JP4830078B2 - メタン分子の保持方法およびイモゴライトが充填された耐圧容器 - Google Patents

メタン分子の保持方法およびイモゴライトが充填された耐圧容器 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水素、メタン、エタン、希ガスなどの疎水性無極性気体分子の保持方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、低級炭化水素、水素、希ガスなど疎水性無極性気体は、高圧で圧縮して耐圧容器内に充填し、保持する方法、極低温下で液化して保持する方法等で保持されていた。しかし、これらの方法では、高圧または極低温を維持するための耐圧容器や設備等を必要とするため、例えば、低級炭化水素を燃料とする自動車へこれらが保持された容器を搭載することや、希ガスを必要とする小型の実験装置などへ希ガスが保持された容器を備えることは実用的には問題があった。
そこで、近年、より効率的にこれらの疎水性無極性気体を保持することを目的として、種々の媒体を利用した保持方法が提案されている。
【0003】
例えば、活性炭を媒体として使用し、これにメタンガスを吸着させる方法(特開平11−344200号公報など)、有機金属錯体分子の微細な空孔にメタンガスを充填する方法(特開平9−196296号公報、特開平9−227571号公報、特開平9−227572号公報、特開2000−63393号公報、特開2000−109493号公報、特開2000−117100号公報など)がある。また、その他に、多孔質材料の細孔内にメタンと水からなるメタンハイドレートを形成することにより、メタンを保持する方法(特開平9−210295号公報、特開平10−299996号公報、特開平10−324647号公報)などがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの媒体を使用したいずれの方法においても、媒体の単位体積または単位重量あたりのガス保持量は不十分であった。
さらに、活性炭を利用する方法では活性炭の細孔構造の制御が難しいという問題があった。また、メタンハイドレート単体を利用する方法においては、メタンハイドレートの形成を高圧低温条件下で行う必要があるうえ、メタンを放出した後に再度メタンを保持させる場合には、その度にメタンハイドレートを形成する必要があり、コスト面で不利であった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、単位体積あたりの保持量が非常に大きく、大量かつ効率的に疎水性無機性気体分子を保持できる保持媒体と保持方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のメタン分子の保持方法は、保持媒体として、メタン分子を会合させる強さの疎水性相互作用が生じる内径で、内表面に水酸基が配向した微細孔を持つイモゴライトを用い、該保持媒体を耐圧容器に充填し、メタン分子をこの耐圧容器に4〜6MPaの加圧状態で送り込み、保持媒体の微細孔内部にメタン分子を保持することを特徴とする。
本発明のイモゴライトが充填された耐圧容器は、メタン分子を会合させる強さの疎水性相互作用が生じる内径で、内表面に水酸基が配向した微細孔を持つイモゴライトが充填された耐圧容器であって、4〜6MPaの加圧状態で送り込まれたメタン分子を、前記イモゴライトの微細孔内部に保持することを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の保持媒体は、微細孔を有していて、少なくともこの微細孔の内表面に水酸基が配向しているものである。保持媒体の形状に制限はなく、微細孔を有する顆粒、繊維、粒子等の他、中央に長さ方向と略平行な微細孔を有する管状体などが挙げられる。また、保持媒体の外表面にも水酸基が配向していてもかまわない。
保持媒体に保持する疎水性無極性気体としては、メタン、エタン、プロパン、ブタンなどの低級炭化水素ガス、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノン、クリプトンなどの希ガスの他、水素、窒素、酸素、二酸化炭素などが挙げられる。
