従来、カーオーディオ装置においては、例えばヨーロッパにおけるデジタル音声放送としてのDAB、及びアナログ放送としてのFM(Frequency Modulation)放送をそれぞれ受信し、当該DAB及びFM放送の番組をユーザに対して聴取させ得るようになされているものがある。
ここでDABは、デジタル放送であるため高音質な番組をユーザに聴取させることができる一方、FM放送と比してトランスミッタのインフラ整備が遅れているため、そのサービスエリアが狭い。またFM放送は、アナログ放送であるためDABと比して音質は劣るものの、周波数が低いため、そのサービスエリアが広い。そしてDABとFM放送とは、同一内容の番組を放送する場合が多い。
そこでカーオーディオ装置のなかには、DABの番組をユーザに聴取させている状態で、当該DABが受信できなくなった場合、これまで受信していたDABと同一内容の番組が放送されているFM放送を受信するよう切り換え、当該FM放送の番組をユーザに聴取させる機能(以下、これをFMリンク機能と呼ぶ。)を有するものがある(例えば、特許文献1参照)。
例えば図1に示すように、カーオーディオ装置は、ルーチンRT1の開始ステップから入って次のステップSP1へ移り、ユーザの指示に従ってFMリンク機能をオンし、次のステップSP2へ移る。
ステップSP2においてカーオーディオ装置は、放送バンドをDABバンドに設定し、DAB帯域により放送されるDAB信号を受信すると、当該DAB信号からユーザ所望の放送局の番組を抽出し、その番組の音声をスピーカ(図示せず)から出力することによりDABの番組をユーザに聴取させ、次のステップSP3へ移る。
ステップSP3においてカーオーディオ装置は、現在出力している番組のDAB信号が受信できるか否かを判断し、肯定結果が得られるとステップSP2へ戻って引き続き番組を出力するのに対し、否定結果が得られると次のステップSP4へ移る。
ステップSP4においてカーオーディオ装置は、DAB信号が受信できないので、放送バンドをDABバンドからFM放送バンドへ切り換え、FM放送帯域で送信されるFM放送信号を受信し、ステップSP2において出力していた番組と同一内容の番組を当該FM放送信号から抽出し、その番組の音声をスピーカから出力することによりFM放送でありながらDABのときと同一内容の番組をユーザに聴取させ、次のステップSP5へ移る。
ここでカーオーディオ装置は、例えば当該カーオーディオ装置の前面に設けられたディスプレイ(図示せず)に対して、放送バンド、放送周波数、及び放送局名等を表示することにより、DAB又はFM放送のどちらの番組を聴取させているかユーザに対して目視確認させるようになされている。
しかしながら、カーオーディオ装置では、FMリンク機能によりDABバンドからFM放送バンドへ放送バンドを自動的に切り換えた場合、FM放送の番組を聴取していることにユーザが気付かず、当該ユーザがDAB帯域の異なる放送局で放送される他の番組を聴取するため、ディスプレイを目視確認しないままチャンネルを変更すべくシークボタン(図示せず)を押下操作する場合が考えられる。
この場合、ステップSP5においてカーオーディオ装置は、シークボタンが押下操作されたことを認識すると、次のステップSP6へ移る。
ステップSP6においてカーオーディオ装置は、FM放送バンドへ切り換えた後なので、現在出力中の番組を放送する放送局とは異なり、FM放送帯域で受信可能な他の番組を検索し、当該検索した他の番組の音声をスピーカから出力し、次のステップSP7へ移る。
ステップSP7においてカーオーディオ装置は、FM放送の番組を聴取していることにユーザが気付いた場合、放送バンドをFM放送バンドからDABバンドへ戻すための操作が当該ユーザによって行われるはずであり、例えば出力バンドを切り換えるためのモードボタン(図示せず)が押下操作されたか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、このことはモードボタンが押下操作されていないことを表しており、このときカーオーディオ装置は、ステップSP11に移って処理を終了する。
これに対してステップSP7において肯定結果が得られると、このことは、ユーザがFM放送の番組を聴取していることに気付き、放送バンドをFM放送バンドからDABバンドへ戻すためにモードボタンが押下操作されたことを表しており、このときカーオーディオ装置は、モードボタンの押下操作に応じてFM放送バンドからDABバンドへ放送バンドを戻し、次のステップSP8へ移る。
ところでカーオーディオ装置では、FM放送の番組を出力するための出力バンドとして、FM放送バンド「FM1」、「FM2」及び「FM3」のように複数の出力バンドが設けられているものがある。またカーオーディオ装置は、FM放送と同様に、AM放送及びDABに対してもAM放送バンド「AM1」及び「AM2」、DABバンド「DAB1」、「DAB2」及び「DAB3」のように複数の出力バンドが設けられている。
因みにカーオーディオ装置は、FM放送バンド「FM1」において、FM放送帯域で放送される番組を出力することができ、任意の6つの放送局の周波数を6つのナンバーボタン(図示せず)にそれぞれ対応させて登録することができる。
またカーオーディオ装置は、FM放送バンド「FM2」及び「FM3」についてもFM放送バンド「FM1」と同様に、FM放送帯域で放送される番組を出力することができ、任意の6つの放送局の周波数を6つのナンバーボタンにそれぞれ対応させて登録することができる。
さらにカーオーディオ装置は、AM放送バンド「AM1」及び「AM2」において、ヨーロッパでの長波(LW(Long Wave))放送帯域及び中波(MW(Middle Wave))放送帯域(以下、これらを合わせてAM放送帯域と呼ぶ。)で放送される番組を出力することができ、AM放送バンド「AM1」及び「AM2」に対して、任意の6つの放送局の周波数を6つのナンバーボタンにそれぞれ対応させて登録することができる。
さらにカーオーディオ装置は、DABバンド「DAB1」、「DAB2」及び「DAB3」において、DAB帯域で放送される番組を出力することができ、DABバンド「DAB1」、「DAB2」及び「DAB3」に対して、任意の6つの放送局の周波数を6つのナンバーボタンにそれぞれ対応させて登録することができる。
そしてカーオーディオ装置は、例えばFM放送バンド「FM1」においてFM放送の番組をスピーカを介して出力している状態でモードボタンが押下操作された場合、FM放送バンド「FM1」からFM放送バンド「FM2」へ出力バンドを切り換える。
またカーオーディオ装置は、モードボタンが押下操作される度に、FM放送バンド「FM1」→「FM2」→「FM3」→AM放送バンド「AM1」→「AM2」→DABバンド「DAB1」→「DAB2」→「DAB3」へと出力バンドを順に切り換えるようになされている。
因みにカーオーディオ装置は、例えばDABバンド「DAB3」においてDABの番組を出力している状態でモードボタンが押下操作された場合、当該DABバンド「DAB3」からFM放送バンド「FM1」へ出力バンドを再度戻し、当該FM放送バンド「FM1」においてFM放送の番組を出力する。
このようにカーオーディオ装置は、モードボタンの押下操作に応じて、FM放送バンド「FM1」、「FM2」、「FM3」、AM放送バンド「AM1」、「AM2」、DABバンド「DAB1」、「DAB2」、「DAB3」の順番で巡回するようになされている。
