以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.構成
図1は、本発明の実施の形態に係る遊技機の外観構成を示す斜視図である。また図2は、本発明の実施の形態に係る遊技機の内部構成(リールユニット及び制御基板を除く)を示す斜視図である。
本実施形態の遊技機は、いわゆるスロットマシンあるいは回胴式遊技機と呼ばれるもので、メダルを遊技媒体として用いた遊技を行う種類の遊技機である。
本実施形態の遊技機は、収納箱BX、前面上扉UD、および前面下扉DDからなる箱形の筐体内に第1リールR1〜第3リールR3(複数のリール)からなるリールユニットが収められている。また収納箱BX内のリールユニット収納スペースPSの下部には、電源装置を内蔵し、電源スイッチES、設定変更スイッチSS、リセットスイッチRS等の各種スイッチが備えられた電源ユニットEUおよびメダルの払出装置としてのホッパーユニットHPが収められている。ホッパーユニットHPは、遊技に供するメダルを貯蔵するメダル貯蔵タンクMTと、ステップモータからなる払出モータ(図示省略)と払出モータに軸支された回転ディスク(図示省略)とを備えており、回転ディスクが払出モータによって回転駆動されて、1枚単位でメダルを払い出すことができるように構成されている。またホッパーユニットHPは、メダル貯蔵タンクMTにおけるメダルの貯蔵量が一定に達すると、余剰メダルが余剰メダル貯蔵タンクBTに送り出されるようになっている。また本実施形態の遊技機の収納箱BX内の例えば、リールユニット上部に、CPU、ROM(情報記憶媒体の一例)、RAM等を搭載し、遊技機の動作を制御する制御基板(図示省略)が収められている。
図1に示す第1リールR1〜第3リールR3は、それぞれ外周面が一定の間隔で21の領域(各領域を「コマ」と称する)に区画されており、各コマに複数種類の図柄のいずれかが配列されている。また第1リールR1〜第3リールR3は、ステップモータ(リール駆動手段:図示省略)に軸支されており、それぞれステップモータの軸周りに回転駆動され、ステップモータの駆動パルスのパルス数やパルス幅などを制御することによって、コマ単位(所定の回転角度単位、所定の回転量単位)で停止可能に設けられている。すなわち本実施形態の遊技機では、ステップモータが制御基板から供給された駆動パルスに応じて第1リールR1〜第3リールR3を回転駆動し、制御基板から駆動パルスの供給が断たれると、ステップモータの回転が停止することに伴って第1リールR1〜第3リールR3が停止する。
前面上扉UDと前面下扉DDとは個別に開閉可能に設けられており、前面上扉UDには第1リールR1〜第3リールR3の回転状態及び停止状態を観察可能にする表示窓DWが設けられている。第1リールR1〜第3リールR3の停止状態では、第1リールR1〜第3リールR3それぞれの外周面に一定間隔で配列された複数種類の図柄のうち、外周面上に連続して配列されている3つの図柄(上段図柄、中段図柄、下段図柄)を遊技機の正面から表示窓DWを通じて観察できるようになっている。
そして遊技結果は表示窓DW内の5本の入賞判定ラインL1〜L5のうち有効な入賞判定ライン上に停止表示された図柄組合せによって判断され、入賞判定ライン上の図柄組合せが予め定められた役に対応した図柄組合せである場合には、その役が入賞したものとしてホッパーユニットHPからメダルの払い出し等が行われる。なお、本実施形態の遊技機では、1回の遊技に関して必要となるメダルの数、いわゆる規定投入数が3枚に設定され、規定投入数のメダルが投入されたことに基づいて5本の入賞判定ラインL1〜L5の全てが有効化される。
また前面上扉UDには、遊技情報表示部DSが設けられている。遊技情報表示部DSは、LED、ランプ、7セグメント表示器等からなり、メダルのクレジット数、1回の遊技におけるメダルの払出数あるいは獲得数、ボーナス遊技の残り回数等の各種遊技情報が表示される。
また前面上扉UDには、遊技演出を行うための液晶ディスプレイLCDが設けられている。この液晶ディスプレイLCDには、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための各種の映像(または画像)が表示される。また本実施形態の遊技機では、前面上扉UDや前面下扉DDに対して、遊技演出を行うためのスピーカSPが複数設けられている。このスピーカSPからは、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための各種の音声が出力される。
また前面下扉DDには、各種の操作手段が設けられている。操作手段としては、クレジット(貯留)されたメダルを投入する操作を行うためのベットボタンB0(投入操作手段)、第1リールR1〜第3リールR3を回転させて遊技を開始する契機となる操作を行うためのスタートレバーSL(回転開始操作手段)、ステップモータにより回転駆動されている第1リールR1〜第3リールR3のそれぞれを停止させる契機となる操作を行うためのストップボタンB1〜B3(停止操作手段)などが設けられている。
そして本実施形態の遊技機では、遊技者がメダルをメダル投入口MIに投入するか、ベットボタンB0を押下する操作を行うことで、第1リールR1〜第3リールR3の回転制御を開始することが可能な準備状態にセットされる。そして、遊技者がスタートレバーSLを押下すると、制御基板において第1リールR1〜第3リールR3をステップモータの駆動により回転開始させるとともに、乱数値を用いた内部抽選が行われ、第1リールR1〜第3リールR3の回転速度が所定の速度まで上昇したことを条件に、ストップボタンB1〜B3の押下操作が許可(有効化)される。
その後、遊技者が任意のタイミングでストップボタンB1〜B3を押下していくと、ストップボタンB1〜B3のそれぞれに内蔵されているストップスイッチ(停止信号出力手段:例えば、フォトセンサ、導通センサ、圧力センサなど)がオン動作を行い、制御基板に入力されるリール停止信号をオフ状態からオン状態へ変化させる。
また遊技者が任意のタイミングで押下状態にあるストップボタンB1〜B3を解放すると、各ボタンのストップスイッチがオフ動作を行い、制御基板に入力されるリール停止信号をオン状態からオフ状態に変化させる。
そして制御基板は、ストップボタンB1〜B3の押下タイミング及び解放タイミングに応じて信号状態が変化するリール停止信号のオフ状態からオン状態への変化に基づいて、内部抽選の結果に応じた停止位置で第1リールR1〜第3リールR3を停止させる。
また前面下扉DDの下部には、メダル払い出し口MOとメダル受け皿MPとが設けられており、遊技の結果に応じた枚数のメダルがメダル払い出し口MOからメダル受け皿MPへ払い出されるようになっている。
