JP4848593B2 - 印刷用艶消し塗工紙 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、白紙光沢が低い印刷用艶消し塗工紙に関し、さらに詳しくは、オフセット枚葉印刷において、インキの乾燥に伴う印刷濃度の低下(いわゆるドライダウン)の度合いが小さいことに加えて、印刷濃度にムラが生ずることも少なく、従って、良好な印刷物を得ることができる印刷用艶消し塗工紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
印刷用艶消し塗工紙は、意図的に白紙の光沢を低くし、印刷物として上品で深みのあるトーンを醸しだして高級感を与えるようにするとともに、文字の読みやすさを付与した塗工紙である。このような艶消し塗工紙は、高級な美術印刷、ポスター、カタログ、カレンダーなどに利用されているばかりでなく、書籍、雑誌の本文などにも広く使用されている。印刷用艶消し塗工紙の顔料塗工層には、光沢が高い光沢仕上げ塗工紙で使用される顔料に比べて粒子径の大きな顔料が使用されている。このため、印刷用艶消し塗工紙には、幾つかの品質上の課題がある。
【0003】
そうした課題の一つは、オフセット枚葉印刷を施した際にドライダウンが大きいことであって、オフセット枚葉印刷では印刷直後の印刷濃度に対してインキが乾燥した後の印刷濃度が大きく低下するため、印刷物を目標どおりの印刷濃度や色合いに仕上げるうえで、印刷業者は多大の手間と熟練を必要とする。換言すれば、ドライダウンに原因する印刷濃度や色合いの変化を見越して、印刷業者は印刷条件を設定しなければならない。
一般に、ドライダウンは、非塗工紙が最も大きく、塗工紙では非塗工紙より小さくなるもの、光沢仕上げ塗工紙と艶消し塗工紙では後者のドライダウンが大きい。そして、ドライダウンが大きい塗工紙では、同一の枚葉紙内においても枚葉紙同士間においても、均一なドライダウンとならないことも多く、これに起因して各枚葉紙に印刷濃度や色合いにムラが発生するが、そうしたムラは、特にインキ量の多い濃い図柄部で目立ちやすい。
【0004】
ドライダウンが大きいことやそれが不均一であることは、印刷仕上り上の印刷物の品質を大きく損ねる関係で、印刷用艶消し塗工紙の価値を低下させる。とりわけ、白紙光沢度が15%程度以下であるような光沢が特に低い艶消し塗工紙は、高級感ある落ち着いた外観を求める用途においてその需要が高いのに対し、この用途に用いられていた従前の艶消し塗工紙は、ドライダウンが大きいことや、ドライダウンが不均一であることの理由で、高級感ある印刷仕上りを得ることが困難である。つまり、従前の印刷用艶消し塗工紙では、高級感ある落ち着いた白紙外観と、ムラのない良好な印刷仕上がりとを両立させることができないのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、低い白紙光沢の高級感ある落ち着いた白紙外観を呈し、しかも、オフセット枚葉印刷においてドライダウンが小さいばかりでなく、ドライダウンの不均一性も改善され、従って、印刷濃度や色合いにムラが少なく、均一性の高い良好な印刷仕上りを与える印刷用艶消し塗工紙を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の印刷用艶消し塗工紙は、原紙上に、顔料と接着剤を主成分とする塗工層を設けた印刷用艶消し塗工紙において、前記塗工層に含まれる顔料全量の70〜100重量%が平均粒子径1.5〜15μmの顔料からなり、前記塗工層中に接着剤として、乳化共重合して得られ、ケロシンに対する膨潤指数が1.3以上であり、トルエン不溶分が60〜95重量%である共重合体が、塗工層中の顔料100重量部当たり5〜30重量部含有されており、JIS P 8142(1993)に準拠して測定した光沢度が3〜30%の範囲にあり、J.TAPPI紙パルプ試験方法のNo.5Bに準拠して測定した王研式平滑度が5〜300秒の範囲にあり、しかも、動的浸透性測定装置を使用してケロシン中に塗工紙を浸漬した瞬間から測定した超音波の伝播強度が、測定開始0.2秒から6.0秒の測定時間内に一旦弱まりその後強まるケロシン吸収特性を示すことで特徴付けられる。本発明の印刷用艶消し塗工紙は、動的浸透性測定装置を使用してケロシン中に塗工紙を浸漬した瞬間から測定した超音波の伝播強度が、測定開始0.2秒から6.0秒までの測定時間内に一旦弱まりその後強まるようなケロシンの吸収特性を備え、前記伝播強度の極小値が、該測定時間内に測定された最大値を100%として、前記伝播強度の60〜98%であることが好ましい。そしてまた、本発明の印刷用艶消し塗工紙において、塗工層の接着剤成分として水溶性接着剤を上記の共重合体と併用する場合には、水溶性接着剤の量を塗工層中の顔料100重量部当たり固形分換算で3重量部以下とすることが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の印刷用艶消し塗工紙は、いずれも所定の測定方法で測定される光沢度、王研式平滑度並びにケロシンの吸収特性で特徴付けられるが、本発明で言う光沢度、王研式平滑度並びにケロシンの吸収特性は、特別な断りがない限り、表裏とも同様の塗工層を有する両面塗工紙について測定した光沢度、王研式平滑度並びにケロシンの吸収特性を意味し、測定に際しては事前に、当該両面塗工紙をJIS P 8111(1998)の規定に準じて、温度23℃±1℃、湿度50±2%RHの標準状態で、24時間以上前処理(調湿)した。
