JP4841819B2 - 物体のカラー画像による欠陥検出 - Google Patents

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Description

この発明は、カラー画像を用いて検査対象物の欠陥を検出する技術に関する。
電子回路を構成するためのプリント基板には、層間の導通や部品の挿入のためのスルーホールや、プリント基板の切断や位置決めのための基板穴が設けられる。このようなプリント基板では、スルーホール周辺のレジストの厚さの変動が大きくなり、プリント基板を撮影した画像上での色が変化する場合がある。そのため、プリント基板を画像検査装置によって検査する場合、プリント基板を撮影した画像のうち穴と穴の周辺の一定幅の部分とに相当する領域が検査の対象から除外されるのが一般的である(検査の対象から除外される領域は、一般に、「マスク領域」と呼ばれる)。
特許第2500961号公報 特開平6−288739号公報 特開平11−316193号公報 特開2002−259667号公報
しかしながら、穴と穴の周辺の一定幅の部分とに相当する領域を一律にマスク領域とすると、スルーホールでない基板穴の周辺に存在する欠陥が検出できない場合がある。一方、穴に相当する領域のみをマスク領域とすると、スルーホール周辺のレジスト厚さの変動により許容しうる色の変化により、欠陥のないプリント基板であっても欠陥があるものとして誤って認識されるおそれがある。すなわち、プリント基板を撮像して得られたカラー画像を解析して欠陥検出を行ったときに、欠陥の有無を誤認識してしまうという問題があった。
上述の問題は、プリント基板の画像検査装置による検査に限らず、一般に、検査対象物のカラー画像を用いた検査に共通する問題であった。
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、検査対象物の欠陥検出処理の信頼性を高めることを目的とする。
上記目的の少なくとも一部を達成するために、本発明の方法は、穴を有するプリント基板であって前記穴の周囲に配線パターンが設けられているとともに前記配線パターン上にレジストが塗布されたプリント基板を撮影したカラー画像を用いて、前記プリント基板の欠陥を検出する方法であって、(a)前記カラー画像の中から、前記プリント基板の穴に相当する特定領域を取得する工程と、(b)前記特定領域とは別に、前記特定領域の周囲の隣接領域を取得する工程と、(c)前記隣接領域に所定の色の画素が存在する場合、前記特定領域の周囲を包含する特別処理領域を設定し、前記特定領域と前記特別処理領域とを含むマスク領域を設定する工程と、(d)前記カラー画像のうち前記マスク領域以外の領域について、所定の欠陥検出処理を行う工程と、を備え、前記特定領域は前記プリント基板に設けられた穴を表す穴領域であり、前記マスク領域の大きさは、前記隣接領域に前記所定の色の画素が含まれている場合に拡大され、前記特別処理領域について、前記所定の欠陥検出処理よりも色の許容範囲が広い特別の欠陥検出処理を行うことを特徴とする。
この構成によれば、隣接領域の色に応じてマスク領域の大きさが変更されるので、検査対象物の欠陥検出処理の信頼性を高めることができる。
前記マスク領域は、前記特定領域と、前記特定領域の周囲を包含する特別処理領域と、を有し、前記方法は、さらに、前記特別処理領域について、前記所定の欠陥検出処理とは異なる特別の欠陥処理を行う工程を備えるものとしてもよい。
この構成によれば、マスク領域中に現れる欠陥を検出することができる。
前記工程(b)は、(b1)前記特定領域の周辺の境界領域を取得する工程と、(b2)前記境界領域の色が所定の条件を満たす場合に、前記境界領域を含み前記境界領域よりも大きい前記隣接領域を取得する工程と、(b3)前記境界領域の色が前記所定の条件を満たさない場合に、前記マスク領域の大きさを所定の大きさに設定する工程と、を含むものとしてもよい。
