JP4843155B2 - ワインダ及び製紙設備 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、旧ロールの紙に、新ロールの先端を紙継ぎした際に形成される継手を含む紙を巻き取って製品巻き取りロールを製造するワインダに関するものであり、特に、前記製品巻き取りロールにおける前記継手の位置を任意位置に制御できるワインダと、該ワインダを備えた製紙設備とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般的な製紙設備には、抄紙した紙をリールでリールスプールに巻いて親巻ロール(ジャンボロール)を形成する抄紙機と、該抄紙機からの親巻ロールをそのアンワインダに搬送して巻き戻すことで製品巻き取りロール(シッピングロール)を製造するワインダと、前記抄紙機から前記ワインダに向かって親巻ロールを自動搬送する親巻ロール自動搬送装置とが備えられている(図示省略)。
前記アンワインダで紙が巻き戻された後のリールスプールは、次の紙巻きを施すために再び前記リールへと戻されていくが、完全に紙が巻き戻される前に、次に控えている親巻ロールに対する紙継ぎが行われることとなる。
【0003】
この紙継ぎを、図5を参照して説明すると、紙90aが完全に巻き戻される直前の親巻ロールを旧ロール90、次に控えている親巻ロールを新ロール91とした場合に、旧ロール90の紙90aを、予め仕立て処理がなされた新ロール91の先端tに貼り付けてつなぐとともに、旧ロール90からの紙90aを切断するものであり、これにより、旧ロール90の紙90aに引き続いて新ロール91の紙91aが巻き戻されていき、継続してシッピングロールSの製造を行うことが可能となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この紙継ぎ作業では、紙90a及び紙91a間の継手Tを、リードインペーパロール92,第1ドラム93等を介してシッピングロールSに巻き取る上巻きが行われる。この上巻きでは、不要となる継手Tの位置を特に自動管理していないため、作業者が手作業で継手Tの位置を特定して切り捨てるなどしていた。しかしながら、一般的な製造設備同様、生産性向上の観点から少しでも作業を自動化して連続性を持たせることが望まれており、上巻きにおいても、上述のような手作業を極力排除できる手段が切望されていた。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、旧ロールと新ロールとの間の継手を製品巻き取りロールに巻き込む上巻き作業において、人手を要することなく、継手位置を任意位置に自動位置決めできる手段の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
すなわち、請求項1に記載のワインダは、旧ロールの紙に、搬送されてきた新ロールの先端を紙継ぎし、継ぎ合わされた前記旧ロールと前記新ロールとの間の継手を含む紙を巻き取って製品巻き取りロールを製造するワインダであり、前記紙継ぎした際の前記継手の位置から、前記製品巻き取りロールの位置にかけての紙の長さと、前記製品巻き取りロールの紙の上巻きの巻き取り量とに基づいて、前記製品巻き取りロールにおける前記継手の位置を位置決めする継手位置自動制御機構が備えられていることを特徴とする。
【0007】
上記請求項1に記載のワインダによれば、紙継ぎした際の継手位置から製品巻き取りロール位置にかけての紙の長さが求まることで、これから上巻きを行うに際しての継手の初期位置が確定される。引き続いて行われる上巻きでは、製品巻き取りロールに送られてくる紙の長さ、すなわち巻き取り量が確定される。そして、前記継手の初期位置と、上巻きの巻き取り量とにより、製品巻き取りロールにおける継手位置を容易に求めることができる。したがって、上巻き作業において、人手を要することなく、継手位置を任意位置に自動位置決めすることができるようになる。
【0008】
請求項2に記載のワインダは、請求項1に記載のワインダにおいて、前記継手位置自動制御機構が、前記上巻きの巻き取り量を、前記製品巻き取りロールに隣接配置された第1ドラムの回転量により求めることを特徴とする。
上記請求項2に記載のワインダによれば、第1ドラムの単位回転量あたりに送られる紙の長さが決まっているので、この第1ドラムの回転量を測定するだけで、容易に上巻きの巻き取り量を求めることができる。
【0009】
請求項3に記載の製紙設備は、請求項1または2に記載のワインダが備えられていることを特徴とする。