従ってカーオーディオ装置は、例えばFM放送バンド「FM1」においてFM放送の番組を出力しているときに、DABバンド「DAB1」へ出力バンドを戻すためには、モードボタンを5回押下操作させることにより、FM放送バンド「FM1」からFM放送バンド「FM2」→「FM3」→AM放送バンド「AM1」→「AM2」を経由してDABバンド「DAB1」へ戻すようになされている。
ステップSP8においてカーオーディオ装置は、シークボタンが押下操作されたか否かを判断し、肯定結果が得られると、このことは放送局を変更するためにユーザによってシークボタンが押下操作されたことを表しており、このとき次のステップSP9へ移る。
ステップSP9においてカーオーディオ装置は、現在出力中の番組が放送されている放送局とは異なり、DAB帯域で受信可能な放送局を検索し、次のステップSP8へ戻る。
ステップSP8においてカーオーディオ装置は、シークボタンが再び押下操作されたか否かを判断し、否定結果が得られると、このことはステップSP9においてDAB帯域の受信可能な放送局を検索した後であるため、シークボタンが再び押下操作されていないことを表しており、次のステップSP10へ移る。
ステップSP10においてカーオーディオ装置は、ステップSP9において設定された放送局の番組の音声をスピーカを介して出力することにより、DABの番組をユーザに聴取させ、次のステップSP11へ移って処理を終了する。
このようにカーオーディオ装置は、ステップSP7で示したように、FMリンク機能により例えばDABバンド「DAB1」からFM放送バンド「FM1」へ自動的に放送バンドを切り換えた場合、当該FM放送バンド「FM1」からDABバンド「DAB1」へ放送バンドを戻すためには、ユーザに対してモードボタンを複数回も押下操作させる必要がある。
特開2000-236272公報
以下に、図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
(1)カーオーディオ装置の全体構成
図2(A)及び(B)において、1は全体として本発明におけるカーオーディオ装置を示し、本体部2の前面にフロントパネル3が設けられており、ユーザの操作に応じてラジオ放送の受信やCDの再生等を行い、本体部2と接続された車両のスピーカ(図示せず)を介してその音声をユーザに聴取させるようになされている。
このカーオーディオ装置1は、図示しない車両に取り付けられた際、その車両の空間的な制約等から、本体部2の大部分がダッシュボード内に埋め込まれ、フロントパネル3だけがダッシュボードの外部に露出するように取り付けられることが想定されている。
実際上、カーオーディオ装置1は、いわゆるDIN(Deutsche Industrie Normen:ドイツ連邦規格)サイズに準拠しており、横幅が約178[mm]、高さが約50[mm]となるように本体部2及びフロントパネル3が構成されている。
フロントパネル3は、前面3Aにユーザの操作を受け付けるための操作ボタン群4と、当該ユーザに各種情報を提供するためのLCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electroluminescence)又はVFD(Vacuum Fluorescent Display)等でなるディスプレイ5とが設けられており、いわゆるユーザインタフェースとして機能するようになされている。
またフロントパネル3(図2(B))は、ディスプレイ5を配置したディスプレイ配置板6が下方向へスライドするようになされており、それに伴い、当該ディスプレイ配置板6の下方に設けられ操作ボタン群4の一部を配置したボタン配置板7が前方向へせり出しながら突出する。
このためカーオーディオ装置1は、ディスプレイ配置板6が下方向へスライドした際のフロントパネル3における露出部分に、CD(Compact Disc)メディアやDVD(Digital Versatile Disc)メディア等を挿入又は排出するためのディスク挿入口8、及び当該CDメディアやDVDメディア等を排出するために押下操作し得るディスク排出ボタン9が設けられている。
因みにカーオーディオ装置1では、盗難抑止等の観点から、例えば車両の駐車時に本体部2からフロントパネル3を取り外し得るようになされており、当該本体部2とフロントパネル3とがコネクタ(図示せず)により電気的に接続及び分離し得るようになされている。
(2)フロントパネルの外観構成
次にフロントパネル3の構成について詳しく説明する。図3に示すように、フロントパネル3には、ディスプレイ5の下方に設けられたボタン配置板7に、操作ボタン群4としてソースボタン11、モードボタン12、及び6つのナンバーボタン13A〜13Fからなるナンバーボタン群13が設けられ、当該ディスプレイ5の右方向にシークプラスボタン14及びシークマイナスボタン15が設けられている。
カーオーディオ装置1(図2)は、ソースボタン11が押下操作されると、ラジオ放送、CD等のソースを順に切り換え、当該押下操作に応じて選択されたラジオ放送、CD等の音声を車両のスピーカから出力するようになされている。
またカーオーディオ装置1は、ソースボタン11の押下操作に応じてラジオ放送が選択された状態でモードボタン12が押下操作される毎に、例えばFM放送バンド「FM1」、「FM2」、「FM3」、AM放送バンド「AM1」、「AM2」、DABバンド「DAB1」、「DAB2」、「DAB3」、AM放送帯域により放送されるデジタル放送であるDRM(Digital Radio Mondiale)の番組を出力するためのDRMバンド「DRM1」、「DRM2」、「DRM3」へと出力バンドを順に切り換えるようになされている。
さらにカーオーディオ装置1は、例えばDABバンド「DAB1」に出力バンドを設定している状態で、ナンバーボタン13A〜13Fのいずれかが押下操作されると、押下操作されたナンバーボタン13A〜13Fに対応付けて登録された周波数の放送局から放送される番組の音声を車両のスピーカから出力する。
さらにカーオーディオ装置1は、例えばDABバンド「DAB1」に出力バンドを設定している状態で、シークプラスボタン14が押下操作されると、現在設定されている周波数より高いDAB帯域で受信可能な他の放送局を検索し、当該検索した放送局により放送されるDABの番組を車両のスピーカから出力する。
またカーオーディオ装置1は、例えばDABバンド「DAB1」に出力バンドを設定している状態で、シークマイナスボタン15が押下操作されると、現在設定されている周波数より低いDAB帯域で受信可能な他の放送局を検索し、当該検索した放送局により放送されるDABの番組を車両のスピーカから出力する。
(3)カーオーディオ装置の回路構成
次にカーオーディオ装置1を構成する本体部2及びフロントパネル3の回路構成について説明する。実際上、カーオーディオ装置1は、図示しない車両のバッテリから電源電力の供給を受けて動作するようになされている。
図4に示すように、本体部2のコントローラ21は、CPU(Central Processing Unit)構成でなり、当該コントローラ21がROM(Read Only Memory)から読み出してRAM(Random Access Memory)に立ち上げた基本プログラムに従って全体を統括制御すると共に、各種アプリケーションプログラムに従ってラジオ放送の受信出力、CD再生出力等を行うようになされている。