この構成によれば、境界領域の色が所定の条件を満たさない場合に隣接領域の色に応じてマスク領域の大きさが変更されるので、隣接領域の画像処理量を低減することができる。
前記所定の条件は、前記境界領域中に所定の第1の色範囲の画素が存在するという条件であり、前記工程(c)は、前記隣接領域中の画素の色が所定の第2の色範囲外である場合に、前記第2の色範囲である場合よりも前記マスク領域を大きくする工程を含むものとしてもよい。
この構成によれば、マスク領域の大きさをより適切に設定することができる。
前記検査対象物はプリント基板であって、前記特定領域はプリント基板に設けられた穴に相当する領域であるものとしてもよい。
この構成によれば、プリント基板の欠陥検出処理の信頼性を高めることができる。
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、検査対象物の欠陥検出方法および装置、その検出結果を用いた画像検査方法および装置、それらの各種の方法または装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体、そのコンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号、等の態様で実現することができる。
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.第1実施例:
B.第2実施例:
C.変形例:
A.第1実施例:
図1は、本発明の一実施例としてのプリント基板検査装置100の構成を示す説明図である。このプリント基板検査装置100は、プリント基板PCBを照明するための光源20と、プリント基板PCBの画像を撮影する撮像部30と、装置全体の制御を行うコンピュータ40とを備えている。コンピュータ40には、各種のデータやコンピュータプログラムを格納する外部記憶装置50が接続されている。
コンピュータ40は、画像取得部210と、穴領域取得部220と、隣接領域取得部230と、特別処理領域設定部240と、特別処理領域検査部250と、マスク外領域検査部260と、の機能を有している。これら各部の機能は、外部記憶装置50に格納されたコンピュータプログラムをコンピュータ40が実行することによって実現される。
図2は、検査対象物であるプリント基板PCBの様子を示す説明図である。このプリント基板PCBには、5つのスルーホールTH1〜TH5と、プリント基板PCBの切断に用いられる基板穴HLと、が設けられている。プリント基板PCBの表面は、基板ベース上に白色の文字がシルク印刷されたシルク印刷領域RSGと、金メッキが施された金メッキ領域RGPと、基板ベースが露出している基板ベース領域RSBと、基板ベース上にレジストが塗布されたベースレジスト領域RBRと、銅配線のパターン上にレジストが塗布されたパターンレジスト領域RPRと、を含んでいる。また、銅配線のパターン上にレジストが塗布された領域のうち、スルーホールTH5の周囲はレジストが薄い薄レジスト領域RTRとなっている。
一般に、プリント基板PCBでは、レジストの塗布工程によっては、スルーホールの周辺でのレジストの厚さが不安定になり、スルーホールごとに周辺のレジストの厚さが異なる場合がある。そのため、欠陥のないプリント基板PCBであっても、図2に示すようにスルーホールの周辺にレジストが薄い領域が発生し得る。そこで、スルーホール周辺のレジストの厚みの許容範囲は、レジストが塗布された他の領域よりも広く設定され、薄レジスト領域RTRのようなレジストが薄い領域の存在も許容される。なお、薄レジスト領域RTRは、欠陥のないプリント基板であってもレジストの厚さの変動により後述するように色が異なる。すなわち、スルーホールに隣接する薄レジスト領域RTRは、色の許容範囲が他の領域よりも広い領域である。
