JP4845535B2 - 熱圧成型用離型剤組成物とボードの製造方法 - Google Patents

熱圧成型用離型剤組成物とボードの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、二塩基酸、多価アルコール、および飽和脂肪酸を反応させて生成させたポリエステル化合物を必須成分とする離型剤組成物と、該離型剤組成物と有機ポリイソシアネ−ト化合物とからなる接着剤、更に該離型剤組成物を用いた熱圧成型によるボ−ドの製造方法に関すものである。
従来、パーティクルボード、ウェイファーボード、OSB、インシュレーションボード、ハードボード、中質繊維板や籾殻を成型してなる籾殻ボードやコーリャン茎を成型してなるコーリャンボード等のリグノセルロース類のボードや、無機材料を原料として製造される無機ボード(以下ボードという)の熱圧成型用の接着剤またはバインダーとしては、熱硬化性である尿素樹脂、メラミン樹脂、尿素メラミン樹脂、メラミン尿素樹脂、フェノール樹脂、メラミンフェノール樹脂(以下ホルマリン系接着剤という)が広く利用されている。これらのホルマリン系接着剤は安価で接着力に優れ、比較的短時間で硬化するという性質を有する。しかし、これらのホルマリン系接着剤の熱圧成型後の製品から放出されるホルマリンが環境上問題視されている。従来その対策としては、放出されるホルマリンを低減化させるため、実際の使用に当ってはホルマリン系樹脂中の遊離ホルマリン量を低減したり、ホルマリン系接着剤の配合時に、ホルマリンキャッチャー剤が添加されている。だが、これらの方策は製造工程の負担を大きくするだけでなく、実効性の点において必ずしも万全ではない。
一方、別の手段として、非ホルマリン系接着剤を使用することが検討されており、たとえば具体的にも、イソシアネート系接着剤のボード製造への利用が提案されている(特許文献1、2)。しかし、ボード熱圧成形用接着剤としてイソシアネート系接着剤を用いて熱圧成型すると、その優れた過度の接着性の故に熱盤表面への付着を生じ、その結果、熱盤からの付着物の除去には多大な労力を費やすとともに、除去後の成型物は損傷し、商品としての価値を損失してしまう。
このような付着の問題を解決するため、有機イソシアネートへの配合成分として、金属からの離型性を向上させる添加剤(内部離型剤と称する)、例えばアルキルリン酸塩またはピロリン酸塩(特許文献3)、ワックスおよび液体エステル(特許文献4)、脂肪族カルボン酸(特許文献5)が提案されている。
また、離型剤を直接熱盤へ熱圧前に塗布(外部離型剤と称する)しておくことも考えられており、例えば、金属石鹸を用いた離型層の形成(特許文献6)が提案されている。
しかし、これらの方法によって十分な効果を得るためにはリグノセルロース類や無機材料中への大量の添加や熱盤への多量の離型剤の塗布が必須となり、このことによって出来上がったボードの物性の低下が生じることになる。また、外部離型剤の単独の使用では表面の耐久性に問題があり、頻繁な外部離型剤の塗布が必要となり、特に多段プレスでの使用は多大な労力を要し、生産性に欠けることになる。そして、ワックスや離型剤の大量の添加や塗布により、出来上がったボード表面の濡れ性が低下し、二次加工用途への使用は困難となる。
なお、ポリウレタン成型時の離型剤として、少なくとも1種の脂肪族、芳香族、脂環式もしくは2量体式二酸と、少なくとも1種の直鎖もしくは分枝鎖の脂肪族モノアルコールとの少なくとも1種のジエステルからなる離型剤(特許文献7)が提案されているが、一般的なポリウレタン樹脂の離型剤として好適であるものの、ボードを熱圧成型する際のように高温で使用する場合には効果が少なく、良好な離型が得られない。
また、低融点低密度ポリエチレンを用いた接着剤組成物(特許文献8)が提案されている。たが、確かに離型性は優れるものの、高温で連続使用した場合、低融点低密度ポリエチレン自体がの熱安定性に欠け、連続して安定した離型性を得るにはまだ十分ではない。
以上のような従来のいずれの方法においても種々の問題があり、実際の現場では長期に耐えうるものではなく、現在のところ満足できる技術は殆ど確立されているのが実情である。一部の工場では、熱盤に接触しない内部の層に有機イソシアネートを使用し、熱盤に接触する表裏部分へは従来のホルムアルデヒド系接着剤を使用することを試みられているが、ホルマリン対策としては満足できるものでなく、またボードの製造、その性能の点においても実用的とは言い難い。
特開昭57−131538号公報 特開昭57−147567号公報 特開昭56−137950号公報 特開平04−232004号公報 特開昭58−36430号公報 特開昭52−154875号公報 特開平11−315154号公報 特開平11−71566号公報
本発明は、上記のような背景から、従来技術の問題を解決し、熱圧成型の際に熱盤から容易にリグノセルロース類および無機材料を用いたボードを恒久的に離型させることができ、離型性、そして生産性に優れているとともに、熱盤での熱劣化が極めて起こりにくく耐熱性に優れている離型剤組成物や接着剤を提供し、これを用いての、二次加工性、吸水膨張率、曲げ弾性率に優れた、リグノセルロース類を含む成型用材料の熱圧成型によるボードの製造方法を提供することを課題としている。
