JP4838151B2 - ダッタンソバスプラウトピューレ、その製造法並びにダッタンソバスプラウトピューレ含有飲食品の製造法 - Google Patents

ダッタンソバスプラウトピューレ、その製造法並びにダッタンソバスプラウトピューレ含有飲食品の製造法 Download PDF

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Description

本発明は、滑らかな食感を有し、ルチン含量の多い新規なダッタンソバスプラウトピューレ、その製造法並びにダッタンソバスプラウトピューレ含有飲食品の製造法に関する。
ソバはタデ科に属する一年草の草本植物で現在世界中で栽培されている。その種類は普通種と韃靼(ダッタン)種があり、普通種は普通ソバ(Fagopyrum esculentum)と呼ばれ、日本をはじめ世界各地で栽培されている。
一方、ダッタン種はダッタンソバ(Fagopyrum tataricum)と呼ばれる高山植物であって、中国南西部の雲南省、四川省、チベット自治区、内モンゴル、ネパールなどの山岳地帯で多く栽培されている。このダッタンソバの種子は普通ソバの種子に比較して、毛細血管強化作用、高血圧予防作用、酸化防止作用などの生理活性を有するフラボノイドの一種であるルチンが、60〜100倍も含まれており、機能性食品の素材として期待されている。
従来、このダッタンソバの種子からルチン含量の多い食品素材を得ることが知られているが(例えば、特許文献1〜5参照)、ダッタンソバの種子を発芽させスプラウトとした後ルチンの多いピューレを得ること、また該ピューレを効率良く得ること、また該ピューレを用いた飲食品は知られていない。
特公平05−63133号公報 特開平11−075743号公報 特開2005−13005号公報 特開2003−299462号公報 特開2006−69942号公報
本発明は、ダッタンソバスプラウトから滑らかな食感を有し、ルチン含量の多いダッタンソバスプラウトピューレを得ることを目的とする。また、その製造法を提供すること、そしてまたダッタンソバスプラウトピューレ含有飲食品を提供することを目的とする。
本発明者らは、ダッタンソバの種子を発芽させて得られるスプラウトからピューレを得ることについて鋭意研究を重ねた結果、ダッタンソバの種子を発芽させて、スプラウトを得、このスプラウトがその殻(種皮)の外径に対して5〜45倍に伸長したとき(例えば栽培開始後7〜9日目、図1参照)に、ルチン含量が多いスプラウトとなることを知った。またこのスプラウトは、それを構成する殻、芽、茎及び根のうち、芽の部分にルチンが最も多く含まれ、殻には全く含まれていないことを知った。また、該スプラウトには殻が付着しているが、この殻の付着は強固であるため、該スプラウトから殻を分離することは容易でなく、また、殻が付着したスプラウトは通常の磨砕では、殻が微細化され磨砕物に分散して、ザラザラとした舌触りとなり、食品素材として(特にピューレとして)利用することができないことを知った。また、該スプラウトは、通常の磨砕では、磨砕後、殻部分のみを磨砕物全体から取り除くことが容易でなく、効率的に殻を分離除去できないことを知った。また、スプラウトに付着する殻の効率的な分離除去法について検討した結果、該スプラウトを遠心力にて円周方向に高速回転させながら破砕部に誘導し先端部の間隙で機械的に破砕またはカットし、ついで該隙間よりも少ない目開きの篩を用いて篩別するときは、殻部分のみを破砕物から容易に除去できることを知った。また、その破砕するときの間隙は、0.7〜3.0mmが好ましく、また篩別するときの篩の目開きは0.3〜1.5mmが好ましいことを知った。また、該ダッタンソバスプラウトの子葉部に強固に付着している殻を上記手段によりに破砕すると、該破砕した殻の粒度分布は、同時に破砕した該スプラウトの殻以外の発芽部分(芽、茎及び根の部分)の粒度分布と異なり、所定目開きの篩で篩別すると、効率的に殻のみをダッタンソバスプラウト破砕物から分離除去できることを見出した。