JP4850676B2 - 画像生成装置及び画像生成方法 - Google Patents

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Description

本発明は画像生成装置および画像生成方法に関し、特に、仮想的な三次元空間内に配置された物体に基づく擬似三次元表示用の画像を生成する画像生成装置および画像生成方法に関する。
昨今では、三次元形状を二次元画面上に擬似三次元表示する三次元コンピュータグラフィックス(以下、3D−CG)技術が急速に普及している。この3D−CG技術は、CAD(Computer Aided Design)、物理シミュレーション、あるいはデザインシミュレーションといった多くの分野に用いられている。また近年では、現実世界の映像と3D−CGとを合成して、より人間の知覚に近い画像情報をユーザに提示する技術も開発されつつある。このような技術はAR(Augumented Reality;拡張現実感)システムや、MR(Mixed Reality;複合現実感)システムと呼ばれ、工業製品のデザインシミュレーションや映像作成等の分野に用いられている。
このような3D−CGを用いる従来の技術においては、表示すべき物理色を以下のような方法によって算出している。すなわち、三次元の物体モデルや光源といったオブジェクトに対して、反射率、放射輝度、屈折率あるいは透過率といった光学的情報を設定し、XYZ等の三刺激あるいは分光分布に基づいて、表示すべき物理色を算出する。これにより、物理色は相当の精度で算出でき、ある程度限定されたオブジェクト配置に対しては、人間の主観的知覚に一致する表示画像を得ることができる。ここで、限定されたオブジェクト配置とは例えば、平行光光源を遮蔽するオブジェクトが無く、一様な観察環境下で物体を観察していると仮定できる場合が、それに相当する。
また、観察条件に応じた色の見えの違いを考慮した色の見えモデルが提案されている。そして、この色の見えモデルを用いて、画像に対してカラーマッチングを行うことが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2000-050086号公報。
上記従来の3D−CG技術によれば、オブジェクト配置あるいは光源条件が複雑になると、その生成画像(レンダリング画像)が人間の主観的知覚に一致せず、違和感を生じさせる場合がある。そのような例として、オブジェクトとして家屋と家具と屋外が設定され、家屋の中から屋外を覗く場合が挙げられる。このような場合、例えば図9に示すように、屋内が不自然に暗い画像が生成されてしまい、人間の主観的知覚に一致しなくなる。
このような違和感は、物体の光学的モデルに基づく物理色算出によって生じるものではなく、物理色から画像表示色への変換により生じているものである。上記従来の画像色変換によれば、物理色から画像表示色への変換には一様な変換式が用いられている。例えば物理色がXYZ値で表現される場合、一般的にはsRGB変換式に則り、表示画像全面に渡って一様に変換される。これを視覚に置き換えると、観察対象の如何を問わず、順応状態が変化しないと仮定していることに他ならない。このため、例えば図9に示したように屋内が不自然に暗い画像が生成され、上述したようにレンダリング画像が人間の主観的知覚に一致しなくなるといった不具合が生じてしまう。
実際の人間の視覚は、観察対象の明るさや色によって順応状態が変化する。従って、レンダリング画像を実際の人間の知覚に近づけるためには、観察する対象、すなわちレンダリング対象と順応状態とを考慮して、物理色から表示色に変換する必要がある。上述したように家屋の中から屋外を覗くようにオブジェクトが配置された場合を例とすると、屋内のオブジェクトは瞳孔が開いた状態の心理物理色、屋外のオブジェクトは瞳孔が閉じた状態の心理物理色に基づいて、それぞれ表示色を算出する必要がある。
さらに、従来は、3D-CG技術とカラーマッチングを連携して処理することは行われていなかった。
本発明は上述した問題を解決するためになされたものであり、人間の視覚の順応状態に基づいた良好な擬似三次元画像を作成することを可能とする画像生成装置および画像生成方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための一手段として、本発明の画像生成装置は以下の構成を備える。
