JP4828896B2 - 変異型hergチャネル発現細胞およびその用途 - Google Patents
変異型hergチャネル発現細胞およびその用途 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4828896B2 JP4828896B2 JP2005269153A JP2005269153A JP4828896B2 JP 4828896 B2 JP4828896 B2 JP 4828896B2 JP 2005269153 A JP2005269153 A JP 2005269153A JP 2005269153 A JP2005269153 A JP 2005269153A JP 4828896 B2 JP4828896 B2 JP 4828896B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- amino acid
- herg
- protein
- cells
- cell
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
- Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
- Peptides Or Proteins (AREA)
Description
本発明者らは、これらの知見に基づいてさらに研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
[1] 心筋細胞の遅延整流カリウムイオンチャネルのαサブユニットのタンデムダイマー型蛋白質であって、該タンデムダイマーを構成する2つのサブユニットの一方または両方が、該チャネルを阻害する化合物との結合に関与し得るアミノ酸に変異が導入されたものである蛋白質またはその塩;
[2] 野生型サブユニットが、配列番号2で示されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含むものである上記[1]記載の蛋白質またはその塩;
[3] 配列番号2で示されるアミノ酸配列中アミノ酸番号652で示されるチロシンおよび/またはアミノ酸番号656で示されるフェニルアラニンが他のアミノ酸で置換された、上記[2]記載の蛋白質またはその塩;
[4] サブユニットのC末とN末とで連結されたタンデムダイマー型のチャネルを発現する上記[1]記載の蛋白質またはその塩;
[5] 上記[1]〜[4]のいずれかに記載の蛋白質をコードする核酸;
[6] 上記[5]記載の核酸で形質転換された動物細胞;
[7] 哺乳動物細胞またはカエル卵母細胞である上記[6]記載の細胞;
[8] 上記[6]記載の細胞を試験化合物と接触させ、該細胞におけるカリウムイオンチャネルの阻害を試験することを特徴とする、心筋細胞の遅延整流カリウムイオンチャネルを阻害する化合物のスクリーニング方法;
[9] QT間隔延長作用を有する化合物のスクリーニングのためである上記[8]記載の方法;
[10] 上記[6]記載の細胞を心筋細胞遅延整流カリウムイオンチャネルを阻害する化合物と接触させ、該細胞におけるカリウムイオンチャネルの阻害を試験することを特徴とする、野生型の心筋細胞遅延整流カリウムイオンチャネルへの該化合物の結合様式の予測方法;
[11] 結合様式の予測が、結合に関与するアミノ酸側鎖の種類および/または位置関係の同定を含む上記[10]記載の方法;
[12] 結合様式の予測が、結合に関与するアミノ酸側鎖の空間配置および/または結合への貢献を含む上記[10]記載の方法;
[13] 野生型の心筋細胞遅延整流カリウムイオンチャネルの立体構造モデル、および上記[10]記載の方法を用いることを特徴とする、野生型の心筋細胞遅延整流カリウムイオンチャネルを阻害する化合物の該チャネルへの結合様式の予測方法;および
[14] 上記[13]記載の方法により予測される結合様式に基づいて、化合物による野生型の心筋細胞遅延整流カリウムイオンチャネルの阻害を回避するための、該化合物の構造修飾位置を予測する方法;
などを提供する。
より好ましくは、配列番号2、4または6に示されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列とは、各配列番号に示されるアミノ酸配列とそれぞれ約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上の同一性を有するアミノ酸配列である。
上記のようにアミノ酸配列が挿入、欠失または置換されている場合、その挿入、欠失または置換の位置は特に限定されないが、野生型サブユニットとしての性質を保持するためには、チャネルを阻害する化合物との結合に関与し得るアミノ酸に挿入、欠失または置換がないことが必要である。
変異はタンデムダイマーを構成する2つのサブユニットの一方のみに導入しても、あるいは両方に導入することもできる。また、1つのサブユニットに複数の変異を導入することもできる。1つのサブユニットに導入される変異の数としては0〜3、タンデムダイマー全体としては1〜5程度が例示されるが、特に制限されない。好ましくは、1つのサブユニットに0〜2、タンデムダイマー全体として1〜4程度の変異が導入される。
配列番号1、3または5に示される塩基配列と相補的な配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズできるDNAとしては、例えば、配列番号1、3または5に示される塩基配列と相補的な配列と約60%以上、好ましくは約70%以上、さらに好ましくは約80%以上、特に好ましくは約90%以上の相同性を有する塩基配列を含有するDNAなどが用いられる。
本明細書における塩基配列の相同性は、相同性計算アルゴリズムNCBI BLAST(National Center for Biotechnology Information Basic Local Alignment Search Tool)を用い、以下の条件(期待値=10;ギャップを許す;フィルタリング=ON;マッチスコア=1;ミスマッチスコア=-3)にて計算することができる。塩基配列の相同性を決定するための他のアルゴリズムとしては、上記したアミノ酸配列の相同性計算アルゴリズムが同様に好ましく例示される。
野生型サブユニットをコードするDNAの塩基配列が、配列番号1、3または5に示される塩基配列と完全一致しない場合、配列が相違する位置等は特に限定されないが、該DNAにコードされる蛋白質が野生型サブユニットとしての性質を保持するためには、チャネルを阻害する化合物との結合に関与し得るアミノ酸に挿入、欠失または置換等の変異が導入される塩基の変異を有しないことが必要である。
ストリンジェントな条件としては、例えば、ナトリウム塩濃度が約19〜約40mM、好ましくは約19〜約20mMで、温度が約50〜約70℃、好ましくは約60〜約65℃の条件等が挙げられる。特に、ナトリウム塩濃度が約19mMで温度が約65℃の場合が好ましい。
野生型サブユニットをコードするDNAは、好ましくは配列番号1、3または5に示される塩基配列で示されるヒトHERG蛋白質をコードする塩基配列を含有するDNA(GenBank accession Nos. NM_000238, NM_172056, NM_172057)、あるいは他の哺乳動物におけるそのオルソログ(例えば、GenBank accession No. NM_013569として登録されているマウスオルソログ等)である。
クローン化されたDNAは、目的によりそのまま、または所望により制限酵素で消化するか、リンカーを付加した後に、使用することができる。該DNAはその5’末端側に翻訳開始コドンとしてのATGを有し、また3’末端側には翻訳終止コドンとしてのTAA、TGAまたはTAGを有していてもよい。これらの翻訳開始コドンや翻訳終止コドンは、適当な合成DNAアダプターを用いて付加することができる。
