以下、図面を参照しながら、この発明の実施形態に係る用紙処理装置について説明をする。
図1は、本発明に係る実施形態としての用紙処理装置を応用したバインド装置100の構成例を示す概念図である。
図1に示すバインド装置100は用紙処理装置の一例を構成し、コピー機や印刷装置から出力される記録紙(以下単に用紙3という)にパンチ処理をし、その後、所定の綴じ部品(消耗品)43で綴じ処理をして排出する装置である。もちろん、用紙処理装置は、所定の用紙3を揃えて一時保留する装置のみに適用してもよい。バインド装置100は装置本体部(筐体)101を有している。バインド装置100は複写機や印刷機(画像形成装置)等と並べて使用されることが好ましく、装置本体部101は、複写機や印刷機等と同程度の高さを有している。
装置本体部101内には、用紙搬送手段の一例を構成する用紙搬送部10が備えられる。用紙搬送部10は、第1の搬送路11及び第2の搬送路12を有している。搬送路11は、給紙口13及び排出口14を有しており、給紙口13から引き込んだ用紙3を所定の位置となる排出口14へ向けて搬送するスルーパス機能を有している。
ここにスルーパス機能とは、上流側の複写機や印刷機等と下流側の他の用紙処理装置の間に位置する搬送路11が、複写機や印刷機等から他の用紙処理装置へ用紙3を直接受け渡す機能をいう。このスルーパス機能が選択された場合は、後述する搬送ローラの加速処理やバインド処理等を省略するようになされる。用紙3は、通常、片面コピーの場合に、フェースダウンの状態で送られてくる。給紙口13には給紙センサ111が取付けられ、用紙3の先端を検知して給紙検知信号S11を制御部50へ出力するようになされる。
搬送路12は、当該搬送路11から搬送経路を切り替え可能なスイッチバック機能を有している。ここにスイッチバック機能とは、搬送路11の所定の位置で用紙3の搬送を減速及び停止し、その後、搬送路11から搬送路12に用紙3の搬送経路を切り替え、かつ、当該用紙3を逆方向に送出する機能をいう。搬送路11には、フラップ15が設けられ、搬送経路を搬送路11から搬送路12に切換えるようになされる。
また、搬送路11と搬送路12との切換え点には、3連の搬送ローラ17c、19a’、19aが設けられる。搬送ローラ17c及び19aは時計方向回りに回転し、搬送ローラ19a’は反時計方向回りに回転する。例えば、搬送ローラ19a’が駆動ローラで搬送ローラ17c及び19aが従動ローラとなっている。搬送ローラ17c及び19a’により取り込まれた用紙3は、減速及び停止するが、フラップ15が上方位置から下方位置に切り換えられると、搬送ローラ19a’及び19aにより給紙されて搬送路12に搬送される。3連の搬送ローラ17c、19a’、19aの手前には用紙検知センサ114が配設され、用紙の前端及び後端側を検知して用紙検知信号S14を制御部50へ出力するようになされる。
搬送路12の下流側には、パンチ処理部20が配置されている。この例で、上述の搬送路11と搬送路12との間は、所定の角度を有するように設計されている。例えば、搬送路11の搬送面とパンチ処理部20の用紙被穿孔面の間には、第1の俯角θ1が設定されている。ここに用紙被穿孔面とは、用紙3に孔を穿孔する面をいう。パンチ処理部20は、搬送路11の搬送面を基準にして俯角θ1を有する位置に用紙被穿孔面を設定するように配置される。
パンチ処理部20では、搬送路11からスイッチバックし、搬送路12によって搬送される用紙3の一端に二以上の綴じ用の孔(以下孔部という)を穿孔するようになされる。パンチ処理部20は、例えば、往復動作可能なパンチ刃21を駆動するモータ22を有している。用紙3はモータ22によって駆動されるパンチ刃21によって、1枚づつ穿孔される。
パンチ処理部20内には、孔あけ位置の基準となる開閉可能なフェンス24が設けられ、用紙3を当てつけるように使用される。更に、パンチ処理部20には、サイドジョーガー23が設けられ、用紙3の姿勢を修正するようになされる。例えば、用紙3の先端が開閉可能なフェンス24に均等に当接するようになされる。フェンス24は用紙端部の揃え時の位置基準となる。サイドジョーガー23の手前には用紙検知センサ118が配設され、用紙の前端及び後端を検知して用紙検知信号S18を制御部50へ出力するようになされる。
パンチ処理部20は、用紙3をフェンス24に当接させて停止させ、その後、当該用紙3の先端を穿孔する。なお、パンチ処理本体の下方には、パンチカス収納部26が設けられ、パンチ刃21によって切り落とされたパンチカスを収納するようになされる。パンチ処理部20の下流側には、排出ローラ25が設けられ、用紙穿孔後の用紙3’を次段のユニットに搬送するようになされる。
パンチ処理部20の下流側には、用紙保留手段の一例となるバインダ紙揃えユニット30が配置され、パンチ処理部20から排紙される複数枚の用紙3’の孔部の位置を揃えて一時保留(蓄積)するようになされる。バインダ紙揃えユニット30は、搬送部11の搬送面を基準にして第2の俯角θ2を有する位置に用紙保留面を設定するように配置される。ここに用紙保留面とは、孔部が形成された用紙3’を保留(積層)する面をいう。この例では、俯角θ1と俯角θ2との関係がθ1<θ2に設定される。俯角θ1に関しては、0°<θ1<45°に設定され、俯角θ2に関しては、0°<θ2<90°に各々設定される。この設定は本体装置101の幅を縮小化するため、及び、この条件下で用紙3’を直線的に搬送するためである。
バインダ紙揃えユニット30は用紙カール押え機構31を有している。用紙カール押え機構31は、当該ユニット30において、用紙進入口付近に配置され、紙進入時にバインダ紙揃えユニット30の所定の位置(用紙保留部32等)に用紙3’を案内し、用紙進入完了時に用紙3’の後端側を押える動作を当該用紙3’の前後で引き継ぐようになされる。
