JP4846136B2 - 広帯域複合光増幅器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光増幅器に関し、特に、ツリウムをコアに添加した光ファイバ(以下「TDF」と略記する)を利得媒体とする光増幅器(以下「TDFA」と略記する)と、エルビウムをコアに添加した光ファイバ(以下「EDF」と略記する)を利得媒体とする光増幅器(以下「EDFA」と略記する)とを組み合わせて、広帯域にわたって信号光の増幅を可能にする光増幅器に関する。
【0002】
【従来の技術】
光通信分野において使用され、又は使用が検討されている波長帯域に、波長1460nmから1530nmまでの波長帯域(以下「S―バンド」と略記する)、波長1530nmから1565nmまでの波長帯域(以下「C―バンド」と略記する)、 波長1565nmから1625nmまでの波長帯域(以下「L−バンド」と略記する)とよばれる波長帯域がある。これらの帯域の光を1本の光ファイバ中を伝送させて増幅するための増幅技術として、図10に示すように、波長帯域毎に信号光を分離した後に増幅し、その後に合波する方法が検討、使用され、この技術がOAA´99WC−2において開示されている。
図10中、符号51は光伝送路であり、第1のWDMカプラ55の入力端に接続されている。WDMカプラ55の出力端にはS−バンド用光増幅器52が接続され、他の出力端には第2のWDMカプラ56が接続されている。この第2のWDMカプラ56の出力端にはC−バンド用光増幅器53が接続され、他の出力端にはL−バンド用光増幅器54が接続されている。C−バンド用光増幅器53とL−バンド用光増幅器54は、第3のWDMカプラ57の入力端に接続され、第3のWDMカプラ57の出力端は第4のWDMカプラ58の入力端に接続されている。この第4のWDMカプラ58の他の入力端にはS−バンド用光増幅器52が接続されている。
【0003】
図10に示す光増幅器においては、光伝送路51から送られる信号光は、第1のWDMカプラ55によってS−バンドの波長帯域の光が分波され、S−バンド用光増幅器52によって光増幅される。次に、第2のWDMカプラ56によって、C−バンドの波長帯域の光とL−バンドの波長帯域の光とに分波され、C−バンド用光増幅器53によりC−バンドの波長帯域の光が光増幅され、L−バンド用光増幅器54によりL−バンドの波長帯域の光が光増幅される。光増幅された各波長帯域の光は、第3のWDMカプラ57及び第4のWDMカプラ58によって合波される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この増幅技術によると、光の合分波のために光カプラを使用することが必要であり、さらに、S-バンドの増幅で使用する光ファイバに添加されている希土類元素とC-バンドの増幅で使用する光ファイバに添加されている希土類元素とが異なっている。そのため、図11に示すように、使用波長帯域にわたって増幅特性が連続とならず、使用される波長帯域について連続的な利得が得られるシームレス光増幅器を作製することができないという問題点があった。
この問題を解決する方法として、C-バンドと L-バンドの信号光を一括して増幅する技術は、Electron.Lett.34-18(1998)1747-1748において報告されている。
しかし、S-バンドとC-バンドの信号光を一括して増幅する技術は報告されていない。
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、広い波長帯域の信号光を連続的に増幅することが可能な広帯域複合光増幅器を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、エルビウムをコアに添加した第1の光ファイバを利得媒体とし、この第1の光ファイバに信号光と波長980nm帯の励起光とを合波して入射して、波長1550nm帯の信号光を増幅する第1の光ファイバ増幅器を信号光の入力部に配置し、前記第1の光ファイバ増幅器の出力部に、ツリウムをコアに添加したシリカ系又はフッ化物系光ファイバである第2の光ファイバを利得媒体とし、この第2の光ファイバに信号光と波長1050nm帯と1600nm帯の励起光とを合波して入射して、波長1480nm帯の信号光を増幅する第2の光ファイバ増幅器を接続してなり、1480nmから1560nmまでの波長帯域において連続して10dB以上の利得を有することを特徴とする広帯域複合光増幅器である。