JP4833330B2 - 超臨界蒸気圧縮式冷凍サイクルおよびこれを用いる冷暖房空調設備とヒートポンプ給湯機 - Google Patents

超臨界蒸気圧縮式冷凍サイクルおよびこれを用いる冷暖房空調設備とヒートポンプ給湯機 Download PDF

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Description

この発明は、冷媒を二段圧縮するとともに中間圧に冷媒をインジェクションする二段圧縮機を備える超臨界蒸気圧縮式冷凍サイクルおよびこれを用いる冷暖房空調設備とヒートポンプ給湯機とに関するものである。
冷暖房空調設備に用いられていた特定フロンは、オゾン層の破壊や地球温暖化などの問題があり規制されている。また、新しく開発された代替冷媒は、オゾン層を破壊しないが、地球温暖化係数が二酸化炭素冷媒の数百から数千倍である。このような背景から、二酸化炭素が地球環境にやさしい冷媒として再び注目されている。
しかし、二酸化炭素の臨界温度は約31℃であり、空調用冷凍サイクルの作動流体として使った場合、通常の放熱側環境温度(冷房時室外:25℃〜35℃程度、暖房時室内:15℃〜25℃程度)で圧縮された冷媒は、二酸化炭素の臨界温度と7.38MPaの臨界圧力を超えるようになり、超臨界蒸気圧縮式冷凍サイクルを形成する。超臨界蒸気圧縮式冷凍サイクルの放熱過程において、二酸化炭素冷媒が超臨界圧力状態になっているため、従来冷媒のような潜熱ではなく顕熱の形で放熱が行われ、従来の冷凍サイクルに比べサイクル効率が低下してしまう問題があった。
そこで、二酸化炭素を冷媒に用いた超臨界蒸気圧縮式冷凍サイクルの効率を向上させるために、内部熱交換器とガスインジェクションとを用いたサイクルが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、二段圧縮機の中間圧にガスインジェクションする冷凍サイクルに適した排除容積比について、HFC冷媒(R410A)、HCFC冷媒(R22)に関して検討している(例えば、特許文献2参照)。
また、内部中間圧型二酸化炭素冷媒ニ段ロータリ圧縮機において一段目に対する二段目の排除容積比を1対0.56〜0.8の範囲(特に0.65を推奨)に設定し、起動時の圧力変動を小さくしてオイルフォーミングが抑制できることが開示されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2001−116376号公報 特開2000−87892号公報 特開2001−73976号公報
しかし、従来の提案においては二酸化炭素を冷媒として用いることについて考慮されていないし、内部中間圧型以外のシェル形式で二酸化炭素を冷媒とする圧縮機についても検討されていない。
二酸化炭素を冷媒に用いた超臨界蒸気圧縮式冷凍サイクルにおいては、高圧放熱器で超臨界状態に達するため、従来の提案に従って二段圧縮機の排除容積比を決定しても、気液分離が適切に行なえず中間インジェクションによる性能改善効果と信頼性向上効果とが十分に得られないという問題がある。
この発明の目的は、吸入加熱損失が小さく高効率の高圧シェル型の二段圧縮機を備え、二酸化炭素冷媒の放熱側が超臨界域で動作する超臨界蒸気圧縮式冷凍サイクルを提供することである。
この発明に係る超臨界蒸気圧縮式冷凍サイクルは、低圧の冷媒が低段側回転圧縮要素で中間圧まで圧縮された冷媒が中間連結回路を経由して高段側回転圧縮要素に吸入され、上記高段側回転圧縮要素で高圧まで圧縮される二段圧縮機と、高圧に圧縮される冷媒を飽和液圧以下まで減圧する第1の膨張装置と、飽和液圧以下で湿りガス状態になった冷媒を気液分離する気液分離器と、気液分離後の気相側冷媒を上記中間連結回路にインジェクションするインジェクション回路と、気液分離後の液相側冷媒を低圧まで減圧する第2の膨張装置と、低圧まで減圧される冷媒を蒸発させる蒸発器と、を有する超臨界蒸気圧縮式冷凍サイクルにおいて、上記高段側回転圧縮要素の排除容積の上記低段側回転圧縮要素の排除容積に対する排除容積比は、上記二段圧縮機の吸入圧力の上記第1の膨張装置における冷媒飽和液圧に対する比の等エントロピ指数の乗根以上であるように膨張前温度を制御するとともに、上記中間連結回路にインジェクションする冷媒を気相状態に保つように上記第1の膨張装置または上記第2の膨張装置の開度または吸入加熱度を制御する。
この発明に係る超臨界蒸気圧縮式冷凍サイクルの効果は、二段圧縮機に中間インジェクションする冷媒主成分を気相状態に保つことができ、液相冷媒を多量注入することによって起こりうる圧縮機効率の低下と信頼性の低下を防ぐことができる。
