JP4833115B2 - 掌紋認証装置、携帯電話端末、プログラム、および掌紋認証方法 - Google Patents
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Description
非特許文献1の方法では、CCDカメラ等により構成された専用のスキャン装置を用いて、手の平の全体の画像データを採取する。採取された画像の例を図8に示す。
非特許文献1では、採取した手の平の全体の画像ではなく、「主線」や「しわ」が比較的多く集まっている手の平の中央部付近の一部分の画像を使って認証を行っている。この画像エリアは図8において破線で示した領域であり、次のような処理によって決定される。
まず、人差し指と中指の付け根の間の谷間部分(点Aとする)、および薬指と小指の付け根の間の谷間部分(点Bとする)が手の平全体の画像から抽出される。これは、周知の画像認識技術による処理である。そして、これら2点A、Bを結ぶ直線をy軸とし、このy軸に垂直かつ2点A、Bの中点を通る直線をx軸とした時、x軸上に中心を持ち、その1辺がx軸と平行である正方形を設定する。この正方形が上記の破線部の領域となる。ただし、正方形の大きさ(1辺の長さ)は経験値によって定まるパラメータである。このようにして設定された認証用の正方形エリアの画像データが、図8の手の平の全体の画像から切り出される。
切り出された認証用の画像データは、ガボールフィルタを用いることによって画像の畳み込み処理が施される。これにより、認証用画像(図8の破線で示された正方形内の掌紋)から画像に含まれるエッジ(「主線」や「しわ」など)が抽出される。図9は、抽出後の画像の一例である。エッジ抽出の結果、白と黒の2値からなるビット行列として画像が表現されている。この2値のデータが掌紋コードである。なお、ガボールフィルタ(ガボール関数)は、与えられた画像から特定の方向と幅(周期)を持ったエッジを抽出するためによく使われる空間フィルタとして知られているものである。
上記のようにして得られた掌紋コードは、あらかじめ同様の手順により処理され登録されているマスターデータと照合される。照合は、認証の対象となる掌紋コードとマスターデータの掌紋コードとの正規化ハミング距離Dを計算することによって行われる。ハミング距離とは、2つのビット行列(ここでは掌紋コード)の対応するビット同士を比較して異なるビットの数を求めたものである。正規化ハミング距離Dは、比較される2つのビット行列の類似度が高いほど、その値が小さくなる性質を持つ(完全に同一の場合はD=0となる)。そこで、閾値D0を設け、D≦D0となる場合に認証用画像がマスターデータと一致したとみなし認証成功とする。D>D0の場合は認証失敗とする。
David Zhang 他、"Online Palmprint Identification"、IEEE Transactions on Pattern Analysis and Machine Intelligence、2003年9月、 Vol. 25, No. 9, pp. 1041-1050
また、非特許文献1の方式では、画像読み取り部にユーザが手の平を位置合わせするので採取される掌紋画像は位置ずれが生じないが、携帯電話端末においてカメラを用いる場合、カメラと手の平との距離や撮影画像から得られる掌紋の範囲が登録時と異なってしまうという問題も考えられる。
図1は、本発明の一実施形態による掌紋認証装置1の構成を示すブロック図である。この掌紋認証装置1は、一般的な携帯電話端末に掌紋認証の機能が搭載されたものであり、電話機能部10と、カメラ21と、カメラ制御部22と、画像補正部23と、画像認識部24と、画像抽出部25と、画像変換部26と、照合部27と、掌紋DB(データベース)28とから構成されている。
同図(a)は、判断部223が光度検出部221から取得した光度の時間的な変化を示したものである。時刻0において光度はL0であり、その後、ユーザの手の平がカメラ21に近付くことによって、光度は徐々に曲線C1のように低下していったとする。判断部223は光度が閾値L1に達したかどうかを判断し、光度が閾値L1に達すると、その瞬間から時間Δt経過後の光度L2を求める。そして判断部223は、このΔt時間内における光度の時間変化量(L2−L1)/Δtを算出して、次式
α1≦(L2−L1)/Δt<α2
が成り立つか否かを判断する。なお、Δtおよび閾値α1、α2は予め設定された設定値である。
β1≦(d2−d1)/Δt<β2
が成り立つか否かを判断する。なお、閾値β1、β2は予め設定された設定値である。
