JP4847170B2 - 極低温地向け燃料組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、北極、南極等の極低温地域での暖房、発電用途及び自動車、雪上車、船舶、ヘリコプター等移動源用途に用いられる燃料組成物に関するものであり、より詳しくは優れた低温流動性と燃料フレキシビリティさ、環境対応性能を同時に有する極低温地向け燃料組成物に関するものである。
現行のJIS規格においては日本国内での製品性能を前提として規定しているため、最も低い気温に対応できる規格としてはディーゼルエンジン用としては特3号グレードの軽油(流動点−30℃以下)、暖房用としては灯油がこれに該当する。しかしながら、これらの燃料では極めて低温な地域、例として中国黒竜江省内陸部やロシアシベリア地域、米国アラスカ地域、北極圏及び南極大陸等では流動性が失われてしまう可能性が大きい。また、特にこのような地域では供給路の確保の問題から用途別に燃料を複数用意することは困難であり、1種類の燃料で複数の用途に適用できるだけの燃料としてのフレキシビリティが同時に求められている。さらに、最近は排出ガス規制等による制限のない地域においても環境対応が求められており、環境に優しい燃料を適用させることが社会要請として一般化しつつある。
極低温地向け燃料として、例えば特許文献1には脱硫脱ロウ基材を主として配合したディーゼル軽油組成物が開示されている。本文献によればディーゼルエンジン用途として優れた低温性能と燃費、加速性能を両立できると記載されているが、本文献に示されたディーゼル軽油組成物は脱ロウにより低温流動性阻害要因である直鎖飽和炭化水素化合物を主として分解して側鎖を有する飽和炭化水素化合物に化学変換させた基材を主としているため、重質でありかつ原料油中の芳香族分が多く残留することによる排ガス性能に対する懸念を継続して有している。さらには、芳香族分を多く含有しかつ直鎖飽和炭化水素化合物が少ない燃料ではセタン価が低くなるため、着火性能が安定しなくなる問題も有している。以上のことから、このような燃料では環境対応燃料としては不適であるといえる。また、該ディーゼル軽油組成物では1種類の燃料で複数の用途に適用できるだけの燃料としてのフレキシビリティに欠けており、暖房用燃料としては不向きである。さらに、一般にこのような極低温地域における燃料は使用するたびに随時任意に補給できるような状況にないため、極低温下での比較的長期な保管を強いられる場合が多く、その期間において燃料の諸性能が悪化することが決してあってはならない。
すなわち、極低温地域における低温流動性と複数の用途に対応できるフレキシビリティさ並びに環境対応型燃料としての性能を全て満たすこと、かつ極低温下での燃料性能を保持できること、これらの要件を高水準で同時に達成できる高品質の燃料を設計することは非常に困難であり、これ以外の燃料油として求められている諸性能を十分満たし、また現実的な製造方法の検討を踏まえた例、知見は存在していない。
特許第3729211号公報
本発明は、かかる実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、極低温地域における低温流動性と複数の用途に対応できるフレキシビリティさ並びに環境対応型燃料としての性能を全て満足させた極低温地向け燃料組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、初留点が140℃以上200℃以下、蒸留性状の90容量%留出温度が200℃以上300℃以下、芳香族含有量が20容量%以下、直鎖飽和炭化水素含有量が25質量%以上、炭素数10以上15以下の直鎖飽和炭化水素含有量が20質量%以上、硫黄含有量が300質量ppm以下である炭化水素混合物Aを原料油として、工程(1):炭化水素混合物Aを反応温度250℃以上310℃以下、水素圧力5MPa以上10MPa以下、LHSV0.5h−1以上3.0h−1以下、水素/炭化水素容量比が0.15以上0.6以下の条件で、Ni−W、Ni−Mo、Co−Mo、Co−W、またはNi−Co−Moのいずれかを含有する触媒により水素化脱硫処理して炭化水素混合物Bを得る工程、工程(2):炭化水素混合物Bの軽質な部分を1容量%以上40容量%以下の範囲で除去して炭化水素混合物Cを得る工程、工程(3):炭化水素混合物Cを反応温度150℃以上250℃以下、圧力1MPa以上5MPa以下の条件下でゼオライトにより直鎖飽和炭化水素を10容量%以上除去した炭化水素混合物Dを得る工程、を経て得られる炭化水素混合物Dを全燃料組成物に対して80容量%以上含有し、セーボルト色+28以上、15℃における密度が740kg/m以上840kg/m以下、蒸留性状の10%留出温度が170℃以上220℃以下、90%留出温度が220℃以上300℃以下、セタン指数45以上、セタン価48以上、引火点45℃以上、反応試験の結果が中性、銅板腐食が1以下、加速酸化試験後の過酸化物価が10質量ppm以下、流動点−60℃以下、硫黄分10質量ppm以下、30℃における動粘度が1.6mm/s以上5.0mm/s以下、−30℃における動粘度が30mm/s以下、水分含有量が0.01容量%以下、10%残油の残留炭素分が0.1質量%以下であることを特徴とする極低温地向け燃料組成物に関する。
また、本発明は、初留点が140℃以上200℃以下、蒸留性状の90容量%留出温度が200以上300℃以下、芳香族含有量が20容量%以下、直鎖飽和炭化水素含有量が25質量%以上、炭素数10以上15以下の直鎖飽和炭化水素含有量が20質量%以上、硫黄含有量が300質量ppm以下である炭化水素混合物Aを原料油として、工程(1):炭化水素混合物Aを反応温度250℃以上310℃以下、水素圧力5MPa以上10MPa以下、LHSV0.5h−1以上3.0h−1以下、水素/炭化水素容量比が0.15以上0.6以下の条件で、Ni−W、Ni−Mo、Co−Mo、Co−W、またはNi−Co−Moのいずれかを含有する触媒により水素化脱硫処理して炭化水素混合物Bを得る工程、工程(2):炭化水素混合物Bの軽質な部分を1容量%以上40容量%以下の範囲で除去して炭化水素混合物Cを得る工程、工程(3):炭化水素混合物Cを反応温度150℃以上250℃以下、圧力1MPa以上5MPa以下の条件下でゼオライトにより直鎖飽和炭化水素を10容量%以上除去した炭化水素混合物Dを得る工程、を経て得られる炭化水素混合物Dを全燃料組成物に対して80〜100容量%、炭素数16以上20以下の直鎖飽和炭化水素化合物含有量の総和が10質量%以下であり、かつ炭素数21以上25以下の直鎖飽和炭化水素化合物含有量の総和が2質量%以下であるFT合成基材を0〜20容量%含有し、セーボルト色+28以上、15℃における密度が740kg/m以上840kg/m以下、蒸留性状の10%留出温度が170℃以上220℃以下、90%留出温度が220℃以上300℃以下、セタン指数45以上、セタン価48以上、引火点45℃以上、反応試験の結果が中性、銅板腐食が1以下、加速酸化試験後の過酸化物価が10質量ppm以下、流動点−60℃以下、硫黄分10質量ppm以下、30℃における動粘度が1.6mm/s以上5.0mm/s以下、−30℃における動粘度が30mm/s以下、水分含有量が0.01容量%以下、10%残油の残留炭素分が0.1質量%以下であることを特徴とする極低温地向け燃料組成物に関する。
本発明によれば、上記の製造方法、留分規定等により製造された極低温地向け燃料組成物を使用することにより、従来の燃料組成物では実現が困難であった極低温地域における低温流動性と複数の用途に対応できるフレキシビリティさ並びに環境対応型燃料としての性能を全て満足させた極低温地向け燃料組成物を提供することができる。
なお、本燃料組成物を供給することで作動する機器類、例えば移動用車両、雪上車、船舶、航空機、ヘリコプター、工作用車両、暖房用機器、発電用機器等の種類、用途に対しては、本燃料組成物は何ら制約を加えるものではなく、それらに用いられている動力源及び熱源、例えばディーゼルエンジン、ガスタービン、燃料電池、ジェットエンジン、バーナー、コンロ等の種類に関しても何ら制約を加えるものではない。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の極低温地向け燃料組成物の原料油となる炭化水素混合物Aは、初留点が140℃以上200℃以下、蒸留性状の90容量%留出温度が200℃以上300℃以下、芳香族含有量が20容量%以下、直鎖飽和炭化水素含有量が25質量%以上、炭素数10以上15以下の直鎖飽和炭化水素含有量が20質量%以上、硫黄含有量が300質量ppm以下であることが必要である。好ましくは、初留点が145℃以上190℃以下、蒸留性状の90容量%留出温度が220℃以上290℃以下、芳香族含有量が17容量%以下、直鎖飽和炭化水素含有量が28質量%以上、炭素数10以上15以下の直鎖飽和炭化水素含有量が23質量%以上、硫黄含有量が100質量ppm以下であり、さらに好ましくは、初留点が150℃以上180℃以下、蒸留性状の90容量%留出温度が230℃以上285℃以下、芳香族含有量が15容量%以下、直鎖飽和炭化水素含有量が30質量%以上、炭素数10以上15以下の直鎖飽和炭化水素含有量が25質量%以上、硫黄含有量が50質量ppm以下である。炭化水素混合物Aの性状が上述の範囲を外れると、後段の処理における反応効率が低下し本発明の極低温地向け燃料組成物を得にくくなるため好ましくない。