本発明者らは鋭意研究の結果、リグノセルロース類や無機材料を主原料とした熱圧成型ボードの製造方法に関し、その接着剤に使用する離型剤成分として特有のポリエステル化合物と低密度ポリエチレンを使用することによって熱盤からの恒久的に良好な離型性が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。
即ち本発明に関わる離型剤組成物は、第1には、多価アルコール(A),二塩基酸(B),および飽和脂肪酸(C)をそのモル比が(A):(B):(C)=1:0.5〜1:2〜3の割合で反応させることにより生成させたポリエステル化合物(I)と低密度ポリエチレン(II)を、(I):(II)=1:4〜4:1の重量比で含有していることを特徴としている。
第2には、上記のポリエステル化合物の(I)120℃における粘度が15〜100mPa・sの範囲にあることを特徴としている。
第3には、上記のポリエステル化合物(I)のゲル浸透クロマトグラフィーによる数平均分子量(Mn)が、単分散ポリスチレン換算で2500〜5000の範囲にあることを特徴としている。
第4には、上記いずれかの離型剤組成物が水に分散されたものであることを特徴としている。
第5には、上記離型剤組成物と有機ポリイソシアネ−ト化合物の接着剤。
そして、以上いずれかの離型剤や接着剤を用いる本発明のボードの製造方法としては以下のことを特徴としている。
第1には、リグノセルロース類や無機材料からなる成型用材料を熱圧成形する際に、有機ポリイソシアネート化合物(D)とともに、上記の離型剤組成物を成型用材料に混合して成型することを特徴としている。
第2には、上記離型剤組成物を外部離型剤としてコール盤もしくはコール盤と熱圧プレス表面に塗布して熱圧成型することを特徴としている。
第3には、上記第2の特徴の方法において、離型剤組成物をリグノセルロ−ス類や無機材料からなる成型用材料に混合する手段を併用することを特徴としている。
本発明によると、上記のとおりの特徴によって、リグノセルロース類や無機材料を用いたボードを製造する際に、熱盤から容易にボードを離型させることができ、多段プレスや連続プレスを用いた連続的なボードの製造を安定して行うことができる。
そして二次加工性、吸水膨張率、曲げ弾性率に優れたリグノセルロース類や無機材料を用いたボードを高い生産性で製造することが可能になる。
本発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
まず、本発明離型剤組成物について説明する。
(ポリエステル化合物)
本発明の離型剤組成物で使用するポリエステル化合物はその構成原料のモル比率が一定の範囲にあることが必要であり、その比率はポリエステル化合物の粘度と分子量に密接な関係がある。
ポリエステル化合物を反応によって構成する多価アルコール(A),二塩基酸(B),飽和脂肪酸(C)のモル比率は(A):(B):(C)=1:0.5〜1:2〜3の範囲にあることが重要である。多価アルコール(A)に対する二塩基酸(B)のモル比率が0.5未満の場合は十分な重合度のポリエステル化合物が得られず、離型性が不足する。反対に1を越える場合は重合が進みすぎ、内添離型剤として使用する場合、熱板への移行が速やかに行われず、結果的に離型性が不足する。また多価アルコール(A)に対する飽和脂肪酸(C)の比率が2未満の場合は、ポリエステル化合物の重合が進みすぎ、3より大きい場合は十分な重合度が得られないため、前記同様の理由で離型性が不足する。
そして、120℃におけるポリエステル化合物の粘度は15〜100mPa・sの範囲が好ましく、この粘度の範囲で良好な離型効果が得られる。またポリエステル化合物の分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定できるが、ポリエステル化合物の数平均分子量(Mn)は2500〜5000の範囲が好ましい。この重量平均分子量の範囲で良好な離型効果が得られる。
本発明において使用する多価アルコール(A)としてはグリセリン、ジグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどの3官能以上で炭素数3以上10以下の脂肪族多価アルコールが好適なものの例として挙げられる。
二塩基酸(B)としてはシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、フタル酸 等の、通常、炭素数が2以上10以下の鎖状或いは脂環式、芳香環式の二塩基酸が好適なものの例として挙げられる。
また、飽和脂肪酸としてはカプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸等の炭素数10以上28以下の飽和脂肪酸が好適なものの例として挙げられる。
多価アルコール(A)、二塩基酸(B)並びに飽和脂肪酸(C)の反応では、通常は、温度:100〜200℃、反応時間:2〜8時間、反応雰囲気:窒素置換、触媒を用いる場合には、p-トルエンスルホン酸等を触媒することが条件として考慮される。
(低密度ポリエチレン)
本発明の離型剤組成物において使用する低密度ポリエチレンは常温密度が0.96g/cm以下でワックス状のものであれば特に制限は無いが、水分散のし易さを勘案すると低融点であることが好ましい。このような低密度ポリエチレンの例としては例えばWEISSEN−0252C(日本精蝋(株)製,融点73℃)やWEISSEN−0453(日本精蝋(株)製,融点55℃)などが挙げられる。