図3は、本実施形態の遊技機の機能ブロック図である。
本実施形態の遊技機は、遊技制御手段100(制御基板)によって制御される。遊技制御手段100は、メダル投入スイッチ210、ベットスイッチ220、スタートスイッチ230、ストップスイッチ240、設定変更スイッチSS、リセットスイッチRS等の入力手段からの入力信号を受けて、遊技を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいてリールユニット310、ホッパーユニットHP、表示装置330、音響装置340等の出力手段の動作制御を行う。遊技制御手段100の機能は各種のプロセッサ(CPU、DSPなど)、ASIC(ゲートアレイなど)、ROM(情報記憶媒体の一例)、あるいはRAMなどのハードウェアや、ROMなどに予め記憶されている所与のプログラムからなるソフトウェアにより実現される。
そして遊技制御手段100は、設定変更手段105、投入受付手段107、乱数発生手段110、抽選手段120、リール制御手段130、入賞判定手段140、払出制御手段150、リプレイ処理手段160、遊技状態移行制御手段170、演出制御手段180、記憶手段190を含む。
設定変更手段105は、設定値記憶手段197Aに記憶されている設定値を変更する制御を行う。本実施形態では、設定変更スイッチSSを構成するキーシリンダに設定キーが挿入されて時計回り(あるいは反時計回り)に設定キーが回された状態で電源スイッチESが作動することにより電源ユニットEUから電力が供給されたことを設定変更許可条件として、設定変更手段105が、遊技機を設定変更許可状態に制御する。そして、設定変更許可状態においてリセットスイッチRSが作動すると、設定変更手段105は、リセットスイッチRSからの入力信号を受け付ける毎に、記憶手段190の空き領域に確保した設定変更作業領域197Bにおいて設定1→設定2→・・・設定6→設定1→・・・の順序で設定値を循環的に変動させる。そして本実施形態の遊技機では、設定変更許可状態におけるスタートスイッチ230の作動が設定確定条件とされており、スタートレバーSLの押下により作動するスタートスイッチ230からのスタート信号に基づいて設定値を確定させて、確定された設定値を設定値記憶手段197Aに記憶させる。
また本実施形態の遊技機では、設定変更手段105が設定値比較手段106を含み、設定値比較手段106は、設定変更許可条件の成立時点において設定値記憶手段197Aに記憶されている設定値と、設定確定条件の成立時点において確定された設定変更作業領域197Bに一時記憶されている設定値とを比較する処理を行う。なお設定値の比較結果は、記憶手段190の図示しない記憶領域(比較結果記憶領域)に一時記憶される。
投入受付手段107は、遊技毎にメダルの投入を受け付けて、規定投入数に相当する3枚のメダルが投入されたことに基づいて、スタートレバーSL(回転開始操作手段)に対する第1リールR1〜第3リールR3の回転開始操作を許可する処理を行う。
本実施形態の遊技機では、メダル投入口MIにメダルが投入されると、メダル投入スイッチ210が作動することに伴って、投入受付手段107が、規定投入数を限度として、投入されたメダルを投入状態に設定する。また本実施形態の遊技機では、遊技機にメダルがクレジットされた状態で、ベットボタンB0が押下されると、ベットスイッチ220が作動することに伴って、投入受付手段107が、規定投入数を限度して、クレジットされたメダルを投入状態に設定する。
乱数発生手段110は、抽選用の乱数値を発生させる手段である。乱数値は、例えば、インクリメントカウンタ(所定のカウント範囲を循環するように数値をカウントするカウンタ)のカウント値に基づいて発生させることができる。なお本実施形態において「乱数値」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、その発生自体は規則的であっても、その取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能しうる値も含まれる。
抽選手段120は、遊技者がスタートレバーSL(回転開始操作手段)の押下操作により作動するスタートスイッチ230からのスタート信号に基づいて、役の当否を決定する内部抽選を行う手段であって、抽選テーブル選択処理、乱数判定処理、抽選フラグ設定処理などを行う。
抽選テーブル選択処理では、記憶手段190の抽選テーブル記憶手段191に格納されている複数の抽選テーブルのうち、いずれの抽選テーブルを用いて内部抽選を行うかを決定する。本実施形態の遊技機では、通常状態、ビッグボーナス成立状態(BB1成立状態、BB2成立状態)、およびビッグボーナス状態(BB1状態、BB2状態)という複数種類の遊技状態が設定可能とされており、記憶手段190には、各遊技状態における内部抽選のための抽選テーブルが記憶されている。そして各遊技状態用の抽選テーブルでは、複数の乱数値(例えば、0〜65535の65536個の乱数値)のそれぞれに対してリプレイ(入賞に伴い次回の遊技に際してメダルが自動投入される役)、小役(入賞に伴いメダルが払い出される役:プラム、ベル、チェリー、特殊小役)、及びビッグボーナス(ビッグボーナス状態への移行契機となる役:第1ビッグボーナスBB1、第2ビッグボーナスBB2)などの各種の役もしくはハズレのいずれかが対応づけられている。
また本実施形態の遊技機では、抽選テーブル記憶手段191が、通常状態、ビッグボーナス成立状態、およびビッグボーナス状態の各遊技状態で使用される抽選テーブルについて、それぞれ6段階の設定値(設定1〜設定6:設定6>設定5>・・・>設定1の順序で設定値が高いことを示す)に対応づけて記憶している。すなわち本実施形態の遊技機では、通常状態用の抽選テーブル、ビッグボーナス成立状態用の抽選テーブル、およびビッグボーナス状態用の抽選テーブルが、それぞれ6種類用意されている。そして抽選テーブル選択処理では、設定値記憶手段197Aに記憶されている設定値に基づいて、現在の遊技状態に応じた抽選テーブルを選択する処理を行う。
なお本実施形態の遊技機では、設定値に応じて少なくとも1種類以上の役の当選確率が異なるように役と乱数値との対応関係が設定されている。例えば、図4(A)に示すように、通常状態用の抽選テーブルでは、設定値が高くなるほど、ビッグボーナス(BB1、BB2)の当選確率や、プラムの当選確率が高くなるとともに、設定値が高くなるほど、特殊小役(特殊小役1、特殊小役2)の当選確率が低くなるように役と乱数値との対応関係が設定されている。また例えば、図4(B)に示すように、ビッグボーナス成立状態用の抽選テーブルでは、ビッグボーナス(BB1、BB2)が内部抽選の対象から除外されており、設定値が高くなるほど、プラムの当選確率が高くなるとともに、設定値が高くなるほど、特殊小役(特殊小役1、特殊小役2)の当選確率が低くなるように役と乱数値との対応関係が設定されている。また例えば、図4(C)に示すように、ビッグボーナス状態用の抽選テーブルでは、ビッグボーナス(BB1、BB2)およびリプレイが内部抽選の対象から除外されており、設定値が高くなるほど、プラムの当選確率が高くなるとともに、設定値が高くなるほど、特殊小役(特殊小役1、特殊小役2)の当選確率が低くなるように役と乱数値との対応関係が設定されている。