またダッタンソバスプラウトを破砕すると、該スプラウトに含まれていたルチンが速やかに分解され、ルチン含量の多いピューレが得られなくなる欠点を有するが、破砕処理の前にダッタンソバスプラウトを速やかに品温90℃以上で5分以上加熱するとルチン分解酵素を失活できること、また、破砕物を90℃以上で15分以上加熱すると、ルチン分解酵素を失活した上、破砕物のルチン含量の低減を完全に阻止できることを知った。そして、ルチンを100%保持できることを知った。上記加熱は、水蒸気との接触による加熱方法、特にスチームクッカーや蒸し器等のスチームブランチングが適していることを知った。また本発明で得られるダッタンソバスプラウトピューレはルチンを、0.4%(w/w)以上も含んでいるので、各種食品の製造工程において添加使用するときは、毛細血管強化作用、高血圧予防作用、酸化防止作用などの生理活性を期待できる高機能性食品が得られることを知った。
本発明は、これらの知見に基づいて完成したものであって、すなわち、以下の通りである。
(1)ソバ殻の外径に対し5〜45倍に伸長した殻付きダッタンソバスプラウトを品温90〜100℃で15〜60分水蒸気との接触により加熱し、遠心力にて円周方向に高速回転させながら破砕部に誘導し先端部の間隙で機械的に破砕またはカットする破砕機の該間隙が0.7〜3.0mmの破砕機で破砕した後、0.3〜1.5mmの目開きの篩で篩別することを特徴とするダッタンソバスプラウトピューレの製造法。
(2)ソバ殻含量が2.6%(w/w)以下であり、ルチン含量が0.4%(w/w)以上であり、ルチン分解酵素活性が0であり、保存中にルチン含量の低減がなく、黄緑色の色調を有し、食感が非常に滑らかなダッタンソバスプラウトピューレ。
(3)飲食品の製造工程において、ソバ殻含量が2.6%(w/w)以下であり、ルチン含量が0.4%(w/w)以上であり、ルチン分解酵素活性が0であり、保存中にルチン含量の低減がなく、黄緑色の色調を有し、食感が非常に滑らかなダッタンソバスプラウトピューレを添加することを特徴とするダッタンソバスプラウトピューレ含有飲食品の製造法。
本発明によれば、滑らかな食感を有し、ルチン含量の多い新規なダッタンソバスプラウトピューレが得られる。また該ダッタンソバスプラウトピューレの効率的な製造法及びダッタンソバスプラウトピューレ含有飲食品の製造法を提供することができる。
本発明の原料となるダッタンソバスプラウトは、ダッタンソバの品種やその栽培方法に制限はない。そして種子の殻(以下ソバ殻という)の外径に対し5〜45倍に伸長した時期に収穫したものがルチンを高濃度に含有するので好ましく、10〜40倍に伸長したものがより好ましく、15〜30倍に伸長したものが最も好ましい。5〜45倍に伸長したものとしては、ダッタンソバの種子を通常の培地に播種して生育適温適湿に保持し、栽培開始から7〜9日目に収穫したものが挙げられる。
また、本発明において、ルチン分解酵素を失活するためのダッタンソバスプラウトの加熱は、水蒸気、飽和水蒸気、過熱水蒸気などの水蒸気または加圧加熱水蒸気との接触による加熱方法、例えばスチームクッカーや蒸し器等のスチームブランチングよる方法などが挙げられる。本発明においてこのことは重要であって、他の加熱手段、例えば熱水ブランチングによる方法では、ダッタンソバスプラウト中のルチンが、熱水中に溶出するため好ましくない。また、マイクロ波加熱による方法では、当該加熱機内のダッタンソバスプラウトを置く位置によって、加熱速度がかなり異なり、ダッタンソバスプラウトに加熱ムラを生じるため好ましくない。
これに対し、水蒸気との接触による方法のときは、スプラウトの組織を傷める(成分が漏洩する)ことなく、また着色及び風味を劣化させることなく、加熱を行うことが可能で、また、簡易な設備でダッタンソバスプラウトを大量に処理できるので好ましい。
本発明のダッタンソバスプラウトの加熱処理は、90℃以上で15分以上が好ましく、例えば90〜100℃で15〜60分が好ましい。ここで90℃未満の加熱温度では、ダッタンソバスプラウト中のルチン分解酵素が完全失活せず、ダッタンソバスプラウトピューレの製造時、ルチンの分解が進み、ルチン含量の多いピューレを得ることができない。反対に温度が高すぎると着色が進み、風味が劣化する危険を有するので好ましくない。