(離型剤組成物)
本発明の離型剤組成物は、上記のとおりのポリエステル化合物と低密度ポリエチレンとを必須成分として含有するものであって、その組成比は、ポリエステル化合物(I)と低密度ポリエチレン(II)とが、(I):(II)=1:4〜4:1の重量比の範囲内にあるものとする。ポリエステル化合物(I)の割合がこの範囲よりも少ない場合には組成物は熱安定性に欠けたものとなり、逆に過剰量の場合には離型性が悪くなり、ボ−ドの生産性が悪くなる。また、離型性が悪くなることにより、出来上がったボ−ドの商品価値も無くなる。
本発明の離型剤組成物は、上記のポリエステル化合物(I)と低密度ポリエチレン(II)のみによって構成されてもよいし、さらに本発明の目的、効果を阻害しない限り、他の添加成分を配合してもよい。たとえば添加成分としては乳化剤や分散剤等が考慮される。ただし、これら添加成分の配合は、全体量の10重量%以下に抑制されることが望ましい。
本発明の離型剤組成物の使用方法としては、ボードとコール盤(及び熱圧プレス表面(プラテン))の間に存在すれば良く、その方法・形態は限定されない。例えばコール盤(及び熱圧プレス表面(プラテン))表面に直接塗布してもよいし、原料エレメント(例えばパーティクルボードの場合はチップ、MDFなどの繊維板の場合はファイバー、OSBではストランド、無機ボードの場合は無機粉粒体など)と混合して使用してもよい。混合する場所はリグノセルロースボードの場合エレメントの乾燥前でもよいし、接着剤と同時期にブレンダーやブローライン(MDFの場合)で混合してもよい。通常、接着剤と混合して使用するのが望ましい。
ボードの製法で詳しく説明するが、リグノセルロース材料や無機材料を原料として得られるボードが1層構造以外の場合、内部離型剤として使用する場合、コスト的、経済的にも表層に離型剤組成物を使用することが好ましい。
連続した離型効果を得るためには、ポリエステル化合物(I)および低密度ポリエチレン(II)含有の組成物は水分散液として使用することが好ましく、レーザー式粒子径測定装置による粒子径が100〜1000nmとするのが更に好ましい。また、水分散液を接着剤組成物へ混合して使用するのが工業的に望ましい。
また、内部離型剤として使用する場合には、コール盤及び熱圧プレス表面への離型剤の移動する量が不足するため、予め事前にコール盤及び熱圧プレス表面へ、本発明の離型剤組成物を塗布しておくと更に好ましい。
水中に分散する方法としては一般的なワックスエマルジョン製造の方法が適用される。水もしくは分散剤を含む水中にポリエステル化合物および低密度ポリエチレンを溶融後攪拌添加しても良いし、ボールミル等の粉砕機を用いて機械的に強制分散してもよい。
(ボードの製法)
本発明でのボードの製造方法では、リグノセルロース類や無機材料のチップが用いられるが、リグノセルロース材料としては、パーティクルボードや、OSB(オリエンテッド・ストランド・ボード)、ウェイファーボード、LSL(ラミネーテッド・ストランド・ランバー)に使用される木質削片であるストランドチップ、ダストチップ、フレークチップや、ハードボード、MDF、インシュレーションボードに使用されるファイバー及びコーリャン茎、バガス、籾殻、稲草、麦草等の農産物が例として挙げられる。これらの原料は単独で使用しても良いし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
一方、無機材料としては、例えばロックウール、真珠岩、黒曜岩、ヒル石、シラス等を加熱発泡させた多孔質のパーミライトやバーミキュライト、発泡シラス、ガラスやアルミナ、フライアッシュ、硅砂、貢岩等を原料とし微小中空体としたガラスバルーン、シラスバルーン等である。軽量な成型体を得るためには、無機質含泡粒子のかさ密度は、0.3g/cm3以下が望ましい。無機質含泡粒子は、結合剤との接着性を向上させるため、シランカップリング剤等を用いた表面処理を行った物でもよい。
また、本発明のリグノセルロース材料及び無機材料を原料として得られるボードは、1層構造或いは、表層、芯層、表層の構造からなる3層構造、或いは、表層2層以上、芯層2層以上、表層2層以上の構造からなる多層構造が例として挙げられるが、特に限定はない。更に、リグノセルロース材料や無機材料を混合或いは、リグノセルロース材料、無機材料、リグノセルロース材料、或いは無機材料、リグノセルロース材料、無機材料の様にランダムに多層構造として使用することもできる。
本発明のボードの製造において実質的な接着剤成分として用いられるのは、有機ポリイソシアネート化合物である。離型剤組成物であるポリエステル化合物、低密度ポリエチレンは離型剤成分である。
