JP4824923B2 - 固液混合食品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、パスタ等の麺類を含む固形食品と液体食品を別殺菌した後、これらを無菌雰囲気下で混合してなる固液混合食品の製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、長期保存後においても、麺類の食感および外観が良好である固液混合食品の製造方法に関するものである。
従来より、パスタを含む固形食品と液体食品を別殺菌した後、これらを無菌雰囲気下で混合してなる固液混合食品の製造方法が知られている。(特許文献1参照) 特許文献1には、常法により茹でた麺と、高水分含有液状物とを別々に加熱殺菌した後、高水分含有液状物を麺に接する形態で無菌的に添加し、冷蔵処理する態様、加熱殺菌済みの茹でた麺を冷蔵処理した後、加熱殺菌した高水分含有液状物を麺に接する形態で無菌的に添加する態様が開示されており、かかる冷蔵処理により、食品がふやけず、食感および外観の良好な常温保存性食品が得られることが記載されている。(第3頁第4欄第43
行〜第4頁第5欄第6行)
しかし、前記固液混合食品の製造方法によれば、冷蔵処理により食感および外観の良好な常温保存性食品は得られるものの、家庭あるいはレストラン等で料理した直後の食感および外観と同等レベルにまで十分に至っていないものであった。また、常温保存性食品を
得るにあたり、一旦、冷蔵処理を行う必要があり、製造効率が低下する問題があった。
また、パスタを含む固形食品と液体食品を混合した固液混合食品をレトルト殺菌するパスタ含有レトルト食品の製造方法が知られている。(特許文献2、特許文献3、特許文献
4参照)
例えば、特許文献2には、乾燥パスタと含水調味ソースとを耐熱性容器に密封収容した後、レトルト殺菌して該パスタの含水量を50〜85重量%に調整したパスタ含有レトル
ト食品の製造方法が記載されている。
また、特許文献3には、乾燥パスタを水分含量30〜50重量%に湯もどしし、次いで含水調味ソースと耐熱性容器に密封収容した後、レトルト殺菌して該パスタの含水量を6
0〜85重量%に調整したパスタ含有レトルト食品の製造方法が記載されている。
さらに、特許文献4には、乾燥パスタを蒸熱処理し、次いで当該蒸熱処理パスタとパスタ用調味液とをレトルト殺菌用容器に充填密封した後、レトルト殺菌するパスタ入りレトルト食品の製造方法が記載されている。
上記レトルト食品は、いずれもパスタのふやけを防止することを目的とするものであるが、かかるレトルト食品は、パスタと調味液をいっしょに混合した後、高温で加熱殺菌するため、ふやけの問題を完全に解消することはできず、家庭あるいはレストラン等で料理
した直後の食感および外観と同等レベルにまで至っていないものであった。
また、他に固形食品と液体食品を別殺菌した後、これらを混合してなる固液混合食品の
製造方法が知られている。(特許文献5参照)
特許文献5には、浸漬米に予備蒸気処理を施した蒸煮米に加圧蒸気処理した米飯と、殺菌済み調味液とを無菌雰囲気下において容器に充填密封することにより、長期間保存して
も崩れのない米飯粒を得ることができる雑炊又は粥の製造方法が記載されている。
しかし、かかる製造方法をそのままパスタ等の麺類に適用したとしても、パスタのふや
けの問題を完全に解消することは困難であった。
特開2001−352920号公報 特開平3−39057号公報 特開平3−39058号公報 特開平10−271971号公報 特開平11−46704号公報
本発明は、長期保存後においても、家庭あるいはレストラン等で料理した直後と同様の食感および外観を得ることができるパスタ等の麺類を含む固液混合食品をより効率的に製
造することができる方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、麺類とソース等の調味液を一旦混合し、その後、殺菌等の加熱処理を施さない場合、該混合から約3日間を経過するまでの間、麺類の水分が上昇し続けるが、その後、水分値がほとんど変化せず一定水分を維持する現象、さらに、かかる現象において、該経過時間までの間における固液混合食品の保存温度域によって、麺類の水分上昇程度
が異なる現象をあらたに見い出した。
本発明は、かかる現象から、固液混合後に加熱処理を施さない場合において、該固液混合後の保存温度域に応じて、麺類の喫食に適した最終水分値および前記保存時における水分上昇程度に基づいて、調味液との混合前の麺類の水分値を一定範囲に調整することのみ
によって、前記目的を達成することができるという知見により完成されたものである。
本発明によれば、長期保存後においても、家庭あるいはレストラン等で料理した直後と同様の食感および外観を得ることができるパスタ等の麺類を含む固液混合食品をより効率
的に製造することができる方法を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、麺類を含む固形食品と液体食品を別に殺菌処理した後、これらを無菌雰囲気下で混合してなる容器入りの固液混合食品の製造方法であって、前記麺類として乾燥麺類を用い、該乾燥麺類に加水処理を施し、〜水分含量を13〜55重量%に調整した後、これを蒸気と直接接触させて殺菌処理を行うことを特徴とする固液混合食品の製造方法であ