乱数判定処理では、スタートスイッチ230の作動に伴って入力されるスタート信号に基づいて遊技毎に乱数発生手段110から乱数値(抽選用乱数)を取得し、取得した乱数値について記憶手段190の抽選テーブル記憶手段191に記憶されている抽選テーブルを参照して役に当選したか否かを判定する。
抽選フラグ設定処理では、乱数判定処理の結果に基づいて、当選したと判定された役の抽選フラグを非内部当選状態(第1のフラグ状態、オフ状態)から内部当選状態(第2のフラグ状態、オン状態)に設定する。抽選フラグの設定情報は、記憶手段190の抽選フラグ記憶手段192に格納される。また本実施形態では、入賞するまで次回以降の遊技に内部当選状態を持ち越し可能な抽選フラグ(持越可能フラグ)と、入賞の如何に関わらず次回以降の遊技に内部当選状態を持ち越さずに非内部当選状態にリセットされる抽選フラグ(持越不可フラグ)とが用意されている。前者の持越可能フラグが対応づけられる役としては、ビッグボーナス(BB1、BB2)があり、それ以外の役(例えば、小役、リプレイ)は後者の持越不可フラグに対応づけられている。
リール制御手段130は、遊技者がスタートレバーSL(回転開始操作手段)を押下することにより作動するスタートスイッチ230からのスタート信号に基づいて、第1リールR1〜第3リールR3をステップモータにより回転駆動する制御を行うとともに、ステップモータにより回転駆動されている第1リールR1〜第3リールR3をフラグの設定状態(役の当否)に応じて停止させる制御を行う。
そしてリール制御手段130は、ストップボタンB1〜B3(停止操作手段)に対する押下操作(停止操作)が有効化された状態(第1リールR1〜第3リールR3の回転速度が所定速度に達した状態)において遊技者がストップボタンB1〜B3を押下することによりストップスイッチ240が作動すると、ストップスイッチ240からのリール停止信号に基づいて、リールユニット310のステップモータへの駆動パルス(モータ駆動信号)の供給を停止することにより、第1リールR1〜第3リールR3の各リールを停止させる制御を行う。
すなわちリール制御手段130は、ストップボタンB1〜B3の各ボタンが押下される毎に、第1リールR1〜第3リールR3のうち押下されたボタンに対応するリールの停止位置を決定して、決定された停止位置でリールを停止させる制御を行っている。具体的には、記憶手段190の停止制御テーブル記憶手段193に記憶されている停止制御テーブルを参照してストップボタンB1〜B3の押下タイミング等(停止操作の態様)に応じた第1リールR1〜第3リールR3の停止位置を決定し、決定された停止位置で第1リールR1〜第3リールR3を停止させる制御を行う。
ここで停止制御テーブルでは、ストップスイッチ240の作動時点(ストップボタンB1〜B3の各ボタンの押下操作が検出された時点)における第1リールR1〜第3リールR3の位置(押下検出位置)と、第1リールR1〜第3リールR3の実際の停止位置(または押下検出位置からの滑りコマ数)との対応関係が設定されている。また本実施の形態では、抽選フラグの設定状態毎に第1リールR1〜第3リールR3の停止位置を定めるための停止制御テーブルが用意されている。そして停止制御テーブルでは、内部抽選の結果に応じて設定される抽選フラグの設定状態が同一であるとともに、ストップボタンB1〜B3に対する押下操作の態様(操作態様:例えば、押下タイミングおよび押下順序)が同一である場合には、第1リールR1〜第3リールR3について同一の停止位置が指定されている。すなわち、リール制御手段130は、ストップボタンB1〜B3に対する押下操作の態様と、抽選手段120による内部抽選の結果との組合せが同一である場合には、同一の停止態様で第1リールR1〜第3リールR3を停止させる制御を行っている。
また停止制御テーブルでは、2種類以上の異なる役に対応づけられているフラグが内部当選状態に設定されている場合に、役毎に定められた優先順位に従って、ストップスイッチ240の作動時点における各リールの位置と、実際の各リールの停止位置との対応関係が設定されている。特に本実施形態では、「リプレイ>ビッグボーナス(BB1、BB2)>小役(プラム、ベル、チェリー、特殊小役)」の順序で優先順位が定められており、リール制御手段130は、2種類以上の役に関する抽選フラグが内部当選状態に設定されている場合には、各役に対して設定された優先順位に従って、優先順位が低い役を構成する図柄に優先して優先順位の高い役を構成する図柄を入賞判定ライン上に表示させるようにリールを停止させる制御を行う。
またリール制御手段130は、いわゆる引き込み処理と蹴飛ばし処理とをリールを停止させる制御として行っている。引き込み処理とは、抽選フラグが内部当選状態に設定された役に対応する図柄が入賞判定ライン上に停止するように(当選した役を入賞させることができるように)リールを停止させる制御処理である。一方蹴飛ばし処理とは、抽選フラグが非内部当選状態に設定された役に対応する図柄が入賞判定ライン上に停止しないように(当選していない役を入賞させることができないように)リールを停止させる制御処理である。すなわち本実施形態の遊技機では、上記引き込み処理及び蹴飛ばし処理を実現させるべく、抽選フラグの設定状態、ストップボタンB1〜B3の押下タイミング、押下順序、既に停止しているリールの停止位置(あるいは入賞判定ラインL1〜L5上に停止している図柄の種類)に応じて各リールの停止位置が変化するように停止制御テーブルが設定されている。このようにリール制御手段130は、抽選フラグが内部当選状態に設定された役の図柄を入賞の形態で停止可能にし、一方で抽選フラグが非内部当選状態に設定された役の図柄が入賞の形態で停止しないように第1リールR1〜第3リールR3を停止させる制御を行っている。
また本実施形態の遊技機では、リールユニット310がフォトセンサからなるリールインデックス315を備えており、リール制御手段130は、リールが1回転する毎にリールインデックス315で検出される基準位置信号に基づいて、リールの基準位置(リールインデックスによって検出されるコマ)からの回転角度(ステップモータの回転軸の回転ステップ数)を求めることによって、現在のリールの回転状態を監視することができるようになっている。
そして本実施形態の遊技機では、回転している各リールの停止位置を決めるための停止制御テーブルにおいて、ストップボタンB1〜B3の押下時点から各リールR1〜R3が停止するまでに要するコマ数が5コマ(0コマ〜4コマ)を上限として設定されており、リール制御手段130は、第1リールR1〜第3リールR3に関する引き込み処理や蹴飛ばし処理において、ストップボタンB1〜B3の停止契機となる操作が行われた時点で表示窓DW内に位置するコマから最大4コマ先の図柄を引き込むことができるようにリールを停止させる制御を行っている。
そして本実施形態の遊技機では、図5に示す第1リールR1〜第3リールR3の図柄配列によれば、各リールの外周面に複数配列されているリプレイ図柄「RP」や、プラム図柄「PM」などに関して、その間隔が5コマ以内となるように図柄が配列されており、ストップボタンB1〜B3の押下タイミング、押下順序等に関係なくリプレイ図柄「RP」や、プラム図柄「PM」を入賞判定ライン上に引き込むことができるようになっている。
また本実施形態の遊技機では、図5に示す第1リールR1における図柄の配列によれば、ボーナス図柄1「赤7」と、ボーナス図柄2「白7」とが、それぞれ5コマ以上離れて配列されている。このため本実施形態の遊技機では、特殊小役1(特定の小役の一例)が当選した遊技で、第1リールR1に関してボーナス図柄2「白7」を狙ってストップボタンB1を押下した場合、特殊小役1を入賞させることができず、特殊小役2(特定の小役の一例)が当選した遊技で、第1リールR1に関してボーナス図柄1「赤7」を狙ってストップボタンB1を押下した場合、特殊小役2を入賞させることができないようになっている。すなわち本実施形態の遊技機では、内部抽選で特殊小役に当選した場合に、リール制御手段130が、当選した特殊小役を構成する図柄(特殊小役1:ボーナス図柄1、特殊小役2:ボーナス図柄2)を4コマ以内で入賞判定ライン上の停止位置に引き込むことができるタイミング(特定の操作態様)でストップボタンB1に対して押下操作が行われた場合に限って、当選した特殊小役を入賞させることができるように第1リールR1を停止させる制御を行っている。
入賞判定手段140は、第1リールR1〜第3リールR3の停止状態に基づいて、役が入賞したか否かを判定する処理を行う。具体的には、第1リールR1〜第3リールR3の全てが停止した際に、記憶手段190の入賞判定テーブル記憶手段194に記憶されている入賞判定テーブルを参照しながら、各リールの停止状態によって入賞判定ライン上に停止している図柄の組合せが、予め定められた役の入賞の形態であるか否かを判定する。
本実施形態では、図5に示すように、リールユニット310を構成する第1リールR1〜第3リールR3の外周面に対して、ボーナス図柄1「赤7」、ボーナス図柄2「白7」、プラム図柄「PM」、ベル図柄「BL」、チェリー図柄「CH」、リプレイ図柄「RP」、ダミー図柄「DM」が配列されている。そして、各リールが停止した状態における有効ライン上に表示された各図柄の組合せによって、図6に示すように、第1ビッグボーナス(BB1)、第2ビッグボーナス(BB2)、リプレイ、ベル、プラム、チェリー、および特殊小役(特殊小役1、特殊小役2)の入賞の有無が判定できるように入賞判定テーブルが用意されている。なお図6に示すチェリーの入賞形態を示す図柄組合せにおける「ANY」とは、リールの外周面に配列されたいずれの図柄でもよいこと示す。
そして本実施形態の遊技機では、入賞判定手段140の判定結果に基づいて、入賞時処理が実行される。入賞時処理としては、例えば、小役(ベル、プラム、チェリー、特殊小役)が入賞した場合には払出制御手段150によってメダルの払出制御処理が行われ、リプレイが入賞した場合にはリプレイ処理手段160によってリプレイ処理が行われ、ビッグボーナス(BB1、BB2)が入賞した場合には遊技状態移行制御手段170によって遊技状態を移行させる遊技状態移行制御処理が行われる。
払出制御手段150は、遊技結果に応じたメダルの払い出しに関する払出制御処理を行う。具体的には、小役が入賞した場合に、役毎に予め定められている配当に基づいて遊技におけるメダルの払出数を設定し、設定されたメダルの払出数をホッパーユニットHP(払出装置)に対して指示する制御を行う。複数の小役が1回の遊技で入賞した場合には、入賞した各小役の配当の合計が、遊技におけるメダルの払出数として設定される。
ホッパーユニットHPは、払出制御手段150によって指示された払出数のメダルを払い出す動作を行う。ホッパーユニットHPには、メダルを1枚払い出す毎に作動する払出メダル検出スイッチ325が備えられており、払出制御手段150は、払出メダル検出スイッチ325からの入力信号に基づいてホッパーユニットHPから実際に払い出されたメダルの数を管理することができるように構成されている。
なおメダルのクレジット(内部貯留)が許可されている場合には、ホッパーユニットHPによって実際にメダルの払い出しを行う代わりに、記憶手段190のクレジット記憶領域(図示省略)に記憶されているクレジット数(クレジットされたメダルの数)に対して払出数を加算するクレジット加算処理を行って仮想的にメダルを払い出す処理を行う。また遊技の結果、リプレイあるいはビッグボーナス(BB1、BB2)が入賞した場合には、図5に示すように配当が設定されていないため、ホッパーユニットHPからのメダルの払い出しは行われないが、形式的に0枚のメダルを払い出したとする処理(0枚処理)が行われる。
リプレイ処理手段160は、リプレイが入賞した場合に、次回の遊技に関して遊技者の所有するメダルの投入を要さずに前回の遊技と同じ準備状態に設定するリプレイ処理(再遊技処理)を行う。すなわち本実施形態の遊技機では、リプレイが入賞した場合には、前回の遊技と同じ枚数分のメダルを遊技者の手持ちのメダル(クレジットメダルを含む)を使わずに自動的に投入する自動投入処理が行われ、前回の遊技と同じ入賞判定ラインを有効化した状態で次回の遊技の開始操作(遊技者によるスタートレバーSLの押下操作)を待機する。
遊技状態移行制御手段170は、所定の移行条件の成立に基づいて、通常状態、ビッグボーナス成立状態(BB1成立状態、BB2成立状態)、およびビッグボーナス状態(BB1状態、BB2状態)の間で遊技状態を移行させる遊技状態移行制御処理を行う。遊技状態の移行条件は、1の条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の予め定められた条件のうち1の条件が成立したこと、あるいは複数の予め定められた条件の全てが成立したことに基づいて、遊技状態を別の遊技状態へ移行させることができる。