ここでいう、初留点、90容量%留出温度は、JIS K 2254「石油製品−蒸留試験方法−常圧法蒸留試験方法」により、芳香族含有量は、JIS K 2536「石油製品−炭化水素タイプ試験方法」の蛍光指示薬吸着法により測定される値、直鎖飽和炭化水素含有量(ノルマルパラフィン分)、炭素数10〜15の直鎖飽和炭化水素含有量(C10−15のnP分)は、GC−FIDを用いて測定される値(質量%)である。すなわち、カラムにはメチルシリコンのキャピラリーカラム(ULTRAALLOY−1)、キャリアガスにはヘリウムを、検出器には水素イオン検出器(FID)を用い、カラム長30m、キャリアガス流量1.0mL/min、分割比1:79、試料注入温度360℃、カラム昇温条件140℃→(8℃/min)→355℃、検出器温度360℃の条件で測定された値である。
硫黄含有量は、JIS K 2541「原油及び石油製品−硫黄分試験方法」により測定される値である。
炭化水素混合物Aは上述の所定の性状を有する以外に特に限定は無いが、石油系基材の他に、環境対応型燃料としての排出ガス性能向上の理由から、FT合成基材、動植物油由来の処理油であることが好ましい。
石油系基材とは、原油を処理することにより得られる炭化水素基材であり、一般には常圧蒸留装置から得られる直留基材、常圧蒸留装置から得られる直留重質油や残査油を減圧蒸留装置で処理して得られる減圧基材、減圧重質基材あるいは脱硫重油を接触分解または水素化分解して得られる接触分解基材または水素化分解基材、これらの石油系炭化水素を水素化精製して得られる水素化精製基材若しくは水素化脱硫基材等が挙げられる。また、原油以外に非在来型石油資源と称される資源、例えばオイルシェル、オイルサンド、オリノコタール等に適切な処理を施し、上述の基材と同等の性能にまで仕上げた基材も石油系基材に準じて使用することができる。
FT合成基材とは、水素及び一酸化炭素を主成分とする混合ガス(合成ガスと称する場合もある)に対してフィッシャートロプシュ(FT)反応を適用させて得られるナフサ、灯油、軽油相当の液体留分、およびこれらを水素化精製、水素化分解することによって得られる炭化水素混合物、およびFT反応により得られたFTワックスを精製し、これを水素化精製、水素化分解することにより得られる炭化水素混合物からなる基材のことを示す。
FT合成基材の原料となる混合ガスは、炭素を含有する物質を、酸素および/または水および/または二酸化炭素を酸化剤に用いて酸化し、更に必要に応じて水を用いたシフト反応により所定の水素および一酸化炭素濃度に調整して得られる。
炭素を含有する物質としては、天然ガス、石油液化ガス、メタンガス等の常温で気体となっている炭化水素からなるガス成分や、石油アスファルト、バイオマス、石炭、建材やゴミ等の廃棄物、汚泥、及び通常の方法では処理しがたい重質な原油、非在来型石油資源等を高温に晒すことで得られる混合ガスが一般的であるが、水素及び一酸化炭素を主成分とする混合ガスが得られる限りにおいては、本発明はその原料を限定するものではない。
フィッシャートロプシュ反応には金属触媒が必要である。好ましくは周期律表第8族の金属、例えば、コバルト、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、ニッケル、鉄等、更に好ましくは第8族第4周期の金属を活性触媒成分として利用する方法である。また、これらの金属を適量混合した金属群を用いることもできる。これらの活性金属はシリカやアルミナ、チタニア、シリカアルミナなどの担体上に担持して得られる触媒の形態で使用することが一般的である。また、これら触媒に上記活性金属に加えて第2金属を組合せて使用することにより、触媒性能を向上させることもできる。第2金属としては、ナトリウム、リチウム、マグネシウムなどのアルカリ金属やアルカリ土類金属の他に、ジルコニウム、ハフニウム、チタニウムなどが挙げられ、一酸化炭素の転化率向上やワックス生成量の指標となる連鎖成長確率(α)の増加など、目的に応じて適宜使用されている。
フィッシャートロプシュ反応は、混合ガスを原料として、液体留分およびFTワックスを生成する合成法である。この合成法を効率的に行うために、一般には混合ガス中の水素と一酸化炭素の比を制御することが好ましい。一酸化炭素に対する水素のモル混合比(水素/一酸化炭素)は1.2以上であることが好ましく、1.5以上であることがより好ましく、1.8以上であることが更により好ましい。また、この比率は3以下であることが好ましく、2.6以下であることがより好ましく、2.2以下であることが更により好ましい。
上記触媒を用いてフィッシャートロプシュ反応を行う場合の反応温度は、180℃以上320℃以下であることが好ましく、200℃以上300℃以下であることがより好ましい。反応温度が180℃未満では一酸化炭素がほとんど反応せず、炭化水素収率が低い傾向にある。また、反応温度が320℃を超えると、メタンなどのガス生成量が増加し、液体留分およびFTワックスの生成効率が低下してしまう。
触媒に対するガス空間速度に特に制限は無いが、500h−1以上4000h−1以下が好ましく、1000h−1以上3000h−1以下がより好ましい。ガス空間速度が500h−1未満では液体燃料の生産性が低下する傾向にあり、また4000h−1を超えると反応温度を高くせざるを得なくなると共にガス生成が大きくなり、目的物の収率が低下してしまう。
反応圧力(一酸化炭素と水素からなる合成ガスの分圧)は特に制限が無いが、0.5MPa以上7MPa以下が好ましく、2MPa以上4MPa以下がより好ましい。反応圧力が0.5MPa未満では液体燃料の収率が低下する傾向にあり、また7MPaを超えると設備投資額が大きくなる傾向にあり、非経済的になる。
FT合成基材は上記FT反応により生成された液体留分およびFTワックスを任意の方法で水素化精製または水素化分解し、目的にあった蒸留性状、組成等に調整することで得られる。水素化精製及び水素化分解は目的に即して選択すればよく、どちらか一方のみまたは両方法の組み合わせ等の選択も本発明の燃料組成物を製造しうる範囲において何ら限定されるものではない。
水素化精製に用いる触媒は水素化活性金属を多孔質担体に担持したものが一般的であるが、同様の効果が得られる触媒であれば本発明はその形態を何ら限定するものではない。
多孔質担体としては無機酸化物が好ましく用いられる。具体的には、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ボリア、シリカ、ゼオライトなどが挙げられる。
ゼオライトは結晶性アルミノシリケートであり、フォージャサイト、ペンタシル、モルデナイトなどが挙げられ、好ましくはフォージャサイト、ベータ、モルデナイト、特に好ましくはY型、ベータ型が用いられる。なかでも、Y型は超安定化したものが好ましい。
活性金属としては以下に示す2つの種類(活性金属Aタイプおよび活性金属Bタイプ)が好ましく用いられる。
活性金属Aタイプは周期律表第8族金属から選ばれる少なくとも1種類の金属である。好ましくはRu,Rh,Ir,PdおよびPtから選ばれる少なくとも1種類であり、さらに好ましくはPdまたは/およびPtである。活性金属としてはこれらの金属を組み合わせたものでよく、例えば、Pt−Pd,Pt−Rh,Pt−Ru,Ir−Pd,Ir−Rh,Ir−Ru,Pt−Pd−Rh,Pt−Rh−Ru,Ir−Pd−Rh,Ir−Rh−Ruなどがある。これらの金属からなる貴金属系触媒を使う際には、水素気流下において予備還元処理を施した後に用いることができる。一般的には水素を含むガスを流通し、200℃以上の熱を所定の手順に従って与えることにより触媒上の活性金属が還元され、水素化活性を発現することになる。
また活性金属Bタイプとして、周期律表第6A族および第8族金属から選ばれる少なくとも一種類の金属を含有し、望ましくは第6A族および第8族から選択される二種類以上の金属を含有しているものも使用することができる。例えばCo−Mo,Ni−Mo,Ni−Co−Mo,Ni−Wが挙げられ、これらの金属からなる金属硫化物触媒を使う際には予備硫化工程を含む必要がある。
