JP4828210B2 - 遊技装置用の回転表示体 - Google Patents

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Description

本発明は、パチンコ遊技機やスロットマシン、パチスロ等の遊技機における遊技装置の中で使用される表面に文字、図柄等を表示してなる遊技装置用の球形の回転表示体に関する。
パチンコ遊技機やスロットマシン等の遊技機には遊技(ゲーム)を演出するため各種表現手段を取り込んだ遊技装置が組込まれるが、この中に遊技の中で予め設定する例えば当り条件などを遊技者において確認するための手段の一つとして回転表示体がある。
回転表示体において最も一般的なものは、複数個(通常、3個)の回転表示体を組合せたものであり、各回転表示体の表面に文字や数字、記号或いは図柄等の表示物(以下、単に「表示物」という。)を表示し、個別に回転する表示体が停止したときに予め設定する組合せに揃ったとき、ゲームの成立、つまり遊技上の「当り」としてこれを表現し、予め設定しておく当りの種類、即ち図柄等の組合せに基づいてそれぞれ価値を違えた景品を遊技者に払い出す、と言った形態で実施されているものが多く、この様な形態で各種の装置の中で利用されている。
更に具体的に言えば、最も一般的な回転表示体は、回転するドラムの周面に図柄等を表示したものである。
回転ドラムは、通常3個の回転ドラムを並設してこの回転ドラムの周面に表示した図柄等の組合せによって各種の「当り」を表現し、ゲームを楽しむものとなっている。この回転ドラム式の表示体は、円筒状の回転体からなるもの、テープを筒状にしてプーリに架けたもの等、構造を異にしたものがあるが、いずれもドラムの回転に伴って図柄等が上下に移動することで変化するものとなっている。しかし、その変化はこの表示物が上下に移動するに過ぎないため動きに変化が少なく単調になる問題があった。
この変化の単調さは回転体自体の動きの単純さにも原因があるが、形状の共通性にも原因があり、変化を求める遊技者から飽きられる問題があった。
これを解決する一つの方法として、ドラムに代えて球体としたものが提案されている。
回転する球体、即ち球形の回転表示体は回転ドラムを見慣れた遊技者に新鮮さを与えるものであり、遊技者の興趣を誘うものとなっている。
しかし、この球形の回転表示体の問題は、回転ドラム式の表示体に比較して製造が困難であることにある。
つまり、球形の回転表示体は、球体を形成すること自体がドラム形に比較して容易でないこと、加えて表示体とするためにはこの球体の表面に文字や数字、図柄等からなる表示物を表わす必要があるが、球曲面に対する印刷は技術的に困難を伴うことにある。
従来、遊技装置用の球形をなす回転表示体の例を挙げれば、例えば特許文献1乃至3に記載されるもの等がある。
特開平8−191934号公報の明細書中段落0032から0039、及び図面の図1から図9。 特開平8−191935号公報の明細書の段落0019から0026の説明、及び図面の図1から図9。 特開平8−191936号公報の明細書の段落0025から0032の説明、及び図面の図1から図9。
上記特許文献1乃至3は、回転体に関する記載内容を共通にしており、相互に差がないものとなっているので、ここでは特許文献1の記載に基づきみると、回転体56は一対の半球形の殻体62,64から構成されること、そして、これら殻体には半球面中央部に殻体の球面の中心から放射線方向(球心方向)に向けて筒状の軸筒部66を立設することが記載されている。更に、一方の殻体62の円形開口端部には嵌合凹部72を、軸筒部66の自由端部には嵌合軸凸部74を形成し、また他方の殻体64の円形開口端部には嵌合凸部76を、そして軸筒部66には嵌合軸凹部78を設けて、球体を作るべくこの2つの殻体62,64を合体させるに際しては、前記嵌合凹部72と嵌合凸部74とを嵌め合せ、また前記嵌合軸凸部74と嵌合軸凹部78とを嵌め合せて組合せ、球体とすることが説明されている。