すなわち、オブジェクトの位置情報と該オブジェクトの第1のアピアランス情報とを含むオブジェクトデータを、複数のオブジェクトそれぞれについて保持する保持手段と、前記複数のオブジェクトそれぞれについて、オブジェクトデータに含まれる位置情報に従ってワールド座標に配置されたオブジェクトを、ワールド座標に配置されたスクリーンに投影することによって当該スクリーン上に得られる擬似3次元画像を生成する生成手段と、前記擬似3次元画像の各画素の色値を、該画素に投影されているオブジェクトに対応するオブジェクトデータに含まれる第1のアピアランス情報を用いて、知覚値に変換する順変換手段と、前記擬似3次元画像の各画素の前記知覚値を、該各画素に共通に使用される予め定められた第2のアピアランス情報を用いて色値に変換することにより、色変換後の擬似3次元画像を生成する逆変換手段と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、オブジェクトごとに設定されたアピアランス情報を用いて変換することにより、人間の視覚の順応状態に基づいた良好な擬似3次元画像を生成することができる。
以下、添付の図面を参照して、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態において示す構成は一例に過ぎず、本発明は図示された構成に限定されるものではない。
<第1実施形態>
●システム概要
本実施形態に係る画像生成装置は、仮想的な三次元空間内に配置された物体に基づいて擬似三次元表示用の画像を生成し、これをモニタ表示する。図1は、本実施形態に係る画像生成装置のシステム構成を示すブロック図である。同図ににおいて、101はCPU、102はメインメモリ、103はSCSIインタフェース、104はHDDである。また、105はグラフィックアクセラレータ、106はカラーモニタ、107はキーボード/マウスコントローラ、108はキーボード、109はマウスであり、110はPCIバスである。
図1に示す構成における、画像合成の一連の動作について説明する。まず、HDD104に格納されている擬似三次元画像合成アプリケーションが、ユーザの指示を受けたOSプログラムに基づき、CPU101にて起動される。続いてユーザの指示に基づく擬似三次元画像合成アプリケーションの処理にしたがって、HDD104に格納されている画像合成用オブジェクトファイル(以下、オブジェクトファイル)が読み出される。そしてCPU101からの指令に基づき、該オブジェクトファイルはSCSIインタフェース103を介して、PCIバス110経由でメインメモリ102に転送され、オブジェクトデータとして記憶される。
このようにメインメモリ102に保持されたオブジェクトデータには、ユーザの指示に基づく三次元画像合成アプリケーションの処理によって、編集作業が施される。ユーザが編集作業を終了すると、オブジェクトデータ内の三次元オブジェクトに対し、後述する処理に基づいて擬似三次元画像の合成(以下、レンダリング)が行われ、この結果として得られた画像がメインメモリ102に記憶される。
このようにメインメモリ102に記憶されたディジタル画像データは、CPU101からの指令によりPCIバス110経由でグラフィックアクセラレータ105に転送される。するとグラフィックアクセラレータ105はディジタル画像データをD/A変換した後、ディスプレイケーブルを通じてカラーモニタ106に送信する。これにより、カラーモニタ106上に画像が表示される。
●擬似三次元画像合成アプリケーション
以下、本実施形態における擬似三次元画像合成アプリケーションについて、図2a,図2b,図2cを用いて説明する。
本実施形態の擬似三次元画像合成アプリケーションが起動されると、カラーモニタ106に図2aおよび図2bに示すウィンドウが表示される。図2aは、レンダリング結果を擬似三次元表示するウィンドウであり、図2bはユーザがオブジェクト編集とレンダリング実施とを指示するためのウィンドウである。ユーザは、これらの図2aおよび図2bのウィンドウから、マウスまたはキーボードを用いて擬似三次元画像合成アプリケーションに指示を与え、該アプリケーションは、オブジェクト編集結果に基づいて擬似三次元画像を生成する。生成された擬似三次元画像は、ユーザからの指示によりHDD104に保存される。
オブジェクト編集は、図2bに示すボタン201〜204に基づいて実行され、オブジェクトに基づくレンダリングはボタン205を押下することで実行される。そして生成された擬似三次元画像は、ボタン206を押下することでHDD104にビットマップ画像として保存される。なお、本実施形態におけるオブジェクト編集処理については周知の手法を用いているため、ここでは詳細な説明を割愛する。
