JP4835397B2 - タイヤ空気圧生成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車等車両において車輪のタイヤ空気室に供給される加圧空気を生成可能なタイヤ空気圧生成装置に関する。
この種のタイヤ空気圧生成装置の一つとして、車輪に設けられて同車輪の回転によって駆動可能で同車輪のタイヤ空気室に供給される加圧空気を駆動により生成可能なエアーポンプと、前記車輪のタイヤ空気圧を下限設定値から上限設定値間に維持すべく前記エアーポンプの駆動・非駆動を制御する制御弁装置を備えたものが、例えば、下記特許文献1に示されている。また、車輪のタイヤ空気室を含む空気圧回路の空気圧を検出する圧力センサは、例えば、下記特許文献2に示されている。
特表2005−515923号公報 特開平7−137515号公報
このため、自動車等車両に装備されるタイヤ空気圧生成装置において、上記したエアーポンプを複数の車輪にそれぞれ設けて各車輪のタイヤ空気圧を下限設定値から上限設定値間に維持することや、各車輪のタイヤ空気圧を各圧力センサにて検出して監視することは可能である。しかし、従来技術では、エアーポンプの駆動・非駆動を判定することができないばかりか、各構成機器(例えば、エアーポンプ、圧力センサ、制御弁装置等)の異常を判定することができなくて、当該タイヤ空気圧生成装置の異常個所を知る上で不便である。
本発明は、上記した課題に対処すべくなされたものであり、車輪に設けられて同車輪の回転によって駆動可能で同車輪のタイヤ空気室に供給される加圧空気を駆動により生成可能なエアーポンプと、前記車輪のタイヤ空気圧を下限設定値から上限設定値間に維持すべく前記エアーポンプの駆動・非駆動を制御する制御弁装置とを備えた空気圧生成ユニットに、前記エアーポンプの駆動トルクを検出するトルクセンサを設けるとともに、このトルクセンサによる検出トルク値に基づき前記エアーポンプの駆動状態・非駆動状態を判定する判定手段を設けたこと(請求項1に係る発明)に特徴がある。
このタイヤ空気圧生成装置においては、トルクセンサによる検出トルク値に基づいて、例えば、トルク変化量が設定値より大きいとき(または車輪一回転中のトルクピーク値がトルク基準値より大きいとき)に、判定手段にてエアーポンプが駆動されている(駆動状態にある)ことを判定し、前記トルク変化量が設定値より小さいとき(または前記トルクピーク値がトルク基準値より小さいとき)に、判定手段にてエアーポンプが駆動されていない(非駆動状態である)ことを判定することが可能である。このため、判定手段による判定結果をエアーポンプの保守・点検等に供することが可能である。
また、本発明の実施に際して、前記制御弁装置は前記タイヤ空気室を含む空気圧回路の空気圧に応じて前記エアーポンプの駆動状態と非駆動状態を切り換える切換弁を備えていて、前記判定手段は前記検出トルク値に基づき前記切換弁の切り換え状態を判定する切換状態判定部を備えていること(請求項2に係る発明)も可能である。この場合には、切換状態判定部による判定結果により、切換弁の切り換え状態を判定することが可能であり、切換弁の切換時における車輪の負荷をトルクセンサにより検知することが可能である。
この場合において、前記トルクセンサによる検出トルク値には車輪一回転中のトルクピーク値とトルク変動周波数が含まれていて、前記トルクピーク値と前記トルク変動周波数に基づいて前記エアーポンプが前記切換弁により非駆動状態から駆動状態に切り換えられてから駆動状態から非駆動状態に切り換えられるまでの間に前記エアーポンプから前記タイヤ空気室に向けて供給される供給空気量を演算する供給空気量演算手段を設けること(請求項3に係る発明)も可能である。この場合には、供給空気量演算手段による演算結果により、エアーポンプが駆動を開始してから終了する間の供給空気量を検知することが可能である。
この場合において、前記エアーポンプが駆動状態であるときの前記トルクピーク値の変動量に基づいて前記エアーポンプが駆動状態である間に前記空気圧回路から大気中に漏れる漏れ空気量を演算する漏れ空気量演算手段を設けること(請求項4に係る発明)も可能である。この場合には、漏れ空気量演算手段による演算結果により、エアーポンプが駆動状態である間に空気圧回路から大気中に漏れる漏れ空気量を検知することが可能である。
また、本発明の実施に際して、前記エアーポンプの駆動状態と非駆動状態を検出するモードセンサを前記切換弁に設け、前記モードセンサにて前記エアーポンプの駆動状態が検出されたとき前記検出トルク値に基づき前記エアーポンプの加圧空気生成不能を判定する加圧空気生成不能判定手段を設けること(請求項5に係る発明)も可能である。この場合には、モードセンサにてエアーポンプの駆動状態が検出されたときに、前記検出トルク値が変動しない場合、エアーポンプの加圧空気生成不能を検出することが可能である。
また、本発明の実施に際して、前記タイヤ空気室を含む空気圧回路の空気圧を検出する圧力センサを設けるとともに、この圧力センサによる検出圧力値と前記トルクセンサによる検出トルク値に基づき前記エアーポンプ、前記圧力センサ、前記制御弁装置の少なくとも一つの異常を判定するシステム異常判定手段を設けること(請求項6に係る発明)も可能である。この場合には、例えば、トルクセンサによる検出トルク値に基づいて演算されるタイヤ空気圧と、圧力センサによる検出圧力値に基づいて得られるタイヤ空気圧が正規に対応しない場合、前記エアーポンプ、前記圧力センサ、前記制御弁装置の少なくとも一つが異常であると判定することが可能である。
この場合において、前記システム異常判定手段は、トルク判定部と、圧力判定部を備えるとともに、ポンプ機械効率異常判定部を備えていること(請求項7に係る発明)も可能である。この場合には、トルク判定部によってトルクセンサが正常と判定され、圧力判定部によって圧力センサが正常と判定されたときに、圧力センサによる検出圧力値に対するトルクセンサによる検出トルク値が規定以上である場合、エアーポンプにおけるポンプ機械効率異常を検知することが可能である。
また、前記システム異常判定手段は、トルク判定部と、圧力判定部を備えるとともに、ポンプ容積効率異常判定部を備えていること(請求項8に係る発明)も可能である。この場合には、トルク判定部によってトルクセンサが正常と判定され、圧力判定部によって圧力センサが正常と判定されたときに、圧力センサによる検出圧力値に対するトルクセンサによる検出トルク値が規定未満である場合、エアーポンプにおけるポンプ容積効率異常を検知することが可能である。
また、前記システム異常判定手段は、トルク判定部と、圧力センサ異常判定部を備えていること(請求項9に係る発明)も可能である。この場合には、トルク判定部によってトルクセンサが正常と判定されたときに、トルクセンサによる検出トルク値と圧力センサによる検出圧力値が正規に対応しない場合、圧力センサが異常であると判定することが可能である。