また、バインダ紙揃えユニット30は用紙先端当接機構39を有している。この例では、用紙先端当接機構39は、当該バインダ紙揃えユニット30への用紙3’の進入枚数に基づいて用紙面を掻き込む上方位置を調整する。当該ユニット30には、多櫂状の回転部材の一例を構成するパドルローラ37が設けられ、用紙進入時、用紙3’の先端を基準位置に当接するようになされる。なお、用紙3’の側端部は、サイドジョーガー70により幅寄されて用紙束を揃えるようになされる。
バインダ紙揃えユニット30は、更に、クランプ移動機構80を有している。クランプ移動機構80は、用紙穿孔後の用紙3’を積層した用紙束3”をクランプ部材で保持して用紙搬送方向に移動するようになされる。
また、バインダ紙揃えユニット30の下流側には、バインド処理部40が配置され、当該ユニット30によって揃えられた複数枚の用紙束3”を綴じ部品43で綴じて冊子90を作成するようになされる。冊子90とは、綴じ部品43が嵌合され綴じられた用紙束3”をいう。
この例で、バインド処理部40は移動機構41を有している。移動機構41は、バインダ紙揃えユニット30の用紙搬送方向と、上述した搬送部11の搬送方向と直交する位置との間を往復回動するように移動する。バインド処理部40は、バインダ(綴じ部品)カセット42を有している。バインダカセット42には、複数個の綴じ部品がセットされる。綴じ部品は、例えば、射出成形され、用紙束3”の厚みに応じた複数種類が準備される。
移動機構41は、例えば、搬送部11の搬送方向と直交する位置でバインダカセット42から1個の綴じ部品43を引き抜いて保持し、この状態で、バインダ紙揃えユニット30の用紙搬送方向を見通せる位置に回動する。この位置で、バインド処理部40は、バインダ紙揃えユニット30から、パンチ孔が位置決めされた用紙束3”を受入れ、そのパンチ孔に綴じ部品43を挿入して綴じ処理を実行する(自動製本機能)。
バインド処理部40の下流側には、排出ユニット60が配置され、バインド処理部40により作成された冊子90を排出処理するようになされる。排出ユニット60は、例えば、第1のベルトユニット61、第2のベルトユニット62及びスタッカ63を有して構成される。
ベルトユニット61は、バインダ紙揃えユニット30から落下してくる冊子90を受止めて送出方向を切換えるようになされる。例えば、バインダ紙揃えユニット30の用紙搬送方向を見通せる位置から所定の排出方向へベルトユニット本体を振り向けるようになされる。
ベルトユニット62は冊子搬送部の一例を構成し、ベルトユニット61によって送出方向が切換えられた冊子90を受け取ってリレー搬送するようになされる。スタッカ63は冊子蓄積部の一例を構成し、ベルトユニット61及び62によって搬送されてくる冊子90を溜め込むようになされる。
続いて、本発明に係る用紙処理方法について説明する。図2A〜Dは、バインド装置100の機能例を示す工程図である。
図2Aに示す用紙3は、当該バインド装置100の上流側から給紙されたものである。パンチ孔が開孔されていないものである。用紙3’は、図1に示した搬送路11の所定の位置に向けて搬送され、搬送路11の所定の位置で減速及び停止される。その後、搬送路11から搬送路12に用紙3’の搬送経路が切り替えられ、かつ、当該用紙3を逆方向に送出されてパンチ処理部20に搬送される。
パンチ処理部20では、図2Bに示すように用紙3の一端に所定の数の綴じ用の孔が穿孔される。綴じ用の孔部が形成された用紙3’は、バインダ紙揃えユニット30へ搬送される。バインダ紙揃えユニット30では、用紙3’が予め設定された用紙枚数に到達し、図2Cに示す用紙束3”となると、その綴じ用の孔部の位置が揃えられ、バインド処理部40と協調して綴じ部品43をその孔部へ挿入するようになされる。これにより、綴じ部品43が挿通された、図2Dに示すような冊子90を得ることができる。
図3は、バインダ紙揃えユニット30の構成例を示す斜視図であり、シャッター83を開口した状態を示している。図4は、その用紙先端当接機構39及び周辺機構の構成例を示す斜視図である。図3に示すバインダ紙揃えユニット30は、図1に示した用紙搬送部10によって搬送される用紙3’を揃えて一時保留するものである。
バインダ紙揃えユニット30は、用紙保留部32のほぼ中央右寄り付近に用紙先端当接機構39を有しており、用紙進入時、パドルローラ37によって、用紙3’の先端を基準位置に当接するようになされる。用紙先端当接機構39では、当該バインダ紙揃えユニット30への用紙3’の進入枚数に基づいて用紙面を掻き込む上方位置を調整するようになされる。用紙保留部32は、用紙3’を蓄積して一時保留する。
用紙保留部32の用紙搬出口付近には、シャッター83が備えられ、用紙束揃え時には用紙搬送路が閉鎖される。シャッター83の内側(用紙保留部32側)では、クランプ移動機構80の可動側のアッパアーム801a及び固定側のロアアーム801bから成るクランプ部材が開放され、この状態で用紙3’が束ねられる。用紙搬出時には、シャッター83が開口され、アッパアーム801a及びロアアーム801bにより用紙束が挟持されて次工程に搬出される。
図4に示す用紙先端当接機構(パドルローラユニット)39は、例えば、パドル駆動機構703、パドル姿勢制御機構706及びパドルHPセンサ724を有して構成される。
パドル駆動機構703は、当該バインダ紙揃えユニット30内に進入した用紙3’の先端を基準位置に当接するようになされる。パドル駆動機構703は、例えば、回転本体部701、第1、第2のベルト駆動軸702,713、本体アーム部707、モータ708、第1のベルト709及び第2のベルト710を有して構成され、第1のベルト駆動軸702を片持ちにして、このベルト駆動軸702の先端に回転本体部701をネジ止め等により固定する構造を採っている。