以下、図2bに示すオブジェクト編集を指示する各ボタンについて説明する。ボタン201は物体オブジェクト調整ボタンであり、これが押下されることによって物体オブジェクト編集用ダイアログ(不図示)が表示され、物体オブジェクトが編集される。202は光源オブジェクト調整ボタンであり、これが押下されることによって光源オブジェクト編集用ダイアログ(不図示)が表示され、光源オブジェクトが編集される。203はオブジェクト保存ボタンであり、これが押下されることによって、編集した光源オブジェクトと物体情報が、後述するデータ構造に従ってHDD104に保存される。204はオブジェクト読み出しボタンであり、これが押下されることによって、後述するデータ構造に従ってHDD104に保存されたデータが、メインメモリ102に読み込まれる。なお、本実施形態におけるオブジェクトデータの詳細なデータ構造については後述する。
次に、図2bに示すアピアランスパラメータの設定方法について説明する。207は物体オブジェクト選択ボタンであり、アピアランスパラメータを設定可能なオブジェクトID番号を選択する。208はアピアランスパラメータ設定ボタンであり、物体オブジェクト選択ボタン207により選択された物体オブジェクトに対して、アピアランスパラメータを設定する。アピアランスパラメータ設定ボタン208を押下すると、図2cに示すダイアログが表示され、CIECAM02パラメータをアピアランスパラメータとして設定することができる。ここで設定可能なCIECAM02パラメータとしては、図2cに示す4つのパラメータがある。すなわち、「White Point」、「Luminance of the adapting field」、「Luminance factor of the background」、「Surround」の4パラメータである。但し、「Surround」に関しては、プルダウンリストより「Average」,「Dim」,「Dark」の3種の何れかを選択する。
●オブジェクトデータ構造
以下、本実施形態におけるオブジェクトデータのデータ構造について、図3および図4のツリー図を用いて説明する。
本実施形態のオブジェクトデータは、図3に示すツリーデータ構造で表現され、ルートのデータは「光源オブジェクトデータ」と「物体オブジェクトデータ」から構成される。「光源オブジェクトデータ」は、光源の個数を示す「光源個数情報」と、該個数に従った数の「光源情報(1〜m)」によって構成される。また「物体オブジェクトデータ」は、物体の個数を示す「物体個数情報」と、該個数に従った数の「物体情報(1〜n)」によって構成される。
「光源情報(1〜m)」は図3に示す様に、「オブジェクトID」、「光源種フラグ」、「ワールド座標情報」、「光源色情報」、「光線ベクトル情報」、「アピアランス情報」の6情報から構成される。本実施形態では、「光源種フラグ」によって示される光源種として平行光、点光源、面光源、環境光の4種類が準備され、それぞれに応じて「光線ベクトル情報」が設定される。また、光源位置としての「ワールド座標情報」が設定され、「光源色情報」として光強度がXYZ値で設定される。さらに、擬似三次元画像合成において光源オブジェクトが直接描画される場合に備え、「アピアランス情報」としてCIECAM02のパラメータが記述される。なお、CIECAM02パラメータの詳細については後述する。
「物体情報(1〜n)」は図3に示す様に、「オブジェクトID」、「ワールド座標情報」、「アピアランス情報」の3情報から構成される。本実施形態では、物体の「オブジェクトID」として、後述する物体情報(図4)に対する識別子としてID番号が対応付けられており、このID番号により、ワールド座標に配置される物体種が決定付けられる。また、物体位置として「ワールド座標情報」が設定され、「アピアランス情報」としてCIECAM02のパラメータが記述される。
次に、図3に示すオブジェクトデータにおいて、「物体情報(1〜n)」内の「オブジェクトID」によって指定される、ワールド座標におけるオブジェクト配置を示す「物体情報」について、そのデータ構造を図4のツリー図を用いて説明する。
同図に示すように本実施形態の「物体情報」には、ルートに「基本要素データ」と「基本要素数」、「集合要素データ」と「集合要素数」、並びにこれらの要素に対する「論理演算情報」が記述される。さらに「基本要素データ」は、「基本要素数」情報に従った数の「基本要素情報(1〜m)」から構成され、「集合要素データ」は「集合要素数」情報に従った数の「集合要素情報(1〜n)」から構成される。