また、加熱時間が15分間未満では、ルチン分解酵素が完全に失活せず、ダッタンソバスプラウトが含有するルチンの分解が生じる危険性があり、反対に60分を超えると着色が進み、風味が劣化する危険を有するので好ましくない。
次に、ダッタンソバスプラウトを破砕してダッタンソバスプラウトピューレとする。
該スプラウトには殻が付着している。この殻の大きさは、通常は(2.4〜5.0mm)×(4.5〜5.9mm)×(2.4〜5.0mm)である。この殻の付着は強固であるため、該スプラウトから殻を分離することは容易でなく、また、殻が付着したスプラウトは通常の磨砕では、殻が微細化され磨砕物に分散して、ザラザラとした舌触りとなり、食品素材として、特にピューレとして利用することができない。また、該スプラウトは、通常の磨砕では、磨砕後、殻部分のみを磨砕物全体から取り除くことが容易でなく、効率的に殻を分離除去できない。
該殻を確実に破砕できる装置としては、該スプラウトを遠心力にて円周方向に高速回転させながら破砕部に誘導し先端部の間隙で機械的に破砕またはカットする破砕機であって、ダッタンソバスプラウトの殻が通過することのできない破砕機を用いて破砕することが好ましい。
破砕機を用いることは重要であって、他の磨砕機を用いるときは、殻が微細化され磨砕物に分散して、ザラザラとした舌触りとなり、該殻の分離が効率よく行うことができない。そして食品素材として、特にピューレとして利用することができない。
上記破砕機としては、破砕部の間隙が0.7〜3.0mmの破砕機が好ましく、1.5〜2.5mmがより好ましい。例えば、ブレード間隙0.0799インチ(約2mm)のコミトロール(商品名、アーシェル社製)や、クリアランス2.0mmのスーパーマスコロイダー(商品名、増幸産業株式会社製)等が挙げられる。
なおここでコミトロールとは、高速回転しているインペラーで原料に遠心力を付与して、固定されたカットヘッドのブレードとインペラーの先端チップによって、該原料を微細にカットし、該ブレードの間隙から排出する微細化装置であり、また、スーパーマスコロイダーとは、固定された上部グラインダーと高速回転する下部グラインダーの狭い間隙(クリアランス)での遠心力、衝撃力、摩擦力及びせん断力によって、原料を微細化する装置である。
このように破砕した殻の粒度分布は、同時に破砕したスプラウトの殻以外の発芽部分の粒度分布と異なるため、破砕したダッタンソバスプラウトは、0.3〜1.5mmの目開きの篩で篩別する。
このとき、篩の目開きが1.5mmを越えるときはソバ殻含量が2.6%(w/w)を越え、このときザラザラとした食感となり、本発明の滑らかなダッタンソバスプラウトピューレを得ることができない。
このとき使用する篩としては、ストレーナー、パルパー又はフィニッシャー等の篩別機又は振動篩等が挙げられる。
このようにして本発明によれば滑らかな食感を有し、ルチン含量の多い新規なダッタンソバスプラウトピューレを容易に得ることができる。
本発明で得られるダッタンソバスプラウトピューレはルチンを、0.4%(w/w)以上も含んでいるので、通常の各種飲食品の製造工程の任意の工程のおいて、主原料あるいは副原料として添加使用するときは、毛細血管強化作用、高血圧予防作用、酸化防止作用などの生理活性を期待できる高機能性食品が得られる。
飲食品としては、各種飲料(野菜ジュース、果物ジュース、無果汁飲料、果肉飲料、機能性飲料等)、アルコール飲料(リキュール、カクテル等)、各種調味料(ケチャップ、マヨネーズ、タレ等)、各種菓子(パン、クッキー、ホットケーキ等)、各種ペースト(マーマレード、ジャム、フルーツペースト等)、各種カレー(即席カレー、レトルトカレー等)等が挙げられる。
実験例1
(ダッタンソバスプラウトにおけるルチンの分布調査)
ルチン含量の高いダッタンソバスプラウトピューレを製造するため、ダッタンソバスプラウトの殻、芽、茎及び根において、どの部分にルチンが最も含まれているかを調査した。
(ルチン含量の測定)
栽培8日目のダッタンソバスプラウト20個体を、殻、芽、茎及び根の部分に分別して、それぞれの部位を凍結した。凍結したそれぞれの部位と同じ重量の海砂を乳鉢にとり、ドライアイス/メタノールバス中で10分間磨砕した。磨砕したそれぞれの部位にメタノール50mlを加えて、1時間還流した。得られた溶液を冷却後、3300Gで15分間遠心分離処理した。上澄液を減圧濃縮し、メタノールで30mlに定容した後、それぞれの部位に含まれるルチン含量を以下の条件の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定した。
