JP4830667B2 - 調速装置及びそれを用いた発電装置、機器 - Google Patents

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Description

本発明は、流体の粘性を利用した調速装置、およびそれを用いた発電装置、機器に関する。
従来、ゼンマイ等の機械エネルギ、分銅引き等の位置エネルギ、蛇腹式密閉容器内に熱を与える若しくは奪う等の熱エネルギ等の各種のエネルギを蓄積するエネルギ蓄積手段を動力源とする機器の作動速度を一定に保つためには、調速機を組み込み、蓄積されたエネルギを徐々に放出する方法がとられている。
このような調速機としては、機械式調速機と、電子制御式調速機とがある。
電子制御式調速機は、蓄積されたエネルギで回転する発電機を設け、その回転を電子的に制御することで回転速度を調速するものであり、高精度の調速が可能なため、例えば、時計の時分秒針の駆動を制御する場合などに利用される(例えば特許文献1参照)。
この電子制御式調速機は、ステータ、コイル、ロータなどを備える発電機を必要とするため、サイズが比較的大きくなり、かつ、コストも比較的高くなる。このため、用途によっては、機械式調速機が利用されている。
機械式調速機は、以前から様々な構造のものが提案・実用化されている(例えば非特許文献1参照)。非特許文献1では、主に次のように分類されている。
(1)ブレーキ式調速機
(1−1)固体摩擦によるブレーキ式調速機
1568図、1569図:遠心力で回転半径方向のフランジ内周に摩擦部材を押し付ける調速機。
1571図:遠心力で、てこを利用し軸に固定された円板の縁に摩擦材を押し付ける調速機。
1572図、1574図、1575図:遠心力で振動錘の摩擦材をフランジ内周に押し付ける調速機。
1581図、1583図:遠心力でバネやリンクを曲げ、回転軸方向に摩擦部材を押し付ける調速機。
(1−2)空気摩擦によるブレーキ式調速機
1596図、1597図:羽根を回転させて空気抵抗を生じさせる調速機。
1598図、1599図:羽根を半径方向にずらしたり、取付角度を変えて制動作用を変える調速機。
1601図:遠心力で羽根の半径を自動的に調整する調速機。
1603図、1604図:遠心力と風圧で調整する調速機。
(1−3)渦電流作用によるブレーキ式調速機
1606図:導体円板を磁束に直交する方向に回転させる調速機。
(2)エスケープ式調速機
(2−1)固有振動を持つエスケープ式調速機
1607図、1608図:重力振り子、バネ力振り子を持つ調速機。
(2−2)固有振動のないエスケープ式調速機
1613図、1616図、1617図:アンクルの慣性モーメントを利用する調速機。
これらの各種調速機において、精度の要求が比較的低いものには次のような調速機が用いられる。
例えば、音が発生してもよい玩具等には、(1−1)固体摩擦によるブレーキ式調速機や、(2−2)固有振動のないエスケープ式調速機が用いられる。
また、小型・廉価なオルゴール等には、(1−2)空気摩擦によるブレーキ式調速機が用いられ、電力計等には、(1−3)渦電流作用によるブレーキ式調速機等が用いられる。
一方、精度が要求される時計(機械式時計)等には、(2−1)固有振動を持つエスケープ式調速機が用いられる。
上記の各種調速機の実用例としては、例えば、非特許文献2が知られている。
非特許文献2は、前記(1−1)固体摩擦によるブレーキ式調速機の実用例で、時計のリピータ(引き打ち)機構やソネリ(ソヌリとも言う、時打ち)機構の調速機として利用されている。
リピータは、任意のタイミングでのボタンやスライダの操作で、ゴングや鐘をハンマーで叩いて鳴らすものである。また、ソネリでは、正時(0分)や15分、30分、45分などの決められたタイミングで、ゴングや鐘をハンマーで叩いて鳴らすものである。リピータでは操作の都度、ソネリでは任意のタイミングで機構専用のゼンマイを巻くが、ゼンマイの出力トルクは巻き数に対して変化するので、巻き数によってハンマーがゴング等を打つ間隔が変化する。このゴングを打つ間隔は、ゼンマイの巻き数が多い(トルクが大きい)時は速く、ゼンマイが解けてくると(トルクが小さいと)遅くなる。リピータやソネリはゴング等の打ち数で時刻を聞き取るため、速いと聞き取れず、遅いと間延びし、数え間違いをする可能性もある。
従って、リピータやソネリには、前記(1−1)のような調速機が搭載され、打ち間隔をゼンマイの巻き数によらず一定に保つようにしている。
この非特許文献2の調速機では、機構が始動してロータが回転すると遠心力が働き、内側に引き込むばねに抗って錘やレバーが外側に広がる。ロータの速度が上がるとロータを取り囲む円筒状のケースの内壁に錘やレバーの一部が接触する。その接触により、ロータの速度が落ちると遠心力が小さくなり、バネによって錘や翼はロータ回転軸の方に引き戻される。すると、ロータの慣性モーメントが小さくなり、再びロータ速度が上がり、遠心力で錘やレバーが外に広がる。
これらの動作を繰り返し、微視的には細かな変動はあるが、ロータは概ね一定の速度で回転する。
なお、リピータやソネリ機構の調速機に、時計用のテンプ・ヒゲゼンマイ・アンクル・ガンギからなる調速機が使用されないのは、一連の脱進・調速機が大きく(特に平面サイズ)、スペース面で不利な点と、コストの問題と、ハンマーの駆動に大きなエネルギが必要なため、ゼンマイトルクを小さくできない上にハンマーがゴングを打つ間隔の関係から、増速比を小さくテンプの周期を速くする必要があるからである。特に、テンプの周期を100倍程速くすると、ヒゲゼンマイを短くしなければならない、軸や衝突部分の摩耗が激しいなどの問題が発生し、現実には実現できない。
特開平11−166980号公報 O・リヒター,R・フォス著、「精密機器の要素II」、(株)商工出版社、昭和33年9月15日、534〜575頁 「世界の腕時計No.24」、(株)ワールドフォトプレス、平成7年11月20日、69〜73頁
しかしながら、上記従来の調速機は、以下のような様々な課題があった。
すなわち、非特許文献1の(1−1)固体摩擦によるブレーキ式調速機は、固体摩擦のため、摩耗紛、音・熱が発生し、寿命も短い。
(1−2)空気摩擦によるブレーキ式調速機は、大きなスペースが必要となる。
(1−3)渦電流作用によるブレーキ式調速機は、漏れ磁束が周囲に影響を与える。
(2−1)固有振動を持つエスケープ式調速機は、振り子式の場合、姿勢変化に対応できず、携帯機器には使用できず、かつ、打刻音が発生する。バネ力振り子の場合、ヒゲゼンマイ、テンプ、ガンギ、アンクルなど高精度の部品が必要でコストが高くなり、大きな配置スペースが必要となり、脱進機から打刻音が発生する。
(2−2)固有振動のないエスケープ式調速機は、脱進機からの音、振動が大きく、摩耗が発生し寿命が短い。
また、非特許文献2は、錘やレバーがロータを取り囲む円筒状のケース内壁に接触するため、調速機の作動中絶えず雑音(接触音)が発生する。非特許文献2のようなリピータはゴング等の音源をハンマーが叩く音を楽しむ製品である。携帯時計は寸法が限られるため音量が十分ではなく、時計を耳元に近付けてその音色を楽しむ使い方をする必要がある。
しかし、特に寸法に余裕のない腕時計の場合、ケース内での反響効果も期待できず、懐中時計に比較して雑音に対するゴング音が小さく、S/N比が悪いので、音質面での高級感に欠けるという課題がある。
加えて、作動の度に錘やレバーがロータを取り囲む円筒状ケースの内壁に接触するため、摩耗が発生する。摩耗が発生すれば、周囲に摩耗紛が散らばり、見栄えが悪く、他の機構の摺動部に摩耗紛が付着すると、そこで新たな摩耗の原因にもなる。そのため、短期間でのオーバーホールと調整が必要である。
また、摩耗すれば接触部の面積や面状態が変化するため、摩耗係数が変化する。摩耗を押さえるために接触部に注油したり、潤滑処理をしても油の量の変化(揮発・拡散)や変質、潤滑処理膜面の汚れなどにより、摩耗係数が大きく変わる。これにより、使用を繰り返すうちに設定した速度から外れてしまい、ゴング等の打ち間隔が変化してしまうという課題もある。
本発明は、上述のような課題に鑑みてなされたものであり、小型でかつ省スペースに構成でき、小さな動力で駆動する機器にも使用でき、摩耗紛や雑音を発生せず、低コストで、姿勢差の影響を受けず、磁気の影響も生じず、耐久性に優れた調速装置と、この調速装置を用いた発電装置、機器とを提供することを目的とする。
本発明の調速装置は、動力伝達手段を介して供給されるエネルギ蓄積手段のエネルギにより回転するロータと、前記ロータの回転軸に直交する翼平面を備えるとともに、ロータの回転による遠心力でロータの半径方向外周側に移動可能に設けられた翼と、前記ロータおよび翼間に配置されるとともに、前記翼をロータの半径方向内周側に引き戻す翼引き戻し手段と、前記ロータの外周に設けられ、かつ、前記翼がロータの半径方向外周側に移動した際に、その翼平面に対して所定の隙間寸法だけ離れて対向配置される対向面を備える対向物と、を備え、前記ロータの静止時の翼位置と前記対向物の間には前記ロータの半径方向の隙間が設けられていることを特徴とする。
このような構成によれば、ゼンマイ等のエネルギ蓄積手段のエネルギは、歯車等の動力伝達手段を介してロータに伝達し、ロータは回転する。ロータが回転し始めると、翼はロータと共に回転し、回転速度に応じた遠心力を受ける。この遠心力が翼引き戻し手段の引き戻し力以下であれば翼は外周側に移動しないが、遠心力が引き戻し力以上になるとその差の分、翼はロータの回転軸から遠のく方向、つまりロータの半径方向外周側に移動する。
翼がロータの半径方向外周側に移動すると、翼には移動量に応じた流体粘性抵抗が加わる。すなわち、ロータ速度がある速度に達すると、速度に応じた遠心力を受けた翼が対向物と平面的に重なる。翼平面と対向物の対向面との距離を周囲の部材と翼平面との距離よりも小さい所定寸法に設定しておけば、翼が対向物と平面的に重なると、翼と対向物の間に翼と対向物が重なる前に翼の周囲に発生していた粘性抵抗より大きな粘性抵抗が働く。従って、粘性抵抗は翼と対向物が重なり始める速度を境に大きく変化する。つまり、翼は対向物の境界線(内周縁)付近で、ロータ速度増→翼移動量増→翼と対向物が重なり、粘性抵抗増→ロータ速度低下→翼引き戻される→翼と対向物の重なり無くなり、粘性負荷減→ロータ速度上昇、といった現象を繰り返す。
このため、翼に働く抵抗力がロータ速度に応じて刻々と変動することでロータは一定速度で回転する。従って、エネルギ蓄積手段が出力するエネルギと、翼に働く遠心力(翼重量、重心位置、増速比などで設定される)と、翼および対向物間の粘性流体(通常は空気だが液体でもよい)の粘度、翼引き戻し手段の引き戻し力等を適宜設定することで、ロータ速度に応じた翼の移動量を設定できる。このため、ある範囲内ではエネルギ残量の変化に影響されず、一定の速度でロータを駆動することができる。例えば、ゼンマイをエネルギ源とすると、トルクが急激に変化する手前まで巻き数の大部分の領域でロータ速度を一定に調速できる。