印刷用艶消し塗工紙に、目標とする高級感のある落ち着いた白紙外観を得るためには、JIS P 8142(1993)に準拠して測定する塗工紙の光沢度が、3〜30%の範囲にあり、J.TAPPI紙パルプ試験方法のNo.5B法に準拠して測定した王研式平滑度が5〜300秒の範囲にあることが必要である。
光沢度が30%を超えるかあるいは王研式平滑度が300秒を超える場合は、入射光と視認角度の関係如何によっては光沢感が現れることがあり、また、印刷時から最終ユーザーの手に渡るまでの過程で、印刷物が偶発的に擦れた場合には、擦れた部分の光沢が高くなって光沢ムラが発生するので、高級感ある落ち着いた白紙外観を得ることが難しい。一方、光沢度が3%未満あるいは王研式平滑度が5秒未満である場合は、平滑性が低すぎて(凹凸が大きすぎて)印刷時に白抜けが発生するおそれあるばかりか、印刷濃度が上がらず非塗工紙と差別化できなくなることがある。
【0008】
本発明者らが得た知見によれば、印刷用塗工紙のドライダウンは、塗工層の構造に関係し、塗工層の空隙径が大きくなるほど、換言すれば、粒子径が大きな顔料を使用するほどドライダウンは増大する。また、ドライダウンが大きい塗工紙では、枚葉の塗工紙(1枚の塗工紙)全体で均一なドライダウンとならずに、印刷濃度にムラが発生しやすい。このことから、ドライダウンの低減には、塗工層の空隙径を小さくすることが有効であるが、塗工層の空隙径を小さくするために、粒子径が小さい顔料を使用すると、塗工紙の光沢が増大する関係で、光沢の低い艶消し塗工紙を得ることができない。従って、塗工層の空隙径を小さくすることでドライダウンの低下を図る方策には限度がある。
【0009】
本発明者らは、塗工紙の塗工層に比較的粒子径が大きな顔料を含有している艶消し塗工紙、より詳しくは、平均粒子経1.5〜15μmの顔料が塗工層に含まれる全顔料の70〜100重量%を占める艶消し塗工紙について、そのドライダウンの改良方法を、インキと塗工紙の相互作用の観点から種々検討した。それによれば、インキ溶剤の代表例であるケロシンと動的浸透性測定装置を使用して、塗工紙サンプルを通過する超音波伝播強度を経時的に測定した場合において、その伝播強度の経時的変化に後述するような特異性が認められる場合には、その塗工紙サンプルが白紙光沢の低い艶消し塗工紙であっても、つまり、塗工層に含まれる顔料が比較的粗くても、ドライダウンが小さく、印刷濃度にムラが発生し難いことを見出した。
これをさらに詳述すると、インキ溶剤を代表するものとしてケロシンを使用し、emco Electronische MeB−u. steuerungstechnik GmbH(以下emco社という)製の動的浸透性測定装置DPM30の水の入った測定部にケロシンを入れたポリプロピレン製セルインサートを収め、先に述べた標準状態で十分調湿した塗工紙サンプルを両面テープ(Scotch社製、emco社品番Type4)でポリプロピレン製サンプルホルダーに貼り付けて、標準状態の環境下(23±1℃)のケロシンに浸漬し、発信機から発信された周波数2MHzの超音波が、水/セルインサート/ケロシン/塗工紙サンプル/両面テープ/サンプルホルダー/ケロシン/セルインサート/水の順に通過して受信部まで到達する超音波伝播強度を経時的に測定する。そして、時間をX軸に、超音波伝播強度をY軸にとったXY線図に、伝播強度の測定値をプロットすると、当該強度の経時的変化曲線を描くことができる。そして、供試体である塗工紙をケロシンに浸漬した瞬間から測定を開始し、測定開始0.2秒後から6.0秒経過するまでの時間帯で、超音波の伝播強度が一旦弱まりその後強まるようなケロシン吸収特性を有する塗工紙は、押し並べてドライダウンが小さく、印刷濃度にムラが発生し難いことを見出した。
本発明では、前記の動的浸透性測定装置の水の入った測定部にケロシンを入れたポリプロピレン製セルインサートを収めて測定される超音波伝播強度の経時的変化を、「ケロシン吸収特性」を呼ぶ。従って、特定の測定時間帯で超音波伝播強度が一旦弱まりその後強まることは、伝播強度の経時変化に極小値が存在することを意味し、その時間帯にケロシン吸収特性に極小値が存在することを意味する。
本発明に係る艶消し塗工紙のケロシン吸収特性が、上記した時間帯で極小値を有していることは、極めて特異的である。ちなみに、艶消しであるか否かを問わず従前の塗工紙について測定されるケロシン吸収特性は、上記の時間帯で増大し続けるものと増大後減少するものだけで、減少から増大に変わる変曲点の存在は、一切認められない。
本発明では、原紙の片面のみに塗工層を有する片面艶消し塗工紙も包含するが、その場合には、動的浸透性測定装置の発信機側に塗工層が対向するようにポリプロピレン製サンプルホルダーに塗工紙を貼り付ければ、両面塗工艶消し塗工紙と同様のケロシン吸収特性を示すことが確認されている。
【0010】
