JP4833706B2 - 耐熱性表面保護テープおよび半導体ウェハの加工方法 - Google Patents
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Description
従来、これらの半導体チップは、半導体ウェハの回路パターン面に表面保護テープを貼合した状態でバックグラインド工程にて所定の厚さになるまで回路パターンの無い裏面側を研削した後、該表面保護テープを剥離し、次いでダイシング工程にてダイシングテープに支持固定した状態にてダイシング装置等にて切断分離されチップ化されることにより得られる。その後、チップ化された半導体チップは、ピックアップダイボンダ等により、連続的に流れるリードフレームにダイボンディングされ、最終的にモールド樹脂にてモールドされパッケージングされることになる。
この場合において、表面保護テープに必要とされる耐熱レベルはダイボンドシートの貼合の際に必要とされる加熱温度に依るが、汎用のダイボンドシートの場合は100〜180℃程度の貼合温度を必要とする。又、貼合に必要とされる時間としては約3分程度であり、従って、180℃で3分程度の加熱環境において基材フィルムが軟化しない、というレベルの耐熱性が求められるものである。
更に、これら比較的耐熱性の高い樹脂系統を用いた基材フィルムの表面保護テープは、以下のような問題点も持ち合わせている。ここでいう表面保護テープはバックグラインディング工程においても表面保護テープとして使用されるため、ウェハ裏面研削における適用性も同時に要求されることになる。ウェハ裏面研削時には砥石の研削圧により相当な圧力がウェハ、特に回路パターン面にかかることになるが、回路パターン面に貼合された表面保護テープはその研削時の圧力を吸収することで回路パターン面の保護の役割を果たすものである。従って、表面保護テープ自体にはある程度の柔軟性が必要とされる。ところが、前述の様な比較的耐熱性の高い樹脂系統を用いた基材フィルムの表面保護テープは、非常に硬く、柔軟性が低く上記のような理由で研削性は良いとは言えない。
また、基材フィルムが加熱により軟化し加熱用台に接着してしまう問題があるだけでなく、同時に薄ウェハの場合には加熱用台から開放後のウェハに反りが生ずることがある。
したがって本発明の目的は、上記のような問題点に鑑み、耐熱性を向上させると共に、柔軟性を有し十分な圧力吸収ができ、加熱用台へ接着することなく、さらには、研削後のウェハの割れや反りの発生の少ない、半導体ウェハの回路面への密着性の良い表面保護テープおよびその表面保護テープを用いた半導体ウェハの加工方法を提供することにある。
(1)片面側に放射線で硬化された放射線硬化型粘着剤層を持つ基材フィルムの反対側の面にも放射線で硬化された放射線硬化型粘着剤層を設け、反対側面の放射線で硬化された放射線硬化型粘着剤層の上に粘着剤層を設けてなる半導体ウェハ加工用の耐熱性表面保護テープ。
(2)片面側の放射線で硬化された放射線硬化型粘着剤層と反対側面の放射線で硬化された放射線硬化型粘着剤層の厚みの関係が、反対側面の放射線で硬化された放射線硬化型粘着剤層の厚みが片面側の放射線で硬化された放射線硬化型粘着剤層の厚みと同じかまたはより厚いものであることを特徴とする(1)に記載の耐熱性表面保護テープ。
(3)片面側の放射線で硬化された放射線硬化型粘着剤層及び反対側面の放射線で硬化された放射線硬化型粘着剤層の厚さが各々5〜75μmであり、且つ、片面側の放射線で硬化された放射線硬化型粘着剤層と反対側面の放射線で硬化された放射線硬化型粘着剤層の厚みの合計が80μm以下であることを特徴とする(1)または(2)に記載の耐熱性表面保護用テープ。
(4)前記粘着剤層の厚が3〜50μmである(1)〜(3)のいずれか1項に記載の耐熱性表面保護用テープ。
(5)前記基材フィルムがポリ塩化ビニル(PVC)フィルム、ポリオレフィン系フィルム、及びエラストマー系フィルムからなる群より選ばれることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の耐熱性表面保護用テープ。