メモリ22は、不揮発性メモリ等により構成されており、DABバンド「DAB1」に対して、DAB帯域における任意の6つの放送局の周波数がナンバーボタン群13における6つのナンバーボタン13A〜13Fにそれぞれ対応付けて登録されている。
またメモリ22は、DABバンド「DAB1」と同様に、DABバンド「DAB2」、「DAB3」、FM放送バンド「FM1」、「FM2」、「FM3」、AM放送バンド「AM1」、「AM2」、DRMバンド「DRM1」、「DRM2」及び「DRM3」に対してもそれぞれの放送帯域における任意の6つの放送局の周波数がナンバーボタン群13における6つのナンバーボタン13A〜13Fにそれぞれ対応付けて登録されている。
カーオーディオ装置1のコントローラ21は、ソースボタン11又はモードボタン12が押下操作され、例えばDABバンド「DAB1」が選択されると、「DAB1」の文字をディスプレイ5に表示し、当該DABバンド「DAB1」が選択されていることをユーザに目視確認させるようになされている。
そしてカーオーディオ装置1のコントローラ21は、DABバンド「DAB1」、「DAB2」又は「DAB3」が選択されている状態で、ナンバーボタン13A〜13F、シークプラスボタン14又はシークマイナスボタン15が押下操作され、DAB帯域におけるユーザ所望の放送局が選択されると、その放送局により放送される番組を出力するようDABチューナ23、オーディオプロセッサ25及びパワーアンプ26を制御する。
実際上、DABチューナ23は、DAB帯域により放送されるDAB信号S1をDABアンテナ24を介して受信すると、DAB抽出部23Aにより当該DAB信号S1からユーザ所望の放送局に対応したDABチャンネル信号S1Aだけを抽出した後、DAB信号処理部23BによってDABチャンネル信号S1Aに対して復調処理及び復号処理等を施すことによりDABデータを得る。
そしてDABチューナ23のDAB信号処理部23Bは、DABデータに含まれているDAB音声データD1BとDAB情報データD2とを分離すると、DAB音声データD1BをDABアナログ変換部23Cへ送出すると共に、DAB情報データD2をコントローラ21へ送出する。因みに、DAB情報データD2には、放送局名、番組名、同一内容の番組を放送するFM放送及びDRMの放送局に対応する代替周波数等のDAB情報が含まれている。
またDABチューナ23のDAB信号処理部23Bは、DABデータのエラーレートを検出するようになされており、当該エラーレートが所定の閾値以上の場合、ユーザ所望の放送局に対応したDABチャンネル信号S1Aが受信できていないと判断し、DABエラー信号ES1をコントローラ21へ送出する。
DABチューナ23のアナログ変換部23Cは、DAB音声データD1Bをアナログ変換し、その結果得られるDAB音声信号S3をオーディオプロセッサ25へ送出する。
オーディオプロセッサ25は、DABチューナ23から供給されたDAB音声信号S3に対してイコライザ処理やボリューム調整処理等の音声調整処理を施し、その結果得られるDAB音声信号S4をパワーアンプ26へ送出する。
パワーアンプ26は、オーディオプロセッサ25から供給されたDAB音声信号S4を所定レベルに増幅し、その増幅したDAB音声信号S4に基づく番組の音声をスピーカ27から出力することにより、ユーザ所望のDABバンドの番組を聴取させ得るようになされている。
一方、カーオーディオ装置1のコントローラ21は、DABチューナ23のDAB信号処理部23Bから供給されたDAB情報データD2に含まれる放送局名、番組名等をディスプレイ5に表示するようになされており、当該放送局名、番組名等をユーザに目視確認させ得るようになされている。
またカーオーディオ装置1のコントローラ21は、FM放送バンド「FM1」、「FM2」又は「FM3」が選択されている状態で、ナンバーボタン13A〜13F、シークプラスボタン14又はシークマイナスボタン15が押下操作され、FM放送帯域におけるユーザ所望の放送局が選択されると、その放送局により放送される番組を出力するようAM/FMチューナ28、オーディオプロセッサ25及びパワーアンプ26を制御する。
実際上、AM/FMチューナ28は、FM放送帯域により放送されるFM放送信号S11をAM/FMアンテナ29を介して受信すると、AM/FM抽出部28AによりFM放送信号S11からユーザ所望の放送局に対応したFM放送チャンネル信号S11Aだけを抽出し、AM/FM復調部28BによりFM放送チャンネル信号S11Aを復調し、その結果としてFM放送音声信号S12、及びFM放送音声信号S12に多重されていたRDS(Radio Data System)データD13を得る。
このときAM/FMチューナ28のAM/FM復調部28Bは、FM放送音声信号S12をオーディオプロセッサ25へ送出すると共に、当該FM放送音声信号S12に多重されていたRDS(Radio Data System)データD13をコントローラ21へ送出する。因みに、RDSデータD13には、放送局名、番組名、同一内容の番組を放送するDABの放送局に対応した代替周波数等のRDS情報が含まれる。
その後、カーオーディオ装置1では、オーディオプロセッサ25及びパワーアンプ26により上述したDAB音声信号S3に対する処理と同様に、オーディオプロセッサ25によりFM放送音声信号S12に対して音声調整処理が施されたFM放送音声信号S14を、パワーアンプ26によって所定レベルに増幅し、その増幅したFM放送音声信号S14に基づく番組の音声をスピーカ27から出力することにより、FM放送の番組をユーザに聴取させ得るようになされている。
一方、カーオーディオ装置1のコントローラ21は、AM/FMチューナ28から供給されたRDSデータD13に含まれる放送局名、番組名等をディスプレイ5に表示するようになされており、当該放送局名、番組名等をユーザに目視確認させ得るようになされている。
さらにカーオーディオ装置1のコントローラ21は、AM放送バンド「AM1」又は「AM2」が選択されている状態で、ナンバーボタン13A〜13F、シークプラスボタン14又はシークマイナスボタン15が押下操作され、AM放送におけるユーザ所望の放送局が選択されると、その放送局から放送される番組を出力するようAM/FMチューナ28、オーディオプロセッサ25及びパワーアンプ26を制御する。
実際上、AM/FMチューナ28は、AM放送帯域により放送されるAM放送信号S21をAM/FMアンテナ29を介して受信すると、当該FM放送信号S21からユーザ所望の放送局に対応したAM放送チャンネル信号S21AだけをAM/FM抽出部28Aにより抽出し、AM/FM復調部28BによってAM放送チャンネル信号S21Aを復調し、その結果得られたAM放送音声信号S22をオーディオプロセッサ25へ送出する。
その後、カーオーディオ装置1では、オーディオプロセッサ25及びパワーアンプ26により上述したDAB音声信号S3に対する処理と同様に、オーディオプロセッサ25によりAM放送音声信号S22に対して音声調整処理が施されたAM放送音声信号S24を、パワーアンプ26によって所定レベルに増幅し、その増幅したAM放送音声信号S24に基づく番組の音声をスピーカ27から出力することにより、AM放送の番組をユーザに聴取させ得るようになされている。