上記請求項3に記載の製紙設備によれば、請求項1と同様の作用を得ることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のワインダは、旧ロールの紙に、搬送されてきた新ロールの先端を紙継ぎし、継ぎ合わされた前記旧ロールと前記新ロールとの間の継手を含む紙を巻き取って製品巻き取りロールを製造する装置であり、その一実施形態を、図面を参照しながら以下に説明するが、本発明がこれのみに限定解釈されるものでないことはもちろんである。
【0011】
なお、図1は、本実施形態の継手位置自動制御機構を有するワインダを備えた製紙設備の一部、すなわち、抄紙機50の最後尾に設けられたリール1からワインダ60迄を示す側面図である。また、図2は、同継手位置自動制御機構による継手位置の自動制御を説明する図であって、図1のA部拡大図である。また、図3は、同継手位置自動制御機構による継手位置の自動制御を説明する図であって、横軸を第1ドラムの回転量、縦軸をシッピングロールの最外周からの継手位置とするグラフである。また、図4は、同継手位置自動制御機構により上巻きされた製品巻き取りロールを示す図であり、(a)は最外周位置に継手を位置決めした場合の側面図であり、(b)は最外周から1巻きした1層目に継手を位置決めした場合の側面図である。
【0012】
図1に示すように、本実施形態の製紙設備は、リールスプール9に紙を巻取って親巻ロール17とする抄紙機50と、該抄紙機50の次工程装置として配置されて製品巻取りロール(以下、シッピングロールSと称する)を製造するワインダ60と、抄紙機50からワインダ60に向けて親巻ロール17を自動搬送する親巻ロール自動搬送設備70とを備えて構成されている。
抄紙機50の最後尾部にはリール1が配置され、ワインダ60にはアンワインダ2が配置されている。そして、親巻ロール自動搬送設備70は、このリール1からアンワインダ2に向けて親巻ロール17を搬送するようになっている。また、アンワインダ2で紙が巻き戻された後のリールスプール9をリール1に返還するために、スプール返還レール7が備えられている。
【0013】
リール1には、巻芯であるリールスプール9を貯蔵するリールスプールストレージレール(単に、ストレージレールともいう)11と、親巻ロール17を形成するためにリールスプール9を支持するリールレール5と、リールスプール9をストレージレール11上からリールレール5上へ移送する受け渡しアーム12及び受け取りアーム13とが備えられている。これにより、ストレージレール11上に貯蔵されたリールスプール9は、受け渡しアーム12から受け取りアーム13を経てリールレール5に移送され、リールレール5上で外周に紙が巻き付けられて親巻ロール17を形成するようになっている。
【0014】
こうしてリール1で形成された親巻ロール17をワインダ60のアンワインダ2に送るために、前記親巻ロール自動搬送設備70が用いられている。この親巻ロール自動搬送設備70には、リール1からアンワインダ2に向かって下り勾配を有する親巻ロール搬送レール6が設けられており、リール1で形成された親巻ロール17をこの親巻ロール搬送レール6上に支持させながら順次、アンワインダ2の方向に移動させていき、最終的にアンワインダ2に転入させるようになっている。
【0015】
ワインダ60では、親巻ロール17からユーザの求める寸法のシッピングロールSを製造するが、アンワインダ2は、このワインダ60の入口部分において、シッピングロールSを製造するための親巻ロール17の巻き戻しに用いられる。このアンワインダ2に隣接して、アンワインダ2のリールスプール9を垂直上方に持ち上げるバーチカルスプールアンローダ(単に、スプールアンローダともいう)3が備えられている。
【0016】
このスプールアンローダ3で持ち上げられたリールスプール9は、完全に紙が巻き戻される前に、自動紙継ぎ装置100によって自動的に紙継ぎがなされ、この紙継ぎで形成された継手は、継手位置自動制御機構によって正確にシッピングロールSの外周に位置決めされるように上巻きされることとなる。これら継手位置自動制御機構及び自動紙継ぎ装置100の詳細については、後述で説明するものとする。
【0017】
スプールアンローダ3とリール1のストレージレール11との間には、リール1側へ下降するように傾斜した前記スプール返還レール7が介設されており、このスプール返還レール7を通じて、アンワインダ2で巻き戻された残りのリールスプール9を、リール1のストレージレール11へ返還できるようになっている。そして、このスプール返還レール7の途中に、リールスプール9に残っている残紙を除去する残紙除去装置8が設けられている。この残紙除去装置8では、残紙が除去処理され、残紙除去後の空になったリールスプール9が、スプール返還レール7上を移動してリール1側に出て行くようになっている。
【0018】