金属源としては一般的な無機塩、錯塩化合物を用いることができ、担持方法としては含浸法、イオン交換法など通常の水素化触媒で用いられる担持方法のいずれの方法も用いることができる。また、複数の金属を担持する場合には混合溶液を用いて同時に担持してもよく、または単独溶液を用いて逐次担持してもよい。金属溶液は水溶液でもよく有機溶剤を用いてもよい。
活性金属Aタイプからなる触媒を用いて水素化精製を行う場合の反応温度は、180℃以上400℃以下であることが好ましく、200℃以上370℃以下であることがより好ましく、250℃以上350℃以下であることが更に好ましく、280℃以上350℃以下が更により好ましい。水素化精製における反応温度が370℃を超えると、ナフサ留分へ分解する副反応が増えて中間留分の収率が極度に減少するため好ましくない。また、反応温度が270℃を下回ると、アルコール分が除去しきれずに残存するため好ましくない。
活性金属Bタイプからなる触媒を用いて水素化精製を行う場合の反応温度は、170℃以上320℃以下であることが好ましく、175℃以上300℃以下であることがより好ましく、180℃以上280℃以下であることが更に好ましい。水素化精製における反応温度が320℃を超えると、ナフサ留分へ分解する副反応が増えて中間留分の収率が極度に減少するため好ましくない。また、反応温度が170℃を下回ると、アルコール分が除去しきれずに残存するため好ましくない。
活性金属Aタイプからなる触媒を用いて水素化精製を行う場合の水素圧力は、0.5MPa以上12MPa以下であることが好ましく、1.0MPa以上5.0MPa以下であることがより好ましい。水素圧力は高いほど水素化反応が促進されるが、一般には経済的に最適点が存在する。
活性金属Bタイプからなる触媒を用いて水素化精製を行う場合の水素圧力は、2MPa以上10MPa以下であることが好ましく、2.5MPa以上8MPa以下であることがより好ましく、3MPa以上7MPa以下であることが更に好ましい。水素圧力は高いほど水素化反応が促進されるが、一般には経済的に最適点が存在する。
活性金属Aタイプからなる触媒を用いて水素化精製を行う場合の液空間速度(LHSV)は、0.1h−1以上10.0h−1以下であることが好ましく、0.3h−1以上3.5h−1以下であることがより好ましい。LHSVは低いほど反応に有利であるが、低すぎる場合には極めて大きな反応塔容積が必要となり過大な設備投資となるので経済的に好ましくない。
活性金属Bタイプからなる触媒を用いて水素化精製を行う場合の液空間速度(LHSV)は、0.1h−1以上2h−1以下であることが好ましく、0.2h−1以上1.5h−1以下であることがより好ましく、0.3h−1以上1.2h−1以下であることが更に好ましい。LHSVは低いほど反応に有利であるが、低すぎる場合には極めて大きな反応塔容積が必要となり過大な設備投資となるので経済的に好ましくない。
活性金属Aタイプからなる触媒を用いて水素化精製を行う場合の水素/油比は、50NL/L以上1000NL/L以下であることが好ましく、70NL/L以上800NL/L以下であることがより好ましい。水素/油比は高いほど水素化反応が促進されるが、一般には経済的に最適点が存在する。
活性金属Bタイプからなる触媒を用いて水素化精製を行う場合の水素/油比は、100NL/L以上800NL/L以下であることが好ましく、120NL/L以上600NL/L以下であることがより好ましく、150NL/L以上500NL/L以下であることが更に好ましい。水素/油比は高いほど水素化反応が促進されるが、一般には経済的に最適点が存在する。
水素化分解に用いる触媒は水素化活性金属を固体酸性質を有する担体に担持したものが一般的であるが、同様の効果が得られる触媒であれば本発明はその形態を何ら限定するものではない。
固体酸性質を有する担体にはアモルファス系と結晶系のゼオライトがある。具体的にはアモルファス系のシリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、シリカ−ジルコニア、シリカ−チタニアとゼオライトのフォージャサイト型、ベータ型、MFI型、モルデナイト型などがある。好ましくはフォージャサイト型、ベータ型、MFI型、モルデナイト型のゼオライト、より好ましくはY型、ベータ型である。Y型は超安定化したものが好ましい。
活性金属としては以下に示す2つの種類(活性金属Aタイプおよび活性金属Bタイプ)が好ましく用いられる。
活性金属Aタイプとしては主に周期律表第6A族および第8族金属から選ばれる少なくとも1種類の金属である。好ましくはNi、Co、Mo、Pt、PdおよびWから選ばれる少なくとも1種類の金属である。これらの金属からなる貴金属系触媒を使う際には、水素気流下において予備還元処理を施した後に用いることができる。一般的には水素を含むガスを流通し、200℃以上の熱を所定の手順に従って与えることにより触媒上の活性金属が還元され、水素化活性を発現することになる。
また活性金属Bタイプとしてはこれらの金属を組み合わせたものでよく、例えば、Pt−Pd、Co−Mo、Ni−Mo、Ni−W、Ni−Co−Moなどが挙げられる。また、これらの金属からなる触媒を使う際には、予備硫化したのち使用するのが好ましい。
金属源としては一般的な無機塩、錯塩化合物を用いることができ、担持方法としては含浸法、イオン交換法など通常の水素化触媒で用いられる担持方法のいずれの方法も用いることができる。また、複数の金属を担持する場合には混合溶液を用いて同時に担持してもよく、または単独溶液を用いて逐次担持してもよい。金属溶液は水溶液でもよく有機溶剤を用いてもよい。
活性金属Aタイプおよび活性金属Bタイプからなる触媒を用いて水素化分解を行う場合の反応温度は、200℃以上450℃以下であることが好ましく、250℃以上430℃以下であることがより好ましく、300℃以上400℃以下であることが更に好ましい。水素化分解における反応温度が370℃を超えると、ナフサ留分へ分解する副反応が増えて中間留分の収率が極度に減少するため好ましくない。一方、200℃未満の場合は触媒の活性が著しく低下するので好ましくない。
活性金属Aタイプおよび活性金属Bタイプからなる触媒を用いて水素化分解を行う場合の水素圧力は、1MPa以上20MPa以下であることが好ましく、4MPa以上16MPa以下であることがより好ましく、6MPa以上13MPa以下であることが更に好ましい。水素圧力は高いほど水素化反応が促進されるが、分解反応はむしろ進行が鈍化し反応温度の上昇で進行を調整する必要が生じるため、転じて触媒寿命の低下に繋がってしまう。そのため、一般に反応温度には経済的な最適点が存在する。
活性金属Aタイプからなる触媒を用いて水素化分解を行う場合の液空間速度(LHSV)は、0.1h−1以上10h−1以下であることが好ましく、0.3h−1以上3.5h―1以下であることがより好ましい。LHSVは低いほど反応に有利であるが、低すぎる場合には極めて大きな反応塔容積が必要となり過大な設備投資となるので経済的に好ましくない。
活性金属Bタイプからなる触媒を用いて水素化分解を行う場合の液空間速度(LHSV)は、0.1h−1以上2h−1以下であることが好ましく、0.2h−1以上1.7h―1以下であることがより好ましく、0.3h−1以上1.5h−1以下であることが更に好ましい。LHSVは低いほど反応に有利であるが、低すぎる場合には極めて大きな反応塔容積が必要となり過大な設備投資となるので経済的に好ましくない。
活性金属Aタイプからなる触媒を用いて水素化分解を行う場合の水素/油比は、50NL/L以上1000NL/L以下であることが好ましく、70NL/L以上800NL/L以下であることがより好ましく、400NL/L以上1500NL/L以下であることが更に好ましい。水素/油比は高いほど水素化反応が促進されるが、一般には経済的に最適点が存在する。
活性金属Bタイプからなる触媒を用いて水素化分解を行う場合の水素/油比は、150NL/L以上2000NL/L以下であることが好ましく、300NL/L以上1700NL/L以下であることがより好ましく、400NL/L以上1500NL/L以下であることが更に好ましい。水素/油比は高いほど水素化反応が促進されるが、一般には経済的に最適点が存在する。
水素化処理する装置はいかなる構成でもよく、反応塔は単独または複数を組み合わせてもよく、複数の反応塔の間に水素を追加注入してもよく、気液分離操作や硫化水素除去設備、水素化生成物を分留し、所望の留分を得るための蒸留塔を有していてもよい。