またカーオーディオ装置1のコントローラ21は、DRMバンド「DRM1」、「DRM2」又は「DRM3」が選択されている状態で、ナンバーボタン13A〜13F、シークプラスボタン14又はシークマイナスボタン15が押下操作され、AM放送帯域におけるユーザ所望のDRMの放送局が選択されると、その放送局により放送される番組を出力するようAM/FMチューナ28、オーディオプロセッサ25及びパワーアンプ26を制御する。
AM/FMチューナ28は、AM放送帯域により放送されるDRM信号S31をAM/FMアンテナ29を介して受信すると、当該DRM信号S31からユーザ所望の放送局に対応したDRMチャンネル信号S31AだけをAM/FM抽出部28Aにより抽出し、AM/FM復調部28Bによって当該DRMチャンネル信号S31Aを復調し、その結果得られるDRMチャンネル信号S31BをDRMデコーダ28Cへ送出する。
そしてAM/FMチューナ28のDRMデコーダ28Cは、DRMチャンネル信号S31Bを復号し、その結果得られたDRMデータに含まれるDRM音声データD31CとDRM情報データD33とを分離した後、当該DRM音声データD31CをDRMアナログ変換部28Dへ送出すると共に、DRM情報データD33をコントローラ21へ送出する。因みにDRM情報データD33には、放送局名、番組名、同一内容の番組を放送するDABの放送局に対応する代替周波数等のDRM情報が含まれる。
またAM/FMチューナ28のDRMデコーダ28Cは、DRMデータのエラーレートを検出するようになされており、当該エラーレートが所定の閾値以上の場合、ユーザ所望の放送局に対応したDRMチャンネル信号S31Aが受信できていないと判断し、DRMエラー信号ES2をコントローラ21へ送出する。
AM/FMチューナ28のDRMアナログ変換部28Dは、DRMデコーダ28Cから供給されたDRM音声データD31Cをアナログ変換し、その結果得られるDRM音声信号S32をオーディオプロセッサ25へ送出する。
その後、カーオーディオ装置1では、オーディオプロセッサ25及びパワーアンプ26により上述したDAB音声信号S3に対する処理と同様に、オーディオプロセッサ25によりDRM音声信号S32に対して音声調整処理が施されたDRM音声信号S34を、パワーアンプ26によって所定レベルに増幅し、そのDRM音声信号S34に基づく番組の音声を出力することにより、DRMの番組をユーザに聴取させ得るようになされている。
一方、カーオーディオ装置1のコントローラ21は、AM/FMチューナ28から供給されたRDS情報データD33に含まれる放送局名、番組名等をディスプレイ5に表示するようになされており、当該放送局名、番組名等をユーザに目視確認させ得るようになされている。
ところでカーオーディオ装置1のコントローラ21は、例えばソースボタン11の押下操作に応じて「CD」が選択されると、CDプレーヤ30によりCDメディアのCD音楽データを再生させ、そのCD音声データをオーディオプロセッサ25へ送出させる。
そしてカーオーディオ装置1では、オーディオプロセッサ25、パワーアンプ26及びスピーカ27を介してCDプレーヤ30から供給されたCD音声データに基づく音声を出力することにより、CD再生音声をユーザに聴取させ得るようになされている。
(4)FMリンク機能におけるDAB復帰処理手順
次に、カーオーディオ装置1においてFMリンク機能がオンになっている場合、DABバンドからFM放送バンドへ放送バンドを自動的に切り換えた後、DABバンドの放送局を検索するための操作がユーザによって行われたときに、DABバンドへ放送バンドを強制的に戻し、DABの番組を出力する処理の流れを、図5を用いて説明する。
カーオーディオ装置1のコントローラ21は、ルーチンRT2の開始ステップから入って次のステップSP21へ移り、例えばソースボタン11が押下操作されたことに応じてDABバンド「DAB1」に放送バンドが設定された場合、FMリンク機能をオンし、次のステップSP22へ移る。
ここでカーオーディオ装置1では、デフォルト設定においてFMリンク機能がオンに設定されているため、ユーザに対してFMリンク機能をオンさせることなく、自動的にFMリンク機能がオンするようになされているが、これに限るものではなく、所定の操作をユーザに行わせることによってFMリンク機能をオンするようにしても良い。
ステップSP22においてカーオーディオ装置1のコントローラ21は、ナンバーボタン13A〜13F、シークプラスボタン14又はシークマイナスボタン15が押下操作されたことにより、DABバンド「DAB1」におけるユーザ所望の放送局が選択されると、DAB信号S1をDABアンテナ24を介してDABチューナ23により受信させ、当該DABチューナ23によってユーザ所望の放送局に対応するDAB音声信号S3を抽出させ、オーディオプロセッサ25によりDAB音声信号S3に対して音声調整処理が施されたDAB音声信号S4に基づく番組の音声を、パワーアンプ26及びスピーカ27を介して出力し、次のステップSP23へ移る。
このときカーオーディオ装置1のコントローラ21は、DABチューナ23のDAB信号処理部23Bから供給されたDAB情報データD2に含まれる放送局名、番組名等をディスプレイ5に表示すると共に、AM/FMチューナ28に対して、DAB情報データD2に含まれるFM放送の代替周波数に対応するFM放送音声信号S12をオーディオプロセッサ25へ送出させる。
ここでカーオーディオ装置1のコントローラ21は、オーディオプロセッサ25に対して、DAB音声信号S4だけをパワーアンプ26へ送出させ、FM放送音声信号S14を送出させないよう制御する。
ステップSP23においてカーオーディオ装置1のコントローラ21は、DABチューナ23のDAB信号処理部23BからDABエラー信号ES1が供給されたか否かを判断し、否定結果が得られるとステップSP22へ戻って引き続き番組を出力する。
これに対してステップSP23で肯定結果が得られると、このことは現在出力中の番組を放送する放送局のDABチャンネル信号S1Aが受信できていないことを表しており、このときカーオーディオ装置1のコントローラ21は、次のステップSP24へ移る。
ステップSP24においてカーオーディオ装置1のコントローラ21は、出力切換命令信号をオーディオプロセッサ25へ送出し、当該オーディオプロセッサ25に対して、AM/FMチューナ28から供給されたFM放送音声信号S12に対して音声調整処理が施されたFM放送音声信号S14をパワーアンプ26へ送出させ、ステップSP22においてユーザに聴取させていたDABの番組と同一内容のFM放送の番組をスピーカ27から出力させ、次のステップSP25へ移る。
このときカーオーディオ装置1のコントローラ21は、AM/FMチューナ28から供給されるRDS情報データD13に含まれる放送局名、番組名等と、DABバンド「DAB1」から例えばFM放送バンド「FM1」へ切り換わった旨を示す「FM1」の文字とをディスプレイ5に表示する。
ところでカーオーディオ装置1では、例えば現在聴取させている番組にユーザが飽きて、当該ユーザが異なる放送局で放送される他の番組を聴取するためにシークプラスボタン14又はシークマイナスボタン15を押下操作する場合が考えられる。
