JP4835861B2 - 回転機器 - Google Patents

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Description

本発明は、たとえば気体レーザ発振器装置におけるガス循環用の電動コンプレッサとしてのブロワあるいは遠心分離機等に適用できるターボ型の回転機器に関する。
たとえばフロー型二酸化炭素ガスレーザ発振器装置の場合、炭酸ガスと他のガスの混合ガスを流しながら圧縮し、レーザ発振器に供給して共振させるようになっており、装置内にガス循環回路が構成されている。その循環回路の構成における一要素のブロワとしてターボ翼を高速で回転させてガスを圧縮し、レーザ発振器に供給するターボ型の回転機器が使用されている。以下背景技術をこのターボ型の回転機器を例として説明する。
この種ターボ型の回転機器は、ハウジング内の上方にターボ翼が回転可能に配設され、ガスを圧縮して排出する機構を設けるとともに、下方にはこのターボ翼(回転子)を高速回転駆動させる回転駆動源(たとえば電動機、以下モータと略称する)が配設されている。そして、このモータの回転子とターボ翼ならびに回転軸等からなる回転体は、機械的な軸受で軸支され、オイルによる潤滑手段が併設されている。(特許文献1参照)。
このターボ型の回転機器の構成は図5に示すとおりである。図5は概略的に示す縦断面図で、ハウジング1の内方でその上方にターボ翼7が回転可能に配設されるとともに下方にはこのターボ翼7を高速回転駆動させる回転駆動源モータ2が配設され、両者が回転軸4にて連結されている。このモータ2はハウジング1の側に固設された電極コイル2Kと、この電極コイル2Kに対応して回転軸4に固設された回転子2Mで構成され、電極コイル2Kにインバータ3から電気エネルギーが供給される。
回転軸4は上部軸受5と下部軸受6を介してハウジング1に対し、回転可能に保持されているが、この回転軸4の上方に形成された取付軸4Sにターボ翼7が固設されている。このモータ2と回転子2Mおよび回転軸4からなる回転体が、軸受機構を構成する上部軸受5と下部軸受6に保持されている。なお、この上部軸受5と下部軸受6は軸受室M内に配設されている
ターボ翼7がモータ2によって高速回転駆動されると、ガスは吸気口1Kから吸入され、圧縮されて排気口1Hより排出される。この吸気口1Kから排気口1Hまでがガス圧縮を行う圧縮室Cを形成する。この排気口1Hからのガスは上記したようにガス循環回路(図示せず)を経てレーザ発振器(図示せず)に供給される。
ところで、回転軸4には図5に示すとおり、軸心上に中空孔4Hが形成されているが、この中空孔4Hの下方部は内孔が上方拡がりのテーパ状をなし、この下方部位が潤滑用のオイルL内に浸漬されている。したがって、中空孔4Hの下方域に侵入している潤滑用のオイルLは、回転軸4の回転による遠心力の作用を受けて中空孔4Hの内方を上方に移動し、この作用で中空孔4Hはポンプ機能を生起する。こうして潤滑用のオイルLは順次上方へ送り出され、射出孔4Tより外方に放出されてモータ2の冷却や上部軸受5と下部軸受6の潤滑を行う。潤滑や冷却を終えた潤滑用のオイルLは再び下方のオイル槽1Yに溜められ、再び吸い上げられて循環することになる。
このように潤滑用のオイルLは、循環して上部軸受5や下部軸受6の潤滑を行うが、この潤滑によって特に軸受室M内には噴霧状のオイルL(オイルミスト)が存在し浮遊することになる。軸受室Mにおける噴霧状のオイルLの存在は、上部軸受5と下部軸受6等における潤滑を良好にするが、このオイルミストが圧縮室Cに流入するとレーザ発振器などに流入し、レーザの発振機能を低下させる。
このことから圧縮室Cと軸受室Mとは、ハウジング1ないしハウジング1と一体の部材からなる隔壁8にて遮断されるようになっている。すなわち、ハウジング1には上部軸受5の上方位置において回転軸4が非接触で貫通できる貫通孔8Aが穿設され、回転軸4と協働してシール部Sが形成されている。このシール部Sはたとえば図示していないがラビリンスシール等が適用される。このシール部Sは、回転軸4と貫通部との間隙は通常数10ミクロンに設定されている。ラビリンスシール以外にも、数10ミクロンの微小な平行隙間に設定されたガスシールも採用されている。なお、9は軸受保持部材であり、9Hは貫通孔である。
このように、特にレーザ発振器に利用されるターボ型の回転機器においてはオイルLのミスト(ガス)の存在と対策が重要であるが、ミストの発生源であるオイルLの存在も無視できない。特に回転軸4の射出孔4Tから放出されるオイルLが上方のシール部Sに至るのをなるべくさける必要がある。そのために後述するように上記シール部Sにガスの流れを付勢する手段を設ける工夫が提案されている。この工夫は図4に示されている。