本発明に用いられる有機ポリイソシアネート化合物(D)としては、ポリウレタンなどの製造に通常使用されるイソシアネート基を有する化合物であれば特に限定されない。たとえば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、およびこれらのイソシアネートの誘導体や変性体などが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、たとえば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−または2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエートなどの脂肪族ジイソシアネート;リジンエステルトリイソシアネート、1,4,8−トリイソジアネートオクタン、1,6,11−トリイソシアネートウンデカン、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−トリイソシアネートヘキサン、3,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアネート−5―イソシアネートメチルオクタンなどの脂肪族トリイソシアネートなどが挙げられる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、たとえば、1,3−シクロペンテンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(以下、イソホロンジイソシアネートともいう。)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−または1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(以下、水添キシリレンジイソシアネートともいう。)もしくはその混合物、ノルボルナンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート;1,3,5−トリイソシアネートシクロヘキサン、1,3,5−トリメチルイソシアネートシクロヘキサン、2−(3−イソシアネートプロピル)−2,5−ジ(イソシアネートメチル)−ビシクロ(2,2,1)ヘプタン、2−(3−イソシアネートプロピル)−2,6−ジ(イソシアネートメチル)−ビシクロ(2,2,1)ヘプタン、3−(3−イソシアネートプロピル)−2,5−ジ(イソシアネートメチル)−ビシクロ(2,2,1)ヘプタン、5−(2−イソシアネートエチル)−2−イソシアネートメチル−3−(3−イソシアネートプロピル)―ビシクロ(2,2,1)ヘプタン、6−(2−イソシアネートエチル)−2−イソシアネートメチル−3−(3−イソシアネートプロピル)―ビシクロ(2,2,1)ヘプタン、5−(2−イソシアネートエチル)−2−イソシアネートメチル−2−(3−イソシアネートプロピル)−ビシクロ(2,2,1)−ヘプタン、6−(2−イソシアネートエチル)−2−イソシアネートメチル−2−(3−イソシアネートプロピル)−ビシクロ(2,2,1)ヘプタンなどの脂環族トリイソシアネートなどが挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、たとえば、1,3−または1,4−キシリレンジイソシアネートもしくはその混合物、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,3−または1,4−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン(以下、テトラメチルキシリレンジイソシアネートともいう。)もしくはその混合物などの芳香脂肪族ジイソシアネート;1,3,5−トリイソシアネートメチルベンゼンなどの芳香脂肪族トリイソシアネートなどが挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、たとえば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、2,4−または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIともいう。)もしくはその混合物、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネート(以下、TDIともいう。)もしくはその混合物、4,4’−トルイジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート;トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、2,4,6−トリイソシアネートトルエンなどの芳香族トリイソシアネート;4,4’−ジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネートなどの芳香族テトライソシアネートなどが挙げられる。
また、これらのポリイソシアネートの誘導体としては、たとえば、上記ポリイソシアネートのダイマー、トリマー、ビウレット、アロファネート、カルボジイミド、ウレトジオン、オキサジアジントリオン、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(以下、クルードMDIもしくはポリメリックMDIともいう。)およびクルードTDIなどが挙げられる。
上記ポリイソシアネートの変性体としては、たとえば、上記ポリイソシアネートやポリイソシアネートの誘導体と、後述する低分子量ポリオールまたは低分子量ポリアミンとを、イソシアネート基が残存するように、すなわち、ポリイソシアネートまたはその誘導体のイソシアネート基が、低分子量ポリオールの水酸基または低分子量ポリアミンのアミノ基よりも過剰となる割合で反応させることによって得られるイソシアネートのポリオール変性体やポリアミン変性体などが挙げられる。