回転本体部701には、1対のパドル705a,705bが配置されている。この例で回転本体部701とフィン704と、パドル705a,705bとを組み合わせたものをパドルローラ37という。パドルローラ37は、多重フィン構造を有している。この構造によれば、所定の厚み、かつ、所定の弾性を有したフィン704を2枚以上重ねてなる多重フィンを回転本体部701の周囲に複数設けられる。この構造は、積層された用紙束3”の厚みが変化するのに伴って、フィン704の折れ曲がり状態が変化しても、フィン704の曲げ反発力を適切な範囲に保って、パドルローラ37の掻き込み力を好適に確保するためである。
パドル705a,705bは例えば、回転本体部701の左右に配置され、用紙3’を掻き込むようになされる。パドル705a,705bには、8組(45°づつ)のフィン704が取付けられている。パドル705a,705bは、厚み0.8mm乃至1.2mm程度の薄いゴム板をフィン状に加工し、これを2枚重ねて外周上に配置されることで構成されている。フィン704にはゴム等の弾性部材が使用される。
回転本体部701は、ベルト駆動軸702に対して脱着自在となされ、組立時、回転本体部701がベルト駆動軸702に嵌合されて、図示しないネジ等で固定される。分解時、ネジが緩められて、ベルト駆動軸702から回転本体部701が引き抜くように取り扱われる。
ベルト駆動軸702は、本体アーム部707に設けられた軸受け部711,712に可動自在に係合されている。ベルト駆動軸702には第1のベルト709の一方が係合される。
本体アーム部707には第2のベルト駆動軸713が取り付けられる。ベルト駆動軸713にはベルト中継用のダブルプーリ714が回転自在に取り付けられる。ダブルプーリ714の一方には、第1のベルト709の他端が掛けられる(係合される)。
ダブルプーリ714の他方には、第2のベルト710の一端が係合される。第2のベルト710の他端は、駆動部の一例を構成するモータ708が係合され、ダブルプーリ714を駆動するようになされる。モータ708は、バインダ紙揃えユニット30の所定の位置に取付けられる。モータ708には例えば、ステッピングモータが使用される。
この例で、ベルト駆動軸713は当該パドル駆動機構703のアップ・ダウン支点軸を成している。ベルト駆動軸713には、パドル姿勢制御機構706の一部を構成する、例えば、パドルアップ・ダウンラック部(以下UDラック部722という)が取り付けられている。UDラック部722は、扇形状を有し、その円弧部分が歯車の一部を成している。
UDラック部722には、所定の減速比が設定された減速歯車を有するギヤユニット726が係合されている。ギヤユニット726には、更に、モータ728が係合され、UDラック部722駆動力を与えて正転及び逆転するようなされる。ギヤユニット726及びモータ728は、バインダ紙揃えユニット30の所定の位置に取付けられる。モータ728には例えば、ステッピングモータが使用される。
上述したパドル駆動機構703とパドル姿勢制御機構706との間には、検知部の一例を構成するパドルローラホームポジション検知センサ(以下パドルHPセンサ724という)が配置され、パドルローラ37のホームポジションHPを検知してパドルHP検知信号S24を制御部50に出力するようになされる。パドルHPセンサには透過型の光学検出素子が使用される。
図5は、パドル駆動機構703における動力伝達例を示す図である。図5に示す駆動力伝達例によれば、モータ708の回転力はベルト710からダブルプーリ714に伝達される。ダブルプーリ714の回転力は、ベルト709からベルト駆動軸702に伝達される。ベルト駆動軸702が回転すると、パドル(図4に示す回転本体部701+フィン704)705a,705bが回転する。これにより、パドル姿勢制御機構706と独立して、2本のベルト709及び710を利用したパドルローラ37を回転制御できるようになる。
なお、表1には、モータ708のパルスレート(pps)、パドル回転数(rpm)及びパドル周速(mm/s)の関係を示している。
表1によれば、パルスレートが1000(pps)のとき、パドル回転数は450(rpm)で、パドル周速は1413.7(mm/s)となる。この例では表1中、斜線に示すようにパルスレートが1600(pps)で、パドル回転数が720(rpm)で、パドル周速が2261.9(mm/s)をモータ708の標準値(定速パルスレート)としている。
この例では、用紙保留部32への用紙3’の搬送速度よりもパドルローラ37の円周部位の速度(周速)が高く設定される。このように周速を高く設定すると、用紙3’を高速に掻き込むように基準位置に当接できるので、用紙3’の高速紙揃えを実行できる。
図6は、パドル姿勢制御機構706における制御例を示す図である。この例で、パドル姿勢制御機構706は、パドルローラ37の高さを調整するためのアップ・ダウン機能を有している。パドル姿勢制御機構706は、パドルHPセンサ724から得られる姿勢検知信号S24に基づいてパドル駆動機構703の姿勢を制御する。
この例では、モータ728がベルト駆動軸713を基準にして本体アーム部707を上下するように駆動する。この駆動によって、パドル駆動機構703の姿勢を制御できるようになる。
図6に示すパドルローラ37のベルト駆動軸702とベルト駆動軸713との間の距離を軸間距離Lとする。軸間距離Lは、例えば、70mm程度に設計される。また、図中、位置Paを本体アーム部707のホームポジションHPとし、位置Pbを本体アーム部707の最大上昇ポジションとする。
この例でベルト駆動軸713を中心にして、本体アーム部707が回転する。ここで、ベルト駆動軸702の垂直方向への移動距離、すなわち、下方の位置Paから上方の位置Pbへ至る間の垂直距離を高さhとする。この例で高さhは、20mm程度に設定される。ここでθを本体アーム部707のアーム回転角度とすると、アーム回転角度θは17°(=sin-120/70)程度である。
図6に示す姿勢制御例によれば、UDラック部722、ギヤユニット726(減速歯車)及びモータ728の回転方向に関して、時計方向回りを”a”とし、反時計方向回りを”b”とする。パドルローラ37のホームポジションHPは、図中の位置Paに等しい。