すなわち図4は、図5におけるターボ型の回転機器において、回転軸4が貫通孔を貫通する部位に螺旋溝4Mを設けたものである。この螺旋溝の詳細は図3に示されている。螺旋溝4Mは圧縮室Cから軸受室Mへの流体の流れを付勢するための流体付勢領域AEを形成するものである。具体的には回転軸4が矢印方向に回転駆動されるとき、螺旋溝4Mの溝間隔の流体は下方へと移動する。すなわち螺旋溝4Mはガスを含む流体を軸受室M側へ付勢する螺旋溝である。
このようにしてオイルミストを含むガスが圧縮室C側に流入することは阻止される。なお、図3、図4において図5と同一の符号で示される部品については図5の部品と同一で同様の機能を有するものであり、これら各部品の作動の詳細な説明は省略する。
なお、シール部Sと軸受保持部材9は図5に示すボルト11を介してハウジング1に固定されている。
特開2000−209815号公報(第1−3頁、第1図−第8図)
圧縮室Cと軸受室Mとを区画する隔壁8のシール機構については、つぎのような問題を有している。まずラビリンスシール方式では、運転中の回転体の振れにより隔壁8における貫通孔8A側と回転軸4との接触を防止するため、貫通孔8Aの回転軸4側に対する同心性は強く求められており厳しいが、そのためにターボ型の回転機器の組立時の同心確認、調整は容易ではない。また、部品間のはめあい精度により決める場合には、関わる複数の部品の同心および加工精度の要求値が厳しくなるとともに、一方で、隙間の低減に対しても限界が設定されている。
したがって、隙間が広がると運用中のシール部Sの真空引き量が増加し、レーザ発振器のブロアとして使用する場合、消費レーザガス量の増加、ランニングコストアップとなる。また、このシール機構をラビリンスシールで構成する場合、加工が複雑であり、回転軸4の一部に加工を施すことは、コスト面運用面でも問題であり、別部品とせざるを得ないのが実情である。他方、螺旋溝方式の場合は螺旋溝の能力が優れることでガスの消費量が増加(ランニングコストが増加)するという問題がある。
本発明が提供するターボ型の回転機器は、上記課題を解決するために圧縮室と軸受室の隔壁を貫通する部位であって貫通孔の中間部位より下方位における回転軸の外周面と貫通孔内周面との間に螺旋溝を形成するとともに貫通孔内周面と軸受室側とを連通する連通路を隔壁に設けたものである。
そして本発明が第2に提供するターボ型の回転機器は、螺旋溝の方向がガス付勢を貫通孔下方に付勢するよう形成されている。したがって差圧変動を小さくすることができる。
さらに本発明が第3に提供するターボ型の回転機器は、螺旋溝が貫通孔の内周面に形成されたものであり、構成が簡略化される。さらに本発明が第4に提供するターボ型の回転機器は、連通路の軸受室側に潤滑用流体をトラップするフィルタを設けたものであり、流体付勢領域オイルミストの流入は阻止できかつガスは連通路を流れるのでガスの付勢機能は保障される。
シール内でのオイルの滞留さらにはシール内に侵入したオイルがシールを埋めることを防止することができる。またオイルは下方に付勢されるのでオイルが圧縮室Cの方向に逆流することはない。すなわち真空排気量を低減することができる。
本発明の第1の特徴は、回転軸が隔壁を貫通する貫通孔の部位における貫通孔と回転軸の外周との間であって貫通孔の中間部位より下方位にのみ螺旋溝を形成する構成とした点である。しかもこの螺旋溝は回転軸の回転によって流体を下方に付勢する。さらに本発明の第2の特徴は前記螺旋溝形成によるシール部位と軸受室を連通させる連通路を合わせ設けた点であり、しかもこの連通路の軸受室側開口部にフィルタが付設されている点を第3の特徴としている。
したがって本発明としてはこれらの特徴をともに備えたターボ型の回転機器が最良の形態である。
本実施例は図1に示される。図1は回転軸4が隔壁8を貫通する部位を拡大して示す断面図で、図1において図3と同一の符号で示される部品は図3における符号の部品と同一の機能を有するものであり、これらの符号の部品についての詳細な説明は省略する。
図1において8Pが隔壁8に穿設された連通路で、軸受室Mへの開口部にはフィルタFが設置されている。他方の開口は螺旋溝4MDの上端部位に対応している。
螺旋溝4MDの部位では、螺旋によりシール機構が有効に働くとともに、貫通孔8A部位における回転軸4のみで螺旋溝が形成されていないシール部Sとの協働による圧縮室Cからのガス流入量は、軸受室Mからの真空排気量と連通路8Pから還流されるガス流量との差に相当する。これは軸受室M側から連通する連通路8Pを静止側に備えることでバイパス流路となり、螺旋溝効果により下方へのガス流れが過剰になった場合においても、連通路8Pからガスのバイパス流で、圧縮室Cから下方へのガス流量の定量化が図られ、シール部Sの上面へのオイルの逆流を防ぐことができる。