「基本要素情報(1〜m)」はさらに、「要素種情報」と「ローカル座標情報」、「物体色情報」、テクスチャマッピング用の「ビットマップ情報」、とから構成される。本実施形態では、「要素種情報」として示される基本要素種として、図5に示す直方体、円錐、球体、円柱の4種類の他、三角パッチとスプライン曲面の2種類が準備される。また、物体情報内での「ローカル座標情報」が設定され、「物体色情報」としてXYZ反射率が設定される。さらにオプションとして、テクスチャマッピング用にXYZ反射率による「ビットマップ情報」が準備される。
「集合要素情報(1〜n)」は、所定の物体情報を指し示す物体の「オブジェクトID」と「ローカル座標情報」から構成される。但し、「オブジェクトID」として再帰的にID番号を示すことは禁止される。なお、「ローカル座標情報」は、物体情報内でのローカルな座標情報として設定される。
「論理演算情報」は、複数の物体オブジェクト間で行う処理を規定するものである。論理演算には、例えば、物体同士の共通部分を求めたり(積)、共通部分をくり抜いたり(減算)したりする処理が含まれる。論理演算を用いることにより、簡単な形状の物体を組み合わせて複雑な形状モデルを容易に構築することができる。
以上説明したように、本実施形態における「物体情報」は、最終的には全て「基本要素情報(1〜n)」に分解され、これら基本要素に対する論理演算により、物体が構成される。
●レンダリング処理
以下では、本実施形態におけるレンダリング動作について説明する。なお、本実施形態におけるレンダリングは周知の光線追跡法を用いて実施される。したがって、特に光線追跡法についての説明は割愛し、本実施形態の特徴である、CIECAM02パラメータに基づくレンダリングに関する動作について説明する。
・XYZ画像の生成
図6は、擬似画像の生成対象となる三次元物体の配置を示す図である。同図において、601〜604はワールド座標に配置された物体オブジェクト、605は点光源である。物体オブジェクト604は建物を示し、その外部に物体オブジェクト601が配置され、内部に物体オブジェクト602,603および点光源605が配置されている。また、図示していないが上方から平行光が投射されている。さらに、606はワールド座標に配置された視点であり、607はスクリーンである。なお、スクリーン607の画素数は、横1280ドット、縦1024ドットに設定されている。
一般的な光線追跡法によれば、まず視点606からスクリーン607上の所定の画素に向けたベクトルが生成され、このベクトルを追跡することで擬似三次元画像を生成する。ベクトル追跡では物体オブジェクトとの交点演算が実施されるが、本実施形態では、この光線追跡において最初に探索された物体オブジェクトからオブジェクトIDを取得し、このID値を該ピクセルに対する付随情報としてメインメモリ102に記憶する。記憶されたID値は、後述するXYZ値からRGB値への変換において使用するアピアランスパラメータを決定するための情報として用いられる。続いてのレンダリング処理は一般的な光線追跡法を用いて実施され、生成されたXYZ画像はメインメモリ102に記憶される。
以上により、XYZ値により表現される、横1280ドット×縦1024ドットの擬似三次元表示画像が生成される。
・XYZ→RGB変換処理
次に、XYZ値で表現される画像をRGB値で表現される画像に変換する処理について、図7に示すフローチャートを用いて説明する。なお本実施形態では、RGB値とXYZ値との変換用にsRGB変換式を用いる。
まずステップS701において、後述するCIECAM02変換式とsRGB変換式とに基づいて、JCh空間上でのsRGB色域を算出する。ここで参照されるCIECAM02パラメータは予め定められた所定パラメータであり、後述するステップS708でも同一の所定パラメータが用いられる。その他の代表的なパラメータは以下の様に順次設定される。