よって、エネルギ蓄積手段からロータまでの動力伝達経路中、またはロータ以降、もしくはロータへの動力伝達経路とは別経路でエネルギ蓄積手段から動力を受けるアクチュエータ、発電機などを配置した場合、前記調速装置によってロータ速度つまりはエネルギ蓄積手段におけるエネルギ供給速度(例えばゼンマイが解ける速度)が一定となるため、短期的に見ればアクチュエータや発電機の動作速度は変動するものの、一定期間中の回転総数は平均化され、アクチュエータや発電機の動作を一定速度に制御できる。
このような本発明によれば、次のような作用効果が得られる。
すなわち、本発明の調速装置によれば、電子制御ではなく、機械的な制御によってエネルギ蓄積手段で駆動されるアクチュエータの作動速度をほぼ一定にできるので、制御回路やセンサ類を不要にでき、低コスト及び省スペース化を実現できる。また、機械式のため、電源が不要であり、リピータやソネリ機構搭載の機械式時計やオルゴールなど電源を持たない商品にも搭載できる。さらに、機械式で電源が不要なので、特許文献1のような電子制御式機械時計に搭載した場合、発電調速機が発電した電力を使用する必要が無く、電力消費増大によって電子制御式機械時計の持続時間が短縮してしまうことを防止できる。
また、本発明は、流体粘性抵抗を利用する非接触式調速機のため、摩耗紛の発生が無く、装置の汚れや劣化を無くすことができる。そのため、摩耗紛による美観の劣化がなく、摩耗紛除去のための分解掃除や部品摩耗による部品交換、調整のメンテナンスサイクルを延長でき、メンテナンスコストも低減できる。
さらに、流体粘性抵抗を利用する非接触式調速機のため、雑音発生を防止できる。そのため、オルゴールやリピータ、ソネリ機構搭載の時計など、音色を楽しむための商品に搭載した場合、雑音発生が無いため、純粋に音源の音色を鑑賞できる。
さらに、ロータの回転方向は一方向にできるので、高速でロータを回転させても、往復運動のクラブツース脱進機などにみられる衝突部(ガンギと爪石、振り石とクワガタなど)の損傷、劣化を防止できる。
また、調速装置全体を薄型化でき、腕時計等の携帯機器にも容易に搭載できる。
粘性流体として空気を利用することもでき、空気を利用している場合には、粘性流体を密封するためのハウジングなどを設けなくてよいので、容易に小型化でき、ハウジングと軸とのシール構造によるロスも防止できる。
さらに、対向物に翼平面に対向する対向面を設けているので、翼に働く粘性負荷を大きくすることができる。このため、体積あたりの制動力の割合を大きくでき、調速装置及び調速装置を備えた機器を小型化できる。従って、増速輪列も増速比を小さくでき、その分、歯車の数を減らせるので、部品点数が減り、コスト低減を図れ、スペース効率も向上できる。
翼の外周側への飛び出し量は、遠心力つまりロータ速度に応じて変化するので、ロータ静止時の翼位置と対向物の間に前記ロータの半径方向の隙間を設けることで、ロータに働く粘性抵抗がある速度(翼が対向物と平面的に重なり始める速度)を境に大きく変化する。よって、翼は対向物の境界線(内周縁)付近で微小な変動を繰り返すことになる。従って、増速比、増速段数、エネルギ源の出力トルクのほか、前記半径方向の隙間を設定することでロータの速度を設定できる。
本発明において、前記翼平面と対向物の対向面との隙間寸法を調整する隙間寸法調整手段を備えることが好ましい。
翼平面と対向物の対向面との隙間寸法(ロータの軸方向の隙間寸法)を調整すれば、流体粘性抵抗による制動力を調整でき、ロータの設定速度を容易に調整、変更できる。これにより、機器の作動速度を設定値に容易に合わせることができる。
すなわち、ゼンマイなどのエネルギ蓄積手段(ゼンマイのトルク特性)や、輪列等の動力伝達手段(増速比)の仕様を同じにしても、個々に個体差があり、調速装置の速度は目標通りにならない。この場合、前記隙間寸法調整手段によって隙間寸法を調整すれば、調速装置の速度を微調整することができ、機器の作動速度を設定値に容易に合わせることができる。
なお、前記隙間寸法は、所定寸法毎に段階的に変化させてもよいし、連続的に変化させてもよい。
また、前記隙間寸法調整手段としては、例えば、対向板間に断面寸法の異なるスペーサを交換して配置することで対向板間の間隔を調整するようにしたものなどが利用できる。このような複数種類のスペーサを用意しておき、対向板間に配置するスペーサを選択するだけで隙間寸法を調整するようにすれば、構造が単純でかつ安価な部品のみを用意すればよいため、コストを低減できる。
本発明において、前記対向物の内周縁とロータ回転中心との距離を調整する平面距離調整手段を備えることが好ましい。
ロータの外周に設けられた対向物は、ロータ外周に沿って略リング状に設けられる。この対向物の内周縁とロータ回転中心との距離、つまりロータ外周縁と対向物の内周縁の隙間寸法(ロータの軸直交方向つまりロータの平面方向の隙間寸法)を調整すれば、ロータの回転に伴う遠心力で翼が外側に移動した際に、対向物に平面的に重なるまでの距離つまりロータ速度を設定できる。
従って、前記平面距離調整手段によって隙間寸法を調整すれば、前記隙間寸法調整手段を用いた場合と同様に、調速装置の速度を微調整することができ、機器の作動速度を設定値に合わせることができる。さらに、前記隙間寸法調整手段および平面距離調整手段の両方を用いれば、機器の作動速度の調整範囲を拡大でき、様々な機器に利用可能となる。
この平面方向の隙間寸法も、所定寸法毎に段階的に変化させてもよいし、連続的に変化させてもよい。
また、前記平面距離調整手段としては、例えば、対向物を平面的に2分割し、偏心ピン、ばね、ネジなどを用いて各対向物を互いに近付けたり、遠ざけることで、対向物内周縁とロータ回転中心との距離を調整するものなどが利用できる。このようなピン、ばね、ネジなどを用いて距離を調整するようにすれば、構造が単純でかつ安価な部品のみを用意すればよいため、コストを低減できる。
本発明において、前記翼平面と対向物の対向面との間の隙間寸法は0.15mm以下であり、翼平面および対向面間に介在される粘性流体は空気であることが好ましい。
翼平面と対向面間の隙間を0.15mm以下に設定すれば、粘性流体が空気でも十分な制動力が得られ、かつ、翼平面と対向面間の隙間寸法を変化させることで制動力を大きく変化でき、ロータを設定速度に容易に調速できる。
また、流体が空気であれば、流体を密閉するためのハウジングなども不要にでき、スペース効率を向上できる。さらにハウジングの密閉を確保するためのシール構造を不要にでき、低コストにできる。また、シール構造での損失が無く、一定速度に保てる範囲を広げることができる。その分、持続時間を延長したり、ハンマーばねのばね力を強くして音を大きくすることができる。さらに、ハウジングが不要なため、翼やロータの動きを視覚的に見せることができ、オルゴールや時計では機構を見せるモデルのポイントにすることもできる。
その上、翼平面と対向面の距離を僅かに変化させるだけで粘性抵抗を大きく変化させることができるので、調整しろのためのスペースを大きくとらずにすみ、ロータや対向物周辺をコンパクトにできる。
なお、前記翼平面と対向物の対向面との間の隙間寸法の下限は、翼と対向物とが接触しない寸法を確保すればよく、実際の隙間寸法は翼に働く粘性抵抗の値つまりロータの回転速度の設定に応じて設定すればよい。但し、隙間寸法があまりにも小さいと、ロータ、翼のアガキ、ホゾと穴石のガタなどによる傾きによって翼と対向板とが接触してしまうおそれがあり、その接触を防止するための調整が非常に煩雑になる。このため、隙間寸法は通常0.03mm程度以上に設定した方が、調整を容易にできる利点がある。
本発明において、前記対向物は、前記翼を、ロータの回転軸方向の両側から挟むように配置されることが好ましい。
例えば、対向物を翼の両面に配置された2枚の対向板で構成したり、対向物に溝を形成してその溝内に翼を配置する構成とすればよい。
このような構成によれば、翼の片面側ではなく、両面で流体粘性抵抗による制動力が働くため、調速装置のロータや対向物の平面サイズは同じにしたままで、制動力(ブレーキ力)を倍増できる。このため、翼の片面のみに対向物の対向面が配置された調速装置と、同じ性能を持つ調速装置をより小さなサイズで実現できる。
また、対向物が翼の片面のみに設けられている場合、時計などの携帯機器では姿勢によってロータのあがき分、翼と対向物間の距離が変化し、制動力がばらついてロータの回転速度が不安定になり、機器の作動速度もばらついてしまう。
これに対し、翼の両面に対向物が設けられていれば、あがきによって翼が一方の対向面側に寄って、他方の対向面との距離が広がっても、その分、一方の対向面との隙間寸法は小さくなるため、トータルでの粘性抵抗の変化は少なくなり、調速装置の速度は安定し、機器の作動速度も略一定に維持できる。
本発明において、前記ロータには、翼が設定位置以上外側に飛び出すことを防止する翼飛び出し過多防止手段を備えることが好ましい。
ここで、翼飛び出し過多防止手段としては、翼が回転によって外側に移動するタイプであれば、その回転角度を一定範囲内に規制するものであればよく、例えば、翼が所定角度回転した際に当接してそれ以上回転することを規制するピンや凸構造をロータに設けることで構成できる。
また、翼がスライドして外側に移動するタイプであれば、その移動量を一定範囲内に規制するものであればよく、例えば、翼がスライド移動した際に当接してそれ以上の移動を規制するピンや凸構造をロータに設けることで構成できる。
このような構成によれば、携帯中の衝撃など設定以上のトルクがロータに伝わったり、過度の力が翼に加わるなどしても翼が設定位置以上に外側に飛び出すことがないため、翼が他の部材に接触することを未然に防止することができる。
このため、翼の摩耗や破壊、音や振動の発生を防止できる。さらに、翼飛び出し過多防止手段は、ロータにピンや凸構造を設ければよいため、シンプルでかつ軽量、安価な構成にできる。特に、翼引き戻し手段などの他の部材をロータに固定するためのピンなどを兼用すれば、より安価でシンプルな構造にできる。
本発明において、前記翼はロータに対して複数設けられ、かつ、各翼はロータの回転軸に対して重量バランスが保たれる位置に配置されていることが好ましい。
例えば、1つのロータに対して2枚の翼が設けられる場合、各翼はロータの回転軸に対して点対称の位置に配置すればよい。また、1つのロータに対して3枚の翼が設けられる場合、各翼はロータの回転軸を中心とする同心円上であって、かつ、互いに120度等間隔で配置すればよい。
このような構成によれば、複数の翼は重量バランスが保たれる位置に配置されるので、翼に粘性抵抗が働いても回転軸上でバランスが保たれ、ロータが傾いたり、コジリが生じたりすることを防止でき、ロータは安定した回転を持続できる。
本発明において、前記翼の外周形状の一部は、翼が最も外側に位置した状態でロータ回転軸に同心の円周に重なる形状とされていることが好ましい。
このような構成によれば、翼の外周形状が他の形状の場合に比べて、翼が最も外側に位置した際の対向物と翼が平面的に重なる面積を最大にでき、かつ、周速度が一番高い翼外周部付近の面積が大きく取れるので、制動力を大きくできる。このため、調速装置のサイズに対する制動力の比を大きくでき、省スペースでありながら、十分な制動力が得られる調速装置を実現できる。
本発明において、前記対向物の内周縁形状はロータの回転軸に同心の円周状とされ、前記翼の外周形状の一部は、対向物の内周縁形状と同じ形状とされていることが好ましい。