(6)前記基材フィルムの厚さが50〜300μmの範囲にある(1)〜(5)のいずれか1項に記載の耐熱性表面保護用テープ。
(7)前記放射線硬化型粘着剤層がアクリル系粘着剤と放射線重合性化合物とを主成分としてなる(1)〜(6)のいずれか1項に記載の耐熱性表面保護用テープ。
(8)前記放射線重合性化合物として、紫外線の照射によって三次元網状化しうる分子内に光重合性炭素−炭素二重結合を少なくとも2個以上有する低分子量化合物が用いられる(7)項に記載の耐熱性表面保護用テープ。
(9)前記粘着剤層が放射線硬化型粘着剤層であることを特徴とする(1)〜(8)項のいずれか1項に記載の耐熱性表面保護テープ。
(10)(1)〜(9)のいずれか1項に記載の耐熱性表面保護テープを、半導体ウェハの回路パターン面に粘着剤層が貼合面となるように貼合する工程、半導体ウェハの厚さが所定の厚さになるまで半導体ウェハの回路パターンの無い面側を研削する工程、該耐熱性表面保護テープの貼合された面を下側にして加熱用台に載せる工程およびその載せた状態で研削した回路パターンの無い面側にダイボンドシートを貼合する工程をこの順序で有することを特徴とする半導体ウェハの加工方法。
このように、ウェハの加工工程において、ウェハ裏面研削性及び耐熱性の両方に優れ、回路面への密着性の良好な耐熱性表面保護テープであり、これを用いた半導体ウェハの加工方法は、優れた品質の半導体チップを提供することができる。
この放射線硬化型粘着剤は、例えば通常のアクリル系粘着剤と放射線重合性化合物を混合してなる構成、或いは放射線重合性化合物単独でなる構成を持つのが一般的であり、このうち放射線重合性化合物の場合は、放射線の照射によって三次元網状の構造を形成、すなわち一種の架橋構造を形成するものである。分子構造が架橋構造をとる場合、通常は加熱状態にあっても熱可塑化する性質はなく、従って加熱により軟化もしない。
すなわち、参考例の耐熱性表面保護テープ4は、加熱しても熱軟化しない層を基材フィルム背面側に有する構造を持つことになる。
参考例の半導体ウェハの加工方法は、先ず図2aに示すように、半導体ウェハ6の回路パターン5面に耐熱性表面保護テープ4の粘着剤層3が貼合面となるように、この耐熱性表面保護テープ4を貼合する。次に、図3に示すように半導体ウェハ6の回路パターン5の無い面側を半導体ウェハ6の厚さが所定の厚さになるまで研削する。その後、図4、図5に示すように、この耐熱性表面保護テープ4の貼合された面を下側にして加熱用台7に載せ、その状態で、回路パターン5の無い研削した面側に貼合用ロール9を使用してダイボンドシート8を貼合する工程からなる。これらの工程おいては前述の通り、貼合の際に表面保護テープ4の基材フィルム背面側は直接、高温の加熱用台7に接触し加熱されることになる。しかしながら、上記の通り、参考例の耐熱性表面保護テープ4は、加熱しても熱軟化しない層、即ち放射線で硬化された放射線硬化型粘着剤層2aを基材フィルム1の背面側に有する構造を持つため、加熱用台の熱により軟化した基材フィルム1が加熱用台7に接着してしまうような不具合は発生しないのである。
したがって、図6に示すように加熱用台7の例えば、吸着機構を開放すれば、耐熱性表面保護テープおよびダイボンドシート付のウェハを割れやクラックの発生なく容易に取り出すことができ、加熱用台を汚すこともほとんど無い。
このように基材フィルムそのものについてはウェハ裏面研削時のパターン保護性の観点から選定すればその他特に制限は無いが、好ましく用いられるのがポリ塩化ビニル(PVC)、ポリオレフィン系、エラストマー系等、比較的柔軟性を有するものである。この基材フィルムの厚さとしては特に制限は無いが、一般的には50〜300μmの範囲にあるのが通常である。