また、前記システム異常判定手段は、トルク判定部と、圧力判定部を備えるとともに、制御弁装置異常判定部を備えていること(請求項10に係る発明)も可能である。この場合には、トルク判定部によってトルクセンサが正常と判定され、圧力判定部によって圧力センサが正常と判定されたときに、ポンプ駆動切換時(例えば、エアーポンプが停止状態から駆動状態に切り換えられるとき、または、エアーポンプが駆動状態から停止状態に切り換えられるとき)の検出トルク値とポンプ駆動切換時の検出圧力値が正規に対応しない場合、制御弁装置が異常であると判定することが可能である。
以下に、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明によるタイヤ空気圧生成装置を備えた4輪自動車を概略的に示している。本発明によるタイヤ空気圧生成装置は、駆動輪である左右前車輪FL,FRに対応してそれぞれ設けられた左右一対の空気圧生成ユニットFLA,FRAを備えるとともに、従動輪である左右後車輪RL,RRに対応してそれぞれ設けられた左右一対の空気圧生成ユニットRLA,RRAを備えている。
また、本発明によるタイヤ空気圧生成装置は、図1に示したように、各車輪FL,FR,RL,RRに対応してそれぞれ設けられた各トルクセンサStfl,Stfr,Strl,Strr、各圧力センサSpfl,Spfr,Sprl,Sprrおよび各モードセンサSmfl,Smfr,Smrl,Smrrを備えるとともに、舵角センサSS、インパネ表示部IDおよび電気制御装置ECUを備えている。
各空気圧生成ユニットFLA,FRA,RLA,RRAは、図1に示したように、各車軸ハブ11に組付けたエアーポンプAPと制御弁装置VAを備えている。各エアーポンプAPは、各車軸ハブ11とこれを回転可能に支持する回転不能な支持部材(図示省略)の相対回転(各車軸ハブ11の支持部材に対する回転)によって往復動するピストン(図示省略)を備えていて、各車輪FL,FR,RL,RRの回転(すなわち、各車軸ハブ11の支持部材に対する回転)によって駆動可能で各車輪FL,FR,RL,RRのタイヤ空気室Rbに供給される加圧空気をそれぞれ駆動により生成可能である。
各制御弁装置VAは、図1に示したように、各車輪FL,FR,RL,RRにおけるタイヤ空気室Rb内のタイヤ空気圧Pfl,Pfr,Prl,Prr(図2の(a)ではP*で一例が示されている)に応じて作動する機械式切換弁を備えていて、各タイヤ空気室Rbと各エアーポンプAPを接続する空気圧回路に介装されており、各タイヤ空気圧P*を下限設定値P1から上限設定値P2(P1<P2)間に維持すべく、各エアーポンプAPの駆動・非駆動を制御する。
これら各制御弁装置VAにおいては、各タイヤ空気圧P*が下限設定値P1に低下したとき、機械式切換弁が非作動状態から作動状態(図1の図示状態)に切り換るため、また、各タイヤ空気圧P*が下限設定値P1から上限設定値P2に上昇するとき、機械式切換弁が作動状態に保持されているため、大気導入口11a(車軸ハブ11に設けられていて、エアーフィルタが介装されている)とエアーポンプAPの吸入口が連通するとともに、エアーポンプAPの吐出口とタイヤ空気室Rbが連通していて、各車輪の回転に伴い各エアーポンプAPから吐出される空気(加圧空気)は各タイヤ空気室Rbに向けて供給可能である。
このとき(各制御弁装置VAの機械式切換弁が作動状態であるとき)には、図2の(c)における駆動領域に示したように各モードセンサSmfl,Smfr,Smrl,Smrr(図2の(c)ではSm*で一例が示されている)がON状態に保持されるとともに、各制御弁装置VAに対応する各エアーポンプAPが加圧空気を生成する駆動状態に保持される。このため、このときには、各車輪の回転により各エアーポンプAPが駆動されて、各タイヤ空気圧P*が図2の(a)における駆動領域に示したように変化(上昇)するとともに、各駆動トルクTfl,Tfr,Trl,Trr(図2の(b)ではT*で一例が示されている)が図2の(b)における駆動領域に示したように変化する。
また、これら各制御弁装置VAにおいては、各タイヤ空気圧P*が上限設定値P2に上昇したとき、機械式切換弁が作動状態から非作動状態に切り換るため、また、各タイヤ空気圧P*が上限設定値P2から下限設定値P1に下降するとき、機械式切換弁が非作動状態に保持されているため、大気導入口11aとエアーポンプAPの吸入口とエアーポンプAPの吐出口が連通するとともに、エアーポンプAPの吐出口とタイヤ空気室Rbの連通が遮断されていて、各車輪の回転に伴い各エアーポンプAPから吐出される空気は各エアーポンプAPの吸入口に還流されてタイヤ空気室Rbに向けて供給されない。
このとき(各制御弁装置VAの機械式切換弁が非作動状態に保持されているとき)には、図2の(c)における非駆動領域に示したように各モードセンサSm*がOFF状態に保持されるとともに、各制御弁装置VAに対応する各エアーポンプAPが加圧空気を生成しない非駆動状態に保持される。このため、このときには、各車輪が回転しても各エアーポンプAPは非駆動状態にあり、各タイヤ空気圧P*が図2の(a)における非駆動領域に示したように変化(下降)するとともに、各駆動トルクT*が図2の(b)における非駆動領域に示したように殆ど変化しない。
各トルクセンサStfl,Stfr,Strl,Strrは、図1に示したように、各車軸ハブ11と各車輪FL,FR,RL,RRのホイール12との連結部に介装されていて、上述した各駆動トルクTfl,Tfr,Trl,Trr(各エアーポンプAPの駆動トルク)を検出可能である。なお、従動輪である左右後車輪RL,RRでは、トルクセンサStrl,Strrの出力がエアーポンプAPの駆動トルクTrl,Trrに対応しているが、駆動輪である左右前車輪FL,FRでは、当該車両の駆動力に相当する駆動トルクがトルクセンサStfl,Stfrの出力に含まれていて、トルクセンサStfl,Stfrの出力がエアーポンプAPの駆動トルクTfl,Tfrに対応していないため、当該車両の駆動力に相当する駆動トルクを車両の走行状態に基づいて演算にて算出するか別途トルクセンサを設けて検出し、これをトルクセンサStfl,Stfrの出力から減ずる必要がある。
各圧力センサSpfl,Spfr,Sprl,Sprrは、図1に示したように、各車輪FL,FR,RL,RRのホイール12に組付けられていて、ホイール12とタイヤ13とによって形成されているタイヤ空気室Rb内の各空気圧(タイヤ空気圧Pfl,Pfr,Prl,Prr)を検出可能である。また、各圧力センサSpfl,Spfr,Sprl,Sprrから出力される信号(各車輪FL,FR,RL,RRにおける各タイヤ空気圧Pfl,Pfr,Prl,Prrに相当するもの)は、電気制御装置ECUにそれぞれ無線で入力されるように構成されている。なお、各タイヤ空気圧Pfl,Pfr,Prl,Prrは、各タイヤ空気室Rbに常時連通している空気圧回路(各タイヤ空気室Rbを含む空気圧回路)でも略等しいため、各圧力センサSpfl,Spfr,Sprl,Sprrの設置箇所は適宜変更が可能である。