この球体に表現する図柄については、それぞれ殻体を単独の状態にして、これに分割した図柄を表示し、次に位置合せの凸部80と凹部82を嵌め合せてこの図柄を組合せ完成させることが記載されている。
しかし、ここには凸部と凹部の嵌め合によって2つの殻体から1つの球体を作ることが説明されているが、この2つの殻体を分離不能に一体的に結合させることについては全く説明がされていない。
また、重要なことでもあるのに各殻体の半球面形をなす外表面にどの様にして図柄を表示するかについてこれが提案の要部となっていないこともあってか全く説明がされていないのである。
以上のことから、更に球面の如く立体的な面に対する印刷方法についてみると、例えば特許文献4が公開されている。
特開平10−181295号公報。明細書の段落0002、0017から0019。図面の図8から図10。 しかし、ここに開示される立体面に対する転写の技術は、人形の顔等の凹凸面に対するものになってはいるが、球体の表面の全面に亘って印刷することについては対応しておらず、従って球体に対し表示する上での問題を解決するものとはなっていない。
球体の表面、とりわけ球体の外表面の全面に亘って、しかも回転表示体の如く複数の図柄の連続からなる表示物を均一に表わすことは極めて困難な作業であり、前述したように仮に複数個に分割される殻体の個々に個別に表わし、これを球体に組立てることを通して連続した図柄にする方法を採用するにしても、殻体の接合部において図柄の不整合が起るなど美麗な仕上りを得ることは極めて困難なものとなる。
従って、上述したところから明らかな様に、本発明は遊技装置において使用される回転表示体の製造、とりわけ球体の外表面に図柄を表示する回転表示体の製造の困難性に鑑みてこれを改善すべく開発されたもので、その主たる目的は、回転表示体の本体となる球状の回転体の成形、及びこの回転体の外表面に表わす図柄等の表示に関わる問題を同時に解決し、製造性を高め、同時に回転体の表面形状と図柄等の表示物を歪みなく美麗に仕上げられるようにした改良された遊技装置用の回転表示体を提供しようとするものである。
また本発明は、前記球体をなす回転体の表面に表現される表示物が回転体の表示位置に確実に表現できるようにして安定した、しかも高品質の改善された遊技装置用の回転表示体を提供しようとするものである。
本発明は、上記目的を達成するため、半円球形をなす2つの殻体の開口部同士を合せて中空の球体とする回転体と、予め筒形にして表面に文字,数字,図柄等の表示物を施してなる熱収縮性フィルム製の表示体とからなるものであって、前記回転体に対して前記表示体を取り巻くように嵌め付け、この状態で該表示体を加熱収縮して回転体の表面に該表示体を密着させると共に前記2つの殻体相互を結合し、該回転体の表面に前記表示物を表現する一方、前記2つの殻体の少なくとも一方の殻体の表面にずれ止め用突起を設けて前記加熱収縮により密着する表示体を係止し、前記本体の表面の定位置に固定することを特徴とした遊技装置用の回転表示体を提供することにある。
また本発明は、前記表示体は回転体に対して2つの殻体の衝き合う開口部を筒形の中心部に置いて該開口部を取り巻くように嵌合した上で該表示体を加熱収縮し、2つの殻体を筒の両端部で等分に包み込んで回転体の表面に該表示体を密着させ、固定することを特徴とした遊技装置用の回転表示体を提供することにある。
また本発明は、前記2つの殻体の各頂部に軸受孔を開設し、該軸受孔に支軸を挿通して該支軸を支点に回転自由に支持すること、若しくは前記2つの殻体の各頂部に小支軸を突設し、該小支軸を支点に回転自由に支持することを特徴とした遊技装置用の回転表示体を提供することにある。
また本発明は、前記ずれ止め用突起は球体の表面から突出する小突起物であることを特徴とした遊技装置用の回転表示体を提供することにある。
また本発明は、前記ずれ止め用突起はいずれか一方の殻体の表面に1個若しくは間隔をおいて複数個突設することを特徴とした遊技装置用の回転表示体を提供することにある。
また本発明は、前記ずれ止め用突起は各殻体の表面を被う表示体の両端縁に近くにあって各殻体の開口部から離れた表面に設けられることを特徴とした遊技装置用の回転表示体を提供することにある。
また本発明は、前記回転体を形成する2つの殻体は、一方の殻体の開口部の縁に沿う内周面部分を全周に亘って嵌合凹部を形成し、また他方の殻体の開口部の縁に沿う内周面部分には上記嵌合凹部に係合する嵌合凸部を全周に亘って突設し、両殻体の開口部同士の衝合せにおいて該嵌合凹部と嵌合凸部とを嵌め合せることを特徴とした遊技装置用の回転表示体を提供することにある。
また本発明は、前記嵌合凸部には前記切欠き凹部を、また前記嵌合凹部には前記切欠き凹部に係入する突起部を形成して2つの殻体の開口部同士の衝き合せ時に、該嵌合凹部と突起部とを嵌め合せることを特徴とした遊技装置用の回転表示体を提供することにある。
上述の如くしてなる本発明において、前記回転体を2つの殻体から形成することとしたことは、球体に組合せることにおいて作業性がよくなること、更には殻体自体の成形が容易となり、製造性が向上することにある。
この殻体については、成形上の理由に加えて回転体として使用する上で軽量であることが望まれるが、取り分け使用時の回転及び停止動作を機敏に行う上から肉薄にして軽量な中空の球体に形成することになる。
尚、この殻体の組合せによって形成される回転体は、その周面に巻き付く表示体の熱収縮による締め付けを受けるので、この熱収縮時の締め付けに耐えられる強度が求められることになる。従って、上記殻体は素材によっても多少の差はあるが、肉厚はこの締め付けに耐えられる厚みを限度として選択されることになる。
ところで、前記表示体の基材となる熱収縮性フィルムは、シュリンクフィルムとして広く知られる合成樹脂の延伸フィルムが使用されることになる。そして、このフィルムには筒形に成形する前に展開した状態においてその表面に表示物を表現することになる。
つまり、このフィルムは展開したフィルムの状態において、或は包囲する球形の回転体の周囲の長さに合せてフィルムの状態から予め所定の幅員をもったテープ状に切断した情態にいて印刷等の方法により表示物を表現し、次にテープにした端部同士を接合して筒形の表示体とするのである。
上記熱収縮性フィルムについてはどの様なものでもよいが、好ましくはポリ塩化ビニル、ポリオフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂等を材料にした熱収縮性フィルムが適している。
この表示体は、筒形の状態において回転体に覆せ、加熱することにより収縮させることになるが、このとき合成樹脂を材料にして成形される回転体の殻体も熱の影響を受けることになるので、熱収縮性フィルムの選択に当っては出来るだけ低温で収縮する材料、例えばポリ塩化ビニルを材料とした熱収縮性フィルム等が都合がよく、取扱いの上からも有利である。
尚、前記表示体の表面に施す図柄等の表示物は、前述した様にテープ状に展開した状態において印刷する等して表示されることになるが、表示体を展開した状態、つまり扁平な状態で印刷表示し、これを回転体の表面に移し表現するようにしたことは、本発明が提供する重要な特徴の一つである。この方法によると、球体表面の曲面上に直接印刷したのと同一の効果を挙げることができることになり、容易に、且つ明瞭な状態で表示することができることになる。
回転体に嵌め付けるため筒形に形成される表示体は、その内径を回転体の直径に等しいか、幾分大きく形成し、容易に嵌付けられるようにする。そして、筒の長さを回転体の表面の半周以下の長さにすることになる。
表示体を回転体に嵌付ける際は表示体の中心部に回転体を構成する2つの殻体の互いに衝き合う開口部が一致するように嵌め付けることになる。この状態で上記表示体を加熱収縮すると、表示体の中心部がそのまま衝き合った開口部を周囲から締付けることになり、同時にこの中心部から両端部に向けた筒部分がそれぞれの殻体の表面に対して収縮して密着し、更にこの収縮に伴って2つの殻体を引き寄せ、上記開口部同士の接合を確実なものとし、しっかりした球体を作ることになる。
前記殻体の開口部に形成される嵌合凹部と嵌合凸部は、この両者の嵌め合せによって両殻体の位置合せと、係合を確実にするものであり、結合作業と球体の形状保持に有効に作用することになる。
また、この嵌合凹部に形成する突起部と嵌合凸部に形成される切欠き凹部とは互に嵌り合うことによって2つの殻体を周方向に回転し位置ずれするのを防止することになり、安定した球体を提供することになる。
回転体を構成する上記殻体の表面に設けられる小突起物は、この回転体と熱収縮によって密着する表示体とを一体化し、相互の位置ずれを防止するものである。
この小突起物は熱収縮によって被ってくる表示体の内面に突き出し、係合状態を作るものであり、好ましくはずれ止めの効果を有する最小の突起であること、つまり表示体の表面にできるだけ小さな歪ができる程度のものであることが望まれる。
尚、この小突起物は、殻体の一方であっても、また双方であってもよい。また殻体に対して1個でも、間隔をおいて複数個突設するものであってもよい。ただ、当然のことではあるが表示体が被る範囲の表面部分であることが条件となる。好ましくは殻体が衝き合う開口部を離れた殻体の頂部に寄った部分、つまり表示体の中央位置から離れた端部に近い部分に形成されることが適当である。
前記殻体の頂部に形成する軸受孔は、本願発明が回転表示体として利用される場合の支持方法における一の要素であって、殻体の形成時に一体に設けることになる。
この軸受孔は2つの殻体が結合したとき向き合うことになり、支軸を貫通状に挿通することができる。そして、この支軸を遊技装置に支持させることによって回転体を自由に回転させることができるのである。勿論、上記軸受孔には補強のため軸受板を添わせることがある。
尚、本発明においては、前記軸受孔に代えて各殻体の頂部に小支軸を一体に突設し、この支軸を支持することで回転体を回転自由に支持するようにしてもよい。この場合は上記小支軸が前記軸受孔に挿通する支軸を代用するものとなる結果、ここに用いた支軸は不要のものとなる。
以上の説明において明らかな様に、本発明によれば、回転表示体の基体となる球形の回転体を半球形の2つの殻体から構成するようにしたこと、そしてこの殻体同士の抱き合せによって球体を製造することができることから製造が容易となり、またこの殻体相互の抱き合せによって球状の回転体とするとき、筒状にした表示体の熱収縮性を利用して一体に拘束し固定できる構造としたことから、殻体を例えば接着剤を利用して接合する場合、或いは係止手段の掛け合わせによって殻体を結合させる場合、又ねじ止め等にって結合する場合等に比較して遥かに簡便に、しかも正確に結合させることができ、球状の回転体に形成できるという利点がある。
また、上記回転体に対して筒形の表示体を2つの殻体の衝き合う開口部が中央部に位置するように嵌め付けて加熱収縮時に表示体の両端部が各殻体に均等に被って締め付けることから、両殻体に均一の締め付け力が作用することになり、抱き合わせ状態を安定化し均一な球体に成形できる。また、これによって表示体自体が均一に収縮することから表示物を歪めることがなく安定した表示とすることができる利点がある。
また本発明は、筒状をなす表示体の表面にテープ状に展開した状態において予め図柄等の表示物が印刷等によって施すことができること、しかも当該表示体を回転体の外表面に巻き付け、密着させて回転体の外表面全面に上記図柄を配置することができるので、この回転体若しくは回転体を構成する殻体の外表面の曲面に対して直接印刷等により表示する従来の場合に比較して遥かに容易であり、正確に表示することができる利点がある。
そして、本発明は回転体の表面に熱収縮によって貼り付く表示体が殻体の表面に突出する小突起物に係合して移動を阻止されることから回転体との間で位置ずれを起こすことがない。ことに、本発明回転表示体は回転、停止が回転体を主導にして行われ、この表面に貼り付く表示体がこれに追随して回転、停止する構造となることから表示体のずれは表示物の移動を意味し適正な表示を欠くことになるが、本発明ではこれを完全に回避することができる。
また、上記小突起部の形成は殻体の製造に併せて行うことができるものであって、ここには位置ずれ防止のための接着剤を介挿する等の必要もないので簡単に位置ずれを防止することができるのであり、上述したように回転体を基準として回転する回転表示体が使用中に表示物の移動によって回転表示体としての機能を損うようなことがない。
次に、本発明を実施の形態を通して更に具体的に説明することにする。
図1は、本発明に係る回転表示体1を構成する回転体2の分解した状態における中央縦断面図であり、図2は上記回転体2を構成する2つの殻体のうちの一方の殻体2aの開口部3側から観た正面図であり、図3は他方の殻体2bの同じく開口部4側から観た正面図である。
回転体2を構成する2つの殻体2a,2bは、共に内部を中空にする同一形状の半球形に形成してあり、それぞれの頂部、つまり内側から観たときの底部に当る部分には後述する支軸を挿通する軸受孔5,6を開設し、一方の殻体2aの開口部3には縁の内周面に沿って全周に亘る環状の嵌合凹部7を、そして他方の殻体2bの開口部4には縁の内周面に沿って前記嵌合凹部7を受入れる環状の嵌合凸部8を形成している。
この2つの殻体2a,2bは、開口部3,4同士を衝き合せることによって内部を中空にする1つの球体を形成し、回転体2とするものであり、上記開口部3,4相互の嵌合凹部7と凸部8とを嵌め合わせることによって一体に結合し、略真円球の球体を形成することになる。
そして、ここでは上記相互に嵌め合わせとなる嵌合凹部7の一部に突起部9を突設し、他方の嵌合凸部8にはこの突起部9を受ける切欠き凹部10を形成して嵌合係止し、開口部3,4同士が嵌り合ったとき両殻体が周方向に任意に回転することによってずれないようにしてある。
その一方、前記2つの殻体2a,2bの一方の殻体2aには表面部に2つの小突起物11を隆設し、後述する表示体12の滑りを止めるようにしてある。
この小突起物11は、図4に拡大して示したように表面部から僅かに突き出すもので、この表面部に貼り付く表示体12の内面部に突き出して噛ませ、表示体の移動を拘束するものとなる。
尚、ここでは一方の殻体2aの頂部に近い表面部分に周方向に2個を振分けるように突設しているが、2個以上であっても、又1個であってもよい。ただ、この小突起物11は表示体12を係止する関係からこの表示体12が被る範囲の殻体表面部に形成することになる。
図5及び図6は、上記表示体12を形成の順序を追って示したものである。図5は表示体を展開した状態における斜視図を示し、図6は筒形に形成した状態の表示体12を示している。
上記表示体12は,延伸した熱収縮性の合成樹脂フィルムを材料にして形成してあり、ここでは、ポリ塩化ビニルを素材とする熱収縮性フィルムを図5に示すようにテープ12a状に形成し、このテープ12aの一面に印刷によって複数個の数字13a‥‥を連続的に配列し、表示物13を形成するようにしている。
図6は、この様にして表示物13を表示したテープ12aをその端部同士を接合して筒状に形成し、一面に表示した表示物13が筒体の外周面に表れるようにして表示体12としたものを表わしている。







筒形にした上記表示体12は、図7乃至図9に示したように筒の内径を球体に組まれる回転体2の直径に揃え、また筒の長さ(表示体12がテープ状をなすときの幅に相当する。)をこの回転体2の表面の半周分の長さより小さくしてある。
この様に筒形にある表示体12を回転体2に対応させて寸法取りすることによってこの筒形状態の表示体12の中に回転体1を隙間なく収めることができ、その略全体を包み込むことができるものとなる。
上記表示体12は、筒の中に前記回転体2を収めることで組合うことになり、この組合せにおいて表示体12は長さ方向の中心位置に当る内周を回転体2の2つの殻体2a,2bの衝き合う開口部3,4の上に置いて一致させ、両者の嵌め合わせを行う。
この様にした後、上記表示体12に対して使用樹脂の収縮温度に合せた温度で加熱し、収縮処理して回転体1の外周面全面に亘って密着させ、両者を一体化する。
収縮のための加熱は、表示体12の材料によって決定されるが、ここではポリ塩化ビニルを素材とした熱収縮性フィルムを使用することから、100〜150℃の温度で収縮させることになる。
ただ、実際には比較的低温の範囲で、つまり100℃に近い温度で、しかもやゝ時間を掛けて20〜30秒の加熱によって収縮させ、収縮時の歪を抑えながら一体化を図るようにすることになる。
表示体12の収縮は、回転体2の全面に亘って均一に進行し、密着させることが望ましく、従って全体を同時に加熱し収縮するように配慮することになる。加熱手段については熱風による場合、温水による場合等任意選択することになる。
図9は、表示体12を加熱することによって筒状から回転体2の球面に沿って密着し、回転体2と同様に球形に収縮した完成状態を示したものである。
ここにおいて表示体12は、筒状をなす両方の端部をそれぞれ殻体2a,2bの表面に沿って収縮させ、端縁を窄めて殻体の頂部を残して密着させ、一体化される。
上記表示体12の収縮によって回転体2を構成する2つの殻体2a,2bは、締付けを受けながら筒の内側に引き寄せられることになり、開口部3,4同士を密着させることになる。そして同時に、最も伸長した状態にあるこの開口部の周囲を取り巻く表示体12の中央部分が強い収縮力を残すことによってこの開口部の衝き合せにおいてずれがあったとき、外方にはみだしずれる部分を押し込むことになり段差のない平滑な曲面を作ることになる。
図中、14は一方の殻体2bの成形時に軸受部6の側部に一体的に形成した係止穴であり、この係止穴14は、後述するように本発明に係る回転表示体1を遊技装置である可変表示装置Aに組付ける際に、この回転表示体1を自転運動させめたの動力導入手段としてのベベルギヤを取付けるためのものとなる。
次に、この回転表示体1の使用例の説明を通して更に説明することにする。
図10乃至図11は、本発明に係る回転表示体1を可変表示装置Aに組付けた使用状態を説明する図であり、図中の符号15は回転体2の2つの殻体2a,2bに設ける軸受孔5,6を通して回転体2の中心部を貫き回転自由に支持する支軸であり、16はこの支軸15を支持する腕形をなす軸支持体であり、17は軸支持体16の底部中央に設ける筒形の軸受18を回転自由に支持する本体フレームである。
上記回転表示体1は、前記支軸15を中心にして回転する自転運動と、前記筒形の軸受18を中心にして軸支持体16と共に回転する公転運動との2つの系統の回転運動をするように設定してあり、それぞれの運動は独立した2つのモータ19,20によって行われる。
上記公転用モータ19は、公転運動のためのもので、出力軸21に設けるプーリ22と割出し板23のプーリ24との間にタイミングベルト25を架けてこれを回転可能とし、更にこの割出し板23の軸受に嵌合し一体にした前記筒形の軸受18を介して前記軸支持体16を回転できるようにしてある。
上記筒形の軸受18は、本体フレーム17に軸受体26を介して回転自由に軸承され、また上記タイミングベルト25には張力調節装置27のローラ28を圧接して適度の張力が掛るようにしてある。
従って、モータ19が回転し、タイミングベルト25を介して割出し板23が回転すると、これと共に筒形の軸受18が回転して軸支持体16が回転し、更に支軸15、回転表示体1が一体となって回転することになる。
一方、自転用モータ20は、回転表示体1を支軸15を中心にして自転させるためのもので、出力軸29に設けたプーリ30と割出し板31に設けるプーリ32との間に架けるタイミングベルト33によってモータ20の回転をこの割出し板31に伝達できるようにしてある。そして、上記割出し板31は、前記筒形の軸受18の中空部を貫通する回転軸34に軸着し、この回転軸34を中心にして回転すると共に、この回転軸34を介して前記軸支持体16の内側に設けるドライブベベルギヤ35に噛合し連結している。
上記ドライブベベルギヤ35は、前記軸支持体16に軸36を軸承させて回転自由に取付くアイドルベベルギヤ37に噛合し、更にこのアイドルベベルギヤ37は回転表示体1の端部に固着するベベルギヤ38に噛合するようにしてある。
上記ベベルギヤ38は、前記回転表示体1の一方の殻体2bの頂部に接面させ、このギヤ38の背面から延設する係止爪39を前記係止穴14に掛止めることでこの回転表示体1に固定される。
従って、自転用モータ20が駆動し、出力軸29が回転すると、タイミングベルト33を介して割出し板31が回転し、更に回転軸34の回転でドライブベベルギヤ35、アイドルベベルギヤ37、ベベルギヤ38が次々と回転して最終的に回転表示体1を支軸15を支点として回転させ、自転させることになる。
尚、上記タイミングベルト33には前述のタイミングベル25と同様に張力調整装置27のローラ28を圧接させて張力を保たせてあり、また上記支軸15は軸受孔5,6を貫いて回転体2の外に突出す軸端を前記軸支持体16に設ける軸受部40,40に止め付け固定してある。
以上の構造から、前記公転用モータ19が駆動すると、軸支持体16が軸受18を中心に回転することに伴って軸受18の軸心の延長線上にある回転表示体1がこの延長線を中心にして回転することになり、更に加えて自転用モータ20が駆動すると、これに伴って回転支軸15を中心とした別の回転が加わることになる。
そして、表示体12は、図7乃至9に示したように筒状にあるとき、その表面に表わす表示物13‥‥を周方向に連続して配置することから、上記自転用モータ20が作動すると、回転支軸15を中心に回転して前面に向けて次々とこの表示物13を出現させることになり、また公転用のモータ19が駆動すると、軸支持体16の回転によって表示体12の向きが上下左右に変化することになる。
本発明に係る回転表示体1は、上述の如く可変表示装置Aに組込み使用されるが、単独で使用される場合に限らず、複数個を配列して回転表示体1の前面側に現れる図柄の組合によって当りを確定する等の方法で使用することもあり、各種の実施を可能にしている。
いずれの方法において使用するにしても、球体をなす回転体2の表面に表示体12が密着し、その表面に描く数字等の表示物13が明瞭に表現されることから美麗な遊技装置となり遊技者に好感を与えるものとなる。
ところで、図13は前記回転体2を構成する2つの殻体2a,2bの両方の表面部に小突起部11をそれぞれ隆設した他の例を示したものである。ここには、前記一方の殻体2aにのみ小突起部11を設けるのに対して、他方の殻体2bにも同様に隆設した場合を示してある。
この小突起部11は、回転体2の表面部に表示体12を加熱収縮することで貼り付けたとき、貼り付いた表示体12が回転体2に対してずれないようにするためのものであることは前述した通りであるが、ずれを防止するためには1個以上、できれば複数個の隆設が望ましく、また更にはここに示したように一方の殻体のみならず、他方の殻体にも隆設することが望ましい。
この小突起部11は前述したように表示体12の表面に目立って突き出さないように小さくあることが望まれ、又できれば表示体12の係止を確実にするため先端を尖らせた突起であることが望まれる。
また図14は2つの殻体2a,2bに形成する軸受孔5,6に代えてこれらの各頂部に外に突出す小支軸41,41を突設し、この小支軸41,41によって前記支軸15を不要にした例である。
この小支軸は殻体2a,2bを成形するとき一体に形成し、殻体相互を抱き合せに結合したとき両小支軸41,41が同一軸心上に揃うようにすることになる。
この一体成形によって支軸15を不要にすることができることから、その分部品数を減らすことができるが、この小支軸41によるか、前記支軸15の支持によるかは実施者の選択に委ねられることになる。
本発明回転表示体1は、以上のように構成されることから、球体として安定した回転表示体が得られると同時に、この球形の回転表示体の表面に所要の図柄等の表示物を適切に、しかも容易に表示することができる。
そして、球形の回転体に貼り付けられる表示体は自らの熱収縮によって回転体の表面に密着すると同時に、この回転体の表面に突出する小突起物と係合することによって止め付けられることから回転体との一体性が確保され安定した回転表示体となる。
本発明に係る回転表示体を構成する回転体の2つの殻体を離した状態における中央縦断面図。 回転体を構成する一方の殻体の開口部側からみた正面図。 回転体を構成する他方の殻体の開口部側からみた正面図。 一方の殻体の部分拡大断面図。 テープ状態に展開した表示体の斜視図。 筒状にした表示体の斜視図。 回転体に対して表示体を嵌め付ける直前の状態を説明した斜視図。 回転体に筒形の表示体を嵌め付けた状態の斜視図。 回転体に表示体を嵌め付けたのち加熱収縮によって表示体を回転体の表面に貼り付けた状態を説明する斜視図。 本発明に係る回転表示体を可変表示装置に組み込み使用する例を示した正面図。 図10の背面図。 図10の中央縦断左側面図。 他の例における回転体の2つの殻体を離した状態における中央縦断面図。 他の例における回転体の2つの殻体を離した状態における中央縦断面図。
符号の説明
1 回転表示体
2 回転体
2a,2b 回転体を構成する殻体
3,4 殻体の開口部
5,6 殻体に設けた軸受部
7 嵌合凹部
8 嵌合凸部
9 突起部
10 切欠き凹部
11 小突起部
12 表示体
13 表示物
15 支軸
16 軸支持体
41 小支軸
A 本発明を実施した可変表示装置

Claims (9)

  1. 半円球形をなす2つの殻体の開口部同士を衝き合せて中空の球体とする回転体と、筒形にして表面に文字,数字,図柄等の表示物を施してなる熱収縮性フィルム製の表示体とからなり、前記表示体は筒形の中心部を前記回転体の2つの殻体の互いに衝き合う開口部に一致させて該開口部を取り巻くように嵌め付けると共に、この状態で該表示体を加熱収縮して前記2つの殻体を筒形をなす該表示体の両端部で等分に包み込んで締付け、殻体相互を引き寄せて回転体の表面に密着させ、これにより2つの殻体相互を結合し球体に接合すると同時に、前記表示体の密着によって球体となる前記回転体の表面に前記表示物を表現してなることを特徴とした遊技装置用の回転表示体。
  2. 請求項1に記載する遊技装置用の回転表示体において、前記回転体は2つの殻体の少なくとも一方の殻体の表面にずれ止め用突起を設けて前記表示体を加熱収縮による密着に合せて係止し、該表示体を球体となる前記回転体の表面の定位置に固定することを特徴とした遊技装置用の回転表示体。
  3. 請求項2に記載する遊技装置用の回転表示体において、2つの殻体の各頂部には軸受孔を開設し、該軸受孔に支軸を挿通して該支軸を支点に回転自由に支持することを特徴とした遊技装置用の回転表示体。
  4. 請求項2に記載する遊技装置用の回転表示体において、2つの殻体の各頂部には立ち上がり状に小支軸を突設し、該小支軸を支点に回転自由に支持することを特徴とした遊技装置用の回転表示体。
  5. 請求項2に記載する遊技装置用の回転表示体において、ずれ止め用突起は回転体の表面から突出する小突起物であることを特徴とした遊技装置用の回転表示体。
  6. 請求項2又は5に記載する遊技装置用の回転表示体において、ずれ止め用突起は2つの殻体の表面に1個若しくは間隔をおいて複数個突設することを特徴とした遊技装置用の回転表示体。
  7. 請求項2又は5又は6に記載する遊技装置用の回転表示体において、ずれ止め用突起は2つの殻体の表面を被う表示体の両端縁の近くにあって各殻体の開口部から離れた表面に設けられることを特徴とした遊技装置用の回転表示体。
  8. 請求項1乃至7に記載する遊技装置用の回転表示体において、回転体を形成する2つの殻体は一方の殻体の開口部の縁に沿う内周面部分を全周に亘って嵌合凹部を形成し、また他方の殻体の開口部の縁に沿う内周面部分には上記嵌合凹部に係合する嵌合凸部を全周に亘って突設し、両殻体の開口部同士の衝合せにおいて該嵌合凹部と嵌合凸部とを嵌め合せることを特徴とした遊技装置用の回転表示体。
  9. 請求項8に記載する遊技装置用の回転表示体において、嵌合凸部には切欠き凹部を、また嵌合凹部には上記切欠き凹部に係入する突起部を形成して2つの殻体の開口部同士の衝き合せ時に、該嵌合凹部と突起部とを嵌め合せることを特徴とした遊技装置用の回転表示体。
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