なお、動的浸透性測定装置における超音波の伝播特性に関しては、Robert Beltz氏による1998年emco社発行のUltrasound TransmissionやDipl.−Physiker Giselher Gruner氏による1996年7月emtec Electrinic GmbH社発行のemtec PDA Penetration−DynamicsAnalyzerの技術資料で詳述されているが、これは次のように要約することができる。
すなわち、動的浸透性測定装置の測定部に水又はその他の液体を収容し、これに紙などの供試体を浸漬して、浸漬した瞬間から超音波の伝播強度を経時的に測定した場合、伝播強度の増大は超音波伝播媒体の伝播効率が高くなり、超音波を通し易くなったことを示し、伝播強度の減少は媒体の伝播効率が低くなり、超音波を通し難くなったことを示す。ちなみに、紙中に液体が浸透して紙中に存在していた空気がその液体で置換されると、超音波の伝播強度は高くなる。
しかし、動的浸透性測定装置で測定される超音波伝播効率の高低は、紙中へ液体が浸透する度合いと、紙の弾性特性(塗工紙では、原紙を構成するパルプ繊維の剛直性やパルプ繊維同士の結合強さ、塗工層接着剤の弾性特性など)の影響を受けるのが通例である。
【0011】
図1に本発明の典型的な例である実施例1の艶消し塗工紙と比較例1の艶消し塗工紙の超音波伝播強度の経時的変化を示すが、ここで、超音波伝播強度(%)は、各供試体における超音波伝播強度の最大値を100%として計算された経時的変化を表わすものである。
本発明に係る艶消し塗工紙が、上記した動的浸透性測定装置による超音波の伝播強度測定において、測定開始0.2秒後から6.0秒経過する間に、超音波の伝播強度が一旦弱まりその後強まるような極めて特異的な超音波伝播強度曲線を与えるのは、塗工紙の空隙がケロシンで満たされて超音波の伝播強度が強まる以上に、塗工紙の弾性特性が変化して超音波の伝播強度を弱め、超音波を伝播し難くしていると考えられる。
そこで、本発明者らは塗工紙の弾性特性を左右する因子が何であるかを究明すべく、艶消し塗工紙で通常用いられている原紙及び塗工層に含まれる顔料の70〜100重量%が平均粒子経1.5〜15μmの顔料であるような塗工層について、それぞれの超音波伝播強度を上記した塗工紙の例に倣って測定した。それによれば、塗工紙に通常使用される原紙は、いずれを供試体にした場合でも、測定開始0.2秒後から6.0秒までの時間帯で、超音波の伝播強度は例外なくほぼ一様に増大した後、ほぼ一様に減衰し(図2参照)、当該時間帯で伝播強度が一旦弱まり、その後増大することはなかった。一方、ケロシン中での超音波伝播特性が経時変化しないPETフィルムに、上記塗工紙と同一の塗工層を設けて塗工紙モデルを作成し、これを供試体に用いた場合は、その塗工層に後述する特定な共重合体ラテックスを使用すれば、測定開始0.2秒後から6.0秒までの時間帯で、超音波の伝播強度は例外なく一旦減少し、その後増大することを確認した(図3参照)。
なお、動的浸透性測定装置DPM30に装備されているサンプルホルダーと供試体をサンプルホルダーに貼り付ける両面テープが超音波伝播強度に及ぼす影響を調べるために、前記装置の測定部に収容されたケロシンに供試体を貼り付けていない両面テープをサンプルホルダーに貼り付けたもの(以下、供試体ホルダーという)を浸漬させ、上記したところに倣って超音波伝播強度の経時変化曲線を求めたところ、供試体ホルダーをケロシンに浸漬した瞬間から測定を開始して、測定開始0.2秒後から6.0秒までの時間帯で、超音波伝播強度の経時的変化は、殆ど認められなかった(図2参照)。
【0012】
塗工層に比較的粒子径の大きな顔料を使用した艶消し塗工紙では、そのケロシン吸収特性に上記したような特異性が存在することが、ドライダウンを軽減させる上の重要な要件である。しかし、こうしたケロシン吸収特性の特異性は、白紙光沢度が30%を超え、王研式平滑度が300秒を超えるような塗工紙にとっては、必ずしも重要な要件ではなく、むしろ、表面強度や印刷光沢を低下させる原因となる。
【0013】
本発明に係る艶消し塗工紙においては、そのケロシン吸収特性に極小値が存在することが肝要であるが、その極小値は、上記測定時間帯でケロシン吸収特性の最大値、換言すれば、超音波伝播強度の最大値の60〜98%であることが好ましい。ケロシン吸収特性の極小値が、最大値の60%未満である艶消し塗工紙は、多色印刷において、1色目に印刷されたインキの溶剤との相互作用が強すぎ、塗工層の弾性特性が大きく変化し過ぎる結果、その後の印刷ユニットでピッキングなどを起こす懸念があるからである。
【0014】
本発明の艶消し塗工紙を得るには、塗工層が含有する顔料全量の70〜100重量%が、平均粒子径1.5〜15μmの顔料で占められることが好ましく、平均粒子経2.5〜15μmの顔料で占められることがさらに好ましい。この粒子径範囲の顔料が、塗工層に含まれる顔料全量の70重量%未満の場合は、白紙光沢の低い塗工紙を得ることが難しく、印刷時やその後の印刷物の加工において、不慮の擦れなどに起因して光沢が高い部分が発生する恐れがあるからである。