図3は、第1実施例におけるプリント基板PCBの欠陥を検出する手順を示すフローチャートである。ステップS100では、画像取得部210(図1)が、プリント基板PCBのカラー画像を撮像部30から取得する。
なお、ステップS100では、取得されたカラー画像に対して、画像取得部210が、必要に応じて平滑化処理(ぼかし処理)を実行する。平滑化処理では、メディアンフィルタや、ガウスフィルタ、移動平均などの種々の平滑化フィルタを用いることができる。この平滑化処理を行うことによって、画像データ内に存在する特異な画素を除去することができるので、ゴミ(雑音成分)の少ない画像データを得ることができる。また、予め取得された画像に関してステップS200以降の処理を実行する場合には、ステップS100において、外部記憶装置50(図1)から画像データが読み出される。
図4(a)は、プリント基板PCB(図2)を撮影したカラー画像IMの様子を示す説明図である。このカラー画像IMは、黒色領域BKと、白色領域WHと、金色領域GLと、茶色領域BRと、暗緑色領域GDと、明緑色領域GBと、を含んでいる。なお、本明細書においては、これらの画像領域BK,WH,GL,BR,GD,GBを総称して「色領域」とも呼ぶ。
カラー画像IM上では、スルーホールTH1〜TH5と、基板穴HLとは、基板に穴が開けられているので、黒色領域BKで表される。シルク印刷領域RSGと、金メッキ領域RGPと、基板ベース領域RSBとは、それぞれ表面材質の色に応じて、白色領域WHと、金色領域GLと、茶色領域BRと、で表される。ベースレジスト領域RBRは、茶色の基板ベースに緑色のレジストが塗布されているので暗緑色領域GDで表され、パターンレジスト領域RPRは、レジストの下が銅色の銅配線パターンとなっているのでベースレジスト領域RBRよりも輝度の高い明緑色領域GBで表される。そして、パターン上のレジストが薄い薄レジスト領域RTRは、銅配線の色が現れるので金色領域GLで表される。
なお、実際のプリント基板PCBを撮影したカラー画像では、薄レジスト領域RTRのに対応する金色領域GLと、その周囲のパターンレジスト領域RPRに対応する明緑色領域GBとの境界は明確には分かれていないが、図4(a)では、図示の便宜上、これらの金色領域GLと明緑色領域GBとが異なる色領域として分離されたものとして描かれている。
図3のステップS200では、穴領域取得部220が、カラー画像IM中の黒色領域BKを抽出することにより、プリント基板PCBに設けられた穴を表す穴領域を取得する。黒色領域BKは、カラー画像IMを構成する各画素の輝度値が所定の輝度閾値以下の領域として抽出できる。この黒色領域BKの抽出に用いる所定の輝度閾値は、例えば、輝度値についてのヒストグラム解析により設定することができる。
なお、本実施例では、黒色領域BKの抽出を各画素の輝度値に基づいて行っているが、黒色領域BKの抽出を他の方法によって行うことも可能である。黒色領域BKの抽出は、黒色を含む予め定められた複数の代表色の領域にカラー画像IMを領域分割し、分割された領域のうちの代表色が黒色である領域を抽出することによっても行うことができる。カラー画像IMの領域分割は、例えば、カラー画像IMの各画素の色と複数の代表色との所定の色空間における距離を表す距離指標値を求め、距離指標値が最小となる代表色の領域に各画素を分類することにより行うことができる。この距離指標値としては、例えば、RGB色空間を3次元ユークリッド空間とみたときのユークリッド距離や、L*a*b*空間における色差ΔEを利用することができる。なお、カラー画像IMの領域分割方法は、複数の代表色に各画素を分類する領域分割方法であれば良く、例えば、上述した特許文献3や特許文献4に開示された方法によっても行うことができる。
また、本実施例では、穴領域をカラー画像IM中の黒色領域BKを抽出することにより取得しているが、他の方法によってプリント基板PCBに設けられた穴に対応する画像領域を取得してもよい。例えば、スルーホールや基板穴を形成するために用いられる設計データ(CADデータ)に含まれる穴の位置と大きさとから穴領域を取得することも可能である。また、撮像部30の反対の面から照明されたプリント基板PCBを撮影し、撮影された画像の輝度が高い領域を穴領域に設定することも可能である。