各モードセンサSmfl,Smfr,Smrl,Smrrは、図1に示したように、各制御弁装置VAに組み込まれていて、各制御弁装置VAの機械式切換弁が作動状態にあるか非作動状態にあるかを検出して各エアーポンプAPが加圧空気を生成する駆動状態にあるか各エアーポンプAPが加圧空気を生成しない非駆動状態にあるかを検出する内蔵スイッチを備えていて、各制御弁装置VAの機械式切換弁が作動状態にあるとき(エアーポンプAPが加圧空気を生成する駆動状態にあるとき)、内蔵スイッチはON状態に維持されてHigh信号が出力されるとともに、制御弁装置VAの機械式切換弁が非作動状態にあるとき(エアーポンプAPが加圧空気を生成しない非駆動状態にあるとき)、内蔵スイッチはOFF状態に維持されてLow信号が出力される。なお、各モードセンサから出力される信号は、電気制御装置ECUに無線で入力されるように構成されている。
舵角センサSSは、操舵装置(図示省略)に組付けられていて、当該車両が直進走行状態であるか否かを検出することが可能である。インパネ表示部IDは、インストルメントパネル(図示省略)に組付けられていて、運転者が視認可能であり、各構成機器(例えば、トルクセンサStfl,Stfr,Strl,Strr、エアーポンプAP、圧力センサSpfl,Spfr,Sprl,Sprr、制御弁装置VA等)の「正常」と「異常」をそれぞれ表示可能である。
電気制御装置ECUは、図1に示したように、各トルクセンサStfl,Stfr,Strl,Strrと各圧力センサSpfl,Spfr,Sprl,Sprrと各モードセンサSmfl,Smfr,Smrl,Smrrにそれぞれ電気的に接続されるとともに、舵角センサSSとインパネ表示部IDにもそれぞれ電気的に接続されている。
また、電気制御装置ECUは、車両の走行状態に応じて制動油圧を制御するための周知のプログラム(図示省略)を所定の演算周期(例えば、5msec)毎に繰り返し実行するとともに、各トルクセンサStfl,Stfr,Strl,Strrと各圧力センサSpfl,Spfr,Sprl,Sprrと各モードセンサSmfl,Smfr,Smrl,Smrrと舵角センサSSの出力等に基づいて各構成機器(例えば、各トルクセンサStfl,Stfr,Strl,Strr、各エアーポンプAP、各圧力センサSpfl,Spfr,Sprl,Sprr、各制御弁装置VA等)の正常・異常を判定するための図3〜図8のフローチャートに対応したプログラムを所定の演算周期(例えば、5msec)毎に繰り返し実行するマイクロコンピュータを備えていて、各構成機器の「正常」と「異常」をインパネ表示部IDに表示して運転者に報知可能である。
上記のように構成したこの実施形態においては、当該車両のイグニッションスイッチ等のメインスイッチ(図示省略)がON状態とされているとき、上記した各センサ等からの信号に基づいて、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータが、車両の走行状態に応じて制動油圧を制御するための周知のプログラム(図示省略)と、各構成機器(例えば、各トルクセンサSwfl,Swfr,Swrl,Swrr、各エアーポンプAP、各圧力センサSpfl,Spfr,Sprl,Sprr、各制御弁装置VA等)の正常・異常を判定するための図3〜図8のフローチャートに対応したプログラムをそれぞれ所定の演算周期(例えば、5msec)毎に繰り返し実行する。
このため、車両の走行状態に応じてブレーキアクチュエータ(図示省略のブレーキ液圧制御装置)の作動が制御されて、周知の作動(例えば、ABS作動、ブレーキアシスト作動、TRC作動等)が得られる。なお、ブレーキアクチュエータの作動による周知の作動(例えば、ABS作動、ブレーキアシスト作動、TRC作動等)の説明は省略する。
また、各トルクセンサStfl,Stfr,Strl,Strrと各圧力センサSpfl,Spfr,Sprl,Sprrと各モードセンサSmfl,Smfr,Smrl,Smrrと舵角センサSSの出力等に基づいて、各構成機器(例えば、各トルクセンサStfl,Stfr,Strl,Strr、各エアーポンプAP、各圧力センサSpfl,Spfr,Sprl,Sprr、各制御弁装置VA等)の「正常」または「異常」が判定されて、その判定結果がインパネ表示部IDに表示される。
ところで、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータは、図3のフローチャートに対応したプログラム(メインルーチン)を実行するとき、図3のステップ101にて処理を開始し、ステップ200にて各種データの演算・更新処理を実行し、ステップ300にてトルクセンサの判定処理を実行し、ステップ400にて各システム(各車輪に設けたエアーポンプAPを含む各空気圧生成ユニット)による生成・非生成の判定処理を実行し、ステップ500にて各車輪での各種空気量(トルクセンサの出力に基づいて演算される第1の供給空気量Qit*、圧力センサの出力に基づいて演算される第2の供給空気量Qip*、トルクセンサの出力に基づいて演算される第1の漏れ空気量Qot*、圧力センサの出力に基づいて演算される第2の漏れ空気量Qop*等)の演算処理を実行し、ステップ600にてシステムの判定処理を実行し、ステップ102にて処理を一旦終了する。
電気制御装置ECUのマイクロコンピュータが、図3のステップ200にて各種データの演算・更新処理を実行するときには、図4に示したサブルーチンを実行する。図4のサブルーチンでは、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータが、ステップ201にて処理を開始し、ステップ202にて各圧力センサSpfl,Spfr,Sprl,Sprrが検出した各車輪(FL,FR,RL,RR)のタイヤ空気圧Pfl,Pfr,Prl,Prr(P*)とその時刻を読み込んで記憶し、ステップ203にて各圧力センサが上限設定値P2を検出してから下限設定値P1を検出するまでの下降時間tpd*(図2の(a)参照)と各圧力センサが下限設定値P1を検出してから上限設定値P2を検出するまでの上昇時間tpu*(図2の(a)参照)を演算して記憶する。なお、下降時間tpd*は、圧力センサが下限設定値P1を検出する度に演算して更新し、上昇時間tpu*は、圧力センサが上限設定値P2を検出する度に演算して更新する。
また、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータが、ステップ204にて各トルクセンサStfl,Stfr,Strl,Strrが検出した各車輪(FL,FR,RL,RR)の駆動トルクTfl,Tfr,Trl,Trr(T*)とその時刻を読み込んで記憶し、ステップ205にて各車輪(FL,FR,RL,RR)のトルク変化量ΔTfl,ΔTfr,ΔTrl,ΔTrr(ΔT*)を演算して記憶する。
また、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータが、ステップ206にて各モードセンサSmfl,Smfr,Smrl,Smrrが検出した各車輪(FL,FR,RL,RR)のON・OFF信号とその時刻を読み込んで記憶し、ステップ207にて各モードセンサがOFF信号を検出してからON信号を検出するまでのOFF維持時間tmd*(図2の(c)参照)と各モードセンサがON信号を検出してからOFF信号を検出するまでのON維持時間tmu*(図2の(c)参照)を演算して記憶し、ステップ208にて図3のメインルーチンに戻る。なお、OFF維持時間tmd*は、モードセンサがON信号を検出する度に演算して更新し、ON維持時間tmu*は、モードセンサがOFF信号を検出する度に演算して更新する。
