JP4838866B2 - 露光パラメータ及びレチクルパターンを決定する決定方法、露光方法及びデバイス製造方法。 - Google Patents

露光パラメータ及びレチクルパターンを決定する決定方法、露光方法及びデバイス製造方法。 Download PDF

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Description

本発明は、一般には露光方法に係り、特に、露光装置の露光条件及びレチクル(又はマスク)パターンの最適化に関する。本発明は、例えば、半導体メモリのパターンを露光するための露光条件及びレチクルパターンの最適化に好適である。
レチクルパターンを投影光学系によってウエハ等に露光する投影露光装置は従来から使用されており、解像性の高い露光を実現する露光装置が益々要求されている。解像性を高めるためには露光条件やレチクルパターンの最適化が重要である。レチクルパターンの最適化は、例えば、光学近接補正(Optical Proximity Correction:OPC)により行われる。また、効率的な最適化のために現実に露光せずにシミュレーション又はシミュレータを用いることは知られている(例えば、特許文献1乃至5を参照のこと)。
DRAMやSRAMなどの半導体メモリは、RAMの中で記憶する領域であるメモリセルとその周辺回路を含む。一般に、露光条件及びレチクルパターンの最適化には、パターン全体の情報に加えて、パターンにおいて最適化すべき箇所及び当該箇所の(マージンや寸法などの)目標値の情報が必要である。従って、実デバイス又はチップのパターン情報が与えられたとしてもそれだけでは最適化を行うことができない。しかも、リソグラフィーエンジニアにとっては周辺回路のパターン情報はブラックボックスであることが多く、実デバイス全体のパターン全体の情報を取得しにくい。更に、実デバイス全体のパターン上では最適化の箇所は無数となり、最適化に時間がかかるために現実的ではない。このため、従来は半導体メモリのパターンを露光する場合、メモリセルのパターンに対してのみ露光条件やレチクルパターンを最適化しており(例えば、特許文献6、非特許文献1を参照のこと)、実デバイス全体に対して最適化は行っていなかった。
特開2002−319539号公報 特開2002−324752号公報 特開平06−120119号公報 特開平08−335552号公報 特開2002−184688号公報 特開2005−26701号公報
D. Flagello et. al., "Optical Lithography in the sub−50nm regime", Proc. SPIE, vol.5377, (2003)
しかし、メモリセルのみに対して最適化された露光条件やレチクルパターンでは、周辺回路のパターニング不良が発生するおそれがあり、必ずしもチップ全体の平均した解像性の向上をもたらさない。
本発明は、解像性の良い露光方法、デバイス製造方法および露光パラメータ及びレチクルパターンを決定する決定方法を提供する。
本発明の一側面としての決定方法は、光源からの光と光学系を用いてレチクルのパターンを被露光体に露光する際の露光パラメータ及び前記レチクルパターンを決定する決定方法であって、前記被露光体に露光すべき回路パターンの機能セルパターンを表す第1のパターンと、前記第1のパターンとは異なり、前記回路パターンのうち周辺回路パターンを表すものとしてライブラリにあるパターン群から選択された第2のパターンとの情報を用いて、前記光源及び前記光学系のうち少なくとも一方の露光パラメータ及び前記レチクルのパターンを決定する決定ステップとを備えることを特徴とする。
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下、添付図面を参照して説明される好ましい実施例によって明らかにされるであろう。
本発明によれば、解像性の良い露光方法、デバイス製造方法および露光パラメータ及びレチクルパターンを決定する決定方法を提供することができる。
図1(a)はDRAMのメモリセル1セルの典型的なパターンを示す平面図である。図1(b)はSRAMのメモリセル1セルのメモリセルの典型的なパターンを示す平面図である。 メモリセルに特化した従来の最適化を示す概略図である。 DRAMのチップ全体写真である。 図4(a)乃至図4(c)は、本発明の一実施例で使用する基本パターン群の平面図である。 図5(a)乃至図5(c)は、本発明の一実施例で使用する基本パターン群の平面図である。 図6(a)及び図6(b)は、本発明の一実施例で使用する危険パターン群の平面図である。 図7(a)及び図7(b)は、本発明の一実施例で使用する危険パターン群の平面図である。 本発明の実施例1による最適化アルゴリズムを説明するフローチャートである。 図9(a)乃至図9(h)は、有効光源形状と偏光状態を示す平面図である。 図10(a)乃至(d)は、幾つかのパターンとそれに対する評価点の平面図である。 本発明の実施例2による最適化アルゴリズムを説明するフローチャートである。