水素化処理装置の反応形式は、固定床方式をとりうる。水素は原料油に対して、向流または並流のいずれの形式をとることもでき、また、複数の反応塔を有し向流、並流を組み合わせた形式のものでもよい。一般的な形式としてはダウンフローであり、気液双並流形式がある。反応塔の中段には反応熱の除去、あるいは水素分圧を上げる目的で水素ガスをクエンチとして注入してもよい。
動植物由来の処理油とは、上述の石油系基材を得る際に適用する化学反応処理を動植物原料から産出、生成される油及び油脂に対して適用することで得られる炭化水素で構成された基材である。より具体的には、動植物油脂および動物油脂由来成分を含有した炭化水素留分を原料油として、周期律表第6A族および第8族から選ばれる少なくとも一種類以上の金属と酸性質を有する無機酸化物を含有する水素化分解触媒と水素加圧下で接触させることを特徴とする含炭化水素混合基材である。動植物由来の処理油の原料油としては、動植物油脂および動物油脂由来成分であることが必要である。本発明における動植物油脂および動植物油脂由来成分とは、天然もしくは人工的に生産、製造される動植物油脂および動植物油脂由来成分を示している。動物油脂および動物油の原料としては、牛脂、牛乳脂質(バター)、豚脂、羊脂、鯨油、魚油、肝油等、植物油脂および植物油原料としては、ココヤシ、パームヤシ、オリーブ、べにばな、菜種(菜の花)、米ぬか、ひまわり、綿実、とうもろこし、大豆、ごま、アマニ等の種子部及びその他の部分が挙げられるが、これ以外の油脂、油であっても使用に問題はない。これらの原料油に関してはその状態が固体、液体であることは問わないが、取り扱いの容易さおよび二酸化炭素吸収能や生産性の高さから植物油脂、植物油を原料とする方が好ましい。また、本発明においては、これらの動物油、植物油を民生用、産業用、食用等で使用した廃油も雑物等の除去工程を加えた後に原料とすることができる。
これらの原料中に含有されるグリセライド化合物の脂肪酸部分の代表的な組成としては、飽和脂肪酸と称する分子構造中に不飽和結合を有しない脂肪酸である酪酸(CCOOH)、カプロン酸(C11COOH)、カプリル酸(C15COOH)、カプリン酸(C19COOH)、ラウリン酸(C1123COOH)、ミリスチン酸(C1327COOH)、パルミチン酸(C1531COOH)、ステアリン酸(C1735COOH)、及び不飽和結合を1つもしくは複数有する不飽和脂肪酸であるオレイン酸(C1733COOH)、リノール酸(C1731COOH)、リノレン酸(C1729COOH)、リシノレン酸(C1732(OH)COOH)等が挙げられる。自然界の物質におけるこれら脂肪酸の炭化水素部は一般に直鎖であることが多いが、本発明において本発明で規定する性状を満たす限りで、側鎖を有する構造、すなわち異性体であっても使用することができる。また、不飽和脂肪酸における分子中の不飽和結合の位置も、本発明において本発明で規定する性状を満たす限りで、自然界で一般に存在確認されているものだけでなく、化学合成によって任意の位置に設定されたものも使用することができる。
上述の原料油(動植物油脂および動植物油脂由来成分)はこれらの脂肪酸を1種または複数種有しており、原料によってその有する脂肪酸類は異なっている。例えば、ココヤシ油はラウリン酸、ミリスチン酸等の飽和脂肪酸を比較的多く有しているが、大豆油はオレイン酸、リノール酸等の不飽和脂肪酸を多く有している。
また、原料油としては250℃以上の留分を含有していることが好ましく、300℃以上の留分を含有していることがより好ましく、360℃以上の留分を含有していることが更に好ましい。沸点が230℃以上の留分を含有していない場合には、製造時にガス分の生成が増加するため液生成物の収率が減少し、ライフサイクル二酸化炭素が増加する恐れがある。
また、動植物由来の処理油の原料油としては、動植物油脂および動植物油脂由来成分に石油系炭化水素留分を混合しているものを用いてもよい。この場合、石油系炭化水素留分の比率は原料油全体の容量に対して10〜99容量%が望ましく、30〜99容量%がより望ましく、60〜98容量%がさらにより望ましい。石油系炭化水素留分の比率が10容量%に満たない場合には、副生する水の処理に要する設備が必要となる可能性があり、石油系炭化水素留分の比率が99容量%を超える場合にはライフサイクル二酸化炭素削減の観点からは好ましくない。
原料油の水素化処理における水素化分解条件としては、水素圧力6〜20MPa、液空間速度(LHSV)0.1〜1.5h−1、水素/油比200〜2000NL/Lといった条件で行われることが望ましく、水素圧力8〜17MPa、液空間速度0.2〜1.1h−1、水素/油比300〜1800NL/Lといった条件がより望ましく、水素圧力10〜16MPa、液空間速度0.3〜0.9h−1、水素/油比350〜1600NL/Lといった条件がさらにより望ましい。これらの条件はいずれも反応活性を左右する因子であり、例えば、水素圧力および水素油比が前記下限値に満たない場合には反応性の低下や急速な活性低下を招く恐れがあり、水素圧力および水素油比が前記上限値を超える場合には圧縮機等の過大な設備投資を要する恐れがある。液空間速度は低いほど反応に有利な傾向にあるが、0.1h−1未満の場合は極めて大きな反応塔容積が必要となり過大な設備投資となる傾向にあり、他方、1.5h−1を超えている場合は反応が十分進行しなくなる傾向にある。
原料油である炭化水素混合物Aは、以下の工程(1)〜(3)にて処理される。
工程(1)においては、前記炭化水素組成物Aを、反応温度250℃以上310℃以下、水素圧力5MPa以上10MPa以下、LHSV0.5h−1以上3.0h−1以下、水素/炭化水素容量比(水素/油比)が0.15以上0.6以下の条件で、Ni−W、Ni−Mo、Co−Mo、Co−W、またはNi−Co−Moのいずれかを含有する触媒により水素化脱硫処理を行い、炭化水素混合物Bを得る。
水素化脱硫処理の反応温度は、250℃以上310℃以下であり、好ましくは280℃以上305℃以下である。反応温度が250℃未満であると十分な水素化脱硫反応速度が得られず、一方、310℃を超えると水素化脱硫反応が反応平衡の点で不十分となる。水素化脱硫処理における水素圧力は、5MPa以上10MPa以下であり、好ましくは7MPa以上9MPa以下である。水素化脱硫処理におけるLHSVは0.5h−1以上3.0h−1以下であり、好ましくは1h−1以上2h−1以下である。LHSVは低いほど反応に有利であるが、0.5h−1未満の場合には、極めて大きな反応塔容積が必要となる。また、水素/炭化水素容量比は、0.15以上0.6以下であり、好ましくは0.2以上0.4以下である。水素圧力が5MPa未満の場合、及び水素/炭化水素容量比が0.15未満の場合には、脱硫反応又は水素化反応の促進効果が不十分となる。また、水素圧力が10MPaを超える場合、及び水素/炭化水素容量比が0.6を超える場合には、装置コストが増大し非効率となってしまう。
水素化脱硫処理に用いる触媒は、触媒の活性金属としてNi−W、Ni−Mo、Co−Mo、Co−W、Ni−Co−Moのいずれかを含有することが必要である。多孔質担体としては無機酸化物が好ましく用いられる。具体的な無機酸化物としては、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ボリア、シリカ、あるいはゼオライトが挙げられ、このうちチタニア、ジルコニア、ボリア、シリカ、ゼオライトのうち少なくとも1種類とアルミナによって構成されているものが本発明において好適に用いられる。上述の活性金属の担持量は特に限定されないが、触媒質量に対し金属酸化物量合計で20質量%以上35質量%以下であることが望ましい。触媒は水素および硫黄化合物により予備硫化処理を施した後に用いるのが好ましい。一般的には水素および硫黄化合物を含むガスを流通し、200℃以上の熱を所定の手順に従って与えることにより触媒上の活性金属を予備硫化し、水素化および脱硫活性を発現することになる。
工程(2)では、工程(1)で得られた炭化水素混合物Bから軽質分(一般的には沸点200℃以下)をストリップ(除去)して炭化水素混合物Cを得る。ストリップ量は、水素化脱硫処理油を基準として、1容量%以上40容量%以下であり、好ましくは10容量%以上37容量%以下であり、より好ましくは20容量%以上35容量%以下である。ストリップを行わない場合、またはストリップ量が十分でない場合、後段の直鎖飽和炭化水素(ノルマルパラフィン)の除去装置の負荷が上がり、除去効率が低下する。また、ストリップ量が過大(40容量%超)な場合、ストリップ処理に要する時間が増加し、製造時のエネルギー消費量が増大してしまう。