カラム:ODS−80Ts 4.6mm×250mm(東ソー株式会社製)、カラム温度:30℃、移動相:A液(20%メタノール/0.1%HCl/HO)とB液(アセトニトリル)を用いて、以下の条件で溶出した。
0〜10分(A液95%、B液5%)、
10〜50分(A液95%〜50%、B液5%〜50%)、
50〜55分(A液50%〜95%、B液50%〜5%)、
55〜60分(A液95%、B液5%)、
流量:0.8ml/min、検出波長:254nm、供試サンプル量:20μlであった。
以上の測定条件でルチンのピーク高さを測定し、ピーク高さによる絶対検量線法により作成した検量線から、ダッタンソバスプラウトの殻、芽、茎及び根のそれぞれの部位のルチン含量を測定した。
その結果を表1に示す。
Figure 0004838151
表1の結果より、ダッタンソバスプラウトにおいて、ルチンは芽の部分に最も多く含まれ、殻には全く含まれていないことが判明した。よって、ルチン含量の高いダッタンソバスプラウトを製造するには、ダッタンソバスプラウトの芽から、強固に付着している殻を除去する必要があることが分かる。
実験例2
(ダッタンソバスプラウトの加熱処理条件の検討)
ダッタンソバスプラウトは、ルチンを多量に含有する一方で、ルチンをケルセチンに分解するルチン分解酵素も多量に含有するため、ダッタンソバスプラウトピューレの製造時に、ダッタンソバスプラウトをそのまま破砕するとルチンがケルセチンに分解され、該ダッタンソバスプラウトピューレのルチン含量が低減する欠点を有する。よって、ダッタンソバスプラウトピューレの製造時の、ルチンの低下を抑制するため、ダッタンソバスプラウトに含まれるルチン分解酵素の加熱による失活条件を検討した。
(ルチン分解酵素の失活条件の検討)
100粒のダッタンソバ種子を0.3%さらし粉水溶液に15分間浸漬して当該種子表面を殺菌し、流水で15分間洗浄した後に、ガーゼを敷いたシャーレ上に播種して、26℃のインキュベーターで8日間栽培しダッタンソバスプラウトとした。
次いで当該ダッタンソバスプラウト10gに0.02M酢酸緩衝液(pH5.0)40gと海砂5gを加えて、乳鉢中で3分間磨砕した。次いで当該磨砕物を1200Gで10分間遠心分離し、上清をNo.1濾紙(東洋濾紙株式会社製)で濾過し、上記酢酸緩衝液でコンディショニングしたC18ミニカラム(日本ウォーターズ株式会社製)に供し、ルチン及びケルセチンを除去したルチン分解酵素の粗酵素液を調整した。
当該粗酵素液1mlをTDTチューブに採り、60℃、70℃、80℃、及び90℃のオイルバス中で、5分間、10分間、15分間、及び30分間、それぞれ加熱して、上記条件で加熱後のルチン分解酵素活性を以下の方法で測定した。
該粗酵素液100μlを基質溶液(ルチン25.0mgとメタノール5mlを0.02M、pH5.0の酢酸緩衝液で25mlに定容したもの)300μlに加えて、40℃で4分間酵素反応させて、1.2mlのメタノールを加えて反応を停止させた後、口径0.45μmのディスクフィルターで濾過して、残存するルチン含量を実験例1と同じ条件の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定した。
以上の測定条件で当該酵素反応前後におけるルチン及びケルセチン含量のピーク面積を測定し、ルチン分解酵素によるルチンのケルセチンへの分解率を測定した。
その結果を表2に示す。
Figure 0004838151
単位:%
表2の結果より、ダッタンソバスプラウト中のルチン分解酵素は、90℃で5分以上加熱をすることで、完全に失活することが分かる。
実験例3
(ダッタンソバスプラウトの加熱処理の検討)