また、通常の基材フィルムは粘着剤が塗布される以前もやはり巻き形状にて保管されるのが一般的であるが、巻き状態で保管することによりフィルムとフィルムが密着しブロッキング状態となってしまう。これを防止するため基材フィルム背面側は、図8に示すようにエンボス加工やマット加工の様な粗面化処理が施されているケースが多い。粗さRaとしては3〜5μm程度であり、これのほとんどを放射線で硬化された放射線硬化型粘着剤層2aで覆うためには、図9に示すように5μm以上の厚さが必要となる。この厚さを下回ると、図10のように基材フィルムの凸部が幾分か露出してしまい、その露出部が熱により軟化してしまうこともあり得る。この場合もウェハの研削仕上げ厚が100μm以下の領域になると、多少の衝撃により損傷を受けてしまうため望ましくは厚さを5μm以上とし、凸部を殆ど覆う形状とした方が望ましい。
参考例の一態様である耐熱性表面保護テープ4は、前述の通り、半導体ウェハの裏面一面に貼合ロールにてダイボンドシート8を貼合する際、直接加熱用台7に接触し加熱されることになる。この際、放射線で硬化された放射線硬化型粘着剤層2aには加熱により収縮しようとする力が働き、その収縮の力は半導体ウェハを耐熱性表面保護テープ4が貼合された側に反らせる力として作用することになる。半導体ウェハの研削後の仕上げ厚さが十分に厚い場合には特に問題とはならないが、研削後の仕上げ厚さが100μm以下のような薄ウェハである場合は、ウェハ自体の剛性が非常に小さいため、図11に示すように、耐熱性表面保護テープ4が貼合された側にウェハを反らせる力の方がウェハ自体の剛性を上回る。例えば、加熱用台として加熱吸着テーブル12を用いた場合、吸着を開放した途端にウェハが大きな反りを生じてしまう。その結果、加熱吸着テーブル12からの取り出しのため、或いは装置内での次工程のユニットへの搬送のために搬送用のアーム等で吸着しようとしても、反りを生じているためうまく吸着できない等の問題が生じる。
基材フィルムが加熱により軟化し加熱用台に接着してしまう問題を防止するだけでなく、同時に薄ウェハの場合における加熱用台から開放後のウェハ反りを低減することも可能とする。
本発明における実施形態は、図12に示すように、片面側(背面側)に放射線で硬化された放射線硬化型粘着剤層2aを持つ基材フィルム1の反対側の面にも放射線で硬化された放射線硬化型粘着剤層2bを設け、放射線で硬化された放射線硬化型粘着剤層2bの上に粘着剤層3を設けてなる構成を持つ耐熱性表面保護テープ11で、基材フィルム1の両面側に放射線で硬化された放射線硬化型粘着剤層が存在するものである。
これに対して、基材フィルム1の両面側に放射線で硬化された放射線硬化型粘着剤層2a及び2bが存在する場合、図13に示すように両面の放射線により硬化された放射線硬化型粘着剤層は加熱により基材フィルム1を中心としてお互いの側に反る力が働くことになる。つまり、片面側の放射線により硬化された放射線硬化型粘着剤層2aの反る力が、反対側面の放射線により硬化された放射線硬化型粘着剤層2bの反る力により幾分か相殺され抑えられることになる。
5μm以上が好ましい理由は、放射線で硬化された放射線硬化型粘着剤層2aの場合は前述と同様の理由であるが、放射線で硬化された放射線硬化型粘着剤層2bの厚さの場合、5μmを下回ると加熱により収縮する力は殆ど無く、テープ背面側の反りを低減させるための効果が殆ど出ないためである。また、75μm以下である理由は、前述のとおり、放射線により硬化された放射線硬化型粘着剤層が80μmを超えると柔軟性に乏しくなるためであり、放射線で硬化された放射線硬化型粘着剤層2aと放射線で硬化された放射線硬化型粘着剤層2bの厚みの合計が80μm以下となる必要がある。両者とも5μm以上の厚みが必要であることから厚みの合計を80μm以下とするためには上限は75μmとなる。
更には、放射線硬化型粘着剤は、上記のようにアクリル系粘着剤に放射線重合性化合物を配合する替わりに、アクリル系粘着剤自体を放射線重合性アクリル酸エステル共重合体とすることも可能である。