即ち、野生型チャネルを阻害する化合物との結合に関与し得るアミノ酸をコードするコドン(例えば、HERG蛋白質の場合、配列番号1(または3)に示される塩基配列中塩基番号1867〜1869で示されるACC、塩基番号1873〜1875で示されるGTG、塩基番号1942〜1944で示されるGGC、塩基番号1954〜1956で示されるTAT、塩基番号1966〜1968で示されるTTC等)を含む、該配列の部分オリゴヌクレオチドにおいて、当該コドン配列を他のアミノ酸、即ち、野生型チャネルを阻害する化合物との結合に寄与しないアミノ酸(例えば、アラニン)をコードするコドン(例えばアラニンの場合、GCN(但し、Nは任意の塩基))に置換した塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを合成し、これを一方のプライマーとし、野生型サブユニットをコードするDNAを鋳型としてPCRを行うことにより、野生型チャネルを阻害する化合物との結合に関与し得るアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列をコードするDNA断片を得ることができる。この断片を適当な制限酵素とDNAリガーゼを用いて、野生型サブユニットをコードするDNAの対応する部分と組換えることにより、変異型サブユニットをコードするDNAを得ることができる。
発現ベクターとしては、大腸菌由来のプラスミド(例、pBR322,pBR325,pUC12,pUC13);枯草菌由来のプラスミド(例、pUB110,pTP5,pC194);酵母由来プラスミド(例、pSH19,pSH15);昆虫細胞発現プラスミド(例:pFast−Bac);動物細胞発現プラスミド(例:pA1−11、pXT1、pRc/CMV、pRc/RSV、pcDNAI/Neo);λファージなどのバクテリオファージ;バキュロウイルスなどの昆虫ウイルスベクター(例:BmNPV、AcNPV);レトロウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルスなどの動物ウイルスベクターなどが用いられる。
プロモーターとしては、遺伝子の発現に用いる宿主に対応して適切なプロモーターであればいかなるものでもよい。
例えば、宿主が動物細胞である場合、SRαプロモーター、SV40プロモーター、LTRプロモーター、CMV(サイトメガロウイルス)プロモーター、RSV(ラウス肉腫ウイルス)プロモーター、MoMuLV(モロニーマウス白血病ウイルス)LTR、HSV-TK(単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ)プロモーターなどが用いられる。なかでも、CMVプロモーター、SRαプロモーターなどが好ましい。
宿主がエシェリヒア属菌である場合、trpプロモーター、lacプロモーター、recAプロモーター、λPLプロモーター、lppプロモーター、T7プロモーターなどが好ましい。
宿主がバチルス属菌である場合、SPO1プロモーター、SPO2プロモーター、penPプロモーターなどが好ましい。
宿主が酵母である場合、PHO5プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーターなどが好ましい。
宿主が昆虫細胞である場合、ポリヘドリンプロモーター、P10プロモーターなどが好ましい。
また、必要に応じて、宿主に合ったシグナル配列をコードする塩基配列(シグナルコドン)を、本発明のタンデムダイマー変異蛋白質をコードするDNAの5’末端側に付加してもよい。例えば、宿主がエシェリヒア属菌である場合、PhoA・シグナル配列、OmpA・シグナル配列などが;宿主がバチルス属菌である場合、α−アミラーゼ・シグナル配列、サブチリシン・シグナル配列などが;宿主が酵母である場合、MFα・シグナル配列、SUC2・シグナル配列などが;宿主が動物細胞である場合、インスリン・シグナル配列、α−インターフェロン・シグナル配列、抗体分子・シグナル配列などがそれぞれ用いられる。
宿主としては、例えば、エシェリヒア属菌、バチルス属菌、酵母、昆虫細胞、昆虫、動物細胞などが用いられる。
エシェリヒア属菌としては、例えば、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)K12・DH1〔プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),60巻,160(1968)〕,エシェリヒア・コリJM103〔ヌクレイック・アシッズ・リサーチ(Nucleic Acids Research),9巻,309(1981)〕,エシェリヒア・コリJA221〔ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー(Journal of Molecular Biology),120巻,517(1978)〕,エシェリヒア・コリHB101〔ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー,41巻,459(1969)〕,エシェリヒア・コリC600〔ジェネティックス(Genetics),39巻,440(1954)〕などが用いられる。
バチルス属菌としては、例えば、バチルス・サブチルス(Bacillus subtilis)MI114〔ジーン,24巻,255(1983)〕,バチルス・サブチルス207−21〔ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(Journal of Biochemistry),95巻,87(1984)〕などが用いられる。
酵母としては、例えば、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)AH22,AH22R−,NA87−11A,DKD−5D,20B−12、シゾサッカロマイセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)NCYC1913,NCYC2036、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)KM71などが用いられる。
昆虫としては、例えば、カイコの幼虫などが用いられる〔前田ら、ネイチャー(Nature),315巻,592(1985)〕。
バチルス属菌は、例えば、モレキュラー・アンド・ジェネラル・ジェネティックス(Molecular & General Genetics),168巻,111(1979)などに記載の方法に従って形質転換することができる。
酵母は、例えば、メソッズ・イン・エンザイモロジー(Methods in Enzymology),194巻,182−187(1991)、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),75巻,1929(1978)などに記載の方法に従って形質転換することができる。
昆虫細胞および昆虫は、例えば、バイオ/テクノロジー(Bio/Technology),6巻,47−55(1988)などに記載の方法に従って形質転換することができる。
動物細胞は、例えば、細胞工学別冊8 新細胞工学実験プロトコール,263−267(1995)(秀潤社発行)、ヴィロロジー(Virology),52巻,456(1973)に記載の方法に従って形質転換することができる。