【0008】
本発明の保持媒体は、微細孔の内表面に配向している水酸基の存在下で疎水性無極性気体分子同士が会合する作用、すなわち疎水性相互作用を発現させることにより、大量の疎水性無極性気体分子を微細孔内に保持するものである。
疎水性相互作用とは、親水性を示す物質と疎水性を示す物質とが共存する場合における相互作用であって、ある一定の条件下において観測される。一般的に疎水性相互作用は、親水性を示す物質が水である場合に観測されることが多いが、本発明での疎水性相互作用には、親水性を示す物質が水以外の物質である場合も含まれる。
【0009】
ここで疎水性相互作用について具体例を挙げて説明する。
親水性を示す物質と疎水性を示す物質とが共存する場合、例えば、親水性物質である水と疎水性物質であるメタンが共存し、相溶する場合、メタン分子の周りに複数の水分子が集まって、メタン分子をサッカーボール状にゆるく取り囲むと考えられている。この場合、水分子はサッカーボール状の秩序だった状態にあり、エントロピー的には不利な状態となっている。そして、この状態で、メタンの圧力をさらに上げて行き、水中に溶解するメタン分子の数が一定以上になると、メタン分子同士が会合するとともに、エントロピー的に不利な状態にある水分子の形状が、よりエネルギー的に安定な、より小さい表面積の正12面体に近づこうとする。
このように水−メタン系においては、系全体のエネルギーとエントロピーとがバランスをとって安定する妥協点が、ある一定の圧力以上であって、かつ、ある一定の温度以下の条件で存在する。そして、この妥協点において、水中に最も多くのメタンが取り込まれ、固体結晶であるメタンハイドレートが現れる。
このように親水性を示す物質と疎水性を示す物質とが共存する場合に、ある特定の条件が整うと、結果として、疎水性物質の分子同士が、親水性物質の存在下で強く会合するような作用が生じる。このような作用が疎水性相互作用である。
【0010】
本発明においては、上述のような疎水性相互作用が、保持媒体の水酸基と疎水性無極性気体分子との間に作用する。すなわち、保持媒体の微細孔の内表面に配向している水酸基の存在下において、疎水性無極性気体分子間に通常の分子間力よりも大きな力が作用して、これらが会合する。その結果、疎水性無極性気体分子だけを単に圧縮した場合よりも大量の疎水性無極性気体分子を、微細孔の内部に保持することができる。
【0011】
このような疎水性相互作用を生じさせて、微細孔の内部で疎水性無極性気体分子を強く会合させ、より効率的に疎水性無極性気体分子を保持するためには、微細孔の内径Dpと、目的とする疎水性無極性気体分子の分子径Dmとの比Dp/Dmが、1〜5であることが好ましく、さらに好ましくは1〜2.5である。Dp/Dmがこのような範囲であると、大きな疎水性相互作用が生じ、保持媒体の微細孔内で、疎水性無極性気体分子を多量に保持できる。
例えば、保持する疎水性無極性気体がメタンである場合、メタンの分子径は0.45nmであるので、保持媒体の微細孔は、その内径が0.45〜2.5nm程度であることが好ましく、より好ましくは0.45〜1.2nm程度である。
その他の無極性気体分子の分子径は、例えば、エタンが0.55nm、プロパンが0.63nm、ヘリウムが0.23nm、水素が0.27nm、キセノンが0.46nmであり、これらの気体分子と微細孔の内径Dpとの間にも同様の関係を適用できる。
【0012】
このような保持媒体としては、例えば、微細孔の内表面に水酸基、または、水酸基を含む構造を持つ基を表面化学処理により導入した表面処理活性炭や、イモゴライト、アロフェンなどが挙げられる。
イモゴライトは、アルミニウムケイ酸塩の一種であって、中央に長さ方向と略平行な、内径0.6 〜2.0nmの微細孔を有する長さ数十〜数万nm程度の管状体で、図1に示すように微細孔の内表面には水酸基が配向している。また、この比表面積は100〜400m2 /g程度である。その構造は、二酸化ケイ素の構造単位がギブサイト板状構造の一方の側に結合した構造であり、SiO4 単位の酸素原子は、3つがギブサイト構造と共有されていて、1つが水酸基として残されている。そのために、ギブサイト構造に歪みが生じて管状になっている。そして、管の内壁には、通常、10〜14の−Si−OH単位があるとされている。