そこでステップSP25においてカーオーディオ装置1のコントローラ21は、シークプラスボタン14又はシークマイナスボタン15が押下操作されたか否かを判断し、否定結果が得られると再度ステップSP25へ戻り、シークプラスボタン14又はシークマイナスボタン15が押下操作されるまで待ち受けるのに対し、肯定結果が得られると次のステップSP26へ移る。
ステップSP26においてカーオーディオ装置1のコントローラ21は、FM放送バンド「FM1」からDABバンド「DAB1」へ放送バンドを強制的に戻し、ステップSP25においてシークプラスボタン14が押下操作されていた場合にはステップSP22において設定された周波数より高いDAB帯域で受信可能な放送局を検索し、次のステップSP27へ移る。
またカーオーディオ装置1のコントローラ21は、ステップSP25においてシークマイナスボタン15が押下操作されていた場合には、ステップSP22において設定された周波数より低いDAB帯域で受信可能な放送局を検索し、次のステップSP27へ移る。
ステップSP27においてカーオーディ装置1のコントローラ21は、シークプラスボタン14又はシークマイナスボタン15の押下操作に応じて検索した放送局のDAB音声信号S3をDABチューナ23により抽出させ、オーディオプロセッサ25によってDAB音声信号S3に対して音声調整処理が施されたDAB音声信号S4に基づく番組の音声を、パワーアンプ26及びスピーカ27を介して出力することによりDABの番組をユーザに聴取させ、次のステップSP28へ移って処理を終了する。
このようにカーオーディオ装置1のコントローラ21は、上述したFMリンク機能におけるDAB復帰処理手順に従って、例えばDABバンド「DAB1」において出力していた放送局のDABチャンネル信号S1Aが受信できなくなり、FMリンク機能によりFM放送バンド「FM1」へ放送バンドを切り換えた場合、シークプラスボタン14又はシークマイナスボタン15が押下操作されたことを認識すると、FM放送バンド「FM1」からDABバンド「DAB1」へ強制的に放送バンドを戻して当該DABバンド「DAB1」における受信可能な放送局を検索し、当該検索した放送局により放送されるDABの番組を出力するようになされている。
これによりカーオーディオ装置1のコントローラ21は、FMリンク機能がオンになっており、かつDABバンド「DAB1」における番組を最初に聴取させていた後、DABバンド「DAB1」からFM放送バンド「FM1」へ放送バンドを切り換えた場合、シークプラスボタン14又はシークマイナスボタン15が押下操作されたことを認識すると、DABバンド「DAB1」の受信可能な放送局を自動的に検索し、FM放送バンド「FM1」からDABバンド「DAB1」へ放送バンドを戻した後、そのDABバンド「DAB1」の放送局により放送される番組を聴取させることができる。
(5)DRMリンク機能におけるDAB復帰処理手順
ところでカーオーディオ装置1は、DABチューナ23によりDAB信号S1を受信し、ユーザ所望の放送局に対応するDABチャンネル信号S1Aに基づいてDABの番組をユーザに聴取させている状態で、当該DABチャンネル信号S1Aが受信できなくなった場合、AM/FMチューナ28によりDRM信号S31を受信し、聴取させていたDABの番組と同一内容の番組が放送されているDRMチャンネル信号S31Aに基づいたDRMの番組をユーザに聴取させる機能(以下、これをDRMリンク機能と呼ぶ。)を有する。
カーオーディオ装置1においてDRMリンク機能がオンになっている場合、DABバンドからDRMバンドへ放送バンドが自動的に切り換わった後、DABバンドの放送局を検索するための操作がユーザによって行われたときに、DABバンドへ放送バンドを強制的に戻し、DABの番組を出力する処理の流れを、図6を用いて説明する。
カーオーディオ装置1のコントローラ21は、ルーチンRT3の開始ステップから入って次のステップSP31へ移り、例えばソースボタン11が押下操作されたことに応じてDABバンド「DAB1」に放送バンドが設定された場合、DRMリンク機能をオンし、次のステップSP32へ移る。
ステップSP32においてカーオーディオ装置1のコントローラ21は、ナンバーボタン13A〜13F、シークプラスボタン14又はシークマイナスボタン15が押下操作されたことにより、DABバンド「DAB1」におけるユーザ所望の放送局が選択されると、DAB信号S1をDABアンテナ24を介してDABチューナ23により受信させ、当該DABチューナ23によってユーザ所望の放送局に対応するDAB音声信号S3を抽出させ、オーディオプロセッサ25によりDAB音声信号S3に対して音声調整処理が施されたDAB音声信号S4に基づく番組の音声を、パワーアンプ26及びスピーカ27を介して出力し、次のステップSP33へ移る。
このときカーオーディオ装置1のコントローラ21は、DABチューナ23のDAB信号処理部23Bから供給されたDAB情報データD2に含まれる放送局名、番組名等をディスプレイ5に表示すると共に、AM/FMチューナ28に対して、DAB情報データD2に含まれるDRMの代替周波数に対応するDRM音声信号S32をオーディオプロセッサ25へ送出させる。
ここでカーオーディオ装置1のコントローラ21は、オーディオプロセッサ25に対して、DAB音声信号S4をパワーアンプ26へ送出させ、DRM音声信号S34を送出させないよう制御する。
ステップSP33においてカーオーディオ装置1のコントローラ21は、DABチューナ23のDAB信号処理部23BからDABエラー信号ES1が供給されたか否かを判断し、否定結果が得られるとステップSP32へ戻って引き続き番組を出力する。
これに対してステップSP33で肯定結果が得られると、このことは現在出力中の番組を放送する放送局のDABチャンネル信号S1Aが受信できていないことを表しており、このときカーオーディオ装置1のコントローラ21は、次のステップSP34へ移る。
ステップSP34においてカーオーディオ装置1のコントローラ21は、出力切換命令信号をオーディオプロセッサ25へ送出し、当該オーディオプロセッサ25に対して、AM/FMチューナ28から供給されたDRM音声信号S32に対して音声調整処理が施されたDRM音声信号S34をパワーアンプ26へ送出させ、ステップSP32においてユーザに聴取させていたDABの番組と同一内容のDRMの番組をスピーカ27から出力させ、次のステップSP35へ移る。
このときカーオーディオ装置1のコントローラ21は、AM/FMチューナ28から供給されるDRM情報データD33に含まれる放送局名、番組名等と、DABバンド「DAB1」から例えばDRMバンド「DRM1」へ切り換わった旨を示す「DRM1」の文字とをディスプレイ5に表示する。
ところでカーオーディオ装置1では、例えば現在聴取させている番組にユーザが飽きて、当該ユーザが異なる放送局で放送される他の番組を聴取するためにシークプラスボタン14又はシークマイナスボタン15を押下操作する場合が考えられる。
そこでステップSP35においてカーオーディオ装置1のコントローラ21は、シークプラスボタン14又はシークマイナスボタン15が押下操作されたか否かを判断し、否定結果が得られると再度ステップSP35へ戻り、シークプラスボタン14又はシークマイナスボタン15が押下操作されるまで待ち受けるのに対し、肯定結果が得られると次のステップSP36へ移る。