例えば、宿主がエシェリヒア属菌またはバチルス属菌である形質転換体を培養する場合、培養に使用される培地としては液体培地が好ましい。また、培地は、形質転換体の生育に必要な炭素源、窒素源、無機物などを含有することが好ましい。ここで、炭素源としては、例えば、グルコース、デキストリン、可溶性澱粉、ショ糖などが;窒素源としては、例えば、アンモニウム塩類、硝酸塩類、コーンスチープ・リカー、ペプトン、カゼイン、肉エキス、大豆粕、バレイショ抽出液などの無機または有機物質が;無機物としては、例えば、塩化カルシウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化マグネシウムなどがそれぞれ挙げられる。また、培地には、酵母エキス、ビタミン類、生長促進因子などを添加してもよい。培地のpHは、好ましくは約5〜約8である。
宿主がエシェリヒア属菌である形質転換体を培養する場合の培地としては、例えば、グルコース、カザミノ酸を含むM9培地〔ミラー(Miller),ジャーナル・オブ・エクスペリメンツ・イン・モレキュラー・ジェネティックス(Journal of Experiments in Molecular Genetics),431−433,Cold Spring Harbor Laboratory, New York 1972〕が好ましい。必要により、プロモーターを効率よく働かせるために、例えば、3β−インドリルアクリル酸のような薬剤を培地に添加してもよい。
宿主がエシェリヒア属菌である形質転換体の培養は、通常約15〜約43℃で、約3〜約24時間行なわれる。必要により、通気や撹拌を行ってもよい。
宿主がバチルス属菌である形質転換体の培養は、通常約30〜約40℃で、約6〜約24時間行なわれる。必要により、通気や撹拌を行ってもよい。
宿主が酵母である形質転換体を培養する場合の培地としては、例えば、バークホールダー(Burkholder)最小培地〔Bostian, K.L.ら,プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),77巻,4505(1980)〕や0.5%カザミノ酸を含有するSD培地〔Bitter, G.A.ら,プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),81巻,5330(1984)〕などが挙げられる。培地のpHは、好ましくは約5〜約8である。培養は、通常約20℃〜約35℃で、約24〜約72時間行なわれる。必要に応じて、通気や撹拌を行ってもよい。
宿主が昆虫細胞または昆虫である形質転換体を培養する場合の培地としては、例えばGrace's Insect Medium〔Grace, T.C.C.,ネイチャー(Nature),195巻,788(1962)〕に非働化した10%ウシ血清等の添加物を適宜加えたものなどが用いられる。培地のpHは、好ましくは約6.2〜約6.4である。培養は、通常約27℃で、約3〜約5日間行なわれる。必要に応じて通気や撹拌を行ってもよい。
宿主が動物細胞である形質転換体を培養する場合の培地としては、例えば、約5〜約20%の胎児ウシ血清を含む最小必須培地(MEM)〔サイエンス(Science),122巻,501(1952)〕,ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)〔ヴィロロジー(Virology),8巻,396(1959)〕,RPMI 1640培地〔ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・メディカル・アソシエーション(The Journal of the American Medical Association),199巻,519(1967)〕,199培地〔プロシージング・オブ・ザ・ソサイエティ・フォー・ザ・バイオロジカル・メディスン(Proceeding of the Society for the Biological Medicine),73巻,1(1950)〕などが用いられる。培地のpHは、好ましくは約6〜約8である。培養は、通常約30℃〜約40℃で、約15〜約60時間行なわれる。必要に応じて通気や撹拌を行ってもよい。
以上のようにして、形質転換体の細胞内または細胞外に本発明のタンデムダイマー変異蛋白質を製造せしめることができる。
例えば、本発明のタンデムダイマー変異蛋白質を培養菌体あるいは細胞の細胞質から抽出する場合、培養物から公知の方法で集めた菌体あるいは細胞を適当な緩衝液に懸濁し、超音波、リゾチームおよび/または凍結融解などによって菌体あるいは細胞を破壊した後、遠心分離やろ過により可溶性蛋白質の粗抽出液を得る方法などが適宜用いられる。該緩衝液は、尿素や塩酸グアニジンなどの蛋白質変性剤や、トリトンX−100TMなどの界面活性剤を含んでいてもよい。一方、膜画分から本発明のタンデムダイマー変異蛋白質を抽出する場合は、上記と同様に菌体あるいは細胞を破壊した後、低速遠心で細胞デブリスを沈澱除去し、上清を高速遠心して細胞膜含有画分を沈澱させる(必要に応じて密度勾配遠心などにより細胞膜画分を精製する)などの方法が用いられる。また、本発明のタンデムダイマー変異蛋白質が菌体(細胞)外に分泌される場合には、培養物から遠心分離またはろ過等により培養上清を分取するなどの方法が用いられる。
このようにして得られた可溶性画分、膜画分あるいは培養上清中に含まれる本発明のタンデムダイマー変異蛋白質の単離精製は、自体公知の方法に従って行うことができる。このような方法としては、塩析や溶媒沈澱法などの溶解度を利用する方法;透析法、限外ろ過法、ゲルろ過法、およびSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法などの主として分子量の差を利用する方法;イオン交換クロマトグラフィーなどの荷電の差を利用する方法;アフィニティークロマトグラフィーなどの特異的親和性を利用する方法;逆相高速液体クロマトグラフィーなどの疎水性の差を利用する方法;等電点電気泳動法などの等電点の差を利用する方法;などが用いられる。これらの方法は、適宜組み合わせることもできる。
なお、形質転換体が産生する本発明のタンデムダイマー変異蛋白質を、精製前または精製後に適当な蛋白修飾酵素を作用させることにより、任意に修飾を加えたり、ポリペプチドを部分的に除去することもできる。該蛋白修飾酵素としては、例えば、トリプシン、キモトリプシン、アルギニルエンドペプチダーゼ、プロテインキナーゼ、グリコシダーゼなどが用いられる。
例えば、本発明のタンデムダイマー変異蛋白質を埋め込んだ人工脂質二重膜(プロテオリポソーム)は、以下の方法により調製することができる。即ち、まず、PC:PS:Ch=12:12:1の混合脂質クロロホルム溶液を適当量ガラスチューブに分取し、窒素ガス蒸気でクロロホルムを蒸発させて脂質をフィルム状に乾燥させた後、適当な緩衝液を加えて懸濁、次いで超音波処理により均一に分散させ、コール酸ナトリウム等の界面活性剤を含む緩衝液をさらに加えて脂質を完全に懸濁する。ここに、精製した本発明のタンデムダイマー変異蛋白質を適量添加し、氷中で時々攪拌しながら20〜30分間程度インキュベートした後、適当な緩衝液に対して透析する。約100,000×gで30〜60分間遠心して沈渣を回収することにより、所望のプロテオリポソームを得ることができる。
従って、本発明はまた、本発明のタンデムダイマー変異蛋白質をコードする核酸で形質転換された動物細胞を提供する。本明細書において「形質転換された」とは、本発明のタンデムダイマー変異蛋白質を安定に発現するだけでなく、一過的に発現する場合をも包含する意味で用いられる。