そして、残紙処理装置8の下にはNO.2親巻ロールスタンド15とNO.3親巻ロールスタンド16とが配置されており、更に、これらのスタンド15,16の下に損紙パルパ(損紙処理パルパ)4が配置されている。この損紙パルパ4内には水シャワー18が装備されており、この水シャワー18から噴出するシャワー水が残紙に衝突する力により、リールスプール9から残紙を引き出すとともに、この残紙を損紙パルパ4内で攪拌されている水流に導くようになっている。
【0019】
前記自動紙継ぎ装置100は、図2に示すように、紙が完全に巻き戻される直前の親巻ロールを旧ロール17A、次に控えている親巻ロールを新ロール17Bとした場合に、旧ロール17Aからリードインペーパロール101にかけて張り出された紙の張り出し部Hを、該張り出し部Hに向かって搬送されてくる新ロール17Bの先端tに自動的に貼り付けて紙継ぎする装置である。
そして、この自動紙継ぎ装置100は、新ロール17Bの先端tに仕立て処理で予め貼り付けられた粘着テープaに向けて、旧ロール17Aからの張り出し部Hを押し付ける紙押えロール102と、張り出し部Hを粘着テープaに貼り付けた状態で旧ロール17Aから切り離すナイフ103とを備えて構成されている。
この自動紙継ぎ装置100によれば、紙押えロール102で旧ロール17Aの紙を新ロール17Bの先端tに押し付けて貼り付け、さらにはナイフ103で旧ロール17Aの紙を切り取ることで、紙継ぎが自動的に完了する。そして、この紙継ぎ部分には、継手Tが形成されることとなる。
【0020】
前記継手位置自動制御機構は、同じく図2に示すように、紙継ぎした際の停止状態での継手Tの位置から、シッピングロールSの位置にかけての紙の長さL(より詳しくは、継手Tの粘着テープaの位置から、第1ドラム105近傍に配置されたナイフ106で切られる位置までの長さ)と、シッピングロールSの紙の上巻きの巻き取り量とに基づいて、シッピングロールSにおける継手Tの位置を位置決めするものである。
【0021】
そして、この継手位置自動制御機構は、シッピングロールSの上流側に隣接配置された第1ドラム105の回転量を測定する回転計(例えばパルス発信器PLG等。図示せず)と、該回転計で測定された第1ドラム105の回転量に基づいて継手Tの位置を演算し、その演算結果に基づいてシッピングロールSの回転量(すなわち、上巻きの巻き取り量)を制御する制御演算機(図示せず)とを備えて構成されている。そして、この継手位置自動制御機構は、上巻きの巻き取り量を、第1ドラム105の回転量により求め、これに基づいて上巻きにおける継手位置を自在に制御できるようになっている。
【0022】
以上説明の構成を有する自動紙継ぎ装置100及び前記継手位置自動制御機構による、自動紙継ぎから上巻きまでの一連作業を、図2を参照して以下に説明する。
まず、新ロール17Bを張り出し部Hに向かって例えば1m/sの移動速度で搬送し、同図に示す所定の停止位置に停止させる。そして、紙押えロール102を新ロール17Bの先端tに向かって移動させていく。すると、間に位置する張り出し部Hが自然と先端tに向かって押し付けられ、粘着テープaに対して貼り合わされる。さらに、ナイフ103を張り出し部Hの紙幅方向の一端から他端側に向かって移動させてカットしていく。このようにして旧ロール17Aからの紙が切り離され、張り出し部Hが自動的に新ロール17Bの紙につながれた状態となる。
以上により紙継ぎ作業が完了し、旧ロール17Aの紙に引き続いて新ロール17Bの紙が巻き戻されていき、継続して上巻き作業が行われる。
【0023】
すなわち、前記制御演算機構は、自動紙継ぎ装置100で紙継ぎが完了したことを、例えばナイフ103の動作により検出し、その時の継手Tの位置を、これから上巻きを行うに際しての継手Tの初期位置として確定する。なお、紙継ぎした際の停止状態での継手Tの位置から、シッピングロールSの位置にかけての紙の長さL(より詳しくは、継手Tの粘着テープaの位置から、第1ドラム105近傍に配置されたナイフ106で切られる位置までの長さ)は、紙の移動経路が固定されているため、初期設定値として前記制御演算機に予め設定されている。
【0024】
そして、停止状態のシッピングロールSが回転を再開し、その外周への上巻きを行っていく。この時の継手Tの位置決めは、前記長さLに加えて、前記回転計が第1ドラム105の回転量を測定することで行われる。
すなわち、第1ドラム105の外径寸法は固定であるため、この第1ドラム105の回転量でどれだけの長さの紙がシッピングロールSに巻き取られていくか(すなわち、上巻きの巻き取り量)が、自動的に決まることとなる。したがって、例えば図4(a)に示すように、シッピングロールSの最外周位置に継手Tを位置決めしたい場合には、図3に示すように、この最外周位置に対応した回転量r1だけ、第1ドラム105を回転させれば良いことになる。同様に、例えば図4(b)に示すように、シッピングロールSの最外周から1層目に継手Tを位置決めしたい場合には、図3に示すように、対応する回転量r2だけ、第1ドラム105を回転させれば良いことになる。