これらの有機ポリイソシアネート化合物は、1種単独で用いてもよく、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記例示した有機ポリイソシアネート化合物のうち、芳香族ジイソシアネートが好ましく、より好ましくはポリメリックMDIが用いられる。
(接着剤)
前記離型剤組成物と有機ポリイソシアネ−ト化合物とからなる接着剤で、離型剤組成物の有効成分と有機ポリイソシアネ−ト化合物の全乾重量比が1:50〜3000の範囲であり、好ましくは1:100〜2000の範囲である。離型剤組成物の有効成分1重量部に対し有機ポリイソシアネ−ト化合物の全乾重量比に対し3000重量部を越えると十分な離型効果が得られにくい傾向にあり、50重量部未満であると良好な離型性は得られるものの、出来上がった製品の二次加工後製品のピ−ル強度、耐水性や密着性等の物理的な強度が得られにくい。また、50重量部未満の場合接着剤中の離型剤組成物量が多くコスト的にも無駄である。
接着剤とリグノセルロース材料または無機材料との使用比率は、接着剤中の有効成分である有機ポリイソシアネート化合物(D)とリグノセルロース系材料または無機系材料とが全乾重量比で2:100〜30:100の範囲であり、好ましくは3:100〜20:100の範囲である。有機ポリイソシアネート化合物(D)が、リグノセルロース材料または無機材料100重量部に対して、2重量部未満では接着剤としての効果が得られにくい傾向にあり、30重量部で十分なボード物性が得られるため、30重量部を超える量の接着剤を使用してもコスト的、工業的にも無駄である。
本発明において、有機ポリイソシアネート化合物(D)、水分散離型剤組成物を混合液とする場合に使用する混合機としては公知のものが採用できるが、本発明においては下記の混合機を使用することが好ましい。
本発明に使用することのできる混合機としてのインラインミキサーはスタティックタイプのミキサーでもよいし、パイプライン中にローター/ステーターを有する機械式のミキサーでもよい。さらに高圧で各液を衝突させ混合するタイプでもよい。各機械の例を述べると、スタティック型ではケニックス型、ゴーリン社製ハイドロシャー、ラモンド社製ラモンドミキサー、機械式ミキサーでは特殊機化工業製TKホモミックラインミル、荏原機械製エバラマイルダーなどがあげられる。高圧衝突混合型では一般的なポリウレタン用高圧注入機や高圧発泡機、またはポリウレタン用高圧スプレー塗装機で代用可能である。具体的には丸加化工機製MEG−HKシリーズ、GUSMER社製H−2000などが挙げられる。しかしながら、混合機には多くの種類があり、本発明は上記混合機に限定されるものではない。またパーティクルボードなど、原料に廃材チップを使用するタイプのリグノセルロースボードの場合、接着剤から発生するホルムアルデヒドはないが、原料となる廃材チップからホルムアルデヒドが発生する。また、本発明記載の接着剤と従来のホルムアルデヒド系接着剤を併用して使用する場合もあり、この場合ボードからの放散ホルムアルデヒドはゼロではない。従って、このような時には、このホルムアルデヒドを減少させる目的で表層および/または芯層部にホルムアルデヒドキャッチャーを添加するのは有効である。ホルムアルデヒドキャッチャーとしては、ホルムアルデヒドと反応するものであれば何でも有効であり、酸のアンモニウム塩、アルカリ金属の亜硫酸塩なども有効である。さらにその中でもアミノ基を有する例えば尿素、グアニル尿素、メラミン、アンモニア等が好ましい。添加する方法としては、ボード製造時にボード中に存在すれば良く、接着剤中に添加しても良いし、乾燥前の材料エレメント、ブレンダー中の材料エレメントに添加し混合するのも有効である。
本発明中の有機ポリイソシアネート化合物(D)には所望の効果を阻害しない範囲で目的に応じてアミン触媒、硬化促進剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、可塑剤、シランカップリング剤、金属触媒、合成または天然ゴムラテックス、アクリル系エマルション、酢ビエマルション、溌水剤、消泡剤等を併用してもよい。
そこで、実施例を説明する。もちろん、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
実施例1においては、本発明の離型剤組成物の製造とその熱安定性能について比較例とともに説明する。
(ポリエステル化合物の調製)
多価アルコール、二塩基酸、飽和脂肪酸を表−1の内容で配合し、反応温度160〜200℃、反応時間8〜10時間、触媒としてテトラ−n−ブチルオルソチタネートを使用して反応させ、表1に示した本発明のポリエステル化合物1−4を得た。このポリエステル化合物について、粘度、数平均分子量を測定し、その結果も表1に示した。
また、比較のためのポリエステル化合物5の場合も表1に示した。
(測定の方法)
粘 度・・・JIS K6662による120℃での粘度
数平均分子量・・・ゲル浸透クロマトグラフィーによる単分散ポリスチレン換算分子量
Figure 0004845535
(離型剤の製造)
上記のポリエステル化合物1を500gと低密度ポリエチレン(日本精蝋製、商品名:WEISSEN−0453)500gを2Lフラスコに入れ、オイルバスで80℃まで加熱溶融し均一分散し、冷却して表2に示した実施例1−1のとおりの離型剤組成物を得た。
