JP4831296B2 - 光ファイバフェルール一体型光アイソレータの製造方法 - Google Patents

光ファイバフェルール一体型光アイソレータの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、光通信、光計測等に用いられる光ファイバフェルール一体型光アイソレータに係り、特に、光ファイバフェルール一体型光アイソレータの特性の一つである光アイソレータ素子と光ファイバフェルール間における反射減衰量の変動が起り難い光ファイバフェルール一体型光アイソレータの製造方法に関するものである。
光通信等において、半導体レーザより出射した光の内、光ファイバやレンズにより反射された光は再び半導体レーザへ戻ってくるが、この反射戻り光は半導体レーザのモードホッピングを招きレーザ発振光を不安定にする主要な原因となる。
そこで、このような反射戻り光を抑制するため、ファラデー効果を利用した光アイソレータが使用されている。
そして、近年、この光アイソレータに対しては、光通信を各都市間の長距離通信から都市内部の通信へ普及させるため、小型、低コストでかつ量産性に優れたものが強く要望されている。同時に、光アイソレータには、従来と変わらない性能と信頼性が要求されている。この対策として、光ファイバフェルールと光アイソレータ素子とを一体化した光ファイバフェルール一体型光アイソレータが提案されている。
例えば、特許文献1には、先端側が斜め面に研磨されたフェルール1とこれに内装されかつ一方の断面がフェルール1先端側から露出する光ファイバ2とを有する光ファイバフェルール3の上記フェルール1先端側に、ファラデー回転子4と偏光子5、5が貼り合わされて成る光アイソレータ素子6を、エポキシ系、アクリル系等の熱硬化型光学用接着剤を用いて接着した構造の光ファイバフェルール一体型光アイソレータが開示されている(図8参照)。尚、図8中、符号7は上記フェルール1を内装する金属フェルール、符号8は金属フェルール7に接着された磁石をそれぞれ示している。
また、特許文献2には、先端側が斜め面に研磨されたフェルール1とこれに内装されかつ一方の断面がフェルール1先端側から露出する光ファイバ2とを有する光ファイバフェルール3の上記フェルール1先端側に、ファラデー回転子4と偏光子5、5が貼り合わされて成る光アイソレータ素子6を、紫外線硬化型接着剤を用いて接着した構造の光ファイバフェルール一体型光アイソレータが開示されている(図9参照)。
ところで、特許文献2に記載された光ファイバフェルール一体型光アイソレータにおいては、上記フェルール1と光アイソレータ素子6とを接着させる際、その接着界面周辺に光アイソレータ素子6の位置決め用冶具を配置する必要があり、この位置決め用冶具の存在により紫外線を上記接着界面に均一に照射することが困難なため、紫外線硬化型接着剤の硬化が不十分となって接着不良を起こす等の問題があった。
他方、特許文献1に記載された光ファイバフェルール一体型光アイソレータにおいても、フェルール1と光アイソレータ素子6との接着に適用される熱硬化型光学用接着剤の種類如何によっては硬化後における温度・湿度により接着剤が変色、劣化を引き起こすことがあり、その耐候性に若干の問題を有していた。
このような技術的背景の下、本発明者等は、耐熱耐湿性と透明度に優れファラデー回転子と偏光子との貼り合わせ等に適用されている特許文献3記載の熱硬化型光学接着剤に着目し、この新規な熱硬化型光学接着剤を用い上記光アイソレータ素子と光ファイバフェルールとを接着させて光ファイバフェルール一体型光アイソレータの製造を試みた。
そして、試作した光ファイバフェルール一体型光アイソレータに対して85℃−85%RH、2000時間の恒温恒湿試験を実施したところ、接着剤の経時劣化に起因した光アイソレータ素子が光ファイバフェルールから脱落する等の耐候性の問題は回避されたが、光ファイバフェルール一体型光アイソレータの特性の一つである光アイソレータ素子と光ファイバフェルール間における反射減衰量の変動が確認された。
尚、特許文献3記載の熱硬化型光学接着剤に代え、特許文献1に記載されたエポキシ系、アクリル系等従来の熱硬化型光学用接着剤を用いて同様の試験を行ったところ、特許文献3記載の熱硬化型光学接着剤と同様、上記反射減衰量が変動する現象が確認された。
そして、光アイソレータ素子と光ファイバフェルール間における上記反射減衰量が変動するということは、光ファイバフェルール一体型光アイソレータの高温−高湿状態での光学特性が安定しないことを意味し、光通信、光計測等に用いられた場合に大きな支障となる。
ここで、上記反射減衰量が変動してしまう詳細な原因については不明であるが、光アイソレータ素子と光ファイバフェルールを熱硬化型光学接着剤で接着する際、接着界面に微小な気泡が発生し、特に光路上に存在する気泡が反射減衰量の変動に影響を及ぼしていると考えられた。
特開2004−205861号公報(請求項1、段落0033−0034) 特開2004−348031号公報(請求項1、段落0032) 特開2004−99863号公報(請求項1−2)
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、その課題とするところは、光ファイバフェルール一体型光アイソレータの特性の一つである光アイソレータ素子と光ファイバフェルール間における反射減衰量の変動が起り難い光ファイバフェルール一体型光アイソレータの製造方法を提供することにある。