BB1状態は、内部抽選でBB1に当選することによって移行するBB1成立状態においてBB1の入賞形態を示す図柄組合せ「赤7・赤7・赤7」が入賞判定ライン上に表示されたことを契機として移行する遊技状態である。またBB1状態では、ボーナス遊技によって所定枚数(465枚以下の予め定められた枚数)を超えるメダルが払い出されたことを契機としてBB1状態を終了させる制御が行われる。
BB2状態は、内部抽選でBB2に当選することによって移行するBB2成立状態においてBB2の入賞形態を示す図柄組合せ「白7・白7・白7」が入賞判定ライン上に表示されたことを契機として移行する遊技状態である。またBB2状態では、ボーナス遊技によって所定枚数(465枚以下の予め定められた枚数)を超えるメダルが払い出されたことを契機としてBB2状態を終了させる制御が行われる。
本実施形態の遊技機では、図4(A)および図4(C)に示したように、ビッグボーナス状態(BB1状態、BB2状態)において通常状態よりも小役の当選確率を上昇させた抽選テーブルを使用した内部抽選が行われる。すなわちビッグボーナス状態(BB1状態、BB2状態)は、通常状態よりも短期間で多くのメダルが獲得しやすくなっており、遊技者にとって有利な遊技状態となっている。
演出制御手段180は、演出テーブル記憶手段195に記憶されている演出テーブルを参照して選択される演出データに基づいて、表示装置330(演出装置の一例)を用いて行う表示演出や音響装置340(演出装置の一例)を用いて行う音響演出に関する制御を行う。
そして本実施形態の遊技機では、演出制御手段180が、演出状態フラグ設定手段181と、演出実行制御手段182と、遊技回数カウント手段183とを含んで構成されている。
演出状態フラグ設定手段181は、現在の演出状態が複数種類の演出状態のいずれであるかを示す演出状態フラグを設定する処理を行う。本実施形態の遊技機では、演出状態フラグの設定状態として、通常演出状態、ビッグボーナス当選演出状態(BB当選演出状態)、ビッグボーナス演出状態(BB演出状態)、およびアシストタイム状態(AT状態:特殊設定状態)が設定可能となっており、演出状態フラグの設定情報は、演出状態フラグ記憶手段196に格納される。そして本実施形態の遊技機では、演出状態に応じた演出を実行するための演出データから構築されている複数種類の演出テーブルが演出テーブル記憶手段195に格納されている。
そして本実施形態の遊技機では、演出状態フラグ設定手段181が、遊技状態が通常状態である場合には、演出状態フラグを通常演出状態あるいはAT状態のいずれかに設定し、遊技状態がBB1成立状態あるいはBB2成立状態である場合には、演出状態フラグをBB当選演出状態に設定し、遊技状態がBB1状態あるいはBB2状態である場合には、演出状態フラグをBB演出状態に設定する。
また本実施形態の遊技機では、演出状態フラグ設定手段181が、設定値比較手段106による設定値の比較結果がリセット条件を満たしていることに基づいて、演出状態フラグを通常演出状態(所定の設定状態)にリセットする。具体的には、設定変更許可条件の成立時点において設定値記憶手段197Aに記憶されている設定値と、設定確定条件の成立時点において確定された設定変更作業領域197Bに記憶されている設定値とが同一であることに基づいて、演出状態フラグ設定手段181は、リセット条件を満たしていると判断して、演出状態フラグを通常演出状態にリセットする。
演出実行制御手段182は、演出状態フラグ記憶手段196に記憶されている演出状態フラグの設定状態に応じた演出テーブルを参照して、表示装置330や音響装置340に演出を実行させる制御を行う。例えば、メダルの投入やベットボタンB0、スタートレバーSL、ストップボタンB1〜B3に対する操作、遊技状態の変動などの遊技イベントの発生に応じてランプやLEDを点灯あるいは点滅させたり、液晶ディスプレイLCDの表示内容を変化させたり、スピーカSPから音を出力させたりすることにより、遊技を盛り上げたり、遊技を補助するための演出の実行制御を行う。
また演出実行制御手段182は、内部抽選で特殊小役(特定の役)が当選した遊技において、所定条件下で特殊小役の入賞を補助する特殊演出の実行制御を行っている。具体的には、演出実行制御手段182が、演出状態フラグの設定状態がAT状態であるか否かを判定し、演出状態フラグの設定状態がAT状態であることを条件に、内部抽選で当選した特殊小役の種類を報知する演出画像を液晶ディスプレイLCDに表示させる制御を行う。例えば、内部抽選で特殊小役1が当選した遊技では、図7(A)に示すように、特殊小役1の入賞形態を示す図柄組合せ「赤7・PM・PM」を遊技者に報知する演出画像が液晶ディスプレイLCDに表示され、内部抽選で特殊小役2が当選した遊技では、図7(B)に示すように、特殊小役2の入賞形態を示す図柄組合せ「白7・PM・PM」を遊技者に報知する演出画像が表示される。なお特殊演出としては、当選した特殊小役の種類に対応するランプやLEDを点灯させたり、スピーカSPから当選した特殊小役の種類に対応する音声を出力させたりするようにしてもよい。
このように本実施形態の遊技機では、演出状態フラグの設定状態がAT状態である遊技において、特殊小役が当選した場合には、当選した特殊小役の種類を遊技者に報知する特殊演出を行うことによって、演出状態フラグの設定状態が通常演出状態である場合よりも演出状態フラグの設定状態がAT状態である場合の方がメダルを獲得しやすくなっている。すなわち本実施形態の遊技機では、演出状態フラグの設定状態がAT状態である遊技区間を、遊技者に有利な遊技区間として設定することができる。
遊技回数カウント手段183は、所定条件下で遊技回数をカウントする。具体的には、遊技回数カウント手段183が、演出状態フラグ記憶手段196に記憶されている演出状態フラグを参照して、演出状態フラグの設定状態が通常演出状態であることを条件に、遊技毎のスタートレバーSLの押下操作を契機として遊技回数記憶手段198に記憶されている遊技回数カウント値(遊技回数のカウント情報)をデクリメント更新する。
そして本実施形態の遊技機では、演出状態フラグ設定手段181が、遊技回数記憶手段198に記憶されている遊技回数カウント値が、所定値(所定回数に相当する値)に達したことに基づいて、演出状態フラグの設定状態をAT状態に変更する。このように本実施形態の遊技機では、演出状態フラグの設定状態が通常演出状態である際に、所定回数の遊技が消化されることによって、演出状態フラグの設定状態がAT状態に変更されることによって、ビッグボーナス(BB1あるいはBB2)が当選しない遊技が長期間に渡ることによって遊技者の遊技意欲が減退することを防ぐ効果が期待でき、遊技機の稼働率の向上を図ることができる。