【0013】
イモゴライトを合成する方法としては特に制限はなく、例えば次のようにして製造できる。
まず、オルトケイ酸ナトリウム、オルトケイ酸エチル等のモノケイ酸塩を100mmol/l程度の濃度の水溶液とし、この水溶液にケイ素/アルミニウム比が0.5〜0.75となるように塩化アルミニウムをその水溶液として添加する。ついで、この水溶液に水酸化ナトリウム等のアルカリを添加して中和し、前駆体が形成された後、遠心分離、濾過、膜分離などにより、溶液中の共存イオンを取り除き、その後回収した前駆体を酸性水溶液に分散させる。そして、この水溶液を95〜100℃で48〜72時間加熱熟成し、イモゴライトを生成させる。その後、この溶液から、固形分であるイモゴライトを遠心分離、濾過等により分離、回収することにより、イモゴライトを得ることができる。
このようにして合成されたイモゴライトは、内径が0.6〜1.2nm程度、外径が1.7〜3.3nm程度であり、長さが数十〜数万nm程度の微細な中空繊維である
【0014】
合成されたイモゴライトや、天然に産出されたイモゴライトは、そのままで、または、表面処理によってイモゴライトの内径を調整したり、内壁表面の濡れ性を制御したりした後、疎水性無極性気体分子の保持媒体として使用することができる。
表面処理の方法としては、例えば処理剤としてクロロトリメチルシランなどを使用して表面を部分的にシリル化することにより、保持する無極性気体分子の分子径に最適な水酸基分布と内径とを発現させることができる。
また、他には、クロロトリエチルシラン、クロロトリフェニルシラン、クロロトリ−n−プロピルシランなどを処理剤として使用してもよい。
【0015】
アロフェンは、アルミニウムケイ酸塩の一種であって、内径が1.5〜3.0nmであって内表面に水酸基が配向した微細孔を中央に有し、一方の端部が閉じた長さ3.5〜5.0nm程度の管状体である。イモゴライトやアロフェンは、天然に産出されたものでも、合成されたものでもよい。
その他には、内径1.3〜3.2nmの微細孔を有するFSM(ハニカム状メソポーラスシリカ)、内径1.5〜4.0nmの微細孔を有するMCM(集合中空管状メソポーラスシリカ)などを例示できる。
【0016】
このような保持媒体を使用して、疎水性無極性気体分子を保持するためには、まず保持媒体を耐圧容器に充填する。ついで、図2に示したような装置を使用して、疎水性無極性気体分子をこの耐圧容器に加圧状態で送り込み、保持媒体の微細孔内部に疎水性無極性気体分子を保持させる。
図2において、符号1はその内部に保持媒体が充填された耐圧容器である。この耐圧容器1には、接続部8を介して配管2が接続されていて、この配管2を通じて耐圧容器1内を減圧したり、疎水性無極性気体を耐圧容器1内に導入したりできるようになっている。図2において、符号5は疎水性無極性気体が充填されたボンベなどの気体供給源であり、符号6は真空ポンプなどの真空装置である。
また、この装置にはフィルタ7a、7bが備えられていて、疎水性無極性気体や配管2中の不純物が耐圧容器1内に混入しないようになっている。そして、気体供給源5と耐圧容器1との間の配管2には、圧力計4が備えられたガスレザーバ3が接続されていて、気体供給源5から導入された疎水性無極性気体をガスレザーバ3内に貯められるようになっている。
【0017】
この装置を用いて耐圧容器1に疎水性無極性気体を保持する場合には、まず、バルブ13を閉じ、バルブ14、15を開いた状態として、真空装置6を作動させ、耐圧容器1内を10-3Pa程度まで減圧する。この間、耐圧容器1をその周囲から加熱して、耐圧容器1内の保持媒体を125℃程度まで昇温し、保持媒体に吸着している水分や、気体などを除去する。このようにして3〜4時間程度、保持媒体の脱気と、系内の減圧とを行う。