請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、第1の光ファイバ増幅器と第2の光ファイバ増幅器は、励起光を信号光の進行方向と同じ方向に入射して励起する前方向励起、励起光を信号光の進行方向と逆の方向に入射して励起する後方向励起、又は励起光を信号光の進行方向に対して同じ方向と逆の方向の双方向から入射して励起する双方向励起のいずれかの励起手段により信号光の増幅を行うことを特徴とする。請求項記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、第1の光ファイバ増幅器は、第1の光ファイバへ入射した信号光と励起光とを第1の光ファイバの出射側において反射し、その戻り光を第1の光ファイバへ再び入射する手段を備えていることを特徴とする。請求項記載の発明は、請求項1、2又は3記載の発明において、第2の光ファイバ増幅器は、第2の光ファイバへ入射した信号光と励起光とを第2の光ファイバの出射側において反射し、その戻り光を第2の光ファイバへ再び入射する手段を備えていることを特徴とする。請求項記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、第1の光ファイバと第2の光ファイバの一方又は両方の入出力端に反射光抑制のための光アイソレータを設けていることを特徴とする。請求項記載の発明は、請求項1、2、3、4又は5記載の発明において、第1の光ファイバ増幅器と第2の光ファイバ増幅器の一方又は両方に利得等化器を設けていることを特徴とする。請求項記載の発明は、請求項1、2、3、4、5又は6記載の発明において、第1の光ファイバ増幅器と第2の光ファイバ増幅器とを直列接続したものに対して、波長1600nm帯の信号光を増幅するための第3の光ファイバ増幅器が並列に接続されていることを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の広帯域複合光増幅器の例を示す図である。
図1中、符号1は第1の光ファイバ増幅器であり、EDFを利得媒体とし、これに信号光と波長980nm帯の励起光とを合波して入射して、波長1530nmから波長1565nmまでの波長帯域の信号光を増幅するEDFAからなっている。
符号2は第2の光ファイバ増幅器であり、TDFを利得媒体とし、これに信号光と励起光とを合波して入射して、波長1460nmから波長1530nmまでの波長帯域の信号光を増幅するTDFAからなっている。
この第1の光ファイバ増幅器1と第2の光ファイバ増幅器2とが光伝送路3を介して接続されている。接続の順番は、図1(a)に示すように、第1の光ファイバ増幅器1の出力端に第2の光ファイバ増幅器2の入力端を接続してもよく、図1(b)に示すように、第2の光ファイバ増幅器2の出力端に第1の光ファイバ増幅器1の入力端を接続してもよい。
この例によると、TDFAとEDFAとを直列に接続し、EDFを波長980nm帯の励起光で励起することにより、S―バンドとC−バンドとにわたる広い波長帯域の信号光を連続的に増幅することが可能な広帯域複合光増幅器を実現することができる。
また、TDFAとEDFAとを直列に接続して広帯域複合光増幅器を構成するため、部品点数を少なくして広帯域複合光増幅器を実現することができる。
【0007】
図2は、少なくとも1つの第1の光ファイバ増幅器1と、少なくとも1つの第2の光ファイバ増幅器2とを多段に直列接続して構成した広帯域複合光増幅器の例である。
図2(a)は、第1の光ファイバ増幅器1、第1の光ファイバ増幅器1、第2の光ファイバ増幅器2の順に直列接続した例であり、図2(b)は、第1の光ファイバ増幅器1、第2の光ファイバ増幅器2、第1の光ファイバ増幅器1の順に直列接続した例である。
接続する光ファイバ増幅器の数、及び接続する光ファイバ増幅器の順番は、図2に示した例に限定されない。
【0008】
図3は、この例で用いられる第2の光ファイバ増幅器であるTDFAの構成を示す図である。