本発明のタンデムダイマー変異蛋白質をコードするDNAを担持するための発現ベクターとしては、動物細胞発現プラスミド(例:pA1-11、pXT1、pRc/CMV、pRc/RSV、pcDNAI/Neo);λファージなどのバクテリオファージ;レトロウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルスなどの動物ウイルスベクターなどが用いられる。プロモーターとしては、遺伝子の発現に用いる宿主に対応して適切なプロモーターであればいかなるものでもよい。例えば、SRαプロモーター、SV40プロモーター、LTRプロモーター、CMV(サイトメガロウイルス)プロモーター、RSV(ラウス肉腫ウイルス)プロモーター、MoMuLV(モロニーマウス白血病ウイルス)LTR、HSV-TK(単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ)プロモーターなどが用いられる。なかでも、CMVプロモーター、SRαプロモーターなどが好ましい。
発現ベクターとしては、上記の他に、所望によりエンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、SV40複製起点(以下、SV40 oriと略称する場合がある)などを含有しているものを用いることができる。本発明のタンデムダイマー変異蛋白質を安定に発現する細胞を得る場合には、発現ベクターは選択マーカーをさらに含むことが望ましい。選択マーカーとしては、例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子(以下、dhfrと略称する場合がある、メソトレキセート(MTX)耐性)、アンピシリン耐性遺伝子(以下、amprと略称する場合がある)、ネオマイシン耐性遺伝子(以下、neorと略称する場合がある、G418耐性)等が挙げられる。特に、dhfr遺伝子欠損チャイニーズハムスター細胞を用い、dhfr遺伝子を選択マーカーとして使用する場合、チミジンを含まない培地によって目的遺伝子を選択することもできる。
特に、本スクリーニング方法は、試験化合物の野生型チャネル阻害試験と併用することにより、野生型チャネルを阻害する化合物の該チャネルとの結合に関与するアミノ酸の種類および/または位置関係を特定し、それに応じて種々の阻害薬をグループ化し得るという利点を有する。
心筋細胞遅延整流カリウムイオンチャネルは膜蛋白質であり結晶化が困難なため、未だX線結晶構造解析に成功していない。このような場合、野生型の心筋細胞遅延整流カリウムイオンチャネルの立体構造モデルを得る方法としては、構造既知の類縁蛋白質(例えば、類縁のカリウムチャネル蛋白質等)の結晶構造を鋳型に用い、それを利用して蛋白質の全原子モデルを作るホモロジーモデリングが挙げられる。ホモロジーモデリングでは、(1)構造未知の蛋白質のアミノ酸配列(例えば、配列番号2に示されるアミノ酸配列)をクエリーとして、構造データベース(例えば、RCSB Protein Data Bank(URL: http://www.rcsb.org/pdb/))から類似の配列を検索し、(2)得られた構造既知の蛋白質(例えば、類縁カリウムイオンチャネルを構成するKvAPおよびMthK (PDBID: KvAP:1ORQ, MthK:1LNQ))に対し、公知のソフトウェア(例えば、ClustalW1.6 (Thompson, JD et al. (1994) Nucleic Acids Research, 22:4673-4680)等)を用いてアラインメントを確定し、(3)アラインメントした鋳型の配列から対応する部分の構造を選び出して予測構造を構築する。ホモロジーモデリングには、フラグメントに基づく方法と制約条件に基づく方法とがあり、前者は構造既知の蛋白質から得られるフラグメントを集めてモデリングするもので、フラグメントの平均構造を利用し、構造が保存されていない部分では、ループモデリングなどの他の手法を用いる。後者は、構造上の特徴を制約条件で表し、これを満たすようにモデリングするというものである。
側鎖のモデリングでは、側鎖のとる二面角の傾向を考慮してその位置に適したロータマー構造を選択する必要がある。最近では、主鎖に依存したより詳細なロータマーの傾向を考慮する方法がとられるようになっており、例えば、DunbrackらのSCWRL2.9 (Bower, MJ et al. (1997) J. Mol. Biol. 267:1268-1282.) では、主鎖依存ロータマーライブラリを用いている。
一方、制約条件に基づく方法を採用しているシステムの代表例としては、Rockfeller大学のSaliらによるMODELLERがある。
複数選び出された結合様式の中から、上記の本発明のタンデムダイマー変異蛋白質を用いたチャネル阻害試験の結果と適合する、阻害薬のチャネルへの結合様式を選択することにより、該阻害薬の該チャネルへの結合様式を精度よく予測することができる。当該選択は、適当な支援ソフトウェア (例えば、InsightIITM(Accelrys Inc., San Diego, California, U.S.A.)等)を用いて目視により行うことができる。
DNA :デオキシリボ核酸
cDNA :相補的デオキシリボ核酸
A :アデニン
T :チミン
G :グアニン
C :シトシン
RNA :リボ核酸
mRNA :メッセンジャーリボ核酸
dATP :デオキシアデノシン三リン酸
dTTP :デオキシチミジン三リン酸
dGTP :デオキシグアノシン三リン酸
dCTP :デオキシシチジン三リン酸
ATP :アデノシン三リン酸
EDTA :エチレンジアミン四酢酸
SDS :ドデシル硫酸ナトリウム
Gly :グリシン
Ala :アラニン
Val :バリン
Leu :ロイシン
Ile :イソロイシン
Ser :セリン
Thr :スレオニン
Cys :システイン
Met :メチオニン
Glu :グルタミン酸
Asp :アスパラギン酸
Lys :リジン
Arg :アルギニン
His :ヒスチジン
Phe :フェニルアラニン
Tyr :チロシン
Trp :トリプトファン
Pro :プロリン
Asn :アスパラギン
Gln :グルタミン
pGlu :ピログルタミン酸
Sec :セレノシステイン(selenocysteine)
[配列番号1]
HERG mRNAのスプライスバリアント1(1159アミノ酸をコードする)に対応するcDNAのコード領域(CDS)の塩基配列を示す。
[配列番号2]
HERG mRNAのスプライスバリアント1にコードされる1159アミノ酸からなるポリペプチドのアミノ酸配列を示す。
[配列番号3]
HERG mRNAのスプライスバリアント2(888アミノ酸をコードする)に対応するcDNAのコード領域(CDS)の塩基配列を示す。
[配列番号4]
HERG mRNAのスプライスバリアント2にコードされる888アミノ酸からなるポリペプチドのアミノ酸配列を示す。
[配列番号5]
HERG mRNAのスプライスバリアント3(819アミノ酸をコードする)に対応するcDNAのコード領域(CDS)の塩基配列を示す。
[配列番号6]
HERG mRNAのスプライスバリアント3にコードされる819アミノ酸からなるポリペプチドのアミノ酸配列を示す。
HERG−薬剤結合様式を解析するため、薬剤の結合に関与していると報告された652位のチロシンと656位のフェニルアラニンをアラニンに置換したモノマーHERGおよびダイマーHERG変異体を作製した。作製したHERGモノマー変異体は野生型HERGのY652とF656のいずれかをアラニンに置換したMNY652AおよびMNF656Aの2種類で、HERGダイマー変異体はダイマーのC末側に位置するHERGのY652とF656のいずれかをアラニンに置換したダイマーTDY652AおよびTDF656Aの2種類である。また、さらに詳しい結合様式を解析するため、HERGタンデムダイマー二重変異体を作製した。作製したHERGタンデムダイマー二重変異体は、C末側に位置するHERGのY652とF656の両方をアラニンに置換したダイマーDMCCおよびN末側のY652とC末側のF656をいずれもアラニンに置換したダイマーDMNCの2種類である。