このような構成によれば、翼の外周形状が対向物の内周円形状に同じであるため、翼が遠心力で外側に移動し、翼外周が対向物内周縁と重なり始める際に、対向物と翼に働く粘性抵抗を大きくできる。これにより、翼が対向物と重なる前後の粘性抵抗力の差を大きくできる。従って、ロータの速度をより設定速度に安定させることができる。
本発明において、前記翼引き戻し手段は、板状のジグザグばねであることが好ましい。
本発明の調速装置は、腕時計などの小型の機器内に組み込んで利用することもあるため、ロータを小さくし、かつ、十分な制動力を確保するため、翼面積を大きくすることが求められる。このため、翼引き戻し手段は、自然長状態でのスペースは小さく、撓み量は大きくしたい。
この際、翼引き戻し手段として、梁状の板ばねで必要な撓み量とばね力を確保しようとすると、限界応力が許容応力を越えてしまう。また、コイルばねを用いると、スペース、特に高さ方向のスペースが大きくなり、腕時計のような薄型の機器内に収めることが困難になる。
一方、板状のジグザグばねを用いれば、板ばねなどと同じ材料でも撓み量、バネ力を確保しながら、限界応力を許容応力内に収めることができる。その上、ばねの薄さと撓み量の大きさを両立でき、ロータを薄く、調速装置も薄く形成できる。従って、翼と重ねて配置しても全体を薄くでき、平面レイアウトの自由度を増すことができる。さらに、翼材料とばねを一体にすることもでき、部品コスト、組立コストを削減できる。
なお、前記板状のジグザクばねは、電気鋳造で製造されることが好ましい。
ジグザグばねは、プレス、ワイヤー放電加工、電気鋳造、エッチング、フォトレジスト、転写電気めっきなどの様々な加工方法で製造できる。
しかしながら、プレスは型が必要で初期コストが嵩むという問題がある。ワイヤー放電加工は、プログラムの変更のみで少量多品種の部品を製造できるが、加工面が粗く、応力集中が起きたり、見栄えが悪いという問題がある。エッチングの場合、ワイヤー放電面のような面の粗さも無く、外観がよく、応力集中による折れもないが、材料の幅や厚さの比に制約があるうえ、矩形断面が正確にできないという問題がある。
一方、電気鋳造の場合、エッチングと同様に、面粗さが良好で、材料の幅や厚さの比をより自由に設定できる。さらに、エッチングと違い断面を矩形に近い形状にでき、ばね設計のシミュレーションがし易い。また、一度マスクを作れば、繰り返し使用でき、一枚のマスクから複数枚のばねを取ることができる。
本発明において、前記翼はロータに対して複数設けられ、前記翼引き戻し手段は翼毎に設けられた複数のジグザグばねを有する一体構造のものであることが好ましい。
例えば、2枚の翼が設けられている場合、翼引き戻し手段は、各翼に一端が接続される2つのジグザグばね部と、各ジグザグばね部の他端同士が接続されるばね位置決め部とを備えて形成された1つの板ばねで構成すればよい。この際、ばね位置決め部の中心にはロータかなに挿入される穴が形成され、ばね位置決め部の前記穴を挟んだ位置には、ロータに設けられた突起やピンに対応した穴が形成されていてもよい。このように構成すれば、各穴をロータかなや突起などに放り込むだけで、翼引き戻し手段の平面方向の回転を防止でき、位置決めを行うことができる。
このような構成によれば、複数枚の翼に対し、個々に対応したジグザグばね部があるので、ばねの配置に自由度がある。また、複数のばね部とばね位置決め部が一体のため、位置決め用の部位が一組でよく、全体をコンパクトにでき、バネ製造の工数も減るため、組立や取扱いも容易になる。
さらに、ばね位置決め部の中心にロータかなに挿入される穴を設けることもできるので、組立時にばねを翼に係止する際の位置決めもし易く、その分、組立も容易になる。
本発明において、前記翼は略半月状であり、かつ、ロータに対して回転軸を介して回転自在に軸支され、前記回転軸は翼重心位置よりも翼の一方の端部側に形成されているものでもよい。
このような構成によれば、前記翼は、ロータ回転時に働く遠心力によって、前記回転軸を中心に外側(ロータの半径方向外側)に回転する。
従って、翼がロータ半径方向に平行移動する場合に比べ、回転軸を中心に翼が回転するため、翼の保持構造による摩擦抵抗が小さく、翼はスムースに動くので調速装置の回転速度は安定する。特に、回転軸を硬石等のリング(時計に用いるルビー等で作った穴石等)にし、軸を焼き入れした鋼の棒材(時計の輪列歯車のホゾ等)にすれば、安価でかつスムースな回転と耐摩耗性を実現できる。
一方、翼がロータ半径方向に平行移動する場合、ロータの回転により翼が斜めになってコジリが生じ、スムースな動きができない上、摩耗も生じてしまう。また、スライダやガイド等が必要となり、それらの構造は大きくなるため、調速装置の小型化を阻害する。さらに、重量も大きく、ロータの回転軸の回転負荷、摩耗、調速機構の落下時の衝撃などの面でも不利になる。
本発明において、前記翼引き戻し手段の翼との接点は、翼の重心よりも回転軸側に設けられていることが好ましい。
例えば、翼引き戻し手段がジグザグばねで構成されている場合、ジグザグばねが翼に取り付けられる位置を、翼重心よりも回転軸側に設ければよい。
このような構成によれば、前記接点が翼重心よりも回転軸から離れている場合に比べて、翼が回転した際のばねの変位を小さくできる。このため、ばねの設定がし易く、ばねの伸び縮みがスムースになる。また、バネの回転方向の変位を小さくできるため、ジグザグばねの捩れが少なく、容易に伸び縮みできる。また、ばねと翼を一体化した際には翼とばねの接点に応力集中が発生し難くできる。さらに、リング状、C字状にしたばね先端を翼に打ったピンに引っ掛けても、ばねとピンの摺動が少なく摩耗の心配がない。
本発明の発電装置は、請求項1から請求項13までのいずれかに記載の調速装置と、機械的エネルギを蓄積するエネルギ蓄積手段と、前記エネルギ蓄積手段からの機械的エネルギを前記調速装置に伝達する動力伝達手段と、前記エネルギ蓄積手段から供給される機械的エネルギで駆動される発電機と、を備えることを特徴とする。
ここで、前記発電機は、2極の磁石などを有するロータと、ロータ周囲に設けられたステータと、このステータに巻回されたコイルとを備える通常の構成の発電機が利用できる。そして、発電機は、例えば、エネルギ蓄積手段と調速装置間に設けられた動力伝達手段によって駆動されるものでもよいし、調速装置からさらに動力を伝達する動力伝達手段を設けて発電機を駆動してもよい。さらには、前記動力伝達手段から分岐したり、前記動力伝達手段とは別にエネルギ蓄積手段から機械的エネルギを伝える動力伝達手段を設けて発電機を駆動してもよい。
このような構成の発電装置によれば、調速装置により発電機の回転が一定に保たれるため、発電電力が安定する。そして、発電電力が安定して大容量のコンデンサが不要のため、充放電の繰り返しによるコンデンサ容量の低下による性能低下を防止できる。
また、例えば、発電機に電磁ブレーキを掛けて調速する場合のように、制御回路を設ける必要がないため、ICや水晶振動子等の電子素子や基板が不要であり、安価な発電システムを実現できる。さらに、制御回路が不要であって、その回路用に発電電力の一部を供給する必要が無いため、エネルギ効率を向上できる。そのため、発電装置の持続時間を延長できたり、小型化することが可能となる。
本発明の機器は、前記調速装置と、この調速装置で調速される作動部を有することを特徴とする。
この際、前記機器としては、前記調速装置と、この調速装置で調速される発電機とを有するものでもよい。
前記機器としては、例えば、玩具、オルゴール、簡易タイマー、電子制御式機械時計、アラーム・時打ち・引き打ち・からくり(オートマタ、オートマトン)等の少なくとも一つを搭載した時計、メカ式チャイム、機械式カメラ(タイマー撮影機構)、オートマタ、オートマトン、ラジオ、懐中電灯などが利用可能である。
特に、機器は、機械的エネルギ源と、前記機械的エネルギ源によって駆動されて誘起電力を発生して電気的エネルギを供給する発電機と、前記電気的エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する回転制御装置と、前記発電機の回転に連動して作動される時刻表示装置とを備える電子制御式機械時計であって、リピータまたはソネリ機構と、このリピータまたはソネリ機構を作動するためのエネルギ蓄積手段と、このエネルギ蓄積手段のエネルギを前記調速装置に供給する動力伝達手段とを備えることが好ましい。
この際、前記機械的エネルギ源およびエネルギ蓄積手段は、共に、ゼンマイを内蔵する香箱車などで構成できる。
本発明の調速装置やこの調速装置を有する発電装置は、動力が純機械式であって電源が不要なため、リピータやソネリ機構搭載の機械式時計やオルゴール、機械式カメラの自動シャッターなどの電源を持たない商品にも搭載できる。
また、電子制御式機械時計に搭載した場合、発電調速が発電した電力を使用せず、電子制御式機械時計の持続時間の短縮を防止できる。その上、雑音が発生しないため、リピータやソネリ機構の調速装置として、前記調速装置を電子制御式機械時計に搭載すると、機械式時計のように、脱進機のノイズもないことから、より純粋に音源の音色を聞くことができる。さらに、ラジオ、懐中電灯など緊急使用の際も性能劣化なく使用できる。
なお、電子制御式機械時計にソネリ機構を組み込む際に、前記香箱車は、指針駆動用(機械的エネルギ源)とソネリ機構用(エネルギ蓄積手段)とで別々のものを用いてもよいし、1つの香箱車を共用してもよい。例えば、ゼンマイの一端が接続される香箱車の回転を指針駆動用に利用し、ゼンマイの他端が接続されて前記香箱車とは逆方向に回転する角穴車を調速装置に供給して調速用に利用しても良い。この場合、持続時間は多少短くなるが、ゼンマイや香箱車の一部を省略でき、より小型化・薄型化を実現できる利点がある。
本発明によれば、小型でかつ省スペースに構成でき、小さな動力で駆動する機器にも使用でき、摩耗紛や雑音を発生せず、低コストで、姿勢差の影響を受けず、磁気の影響も生じず、耐久性に優れた調速装置と、この調速装置を用いた発電装置、機器とを提供することができる。
〔第1実施形態〕
次に、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態の時計1を示す平面図である。時計1は、ベースとなる時計の文字板側にソネリ機構3が搭載されたものであり、このソネリ機構の動作に本発明の調速装置2が利用されたものである。
なお、時計1の指針を駆動するムーブメントは、機械式時計、アナログクオーツ時計、電子制御式機械時計のいずれのものを利用してもよい。但し、機械式時計では、テンプ・ヒゲゼンマイ・アンクル・ガンギからなる調速機による打刻音が発生し、アナログクオーツ時計では磁歪音・歯打ち音が発生し、ソネリ機構の音色を聞き取りにくい。このため、雑音が発生しにくい電子制御式機械時計を用いることが最も好ましい。
[調速装置の構成]
次に、調速装置2の構成について説明する。
調速装置2は、図2,3に示すように、ロータ200と、2枚の翼210と、翼引き戻し手段であるジグザグばね220と、対向物230とを備えて構成されている。
ロータ200は、地板5と輪列受け6との間に回転自在に配置されている。具体的には、ロータ200の上下のほぞ201部分が輪列受け6および地板5に組み込まれた各軸受ユニット240で受けられている。これらの軸受ユニット240は、ルビー等からなる中央の受石241、穴石242、およびこれらをガイドする真鍮性の受石ガイド243などで構成されている。