この発明の実施の形態1に係わる気液分離器を用いた超臨界蒸気圧縮式冷凍サイクルの回路図である。 この発明の実施の形態1に係わる超臨界蒸気圧縮式冷凍サイクルのPi線図である。 この発明の実施の形態1に係わる二段圧縮機の高段側回転圧縮要素の吸入口でのPi線図である。 排除容積比およびインジェクションの有無をパラメータとする全圧縮比に対する圧縮機効率の関係を示すグラフである。 排除容積比およびインジェクションの有無をパラメータとする全圧縮比に対する給湯加熱成績係数の関係を示すグラフである。 排除容積比をパラメータとする全圧縮比に対するガスインジェクション量の割合の関係を示すグラフである。 排除容積比0.85の二段圧縮機におけるインジェクションの有無をパラメータとする全圧縮比に対する低段側圧縮比および高段側圧縮比の関係を示すグラフである。 排除容積比0.65の二段圧縮機におけるインジェクションの有無をパラメータとする全圧縮比に対する低段側圧縮比および高段側圧縮比の関係を示すグラフである。 乾き度をパラメータとし、理想条件で二段圧縮機の中間圧が最適値に一致する排除容積比を示すグラフである。 乾き度をパラメータとし、実条件で二段圧縮機の中間圧が最適値に一致する排除容積比を示すグラフである。 この発明の実施の形態2に係わる気液分離器を用いた二段圧縮二段膨脹方式の超臨界蒸気圧縮式冷凍サイクルの回路図である。 この発明の実施の形態3に係わる内部熱回収型熱交換器を用いた二段圧縮一段膨脹方式の超臨界蒸気圧縮式冷凍サイクルの回路図である。 冷媒混合器の一例の構成図である。 冷媒混合器の他の例の構成図である。 実施の形態3に係わる超臨界蒸気圧縮式冷凍サイクルにおいて、インジェクション量の割合に対する暖房成績係数の関係を示すグラフである。 実施の形態3に係わる超臨界蒸気圧縮式冷凍サイクルにおいて、過熱度をパラメータとするインジェクション量の割合に対する排除容積比の関係を示すグラフである。 この発明の実施の形態4に係わる二段圧縮機の回転圧縮要素の断面図である。 この発明の実施の形態5に係わる超臨界蒸気圧縮式冷凍サイクルの回路図である。
以下、本発明の超臨界蒸気圧縮式冷凍サイクルの好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係わる気液分離器を用いた超臨界蒸気圧縮式冷凍サイクルの回路図である。
この発明の実施の形態1に係わる超臨界蒸気圧縮式冷凍サイクルは、冷媒を二段で圧縮する二段圧縮機1と冷媒を二段で膨張する第1の膨張装置3および第2の膨張装置7とを備える二段圧縮二段膨張方式を採用している。冷媒としては、二酸化炭素を用いている。
実施の形態1に係わる二段圧縮機1では、冷媒を密閉容器13に内包される低段側回転圧縮要素11および高段側回転圧縮要素12で順に圧縮して超臨界状態まで昇圧し、高段側回転圧縮要素12の吐出口dから密閉容器13内に吐出する。その後、密閉容器13から外部回路へ吐出された冷媒は、高圧放熱器2で放熱冷却された後、第1の膨張装置3で飽和圧力以下まで減圧し、湿りガス状態になった冷媒を気液分離器4で気液分離する。低段側回転圧縮要素11の吐出口dと高段側回転圧縮要素12の吸入口Sが中間連結回路15により連結されている。
気液分離器4内の気相を主成分とする冷媒は、インジェクション回路5から二段圧縮機1の中間連結回路15の途中にある冷媒混合器14に中間インジェクションされ、低段側回転圧縮要素11から吐出された冷媒に混合されてから高段側回転圧縮要素12に吸入される。
インジェクション回路5には、流量調整弁16が介設されており、インジェクション量を調整する。
一方、気液分離器4内の液相冷媒は、第2の膨張装置7でさらに減圧され、蒸発器8で吸熱加熱され気相状態まで蒸発されて、再び二段圧縮機1の低段側回転圧縮要素11の吸入口Sから吸入される。
また、二段圧縮機1において、中間圧が冷媒の臨界圧力以下になるように、低段側回転圧縮要素11の排除容積に対する高段側回転圧縮要素12の排除容積の割合(以下、排除容積比と称す。)は、二段圧縮機1の吸入圧力を第1膨脹装置3における冷媒飽和液圧で除算した商の等エントロピ指数乗根以上である。
また、実施の形態1に係わる超臨界蒸気圧縮式冷凍サイクルは、温度計20、21が第1の膨張装置3の上流側と下流側に、温度計22が気液分離器4に連なる液相側配管23に、温度計24が気液分離器4に連なるインジェクション回路5に、温度計25、26が低段側回転圧縮要素11の吐出口dから高段側回転圧縮要素12の吸入口Sとを連結する中間連結回路15のインジェクション回路5が接続される位置の前後に、温度計27、28が高圧放熱器2の前後に、温度計29、30が蒸発器8の前後にそれぞれ取り付けられ、測定した温度から冷媒の状態を推定する。そして、気液分離器4の吸入前の冷媒が飽和液圧以下で、湿りガス状態にするために、気液分離器4の吸入前の温度計21の温度から飽和液温度以下、すなわち湿りガス状態であるか否かを判断し、気液分離器4に吸入される直前の冷媒の温度が液温度帯であれば、第1の膨脹装置3を絞って中間圧を下げるように調節する。
図2は、この発明の実施の形態1に係わる超臨界蒸気圧縮式冷凍サイクルのPi線図である。
次に、中間インジェクションを行う効果について図2を参照して説明する。なお、二段圧縮機1の低段側吸入圧力をPS1(二段圧縮機1の吸入圧力Pに等しい)、中間圧力をP(低段側吐出圧力Pd1と高段側吸入圧力PS2とに等しい)、高段側吐出圧力をPd2(二段圧縮機1の吐出圧力Pに等しい)で表す。また、蒸発器8を循環する循環量をGeV、中間インジェクション量をGinj、ガスクーラ側循環流量をGgCで表す。ここで、ガスクーラ側循環流量GgCは、GgC=GeV+Ginjから求まり、中間インジェクション量の割合αを、α=Ginj/GeVで定義する。
二段圧縮における中間インジェクションによる成績係数(Coefficient of Performanceの略語COPと称す。)の改善は、圧縮機効率とサイクル効率とが改善される。
まず、サイクル効率の改善効果について説明する。