ステップSP36においてカーオーディオ装置1のコントローラ21は、DRMバンド「DRM1」からDABバンド「DAB1」へ放送バンドを強制的に戻し、ステップSP35においてシークプラスボタン14が押下操作されていた場合には、ステップSP32において設定された周波数より高いDAB帯域で受信可能な放送局を検索し、次のステップSP37へ移る。
またカーオーディオ装置1のコントローラ21は、ステップSP35においてシークマイナスボタン15が押下操作された場合には、ステップSP32において設定された周波数より低いDAB帯域で受信可能な放送局を検索し、次のステップSP37へ移る。
ステップSP37においてカーオーディ装置1のコントローラ21は、シークプラスボタン14又はシークマイナスボタン15の押下操作に応じて検索した放送局のDAB音声信号S3をDABチューナ23により抽出させ、オーディオプロセッサ25によってDAB音声信号S3に対して音声調整処理が施されたDAB音声信号S4に基づく番組の音声を、パワーアンプ26及びスピーカ27を介して出力することによりDABの番組をユーザに聴取させ、次のステップSP38へ移って処理を終了する。
このようにカーオーディオ装置1のコントローラ21は、上述したDRMリンク機能におけるDAB復帰処理手順に従って、例えばDABバンド「DAB1」において出力していた放送局のDABチャンネル信号S1Aが受信できなくなり、DRMリンク機能によりDRMバンド「DRM1」へ放送バンドを切り換えた場合、シークプラスボタン14又はシークマイナスボタン15が押下操作されたことを認識すると、DRMバンド「DRM1」からDABバンド「DAB1」へ強制的に放送バンドを復帰して、当該DABバンド「DAB1」における受信可能な放送局を検索し、当該検索した放送局により放送されるDABの番組を出力するようになされている。
これによりカーオーディオ装置1のコントローラ21は、DRMリンク機能がオンになっており、かつDABバンド「DAB1」における番組を最初に聴取させていた後、DABバンド「DAB1」からDRMバンド「DRM1」へ放送バンドを切り換えた場合、シークプラスボタン14又はシークマイナスボタン15が押下操作されたことを認識すると、DABバンド「DAB1」の受信可能な放送局を自動的に検索し、DRMバンド「DRM1」からDABバンド「DAB1」へ放送バンドを戻した後、そのDABバンド「DAB1」の放送局により放送される番組を聴取させることができる。
(6)動作及び効果
以上の構成において、カーオーディオ装置1は、例えばDABバンド「DAB1」において出力していた番組のDABチャンネル信号S1Aが受信できなくなり、FMリンク機能によりFM放送バンド「FM1」へ放送バンドを切り換えた後、シークプラスボタン14又はシークマイナスボタン15が押下操作されると、FM放送バンド「FM1」からDABバンド「DAB1」へ強制的に放送バンドを戻し、当該DABバンド「DAB1」において受信可能な放送局を検索し、当該検索した放送局により放送されるDABの番組をユーザに聴取させることができる。
このカーオーディオ装置1は、以下に示すような使い勝手の良いラジオ受信方法を提供することができる。すなわちカーオーディオ装置1では、例えばDABバンド「DAB1」により放送される番組をユーザに対して聴取させている状態で、FMリンク機能によりDABバンド「DAB1」からFM放送バンド「FM1」へ放送バンドを切り換えても、同一内容の番組を聴取させているため、当該ユーザに対して放送バンドが切り換わったことを気付かせられないことが考えられる。
このときユーザは、放送バンドがFM放送バンド「FM1」へ切り換わったことに気付かず、現在聴取している番組に飽きて、放送局を変更するためにシークプラスボタン14又はシークマイナスボタン15を押下操作した場合、DAB帯域の他の放送局をカーオーディオ装置1が検索すると思っているはずである。
ところが従来のカーオーディオ装置では、FMリンク機能によりDABバンド「DAB1」からFM放送バンド「FM1」へ放送バンドを切り換えた後、シークプラスボタン14又はシークマイナスボタン15が押下操作されると、FM放送帯域の他の放送局を検索し、その放送局の番組を出力してしまう。そこでユーザは、FM放送の番組を聴取していることに気付き、例えばDABバンド「DAB1」へ放送バンドを戻すため、モードボタン12等の押下操作を行わなければならない。
しかしながら本発明のカーオーディオ装置1では、FMリンク機能によりFM放送バンド「FM1」へ放送バンドが切り換わったことにユーザが気づいていようがいなかろうが、当該ユーザが現在聴取している番組に飽きてシークプラスボタン14又はシークマイナスボタン15を押下操作すれば、必ず放送バンドをFM放送バンド「FM1」からDABバンド「DAB1」へ強制的に戻し、DABの番組を聴取させることができる。従ってユーザは、DABバンド「DAB1」及びFM放送バンド「FM1」のどちらに設定されているかを気にすることなく、現在聴いている番組に飽きたら、シークプラスボタン14又はシークマイナスボタン15を押下操作すれば、常にDABの他の番組を聴取することができる。
またカーオーディオ装置1は、FM放送バンド「FM1」からDABバンド「DAB1」へ強制的に放送バンドを戻す際、最初に聴取させていた周波数のDABチャンネル信号S1Aを受信できる可能性が低いので、DABバンド「DAB1」の受信可能な周波数を検索し、その周波数により放送されるDABの番組を聴取させることにより、受信可能な周波数を検索するためのボタン押下操作をさせない分、簡易な操作でDABの番組を聴取させることができる。
さらにカーオーディオ装置1は、FMリンク機能がオンになっていることによりDABバンド「DAB1」からFM放送バンド「FM1」へ自動的に切り換わった場合にも、シークプラスボタン14又はシークマイナスボタン15を押下操作させるによりFM放送バンド「FM1」からDABバンド「DAB1」へ強制的に放送バンドを戻すことができるので、従来のようにユーザに対して複数回もモードボタンを押下操作させるという煩雑な操作を強いることがなく、簡易な操作でDABバンド「DAB1」におけるDABの番組を聴取させることができる。
またカーオーディオ装置1は、FMリンク機能がオンになっていることによりDABバンド「DAB1」からFM放送バンド「FM1」へ自動的に切り換わった場合にも、シークプラスボタン14又はシークマイナスボタン15が押下操作されたことを認識すると、FM放送バンド「FM1」からDABバンド「DAB1」へ強制的に放送バンドを戻すので、DABバンド「DAB1」の受信可能な放送局を検索するためにシークプラスボタン14又はシークマイナスボタン15を押下操作させる際、ユーザに対して放送バンドがFM放送バンド「FM1」及びDABバンド「DAB1」のどちらを聴取しているか目視確認させずに済み、その分使い勝手を向上することができる。