工程(3)では、工程(2)で軽質分をストリップ(除去)して得られた炭化水素混合物Cを、温度150℃以上250℃以下、圧力1MPa以上5MPa以下の条件下でゼオライトにより直鎖飽和炭化水素を10容量%以上抽出除去して炭化水素混合物Dを得る。
直鎖飽和炭化水素の除去の反応温度は150℃以上250℃以下であり、好ましくは180℃以上200℃以下である。反応温度が150℃未満の場合、十分な直鎖飽和炭化水素の除去速度が得られない。一方、250℃を超えると、直鎖飽和炭化水素の除去効率が低下する。また、この時の圧力は、1MPa以上5MPa以下であり、好ましくは1.5MPa以上3MPa以下である。圧力が1MPa未満であると十分な直鎖飽和炭化水素の除去速度が得られない。一方、5MPaを超えると十分な直鎖飽和炭化水素の除去速度が得られない。直鎖飽和炭化水素の除去に使用するゼオライトは特には限定されないが一般的にはA型ゼオライトが使用され、その中でもモレキュラーシーブ5Aが好ましい。以上の条件で、直鎖飽和炭化水素を10容量%以上、好ましくは20質量%以上抽出除去することが必要である。
本発明の極低温地向け燃料組成物は、上記工程(1)〜(3)を経て得られる炭化水素混合物Dを全燃料組成物に対して80容量%以上含有し、以下の特定の性状を有することが必要である。
また、本発明の極低温地向け燃料組成物は、上記工程(1)〜(3)を経て得られる炭化水素混合物Dを全燃料組成物に対して80〜100容量%、炭素数16以上20以下の直鎖飽和炭化水素化合物含有量の総和が10質量%以下であり、かつ炭素数21以上25以下の直鎖飽和炭化水素化合物含有量の総和が2質量%以下であることを特徴とするFT合成基材を0〜20容量%含有し、以下の特定の性状を有することが好ましい。
本発明の極低温地向け燃料組成物は、低温流動性と環境対応型燃料に必要とされる良好な排出ガス性能を確保する観点から、上記工程(1)〜(3)を経て得られる炭化水素混合物Dを全燃料組成物に対して80〜100容量%含有し、更に特定の性状を有するFT合成基材を全燃料組成物に対して0容量%を超え20容量%以下配合することができる。配合できるFT合成基材は、炭素数16以上20以下の直鎖飽和炭化水素化合物含有量の総和が10質量%以下であり、かつ炭素数21以上25以下の直鎖飽和炭化水素化合物含有量の総和が2質量%以下であることを特徴とするFT合成基材であり、より好ましくは炭素数16以上20以下の直鎖飽和炭化水素化合物含有量の総和が8質量%以下であり、かつ炭素数21以上25以下の直鎖飽和炭化水素化合物含有量の総和が1.8質量%以下であり、さらに好ましくは炭素数16以上20以下の直鎖飽和炭化水素化合物含有量の総和が6質量%以下であり、かつ炭素数21以上25以下の直鎖飽和炭化水素化合物含有量の総和が1.5質量%以下であるFT合成基材であり、さらにより好ましくは炭素数16以上20以下の直鎖飽和炭化水素化合物含有量の総和が5質量%以下であり、かつ炭素数21以上25以下の直鎖飽和炭化水素化合物含有量の総和が1質量%以下であるFT合成基材である。この範囲以外のFT合成基材及び他の基材を配合すると、低温流動性と環境対応性能の両立が困難となる。ここでいうFT合成基材とは前述の製法で得られる炭化水素基材であることを指す。なお、炭素数16以上20以下(C16−C20のnP)および炭素数21以上25以下(C21−C25のnP)の直鎖飽和炭化水素化合物含有量(質量%)は、前述のGC−FIDを用いて測定することができる。
本発明の極低温地向け燃料組成物は、セーボルト色+28以上、15℃における密度が740kg/m以上840kg/m以下、蒸留性状の10%留出温度が170℃以上220℃以下、90%留出温度が220℃以上300℃以下、セタン指数45以上、セタン価48以上、引火点45℃以上、反応試験の結果が中性、銅板腐食が1以下、加速酸化試験後の過酸化物価が10質量ppm以下、流動点−60℃以下、硫黄分10質量ppm以下、30℃における動粘度が1.6mm/s以上5.0mm/s以下、−30℃における動粘度が30mm/s以下、水分含有量が0.01容量%以下、10%残油の残留炭素分が0.1質量%以下であることが必要である。
本発明の極低温地向け燃料組成物のセーボルト色は上述の通り、+28以上が必要であり、酸化安定性阻害物質除去の点から、+29以上であることが好ましく、+30以上であることがさらに好ましい。なお、ここでいうセーボルト色とは、JIS K 2580「石油製品−色試験方法−セーボルト色試験方法」により測定される値を意味する。
本発明の極低温地向け燃料組成物の15℃における密度は、発熱量確保の点から、740kg/m以上であることが必要であり、750kg/m以上が好ましく、755kg/m以上がより好ましい。また、当該密度は、NOx、PMの排出量を低減する点から、840kg/m以下であることが必要であり、830kg/m以下が好ましく、820kg/m以下がより好ましい。なお、ここでいう密度とは、JIS K 2249「原油及び石油製品の密度試験方法並びに密度・質量・容量換算表」により測定される密度を意味する。
本発明の極低温地向け燃料組成物における蒸留性状としては、10%留出温度が170℃以上220℃以下、90%留出温度が220℃以上300℃以下であることが必要である。10%留出温度が170℃に満たないとエンジン出力や低温時の始動性が悪化する傾向にあるため、好ましくは173℃以上、より好ましくは178℃以上、さらに好ましくは180℃以上である。一方、10%留出温度が220℃を超えると排ガス性能が悪化する傾向にあるため、好ましくは215℃以下、より好ましくは210℃以下、さらに好ましくは205℃以下である。
また、90%留出温度が220℃に満たないと燃費向上効果が不十分となり、エンジン出力が低下する傾向にあるため、好ましくは225℃以上、より好ましくは230℃以上、さらに好ましくは235℃以上である。一方、90%留出温度が300℃を超えるとPMや微小粒子の排出量が増加する傾向にあるため、好ましくは295℃以下、より好ましくは290℃以下、さらに好ましくは285℃以下である。なお、ここでいう10%留出温度、90%留出温度とは、全てJIS K 2254「石油製品−蒸留試験方法−常圧法」により測定される値を意味する。
本発明の極低温地向け燃料組成物のセタン指数は、45以上であることが必要である。セタン指数が45に満たない場合には、排出ガス中のPM、アルデヒド類、あるいはさらにNOxの濃度が高くなる傾向にある。また、同様の理由により、セタン指数は46以上であることが好ましく、47以上であることがより好ましい。なお、本発明でいうセタン指数とは、JIS K 2280「石油製品−燃料油−オクタン価及びセタン価試験方法並びにセタン指数算出方法」の「8.4変数方程式を用いたセタン指数の算出方法」によって算出される価を意味する。ここで、上記JIS規格におけるセタン指数は、一般的にはセタン価向上剤を添加していない軽油に対して適用されるが、本発明ではセタン価向上剤を添加した燃料組成物についても上記「8.4変数方程式を用いたセタン指数の算出方法」を適用し、当該算出方法により算出される値をセタン指数として表す。
本発明の極低温地向け燃料組成物におけるセタン価は、48以上であることが必要である。セタン価が48に満たない場合には、排出ガス中のNOx、PM及びアルデヒド類の濃度が高くなりやすいため、好ましくは48.5以上であり、より好ましくは49以上である。また、排ガス中の黒煙低減の観点から、セタン価は90以下であることが好ましく、85以下であることがより好ましく、80以下であることがさらに好ましい。また本発明の燃料組成物においては、必要に応じてセタン価向上剤を適量配合し、得られる燃料組成物のセタン価を向上させることができる。なお、ここでいうセタン価とは、JIS K 2280「石油製品−燃料油−オクタン価及びセタン価試験方法並びにセタン指数算出方法」の「7.セタン価試験方法」に準拠して測定されるセタン価を意味する。
本発明の極低温地向け燃料組成物の引火点は、45℃以上であることが必要である。引火点が45℃に満たない場合には、安全上の観点から好ましくないため、引火点は47℃以上であることが好ましく、49℃以上であることがより好ましい。なお、本発明でいう引火点はJIS K 2265「原油及び石油製品引火点試験方法」で測定される値を示す。
本発明の極低温地向け燃料組成物の反応試験の結果は、中性を示すことが必要である。反応試験の結果が中性でない場合は、燃料による金属部材への腐食影響が顕在化する可能性が高まるため好ましくない。なお、本発明でいう反応試験の結果は、JIS K 2252「石油製品−反応試験方法」で測定される値を示す。