(1)空調冷房用途では、二段圧縮インジェクションによって凝縮器側のエンタルピ差が増加し、冷房能力と冷房成績係数が向上する。
(2)空調暖房用途では、ガスクーラ側冷媒循環量が増加して暖房能力と成績係数が向上するが、空調冷房用途に比べると効果は小さい。
(3)給湯用途においても空調暖房用途と同様の効果があるが、吐出温度が下がるためインジェクション量が制約される。
(4)高圧シェル型圧縮機を高圧縮比で運転すると、高段側吐出温度が異常に高温となり二段圧縮機1の信頼性が損なわれる。この対策として中間インジェクションすることによって、成績係数を低下させずに高段側吐出温度の異常上昇を抑えることができる。
図3は、この発明の実施の形態1に係わる二段圧縮機1の高段側回転圧縮要素12の吸入口SでのPi線図を示す。なお、図3において、Aは、インジェクション無しの理想状態、すなわち、体積効率が1で、吸入加熱損失がない場合、Aは、インジェクション有りの理想状態、すなわち、体積効率が1で、吸入加熱損失がない場合、Bは、インジェクション無しで体積効率が実体積効率、吸入加熱損失がない場合、Bは、インジェクション有りで体積効率が実体積効率、吸入加熱損失がない場合、Cは、インジェクション無しの実状態、すなわち、体積効率が実体積効率、吸入加熱損失がある場合、Cは、インジェクション有りの実状態、すなわち、体積効率が実体積効率、吸入加熱損失がある場合のそれぞれの高段側回転圧縮要素12の吸入口Sにおけるエンタルピと圧力を示す。
また、中間圧は、インジェクション有りの方が無しの場合より大きい。また、実状態の中間圧の方が理想状態の中間圧より大きい。
次に、二段圧縮インジェクションサイクルが成立するために必要な排除容積比の条件について説明する。
1)インジェクションが行われないときの理想状態、すなわち、体積効率が1で中間加熱が行われていないときについて説明する。(図3のAの状態のときである。)
このとき、理想的な中間圧Pmadは、低段側回転圧縮要素11において等エントロピ圧縮されたときの低段側吐出圧力Pd1adに等しく、式(1)により求められる。但し、VSt1は低段側排除容積、VSt2は高段側排除容積、ρS1は低段側の吸入冷媒密度、ρd1adは等エントロピ圧縮されたときの低段側吐出冷媒密度、PS1は二段圧縮機1の低段側吸入圧力、Pは二段圧縮機1の中間圧力、nは等エントロピ指数である。
mad=Pd1ad=PS1×(ρd1ad/ρS1
=PS1×(VSt1/VSt2・・・(1)
等エントロピ指数nは、REFPROP第7版のデータベースから、n=LN(P/PS1)÷LN(ρ/ρS1)を用いて計算することにより求められ、等エントロピ指数nは約1.3となる。
また、二段圧縮機1の高段側吸入圧力PS2は、理想的な中間圧Pmadに等しい。
2)次に、インジェクションが行われ、体積効率が実体積効率で、且つ中間加熱が行われないときについて説明する。(図3のBの状態のときである。)
このとき、質量保存式は式(2)で表される。但し、ηV1は低段側体積効率、ηV2は高段側体積効率、ρS2は高段側の吸入冷媒密度である。
St1×ηV1×ρS1×(1+α)=VSt2×ηV2×ρS2・・・(2)
インジェクションされた冷媒が低段側吐出口dから高段側吸入口Sまで等圧変化するとき、混合した冷媒のエネルギが保存され、式(3)が成り立つ。そして、排除容積比VSt2/VSt1は、式(3)を式(2)に代入して得られる式(4)で求められる。
ρS2={(1+α)×ρd1×ρinj}/(ρd1×α+ρinj)・・・(3)
St2/VSt1=(ηV1/ηV2)×(1+α)×(ρS1/ρS2
=(ηV1/ηV2)×(1+α×ρd1/ρinj)×(ρS1/ρd1)・・・(4)
そして、気液分離後にガスインジェクションすることができるための必要条件は、理想状態の中間圧力Pmadが第1の膨張装置3の飽和液圧力Pliqより小さいことである。この必要条件を書き直すと、式(5)、さらに式(6)となる。ここで、低段側吐出口dが理想的低段側吐出口d1adに等しいとすると、必要条件は式(7)となる。
S1×(ρd1ad/ρS1<Pliq<Pcrt・・・(5)
ρS1/ρd1ad>(Ps1/Pliq1/n>(Ps1/Pcrt1/n・・・(6)
ρS1/ρd>(Ps1/Pliq1/n>(Ps1/Pcrt1/n・・・(7)
ゆえに、排除容積比VSt2/VSt1についての必要条件は、式(4)と式(7)から式(8)となる。
St2/VSt1>(ηV1/ηV2)×(1+α×ρd1/ρinj)×(Ps1/Pliq1/n
>(ηV1/ηV2)×(1+α×ρd1/ρinj)×(Ps1/Pcrt1/n・・・(8)
通常、ロータリ式の回転圧縮要素を同じシリンダ(内径と厚みが等しい)を用いて構成すると、漏れ感度(=漏れ面積÷排除容積)は排除容積が小さいほど大きくなることが知られているので、低段側排除容積VSt1が高段側排除容積VSt2より大きいと、低段側体積効率ηV1が高段側体積効率ηV2より大きく、式(9)の関係が成り立つ。また、式(4)の(1+α×ρd1/ρinj)に関して式(10)の関係が成り立つので、排除容積比VSt2/VSt1についての必要条件は、式(11)となる。
ηV1/ηV2>1・・・(9)
(1+α×ρd1/ρinj)>1・・・(10)
St2/VSt1>(Ps1/Pliq1/n>(Ps1/Pcrt1/n・・・(11)
3)次に、インジェクションが行われ、体積効率が実体積効率で、且つ中間加熱が行われているときについて説明する。(図3のCの状態のときである。)
各種圧縮機損失の発生により、中間圧の冷媒は等圧のまま過熱され温度上昇すると、吐出される中間圧の冷媒密度ρd1rは、低段側回転圧縮要素11で等エントロピ圧縮された後での低段側吐出冷媒密度ρd1adより大きくなり、式(12)の関係式が成り立つ。また、式(4)のρd1にρd1rを代入すると、式(13)が得られる。この式(13)のρd1rをρd1adで置き換え、関係式(12)から式(14)が得られる。
ρd1ad<ρd1r・・・(12)
St2/VSt1=(ηV1/ηV2)×(1+α×ρd1/ρinj)×(ρS1/ρd1r)・・・(13)
St2/VSt1>(ηV1/ηV2)×(1+α×ρd1/ρinj)×(ρS1/ρd1ad
=(ηV1/ηV2)×(1+α×ρd1/ρinj)×(PS1/Pmad)・・・(14)
なお、気液分離後ガスインジェクションを行えるための排除容積比に関する必要条件は、式(8)、さらに式(11)となる。
4)図3のAの状態のときは、式(8)のαを零とし、ηV1=ηV2とすればよい。図3のBの状態のときは、式(8)のαを零とし、ρd1ad=ρd1rとすればよい。図3のCの状態のときは、式(8)のαを零とし、ρd1ad<ρd1rとすればよい。
また、図3のAの状態のときは、式(8)のα>0とし、ηV1=ηV2とすればよい。
また、気液分離後ガスインジェクションを行えるための排除容積比に関する必要条件は、式(8)、さらに式(11)となる。
次に、実施の形態1に係わる超臨界蒸気圧縮式冷凍サイクルの効果について説明する。
表1には、住宅用二酸化炭素冷媒ヒートポンプ給湯機に用いられる代表的な環境条件と運転条件を示す。この環境条件は、日本冷凍空調工業会標準規格「JRA4050−2005」に記載される温度条件および(財)ベターリビング制定の優良住宅部品性能試験方法書(BLT EH:2003)で定められた値から引用した。SHはSuperheatの略で吸入加熱度を表し、ここでは約10℃を仮定した。添字Sは吸入、dは吐出、expは膨張弁前を意味する。運転条件に示す吸入、吐出、膨張弁前の温度と圧力は、環境条件温度から現実的な範囲でほぼ一様に定められる。
Figure 0004833330
表2には、実施の形態1の効果を比較するために用いるロータリ式の二段圧縮機1の基本仕様を示す。
Figure 0004833330
また、表3には、二段圧縮機1の性能特性のうち、中間圧の予測値と実験値を示す。なお、予測方法は、技術文献1(福田充宏、他3名、「R410A用2段ロータリ圧縮機の性能予測」、平成10年度日本冷凍空調学会学術講演会講演論文集、日本冷凍空調学会、平成10年10月、p.41−44)や技術文献2(角田昌之、他1名、「回転式容積形圧縮機の内部漏れの解析と評価」、第19回空気調和・冷凍連合講演会講演論文集、日本冷凍空調学会、1985年4月、p.17−19)に記載されている解析手段を適用する。
Figure 0004833330
環境条件が給湯定格およびJRAIA冬(冬季高温加熱)において、インジェクション量の割合αが10%のときにインジェクションを行った場合と行わない場合とで中間圧を予測すると、表3に示すように、理想状態(A)の中間圧予測値より実体積効率を考慮した状態(B)の中間圧予測値のほうが大きく、さらに、吸入加熱損失を考慮した状態(C)の中間圧予測値のほうが大きくなり、実測値とよく一致することが確認できた。
次に、気液分離式の二段圧縮ガスインジェクションサイクルにおいて、二段圧縮機1の排除容積比が0.65と0.85との場合の中間インジェクションによる性能改善効果を予測し比較した結果を説明する。予測するときの計算条件として、表1に示す給湯定格の運転条件を用いている。また、インジェクション量の割合αは、気液分離後の気相ガスが最大限にガスインジェクションする場合を仮定した。
図4は、排除容積比およびインジェクションの有無をパラメータとする全圧縮比Pd2/PS1に対する圧縮機効率の関係を示すグラフである。図5は、排除容積比およびインジェクションの有無をパラメータとする全圧縮比Pd2/PS1に対する給湯加熱成績係数(COP)の関係を示すグラフである。
図4と図5から分かるように、インジェクション無しの場合には、排除容積比0.85の二段圧縮機1は全圧縮比2.5以下で圧縮機効率および給湯加熱成績係数などの性能が優れており、排除容積比0.65の二段圧縮機1は全圧縮比2.5より大きい領域で性能が優れている。一方、インジェクション有りの場合には、全圧縮比が約2から約4の範囲で排除容積比0.85の二段圧縮機1の性能が優れている。
図6は、排除容積比をパラメータとする全圧縮比に対するガスインジェクション量の割合の関係を示すグラフである。
気液分離式ガスインジェクションをするためには、第1膨脹装置3で減圧された冷媒が飽和液圧Pliq以下で、湿りガス状態になることが必要条件であり、乾き度βが大きいほどインジェクション量の割合αが大きくなる。ところが、排除容積比0.65の場合には、中間圧が比較的高いので、全圧縮比2.5以下で気液分離できない。全圧縮比2.5を超えても乾き度βが小さいので大きなインジェクション量は得られない。