ロータ200は、前記ほぞ201が形成されたロータかな202と、このロータかな202に固定された翼案内板203とを備えている。
ロータかな202は小歯車であり、焼き入れした鋼製のものである。このロータかな202には、動力伝達手段である動力伝達輪列4の歯車が噛み合っている。動力伝達輪列4は、増速輪列であり、ゼンマイが内蔵された香箱車31に噛み合っている。このため、ロータ200は香箱車31から動力伝達輪列4を介して伝達される機械的エネルギによって回転される。
ロータかな202部分には、一対の翼案内板203が所定間隔離れて固定されている。ロータかな202に近接配置される翼案内板203は、ロータかな202部分に圧入固定され、もう一つの翼案内板203は、前記圧入固定された翼案内板203と翼ロック軸205とによって、ロータかな202に固定されている。翼案内板203は、ステンレスや真鍮製の薄板からなり、平面形状が円形とされている。
各翼案内板203には、ルビーなどの硬石製の翼軸穴石204が圧入固定されているとともに、鋼製の翼ロック軸205、鋼製のばね掛け軸206の両端がそれぞれ圧入固定されている。翼軸穴石204は、ロータかな202を中心に点対称の位置に設けられている。
翼軸穴石204には、翼210に圧入固定された鋼製の翼軸211の軸が組み込まれている。この翼軸穴石204には適宜注油され、翼軸211がスムーズに回転できるようにされている。
ばね掛け軸206には、前記ジグザグばね220が固定されている。
ジグザグばね220は、ステンレス薄板を加工して形成されたものであり、中央に設けられたばね位置決め部221と、このばね位置決め部221の各端部から延長され、ジグザグ状に形成されたジグザグばね部222とを備えて構成されている。
そして、ジグザグばね220は、ばね位置決め部221に形成された2つの穴を前記ばね掛け軸206に差し込むことで翼案内板203間に回り止めされて取り付けられている。なお、ばね位置決め部221の中央の穴には、ロータかな202が貫通されている。
翼210は、ステンレス製の薄板からなり、平面形状が略半月状であり、前記翼軸211を中心に回動可能に設けられている。翼210には、翼軸211よりも翼210の先端側の位置で、かつ、翼210の重心よりも翼軸211側の位置に、鋼製の翼ばね掛けピン212が圧入されている。この翼ばね掛けピン212には、前記ジグザグばね220のジグザグばね部222端部に形成されたリング部が引っ掛けられて取り付けられている。なお、翼ばね掛けピン212先端には、ジグザグばね220が外れることを防止するための鍔が形成されている。従って、翼210は、ジグザグばね220によってその先端側がロータ200の回転軸(ロータかな202)に近づく方向に引き寄せられている。
このため、ロータ200が停止している場合には、図2(A)に示すように、翼210は、ジグザグばね220のばね力によってロータ200の中心側に引き寄せられ、先端が翼ロック軸205に押し付けられている。
一方、ロータ200が回転すると、その回転数に応じた遠心力を受けた翼210は、ジグザグばね220に抗って翼軸211を中心に回転し、図2(B)に示すように、外側(ロータ200の半径方向外周側)に移動する。
この際、翼210には、翼軸211の近傍に係止突起213が形成されており、翼210の外側への移動は、係止突起213が前記ばね掛け軸206に当接する位置(角度)までに規制されている。従って、本実施形態では、係止突起213およびばね掛け軸206によって翼飛び出し過多防止手段が構成されている。
また、ロータ200の回転が下がると、翼210に働く遠心力も回転数の低下に応じて小さくなり、その分だけ翼210はジグザグばね220に引き戻される。
なお、翼210は、ロータかな202を中心に点対称位置に配置された翼軸穴石204に軸支されているので、ロータ200に対して重量バランスが保たれた位置に取り付けられている。
対向物230は、地板5に圧入固定された円筒状の支持部材231と、支持部材231の鍔上にスペーサ232を介在させて配置された2枚の対向板233と、前記支持部材231にねじ止めされて対向板233を支持部材231との間で挟持する固定ねじ234とを備えて構成されている。
各対向板233間の寸法は、その間に介在されるスペーサ232の厚さ寸法によって設定される。従って、本実施形態では、厚さ寸法の異なる複数種類のスペーサ232を用意しておき、スペーサ232を選択して取り付けたり、後から交換することで、前記対向板233間の寸法を適切な寸法に設定している。
ロータ200は、対向板233に形成された穴233A内に配置されている。対向板233の穴233Aは、ロータ200の回転軸と同心円である。
また、前記翼210が遠心力で外側に移動した際には、各対向板233間の隙間部分に配置されるように構成されている。この際、翼210は、各対向板233間の隙間の略中央に配置され、翼210と各対向板233間の隙間がそれぞれ略同一となるように構成されている。
また、本実施形態の翼210の外周形状は、図2に示すように、先端が翼ロック軸205に押し付けられている場合には、翼案内板203の外周内に納まり、翼210の外周が翼案内板203からはみ出ないように形成されている。
さらに、遠心力で翼210が外側に移動し、翼210の係止突起213がばね掛け軸206に当接する最外周位置まで移動した場合に、翼210の外周形状の一部が穴233Aと同心円となるように形成されている。すなわち、図2(B)に示すように、穴233Aと同心円の点線235に、翼210の外周の一部が重なるような形状とされている。
[調速装置の動作]
このような構成の調速装置2では、次のように動作して速度を制御する。
すなわち、動力伝達輪列4を介してロータ200が回転すると、翼210に遠心力が働き、翼210が翼案内板203の外側に飛び出して、対向板233間に入り込む。翼210の翼平面と対向板233の対向面間の隙間は小さいため、翼210は対向板233間に入る前に比べて大きな空気粘性抵抗を受ける。その空気粘性抵抗でロータ200の速度が低下すると遠心力が弱くなり、翼案内板203の外に飛び出していた翼210は、ジグザグばね220によって引き戻される。
そして、ロータ200の速度が低下し、翼210が対向板233間から翼案内板203側に引き込まれると、翼210に働いていた空気粘性抵抗も小さくなるため、再びロータ200の速度は上昇し、翼210が翼案内板203の外に飛び出して翼案内板203間に入り込む。このような挙動を微少に繰り返すことで、ロータ200はある一定の回転速度に保たれる。
なお、実際には、動力伝達輪列4の歯車の噛み合い効率の変化や、駆動する装置(本実施形態では後述するソネリ機構)の作動変化などにより、ロータ200に伝わる機械的エネルギは刻々と変化するため、それに応じてロータの速度も変化する。しかし、その都度、翼210には、速度に応じた遠心力が働き、飛び出し量が変化してロータ200の速度、すなわち装置の作動速度はほぼ一定に保たれる。
[ソネリ機構]
次に、本実施形態の調速装置2によって作動速度が調速されるソネリ機構3について説明する。
なお、ソネリ機構3の概略構成は、従来から知られているものと同様なので、説明を省略あるいは簡略する。
従来のソネリ機構の構成は、例えば、Francois Lecoultre著、「A guide to complicated watches」、159〜179頁に開示されている。
ソネリ機構3は、時計1のムーブメントの文字板側に配置されており、図1にも示すように、ソネリ用のエネルギ蓄積手段であるゼンマイが内蔵された香箱車31と、香箱車31の回転力を前記調速装置2に伝達する増速輪列である動力伝達輪列4と、音を鳴らすためのゴング33と、このゴング33を打つハンマー34と、時刻に応じた数だけハンマー34を動作してゴング33を打つ制御を行う打撃制御手段35とを備えている。
香箱車31は、時計1の指針を駆動するための香箱車とは別に、ソネリ機構専用に用意されたものであり、竜頭36を巻真0段目にした状態で回すことで、内蔵されたゼンマイを巻き上げることができるように構成されている。
ゴング33は、焼き入れ鋼のCリングからなり、ソネリ機構3の外周(時計のムーブメントの外周)に沿って配置され、一端が地板5に固定されている。
ハンマー34は、焼き入れした鋼製の部材であり、ゴング33の根元を打つように構成されている。ハンマー34は、ハンマー34の軸34Aに回転自在に取り付けられたハンマートリップ341と、前記ハンマー34をゴング33側に付勢するハンマーばね342によって動作される。すなわち、ハンマーばね342は、ハンマー34のピン343に当接し、ハンマー34をその回転軸34Aを中心に図1中反時計回り方向に付勢している。一方、前記ピン343には、ハンマートリップ341も当接している。ハンマートリップ341は、ソネリ機構3が作動していない場合は、後述する突起902によって図1の状態に維持されるため、ハンマー34もゴング33から離れた位置で静止している。なお、ハンマートリップ341は、ハンマートリップばね344で図1中時計回り方向に付勢されている。
打撃制御手段35は、スクリューナット40と、数取り車50と、リリースレバー(以下RLとも言う)60と、アワー・リピーティング・ラック(以下HRRとも言う)70と、センターホイール(以下CWとも言う)80と、を備えて構成されている。
これらの構成のうち、アワーリピーティングラック70と、センターホイール80とは、従来のソネリ機構から改良された部分があるため、その点は詳細に述べるが、他の部分は従来の機構と同様のものであるため、説明を簡略する。
スクリューナット40は、分針を駆動する筒かな7と一体で回転するものであり、突起41によってリリースレバー60を駆動するように構成されている。
すなわち、筒かな7の外周には角取り部が形成され、中心に角穴のあいたスクリューナット40が文字板側から挿入されている。このため、スクリューナット40は、筒かな7(2番車=分針)と一体的に回転する。
スクリューナット40の外周部の突起41は、ベースのムーブメントが正時を指す(分針が12時位置を指す)少し前にリリースレバー60に接触し、リリースレバー60を図1中反時計回りに回転させる。
さらに、スクリューナット40の円板部にはピン42が突設されている。
数取り車50は、12枚の歯51Aが形成された星形歯車51と、回転中心からの長さが順次異なる12個の側面52Aを有する数取り板52とを備える。各側面52Aは、最も回転軸に近い側面の回転中心からの長さをL1とし、この長さL1とその次に近い側面の回転中心からの長さL2との差をΔLとした場合、長さL2=L1+ΔLであり、3番目に短い側面の回転中心からの長さL3は、L3=L1+2×ΔLである。
すなわち、各側面52Aの長さを、短い方向から順にL1〜L12とすると、Ln(nは1〜12)=L1+(n−1)×ΔLであり、ΔL毎、順次加算された長さに設定されている。
この数取り車50は、前記スクリューナット40のピン42が星形歯車51の歯51Aに係合することによって、1時間に1/12毎回転する。