またカーオーディオ装置1は、例えばDABバンド「DAB1」において出力していた番組の放送局のDABチャンネル信号S1Aが受信できなくなり、DRMリンク機能によりDRMバンド「DRM1」へ放送バンドを切り換えた場合、シークプラスボタン14又はシークマイナスボタン15が押下操作されたことを認識すると、DRMバンド「DRM1」からDABバンド「DAB1」へ強制的に放送バンドを復帰して、当該DABバンド「DAB1」における受信可能な放送局を検索し、当該検索した放送局により放送されるDABの番組を聴取させることができる。
以上の構成によれば、FMリンク機能又はDRMリンク機能がオンになっており、かつDABバンド「DAB1」における番組を最初に聴取させていた場合、シークプラスボタン14又はシークマイナスボタン15が押下操作されると、FM放送バンド「FM1」又はDRMバンド「DRM1」からDABバンド「DAB1」へ強制的に放送バンドを戻し、DABバンド「DAB1」の受信可能な放送局を検索し、その放送局により放送されるDABの番組を聴取させることができる。
(7)他の実施の形態
なお上述した実施の形態においては、FMリンク機能がオンになっており、DABバンド「DAB1」からFM放送バンド「FM1」へ自動的に切り換わった場合、シークプラスボタン14又はシークマイナスボタン15が押下操作されると、FM放送バンド「FM1」からDABバンド「DAB1」へ強制的に放送バンドを戻すようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばソースボタン11、モードボタン12、又はナンバーボタン13A〜13Fが押下操作されても、FM放送バンド「FM1」からDABバンド「DAB1」へ強制的に放送バンドを戻すようにしても良い。
この場合、カーオーディオ装置1は、FMリンク機能がオンになっており、DABバンド「DAB1」からFM放送バンド「FM1」へ自動的に切り換わった後、ソースボタン11又はモードボタン12が押下操作されると、FM放送バンド「FM1」からDABバンド「DAB1」へ強制的に放送バンドを戻し、その際、最初に聴取させていた放送局のDABチャンネル信号S1Aを受信できる可能性が低いため、DABバンド「DAB1」の受信可能な放送局を検索し、その放送局により放送されるDABの番組を聴取させることにより、上述した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
またカーオーディオ装置1は、FMリンク機能がオンになっており、DABバンド「DAB1」からFM放送バンド「FM1」へ自動的に切り換わった後、ナンバーボタン13A〜13Fのいずれかが押下操作されると、当該ナンバーボタン13A〜13Fに対応した周波数をメモリ22から読み出し、当該読み出した周波数に対応した放送局により放送されるDABの番組を出力する。
また上述した実施の形態においては、FMリンク機能又はDRMリンク機能により例えばDABバンド「DAB1」からFM放送バンド「FM1」又はDRMバンド「DRM1」へ放送バンドが切り換わった後、シークプラスボタン14又はシークマイナスボタン15の押下操作が行われたとき、DABバンド「DAB1」へ放送バンドを強制的に戻し、DABの番組を出力するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、DABリンク機能を有する場合、DABリンク機能により例えばDRMバンド「DRM1」からDABバンド「DAB1」へ放送バンドが切り換わった後、シークプラスボタン14又はシークマイナスボタン15の押下操作が行われると、DRMバンド「DRM1」へ放送バンドを強制的に戻し、DRMの番組を出力するようにしても良い。
ここでDABリンク機能とは、AM/FMチューナ28によりDRM信号S31を受信し、ユーザ所望の放送局に対応するDRMチャンネル信号S31Aに基づいてDRMの番組をユーザに聴取させている状態で、当該DRMチャンネル信号S31Aが受信できなくなった場合、DABチューナ23によりDAB信号S1を受信し、聴取させていたDRMの番組と同一内容の番組が放送されるDABチャンネル信号S1Aに基づいたDABの番組をユーザに聴取させる機能である。
カーオーディオ装置1のコントローラ21は、図7に示すように、ルーチンRT4の開始ステップから入って次のステップSP41へ移り、例えばソースボタン11が押下操作されたことに応じてDRMバンド「DRM1」に放送バンドが設定された場合、DABリンク機能をオンし、次のステップSP42へ移る。
ステップSP42においてカーオーディオ装置1のコントローラ21は、ナンバーボタン13A〜13F、シークプラスボタン14又はシークマイナスボタン15が押下操作されたことにより、DRMバンド「DRM1」におけるユーザ所望の放送局が選択されると、DRM信号S31をAM/FMアンテナ29を介してAM/FMチューナ28により受信させ、当該AM/FMチューナ28によってユーザ所望の放送局に対応するDRM音声信号S32を抽出させ、オーディオプロセッサ25によりDRM音声信号S32に対して音声調整処理が施されたDRM音声信号S34に基づく番組の音声を、パワーアンプ26及びスピーカ27を介して出力し、次のステップSP43へ移る。
このときカーオーディオ装置1のコントローラ21は、AM/FMチューナ28のDRMデコーダ28Cから供給されたDRM情報データD33に含まれる放送局名、番組名等をディスプレイ5に表示すると共に、DABチューナ23に対して、DRM情報データD33に含まれるDABの代替周波数に対応するDAB音声信号S3をオーディオプロセッサ25へ送出させる。
ここでカーオーディオ装置1のコントローラ21は、オーディオプロセッサ25に対して、DRM音声信号S34をパワーアンプ26へ送出させ、DAB音声信号S4を送出させないよう制御する。
ステップSP43においてカーオーディオ装置1のコントローラ21は、AM/FMチューナ28のDRMデコーダ28CからDRMエラー信号ES2が供給されたか否かを判断し、否定結果が得られるとステップSP42へ戻って引き続き番組を出力する。
これに対してステップSP43で肯定結果が得られると、このことは現在出力中の番組を放送する周波数のDRMチャンネル信号S31Aが受信できていないことを表しており、このときカーオーディオ装置1のコントローラ21は、次のステップSP44へ移る。
ステップSP44においてカーオーディオ装置1のコントローラ21は、出力切換命令信号をオーディオプロセッサ25へ送出し、当該オーディオプロセッサ25に対して、DABチューナ23から供給されたDAB音声信号S3に対して音声調節処理が施されたDAB音声信号S4をパワーアンプ26へ送出させ、ステップSP42においてユーザに聴取させていたDRMの番組と同一内容のDABの番組をスピーカ27から出力させ、次のステップSP45へ移る。
このときカーオーディオ装置1のコントローラ21は、DABチューナ23から供給されるDAB情報データD2に含まれる放送局名、番組名等と、DRMバンド「DRM1」から例えばDABバンド「DAB1」へ切り換わった旨を示す「DAB1」の文字とをディスプレイ5に表示する。
ところでカーオーディオ装置1では、例えば現在聴取させている番組にユーザが飽きて、当該ユーザが異なる放送局で放送される他の番組を聴取するためにシークプラスボタン14又はシークマイナスボタン15を押下操作する場合が考えられる。