図7は、排除容積比0.85の二段圧縮機1におけるインジェクションの有無をパラメータとする全圧縮比に対する低段側圧縮比および高段側圧縮比の関係を示すグラフである。図8は、排除容積比0.65の二段圧縮機1におけるインジェクションの有無をパラメータとする全圧縮比に対する低段側圧縮比および高段側圧縮比の関係を示すグラフである。なお、図7と図8とには、全圧縮比に対する圧縮比の最適値も合わせて示す。なお、一般的に二段圧縮機1では、低段側圧縮比と高段側圧縮比とがそれぞれ全圧縮比の2乗根で、中間圧が二段圧縮機1の吸入圧力と吐出圧力との積の2乗根であるとき圧縮機効率が最もよいことが知られているので、低段側圧縮比と高段側圧縮比の最適値としてこの全圧縮比の2乗根を用いている。
排除容積比が0.85の二段圧縮機1の場合、図7に示すように、インジェクションを行うと、中間圧が上昇し、低段側圧縮比Pd1/PS1と高段側圧縮比Pd2/PS2がともに最適値に近づいて、圧縮機効率が改善できる。
一方、排除容積比が0.65の二段圧縮機1の場合、インジェクションを行っても、低段側圧縮比と高段側圧縮比が変わらないので、圧縮機効率が改善できない。
このような気液分離器を用いた二段圧縮インジェクションサイクルにおいては、特開2001−73976号公報に開示される排除容積比0.65は最適値ではない。ガスインジェクションによる性能改善効果を得るためには、まず、第1の膨脹装置3で減圧された冷媒が飽和液圧Pliq以下で、湿りガス状態になることが必要であり、また排除容積比に関する関係式(8)または関係式(11)が必要条件である。
このようにすることにより、第1の膨張装置3で減圧された冷媒の圧力が飽和液圧以下となり、且つ、排除容積比が二段圧縮機1の吸入圧力の飽和液圧に対する比の等エントロピ指数の乗根以上となっているので、圧縮機効率と信頼性とを改善することができる。
また、中間圧が二段圧縮機1の吸入圧力と吐出圧力との積の2乗根より小さければ、二段圧縮機1の中間圧に冷媒を中間インジェクションすることによって、中間圧が二段圧縮機1の吸入圧力と吐出圧力との積の2乗根に漸近して圧縮機効率が改善されるとともに信頼性が向上する。ここで、式(8)の飽和液圧Pliqを二段圧縮機1の吸入圧力と吐出圧力との積の2乗根で置き換えれば、式(15)、式(16)が必要条件の式となる。
St2/VSt1>(ηV1/ηV2)×(1+α×ρd1/ρinj)×(Ps1/Pd21/2n・・・(15)
St2/VSt1>(Ps1/Pd21/2n・・・(16)
次に、実施の形態1に係わる中間インジェクションの異なる効果について説明する。
表4には、二酸化炭素冷媒を用いた空調冷暖房設備の一般的な運転条件を示す。図9は、乾き度をパラメータとし、表4の冷房定格の条件の下、体積効率が1、中間加熱無しの理想条件で、二段圧縮機1の中間圧が最適値(P/P1/2に一致する排除容積比を示すグラフである。図10は、乾き度をパラメータとし、表4の冷房定格の条件の下、体積効率が実体積効率、中間加熱の影響を考慮した実条件で、二段圧縮機1の中間圧が最適値(P/P1/2に一致する排除容積比を示すグラフである。
Figure 0004833330
インジェクション量の割合αが0%のとき、逆算した排除容積比は0.79となり、インジェクション量の割合αが増加するほど排除容積比は大きくなる。インジェクション量の割合αが30%までインジェクション量を増やすと、排除容積比は理想条件で0.79〜0.86の範囲、実条件で0.84〜1.0の範囲で変化すると予測される。低段側吸入過熱度(SH)が大きいほど排除容積比は小さくなる、また、中間インジェクション冷媒の乾き度が小さいほど排除容積比は小さくなる傾向を示す。
このように排除容積比を適切に設定すれば、中間インジェクションによって中間圧が最適値に近づいて圧縮機効率が改善する。
また、このとき(P/Pcrt1/2n<(P/P1/2nの関係式が成り立つので、気液分離インジェクションが成り立つための必要条件式(16)を満足する。
実施の形態2.
図11は、この発明の実施の形態2に係わる気液分離器を用いた二段圧縮二段膨脹方式の超臨界蒸気圧縮式冷凍サイクルの回路図である。
この発明の実施の形態2に係わる超臨界蒸気圧縮式冷凍サイクルは、実施の形態1に係わる超臨界蒸気圧縮式冷凍サイクルに中間連結回路15に介設される逆止弁19と低段側から吐出する冷媒ガスを気液分離器4に戻す戻し回路18とを追加することが異なっており、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記して説明は省略する。
実施の形態2に係わる超臨界蒸気圧縮式冷凍サイクルは、気液分離器4が液相状態となりインジェクションできないときのために、低段側回転圧縮要素11から吐出する冷媒ガスを中間連結回路15から分岐する逆止弁19と、分岐された冷媒ガスを気液分離器4に戻す戻り回路18を備える。
このように低段側回転圧縮要素11から吐出する冷媒ガスを高段側吸入口Sに送らずに、戻り回路18を経由して気液分離器4内に戻すと、気液分離器4内で液相冷媒と混合・熱交換して乾き度を高めて、気相の冷媒をインジェクション回路5から高段側吸入口Sに注入することができる。
このようにすることにより、二段圧縮機1に中間インジェクションする冷媒主成分を気相状態に保つことができ、液相冷媒を多量注入することにより起る圧縮機効率の低下と信頼性の低下を防ぐことができる。
実施の形態3.