上記の機能によって、ターボ型の回転機器がガス圧縮機として作動するとき、シール部Sにおける螺旋溝4MDの回転によって流体付勢領域AEでは下方へのガスの流れが付勢される。この場合、螺旋溝4MDが形成されていない貫通孔部位の上位における回転軸周面部4Fは、後述するとおり流体の下方への流れを案内すべく機能する。その結果圧縮室内へのオイルミストの流入が防止される。なお、ターボ型の回転機器の起動前において侵入したオイルは、軸受室Mにて掻き出される。そして螺旋溝4MDにより積極的に下方にガスが生じることで螺旋溝内を通過し軸受の部屋すなわち軸受室M側から連通路8Pを介して連通する連通路8Pを介して静止側に備えることで、連通路8P内を軸受室Mから螺旋溝4MDが存在するシール部S内に侵入したオイルが螺旋溝4MDの存在によって積極的にその下方に流動させられる。この機能によって、連通路8Pを経てシール部Sに流入したオイルが、圧縮室Cに流入するのを防ぎ、連通路8Pからのガスの供給により、全体のガス消費量を抑制することができる。
このことから、図4、図5に示すように軸受室Mの下方部に排気パイプRが備えられた場合、運転中のガス真空排気流量を制御できる。このことはランニングコストの低減につながる。シール部Sの隙間においては、ガスのみを通過させ、オイルミストをトラップすることは極めて困難であるが、軸受室Mから連通する静止側内の連通路あるいは下部にオイルトラップを備えることで容易にガスのみを通過させ、オイルトラップすることができる。
したがって連通路8Pを介してオイルがシール部S内に侵入することを防止できる。螺旋溝4MDにおいては、その回転によってオイルは螺旋溝4MDにおけるオイルが順次周方向で移動するためオイルによる表面張力による滞留が防げる。図2は貫通孔8Aの内周面側で中間より下方域に螺旋溝8MDを設けた例で機能は図1と同じである。
本発明が提供するターボ型の回転機器の特徴は以上詳述したとおりであるが、上記ならびに図示例に限定されるものではない。特に連通路8Pの形状については図示例のようにL字形に必ずしなければならないということではなく、たとえば図示例の両開口を直線で結ぶこともできる。さらにこの両方側にそれぞれ1個のL字形連通路8Pを設けることもできる。本発明はこれら変形例をすべて包含するものである。
本発明が提供するターボ型の回転機器の要部の構成を示す縦断面図である。 本発明が提供するターボ型の回転機器の要部の構成を示す縦断面図である。 本発明が提供するターボ型の回転機器の要部を拡大して示す縦断面図である。 従来におけるターボ型の回転機器のターボ翼の取付部である回転軸に改良を加えた構成を示す図である。 従来におけるターボ型の回転機器の構成を概略的に示す図である。
符号の説明
1 ハウジング
1K 吸気口
1H 排気口
1Y オイル槽
2 モータ
2K 電極コイル
2M 回転子
3 インバータ
4 回転軸
4F 回転軸周面部
4H 中空孔
4M 螺旋溝
4MD 螺旋溝
4S 取付軸
4T 射出孔
5 上部軸受
6 下部軸受
7 ターボ翼
8 隔壁
8A 貫通孔
8MD 螺旋溝
8P 連通路
9 軸受保持部材
9H 貫通孔
11 ボルト
AE 流体付勢領域
C 圧縮室
F フィルタ
L オイル
M 軸受室
S シール部
R 排気パイプ

Claims (3)

  1. 回転により室内にガス圧縮を行う回転体を内設した圧縮室と、前記回転体を回転駆動する回転駆動源および回転体と回転駆動源を連結する回転軸と軸受等の駆動系を内設した軸受室を備え、この圧縮室と軸受室を隔壁にて区画するとともに、前記隔壁に回転軸を貫挿する貫通孔を穿設したハウジングを備え、回転駆動源を回転駆動させて回転体を回転させ圧縮機能を行わせる回転機器において、貫通孔の中間部位より下方部位における回転軸の外周面と貫通孔内周面との間に、貫通孔内の流体を貫通孔の下方に向けて付勢する螺旋溝を設けるとともに貫通孔内周面と軸受室側とを連通する連通路を隔壁に設けたことを特徴とする回転機器。
  2. 螺旋溝が隔壁に穿設された貫通孔の内周面に形成されていることを特徴とする請求項1記載の回転機器。
  3. 連通路の軸受室側開口部に潤滑用流体をトラップするフィルタを設けたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の回転機器。
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