塗工層に含ませる顔料の種類には特別な限定はなく、カオリン、タルク、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、サチンホワイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、焼成カオリン、ホワイトカーボン、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ベントナイト、セリサイト等の無機顔料やポリスチレン樹脂微粒子、尿素ホルマリン樹脂微粒子、微小中空粒子等の有機顔料等を、単独又は数種類を混合して使用することができる。
【0015】
本発明に係る艶消し塗工紙を得るには、塗工層の接着剤として、乳化共重合して得られ、ケロシンに対する膨潤指数が1.3以上であって、トルエン不溶分が60〜95%である共重合体を使用する。塗工層に配合する当該共重合体の量は、塗工層に含まれる顔料100重量部当り5〜30重量部の範囲とすることが好ましい。
塗工層には、例えば、カゼイン、大豆蛋白等の蛋白質類、ポリビニルアルコール、酸化澱粉、エーテル化澱粉、デキストリン等の澱粉類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体等の水溶性接着剤を配合することもできる。塗工層に配合する上記水溶性接着剤の量は、塗工層に含まれる顔料100重量部当り固形分換算で0〜3重量部、好ましくは0〜2重量部の範囲で選ばれる。
塗工層の接着剤として使用する前記共重合体の含有量が、顔料100重量部当り5重量部未満であったり、あるいは水溶性接着剤の含有量が顔料100重量部当り3重量部を超える場合は、塗工紙のドライダウンを十分に軽減できない。また、顔料100重量部当り30重量部を超えて前記共重合体を使用することは、ドライダウンの改良効果が頭打ちとなり、経済的に不利となるので好ましくない。
本発明においては、塗工層の接着剤成分として、上記共重合体を主たる接着剤とするのが好ましく、かかる共重合体のみで接着剤を構成するか、あるいは上記の如く極く少量の水溶性接着剤を併用するのが特に好ましい。
【0016】
上記特定の共重合体は、例えば、(a)脂肪族ジオレフィン系単量体15〜60重量部、(b)エチレン系不飽和カルボン酸単量体0.5〜8重量部、(c)芳香族ビニル系単量体10〜50重量部、および(d)これらと共重合可能な他の単量体0〜20重量部の単量体組成にある混合物を乳化共重合することで得られる。
上記した共重合体を得る際に使用する単量体(a)としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、クロロプレン等の1種もしくは2種以上が使用可能であり、なかでも、1,3−ブタジエンの単独使用が好ましい。単量体(a)の使用量は、共重合に供する単量体(a)〜(d)の全量を100重量部として、15〜60重量部、好ましくは25〜55重量部の範囲で選ばれる。この使用量が15重量部未満では、塗工紙のドライダウンを十分に軽減できず、60重量部を超えると、印刷光沢が低下し好ましくない。
単量体(b)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸などの1種又は2種以上が使用できる。単量体(b)の使用量は、共重合に供する単量体(a)〜(d)の全量を100重量部として、0.5〜8重量部の範囲で選ばれる。0.5重量部未満では、得られる塗工紙の印刷光沢が低下し、8重量部を超えると、塗工紙のドライダウンを十分に軽減できない。
単量体(c)としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、エチルスチレン、ビニルキシレン、ブロモスチレン、ビニルベンジルクロリド、p−t−ブチルスチレン、クロロスチレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼンなどの1種又は2種以上が使用できるが、特にスチレンの単独使用が好ましい。単量体(c)の使用量は、共重合に供する単量体(a)〜(d)の全量を100重量部として、10〜50重量部の範囲で選ばれる。10重量部未満であると、ドライダウンの軽減効果が不充分であり、50重量部を超えると、塗工紙のピック強度が低下し、別の問題が発生する恐れがある。
上記した単量体組成の他に0〜20重量部の範囲で使用可能な単量体(d)としては、メチルメタアクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ブチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート系単量体;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体;アクリルアミド、メタアクリルアミド等のアミド基含有単量体及び酢酸ビニル等を挙げることができ、これらは単独又は2種以上混合して使用することができる。
【0017】
上記した単量体組成物を乳化重合するに際しては特別な制限条件はなく、従来公知の方法を採用することができる。具体的には、前記の単量体(a)〜(d)を水性媒体中にて、連鎖移動剤、界面活性剤、ラジカル重合開始剤、必要に応じて用いられる他の添加剤成分の共存下に反応させることにより、共重合体粒子の水性分散液を、すなわち、共重合体ラテックスを製造することができる。