上記実験例2より、ダッタンソバスプラウト中のルチン分解酵素は、90℃、5分間の加熱処理により完全に失活することが判明したが、ダッタンソバスプラウトを直接加熱して、含有するルチン分解酵素の失活条件を検討するため、当該加熱されるダッタンソバスプラウトの品温が90℃に達するまでのカムアップタイム(Come−up time)を調査した。その結果、本実験で用いた加熱装置であるスチームブランチングでは、加熱開始から6分で、ダッタンソバスプラウトの品温が90℃に達した。よって、以下の実験では目的とする加熱時間に6分間を加えた時間で、ダッタンソバスプラウトを加熱処理した。
栽培開始から9日目の、子葉部に殻が付着したダッタンソバスプラウト100gをスチームブランチャーで0分、6分、7分、11分、16分、21分及び36分間加熱して、スチームブランチング後のダッタンソバスプラウトに残存するルチン分解酵素活性を実験例2と同様の方法で測定した。
その結果を表3及び図2に示す。
Figure 0004838151
表3と図2の結果より、加熱時間21分と36分の試験区の酵素反応液中には、基質溶液に含まれていたルチン0.300mgが全く分解されずに残存しており、ダッタンソバスプラウトを加熱して、ルチン分解酵素を失活するには、本実験で使用したスチームブランチングでは、90℃で21分間以上に加熱することが必要である。よって、ここでのカムアップタイム(6分)を考慮すると、ダッタンソバスプラウトが含有するルチン分解酵素を失活するには、90℃で15分以上の加熱処理が必要であることが分かる。
(ダッタンソバスプラウトの破砕条件の検討1)
ダッタンソバスプラウト1.0kgを21分間スチームブランチングし、コミトロール(商品名、アーシェル社製)を用いて、そのブレード間隙(opening)が、0.0799インチ(約2.0mm)と0.0507インチ(約1.3mm)で破砕した。
このダッタンソバスプラウトの破砕処理条件は、殻の大きさが、(2.4〜5.0mm)×(4.5〜5.9mm)×(2.4〜5.0mm)であるため、当該殻(果皮)をすべて確実に破砕できる、該殻が通過できない若干狭い当該ブレード間隙を選択した。
そして、得られたダッタンソバスプラウト破砕物を、所定の目開きの篩によって分画し、その粒度分布を以下の方法で調査した。
先ず、上から目開き1.7mm、1.0mm、0.84mm、0.6mm、0.42mm及び0.35mmの篩を6段の重ね、最上段の目開き1.7mmの篩上に、破砕したダッタンソバスプラウト100gをのせて、水道水で充分に洗浄した。次いで該最上段の目開き1.7mmの篩を除いて、2段目の目開き1.0mmの篩を水道水で充分に洗浄し、同様に3段目、4段目、5段目及び6段目の篩を同様に水道水で充分に洗浄した後、各篩上の残滓の重量を測定し、また肉眼観察をして殻の混入状態を確認した。
この結果を表4(残滓の粒度分布と殻の混入状態)に示す。
Figure 0004838151
表4の結果より、コミトロールのブレード間隙が、0.0799インチ(約2.0mm)と0.0507インチ(約1.3mm)で破砕したダッタンソバスプラウトを、所定の目開き(1.5mm、1.0mm、0.70mm、0.50mm、0.40mm、0.30mm)の篩、パルパー又はフィニッシャーで裏ごしした場合、表5(ブレード間隙0.0799インチ、約2.0mmの破砕物)と表6(ブレード間隙0.0507インチ、約1.3mmの破砕物)で表されるダッタンソバスプラウトが得られることが予想される。
Figure 0004838151
Figure 0004838151
表5の結果より、ダッタンソバスプラウトを用いて、そのピューレを製造する際には、ダッタンソバスプラウトの殻が通過できない、若干狭いブレード間隙0.0799インチ(約2.0mm)のコミトロールで破砕し、目開き0.5mm以下の篩、ストレーナー、パルパー又はフィニッシャー等の篩別機又は振動篩等で篩別して除去することによって、ダッタンソバスプラウトピューレに混入する殻を2.6%以下になるまで効率的に除去できることが分かる。
また、表6の結果より、ダッタンソバスプラウトを用いてそのピューレを製造する際には、ダッタンソバスプラウトの殻が通過できない、若干狭いブレード間隙ブレード間隙0.0507インチ(約1.3mm)のコミトロールで破砕し、目開き又はスクリーンサイズ0.5mm以下の篩、ストレーナー、パルパー又はフィニッシャー等の篩別機又は振動篩等で篩別して除去することによって、ダッタンソバスプラウトピューレに混入する殻を2.6%以下になるまで効率的に除去できることが分かる。