図4(b)は、ステップS200において取得された、穴領域の配置を示す説明図である。図4(b)に示すように、カラー画像IMから黒色領域BKを抽出することにより、スルーホールTH1〜TH5に対応した画像領域SR1〜SR5と、基板穴HLに対応した画像領域SR6と、が取得される。このように取得された画像領域SR1〜SR6のそれぞれが、穴領域となる。
図3のステップS300では、隣接領域取得部230が、穴領域SR1〜SR6に隣接する隣接領域を取得する。隣接領域取得部230は、ステップS200で取得した穴領域SR1〜SR6を所定の拡大幅(例えば、5画素)で拡大する拡大処理を行う。そして、拡大処理により拡大した領域が、隣接領域となる。この拡大幅としては、予め決められた設定値のほかに、ユーザにより入力された指定値や、CADデータに基づいて算出された設定値等を用いることができる。また、穴領域ごとに、個別に拡大幅を設定するものとしてもよい。
なお、穴領域の拡大処理としては、拡大処理によって生成される領域が穴領域を含み、生成される領域を穴領域よりも大きくできる処理であれば、任意の処理が適用可能である。このような処理としては、例えば、各画素の8近傍のいずれかが穴領域に属する場合にその画素を穴領域に属するように設定する膨張処理や、この膨張処理をn(nは、1以上の整数)回実行するn段の膨張処理を用いることができる。また、穴領域の輪郭を取得し、その輪郭を拡大する処理を用いることも可能である。
図4(c)は、隣接領域の取得の様子を示す説明図である。隣接領域取得部230が穴領域SR1に拡大処理を行うことにより、領域ER1が生成される。この拡大処理による拡大した領域(領域ER1−領域SR1)が、穴領域SR1の隣接領域NR1となる。同様に、穴領域SR2〜SR6の拡大処理により生成された領域ER2〜ER6から穴領域SR2〜SR6を除いた領域NR2〜NR6、すなわち、拡大処理により拡大した領域NR2〜NR6が、穴領域SR2〜SR6の隣接領域になる。
図3のステップS400では、特別処理領域設定部240が、各隣接領域に含まれる画素の色に応じて、特別な欠陥検出処理を行うための特別処理領域を設定するか否かを決定する。具体的には、ある穴領域の隣接領域に所定の色(本実施例では、金色)の画素が存在する場合、その穴領域の周囲に特別処理領域が設定される。
図5は、特別処理領域の設定の様子を示す説明図である。図5(a)は、プリント基板PCB(図2)を撮影したカラー画像IMを示している。なお、図5(a)と図4(a)とは同一である。図5(b)は、隣接領域NR1〜NR6の配置と、これらの領域NR1〜NR6が属する色領域を示している。また、図5(c)は、ステップS400において設定された特別処理領域PR2,PR3,PR5の配置を示している。なお、図5(b)と図5(c)とに描かれた破線は、図5(a)に示す色領域の境界を表している。
図5(b)に示すように、穴領域SR1の隣接領域NR1は暗緑色領域GDに含まれるので、隣接領域NR1には金色の画素が存在しない。そのため、穴領域SR1には特別処理領域が設定されない。一方、穴領域SR2の隣接領域NR2は金色領域GLに含まれる。そのため、隣接領域NR2には金色の画素が存在し、穴領域SR2には特別処理領域PR2が設定される(図5(c))。同様に、隣接領域NR3,NR5には金色の画素が存在する穴領域SR3,SR5には、特別処理領域PR3,PR5が設定される。一方、隣接領域NR4,SR6には金色の画素が存在しないため、穴領域SR4,SR6には特別処理領域が設定されない。
特別処理領域は、隣接領域と同様に、穴領域の拡大処理によって設定される。図5(c)の例では、特別処理領域設定部240が、穴領域SR2の拡大処理を行う。そして、拡大処理により拡大した領域PR2が、穴領域SR2に対応する特別処理領域に設定される。他の穴領域SR3,SR5についても同様である。
なお、図5(c)では、特別処理領域PR2,PR3,PR5が隣接領域NR2,NR3,NR5よりも大きく描かれているが、特別処理領域と隣接領域の大小関係は任意に設定できる。
図3のステップS500では、特別処理領域検査部250が、各特別処理領域中の欠陥を検出する。具体的には、特別処理領域中の画素の色が色の許容範囲に含まれるか否かを判断する。そして、特別処理領域中のすべての画素の色が許容範囲内である場合にはその特別処理領域には欠陥がないものと判断され、特別処理領域中に許容範囲外の色の画素がある場合にはその特別処理領域に欠陥があると判断される。
図6は、特別処理領域内に欠陥がないプリント基板PCBでの欠陥検出処理の様子を示す説明図である。図6(a)は、プリント基板PCBの特別処理領域の様子を示している。また、図6(b)は、プリント基板PCBの特別処理領域PR5中の各画素の色分布を示している。なお、図6(b)では図示の便宜上、R成分とB成分との2つの色成分で構成される2次元色空間(以下、「RB色空間」とも呼ぶ)における各画素の色を表す点が黒丸で描かれている。
図6(a)に示すように、プリント基板PCBでは、2つの穴領域SR2,SR3に対応する2つの特別処理領域PR2,PR3は、いずれも金色領域GLに含まれる。一方、穴領域SR5に対応する特別処理領域PR5は、金色領域GLと明緑色領域GBの2つの色領域に跨っている。上述したように、これらの2つの色領域GL,GBの境界は、実際のプリント基板PCBを撮影したカラー画像では明確でないので、特別処理領域PR5中の画素の色は、金色から明緑色まで連続的に変化する。そのため、特別処理領域PR5中の画素の色を表す点は、図6(b)に示すように、緑色を表す範囲と金色を表す範囲とに跨ったRB色空間内の一部分の範囲XR(以下、「実在色範囲XR」とも呼ぶ)に分布する。
図6に示すように、特別処理領域PR5中のすべての画素の色が実在色範囲XRに属する場合、特別処理領域検査部250は、特別処理領域PR5には欠陥がないと判断する。他の特別処理領域PR2,PR3についても、特別処理領域中の画素の色が、特別処理領域ごとに設定された実在色範囲に含まれるか否かによって欠陥の有無が判断される。
なお、本実施例においては、特別処理領域PR5中の各画素の色が実在色範囲XRに属するか否かは、個々の基板の検査に先だって予め生成され、外部記憶装置50に保存されたルックアップテーブルLUTを参照することにより判断される。ここで、ルックアップテーブルLUTとは、RGB色空間内の個別色を表すRGB値(「入力点」とも呼ぶ)を入力したときに、個別色が実在色範囲XRに属するか否かを表す値(例えば、実在色範囲XRに属する場合は1、属さない場合は0)を出力するテーブルである。
ルックアップテーブルLUTは、欠陥がないプリント基板を撮影したカラー画像であるマスター画像を用いて、マスター画像の特別処理領域中の各画素の色(以下、「実在色」とも呼ぶ)に基づいて生成される。具体的には、ルックアップテーブルLUTは、すべての入力点に対して0を出力するルックアップテーブルを生成し、そのマスター画像の特別処理領域の各画素の色に対応する出力値を1に変更することにより生成される。このように、ルックアップテーブルの出力値を書き換えることにより、出力値が1である色の範囲が実在色範囲XRとなる。なお、ルックアップテーブルLUTの生成の後、ルックアップテーブルLUTの各入力点について、入力点の8近傍の出力値のいずれかが1である場合に入力点に対応する出力値を1に変更する膨張処理を行うことが好ましい。この膨張処理を行うことにより、欠陥のないプリント基板PCBに存在し得る色であって、マスター画像の特別処理領域には出現していない色を実在色範囲XRに含めることが可能となる。
なお、本実施例におけるルックアップテーブルLUTは、個別色が実在色範囲に属するか否かを表す値(実在色フラグ)を出力しているが、ルックアップテーブルの出力値は、個別色が実在色範囲に属するか否かが判定可能な値であればよい。例えば、個別色が色空間中のどの色を表す領域に属するかを示す値(色番号)と、実在色フラグとから生成される値をルックアップテーブルの出力値とすることも可能である。
また、本実施例では、特別処理領域中の画素の色が許容しうる色の範囲に含まれるか否かをルックアップテーブルLUTを参照することにより判断しているが、他の方法を用いることも可能である。例えば、RGB各成分ごとに上限値と下限値を設定し、特別処理領域中の画素のRGB各成分値が、それぞれ上限値と下限値の間にある場合にその画素の色が許容しうる色の範囲であると判断するものとしてもよい。
図7は、特別処理領域内に欠陥があるプリント基板PCBでの欠陥検出処理の様子を示す説明図である。図6と同様に、図7(a)は、プリント基板PCBの特別処理領域の様子を示し、図7(b)は、プリント基板PCBの特別処理領域PR5中の各画素の色分布を示している。
図7(a)に示す例では、特別処理領域PR5中に2つの欠陥を表す2つの画像領域DF1,DF2(「欠陥画像領域」とも呼ぶ)が存在する。これらの欠陥画像領域DF1,DF2は、それぞれ図7(b)の黒三角と黒四角とで表されるように、欠陥のないプリント基板PCBの特別処理領域PR5に現れる色とは異なる色を有している。このように、特別処理領域内に欠陥があるプリント基板PCBでは、特別処理領域PR5が、黒丸で表される実在色範囲XRに属する色の画素のほかに、黒三角および黒四角で表される実在色範囲XRに属さない色の画素を有している。そのため、特別処理領域検査部250は、特別処理領域PR5に欠陥があると判断する。
図3のステップS600では、マスク外領域検査部260が、カラー画像IMから特別処理領域と穴領域と(これらの領域を併せて、「マスク領域」と呼ぶ)を除いた画像領域(マスク外領域)中の欠陥を検出する。具体的には、例えば、マスク外領域を領域分割し、その領域分割結果上での代表色領域の位置や形状に基づいてプリント基板PCBの欠陥の有無を判断する。マスク外領域は、カラー画像IMから色の許容範囲が広い特別処理領域が除かれているので、領域分割により信頼性の高い欠陥検出を行うことができる。
図8は、欠陥のないプリント基板PCBについて、欠陥処理検出処理を行った結果を示す説明図である。特別処理領域を設定しない比較例では、図8(a)に示すように、領域分割により薄レジスト領域RTRの色が金色領域GLとなる。そのため、本来緑色となるレジストが塗布された領域が金色になっていると判断され、薄レジスト領域RTRが欠陥として検出される。一方、本実施例では、薄レジスト領域RTRについては特別の欠陥検出処理が行われているため、薄レジスト領域RTRは欠陥として検出されない。
このように、本実施例では、穴領域の周囲に隣接領域を設け、隣接領域に特定の色が含まれている場合に穴領域を包含するマスク領域を拡大しているので、穴領域に隣接する薄レジスト領域RTRを欠陥として誤認識する可能性を低減できる。また、穴領域の周囲に特別処理領域を設け、特別処理領域の欠陥を検出しているので、穴領域の周囲に存在する欠陥の検出が可能となる。
B.第2実施例:
図9は、第2実施例におけるプリント基板PCBの欠陥を検出する手順を示すフローチャートである。図9のフローチャートは、ステップS200,S300の間に2つのステップS310,S320が追加されている点で、図3に示すフローチャートと異なっている。他は、図3と同じである。
ステップS310では、隣接領域取得部230(図1)が、穴領域の拡大処理により境界領域を取得する。そして、ステップS320において、境界領域の色に応じて、隣接領域を用いた特別処理領域の設定判定の要否が決定される。