また本実施形態の遊技機では、遊技回数カウント手段183が、演出状態フラグが通常演出状態にリセットされる契機において遊技回数カウント値を初期値にリセットする。すなわち、遊技回数カウント手段183は、設定値比較手段106による設定値の比較結果がリセット条件を満たしていることに基づいて、遊技回数カウント値を初期値にリセットする。
なお本実施形態の機能ブロック構成は、コンピュータシステム(ゲームシステムを含む)に関しても適用することができる。これらのシステムでは、本実施形態の遊技制御手段100としてコンピュータを機能させるプログラムを、CD、DVD等の情報記憶媒体あるいはインターネット上のWebサーバからネットワークを介してダウンロードすることによって、その機能を実現することができる。また上記コンピュータシステムでは、メダル投入スイッチ210、ベットスイッチ220、スタートスイッチ230、ストップスイッチ240等は、キーボードやポインティングデバイス(マウス等)、あるいはコントローラなどの操作手段に対してそれらの機能を仮想的に割り当てることにより実現することができる。また上記コンピュータシステムでは、リールユニット310やホッパーユニットHPなどは必須の構成要件ではなく、これらの装置ユニットは、ディスプレイ(表示装置330)に表示出力される画像の制御によってそれらの機能を仮想的に実現することができる。
2.本実施形態の制御手法
続いて、本実施形態の遊技機で採用されている制御手法について、図面を参照しながら具体的に説明する。
まず本実施の形態では、図8(A)に示すように、演出状態フラグを8ビットデータで構成し、各ビットの状態によって、現在の演出状態を判断することができるようになっている。演出状態が通常演出状態である場合には、ビット0が「1」に設定され、演出状態がBB当選演出状態である場合には、ビット1が「1」に設定され、演出状態がBB演出状態である場合には、ビット2が「1」に設定され、演出状態がAT状態である場合には、ビット3が「1」に設定される。なお演出状態フラグの各ビットは、重複して「1」に設定されることはないように制御されている。
そして本実施の形態では、図8(B)に示すように、演出状態フラグの設定状態を変更していく制御を行っている。
まず遊技機の初回起動時には、ビット0が「1」に設定され、演出状態フラグの設定状態が通常演出状態となる。このとき通常演出状態での遊技が継続している回数を示す遊技回数カウント値が初期値(例えば、999)にセットされ、遊技が行われる毎に遊技回数カウント値が一定値ずつ(例えば、1ずつ)デクリメント更新されていく。
そして遊技における内部抽選でビッグボーナス(BB1あるいはBB2)が当選すると、図8(B)のA1に示すように、ビット0が「0」にクリアされるとともに、ビット1が「1」に設定されることにより、演出状態フラグの設定状態がBB当選演出状態となる。BB当選演出状態では、ビッグボーナスの当選を示唆する演出や、内部抽選で当選したビッグボーナスの種類を報知する演出などが行われる。
次に、内部抽選で当選したビッグボーナス(BB1あるいはBB2)が入賞すると、図8(B)のA2に示すように、ビット1が「0」にクリアされるとともに、ビット2が「1」に設定されることにより、演出状態フラグの設定状態がBB演出状態となる。BB演出状態では、ボーナス遊技を盛り上げるべく、ビッグボーナス状態(BB1状態あるいはBB2状態)でしか見ることができない演出画像を液晶ディスプレイLCDに表示させたり、ビッグボーナス状態でしか聴くことができないBGMをスピーカSPから出力させたりする演出を行う。
そしてビッグボーナス状態(BB1状態あるいはBB2状態)における予め定められた終了条件が成立して、ビッグボーナス状態が終了すると、図8(B)のA2に示すように、ビット2が「0」にクリアされるとともに、ビット0が「1」に設定されることにより、演出状態フラグの設定状態が通常演出状態に復帰する。なお本実施の形態では、演出状態フラグの設定状態が通常演出状態に変更される契機において遊技回数カウント値を初期値(例えば、999)にリセットする。
一方、演出状態フラグの設定状態が通常演出状態である遊技において、遊技毎にデクリメント更新されている遊技回数カウント値が所定値(例えば、0)に達すると、図8(B)のA4に示すように、ビット0が「0」にクリアされるとともに、ビット3が「1」に設定されることにより、演出状態フラグの設定状態がAT状態となる。なお演出状態フラグの設定状態がAT状態である遊技において、内部抽選でビッグボーナス(BB1あるいはBB2)が当選すると、図8(B)のA5に示すように、ビット3が「0」にクリアされるとともに、ビット1が「1」に設定されることにより、演出状態フラグの設定状態がBB当選演出状態となる。
そして本実施の形態では、内部抽選での役の当選確率を決定づける設定値の変更態様に伴って演出状態フラグの設定状態を初期化するか否かを選択できるように制御する手法を採用している。
具体的には、図9(A)に示すように、遊技機に電力が供給されていない電源断状態において、設定変更スイッチSSをオン状態にしてから電源スイッチESを作動させると、遊技機が起動されるとともに、設定変更許可状態に設定される。ここで設定値記憶手段197Aに記憶されている設定値は、「設定3」であったとする。
本実施形態の遊技機では、設定変更許可状態に設定されると、記憶手段190の空き領域に設定変更作業領域197Bを確保して、設定値記憶手段197Aに記憶されている設定値をコピーする。そして、設定変更許可状態においてリセットスイッチRSが作動する毎に設定変更作業領域197Bに記憶されている設定値が、設定1→設定2→・・・→設定6→設定1→・・・という順序で循環的に変動する。図9(A)に示す例では、リセットスイッチRSが2回作動することによって設定変更作業領域197Bに記憶されている設定値が「設定3」から「設定5」へ変動している。そして設定変更許可状態においてスタートレバーSLが押下されることによりスタートスイッチ230が作動すると設定値が「設定5」に確定されて、スタートスイッチ230の作動時点における設定変更作業領域197Bに記憶されている設定値が、設定値記憶手段197Aに上書きされる。
ここで本実施の形態では、設定変更許可状態でのスタートレバーSLの押下時において、設定値記憶手段197Aに記憶されている設定値と、設定変更作業領域197Bに記憶されている設定値とを比較し、設定値が同一であった場合には演出状態フラグを通常演出状態にリセットする手法を採用している。このため、図9(A)に示す例では、設定値記憶手段197Aに記憶されている設定値と、設定変更作業領域197Bに記憶されている設定値とが同一でないと判断されて、演出状態フラグの設定状態は維持される。