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施例について説明する。
以下、図8を参照して、本発明の実施例1の露光条件及びレチクルパターンの最適化について説明する。ここで、図8は、本実施例の最適化アルゴリズムのフローチャートである。かかるアルゴリズムは、例えば、コンピュータによって実行させるプログラムとして実現される。
上述したように、最適化には、パターンの情報、パターンにおいて最適化対象部分の情報、最適化の目標値の情報が必要である。
まず、最適化するデバイスの機能単位パターン(機能セルパターン)を選択すると共に最適化対象部分を指定する(ステップ1002)。次に、代表パターン(基本パターンと危険パターン)及びモデルベースOPC抽出パターンを最適化対象部分に加える(ステップ1004)。
このように、本実施例では、パターンの情報としてレチクルパターンのうちデバイスの機能単位パターンと代表パターンの情報を使用する。ここで、レチクルパターンは、デバイスの機能単位パターン(第1のパターン)と周辺回路パターン(第2のパターン)からなる。
機能単位パターンは、メモリセル、スタンダードセル、マクロセル等のパターンである。本実施例では、機能単位パターンは必ず入手できると想定しており、機能単位パターンは最適化の主たる対象である。一般に、図1に示すように、メモリセルはDRAM、SRAM等いずれのメモリにおいても微細化のために縦横方向のレイアウトが極端に異なる。ここで、図1は、DRAM及びSRAMのメモリセルの典型的なパターンの概略図である。そのため、メモリセルのみに対して露光条件とレチクルパターンを最適化する場合には、図2に示すように、設計されたメモリセルパターンに対してOPCを施し、XY非対称な有効光源形状で照明する。ここで、図2は、メモリセルに特化した従来の最適化手法を示す概略図である。かかる最適化により、図2に示すレジスト像が得られる。
周辺回路パターンは、図3に示すDRAMチップの写真のように、メモリセルの周囲に配置されるパターンである。周辺回路パターンは、縦横パターンが同等に存在したり、孤立パターンが存在したりする等、メモリセルとは異なるレイアウトを有する。周辺回路パターンは、リソグラフィーエンジニアには知られていない場合も多い。
本実施例では、周辺回路パターンをそれに使用される可能性がある代表パターンで代表させる。代表パターンは、モデルベースOPC抽出パターンを兼ね、周辺回路パターンの基本となる基本パターンと、周辺回路パターンのうち解像難易度が高い危険パターンとを含む。基本パターンと危険パターンは本最適化システムに事前インストールしておく。基本パターンと危険パターンは、図4及び図5に示す基本形状を決めておき、デバイスパターンのサイズとの整合性から、使用する図形の詳細パラメータを設定する。
基本パターンは、デバイスによっては周辺回路パターンに特徴があり、最適化に使用するパターンの指定とサイズの指定が必要である。基本パターン郡を図4及び図5に示す。これらは、モデルベースOPC抽出パターンとしても使用可能である。図4及び図5においては、光源の波長λを193nm、NAを0.85で代表している。
図4(a)乃至4(c)は、Y方向に延び、配線幅を測定する3種類の基本パターン10乃至10Bを示している。
図4(a)は、ラインアンドスペース(L&S)パターンである基本パターン10の平面図である。各ラインパターン12は、長さL(>2・(λ/NA)=454nm)と幅Wを有し、L&SパターンはピッチP、本数Nを有する。基本パターン10は、L、W及びNを固定してPを変化させる。
図4(b)は、長さL、幅Wの孤立パターン12のLを固定してWを変化させた基本パターン10Aの平面図である。
図4(c)は、図4(a)と同様のラインアンドスペース(L&S)パターンである基本パターン10Bの平面図である。各ラインパターン12は、長さL(>2・(λ/NA)=454nm)と幅Wを有し、L&SパターンはピッチP、本数Nを有する。基本パターン10Bは、L、デューティ(=W/(P−W))を1に固定してWを変化させる。
図5(a)乃至5(c)は、配線幅を測定する3種類の基本パターン10C乃至10Eを示している。
図5(a)は、X方向に延び、ギャップGだけ離れた一対のラインアンドスペース(L&S)パターン16を有する基本パターン10Cの平面図である。各L&Sパターン16の各ラインパターン14は、長さL(>2・(λ/NA)=454nm)と幅Wを有し、各L&Sパターン16はピッチP及び本数Nを有する。基本パターン10Cは、L、W、P及びNを固定してGを変化させる。また、基本パターン10Cはそのセットに対してW、P及びNをパラメータにする。
図5(b)は、一対のL&Sパターン16aの間にY方向に延びるラインパターン18を挿入した基本パターン10Dの平面図である。各L&Sパターン16aの各ラインパターン14aは、長さL1(>2・(λ/NA)=454nm)と幅W1を有し、各L&Sパターン16aはピッチP及び本数Nを有する。ラインパターン18は、長さL2(=(P・N)+1000nm)、幅W2を有し、一対のL&Sパターン16aからは上下に500nm乃至2・(λ/NA)だけ突出している。パターン16aとパターン18との距離はGである。基本パターン10Dは、L1、L2、W1、W2、Pを固定してGを変化させる。また、基本パターン10Dは、そのセットに対してL1、W1、W2、P、Nをパラメータにする。
図5(c)は、X方向に延び、ギャップGだけ離れた一対のラインアンドスペース(L&S)パターン16b及び16cを有する基本パターン10Eの平面図である。パターン16b及び16cは同一のラインパターン14bと同一ピッチPを有するが、その本数はパターン16bの方が多い。具体的には、パターン16bのスペースに対応する位置にパターン16cが配置されている。各ラインパターン14bは、長さL(>2・(λ/NA)=454nm)及び幅Wを有する。また、パターン16bの本数はNである。基本パターン10Eは、L、W、P及びNを固定してGを変化させる。また、基本パターン10Eは、そのセットに対してW、P及びNをパラメータにする。
危険パターンは、最適化に使用するパターンの指定とサイズの指定をする。危険パターンは、過去の実例、及び、最適化するデバイスに存在することを確認した上で指定する。危険パターンは、特殊形状で露光条件やレチクルパターンを特殊にするおそれがあるからである。危険パターン郡を図6及び図7に示す。これらは、モデルベースOPC抽出パターンとしても使用可能である。
図6(a)及び図6(b)は、特殊なライン端を測定する2種類の危険パターン20及び20Aを示している。
図6(a)に示す危険パターン20は、X方向の幅W1及びY方向の幅W3を有する中空矩形パターン22内に、長さL、幅W4でY方向に延びるラインパターン24を含んでいる。パターン22とパターン24のX方向の距離はW2でY方向の距離はGである。危険パターン20は、L、W1乃至W4を固定してGを変化させる。また、危険パターン20は、そのセットに対してW1乃至W4をパラメータにする。
図6(b)に示す危険パターン20Aは、長さL1及び幅W1を有し、Y方向に延びる一対のラインパターン26の間に、長さL2及び幅W4を有し、Y方向に延び、Y方向に距離Gだけ離れた一対のラインパターン28を配置している。ラインパターン26とラインパターン28との距離はW2である。危険パターン20Aは、L1、L2、W1、W2及びW4を固定してGを変化させる。また、危険パターン20Aは、そのセットに対してL1、L2、W1、W2及びW4をパラメータにする。
図7(a)は、コーナーを測定する危険パターン20Bを示す平面図である。危険パターン20Bは中空矩形パターン22aから構成され、中空矩形パターン22aは一辺が長さLの中空正方形を規定し、XY方向の幅共Wを有する。0.3・(λ/NA)<W<1・(λ/NA)、即ち、68nm<W<227nmが成立し、W<L<10Wが成立する。危険パターン20Bは、コーナーという図形上の特殊性から孤立で代表し、ラウンディングを対象にしている。
図7(b)は、小さい島状パターンとしての危険パターン20Cを示す平面図である。危険パターン20Bは、中空矩形パターン22bとその中空部に配置される矩形パターン24aを有する。パターン22bはXY方向の幅共Zである。パターン22bとパターン24aとの距離はXY方向共Wである。パターン24aは、Y方向の長さL1とX方向の長さL2を有する。0.3・(λ/NA)<W<1・(λ/NA)、即ち、68nm<W<227nmが成立し、L1<L2が成立する。Wはパラメータである。Z>2・(λ/NA)=454nmが成立する。
再び図8に戻って、次に、各パターンに対して最適化の目標値を設定する(ステップ1008)。例としては、デバイス機能単位パターンの設計データと最適化後の計算転写結果(シミュレーション結果)の寸法差、及び、各種リソマージン(露光マージン、フォーカスマージン等)を選択する。また、代表パターンの設計データと最適化後の計算転写結果の寸法差、及び、各種リソマージン(露光マージン、フォーカスマージン等)を選択する。目標値はパターンの重要度に応じてパターン毎に変更する。
次に、デバイスの機能単位パターンと代表パターンの双方に対する最適化を行う(ステップ1008)。最適化は基本的に光学像計算結果を用いる。リソ計算は無収差を仮定し、OPCは光学像ベースで行う。そのための露光装置のパラメータ(露光パラメータ)としては、レンズの開口数(NA)、波長、収差、照明光学系の二次元形状とその強度分布、及び、その偏光状態がある。波長に関してはレーザの分散(E95)、わずかに波長が異なる二波長露光方式がある。二波長露光方式では、レーザから数pm波長が異なる光を発生させる。波長が異なると投影光学系の色収差によりレチクルパターンのウエハ上の結像点がパターンの焦点深度(DOF)相当異なる。光学像は、この結像点が異なる二つの光学像の合成となるが、結像点が二つあることで、フォーカスのズレに対して光学像の変化が少なくなる。現象的にはDOFが拡大する。欠点は、ベストフォーカスにおいても光学像が、単一波長よりも劣ることである。
以上のパラメータにより形成された光学像によりレジストは露光されるが、光学像を一律の値(閾値)で算出すると転写レジスト像とは一致しない所が発生する。これは、レジスト上部と下部ではデフォーカスが異なること、PEBにより酸拡散が行われること、現像中に、レジストの露光量(酸発生量)の分布により、レジストの溶解状態が異なること等に起因する。そこで、パターンエッジの光学像の傾斜等に応じて、閾値を変化させることにより計算値と実験値の一致性を高める。これらは一部の基本パターンの実験結果と光学像結果との対応から決定される。
本実施例のステップ1008では、まず、NA、波長、照明条件の最適化を行い、次いで、収差の最適化を行う。
まず、NAの最適化において、NAは露光装置の最大値から最適化を開始する。NAはDOFを除いてパターン転写にとって高いほど好ましいからである。波長分布(E95)、二波長露光方式は像質(コントラスト)を劣化させるので、後で示す特殊な最適化の場合を除いて、波長分布(E95)は最小値を、二波長露光方式は使用しないことを初期値とする。
照明は以下の二方式で最適化を行う。第1の方式は、典型的な有効光源形状を基本にして最適化する。有効光源形状には、円形、輪帯(図9(a)乃至(c))、二重極(図9(d)及び(e))、四重極(図9(f)及び(g))、多重極などがある。それらは多くのデバイスパターンに有効である。そのため、これらの有効光源形状は標準として露光装置に設定されている。
本方式は回折格子を用いて任意の有効光源形状を得ることができる。かかる方式をAFIS(Advanced Flexible Illumination System)と呼ぶ。AFISは各有効光源形状に対し、照明光学系のズーム機能を用いて相似形状の変更が可能である。開口部分の照度は均一ではなく分布を有している。その分布は露光装置間で差がある場合もあるが、ここでは設計的に存在する平均分布を扱う。開口形状とその照度分布は、最終的に、照明の強度分布を3次元的に表現することになり、それをビットマップではなく関数化する。関数は、数種類のパラメータから構成し、そのパラメータを最適化の指標とする。
照明には、照度に加えて偏光という物理量があり、以下、偏光について説明する。偏光はレンズから射出した光線とレジストへの屈折入射光/反射光から形成される平面に露光光の電場が平行なものと垂直なものに区別される。前者はTM偏光、X偏光、ラジアル偏光等呼ばれる。後者はTE偏光、Y偏光、タンジェンシャル偏光等と呼ばれる。光学像のコントラストは後者の方が高いので、最適化には後者を使用する。具体的には、中心開口有りの円形照明の場合は、1種類のパターン方向に対し、図9(a)に示すような偏光がY偏光になる状態を設定し、中心開口の無い場合は、図9(c)及び(g)に示すようなタンジェンシャル偏光を設定する。但し、偏光を限定した場合、パターン変形が発生する場合があるので、両方の偏光が均等に混合した無偏光も最適化の対象とする。