本発明の極低温地向け燃料組成物の銅板腐食は、1以下であることが必要であり、1aであることが好ましい。銅板腐食が1以下でない場合は、燃料による金属部材への腐食影響が顕在化する可能性が高まってしまい、安定性、長期保管に問題が生じてしまう。なお、本発明でいう銅板腐食は、JIS K 2513「石油製品−銅板腐食試験方法」で測定される値を示す。
本発明の極低温地向け燃料組成物の加速酸化試験後の過酸化物価は、10質量ppm以下であることが必要である。加速酸化試験後の過酸化物価は、貯蔵安定性、部材への適合性の点から、好ましくは8質量ppm以下、より好ましくは6質量ppm以下、さらに好ましくは4質量ppm以下である。
なお、ここでいう加速酸化試験後の過酸化物価とは、ASTM D2274−94に準拠して、95℃、酸素バブリング下、16時間の条件で加速酸化試験を実施した後、石油学会規格JPI−5S−46−96に準拠して測定した過酸化物価の値を意味する。本発明の極低温地向け燃料組成物には、過酸化物価を低減するために、酸化防止剤や金属不活性剤等の添加剤を適宜添加することができる。
本発明の極低温地向け燃料組成物の流動点は、−60℃以下であることが必要である。さらに、極低温下における低温始動性ないしは低温運転性の観点、並びに電子制御式燃料噴射ポンプにおける噴射性能維持の観点から、―62℃以下であることが好ましい。ここで流動点とは、JIS K 2269「原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法」に準じて測定される流動点を意味する。
本発明の極低温地向け燃料組成物の硫黄含有量は、エンジンから排出される有害排気成分低減と排ガス後処理装置の性能向上の点から10質量ppm以下を満たす必要があり、好ましくは8質量ppm以下、より好ましくは5質量ppm以下、さらに好ましくは3質量ppm以下、さらにより好ましくは1質量ppm以下である。なお、ここでいう硫黄含有量とは、JIS K 2541「硫黄分試験方法」により測定される燃料組成物全量基準の硫黄分の質量含有量を意味する。
本発明の極低温地向け燃料組成物の30℃における動粘度は、1.6mm/s以上であることが必要であり、1.65mm/s以上であることが好ましく、1.7mm/s以上であることがより好ましい。当該動粘度が1.6mm/sに満たない場合は、燃料噴射ポンプ側の燃料噴射時期制御が困難となる傾向にあり、またエンジンに搭載された燃料噴射ポンプの各部における潤滑性が損なわれるおそれがある。一方、30℃における動粘度の上限は5.0mm/sであることが必要であり、4mm/s以下であることが好ましく、3mm/s以下であることがより好ましい。当該動粘度が5.0mm/sを超えると、燃料噴射システム内部の抵抗が増加して噴射系が不安定化し、排出ガス中のNOx、PMの濃度が高くなってしまい好ましくない。なお、ここでいう動粘度とは、JIS K 2283「原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法」により測定される動粘度を意味する。
本発明の極低温地向け燃料組成物の−30℃における動粘度は、30mm/s以下であることが必要であり、28mm/s以下であることが好ましく、26mm/s以下であることがより好ましい。当該動粘度が30mm/sを超えると、極低温下において作業性に支障をきたすため好ましくない。なお、ここでいう動粘度とは、JIS K 2283「原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法」に準じて測定される動粘度を意味する。
本発明の極低温地向け燃料組成物の水分含有量は、極低温下での凍結防止の観点から、100容量ppm以下であることが必要であり、好ましくは50容量ppm以下、より好ましくは20容量ppm以下である。なお、ここでいう水分含有量とは、JIS K 2275「原油及び石油製品−水分試験方法−カールフィッシャー式電量滴定法」により測定される値を意味する。
本発明の極低温地向け燃料組成物の10%残油の残留炭素分は0.1質量%以下であることが必要であり、スラッジによるフィルター目詰まり防止の点から、0.08質量%以下が好ましく、0.05質量%以下がより好ましい。なお、ここでいう10%残油の残留炭素分とは、JIS K 2270「原油及び石油製品−残留炭素分試験方法」により測定される値を意味する。
本発明の極低温地向け燃料組成物においては、必要に応じて凍結防止剤、低温流動性向上剤、潤滑性向上剤を適量配合することが好ましい。
本発明の極低温地向け燃料組成物には、油中水分が凍結し燃料フィルターや燃料噴射系の不都合を防止する観点から凍結防止剤を添加することが好ましい。また、その添加量は100質量ppm以上、500質量ppm以下であることが好ましく、200質量ppm以上、400質量ppm以下であることがより好ましい。凍結防止剤の種類は特に限定されるものではないが、凍結防止機能を有する各種化合物を任意に使用することができ、例えば2−メトキシエタノール、イソプロピルアルコール、ポリグリコールエーテル等が挙げられるが、低温流動性確保の観点から、これらの凍結防止剤の融点または流動点は−60℃以下であることが好ましい。ただし、金属を有するもの及び塩構造を有するもの、例えば酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム等は燃料用途においては不適である。これらの凍結防止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いても良いが、それぞれの凍結防止剤含有主化合物の純度が98%以上であるものをより好ましく使用することができる。
本発明の極低温地向け燃料組成物には、ディーゼル自動車のフィルター閉塞防止の点から低温流動性向上剤を添加することが好ましい。また、その添加量は活性分濃度で200mg/L以上、1000mg/L以下であることが好ましく、300mg/L以上、800mg/L以下であることがより好ましい。
低温流動性向上剤の種類は特に限定されるものではないが、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体に代表されるエチレン−不飽和エステル共重合体、アルケニル琥珀酸アミド、ポリエチレングリコールのジベヘン酸エステルなどの線状の化合物、フタル酸、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ酢酸などの酸又はその酸無水物などとヒドロカルビル置換アミンの反応生成物からなる極性窒素化合物、アルキルフマレートまたはアルキルイタコネート−不飽和エステル共重合体などからなるくし形ポリマーなどの低温流動性向上剤の1種または2種以上が使用できる。また、エチレンとメタクリル酸メチルとの共重合体、エチレンとα−オレフィンとの共重合体、塩素化メチレン−酢酸ビニル共重合体、不飽和カルボン酸のアルキルエステル重合体、水酸基を有する含窒素化合物と飽和脂肪酸から合成されるエステルもしくはその塩、多価アルコールと飽和脂肪酸から合成されるエステル及びアミド誘導体、ポリオキシアルキレングリコールと飽和脂肪酸から合成されるエステル、多価アルコールまたはその部分エステルのアルキレンオキサイド付加物と飽和脂肪酸から合成されるエステル、塩素化パラフィン/ナフタレン縮合物、アルケニルコハク酸アミド、スルホ安息香酸のアミン塩などから選ばれる1種または2種以上を組み合わせた低温流動性向上剤も使用することができる。この中でも汎用性の点から、エチレン−酢酸ビニル共重合体系添加剤を好ましく使用することができる。なお、低温流動性向上剤と称して市販されている商品は、低温流動性に寄与する有効成分(活性分)が適当な溶剤で希釈されていることがあるため、こうした市販品を本発明の燃料組成物に添加する場合にあたっては、上記の添加量は、有効成分としての添加量(活性分濃度)を意味している。
本発明の極低温地向け燃料組成物には、燃料噴射ポンプの摩耗防止の理由から、潤滑性向上剤を添加することが好ましい。また、その添加量は、活性分濃度で20mg/L以上、200mg/L以下であることが好ましく、50mg/L以上、180mg/L以下であることがより好ましい。潤滑性向上剤の添加量が前記の範囲内であると、添加された潤滑性向上剤の効能を有効に引き出すことができ、例えば分配型噴射ポンプを搭載したディーゼルエンジンにおいて、運転中のポンプの駆動トルク増を抑制し、ポンプの摩耗を低減させることができる。
潤滑性向上剤の種類は特に限定されるものではないが、例えば、カルボン酸系、エステル系、アルコール系およびフェノール系の各潤滑性向上剤の1種又は2種以上が任意に使用可能である。これらの中でも、カルボン酸系及びエステル系の潤滑性向上剤が好ましい。