通常、この共重合体ラテックスはそのまま、原紙上に塗工層を形成する際の水性塗工液に配合される。
【0018】
本発明の艶消し塗工紙において、塗工層の接着剤として使用される共重合体は、ケロシンに対する膨潤指数が1.3以上、好ましくは1.5以上、より好ましくは1.8以上であって、トルエン不溶分が60〜95%の範囲、好ましくは70〜90%の範囲にある。塗工層の接着剤として使用される共重合体のケロシンに対する膨潤指数が1.3未満である場合、あるいはトルエン不溶分が60〜95%の範囲を逸脱する場合は、ドライダウン軽減効果が小さく、また印刷濃度ムラ軽減効果も小さい。一方、共重合体のケロシンに対する膨潤指数の上限については特に限定されないが、膨潤指数が4を超えると、多色印刷において1色目に印刷されたインキの溶剤との相互作用が強すぎ、その後の印刷ユニットでピッキングなどを起こす懸念があり、通常4以下とすることが好ましい。
なお、共重合体のケロシンに対する膨潤指数並びにトルエン不溶分の算出方法の詳細は、後述する実施例における「ケロシン膨潤指数」の項及び「トルエン不溶分」の項で説明する。
接着剤に使用する共重合体ラテックスは、その平均粒子径が80〜200nmの範囲にあることが好ましく、100〜160nmの範囲にあることがさらに好ましい。平均粒子径が80nm未満では、ドライダウン軽減効果が小さく、また印刷濃度ムラ軽減効果も小さい。一方、粒子径が200nmを超える場合は印刷光沢や接着強度が低下するおそれがある。
【0019】
乳化重合して得られる共重合体のケロシンに対する膨潤指数は、共重合に供する単量体(a)の量、単量体(d)の量(特にアクリロニトリルの量)、単量体(b)の量、重合温度、連鎖移動剤の量、重合開始剤の量などの影響を受け、重合方法が均一重合であるか、多段重合であるかによっても変動する。そして、多段重合法を採用した場合には、多段重合のさせ方によってラテックス中に分散する共重合体の平均粒子径を調整することができる。普遍的ではないが、例えば、共重合に供するアクリロニトリルの使用量を増加させると、上記した膨潤指数は低下し、脂肪族共役ジエン系単量体の使用量を増加させると、上記した膨潤指数は上昇する傾向にある。
【0020】
本発明に係る艶消し塗工紙の塗工層には、その接着剤として上記した共重合体及び水溶性接着剤以外に、本発明の所望の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて、アルカリ可溶型ラテックス、アルカリ膨潤型ラテックス、アクリル系共重合体ラテックス、酢酸ビニル系ラテックス、バインダーピグメント等を少量配合させることができる。
【0021】
また、本発明に係る艶消し塗工紙は、顔料及び接着剤を主成分とした水性塗工液(塗被組成物)を、原紙に塗布して乾燥し、原紙上に塗工層を形成させる工程を含むところの、塗工紙一般の製造法で常用されている手段で製造することができる。しかし、水性塗工液の調製及びその塗工に際しては、原紙上に最終的に形成される塗工層が、本発明で特定した平均粒子径範囲の顔料を特定量含有し、本発明で特定した接着剤を特定量含有するように、水性塗工液を調製し、それに見合った塗工方法が採用されることは勿論である。この水性塗工液には、必要に応じて、耐水化剤、消泡剤、着色剤、離型剤、さらにはアクリル樹脂系やウレタン樹脂系等の流動性調整剤等の各種助剤を適宜配合することが可能である。
塗工紙の原紙には、その原紙が酸性抄紙されたものであるか、中性抄紙されたものであるかを問わず、いずれも使用可能であり、米坪についても特に制限はないが、通常は30〜300g/m程度の上質原紙又は中質原紙が使用される。DIPを配合した原紙等も本発明で使用できる。
水性塗工液を原紙へ塗工し、乾燥させる方法としては、一般の塗工紙製造に用いる塗工装置と乾燥法が適宜使用でき、塗工装置としては、例えば、オンマシン又はオフマシンのブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、カーテンコーター、ダイスロットコーター、グラビアコーター等が挙げられる。これらのオンマシン又はオフマシンの塗工装置を使用して、水性塗工液は原紙の両面あるいは片面に、単層又はあるいは多層に分けて塗工される。塗工量は、片面当たり5〜50g/m程度の範囲で選ばれる。
原紙上に形成された湿潤塗工層の乾燥には、従来から常用されている熱風加熱、ガスヒーター加熱、高周波加熱、赤外線ヒーター加熱等の各種加熱乾燥方式が適宜採用できる。乾燥後は、艶消し塗工紙に要求される品質に応じ、オンマシン又はオフマシンでスーパーキャレンダー、マットキャレンダー、粗面化キャレンダー、ソフトキャレンダー等の加圧仕上げを適宜施すことも可能である。
【0022】
【実施例】
以下に、比較例と共に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。なお、例中の部および%は、それぞれ重量部および重量%を示す。
実施例及び比較例で得られた塗工紙の評価方法並びにそこで使用した共重合体ラテックスの評価方法の詳細を以下に示す。
1.塗工紙の評価
[白紙光沢度]
