JP4831003B2 - レーザ照射によるガラス基板表面の表面傷部の修復法 - Google Patents

レーザ照射によるガラス基板表面の表面傷部の修復法 Download PDF

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Description

本発明は、ガラス板表面の表面傷部を平滑化することにより修復する方法に関する。
ガラス板は一般的にフロート法、フュージョン法、ダウンドロー法などを用いて製造されている。これらの製法で作製したガラス板は液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイといったフラットパネルディスプレイ用ガラス基板等に用いられている。
上述のガラス板の表面に表面傷部が存在すると視認性を悪化させることが知られており、ディスプレイ用ガラス基板の場合、表面傷部が表示に影響を与えるという問題がある。また、特にディスプレイ用ガラス基板に存在する微小な表面傷部が電極形成時に断線の原因となることがしばしば問題となる。この結果、ガラス板の歩留まりが低下する。
表面傷部を修復する方法として、ガラス基板の機械的な研磨やファイアポリッシュが一般に知られている。しかし、ガラス基板の機械的な研磨においては、ガラス基板の保持や高精度な研磨パッドの運動制御が必要となる。また、研磨に用いるスラリーや研磨により発生するガラス微粒子などの除去作業が必要となり工程が煩雑になる。ファイアポリッシュはガラス表面を火炎により溶融し、平滑面を得ることができる。しかしながら、火炎を高精度に微小な表面傷部に接触させることは困難であり、表面傷部のみを溶融することが不可能である。
特許文献1には、機械的な研磨を用いずにガラス板表面のクラックを修復し、高強度化する方法が開示されている。前記手法はガラス全体を炉でガラスの粘度が1015ポアズになるまで予熱し、炭酸ガスレーザで表面の表面傷部を溶融することにより表面傷部の修復を行う方法である。前記方法ではガラス全体を炉に挿入し加熱するため、ガラスの加熱に長時間を必要とし、さらにガラスの加熱炉とレーザ照射装置の複合化が必要となるため、装置や操作が大掛かりで複雑なものとなる。
特許文献2には、ディスプレイ用ガラス表面のクラック上に金属薄膜を形成し、金属薄膜に波長1μmのYAGレーザ光を吸収させ加熱し、その熱でガラスを溶融し、クラックを修復する方法が開示されている。しかしながら、この方法はガラスに対して吸収効率の低いYAGレーザを使用し、ガラス上に金属薄膜を生成する複雑な工程を必要とする。このため、クラック修復後に開口部材として使用するためには金属膜除去工程などが必要となり、工程が複雑化する。
特許文献3には、ガラス基板の表面傷部に樹脂を充填後に固化させ、表面を研磨することで表面傷部の修復を行うことが開示されている。しかし、この方法は表面傷部修復に樹脂を用いているため、修復後の基板を高温熱処理プロセスやエッチングプロセスなどの工程には使用できないという問題がある。
特表昭57−501326号公報 特開2006−206372号公報 特開平5−150205号公報
本発明では、これらの課題を解決するためのガラス板、特にディスプレイ用ガラス基板の表面傷部を平滑化する方法を提供することを目的とする。
本発明は、ガラス板の表面傷部に連続発振レーザ光とパルス発振レーザ光とを照射することにより前記表面傷部を加熱し平滑化する方法であって、下記工程A〜Cを含むことを特徴とするガラス板の表面傷部の平滑化方法を提供する。
工程A:前記連続発振レーザ光を、前記ガラス板の表面傷部に照射し、前記ガラス板の表面傷部を加熱する工程。
工程B:前記連続発振レーザ光を照射しながら、前記パルス発振レーザ光の前記ガラス板上の照射面積が、前記連続発振レーザ光の前記ガラス板上の照射面積以下であり、前記パルス発振レーザ光を前記連続発振レーザの照射面に包含されるように表面傷部に照射し、表面傷部を軟化点温度以上に加熱する工程。