リリースレバー60は、図4にも示すように、略Y字状に形成されたレバー本体61と、レバー本体61の一方の腕61Aの先端に取り付けられたビーク62と、レバー本体61の他方の腕61Bの先端に取り付けられたリリースレバークリック63と、レバー本体61に基端部が固定され、2本の線状弾性部がビーク62、リリースレバークリック63に係合されたリリースレバーばね64とを備えて構成されている。
このリリースレバー60は、回転軸65によって地板5に回動自在に取り付けられ、前記スクリューナット40の回転に伴い、図1中反時計回りに回転される。
ここで、ビーク62は、レバー本体61に対して回転自在に取り付けられ、前記リリースレバーばね64によって図4中反時計回り(A方向)に回転するように付勢されている。但し、図4に示すように、ビーク62がレバー本体61に当接する位置でその回転は規制されている。
一方、例えば、竜頭36の操作で分針を反時計回りに移動した場合など、ビーク62に図4中時計回り(B方向)の力が加わった場合には、ビーク62がB方向に回動し、その後、リリースレバーばね64の付勢力で元の位置に戻るようになっている。これにより、ビーク62つまりはリリースレバー60の破損を防止できる。
また、リリースレバークリック63は、リリースレバーばね64によって、図4中反時計回り(C方向)に回転するように付勢され、後述するようにセンターホイール80のリリースラチェット82の三角歯821に噛み合っている。
そして、リリースレバー60が反時計回りに回転された際には、リリースレバークリック63はリリースラチェット82の三角歯821を押し、リリースラチェット82を反時計回りに回転させる。
アワー・リピーティング・ラック(HRR)70は、数取り車50で表される現時刻を、ゴング33を打つ回数に相当するストロークに変換するとともに、ソネリ機構3の停止時は香箱車31の解け止めを行うものである。
HRR70は、図5にも示すように、地板5および輪列受け6間に回転自在に支持された回転軸71と、この回転軸71に圧入固定されたラック本体72と、ラック本体72に回転自在に取り付けられHRRクリック73と、回転軸71に案内されて前記HRRクリック73を付勢するHRRクリックばね74とを備えている。
ラック本体72は、前記回転軸71を中心とする円弧状に配置された歯75を備えている。また、この円弧部分の端部には、後述するようにセンターホイール80に当接してセンターホイール80の回転を規制する規制部76が設けられている。
HRRクリック73は、略T字形に形成され、前記数取り車50の各側面52Aに当接可能な端子部(時刻読み取り端子)731と、前記HRRクリックばね74に係合可能な2つの係止部732とを備えている。そして、HRRクリック73は、HRRクリック73に形成された長穴(トラック穴)733をラック本体72に圧入されたピンに挿入することでラック本体72に回転自在に取り付けられている。
HRRクリックばね74は、図6にも示すように、三角歯741を有するばねであり、この三角歯741の斜面には小さな凹部742が2箇所形成されている。そして、この凹部742に前記係止部732が嵌合することで、HRRクリック73の静止位置が決められている。
そして、HRRクリック73が前記数取り車50の側面52Aに接触している状態で、針合わせ操作を行い、数取り車50が回転して数取り板52がHRRクリック73の側面にぶつかった場合には、前記係止部732が凹部742から外れてHRRクリック73が回転できるので、HRRクリック73が破損することがない。
また、数取り車50のHRRクリック73への接触状態が解除されると、前記係止部732が三角歯741の斜面に案内され、係止部732が凹部742に嵌合する静止位置まで自動的に戻る。
また、HRR70は、地板5に固定されたHRR用ばね77によって、回転軸71を中心に図1中反時計回りの方向に付勢されている。
センターホイール(CW)80は、図7,8にも示すように、ドライビングローラ(以下DRoとも言う)81、リリースラチェット82、センターホイールピニオン(以下CWピニオンとも言う)83、リリースピン84、センターホイールリリースクリック(以下CWリリースクリックとも言う)85、センターホイールリリースクリックばね(以下CWリリースクリックばねとも言う)86、ギャザリングラックピニオン(以下GRPとも言う)87、ギャザリングラックピニオン位置決めピン(以下GRP位置決めピンとも言う)88、ドライビングラチェット(以下DRaとも言う)89、アワーラチェット90を備えて構成されている。
ドライビングローラ81は、円板811および軸812で構成されている。この軸812は、地板5および輪列受け6に回転自在に支持されている。
リリースラチェット82は、ドライビングローラ81の地板5側に配置され、前記軸812に回転自在に挿入されている。このリリースラチェット82は略円板状に形成され、その外周面には前記リリースレバー60のリリースレバークリック63が噛み合う三角歯821が形成されている。
センターホイールピニオン83は、リリースラチェット82の挿入後、その地板5側から前記軸812に圧入固定されている。センターホイールピニオン83は、円板状の歯車であり、図1に示すように、香箱車31からの回転を伝達する増速輪列32に噛み合っている。
リリースピン84は、リリースラチェット82に圧入され、ドライビングローラ81の円板811に形成された穴813に貫通して配置されている。なお、穴813は円板811の円周方向に所定長さを有する長穴とされている。
CWリリースクリック85は、ツバピン851でドライビングローラ81の円板811上に回転自在に取り付けられている。そして、CWリリースクリック85は、前記リリースピン84に係止可能な係止部852と、後述するドライビングラチェット89の三角歯891に噛合可能な爪部853とを備えている。
CWリリースクリックばね86は、ピン861でドライビングローラ81の円板811上に固定されている。このCWリリースクリックばね86の先端は、前記CWリリースクリック85に係合し、CWリリースクリック85をツバピン851を軸として時計回りに回転する方向に付勢している。
ギャザリングラックピニオン87は、外周に歯形が形成されているが、外周の一部には歯形が形成されていない無歯形部871が形成されている。ギャザリングラックピニオン87の中心には貫通孔が形成され、穴石872が圧入固定されている。このギャザリングラックピニオン87は、円板811の輪列受け6側から軸812に差し込まれて回転自在に支持されている。
GRP位置決めピン88は、ギャザリングラックピニオン(GRP)87に圧入され、かつ、ドライビングラチェット89及びアワーラチェット90にも挿入されている。従って、GRP位置決めピン88により、GRP87、ドライビングラチェット89、アワーラチェット90の位置が決められている。
ドライビングラチェット89は、ギャザリングラックピニオン87の地板5側に配置され、前記GRP位置決めピン88に圧入されて位置決めされている。このドライビングラチェット89の外周全周には三角歯891が形成されている。この三角歯891には、前記CWリリースクリック85の爪部853が噛合する。
アワーラチェット90は、ギャザリングラックピニオン87の輪列受け6側に配置され、前記GRP位置決めピン88に圧入されて位置決めされている。アワーラチェット90の外周の一部には12枚の三角歯901が形成されている。
さらに、アワーラチェット90には、ソネリ機構3が停止状態の際にハンマー34が動作することを禁止するハンマー鳴り止め用の突起902が形成されている。
[ソネリ機構の動作]
次に、このような構成のソネリ機構3の動作に関し、簡単に説明する。
通常の状態では、香箱車31の回転力(トルク)は増速輪列32を介してセンターホイール80に伝達され、CW80は図1中反時計回り方向に回転力を受けている。しかし、GRP87の無歯形部871とHRR70の規制部76とが押し付けられているので、CW50は回転せずに停止している。
一方、筒かな7が回転してスクリューナット40の突起41がビーク62に当接し、リリースレバー60が図1中反時計回りに回転すると、三角歯821に噛み合うリリースレバークリック63によってリリースラチェット82も回転する。すると、リリースピン84がドライビングローラ81の長穴813に沿って移動し、CWリリースクリック85をCW80の中心側に押し付けようとするCWリリースクリックばね86に抗って図1中反時計回り方向に回転させる。
これにより、ドライビングラチェット89の三角歯891に噛み合っていたCWリリースクリック85の爪部853が三角歯891から外れる。
爪部853が外れると、GRP87はドライビングローラ81に対して自由に回転可能になる。このため、アワーリピーティングラック70の歯75に噛み合っているギャザリングラックピニオン87は、撓められていたHRR用ばね77の力で図1中反時計回り方向に回転するHRR70により、HRRクリック73の先端が数取り車50の側面52Aに当接するまで図1中時計回り方向に瞬間的に回転する。
このときGRP87に固定されているアワーラチェット90は、外周の三角歯901でハンマー34の軸に回転自在に取り付けられたハンマートリップ341を弾きながら、時計回りに回転する。
HRRクリック73の先端が当接する数取り車50の数取り板52の外周は12分割され、中心から時刻に応じた距離を有する側面(辺)52Aが形成されている。従って、CWリリースクリック85がドライビングラチェット89から外れたときにセンターホイール80が回転する角度、つまりアワーリピーティングラック70が回転する角度は、数取り車50の回転位置によって決まる。
すなわち、数取り車50は数取り板52の下側に12本の歯51Aを持つ星形歯車51を有する。スクリューナット40は、筒かな(分針)7と一体になって1時間に1回転する際に、ビーク62に突起41が接触する前に、円板に圧入されたピン42が数取り車50の星形歯車51に係合し、数取り車50を1時間分(1/12回転=30度)だけ回転させる。このとき、星形歯車51は、三角歯のクリックが押し付けられているため、数取り車50はクリック感をもって回転し、位置決めされる。
ここで、CWリリースクリック85が外れた時、ハンマートリップ341を乗り越えていくアワーラチェット90の三角歯901の数は、数取り車50の示す時数と一致するように、ギャザリングラックピニオン87、アワーリピーティングラック70、数取り車50などの寸法が設定してある。
CWリリースクリック85が外れ、ギャザリングラックピニオン87との拘束から解放された時、ドライビングローラ81は香箱車31から増速輪列32、センターホイールピニオン83を介して伝達されるトルクで図1中反時計回り方向に回転を始める。
このドライビングローラ81の回転速度は、香箱車31の回転速度で設定され、香箱車31の回転速度は、前述したように調速装置2で調速され、非常にゆっくりした速度で回転する。
センターホイールピニオン83と一体のドライビングローラ81が回転すると、リリースレバークリック63に押されたままのリリースラチェット82はそのまま停止しているので、リリースピン84に押し上げられていたCWリリースクリック85はCWリリースクリックばね86のばね力で再びドライビングラチェット89に噛み合う。
これによりギャザリングラックピニオン87は、CWリリースクリック85に拘束され、ドライビングローラ81と一体になって反時計回り方向に回転する。
このとき、ハンマートリップ341を乗り越えたアワーラチェット90の三角歯901は、ハンマートリップ341に当たり反時計回り方向に回転する。ハンマートリップ341の回転に伴い、ハンマー34はハンマーばね342の付勢力に抗ってゴング33から離れる方向に持ち上がる。そして、アワーラチェット90の回転に伴い、三角歯901とハンマートリップ341との係合が外れると、ハンマー34はハンマーばね342によってゴング33側に戻り、ゴング33に打ち付けられる。
このゴング33を打つ動作は、センターホイール80が回転してアワーラチェット90の三角歯901がハンマートリップ341に当たる度に行われるので、数取り車50の回転位置つまり数取り車50から読み取った時刻の時数分だけゴング33が鳴らされる。従って、利用者は、鳴らされた音の数で時刻を知ることができる。
数取り車50から読み取った時刻の時数分だけゴング33が鳴らされると、ギャザリングラックピニオン87の無歯形部871と、アワーリピーティングラック70の規制部76とが接触し、センターホイール80の回転が停止する。
この際、図1に示すように、アワーラチェット90の突起902がハンマートリップ341に当接し、ハンマートリップ341が反時計回り方向に回転することを防止している。このとき、ハンマートリップ341はハンマー34のピン343に当接し、ハンマー34をゴング33から離れた位置に静止させている。このため、腕時計を携帯中に拍手したり、腕を強く振るなどした場合でも、ソネリ機構3が作動していない場合にゴング33が鳴ることはない。
リリースレバー60は、筒かな7の回転により、ビーク62がスクリューナット40の突起41から外れると、ばね力によって時計回り方向に回転し、初期位置に戻る。
以上が、ソネリ(時打ち)機構3の一連の動作である。
[第1実施形態の効果]
以上のような構成の本実施形態によれば、次のような効果がある。
(1)本実施形態の調速装置2は、機械的な制御によって香箱車31で駆動されるソネリ機構3の作動速度をほぼ一定にできるので、制御回路やセンサ類を不要にでき、低コスト及び省スペース化を実現できる。また、調速装置2は、機械式で電源が不要なので、電子制御式機械時計1に搭載した場合、発電調速機が発電した電力を使用する必要が無く、電力消費増大によって電子制御式機械時計1の持続時間が短縮することを防止できる。
(2)調速装置2は、流体粘性抵抗を利用する非接触式調速機のため、摩耗紛の発生が無く、装置の汚れや劣化を無くすことができる。そのため、摩耗紛による美観の劣化がなく、摩耗紛除去のための分解掃除や部品摩耗による部品交換、調整のメンテナンスサイクルを延長でき、メンテナンスコストも低減できる。
さらに、流体粘性抵抗を利用する非接触式調速機のため、雑音発生を防止できる。そのため、ソネリ機構搭載の時計1において、雑音発生が無いため、純粋に音源の音色を鑑賞できる。
(3)調速装置2において、ロータ200の回転方向は一方向にできるので、高速でロータ200を回転させても、往復運動のクラブツース脱進機などにみられる衝突部の損傷、劣化を防止できる。
また、翼210を利用した調速装置2であるため、調速装置2全体を薄型化でき、腕時計1にも容易に搭載できる。
(4)粘性流体として空気を利用しているので、粘性流体を密封するためのハウジングなどを設けなくてよいので、容易に小型化でき、ハウジングと軸とのシール構造によるロスも防止できる。
(5)対向物230に翼平面に対向する対向面を設けているので、翼210に働く粘性負荷を大きくすることができる。このため、体積あたりの制動力の割合を大きくでき、調速装置2及び調速装置2を備えた時計1を小型化できる。従って、動力伝達輪列4も増速比を小さくでき、その分、歯車の数を減らせるので、部品点数が減り、コスト低減を図れ、スペース効率も向上できる。
(6)翼210の両側に対向板233を設けているので、翼210の両面で流体粘性抵抗による制動力が働き、片面のみに対向板233を設けた場合に比べて、調速装置2のロータ200や対向物230の平面サイズは同じにしたままで、制動力(ブレーキ力)を倍増できる。
また、翼210の両面に対向板233が設けられているので、あがきによって翼210が一方の対向板233側に寄ってその隙間寸法が小さくなっても、他方の対向板233との隙間寸法は大きくなるため、トータルでの粘性抵抗の変化は少なくなり、調速装置2の速度は安定し、機器の作動速度も略一定に維持できる。
(7)翼210の外側への飛び出し量を規制する翼飛び出し過多防止手段を設けたので、携帯中の衝撃など設定以上のトルクがロータ200に伝わったり、過度の力が翼210に加わるなどしても、翼210が設定位置以上に外側に飛び出すことがないため、翼210が他の部材に接触することを未然に防止することができる。さらに、翼飛び出し過多防止手段は、ばね掛け軸206および係止突起213で構成できるので、シンプルでかつ軽量、安価な構成にできる。
(8)翼210は、複数の翼は重量バランスが保たれる位置に配置されるので、翼210に粘性抵抗が働いても回転軸上でバランスが保たれ、ロータ200が傾いたり、コジリが生じたりすることを防止でき、ロータ200は安定した回転を持続できる。
(9)翼210の外周形状の一部は、翼210が最も外側に位置した状態でロータ回転軸に同心の円周に重なる形状とされているので、翼210が最も外側に位置した際の対向物230と翼210が平面的に重なる面積を最大にでき、かつ、周速度が一番高い翼外周部付近の面積が大きく取れるので、制動力を大きくできる。このため、調速装置2のサイズに対する制動力の比を大きくでき、省スペースでありながら、十分な制動力が得られる調速装置2を実現できる。
(10)翼引き戻し手段として、板状のジグザグばね220を用いたので、ばねの薄さと撓み量の大きさを両立でき、ロータ200および調速装置2を薄く形成できる。従って、翼210と重ねて配置しても全体を薄くでき、平面レイアウトの自由度を増すことができる。さらに、翼材料とばねを一体にすることもでき、部品コスト、組立コストを削減できる。
その上、ジグザグばね220は、2つの翼210に対応する2つのジグザグばね部222と、これらを連結するばね位置決め部221とで一体に形成されているので、位置決め用の部位が一組でよく、全体をコンパクトにでき、バネ製造の工数も減るため、組立や取扱いも容易になる。
(11)翼210は、略半月状であり、かつ、ロータ200に対して翼軸211を介して回転自在に軸支され、前記翼軸211は翼重心位置よりも翼の一方の端部側に形成されているので、翼をロータ200の半径方向に平行移動する場合に比べて、翼210の保持構造による摩擦抵抗が小さく、翼210をスムースに動かすことができ、調速装置2の回転速度を安定化できる。
(12)さらに、ジグザグばね220は、翼210の重心よりも翼軸211側に取り付けられているので、翼210が回転した際のばねの変位を小さくできる。このため、ばね220の設定がし易く、ばね220の伸び縮みがスムースになる。また、ジグザグばね220の回転方向の変位を小さくできるため、ジグザグばね220の捩れが少なく、容易に伸び縮みできる。さらに、リング状、C字状にしたばね220の先端を翼ばね掛けピン212に引っ掛けても、ばね220とピン212の摺動が少なく摩耗の心配がない。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、図9に基づいて説明する。第2実施形態は、第1実施形態の調速装置2において、翼210の外周形状を多少変更したものであり、その他の構成は第1実施形態と同一であるため、説明を省略する。
すなわち、第2実施形態の翼210Aは、対向板233の穴233Aの内周縁に沿った形状とされている。具体的には、図9(B)に示すように、翼210Aの外周形状の一部、より具体的には翼210Aの先端から翼軸211の近傍までの外周形状は、対向板233の穴233Aの内周縁に沿った形状とされている。
このような構成の調速装置2においても、前記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
さらに、翼210Aの外周形状が穴233Aの内周縁に沿っているので、遠心力で翼210Aが図9(B)の状態から図9(C)の状態に移動した際に、対向板233間に入る際の翼210Aの面積が大きくなり、翼210Aの一部が対向板233間に入った場合の空気粘性抵抗を第1実施形態よりも大きくできる。これにより、翼210Aが対向物230と重なる前後の粘性抵抗力の差を大きくでき、ロータ200の速度をより設定速度に安定させることができる。
[第3実施形態]
第3実施形態は、図10,11に示すように、対向物として、調速装置2の上下の対向板233を一体とした形状の対向物300を用いたものである。すなわち、対向物300は、遠心力で外側に移動した翼210が入る溝301が形成されている。
本実施形態では、前記溝301がCリング状に形成された2つの対向物300を組み合わせることで、円周状の溝301を構成している。
この各対向物300は、対向物300に形成された長穴に挿入された案内ピン302で直線移動可能に案内されている。さらに、対向物300に一体に設けられたばね303により、各対向物300は、互いに離れる方向つまりロータ200の回転軸から遠のく方向に付勢されている。
各対向物300は、地板5にねじ込まれた調整ねじ304によって各対向物300間の間隔を微少に調整できるようにされている。すなわち、調整ねじ304をロータ200の回転軸側にねじ込めば、前記ばね303で離れる方向に付勢されている各対向物300をその付勢力に抗して互いに近づく方向に移動できる。一方、調整ねじ304をロータ200の回転軸から離れる方向に戻せば、ばね303の付勢力で各対向物300を互いに離れる方向に移動できる。
これにより翼210と対向物300の平面方向の重なり面積を変化させ、ロータ200の回転速度つまりソネリ機構3の動作速度を微調整できるようにされている。
なお、この速度調整は、時計1の組立時のみに行えばよいので、位置調整された対向物300は、固定ねじ305によって、その調整された位置に固定される。
そして、本実施形態では、案内ピン302、ばね303、調整ねじ304、固定ねじ305によって、各対向物300の内周縁300Aと、ロータ回転中心との距離を調整する平面距離調整手段が構成されている。
このような対向物300を用いた調速装置2においても前記実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
さらに、翼210の外周側への飛び出し量は、遠心力つまりロータ速度に応じて変化するので、ロータ200の静止時の翼位置と対向物300の間に前記ロータ200の半径方向の隙間を設けることで、ロータ200に働く粘性抵抗を、翼210が対向物300と平面的に重なり始める速度を境に大きく変化できる。よって、翼210は対向物300の境界線(内周縁300A)付近で微小な変動を繰り返すことになる。従って、増速比、増速段数、エネルギ源の出力トルクのほか、平面距離調整手段で前記半径方向の隙間寸法を調整することでロータ200の速度を容易に調整できる。