これにより、照明状態はAFISの関数のパラメータで表現される3次元形状と3種類の偏光状態(中心開口有りの円形照明のY偏光、中心開口無し照明のタンジェンシャル偏光、無偏光)の組み合わせで表現できる。この状態で指定されたリソマージン等を計算し、照明の最適化を図る。最適化の対象パターンは複数であるため、それぞれのパターンが目標値をクリアする共通領域が解となる。
本方式は使用する露光装置が設定可能な範囲で解を探す。これにより、解の算出後直ちに実行でき、また、照明特性を決めるパラメータ数を限定することにより解を求める処理時間を短縮することができる。更に、露光装置のほぼ標準機能内であるため照度やその均一性を最大限に引き出せる。
第2の方式は、円形の照明領域を細分化し、図9(h)に示すように、各細分化部分で指定されたパターンの寸法差やリソマージンを計算する。照明の各場所はウエハ上の結像においてインコヒーレントであることを前提としている。偏光は各場所でのラジアルとタンジェンシャル照明を考慮する。図10(a)乃至(d)に示すように、照明の各場所で二つの偏光で指定されたパターンの寸法差やリソマージンを計算する。ここで、図10(a)乃至(d)は、幾つかのパターンとそれに対する評価点(線分で示す)の平面図である。評価項目は、DOF、EL、コントラスト、MEF(Mask Error Factor)などで行う。これらを全照明領域で行い、どの場所で、どの偏光を用いるのが良好であるかのマップを作成する。これに対し、指定されたリソマージンの値をクリアしたものを選択することにより、照明の最適化を図る。結果の中には非常に特殊なものが存在する可能性があるが、本方式は、計算上の理想値を算出することが目標であり、実際使用する有効光源形状は、各種の現実状況を考慮して決定する。
再び図8に戻って、最適化するデバイスの機能単位パターン及び代表パターンに対して、ステップ1006で設定した目標値(設定値)を満足する共通の解が存在するか否かを判断する(ステップ1010)。解が存在しない場合、複数回の最適化を行ったかどうかを判断する(ステップ1012)。
複数回の最適化を行っていない場合には、代表パターンの再選択を行うか、パターン設計データとの忠実性、リソマージン等の目標値を変更して再度最適化を行う(ステップ1014)。再選択を行う場合にはステップ1002に帰還し、目標値を変更する場合にはステップ1006に帰還する。
目標値を変更(修正)する場合(ステップ1014、1006)、DOF不足の場合はNAを下げるか二波長露光方式を使用して再度最適化を行う。但し、露光マージンも同時に未達の場合は、上記の対策により更に劣化するので、かかる対策は行わずに最適化を中止し、エラーフラグを立てる。E95は微妙な調整であるので、リソマージンを余り変化させず、パターンマッチングの調整に有効である。これらの調整を行い、再度最適化を複数回行っても解が存在しない場合は、最適化を中止してエラーフラグを立てる(ステップ1020)。
一方、解が存在しない場合(ステップ1010)で複数回の最適化を行った場合には(ステップ1012)、ステップ1016へと進む。ステップ1016では、最適化指定パターンがメモリセルの場合、メモリセルと基本パターン群との共通解はないが、それぞれの単独解は存在するかどうかを判断する。単独解が存在する場合には、メモリセルと周辺回路を分割して露光する手法を提示し、それぞれ単独で最初から最適化をやり直す(ステップ1018)。このことは特殊であるのでオプションとして扱う。単独解が存在しなければ最適化を中止してエラーフラグを立てる(ステップ1020)。
一方、解が存在する場合(ステップ1010)、解の全てのパラメータに対して単一値しか存在しないことは通常ありえず、各パラメータには解の幅が存在する。その背景のもと、照明最適化の2方式のそれぞれに対し、上位から複数解を提示する(ステップ1022)。
その後、AFISの場合だけであれば、既存のデータベースを使用して現状露光装置の照明で可能なものとそうでないものに分別する(ステップ1024)。次に、新規AFISを作成するかどうかを判断する(ステップ1026)。新規AFISを作成すると判断した場合には(ステップ1026)、そのようにする(ステップ1028)。新規AFISを作成しないと判断した場合には(ステップ1026)、実際の露光装置の照明状態(形状、強度分布)を測定し、ビットマップで取り込み使用するかどうかを判断する(ステップ1030)。実際の露光装置の状態をシステムに導入することにより、当該露光装置を使用したときの解の精度を上げることができる。使用すると判断すれば(ステップ1030)、データを取得する(ステップ1032)。ステップ1028、ステップ1030でNOの場合、ステップ1032後に収差の最適化に際して、ディストーションを重視して行うか、設計データとの寸法差やリソマージンを重視して行うかを選択する(ステップ1034)。