JIS P 8142(1993)に準拠して測定した。
[王研式平滑度]
JAPAN TAPPI紙パルプ試験法No.5Bによる王研式平滑度計を用いて測定した。
[塗工紙のケロシン吸収特性]
emco社製動的浸透性測定装置DPM30を使用して、液体としてケロシン(沸点150〜250℃、比重約0.8/キシダ化学社製)を使用し、温度23±1℃、湿度50±2%RHの環境下において同条件で十分調湿した供試体を、温度23±1℃のケロシンに浸漬して測定した。
供試体はポリプロピレン製サンプルホルダーに両面テープ(Scotch社製、emco社品番Type4)を使用して貼り付け、このサンプルホルダーを、動的浸透性測定装置の水の入った測定部に収められたケロシンを入れたポリプロピレン製セルインサート内に収めて測定した。なお、両面テープは供試体のケロシン吸収特性に影響を与えるような挙動を示さないことを確認している。超音波伝播強度のデータは、5ミリ秒毎に採取し、採取データ40個を平均して200ミリ秒毎のデータとした。すなわち、測定開始5ミリ秒後から200ミリ秒後までの5ミリ秒毎のデータを平均して測定開始100ミリ秒後のデータとし、105ミリ秒後から300ミリ秒後までの5ミリ秒毎のデータを平均して測定開始200ミリ秒後のデータとするというようにデータを処理した100ミリ秒毎の超音波伝播強度をY軸にとり、時間をX軸にとったXY線図として超音波伝播強度の経時的変化曲線(ケロシン吸収特性曲線)を得た。
[顔料の平均粒子径]
ピロリン酸ソーダの0.1%液中に顔料を投入し、超音波で5分間分散処理した後、セディグラフ5100を用いて累積重量が50%となる粒子径を平均粒子径とした。なお、測定液の顔料固形分濃度は5〜10%で、測定機の指示に従って適宜調整した。
[ドライダウン]
温度23±1℃、湿度50±2%RHの環境下、RI印刷試験機(石川島産業機械製)で枚葉オフセット印刷用墨インキ(商品名:Graf−G/大日本インキ化学工業社製)を0.45ml使用して、同環境下で十分調湿した塗工紙に印刷を施し、印刷直後と24時間放置後の印刷濃度をX−Rite404(X−Rite社製)を用いてカラーモードV(ビジュアル)で測定し、次式によって求めた。なお、印刷濃度は10箇所を測定してその平均値を取った。
ドライダウン(%)=(24時間放置後印刷濃度)/(印刷直後印刷濃度)×100
[印刷濃度ムラ]
ドライダウン測定用に印刷した塗工紙の24時間後の印刷濃度ムラを、以下の基準で目視評価した。
〇:印刷濃度ムラが認められず、均一な印刷濃度である。
△:印刷濃度ムラが認められる。
×:きつい印刷濃度ムラが認められる。
[印刷光沢度]
温度23±1℃、湿度50±2%RHの環境下、RI印刷試験機(石川島産業機械製)で枚葉オフセット印刷用墨インキ(商品名:Graf−G/大日本インキ化学工業社製)を0.8ml使用して、同環境下で十分調湿した塗工紙に印刷を施し、24時間放置後の印刷部の光沢度をJIS Z 8741(1997)に準拠して60°光沢を測定した。
【0023】
2.共重合体ラテックスの評価
[平均粒子径]
希釈した共重合体ラテックスを、未処理のまま四塩化オスミウムで硬化させ、透過式電子顕微鏡を用いて写真撮影をした後、画像処理装置を用いて粒子を計測し、数平均粒子径(nm)を算出した。
[トルエン不溶分]
テフロンシート上にワイヤーバーで共重合体ラテックスを薄く塗布し、23±1℃、湿度50±2%RHの恒温恒湿室中で24時間乾燥し、さらに減圧乾燥してラテックスフィルムを得た。約0.5gの上記ラテックスフィルムを正確に秤取し、秤量後のラテックスフィルムを300mlのトルエンに浸して振とう機で室温にて6時間振とうした後、200メッシュの金網で濾過し、金網に残った残留物を熱風乾燥機中で乾燥して絶乾重量を正確に秤量する。不溶分は、次式によって求めた。
トルエン不溶分(%)=(乾燥残留物の重量)/(秤取したラテックスフィルムの重量)×100
[ケロシン膨潤指数]
テフロンシート上にワイヤーバーで共重合体ラテックスを薄く塗布し温度23±1℃、湿度50±2%RHの環境下24時間乾燥し、さらに減圧乾燥してラテックスフィルムを得た。約0.5gの上記ラテックスフィルムを正確に秤取し、300mlのケロシン(沸点150〜250℃、比重約0.8/キシダ化学社製)に室温下24時間浸漬した後、ラテックスフィルムを取り出し、余分なケロシンをふき取り正確に秤量する。ケロシンに対する膨潤指数は、次式によって求めた。
膨潤指数=(ケロシン浸漬、ふき取り後ラテックスフィルム重量)/(ケロシン浸漬前ラテックスフィルム重量)
【0024】
(1)共重合体ラテックスの製造
(1の1)共重合体ラテックス(A−1)〜(A−5)、(B−1)〜(B−3)の製造
撹拌装置と温度調節用ジャケットを取り付けた耐圧反応容器に、水80重量部、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.3重量部、イタコン酸2.0重量部、アクリル酸1.0重量部およびスチレン−アクリル酸変性シードラテックス(数平均粒子径0.03μm)0.5重量部を仕込み、内温を70℃に設定した。次に、ブタジエン45重量部、スチレン52重量部、α−メチルスチレンダイマー0.2重量部およびt―ドデシルメルカプタン1.0重量部からなる単量体と連鎖移動剤の混合組成物と、水20重量部、過硫酸ナトリウム1.2重量部、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2重量部および水酸化ナトリウム0.3重量部からなる開始剤系水溶液を別々に作成し、70℃の重合温度でそれぞれ別個に6時間かけて追添した。その後2時間そのままの状態に保ち、重合を行った。この共重合体ラテックスの重合率は97%であった。
次いで、生成した共重合体ラテックスに水酸化ナトリウムを添加して、pHを8とした。次に、スチームストリッピング法により未反応単量体を除去し、200メッシュの金網で濾過した。この共重合体ラテックスを固形分濃度50重量%になるように調整し、共重合体ラテックス(A−1)を得た。
得られた共重合体ラテックス(A−1)の数平均粒子径は170nm、トルエン不溶分は78%、ケロシンに対する膨潤指数は2.01であった。
単量体組成および使用量、連鎖移動剤組成および使用量、スチレンーアクリル酸変性シードラテックスの使用量、および重合温度を表1に示すように変更した以外は、共重合体ラテックス(A−1)の製造と同じ方法で共重合体ラテックス(A−2)〜(A−5)および(B−1)〜(B−3)を得た。ただし表中のイタコン酸、フマル酸、アクリル酸は、(A−1)の製造例と同様、初期に一括して添加し、その他の単量体は、6時間かけて追添した。それぞれの共重合体ラテックスの物性を表1に示す。
【0025】
【表1】
Figure 0004848593
【0026】
(1の2)共重合体ラテックス(A−6)〜(A−8)の製造
撹拌装置と温度調節用ジャケットを取り付けた耐圧反応容器に、水70重量部、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.1重量部、イタコン酸2.9重量部、スチレン−アクリル酸変性シードラテックス(数平均粒子径0.03μm)3重量部を仕込み、内温を80℃に昇温した。次いでブタジエン12重量部、スチレン12重量部、アクリロニトリル12重量部、2−ヒロドキシエチルアクリレート0.8重量部、α−メチルスチレンダイマー1.5重量部、t−ドデシルメルカプタン0.16重量部からなる単量体と連鎖移動剤の混合組成物と、水15重量部、過硫酸ナトリウム1重量部、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.1重量部、水酸化ナトリウム0.2重量部からなる開始剤系水溶液を、それぞれ2時間および3時間かけて一定の流速で添加した。ここまでを当重合の第一工程とする。第一工程重合用単量体混合物の添加終了から1時間後より、ブタジエン39重量部、スチレン21重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.3重量部、α−メチルスチレンダイマー0.9重量部、t−ドデシルメルカプタン0.36重量部からなる単量体と連鎖移動剤の混合組成物を3時間かけて連続的に添加した。そして80℃の温度をそのまま4時間保ったのち冷却した。この共重合体ラテックスの重合率は97%であった。
次いで、生成した共重合体ラテックスに水酸化ナトリウムを添加してpHを8とした。次に、スチームストリッピング法により未反応単量体を除去し、200メッシュの金網で濾過した。この共重合体ラテックスを固形分濃度50重量%になるように調整した。このようにして得られた共重合体ラテックスを(A−6)とする。
得られた共重合体ラテックス(A−6)の数平均粒子径は109nm、トルエン不溶分は82%、ケロシンに対する膨潤指数は1.56であった。
単量体組成および使用量、連鎖移動剤組成および使用量、スチレンーアクリル酸変性シードラテックスの使用量および重合温度を表2に示すようにした以外は、共重合体ラテックス(A−6)の製造と同じ方法で共重合体ラテックス(A−7)、(A−8)を得た。ただし表中のイタコン酸、フマル酸、アクリル酸は、(A−6)の製造例と同様、初期に一括して添加し、その他の単量体および連鎖移動剤の組成物は、(A−6)の製造と同様の方法で追添した。それぞれの共重合体ラテックスの物性を表2に示す。
【0027】
【表2】
Figure 0004848593
【0028】
[実施例1]
塗工層の顔料として、平均粒子径が4.5μmの重質炭酸カルシウム(商品名:ホワイトンSB/備北粉化工業社製)80部と平均粒子径2.5μmのカオリン(商品名:Nu−surf/エンゲルハード社製)20部に分散剤(商品名:アロンA−9/東亞合成社製)を固形分対比で0.2部添加して固形分濃度70%のスラリーに調製したものを使用し、接着剤として、上記方法で調製した共重合体ラテックス(A−1)10部と予め糊化した酸化澱粉(商品名:エースA/王子コーンスターチ社製)1部(それぞれ固形分)を加え、流動性調整剤としてアクリル系会合型増粘剤(商品名:アルコガムL−83/日本NSC社製)0.1部(固形分)を添加し、さらに水を加えて混合して固形分濃度63%の塗工液を得た。この塗工液を米坪90g/mの上質原紙上に、片面当たりの乾燥重量が15g/mとなるようにブレードコータで塗工し、乾燥した後、極軽度のキャレンダー仕上げを行なって乾燥後の水分が5%の両面艶消し塗工紙を得た。得られた塗工紙の品質および特性を表3に示す。