また、上記のポリエステル化合物1〜5各々の180gと低密度ポリエチレン(日本精蝋製、商品名:WEISSEN−0453)180gを2Lフラスコに入れ、分散剤としてα−オレフィン・無水マレイン酸共重合物(三菱化学製、商品名:ダイヤカルナ30)40gを加え、オイルバスで80℃まで加熱溶融した。別に1Lビーカーに蒸留水580gを入れ、モルホリン(日本分散剤製)20gを投入し、これをオイルバスで80℃に加熱した。次にポリエステル化合物等の溶解液を攪拌しながらモルホリン水溶液をフラスコ中に添加した。モルホリン水溶液を添加終了後、水分散物をさらにホモミキサー(特殊機化工業(株)製、商品名:TK−1000)にて乳化し、微分散体を得て、これを冷却し有効成分36%の表2の実施例1−2から実施例1−5並びに比較例1−1の水分散離型剤組成物を得た。
さらに、上記のポリエステル化合物5を500gと低密度ポリエチレン(日本精蝋製、商品名:WEISSEN−0453)500gを2Lフラスコに入れ、オイルバスで80℃まで加熱溶融し均一分散し、冷却して比較例1−2の離型剤組成物を得た。
Figure 0004845535
(熱安定性の評価)
熱盤上にコール盤を敷き、予め220℃に温めておいたコール盤上に実施例1−1から1−5並びに比較例1−1と1−2の離型剤組成物、さらには、ポリエステル化合物の調製で得られたポリエステル化合物1〜5、低密度ポリエチレン(日本精蝋製、商品名:WEISSEN−0453)の各々を50g載せガラス棒にて攪拌し、5cm各内に均一に延ばす、1時間放置し、離型剤組成物の粘性を観察した。それぞれ比較例1−3から1−8とした。均一に延ばした時の粘性と同等の場合「○」印で、増粘樹脂化が若干進みコール盤上から綿布にて(どうにか)拭き取れる場合「△」印、増粘し樹脂化が進みコール盤上から綿布にて拭き取れない場合「×」印で表3に表示した。
Figure 0004845535
<実施例2>
実施例1において製造した離型剤組成物を用いてボードを製造した。以下、その例を説明する。
(ボード製造条件)
以下に性能評価用ボード製造条件を述べる。
原料:ファインチップ(表層用 鋸屑状の木片)、ストランドチップ(芯層用 ストランド状木片)、ロックウール それぞれ含水率3%に調整
設定厚み:18mm
熱圧温度:210℃
プレス圧力:3.0MPa
プレス時間:4分
(実施例2−1)
ファインチップ固形分に対し、有機ポリイソシアネート(三井武田ケミカル(株)製 商品名コスモネート M−50W)が10%になる量を計量し、ファインチップ固形分に対し、マット含水率12%になる量の水及び、内部離型剤として実施例1−2で得られた離型剤組成物有効成分で0.3%になる量の離型剤を混合し、それぞれをブレンダー中のファインチップへスプレーガンを用いて噴霧塗布した。噴霧後のチップを成型後のボード密度が0.75になるよう計量し、予め150℃コール盤上に外部離型剤として実施例1−1で得られた離型剤組成物を均一塗布し冷却しておいた鋼製コール盤に上に40cm×40cmの大きさに均一にフォーミングし、更に予め150℃コール盤上に外部離型剤として実施例1−1で得られた離型剤組成物を均一塗布し冷却しておいた鋼製のコール盤をかぶせ、上記ボード製造条件で熱圧プレスした。繰り返し100回プレスしたが、熱盤への付着は全く認められなかったので試験を終え、離型試験に要したボード5枚を通風の良い所へ1週間放置後、後述評価試験を実施し、離型試験及び評価試験結果を表4に表示した。
(実施例2−2)
表層用ファインチップ固形分に対し、有機ポリイソシアネート(三井武田ケミカル(株)製 商品名コスモネート M−250W)が9%になるよう計量し、ファインチップ固形分に対し、マット含水率12%になる量の水及び、内部離型剤として実施例1−3で得られた離型剤組成物有効成分で0.5%になる量の離型剤を混合し、それぞれをブレンダー中の表層用ファインチップへスプレーガンを用いて噴霧塗布した。
次いで、芯層用ストランドチップ固形分に対し、有機ポリイソシアネート(三井武田ケミカル(株)製 商品名コスモネート M−250W)が6%になるよう計量し、ストランドチップ固形分に対し、マット含水率6%になる量の水を計量し、それぞれをブレンダー中の芯層用ファインチップへスプレーガンを用いて噴霧塗布した。
噴霧後のチップを成型後のボード密度が0.75、表層が固形分重量として40%、芯層が固形分重量として60%になるよう計量し、鋼製コール盤上に40cm×40cmの大きさに予め計量しておいた表層ファインチップの半量、芯層ストランドチップ、表層ファインチップの半量の順に均一にフォーミングし、更に鋼製のコール盤をかぶせ、上記ボード製造条件で熱圧プレスした。繰り返し100回プレスしたが、熱盤への付着は全く認められなかったので試験を終え、離型試験に要したボード5枚を通風の良い所へ1週間放置後、後述評価試験を実施し、離型試験及び評価試験結果を表4に表示した。
(実施例2−3)
表層用ロックウール固形分に対し、有機ポリイソシアネート(三井武田ケミカル(株)製 商品名コスモネート M−50)が12%になるよう計量し、ファインチップ固形分に対し、マット含水率12%になる量の水及び、内部離型剤として実施例1−4で得られた離型剤組成物有効成分で0.4%になる量の離型剤を混合し、それぞれをブレンダー中の表層用ロックウールへスプレーガンを用いて噴霧塗布した。