収差は投影光学系の幾つかのレンズを駆動したり、変形させたりして調整することができる。また、カタディオプトリック系ではミラーの駆動も使用することができる。収差がパターニングに与える影響としては、最適化対象パターンの「転写忠実性、リソマージン」と「ディストーション」に二分化される。簡易な表現では、解像性と重ね合わせ精度である。これらは収差調整上、調整収差項目が異なるため分けておくことが好ましい。前者は収差をゼルニケ展開したとき全ての項が影響するが、後者は第1項と第2項に強く依存する。
「ディストーション調整」を重視する場合(ステップ1034)、目的のディストーションデータ(理想格子含む)に最も近くなるように収差調整機能とスキャン調整を行う(ステップ1036)。そして、NA、照明、波長で最適された複数最適解のそれぞれに対し、最も目標のディストーションに近い解を選択する(ステップ1038)。
「最適化対象パターンの転写忠実性、リソマージンの確保」を重視する場合(ステップ1034)、次のステップ1040へと進む。ステップ1040では、現状の露光装置の収差データ、及び、露光装置の収差調整機能により改定された数種類の収差を用いて、NA、照明、波長で最適された複数最適解のそれぞれに対し目的の転写忠実性とリソマージンを計算する。そして、それらが最良な解を選択する(ステップ1042)。
この方式では繰り返し作業は行わず、「NA、照明、波長による複数最適解」と「複数収差設定」の組み合わせの中から最良解を一意的に求めることになる(ステップ1044)。両方のバランスをとる場合は、照明、NA、波長の最適化に用いた「デバイスの機能単位パターンと基本パターンの双方に対する最適化エンジン」を使用する。そして、「転写忠実性、リソマージン」と「ディストーション」の目標値の入力を行い、収差調整機能範囲内の収差を変数として、最適な照明と収差の解を得ることができる。但し、本技術を適用するレベルの露光装置では収差量が小さいため、結果の差が小さい。よって、処理時間の点からここまでの最適化は一般的に効率が悪く、上述のようにどちらか両極を選択するのが効率的である。
最後に、幾つかの項目の計算結果をオプションとして取得し、最適化露光条件での全体的な転写状況を把握する補助を行う(ステップ1046)。第1の項目は、ライン幅固定でピッチが変化する一次元パターン、各種ラインエンド等の二次元パターン、ラインとスペースの任意の組み合わせパターンに対する寸法やリソマージンである。第2の項目は、上記パターン、及び、露光最適化で使用したデバイスの機能単位パターン、代表パターン等のプロセスウインドウである。
実施例1で説明した代表パターンは代表例であり、周辺回路パターンには非常に特殊なパターンが存在するため、実施例1の代表パターンではそれが解像不良になる可能性がある。以下、図11を参照して、かかる問題を回避する手法について説明する。ここで、図11は、本発明の実施例2による最適化アルゴリズムのフローチャートである。
ステップ1022までは実施例1と同様である。ステップ1022の後、それぞれの露光条件に対して、チップ全体(回路パターン全域)、又は、一部の重要領域(特定の領域)にリソグラフィー検証と呼ばれる作業を行う(ステップ1102)。リソグラフィー検証はまず、使用する露光条件に対するOPC処理を行い、そのパターンに対し高速の光学計算を行う。次いで、レジストの二次元形状と設計値との寸法差、露光マージン、フォーカスマージン等(解像性能)を計算し、一定のマージンのない所にエラーフラグを立てる。その箇所はホットスポットと呼ばれることもある。
ここで、ホットスポットが存在するかどうかを判断する(ステップ1104)。ホットスポットがなければ(ステップ1104)、図8のステップ1024に移行する。一方、ホットスポットがあれば(ステップ1104)、所定回数NGであるかどうかを判断する(ステップ1106)。最初のNGの場合には(ステップ1106)、そのパターンそのもの、又はそのパターンに類似した基本パターン、危険パターンをライブラリから自動、又は手動で選択し、基本パターン群に追加する(ステップ1108)。場合によっては、基本パターン群から不適当なパターンを削除する。その後、ステップ1004に帰還し、再度最適化を図る。かかるホットスポットを減少させる処理を時間が許される限り行い、ホットスポットを皆無、ないしは極少数に抑制する。2回目以降のNGの場合には(ステップ1106)、NGが所定回数であるかどうかを判断し(ステップ1110)、NGが所定回数未満であればステップ1006に帰還して条件を変更する。一方、所定回数に到達すれば、エラーフラグを立てて最適化を終了する(ステップ1112)。