図3(a)は、励起光を信号光の進行方向と同じ方向に入射して励起する励起方法(以下「前方向励起」と略記する)によってTDFAを構成し、かつ波長の異なる2つの励起光源を用いて励起を行う励起方法(以下「2波励起」と略記する)によってTDFAを構成した例である。
図3(a)中、符号11は信号光を伝送する光伝送路を示す。
この光伝送路11は、第1のWDMカプラ12の入力ポートに接続されている。この第1のWDMカプラ12の他の入力ポートには、第1の励起光源13が接続され、第1のWDMカプラ12の出力ポートは、第2のWDMカプラ14の入力ポートに接続されている。第2のWDMカプラ14の他の入力ポートには、第2の励起光源15が接続されている。
第2のWDMカプラ14の出力ポートは、利得媒体であるTDF16の一端に接続され、このTDF16の他端は光伝送路11に接続されている。この例において、各光部品間の接続は融着接続によって行われている。
TDF16として、シリカ系ファイバを用いてもよく、また、フッ化物系ファイバを用いてもよい。
次に、この前方向励起による第1の光ファイバ増幅器の動作を説明する。
光伝送路11から送られる信号光は、第1のWDMカプラ12において第1の励起光源13からの波長1050nm帯の第1の励起光と合波されて、第2のWDMカプラ14に送られ、ここで第2の励起光源15からの波長1600nm帯の第2の励起光と合波される。
この信号光と、第1、第2の励起光とは、TDF16の一端に入力され、ここで光増幅されてTDF16の他端から光伝送路11に出力される。
【0009】
図3(b)は、励起光を信号光の進行方向と逆の方向に入射して励起する励起方法(以下「後方向励起」と略記する)によってTDFAを構成した例である。
この光伝送路11は、TDF16の一端に接続され、このTDF16の他端は、第1のWDMカプラ12の入力ポートに接続されている。この第1のWDMカプラ12の他の入力ポートには、第1の励起光源13が接続され、第1のWDMカプラ12の出力ポートは、第2のWDMカプラ14の入力ポートに接続されている。第2のWDMカプラ14の他の入力ポートには、第2の励起光源15が接続されている。第2のWDMカプラ14の出力ポートは、光伝送路11に接続されている。
この後方向励起による第1の光ファイバ増幅器の動作は、第1のWDMカプラ12と第2のWDMカプラ14とによって、第1の励起光と第2の励起光とが合波されてTDF16の一端に入力され、ここで光増幅されてTDF16の他端から光伝送路11に出力されることは、前方向励起の場合と同様であるが、励起光が信号光の進行方向と逆の方向に入射されることが前方向励起の場合と相違している。
【0010】
図3(c)は、励起光を信号光の進行方向に対して同じ方向と逆の方向の双方向から入射して励起する励起方法(以下「双方向励起」と略記する)によってTDFAを構成した例である。
この光伝送路11は、第1のWDMカプラ12の入力ポートに接続されている。この第1のWDMカプラ12の他の入力ポートには、第1の励起光源13が接続され、第1のWDMカプラ12の出力ポートは、第2のWDMカプラ14の入力ポートに接続されている。第2のWDMカプラ14の他の入力ポートには、第2の励起光源15が接続されている。
第2のWDMカプラ14の出力ポートは、TDF16の一端に接続され、このTDF16の他端は第3のWDMカプラ17の入力ポートに接続されている。この第3のWDMカプラ17の他の入力ポートには、第3の励起光源18が接続され、第3のWDMカプラ17の出力ポートは、第4のWDMカプラ19の入力ポートに接続されている。第4のWDMカプラ19の他の入力ポートには、第4の励起光源20が接続されている。第4のWDMカプラ19の出力ポートは、光伝送路11に接続されている。
この双方向励起による第1の光ファイバ増幅器の動作は、第1のWDMカプラ12と第2のWDMカプラ14とによって、第1の励起光と第2の励起光とが合波されてTDF16の一端に入力されるとともに、第3のWDMカプラ17と第4のWDMカプラ19とによって、第3の励起光と第4の励起光とが合波されてTDF16の一端に入力され、ここで光増幅されてTDF16の他端から光伝送路11に出力される。第1の励起光と第3の励起光とは同じ波長であり、第2の励起光と第4の励起光とは同じ波長である。