一方、図9(B)に示すように、設定変更許可状態において、設定値記憶手段197Aに記憶されている設定値と、設定変更作業領域197Bに記憶されている設定値とが同一のままスタートレバーSLが押下されてスタートスイッチ230が作動すると、本実施の形態では、演出状態フラグの設定状態が通常演出状態にリセットされる。すなわち図8(A)に示す8ビットデータの各ビットを全て「0」にクリアしてから、ビット0を「1」に設定することにより、演出状態フラグの設定状態を通常演出状態にリセットする。
さらに本実施の形態では、演出状態フラグの設定状態が通常演出状態にリセットされる契機において、遊技回数記憶手段198に記憶されている遊技回数カウント値を初期値にリセットする手法を採用している。このため、図9(A)に示す例では、遊技回数カウント値が維持されるのに対して、図9(B)に示す例では、遊技回数カウント値が初期値(例えば、999)にリセットされる。なお本実施形態の制御手法では、演出状態フラグの設定状態が通常演出状態にリセットされる契機において、遊技回数カウント値を初期値にリセットするため、図9(C)に示すように、演出状態フラグの設定状態が通常演出状態にリセットされる以前から演出状態フラグの設定状態が通常演出状態であった場合にも、遊技回数カウント値は初期値にリセットされる。
以上に述べた本実施形態の手法によれば、設定変更許可条件の成立時点において設定値記憶手段197Aに記憶されている設定値と、設定確定条件の成立時点において確定された設定変更作業領域197Bに記憶されている設定値と比較結果が同一であるというリセット条件を満たしていることに基づいて、演出状態フラグの設定状態を通常演出状態にリセットするため、演出状態フラグの設定状態を初期化するための専用の操作を省略することができるようになる。すなわち本実施形態の手法によれば、既に設定値記憶手段197Aに記憶されている設定値との関係を考慮して設定値を変更していくことによって、演出状態フラグの設定状態を初期化することができるため、様々な演出状態で遊技機の稼働を開始させることができるようになる。例えば、設定値の変更作業を行わなければ、設定値および演出状態フラグの設定状態が維持することができる。また例えば、設定値の変更作業において、設定値を変更した場合には、演出状態フラグの設定状態を維持したまま設定値のみを変更することができる。また例えば、設定変更作業において設定値を変更せずに同一の設定値を設定するようにすれば、設定値を維持したまま演出状態フラグの設定状態を初期化することができる。また例えば、設定変更作業において設定値を変更してから、一旦電源をオフにして設定変更許可状態となるように再度遊技機を起動して同一の設定値を設定するようにすれば、設定値を変更しつつ、演出状態フラグの設定状態を初期化することができる。このように本実施形態の制御手法によれば、設定変更作業において演出状態フラグの設定状態を初期化するか否かを選択できるため、演出状態の管理を簡便化して遊技機のインターフェース環境を改善することができる。
また本実施形態の制御手法によれば、演出状態フラグの設定状態が通常演出状態にリセットされる契機おいて、AT状態の設定契機に関わる遊技回数カウント値を初期値にリセットするようにしたため、遊技回数カウント値を初期値にリセットするための専用の操作を省略することができるようになり遊技機のインターフェース環境をさらに改善することができる。
続いて、図10を参照しながら、本実施形態の遊技機において実行される処理の例について説明する。なお図10(A)は、設定変更手段105が実行する処理を示しており、図10(B)は、演出制御手段180が実行する処理を示している。
まず設定変更手段105は、遊技機が設定変更許可状態で起動されたか否かを判定し(ステップS100)、遊技機が設定変更許可状態である場合には(ステップS100でY)、リセットスイッチRSが作動すると(ステップS101でY)、設定変更作業領域197Bに記憶されている設定値を1段階シフトする(ステップS102)。本実施の形態では、スタートスイッチ230が作動するまでリセットスイッチRSが作動する毎に設定変更作業領域197Bに記憶されている設定値を1段階ずつ循環的にシフトさせる。
そしてスタートスイッチ230が作動すると(ステップS103でY)、設定値比較手段106が、設定値記憶手段197Aに記憶されている設定値と、設定変更作業領域197Bに記憶されている設定値とを比較し、比較結果を記憶手段190に一時保存する(ステップS104)。
最終的には、設定変更作業領域197Bに記憶されている設定値を、設定値記憶手段197Aに記憶させることによって、設定値を更新して設定変更許可状態を終了させる。(ステップ105)。
これに対して、演出制御手段180では、遊技機が設定変更許可状態に設定されている場合には(ステップS200でY)、記憶手段190に一時保存されたステップS104で実行された設定値の比較結果を取得し(ステップS201)、設定値記憶手段197Aに記憶されている設定値と、設定変更作業領域197Bに記憶されている設定値とが同一であったか否かをチェックする(ステップS202)。
このとき設定値が同一であった場合には(ステップS202でY)、演出状態フラグ設定手段181が、演出状態フラグの設定状態を通常演出状態にリセットするとともに(ステップS203)、遊技回数カウント手段183が、遊技回数カウント値を初期値にリセットする(ステップS204)。一方、設定値が異なっていた場合には(ステップS202でN)、ステップS203およびステップS204の処理をバイパスして、演出状態フラグの設定状態および遊技回数カウント値を維持したまま一連の処理を終了する。
3.変形例
本発明は、上記の実施形態で説明したものに限らず、種々の変形実施が可能であり、以下に変形例を紹介する。なお、上記実施形態や、以下において変形例として説明する各種の手法は、本発明を実現する制御手法として適宜組み合わせて採用することができる。
上記実施形態では、設定変更許可条件の成立時点において設定値記憶手段197Aに記憶されている設定値と、設定確定条件の成立時点において確定された設定変更作業領域197Bに記憶されている設定値とが同一であることに基づいて、演出状態フラグの設定状態を通常演出状態にリセットする場合を例にとり説明したが、設定値が変更された場合に、設定変更許可条件の成立時点において設定値記憶手段197Aに記憶されている設定値と、設定確定条件の成立時点において確定された設定変更作業領域197Bに記憶されている設定値とが、所定段階以上離れていることをリセット条件として演出状態フラグの設定状態を通常演出状態にリセットするようにしてもよい。例えば、変更前後の設定値同士が2段階離れていることをリセット条件とすると、設定値が「設定3」から「設定4」に変更された場合には、演出状態フラグの設定状態が維持されるが、設定値が「設定3」から「設定5」に変更された場合には、演出状態フラグの設定状態が通常演出状態にリセットされる。なお、変更前後の設定値が3段階離れていることをリセット条件とするなど、リセット条件は上記の例に限らず任意に定めることができる。