ある露光装置で用いられていたレチクルを他の露光装置で使用する場合が存在する。その場合、ウエハ(被露光体)上に従来とほぼ同一のパターン形成が要求される。一般にレチクルにはOPCが処理されており、その仕様は以前の露光装置の特性に依存する。すなわち、露光装置には装置間の特性があるため、同じOPC仕様のレチクルを用いても露光装置が異なれば、ウエハ上で同じパターンにならない(部分的に変更される)可能性が高い。
最適化の基本方法は実施例1と同様である。但し、本実施例では、ステップ1002と1004において、最適化するデバイス機能単位パターンのレチクルパターンデータ(OPC付)とそのウエハ上の転写結果をシステムに入力する。実施例1では各種の最適化指標の中から任意の指標を選択したが(ステップ1006)、ここでは、入力されたウエハ上の転写パターンとの寸法差を最適化の指標とする。
また、ステップ1008については、露光装置の最適化に使用するパラメータの初期値はNAだけが実施例1と異なり、以前の露光装置のNAを使用する。特殊な例として、パターンを少しぼかした方が良いパターンの一致性を得られる場合は、1)NAを下げる、2)二波長露光方式使用する、3)波長分布(E95)を使用する。
最適露光条件の決定後、実施例1と同様に、基本的パターン等のリソ状況をオプションとして出力するが(ステップ1046)、この実施例では下記の点を重要視する。レチクルのランダムロジックパターンに既存のOPCが存在するが、最適化した照明でのOPCとの差が気になる。これを把握するため、モデルベースOPC抽出パターンに対し、転写結果が存在する場合は、事前にその結果と設計データを入力しておき、設計データに対する計算結果と実験結果(露光結果)の差を表示する。
転写結果が存在しない場合、既存露光装置(第の露光装置)で使用されていた露光条件と新たな露光装置(第の露光装置)で最適化された露光条件でのモデルベースOPC抽出パターンの寸法差異を計算確認する。これにより、新規露光条件でのランダムロジック部転写状況を大まかに把握することができる。システムにはモデルベースOPC抽出パターンがインストールされている。但し、好ましくは、その各種パターンに対し、パラメータを変化させたパターン(変更情報)を含むレチクルを作成し、既存露光装置でこれらのパターンを実験転写してシステムに入力する。そして、実験転写したパターンに対して計算結果を算出し、両者を比較する。
代表パターンの形状を規定するパラメータは、対象とするデバイスのノード等で決定されるが、より対象とするデバイスに適したパターメータの設定、及び、自動設定について提案を行う。デザイン・ルール・チェッカー(Design Rule Checker:DRC)というEDAツールがある。これは、フルチップの設計データに対し、配線系のL&S、ピッチ、面積等を検査するツールである。これらの検査結果(測定データ)を統計的に処理すれば、チップにおけるピッチ等の存在頻度分布を求めることができる。ここから、最小値や、最もよく使用される値等の情報を得て、その情報に適したパターンを選択(生成)すれば、より対象とするデバイスに適したパターメータの設定が可能になる。なお、基本パターン、危険パターンの形状をDRCのルールに組み込んでおけば、その頻度結果から形状を規定するパラメータを自動で設定することができる。
上記は設計データが存在した場合である。しかし、設計データが存在せず、レチクルのみ存在する場合は、設計値を推定する。その推定は、例えば、レチクルを適当な露光条件でウエハステージ上に投影し、レチクルの代表的な場所の光学像をウエハステージ上の光学像センサーで測定し、スライスレベルでの二次元パターンを矩形化することで行う。そして、それに対してDRC処理を行う。
10、10A〜10E 基本パターン
20、20A〜20C 危険パターン

Claims (9)

  1. 光源からの光と光学系を用いてレチクルのパターンを被露光体に露光する際の露光パラメータ及び前記レチクルパターンを決定する決定方法であって、
    前記被露光体に露光すべき回路パターンの機能セルパターンを表す第1のパターンと、前記第1のパターンとは異なり、前記回路パターンのうち周辺回路パターンを表すものとしてライブラリにあるパターン群から選択された第2のパターンとの情報を用いて、前記光源及び前記光学系のうち少なくとも一方の露光パラメータ及び前記レチクルのパターンを決定する決定ステップとを備えることを特徴とする決定方法。