【0011】
図3(d)は、第1の光ファイバ16へ入射した信号光と励起光とを第1の光ファイバ16の出射側において反射し、その戻り光を第1の光ファイバ16へ再び入射して増幅する励起方法(以下「反射型励起」と略記する)によってTDFAを構成した例である。
図3(d)において、第1のWDMカプラ12、第2のWDMカプラ14、TDF16が光伝送路11に接続されることは、図3(a)の場合と同様である。また、第1の励起光源13が第1のWDMカプラ12に接続され、第2の励起光源15が第2のWDMカプラ14に接続されることも、図3(a)の場合と同様である。
符号22は、TDF16の他端に接続されたループミラーであり、TDF16からの信号光及び励起光を反射してTDF16に戻すためのものである。ループミラー22には、例えば3dBカプラを使用した全反射ループミラーが用いられるが、全反射ループミラーに限定されるものではなく、反射機能を持つ部品であればファイバグレーティングのような他の部品も用いられる。
符号23は、ループミラーの出射端の反射の影響を抑制するための無反射終端部であり、例えば、コアレスファイバを融着接続したものからなる。コアレスファイバとは、コアがないファイバであり、これを融着接続をすることで光の反射を抑制することができる。
符号21は、光サーキュレータであり、第1のWDMカプラ12の戻り光の出力ポートに接続される光伝送路11に接続されている。この例においても、各光部品間の接続は融着接続によって行われている。
光伝送路11から送られる信号光は、第1のWDMカプラ12において第1の励起光源13からの第1の励起光と合波されて、第2のWDMカプラ14に送られ、ここで第2の励起光源15からの第2の励起光と合波される。
この信号光と、第1、第2の励起光とは、TDF16の一端に入力され、ここで光増幅された後、ミラー22で反射される。反射された戻り光は、再びTDF16の一端に入力されて光増幅され、第2のWDMカプラ14及び第1のWDMカプラ12を通過した後、光サーキュレータ21により出力光として取り出され、光伝送路11に送り出される。
【0012】
なお、図3(d)においては、前方向励起の場合についてのみ図示しているが、これに限定されるものではなく、後方向励起、双方向励起についても、反射型励起の構成とすることは可能である。
また、図3(a)、(b)、(c)、(d)に示したTDFAの説明においては、第1の励起光源13から送られる第1の励起光の波長を1050nm帯とし、第2の励起光源15から送られる第2の励起光の波長を1600nm帯としているが、これに限定されるものではなく、この他にも、波長1150nm帯、波長1400nm帯の励起光を発する励起光源を組み合わせて用いることが可能である。また、励起光源の個数についても、2波励起に限定されず、波長1050nm帯、波長1150nm帯、波長1400nm帯の励起光を発する励起光源を1つだけ用いることによって励起することもできる。
【0013】
図4は、この例で用いられる第1の光ファイバ増幅器であるEDFAの構成を示す図である。
図4(a)は、前方向励起によってEDFAを構成した例である。
図4(a)中、符号31は光伝送路であり、この光伝送路31は、WDMカプラ32の入力ポートに接続されている。このWDMカプラ32の他の入力ポートには、励起光源33が接続され、WDMカプラ32の出力ポートは、利得媒体であるEDF34の一端に接続されている。このEDF34の他端は光伝送路31に接続されている。この例においても、各光部品間の接続は融着接続によって行われている。
光伝送路31から送られる信号光は、WDMカプラ32において励起光源33からの波長980nm帯の励起光と合波される。この信号光と励起光とは、EDF34の一端に入力され、ここで光増幅されてEDF34の他端から光伝送路31に出力される。
【0014】
図4(b)は、後方向励起によってEDFAを構成した例である。
図4(b)中、光伝送路31は、EDF34の一端に接続され、このEDF34の他端は、WDMカプラ32の入力ポートに接続されている。このWDMカプラ32の他の入力ポートには、励起光源33が接続されている。WDMカプラ32の出力ポートは、光伝送路31に接続されている。
