧で噴射させる湿式処理により、木部塗装の旧塗装を除去した。この際、重曹の直線状のエアー噴射をその略垂直方向に相対移動させて木部塗装に向けて噴射させることで旧塗膜を除去した。また、エアーブラスト装置10において、ノズル長さ15cm、噴き出しノズル口31の口径2mm×50mmの平ノズル3を用い、コンプレッサー1のゲージ9で噴き出しエアー圧0.35MPa、エアー消費量6.0m3/分に設定した。また、ブラストメディアとしての重曹は、平均粒径0.3mm、モース硬度2.5に調整されたものを用いた。
旧塗膜を除去した木部生地を20℃で一週間、乾燥させた後、この木部生地に対して、木材用塗料として、専用油性塗料(配合例1、2、3、4)及び専用水性塗料(配合例5、6、7、8)を、刷毛塗りにて塗布し、塗装改修した木部を得た。
なお、植物油脂としては、亜麻仁油、大豆油を使用した。顔料としては、酸化鉄を使用した。また、粘度調整剤として、シリカを塗料全量に対して0.3重量%、及びベントナイトを塗料全量に対して0.1重量%添加した。配合例を以下の表1に示す。
旧塗膜除去工程では、平均粒径0.3mm、モース硬度3.0に調整されクルミ殻をブラストメディアとして使用し、水道水を噴射させない乾式処理を行ったこと以外は、上記実施例1と同様にして木部塗装の旧塗装除去を行った。
塗装工程では、旧塗膜を除去した木部生地に対して乾燥は行わないこと以外は、この木部生地に対して上記実施例1と同様にして塗料(実施例1で示した配合例と同様)の塗布を行い、塗装改修した木部を得た。
旧塗膜除去工程では、実施例1に示した旧塗膜除去用の塗装木板に対して、旧塗膜を#240サンドペーパーで研磨除去することにより旧塗膜を除去した木部生地とした。
塗装工程では、この旧塗膜を除去した木部生地に対して乾燥は行わず、この木部生地に対して上記実施例1と同様にして塗料(実施例1で示した配合例と同様)の塗布を行い、塗装改修した木部を得た。
旧塗膜除去工程では、上記実施例2と同様にして旧塗膜を除去した木部生地とした。
塗装工程では、この旧塗膜を除去した木部生地に対して乾燥は行わず、この木部生地に対して新木材用塗料(植物油脂系成分が20重量%、顔料が5重量%、粘度調整剤が0.2重量%)を刷毛塗りにて塗布し、塗装改修した木部を得た。
上記実施例及び比較例で得られた塗装改修後の木部を、一週間、自然乾燥させ、70mm×150mmに切り出した木板を試験板として、以下の試験を行った。
(1)初期密着性
得られた試験板について、JIS K5600に準じて塗装の密着性を評価した。評価は、塗装の剥離無しを◎、塗装の剥離面積が10%以内を○、塗装の剥離面積が10%超えを×とした。
(2)耐候性
得られた試験板について、キセノンウェザー耐候促進装置にて紫外線を500時間、照射した後、JIS K5600に準じて塗装の密着性を評価した。評価は、塗装の剥離無しを◎、塗装の剥離面積が10%以内を○、塗装の剥離面積が10%超えを×とした。
以上の初期密着性及び耐候性について結果を表2,3に示す。
実施例1(配合例1)と比較例1(配合例1)の塗装改修直後に得られた各試験板について、目視で意匠性の評価を行った。
その結果、図2の左側に示したブラスト後塗装した木板(実施例1)は、図2の右側に示したサンドペーパーで研磨後塗装した木板(比較例1)に比べて、早材部分の着色がよく、晩材部分がくっきりと浮かび上がり、木目がはっきりと出ており、また塗料の吸い込みムラによる色ムラも少ないため意匠性が向上し、木材としての付加価値が高まったといえる。
2 タンク
3 平ノズル
5 水ノズル
6 水道蛇口
31 噴き出しノズル口
Claims (2)
- 木部塗装を新規の塗装に改修する木部塗装改修工法であって、
噴き出しノズル口がスリット状に開口するとともに基端から噴き出しノズル口に向けて拡大した平面略台形状の平ノズルを備えたエアーブラスト装置を用いて、噴き出しノズルからの噴き出しエアー圧を0.29〜0.39MPa及びエアー消費量を4.8〜6.2m3/分に設定して、ブラストメディアとして平均粒径が0.2〜0.3mm及びモース硬度が2.5〜3.5に調製された重曹又は植物種子殻を直線状にエアー噴射し、この直線状のエアー噴射を略垂直方向に相対移動させて木部塗装の旧塗膜を除去する旧塗膜除去工程を行い、
旧塗膜を除去した木部表面に植物油脂を塗膜形成成分とした木材用塗料であって塗料全量に対して30〜90重量%の植物油脂と、1〜25重量%の顔料とを含む木材用塗料を塗装する塗装工程を行う木部塗装改修工法。 - 請求項1に記載の木部塗装改修工法において、
上記旧塗膜除去工程に際してブラストメディアに重曹を用いる場合は、エアーブラスト装置の平ノズルの両平面に取り付けた水ノズルから水道水圧により水道水をも噴射する木部塗装改修工法。
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