図12は、この発明の実施の形態3に係わる内部熱回収型熱交換器を用いた二段圧縮一段膨脹方式の超臨界蒸気圧縮式冷凍サイクルの回路図である。
この発明の実施の形態3に係わる超臨界蒸気圧縮式冷凍サイクルは、実施の形態1に係わる超臨界蒸気圧縮式冷凍サイクルと気液分離器4の代わりに内部熱回収型熱交換器10を用いることと、高圧放熱器2から第2の膨張装置7により低段側回転圧縮要素11への吸入圧力まで減圧することが異なっており、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記して説明は省略する。
また、実施の形態3に係わる超臨界蒸気圧縮式冷凍サイクルは、インジェクション回路5と中間連結回路15の合流点に冷媒混合器14を備える。冷媒混合器14では、インジェクション回路5から供給される気相が主成分の冷媒を低段側回転圧縮要素11から吐出される冷媒に混合させてガス化してから、高段側回転圧縮要素12に吸入させる。
図13は、冷媒混合器14の一例の構成図である。
冷媒混合器14は、図13に示すように、中間連結回路15の周囲に巻き付けられたねじり管方式の冷媒−冷媒熱交換器14aを備える。この冷媒−冷媒熱交換器14aの一端はインジェクション回路5に接続され、他端が中間連結回路15の途中に接続されている。
この冷媒混合器14では、インジェクション回路5から送られる液混じりのインジェクション冷媒と低段側回転圧縮要素11から吐出されたガス冷媒の間で熱交換され、乾き度が高められたインジェクション冷媒が中間連結回路15に合流され、高段側回転圧縮要素12に送られる。
図14は、冷媒混合器14の他の例の構成図である。
また、別の冷媒混合器14は、図14に示すように、バッファタンク14bを備え、バッファタンク14b内で注入する冷媒が旋回流になるように、インジェクション回路5をバッファタンク14bに接続する。このようにインジェクション回路5から注入される冷媒が旋回されて混合されるので、十分に混合される。
なお、この冷媒混合機能をシェル内部で構成して二段圧縮機1をコンパクト化することも可能である。
このようにすることにより、インジェクション回路5から液相冷媒を多量に流入する運転状態においても高段側回転圧縮要素12に液注入することを回避できるので信頼性の低下を防ぐことができる。
また、実施の形態3においても、排除容積比を実施の形態1と同様に適切に設定することにより、実施の形態1と同様に、二段圧縮機1に中間インジェクションする冷媒主成分を気相状態に保つことができ、液相冷媒を多量注入することによって起こる圧縮機効率の低下と信頼性の低下を防ぐことができる。
次に、実施の形態3に係わる超臨界蒸気圧縮式冷凍サイクルの効果を説明する。
図15は、実施の形態3に係わる超臨界蒸気圧縮式冷凍サイクルにおいて、インジェクション量の割合に対する暖房成績係数の関係を示すグラフである。
計算方法は、技術文献3(畝崎史武、「冷凍空調機器におけるシミュレーション技術」、冷凍、日本冷凍空調学会、2003年7月、第78巻、第909号、p.573ー578)のサイクルシミュレーションを用いて、表4の暖房定格の運転条件で計算した。インジェクション量の割合を約20%以上にすると暖房成績係数が約8%改善できる。
図16は、実施の形態3に係わる超臨界蒸気圧縮式冷凍サイクルにおいて、過熱度(SH)をパラメータとするインジェクション量の割合に対する排除容積比の関係を示すグラフである。
図16に示す排除容量比は、まず表4の暖房定格の条件の下、適切なインジェクション量の割合、乾き度、中間圧力をそれぞれ計算し、これを満たす排除容積比を理想的な条件(ηV1=ηV2、中間加熱無し)から逆算して求める。
図16から分かるように、インジェクション量の割合が増加するほど排除容積比は大きくなる。標準的な低段側吸入口Sの過熱度は10℃程度であり、過熱度を小さくすると排除容積比は大きくなる。
また、図15から分かるように、暖房成績係数はインジェクション量の割合が20%以上のとき最大となるが、これは排除容積比が0.8〜1.0の範囲で変化することに相当する。
実施の形態4.
図17は、この発明の実施の形態4に係わる二段圧縮機の回転圧縮要素の断面図である。
低段側回転圧縮要素11と高段側回転圧縮要素12は、図17に示すように、共用のクランク軸30の主軸30aの周りに、それぞれ、ピン軸30b、シリンダ31、ローラ32、ベーン33、ベーン支持バネ34から構成される。通常、これらの部品寸法は排除容積の値に合わせて決定される。
そして、この発明においては排除容積比を1になるようにインジェクション量を調整するので、これら部品寸法を共通化し、製造コストを低減することができる。
但し、体積流量は低段側のほうが高段側より大きいので、吸入口35と吐出口36との内径寸法は低段側回転圧縮要素11のほうが高段側回転圧縮要素12より大きくすることが好ましい。また、ローラ32の隙間寸法も低段側回転圧縮要素11と高段側回転圧縮要素12では異なる。
実施の形態5.