HERGは4量体を形成して機能しているため、モノマーHERG変異体とダイマーHERG変異体では変異の数、位置に違いが生じる。今回作製したモノマーHERG変異体およびダイマーHERG変異体が4量体を形成した場合の変異の数および位置を図1に示す。
各種プライマーの合成はGIBCO(Grand Island, NY)に、塩基配列の決定はサワディーテクノロジー(Tokyo, Japan)にそれぞれ依頼した。使用した制限酵素および DNA Ligation Kit Ver.2 はタカラバイオ(株)(Shiga, Japan)の製品を用いた。PCR用の酵素として、PLATINUM Taq DNA Polymerase High Fidelity (GIBCO) および PCRx Enhancer System (GIBCO)を用いた。哺乳類細胞発現用ベクターとしてpcDNA3.1(Invitrogen, Carlsbad, CA)を、クローニングベクターとしてpKF3(タカラバイオ(株))を用いた。
HERGは全長が3592bpと長いため、Segment 1(1-1317 bp)、Segment 2 (640-1956 bp)、Segment 3 (1894-3042 bp) および Segment 4(2919-3592 bp) の4つの断片にわけてクローニングした。それぞれのSegmentのPCR産物をTOPO TA cloning Kit (Invitrogen) を用いてpCR2.1-TOPOにサブクローニングし、さらに適切な制限酵素サイトを用いてpKF3に組み込んで、pKF3/seg(2+3+4)5-2を構築した。Y652AおよびF656Aの変異導入は、pKF3/seg(2+3+4)5-2をテンプレートとして、Y652またはF656をアラニンにするようにデザインしたプライマー(配列番号7および8)を用いてPCRを行った(リバースプライマーとして配列番号9のオリゴヌクレオチドを用いた)。PCR反応は、Fidelity (GIBCO) および PCRx Enhancer System (GIBCO) を用いて、95℃, 2 分の変性後、95℃, 30 秒〜55℃, 30 秒〜68℃, 1 分を35 サイクル行った。変異の入ったPCR産物をBglIIとAatIIで切断し、得られた断片をpKF3/seg(2+3+4)5-2のBglII-AatIIサイトと組換え、pKF3/seg(2+3+4)5-2 Y652AおよびpKF3/seg(2+3+4)5-2 F656Aを構築した。次に、構築したpKF3/seg(2+3+4)5-2 Y652AおよびpKF3/seg(2+3+4)5-2 F656AをBstPIとEcoRIで切断して得られた各断片を、哺乳類細胞発現用ベクターpcDNA3.1にHERG全長をコードするDNAをクローニングしたpcDNA3.1/HERGのBstPI−EcoRIサイトと組換え、pcDNA3.1/HERG Y652AおよびpcDNA3.1/HERG F656Aを作製した(図2)。シークエンスにより変異が導入されていることを確認した。
野生型タンデムダイマーHERG(TDWT)は、N末側のHERGにおいて終止コドンをなくした後、制限酵素EcoRI認識切断配列(GAATTC)の6bpを介してC末側のHERGの開始コドンとを繋ぐことにより構築した。まず、pKF3/seg(2+3+4)5-2をテンプレートとして終止コドンをなくすように設計したプライマー(配列番号10)を用いてPCRを行った(フォーワードプライマーとして配列番号11のオリゴヌクレオチドを用いた)。PCR反応は、Fidelity (GIBCO) および PCRx Enhancer System (GIBCO) を用いて95℃, 2 分の変性後、95℃, 30 秒〜55℃, 30 秒〜68℃, 1 分を35 サイクル行った。得られたPCR産物をNaeIとEcoRIで切断し、得られた断片をpKF3/seg(2+3+4)5-2のNaeI−EcoRIサイトと組換え、pKF3/seg(2+3+4)5-2・stop codon ×を構築した。さらにpKF3/seg(2+3+4)5-2・stop codon ×をNaeIとEcoRIで切断した断片をpcDNA3.1/HERGのBstPI−EcoRIサイトと組換え、pcDNA3.1/HERG・stop codon×を作成した(図3)。次に、pcDNA3.1/HERGをテンプレートとして、開始コドンの上流にあるNheIサイトがEcoRIに換わるように設計したプライマー(配列番号12)を用いてPCRを行った(リバースプライマーとして配列番号13のオリゴヌクレオチドを用いた)。得られたPCR産物をEcoRIとBstPIで切断し、得られた断片をpKF3のEcRI−BstPIサイトと組換え、pKF3/EcoRI−BstPIを構築した。さらにpcDNA3.1/HERGをEcoRIとNotIで切断した断片をpKF3/EcoRI−BstPIのEcoRI−NotIサイトと組換え、pKF3/HERGを構築した。最終段階としてpKF3/HERGをEcoRIで切断し、得られた断片をpcDNA3.1/HERG・stop codon ×のEcoRIサイトに導入し、pcDNA3.1/dimer HERGを作成した(図3)。シークエンスにより変異が導入されていることを確認した。
次に、タンデムダイマーHERG変異体(TDY652AおよびTDF656A)の構築を行った。まず、上記1-2.で構築したpcDNA3.1/HERG Y652AおよびpcDNA3.1/HERG F656AをそれぞれBstPIとNotIで切断し、得られた断片をpKF3/HERGのBstPI−NotIサイトと組換え、pKF3/HERG Y652AおよびpKF3/HERG F656Aを構築した。次に、pKF3/HERG Y652AおよびpKF3/HERG F656AをEcoRIで切断し、得られた断片をそれぞれpcDNA3.1/HERG・stop codon ×のEcoRIサイトに導入し、pcDNA3.1/tandem dimer HERG Y652AおよびpcDNA3.1/tandem dimer HERG F656Aを構築した(図4)。
さらに詳しい結合様式を解析するため、HERGタンデムダイマー二重変異体を作製した。ダイマーHERGのC末側サブユニットのY652とN末側サブユニットのF656を同時にアラニンに置換したダイマーHERG二重変異体(DMNC)の作成手順は次の通りである。pcDNA3.1/HERG Y652AをSfiIで切断し、得られた断片をpcDNA3.1/HERG stop codon ×のSfiI−SfiIサイトと組換え、pcDNA3.1/HERG Y652A stop codon ×を構築した。次に、pKF3/HERG F656AをEcoRIで切断し、得られた断片をpcDNA3.1/HERG Y652A stop codon ×のEcoRIサイトに導入し、pcDNA3.1/dimmer HERG N末Y652A・C末F656Aを構築した(図5A)。ダイマーHERGのC末側サブユニットのY652とF656を同時にアラニンに置換したダイマーHERG二重変異体DMCCの構築は次の手順で行った。Y652A・F656Aの二重変異導入はpKF3/seg(2+3+4)5-2をテンプレートとしてPCRを用いて行った(フォーワードプライマーとして配列番号14のオリゴヌクレオチド、リバースプライマーとして配列番号9のオリゴヌクレオチドを用いた)。PCR反応は、Fidelity (GIBCO) および PCRx Enhancer System (GIBCO) を用いて95℃, 2 分の変性後、95℃, 30 秒〜55℃, 30 秒〜68℃, 1 分を35 サイクル行った。変異の入ったPCR産物をBglIIとAatIIで切断し、得られた断片をpKF3/seg(2+3+4)5-2のBglII−AatIIサイトと組換え、pKF3/seg(2+3+4)5-2-C末Y652A・F656Aを構築した。次にpKF3/seg(2+3+4)5-2-C末Y652A・F656AをSfiIで切断し、得られた断片をpKF3/HERGのSfiI−SfiIサイトと組換え、pKF3/HERG-C末Y652A・F656Aを構築した。さらにpKF3/HERG-C末Y652A・F656AをEcoRIで切断し、得られた断片をpcDNA3.1/HERG stop codon ×のEcoRIサイトに導入し、pcDNA3.1/dimmer HERG C末Y652A・F656Aを構築した(図5B)。