また上記実施形態では、設定変更許可状態において記憶手段190の空き領域に設定変更作業領域197Bを確保して、スターとスイッチ230の作動に伴って設定値記憶手段197Aの設定値を書き換えて、設定値を変更する場合を例にとり説明をしたが、予め固定的に2つ以上の設定値記憶手段が設けられていてもよい。
例えば、図11に示す構成では、設定値を記憶する手段として第1設定値記憶手段197Cと第2設定値記憶手段197Dとを設けている。そして、この例では、設定変更許可状態で遊技機が起動されるたびに、第1設定値記憶手段197Cと第2設定値記憶手段197Dとを、交互に設定値の書き換え対象として有効化することによって、上記実施形態の場合と同様に設定値の変更が行うことができるようになっている。また図11に示す構成では、演出制御手段180が、設定値比較手段184を含み、設定値比較手段184は、設定確定条件の成立時点において第1設定値記憶手段197Cに記憶されている設定値と第2設定値記憶手段197Dに記憶されている設定値とを比較する処理を行う。なお設定値の比較結果は、記憶手段190の図示しない記憶領域(比較結果記憶領域)に一時記憶される。
続いて図12を参照しながら、本変形例での制御手法を具体的に説明する。
まず、図12(A)に示すように、遊技機に電力が供給されていない電源断状態において、設定変更スイッチSSをオン状態にしてから電源スイッチESを作動させると、遊技機が起動されるとともに、設定変更許可状態に設定される。ここで第1設定値記憶手段197Cに記憶されている設定値は「設定2」であったとし、第2設定値記憶手段197Dに記憶されている設定値は「設定3」であったとする。また電源断以前においては、第1設定値記憶手段197Cおよび第2設定値記憶手段197Dのうち第2設定値記憶手段197Dが有効化されており、遊技における内部抽選では第2設定値記憶手段197Dに記憶されている設定値に対応する抽選テーブルを参照していたものとする。
本例の遊技機では、設定変更許可状態に設定されると、第1設定値記憶手段197Cが有効化されるとともに、第2設定値記憶手段197Dが無効化され、第2設定値記憶手段197Dに記憶されている設定値が第1設定値記憶手段197Cにコピーされる。そして、設定変更許可状態においてリセットスイッチRSが作動する毎に第1設定値記憶手段197Cに記憶されている設定値が、循環的に変動する。図12(A)に示す例では、リセットスイッチRSが2回作動することによって第1設定値記憶手段197Cに記憶されている設定値が「設定3」から「設定5」へ変動している。そして設定変更許可状態においてスタートレバーSLが押下されることによりスタートスイッチ230が作動すると設定値が「設定5」に確定される。
ここで本例では、設定変更許可状態でのスタートレバーSLの押下時において、第1設定値記憶手段197Cに記憶されている設定値と、第2設定値記憶手段197Dに記憶されている設定値とを比較し、設定値が同一であった場合には演出状態フラグを通常演出状態にリセットする。このため、図12(A)に示す例では、第1設定値記憶手段197Cに記憶されている設定値と、第2設定値記憶手段197Dに記憶されている設定値とが同一でないと判断されて、演出状態フラグの設定状態は維持される。
一方、図12(B)に示すように、設定変更許可状態において、第1設定値記憶手段197Cに記憶されている設定値と、第2設定値記憶手段197Dに記憶されている設定値とが同一のままスタートレバーSLが押下されてスタートスイッチ230が作動すると、演出状態フラグの設定状態が通常演出状態にリセットされる。
また本例においても、上記実施形態の場合と同様に、演出状態フラグの設定状態が通常演出状態にリセットされる契機において、遊技回数記憶手段198に記憶されている遊技回数カウント値を初期値にリセットする。このため、図12(A)に示す例では、遊技回数カウント値が維持されるのに対して、図12(B)に示す例では、遊技回数カウント値が初期値(例えば、999)にリセットされる。なお図12(C)に示すように、演出状態フラグの設定状態が通常演出状態にリセットされる以前から演出状態フラグの設定状態が通常演出状態であった場合にも、遊技回数カウント値は初期値にリセットされる。
続いて、図13を参照しながら、図11および図12に示した変形例における処理の例を説明する。なお図13(A)は、設定変更手段105が実行する処理を示しており、図13(B)は、演出制御手段180が実行する処理を示している。
まず設定変更手段105は、遊技機が設定変更許可状態で起動されたか否かを判定し(ステップS110)、遊技機が設定変更許可状態である場合には(ステップS110でY)、リセットスイッチRSが作動すると(ステップS111でY)、第1設定値記憶手段197Cおよび第2設定値記憶手段197Dのうち有効な設定値記憶手段に記憶されている設定値を1段階シフトする(ステップS112)。そしてスタートスイッチ230が作動するまでリセットスイッチRSが作動する毎に有効な設定値記憶手段に記憶されている設定値を1段階ずつ循環的にシフトさせる。そしてスタートスイッチ230が作動すると(ステップS113でY)、設定変更許可状態を終了させる。
これに対して、演出制御手段180では、遊技機が設定変更許可状態に設定されている場合には(ステップS210でY)、設定値比較手段184が、第1設定値記憶手段197Cに記憶されている設定値および第2設定値記憶手段197Dに記憶されている設定値を取得し(ステップS211)、第1設定値記憶手段197Cに記憶されている設定値と、第2設定値記憶手段197Dに記憶されている設定値とを比較して、各設定値が同一であったか否かをチェックする(ステップS212、ステップS213)。
このとき設定値が同一であった場合には(ステップS213でY)、演出状態フラグ設定手段181が、演出状態フラグの設定状態を通常演出状態にリセットするとともに(ステップS214)、遊技回数カウント手段183が、遊技回数カウント値を初期値にリセットする(ステップS215)。一方、設定値が異なっていた場合には(ステップS213でN)、ステップS214およびステップS215の処理をバイパスして、演出状態フラグの設定状態および遊技回数カウント値を維持したまま一連の処理を終了する。