この例で、パドルローラ37の本体アーム部707が図6に示すホームポジションHPに有る状態から、モータ728が反時計方向回り”b”に回転すると、ギヤユニット726の減速歯車が時計方向回り”a”に回転する。ギヤユニット726に係合されたUDラック部722は反時計方向回り”b”に回転する。これにより、本体アーム部707をホームポジションHPから、図中の上方の位置Pbまで回転できるようになる。
また、本体アーム部707が図6に示す位置Pbに有る状態から、モータ728が時計方向回り”a”に回転すると、ギヤユニット726の減速歯車が反時計方向回り”b”に回転する。ギヤユニット726に係合されたUDラック部722は時計方向回り”a”に回転する。これにより、本体アーム部707をホームポジションHP(図中の下方の位置Pa)に戻すように回転できるようになる。
図7A及びBは、パドルローラ37のアップ例を示す図である。図7Aに示すパドルローラ37は、用紙3’の進入枚数が少なく厚みが薄い場合である。図中、p1は、回転本体部701(ベルト駆動軸702)の中心を示す位置である。パドル705a等は、一定の力でフィン704を用紙束3”の上面に押し付ける。
図7Bに示すパドルローラ37は、用紙3’の進入枚数が多くなって厚みが厚くなってきた場合である。回転本体部701(ベルト駆動軸702)の中心位置は、距離h’だけ上昇して位置p2に移動する。このときも、パドル705a等は、用紙3’の厚みが薄い(少ない)場合と、ほぼ同様な一定の力でフィン704を用紙束3”の上面に押し付ける。
いずれの場合も、パドル姿勢制御機構706がパドル駆動機構703をベルト駆動軸(支点軸)713を基準にして徐々に上昇(アップ)させるので、パドル705a等のフィン704を一定の力で用紙束3”上に押し付けることができる。この結果、用紙の進入枚数に追従して調整された最適な位置p1、p2等で用紙面を掻き込めるようになる。このように用紙先端当接機構39を構成すると、時々刻々と厚みが変化する用紙3’の上方で最適に位置調整されたパドルローラ37により、用紙3’を基準位置に当接することができ、再現性良く、当該用紙3’を束(冊子)に積層できるようになる。
続いて、クランプ移動機構80及びその周辺機構について説明する。図8は、クランプ移動機構80及びその周辺機構の構成例を示す図である。
図8に示すクランプ移動機構80は、クランパ801を構成する1対のアップアーム801a及びロアアーム801bから構成されている。クランプ移動機構80は、用紙束3”の孔側の端部を固定して用紙搬送方向に沿って用紙カール押え機構31(図3参照)から下流側へわずかに移動するようになされる。
クランプ移動機構80は、本体基板81、右側のクランプ部材82a(図示せず),左側のクランプ部材82b、シャッター83、整列ピン85、モータ86、カム87及びギヤユニット88を有して構成される。
本体基板81の両側端上部には、クランプ部材82a,82bが可動自在に取り付けられ、束ねられた用紙3’を保持固定したり、それを自由開放したりするように動作する。左端側のクランプ部材82bは、例えば、挟み状部材801と、先端剣先状を有したジョイントプレート802とを有して構成される。
左側のクランプ部材82bを構成するクランパ801は、例えば、アップアーム801a及びロアアーム801bを有して構成されている。一方のアッパアーム801aの一端には第1のクランプシャフト(連接棒)803が可動自在に取り付けられている。
他方のロアアーム801bの一端には第2のクランプシャフト804が可動自在に取り付けられている。アッパアーム801a、ロアアーム801bの他端は、ジョイントプレート802の他端と共に支点軸部材805に可動自在に係合されている。
上述のクランプシャフト803には、クシ型の上部押え部材84aが取り付けられ、クランプシャフト804には、クシ型の下部押え部材84bが取り付けられる。クシ型の上部押え部材84aは、U字形状に切り落とした、クシ歯部位を有している。クシ歯部位の配置ピッチは、用紙束3”のパンチ孔の配置ピッチに等しくなされている。
ジョイントプレート802は、クランプシャフト803,804の移動を規制するクランプ開閉規制用の細長い開口部806を有している。開口部806には、クランプシャフト803,804の端部を露出するように組み立てられる。
右端側のクランプ部材82aは、左端側と同様に形成されるので、その説明を省略する。左端側のクランプ部材82bと、右端側のクランプ部材82aとは、その後端で上述した支点軸部材805により可動自在に係合されると共に、前端では、クランパ801に取り付けられたクランプシャフト803,804がジョイントプレート802に可動自在に係合される。左右のクランプ部材82a、82bは、本体基板81に対し、束ねられた用紙3’を保持した状態で用紙搬送方向に沿って移動する。これにより、クランプ移動機構80を構成するようになる。
なお、モータ86は、左側面部位の内側に設けられたモータ取り付け領域に取り付けられる。モータ86はギヤユニット88に係合され、モータ回転数を所定の歯車比により変換し、モータ回転力を左8側のカム87b及び右側のカム87aに伝達するようになされる。ギヤユニット8には、一方のカム87bが取り付けられている。カム87bはカム連動部材809を介して他方のカム87aに取り付けられている。上述したアッパアーム801a又は801bにはカム作用部位を有している。各々のクランプ部材82a及び82bにおいて、アッパアーム801a又はロアアーム801bのカム作用部位にカム87a、87bが押圧することで、各々のクランプ部材82a及び82bの挟み部材801を同期して開閉するようになされる。
上述のカム87bに近接して、クランプHPセンサ821が配置され、クランパ801のホームポジション(HP)を検知してホームポジション検知信号(以下HP検知信号S21という)を制御部50に出力するようになされる。クランパ801のホームポジションHPはクランプ移動機構80が最も上方に移動した位置に設定される。