次いで、芯層用ストランドチップ固形分に対し、有機ポリイソシアネート(三井武田ケミカル(株)製 商品名コスモネート M−50)が5%になるよう計量し、ストランドチップ固形分に対し、マット含水率5.5%になる量の水を計量し、それぞれをブレンダー中の芯層用ファインチップへスプレーガンを用いて噴霧塗布した。
噴霧後のチップを成型後のボード密度が0.75、表層が固形分重量として35%、芯層が固形分重量として65%になるよう計量し、鋼製コール盤上に40cm×40cmの大きさに予め計量しておいた表層ロックフールの半量、芯層ストランドチップ、表層ロックウールの半量の順に均一にフォーミングし、更に鋼製のコール盤をかぶせ、上記ボード製造条件で熱圧プレスした。繰り返し100回プレスしたが、熱盤への付着は全く認められなかったので試験を終え、離型試験に要したボード5枚を通風の良い所へ1週間放置後、後述評価試験を実施し、離型試験及び評価試験結果を表4に表示した。
(実施例2−4)
ストランドチップ固形分に対し、有機ポリイソシアネート(三井武田ケミカル(株)製 商品名コスモネート M−300)が9.5%になる量を計量し、ストランドチップ固形分に対し、マット含水率10%になる量の水及び、内部離型剤として実施例1−5で得られた離型剤組成物有効成分で0.3%になる分の離型剤を混合し、それぞれをブレンダー中のファインチップへスプレーガンを用いて噴霧塗布した。噴霧後のチップを成型後のボード密度が0.75になるよう計量し、予め150℃コール盤上に外部離型剤として実施例1−5で得られた離型剤組成物を均一塗布し冷却しておいた鋼製コール盤に上に40cm×40cmの大きさに均一にフォーミングし、更に予め150℃コール盤上に外部離型剤として実施例1−5で得られた離型剤組成物を均一塗布し冷却しておいた鋼製のコール盤をかぶせ、上記ボード製造条件で熱圧プレスした。繰り返し100回プレスしたが、熱盤への付着は認められなかったので試験を終え、離型試験に要したボード5枚を通風の良い所へ1週間放置後、後述評価試験を実施し、離型試験及び評価試験結果を表4に表示した。
(実施例2−5)
ファインチップ固形分に対し、有機ポリイソシアネート(三井武田ケミカル(株)製 商品名コスモネート M−250W)が11%になる量を計量し、ファインチップ固形分に対し、マット含水率12%になる量の水及び、予め粉砕機を用い0.7mm以下に微粉砕しておいた実施例1−1で得られた離型剤組成物有効成分で0.4%となる量をホモミキサー(特殊機化工業(株)製、商品名:TK−1000)にて水分散させ、それぞれをブレンダー中のファインチップへスプレーガンを用いて噴霧塗布した。噴霧後のチップを成型後のボード密度が0.75になるよう計量し、予め150℃コール盤上に外部離型剤として実施例1−1で得られた離型剤組成物を均一塗布し冷却しておいた鋼製コール盤に上に40cm×40cmの大きさに均一にフォーミングし、更に予め150℃コール盤上に外部離型剤として実施例1−1で得られた離型剤組成物を均一塗布し冷却しておいた鋼製のコール盤をかぶせ、上記ボード製造条件で熱圧プレスした。繰り返し100回プレスしたが、熱盤への付着は全く認められなかったので試験を終え、離型試験に要したボード5枚を通風の良い所へ1週間放置後、後述評価試験を実施し、離型試験及び評価試験結果を表4に表示した。
(比較例2−1)
実施例2−1の内部離型剤に、予め粉砕機を用い0.7mm以下に微粉砕しておいたポリエステル化合物の調製で得られたポリエステル化合物3とマット含水率12%となる水をホモミキサー(特殊機化工業(株)製、商品名:TK−1000)にて水分散させ、それぞれをブレンダー中のファインチップへスプレーガンを用いて噴霧塗布し、外部離型剤として、ポリエステル化合物の調製で得られたポリエステル化合物3を用いた以外は同様の試験を実施した。コール盤表面へ40回目プレス頃より若干付着しはじめ、45回目にはかなりコール盤表面へ付着したため、試験を終えた。更に、異なるコール盤を用い熱圧プレスしたが、1回目試験と同様40回目プレス頃よりコール盤表面へ若干付着し、46回目にはかなりコール盤表面へ付着したため、試験を終え離型回数45回とした。離型試験に要したボード5枚を通風の良い所へ1週間放置後、後述評価試験を実施し、離型試験及び評価試験結果を表4に表示した。
(比較例2−2)
実施例2−1の内部離型剤に、予め粉砕機を用い0.7mm以下に微粉砕しておいた低密度ポリエチレン(日本精蝋製、商品名:WEISSEN−0453)を用い、予め微粉砕しマット含水率12%となる水をホモミキサー(特殊機化工業(株)製、商品名:TK−1000)にて水分散させ、それぞれをブレンダー中のファインチップへスプレーガンを用いて噴霧塗布し、外部離型剤として、低密度ポリエチレン(日本精蝋製、商品名:WEISSEN−0453)を用いた以外は同様の試験を実施した。コール盤表面へ60回目プレス頃より若干付着しはじめ、64回目にはかなりコール盤表面へ付着したため、試験を終えた。更に、異なるコール盤を用い熱圧プレスしたが、1回目試験と同様60回目プレス頃よりコール盤表面へ若干付着し、65回目にはかなりコール盤表面へ付着したため、試験を終え離型回数64回とした。離型試験に要したボード5枚を通風の良い所へ1週間放置後、後述評価試験を実施し、離型試験及び評価試験結果を表4に表示した。
(比較例2−3)