図18は、この発明の実施の形態5に係わる超臨界蒸気圧縮式冷凍サイクルの回路図である。
この発明の実施の形態5に係わる超臨界蒸気圧縮式冷凍サイクルは、実施の形態1に係わる超臨界蒸気圧縮式冷凍サイクルの気液分離器4と第2の膨張装置7との間に内部熱交換器6を追加したことが異なっており、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記して説明は省略する。
実施の形態5に係わる超臨界蒸気圧縮式冷凍サイクルでは、気液分離器4で分離された液相の冷媒が内部熱交換器6内で、蒸発器8で吸熱加熱され気相状態まで蒸発され第2の気液分離器9で気液分離された気相冷媒との間で熱交換されるので、成績係数が実施の形態1の場合より向上する。
なお、実施の形態1乃至5のいずれにおいても、排除容積を理論排除容積(理論押しのけ量)Vthとして、式(17)から求めている。但し、Rはシリンダ半径、rはローラ半径、Lはシリンダ長さである。
th=π(R−r)L・・・(17)
通常、吸入口がベーン位置と重ならいように、吸入位相を遅れさせて吸入角度(θ:図17参照)をつける。30度未満の吸入角度θを加味した実排除容積は理論排除容量と比べて小さいが、その差は1%以内に収まる。従って、実施の形態1乃至5において排除容積比の範囲を指定した数値には1%以内の誤差が含まれている。
また、吸入角度θが約50度遅れると、実排除容積は理論排除容量より2〜3%小さくなるので、吸入角度θを遅らせることにより、排除容積比を0.8〜1.0の範囲で可変できる。
実施の形態1乃至5において得られた計算結果から、排除容積比が0.8以上、1以下であれば、圧縮機効率の改善と信頼性の向上ができると予測した。そこで、実施の形態1乃至5の超臨界蒸気圧縮式サイクルを超臨界で動作する二酸化炭素冷媒の冷暖房空調設備に適用する。例えば、冷房時室内温度25℃(ETは15℃)、冷房時室外温度30℃(Texpは35℃)、暖房時室内温度20℃(Texpは25℃)、暖房時室外温度1.2℃(ETは10℃)を仮定すると、冷房時圧縮比は約1.8〜1.9、暖房時圧縮比は約1.9〜2.1程度である。このように、二酸化炭素冷媒はフロン冷媒に比べて比較的低い圧縮比条件で動作するため、排除容積比をフロン冷媒に比べて大きめに設定することが可能である。そして、二酸化炭素冷媒を低圧縮比の条件下で運転する場合、設計条件として排除容積比を0.8以上、1以下の範囲から選定すれば、圧縮機効率の改善と信頼性の向上が図られる。
また、実施の形態1乃至5の超臨界蒸気圧縮式サイクルを超臨界で動作する二酸化炭素冷媒のヒートポンプ給湯機に適用する。日本冷凍空調工業会標準規格の給湯定格の条件では、圧縮比は2.5程度である。このように、二酸化炭素冷媒はフロン冷媒に比べて比較的低い圧縮比条件で動作するため、排除容積比をフロン冷媒に比べて大きめに設定することが可能である。
また、実施の形態1乃至5において得られた計算結果は、高圧シェル型圧縮機を想定して説明したが、低圧シェル型や中間圧シェル型においても同様の計算結果が得られ、同様な方法で排除容積比を設定すれば、中間圧が適切に設定され、圧縮機効率が高く且つ信頼性に優れた冷暖房空調設備やヒートポンプ給湯機を提供することができる。
また、実施の形態1乃至5においては、高圧側が超臨界で動作するサイクルの冷媒として二酸化炭素を用いたが、臨界温度の特性から同様に超臨界サイクルを構成しうる冷媒としてはエタン、アセチレン、二酸化窒素、クロロトリフルオロメタン(R13)、トリフルオロメタン(R23)、フルオロメタン(R41)を用いることができる。
また、二酸化炭素にジフオロメタン(R32)を20w%以内で混入した混合冷媒も用いることができる。これらの冷媒を用いた超臨界蒸気圧縮式冷凍サイクルにおいても、実施の形態1乃至5と同様な方法で排除容積比を設定すれば、中間圧が適切に設定され、圧縮機効率が高く且つ信頼性に優れる。但し、排除容積比の数値範囲は冷媒により多少異なる。
1 二段圧縮機、2 高圧放熱器、3、7 膨張装置、4、9 気液分離器、5 インジェクション回路、6 内部熱交換器、8 蒸発器、10 内部熱回収型熱交換器、11 低段側回転圧縮要素、12 高段側回転圧縮要素、13 密閉容器、14 冷媒混合器、14a 冷媒−冷媒熱交換器、14b バッファタンク、15 中間連結回路、16 流量調整弁、18 戻り回路、19 逆止弁、20、21、22、24、25 温度計、23 液相側配管、30a 主軸、30b ピン軸、31 シリンダ、32 ローラ、33 ベーン、34 ベーン支持バネ、35 吸入口、36 吐出口。

Claims (9)

  1. 低圧の冷媒が低段側回転圧縮要素で中間圧まで圧縮された冷媒が中間連結回路を経由して高段側回転圧縮要素に吸入され、上記高段側回転圧縮要素で高圧まで圧縮される二段圧縮機と、高圧に圧縮される冷媒を飽和液圧以下まで減圧する第1の膨張装置と、飽和液圧以下で湿りガス状態になった冷媒を気液分離する気液分離器と、気液分離後の気相側冷媒を上記中間連結回路にインジェクションするインジェクション回路と、気液分離後の液相側冷媒を低圧まで減圧する第2の膨張装置と、低圧まで減圧される冷媒を蒸発させる蒸発器と、を有する超臨界蒸気圧縮式冷凍サイクルにおいて、