そこで、上記のスチームブランチング後に、ブレード間隙0.0799インチ(約2.0mm)のコミトロールで破砕したダッタンソバスプラウトを、打ち抜き孔がφ0.5mmのパドル式パルパーフィニッシャーで裏ごしして、当該ダッタンソバスプラウト破砕物から殻を取り除いて、ダッタンソバスプラウトピューレ615gを得た。
ここで得られたダッタンソバスプラウトピューレは、ダッタンソバスプラウト特有の香味ときれいな黄緑色の色調を有するものであり、ソバ殻含量が1.0%(w/w)で、ルチン含量が0.4%(w/w)含有するものであった。
更に、上記のスチームブランチング後に、ブレード間隙0.0507インチ(約1.3mm)のコミトロールで破砕したダッタンソバスプラウトを、打ち抜き孔がφ0.4mmのパドル式パルパーフィニッシャーで裏ごしして、当該ダッタンソバスプラウト破砕物から殻を取り除いて、ダッタンソバスプラウトピューレ654gを得た。
ここで得られたダッタンソバスプラウトピューレも、ダッタンソバスプラウト特有の香味ときれいな黄緑色の色調を有するものであり、ソバ殻含量が0.4%(w/w)で、ルチン含量が0.4%(w/w)含有するものであった。
(ダッタンソバスプラウトの破砕条件の検討2)
ダッタンソバスプラウト1.0kgを21分間スチームブランチングし、スーパーマスコロイダー(商品名、増幸産業株式会社製)を用いて、そのクリアランスを2.0mmに設定して破砕した。そして、スクリーンサイズφ0.5mmのパドル式パルパーフィニッシャーで裏ごしして、該ダッタンソバスプラウト破砕物から殻を取り除いて、ダッタンソバスプラウトピューレ622gを得た。ここで得られたダッタンソバスプラウトピューレも、ダッタンソバスプラウト特有の香味ときれいな黄緑色の色調を有するものであり、ソバ殻含量が0.4%(w/w)で、ルチン含量が0.4%(w/w)含有するものであった。
(ダッタンソバスプラウトへの野菜ジュースへの利用)
実施例1の、ブレード間隙0.0799インチ(約2.0mm)のコミトロールで破砕し、φ0.5mmのパドル式パルパーフィニッシャーで裏ごしして、作成したダッタンソバスプラウトピューレ0.5kgに、トマトジュース6.35kg、人参ジュース1.5kg、ほうれん草汁1.5kg、セロリ汁0.05kg、明日葉汁0.05kg、及びかぼちゃピューレ0.05kgを配合し撹拌混合して、野菜ジュース10kgを調合した。
そして、当該野菜ジュースをHTST(High Tempereture Short Time)殺菌機で、120℃、42秒の加熱条件で殺菌し190g缶に充填して冷却し、ダッタンソバスプラウト含有野菜ジュース飲料を製造した。
栽培開始後7〜9日経過し、ダッタンソバが発芽した状態を示す図。 スチームブランチング後のダッタンソバスプラウトに残存するルチン分解酵素活性を示す。

Claims (3)

  1. ソバ殻の外径に対し5〜45倍に伸長した殻付きダッタンソバスプラウトを品温90〜100℃で15〜60分水蒸気との接触により加熱し、遠心力にて円周方向に高速回転させながら破砕部に誘導し先端部の間隙で機械的に破砕またはカットする破砕機の該間隙が0.7〜3.0mmの破砕機で破砕した後、0.3〜1.5mmの目開きの篩で篩別することを特徴とするダッタンソバスプラウトピューレの製造法。
  2. ソバ殻含量が2.6%(w/w)以下であり、ルチン含量が0.4%(w/w)以上であり、ルチン分解酵素活性が0であり、保存中にルチン含量の低減がなく、黄緑色の色調を有し、食感が非常に滑らかなダッタンソバスプラウトピューレ。
  3. 飲食品の製造工程において、ソバ殻含量が2.6%(w/w)以下であり、ルチン含量が0.4%(w/w)以上であり、ルチン分解酵素活性が0であり、保存中にルチン含量の低減がなく、黄緑色の色調を有し、食感が非常に滑らかなダッタンソバスプラウトピューレを添加することを特徴とするダッタンソバスプラウトピューレ含有飲食品の製造法。
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