実施例2−1の内部離型剤、外部離型剤を使用しなかった以外は同様の試験を実施した。コール盤表面へ1回目より付着し、そのボードを剥がす作業を行ったが、ボードが芯層部より2つに割れてしまった。更に、異なるコール盤を用い熱圧プレスしたが、1回目試験と同様1回目プレスよりコール盤表面へ付着し、そのボードを剥がす作業を行ったが、ボードが芯層部より2つに割れてしまったため、試験を終え離型回数1回とした。ボードが芯層部より2つに割れてしまったため、物性評価試験は断念した。
(比較例2−4)
実施例2−2の内部離型剤として比較例1−1の離型剤組成物を使用した以外は同様の試験をした。コール盤表面へ1回目のプレスより若干の付着が認められたが、続けて試験を実施し2回目プレスより頑固に付着し、そのボードを剥がす作業を行ったが、ボードが芯層部より2つに割れてしまった。更に、異なるコール盤を用い熱圧プレスしたが、1回目の試験と同様2回目プレスにコール盤表面へ頑固に付着し、そのボードを剥がす作業を行ったが、ボードが芯層部より2つに割れてしまったため、試験を終え離型回数2回とした。ボードが芯層部より2つに割れてしまったため、物性評価試験は断念した。
(比較例2−5)
実施例2−1の内部離型剤に予め粉砕機を用い0.7mm以下に微粉砕しておいた比較例1−2の離型剤組成物、外部離型剤として比較例1−2の離型剤組成物を使用した以外は同様の試験をした。コール盤表面へ1回目のプレスより若干の付着が認められたが、続けて試験しプレスを重ねる毎に付着度合いが増え、3回目プレスより頑固に付着し、そのボードを剥がす作業を行ったが、ボードが芯層部より2つに割れてしまった。更に、異なるコール盤を用い熱圧プレスしたが、1回目の試験と同様プレス毎に付着の度合いが増え、3回目プレスより頑固に付着し、そのボードを剥がす作業を行ったが、ボードが芯層部より2つに割れてしまったため、試験を終え離型回数3回とした。ボードが芯層部より2つに割れてしまったため、物性評価試験は断念した。
(評価試験)
実施例、比較例で得られた試料から『パーティクルボード JIS−A−5908』の試験項目に準じ評価を行った。
1.曲げ強さ
実施例、比較例で得られたボードを幅50mm、長さ320mm(スパン270mm)に試験片を10片裁断し、曲げ強さ試験を行った。結果は、10片の平均曲げ強さとして表4に表示した。
2.湿潤曲げ強さ(A試験)
実施例、比較例で得られたボードを幅50mm、長さ320mm(スパン270mm)に試験片10片を裁断した。次に裁断したボードの厚みを測定後、試験片を70±3℃の温水中に2時間浸せきし、常温水中に1時間浸せきした。濡れたままの状態でボードの厚みを測定後、曲げ強さ試験を行った。結果は10片の平均湿潤A曲げ強度、及び吸水後の10片の厚み変化を70℃吸水厚さ膨張率として表4に表示した。
3.20℃吸水厚さ膨張率
実施例、比較例で得られたボードを幅50mm、長さ50mmの試験片10片を裁断した。次に裁断したボードの厚みを測定後、試験片を20±3℃の水中に24時間浸せきした。濡れたままの状態でボードの厚みを測定した。吸水後厚み変化の10片平均値を20℃吸水厚さ膨張率として表4に表示した。
4.離型性試験
熱圧時、鋼製のコール盤を用い、熱圧後のコール盤のコール盤へのチップの付着状態を目視確認した。この操作を最大100回繰り返し、付着が確認されるまでの回数を記録した。100回以上の場合「○」印で、付着が確認された場合「×」及び付着が確認された回数で表4に表示した。
Figure 0004845535

Claims (7)

  1. リグノセルロース類、無機材料もしくはその混合物からなる成型用材料の熱圧成型用の離型剤組成物であって、多価アルコール(A),二塩基酸(B)および飽和脂肪酸(C)をそのモル比率が(A):(B):(C)=1:0.5〜1:2〜3の割合で反応させることで生成させたポリエステル化合物(I)と低密度ポリエチレン(II)を(I):(II)=1:4〜4:1の重量比で含有していることを特徴とする離型剤組成物。
  2. ポリエステル化合物(I)の120℃における粘度が15〜100mPa・sの範囲にあることを特徴とする請求項1記載の離型剤組成物。
  3. ポリエステル化合物(I)のゲル浸透クロマトグラフィーによる数平均分子量(Mn)が、単分散ポリスチレン換算で2500〜5000の範囲にあることを特徴とする請求項1記載の離型剤組成物。
  4. リグノセルロース類、無機材料もしくはその混合物からなる成型用材料の熱圧成型用の離型剤組成物であって、請求項1から3のいずれかに記載の離型剤組成物が水分散されていることを特徴とする離型剤組成物。
  5. リグノセルロース類、無機材料もしくはその混合物からなる成型用材料の熱圧成型用の接着剤であって、請求項1記載の離型剤組成物と有機ポリイソシアネ−ト化合物(D)とからなる接着剤。
  6. リグノセルロース類、無機材料もしくはその混合物からなる成型用材料を熱圧成型してボードを製造する方法において、請求項1から4のいずれかに記載の離型剤組成物を外部離型剤としてコール盤もしくはコール盤と熱圧プレス表面に塗布して熱圧成型することを特徴とするボードの製造方法。
  7. 請求項6記載の方法において、有機ポリイソシアネート化合物(D)と共に請求項1から4のいずれかに記載の離型剤組成物を成型用材料に混合して熱圧成型することを特徴とするボードの製造方法。
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