そこで、本発明者等は上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、光ファイバフェルールと光アイソレータ素子との接着界面に発生する微小な気泡は、光ファイバフェルール先端を洗浄した際に残留する洗浄液あるいは空気中に存在する水分等が原因であるとの推測の下、光ファイバフェルールの先端側に光アイソレータ素子を接着する際、光ファイバフェルール先端側の接着部位を60℃〜120℃の条件で一定時間加熱して上記洗浄液等を除去し、かつ、40℃〜60℃まで冷却した後、光ファイバフェルールの接着部位を40℃〜60℃に保温しながら水分等の付着を防止した状態で熱硬化型光学用接着剤を塗布し、次いで、上記接着剤が塗布された光ファイバフェルールの接着部位に光アイソレータ素子を接合した後に接着剤を加熱硬化させたところ、上記接着界面に微小な気泡を発生させることなく光ファイバフェルール一体型光アイソレータが得られることを見出すに至った。本発明はこのような技術的発見に基づき完成されている。
すなわち、請求項1に係る発明は、
先端側が平面若しくは斜め面に研磨されたフェルールとこのフェルールに内装されその一端断面がフェルールの先端側より露出する光ファイバとを有する光ファイバフェルールの上記先端側に、ファラデー回転子と偏光子が貼り合わされて成る光アイソレータ素子を接着して光ファイバフェルール一体型光アイソレータを製造する方法を前提とし、
主剤と硬化剤を主成分とする混合型接着剤であり、接着剤として機能する膜厚条件下における熱硬化後の可視光の透過率を90%以上有し、かつ、エポキシ基以外の活性基部分の一部若しくは全部が金属石鹸により不活性化されかつ少なくとも1のエポキシ基にシランカップリング剤が結合されたシラン変性エポキシ樹脂により上記主剤の主成分が構成されると共に、上記硬化剤の主成分がアミン系化合物若しくはアミド系化合物により構成されている熱硬化型光学用接着剤を用いて光ファイバフェルールの先端側に上記光アイソレータ素子を接着する際、光ファイバフェルール先端側の接着部位を60℃〜120℃の条件で一定時間加熱し、40℃〜60℃まで冷却した後、光ファイバフェルールの上記接着部位を40℃〜60℃に保温した状態で熱硬化型光学用接着剤を塗布し、次いで、熱硬化型光学用接着剤が塗布された光ファイバフェルールの接着部位に光アイソレータ素子を接合した後、上記熱硬化型光学用接着剤を加熱硬化させることを特徴とする。
また、請求項2に係る発明は、
請求項1に記載の発明に係る光ファイバフェルール一体型光アイソレータの製造方法を前提とし、
上記熱硬化型光学用接着剤における硬化剤の主成分を構成するアミン系化合物若しくはアミド系化合物が、エポキシ樹脂との反応により内在アミンアダクト化されていることを特徴とし、
請求項3に係る発明は、
請求項1または2に記載の発明に係る光ファイバフェルール一体型光アイソレータの製造方法を前提とし、
上記熱硬化型光学用接着剤における主剤のエポキシ樹脂100重量部に対する硬化剤の配合割合が、硬化剤20〜45重量部の範囲に設定されていることを特徴とし、
請求項4に係る発明は、
請求項1〜3のいずれかに記載の発明に係る光ファイバフェルール一体型光アイソレータの製造方法を前提とし、
光ファイバフェルールにおける上記フェルールがセラミックス材料により構成されていることを特徴とする。
請求項1〜4に記載された発明に係る光ファイバフェルール一体型光アイソレータの製造方法によれば、
主剤と硬化剤を主成分とする混合型接着剤であり、接着剤として機能する膜厚条件下における熱硬化後の可視光の透過率を90%以上有し、かつ、エポキシ基以外の活性基部分の一部若しくは全部が金属石鹸により不活性化されかつ少なくとも1のエポキシ基にシランカップリング剤が結合されたシラン変性エポキシ樹脂により上記主剤の主成分が構成されると共に、上記硬化剤の主成分がアミン系化合物若しくはアミド系化合物により構成されている熱硬化型光学用接着剤を用いて光ファイバフェルールの先端側に上記光アイソレータ素子を接着する際、光ファイバフェルール先端側の接着部位を60℃〜120℃の条件で一定時間加熱し、40℃〜60℃まで冷却した後、光ファイバフェルールの上記接着部位を40℃〜60℃に保温した状態で熱硬化型光学用接着剤を塗布し、次いで、熱硬化型光学用接着剤が塗布された光ファイバフェルールの接着部位に光アイソレータ素子を接合した後、上記熱硬化型光学用接着剤を加熱硬化させているため、光ファイバフェルールと光アイソレータ素子との接着界面に微小な気泡を発生させることなく光ファイバフェルール一体型光アイソレータを得ることができ、光アイソレータ素子と光ファイバフェルール間における反射減衰量の変動が起り難い光ファイバフェルール一体型光アイソレータを製造することが可能となる。
特に、請求項1〜3に記載された発明に係る光ファイバフェルール一体型光アイソレータの製造方法によれば、
主剤と硬化剤を主成分とする混合型接着剤で、接着剤として機能する膜厚条件下における熱硬化後の可視光の透過率90%以上有し、かつ、エポキシ基以外の活性基部分の一部若しくは全部が金属石鹸により不活性化されかつ少なくとも1のエポキシ基にシランカップリング剤が結合されたシラン変性エポキシ樹脂により上記主剤の主成分が構成されると共に、上記硬化剤の主成分がアミン系化合物若しくはアミド系化合物により構成された熱硬化型光学用接着剤が適用されているため、加熱硬化後における上記接着剤の耐熱耐湿性並びに透明度に優れ、これにより経時的劣化の起り難い高信頼性の光ファイバフェルール一体型光アイソレータを製造することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
まず、本発明がその対象とする光ファイバフェルール一体型光アイソレータは、図1(A)〜(C)および図2(A)〜(C)に示すように先端側が平面若しくは斜め面に研磨されたフェルール11とこのフェルール11に内装されその一端断面がフェルールの先端側より露出する光ファイバ12とを有する光ファイバフェルール13と、この光ファイバフェルール13の上記先端側に接着されかつファラデー回転子21と偏光子22、22が貼り合わされて成る光アイソレータ素子23とでその主要部が構成されるものである。尚、図1(A)(B)中符号10は金属ホルダ、図1(A)(B)、および、図2(A)(B)中符号24は磁石を示している。