すなわち、まずステップS702で、変換すべき画素位置を初期化し、ステップS703において、変換すべき画素位置をラスタースキャン順で更新する。ステップS704では、選択された画素位置にある画素について、XYZ値と、該画素と対応付けられたオブジェクトID値を取得する。ステップS705では、取得したオブジェクトID値に基づいてCIECAM02パラメータを取得する。具体的には、まず図3に示すオブジェクトデータ構造において、「光源オブジェクトデータ」内の「光源情報(1〜m)」と、「物体オブジェクトデータ」内の「物体情報(1〜n)」をスキャンする。そして、スキャンしたID値がステップS704で取得したオブジェクトID値に一致した「光源情報(1〜m)」または「物体情報(1〜n)」から、その「アピアランス情報」として設定されたCIECAM02パラメータを取得する。
そしてステップS706では、ステップS705で取得したCIECAM02パラメータに基づき、ステップS704で取得したXYZ値をJCh値に順変換する。このときのCIECAM02変換式については後述する。
ステップS707では、ステップS706で生成したJCh値について、ステップS701で生成したsRGB色域に対する内外判定を行い、色域外に位置する場合には当該色域表面にクリップし、色域内に位置する場合にはそのままのJCh値を保持する。
ステップS708では、ステップS707の処理結果として得られたJCh値を、ステップS701と同一の所定のCIECAM02パラメータに基づき、XYZ値に逆変換する。そしてさらに、該XYZ値をsRGB変換式に基づいてRGB値に変換した後、メインメモリ102に記憶する。
そしてステップS709において、スクリーン607に対応する横1280ドット×縦1024ドットの全画素に対して、ステップS703〜S708の処理を施したか否かを判定する。全画素が処理済であれば変換動作を終了し、未処理であればステップS703へ戻る。
以上の処理により、オブジェクト毎のアピアランスパラメータに基づいた、横1280ドット×縦1024ドットのRGB画像が、擬似三次元表示画像として生成される。
ここで、本実施形態におけるレンダリングによって生成された、擬似三次元表示画像の例を図8に示す。これに対し、オブジェクト毎のアピアランスパラメータを考慮せずに生成した擬似三次元表示画像は、上述した図9に示すように室内が不自然に暗くなってしまう。このように本実施形態によれば、図8に示すように室内が暗くならない良好な擬似三次元画像が生成される。
・CIECAM02順変換処理
ここで、本実施形態におけるCIECAM02順変換処理について説明する。CIECAM02順変換は、色順応部、錐体応答部、心理値変換部、の3つの変換ブロックからなるが、以下ではこれら各ブロックにおける処理を順を追って説明する。。
まず色順応部では、以下に示す(1)式によってXYZ値を錐体の分光感度を示すRGB値に変換し、さらに(3)式によって各錐体のRGB信号を光源の白色点の値で正規化する。なお、(3)式における順応係数Dは、(4)式によって算出される。そして最後に、正規化されたRGB値に対して(2)式による逆変換を行うことで、観察環境下の光源に対応したX’Y’Z’値を得る。
次に錐体応答部では、色順応部で得られたX’Y’Z’値を、以下に示す(5)式によって錐体の分光感度R’G’B’に変換し、さらに(6)式によって、目に入る光量の強度に応じた、順応後の錐体応答値Ra’Ga’Ba’に変換する。
ここで、本実施形態の各式におけるファクタは、以下のように示される。
次に心理値変換部では、錐体応答部で得られた錐体応答値Ra’Ga’Ba’を、(7),(8),(9)式を用いて、視覚野での無彩色応答Aと、反対色応答abの信号値に変換する。そしてこの信号値を、(10),(11),(12)式を用いて、知覚明度J値、知覚彩度C値、知覚色相h値に変換する。
なお、
以上、本実施形態におけるCIECAM02順変換処理について説明した。なお、CIECAM02逆変換については、CIECAM02パラメータを設定し、上述した順変換工程において新たに無彩色応答Awを算出し、このAwとJCh値、かかる係数から順変換処理の逆工程を行うことで、XYZ値への変換が行われる。
●ウィンドウ表示
以下、上述したようなレンダリング処理によって生成されたRGBの擬似三次元表示画像を、図2aのようにカラーモニタ106上にウィンドウ表示する際の処理について説明する。
上述したレンダリング処理にって生成された擬似三次元表示画像は、図6に示すスクリーン607の画素サイズに応じたものである。スクリーン607に基づく画素数からウィンドウ表示画素数への変換は、以下の様に実施される。すなわち、本実施形態で生成された擬似三次元表示画像に対してアンチエイリアスフィルタを施した後、ウィンドウ表示画素数への変換が施される。ウィンドウ表示画素数への変換は、スクリーン画素数が表示すべき画像の画素数より大きい場合はダウンサンプリングにより実施され、スクリーン画素数が表示すべき画像の画素数より小さい場合はアップサンプリングにより実施される。以上のサンプリング結果が、図2aに示すウィンドウに表示される。