このようにして、継手Tの位置を、所望の巻き取り位置に位置決め制御することが可能となる。
【0025】
以上説明のように、本実施形態のワインダ60は、紙継ぎした際の継手位置から、シッピングロールSの位置にかけての紙の長さLと、上巻きの巻き取り量とに基づいて、シッピングロールSにおける継手Tの位置を位置決めする継手位置自動制御機構を備えた構成を採用した。この構成によれば、継手Tの初期位置と、上巻きの巻き取り量とにより、シッピングロールSの上巻きにおける継手位置を容易に求めることができるので、人手を要することなく、継手位置を任意位置に自動位置決めすることができるようになる。
【0026】
また、本実施形態のワインダ60は、前記継手位置自動制御機構が、上巻きの巻き取り量を、製品巻き取りロールSに隣接配置された第1ドラム105の回転量により求める構成を採用した。この構成によれば、第1ドラム105の単位回転あたりに送られる紙の長さが決まっているので、この第1ドラム105の回転量を測定するだけで、容易に上巻きの巻き取り量を求めることが可能となる。すなわち、容易にシッピングロールSにおける継手位置を求めることが可能となる。
【0027】
なお、本実施形態では、上巻きの巻き取り量を第1ドラム105の回転量により求めるものとしたが、これに限らず、その他のドラムの回転量から求めるなど、その他の方法を採用しても良い。
【0028】
【発明の効果】
本発明の請求項1に記載のワインダは、紙継ぎした際の継手位置から、製品巻き取りロール位置にかけての紙の長さと、上巻きの巻き取り量とに基づいて、製品巻き取りロールにおける継手の位置を位置決めする継手位置自動制御機構を備えた構成を採用した。この構成によれば、継手の初期位置と、上巻きの巻き取り量とにより、製品巻き取りロールの上巻きにおける継手位置を容易に求めることができるので、人手を要することなく、継手位置を任意位置に自動位置決めすることができるようになる。
【0029】
また、請求項2に記載のワインダは、継手位置自動制御機構が、上巻きの巻き取り量を、製品巻き取りロールに隣接配置された第1ドラムの回転量により求める構成を採用した。この構成によれば、第1ドラムの単位回転量あたりに送られる紙の長さが決まっているので、この第1ドラムの回転量を測定するだけで、容易に上巻きの巻き取り量を求めることが可能となる。すなわち、容易に製品巻き取りロールにおける継手位置を求めることが可能となる。
【0030】
また、請求項3に記載の製紙設備によれば、請求項1と同様の効果を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の継手位置自動制御機構を有するワインダを備えた製紙設備の一部(抄紙機の最後尾に設けたリールから、ワインダ迄)の側面図である。
【図2】 同継手位置自動制御機構による継手位置の自動制御を説明する図であって、図1のA部拡大図である。
【図3】 同継手位置自動制御機構による継手位置の自動制御を説明する図であって、横軸を第1ドラムの回転量、縦軸をシッピングロールの最外周からの継手位置とするグラフである。
【図4】 同継手位置自動制御機構により上巻きされたシッピングロールを示す図であり、(a)は最外周位置に継手を位置決めした場合の側面図であり、(b)は最外周から1巻きした1層目に継手を位置決めした場合の側面図である。
【図5】 従来の製紙設備における上巻き作業を説明するための説明図である。
【符号の説明】
17A・・・旧ロール
17B・・・新ロール
60・・・ワインダ
105・・・第1ドラム
L・・・紙の長さ
S・・・シッピングロール(製品巻き取りロール)
t・・・先端
T・・・継手

Claims (3)

  1. 旧ロールの紙に、搬送されてきた新ロールの先端を紙継ぎし、継ぎ合わされた前記旧ロールと前記新ロールとの間の継手を含む紙を巻き取って製品巻き取りロールを製造するワインダであり、
    前記紙継ぎした際の前記継手の位置から、前記製品巻き取りロールの位置にかけての紙の長さと、前記製品巻き取りロールの紙の上巻きの巻き取り量とに基づいて、前記製品巻き取りロールにおける前記継手の位置を位置決めする継手位置自動制御機構が備えられていることを特徴とするワインダ。
  2. 請求項1に記載のワインダにおいて、
    前記継手位置自動制御機構は、前記上巻きの巻き取り量を、前記製品巻き取りロールに隣接配置された第1ドラムの回転量により求めることを特徴とするワインダ。
  3. 請求項1または2に記載のワインダが備えられていることを特徴とする製紙設備。
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