そして、本発明に係る製造方法は、熱硬化型光学用接着剤を用いて上記光ファイバフェルール13の先端側に光アイソレータ素子23を接着する際、光ファイバフェルール13先端側の接着部位30(図1Cおよび図2C参照)を60℃〜120℃の条件で一定時間加熱し、40℃〜60℃まで冷却した後、光ファイバフェルール13の上記接着部位30を40℃〜60℃に保温した状態で熱硬化型光学用接着剤(図示せず)を塗布し、次いで、熱硬化型光学用接着剤が塗布された光ファイバフェルール13の接着部位30に光アイソレータ素子23を接合した後、上記熱硬化型光学用接着剤を加熱硬化させて光ファイバフェルール一体型光アイソレータを得ることを特徴としている。
(1)光ファイバフェルールの種類について
本発明に係る光ファイバフェルール一体型光アイソレータの一部を構成する上記光ファイバフェルール13の種類については特に制限はなく、図1(C)に示すコネクタ付ピグテールファイバと呼ばれるもの、あるいは、図2(C)に示す光レセプタクルと呼ばれるもの等任意である。
すなわち、コネクタ付ピグテールファイバと呼ばれる光ファイバフェルール13は、図1(C)に示すように先端側が平面若しくは斜め面に研磨されかつ貫通孔14を有するフェルール11と、上記貫通孔14に挿通されその一端断面がフェルール11の先端側より露出する共に他端にコネクタ15を有する光ファイバ12とでその主要部が構成され、かつ、上記フェルール11を内装する金属フェルール16を具備するものである。
他方、光レセプタクルと呼ばれる光ファイバフェルール13は、図2(C)に示すように先端側が平面若しくは斜め面に研磨されかつ貫通孔14を有するフェルール11と、上記貫通孔14と同じ長さを有すると共に貫通孔14に挿入されてその一端断面がフェルール11の先端側より露出する光ファイバ12とでその主要部が構成され、かつ、上記フェルール11の貫通孔14に挿入された上記光ファイバ12の他端と外部の光ファイバ(図示せず)を接続固定するための精密スリーブ17と、この精密スリーブ17の外部を保持する金属ハウジング18、19から成る保持部材を具備するものである。
(2)光ファイバフェルールの加熱処理について
上記光ファイバフェルール13の一部を構成しかつ貫通孔14を有するフェルール11は、ジルコニアあるいは結晶ガラス等のセラミックスを素材として形成されており、このフェルール11の貫通孔14内に挿通あるいは挿入される光ファイバ12は、通常、光学用の有機系接着剤を用いて固定されている。
ところで、光ファイバ12が固定された上記フェルール11の先端部は平面若しくは斜め面に研磨処理されて光ファイバフェルール13が作製されている.
そして、光アイソレータ素子23が接着される光ファイバフェルール13先端の上記接着部位30は、研磨処理に起因した研磨液の残渣成分や運搬中のごみ等が付着している場合があるため、上記光アイソレータ素子23を接着する前に脱脂と清浄を目的とした洗浄処理が施されており、光学用の有機系接着剤を用いて光ファイバ12がフェルール11に固定されている場合には、メタノールやエタノール等のアルコール系洗浄液が好適に利用されている。
ここで、上述した光ファイバフェルールと光アイソレータ素子との接着界面に発生する微小な気泡は、上記光ファイバフェルール先端の接着部位を洗浄した際に残留する洗浄液あるいは空気中に存在する水分等が原因であるとの推測の下、本発明者等は上述したように光ファイバフェルール先端の接着部位を加熱処理して上記洗浄液や水分等の除去を試みたところ、上記気泡の発生が抑制され、その結果、光アイソレータ素子と光ファイバフェルール間における反射減衰量の変動が起り難い光ファイバフェルール一体型光アイソレータを製造することが可能となった。
この加熱処理における温度条件は60℃以上120℃以下であり、水の沸点を考慮した場合、100℃〜120℃の間で行うことがより望ましい。
温度条件が60℃未満の場合、光ファイバフェルール先端の接着部位に含まれている水分等を十分に除去することが困難となり、光ファイバフェルールと光アイソレータ素子との接着に用いられる熱硬化型光学用接着剤の熱硬化処理の際、この接着層内に気泡が発生するので好ましくない。
他方、温度条件が120℃を超える場合、光ファイバをフェルールに固定する光学用の上記有機系接着剤の耐熱温度を超えてしまい、光ファイバフェルールの品質劣化が起きるので好ましくない。
上記光ファイバフェルール先端の接着部位を加熱する方法については特に制約はなく、例えばホットプレートやオーブン等を用いて光ファイバフェルール全体を加熱してもよいし、ラバーヒータ等により上記光ファイバフェルール先端の接着部位を局所的に加熱する方法であってもよく任意である。
また、上記光ファイバフェルール先端の加熱に要する時間については、上記洗浄液や水分等が接着部位より除去できることを条件に任意に設定することができ、例えば、光ファイバフェルールが60℃〜120℃になってから、30分〜120分で行うことが好ましい。加熱時間が30分未満だと上記洗浄液や水分等が十分に除去できない場合があり、反対に120分を超えて加熱をしても、それ以前に洗浄液や水分等が既に除去されて作業時間の単なる無駄な延長に過ぎないからである。
(3)光ファイバフェルールの冷却並びに温度保持について
上記加熱終了後は、光ファイバフェルール先端の接着部位を40℃〜60℃まで冷却し、引き続き40℃〜60℃で接着作業が終了するまで保持しておくことが必要で、作業性を考慮した場合、45℃から55℃で行うことが好ましい。