図10は、境界領域を用いた隣接領域の設定の様子を示す説明図である。図10(a)は、2つの穴領域SR1,SR3の付近での色領域の配置を示している。隣接領域取得部230(図1)は、穴領域SR1,SR3の拡大処理により境界領域TR1,TR3を取得する。そして、境界領域TR1,TR3中に所定の色(例えば、金色)の画素が存在する場合、特別処理領域の設定が必要であると判断され、穴領域SR1,SR3の周囲に隣接領域が設定される。また、他の穴領域についても、同様の処理が行われる。
図10(b)は、境界領域TR1,TR3を用いて設定された隣接領域の配置を示している。図10の例では、境界領域TR1(暗緑色領域GDに含まれる)には金色の画素が存在しないので、穴領域SR1には隣接領域が設定されない。一方、境界領域TR3(金色領域GLに含まれる)には金色の画素が存在するので、穴領域SR3には隣接領域NR3が設定される。なお、図10(b)に示すように、隣接領域NR3は、境界領域TR3よりも大きくなるように設定される。
このように、第2実施例では、特別処理領域の設定判定の要否を境界領域の色に応じて決定し、特別処理領域の設定判定が必要な穴領域についてのみ隣接領域を用いた特別処理領域の設定の有無を決定することにより、隣接領域の画像処理量が低減できる。
C.変形例:
なお、この発明は上記実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
C1.変形例1:
上記各実施例では、特別処理領域を穴領域の周囲に設定にしているが、穴領域以外の特定の領域を抽出し、その周囲に特別処理領域を設定することもできる。この場合、特定の領域は、カラー画像IMの領域分割により生成された特定の色の領域の抽出や、CADデータからの特定の領域の位置や形状の取得等により取得することができる。なお、特定領域としては、カラー画像中で所定の色(例えば、黒)を有する領域を選択することが好ましい。
C2.変形例2:
上記各実施例では、隣接領域に特定の色の画素が含まれるか否かによって特別処理領域の要否を決定しているが、一般には、隣接領域の色に応じて特別処理領域の要否を決定できる。具体的には、所定の色空間内での隣接領域中の各画素の色が所定の色分布範囲外の場合に、特別処理領域を設定することも可能である。また、隣接領域が所定の複数の代表色領域のうちの2つ以上の代表色領域に跨る場合に、特別処理領域を設定するものとしても良い。ここで「代表色領域」とは、複数の代表色を用いた領域分割によってカラー画像から生成される個々の代表色に対応する画像上の領域である。この場合、隣接領域が2つ以上の代表色領域に跨るか否かは、予めカラー画像の領域分割を行い、隣接領域に含まれる代表色領域の数が2以上であるか否かで判断できる。
C3.変形例3:
上記各実施例では、図3のステップS500において、特別処理領域検査部250(図1)が、特別処理領域中の欠陥検出処理を行っているが、特別処理領域中の欠陥検出処理を省略しても良い。すなわち、特別処理領域と穴領域とを併せたマスク領域は欠陥検出処理されず、マスク領域外の領域は欠陥検出処理される。
C4.変形例4:
上記各実施例では、各穴領域ごとに決定される特別処理領域の要否に応じてマスク領域(=穴領域+特別処理領域)を設定しているが、一般には、隣接領域の色に応じてマスク領域の大きさを変えることができればよい。この場合、マスク領域は、隣接領域に特定の色の画素が含まれる場合に大きく設定され、隣接領域に特定の色の画素が含まれない場合には小さく設定されることが好ましい。
C5.変形例5:
上記各実施例では、穴領域を用いて特別処理領域を設定しているが、穴領域とは無関係に、所定の条件を満たす領域を特別処理領域に設定するものとしてもよい。所定の条件を満たす領域としては、例えば、プリント基板PCBの金メッキ領域RGPのように、予め定められた位置や形状の領域や、穴領域の周囲の所定の色を有する領域とすることができる。
C6.変形例6:
本発明による特別処理領域の設定と、特別処理領域中の欠陥の検出とは、プリント基板に限らず、検査対象物を撮影したカラー画像上での色の許容範囲が互いに異なる画像領域を有する任意の物体の欠陥検出に対して適用できる。例えば、パターンの形成された半導体ウェハや、複雑な形状を有する機械部品などの検査対象物を撮影したカラー画像を用いたこれらの検査対象物の欠陥検出にも適用することができる。
本発明の一実施例としてのプリント基板検査装置100の構成を示す説明図。 プリント基板PCBの表面の状態を示す説明図。 第1実施例におけるプリント基板PCBの欠陥検出処理の手順を示すフローチャート。 隣接領域の取得の様子を示す説明図。 特別処理領域の設定の様子を示す説明図。 特別処理領域内に欠陥がないプリント基板での欠陥検出処理の様子を示す説明図。 特別処理領域内に欠陥があるプリント基板での欠陥検出処理の様子を示す説明図。 欠陥のないプリント基板PCBについて、欠陥処理検出処理を行った結果を示す説明図。 第2実施例におけるプリント基板PCBの欠陥検出処理の手順を示すフローチャート。 境界領域を用いた隣接領域の設定の様子を示す説明図。
符号の説明
20…光源
30…撮像部
40…コンピュータ
50…外部記憶装置
100…プリント基板検査装置
210…画像取得部
220…穴領域取得部
230…隣接領域取得部
240…特別処理領域設定部
250…特別処理領域検査部
260…マスク外領域検査部
PCB…プリント基板

Claims (2)

  1. 穴を有するプリント基板であって前記穴の周囲に配線パターンが設けられているとともに前記配線パターン上にレジストが塗布されたプリント基板を撮影したカラー画像を用いて、前記プリント基板の欠陥を検出する方法であって、
    (a)前記カラー画像の中から、前記プリント基板の穴に相当する特定領域を取得する工程と、
    (b)前記特定領域とは別に、前記特定領域の周囲の隣接領域を取得する工程と、
    (c)前記隣接領域に所定の色の画素が存在する場合、前記特定領域の周囲を包含する特別処理領域を設定し、前記特定領域と前記特別処理領域とを含むマスク領域を設定する工程と、
    (d)前記カラー画像のうち前記マスク領域以外の領域について、所定の欠陥検出処理を行う工程と、
    を備え、
    前記特定領域は前記プリント基板に設けられた穴を表す穴領域であり、
    前記マスク領域の大きさは、前記隣接領域に前記所定の色の画素が含まれている場合に拡大され
    前記特別処理領域について、前記所定の欠陥検出処理よりも色の許容範囲が広い特別の欠陥検出処理を行う、方法。
  2. 穴を有するプリント基板であって前記穴の周囲に配線パターンが設けられているとともに前記配線パターン上にレジストが塗布されたプリント基板を撮影したカラー画像を用いて、前記プリント基板の欠陥を検出する装置であって、
    前記カラー画像の中から、前記プリント基板の穴に相当する特定領域を取得する特定領域取得部と、
    前記特定領域とは別に、前記特定領域の周囲の隣接領域を取得する隣接領域取得部と、
    前記隣接領域に所定の色の画素が存在する場合、前記特定領域の周囲を包含する特別処理領域を設定し、前記特定領域と前記特別処理領域とを含むマスク領域を設定するマスク領域設定部と、
    前記カラー画像のうち前記マスク領域以外の領域について、所定の欠陥検出処理を行うマスク領域外検査部と、
    を備え、
    前記特定領域は前記プリント基板に設けられた穴を表す穴領域であり、
    前記マスク領域設定部は、前記マスク領域の大きさを、前記隣接領域に前記所定の色の画素が含まれている場合に拡大し
    前記マスク領域外検査部は、前記特別処理領域について、前記所定の欠陥検出処理よりも色の許容範囲が広い特別の欠陥処理を行う、装置。
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