JP4844757B2 - 筒内噴射型内燃機関の燃焼制御装置 - Google Patents
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Description
吸気行程噴射では、燃料噴射終了から点火までの間に燃料が十分に拡散されて筒内で空燃比が均一化するので、筒内への燃料噴射量を多くすることができ、出力トルクを大きく確保することができる。一方、圧縮行程噴射では、点火時に筒内での燃料の拡散が比較的少なく成層燃焼が可能となるので、筒内全体の空燃比を抑えて燃費の低減を図ることができる。
内燃機関の始動性に影響する条件としては、機関温度の他に筒内の圧縮圧が考えられる。筒内の圧縮圧は機関回転速度に、特にクランキング時にはクランキング回転速度に関連する。始動時(クランキング時)に吸気行程噴射が採用される場合には、クランキング回転速度が低く圧縮圧が低下したとしても、クランキング回転速度の低下に伴って燃料の気化時間が増加するので、始動性に与える影響が相殺されるため、圧縮圧を考慮して始動時におけるパルス幅を補正しなくとも特に問題は生じない。
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、始動時に圧縮行程噴射を行う筒内噴射型内燃機関において、始動性を向上させるとともに、始動時における排気性能を向上可能な燃焼制御装置を提供することにある。
また、請求項3の発明では、請求項2において、制御手段は、筒内への燃料噴射量の増減補正として、圧縮噴射始動時に実クランキング回転速度が基準クランキング回転速度より低下した場合には、筒内への燃料噴射量を増加することを特徴とする。
本発明の請求項3の筒内噴射型内燃機関の燃焼制御装置によれば、圧縮噴射始動時にクランキング回転速度が低下しても燃料噴射量が増加するので、始動性を向上させることができる。
図1は、本発明に係るエンジン(筒内噴射型内燃機関)1の概略構成図である。
図1に示すように、エンジン1のシリンダヘッド2には、各気筒毎に点火プラグ4とともに電磁式の燃料噴射弁6が取り付けられており、これにより、燃焼室8内に燃料を直接噴射可能とされている。
シリンダヘッド2には、各気筒毎に略直立方向に吸気ポートが形成されており、各吸気ポートと連通するようにして吸気マニホールド10の一端がそれぞれ接続されている。そして、吸気マニホールド10の他端にはスロットル弁11が接続されており、該スロットル弁11にはスロットル開度を検出するスロットルセンサ11aが設けられている。
排気浄化触媒30は、排ガス中のNOxをHC存在下で選択的に浄化する選択還元型NOx触媒(以下、NOx触媒という)30aと三元触媒30bとの2つの触媒を備えて構成されており、三元触媒30bがNOx触媒30aよりも下流側に配設されている。
ECU(電子コントロールユニット)40は、入出力装置、記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等)、中央処理装置(CPU)等を含んで構成されている。
ECU40の入力側には、上述したスロットルセンサ11a、クランク角センサ13及び水温センサ14の他に、図示しない空燃比センサ等の各種センサ類が接続されており、これらセンサ類からの検出情報が入力される。
吸気行程噴射モードでは、燃料噴射終了から点火までの時間が比較的長く、均一予混合燃焼が可能となるので、筒内全体での空燃比を高くしてエンジントルクを大きく確保することができる。一方、圧縮行程噴射モードでは、燃料噴射終了から点火までの時間が比較的短く、成層燃焼が可能となるので、筒内全体での空燃比を抑制して燃費を低減することができる。ECU40は、低回転低負荷時には圧縮行程噴射モードを、高回転または高負荷時には吸気行程噴射モードを選択する。また、ECU40は、始動時に機関温度として水温センサ14から冷却水温を入力して、冷態状態であるか否かを判別し、冷態状態、即ち冷態始動時には、排気浄化触媒30の浄化効率が低下していることからHCが過剰に供給されないように圧縮行程噴射モードを選択して、圧縮噴射始動を実行させる。
図2は、本発明の実施形態に係るECU40における燃料噴射量、点火時期及び燃料噴射時期の補正制御要領を示すフローチャートである。
先ずステップS10では、例えばキースイッチの操作信号を入力して、クランキング中であるか否かを判別する。クランキング中である場合は、ステップS20に進む。