さらに、本体基板81(ユニット内)には用紙厚検知部の一例を構成する用紙厚検知センサ822が配置され、アッパアーム801aにはスリット部823が設けられ、この用紙厚検知センサ822と組み合わせて使用される。用紙厚検知センサ822には透過型のフォトセンサが使用される。
例えば、スリット部823には、所定ピッチのスリット形状が施され、用紙束3”が一定の厚さになる毎に用紙厚検知センサ822でアッパアーム801aのエッジを検知し、アッパアーム801aが開閉動作を行うことで、用紙厚を検知するようになる。この例では、各々の用紙束3”の厚みのポジション毎に、パドルローラ37が上昇すべきパルス数を予め設定しておく。用紙束3”の厚みのポジションは、スリットを通過する数が検出される位置である。このように、用紙厚検知センサ822は、バインダ紙揃えユニット30に進入し積層され(束ねられ)た用紙3’の厚みを検知して紙厚検知信号S22を制御部50に出力するようになされる。
なお、用紙厚検知センサ822に隣接して、本体基板81には50枚用紙厚検知センサ(以下50枚センサ824という)が配置され、アッパアーム801aには遮光部825が設けられ、この50枚センサ824と組み合わせて使用される。50枚検知センサ824は、用紙3’が50枚束ねられたときの厚みを検知して50枚検知信号S42を制御部50に出力するようになされる。
図9及び図10は、クランプ移動機構80の動作例(その1、2)を示す図である。
図9に示すクランプ移動機構80は、クランパ801が全開放した状態である。この状態のクランプ移動機構80によれば、紙揃え時、クランパ801のロアアーム801bが用紙保留部32の走行面と面一に配置されるようにクランプシャフト804がジョイントプレート802の細長い開口部(溝)806に嵌合され、固定状態となされる。そのアッパアーム801aは、ロアアーム801bに対して全開した状態である。当該アッパアーム801aは、螺旋バネや弦巻バネ等の弾性部材により常時、閉鎖方向に付勢されており、クランプ開閉駆動用のカム87bの駆動により、クランパ801の開閉動作が行われる。
図10に示すクランプ移動機構80は、クランパ801が用紙束3”を保持(狭持)した状態である。この状態のクランプ移動機構80によれば、クランパ801のアッパアーム801aの上部押え部材84aと、そのロアアーム801bの下部押え部材84bによって用紙束3”がクランプされる。
この例で、クランパ801の閉鎖動作時、用紙厚検知センサ822がアッパアーム801aのスリット部825が何スリットを通過したかを検出している。アッパアーム801aの閉鎖位置は、束ねられた用紙3’(用紙束3”)の厚さが増加する毎に上昇するため、用紙厚検知センサ822を通過するスリットの数が減少してゆくことになる。この例では、スリットが減少するポイントと用紙束3”の厚みとの関係を予め設定しているので、クランプしている用紙束3”の厚さを検出できるようになる。
なお、バインド紙揃えユニット30の次の工程である綴じユニットには、クランプ移動機構80のクランパ801のみが綴じユニットへ移動する。同時に、アッパアーム801aは、クランプ開閉駆動用のカム87bが待避し、綴じユニットへ移動する。これにより、カム87bの駆動から切り離されて、バネの付勢により常時、クランパ801が閉鎖状態となるため、用紙束3”を狭持したまま下流側(綴じユニット側)に移動するようになされる。
続いて、パドルローラ37と用紙枚数と用紙厚検知センサ822の関係例について説明する。図11は、パドルローラ37のアップ・ダウン調整例を示すグラフ図である。
図11において、縦軸はパドルローラ37の高さhである(図6参照)。この例で初期位置Paは例えば、3.6mmであり、ホームポジションHPである。最大位置Pbは例えば、16.6mm程度である。横軸は、用紙3’の積層枚数である。図中、0,10,20・・・のように、10枚置きに四角で囲んでいる。階段状の実線は、モータ駆動部186に出力される所定パルスによるパドルローラ37のアップ・ダウン調整例を示している。
この例で、用紙厚検知センサ822はスリットを通過する数を検出する。スリットの数は、例えば、用紙束3”の厚みに対応して5箇所設定される。この例では、用紙枚数が少なく、例えば、用紙3’が0枚〜25枚程度の場合は、クランパ801を閉鎖すると、用紙厚検知センサ822がスリットを5回横切るようになる。ここでスリットを5回横切る場合をエッジ検出回数=「5」と定義する。エッジ検出回数=「5」が「4」に変化した場合は、例えば、制御コード「4」を設定する。
また、用紙枚数が増えて、用紙3’が例えば、25枚程度を越えて50枚程度の場合は、同様にして、スリットを4回横切るようになる。これをエッジ検出回数=「4」と定義する。エッジ検出回数=「4」が「3」に変化した場合は、例えば、制御コード「3」を設定する。更に、用紙枚数が増えて、用紙3’が例えば、50枚程度を越えて75枚程度の場合は、スリットを3回横切るようになる。これをエッジ検出回数=「3」と定義する。エッジ検出回数=「3」が「2」に変化した場合は、例えば、制御コード「2」を設定する。
更にまた、用紙枚数が増えて、用紙3’が例えば、75枚程度を越えて100枚程度の場合は、スリットを2回横切るようになる。これをエッジ検出回数=「2」と定義する。エッジ検出回数=「2」が「1」に変化した場合は、例えば、制御コード「1」を設定する。用紙枚数が多くなって、用紙3’が100枚を越えた場合は、スリットを1回横切るようになる。これをエッジ検出回数=「1」と定義する。エッジ検出回数=「1」が「0」に変化した場合は、例えば、制御コード「0」を設定する。なお、当該バインド紙揃えユニット30で取り扱われる最大の用紙束3”の厚みを越える場合は、スリットを全く横切らない場合(0回)である。これをエッジ検出回数=「0」と定義する。制御コードは「0」を設定する。