画像補正部23は、掌紋認証を行う際にカメラ21で撮影した画像の大きさを補正し、補正した画像を画像認識部24へ出力する。具体的には、画像補正部23は、カメラ制御部22から当該画像の撮影時のフォーカス距離d’を取得し、掌紋DB28からマスターデータの掌紋の画像を撮影した時のフォーカス距離dを取得する。そして、画像補正部23は、カメラ21から供給される撮影画像データを(d’−f)/(d−f)倍することにより、画像の拡大縮小を行う。但し、fはカメラ21の焦点距離である。この補正処理の結果、掌紋認証時とマスターデータ登録時とでフォーカス距離が異なることにより生じる両画像の大きさの違いが補正されて、掌紋認証時に撮影した画像の大きさがマスターデータの画像の大きさと合うようになる。
図4に、具体的に基準点Pを求める処理を説明するための図を示す。同図において、画像認識部24は、まず周知の境界線追跡アルゴリズムを用いることにより、中指の両側の境界を検出し、さらにこの2つの境界の端点A、Bを検出する。画像認識部24は、得られた端点AとBの中点を上記の基準点Pとする。
画像抽出部25は、まず、画像認識部24によって検出された基準点Pと、点A、Bを通る直線をy軸に設定し、このy軸に垂直で基準点Pを通る直線をx軸に設定する。そして、画像抽出部25は、設定したxy座標系において、各辺がx軸、y軸に平行な正方形TUVW内の画像を抽出する。但し、正方形TUVWの一辺の長さは、掌紋DB28に登録されているマスターデータの掌紋画像の一辺よりも数mm長く設定する。ここで抽出された正方形TUVW内の画像は、認証対象画像を抽出するための予備画像である。
ここで、空間フィルタ関数としては、次式の補正ガボールフィルタを用いる。
掌紋コードQは実数部と虚数部からなり、実数部分の掌紋コードQR(i,j)と虚数部分の掌紋コードQI(i,j)はそれぞれ次式で計算される。
ここで、複数の掌紋コードを照合していく順番として、最も単純には、認証対象画像の順番通り(I1,I2,I3,…)に照合を行う方法がある。また、過去の認証時の認証結果を利用して照合の順番を決定するようにしてもよい。例えば、認証対象画像毎に認証に成功した回数の頻度履歴を記録しておき、頻度の高い順に照合を行うようにすることとしてもよい。
まず、初期設定として掌紋認証装置1の使用者を登録する登録モードについて説明する(図6)。初めに、使用者が操作部のテンキー等を使って所定のコマンドを入力することにより、掌紋認証装置1を登録モードに設定する(ステップS11)。ここで、上記の所定のコマンドは、正規の権限を持った使用者にしか知らされていないものであるものとする。すなわち、正規使用者以外の他人は、この掌紋認証装置1のモードを登録モードに変更できないようになっている。
例えば、カメラ21は、所定のフォーカス距離(固定値)に近付いてきた物体を手の平であるとして画像を撮影するようにしてもよい。
また、カメラ21は、複数枚の静止画を撮影してその中から最適なものを選択するようにしてもよいし、所定時間連続した動画像を撮影して最適なコマの画像を選択するようにしてもよい。
また、上述した各機能を実行するためのコンピュータプログラムを、掌紋認証装置1の各部を制御するコンピュータに読み込ませて実行させるようにしてもよい。
また、掌紋認証装置1は、携帯電話端末以外の情報処理端末であってカメラを搭載した情報処理端末に実装することもできる。
Claims (9)
- 手の平から掌紋を含んだ画像を採取して該画像を用いて認証を行う掌紋認証装置において、
近接してくる物体を認識する認識手段の認識結果に基づいて、前記掌紋を含んだ画像を撮影する撮像手段と、
特定の登録された人物にかかる掌紋の照合用画像を記憶する記憶手段と、
前記撮像手段により撮影された画像から、所定の特徴点を基準として前記照合用画像と同じ大きさであり且つ範囲の異なる複数の認証対象画像を抽出する画像抽出手段と、
前記画像抽出手段により抽出された複数の認証対象画像のそれぞれを前記記憶手段の照合用画像と照合して、所定の閾値を基準として両者が一致すると見做された場合にユーザを認証する照合手段と、
前記複数の認証対象画像のうち認証に成功した認証対象画像に対応する抽出範囲を記憶する手段と、
を具備し、
前記照合手段は、前記記憶された抽出範囲の頻度に基づき照合する認証対象画像の優先度を決定する
ことを特徴とする掌紋認証装置。 - 手の平から掌紋を含んだ画像を採取して該画像を用いて認証を行う掌紋認証装置において、
近接してくる物体を認識する認識手段の認識結果に基づいて、前記掌紋を含んだ画像を撮影する撮像手段と、
特定の登録された人物にかかる掌紋の照合用画像を記憶する記憶手段と、
前記撮像手段により撮影された画像から、所定の特徴点を基準として前記照合用画像と同じ大きさであり且つ範囲の異なる複数の認証対象画像を抽出する画像抽出手段と、
前記画像抽出手段により抽出された複数の認証対象画像のそれぞれを前記記憶手段の照合用画像と照合して、所定の閾値を基準として両者が一致すると見做された場合にユーザを認証する照合手段と、