ステップS20では、クランク角センサ13からクランク角を入力して、その推移から実クランキング回転速度RNeを計測する(実クランキング回転速度検出手段)。詳しくは、クランキング開始後2行程目からクランク角の基本周期の経過に要する時間を計測して、単位時間当たりの回転数を算出する。基本周期は、爆発間隔に設定され、例えば4気筒では180度、6気筒では120度に設定される。そして、ステップS30に進む。
ステップS40では、ステップS20において計測された実クランキング回転速度RNeから、ステップS30において推定された基準クランキング回転速度CNeを減算して、クランキング回転速度差ΔRCNeを求める。そして、ステップS50に進む。
ステップS70では、通常制御を実施する。詳しくは、スロットルセンサ11a等から演算した各基準値をそのまま用いて、燃料噴射量(燃料噴射信号のパルス幅)、燃料噴射時期及び点火時期を制御する。そして、本ルーチンを終了する。
クランキング回転速度が低下すると、筒内圧(圧縮圧)が低下して燃焼性が低下する。しかしながら、上記のように本実施形態では、燃料噴射信号のパルス幅を増加させて燃料噴射量を増加させるので、燃焼性が向上し、始動性を安定させることができる。ここで、パルス幅を増加させるには、燃料噴射終了時期を変更せずに燃料噴射開始時期を進角させることで行うとよい。このようにすれば、パルス幅が増減したとしても、点火時期における点火プラグの端子近傍の空燃比の変動が抑制され、空燃比制御の煩雑化を防止できる。
図5(A)に示すように、実クランキング回転速度RNeが基準クランキング回転速度CNeより低下した場合の筒内圧は、同図(B)に示す基準クランキング回転速度CNeである場合の筒内圧より全体的に低下する。そこで、本実施形態では、その低下量に応じて点火時期を遅角する(図中破線から実線に変更する)。点火時期周辺では、時間経過に伴って筒内圧が増加するので、点火時期を遅角することで点火時期における筒内圧を基準クランキング回転速度CNeである場合と同等に確保することができる。これにより、実クランキング回転速度RNeが基準クランキング回転速度CNeより低下したとしても燃焼性を維持することができる。
なお、本実施形態では、実クランキング回転速度RNeの低下に応じて、燃料噴射量、点火時期及び燃料噴射終了時期の補正量を求めているが、本発明はこれらを全て補正する必要はなく、例えば燃料噴射量及び点火時期のみ補正してもよい。本実施形態では、実クランキング回転速度RNeの低下に応じて、少なくとも点火時期を補正すれば圧縮噴射始動時の始動性を向上させることができる。
4 点火プラグ
6 燃料噴射弁
13 クランク角センサ
14 水温センサ
40 ECU
Claims (5)
- 圧縮行程で燃料噴射して始動する圧縮噴射始動が可能な筒内噴射型内燃機関の燃焼制御制装置において、
機関温度を検出する機関温度検出手段と、
前記機関温度検出手段により検出された機関温度に基づいて、始動時における基準クランキング回転速度を推定する基準クランキング回転速度推定手段と、
実クランキング回転速度を検出する実クランキング回転速度検出手段と、
前記圧縮噴射始動時に、前記実クランキング回転速度検出手段により検出された前記実クランキング回転速度が前記基準クランキング回転速度推定手段により推定された基準クランキング回転速度より低下した場合には、点火時期での筒内圧が増加するように点火時期を遅角する制御手段と、
を備えたことを特徴とする筒内噴射型内燃機関の燃焼制御装置。 - 前記制御手段は、前記圧縮噴射始動時に、更に、前記実クランキング回転速度と前記基準クランキング回転速度との差に基づいて、筒内への燃料噴射量を増減補正することを特徴とする請求項1に記載の筒内噴射型内燃機関の燃焼制御装置。
- 前記制御手段は、前記筒内への燃料噴射量の増減補正として、前記圧縮噴射始動時に前記実クランキング回転速度が基準クランキング回転速度より低下した場合には、筒内への燃料噴射量を増加することを特徴とする請求項2に記載の筒内噴射型内燃機関の燃焼制御装置。
- 前記制御手段は、燃料噴射開始時期を変更して燃料噴射時間を増減することで、前記燃料噴射量を増減補正することを特徴とする請求項2または3に記載の筒内噴射型内燃機関の燃焼制御装置。
- 前記制御手段は、更に、点火時期の遅角に応じて燃料噴射終了時期を遅角することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の筒内噴射型内燃機関の燃焼制御装置。
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