そして、バルブ14、15を閉じ、バルブ11、12を開け、気体供給源5から疎水性無極性気体を導入し、バルブ13の上流側にこの気体を所定の圧力で導入する。その後、バルブ11を閉じ、バルブ13、15を開けて、圧力計4の数値がほぼ一定となるまでその状態を維持し、疎水性無極性気体を耐圧容器1内に導入して保持媒体に保持させる。
こうして疎水性無極性気体を保持媒体に保持させた後、バルブ15を閉じ、接続部8の接続を解除することによって、耐圧容器1を配管2から取り外すことができる。
【0018】
耐圧容器1内の保持媒体に保持された疎水性無極性気体を使用する場合には、バルブ15を解放すればよい。保持媒体に貯蔵されたこの気体の約95%は、圧力差によって、耐圧容器1外に容易に放出される。残りの気体は、保持媒体を60℃程度まで加熱することによって容易に脱離する。
また、疎水性無極性気体を取り出した保持媒体を、保持媒体として繰り返し使用することができる。
【0019】
このようにして保持媒体に疎水性無極性気体を保持することができるが、保持媒体の微細孔内でより強い疎水性相互作用を発現させ、大量の疎水性無極性気体分子を保持させるためには、耐圧容器1に疎水性無極性気体分子を40℃以下の温度、好ましくは25℃以下の温度で、4.0MPa以上の圧力で送り込むことが好ましい。疎水性無極性気体分子を送り込む温度は40℃を超えてもかまわないが、より高い圧力が必要となるため、エネルギー的に不利である。また、4.0MPa未満の圧力では、保持媒体の微細孔の内部での疎水性相互作用が不十分となる場合がある。疎水性無極性気体分子を40℃以下の温度で、4.0MPa以上の圧力で送り込むことにより、低エネルギーで、高密度に疎水性無極性気体分子を微細孔内に保持させることができ、非常に好ましい。
【0020】
例えば、保持媒体としてイモゴライトを使用し、イモゴライトが充填された耐圧容器1にメタン送り込む場合には、メタンを21℃、4MPaで導入すると、1cm3 のイモゴライトあたり0.09〜0.11gものメタンを保持でき、21℃、5MPaでは0.12〜0.13g、21℃、6MPaでは0.15〜0.16gのメタンを保持でき、非常に高密度に保持可能である。
【0021】
また、イモゴライトなどの保持媒体は、顆粒状、繊維状、粒子状などの圧縮成型されて、使用されてもよい。このように圧縮成型すると、保持媒体を脱気する際や無極性気体分子を加圧状態で送り込む際の保持媒体の飛散を抑制できる。さらに、成型時には適当なバインダーを数%程度混ぜてもよい。
【0022】
このように、疎水性無極性気体分子を会合させる強さの疎水性相互作用が生じる内径で、少なくとも内表面に水酸基が配向した微細孔を持つ保持媒体を使用することによって、微細孔内において疎水性無極性気体分子が会合し、非常に大量の疎水性無極性気体分子を保持することができる。このような疎水性相互作用を利用した疎水性無極性気体分子の保持は、例えば、疎水性物質である活性炭の細孔に疎水性の気体を吸着させるような、疎水性物質間の親和性を利用した従来の気体保持法とは作用が異なり、保持媒体の微細孔の内表面に配向している水酸基の存在下において、疎水性無極性気体分子間に通常の分子間力よりも大きな力を作用させ、これらを会合させ、保持することによる。よって、従来にはない非常に高い密度で疎水性無極性気体分子を微細孔の内部に保持できる。
このように本発明の保持媒体を使用すると、保持媒体に一定量の疎水性無極性気体を保持させる際に使用する保持媒体量が少なく、周辺装置の構成も簡単になり、コストを低減できる。また、保持媒体を収める容器に必要とされる機械的強度も小さくなるため、これらの軽量化が図れるとともに、これらを設計する際の自由度も大きくなる。
【0023】
本発明の保持媒体を使用すると、メタン、エタンなどの炭化水素、天然ガス、水素などを燃料とする移動体の燃料を保持することができる。例えば、無極性気体を燃料とする自動車にイモゴライトを充填したタンクを搭載し、このタンクに燃料である無極性気体を保持させることができる。自動車には、乗用車、貨物車、自動二輪車、原動機付き自転車などが含まれる。さらに、このようなタンクを無極性気体を燃料とする船舶にも搭載できる。