また、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータが、図5のステップ300にて各トルクセンサの判定処理を実行するときには、図5に示したサブルーチンを実行する。図5のサブルーチンでは、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータが、ステップ301にて処理を開始し、ステップ302にて舵角センサSSの出力に基づいて車両が直進走行状態にあるか否かが判定され、ステップ303にてブレーキアクチュエータ(図示省略)による制動液圧制御が非制御状態(例えば、ABS作動、ブレーキアシスト作動、TRC作動等が全て非作動である状態)にあるか否かが判定され、ステップ304にて各車輪のトルク変化量ΔTfl,ΔTfr,ΔTrl,ΔTrr(ΔT*)の絶対値が設定値α1より小さいか否か(各エアーポンプAPが非駆動状態にあるか否か)が判定される。なお、ステップ303での判定は、制動油圧を制御するための周知の図示省略プログラムの実行により、制動液圧制御が非制御状態であるときに“0”と設定される制動制御フラグ(図示省略)の判定に基づいてなされる。
また、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータが、ステップ305にて左右前輪の各トルクセンサStfl,Stfrの正常・異常を判定し、ステップ306にて左右後輪の各トルクセンサStrl,Strrの正常・異常を判定し、ステップ307にて全てのトルクセンサの正常を表示指示し、ステップ308にて左右前輪の各トルクセンサStfl,Stfrの異常を表示指示し、ステップ309にて左右後輪の各トルクセンサStrl,Strrの異常を表示指示し、ステップ310にてトルクフラグを“1”に設定し、ステップ311にてトルクフラグを“0”に設定し、ステップ312にて図3のメインルーチンに戻る。
このため、車両が直進走行状態にあり、ブレーキアクチュエータ(図示省略)による制動液圧制御が非制御状態にあり、各エアーポンプAPが非駆動状態にあると、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータは、ステップ302にて舵角センサSSの出力に基づいて「Yes」と判定し、ステップ303にて制動制御フラグ(図示省略)の“0”に基づいて「Yes」と判定し、ステップ304にて図4のステップ204にて得られたトルク変化量ΔT*に基づいて「Yes」と判定し、各車輪FL,FR,RL,RRの駆動トルクTfl,Tfr,Trl,Trrに基づいてステップ305〜312を適宜実行する。
なお、車両が直進走行状態にない場合には、ステップ302にて「No」と判定し、ステップ312を実行する。また、ブレーキアクチュエータ(図示省略)による制動液圧制御が制御状態にある場合(例えば、ABS作動、ブレーキアシスト作動、TRC作動等の何れかが制御状態である場合)には、ステップ303にて「No」と判定し、ステップ312を実行する。また、各エアーポンプAPが駆動状態にある場合には、各車輪のトルク変化量ΔTfl,ΔTfr,ΔTrl,ΔTrr(ΔT*)の絶対値が設定値α1より大きいため(図2(b)の駆動領域参照)、ステップ304にて「No」と判定し、ステップ312を実行する。
ところで、図5のステップ305では、左右前輪の各トルクセンサStfl,Stfrにて検出される左右前輪の各駆動トルクTfl,Tfrの差の絶対値が設定値α2より小さいか否かが判定され、「Yes」と判定されることにより左右前輪の各トルクセンサStfl,Stfrの正常が判定されてステップ306が実行され、「No」と判定されることにより左右前輪の各トルクセンサStfl,Stfrの異常が判定されてステップ308が実行される。
また、図5のステップ306では、左右後輪の各トルクセンサStrl,Strrにて検出される左右後輪の各駆動トルクTrl,Trrの差の絶対値が設定値α3(α2に略等しい)より小さいか否かが判定され、「Yes」と判定されることにより左右後輪の各トルクセンサStrl,Strrの正常が判定されてステップ307が実行され、「No」と判定されることにより左右後輪の各トルクセンサStrl,Strrの異常が判定されてステップ309が実行される。
また、図5のステップ307では、4輪全てのトルクセンサが正常であるとの表示が指示されて、インパネ表示部IDに「全トルクセンサ正常」が表示される。また、ステップ308では、左右前輪のトルクセンサが異常であるとの表示が指示されて、インパネ表示部IDに「左右前輪トルクセンサ異常」が表示される。また、ステップ309では、左右後輪のトルクセンサが異常であるとの表示が指示されて、インパネ表示部IDに「左右後輪トルクセンサ異常」が表示される。
これによって、運転者は、インパネ表示部IDの「全トルクセンサ正常」または「左右前輪トルクセンサ異常」或いは「左右後輪トルクセンサ異常」により、各トルクセンサStfl,Stfr,Strl,Strrが全て正常であること、または、左右前輪トルクセンサStfl,Stfrの何れか一方が異常であること、或いは、左右後輪トルクセンサStrl,Strrの何れか一方が異常であることを知ることができる。
また、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータが、図3のステップ400にて各システム(各車輪に設けたエアーポンプAPを含む各空気圧生成ユニット)による生成・非生成の判定処理を実行するときには、図6に示したサブルーチンを実行する。図6のサブルーチンは各車輪(FL,FR,RL,RR)に対応してそれぞれ実行されるものであり、各サブルーチンでは、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータが、ステップ401にて処理を開始し、ステップ402にてトルクフラグが“1”に設定されているか否かを判定し、ステップ403にて各車輪のトルク変化量ΔTfl,ΔTfr,ΔTrl,ΔTrr(ΔT*)の絶対値が設定値α4より大きいか否か(各エアーポンプAPが駆動状態にあるか否か)が判定される。
また、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータが、ステップ404にて各システムの生成中を表示指示し、ステップ405にて各車輪(FL,FR,RL,RR)の駆動トルクTfl,Tfr,Trl,Trr(T*)がトルク基準値T1に上昇したか否かを判定し、ステップ406にてカウント値をワンアップさせ、ステップ407にてカウント値が「1」であるか否かを判定する。また、ステップ408にて、前回の生成中において駆動トルクT*が設定値T1に低下した最後の時刻を旧生成終了時刻tp2(O)(図2の(b)参照)として更新するとともに、そのときのタイヤ空気圧を旧終了時タイヤ空気圧Pp2(O)(図2の(a)参照)として更新する。なお、駆動トルクT*がトルク基準値T1に上昇したか否かは、駆動トルクT*の前回値(5msec前の値)がトルク基準値T1より小さく今回値(現時刻での値)がトルク基準値T1より大きいか否かによって判定される。