カルボン酸系の潤滑性向上剤としては、例えば、リノ−ル酸、オレイン酸、サリチル酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ヘキサデセン酸及び上記カルボン酸の2種以上の混合物が例示できる。
エステル系の潤滑性向上剤としては、グリセリンのカルボン酸エステルが挙げられる。カルボン酸エステルを構成するカルボン酸は、1種であっても2種以上であってもよく、その具体例としては、リノ−ル酸、オレイン酸、サリチル酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ヘキサデセン酸等がある。
なお、本発明は極低温地での使用を前提としているため、これらの潤滑性向上剤の脂肪酸構造は不飽和結合を有するものが、低温流動性確保の観点からより好ましい。
また、本発明における極低温地向け燃料組成物の性能をさらに高める目的で、その他の公知の燃料油添加剤(以下、便宜上「その他の添加剤」という)を単独で、または数種類組み合わせて添加することもできる。その他の添加剤としては、例えば、炭素数6〜8のアルキルナイトレートで代表される硝酸エステル、有機過酸化物などのセタン価向上剤;イミド系化合物、アルケニルコハク酸イミド、コハク酸エステル、共重合系ポリマー、無灰清浄剤などの清浄剤;フェノール系、アミン系などの酸化防止剤;サリチリデン誘導体などの金属不活性化剤;脂肪族アミン、アルケニルコハク酸エステルなどの腐食防止剤;アニオン系、カチオン系、両性系界面活性剤などの帯電防止剤;アゾ染料などの着色剤;シリコン系などの消泡剤等が挙げられる。
その他の添加剤の添加量は任意に決めることができるが、添加剤個々の添加量は、極低温地向け燃料組成物の全量基準でそれぞれ好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.2質量%以下である。
以上のように、本発明によれば、本発明で示した製造方法、留分規定等により製造された極低温地向け燃料組成物を使用することにより、従来の燃料組成物では実現が困難であった極低温地域における低温流動性と複数の用途に対応できるフレキシビリティさ並びに環境対応型燃料としての性能を全て満足させた極低温地向け燃料組成物を提供することができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1〜4および比較例1〜2)
表1に示す性状を有する原料油を表2に示す工程ごとの条件で反応、処理し、表3に示す極低温地向け燃料組成物を調製した(実施例1〜3)。実施例1、2、3は異なる原料油を異なる条件での各工程処理を行い得られたものである。実施例1は石油系炭化水素に対して芳香族分の開環反応を含んだ高度の水素化精製処理を施し、得られた炭化水素を原料油としたものである。実施例2は天然ガスをFT反応によりワックス及び中間留分化し、これに水素化処理を施して得られた炭化水素を原料油としたものである。実施例3は、パームやしから得られた油分(留分ごとに分離はせず、ホール状態で使用)を水素化精製処理し、不要なアルコール分等を除去した後に得られた炭化水素を原料油としたものである。
実施例4は実施例1の燃料油組成物を製造した後に表1に示した合成燃料基材を配合したものである。なお、配合した合成燃料基材は天然ガスをFT反応によりワックス及び中間留分化し、これに水素化処理を施して得られた炭化水素混合物からなるものであり、比較的異性化反応が進んだ側鎖を有する飽和炭化水素化合物を含有したものである。比較例1はゼオライトに周期律表第6A族及び第8族の金属から選ばれた金属群を担持した触媒下において反応圧力3MPa、反応温度380℃、液空間速度0.8h−1の条件で処理された脱硫脱ロウ基材を灯油留分と混合して製造した組成物であり、比較例2は一般的な水素化精製による製法で軽油留分と灯油留分を製造し、これらを適量配合してJIS特3号軽油相当の低温性能を有する組成物である。
なお、本例で使用した添加剤は以下の通りである。
凍結防止剤:2−メトキシエタノール
潤滑性向上剤:リノ−ル酸を主成分とするカルボン酸混合物
低温流動性向上剤:エチレン−酢酸ビニル共重合体
セタン価向上剤:2−エチルヘキシルナイトレ−ト
調合した燃料組成物の調合比率、及びこの調合した燃料組成物に対して、15℃における密度、30℃における動粘度、−30℃における動粘度、引火点、硫黄分含有量、蒸留性状、芳香族分含有量、セタン指数、セタン価、流動点、色相、10%残油の残留炭素分、反応試験の結果、銅板腐食、水分、酸化安定性試験後の全不溶解分および過酸化物価、導電率、摩耗痕径を測定した結果を表3に示す。
なお、原料油および燃料油の性状は以下の方法により測定した。
密度は、JIS K 2249「原油及び石油製品の密度試験方法並びに密度・質量・容量換算表」により測定される密度を指す。
動粘度は、JIS K 2283「原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法」により測定される動粘度を指す。
引火点はJIS K 2265「原油及び石油製品引火点試験方法」で測定される値を示す。
硫黄分含有量は、JIS K 2541「硫黄分試験方法」により測定される燃料組成物全量基準の硫黄分の質量含有量を指す。
蒸留性状は、全てJIS K 2254「石油製品−蒸留試験方法」によって測定される値である。
芳香族分含有量は、社団法人石油学会により発行されている石油学会法JPI−5S−49−97「炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ法」に準拠され測定された芳香族分含有量の容量百分率(容量%)を意味する。
直鎖飽和炭化水素含有量、C10−C15のnP(炭素数10以上15以下の直鎖飽和炭化水素含有量)、C11−C15のnP、C16−C20のnPは前述のGC−FIDを用いて測定される値(質量%)を意味する。
セタン指数は、JIS K 2280「石油製品−燃料油−オクタン価及びセタン価試験方法並びにセタン指数算出方法」の「8.4変数方程式を用いたセタン指数の算出方法」によって算出した価を指す。なお、上記JIS規格におけるセタン指数は、セタン価向上剤を添加したものに対しては適用されないが、本発明ではセタン価向上剤を添加したもののセタン指数も、上記「8.4変数方程式を用いたセタン指数の算出方法」によって算出した値を表すものとする。
セタン価は、JIS K 2280「石油製品−燃料油−オクタン価及びセタン価試験方法並びにセタン指数算出方法」の「7.セタン価試験方法」に準拠して測定されるセタン価を意味する。
流動点は、JIS K 2269「原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法」により測定される流動点を指す。
色相は、JIS K 2580「石油製品−色試験法」に記載されたセーボルト色試験法に準拠して測定されるセーボルト色を意味する。
反応試験は、JIS K 2252「石油製品−反応試験方法」により測定される反応を指す。
銅板腐食は、JIS K 2252「石油製品−銅板腐食試験方法」により測定される腐食の分類を指す。
水分は、JIS K 2275「原油及び石油製品−水分試験方法」に記載のカールフィッシャー式電量滴定法により測定される水分を指す。
10%残油の残留炭素分とは、JIS K 2270「原油及び石油製品−残留炭素分試験方法」により測定される10%残油の残留炭素分を意味する。
酸化安定性試験後の過酸化物価(過酸化物価)とは、ASTM D2274−94に準拠して、95℃、酸素バブリング下、16時間の条件で加速酸化した後、石油学会規格JPI−5S−46−96に準拠して測定される値を意味する。
酸化安定性試験後の全不溶解分(全不溶解分)とは、ASTM D2274−94に準拠して、95℃、酸素バブリング下、16時間の条件で加速酸化した後に測定する値を意味する。
導電率とは、JIS K 2276「石油製品−航空燃料油試験方法」に準拠して測定される値を意味する。
潤滑性能およびHFRR摩耗痕径(WS1.4)とは、社団法人石油学会から発行されている石油学会規格JPI−5S−50−98「軽油−潤滑性試験方法」により測定される潤滑性能を指す。
実施例および比較例で使用した燃料組成物は、表3に示すとおり、特定の工程を経て得られた炭化水素基材、特定の性状を有するFT合成基材を特定の割合で調合して製造したものである
表3から明らかなように、所定の工程を経て製造された基材を用いて本発明で規定する条件で配合した実施例1〜4においては、規定した性状を満足した燃料組成物を容易にかつ確実に得ることができた。一方、上記特定の燃料基材を用いずに燃料組成物を調製した比較例1〜2においては、本発明の目的とする燃料組成物は必ずしも得られない。