【0029】
[実施例2〜8]
共重合体ラテックスをA−1からA−2(実施例2)、A−3(実施例3)、A−4(実施例4)、A−5(実施例5)、A−6(実施例6)、A−7(実施例7)、A−8(実施例8)とそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして両面艶消し塗工紙を得た。得られた塗工紙の品質および特性を表3に示す。
【0030】
[実施例9]
実施例1において、酸化澱粉の配合量をなし(0部)とし、アクリル系会合型増粘剤(商品名:アルコガムL−83/日本NSC社製)の配合量を0.2部(固形分)とした以外は、実施例1と同様にして両面艶消し塗工紙を得た。得られた塗工紙の品質および特性を表3に示す。
【0031】
[実施例10]
実施例1において、酸化澱粉の配合量を5部(固形分)とし、アクリル系会合型増粘剤を配合しない以外は、実施例1と同様にして両面艶消し塗工紙を得た。得られた塗工紙の品質および特性を表3に示す。
【0032】
[比較例1〜3]
共重合体ラテックスをA−1からB−1(比較例1)、B−2(比較例2)、B−3(比較例3)とそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして両面艶消し塗工紙を得た。得られた塗工紙の品質および特性を表4に示す。
【0033】
[実施例11,12および比較例4,5]
塗工層の顔料として、平均粒子径が2.2μmの湿式粉砕重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブ60/備北粉化社製)100部を使用し、さらに接着剤のうちの共重合体ラテックスとして、A−1(実施例9)、A−2(実施例10)、B−1(比較例4)、B−2(比較例5)の各々を10部(固形分)使用した以外は、実施例1と同様にして両面艶消し塗工紙を得た。得られた塗工紙の品質および特性を表4に示す。
【0034】
[比較例6〜8]
塗工層の顔料として、平均粒子径が0.7μmの湿式粉砕重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブ90/備北粉化社製)100部を使用し、接着剤のうちの共重合体ラテックスとして、A−1(比較例6)、A−2(比較例7)、B−1(比較例8)の各々を10部(固形分)使用した以外は、実施例1と同様にして両面塗工紙を得た。なお、本作製で得た塗工紙(比較例6〜8)は、白紙光沢度が35〜37%あり、いずれも本発明が目的とする艶消し塗工紙とは異なったものとなった。得られた塗工紙の品質および特性を表4に示す。
【0035】
【表3】
Figure 0004848593
【0036】
【表4】
Figure 0004848593
【0037】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1及び比較例1で得た各塗工紙について得られたケロシン吸収特性(超音波伝播強度)の経時変化を示すグラフである。
【図2】塗工紙の原紙及び供試体ホルダーについて測定された超音波伝播強度の経時変化を示すグラフである。
【図3】実施例1及び比較例1で使用した塗工液をPETフィルム上に塗工、乾燥して得たモデル塗工紙の超音波伝播強度と、PETフィルムの超音波伝播強度の経時変化を示すグラフである。

Claims (3)

  1. 原紙上に、顔料と接着剤を主成分とする塗工層を設けた印刷用艶消し塗工紙において、
    前記塗工層に含まれる顔料全量の70〜100重量%が平均粒子径1.5〜15μmの顔料からなり、
    前記塗工層中に接着剤として、乳化共重合して得られ、ケロシンに対する膨潤指数が1.3以上であり、トルエン不溶分が60〜95重量%である共重合体が、塗工層中の顔料100重量部当たり5〜30重量部含有されており、
    JIS P 8142(1993)に準拠して測定した光沢度が3〜30%の範囲にあり、
    J.TAPPI紙パルプ試験方法のNo.5Bに準拠して測定した王研式平滑度が5〜300秒の範囲にあって、
    動的浸透性測定装置を使用してケロシン中に塗工紙を浸漬した瞬間から測定した超音波の伝播強度が、測定開始0.2秒から6.0秒の測定時間内に一旦弱まりその後強まるケロシン吸収特性を備えた
    印刷用艶消し塗工紙。
  2. 前記塗工層に含まれる顔料100重量部当たり3重量部(固形分換算)以下の水溶性接着剤が、前記塗工層に含まれていることを特徴とする
    請求項1に記載の印刷用艶消し塗工紙。
  3. 動的浸透性測定装置を使用してケロシン中に塗工紙を浸漬した瞬間から測定した超音波の伝播強度が、測定開始0.2秒から6.0秒の測定時間内に一旦弱まりその後強まるケロシン吸収特性を備え、
    前記伝播強度の極小値が、前記測定時間内で測定される前記伝播強度の最大値の60〜98%である
    請求項1記載または請求項2に記載の印刷用艶消し塗工紙。
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