IKr チャネルの機構あるいは薬剤によるIKrチャネルの阻害機構の解明を目的として、実施例1で作製した各種HERG変異体をHEK293細胞の膜上に発現させ、HERG安定発現株の樹立を試みた。
2-1-1)材料
MEM非必須アミノ酸溶液、ピルビン酸ナトリウム溶液、ジェネティシン(G418硫酸塩)溶液、MEM培地、LipofectAMINE 2000 Reagent、OPTI-MEM I Reduced-Serum Mediumは、GIBCOの製品を用いた。牛胎児血清(FBS;Trau Scientific Ltd., Melbourne, Australia)は、56℃, 30分間非働化処理したものを使用した。その他の試薬は和光純薬の製品を用いた。
2-1-2)細胞
ヒト腎臓由来細胞株HEK293(ATCC# CRL-1573)および野生型モノマーHERG発現細胞としてHERG.T.HEK(Wisconsin ALUMNI Research Fondation)を用いた。HEK293は、10% FBS、1 mM MEM非必須アミノ酸、1 mM ピルビン酸ナトリウム、2mM L-グルタミンを含むMEM培地を用いて、37℃, 5% CO2存在下で維持・継代した。HERG.T.HEKは、10% FBS、1 mM MEM非必須アミノ酸、1 mM ピルビン酸ナトリウム、2mM L-グルタミン、500 μg/ml ジェネティシンを含むMEM培地を用いて、37℃, 5% CO2存在下で維持・継代した。
2-1-3)トランスフェクション
12 well培養プレート(Falcon, Franklin Lakes, NJ)に、HEK293(4x105cells)を培養用培地を用いて播種した。一日培養後、LipofectAMINE 2000 Reagentを用いて、HERG変異体を挿入したpcDNA3.1(+)各2 μgをトランスフェクトした。LipofectAMINE 2000 ReagentおよびDNAの希釈には、OPTI-MEM I Reduced-Serum Mediumを用いた。一日培養後、細胞をプレートから剥がして回収し、100 mm培養用ディッシュ(Falcon)に播き直した。さらに一日培養した後、選択培地に交換した。ネオマイシン耐性株の選択には、500 μg/ml ジェネティシンを含む選択培地を用いた。選択培地を週に2回交換しながら1-2週間培養した。96well plate (Nalgen Nunc International, Rochester, NY) に、0.5 cells/well となるように播種し、薬剤耐性株をクローニングした。
2-1-4)パッチクランプによるHERG 電流の測定
80〜90% コンフルエントの細胞をトリプシン処理により回収し、IVF dish(Corning, NY, USA)に播いた。2〜3時間後、細胞外液(137mM NaCl、4mM KCl、1mM MgCl2、1.8mM CaCl2、10mM HEPES、11mM dextrose:pH7.4 )で潅流しながら、電極内液(7mM NaCl、130mM KCl、1mM MgCl2、5mM HEPES、5mM EGTA、5mM ATP-Na:pH7.2)を満たしたガラス電極(抵抗値1〜2 MΩ)を細胞に接着させ、パッチクランプアンプ(AXOPATCH 200B、Axopatch-instruments, Foster City, CA)を用いてwhole-cell configurationの形成並びに電位固定プロトコールによる刺激を行った(holding potential -75mV、一次電圧10mV:0.5sec、二次電圧-40mV:0.5sec、刺激頻度0.067Hz)。F656A変異体についてはholding potential -80mV、一次電圧0mV:5sec、二次電圧-120mV:0.25sec、刺激頻度0.067Hzで刺激を行った。予備刺激を与え、電流波形が安定した時点でHERG電流値(peak tail current)を計測した。1クローンについて最低3細胞について測定を行った。
ネオマイシン耐性を示す株についてパッチクランプ法により、HERG電流の確認を行った。表1に示した500 pA以上のHERG電流が確認されたクローンをHERG発現株として保存した。F656A変異体については-500 pA以下のクローンを選択した。
実施例1で構築した各cDNAを、1.5 U/μgのHind III(TAKARA) を用いた制限酵素反応 (37℃, over night) によりリニアライズし、これらをテンプレートとしてin vitro転写キット (mMessage mMachine ULTRA, Ambion) を用いてインジェクション用のmRNAを得た。mRNAは、DPEC処理水 (nakalai tesque) に終濃度25〜400 ng/μLになるように溶解し、これらの46nLを、濾胞細胞除去処理 [コラゲナーゼType I (SIGMA) 1.5 mg/mLを含む、Ca-free Barth’s solution (88 mM NaCl, 1 mM KCl, 2.4 mM NaHCO3, 0.82 mM MgSO4, 5 mM HEPES, pH7.6) で、18℃, 1.5時間処理] を行ったアフリカツメガエル卵母細胞 (stages V〜VI) に、マイクロインジェクター (Nanoject, Drummond) を用いて注入した。mRNA注入を行った卵母細胞は、50 μg/mLのゲンタマイシン (GIBCO) を含むBarth’s solution [88 mM NaCl, 1 mM KCl, 2.4 mM NaHCO3, 0.82 mM MgSO4, 0.3mM Ca(NO3)2, 0.41mM CaCl2, 5 mM HEPES, pH7.6] に入れ、電気生理学的実験に用いるまで、18℃に維持したインキュベーター (Incubate Box M-250, TAITEC) で培養した。
3-1. 電気生理学的実験
実験は、インジェクション後1〜6日の卵母細胞を用いて、Two-electrode voltage clamp法により行った。K+電流は室温下 (22〜23℃) でDagan CA1 amplifier (Dagan corporation) を用いて測定した。cut-off frequencyは1KHz、sampling frequencyは5KHzで記録した。電位刺激プロトコール及びデータ取得はA/Dコンバーター (Digidata 1200, Axon instruments) を介してソフトウェア (pCLMP9, Axon instruments) を用いて行った。ガラス電極は3 M KClを満たし、抵抗値0.5〜1 MΩのものを用いた。Bath solutionの組成は4 mM KCl, 96 mM N-methyl-D-glucamine Cl, 1.8mM CaCl2, 1 mM MgCl2, 5 mM HEPESとし、pHは7.4に調整した。Bathはインフュージョンポンプ (TE-331, テルモ) を用いて1 mL/minの速度で実験中を通して潅流した。