また、無極性気体を貯蔵したり運搬するために、この保持媒体を充填したタンクを、船舶タンカー、タンクローリ自動車、鉄道貨車、コンテナーなどとして使用することもできる。そして、タンクの大きさを統一し、規格化されたタンクユニットとし、このユニットを複数台用意することにより、船舶タンカー、タンクローリ自動車などへの搭載と、タンクユニットへの気体の充填も効率化することができる。
さらに、保持媒体がイモゴライトのような管状体である場合、この管状体には特定の分子径の無極性気体分子のみが保持される。よって、このような性質を利用することにより、混合気体を分離する分離媒体としても使用でき、例えば、圧力スイングによるガス分離法への適用もできる。
【0024】
【実施例】
以下、本発明を実施例を挙げて具体的に説明する。
[実施例]
図2の装置において、耐圧容器1として内容積2.3cm3 のステンレス製の容器を使用し、この中に0.7cm3 のイモゴライトを充填し、装置に接続した。そして、バルブ13を閉じ、バルブ14、15を開いた状態として、真空装置6を作動させ、耐圧容器1内を10-3Pa程度まで減圧した。この間、耐圧容器1をその周囲からヒータで加熱してイモゴライトを125℃まで昇温し、イモゴライトの脱気を行った。この状態を3時間維持した後、バルブ14、15を閉じ、バルブ11、12を開け、気体供給源5からメタンガスを導入し、バルブ13の上流側にメタンガスを1MPaの圧力で導入した。その後、バルブ11を閉じ、バルブ13、15を開けて、圧力計4の数値がほぼ一定となるまでその状態を維持し、メタンガスを耐圧容器1内に導入してイモゴライトに保持させた。その後、バルブ15を閉じ、接続部8の接続をはずし、配管2から耐圧容器1を取り外した。そして、この耐圧容器1の重量を測定し、メタンガスを導入する前の耐圧容器1の重量との差を算出して、メタンガス貯蔵量を求めた。この時のメタンガスの導入圧力と、イモゴライト1cm3 あたりのメタンガス貯蔵量の関係を図3にプロットした。
さらに、以上の操作をメタンガスの導入圧力を変化させて同様に行い、それぞれメタンガスの導入圧力と、イモゴライト1cm3 あたりのメタンガス保持量の関係を図3にプロットした。
なお、図3のグラフ中には、媒体を用いずにメタンガスを貯蔵容器1に充填した場合の25℃におけるメタンガス量(圧縮メタン)を比較として実線で示し、さらに、この2倍量、3倍量についても実線で示した。また、以上の操作は常温(21℃)で行った。
【0025】
実施例において、イモゴライトとしては、以下のようにして得られた合成品を使用した。オルトケイ酸ナトリウムの100mmol/l濃度の水溶液125mlに、ケイ素/アルミニウム比が0.67となるように、塩化アルミニウムの150mmol/l濃度の水溶液を125ml添加した。この水溶液に1N水酸化ナトリウムをpHが6.0となるまで添加し、生成した前駆体を遠心分離により脱塩処理し、溶液中の共存イオンを取り除いた。遠心分離により回収された前駆体の4分の1を純水に分散させた後、1N塩酸をpHが4.5前後となるまで添加した。この前駆体を分散させた溶液を2時間程度マグネティックスターラーにより攪拌した後、100℃、48時間加熱熟成し、イモゴライトを生成させた。その後、この溶液を0.025μm孔径のミリポアフィルターにより濾過し、40℃24時間の条件で乾燥して、イモゴライトを得た。
このようにして合成したイモゴライトは、内径が0.6〜1.0nm程度、外径が2.0〜2.8nm程度であり、長さが数十〜数万nm程度の微細な中空繊維であった。また、窒素によるBET比表面積は280m2/gであった。
【0026】
[比較例1〜2]
イモゴライトの代わりに、比較例1では活性炭A(商品名Maxsorb、関西熱化学(株)製、表面積2800m2/g)を、比較例2では活性炭B(商品名白鷺GX、武田薬品工業(株)製、表面積1400m2/g)を使用して、実施例1と同様にして、メタンガスの導入圧力と、イモゴライト1cm3 あたりのメタンガス保持量の関係を図3にプロットした。
【0027】
