JP4834065B2 - ゴルフクラブヘッド - Google Patents

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Description

本発明は、ゴルフクラブヘッドに関する。
ゴルフクラブヘッドに、ウェイト部材、バッチ等の被着体が装着されることがある。この装着には、通常、接着剤又は両面粘着テープが使用されている。
打球時には、ヘッドとゴルフボールとが衝突する。この衝突により、ヘッドには振動が生ずる。この振動は、ゴルファーにとって不快となりうる。特に、ミスショットしたときの振動は、不快である。上記被着体は、打球時に発生する振動を吸収しうる。
特許公報第2792642号には、フェイスのバック面に薄板が両面粘着テープによって貼り付けられたゴルフクラブヘッドが開示されている。この両面粘着テープは、テープ基材と、その両面に設けられた粘着層とを有する。
特許第2792642号公報
上記接着剤又は上記両面粘着テープの厚みを大きくすることにより、上記振動吸収効果
が向上しうる。しかし、この厚みが大きい場合、被着体の可動量が大きい。被着体の動きが大きい場合、被着体が剥がれる確率が高くなる。
本発明の目的は、被着体が剥がれにくく且つ振動吸収効果が高いゴルフクラブヘッドの提供にある。
本発明のゴルフクラブヘッドは、ヘッド本体と、上記ヘッド本体に接着されている被着体とを備えている。上記ヘッド本体は、フェース面と、このフェース面の後方に位置するバック面とを有している。上記被着体は上記バック面に接着されている。上記被着体は、金属部材と弾性部材とを有している。上記弾性部材は、上記金属部材の側面に直接的又は間接的に当接する周囲部を有している。
好ましくは、上記弾性部材は、上記金属部材と上記ヘッド本体のバック面との間に位置する介在部を有している。
好ましくは、上記弾性部材が、その後面に凹部(E)を有している。好ましくは、上記金属部材が、上記凹部(E)の内側に配置されている。好ましくは、この凹部(E)の周壁が、上記周囲部である。好ましくは、この凹部(E)の底部が、上記介在部である。
好ましくは、上記金属部材は、その前面に凹部(M)を有している。好ましくは、上記弾性部材の上記介在部は、上記凹部(M)の内側に延在している。
好ましくは、上記弾性部材の上記周囲部が、上記金属部材の側面よりも後方に延在している。
好ましくは、上記被着体は、両面粘着テープによって上記ヘッド本体に接着されている。好ましくは、この両面粘着テープの厚みが0.4mm以下である。
好ましくは、上記被着体は、両面粘着テープによって上記ヘッド本体に接着されている。好ましくは、上記両面粘着テープは、第一粘着層と、第二粘着層と、上記第一粘着層及び上記第二粘着層の間に設けられた中間層とを有している。好ましくは、この中間層は繊維層を含む
本発明では、被着体が金属部材と弾性部材を有し、この弾性部材が金属部材の側面に配置される。この構成により、振動吸収効果が向上する。この構成により、被着体が剥がれにくい。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1は、本発明の第一実施形態に係るゴルフクラブヘッド2をバック面側から見た図である。図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。図3は、図1のIII−III線に沿った断面図である。ヘッド2は、アイアン型のゴルフクラブヘッドである。ヘッド2は、ヘッド本体h1と、被着体s1と、両面粘着テープw1とを有する。被着体s1は、全体として略平板状である。典型的な被着体s1は、バッジである。被着体s1には、製品名等を示すロゴマークや文字が表示されてもよい。図1には、被着体s1の輪郭線s11が示されている。
なお、図3では、ヘッド2の後方(バック側)が図面の上側とされ、ヘッド2の前方(フェース側)が図面の下側とされている。
両面粘着テープw1は、被着体s1とヘッド本体h1との間に介在する。両面粘着テープw1により、被着体s1が、ヘッド本体h1に接着されている。両面粘着テープw1の輪郭形状と被着体s1の輪郭形状s11とは、実質的に等しい。
両面粘着テープw1の形状は限定されない。両面粘着テープw1の幅及び長さは限定されない。両面粘着テープw1は、その両面が粘着性を有するシートである。
図2及び図3では、両面粘着テープw1が単一の層として示されている。しかし、実際には、後述されるように、両面粘着テープw1は複数の層からなる。
なお、被着体s1をヘッド本体h1に固定する方法は限定されない。両面粘着テープw1は使用されなくてもよい。両面粘着テープw1の代わりに、接着剤が用いられても良い。
ヘッド本体h1は、フェース面4を備えたフェース部13と、トップ面6と、ソール面8と、バック面10と、ホーゼル部12とを有する。フェース部13は、フェース面4を外面とする部分である。フェース部13は、中実である。バック面10には、主凹部14が設けられている。主凹部14は、フェース面4の裏側に設けられている。主凹部14を有するヘッド2は、一般に、キャビティバックアイアンと称される。主凹部14は、いわゆるキャビティバックを形成している。主凹部14により、フェース部が薄くされている。主凹部14により、薄肉部(第一薄肉部)18が形成されている。薄肉部18は、フェース部13の一部である。薄肉部18は、中実である。被着体s1は、ヘッド2のバック面10に貼られている。被着体s1は、薄肉部18のバック面に貼られている。換言すれば、被着体s1は、主凹部14の底面20に貼られている。薄肉部18の前面は、フェース面4である。薄肉部18のバック面は、主凹部14の底面20である。
図1及び図2が示すように、ヘッド2のスイートスポットSS1は、薄肉部18に位置している。このスイートスポットSS1は、ヘッド2の重心(図示されず)を通りフェース面4に対して垂直な線L1(図2参照)と、フェース面4との交点である。
耐久性の観点から、被着体s1の前側におけるヘッド本体h1の厚みx1(図2参照)は、1.5mm以上が好ましく、1.8mm以上がより好ましく、2.0mm以上がより好ましい。厚みx1が小さい場合、打球時におけるフェース部の振動が大きい。厚みx1が小さい場合、被着体s1に大きな衝撃力が作用する。よってこの場合、本発明の効果が顕在化しうる。この観点から、厚みx1は、3.0mm以下が好ましく、2.7mm以下がより好ましく、2.4mm以下がより好ましい。
なお、図示は省略されているが、フェース面4には、インパクトエリアマーキングが設けられる。典型的なインパクトエリアマーキングは、フェースライン(フェース溝)である。
主凹部14の内部に、更に、凹部16が設けられている。凹部(第二凹部)16は、主凹部(第一凹部)14の底面20に設けられている。第二凹部16は、主凹部14と比較して、浅い。第二凹部16の深さは、両面粘着テープw1の厚みよりも大きい。第二凹部16は、両面粘着テープw1の全部を収容している。第二凹部16の輪郭形状と被着体s1の輪郭形状s11とは、実質的に等しい。
第二凹部16により、フェース部13が更に薄くされている。第二凹部16により、第二薄肉部22が形成されている。第二薄肉部22は、第一薄肉部18の一部である。第二薄肉部22は、中実である。被着体s1は、第二薄肉部22のバック面に貼られている。ヘッド2のスイートスポットSS1は、第二薄肉部22に位置している。第二薄肉部22の前面は、フェース面4である。第二薄肉部22のバック面は、第二凹部16の底面24である。底面24は、底面20の一部である。
なお、第二凹部16は設けられなくてもよい。例えば、主凹部14の底面20の全体が平面であってもよい。本発明において、ヘッド本体h1の接着面の形状は限定されない。
被着体s1は、接着面26と、金属部材27と、弾性部材29とを有する。接着面26は、弾性部材29の前面である。接着面26は、平面である。
金属部材27は、弾性部材29に接合されている。この接合方法は限定されない。この接合は、例えば、接着剤、嵌合、両面粘着テープ等により達成される。この嵌合として、弾性部材29の塑性変形を利用した嵌合が例示される。振動吸収効果の観点から、接着剤による接合が好ましい。
金型に金属部材27がセットされ、この金型により、弾性部材29が成形されると同時に弾性部材29と金属部材27とが接合されてもよい。この場合、弾性部材29の成形方法は限定されず、射出成形、注型成形及び加硫成形が例示される。この場合、上記接着剤や上記両面粘着テープが不要とされうる。
金属部材27と弾性部材29との接着に、上記両面粘着テープw1と同じ両面粘着テープが用いられてもよい。この両面粘着テープの詳細については、後述される。
金属部材27の材質は、金属である。この金属は限定されない。この金属として、アルミニウム合金、ステンレス合金、ニッケル合金、チタン合金及びマグネシウム合金が例示される。振動吸収効果及び加工しやすさの観点から、アルミニウム合金及びステンレス合金が好ましい。
弾性部材29は、非金属である。弾性部材29の材質として、樹脂又は加硫ゴムが主材であるポリマーが例示される。この樹脂として、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、フェノール系樹脂及びシリコン系樹脂が例示される。振動吸収性及び強度の観点から、ポリウレタン系樹脂又はエポキシ系樹脂が好ましい。また、この樹脂は、熱可塑性樹脂であってもよいし、熱硬化性樹脂であってもよい。この熱可塑性樹脂には、ハードセグメントとソフトセグメントとを有する熱可塑性エラストマーが含まれる。この熱硬化性樹脂には、ハードセグメントとソフトセグメントとを有する熱硬化性エラストマーが含まれる。加硫ゴムとは、基材ゴムが架橋剤により架橋されたゴムでである。この基材ゴムは限定されず、SBR(スチレンブタジエンゴム)、BR(ブタジエンゴム)、NR(天然ゴム)及びシリコンゴムからなる群から選ばれる1種以上が好ましい。「主材」とは、基材ポリマーに対する含有率が50質量%以上であることを意味し、この含有率は70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、100質量%が特に好ましい。弾性部材29が、金属粉末を含んでいてもよい。
弾性部材29の硬度は限定されない。強度の観点から、弾性部材29のショアD硬度H1は、40以上が好ましく、45以上がより好ましく、50以上がより好ましい。振動吸収効果の観点から、硬度H1は、80以下が好ましく、75以下がより好ましく、70以下がより好ましい。
硬度H1は、「ASTM−D 2240−68」の規定に準拠して、自動ゴム硬度測定装置(高分子計器社の商品名「P1」)に取り付けられたショアD型のスプリング式硬度計によって測定される。測定には、熱プレスで成形された、厚みが約2mmであるスラブが用いられる。23℃の温度下に2週間保管されたスラブが、測定に用いられる。測定時には、3枚のスラブが重ね合わされる。弾性部材29の組成物と同一の組成物からなるスラブが、測定に用いられる。
第一実施形態のヘッド2では、弾性部材29が、凹部r1を有する。この凹部r1は、弾性部材29の後面に設けられている。他の凹部との区別を明確にする観点から、本願において、この凹部r1が、凹部(E)とも称される。凹部(E)r1は、ヘッド2の後方に開放されている。
図2及び図3が示すように、凹部(E)r1の内側に金属部材27が配置されている。凹部(E)r1に、金属部材27が嵌め込まれている。
弾性部材29は、周囲部29aと介在部29bとを有する。周囲部29aは、金属部材27の側面31に当接している。この当接は、直接的であってもよいし、間接的であってもよい。間接的な当接とは、側面31と周囲部29aとの間に他の部材(接着剤等)が介在することを意味する。
図1が示すように、周囲部29aは、金属部材27の周囲に位置する。周囲部29aは、金属部材27の周囲の全体に設けられている。周囲部29aが金属部材27の周囲の全体に設けられているので、弾性部材29による振動吸収効果は高い。
なお、周囲部29aと介在部29bとが、それぞれ別々に成形されてもよい。この場合、周囲部29aと介在部29bとは、接着剤などにより接着されるのがよい。被着体s1の強度及び生産性の観点から、周囲部29aと介在部29bとを含む弾性部材29が一体成形されるのが好ましい。
凹部(E)r1の深さd1(図2参照)は、金属部材27の厚みよりも小さい。周囲部29aの厚みt1(図2参照)は、金属部材27の厚みよりも小さい。
介在部29bは、ヘッド本体h1と金属部材27との間に位置する。介在部29bは、ヘッド本体h1のバック面10と金属部材27との間に位置する。介在部29bは、主凹部14の底面20と金属部材27との間に位置する。介在部29bは、第二凹部16の底面24と金属部材27との間に位置する。
ヘッド本体h1のバック面10と介在部29bとの間には、両面粘着テープw1が配置されている。この両面粘着テープw1により、介在部29bの前面とバック面10とが接着されている。
介在部29bは、平板状である。介在部29bの輪郭形状は、被着体s1の輪郭線s11に等しい。介在部29bは、金属部材27の前面27aの全体を覆っている。介在部29bは、前面27aの全体に直接的又は間接的に当接している。この構成により、弾性部材29による振動吸収効果は高い。
本実施形態では、凹部(E)r1の底部が介在部29bである。本実施形態では、凹部(E)r1の周壁が、周囲部29aである。
弾性部材29は、周囲部29a及び介在部29bのみから構成されている。弾性部材29は、その全体が一体成形されている。周囲部29aと介在部29bとは一体である。
両面粘着テープw1の輪郭形状は、弾性部材29の前面29cの輪郭形状と実質的に等しい。両面粘着テープw1は、前面29cの全体に直接的に当接している。弾性部材29の前面29cは、接着面26である。
図1及び図2が示すように、本実施形態では、被着体s1の存在領域が、スイートスポットSS1のバック面点SS2を含む。換言すれば、ヘッド2の重心とスイートスポットSS1とを通る直線L1が、被着体s1に交わる。スイートスポットSS1は、ヘッド2の重心からフェース面4に下ろした垂線とフェース4との交点である。バック面点SS2は、上記直線L1とヘッド本体h1のバック面10との交点である。図2において直線L1が一点鎖線で示されている。直線L1と被着体s1との交点は、接着面26に存在している。直線L1は、弾性部材29を通る。直線L1は、介在部29bを通る。直線L1は、金属部材27を通る。この構成により、スイートスポットSS1又はその近傍にて打撃したときの振動が効果的に吸収されうる。
ゴルファーは、スイートスポットSS1にボールを当てようとする傾向がある。打点(ボールの当たる位置)が、スイートスポットSS1又はその近傍である確立は、高い。本実施形態では、打点がスイートスポットSS1又はその近傍であるときの振動吸収効果が高い。
図4は、両面粘着テープw1近傍の拡大断面図である。この両面粘着テープw1は、4層構造の両面粘着テープw10である。この4層は、ヘッド本体h1側から順に、第一層30、第二層32、第三層34及び第四層36である。第一層30は、両面粘着テープw10の最内層である。第一層30は、粘着層である。第一層30は、第一粘着層である。第二層32及び第三層34は、中間層である。第四層36は、粘着層である。第四層36は、両面粘着テープw10の最外層である。第四層36は、第二粘着層である。なお図4では、各層の境界は平面状に示されているが、この境界には、凹凸が存在していてもよい。特に、後述される不織布層と他の層との境界は、通常、凹凸状である。また、各層の境界は、曲面であってもよい。
第一粘着層30は、ヘッド本体h1のバック面10に接している。第二粘着層36は、被着体s1の接着面26に接している。換言すれば、第二粘着層36は、弾性部材29の前面29cに接している。
第一層30及び第四層36は、粘着剤の層である。この粘着剤は限定されない。粘着剤として、アクリル系粘着剤、エポキシ系粘着剤、ウレタン系粘着剤等が例示される。
第二層32は、樹脂層である。第二層32は、気泡を有さない樹脂層である。第二層32は、未発砲の樹脂フィルムである。第二層32は、樹脂フォーム層ではない。第二層32を形成する樹脂の種類は限定されない。この樹脂層の基材樹脂として、アクリル系樹脂及びポリエステル系樹脂が例示され、好ましくは、アクリル系樹脂である。
気泡の存在により、樹脂層は、変形しやすい。耐久性及び接着強度の観点から、気泡を有さない樹脂層が好ましい。
第三層34は、繊維層である。第三層34は、不織布層である。図示されないが、不織布には、隙間が存在する。この隙間には、隣接する粘着層36の一部が入り込んでいる。不織布層34には、隙間が存在する。図示されないが、この隙間には、隣接する樹脂層32の一部が入り込んでいる。図示されないが、不織布層34の隙間には、隣接する粘着層36の一部が入り込んでいる。
なお、上記実施形態とは異なり、第二層32が繊維層とされ且つ第三層34が樹脂層とされてもよい。
不織布層34は、両面粘着テープw10の支持体として機能する。不織布層34により、両面粘着テープw10を貼り付ける際に、皺が発生しにくい。不織布層34は、接着面26とテープw1との間の気泡を抑制しうる。
繊維層の一例は、上述の通り、不織布層である。ただし、繊維層は、不織布層に限定されない。繊維層は、繊維を含む層である。繊維層は、繊維が引っ張り強度の向上に寄与している。繊維層は、皺の発生を抑制しうる。繊維層は、気泡の発生を抑制しうる。繊維層により、厚みA1が小さい場合であっても、貼り付け時における皺や気泡が抑制される。よって、繊維層により、被着体s1は剥がれにくい。
被着体s1をヘッド本体h1に貼り付ける工程は、例えば、被着体s1に両面粘着テープw1を貼り付ける第一工程と、両面粘着テープw1が貼り付けられた被着体s1をヘッド本体h1に貼り付ける第二工程とを含む。この第一工程又は第二工程においてテープw1に皺が発生することがある。この皺は、接着強度を低下させる。繊維層を有する両面粘着テープw1により、上記皺の発生が抑制される。
好ましい繊維層として、例えば、次の(a)、(b)、(c)及び(d)が例示される。
(a)織られている繊維を含む層
(b)繊維が織られておらず、繊維同士か絡み合っている層
(c)繊維が織られておらず、繊維同士が融着している層
(d)繊維が織られておらず、繊維同士が接着剤により接着されている層
繊維層に含まれる繊維は限定されない。この繊維として、合成繊維、天然繊維及び再生繊維が例示される。合成繊維として、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ナイロン繊維等が挙げられる。天然繊維として、パルプの繊維、麻の繊維等が例示される。再生繊維として、レーヨンが例示される。気泡の抑制の観点からは、合成繊維が好ましい。
この繊維層として、織布、不織布及び紙が例示される。なお本願において、「紙」とは、和紙又は洋紙を意味する。本願において「不織布」は、上記紙を含まない概念と定義される。
上記和紙の原料として、楮(コウゾ)、雁皮(ガンピ)及び三椏(ミツマタ)が例示される。強度の観点から、この和紙における繊維長は、3mm以上が好ましく、5mm以上がより好ましく、10mm以上がより好ましく、15mm以上がより好ましい。和紙における繊維長は、通常、25mm以下である。和紙は、手漉きであってもよいし、機械漉きであってもよい。
上記洋紙の原料は、広葉樹又は針葉樹である。洋紙における繊維長は、通常、0.8mm以上であり、5mm未満である。洋紙は、機械漉きにより得られる。
不織布として、湿式不織布及び乾式不織布が例示される。
不織布の製造方法は限定されない。この不織布の製造方法として、サーマルボンド法、ケミカルボンド法、ニードルパンチ法、スパンレース法(水流絡合法)、ステッチボンド法及びスチームジェット法が例示される。繊維としてポリエステル繊維又はナイロン繊維が用いられる場合、生産性及び強度の観点から、サーマルボンド法により製造された不織布が好ましい。
皺又は気泡の発生を抑制する観点から、繊維層は、不織布又は和紙が好ましい。振動吸収性の観点からは、不織布がより好ましい。
図5は、変形例における両面粘着テープw1を示す拡大断面図である。図示しないが、ヘッド本体h1及び被着体s1に関しては、上記ヘッド2と同じである。この変形例において、両面粘着テープw1は、5層構造の両面粘着テープw11である。
この5層は、ヘッド本体h1側から順に、第一層50、第二層52、第三層54、第四層56及び第五層58である。第一層50は、両面粘着テープw11の最内層である。第一層50は、粘着層である。第一層50は、第一粘着層である。第二層52、第三層54及び第四層56は、中間層である。第五層58は、粘着層である。第五層58は、両面粘着テープw11の最外層である。第五層58は、第二粘着層である。なお図5では、各層の境界は平面状に示されているが、この境界には、凹凸が存在していてもよい。
第一粘着層50は、ヘッド本体h1に接着している。第二粘着層58は、被着体s1に接着している。換言すれば、第二粘着層58は、弾性部材29の前面29cに接している。両面粘着テープw11により、被着体s1がヘッド本体h1に接着されている。
第一層50及び第五層58は、粘着剤の層である。この粘着剤は限定されない。粘着剤として、アクリル系粘着剤、エポキシ系粘着剤、ウレタン系粘着剤等が例示される。
第二層52及び第四層56は、樹脂層である。第二層52及び第四層56は、未発砲の樹脂フィルムである。
第三層54は、繊維層である。好ましくは、この繊維層は、不織布又和紙である。
図6は、他の変形例における両面粘着テープw1を示す拡大断面図である。図示しないが、ヘッド本体h1及び被着体s1に関しては、上記ヘッド2と同じである。この変形例において、両面粘着テープw1は、三層構造の両面粘着テープw12である。
この三層は、ヘッド本体h1側から順に、第一層70、第二層72及び第三層74である。第一層70は、両面粘着テープw12の最内層である。第一層70は、粘着層である。第一層70は、第一粘着層である。第二層72は、中間層である。第三層74は、粘着層である。第三層74は、両面粘着テープw12の最外層である。第三層74は、第二粘着層である。
第一粘着層70は、ヘッド本体h1に接着している。第二粘着層74は、被着体s1に接着している。換言すれば、第二粘着層74は、弾性部材29の前面29cに接している。両面粘着テープw12により、被着体s1がヘッド本体h1に接着されている。
第二層72は、樹脂層である。第二層72は、未発砲の樹脂フィルムである。
このように、本発明では、繊維層を有さない両面粘着テープw1も使用可能である。しかし、上述の如く、好ましくは、繊維層を有する両面粘着テープw1がよい。
図7は、他の変形例における両面粘着テープw1を示す拡大断面図である。図示しないが、ヘッド本体h1及び被着体s1に関しては、上記ヘッド2と同じである。この変形例において、両面粘着テープw1は、三層構造の両面粘着テープw13である。
この三層は、ヘッド本体h1側から順に、第一層90、第二層92及び第三層94である。第一層90は、両面粘着テープw13の最内層である。第一層90は、粘着層である。第一層90は、第一粘着層である。第二層92は、中間層である。第三層94は、粘着層である。
第一粘着層90は、ヘッド本体h1に接着している。第二粘着層94は、被着体s1に接着している。両面粘着テープw11により、被着体s1がヘッド本体h1に接着されている。
第一層90及び第三層94は、粘着剤の層である。第二層92は、繊維層である。好ましい繊維層は、不織布又は和紙である。本発明では、このような三層構造の両面粘着テープw1も好適に用いられうる。
図4等において両矢印A1で示されるのは、両面粘着テープw1の厚みである。本発明では、厚みA1が従来よりも小さくされるのが好ましい。本発明では、弾性部材による振動吸収効果が高いため、両面粘着テープw1が薄くても振動吸収効果が得られる。また、厚みA1が小さくされる場合、被着体s1の可動量が抑制され、被着体s1が剥がれにくい。これらの観点から、厚みA1は、0.4mm以下が好ましく、0.3mm以下がより好ましい。過度に薄い両面粘着テープw1の場合、両面粘着テープw1の剛性が不足し、貼り付け時に皺や気泡が発生しやすい。皺及び気泡の発生を抑制する観点から、厚みA1は、0.1mm以上が好ましく、0.2mm以上がより好ましい。
両面粘着テープw1が薄くされた場合であっても、中間層に繊維層が設けられることにより、皺の発生が効果的に抑制される。この抑制効果により、被着体s1は剥がれにくい。
両面粘着テープw1は、振動吸収効果を発揮しうる。被着体s1は、フェース面4のバック面10に配置される。両面粘着テープw1は、フェース面4のバック面と被着体s1との間に配置される。フェース面4には、ボールが直接衝突する。ボールの打撃によって、フェース面4には、大きな衝撃力が作用する。よって、両面粘着テープw1がフェース面4のバック面10に配置された場合に、振動吸収効果が顕著に発揮される。弾性部材29による振動吸収効果と、両面粘着テープw1にyる振動吸収効果とが相乗的に作用しうる。
粘着層の材質は限定されない。被着体s1がヘッドの外面に取り付けられる場合、両面粘着テープw1が被着体s1の外縁からはみ出すことがある。はみ出した両面粘着テープw1は、外部に露出する。はみだした両面粘着テープw1は、視認されうる。はみ出した両面粘着テープw1は、目立たないのが好ましい。露出される場合を考慮すると、粘着層は、透明性と耐候性とを備えるのが好ましい。この観点から、粘着層の材質は、アクリル系粘着剤であるのが好ましい。
気泡を有さない樹脂層の材質は限定されない。前述の如く、両面粘着テープw1は外部に露出されうる。露出される場合を考慮すると、気泡を有さない樹脂層は、透明性と耐候性とを備えるのが好ましい。この観点から、気泡を有さない樹脂層の基材樹脂は、アクリル系樹脂であるのが好ましい。
繊維層が不織布層である場合、この不織布層を構成する不織布の材質は限定されない。この不織布の材質として、天然繊維、合成繊維及び再生繊維が例示される。合成繊維として、ビニロン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン及びナイロンが例示される。天然繊維として、麻が例示される。再生繊維として、レーヨンが例示される。耐候性及び強度の観点から、合成繊維が好ましく、ポリエステル及びナイロンがより好ましい。
本実施形態に用いられうる両面粘着テープの具体例として、商品名「Y−4625」、商品名「VHX−802」、商品名「Y−9448HK」、商品名「4393」、商品名「Y−9448HK」、商品名「Y−9448HKB」及び商品名「Y−9448SK」が挙げられる。これらは全て、住友スリーエム社製である。
振動吸収効果の発揮において、弾性部材29と両面粘着テープw1とは相乗的に作用しうる。ヘッド本体h1と金属部材27との間に、弾性部材29及び両面粘着テープw1が配置されることにより、振動吸収効果が向上する。
図2の実施形態では、フェース面4と両面粘着テープw1との間のヘッド本体h1は、中実である。中実である場合、フェース面4の衝撃が両面粘着テープw1に伝達されやすい。よってこの場合、両面粘着テープw1に起因する振動吸収効果が顕著に発揮される。この観点から、フェース面4と両面粘着テープw1との間のヘッド本体h1は中実であるのが好ましい。
図2の実施形態では、フェース面4と弾性部材29との間のヘッド本体h1は、中実である。中実である場合、フェース面4の衝撃が弾性部材29に伝達されやすい。よってこの場合、弾性部材29及び金属部材27に起因する振動吸収効果が顕著に発揮される。この観点から、フェース面4と被着体s1との間のヘッド本体h1は中実であるのが好ましい。
図8は、本発明の第二実施形態に係るゴルフクラブヘッド100をバック面側から見た図である。図9は、図8のF9−F9線に沿った断面図である。図10は、図8のF10−F10線に沿った断面図である。ヘッド100は、アイアン型のゴルフクラブヘッドである。ヘッド100は、ヘッド本体h1と、被着体s1と、両面粘着テープw1とを有する。被着体s1は、全体として略平板状である。図8には、被着体s1の輪郭線s11が示されている。
なお、図10では、ヘッド100の後方(バック側)が図面の上側とされ、ヘッド100の前方(フェース側)が図面の下側とされている。
ヘッド100のヘッド本体h1は、ヘッド2のヘッド本体h1と同じである。ヘッド100の両面粘着テープw1は、ヘッド2の両面粘着テープw1と同じである。ヘッド100における被着体s1の輪郭線s11は、ヘッド2の輪郭線s11と同一である。
両面粘着テープw1は、被着体s1とヘッド本体h1との間に介在する。両面粘着テープw1により、被着体s1が、ヘッド本体h1に接着されている。両面粘着テープw1の輪郭形状と被着体s1の輪郭形状s11とは、実質的に等しい。
被着体s1は、接着面102と、金属部材104と、弾性部材106とを有する。接着面102は、弾性部材106の前面である。接着面102は、平面である。
金属部材104は、弾性部材106に接合されている。この接合方法は限定されない。この接合は、例えば、接着剤、嵌合、両面粘着テープ等により達成される。この嵌合として、弾性部材106の塑性変形を利用した嵌合が例示される。振動吸収効果の観点から、接着剤による接合が好ましい。
金型に金属部材104がセットされ、この金型により、弾性部材106が成形されると同時に弾性部材106と金属部材104とが接合されてもよい。この場合、弾性部材106の成形方法は限定されず、射出成形、注型成形及び加硫成形が例示される。この場合、上記接着剤や上記両面粘着テープが不要とされうる。
第二実施形態のヘッド100では、金属部材104が、凹部r2を有する。この凹部r2は、金属部材104の前面に設けられている。他の凹部との区別を明確にする観点から、本願において、この凹部r2が、凹部(M)とも称される。凹部(M)r2は、ヘッド100の前方に開放されている。
図9及び図10が示すように、弾性部材106の介在部106bは、ヘッド100の後方に向かって突出している。介在部106bは、凹部(M)r2の内側に延在している。換言すれば、介在部106bは、凹部(M)r2の内側に延在する内側延在部106cを有する。
内側延在部106cは、弾性部材106の他の部分とは別に成形されてもよい。この場合、内側延在部106cは、弾性部材106の他の部分と接着剤などにより接着されるのがよい。被着体s1の生産性及び強度の観点から、内側延在部106cを含む介在部106bの全体が一体成形されるのがよく、より好ましくは、内側延在部106cを含む介在部106bと周囲部106aとを有する弾性部材106の全体が一体成形されるのがよい。
金属部材104は、周縁壁部104aと主部104bとを有する。周縁壁部104aは、環状である。主部104bは、平板状である。金属部材104は、周縁壁部104a及び主部104bのみからなる。主部104b及び周縁壁部104aにより、凹部(M)r2が形成されている。主部104bは、凹部(M)r2の底部を構成している。
弾性部材106は、周囲部106aと介在部106bとを有する。周囲部106aは、金属部材104の側面108に当接している。この当接は、直接的であってもよいし、間接的であってもよい。
介在部106bの厚みは、凹部(M)r2の深さよりも大きい。凹部(M)r2は、介在部106bにより充填されている。介在部106bが、凹部(M)r2に嵌っている。
図9が示すように、周囲部106aは、金属部材104の周囲に位置する。周囲部106aは、金属部材104の周囲の全体に設けられている。周囲部106aが金属部材104の周囲の全体に設けられているので、弾性部材106による振動吸収効果は高い。
周縁壁部104aの内面110は、介在部106bに直接的に当接している。内側延在部106cは、凹部(M)r2に嵌め込まれている。内側延在部106cの側面が、内面110に直接的に当接している。この当接は、直接的であってもよいし、間接的であってもよい。内面110の全面が、内側延在部106cに当接している。この当接により、被着体s1の振動吸収効果は高い。
介在部106bの後面112は、主部104bの前面114に当接している。前面114の全体が、介在部106bに直接的に当接している。この当接は、間接的であってもよい。この当接により、被着体s1の振動吸収効果は高い。
周囲部106aと内側延在部106cとにより、弾性部材106には、溝mz1が形成されている(図10の拡大部参照)。この溝mz1は、無端である。この溝mz1は、環状である。この溝mz1は、被着体s1の輪郭線s11に略沿って、輪郭線s11の内側に配置されている。この溝mz1の内部に周縁壁部104aが配置されている。周縁壁部104aは、溝mz1に嵌っている。周縁壁部104aは、弾性部材106により挟まれている。この構成により、被着体s1の振動吸収効果は高い。
図11は、本発明の第三実施形態に係るゴルフクラブヘッド120をの断面図である。この断面図の断面位置は、第一実施形態における図3と同じである。ヘッド120は、アイアン型のゴルフクラブヘッドである。ヘッド120は、ヘッド本体h1と、被着体s1と、両面粘着テープw1とを有する。被着体s1は、全体として略平板状である。
図11では、ヘッド120の後方(バック側)が図面の上側とされ、ヘッド120の前方(フェース側)が図面の下側とされている。
ヘッド120のヘッド本体h1は、ヘッド2のヘッド本体h1と同じである。ヘッド120の両面粘着テープw1は、ヘッド2の両面粘着テープw1と同じである。ヘッド120における被着体s1の輪郭線s11は、ヘッド2の輪郭線s11と同一である。
両面粘着テープw1は、被着体s1とヘッド本体h1との間に介在する。両面粘着テープw1により、被着体s1が、ヘッド本体h1に接着されている。両面粘着テープw1の輪郭形状と被着体s1の輪郭形状s11とは、実質的に等しい。
被着体s1は、金属部材27と弾性部材122とを有する。
ヘッド120の金属部材27は、ヘッド2の金属部材27と同一である。弾性部材122を除き、ヘッド120はヘッド2と同一である。
ヘッド120の弾性部材122は、ヘッド2の弾性部材29と異なる。この相違点は、周囲部の厚みt1のみである。即ち、弾性部材122における周囲部122aの厚みt1は、ヘッド2における周囲部29aの厚みt1よりも大きい。弾性部材122の介在部122bは、弾性部材29の介在部29bと同じである。
周囲部122aの厚みt1は、金属部材27の厚みよりも大きい。ヘッド120では、弾性部材122の周囲部122aが、金属部材27の側面31よりも後方に延在している。即ち、周囲部122aが、金属部材27の側面31よりも後方に延在している後方延在部122dを有する。この後方延在部122dは、金属部材27の周囲の全体に存在している。この後方延在部122dは、振動しやすい。この後方延在部122dにより、振動吸収効果がより一層向上しうる。
図11において両矢印t2で示されているのは、後方延在部122dの厚みである。振動吸収効果の観点から、厚みt2は、0.5mm以上が好ましく、1.0mm以上がより好ましい。厚みt2が過大である場合、後方延在部122dがなにかに衝突する恐れがある。例えば、ゴルフバック中等において後方延在部122dが他のクラブのヘッドに衝突する恐れがある。また厚みt2が過大である場合、被着体s1の重量が増加する。この重量増加は、ヘッド本体h1の設計自由度を低下させる。これらの観点から、厚みt2は、5mm以下が好ましく、3mm以下がより好ましく、2mm以下がより好ましい。
図12は、本発明の第四実施形態に係るゴルフクラブヘッド130をの断面図である。この断面図の断面位置は、第一実施形態における図3と同じである。ヘッド130は、アイアン型のゴルフクラブヘッドである。ヘッド130は、ヘッド本体h1と、被着体s1と、両面粘着テープw1とを有する。被着体s1は、全体として略平板状である。
図12では、ヘッド130の後方(バック側)が図面の上側とされ、ヘッド130の前方(フェース側)が図面の下側とされている。
ヘッド130のヘッド本体h1は、ヘッド2のヘッド本体h1と同じである。ヘッド130の両面粘着テープw1は、ヘッド2の両面粘着テープw1と同じである。ヘッド130における被着体s1の輪郭線s11は、ヘッド2の輪郭線s11と同一である。
両面粘着テープw1は、被着体s1とヘッド本体h1との間に介在する。両面粘着テープw1により、被着体s1が、ヘッド本体h1に接着されている。両面粘着テープw1の輪郭形状と被着体s1の輪郭形状s11とは、実質的に等しい。
被着体s1は、金属部材27と弾性部材132とを有する。
ヘッド130の金属部材27は、ヘッド2の金属部材27と同一である。弾性部材132を除き、ヘッド130はヘッド2と同一である。
ヘッド130の弾性部材132は、ヘッド2の弾性部材29と異なる。この相違点は、介在部の不存在にある。即ち、弾性部材132は、介在部を有さない。弾性部材132は、金属部材27の側面31に直接的又は間接的に当接する周囲部132aのみを有している。即ち弾性部材132は、周囲部132aのみからなる。弾性部材132は、環状の部材である。金属部材27の前面27aは、直接、両面粘着テープw1に接している。
このヘッド130では、被着体s1は、フェース面4と平行な方向における振動を効果的に吸収しうる。フェース面4と垂直な方向における振動は、主として両面粘着テープw1によって吸収されうる。
ヘッド本体h1の材質は限定されない。ヘッド本体h1の材質として、軟鉄(炭素含有率が0.3wt%未満の低炭素鋼)、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)、マルエージング鋼、ステンレス鋼、チタン合金、アルミニウム合金及びマグネシウム合金が例示される。ヘッド本体h1は、その全体が一体成形されていてもよいし、複数の部材が接合されていてもよい。例えば、板状のフェース部材とフェース開口部材とが組み合わされてなるヘッド本体であってもよい。この場合、フェース部材としてはチタン合金が好適であり、フェース開口部材としてはステンレス鋼が好適である。ヘッド本体又はその部品の成形方法として、鍛造及び鋳造が例示される。
フェース部13の材質は限定されない。フェース部13の材質として、軟鉄(炭素含有率が0.3wt%未満の低炭素鋼)、ステンレス鋼、チタン合金、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)、マルエージング鋼、アルミニウム合金及びマグネシウム合金が例示される。
被着体s1と両面粘着テープw1とは、複合体を形成する。この複合体は、振動吸収効果を発揮しうる。両面粘着テープw1の重量が小さすぎると、この複合体の振動吸収効果が減少する。この観点から、両面粘着テープw1の重量は、0.1g以上が好ましく、0.2g以上がより好ましい。軽量化の観点から、両面粘着テープw1の重量は、2g以下が好ましく、1g以下がより好ましい。
被着体s1の上記投影像Tz1の面積Stは限定されない。打点がばらついた場合の振動吸収性を高める観点から、面積Stは、600mm以上が好ましく、800mm以上がより好ましく、1000mm以上がより好ましい。面積Stが広すぎる場合、被着体s1がヘッド本体の変形に追従しにくくなり、剥がれが発生しやすい。この観点から、面積Stは、1700mm以下が好ましく、1600mm以下がより好ましく、1500mm以下がより好ましい。
図3等において両矢印Atで示されているのは、金属部材の最大厚みである。振動吸収効果の観点から、厚みAtは、0.5mm以上が好ましく、1.0mm以上がより好ましく、1.5mm以上がより好ましい。被着体s1の重量が過大である場合、ヘッド本体h1の設計自由度が制約される。また、金属部材の重量が過大である場合、金属部材と弾性部材とが分離する可能性が生ずる。これらの観点から、厚みAtは、4.0mm以下が好ましく、3.5mm以下がより好ましく、3.0mm以下がより好ましい。
振動吸収効果の観点から、周囲部の厚みt1(図2参照)は、0.5mm以上が好ましく、1.0mm以上がより好ましく、1.5mm以上がより好ましい。被着体s1の重量が過大である場合、ヘッド本体h1の設計自由度が制約される。この観点から、厚みt1は、7.0mm以下が好ましく、6.0mm以下がより好ましく、5.0mm以下がより好ましい。
図3等において両矢印Ctで示されているのは、周囲部の幅である。振動吸収効果の観点から、幅Ctは、0.5mm以上が好ましく、0.7mm以上がより好ましく、1.0mm以上がより好ましい。幅Ctが過大であり、金属部材が過度に小さくされた場合、振動吸収効果が減少する。この観点から、幅Ctは、4.0mm以下が好ましく、3.5mm以下がより好ましく、3.0mm以下がより好ましい。
図3等において両矢印Dtで示されているのは、介在部の厚みである。振動吸収効果の観点から、厚みDtは、0.3mm以上が好ましく、0.5mm以上がより好ましく、0.7mm以上がより好ましく、1.0mm以上がより好ましい。被着体s1の重量が過大である場合、ヘッド本体h1の設計自由度が制約される。この観点から、厚みDtは、5.0mm以下が好ましく、4.0mm以下がより好ましく、3.0mm以下がより好ましく、2.0mm以下がより好ましく、1.5mm以下がより好ましい。
図10において両矢印Etで示されているのは、内側延在部106cの厚みである。振動吸収効果の観点から、厚みEtは、0.3mm以上が好ましく、0.5mm以上がより好ましく、0.7mm以上がより好ましい。厚みEtが過大であり、厚みAtが過度に薄い場合、金属部材の強度が低下する。この観点から、厚みEtは、3.5mm以下が好ましく、3.0mm以下がより好ましく、2.5mm以下がより好ましい。
振動吸収効果の観点から、厚みEt(mm)の、厚みAt(mm)に対する比(Et/At)は、0.2以上が好ましく、0.3以上がより好ましく、0.4以上がより好ましい。厚みAtが過度に小さい場合、振動吸収効果が低下し、且つ、金属部材の強度が低下する。この観点から、比(Et/At)は、0.8以下が好ましく、0.7以下がより好ましい。
第一実施形態のヘッド2、第二実施形態のヘッド100及び第三実施形態のヘッド120では、金属部材の前面の全体が、弾性部材によって覆われている。これに対して、第四実施形態のヘッド130では、金属部材の前面は、弾性部材によって覆われていない。このヘッド130では、金属部材の前面が両面粘着テープと直接的に接している。また、後述される比較例2(図13)では、金属部材142の前面のうち、端面143が、弾性部材によって覆われていない。振動吸収効果の観点から、金属部材の前面の全体が、弾性部材によって覆われているのが好ましい。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
図1、図2及び図3に示される第一実施形態のヘッド2と同じヘッドを作成した。ただし、ヘッド本体は、フェース開口部材と、板状のフェース部材とを接合して形成された。この接合は、圧入及びかしめによりなされた。フェース開口部材の材質は、SUS630ステンレス鋼とされた。フェース部材の材質は、6−4チタン(Ti−6Al−4V)とされた。フェース開口部材は、ロストワックス精密鋳造により製造された。フェース部材は、板材を打ち抜きし、更にNC加工を施して得た。フェース開口部材の重量は、175gであった。フェース部材の重量は、75gであった。被着体s1として、バッチが用いられた。バッチの金属部材の材質は、アルミニウム合金とされた。バッチの弾性部材の材質は、ポリウレタン系樹脂とされた。弾性部材は、その全体が一体成形された。このポリウレタン系樹脂のショアD硬度H1は、50とされた。金属部材と弾性部材とは接着剤により接着された。金属部材の最大厚みAtは、2.0mmとされた。周囲部の厚みt1は、1.0mmとされた。周囲部の幅Ctは、1.0mmとされた。介在部の厚みDtは、0.5mmとされた。内側延在部は設けられなかった。バッジの重量は4.5gであった。
両面粘着テープとして、住友スリーエム社製の商品名「Y−4625」が用いられた。バッチと同じ形状にされた両面粘着テープをバッチに貼り付けた後、このバッチをヘッド本体に貼り付けた。その後、バッチをヘッド本体に対して10秒間押圧して、バッチ付きのヘッドを得た。この「Y−4625」の厚みは、0.25mmであった。このヘッドは、5番アイアンであった。このヘッドを、CFRP製のシャフトの先端部に取り付けた。シャフトとして、SRIスポーツ株式会社製の商品名「MP−400」が用いられた。このシャフトの後端部にグリップを装着して、実施例1に係るゴルフクラブを得た。この「Y−4625」は、5層構造である。この5層は、最内層から順に、アクリル系粘着層、気泡を有さないアクリル系樹脂層、不織布層、気泡を有さないアクリル系樹脂層及びアクリル系粘着層である。
[実施例2及び3]
表1に示される値が変更された他は実施例1と同様にして、各例のゴルフクラブヘッド及びゴルフクラブを得た。これらの例の仕様と評価結果が下記の表1に示される。
実施例3の形態は、図11に示されるヘッド120と同じヘッドである。実施例3において、後方延在部の厚みt2は、1.0mmである。
[実施例4]
図8、図9及び図10に示される第二実施形態のヘッド100と同じヘッドを作成した。金属部材の最大厚みAtは、2.0mmとされた。周囲部の厚みt1は、1.0mmとされた。周囲部の幅Ctは、1.0mmとされた。介在部の厚みDtは、1.5mmとされた。内側延在部の厚みEtは、1.0mmとされた。その他は実施例1と同様にして、実施例4のヘッド及びクラブを得た。この例の仕様と評価結果が下記の表1に示される。
[実施例5及び6]
表1に示される値が変更された他は実施例4と同様にして、各例のゴルフクラブヘッド及びゴルフクラブを得た。これらの例の仕様と評価結果が下記の表1に示される。
実施例6は、後方延在部を有する。実施例6の後方延在部の厚みt2は、1.0mmである。
[実施例7]
図12に示されるヘッド130と同じヘッドを作製した。金属部材の最大厚みAtは、2.0mmとされた。金属部材は、実施例1のそれと同じである。周囲部の厚みt1は、2.0mmとされた。周囲部の幅Ctは、1.0mmとされた。介在部は設けられなかった。内側延在部は設けられなかった。弾性部材の内側に金属部材が嵌め込まれた部材を作製し、この部材とヘッド本体とを両面粘着テープで接着した。その他は実施例1と同様にして、実施例7のヘッド及びクラブを得た。この例の仕様と評価結果が下記の表1に示される。
[比較例1]
実施例1で用いた金属部材が、被着体とされた。被着体は、金属部材のみとされた。即ち、弾性部材を有さない被着体が用いられた。その他は実施例1と同様にして、比較例1のヘッド及びクラブを得た。この比較例の仕様と評価結果が下記の表1に示される。
[比較例2]
図13は、比較例2のヘッド140の断面図である。この比較例2のヘッド本体h1
は、実施例1のそれと同様である。
金属部材142は、周縁壁部142aと主部142bとを有する。周縁壁部142aは、環状である。主部142bは、平板状である。金属部材142は、周縁壁部142a及び主部142bのみからなる。主部142b及び周縁壁部142aにより、凹部r3が形成されている。周縁壁部142aの端面143が両面粘着テープw1に直接的に接している。
この比較例2の金属部材142は、凹部r3を有する。この凹部r3は、金属部材142の前面に設けられている。凹部r3は、ヘッド140の前方に開放されている。主部142bは、凹部r3の底部を構成している。主部142bの厚みは、2mmである。弾性部材144が、この凹部r3に充填されている。この凹部r3の深さは1mmである。この弾性部材144の厚みは、1mmである。よって下記の表1では、厚みDt及び厚みEtが1mmと記載されている。弾性部材144は、金属部材142の側面146に直接的又は間接的に当接する周囲部を有さない。
比較例2のヘッドの金属部材142は、主部142bの厚みを除き、実施例4の金属部材と同様である。
以上に説明された事項の他は実施例1と同様にして、比較例2のヘッド及びクラブを得た。この比較例2の仕様と評価結果が下記の表1に示される。
[フィーリング評価]
10名のテスターが打撃し、打球時の衝撃について評価した。下記の基準で5段階評価がなされた。比較例2を基準として、評価がなされた。点数が高いほど、評価が高い。10名の点数の平均値が、下記の表1に示される。
5点・・・比較例2よりも衝撃が小さく、打球フィーリングは良好である。
4点・・・比較例2よりも衝撃がやや小さく、打球フィーリングは若干良好である。
3点・・・比較例2と同等である。
2点・・・比較例2よりも衝撃がやや大きく、打球フィーリングは若干悪い。
1点・・・比較例2よりも衝撃が大きく、打球フィーリングは悪い。
Figure 0004834065
以上に示されるように、実施例は、比較例に比べて評価が高い。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
本発明は、あらゆるゴルフクラブヘッドに適用されうる。
図1は、本発明の第一実施形態のゴルフクラブヘッドをバック面側から見た図である。 図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。 図3は、図1のIII−III線に沿った断面図である。 図4は、両面粘着テープ近傍の拡大断面図である。 図5は、変形例の両面粘着テープの拡大断面図である。 図6は、他の変形例の両面粘着テープの拡大断面図である。 図7は、他の変形例の両面粘着テープの拡大断面図である。 図8は、本発明の第二実施形態のゴルフクラブヘッドをバック面側から見た図である。 図9は、図8のF9−F9線に沿った断面図である。 図10は、図8のF10−F10線に沿った断面図である。 図11は、本発明の第三実施形態のゴルフクラブヘッドの断面図である。この断面図の断面線の位置は、第一実施形態における図3と同じである。 図12は、本発明の第四実施形態のゴルフクラブヘッドの断面図である。この断面図の断面線の位置は、第一実施形態における図3と同じである。 図13は、比較例2のゴルフクラブヘッドの断面図である。この断面図の断面線の位置は、第一実施形態における図3と同じである。
符号の説明
2・・・ヘッド
4・・・フェース面
6・・・トップ面
8・・・ソール面
10・・・バック面
12・・・ホーゼル部
13・・・フェース部
14・・・主凹部
16・・・第二凹部
18・・・薄肉部(第一薄肉部)
20・・・凹部(主凹部)の底面
22・・・第二薄肉部
24・・・第二凹部の底面
26・・・被着体の接着面
27、104・・・金属部材
29、106、122・・・弾性部材
29a、106a、122a・・・周囲部
29b、106b、122b・・・介在部
30、36、50、58、70、74、90、94・・・粘着層
34、54、92・・・繊維層(不織布層)
32、52、56、72・・・樹脂層
w1・・・両面粘着テープ
s1・・・被着体
h1・・・ヘッド本体
SS1・・・スイートスポット
r1・・・凹部(E)
r2・・・凹部(M)

Claims (10)

  1. ヘッド本体と、上記ヘッド本体に接着されている被着体とを備え、
    上記ヘッド本体が、フェース面と、このフェース面の後方に位置するバック面とを有し、
    上記被着体が上記バック面に接着されており、
    上記被着体が、金属部材と弾性部材とを有し、
    上記弾性部材が、上記金属部材の側面に直接的又は間接的に当接する周囲部を有し、
    上記被着体が、両面粘着テープによって上記ヘッド本体に接着されており、
    上記両面粘着テープが、第一粘着層と、第二粘着層と、上記第一粘着層及び上記第二粘着層の間に設けられた中間層とを有しており、
    上記中間層が繊維層を含み、
    上記繊維層が、不織布層であり、
    ヘッドの重心とスイートスポットとを通る直線L1が、上記被着体に交わるゴルフクラブヘッド。
  2. 上記弾性部材が、上記金属部材と上記ヘッド本体のバック面との間に位置する介在部を有している請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
  3. 上記弾性部材が、その後面に凹部(E)を有し、
    上記金属部材が、上記凹部(E)の内側に配置されており、
    この凹部(E)の周壁が、上記周囲部であり、
    この凹部(E)の底部が、上記介在部である請求項2に記載のゴルフクラブヘッド。
  4. 上記金属部材が、その前面に凹部(M)を有し、
    上記弾性部材の上記介在部が、上記凹部(M)の内側に延在している請求項2又は3に記載のゴルフクラブヘッド。
  5. 上記弾性部材の上記周囲部が、上記金属部材の側面よりも後方に延在している請求項1から4のいずれかに記載のゴルフクラブヘッド。
  6. 上記両面粘着テープの厚みが0.4mm以下である請求項1から5のいずれかに記載のゴルフクラブヘッド。
  7. ヘッド本体と、上記ヘッド本体に接着されている被着体とを備え、
    上記ヘッド本体が、フェース面と、このフェース面の後方に位置するバック面とを有し、
    上記被着体が上記バック面に接着されており、
    上記被着体が、金属部材と弾性部材とを有し、
    上記弾性部材が、上記金属部材の側面に直接的又は間接的に当接する周囲部を有し、
    上記弾性部材が、上記金属部材と上記ヘッド本体のバック面との間に位置する介在部を有し、
    上記金属部材が、その前面に凹部(M)を有し、
    上記弾性部材の上記介在部が、上記凹部(M)の内側に延在しているゴルフクラブヘッド。
  8. 上記金属部材が周縁壁部と主部とを有し、この主部及び周縁壁部により上記凹部(M)が形成されている請求項7に記載のゴルフクラブヘッド。
  9. 上記介在部が、上記凹部(M)の内側に延在する内側延在部を有しており、
    上記周囲部と上記内側延在部とにより、上記弾性部材には溝が形成されており、この溝の内部に上記金属部材の上記周縁壁部が配置されている請求項8に記載のゴルフクラブヘッド。
  10. 上記ヘッド本体がフェース部を有し、
    このフェース部が中実であり、
    このフェース部の前面が上記フェース面であり、
    このフェース部の後面が上記バック面である請求項1から9のいずれかに記載のゴルフクラブヘッド。
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