3-2. データ処理
阻害定数(Ki)は、個々の細胞の薬物濃度と電流阻害の関係について、式Idrug/Icont = {Ki(1−b)/Ki+x}+b(但し、Idrugは当該濃度での電流値、Icontは薬物非添加時の電流値、Kiは阻害定数、xは薬物濃度、bは定数)へのfittingからKiを決定し、それらの平均±SDを求めた。さらに、阻害の減弱の程度について、次のようなグレードで順位付けを行なった。即ち、各変異体について、それぞれ対応する野生型(モノマーあるいはタンデムダイマー型)のKi値と比べ、+: 2〜4倍程度減弱、++: 同4〜8倍程度、+++: 同8〜16倍程度、++++: 16〜32倍程度、+++++: 32倍以上、−: <2倍とした。Kiの算出にはソフトウェア (Mathematica, Wolfram Research Inc.) を用いた。
3-3. 薬物
Cisapride (Accurate chemical) はDimethyl sulfoxide (和光純薬) に溶解して1及び10 mM溶液 (stock solution) を調製し、-20℃以下で凍結保存した。使用時は室温で溶解させ、細胞への曝露直前に所定量をbath solutionと混合し、所定の曝露濃度溶液を調製した。薬物曝露は潅流液ラインの切換えによって行った。
図6に示す電位刺激プロトコール (Envelope command) を用いて、薬物の添加前及び各濃度において電流波形を取得し、阻害の時間経過観察並びに電流阻害率の算出を行った。なお、薬物添加時は、別プロトコール(holding potential: -80 mV; 一次刺激: +20 mV, 3455 msec; 二次刺激: -50 mV, 3000 msec; 刺激頻度: 0.05Hz)により、阻害が安定した後にEnvelope commandを実施した。図7のように、野生型において脱分極電流及びtail電流(ピーク値)は、共に脱分極時間の長さに依存して減少した。ほぼ阻害が定常と考えられる+20mVの脱分極刺激7秒後では、HERGチャネルの大部分は不活性化状態にあると考えられ、また、tail電流発生の背景には不活性化状態からの回復という構造変化過程があることから、シサプリドは不活性化状態構造もしくはそれに近い状態で高親和状態となると考えられた。
脱分極時間7秒でのtail電流ピーク値をもとに野生型及び各変異体におけるシサプリドの阻害定数を算出し、各変異体における阻害の減弱程度を調べた(表2)。この結果からシサプリドの結合様式について次のことが考えられる。1)Y652あるいはF656を全て取り除いた変異体(MNY652A, MNF656A)では、いずれも野生型と比較して阻害が減弱した。従って、Y652及びF656の両方が結合に関与する。2)TDY652A(隣り合うサブユニットのY652が利用できない変異体)において、野生型と比較して阻害の減弱がみられた。従って、隣り合うサブユニットの2個のY652が結合に関与する。3)TDF656Aでは野生型と比較して阻害率の減弱はなかった。従って、F656は1つあるいは対面の2個が結合に関与する。これをふまえた、阻害程度の違いを結合残基の違いで説明可能な結合様式の例(隣り合うサブユニットの2個のY652及び1個のF656が関与する)を図8に示す。なお、図8中のTDY652Aについて、この変異体ではDMCCとDMNCの間の阻害率を示したが、それはDMCC及びDMNC両者の結合様式を取ることが可能なためと考えられる。
前述の各変異体における阻害減弱の程度について、特定の変異体間における差に着目することにより、残基個々の結合への貢献度を把握できる。即ち、図8において、DMCC、DMNC及びMNF656Aは結合残基のいずれか一つが除去されている。DMCCとDMNCの比較では、DMNCの方がより減弱した。従ってDMNCで除去されたY652(Y1)の方が、DMCCで除去されているY652(Y2)よりも結合における貢献度のが大きい(Y1>Y2)。また、MNF656AはDMCCより減弱した。F656(F1)の除去がY1の除去よりも影響が大きいことから、貢献度はF1>Y1と考えられる。以上まとめると、F1、Y1及びY2の貢献度の順は、F1>Y1>Y2であることが示唆された。
HERGチャネルの結晶構造は未知であるが、類縁カリウムチャネルの結晶構造が既知であるので、ホモロジーモデリングが可能である。HERGチャネルの状態変化を反映するために、チャネル内孔表面を形成するS6へリックスの配向が異なるKvAPおよびMthKの結晶構造を鋳型に用い、2種類の立体構造モデルを構築した。鋳型構造は4量体構造として、RCSB Protein Data Bank(URL: http://www.rcsb.org/pdb/)から入手(PDBID: KvAP:1ORQ, MthK:1LNQ)した。配列比較はClustalW1.6(Thompson, JD et al. (1994) Nucleic Acids Research, 22:4673-4680)を用いて行い、鋳型の立体構造に照らしてマニュアルで修正した。この結果を用い、SCWRL2.9(Bower, MJ et al. (1997) J. Mol. Biol. 267:1268-1282.)を使ってホモロジーモデリングを行った。
構築した2種類のHERG立体構造モデルを用い、ドッキング法によりシサプリドの結合様式を複数発生させた。ドッキングには、Gold2.1.2TM (Jones G et al.(1995) J. Mol. Biol. 245, 43-53)を使用した。これらより実施例3の実験結果を満たす薬物阻害様式を目視により選択した。目視作業にはInsightII TM(Accelrys Inc., San Diego, California, U.S.A)を使用した。その結果、図9に示す通り、HERGのY1、Y2およびF1(図9左)にはそれぞれシサプリドのB環、A環およびC環が相互作用することが示された(図9中)。この場合、化合物の骨格を変換せずに構造修飾によって阻害を回避することは困難と予測される。阻害回避例としては、例えば、モサプリド(図9右)が挙げられる。
Claims (3)
- 以下の工程を含む、野生型の心筋細胞遅延整流カリウムイオンチャネルへの試験化合物の結合様式の予測方法:
(1)カリウムイオンの存在下において、配列番号2で示されるアミノ酸配列を含む蛋白質のタンデムダイマー型蛋白質を発現する細胞および配列番号2で示されるアミノ酸配列を含む蛋白質のタンデムダイマー型蛋白質であって、該タンデムダイマーを構成する2つの蛋白質の一方または両方が、配列番号2で示されるアミノ酸配列中アミノ酸番号652で示されるチロシンおよび/またはアミノ酸番号656で示されるフェニルアラニンが他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列を含む蛋白質である、タンデムダイマー型蛋白質を発現する細胞を試験化合物と接触させる工程、
(2)各細胞の膜における心筋細胞遅延整流カリウムイオンチャネルを介したカリウムイオン輸送に起因する電流値を測定し、該測定値を用いてカリウムイオン輸送に係る該試験化合物の阻害活性に関する阻害定数を算出する工程、および
(3)各細胞の阻害定数を比較して、該試験化合物の配列番号2で示されるアミノ酸配列中アミノ酸番号652で示されるチロシンおよび/またはアミノ酸番号656で示されるフェニルアラニンへの結合様式を予測する工程。 - 各細胞がいずれも哺乳動物細胞またはカエル卵母細胞である請求項1記載の予測方法。