図3のグラフから明らかなように、内表面に水酸基が配向した微細孔を有するイモゴライトを保持媒体として使用して、疎水性無極性気体分子であるメタンとの間に疎水性相互作用を発現させ、メタン分子を微細孔内で会合させることによって、疎水性物質間における親和性を利用した活性炭によるメタンの保持に比べて、単位体積あたりのメタン保持量が非常に大きいことがわかった。
イモゴライトを使用した場合、メタンガス導入圧力がおよそ2.5〜4.0MPaの間に一旦メタンガス保持量が横這いとなり、その後、さらに圧力を上げていくことによって、メタンガス保持量は再び増加していく。このような特徴的な挙動は、保持媒体として内表面に水酸基が配向した微細孔を有するものを使用した場合にのみ現れる。すなわち、圧力が比較的低いうちは、保持媒体間の隙間に無極性気体分子が保持され、隙間が気体分子で飽和状態になると保持量が横這いとなる。その後、さらに導入圧力を上げていくと、保持媒体の微細孔内に無極性気体分子が入り込み、疎水性相互作用が発現し、その結果、さらに大量の無極性気体分子が保持可能となる。このような挙動は、保持媒体として活性炭を利用した場合に見られる、メタン導入圧力の増大にともなってメタンガス保持量が徐々に飽和していく挙動とは明らかに異なる。また、単純に表面積を比較した場合、イモゴライトの表面積は活性炭AおよびBに比べて非常に小さい。このことからも、本発明の保持媒体における無極性気体分子の保持が単なる吸着によるものでなく、微細孔内における疎水性相互作用が、無極性気体分子の高密度な保持を可能にしていることがわかる。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の保持媒体は、疎水性無極性気体分子を会合させる強さの疎水性相互作用が生じる内径で、少なくとも内表面に水酸基が配向した微細孔を持ち、圧縮された疎水性無極性気体分子がこの微細孔の内部に保持可能になっているので、無極性疎水性気体分子を高密度に保持させることができる。よって、一定量の気体を保持させるために必要とする保持媒体量が少なくてすむとともに、装置構成が簡単になり、コストを低減できる。また、保持媒体を収める容器に必要とされる機械的強度も小さくなるため、これらの軽量化が図れるとともに、これらを設計する際の自由度も大きくなる。また、このような保持媒体を使用すると、繰り返し保持媒体を使用できるため、低コストであるとともに気体の保持、放出が簡単である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の保持媒体の一形態であるイモゴライトの分子構造を示す図である。
【図2】 保持媒体に疎水性無極性気体分子を保持させる装置の一例を示す概略構成図である。
【図3】 本発明の実施例におけるメタンガスの導入圧力と、保持媒体1cm3 あたりのメタンガス保持量の関係を示すグラフである。

Claims (4)

  1. 保持媒体として、メタン分子を会合させる強さの疎水性相互作用が生じる内径で、内表面に水酸基が配向した微細孔を持つイモゴライトを用い、
    該保持媒体を耐圧容器に充填し、メタン分子をこの耐圧容器に4〜6MPaの加圧状態で送り込み、保持媒体の微細孔内部にメタン分子を保持することを特徴とするメタン分子の保持方法。
  2. 前記イモゴライトが、中央に長さ方向と略平行な、内径0.6 〜2.0nmの微細孔を有する管状体であることを特徴とする請求項1に記載のメタン分子の保持方法。
  3. メタン分子を会合させる強さの疎水性相互作用が生じる内径で、内表面に水酸基が配向した微細孔を持つイモゴライトが充填された耐圧容器であって、4〜6MPaの加圧状態で送り込まれたメタン分子を、前記イモゴライトの微細孔内部に保持することを特徴とするイモゴライトが充填された耐圧容器。
  4. 前記イモゴライトが、中央に長さ方向と略平行な、内径0.6 〜2.0nmの微細孔を有する管状体であることを特徴とする請求項3に記載のイモゴライトが充填された耐圧容器。
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