●本実施形態の効果
以上説明したように本実施形態によれば、オブジェクト毎にアピアランスパラメータを設定し、該アピアランスパラメータに基づいたレンダリングを行うことによって擬似三次元表示画像を生成する。これにより、擬似三次元表示画像における表示色を、人間の視覚に近づけることが可能となる。したがって、家屋の中から屋外を覗くようオブジェクトが配置された場合の様に、レンダリング画像のコントラストが非常に強くなる場合でも、人間の視覚の順応状態に対応した、すなわちより主観に近い良好な擬似三次元画像を得ることができる。
<変形例>
なお本実施形態においては、アピアランスパラメータとしてCIECAM02パラメータを用い、XYZ値からRGB値への変換過程においてCIECAM02色空間を用いる例を示した。しかしながら本発明はこの例に限定されず、例えば変換過程においてCIECAM97s色空間を用いると共に、アピアランスパラメータにCIECAM97sパラメータを用いてもよい。更には、変換過程においてL*a*b*色空間若しくはL*u*v*色空間を用いると共に、アピアランスパラメータとして順応白色点のみを用いてもよい。
また、本実施形態ではオブジェクトデータにおける表色系としてXYZ色空間を用いる例を示したが、本発明においては表色系に対する拘束条件はないため、RGB色空間や分光分布を用いてもよい。
<他の実施形態>
以上、実施形態例を詳述したが、本発明は例えば、システム、装置、方法、プログラム若しくは記憶媒体(記録媒体)等としての実施態様をとることが可能である。具体的には、複数の機器(例えば、ホストコンピュータ、インタフェース機器、撮像装置、webアプリケーション等)から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
尚本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムを、システムあるいは装置に直接あるいは遠隔から供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータが該供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される。なお、この場合のプログラムとは、実施形態において図に示したフローチャートに対応したプログラムである。
従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であっても良い。
プログラムを供給するための記録媒体としては、以下に示す媒体がある。例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD-ROM、CD-R、CD-RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD-ROM,DVD-R)などである。
プログラムの供給方法としては、以下に示す方法も可能である。すなわち、クライアントコンピュータのブラウザからインターネットのホームページに接続し、そこから本発明のコンピュータプログラムそのもの(又は圧縮され自動インストール機能を含むファイル)をハードディスク等の記録媒体にダウンロードする。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
また、本発明のプログラムを暗号化してCD-ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせることも可能である。すなわち該ユーザは、その鍵情報を使用することによって暗号化されたプログラムを実行し、コンピュータにインストールさせることができる。
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される。さらに、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部または全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、実行されることによっても、前述した実施形態の機能が実現される。すなわち、該プログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行うことが可能である。