工程C:前記パルス発振レーザ光の照射後も、前記連続発振レーザ光を前記ガラス板の表面傷部に照射する工程。
また、本発明は、パルス発振レーザ光の波長が3〜11μmであることを特徴とする前記ガラス板の表面傷部の平滑化方法を提供する。
また、本発明は、パルス発振レーザ光のパルス幅が、1μ秒〜500m秒であることを特徴とする前記ガラス板の表面傷部の平滑化方法を提供する。
また、本発明は、パルス発振レーザ光の前記ガラス板上の照射面において、平均ワット数/照射面積で定義される平均パワー密度が1〜100W/mmであることを特徴とする前記ガラス板の表面傷部の平滑化方法を提供する。
本発明は、連続発振レーザ光の波長が3〜11μmであることを特徴とする前記ガラス板の表面傷部の平滑化方法を提供する。
また、本発明は、連続発振レーザ光のワット数/照射面積で定義されるパワー密度が0.05〜5W/mmであることを特徴とする前記ガラス板の表面傷部の平滑化方法を提供する。
また、本発明は、連続発振レーザ光照射開始から、1〜100秒後に前記パルス発振レーザ光を照射し、前記パルス発振レーザ光照射から1〜1000秒後に前記連続発振レーザ光照射を停止することを特徴とする前記ガラス板の表面傷部の平滑化方法を提供する。
また、本発明は、パルス発振レーザ光および前記連続発振レーザ光のビームプロファイルがフラットトップ型の強度分布であることを特徴とする前記ガラス板の表面傷部の平滑化方法提供する。
本発明の方法によれば、ガラス板、特にディスプレイ用ガラス基板、特にフラットパネルディスプレイ用ガラス基板の表面に存在する表面傷部を残留応力が小さい状態で平滑化することで表面傷部の視認性を低下させることができる。
本発明は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイといったフラットパネルディスプレイに用いられるガラス基板の製造時に生じるガラス基板の表面傷部を平滑化し、量産性を確保した上でガラス基板の歩留まりを向上させる方法を提供するものである。
これらのガラス板の表面傷部の大きさはその起源により様々であるが、本発明におけるガラス板表面の表面傷部は、幅が数μm〜数100μm、深さが数10μm以下のものを指す。これらの表面傷部の長さは数μm〜数mmに及ぶ。例えば、フロート法で製造された際にできる表面傷部や、またガラス基板表面には数μm〜数10μmの大きさのスズを含んだ異物が付着し、その異物をYAGレーザやフェムト秒レーザなどで除去した後の除去痕などもこれらの表面傷部に含まれる。
本発明は、レーザ照射によるガラス基板表面の表面傷部の修復法のガラス板の表面傷部に連続発振レーザ光とパルス発振レーザ光とを照射することにより前記表面傷部を加熱し平滑化する方法である。
本発明の工程Aでは、連続発振レーザ光を、ガラス板の表面傷部に照射し、前記ガラス板の表面傷部を加熱する。この工程は、連続発振レーザ光により表面傷部を加熱することにより、パルス発振レーザ光の照射による急加熱に起因する割れや破損を防ぐのに必要な工程である。
工程Aでは、前記ガラス板の表面傷部を歪点温度以上に加熱することが好ましい。歪点温度以上に加熱することで傷部が膨張し、周囲の未加熱ガラスにより拘束され、加熱した傷部が圧縮され、ガラス板の表面傷部に圧縮応力を発生させることにより、連続発振レーザ光に続いて照射されるパルス発振ガスレーザによる破損を防ぐ役割を果たすことができるからである。また、歪点温度以上に加熱することで、続いて照射するパルスレーザにより傷部を変形させやすくする目的も有する。ここで、歪点温度とは、ガラスの内部歪が4時間で実質的に除去できる温度で、ガラスの粘性係数が、η=1014.5の値をもつ温度である。歪点温度以上で事実上ガラスの構造変化を誘起可能であるため、該温度以上に加熱する必要がある。
また、工程Aでは、ガラス転移点温度未満に加熱することが好ましい。これはガラス転移点温度以上にガラス板の表面傷部を加熱してしまうと、そのような加熱により強い歪が発生してしまうからである。ここで、ガラス転移点温度とは、示差熱分析により測定される温度で、その温度までの膨張に比べてガラスの構造変化に由来する急激な膨張が誘起されるため、強い歪、過度な膨張、破損が誘起される可能性のある温度である。
工程Aでは、連続発振レーザ光を前記ガラス板の表面傷部に照射し、傷部および傷部近傍を予め加熱することにより、傷部および傷部近傍のガラスが流動しやすくなる。そのため、同じパワー密度のパルス発振炭酸ガスレーザ光のみの照射を行った場合に比べて、連続発振炭酸ガスレーザ光照射を併用することで、より大きな傷を消去し平滑化することが可能となる。
工程Aにおける連続発振レーザ光のガラス板の表面傷部に照射する照射面積は、必ずしも傷部と同等以上の面積である必要はない。連続発振レーザ光によってガラス板表面で、歪点温度以上かつ転移点温度未満の温度に保つ必要があるのは、傷部に照射されるパルスレーザ光の照射面積より大きな面積であればよいからである。しかしながら、工程Aでは、後述する工程Bのパルス発振レーザ光が照射される範囲より広い範囲が加熱されている必要があるため、連続発振レーザ光の照射面積が平滑化したい傷部より小さい場合は、連続発振レーザ光を走査することで平滑化したい傷部全体に照射することが必要となる。そのため、連続発振レーザ光のガラス板の表面傷部に照射する照射面積は、傷部より大きな面積であることが好ましい。それは、上述のような走査が不要となり、傷部の平滑化がより簡便に行えるからである。
工程Bでは、連続発振レーザ光を照射しながら、パルス発振レーザ光のガラス板上の照射面積が、前記連続発振レーザ光の前記ガラス板上の照射面積以下であり、前記パルス発振レーザ光を前記連続発振レーザの照射面に包含されるように表面傷部に照射し、表面傷部を軟化点温度以上に加熱することによって溶融し平滑化する。ここで、軟化点温度とは、ガラスの粘性係数が、η=107.6に相当する温度で、実質的にガラスの変形を誘起可能な温度である。
上述したように、工程Aでガラス板の表面傷部を加熱するのは、ガラス板の表面傷部を流動させやすくさせ、かつ、表面傷部に圧縮応力を発生させ、続いて工程Bで照射されるパルス発振レーザによる溶融を補助する役割と破損を防ぐ役割を果たすためである。
そのため、工程Bで照射されるパルス発振レーザのガラス板上の照射面積は、前記連続発振レーザ光の前記ガラス板上の照射面積以下である必要がある。また、同様の理由で、工程Aの連続発振レーザ光の照射により、予め加熱された面積に対して、前記パルス発振レーザ光を前記連続発振レーザの照射面に包含されるように表面傷部に照射する必要がある。
パルス発振レーザ光のガラス板上の照射面が、連続発振レーザ光のガラス板上の照射面に包含されない場合は、表面傷部の適切な加熱を行うことができないおそれがある。パルス発振レーザ光照射により、ガラス板が部分的に軟化し表面傷部が平滑化される際に、レーザ光の光軸を中心に急峻な温度分布が形成される。そのため通常であれば、表面傷部平滑化後の冷却時に、温度分布に由来する応力が残留することになる。この急峻な温度分布をなだらかにすれば、冷却後の残留応力を低下させることができる。そのためには、表面傷部に照射したパルスレーザ光により形成された温度分布より広い範囲を、連続発振レーザ光照射で加熱し、平滑化された表面傷部に生じた急峻な温度分布を低減させる必要がある。平滑化された表面傷部に生じた急峻な温度分布を十分に低減させるためには、連続発振レーザ光のガラス板上の照射面積は、パルス発振レーザ光を照射したガラス板上の照射面積よりも大きい必要がある。