- 野生型の心筋細胞遅延整流カリウムイオンチャネルの立体構造モデル、および請求項1記載の方法を用いることを特徴とする、該試験化合物の該チャネルへの結合様式の予測方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005269153A JP4828896B2 (ja) | 2005-09-15 | 2005-09-15 | 変異型hergチャネル発現細胞およびその用途 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005269153A JP4828896B2 (ja) | 2005-09-15 | 2005-09-15 | 変異型hergチャネル発現細胞およびその用途 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007075042A JP2007075042A (ja) | 2007-03-29 |
JP4828896B2 true JP4828896B2 (ja) | 2011-11-30 |
Family
ID=37935966
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005269153A Expired - Fee Related JP4828896B2 (ja) | 2005-09-15 | 2005-09-15 | 変異型hergチャネル発現細胞およびその用途 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4828896B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109524058B (zh) * | 2018-11-07 | 2021-02-26 | 浙江工业大学 | 一种基于差分进化的蛋白质二聚体结构预测方法 |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CA2486193A1 (en) * | 2002-05-24 | 2003-12-04 | Neurion Pharmaceuticals, Inc. | Methods of determining precise herg interactions and altering compounds based on said interactions |
-
2005
- 2005-09-15 JP JP2005269153A patent/JP4828896B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2007075042A (ja) | 2007-03-29 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3064015B2 (ja) | プロスタグランジンレセプターdp | |
US8252541B2 (en) | Sodium channel protein type III α-subunit splice variant | |
US7972813B2 (en) | Tetrodotoxin-resistant sodium channel alpha subunit | |
US8614300B2 (en) | Nucleic acids encoding a mut-T domain-containing polypeptide | |
JP3519078B2 (ja) | 抗血小板剤スクリーニング方法 | |
JP4828896B2 (ja) | 変異型hergチャネル発現細胞およびその用途 | |
JP2002504492A (ja) | Gタンパク質共役型受容体Fishboy | |
WO2003079025A2 (en) | Methods for the identification of compounds useful for the suppression of chronic neuropathic pain and compositions thereof | |
WO2006038684A1 (ja) | 膜貫通型酵素阻害物質のスクリーニング方法 | |
JP2003510027A (ja) | Pgpcr−3ポリペプチドおよびそのdna配列 | |
Levitan et al. | Surface expression of Kv1 voltage-gated K+ channels is governed by a C-terminal motif | |
EP2159281B1 (en) | Novel slc17-type transporter protein in mammal and use thereof | |
US20020106766A1 (en) | Molecular cloning of a galanine-like 7 transmembrane receptor (AXOR12 RAT) | |
KR20040010644A (ko) | Epf 수용체 에세이, 화합물 및 치료학적 조성물 | |
WO2001007482A1 (en) | Gpr27, a g-protein coupled receptor | |
JP2003510071A (ja) | P−糖タンパク質およびその使用 | |
JP2003024081A (ja) | 新規ポリペプチド | |
US20080200408A1 (en) | Deletion mutants of tetrodotoxin-resistant sodium channel alpha subunit | |
JP2003009885A (ja) | 新規ポリペプチド | |
US20020058328A1 (en) | Novel compounds | |
US20020064814A1 (en) | Dog orexin 1 receptor | |
WO2005090580A1 (ja) | 非ヒト動物モデルにおける転写活性測定方法、細胞数の測定方法及び腫瘍体積の測定方法 | |
EP1357187A1 (en) | Novel physiologically active peptide and use thereof | |
JP2003525571A (ja) | 7TM受容体GABAB−R2a | |
WO2000068244A1 (en) | 7tm receptor mouse apj |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20080715 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20110215 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20110418 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20110524 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20110719 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20110823 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20110915 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140922 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |