JP4826893B2 - 器体の成形装置 - Google Patents
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Description
唯一故紙を水で分解解繊しただけのものを素地に用いて植木鉢などの一定の形を持つ器体を造ることができる装置が開発され、本出願人が特許出願した。
本発明者はさらに改良を加えるべく研究を重ねて、成形時の素地として上記装置で用いることができる故紙は勿論のことその故紙などよりもさらに粘性が小さく、最初の含水量が極端に多い素地であっても充分に一定の形のある器体を機械的に容易に成形できる装置を開発した。
雌型はシッタの内周壁との間に安定的に一定の間隔を空けて受けられることが好ましく、そのためには雌型の外周に複数のリング状突起を設けることによりその間隔を確保することがもっとも好適である。リング状突起に代えて軸方向の線状突起を設けてもよい。あるいは多数の点状突起を設けることもできる。
素地から搾り出される水分を外部に排出するための雌型の排水手段は、壁面に素地の粒状物を通させない程度に目の細かい多数の開孔を設けることがよく、その開孔は雌型の所要の強度を確保できることを条件に壁面全体に設ければなお効果的である。
雌型からの水分の排水手段として、シッタが雌型を受けるための強度を確保できることを条件として、シッタの立ち上がりに複数の軸方向のスリットを設けることが出来る。スリットは雌型からの水分を排出するためのものであるので太めにすることが好ましい。スリットは立ち上がりの上下方向全体に設けてもよいし、一部分に設けてもよい。
雌型からの水分の排水を促進するためにシッタの内壁に多数の凹条を設けてもよい。
シッタを支承しシッタと共に回転可能なターンテーブルを設けることが出来る。
シッタの複数の開孔は少なくともシッタの高さの中間程度から下に設けることが好ましい。それより上であると排水を有効的に行なうことが出来ない。排水手段としての開孔は少なくとも内部から見て上向きでないなど常識的な問題以外に形状など特別な条件はない。単に水が雌型の外に出せるものであればよい。
雌型及びシッタは通常全長にわたって同じ太さの円筒状であるが、特に雌型は成形される器体の外側の形状を作る機能も有するものであるので、希望する器体の外側形状に沿った形状にすることができる。例えばテーパ付けされた先細り或は先太り形状であってもよい。また途中で径の変わる段付き形状であってもよい。また断面が円形でなくてもよく、自由に選択できる。雌型は割り型であるので完成した器体を取り出すことに支障はない。
雌型の回転(或はシッタの回転)は成形こての回転方向と同方向に且つ雌型の型面の速度が成形こての表面回転速度と同速度かあるいはそれより遅い型面速度で回転することが必要である。
成形こての回転速度は高速であることが好ましいが、1,000回転/分程度で十分である。勿論それ以下であっても良いが、あまり低速であると成形に時間を要し、成形が円滑に行えない。
雌型にはそれを支承するターンテーブルを設けてもよい。
ターンテーブルと雌型との相対的構成は常套の機械ろくろ装置におけると同じであってよい。
本発明の装置は、粘性が非常に小さい素地のために開発され、そのような素地に最も好適に適用できるものであるが、先行技術である故紙を単に分解解繊しただけのものなどにも同様に好適に適用できることは言うまでもない。
図1は本発明の1実施態様の器体の成形装置の側面図、図2は図1のシッタ、雌型、リング状蓋部材及び成形された素地の中央断面図及び成形こての側面図、図3は図2の雌型の分解斜視図である。図において、1はシッタ、2はリング状蓋部材、3はターンテーブル、4はシッタの駆動モータ、5はシッタを回転させる駆動モータの回転軸、6は成形こて、7は成形こての駆動モータ、8は成形こての支持腕、9は成形こての支持腕の駆動操作部、10は雌型、11は素地、12は排水開孔である。また図3において13は雌型の上下端の内側に突出するフランジである。14は雌型の周方向に設けた外向きの突条である。
成形こて6及び雌型1の駆動、停止、回転速度の調整、成形こて6の移動はいずれも駆動操作部9からの指示に従って行なわれる。そのシステムは常套的な手段を用いればよい。
この蓋部材2の開口と雌型10のフランジ13の開口とによって成形こての周方向への動きが制限されて製造される器体の周壁の厚みが形成される。即ち雌型10の内壁と成形こての外周との間に製造される器体の所望の周壁部が作られることになる。