工程Cでは、パルス発振レーザ光の照射後も、前記連続発振レーザ光を前記ガラス板の表面傷部に照射する。工程Cはパルス発振レーザ光の照射後も、ガラス板の表面傷部を加熱することで応力緩和を生じさせるために必要な工程である。工程Cでは、ガラス板の表面傷部を歪点温度以上かつガラス転移温度未満に加熱することが好ましい。工程Aと同様に、前記ガラス板の表面傷部を歪点温度以上に加熱することにより、ガラス板の表面傷部のパルス発振レーザ照射による溶融に起因する歪の緩和を誘起することが可能である。また、工程Cでガラス転移温度未満に加熱することが好ましいのは、ガラス板の表面傷部をガラス転移点温度以上に加熱するとそれ自身により強い歪が発生し、結果として強い残留応力が発生してしまうおそれがあるからである。したがって、ガラス板の表面傷部を歪点温度以上かつガラス転移点温度未満に加熱することによって、工程Cにおいて、工程Bで平滑化された傷部の応力緩和を好適に行うことができる。
照射する連続発振レーザ光の波長は3〜11μmが好ましい。波長が3μmより短いと、ガラス板の内部にレーザ光が侵入し、ガラス板の内部まで加熱してしまうおそれがある。また、11μmより長いとレーザ光発振装置の入手が難しい。より好ましくは炭酸ガスレーザの発振波長である10.6μmである。
工程A、すなわち、パルス発振レーザ光照射前に表面傷部を加熱することで、パルス発振レーザ光照射時の割れを防ぐための連続発振レーザ光の照射時間は、1μ秒〜100秒であることが望ましい。照射時間が1μ秒よりも短いと歪点以上の温度が得られないおそれがある。100秒よりも長いと必要以上の範囲を加熱したり、ガラス点移転以上まで加熱したりしてしまうおそれがある。より好ましくは10秒以上60秒以下である。
また、照射する連続発振レーザ光のパワー密度が0.05〜5W/mmであることが好ましい。0.05W/mmよりも小さいと歪点以上の温度が得られないおそれがある。5W/mmよりも大きいと必要以上の範囲を加熱したり、ガラス点移転以上まで加熱したりしてしまうおそれがある。より好ましくは0.14〜1.4W/mmである。
本発明におけるパルス発振レーザ光の波長は3〜11μmが好ましい。波長が3μm未満であるとレーザ光がガラス板の内部に侵入し、ガラス板の不必要な範囲を加熱してしまい本発明に使用することは困難である。11μm超であるとレーザの入手が困難になる。そのため、波長10.6μmの炭酸ガスレーザを用いることが特に好ましい。
パルス発振レーザ光のパルス幅は1μ秒〜500m秒が好ましい。パルス幅が1μ秒未満のレーザ装置は入手が難しく、パルス幅が500m秒超だと強い残留応力が発生するからである。さらに好ましい範囲は、残留応力の抑制と溶融による平滑化の点から1〜100m秒である。
パルス発振レーザ光の平均パワー密度は1〜100W/mmである。この平均パワー密度のレーザ光を照射し、表面傷部を平滑化させる方法において、表面傷部およびその近傍にパルス発振レーザ光を照射することにより軟化点以上まで加熱し、表面傷部を平滑化させることが可能となる。平均パワー密度が1W/mm未満だと溶融されないため表面傷部の平滑化が充分に行えないおそれがある。平均パワー密度が100W/mm超であると、後述する連続発振レーザによる応力緩和の能力を超える残留応力によりガラスが破損するおそれがある。平滑化が誘起され、残留応力を抑制する観点から、好ましい範囲は2〜14W/mmである。
本発明では、パルスレーザ照射後も、連続発振レーザを照射し続けることが応力緩和のために必要である。パルスレーザ照射後も照射し続けている連続発振レーザ光は、パルスレーザの照射終了から、1秒〜1000秒後に停止することが好ましい。照射時間が1秒未満であると、表面傷部およびその近傍において歪点以上の温度が得られず、充分な応力緩和が行われないおそれがある。また、1000秒超であるとガラス板の不必要な範囲を加熱したり、ガラス点移転以上まで加熱したりしてしまうおそれがある。より好ましくは5秒〜100秒であり、さらに好ましくは10〜60秒である。