この例では、50枚検知センサ824は当該バインド紙揃えユニット30で取り扱われる最大の用紙束3”の約半分に到達したか否かを検知する。例えば、用紙3’が0枚〜60枚を検知している期間は、ハイ・レベルの信号を制御部50に出力する。用紙3’が60枚を越えて最大の用紙束3”に至る用紙束3”を検知している期間は、ロー・レベルの信号を制御部50に出力するようになされる。
図中、(a)、(b)、(c)、(d)は4箇所の補正ポイントである。この例では、クランパ801が閉鎖して、用紙厚検知信号S28の立ち下がりエッジが検出されたときに、パドルローラ37の高さhを調整するようになされる。
補正ポイント(a)では、パドルローラ37の高さhをダウン調整するようになされる。これは、用紙検知センサ119による用紙進入枚数が、例えば、28枚を検出した際の用紙束3’の厚みに対応する補正である。28枚を検出した際の用紙束3’の厚みに対応するパドルローラ37の目標高さ(目標上昇量)は、グラフ図より、h’=6.2mmに至っている。この目標高さh’は、進入枚数による所定パルスをモータ駆動部186に出力して得られる設定値である。
一方、用紙厚検知センサ822から得られた実績値は、グラフ図より、パドルローラ37の高さh(i)=5.5mmである。設定値=6.2mmに対して実績値5.5mmとの間に差を生じている。この差を無くすために、補正ポイント(a)では用紙厚検知信号S28の立ち下がりエッジが検出されたときに、28枚を越える用紙3’を揃える分からの設定値の初期値を6.2mmから5.5mmに書き換えて進入枚数による所定パルスをモータ駆動部186に出力するようになされる。
この例では、補正ポイント(b)、(c)でも、パドルローラ37の高さh(ii),(iii)に関して、パドルローラ37の高さhをダウン調整するようになされる。これらの補正内容については、補正ポイント(a)を参照されたい。
補正ポイント(d)では、パドルローラ37の高さhをアップ調整するようになされる。これは、用紙検知センサ119による用紙進入枚数が、例えば、100枚を検出した際の用紙束3’の厚みに対応する補正である。100枚を検出した際の用紙束3’の厚みに対応するパドルローラ37の目標高さは、h’=11.5mmに至っている。この目標高さh’は、進入枚数による所定パルスをモータ駆動部186に出力して得られる設定値である。
一方、用紙厚検知センサ822から得られた実績値は、パドルローラ37の高さh(iv)=12.2mmである。設定値=11.5mmに対して実績値12.2mmとの間に差を生じている。この差を無くすために、補正ポイント(d)では用紙厚検知信号S28の立ち下がりエッジが検出されたときに、100枚を越える用紙3’を揃える分からの設定値の初期値を11.5mmから12.2mmに書き換えて進入枚数による所定パルスをモータ駆動部186に出力するようになされる。これにより、パドルローラ37の上昇量と目標上昇量との差に基づいて当該パドルローラ37を上昇又は降下する制御を実行できるようになる。
図12は、バインダ紙揃えユニット30の制御系の構成例を示すブロック図である。
図12に示す制御部50には、モータ駆動部35、36、用紙厚検知センサ822、50枚検知センサ824、パドルHPセンサ724、プレスローラ用のHPセンサ115、カールフェンス用のHPセンサ117、用紙検知センサ119、排出ローラ駆動部122、モータ駆動部180〜186が接続されている。
用紙検知センサ119は用紙数検知部の一例を構成し、パンチ処理部20から排出される用紙3’の枚数を検知して用紙数検知信号S19を制御部50に出力する。
排出ローラ駆動部122には、排出ローラ回転用のモータ205が接続される。排出ローラ駆動部122は、制御部50からモータ制御信号S22を入力して、モータ205を駆動し排出ローラ25を回転する。パンチ処理部20から排出された用紙3’は、排出ローラ25の回転により搬送され、バインダ紙揃えユニット30内に進入するようになる。
HPセンサ117は、カールフェンス部34b等の突起部342の位置を検知してホームポジション(以下HPという)検知信号S17を制御部50に出力する。制御部50は、用紙数検知信号S19及びHP検知信号S17に基づいてモータ駆動部35にモータ制御信号S35を出力する。
モータ駆動部35には、カールフェンス回転用のモータ301が接続される。モータ駆動部35は、制御部50からモータ制御信号S35を入力して、モータ301を回転し、カールフェンス部34a,34bを駆動する。
モータ駆動部36には、パドルローラ回転用のモータ708が接続される。モータ駆動部36は、制御部50からモータ制御信号S36を入力して、モータ708を回転し、パドルローラ37を駆動する。
用紙厚検知センサ822は、バインダ紙揃えユニット30に進入し積層された用紙束3”の厚みを検知する。例えば、用紙厚検知センサ822は、アッパアーム801aのスリット形状を検知して用紙厚検知信号S28を制御部50に出力する。50枚検知センサ824は、用紙3’が50枚束ねられたときの厚みを検知して50枚検知信号S42を制御部50に出力するようになされる。パドルHPセンサ724はパドルローラ37のホームポジションHPを検知してパドルHP検知信号S24を制御部50に出力するようになされる。制御部50は、パドルHP検知信号S24、用紙厚検知信号S28及び50枚検知信号S42に基づいてモータ駆動部186にモータ制御信号S86を出力する。
モータ駆動部186は駆動部の一例を構成し、パドルローラ37を所定量、上昇又は降下するように駆動する。モータ駆動部186には、パドルローラ移動用のモータ726が接続される。モータ駆動部186は、制御部50からモータ制御信号S86を入力して、モータ726を回転し、パドルローラ37をアップ・ダウンするように駆動する。
制御部50は、用紙数検知信号S19に基づいてモータ駆動部35、36、モータ駆動部180〜186を制御する。用紙先端当接機構39に関して、制御部50は、パドルローラ37が用紙面を掻く上方位置を用紙3’の進入枚数情報に基づいてアップ・ダウンするように調整する。例えば、制御部50は用紙検知センサ119から得られた用紙数検知信号S19に基づいてモータ駆動部186にモータ制御信号S86を出力する。制御部50は、パドルHPセンサ724により検知したホームポジションHPを原点(用紙0枚)とし、用紙3’の毎回又は複数回進入する毎(進入回数毎)に所定パルスをモータ駆動部186に出力してパドルローラ37を上昇するようになされる。
また、制御部50は、用紙厚検知センサ822から得られる用紙厚検知信号S28に基づいてパドルローラ37の実績値をモータ駆動部186に設定する。用紙厚検知信号S28は、用紙厚検知ポイント毎に得られる。制御部50は、モータ駆動部186に出力される所定数のパルスに基づくパドルローラ37の目標上昇量と、用紙厚検知信号S28に基づくパドルローラ37の実績値との差を演算し、パドルローラ37の実績値と目標上昇量との差に基づいて当該パドルローラ37を上昇又は降下するようにモータ駆動部186を出力制御する。
このようにすると、所定パルス数に見合う分だけパドルローラ37の位置を上昇又は降下させることができる。最適に調整された位置でパドルローラ37により用紙3’を基準位置に当接することができる。従って、時々刻々と厚みが変化する用紙3’の先端を揃えた状態で束(冊子)に積層することができる。
なお、モータ駆動部180には、クランプ移動機構用のモータ308が接続される。モータ駆動部180は、制御部50からモータ制御信号S80を入力して、モータ308を回転し、クランプ移動機構80を駆動する。例えば、クランプ移動機構80では、シャッター83を開口すると共に、用紙束3”を狭持したクランプ部材を次工程に移行させるべく降下するようになされる。その後、用紙束3”を開放すると共に、クランプ部材を上昇し、シャッター83を閉鎖するようになされる。
モータ駆動部181には、クランプ部材駆動用のモータ86が接続される。モータ駆動部181は、制御部50からモータ制御信号S81を入力して、モータ86を回転し、ロアアーム801bやアッパアーム801a等のクランプ部材を駆動する。用紙束揃え時には、クランプ部材が開放される。用紙束3”を狭持する場合は、クランプ部材が閉鎖される。
モータ駆動部182には、整列ピン駆動用のモータ89が接続される。モータ駆動部182は、制御部50からモータ制御信号S82を入力して、モータ89を回転し、整列ピンや連接部材等のピン部材を駆動する。用紙束整列時には、整列ピンが用紙束3”の孔部に貫通される。
モータ駆動部183には、サイドジョーガー用のモータ74a、74bが接続される。モータ駆動部183は、制御部50からモータ制御信号S83を入力して、モータ74a、74bを回転し、サイドジョーガー70を駆動する。用紙束整列時には、サイドジョーガー70の幅寄せ部材が用紙束3”の幅方向を寄せるようになされる。用紙束排出時には、サイドジョーガー70の幅寄せ部材が待避される。
HPセンサ115は、プレスローラ33の位置を検知してローラ検知信号S15を制御部50に出力する。プレスローラ33のホームポジションとは、用紙整列面から所定距離上昇した位置をいう。プレスローラ33はこの位置で待機するようになる。制御部50は、用紙束排出時には、ローラ検知信号S15に基づいてプレスローラ33及び繰り出しローラ38を制御する。
モータ駆動部184には、プレスローラ移動用のモータ814が接続される。モータ駆動部184は、制御部50からモータ制御信号S84を入力して、モータ814を回転し、プレスローラ33を駆動する。
モータ駆動部185には、繰り出しローラ回転用のモータ815が接続される。モータ駆動部185は、制御部50からモータ制御信号S85を入力して、モータ815を回転し、繰り出しローラ38を駆動する。用紙束排出時、上述のプレスローラ33及び繰り出しローラ38は、用紙束3”を表裏から加圧するようにして次工程へ送り出すようになされる。
続いて、バインダ紙揃えユニット30の制御例について説明する。図13は、バインダ紙揃えユニット30における用紙揃え時の制御例を示すフローチャートである。
この例では、制御部50からモータ制御信号S22を入力した排出ローラ駆動部122がモータ205を駆動して排出ローラ25を回転し、パンチ処理部20から排出された用紙3’をバインダ紙揃えユニット30内に進入する場合を前提とする。また、用紙3’の進入回数毎にパドルローラ37が上昇したパルス数を記憶しておき、用紙厚検知ポイント毎に設定された上昇量(パルス数)とを比較し、差分を補正してパドルローラ37を昇降させるようにする。
例えば、スリットが減少するポイントで、パドルローラ37が上昇すべきパルス数と、用紙先端当接機構39が用紙3’の進入回数毎に上昇していた所定パルス数の合計との差分を上昇あるいは降下させることで、用紙束3”の厚みに合った最適のパドルローラ位置に補正を行う場合を例に採る。
これらを制御条件にして、図13に示すフローチャートのステップA1で制御部50は、バインダ紙揃えユニット30への用紙3’の進入を検知する。このとき、用紙検知センサ119は、パンチ処理部20から排出される用紙3’を検知して用紙検知信号S19を制御部50に出力する。制御部50は、用紙検知信号S19に基づいて用紙3’の進入を検知する。
用紙3’の進入を検知した後、ステップA2で、制御部50はパドルローラ37をnパルス上昇する。このとき、制御部50は、用紙検知センサ119から入力した用紙3’の進入枚数情報に基づいてモータ駆動部186を出力制御する。例えば、用紙3’が進入してくると毎回又は複数回に1回だけパドルローラ37を上昇させることにより、用紙束3”の厚みが増加するにつれてパドルローラ37の位置も上昇する制御を実行する。
その後、ステップA3でクランプ移動機構80はクランパ801を開放処理する。このとき、制御部50は、モータ駆動部180には、モータ制御信号S80を出力する。モータ駆動部180は、制御部50から入力したモータ制御信号S80に基づいて、モータ308を回転し、クランプ移動機構80を駆動する。例えば、クランプ移動機構80では、クランプ部材を開放すると共に、アッパアーム801aを上昇し、シャッター83を閉鎖するようになされる。これにより、パンチ処理部20から排出された用紙3’は、シャッター83に到達する。
そして、ステップA4で用紙先端当接機構39は用紙先端をシャッター83に当接する。このとき、制御部50はモータ駆動部36にモータ制御信号S36を出力する。モータ駆動部36は、制御部50から入力したモータ制御信号S36に基づいてモータ708を回転し、パドルローラ37を駆動する。
その後、ステップA5でクランプ移動機構80はクランパ801を閉鎖処理する。このとき、制御部50はモータ駆動部181へモータ制御信号S81を出力する。モータ駆動部181は、制御部50から入力したモータ制御信号S81に基づいてモータ86を回転し、ロアアーム801bに対してアッパアーム801aを閉鎖するように駆動する。
そして、ステップA6で制御部50は、用紙厚検知センサ822でエッジ検出数が減少したか否かを判別する。このとき、用紙3’の進入枚数情報に基づいて駆動されたパドルローラ37の目標上昇量と、用紙厚検知情報に基づくパドルローラ37の実績値との差を制御部50で演算し、パドルローラ37の実績値と目標上昇量との差に基づいて当該パドルローラ37を上昇又は降下するようにモータ駆動部186を出力制御する。このようにすると、限りなく実績値に近づくように、パドルローラ37を上昇又は降下できるようになる。
エッジ検出数が減少した場合は、束ねられた用紙3’が増加しているのでステップA7に移行してパドルローラ37のアップ・ダウン調整に係る補正を実行する。ここで、用紙厚検知センサ822がエッジ検出回数=「5」が「4」に変化した場合は、図11に示した補正ポイント(a)のように、制御コード「4」を設定して、パドルローラ37の高さhをダウン調整するようになされる。エッジ検出回数=「4」が「3」に変化した場合は、図11に示した補正ポイント(b)のように、制御コード「3」を設定して、パドルローラ37の高さhをダウン調整するようになされる。
更に、エッジ検出回数=「3」が「2」に変化した場合は、図11に示した補正ポイント(c)のように、制御コード「2」を設定して、パドルローラ37の高さhをダウン調整するようになされる。エッジ検出回数=「2」が「1」に変化した場合は、図11に示した補正ポイント(d)のように、制御コード「1」を設定して、パドルローラ37の高さhをアップ調整するようになされる。なお、エッジ検出回数=「1」が「0」に変化した場合は、制御コード「0」を設定して、用紙束の厚みオーバー等のエラー出力するようになされる。
なお、ステップA6でエッジ検出数が減少しない場合はステップA8に移行して、当該用紙3’が最終用紙か否かを判別する。最終用紙か否かは、上位の制御系からエンドオブフラグ等を検出し、基準値と比較することで識別される。
その後、ステップA9に移行して制御部は、綴じ処理又は排出処理を実行する。例えば、次工程で綴じ部品43による綴じ処理をする場合は、HPセンサ115がプレスローラ33の位置を検知してローラ検知信号S15を制御部50に出力する。制御部50は、プレスローラ33が用紙整列面から所定距離上昇したホームポジションで待機していることを認識する。プレスローラ33はこの位置で待機するようになる。
そして、クランプ移動機構80は、クランプ部材を次工程に移行させるべく降下するようになされる。その後、用紙束3”に綴じ部品43が取り付けられると、クランプ部材を開放すると共に、綴じ部品43が取り付けられた冊子90を自由落下させ、クランプ部材を上昇し、シャッター83を閉鎖するようになされる。
なお、次工程で綴じ部品43による綴じ処理をすることなく、用紙束のまま排出する場合は、制御部50は、ローラ検知信号S15に基づいてプレスローラ33及び繰り出しローラ38を制御する。このとき、モータ駆動部184は、制御部50からモータ制御信号S84を入力して、モータ814を回転し、プレスローラ33を駆動する。これと共に、モータ駆動部185は、制御部50からモータ制御信号S85を入力して、モータ815を回転し、繰り出しローラ38を駆動する。上述のプレスローラ33及び繰り出しローラ38は、用紙束3”を表裏から加圧するようにして次工程へ送り出すようになされる。
このように、実施形態としてのバインド装置100によれば、複数枚の用紙3’を揃えて一時保留する場合に、用紙搬送部10は、所定の位置に用紙3’を搬送する。バインダ紙揃えユニット30は、用紙搬送部10によって搬送される複数枚の用紙3’を揃えて一時保留する。バインダ紙揃えユニット30に設けられた用紙先端当接機構39は、用紙3’の先端を基準位置を設けたシャッター83に当接する。これを前提にして、当該用紙先端当接機構39は、バインダ紙揃えユニット30への用紙3’の進入枚数に基づいて用紙面を掻き込む位置を調整するようになる。
従って、用紙3’の進入枚数に追従して調整された最適な位置で用紙面を掻き込むことができる。しかも、用紙3’の種類に関係なく、用紙束3”の厚みの変化に対応してパドルローラ37の最適な高さを維持することができる。これにより、時々刻々と厚みが変化する用紙3’の先端を揃えた状態で、再現性良く、当該用紙3’を束(冊子)に積層することができる。
この例では、パドルローラ37の上昇を用紙3’が進入してくる回数毎に上昇させることで、用紙厚検知ポイント間のパドルローラ37の高さhのばらつきを最小限におさえることができる。しかも、用紙厚検知ポイントを細かく設定する必要がないため用紙厚検知系の構造が簡素化され、安価な検知手段で用紙検知系を構成できる。
更に、パドルローラ37の周速は、進入してくる用紙3’の搬送速度よりも、早くなるように設定してあるため、パドルローラ37の回転により用紙3’が減速されることがなくなる。