また、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータが、ステップ409にて、今回の生成中において駆動トルクT*が設定値T1に上昇した最初の時刻を新生成開始時刻tp1(N)(図2の(b)参照)として更新するとともに、そのときのタイヤ空気圧を新開始時タイヤ空気圧Pp1(N)(図2の(a)参照)として更新する。また、ステップ410にて、旧生成終了時刻tp2(O)から新生成開始時刻tp1(N)までの非生成時間td*(図2の(b)参照)を演算して更新する。
また、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータが、ステップ411にてステップ409にて更新された新生成開始時刻tp1(N)からステップ411実行時の時刻tu(n)までの間におけるトルクピーク値Tmax(n−1)とトルク変動周波数ST(n−1)を演算して記憶し、ステップ412にてその時刻tu(n)を記憶する。なお、上記した(n)は2以上のカウント値である。
また、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータが、ステップ413にて、各車輪(FL,FR,RL,RR)の駆動トルクTfl,Tfr,Trl,Trr(T*)がトルク基準値T1に下降したか否かを判定し、ステップ414にてタイマをリセットしてスタートさせ、ステップ415にて駆動トルクT*がトルク基準値T1に下降した時刻tdとそのときのタイヤ空気圧Pdを更新し、ステップ416にて生成完了フラグを“0”に設定し、ステップ417にて図3のメインルーチンに戻る。なお、駆動トルクT*がトルク基準値T1に下降したか否かは、駆動トルクT*の前回値(5msec前の値)がトルク基準値T1より大きく今回値(現時刻での値)がトルク基準値T1より小さいか否かによって判定される。
また、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータが、ステップ418にて、カウンタ値をゼロにリセットし、ステップ419にて各システムの非生成中を表示指示し、ステップ420にてタイマ値が設定値α5より小さいか否かが判定され、ステップ421にて今回の生成中において駆動トルクT*が設定値T1に下降した最後の時刻(ステップ415にて更新されて記憶されている時刻td)を新生成終了時刻tp2(N)(図2の(b)参照)として更新するとともに、そのときのタイヤ空気圧(ステップ415にて更新されて記憶されているタイヤ空気圧Pd)を新終了時タイヤ空気圧Pp2(N)(図2の(a)参照)として更新する。また、ステップ422にて、新生成開始時刻tp1(N)から新生成終了時刻tp2(N)までの生成時間tu*を演算して更新し、ステップ423にて生成完了フラグを“1”に設定する。
ところで、図6のステップ402の実行時にトルクフラグが“1”である場合(4輪全てのトルクセンサが正常である場合)には、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータが、ステップ402にて「Yes」と判定して、エアーポンプAPの作動状態に応じてステップ403〜423を適宜に実行するが、図6のステップ402の実行時にトルクフラグが“1”でない場合(少なくとも一つのトルクセンサが異常である場合)には、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータが、ステップ402にて「No」と判定して図3のステップ102にジャンプし処理を一旦終了する。
図6の上記したステップ403〜423の中でステップ404〜416は、4輪全てのトルクセンサが正常である場合において、各車輪にてエアーポンプAPが駆動状態であるときに実行され、また、ステップ418〜420は、各車輪にてエアーポンプAPが非駆動状態であるときに実行され、ステップ421〜423は、各車輪にてエアーポンプAPが駆動状態から非駆動状態になったときに一時的(タイマ値が設定値α5となるまでの間)に実行される。
これにより、各車輪にてエアーポンプAPが駆動状態であるときには、インパネ表示部IDに「加圧空気生成中」が表示され、また、各車輪にてエアーポンプAPが非駆動状態であるときには、インパネ表示部IDに「加圧空気非生成中」が表示されて、運転者は、インパネ表示部IDの「加圧空気生成中」または「加圧空気非生成中」により、各エアーポンプAPの駆動状態を知ることができる。また、各エアーポンプAPの駆動によって得られる各トルクピーク値Tmax(n−1)と各トルク変動周波数ST(n−1)がそれぞれ記憶されるとともに、上記した非生成時間td*と生成時間tu*がそれぞれ記憶される。
また、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータが、図3のステップ500にて各車輪での各種空気量(トルクセンサの出力に基づいて演算される第1の供給空気量Qit*、圧力センサの出力に基づいて演算される第2の供給空気量Qip*、トルクセンサの出力に基づいて演算される第1の漏れ空気量Qot*、圧力センサの出力に基づいて演算される第2の漏れ空気量Qop*等)の演算処理を実行するときには、図7に示したサブルーチンを実行する。
図7のサブルーチンは各車輪(FL,FR,RL,RR)に対応してそれぞれ実行されるものであり、各サブルーチンでは、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータが、ステップ501にて処理を開始し、ステップ502にて生成完了フラグが“1” に設定されているか否かを判定し、ステップ503にてエアーポンプAPが駆動状態である間のトルクピーク値Tmaxの平均値を演算して記憶し、ステップ504にてエアーポンプAPが駆動状態である間のトルク変動周波数STの平均値を演算して記憶する。
また、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータが、ステップ505にてエアーポンプAPから単位時間当たりに吐出される空気の理論供給流量Qk*/secを演算して記憶し、ステップ506にポンプ吐出効率β*を演算して記憶し、ステップ507にて一サイクルの生成中にエアーポンプAPからタイヤ空気室Rbに向けて供給される第1の供給空気量Qit*を演算して記憶する。
ところで、図7のステップ503では、図6のステップ411にて得られたトルクピーク値からトルクピーク値Tmaxの平均値が演算されて記憶される。また、ステップ504では、図6のステップ411にて得られたトルク変動周波数からトルク変動周波数STの平均値が演算されて記憶される。また、ステップ505では、エアーポンプAPの諸元(車輪一回転当たりの吐出空気量等)とステップ504にて得られたトルク変動周波数STの平均値に基づいて、単位時間当たりの理論供給流量Qk*/secが演算されて記憶される。