上記光ファイバフェルール先端の接着部位を40℃未満の温度まで冷却した場合、空気中に存在する水分等が上記接着部位に再付着し易くなり、上述した加熱処理の効果が減少し好ましくない。
他方、60℃を超える温度の場合、光ファイバフェルールと光アイソレータ素子との接着に適用する熱硬化型光学用接着剤の硬化開始温度に近いため、光ファイバフェルール先端の接着部位に塗布された熱硬化型光学用接着剤の状態変化が急激に起って良好な接着が困難となり好ましくない。
また、接着作業時の温度(すなわち、光ファイバフェルールの温度保持条件)が40℃〜60℃の範囲から外れた場合も、光ファイバフェルールの冷却条件と同様の理由から好ましくない。従って、光ファイバフェルールの温度保持条件も40℃〜60℃の範囲に設定することを要する。
また、光ファイバフェルールの冷却並びに温度保持の手段としては、光ファイバフェルール先端の接着部位を加熱する上述した方法を用いることができる。
尚、空気中に存在する水分等の再付着を防止する方法としては、光ファイバフェルールの温度を40℃〜60℃の範囲に保持する方法に較べ煩雑になるが、乾燥窒素を充填させたグローブボックス内で冷却後の接着作業をする方法、あるいは、乾燥窒素を吹きつけながら接着作業する方法等の適用も可能である。
(4)熱硬化型光学用接着剤について
本発明において適用される熱硬化型光学用接着剤は、上記特許文献1に記載されたエポキシ系、アクリル系等、従来から広く利用されている熱硬化型光学用接着剤とは異なり、本発明者等が開発した特許文献3に記載の加熱硬化後における耐熱耐湿性並びに透明度に優れた熱硬化型光学用接着剤であることが必要で、経時的劣化が起り難い高信頼性の光ファイバフェルール一体型光アイソレータを製造するために後者の接着剤が適用される
すなわち、この熱硬化型光学用接着剤は、主剤と硬化剤を主成分とする混合型接着剤であって、接着剤として機能する膜厚条件下における熱硬化後の可視光の透過率90%以上有することを特徴とするものである。ここで、接着剤として機能する膜厚条件とは、接着剤層の膜厚が2.0μm〜3.5mmの範囲内にある条件をいう。上記膜厚が2.0μm未満であると接着剤としての耐熱耐湿性が悪くなり、3.5mmを越えると可視光の透過率が上記数値条件より低下し好ましくない。
そして、上記主剤としては、エポキシ基以外の活性基部分の一部若しくは全部が金属石鹸により不活性化されかつ少なくとも1つのエポキシ基にシランカップリング剤が結合されたシラン変性エポキシ樹脂が挙げられる。
ここで、上記エポキシ樹脂としては、1分子中に1個より多いエポキシ基を有するもので、ビスフェノールA、ビスフェノールAD、ビスフェノールF、水添ビスフェノールA等や、カテコール、レゾルシンなどの多価フェノールとエピクロルヒドリンを反応させて得られるポリグリシジルエーテルや、p−オキシ安息香酸、β−オキシナフト香酸のようなヒドロキシカルボン酸とエピクロルヒドリンを反応させて得られるグリシジルエーテルエステルや、フタル酸、テレフタル酸のようなポリカルボン酸から得られるポリグリシジルエステル、更にはノボラック型エポキシやエポキシ化ポリオレフィン等を用いることができる。また、上記エポキシ樹脂は液体に限ったものでなく、固体のエポキシ樹脂であっても希釈剤などと併用することで適用することができる。これらは単体でも複数混合して適宜用いることが可能であるが、上記エポキシ樹脂に下記のシランカップリング剤を事前に反応させてシラン変性エポキシ樹脂とすることにより接合強度の向上と常温での保存安定性を増加させることが可能となる。
尚、エポキシ樹脂とシランカップリング剤を反応させるには、アルコールと少量の純水および微量の酢酸などの希有機酸を用い加温しながら攪拌後、減圧により余分な成分を取り除くことで脱水縮合反応を経て安定活性が得られるオリゴマーを得ることができる。そして、エポキシ樹脂とシランカップリング剤を反応させる際に金属石鹸を併存させることにより、シランカップリング剤をエポキシ樹脂のエポキシ基に対し選択的に反応させることが可能となる。
また、上記シランカップリング剤は、下記一般式(1)で表される有機珪素化合物であり、一般式(1)中、Xはビニル基、アミノアルキル基、エポキシアルキル基、メタクリルアルキル基等を示し、Rはメトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基等のアルコキシル基を示す。
Figure 0004831296
尚、上記シラン変性エポキシ樹脂の好ましい形態としては、エポキシ樹脂との加熱反応によりエポキシ樹脂の分子構造の一部に金属石鹸が予め結合したシラン変性エポキシ樹脂、すなわち、エポキシ基以外の活性基部分の一部若しくは全部が金属石鹸により不活性化されたシラン変性エポキシ樹脂が挙げられる。
そして、適用できる金属石鹸としては、ナトリウム、カリウム等に加えて二価以上の金属、例えばアルミニウム、カルシウム、マンガン、鉛、錫、亜鉛等のアルカリ土類金属および重金属が、オクチル酸、ノニル酸、ステアリン酸、ナフテン酸等の有機酸と結合した有機酸塩が挙げられ、これらは単一でも複数混合して適用してもよい。
次に、上記硬化剤としては、脂肪族ポリアミン、ポリオキシアルキレンジアミン、および、脂肪族ポリアミンとポリオキシアルキレンジアミン等の混合物が使用できる。しかし、硬化剤はこれらに限ったものでなく、硬化物の耐熱耐湿性、透明性が満足できれば、芳香族アミン、脂環族アミン等のアミン系、アミド系硬化剤の適用が可能である。ここで、アミン系、アミド系以外の硬化剤、例えばテトラヒドロ無水フタル酸等の酸無水物系は硬化後の耐熱耐湿において遊離酸を発生し、BFカチオン重合型系はルイス酸の遊離が懸念され、更にイミダゾール化合物系は硬化物の着色、ジシアンジアミド系は分解ガスによるボイドの発生があり好ましくない。尚、硬化剤としてのアミン系化合物若しくはアミド系化合物が、エポキシ樹脂との反応により内在アミンアダクト化されていることが好ましい。すなわち、アミン系化合物若しくはアミド系化合物における末端アミノ基の活性水素の一部を、事前にエポキシ化合物と反応させる変性を行う(すなわち内在アミンアダクト化する)ことで、分子量の最適化による保存安定性と硬化温度の低下、更には接合強度の安定を付与できる利点を有する。そして、これらのものは、エポキシ樹脂当量以上の硬化剤を蟻酸、酢酸等の有機酸水溶液中で室温にて反応させ、希アンモニアガス等に触れさせて中和させた後、アルコールと水で洗浄を行い減圧乾燥させることで得られる。