この後方向励起による第2の光ファイバ増幅器の動作は、WDMカプラ32によって、励起光が合波されてEDF34の一端に入力され、ここで光増幅されてEDF34の他端から光伝送路31に出力されることは、前方向励起の場合と同様であるが、励起光が信号光の進行方向と逆の方向に入射されることが前方向励起の場合と相違している。
【0015】
図4(c)は、双方向励起によってEDFAを構成した例である。
図4(c)中、光伝送路31は、第1のWDMカプラ32の入力ポートに接続されている。このWDMカプラ32の他の入力ポートには、第1の励起光源33が接続され、WDMカプラ32の出力ポートは、EDF34の一端に接続されている。さらに、EDF34の他端は、第2のWDMカプラ35の入力ポートに接続されている。この第2のWDMカプラ35の他の入力ポートには、第2の励起光源36が接続されている。第2のWDMカプラ35の出力ポートは、光伝送路31に接続されている。
この双方向励起による第2の光ファイバ増幅器の動作は、第1のWDMカプラ32によって、第1の励起光が合波されてEDF34の一端に入力されるとともに、第2のWDMカプラ35によって、第2の励起光が合波されてEDF34の他端に入力され、ここで光増幅されてEDF34の他端から光伝送路31に出力される。第1の励起光と第2の励起光の波長はいずれも980nmである。
【0016】
図4(d)は、反射型励起によってEDFAを構成した例である。
図4(d)において、WDMカプラ32、EDF34が光伝送路31に接続されることは、図4(a)の場合と同様である。また、励起光源33がWDMカプラ32に接続されることも、図4(a)の場合と同様である。
符号38は、EDF34の他端に接続されたループミラーであり、符号39は、ループミラーの出射端の反射の影響を抑制するための無反射終端部である。
符号37は、光サーキュレータであり、WDMカプラ32の戻り光の出力ポートに接続される光伝送路31に接続されている。この例においても、各光部品間の接続は融着接続によって行われている。
光伝送路31から送られる信号光は、WDMカプラ32において励起光源33からの波長980nm帯の励起光と合波される。この信号光と励起光とは、EDF34の一端に入力され、ここで光増幅された後、ループミラー38で反射される。反射された戻り光は、再びEDF34の一端に入力されて光増幅され、WDMカプラ32を通過した後、光サーキュレータ37により出力光として取り出され、光伝送路31に送り出される。
なお、図4(d)においては、前方向励起の場合についてのみ図示しているが、これに限定されるものではなく、後方向励起、双方向励起についても、反射型励起の構成とすることは可能である。
【0017】
図5は、EDF34の入出力端に光アイソレータ40を挿入してEDFAを構成した例である。この例では、光アイソレータ40を挿入することによって、EDFの入出力端での光の反射を抑制することができる。図5(a)は前方向励起の場合、図5(b)は後方向励起の場合、図5(c)は双方向励起の場合である。
なお、光アイソレータ40を挿入して光ファイバ増幅器を構成する例はEDFAに限られず、TDFAにおいても同様である。
図6は、EDFに対して利得等化器41を挿入してEDFAを構成した例である。この例では、利得等化器41を挿入することによって、EDFによる利得を平坦化することができる。利得等化器41として、ファイバグレーティングが用いられるが、これに限定されるものではない。
同様にして、TDFに対して利得等化器41を挿入してTDFAを構成することによって、TDFによる利得を平坦化することができる。
【0018】
図7は、第1の光ファイバ増幅器1と第2の光ファイバ増幅器2とを直列接続したものに対して、波長1565nmから波長1625nmまでの波長帯域の信号光を増幅するための第3の光ファイバ増幅器を並列に接続して広帯域複合光増幅器を構成した例である。
図7中、符号3は光伝送路であり、第1のWDMカプラ5の入力端に接続されている。第1のWDMカプラ5の出力端には第1の光ファイバ増幅器1と第2の光ファイバ増幅器2とが直列に接続され、第1のWDMカプラ5の他の出力端には第3の光ファイバ増幅器4が接続されている。第2の光ファイバ増幅器2と第3の光ファイバ増幅器4は、第2のWDMカプラ6の入力端に接続されている。