また、ステップ506では、ステップ503にて得られたトルクピーク値Tmaxの平均値に基づいて、トルクピーク値Tmaxの平均値とポンプ吐出効率の関係を示すマップ(図示省略したが、種々な実験および解析等に基づいて予め求められている)を参照して、ポンプ吐出効率β*が演算されて記憶される。また、ステップ507では、ステップ505にて得られた単位時間当たりの理論供給流量Qk*/secと、ステップ506にて得られたポンプ吐出効率βと、図6のステップ422にて得られた生成時間tu*(sec)を積算することにより、第1の供給空気量Qit*が演算される。
また、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータが、ステップ508にて駆動トルクT*のトルクピーク値Tmaxが最小であるとき(図2(b)のTmax1のとき)のタイヤ空気室Rbを含む空気圧回路の残留空気量Qst1*を演算して記憶し、ステップ509にて駆動トルクT*のトルクピーク値Tmaxが最大であるとき(図2(b)のTmax13のとき)のタイヤ空気室Rbを含む空気圧回路の残留空気量Qst2*を演算して記憶し、ステップ510にて漏れ空気量Qot*を演算して記憶し、ステップ511にて単位時間当たりの漏れ空気流量Qot*/td*を演算して記憶する。
ところで、図7のステップ508では、最小のトルクピーク値Tmax1から、トルクピーク値Tmaxと仮想のタイヤ空気圧Pt*の関係を示すマップ(図示省略したが、種々な実験および解析等に基づいて予め求められている)を参照して、仮想のタイヤ空気圧Pt*(Tmax1)が求められ、この仮想のタイヤ空気圧Pt*(Tmax1)がタイヤ空気圧であるときのタイヤ空気室Rbを含む空気圧回路の残留空気量Qst1*が、各車輪のタイヤ空気室Rbを含む空気圧系での気体の状態方程式(P・Vm=M・R・T)を用いて、概略的に演算されて記憶される。
上記した気体の状態方程式(P・Vm=M・R・T)において、Pは「上記した空気圧系での絶対圧力」であり、Vmは「上記した空気圧系の容積」であり、Mは「上記した空気圧系の残留空気重量」であり、Rは「空気の気体定数」であり、Tは「上記した空気圧系での絶対温度」であって、PとM以外はそれぞれ予め概略的に求められていて変化しないもの(一定値)として記憶してある。このため、上記した残留空気量Qst1*の演算に際しては、先ず、仮想のタイヤ空気圧Pt*(Tmax1)がタイヤ空気圧であるときのタイヤ空気室Rbを含む空気圧回路の残留空気重量Mt1を、上記した気体の状態方程式を用いて演算し、この残留空気重量Mt1を容積に換算することにより残留空気量Qst1*が概略的に演算されている。
また、図7のステップ509では、最大のトルクピーク値Tmax13から、上記したマップを参照して、仮想のタイヤ空気圧Pt*(Tmax13)が求められ、この仮想のタイヤ空気圧Pt*(Tmax13)がタイヤ空気圧であるときのタイヤ空気室Rbを含む空気圧回路の残留空気量Qst2*が、上記した残留空気量Qst1*の演算と同様に、先ず、仮想のタイヤ空気圧Pt*(Tmax13)がタイヤ空気圧であるときのタイヤ空気室Rbを含む空気圧回路の残留空気重量Mt2を、上記した気体の状態方程式を用いて演算し、この残留空気重量Mt2を容積に換算することにより残留空気量Qst2*が概略的に演算されている。
また、図7のステップ510では、ステップ509にて得られた残留空気量Qst2*からステップ508にて得られた残留空気量Qst1*を減算することにより、エアーポンプAPが駆動されていない状態にて各車輪の仮想のタイヤ空気圧Pt*が上限値Pt*(Tmax13)から下限値Pt*(Tmax1)にまで低下する間に漏れる第1の漏れ空気量Qot*が演算されて記憶される。また、図7のステップ511では、ステップ510にて得られる第1の漏れ空気量Qot*と、図6のステップ410にて得られる非生成時間td*(図2の(b)参照)から単位時間当たりの漏れ空気流量(Qot*/td*)が演算されて記憶される。
また、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータが、ステップ512にてタイヤ空気圧P*が下限設定値P1であるときのタイヤ空気室Rbを含む空気圧回路の残留空気量Qsp1*を演算して記憶し、ステップ513にてタイヤ空気圧P*が上限設定値P2であるときのタイヤ空気室Rbを含む空気圧回路の残留空気量Qsp2*を演算して記憶し、ステップ514にて第2の漏れ空気量Qop*を演算して記憶し、ステップ515にて単位時間当たりの漏れ空気流量Qop*/tpd*を演算して記憶し、ステップ516にて一サイクルの生成中にエアーポンプAPからタイヤ空気室Rbに向けて供給される第2の供給空気量Qip*を演算して記憶し、ステップ517にて図3のメインルーチンに戻る。
ところで、図7のステップ512では、タイヤ空気圧P*が下限設定値P1であるときのタイヤ空気室Rbを含む空気圧回路の残留空気量Qsp1*が、上記した残留空気量Qst1*の演算と同様に、先ず、タイヤ空気圧P*が下限設定値P1であるときのタイヤ空気室Rbを含む空気圧回路の残留空気重量M1を、上記した気体の状態方程式を用いて演算し、この残留空気重量M1を容積に換算することにより残留空気量Qsp1*が概略的に演算されている。
また、図7のステップ513では、タイヤ空気圧P*が上限設定値P2であるときのタイヤ空気室Rbを含む空気圧回路の残留空気量Qsp2*が、上記した残留空気量Qst1*の演算と同様に、先ず、タイヤ空気圧P*が上限設定値P2であるときのタイヤ空気室Rbを含む空気圧回路の残留空気重量M2を、上記した気体の状態方程式を用いて演算し、この残留空気重量M2を容積に換算することにより残留空気量Qsp2*が概略的に演算されている。
また、図7のステップ514では、ステップ513にて得られた残留空気量Qsp2*からステップ512にて得られた残留空気量Qsp1*を減算することにより、エアーポンプAPが駆動されていない状態にて各車輪のタイヤ空気圧P*が上限設定値P2から下限設定値P1にまで低下する間に漏れる漏れ空気量Qop*が演算されて記憶される。また、図7のステップ515では、ステップ514にて得られる漏れ空気量Qop*と、図4のステップ203にて得られる下降時間tpd*(図2の(a)参照)から単位時間当たりの漏れ空気流量(Qop*/tpd*)が演算されて記憶される。
また、図7のステップ516では、図7のステップ515にて得られた単位時間当たりの漏れ空気流量(Qop*/tpd*)と、図4のステップ203にて得られる上昇時間tpu*(図2の(a)参照)とに基づいて、第2の供給空気量Qip*が演算されて記憶される。この第2の供給空気量Qip*の演算は、単位時間当たりの漏れ空気流量(Qop*/tpd*)と上昇時間tpu*の積(上昇時間tpu*中の漏れ空気量)に漏れ空気量Qop*を加算することにより行われる。
また、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータが、図3のステップ600にて各システムの判定処理を実行するときには、図8に示したサブルーチンを実行する。図8のサブルーチンは各車輪(FL,FR,RL,RR)に対応してそれぞれ実行されるものであり、各サブルーチンでは、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータがステップ601にて処理を開始し、ステップ602にて第1の供給空気量Qit*と第2の供給空気量Qip*の差の絶対値が設定値α6(ゼロに近似した値)より小さいか否かを判定し、ステップ603にて下限設定値P1と仮想のタイヤ空気圧Pt*(Tmax1)の差の絶対値が設定値α7(ゼロに近似した値)より小さいか否かを判定する。
なお、仮想のタイヤ空気圧Pt*(Tmax1)は、図6のステップ411にて得られるトルクピーク値Tmax1(空気圧生成時において最初に得られ、空気圧生成中において最小のトルクピーク値)から、トルクピーク値(Tmax)と仮想のタイヤ空気圧(Pt*)の関係を示す図示省略のマップ(これは図7のステップ508の実行時においても使用されているマップである)を参照して求められている。
また、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータが、ステップ604にて下限設定値P1と図6のステップ409にて得られるタイヤ空気圧Pp1(N)の差の絶対値が設定値α8(ゼロに近似した値)より小さいか否かを判定し、ステップ605にて上限設定値P2と図6のステップ421にて得られるタイヤ空気圧Pp2(N)の差の絶対値が設定値α9(ゼロに近似した値)より小さいか否かを判定し、ステップ606にてエアーポンプ、機械式切換弁、圧力センサの正常を表示指示し、ステップ607にて図3のメインルーチンに戻る。
また、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータが、ステップ608にて圧力センサの異常を表示指示し、ステップ609にて図6のステップ409にて得られるタイヤ空気圧Pp1(N)の差の絶対値が設定値α8(ゼロに近似した値)より小さいか否かを判定し、ステップ610にて機械式切換弁の異常を表示指示する。また、ステップ611にて、図6のステップ409にて得られるタイヤ空気圧Pp1(N)と上記した仮想のタイヤ空気圧Pt*(Tmax1)の差の絶対値が設定値α10(ゼロに近似した値)より小さいか否かを判定する。
また、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータが、ステップ612にてタイヤ空気圧の下限設定値P1と図6のステップ409にて得られるタイヤ空気圧Pp1(N)の差の絶対値が設定値α8(ゼロに近似した値)より小さいか否かを判定し、ステップ613にてタイヤ空気圧の上限設定値P2と図6のステップ422にて得られるタイヤ空気圧Pp2(N)の差の絶対値が設定値α9(ゼロに近似した値)より小さいか否かを判定し、ステップ614にてモードセンサSm*がON状態にあるか否か(各エアーポンプAPが駆動状態にあるか否か)を判定する。
また、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータが、ステップ615にてそのときのタイヤ空気圧P*が最新のトルクピーク値Tmax(n)に対応する仮想のタイヤ空気圧Pt*より設定値α11以上に大きいか否かを判定し、ステップ616にてポンプ容積効率の異常を表示指示し、ステップ617にて最新のトルクピーク値Tmax(n)がトルク基準値T1より小さいか否かを判定し、ステップ618にてエアーポンプによる空気圧の生成不能を表示指示する。
また、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータが、ステップ619にて最新のトルクピーク値Tmax(n)に対応する仮想のタイヤ空気圧Pt*がそのときのタイヤ空気圧P*より設定値α12以上に大きいか否かを判定し、ステップ620にてポンプ機械効率の異常を表示指示し、ステップ621にて機械式切換弁の異常を表示指示し、ステップ622にて圧力センサの異常を表示指示する。
このため、図8に示したサブルーチンを実行に際して、4輪全てのトルクセンサが正常であり、各エアーポンプ、各圧力センサおよび各機械式切換弁が正常である場合には、図8の各ステップ602〜605にてそれぞれ「Yes」と判定されてステップ606が実行される。また、図8に示したサブルーチンを実行に際して、4輪全てのトルクセンサが正常であり、各エアーポンプおよび各機械式切換弁が正常であり、各圧力センサが異常である場合には、図8の各ステップ602と603にてそれぞれ「Yes」と判定されステップ604にて「No」と判定されてステップ608が実行される。
また、図8に示したサブルーチンを実行に際して、4輪全てのトルクセンサが正常であり、各エアーポンプおよび各圧力センサが正常であり、各機械式切換弁が異常である場合には、図8の各ステップ602にて「Yes」と判定されステップ603にて「No」と判定されステップ609にて「Yes」と判定されてステップ610が実行される。また、また、図8に示したサブルーチンを実行に際して、4輪全てのトルクセンサが正常であり、各エアーポンプが正常であり、各機械式切換弁および各圧力センサが異常である場合には、図8の各ステップ602にて「Yes」と判定されステップ603と609にてそれぞれ「No」と判定されてステップ607が実行される。
また、図8に示したサブルーチンを実行に際して、4輪全てのトルクセンサが正常であり、各圧力センサおよび各機械式切換弁が正常であり、各エアーポンプが異常である場合には、図8の各ステップ602にて「No」と判定されステップ611〜613にてそれぞれ「Yes」と判定されステップ614以降が各エアーポンプの運転状態に応じて実行される。
上記したステップ614の実行時において、各エアーポンプが駆動状態にあり、エアーポンプの容積効率に異常があるとき(例えば、エアーポンプにて内部エアー漏れ等が生じているとき)には、ステップ614と615にてそれぞれ「Yes」と判定されてステップ616が実行される。この場合にて、エアーポンプの容積効率低下が大きいときには、ステップ617にて「Yes」と判定されてステップ618が実行され、エアーポンプの容積効率低下が小さいときには、ステップ617にて「No」と判定されてステップ607が実行される。
また、上記したステップ614の実行時において、各エアーポンプが駆動状態にあり、エアーポンプの機械効率に異常があるとき(例えば、エアーポンプにてピストンの摺動異常等が生じているとき)には、ステップ614にて「Yes」と判定されステップ615にて「No」と判定される。この場合にて、エアーポンプの機械効率低下が大きいときには、ステップ619にて「Yes」と判定されてステップ620が実行され、エアーポンプの機械効率低下が小さいときには、ステップ619にて「No」と判定されてステップ607が実行される。なお、上記したステップ614の実行時において、各エアーポンプが非駆動状態にある場合には、ステップ614にて「No」と判定されてステップ607が実行される。
また、上記したステップ602にて「No」と判定される原因が機械式切換弁にある場合には、ステップ611にて「Yes」と判定されステップ612にて「No」と判定されてステップ621が実行される。また、上記したステップ602にて「No」と判定される原因が圧力センサにある場合には、ステップ611にて「No」と判定されステップ622が実行される。
上記した各ステップ606,608,610,616,618,620,621,622の実行時には、各構成機器(トルクセンサ、エアーポンプ、圧力センサ、機械式切換弁等)の正常・異常や異常個所がインパネ表示部IDに表示される。したがって、運転者は、インパネ表示部IDに表示される各種の表示内容により各構成機器の正常・異常と異常個所を的確に知ることができる。
上記実施形態においては、各トルクセンサによる検出トルク値に基づいて、トルク変化量ΔT*が設定値α4より大きいときに、判定手段にてエアーポンプAPが駆動されている(駆動状態にある)ことを判定し、トルク変化量ΔT*が設定値α4より小さいときに、判定手段にてエアーポンプAPが駆動されていない(非駆動状態である)ことを判定するように設定したが、各トルクセンサによる検出トルク値に基づいて、車輪一回転中のトルクピーク値Tmaxがトルク基準値T1より大きいときに、判定手段にてエアーポンプAPが駆動されている(駆動状態にある)ことを判定し、前記トルクピーク値Tmaxがトルク基準値T1より小さいときに、判定手段にてエアーポンプAPが駆動されていない(非駆動状態である)ことを判定するように設定して実施することも可能である。
また、上記実施形態においては、各構成機器の正常・異常と異常個所をインパネ表示部IDに表示することにより運転者に知らせるように構成して実施したが、上記した各構成機器の正常・異常と異常個所をスピーカにて報知音で運転者に知らせるように構成して実施することも可能である。
本発明によるタイヤ空気圧生成装置を備えた4輪自動車の一実施形態を概略的に示した全体構成図である。 図1に示した各空気圧生成ユニットを含むシステムでのタイヤ空気圧、駆動トルク、モードセンサの各変化と経過時間を示す線図である。 図1に示した電気制御装置のマイクロコンピュータが実行するメインルーチンを示すフローチャートである。 図3のステップ200にて実行されるサブルーチンを示すフローチャートである。 図3のステップ300にて実行されるサブルーチンを示すフローチャートである。 図3のステップ400にて実行されるサブルーチンを示すフローチャートである。 図3のステップ500にて実行されるサブルーチンを示すフローチャートである。 図3のステップ600にて実行されるサブルーチンを示すフローチャートである。
符号の説明
FL…左前輪、FR…右前輪、RL…左後輪、RR…右後輪、11…車軸ハブ、12…ホイール、13…タイヤ、Rb…タイヤ空気室、FLA,FRA,RLA,RRA…空気圧生成ユニット、AP…エアーポンプ、VA…制御弁装置、Stfl,Stfr,Strl,Strr…トルクセンサ、Spfl,Spfr,Sprl,Sprr…圧力センサ、Smfl,Smfr,Smrl,Smrr…モードセンサ、ECU…電気制御装置、ID…インパネ表示部、SS…舵角センサ

Claims (10)

  1. 車輪に設けられて同車輪の回転によって駆動可能で同車輪のタイヤ空気室に供給される加圧空気を駆動により生成可能なエアーポンプと、前記車輪のタイヤ空気圧を下限設定値から上限設定値間に維持すべく前記エアーポンプの駆動・非駆動を制御する制御弁装置とを備えた空気圧生成ユニットに、前記エアーポンプの駆動トルクを検出するトルクセンサを設けるとともに、このトルクセンサによる検出トルク値に基づき前記エアーポンプの駆動状態・非駆動状態を判定する判定手段を設けて構成したタイヤ空気圧生成装置。
  2. 請求項1に記載のタイヤ空気圧生成装置において、前記制御弁装置は前記タイヤ空気室を含む空気圧回路の空気圧に応じて前記エアーポンプの駆動状態と非駆動状態を切り換える切換弁を備えていて、前記判定手段は前記検出トルク値に基づき前記切換弁の切り換え状態を判定する切換状態判定部を備えていることを特徴とするタイヤ空気圧生成装置。
  3. 請求項2に記載のタイヤ空気圧生成装置において、前記トルクセンサによる検出トルク値には車輪一回転中のトルクピーク値とトルク変動周波数が含まれていて、前記トルクピーク値と前記トルク変動周波数に基づいて前記エアーポンプが前記切換弁により非駆動状態から駆動状態に切り換えられてから駆動状態から非駆動状態に切り換えられるまでの間に前記エアーポンプから前記タイヤ空気室に向けて供給される供給空気量を演算する供給空気量演算手段を設けたことを特徴とするタイヤ空気圧生成装置。
  4. 請求項3に記載のタイヤ空気圧生成装置において、前記エアーポンプが駆動状態であるときの前記トルクピーク値の変動量に基づいて前記エアーポンプが駆動状態である間に前記空気圧回路から大気中に漏れる漏れ空気量を演算する漏れ空気量演算手段を設けたことを特徴とするタイヤ空気圧生成装置。
  5. 請求項2に記載のタイヤ空気圧生成装置において、前記エアーポンプの駆動状態と非駆動状態を検出するモードセンサを前記切換弁に設け、前記モードセンサにて前記エアーポンプの駆動状態が検出されたとき前記検出トルク値に基づき前記エアーポンプの加圧空気生成不能を判定する加圧空気生成不能判定手段を設けたことを特徴とするタイヤ空気圧生成装置。
  6. 請求項1乃至5の何れか一項に記載のタイヤ空気圧生成装置において、前記タイヤ空気室を含む空気圧回路の空気圧を検出する圧力センサを設けるとともに、この圧力センサによる検出圧力値と前記トルクセンサによる検出トルク値に基づき前記エアーポンプ、前記圧力センサ、前記制御弁装置の少なくとも一つの異常を判定するシステム異常判定手段を設けたことを特徴とするタイヤ空気圧生成装置。
  7. 請求項6に記載のタイヤ空気圧生成装置において、前記システム異常判定手段は、トルク判定部と、圧力判定部を備えるとともに、ポンプ機械効率異常判定部を備えていることを特徴とするタイヤ空気圧生成装置。
  8. 請求項6に記載のタイヤ空気圧生成装置において、前記システム異常判定手段は、トルク判定部と、圧力判定部を備えるとともに、ポンプ容積効率異常判定部を備えていることを特徴とするタイヤ空気圧生成装置。
  9. 請求項6に記載のタイヤ空気圧生成装置において、前記システム異常判定手段は、トルク判定部と、圧力センサ異常判定部を備えていることを特徴とするタイヤ空気圧生成装置。
  10. 請求項6に記載のタイヤ空気圧生成装置において、前記システム異常判定手段は、トルク判定部と、圧力判定部を備えるとともに、制御弁装置異常判定部を備えていることを特徴とするタイヤ空気圧生成装置。
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