また、主剤のエポキシ樹脂に対する硬化剤の配合割合は、エポキシ基以外の活性基部分の一部若しくは全部が上記金属石鹸により不活性化されかつ少なくとも1つのエポキシ基にシランカップリング剤が結合されたシラン変性エポキシ樹脂により主剤の主成分が構成されることを前提として、エポキシ樹脂100重量部に対して硬化剤20〜45重量部の範囲に設定することが好ましい。硬化剤の重量部が45重量部を超える割合で配合されていると、硬化後の温度・湿度により硬化物の変色劣化が発生する場合があるからである。反対に、硬化剤の重量部が20重量部未満であると、熱硬化が不十分となる場合があるからである。
次に、希釈剤は、特に必須の成分ではないが、適当な作業性を維持するために必要な場合、過度に加えると硬化物の耐熱性を劣化させ、硬化時のボイド(空隙)、分離、染みだしを発生させるので扱いに注意を要する。希釈剤の種類は、接着剤の使用用途により添加量は規定しないが、希釈効率が高く、相溶性に優れ、吸湿性や毒性の無いものが望ましい。
また、本発明に用いる熱硬化型光学用接着剤には、必要に応じてアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ブチラール樹脂、フェノール樹脂等の添加により透明性、熱膨張係数の調整、応力緩和性を加味することも可能であり、添加剤の利用を妨げるものではない。また、紫外線吸収剤、界面活性剤、相溶化剤、着色防止剤、等のいわゆる鼻薬も添加することができる。
尚、光ファイバフェルール先端の接着部位への熱硬化型光学用接着剤の塗布は、ディスペンサ、印刷、スタンピングなどの手段が適宜利用できる。
(5)熱硬化型光学用接着剤の硬化について
光ファイバフェルール先端の上記接着部位を40℃〜60℃に保温した状態で熱硬化型光学用接着剤を塗布し、次いで、熱硬化型光学用接着剤が塗布された光ファイバフェルールの接着部位に光アイソレータ素子を接合した後、熱硬化型光学用接着剤を加熱硬化させて光ファイバフェルール先端に光アイソレータ素子を接着させ、その後磁石を含む他の部品を装着すれば本発明に係る光ファイバフェルール一体型光アイソレータを作製することができる。
尚、熱硬化型光学用接着剤が塗布された光ファイバフェルールの接着部位に光アイソレータ素子を接合した後は、上記接着部位を加熱するまで接着部位の温度を40℃〜60℃に保持してもよいし、あるいは、室温に放置しておいてもよく任意である。
また、接着剤の加熱については特に制限はなく、例えばオーブン、ホットプレートおよびラバーヒータ等の器具を用いて行うことができる。
接着剤の加熱温度は、適用した熱硬化型光学用接着剤の種類に応じて適宜設定され、特許文献3に記載された上述の熱硬化型光学用接着剤を適用した場合には、100℃〜120℃で、加熱時間は60分〜120分である。加熱温度が100℃未満の場合、熱硬化型光学用接着剤の硬化に長時間かかることから好ましくなく、反対に120℃を超えた場合、光ファイバをフェルールに固定する光学用有機系接着剤の耐熱温度を超えてしまうことがあり、光ファイバフェルールの品質劣化が起き易いことから好ましくない。また、加熱時間が60分未満の場合、熱硬化型光学用接着剤の硬化が不十分になり易いことから好ましくなく、反対に120分を超えた場合、熱硬化型光学用接着剤の硬化は十分終了しており、作業時間の延長になることから好ましくない。
(6)光ファイバフェルール一体型光アイソレータにおける気泡の評価方法について
製造された光ファイバフェルール一体型光アイソレータにおける接着界面の気泡の評価方法として、例えば、赤外線顕微鏡による方法、反射減衰量を測定する方法および反射光による方法がある。
赤外線顕微鏡による評価では、気泡と接着剤の屈折率が異なるため、気泡の存在による円状の境界線が観察されることで判定できる。
次に、上記反射減衰量は、光アイソレータ素子が接着される前の光ファイバフェルール単体の反射戻り光量(I)と、光アイソレータ素子が接着された光ファイバフェルール一体型光アイソレータの反射戻り光量(I)とを測定し、反射戻り光量(I)に対する反射戻り光量(I)の比の対数値から算出される。
そして、反射減衰量による評価では、接着界面の気泡が光ファイバのコア付近に存在すれば、そこでの屈折率差による反射がおきるので反射減衰量が30dB以下となる。尚、反射減衰量を測定する際、測定光の光路上に気泡が存在する場合と、測定光の光路上にたまたま気泡が存在しない場合とで反射減衰量の数値に差異が生ずることから反射減衰量の変動が現象として現れる。
また、反射光による評価では、光ファイバと第二偏光子間の反射光以外に、接着界面中に存在する気泡による反射光が観察される。
以下、本発明の実施例について具体的に説明する。
この実施例1においては光アイソレータ素子23として、ガラス偏光子(コーニング社製 商品名:ポーラコア、11mm角×0.2mm厚)から成る偏光子22、22と、ビスマス置換希土類鉄ガーネット[住友金属鉱山(株)社製 商品名:YTd5Ve、11mm角]から成るファラデー回転子21とで構成されるものを適用した。
また、熱硬化型光学用接着剤としては、以下の主剤と硬化剤を主成分とする特許文献3に記載された接着剤を適用した。
主剤