さらに好ましくは、前記パルス発振レーザ光、前記連続発振レーザ光がフラットトップ型の強度分布を有すると、最小限のエネルギーで所望の範囲の表面傷部を平滑化することができて好ましい。フラットトップ型の強度分布を得るには、ガウシアン分布を有するレーザビームの中心付近の均一な強度分布の領域を切り出して用いてもよいし、ホログラムなどの回折光学素子を用いてもよい。前記パルス発振レーザ光の照射面積よりも表面傷部が大きい場合は、前記パルス発振レーザ光の照射部位を移動させながら、レーザパルスを複数回に分けて照射してもよい。
以下図を用いて本発明の一例を詳細に説明する。
図1は本発明によるレーザ照射によるガラス基板表面の表面傷部の平滑化方法の一例である。ガラス板1の表面に存在する表面傷部2に、連続発振炭酸ガスレーザ光3をレーザ発振器4より発生させ、レンズ5により表面傷部2より大きい面積に照射し、歪点温度以上かつガラス転移点温度未満の温度まで加熱する。この例では、連続発振炭酸ガスレーザ光3のガラス板1上の照射面積は表面傷部2より大きいため、連続発振炭酸ガスレーザ光3を傷部の大きさまで走査しなくてもよい。
次に、連続発振炭酸ガスレーザ光3により加熱された表面傷部2に、レーザ発振器7から発生させたパルス発振炭酸ガスレーザ光6を、連続発振炭酸ガスレーザ光3のガラス板1上の照射面積よりも小さい断面積で、かつ連続発振レーザの照射断面に包含されるように表面傷部に照射する。その際、このパルス発振炭酸ガスレーザ光はレンズ8を用いて表面傷部2の溶融を誘起できるパワー密度に集光し、表面傷部2を軟化点温度以上に加熱することにより溶融し平滑化する。前記パルス発振炭酸ガスレーザ光6を照射した後も前記連続発振炭酸ガスレーザ光3を照射し続け加熱することで、前記パルス発振炭酸ガスレーザ光照射により誘起された応力を緩和することができる。前記連続発炭酸ガスレーザ光3と前記パルス発振炭酸ガスレーザ光6はビームコンバイナーなどを用いて同軸で照射してもよい。
以下、実施例により本発明をさらに説明する。例1は実施例、例2は比較例である。
(例1)
寸法5cm×5cm、厚さ2.8mmのプラズマディスプレイ用ガラス基板(商品名PD200、旭硝子株式会社製)の表面全体を15μmのダイヤモンドペーストでさまざまな方向に擦り、幅10μm、深さ100nmの線状の傷が表面に一様についたガラス板を用意した。この線状の傷の幅および深さはマイクロマップ(菱和システムズ製)で測定した。本ガラス表面に一様についた傷部にパワー密度0.7W/mmで、ガラス板に照射される面の照射断面積7.1mmの連続発振炭酸ガスレーザ光(波長10.6μm)を10秒間照射した。その後、パルス幅50m秒、照射断面積0.07mmであるパルス発振炭酸ガスレーザ光の単一パルスを照射した。このパルス発振レーザ光のガラス板に照射される面の照射断面は、先に照射した連続発振炭酸ガスレーザ光のガラス板に照射される面の照射断面に包含されていた。
このとき、照射パワー密度とレターデーションおよび傷が消去され平滑化されたサイズとの関係を調べるために照射パワー密度が2.8、8.4および14.2W/mmのパルス発振炭酸ガスレーザ光を照射した。この連続発振炭酸ガスレーザ光は、連続発振炭酸ガスレーザ光のガラス板に照射される面の照射断面にパルス発振レーザ光のガラス板に照射される面の照射断面が包含されるように照射した。
さらに、パルス発振炭酸ガスレーザ光照射を終了してから60秒後に連続発振炭酸ガスレーザの照射を停止した。照射後のガラス表面を光学顕微鏡で観察し、傷が消去され平滑化された大きさを測定した。また、残留応力値の指標となるレターデーションは、偏光顕微鏡を使いセナルモン法を適用して測定した。
(例2)
例1と同様の方法で、同様な傷が表面に一様についたガラス板を用意した。本ガラス板表面に一様についた傷部に、パルス幅50m秒、照射断面積0.07mmであるパルス発振炭酸ガスレーザ光の単一パルスを照射した。このとき、照射パワー密度とレターデーションおよび傷が消去され平滑化された大きさとの関係を調べるために照射パワー密度が2.8、8.4、11.3および14.2W/mmのパルス発振炭酸ガスレーザ光を照射した。照射後に実施例1に示す方法と同様に傷が消去され平滑化された大きさ、レターデーションを測定した。