次に実施例1〜4及び比較例1〜2の各燃料組成物を用いて、以下に示す各種試験を行った。全ての試験結果を表4に示す。表4の結果からわかるように、実施例1〜4の燃料組成物は、比較例1〜2の燃料組成物に比べ、ストーブでの燃焼性確認試験、低温始動性時の白煙測定試験、排ガス性能試験、低温保管試験等で良好な結果が得られており、従来の燃料組成物では実現が困難であった極低温地域における低温流動性と複数の用途に対応できるフレキシビリティさ並びに環境対応型燃料としての性能を全て満足させた極低温地向け燃料組成物を提供することが確認できる。
(芯式ストーブでの燃焼確認試験)
−30℃の環境下に静置した芯式石油ストーブ(株式会社コロナ製SX−E261Y、2004年度製、暖房出力:2.56〜2.05kW)に燃料を供試し、通常の着火操作を行った際に、着火時に着火不良、失火、赤火、黒煙、白煙の発生がない場合、かつその後10分間燃焼させた際にも同様の異常燃焼が起きなかった場合を合格(○)とし、異常燃焼が起こった場合は不合格(×)とした。なお、心式ストーブでの燃焼確認試験に係わる試験方法は、JIS S 3031「石油燃焼機器の試験方法通則」に準拠して実施した。
(低温始動時の白煙測定)
環境温度の制御が可能なシャーシダイナモメータ上で、室温下で、(1)供試ディーゼル自動車の燃料系統を評価燃料でフラッシング(洗浄)、(2)フラッシング燃料の抜き出し、(3)メインフィルタの新品への交換、(4)燃料タンクに評価燃料の規定量(供試車両の燃料タンク容量の1/2)の張り込みを行う。その後、(5)環境温度を室温から−20℃まで急冷し、(6)−20℃で1時間保持した後、(7)1℃/hの冷却速度で所定の温度(−30℃)に達するまで徐冷し、(8)所定の温度で1時間保持した後、エンジンを始動させる。10秒間のクランキングを30秒間隔で2回繰り返しても始動しない場合は測定不能とする。始動できる場合は、アイドリングで30秒間放置し、その後5秒間でアクセルペダルを一杯まで踏み込む操作を5回繰り返し、その際の白煙を透過型測定器で計測する。5回の平均値を算出し、比較例1の結果を100とし、各結果を相対的に比較、定量化した。
(車両排ガス試験)
下記に示すディーゼルエンジン搭載車両(車両1)を用いて、燃費の測定を行った。試験モードは、図1に示す実走行を模擬した過渡運転モードで行った。スモークの測定は透過型測定器を使用している。各排ガス性能値は比較例1での試験結果を100とし、各結果を相対的に比較、定量化した。なお、車両試験に係わる試験方法は、旧運輸省監修新型自動車審査関係基準集別添27「ディーゼル自動車10・15モード排出ガス測定の技術基準」に準拠している。
(車両諸元):車両1
エンジン種類:インタークーラー付過給直列4気筒ディ−ゼル
排気量 :3L
圧縮比 :18.5
最高出力 :125kW/3400rpm
最高トルク:350Nm/2400rpm
規制適合 :平成9年度排ガス規制適合
車両重量 :1900kg
ミッション:4AT
排ガス後処理装置:酸化触媒
(低温保管試験)
対象となる燃料組成物を−30℃一定で制御できる冷凍庫内に1ヶ月間保管し、保管後の外観確認を行い、沈殿物や濁りが発生した場合は不可(×)とし、外観上異常がなくまた保管後の燃料組成物の上澄み(液面より1cm以内の部分)をサンプリングして流動点測定を行い、保管前と同等の性能が得られた場合を可(○)とする。
Figure 0004847170
Figure 0004847170
Figure 0004847170
Figure 0004847170
実走行を模擬した過渡運転モードを示す図である。

Claims (6)

  1. 初留点が140℃以上200℃以下、蒸留性状の90容量%留出温度が200℃以上300℃以下、芳香族含有量が20容量%以下、直鎖飽和炭化水素含有量が25質量%以上、炭素数10以上15以下の直鎖飽和炭化水素含有量が20質量%以上、硫黄含有量が300質量ppm以下である炭化水素混合物Aを原料油として、下記工程(1)〜(3)を経て得られる炭化水素混合物Dを全燃料組成物に対して80容量%以上含有し、セーボルト色+28以上、15℃における密度が740kg/m以上840kg/m以下、蒸留性状の10%留出温度が170℃以上220℃以下、90%留出温度が220℃以上300℃以下、セタン指数45以上、セタン価48以上、引火点45℃以上、反応試験の結果が中性、銅板腐食が1以下、加速酸化試験後の過酸化物価が10質量ppm以下、流動点−60℃以下、硫黄分10質量ppm以下、30℃における動粘度が1.6mm/s以上5.0mm/s以下、−30℃における動粘度が30mm/s以下、水分含有量が0.01容量%以下、10%残油の残留炭素分が0.1質量%以下であることを特徴とする極低温地向け燃料組成物。
    工程(1):炭化水素混合物Aを反応温度250℃以上310℃以下、水素圧力5MPa以上10MPa以下、LHSV0.5h−1以上3.0h−1以下、水素/炭化水素容量比が0.15以上0.6以下の条件で、Ni−W、Ni−Mo、Co−Mo、Co−W、またはNi−Co−Moのいずれかを含有する触媒により水素化脱硫処理して炭化水素混合物Bを得る工程
    工程(2):炭化水素混合物Bの軽質な部分を1容量%以上40容量%以下の範囲で除去して炭化水素混合物Cを得る工程
    工程(3):炭化水素混合物Cを反応温度150℃以上250℃以下、圧力1MPa以上5MPa以下の条件下でゼオライトにより直鎖飽和炭化水素を10容量%以上除去した炭化水素混合物Dを得る工程
  2. 初留点が140℃以上200℃以下、蒸留性状の90容量%留出温度が200℃以上300℃以下、芳香族含有量が20容量%以下、直鎖飽和炭化水素含有量が25質量%以上、炭素数10以上15以下の直鎖飽和炭化水素含有量が20質量%以上、硫黄含有量が300質量ppm以下である炭化水素混合物Aを原料油として、下記工程(1)〜(3)を経て得られる炭化水素混合物Dを全燃料組成物に対して80〜100容量%、炭素数16以上20以下の直鎖飽和炭化水素化合物含有量の総和が10質量%以下であり、かつ炭素数21以上25以下の直鎖飽和炭化水素化合物含有量の総和が2質量%以下であるFT合成基材を0〜20容量%含有し、セーボルト色+28以上、15℃における密度が740kg/m以上840kg/m以下、蒸留性状の10%留出温度が170℃以上220℃以下、90%留出温度が220℃以上300℃以下、セタン指数45以上、セタン価48以上、引火点45℃以上、反応試験の結果が中性、銅板腐食が1以下、加速酸化試験後の過酸化物価が10質量ppm以下、流動点−60℃以下、硫黄分10質量ppm以下、30℃における動粘度が1.6mm/s以上5.0mm/s以下、−30℃における動粘度が30mm/s以下、水分含有量が0.01容量%以下、10%残油の残留炭素分が0.1質量%以下であることを特徴とする極低温地向け燃料組成物。
    工程(1):炭化水素混合物Aを反応温度250℃以上310℃以下、水素圧力5MPa以上10MPa以下、LHSV0.5h−1以上3.0h−1以下、水素/炭化水素容量比が0.15以上0.6以下の条件で、Ni−W、Ni−Mo、Co−Mo、Co−W、またはNi−Co−Moのいずれかを含有する触媒により水素化脱硫処理して炭化水素混合物Bを得る工程
    工程(2):炭化水素混合物Bの軽質な部分を1容量%以上40容量%以下の範囲で除去して炭化水素混合物Cを得る工程
    工程(3):炭化水素混合物Cを反応温度150℃以上250℃以下、圧力1MPa以上5MPa以下の条件下でゼオライトにより直鎖飽和炭化水素を10容量%以上除去した炭化水素混合物Dを得る工程
  3. 炭化水素混合物AがFT合成基材であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の極低温地向け燃料組成物。
  4. 炭化水素混合物Aが植物油由来の処理油であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の極低温地向け燃料組成物。
  5. 凍結防止剤を100質量ppm以上500質量ppm以下添加した請求項1〜4のいずれかに記載の極低温地向け燃料組成物。
  6. 低温流動性向上剤を活性分濃度で200mg/L以上1000mg/L以下添加し、かつ潤滑性向上剤を活性分濃度で20mg/L以上200mg/L以下添加した請求項1〜5のいずれかに記載の極低温地向け燃料組成物。
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