この例においては、第1のWDMカプラ5によってL−バンドの波長帯域の光が分波されて第3の光ファイバ増幅器4によって光増幅される。S−バンドとC−バンドの波長帯域の光は第1の光ファイバ増幅器1と第2の光ファイバ増幅器2によって光増幅される。光増幅された各波長帯域の光は、第2のWDMカプラ6によって合波される。
この例によると、S−バンド、C−バンドで連続的に増幅することが可能な広帯域複合光増幅器において、L−バンドの光を付加的に増幅することが可能となる。
【0019】
(実施例)
以下、具体例を示す。
図1に示す広帯域複合光増幅器を作製した。
第1の光ファイバ増幅器で用いられるEDFには、エルビウムが1020wtppm、アルミニウムが11700wtppm添加された光ファイバを用いた。この光ファイバのモードフィールド径を5.1μm、コア径を2.7μm、長さを6mとした。。
波長980nm帯の励起光を発する励起光源として、励起パワーが165mWの半導体レーザを用いた。
第2の光ファイバ増幅器で用いられるTDFには、ツリウムが1000wtppm添加されたシリカガラスからなる光ファイバを用いた。この光ファイバのモードフィールド径を5.0μm、コア径を3.3μm、長さを10mとした。このTDFを用いて、2波励起、反射型励起で励起を行った。波長1050nm帯の励起光を発する励起光源として、励起パワーが2Wのファイバレーザ光源を用い、波長1600nm帯の励起光を発する励起光源として、波長1610nm、励起パワーが115mWの半導体レーザを用いた。
【0020】
図8に、この広帯域複合光増幅器の利得特性を示す。EDFAのみではS−バンドの波長帯域において十分な利得が得られず、TDFAのみではC−バンドの波長帯域の利得が得られないのに対して、TDFAとEDFAとを直列接続した本発明の広帯域複合光増幅器においては、EDFを波長980nm帯の励起光で励起することによって、1470nmより長波長の波長帯域において利得が得られるとともに、TDFAのみでは損失を生じる1535nmより長波長の波長帯域においてもEDFによってその損失が補われている。1480nmから1560nmまでの波長帯域において10dB以上の利得が得られている。
図9に利得等化器を用いて利得等化を行った結果を示す。利得等化器として表1に示す長周期ファイバグレーティングを各2個ずつ用いた。図12にこの長周期ファイバグレーティングの損失スペクトルを示す。
【表1】
Figure 0004846136
利得等化によって、1480nmから1560nmまでの波長帯域において10dB以上の利得がほぼ連続的に得られ、この波長帯域にわたる利得の最大値と最小値との差である利得の平坦度は1.5dB以下となっている。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、EDFAからなる第1の光ファイバ増幅器とTDFAからなる第2の光ファイバ増幅器とを直列に接続し、EDFを波長980nm帯の励起光で励起することに加え、第2の光ファイバ増幅器に対して、波長1050nm帯と波長1600nm帯の励起光を合波して入射して信号光を増幅することによりS―バンドとC−バンドとにわたる広い波長帯域の信号光を連続的に増幅することが可能な広帯域複合光増幅器を実現することができる。また、第1の光ファイバ増幅器と第2の光ファイバ増幅器とを直列に接続して広帯域複合光増幅器を構成するため、部品点数を少なくして広帯域複合光増幅器を実現することができる。
さらに、本発明によると、第1の光ファイバ増幅器と第2の光ファイバ増幅器とを直列に接続したものに対して、波長1600nm帯の信号光を増幅するための第3の光ファイバ増幅器を並列に接続することにより、S−バンド、C−バンドで連続的に増幅することが可能な広帯域複合光増幅器において、L−バンドの光を付加的に増幅することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の広帯域複合光増幅器の例を示す図である。
【図2】TDFAとEDFAとを多段に直列接続して広帯域複合光増幅器を構成した例を示す図である。