エポキシ樹脂(ビスフェノールA型「EPIKOTE 828」:シェル社製 エポキシ樹脂登録商標)100重量部に対し、メタノールと微量の蟻酸(または酢酸)を加え、混合攪拌した後、温度20±5℃の条件で有機溶剤に溶かした0.5重量部のオクチル酸スズを混合した。
混合後、60℃程度の条件で加温、攪拌し、その後、常温に戻しかつ純水を加え真空攪拌によりアルコール(メタノール)、水および蟻酸(または酢酸)を除去する。
次に、γグリシドキシトリメトキシシラン5重量部と、アルコール系溶剤および純水を若干加え、60±20℃で真空攪拌脱泡を行った後、冷却器を使い徐々に冷却して、エポキシ基以外の活性基部分の一部若しくは全部が金属石鹸により不活性化されかつ少なくとも1のエポキシ基にシランカップリング剤が結合されたシラン変性エポキシ樹脂を得た。
硬化剤
ビスフェノールA型エポキシ樹脂100重量部に、メンセンジアミン(MDA)60重量部を加え、15重量%酢酸水溶液中で60±5℃で混合攪拌した後、室温に戻し、10重量%アンモニア水にて中和させ、更に水とメタノールにて洗浄を行った後、減圧蒸留を行い、MDAアダクトを得た。
このMDAアダクト40重量部にポリオキシアルキレンジアミンを60重量部混合し窒素ガス中で混合攪拌を行い硬化剤とした。
そして、主剤:硬化剤の重量割合を100:35として秤量し、秤量後は十分に攪拌すると共に、攪拌に伴い発生する混合物中の気泡を十分に除去して実施例1に適用する熱硬化型光学用接着剤を得た。
まず、この熱硬化型光学用接着剤を用いて上記ファラデー回転子21と偏光子22、22とを貼り合わせ、次いで120℃で6時間硬化させたものを0.5mm角に切断してこの実施例で適用する光アイソレータ素子23を作製した。
次に、図1(C)に示されたアダマンド社製のコネクタ付ピグテールファイバと称される光ファイバフェルール13(フェルール11の先端側が斜め面に予め研磨処理されている)の接着部位30についてメタノールを染み込ませた綿棒により洗浄を行った後、この光ファイバフェルール13を上記光アイソレータ素子23との位置決めをするための冶具(図示せず)に固定し、かつ、ホットプレート(アズワン社製)上に配置して110℃の条件で75分間加熱した。
加熱終了後、上記ホットプレートの温度を50℃に設定し、光ファイバフェルール13における接着部位30の温度が50℃になった後、この接着部位30にディスペンサ(武蔵エンジニアリング社製)を用いて上記熱硬化型光学用接着剤を塗布し、かつ、上記光アイソレータ素子23を接着した。
接着後、上記位置決め冶具ごとホットプレート上に配置し、120℃の条件で120分間加熱処理して熱硬化型光学用接着剤を硬化させた。
次に、上記熱硬化型光学用接着剤を用い金属フォルダ10に磁石24が接着された部材を、図1(B)に示すように光ファイバフェルール13の先端部位に同じく上記熱硬化型光学用接着剤を用いて接着し、図1(A)に示す実施例1に係る光ファイバフェルール一体型光アイソレータを得た。
図2(C)に示されたアダマンド社製の光レセプタクルと称される光ファイバフェルール13(フェルール11の先端側が斜め面に予め研磨処理されている)の接着部位30についてメタノールを染み込ませた綿棒により洗浄を行った後、この光ファイバフェルール13を上記光アイソレータ素子23との位置決めをするための冶具(図示せず)に固定し、かつ、オーブン(アドバンテック社製)により120℃の条件で120分間加熱した。
加熱終了後、上記オーブンの温度を60℃に設定し、かつ、光ファイバフェルール13における接着部位30の温度が60℃になった後、光ファイバフェルール13をオーブンから取り出した。
次に、予め表面温度を60℃に設定しておいたホットプレート上に上記光ファイバフェルール13を配置した後、光ファイバフェルール13の接着部位30にディスペンサ(武蔵エンジニアリング社製)を用いて実施例1で用いた熱硬化型光学用接着剤を塗布し、かつ、実施例1で用いたものと同一の光アイソレータ素子23を接着した。
接着後、上記オーブンを用い120℃の条件で120分間加熱処理して熱硬化型光学用接着剤を硬化させた。
次に、図2(B)に示すように保持部材の一部を構成する金属ハウジング19に上記熱硬化型光学用接着剤を用いて磁石24を接着し、図2(A)に示す実施例2に係る光ファイバフェルール一体型光アイソレータを得た。
実施例1において、綿棒による洗浄後、上記光ファイバフェルール13における接着部位30の加熱温度を60℃、加熱時間を30分、冷却温度を40℃、保温温度を40℃とした以外は実施例1と同一の条件で実施例3に係る光ファイバフェルール一体型光アイソレータを得た。
実施例1において適用した熱硬化型光学用接着剤の上記主剤80重量部にビスフェノールF型エポキシ樹脂20重量部を加え、攪拌混合して実施例4の主剤とし、かつ、この主剤:硬化剤の重量割合が100:25である点を除き実施例1と同一の条件で実施例4に係る光ファイバフェルール一体型光アイソレータを得た。
実施例1において適用した熱硬化型光学用接着剤の上記金属石鹸として「オクチル酸スズ」に代えて「ナフテン酸銅」を適用し、かつ、主剤:硬化剤の重量割合が100:25である点を実施例1と同一の条件で実施例5に係る光ファイバフェルール一体型光アイソレータを得た。
[比較例1]
光ファイバフェルール13における接着部位30の加熱温度を、実施例1の110℃に代えて55℃とした以外は実施例1と同一の条件で比較例1に係る光ファイバフェルール一体型光アイソレータを得た。
[比較例2]
光ファイバフェルール13における接着部位30の冷却温度を、実施例1の50℃に代えて35℃とした以外は実施例1と同一の条件で比較例2に係る光ファイバフェルール一体型光アイソレータを得た。
[比較例3]
光ファイバフェルール13における接着部位30の保温温度を、実施例1の50℃に代えて35℃とした以外は実施例1と同一の条件で比較例3に係る光ファイバフェルール一体型光アイソレータを得た。