本発明の実施例1および2の結果を図2および図3に示す。図2は照射パワー密度と傷が消去された大きさの関係を示し、図3は照射パワー密度とレターデーションの関係を示している。図2より、同じパワー密度のパルス発振炭酸ガスレーザ光照射を行った場合、連続発振炭酸ガスレーザ光照射を併用することで、より大きな傷を消去し平滑化することが可能であることがわかる。また、図3より、同じパワー密度のパルス発振炭酸ガスレーザ光照射を行った場合、連続発振炭酸ガスレーザ光照射を併用することで、レターデーションが低減可能であることがわかる。すなわち、連続発振炭酸ガスレーザ光照射を併用することで、ガラス板の表面傷部の平滑化において、応力の低減が可能であることを示している。
以上の結果より、連続発振炭酸ガスレーザ光照射を併用する本発明の方法を用いることで、従来のパルス発振炭酸ガスレーザ光のみの照射によるガラス板の表面傷部の平滑化方法より広範囲かつ低い応力で、ガラス板の表面傷部を平滑化可能であることがわかる。
ディスプレイ用ガラス板基板の表面傷部を平滑化させ歩留まりを向上させる。
本発明のガラス板の表面傷部を平滑化するためのレーザ照射方法を示す概念図 平均パワー密度と傷が消去され平滑化された大きさとの関係を示す図 平均パワー密度とレターデーションとの関係を示す図
符号の説明
1:ガラス板
2:表面傷部
3:連続発振炭酸ガスレーザ光
4:連続発振炭酸ガスレーザ発振器
5:レンズ
6:パルス発振炭酸ガスレーザ光
7:パルス発振炭酸ガスレーザ光発振器
8:レンズ

Claims (8)

  1. ガラス板の表面傷部に連続発振レーザ光とパルス発振レーザ光とを照射することにより前記表面傷部を加熱し平滑化する方法であって、下記工程A〜Cを含むことを特徴とするガラス板の表面傷部の平滑化方法。
    工程A:前記連続発振レーザ光を、前記ガラス板の表面傷部に照射し、前記ガラス板の表面傷部を加熱する工程。
    工程B:前記連続発振レーザ光を照射しながら、前記パルス発振レーザ光の前記ガラス板上の照射面積が、前記連続発振レーザ光の前記ガラス板上の照射面積以下であり、前記パルス発振レーザ光を前記連続発振レーザの照射面に包含されるように表面傷部に照射し、表面傷部を軟化点温度以上に加熱する工程。
    工程C:前記パルス発振レーザ光の照射後も、前記連続発振レーザ光を前記ガラス板の表面傷部に照射する工程。
  2. 前記パルス発振レーザ光の波長が3〜11μmである請求項1に記載のガラス板の表面傷部の平滑化方法。
  3. 前記パルス発振レーザ光のパルス幅が、1μ秒〜500m秒である請求項1または2に記載のガラス板の表面傷部の平滑化方法。
  4. 前記パルス発振レーザ光の前記ガラス板上の照射面において、平均ワット数/照射面積で定義される平均パワー密度が1〜100W/mmである請求項1〜3のいずれかに記載のガラス板の表面傷部の平滑化方法。
  5. 前記連続発振レーザ光の波長が3〜11μmである請求項1〜4のいずれかに記載のガラス板の表面傷部の平滑化方法。
  6. 前記連続発振レーザ光のワット数/照射面積で定義されるパワー密度が0.05〜5W/mmである請求項1〜5のいずれかに記載のガラス板の表面傷部の平滑化方法。
  7. 前記連続発振レーザ光照射開始から、1〜100秒後に前記パルス発振レーザ光を照射し、前記パルス発振レーザ光照射から1〜1000秒後に前記連続発振レーザ光照射を停止する請求項1〜6のいずれかに記載のガラス板の表面傷部の平滑化方法。
  8. 前記パルス発振レーザ光および前記連続発振レーザ光のビームプロファイルがフラットトップ型の強度分布である請求項1〜7のいずれかに記載のガラス板の表面傷部の平滑化方法。
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