【図3】TDFAの構成を示す図である。
【図4】EDFAの構成を示す図である。
【図5】アイソレータを光ファイバの入出力端に挿入してEDFAを構成した例を示す図である。
【図6】利得等化器を用いて広帯域複合光増幅器を構成した例を示す図である。
【図7】EDFAとTDFAとを直列に接続したものに対して、波長1565nmから波長1625nmまでの波長帯域の信号光を増幅するための光ファイバ増幅器を並列に接続して広帯域複合光増幅器を構成した例を示す図である。
【図8】EDFAの利得特性、TDFAの利得特性、及び本発明の広帯域複合光増幅器の利得特性を示す図である。
【図9】利得等化器を用いて利得等化を行った結果を示す図である。
【図10】従来の広帯域複合光増幅器の構成を示す図である。
【図11】従来の広帯域複合光増幅器の増幅特性を示す図である。
【図12】長周期ファイバグレーティングの損失スペクトルを示す図である。
【符号の説明】
1…第1の光ファイバ増幅器、2…第2の光ファイバ増幅器、
4…第3の光ファイバ増幅器、
13…第1の励起光源、15…第2の励起光源、16…TDF、
33…励起光源、34…EDF、40…アイソレータ、
41…利得等化器、

Claims (7)

  1. エルビウムをコアに添加した第1の光ファイバを利得媒体とし、この第1の光ファイバに信号光と波長980nm帯の励起光とを合波して入射して、波長1550nm帯の信号光を増幅する第1の光ファイバ増幅器を信号光の入力部に配置し、
    前記第1の光ファイバ増幅器の出力部に、ツリウムをコアに添加したシリカ系又はフッ化物系光ファイバである第2の光ファイバを利得媒体とし、この第2の光ファイバに信号光と波長1050nm帯と1600nm帯の励起光とを合波して入射して、波長1480nm帯の信号光を増幅する第2の光ファイバ増幅器を接続してなり、
    1480nmから1560nmまでの波長帯域において連続して10dB以上の利得を有することを特徴とする広帯域複合光増幅器。
  2. 前記第1の光ファイバ増幅器と前記第2の光ファイバ増幅器は、前記励起光を前記信号光の進行方向と同じ方向に入射して励起する前方向励起、前記励起光を前記信号光の進行方向と逆の方向に入射して励起する後方向励起、又は前記励起光を前記信号光の進行方向に対して同じ方向と逆の方向の双方向から入射して励起する双方向励起のいずれかの励起手段により前記信号光の増幅を行うことを特徴とする請求項1に記載の広帯域複合光増幅器。
  3. 前記第1の光ファイバ増幅器は、前記第1の光ファイバへ入射した前記信号光と前記励起光とを前記第1の光ファイバの出射側において反射し、その戻り光を該第1の光ファイバへ再び入射する手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の広帯域複合光増幅器。
  4. 前記第2の光ファイバ増幅器は、前記第2の光ファイバへ入射した前記信号光と前記励起光とを前記第2の光ファイバの出射側において反射し、その戻り光を該第2の光ファイバへ再び入射する手段を備えたことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の広帯域複合光増幅器。
  5. 前記第1の光ファイバと前記第2の光ファイバの一方又は両方の入出力端に反射光抑制のための光アイソレータを設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の広帯域複合光増幅器。
  6. 前記第1の光ファイバ増幅器と前記第2の光ファイバ増幅器の一方又は両方に利得等化器を設けたことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5に記載の広帯域複合光増幅器。
  7. 前記第1の光ファイバ増幅器と前記第2の光ファイバ増幅器とを直列接続したものに対して、波長1600nm帯の信号光を増幅するための第3の光ファイバ増幅器を並列に接続したことを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6に記載の広帯域複合光増幅器。
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