さらに、第1実施形態において、各対向板233間のスペーサ232の厚さを変えることで、ロータ200の回転速度を調整する場合には、調整のたびに対向板233や輪列受け6を取り外してスペーサ232を交換しなければならず、調整作業が煩雑になってしまう。
これに対し、本実施形態では、対向物300をスライド移動させるだけで調整できるので、ロータ200の回転速度の調整作業を簡単に行うことができる。
なお、本実施形態では、各対向物300間に隙間が生じるが、翼210が対向物300に対向する面積に比べて隙間部分の面積は非常に小さいので、翼210の制動力の点では影響は小さい。また、制動力が減少した分は、翼210と対向物300との隙間を詰めることで相殺することもできる。特に、対向物300に溝301を加工形成しているので、第1実施形態のようにスペーサ232を設けて隙間寸法を設定する場合に比べて、高精度に隙間を設定でき、その分、翼210との隙間寸法も精度良く設定できる。
[第4実施形態]
第4実施形態は、図12に示すように、翼210を回転軸方向に複数層設けたものである。対向物は、各層の翼210がそれぞれ対向板400間に配置されるように設ければよい。また、図12に示すように、地板5の一部を対向板5Aとして利用している。
その他の構成は、前記実施形態と同一であるため、説明を省略する。
このような本実施形態においても、前記実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
また、翼210を複数層設けることにより、調速装置2の平面寸法を変えることなく、制動力を増すことができる。
特に、翼210や対向板400をそれぞれ共通化し、仕様(調速に必要な制動力)に応じて重ね合わせる数を選択するように構成すれば、コストを低減でき、かつ必要な制動力が異なる様々な機器に利用できる。
[第5実施形態]
前記各実施形態は、ソネリ機構3の作動速度の調速に、本発明の調速装置2を利用していたが、第5実施形態は、図13に示すように、ゼンマイで駆動される発電機の発電ロータの調速に、本発明の調速装置を利用したものである。
本実施形態では、前記実施形態と同様に、香箱車31に対して動力伝達輪列(増速輪列)4を介して調速装置2が設けられている。さらに、この動力伝達輪列4の途中に発電機500が設けられている。
発電機500は、動力伝達輪列4の途中の歯車が噛合されて回転される発電ロータ501と、発電ロータ501を囲んで配置された2体のステータ502と、各ステータ502に巻回されたコイル503を備えている。コイル503は、整流回路504を介してコンデンサ505に接続され、さらに電力が供給される負荷としての各種電子機器506に接続されている。
発電ロータ501は、例えば2極の磁石が設けられた発電機用のロータである。整流回路504は、全波整流や半波整流など公知の各種整流回路を利用すればよい。コンデンサ505は、例えばセラミックコンデンサなどが利用できる。
負荷となる電子機器506は、例えば、防災用発電機付きラジオや、LED等を利用した発電機付き懐中電灯などである。すなわち、発電機500は、香箱車31のゼンマイを巻き上げることで発電でき、電池等が不要なので、特に、防災用あるいは携帯用の各種電子機器に電力を供給する用途に適している。
このようなゼンマイ駆動の発電機500では、従来は、発電機のロータをゼンマイのトルクで自由回転させ、その回転時の発電電力をコンデンサに充電して利用していた。しかしながら、発電ロータを自由回転させる短時間に大電力の発電が行われてしまうので、コンデンサとして大容量のものを用いなければならないという問題がある。大容量のコンデンサは、例えばタルタルコンデンサ、電解コンデンサなどで構成されるが、これらのコンデンサは、充放電の繰り返しによって容量低下が起こり、十分な電力を蓄積できないという問題が生じる。
また、前記特許文献1のように、発電機に電気的にブレーキを掛けてその回転速度を制御する電子制御式の発電機もある。この場合、発電調速機により一定電力を比較的長い時間発電できる利点がある。
しかしながら、負荷となる電子機器506で使用される電力の他、制御用ICや水晶振動子を駆動する電力も発電する必要があり、発電された電力を負荷に供給できる割合が低下するという問題もある。
これに対し、本実施形態では、発電ロータ501を調速装置2により機械的に調速しているので、電子制御の場合に必要となる制御用ICや水晶振動子を不要にでき、それらによって消費される電力も無くすことができる。従って、調速装置2によって速度調整を行うことで、負荷用の電力のみを一定量・長時間に渡って発電でき、負荷以外で消費される電力も無くすことができるので、ゼンマイエネルギの無駄も無くすことができる。従って、電子制御式の発電機と同じゼンマイを利用した場合に、消費電力が小さいので、その分、持続時間を長くすることができる。
なお、本発明は、前記実施形態に限らない。
例えば、スペーサ232の交換により対向板233の間隔を調整する場合に、輪列受け6を外さずに行えるようにしてもよい。例えば、輪列受け6をロータ200を軸支する部分と、それ以外の輪列の受け部分とに分離し、ロータ200を軸支するロータ受けを片持ち構造とする。そして、対向板の翼210と対向する対向部分はロータ受けを平面的に避けたC字形状とし、ロータ受けを分解しなくても対向板のみを取り外してスペーサ232を容易に変更できる構造としてもよい。
また、地板5や輪列受け6等のロータ200の軸受が固定される部材を対向板としても利用してもよい。この場合、地板5や輪列受け6に対するロータ200の高さ寸法を調整することで、翼210との隙間寸法を設定し、制動力を調整すればよい。
さらに、ジグザグばね220と翼210との接続部分は、翼重心よりも翼軸211側に限定されず、翼重心よりも先端側でもよい。また、翼210の形状は前記実施形態のように略半月状に限らず、その形状はロータ200に設ける枚数などに応じて設計すればよい。
さらに、翼210はロータ200に回転自在に取り付けられ、遠心力で回転して外側に移動するものに限らず、遠心力で平行に移動するものでもよい。
また、ジグザグばね220は、各翼210毎に別体のものを用いてもよい。さらに、翼翼引き戻し手段は、ジグザグばね220に限定されず、コイルばねなどの他のばねでもよいが、小型かつ薄型の腕時計1内に組み込む場合には、前記ジグザグばね220が最も好ましい。
ロータ200に対する翼210の枚数は2枚に限らず、1枚でもよいし、3枚以上でもよい。但し、1枚であると、ロータ200の回転時に重量バランスが取りにくくなり、3枚以上にすると、各翼210のサイズが小さくなったり、構造が複雑になってコストが嵩むため、2枚設けることがもっとも好ましい。
翼飛び出し過多防止手段は必ずしも設ける必要はないが、設けておくほうが、翼210の破損などを確実に防止できる。
対向物230,300は、翼210の両面に設けられるものに限らず、片面のみに設けられるものでもよいが、両面に設けた方が、制動力を倍増でき、その分、サイズを小型化できる利点がある。
また、翼210および対向物230,300間に介在される流体としては、空気が好ましいが、空気に限定されるものではない。例えば、液体などの他の流体を用いてもよい。但し、その場合には、流体を密閉するためのハウジングやシールが必要となるため、空気を利用することが好ましい。
次に、第1実施形態の調速装置2を実際に試作、評価した実施例について説明する。
図14,15に示すグラフ1,2の実線601,602は、ゼンマイ巻数を変化させ、ロータ200に伝達されるトルクを変えた際のロータ200の回転速度を測定した結果を示す。ちなみに、これらの結果は第1実施形態のハンマー34等の負荷の変動はない状態で行った実験結果である。
本実験における諸条件は以下の通りである。
香箱車からロータまでの増速比:176400倍
香箱車からロータまでの輪列の噛み合い段数:8段
ロータの翼案内板の直径:4mm
翼材料:ステンレス
翼厚み:0.1mm
翼重量(1枚):0.0031g
対向板と翼の距離:上板と翼の隙間 下板と翼の隙間
翼引き戻しばね(ジグザグばね)のばね定数:0.00874(kgf/mm)≒0.08571(N/mm)
対向板の穴233Aの直径:4.5mm
翼の最外周(対向板の溝部分の外径):6.0mm
グラフ1,2中の実線603,604のデータは、本実施例のロータの代わりに固定翼(直径6mmの円板)を用い、他の条件は同一にした場合の実験結果である。
この結果より、固定翼ではゼンマイの巻数が増えてゼンマイトルクが増すにつれて、ロータ速度が増加してしまう。一方、可変翼を持つ本実施形態の調速装置2の場合、ゼンマイ巻数が3巻以降はロータの回転がゼンマイ巻数やトルクに影響されず、等速調速機として機能することが判る。
図16に示すグラフ3は、第1実施形態のソネリ機構3でハンマー34を駆動した際の実験結果である。すなわち、実線610,611は、1打目が鳴ってから、12打目が鳴るまでの時間を11等分し、ハンマー34の打ち間隔の平均を示したものである。また、実線612は、ゼンマイ巻数に対するロータ回転数の変化を表したものである。
この結果から、ハンマー34の駆動という負荷の変動が合った場合でも、ゼンマイ巻数4巻程度まではハンマー34の打ち間隔はゼンマイ巻数つまりゼンマイトルクに影響されず、おおよそ一定に保たれることが判る。
図17,18に示すグラフ4,5の結果からは、翼210と対向板233との隙間寸法(具体的には、上板と翼の隙間寸法=下板と翼の隙間寸法)を0.15mm以下にすれば、粘性流体として空気を用いても十分な制動力が得られ、かつ、隙間寸法の設定によってその制動力を調整できることが判る。一方、隙間寸法が0.15mmよりも大きくなると、隙間寸法に関係なく、制動力がほぼ一定になって調整ができず、かつ、制動力自体も小さな値になってしまうことが判る。
なお、隙間寸法があまりにも小さいと、ロータ、翼のアガキ、ホゾと穴石のガタなどによる傾きによって翼と対向板とが接触してしまうおそれがあり、その接触を防止するための調整が非常に煩雑になる。このため、隙間寸法は0.03mm以上に設定した方が、調整を容易にできる利点がある。
従って、本実験例においては、翼210と対向板233との隙間寸法は、0.03mm以上でかつ0.15mm以下であることが好ましい。特に、腕時計などの小型の機器内に調速装置2を組み込む場合には、本実験例程度のサイズに設計されることが予想され、その場合、前記隙間寸法に設定することが望ましい。
但し、例えば、懐中時計や置き時計などのよりサイズの大きな機器内に組み込まれ、翼210のサイズもより大きくできる場合には、翼210と対向板233との隙間寸法は0.15mm以上でもよく、必要な制動力を考慮して設定すればよい。
次に、ゼンマイが解けてゼンマイトルクが低下していった際に、本発明の可変翼を有する調速装置と、翼を備えない調速装置とを用いた場合に、ロータの速度(角速度ω)の変動(ばらつき)をシミュレーションによって求めて評価した実施例2について説明する。
本シミュレーションにおける諸条件は以下の通りである。
香箱車からロータまでの増速比:95653倍