  2. 光源からの光と光学系を用いてレチクルのパターンを被露光体に露光する際の露光パラメータ及び前記レチクルパターンを決定する決定方法であって、
    前記被露光体に露光すべき回路パターンの機能セルパターンを表す第1のパターンと、前記第1のパターンとは異なり、前記回路パターンのうち周辺回路パターンを表すものとして予めインストールされたパターン群から選択された第2のパターンとの情報を用いて、前記光源及び前記光学系のうち少なくとも一方の露光パラメータ及び前記レチクルのパターンを決定する決定ステップとを備えることを特徴とする決定方法。
  3. 前記決定ステップを第1の露光装置の露光パラメータ及び前記レチクルのパターンについて行い、
    前記第1の露光装置とは異なる第2の露光装置において、前記回路パターンを前記被露光体に形成するために、該決定されたレチクルのパターンを部分的に変更するステップと、
    前記レチクルのパターンの変更情報を取得するステップと、
    該取得した変更情報に基づいて、前記第2の露光装置の露光パラメータを決定するステップと
    を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の決定方法。
  4. 前記決定ステップを第1の露光装置の露光パラメータ及び前記レチクルのパターンについて行い、
    該決定された露光パラメータ及びレチクルのパターンを用いて、前記第1の露光装置における露光結果をシミュレーションするステップと、
    該決定された露光パラメータを前記第1の露光装置とは異なる第2の露光装置に設定し、該決定されたレチクルのパターン及び前記第2の露光装置を用いて、前記第2の露光装置における露光結果を取得するステップと、
    前記第1の露光装置におけるシミュレーション結果と、前記第2の露光装置における露光結果とを比較し、前記第1及び第2の露光装置によって異なる、前記レチクルのパターンに対する解像性能の情報を取得するステップと
    を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の決定方法。
  5. 前記第2のパターンがOPC抽出パターンを兼ねることを特徴とする請求項1又は2に記載の決定方法。
  6. 光源からの光と光学系を用いてレチクルパターンを被露光体に露光する露光方法であって、
    請求項1又は2に記載の決定方法により露光パラメータ及びレチクルパターンを決定するステップと、
    該決定された前記露光パラメータを露光装置に設定して、前記レチクルのパターンを前記被露光体に露光する露光ステップと
    を有することを特徴とする露光方法。
  7. 請求項に記載の露光方法により被露光体を露光するステップと、
    該露光された被露光体を用いてデバイスを形成するステップと
    を有することを特徴とするデバイス製造方法。
  8. 光源からの光と光学系を用いてレチクルのパターンを被露光体に露光する際の露光パラメータ及び前記レチクルパターンの決定をコンピュータに実行させるプログラムであって、
    前記被露光体に露光すべき回路パターンの機能セルパターンを表す第1のパターンと、前記第1のパターンとは異なり、前記回路パターンのうち周辺回路パターンを表すものとしてライブラリにあるパターン群から選択された第2のパターンとの情報を用いて、前記光源及び前記光学系のうち少なくとも一方の露光パラメータ及び前記レチクルのパターンを決定するステップを前記コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
  9. 光源からの光と光学系を用いてレチクルのパターンを被露光体に露光する際の露光パラメータ及び前記レチクルパターンの決定をコンピュータに実行させるプログラムであって、
    前記被露光体に露光すべき回路パターンの機能セルパターンを表す第1のパターンと、前記第1のパターンとは異なり、前記回路パターンのうち周辺回路パターンを表すものとして予めインストールされたパターン群から選択された第2のパターンとの情報を用いて、前記光源及び前記光学系のうち少なくとも一方の露光パラメータ及び前記レチクルのパターンを決定するステップを前記コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
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