    上記高段側回転圧縮要素の排除容積の上記低段側回転圧縮要素の排除容積に対する排除容積比は、上記二段圧縮機の吸入圧力の上記第1の膨張装置における冷媒飽和液圧に対する比の等エントロピ指数の乗根以上であるように膨張前温度を制御するとともに、上記中間連結回路にインジェクションする冷媒を気相状態に保つように上記第1の膨張装置または上記第2の膨張装置の開度または吸入加熱度を制御することを特徴とする超臨界蒸気圧縮式冷凍サイクル。
  2. 低圧の冷媒が低段側回転圧縮要素で中間圧まで圧縮される冷媒が中間連結回路を経由して高段側回転圧縮要素に吸入され、上記高段側回転圧縮要素で高圧まで圧縮される二段圧縮機と、高圧に圧縮された冷媒を冷却する高圧放熱器と、上記高圧に圧縮された冷媒を分割する分岐部と、分割された一方の冷媒を中間圧まで減圧する第1の膨張装置と、上記第1の膨張装置で中間圧まで減圧された冷媒に上記高圧放熱器から出力される冷媒から熱交換して内部熱回収する熱交換器と、上記内部熱回収した冷媒を上記中間連結回路にインジェクションするインジェクション回路と、分割された他方の冷媒を低圧まで減圧する第2の膨張装置と、低圧まで減圧された冷媒を蒸発させる蒸発器と、を有する超臨界蒸気圧縮式冷凍サイクルにおいて、
    上記高段側回転圧縮要素の排除容積の上記低段側回転圧縮要素の排除容積に対する排除容積比は、上記二段圧縮機の吸入圧力の上記第1の膨張装置における冷媒飽和液圧に対する比の等エントロピ指数の乗根以上であるように膨張前温度を制御するとともに、上記中間連結回路にインジェクションする冷媒の乾き度を高い状態に保つように上記第1の膨張装置の開度または吸入加熱度を制御することを特徴とする超臨界蒸気圧縮式冷凍サイクル。
  3. 低圧の冷媒が低段側回転圧縮要素で中間圧まで圧縮される冷媒が中間連結回路を経由して高段側回転圧縮要素に吸入され、上記高段側回転圧縮要素で高圧まで圧縮される二段圧縮機と、高圧に圧縮される冷媒を飽和液圧以下まで減圧する第1の膨張装置と、飽和液圧以下で湿りガス状態になった冷媒を気液分離する気液分離器と、気液分離後の気相側冷媒を上記中間連結回路にインジェクションするインジェクション回路と、上記気液分離後の液相側冷媒を低圧まで減圧する第2の膨張装置と、低圧まで減圧される冷媒を蒸発させる蒸発器と、を有する超臨界蒸気圧縮式冷凍サイクルにおいて、
    上記高段側回転圧縮要素の排除容積の上記低段側回転圧縮要素の排除容積に対する排除容積比は、上記二段圧縮機の吸入圧力の上記二段圧縮機の吐出圧力に対する比の等エントロピ指数の2倍の乗根以上であるように膨張前温度を制御するとともに、上記中間連結回路にインジェクションする冷媒の圧力を上記吸入圧力と上記吐出圧力との積の2乗根に近づくように上記第1の膨張装置または上記第2の膨張装置の開度を制御することを特徴とする超臨界蒸気圧縮式冷凍サイクル。
  4. 低圧の冷媒が低段側回転圧縮要素で中間圧まで圧縮される冷媒が中間連結回路を経由して高段側回転圧縮要素に吸入され、上記高段側回転圧縮要素で高圧まで圧縮される二段圧縮機と、高圧に圧縮された冷媒を冷却する高圧放熱器と、上記高圧に圧縮された冷媒を分割する分岐部と、分割された一方の冷媒を中間圧まで減圧する第1の膨張装置と、上記第1の膨張装置で中間圧まで減圧された冷媒に上記高圧放熱器から出力される冷媒から熱交換して内部熱回収する熱交換器と、上記内部熱回収した冷媒を上記中間連結回路にインジェクションするインジェクション回路と、分割された他方の冷媒を低圧まで減圧する第2の膨張装置と、低圧まで減圧された冷媒を蒸発させる蒸発器と、を有する超臨界蒸気圧縮式冷凍サイクルにおいて、
    上記高段側回転圧縮要素の排除容積の上記低段側回転圧縮要素の排除容積に対する排除容積比は、上記二段圧縮機の吸入圧力の上記二段圧縮機の吐出圧力に対する比の等エントロピ指数の2倍の乗根以上であるように膨張前温度を制御するとともに、上記中間連結回路にインジェクションする冷媒の圧力を上記吸入圧力と上記吐出圧力との積の2乗根に近づくように上記第1の膨張装置の開度を制御することを特徴とする超臨界蒸気圧縮式冷凍サイクル。
  5. 上記制御は、気液分離前の冷媒の温度とインジェクション回路の冷媒温度との偏差に基づいて、膨張前温度を制御することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載する超臨界蒸気圧縮式冷凍サイクル。
  6. 上記排除容積比が1であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載する超臨界蒸気圧縮式冷凍サイクル。
  7. インジェクション冷媒を旋回させて上記中間圧まで圧縮された冷媒と熱交換および混合をするインジェクション冷媒混合器を中間連結回路に備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載する超臨界蒸気圧縮式冷凍サイクル。
  8. 冷媒が二酸化炭素からなる請求項1乃至7のいずれか一項に記載する超臨界蒸気圧縮式冷凍サイクルを用いることを特徴とする冷暖房空調設備。
  9. 冷媒が二酸化炭素からなる請求項1乃至7のいずれか一項に記載する超臨界蒸気圧縮式冷凍サイクルを用いることを特徴とするヒートポンプ式給湯機。
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