雌型10は厚さ約1mmのステンレスのパンチングボード製で、径約114mm、各開孔の孔径は約3mm、高さ約210mmである。上端に内側に張り出したフランジ13が設けてあり、雌型を組み立てたときの開口内径約60mmである。このフランジの内径は蓋部材2の開口内径と同じである。
雌型10をシッタ1に収納したときの雌型10の上端の高さ位置はシッタ10の立ち上がり部16の高さ位置と同じである。従って、雌型10はシッタ1の内部にちょうど嵌まり込む形で収納される。
雌型10は図3に示すように二つ割り型である。
上記の器体は上下とも開放状態の円筒形であるが、底を作ることもできる。その場合は成形こての先端を雌型の底部までおろさないで底部との間に一定の間隔をあけるように操作することにより器体の底部を形成できる。
このシッタ1は立ち上がり部16の上端部から底部19のやや上のところにかけて軸方向のスリット18が4箇所設けてある。立ち上がり部16の周方向に8分割し、その幅で立ち上がり部16とスリット18を交互に配置する構成としてあり、立ち上がり部16とスリット18の周方向の幅は同じである。
ただこのシッタの場合は立ち上がり部が四分の一になるので立ち上がり部の強度が器体成形に充分耐えられるものにしなければならいのは勿論のことである。
この器体の素地は、分解開繊故紙30重量%、炭粉10重量%、ビートモス30重量%、完熟堆肥30重量%の組成の混合物2.5kgに水を約50リットル加えたものを用いた。
この素地をよく攪拌し、その1.9kgを雌型に入れて成形こてを操作して素地を雌型の内壁に押し付けるようにして約30秒間成形した。
成形の進行と共に素地に含まれている水分は徐々に搾り出されて雌型から排出され、それに伴って雌型の内壁に沿って徐々に器体が形作られた。最終的に器体は取り出して多少手荒に扱っても崩れることのないものとなった。
取り出した器体は完全に乾燥するまで天日乾燥させた。
この結果は、本発明の成形装置は従来技術にあっては成形が出来なかった含水量が極端に多いことが必要な素地であっても充分に器体の成形が可能であることを示す。
2 リング状蓋部材
3 ターンテーブル
4 駆動モータ
5 回転軸
6 成形こて
7 駆動モータ
8 支持腕
9 駆動操作部
10 雌型
11 素地
12 排水開孔
13 フランジ
14 突条
15 中空部
16 立ち上がり部
17 器体
18 スリット
19 底部
Claims (9)
- 素地から搾り出された水分を外部へ排水する手段と頂部のほぼ全周に内向きに突出した一定幅のフランジを有し、上部が開放された割り型である筒状雌型、
雌型を着脱自在かつ固定的に受け、雌型から排出される水分を外部に排出する手段を有し、駆動手段により回転させられ、少なくとも雌型の高さと同じかそれよりも高い立ち上がりのあるシッタ、
シッタの回転駆動装置、
開口内径が雌型のフランジの開口径と同じかそれよりも大きく、シッタの上端部に固着されることの出来るシッタに被せるリング状蓋部材、
雌型の型面に対して相対的に一定範囲を上下左右に移動可能に機械的に支持された円柱状で雌型の高さよりも長い、駆動手段により雌型の回転方向と同方向に回転させられる成形こて、
成形こての回転駆動装置、
とよりなる器体成形装置。 - 雌型の外周に複数のリング状突条を設けた請求項1の器体成形装置。
- 雌型の排水手段が、壁面に設けた素地の粒状物を通させない程度に目の細かい多数の開孔である請求項1の器体成形装置。
- 開孔を雌型の壁面全体に設けた請求項3の器体成形装置。
- シッタの立ち上がりに雌型からの水分の排水手段として複数の軸方向のスリットを設けた請求項1の器体成形装置。
- シッタの立ち上がりに雌型からの水分の排水手段として複数の開孔を設けた請求項1の器体成形装置。
- 雌型からの水分の排水を促進するためにシッタの内壁に多数の凹条を設けた請求項1の器体成形装置。
- シッタを支承するターンテーブルを設けた請求項1の器体成形装置。
- 雌型の回転駆動装置と成形こての回転駆動装置が、シッタを成形こての回転方向と同方向に且つ雌型の型面の速度が成形こての表面回転速度と同速度かあるいはそれより遅い型面速度で回転させるものである請求項1の器体成形装置。
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