また、放射線により粘着剤層を重合させる場合には、光重合性開始剤、例えばイソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、クロロチオキサントン、ベンジルメチルケタール、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシメチルフェニルプロパン等を併用することができる。これらのうち少なくとも1種類を粘着剤層に添加することにより、効率よく重合反応を進行させることができる。尚、ここで言う放射線とは、紫外線のような光線、または電子線のような電離性放射線のことをさす。
参考例1〜5、実施例1〜5及び比較例1、2の各耐熱性表面保護テープの作製について記載する。
(参考例1〜4)
住友化学製エチレンメチルメタアクリレート(EMMA)樹脂「アクリフトWD201(商品名)」を用いて、Tダイ法により厚さ100μmの基材フィルムを成形した。成形時に、一方の面に粗面処理を施し、表面粗さとしてはRa=5.0μmに調整した。基材フィルムの粗さ調整における測定については、ミツトヨ社製「サーフテストSJ-301(商品名)」を使用した。得られた基材フィルムの粗面処理した面(背面側)に、後記する紫外線硬化型粘着剤Aを表1−1に記載の所定の厚さにて塗布し、紫外線硬化型粘着剤Aに紫外線を照射して硬化させた。更に、基材フィルムの紫外線により硬化された紫外線硬化型粘着剤Aが設けられた面とは反対側の面に、後記するアクリル系粘着剤a又は紫外線硬化型粘着剤Bを30μmの厚さで塗布した。
(参考例5)
東洋紡製ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム「エステルフィルムE5100−100(商品名)」の片面側に、紫外線硬化型粘着剤Aを表1−1に記載の所定の厚さにて塗布し、紫外線硬化型粘着剤Aに紫外線を照射して硬化させた。更に、基材フィルムの紫外線により硬化された紫外線硬化型粘着剤Aが設けられた面とは反対側の面に紫外線硬化型粘着剤Bを30μmの厚さで塗布した。
住友化学製 エチレンメチルメタアクリレート(EMMA)樹脂「アクリフトWD201(商品名)」を用いて、Tダイ法により厚さ100μmの基材フィルムを成形した。成形時に、一方の面に粗面処理を施し、表面粗さとしてはRa=5.0μmに調整した。基材フィルムの粗さ調整における測定については、ミツトヨ社製「サーフテストSJ-301(商品名)」を使用した。得られた基材フィルムの粗面処理した面(図12で基材フィルム1の上側、表中では背面側と記載)に、後記する紫外線硬化型粘着剤Aを表1−2に記載の所定の厚さにて塗布し、反対側の面(図12で基材フィルム1の下側、表1−2で粘着剤層側と記載)にも紫外線硬化型粘着剤A、または後記する紫外線硬化型粘着剤Cを表1−2に記載の所定の厚さにて塗布し、更に、これら基材フィルムの両側面の紫外線硬化型粘着剤Aまたは紫外線硬化型粘着剤Cを紫外線照射により硬化させた。更に、前記反対側面の紫外線により硬化された紫外線硬化型粘着剤層面の上に、紫外線硬化型粘着剤Bを30μmの厚さで塗布した。
住友化学製EMMA樹脂「アクリフトWD201(商品名)」を用いて、実施例1〜4と同様にTダイ法によりフィルムを成形した。得られた基材フィルムの片面側に紫外線硬化型粘着剤Bを30μmの厚さで塗布した。
(比較例2)
実施例5と同様の東洋紡製PETフィルム「エステルフィルムE5100−100(商品名)」の片面側に紫外線硬化型粘着剤Bを30μmの厚さで塗布した。
(1)紫外線硬化型粘着剤A
アクリル酸エステル共重合体 100質量部
硬化剤(日本ポリウレタン社製「コロネートL」)(商品名)」 2質量部
放射線重合性化合物 150質量部
光重合開始剤(日本チバガイギー社製「イルガキュアー184(商品名)」
2質量部
(2)紫外線硬化型粘着剤B
アクリル酸エステル共重合体 100質量部
硬化剤(日本ポリウレタン社製「コロネートL」) 2質量部
放射線重合性化合物 100質量部
光重合開始剤(日本チバガイギー社製「イルガキュアー184(商品名)」
2質量部
(3)紫外線硬化型粘着剤C
アクリル酸エステル共重合体 100質量部
硬化剤(日本ポリウレタン社製「コロネートL」)(商品名)」 2質量部
放射線重合性化合物 120質量部
光重合開始剤(日本チバガイギー社製「イルガキュアー184(商品名)」
2質量部
(4)アクリル系粘着剤a
アクリル酸エステル共重合体 100質量部
硬化剤(日本ポリウレタン社製「コロネートL」) 2質量部
アクリル酸エステル共重合体:
2−エチルヘキシルアクリレート、メチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレートを共重合して得られた、重量平均分子量=50万、ガラス転移点=−30℃の共重合体。
放射線重合性化合物:
ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレートを共重合して得られるポリマー100質量部に対して、放射線重合性炭素−炭素二重結合を一つ以上有する化合物として2−イソシアネートエチルメタクリレートを5質量部付加して得られた、重量平均分子量1.7万、ガラス転移点=75℃の放射線重合性化合物。
実施例1〜10、比較例1、2の詳細については、表1−1、表1−2(実施例)および表2(比較例)にも記載した通りである。
上記の方法にて得られた各参考例、実施例および比較例の耐熱性表面保護テープを厚さ650μmの8インチシリコンウェハ及び25μm厚のポリイミド膜がパターン面に付いた8インチパターンウェハの表面にそれぞれ貼合し、ディスコ製グラインダー「DFG8560(商品名)」で研削を行った。8インチシリコンウェハの場合は、面粗さ#2000で最終仕上げ厚さ(ア)150μm及び(イ)75μmになるように、また、25μm厚のポリイミド膜がパターン面に付いた8インチパターンウェハの場合は、面粗さ#2000で最終仕上げ厚さ75μmになるようウェハ裏面研削を行った。
更に、研削後、150℃に設定された加熱機構付の吸着テーブルに、基材フィルム背面側に設けられた紫外線により硬化された紫外線硬化型粘着剤Aを下側(比較例1、2については、基材フィルムを下側)にして置き、吸着固定した状態で研削されたウェハ裏面にダイボンドシートとして日立化成製「DF−470(商品名)」を貼合用ロールを使用して貼合した。貼合後、加熱吸着テーブルの吸着を開放して表面保護テープおよびダイボンドシート(DF−470)付きのウェハを取り出した。その後、8インチシリコンウェハの場合のみ、表面保護テープをウェハから剥離した。表面保護テープの粘着剤層が紫外線硬化型粘着剤Bである場合は、剥離する前に紫外線を照射し粘着力を低減させてから剥離を行った。
1)ディンプルの発生
ウェハ裏面研削後にウェハの研削面にディンプルが発生しているか否かを観察した。
2)ウェハ裏面研削によるウェハ割れ
ウェハ裏面研削後のウェハ割れやクラックが発生しているか否かを観察した。
3)加熱吸着テーブルへの接着の有無
加熱吸着テーブルの吸着を開放した後、表面保護テープとダイボンドシート付きのウェハを取り出した。その際、表面保護テープが加熱により吸着テーブルに接着しているか否かを観察した。
4)表面保護テープ剥離によるウェハ割れ
表面保護テープをウェハから剥離する際のウェハにかかるストレスによるウェハ割れやクラックの発生の有無について観察した。
5)加熱吸着テーブルの吸着開放後の反り
8インチシリコンウェハの最終仕上げ厚さ(イ)75μmの場合、及び、25μm厚のポリイミド膜がパターン面に付いた8インチウェハの場合(最終仕上げ厚さ75μm)において、「DF−470(商品名)」を貼合後、加熱吸着テーブルの吸着を開放して表面保護テープおよびダイボンドシート(DF−470)付きのウェハを取り出し、反りを測定した。反りは左右両側の反り量を測定し、それらの平均値を求めた。又、反りは基本的に表面保護テープ側に反る場合の反り量を測定したが、ダイボンドシート側に反る場合の反り量はマイナス表示とした。
これらの評価の結果を次の表1−1〜表2に示す。
参考例1について
基材フィルムに柔軟性があるためウェハ裏面研削によるディンプルの発生、ウェハ割れは発生しなかった。又、基材フィルム背面側に紫外線により硬化された紫外線硬化型粘着剤層が設けられているため加熱吸着テーブルによる基材フィルムの軟化も無く、加熱吸着テーブルに接着することも無かった。又、粘着剤層も紫外線硬化型であるため剥離力も小さく、剥離時のウェハ割れは発生しなかった。但し、紫外線により硬化された紫外線硬化型粘着剤層が表面保護テープの背面側にしか無いため、加熱吸着テーブルの吸着を開放した後のウェハの背面側への反りがやゝ大きかった。
参考例2について
基材フィルムに柔軟性があるためウェハ裏面研削によるディンプルの発生、ウェハ割れは発生しなかった。又、基材フィルム背面側に紫外線により硬化された紫外線硬化型粘着剤層が設けられているが、厚さが薄いため基材フィルムの凹凸を完全に覆うことができず、一部むき出しになった基材フィルム部が軟化し、その部分のみ加熱吸着テーブルに接着してしまった。その結果、最終仕上げ厚さ75μm厚の場合において吸着テーブルからの取り出しの際にウェハ端部に一部クラックが入った。又、粘着剤層も紫外線硬化型であるため剥離力も小さく、剥離時のウェハ割れは発生しなかった。紫外線により硬化された紫外線硬化型粘着剤層は表面保護テープの背面側にしか無いが、薄いために加熱吸着テーブルの吸着を開放した後の背面側への反りは比較的小さかった。但し、ポリイミド膜の付いたパターンウェハでは比較的大きな反りを生じた。
基材フィルム背面側に紫外線により硬化された紫外線硬化型粘着剤層の厚さが厚すぎることによりテープ自体の柔軟性が若干低下し、8インチパターンウェハにおいてディンプルの発生が観られ、8インチシリコンウェハにおいても最終仕上げ厚さ75μmの場合に若干ディンプルの発生が観られた。又、基材フィルムの軟化は無く、加熱吸着テーブルへの接着は無かった。又、粘着剤層が紫外線硬化型であるため剥離時のウェハ割れは発生しなかった。加熱吸着テーブルの吸着を開放した後の背面側への反りについては、紫外線により硬化された紫外線硬化型粘着剤層が表面保護テープの背面側にしか無く厚さも厚いため、かなり大きかった。
参考例4について
基材フィルムに柔軟性があるためウェハ裏面研削によるディンプルの発生、ウェハ割れは発生しなかった。又、基材フィルム背面側に紫外線により硬化された紫外線硬化型粘着剤層が設けられているため基材フィルムが軟化することも無く、加熱吸着テーブルへの接着は無かった。但し、粘着剤層は紫外線硬化型ではなく、最終仕上げ厚さ75μmの場合においてウェハ破損はないものの、他の実施例に比べて剥離力が高かった。又、紫外線により硬化された紫外線硬化型粘着剤層が表面保護テープの背面側にしか無いため、加熱吸着テーブルの吸着を開放した後の背面側への反りが大きかった。
基材フィルムに柔軟性が無く、8インチパターンウェハにおいてディンプルの発生が観られ、8インチシリコンウェハにおいても最終仕上げ厚さ150μm、75μmの両方においてディンプルの発生が若干観られた。又、8インチパターンウェハ、及び8インチシリコンウェハの最終仕上げ厚75μmの場合においてはウェハ割れが少し発生した。基材フィルムの軟化は無く、加熱吸着テーブルへの接着は無かった。粘着剤層は紫外線硬化型であるため剥離時のウェハ割れは発生しなかった。加熱吸着テーブルの吸着を開放した後の背面側への反りについては、紫外線により硬化された紫外線硬化型粘着剤層が表面保護テープの背面側にしか無いためやゝ大きかった。
実施例1について
基材フィルムに柔軟性があるためウェハ裏面研削によるディンプルの発生、ウェハ割れは発生しなかった。又、基材フィルム背面側に紫外線により硬化された紫外線硬化型粘着剤層が設けられているため加熱吸着テーブルによる基材フィルムの軟化も無く、加熱吸着テーブルに接着することも無かった。又、粘着剤層も紫外線硬化型であるため剥離力も小さく、剥離時のウェハ割れは発生しなかった。又、紫外線により硬化された紫外線硬化型粘着剤層が基材フィルムの両面側に存在するため、加熱吸着テーブルの吸着を開放した後の背面側への反りは比較的小さかった。
基材フィルムに柔軟性があるためウェハ裏面研削によるディンプルの発生、ウェハ割れは発生しなかった。又、基材フィルム背面側に紫外線により硬化された紫外線硬化型粘着剤層が設けられているため加熱吸着テーブルによる基材フィルムの軟化も無く、加熱吸着テーブルに接着することも無かった。又、粘着剤層も紫外線硬化型であるため剥離力も小さく、剥離時のウェハ割れは発生しなかった。又、紫外線により硬化された紫外線硬化型粘着剤層が基材フィルムの両面側に存在し、且つ同じ厚みであるため、加熱吸着テーブルの吸着を開放した後の背面側への反りは、8インチシリコンウェハの最終仕上げ厚さ75μmでは殆ど発生せず、8インチパターンウェハにおいても比較的小さかった。
実施例3について
基材フィルムに柔軟性があるためウェハ裏面研削によるディンプルの発生、ウェハ割れは発生しなかった。又、基材フィルム背面側に紫外線により硬化された紫外線硬化型粘着剤層が設けられているため加熱吸着テーブルによる基材フィルムの軟化も無く、加熱吸着テーブルに接着することも無かった。又、粘着剤層も紫外線硬化型であるため剥離力も小さく、剥離時のウェハ割れは発生しなかった。又、紫外線により硬化された紫外線硬化型粘着剤層が基材フィルムの両面側に存在し、且つ背面側の紫外線により硬化された紫外線硬化型粘着剤層の厚みよりも粘着剤層側の紫外線により硬化された紫外線硬化型粘着剤層の厚みの方が厚いため、加熱吸着テーブルの吸着を開放した後の背面側への反りは、8インチパターンウェハで非常に小さく、8インチシリコンウェハの最終仕上げ厚さ75μmではダイボンドシート側に反った。
基材フィルムに柔軟性があるためウェハ裏面研削によるディンプルの発生、ウェハ割れは発生しなかった。又、基材フィルム背面側に紫外線により硬化された紫外線硬化型粘着剤層が設けられているため加熱吸着テーブルによる基材フィルムの軟化も無く、加熱吸着テーブルに接着することも無かった。又、粘着剤層も紫外線硬化型であるため剥離力も小さく、剥離時のウェハ割れは発生しなかった。又、紫外線により硬化された紫外線硬化型粘着剤層が基材フィルムの両面側に存在するが、粘着剤層側の紫外線により硬化された紫外線硬化型粘着剤層が薄く、加熱吸着テーブルの吸着を開放した後の背面側への反りは比較的大きかった。
実施例5について
基材フィルムに柔軟性があるためウェハ裏面研削によるディンプルの発生、ウェハ割れは発生しなかった。又、基材フィルム背面側に紫外線により硬化された紫外線硬化型粘着剤層が設けられているため加熱吸着テーブルによる基材フィルムの軟化も無く、加熱吸着テーブルに接着することも無かった。又、粘着剤層も紫外線硬化型であるため剥離力も小さく、剥離時のウェハ割れは発生しなかった。又、紫外線により硬化された紫外線硬化型粘着剤層が基材フィルムの両面側に存在し、異なる組成ではあるが、両者が同じ厚みであるため、加熱吸着テーブルの吸着を開放した後の背面側への反りは、8インチシリコンウェハの最終仕上げ厚さ75μmでは殆ど発生せず、8インチパターンウェハにおいても比較的小さかった。
基材フィルムに柔軟性があるためウェハ裏面研削によるディンプルの発生、ウェハ割れは発生しなかった。但し、加熱吸着テーブル置いた際に基材フィルムが軟化してしまい、軟化した基材フィルムが吸着により、加熱吸着テーブルに強固に接着してしまい、吸着開放後も加熱吸着テーブルからウェハを取り出すことすらできなかった。よって、その後の加熱吸着テーブルの吸着解放後の反り、及び表面保護テープの剥離評価はできなかった。
比較例2について
基材フィルムに柔軟性が無く、8インチシリコンウェハの最終仕上げ厚さ150μm、75μm、8インチパターンウェハにおいてディンプルの発生が観られた。又、8インチシリコンウェハの75μm、及び8インチパターンウェハの場合においてウェハ割れが発生した。又、加熱吸着テーブル置いた際に基材フィルムが一部軟化してしまい、加熱吸着テーブルから取り出し難く、8インチシリコンウェハの最終仕上げ厚75μm、及び8インチパターンウェハにおいてはウェハが更に割れてしまった。8インチシリコンウェハの最終仕上げ厚75μm、及び8インチパターンウェハの場合は、ウェハが割れてしまったため、加熱吸着テーブルの吸着解放後の反り、及び表面保護テープの剥離評価はできなかった。粘着剤層は紫外線硬化型であるため最終仕上げ厚150μmにおいては剥離時のウェハ割れは発生しなかった。
2a、2b 放射線で硬化された放射線硬化型粘着剤層
3 粘着剤層
4 耐熱性表面保護テープ
5 回路パターン
6 半導体ウェハ
7 加熱用台
8 ダイボンドシート
9 貼合用ロール
10 基材フィルムの粗面化処理された面
11 両面に放射線で硬化された放射線硬化型粘着剤層を有する耐熱性表面保護テープ
12 加熱吸着テーブル
Claims (10)
- 片面側に放射線で硬化された放射線硬化型粘着剤層を持つ基材フィルムの反対側の面にも放射線で硬化された放射線硬化型粘着剤層を設け、反対側面の放射線で硬化された放射線硬化型粘着剤層の上に粘着剤層を設けてなる半導体ウェハ加工用の耐熱性表面保護テープ。
- 片面側の放射線で硬化された放射線硬化型粘着剤層と反対側面の放射線で硬化された放射線硬化型粘着剤層の厚みの関係が、反対側面の放射線で硬化された放射線硬化型粘着剤層の厚みが片面側の放射線で硬化された放射線硬化型粘着剤層の厚みと同じかまたはより厚いものであることを特徴とする請求項1に記載の耐熱性表面保護テープ。
- 片面側の放射線で硬化された放射線硬化型粘着剤層及び反対側面の放射線で硬化された放射線硬化型粘着剤層の厚さが各々5〜75μmであり、且つ、片面側の放射線で硬化された放射線硬化型粘着剤層と反対側面の放射線で硬化された放射線硬化型粘着剤層の厚みの合計が80μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の耐熱性表面保護用テープ。
- 前記粘着剤層の厚が3〜50μmである請求項1〜3のいずれか1項に記載の耐熱性表面保護用テープ。
- 前記基材フィルムがポリ塩化ビニル(PVC)、ポリオレフィン系フィルム、及びエラストマー系フィルムからなる群より選ばれることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の耐熱性表面保護用テープ。
- 前記基材フィルムの厚さが50〜300μmの範囲にある請求項1〜5のいずれか1項に記載の耐熱性表面保護用テープ。
- 前記放射線硬化型粘着剤層がアクリル系粘着剤と放射線重合性化合物とを主成分としてなる請求項1〜6のいずれか1項に記載の耐熱性表面保護用テープ。
- 前記放射線重合性化合物として、紫外線の照射によって三次元網状化しうる分子内に光重合性炭素−炭素二重結合を少なくとも2個以上有する低分子量化合物が用いられる請求項7に記載の耐熱性表面保護用テープ。
- 前記粘着剤層が放射線硬化型粘着剤層であることを特徴とする請求項1〜8項のいずれか1項に記載の耐熱性表面保護テープ。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の耐熱性表面保護テープを、半導体ウェハの回路パターン面に粘着剤層が貼合面となるように貼合する工程、半導体ウェハの厚さが所定の厚さになるまで半導体ウェハの回路パターンの無い面側を研削する工程、該耐熱性表面保護テープの貼合された面を下側にして加熱用台に載せる工程およびその載せた状態で研削した回路パターンの無い面側にダイボンドシートを貼合する工程をこの順序で有することを特徴とする半導体ウェハの加工方法。
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