本発明に係る一実施形態における画像生成装置のシステム構成を示すブロック図である。 本実施形態におけるレンダリング結果を擬似三次元表示するウィンドウ例を示す図である。 本実施形態の擬似三次元画像合成アプリケーションにおけるUI例を示す図である。 本実施形態におけるCIECAM02パラメータ設定用のUI例を示す図である。 本実施形態におけるオブジェクト構成を記述するデータ構造を示す図である。 本実施形態におけるオブジェクト構成を記述するデータ構造を示す図である。 本実施形態における三次元物体の種類を示す図である。 本実施形態における三次元物体の配置を示す図である。 本実施形態におけるレンダリング処理において、XYZ色からRGB色への変換処理を示すフローチャートである。 本実施形態におけるレンダリング結果の一例を示す図である。 従来のレンダリング結果の一例を示す図である。

Claims (7)

  1. オブジェクトの位置情報と該オブジェクトの第1のアピアランス情報とを含むオブジェクトデータを、複数のオブジェクトそれぞれについて保持する保持手段と、
    前記複数のオブジェクトそれぞれについて、オブジェクトデータに含まれる位置情報に従ってワールド座標に配置されたオブジェクトを、ワールド座標に配置されたスクリーンに投影することによって当該スクリーン上に得られる擬似3次元画像を生成する生成手段と、
    前記擬似3次元画像の各画素の色値を、該画素に投影されているオブジェクトに対応するオブジェクトデータに含まれる第1のアピアランス情報を用いて、知覚値に変換する順変換手段と、
    前記擬似3次元画像の各画素の前記知覚値を、該各画素に共通に使用される予め定められた第2のアピアランス情報を用いて色値に変換することにより、色変換後の擬似3次元画像を生成する逆変換手段と、
    を有することを特徴とする画像生成装置。
  2. 前記第1のアピアランス情報は、順応白色点であることを特徴とする請求項1に記載の画像生成装置。
  3. 前記第1のアピアランス情報を、ユーザの指示に応じて設定する設定手段をさらに備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の画像生成装置。
  4. 前記第2のアピアランス情報を用いて生成された色域内に、前記擬似3次元画像の各画素の前記知覚値をクリップするクリップ手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像生成装置。
  5. 前記保持手段は、前記複数のオブジェクトそれぞれについて、前記オブジェクトの位置情報と該オブジェクトの第1のアピアランス情報とを所定の構造で保持することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像生成装置。
  6. オブジェクトの位置情報と該オブジェクトの第1のアピアランス情報とを含むオブジェクトデータを、複数のオブジェクトそれぞれについて保持する保持手段を備える画像生成装置が行う画像生成方法であって、
    前記画像生成装置の生成手段が、前記複数のオブジェクトそれぞれについて、オブジェクトデータに含まれる位置情報に従ってワールド座標に配置されたオブジェクトを、ワールド座標に配置されたスクリーンに投影することによって当該スクリーン上に得られる擬似3次元画像を生成する生成工程と、
    前記画像生成装置の順変換手段が、前記擬似3次元画像の各画素の色値を、該画素に投影されている前記オブジェクトの前記オブジェクトデータに含まれる第1のアピアランス情報を用いて、知覚値に変換する順変換工程と、
    前記画像生成装置の逆変換手段が、前記擬似3次元画像の各画素の前記知覚値を、該各画素に共通に使用される予め定められた第2のアピアランス情報を用いて色値に変換することにより、色変換後の疑似3次元画像を生成する逆変換工程と、
    を有することを特徴とする画像生成方法。
  7. コンピュータ上で実行されることによって、該コンピュータを請求項1乃至のいずれか1項に記載の画像生成装置が有する各手段として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
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