前記複数の認証対象画像のうち認証に成功した認証対象画像に対応する抽出範囲を記憶する手段と、
前記記憶された抽出範囲の頻度に基づき前記照合用画像を変更する手段と、
を具備する
ことを特徴とする掌紋認証装置。 - 前記認識手段は、光度、若しくはフォーカス距離、またはその両方を検出して、その時間変化量が所定の範囲内である場合に手の平が近接してきたことを認識することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の掌紋認証装置。
- 認証時に前記撮像手段により撮影した画像を(d’−f)/(d−f)(但し、d’は該画像撮影時のフォーカス距離、dは前記照合用画像の撮影時のフォーカス距離、fは前記撮像手段の焦点距離)倍に拡大縮小してその大きさを補正する手段を備え、
前記画像抽出手段は、前記補正された画像から前記認証対象画像を抽出する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1の項に記載の掌紋認証装置。 - 請求項1から請求項4のいずれか1の項に記載の掌紋認証装置を備えた携帯電話端末。
- 手の平から掌紋を含んだ画像を採取して該画像を用いて認証を行う掌紋認証装置のコンピュータに、
近接してくる手の平を認識する認識手段からの認識結果に基づいて撮像手段に該認識された手の平の画像の撮影を指示するステップと、
前記撮像手段により撮影された画像から、所定の特徴点を基準として照合用画像と同じ大きさであり且つ範囲の異なる複数の認証対象画像を抽出するステップと、
前記抽出された複数の認証対象画像のそれぞれを、記憶手段に記憶している特定の登録された人物にかかる掌紋の照合用画像と照合して、所定の閾値を基準として両者が一致すると見做された場合にユーザを認証するステップと、
前記複数の認証対象画像のうち認証に成功した認証対象画像に対応する抽出範囲を記憶するステップと、
前記記憶された抽出範囲の頻度に基づき照合する認証対象画像の優先度を決定するステップと、
を実行させるためのプログラム。 - 手の平から掌紋を含んだ画像を採取して該画像を用いて認証を行う掌紋認証装置のコンピュータに、
近接してくる手の平を認識する認識手段からの認識結果に基づいて撮像手段に該認識された手の平の画像の撮影を指示するステップと、
前記撮像手段により撮影された画像から、所定の特徴点を基準として照合用画像と同じ大きさであり且つ範囲の異なる複数の認証対象画像を抽出するステップと、
前記抽出された複数の認証対象画像のそれぞれを、記憶手段に記憶している特定の登録された人物にかかる掌紋の照合用画像と照合して、所定の閾値を基準として両者が一致すると見做された場合にユーザを認証するステップと、
前記複数の認証対象画像のうち認証に成功した認証対象画像に対応する抽出範囲を記憶するステップと、
前記記憶された抽出範囲の頻度に基づき前記照合用画像を変更するステップと、
を実行させるためのプログラム。 - 手の平から掌紋を含んだ画像を採取して該画像を用いて認証を行う掌紋認証方法において、
近接してくる手の平を認識する認識手段からの認識結果に基づいて該認識された手の平から掌紋を含んだ画像を撮影するステップと、
前記撮影された画像から、所定の特徴点を基準として照合用画像と同じ大きさであり且つ範囲の異なる複数の認証対象画像を抽出するステップと、
前記抽出された複数の認証対象画像のそれぞれを、記憶手段に記憶している特定の登録された人物にかかる掌紋の照合用画像と照合して、所定の閾値を基準として両者が一致すると見做された場合にユーザを認証するステップと、
前記複数の認証対象画像のうち認証に成功した認証対象画像に対応する抽出範囲を記憶手段に記憶するステップと、
前記記憶された抽出範囲の頻度に基づき照合する認証対象画像の優先度を決定するステップと、
を含むことを特徴とする掌紋認証方法。 - 手の平から掌紋を含んだ画像を採取して該画像を用いて認証を行う掌紋認証方法において、
近接してくる手の平を認識する認識手段からの認識結果に基づいて該認識された手の平から掌紋を含んだ画像を撮影するステップと、
前記撮影された画像から、所定の特徴点を基準として照合用画像と同じ大きさであり且つ範囲の異なる複数の認証対象画像を抽出するステップと、
前記抽出された複数の認証対象画像のそれぞれを、記憶手段に記憶している特定の登録された人物にかかる掌紋の照合用画像と照合して、所定の閾値を基準として両者が一致すると見做された場合にユーザを認証するステップと、
前記複数の認証対象画像のうち認証に成功した認証対象画像に対応する抽出範囲を記憶手段に記憶するステップと、
前記記憶された抽出範囲の頻度に基づき前記照合用画像を変更するステップと、
を含むことを特徴とする掌紋認証方法。
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