香箱車からロータまでの輪列の噛み合い段数:8段
ロータの翼案内板の直径:4mm
翼重量(1枚):0.0031g
翼枚数:2枚
翼形状:第1実施形態の形状(図2に示す翼形状)
対向板と翼の距離:上板と翼の隙間=下板と翼の隙間=0.05mm
翼引き戻しばね(ジグザグばね)のばね定数:58.52N/m
対向板の穴の直径:4.5mm
ゼンマイの最大出力トルク:0.0123N・m(≒125gcm)
ゼンマイの最大巻数:8.4巻
以上の条件を設定し、ゼンマイがほどけてゼンマイトルクが順次低下していった場合のロータの角速度をシミュレーションした。
なお、本シミュレーションにおいては、ハンマー等の負荷は考慮していない。また、香箱車からロータまでの摩擦抵抗、軸受の潤滑油による粘性抵抗も考慮していない。これらは考慮しなくても影響が小さいためである。
さらに、香箱車からロータの手前の歯車までの空気粘性抵抗も考慮していない。歯車はロータに比べて速度が遅く、殆ど影響しないためである。
また、ロータに加わる空気粘性については、翼が対向板間に入り込むまでは、ロータを円筒と仮定し、その表面に働く空気粘性抵抗の影響のみを考慮した。なお、シミュレーションにおいて比較対象とした翼が無いロータも同様である。
一方、翼が対向板間に入り込んでからは、円筒と仮定したロータ表面に働く空気粘性抵抗と、翼および対向板間に働く空気粘性抵抗とを合計してロータに働く空気粘性抵抗とした。
シミュレーションでは、次の手順でロータの角速度を求めた。
すなわち、まず、ゼンマイから加わるトルクをゼンマイの巻数に基づいて設定し、そのトルクとロータの慣性モーメントとでロータの回転速度を算出する。ロータの回転速度に基づいて翼に働く遠心力を求め、この遠心力と翼引き戻しばねのばね力とから翼の変位(位置)を算出し、翼が対向板間にあれば、翼において対向板間に配置される部分の面積を求め、その面積に対応する空気粘性抵抗を算出する。さらに、空気粘性抵抗が働く翼部分のロータ中心からの距離と空気粘性抵抗値からロータに加わる粘性ブレーキトルクとロータの角速度とを求める。
ゼンマイが解けた際のゼンマイトルクをゼンマイの特性から順次算出し、その算出したゼンマイトルクに基づいて前記計算を順次繰り返すことでシミュレーションした。その結果を図19に示す。
図19は、ロータ角速度と、香箱車に加わる粘性ブレーキトルクとの関係を示している。実線620は本発明の可変翼を有する調速装置を用いた場合のロータ角速度と粘性ブレーキトルクの関係を示し、実線621は同じ調速装置で翼を無くした場合の結果を示す。
これらの結果から分かるように、本発明の調速装置は、翼が対向板間に入り込むまでは、翼が無い場合と同じ結果であるが、ロータ角速度が高くなって翼が対向板間に入り込むと、粘性ブレーキトルクが急激に高くなる。
従って、翼無しの場合、実線621に示すように、粘性ブレーキトルクは最大でも0.005N・m以下となってしまい最大ゼンマイトルクの約半分以下と小さいため、十分なブレーキトルクを加えることができず、ロータの回転を一定速度に調速できない。
これに対し、可変翼を有する場合には、ゼンマイの最大出力トルク程度の粘性ブレーキトルクを得ることもできるため、ロータの回転を確実に一定速度に調速できる。
さらに、翼無しでゼンマイの最大出力トルクに対応できる粘性ブレーキトルクを得ようとすると、実線622のように、増速比が210000倍、輪列の噛み合い段数が10段必要となってしまう。
その上、図19の矢印623に示すように、例えばゼンマイの巻数が7.5巻から2.0巻まで5.5巻分ほどけて、ゼンマイトルクが約0.0118N・mから0.00785N・mまで変化した場合、実線622で示す翼無しロータでは、矢印624に示すように、ロータの回転速度は372s-1(=372rps)から303s-1まで約18.5%変動する。これに対し、本発明では、矢印625に示すように、ロータの回転速度は386s-1から362s-1まで約6.2%の変動に抑えることができる。
ここで、ゼンマイが5.5巻分解ける際の持続時間は、通常48時間以上である。従って、実線622で示す翼無しロータの場合、ゼンマイが2.0巻となった時点におけるソネリ機構の動作、具体的にはハンマーの駆動が、ゼンマイが7.5巻であった約48時間前に比べて約20%弱の割合で変動してしまうため、ソネリの打ち間隔の変化に利用者が気がついてしまう虞れがある。これに対し、本発明ではその変動は僅か6%程度と小さいため、ゼンマイトルクが変動してもほぼ同じ間隔で音源を叩くことができ、安定した動作で制御でき、本発明の有用性が検証された。
本発明の第1実施形態による電子制御式機械時計におけるソネリ機構を示す平面図。 第1実施形態における調速装置を示す平面図。 第1実施形態における調速装置を示す断面図。 ソネリ機構のリリースレバーを示す平面図。 ソネリ機構のアワー・リピーティング・ラックを示す平面図。 ソネリ機構のアワー・リピーティング・ラックにおいてHRRクリックが回転した状態を示す平面図。 ソネリ機構のセンターホイールを示す平面図。 ソネリ機構のセンターホイールを示す断面図。 第2実施形態における調速装置を示す平面図。 第3実施形態における調速装置を示す断面図。 第3実施形態における調速装置を示す平面図。 第4実施形態における調速装置を示す断面図。 第5実施形態における発電装置を示す図。 実施例における実験結果を示すグラフ。 実施例における実験結果を示すグラフ。 実施例における実験結果を示すグラフ。 実施例における実験結果を示すグラフ。 実施例における実験結果を示すグラフ。 実施例2におけるシミュレーション結果を示すグラフ。
符号の説明
1…電子制御式機械時計、2…調速装置、3…ソネリ機構、4…動力伝達輪列、5…地板、6…輪列受け、7…筒かな、31…香箱車、32…増速輪列、33…ゴング、34…ハンマー、35…打撃制御手段、40…スクリューナット、41…突起、42…ピン、50…数取り車、51…星形歯車、52…数取り板、60…リリースレバー、62…ビーク、63…リリースレバークリック、70…アワーリピーティングラック、73…HRRクリック、80…センターホイール、81…ドライビングローラ、82…リリースラチェット、83…センターホイールピニオン、84…リリースピン、85…CWリリースクリック、86…CWリリースクリックばね、87…ギャザリングラックピニオン、88…GRP位置決めピン、89…ドライビングラチェット、90…アワーラチェット、200…ロータ、203…翼案内板、205…翼ロック軸、206…ばね掛け軸、210,210A…翼、211…翼軸、212…翼ばね掛けピン、220…ジグザグばね、221…ばね位置決め部、222…ジグザグばね部、230,300…対向物、232…スペーサ、233…対向板、301…溝、341…ハンマートリップ、400…対向板、500…発電機。

Claims (15)

  1. 動力伝達手段を介して供給されるエネルギ蓄積手段のエネルギにより回転するロータと、
    前記ロータの回転軸に直交する翼平面を備えるとともに、ロータの回転による遠心力でロータの半径方向外周側に移動可能に設けられた翼と、
    前記ロータおよび翼間に配置されるとともに、前記翼をロータの半径方向内周側に引き戻す翼引き戻し手段と、
    前記ロータの外周に設けられ、かつ、前記翼がロータの半径方向外周側に移動した際に、その翼平面に対して所定の隙間寸法だけ離れて対向配置される対向面を備える対向物と、
    を備え
    前記ロータの静止時の翼位置と前記対向物の間には前記ロータの半径方向の隙間が設けられていることを特徴とする調速装置。
  2. 請求項1に記載の調速装置において、
    前記翼平面と対向物の対向面との隙間寸法を調整する隙間寸法調整手段を備えることを特徴とする調速装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の調速装置において、
    前記対向物の内周縁とロータ回転中心との距離を調整する平面距離調整手段を備えることを特徴とする調速装置。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれかに記載の調速装置において、
    前記翼平面と対向物の対向面との間の隙間寸法は0.15mm以下であり、翼平面および対向面間に介在される粘性流体は空気であることを特徴とする調速装置。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれかに記載の調速装置において、
    前記対向物は、前記翼を、ロータの回転軸方向の両側から挟むように配置されることを特徴とする調速装置。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれかに記載の調速装置において、
    前記ロータには、翼が設定位置以上外側に飛び出すことを防止する翼飛び出し過多防止手段を備えることを特徴とする調速装置。
  7. 請求項1から請求項6までのいずれかに記載の調速装置において、
    前記翼はロータに対して複数設けられ、かつ、各翼はロータの回転軸に対して重量バランスが保たれる位置に配置されていることを特徴とする調速装置。
  8. 請求項1から請求項7までのいずれかに記載の調速装置において、
    前記翼の外周形状の一部は、翼が最も外側に位置した状態でロータ回転軸に同心の円周に重なる形状とされていることを特徴とする調速装置。
  9. 請求項1から請求項7までのいずれかに記載の調速装置において、
    前記対向物の内周縁形状はロータの回転軸に同心の円周状とされ、前記翼の外周形状の一部は、対向物の内周縁形状と同じ形状とされていることを特徴とする調速装置。
  10. 請求項1から請求項9までのいずれかに記載の調速装置において、
    前記翼引き戻し手段は、板状のジグザグばねであることを特徴とする調速装置。
  11. 請求項10に記載の調速装置において、
    前記翼はロータに対して複数設けられ、前記翼引き戻し手段は翼毎に設けられた複数のジグザグばねを有する一体構造のものであることを特徴とする調速装置。
  12. 請求項1から請求項11までのいずれかに記載の調速装置において、
    前記翼は略半月状であり、かつ、ロータに対して回転軸を介して回転自在に軸支され、前記回転軸は翼重心位置よりも翼の一方の端部側に形成されていることを特徴とする調速装置。
  13. 請求項12に記載の調速装置において、
    前記翼引き戻し手段の翼との接点は、翼の重心よりも回転軸側に設けられていることを特徴とする調速装置。
  14. 請求項1から請求項13までのいずれかに記載の調速装置と、
    機械的エネルギを蓄積するエネルギ蓄積手段と、
    前記エネルギ蓄積手段からの機械的エネルギを前記調速装置に伝達する動力伝達手段と、
    前記エネルギ蓄積手段から供給される機械的エネルギで駆動される発電機と、
    を備えることを特徴とする発電装置。
  15. 請求項1から請求項13までのいずれかに記載の調速装置と、
    この調速装置で調速される作動部と、を備えることを特徴とする機器。
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