[評価と確認]
光学特性
(1)挿入損失、逆方向挿入損失による評価
図3(A)(B)に示す測定系により各実施例並びに各比較例に係る光ファイバフェルール一体型光アイソレータの挿入損失、逆方向挿入損失を測定した。
尚、図3(A)(B)において、符号51はLD安定光源(安藤電気社製LD)、52は光ファイバ、53はレンズ、54は偏光子、55はディテクタ、56は光パワーメータ(安藤電気社製光マルチメータ)をそれぞれ示し、図3(A)の符号40は測定対象である光ファイバフェルール一体型光アイソレータ、図3(B)の符号41は向きを反転させた測定対象である光ファイバフェルール一体型光アイソレータを示している。そして、LD安定光源51から光ファイバフェルール一体型光アイソレータ40または41に光を入射し、かつ、光ファイバフェルール一体型光アイソレータ40または41を透過する光量を光パワーメータ56により計測して各実施例並びに各比較例に係る光ファイバフェルール一体型光アイソレータの挿入損失、逆方向挿入損失を測定している。
そして、表1に示す「挿入損失、逆方向挿入損失」の測定結果から、各実施例と各比較例に係る光ファイバフェルール一体型光アイソレータ間において挿入損失に0.1dB程度の差が出る結果となった。これは、光アイソレータ素子と光ファイバフェルール間の接着界面における光路上に存在する気泡が原因であると思われる。
他方、逆方向挿入損失は、上記光路上に存在する気泡が特性値に与える影響が少ないため、各実施例と各比較例に係る光ファイバフェルール一体型光アイソレータ間において差異のない結果となった。
(2)反射減衰量による評価
図4に示す測定系により各実施例並びに各比較例に係る光ファイバフェルール一体型光アイソレータの反射減衰量を測定した。
尚、図4において、符号60は光ファイバ、61はASE光源(JDS社製)、62はコネクタ、63は光カプラ、64、65はコネクタ、66は光パワーメータ(アジレント社製 光マルチメータ8153A)を示し、また、42は測定対象である光ファイバフェルール一体型光アイソレータ(コネクタ付ピグテールファイバタイプ)、15はコネクタ、43は測定対象である光ファイバフェルール一体型光アイソレータ(光レセプタクルタイプ)、60は光ファイバ、67はコネクタ、68は光ファイバフェルールをそれぞれ示している。
そして、測定対象が光ファイバフェルール一体型光アイソレータ(コネクタ付ピグテールファイバタイプ)42の場合には、まず、光アイソレータ素子が接着されていない光ファイバフェルールについて、そのコネクタ15を測定系のコネクタ64に接続し、ASE光源61から上記光ファイバフェルールに光を入射し、この光ファイバフェルール単体から反射してくる反射戻り光量(I)を光パワーメータ66で計測する。
次に、光アイソレータ素子が接着された光ファイバフェルール一体型光アイソレータ(コネクタ付ピグテールファイバタイプ)42のコネクタ15を測定系のコネクタ64に接続し、ASE光源61から光ファイバフェルール一体型光アイソレータ42に光を入射し、光アイソレータ素子と光ファイバフェルール間の接着界面から反射してくる反射戻り光量(I)を光パワーメータ66で計測し、以下の数式より反射減衰量を測定する。
反射減衰量=10×log(I/I)(dB)
尚、測定対象が光ファイバフェルール一体型光アイソレータ(光レセプタクルタイプ)43の場合も、同様の方法により光アイソレータ素子が接着されていない光ファイバフェルール単体から反射してくる反射戻り光量(I)(リファレンス値)を計測し、次に、光アイソレータ素子が接着された光ファイバフェルール一体型光アイソレータ(光レセプタクルタイプ)43の精密スリーブに光ファイバフェルール68を挿入し、光ファイバフェルール68のコネクタ67を測定系のコネクタ64に接続し、かつ、ASE光源61から光ファイバフェルール一体型光アイソレータ43に光を入射し、接着界面から反射してくる反射戻り光量(I)を光パワーメータ66で計測して反射減衰量を測定する。
この測定結果も以下の表1に示す。
そして、表1に示された測定結果から各比較例の反射減衰量は全て30dB以下になっており、光アイソレータ素子と光ファイバフェルール間の接着界面に気泡が存在することが確認される。他方、各実施例の反射減衰量は全て30dBを越えており、光アイソレータ素子と光ファイバフェルール間の接着界面に気泡が存在しないことが確認される。
(3)反射光による評価
図5に示すリフレクトメータ(アジレント社製 プレシジョンリフレクトメータ8504B)71、コネクタ72、73および光ファイバ70とで主要部が構成される測定系により、実施例1および比較例1に係る光ファイバフェルール一体型光アイソレータ(コネクタ付ピグテールファイバタイプ)42の光アイソレータ素子と光ファイバフェルール間における反射光を測定した。
尚、測定対象が光ファイバフェルール一体型光アイソレータ(光レセプタクルタイプ)43の場合には、その精密スリーブに光ファイバフェルール68を挿入し、かつ、光ファイバフェルール68のコネクタ67を上記測定系のコネクタ73に接続して測定する。
実施例1および比較例1に係る光ファイバフェルール一体型光アイソレータ(コネクタ付ピグテールファイバタイプ)の測定結果を図6と図7に示す。
そして、実施例1に係る光ファイバフェルール一体型光アイソレータの図6のグラフ図では反射光81が1つであるのに対し、比較例1に係る光ファイバフェルール一体型光アイソレータの図7のグラフ図では反射光82、83が2つ存在し、光ファイバと第二偏光子間の反射光以外に、接着界面中に存在する気泡に起因した反射光が観察される。
接着剤層の厚み
各実施例並びに各比較例に係る光ファイバフェルール一体型光アイソレータの接着剤層(光アイソレータ素子と光ファイバフェルールとを接着する接着剤層)の厚みを測定するため、各光アイソレータを樹脂モールドしかつ断面研磨を実施した後、光学顕微鏡(キーエンス社製、VH2000)にて厚みを測定した。
その結果を表1に示す。
表1に示す「接着剤層厚み(μm)」の測定結果から、各実施例と各比較例に係る光ファイバフェルール一体型光アイソレータ間においてその厚みに大きな差異は存在しないことが確認される
接着界面の気泡
各実施例並びに各比較例に係る光ファイバフェルール一体型光アイソレータの光アイソレータ素子と光ファイバフェルール間における接着界面に気泡が存在するか否かについて、赤外線カメラ(浜松ホトニクス社製)と赤外線顕微鏡(オリンパス社製)およびテレビモニタ(浜松ホトニクス社製)を用いて観察をしたところ、以下の表1に示すように実施例に係る上記光アイソレータでは気泡が確認されなかったが、比較例に係る各光アイソレータでは気泡が確認された。
Figure 0004831296
本発明に係る製造方法によれば、光ファイバフェルールと光アイソレータ素子との接着界面に微小な気泡を発生させることなく光ファイバフェルール一体型光アイソレータを得ることができるため、反射減衰量の変動が起り難い光ファイバフェルール一体型光アイソレータを製造することが可能となる。
従って、高信頼性の光ファイバフェルール一体型光アイソレータに適用される産業上の利用可能性を有している。
図1(A)は本発明の実施の形態に係る光ファイバフェルール一体型光アイソレータの構成説明図、図1(B)はその部分拡大図、図1(C)は上記光ファイバフェルール一体型光アイソレータの一部を構成しコネクタ付ピグテールファイバと称される光ファイバフェルールの構成説明図。 図2(A)は本発明の他の実施の形態に係る光ファイバフェルール一体型光アイソレータの構成説明図、図2(B)はその部分拡大図、図2(C)は光ファイバフェルール一体型光アイソレータの一部を構成し光レセプタクルと称される光ファイバフェルールの構成説明図。 図3(A)および図3(B)は実施例並びに比較例に係る光ファイバフェルール一体型光アイソレータの挿入損失、逆方向挿入損失を測定するための測定系を示す構成説明図。 実施例並びに比較例に係る光ファイバフェルール一体型光アイソレータの反射減衰量を測定するための測定系を示す構成説明図。 実施例1並びに比較例1に係る光ファイバフェルール一体型光アイソレータの光アイソレータ素子と光ファイバフェルール間における反射光を測定するための測定系を示す構成説明図。 実施例1に係る光ファイバフェルール一体型光アイソレータの光アイソレータ素子と光ファイバフェルール間における反射光の測定結果を示すグラフ図。 比較例1に係る光ファイバフェルール一体型光アイソレータの光アイソレータ素子と光ファイバフェルール間における反射光の測定結果を示すグラフ図。 従来例に係る光ファイバフェルール一体型光アイソレータの構成説明図。 他の従来例に係る光ファイバフェルール一体型光アイソレータの構成説明図。
符号の説明
10 金属ホルダ
11 フェルール
12 光ファイバ
13 光ファイバフェルール
14 貫通孔
15 コネクタ
16 金属フェルール
21 ファラデー回転子
22 偏光子
23 光アイソレータ素子
24 磁石
30 接着部位

Claims (4)

  1. 先端側が平面若しくは斜め面に研磨されたフェルールとこのフェルールに内装されその一端断面がフェルールの先端側より露出する光ファイバとを有する光ファイバフェルールの上記先端側に、ファラデー回転子と偏光子が貼り合わされて成る光アイソレータ素子を接着して光ファイバフェルール一体型光アイソレータを製造する方法において、
    主剤と硬化剤を主成分とする混合型接着剤であり、接着剤として機能する膜厚条件下における熱硬化後の可視光の透過率を90%以上有し、かつ、エポキシ基以外の活性基部分の一部若しくは全部が金属石鹸により不活性化されかつ少なくとも1のエポキシ基にシランカップリング剤が結合されたシラン変性エポキシ樹脂により上記主剤の主成分が構成されると共に、上記硬化剤の主成分がアミン系化合物若しくはアミド系化合物により構成されている熱硬化型光学用接着剤を用いて光ファイバフェルールの先端側に上記光アイソレータ素子を接着する際、光ファイバフェルール先端側の接着部位を60℃〜120℃の条件で一定時間加熱し、40℃〜60℃まで冷却した後、光ファイバフェルールの上記接着部位を40℃〜60℃に保温した状態で熱硬化型光学用接着剤を塗布し、次いで、熱硬化型光学用接着剤が塗布された光ファイバフェルールの接着部位に光アイソレータ素子を接合した後、上記熱硬化型光学用接着剤を加熱硬化させることを特徴とする光ファイバフェルール一体型光アイソレータの製造方法。
  2. 上記熱硬化型光学用接着剤における硬化剤の主成分を構成するアミン系化合物若しくはアミド系化合物が、エポキシ樹脂との反応により内在アミンアダクト化されていることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバフェルール一体型光アイソレータの製造方法。
  3. 上記熱硬化型光学用接着剤における主剤のエポキシ樹脂100重量部に対する硬化剤の配合割合が、硬化剤20〜45重量部の範囲に設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の光ファイバフェルール一体型光アイソレータの製造方法。
  4. 光ファイバフェルールにおける上記フェルールがセラミックス材料により構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光ファイバフェルール一体型光アイソレータの製造方法。
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