そこでステップSP45においてカーオーディオ装置1のコントローラ21は、シークプラスボタン14又はシークマイナスボタン15が押下操作されたか否かを判断し、否定結果が得られると再度ステップSP45へ戻り、シークプラスボタン14又はシークマイナスボタン15が押下操作されるまで待ち受けるのに対し、肯定結果が得られると次のステップSP46へ移る。
ステップSP46においてカーオーディオ装置1のコントローラ21は、DABバンド「DAB1」からDRMバンド「DRM1」へ放送バンドを強制的に戻し、ステップSP45においてシークプラスボタン14が押下操作されていた場合には、ステップSP42において設定された周波数より高いAM放送帯域で受信可能なDRMの放送局を検索し、次のステップSP47へ移る。
またカーオーディオ装置1のコントローラ21は、ステップSP45においてシークマイナスボタン15が押下操作された場合には、ステップSP42において設定された周波数より低いAM放送帯域で受信可能なDRMの放送局を検索し、次のステップSP47へ移る。
ステップSP47においてカーオーディ装置1のコントローラ21は、シークプラスボタン14又はシークマイナスボタン15の押下操作に応じて検索した放送局のDRM音声信号S32をAM/FMチューナ28により抽出させ、オーディオプロセッサ25によりDRM音声信号S32に対して音声調整処理が施されたDRM音声信号S34に基づく番組の音声を、パワーアンプ26及びスピーカ27を介して出力することによりDRMの番組をユーザに聴取させ、次のステップSP48へ移って処理を終了する。
このようにカーオーディオ装置1のコントローラ21は、上述したDABリンク機能におけるDRM復帰処理手順に従って、例えばDRMバンド「DRM1」において出力していた放送局のDRMチャンネル信号S31Aが受信できなくなり、DABリンク機能によりDABバンド「DAB1」へ放送バンドを切り換えた場合、シークプラスボタン14又はシークマイナスボタン15が押下操作されたことを認識すると、DABバンド「DAB1」からDRMバンド「DRM1」へ強制的に放送バンドを復帰して、当該DRMバンド「DRM1」における受信可能な放送局を検索し、当該検索した放送局により放送された番組を出力することにより、DRMの番組をユーザに聴取させることができる。
さらに上述した実施の形態においては、FMリンク機能によりDABバンド「DAB1」からFM放送バンド「FM1」へ自動的に切り換わるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、DABバンド「DAB1」からFM放送バンド「FM2」又は「FM3」へ切り換るようにしても良い。
さらに上述した実施の形態においては、FM放送バンド「FM1」において出力していた放送局のFM放送チャンネル信号S11Aが受信できなくなり、FMリンク機能によりDABバンド「DAB1」へ放送バンドを切り換えた場合、聴取させていたDABの番組と同一内容のFM放送の番組をスピーカ27から出力するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、FM放送バンド「FM1」において出力していた放送局のFM放送チャンネル信号S11Aが受信できなくなった場合、聴取させていたDABの番組とは異なるFM放送の番組をスピーカ27から出力するようにしても良い。
さらに上述した実施の形態においては、DRMバンド「DRM1」、「DRM2」及び「DRM3」を設けるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばAM放送バンド「AM1」及び「AM2」において、AM放送帯域で放送されるアナログ放送及びDRMを混在して受信するようにすれば、DRMバンド「DRM1」、「DRM2」及び「DRM3」を設けなくても良い。
この場合、カーオーディオ装置1のコントローラ21は、DRMリンク機能におけるDAB復帰処理手順において、DABバンド「DAB1」においてユーザ所望のDABの番組を聴取させている状態で、現在出力中の番組を放送する放送局のDABチャンネル信号S1Aが受信できなくなった場合、放送バンドをDABバンド「DAB1」からAM放送バンド「AM1」へ切り換え、AM放送バンド「AM1」においてユーザに聴取させていたDABの番組と同一内容のDRMの番組をスピーカ27から出力させるようにすればよい。
またカーオーディオ装置1のコントローラ21は、DABリンク機能におけるDRM復帰処理手順において、AM放送バンド「AM1」においてユーザ所望のDRMの番組を聴取させている状態で、現在出力中の番組を放送する放送局のDRMチャンネル信号S31Aが受信できなくなった場合、放送バンドをAM放送バンド「AM1」からDABバンド「DAB1」へ切り換え、DABバンド「DAB1」においてユーザに聴取させていたDRMの番組と同一内容のDABの番組をスピーカ27から出力させる。
そしてカーオーディオ装置1のコントローラ21は、シークプラスボタン14又はシークマイナスボタン15が押下操作されると、DABバンド「DAB1」からAM放送バンド「AM1」へ放送バンドを強制的に戻し、シークプラスボタン14又はシークマイナスボタン15の押下操作に応じて検索した放送局のDRMの番組をスピーカ27から出力させるようにすればよい。
さらに上述した実施の形態においては、カーオーディオ装置1のコントローラ31が、予めROMに格納されているアプリケーションプログラムに従い、上述したルーチンRT2のFMリンク機能におけるDAB復帰処理手順、ルーチンRT3のDRMリンク機能におけるDAB復帰処理手順、及びルーチンRT4のDABリンク機能におけるDRM復帰処理手順を行うようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、記憶媒体からインストールしたアプリケーションプログラムや、インターネットからダウンロードしたアプリケーションプログラム、その他種々のルートによってインストールしたアプリケーションプログラムに従って上述したFMリンク機能におけるDAB復帰処理手順、DRMリンク機能におけるDAB復帰処理手順、及びDABリンク機能におけるDRM復帰処理手順を行うようにしても良い。
さらに上述した実施の形態においては、第1受信手段としてDABチューナ23、第2受信手段としてAM/FMチューナ28、切換手段としてオーディオプロセッサ25、復帰手段としてコントローラ21によって本発明のラジオ受信装置としてのカーオーディオ装置1を構成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、この他種々の構成でなる第1受信手段、第2受信手段、切換手段、復帰手段によってラジオ受信装置を構成するようにしても良い。
1……カーオーディオ装置、2……本体部、3……フロントパネル、4……操作ボタン群、5……ディスプレイ、6……ディスプレイ支持板、7……ボタン配置板、8……ディスク挿入口、9……ディスク排出ボタン、11……ソースボタン、12……モードボタン、13……ナンバーボタン群、14……シークプラスボタン、15……シークマイナスボタン、21……コントローラ、22……メモリ、23……DABチューナ、24……DABアンテナ、25……オーディオプロセッサ、26……パワーアンプ、27……スピーカ、28……AM/FMチューナ、29……AM/FMアンテナ。