る。
また、本発明は、前記乾燥パスタの加水処理を茹で処理により行う固液混合食品の製造
方法である。
また、本発明は、少なくとも固形食品と液体食品の混合時から所定時間を経過するまでの間において、容器に収容密封された固液混合食品を常温雰囲気下で保存する場合には、前
記水分含量を、13〜50重量%に調整する固液混合食品の製造方法である。
また、本発明は、少なくとも固形食品と液体食品の混合時から所定時間を経過するまでの間において、容器に収容密封された固液混合食品をチルド雰囲気下で保存する場合には
、前記水分含量を、20〜55重量%に調整する固液混合食品の製造方法である。
さらに、本発明は、前記所定時間を経過するまでの間が、前記混合時から72時間を経
過するまでの間である固液混合食品の製造方法である。
本発明の麺類を含む固液混合食品としては、例えば、パスタ、うどん、そば、ラーメン、ビーフン、はるさめ、ワンタンの皮、ギョーザの皮等の麺類を含む固液混合食品であって、具体的には、パスタを含むスープ、シチュー、グラタン、ラザニア、スパゲッティ、種々の麺類を含む汁物、煮込み物、和え物を挙げることができる。調味液等を表面に付け
た麺類だけを含む食品であってもよい。
前記スープとしては、コーンスープ、ポタージュスープ、コンソメスープ、トマトスープ、ミネストローネ、クリームスープ等を挙げることができる。 また、グラタン、ラザニア、スパゲッティ等においては、ホワイトソース、ミートソース、デミグラスソース、トマトソース等を液体食品として用いればよい。 また、かかる液体食品の粘性、水分量等は、各種食品に応じて適宜決定すればよく、特
に限定されるものではない。
一方、前記固液混合食品に含まれる麺類以外の固形食品としては、玉ねぎ、ニンジン等の野菜類、しめじ、マッシュルーム等のきのこ類、畜肉類、魚介類等を、任意形状にカッ
ト処理したものあるいはホール状のもの等を挙げることができる。
本発明において用いることができる乾燥麺類は、小麦粉、米粉、澱粉等を主原料として、必要に応じて、副原料として他の穀物、豆類、果実、野菜、香辛料の粉砕物、各種調味料、色素、増粘安定剤、卵等の熱凝固性蛋白質を用い、これらの原料に適当な処理を施して調製される乾燥状態のものである。パスタとは、小麦粉等の原料に、水を加え、順次、混練、成形、乾燥して作られるスパゲッティ、マカロニ、ラザーニャ、シェル、ラビオリ、ペンネ、フジリ、ニョッキ等である。乾燥麺類の形状は任意であり、線状のものに限ら
ず、シート状や小片状のものでもよい。
かかる方法により得られる乾燥麺類は、通常、その保存性を考慮し、水分含量が13重量%以下になるよう乾燥処理が施されるが、上記の範囲を超える水分含量のものであってもよい。要は、当初原料の水分含量を、本発明で重要となる、蒸気による殺菌処理を行う前の水分調整が可能な範囲のものとすればよい。麺類の種類によって、当初原料の水分含
量を適当に調整すればよい。
本発明の固液混合食品は、前記した麺類を含む固形食品と液体食品をそれぞれ別殺菌した後、これらを無菌雰囲気下で混合することにより製造する。その後、固液混合食品を収
納した容器を密封することにより、保存性を有する製品を得ることができる。
かかる混合比率は、所望に応じて適宜決定すればよく、特に限定されるものではない。
なお、ここで無菌雰囲気下とは、殺菌済みの食品を充填した容器を密封するまでの間、
該食品中に実質的に菌が混入し難い雰囲気環境をいい、該無菌雰囲気は、製品の保存温度
及び保存期間に応じて、所定のクリーン度に適宜設定すればよい。
例えば、製品を常温で長期間保存する場合には、食品の殺菌工程後、殺菌された固液各食品を混合し、これを収容した容器を密封する工程までの雰囲気環境を、クラス100以下のクリーン度に保持することが望ましい。また、製品をチルドで数十日間保存する場合には、クラス100,000以下、好ましくは1,000以下のクリーン度に保持するこ
とが望ましい。
ここで、クラス1とは、0.5ミクロン以上の粒子が1キュービックフィートの体積(28.3リットル)中に1個あることをいい、クラス100は、28.3リットル中に0
.5ミクロン以上の粒子が100個あることをいう。
前記液体食品の殺菌は、例えば、チューブラ殺菌機等を用いて行えばよく、例えば、製品を常温保存する場合には、120℃、4分間相当の殺菌条件、すなわち食品衛生法の容器包装詰加圧加熱殺菌食品の製造基準を満たす殺菌条件を採用すればよく、具体的には、120〜150℃、1秒〜5分間、好ましくは130〜140℃、5秒〜2分間の条件により殺菌処理を行うことが望ましい。また、製品をチルド保存する場合には、60〜150℃、1秒〜30分間、好ましくは120〜140℃、2秒〜1分間の条件で殺菌するこ
とが望ましい。
一方、麺類を含む固形食品の殺菌は、該固形食品と蒸気を直接接触させることにより行
う。
該麺類としては、前記した乾燥麺類を用いるが、該乾燥麺類に加水処理を施し、その水分を13〜55重量%に調整した後、前記蒸気による殺菌処理を行う。これにより、固液混合し、長期保存した後においても、ふやけのない弾力のある食感を味わうことができる

なお、本発明の水分含量は、常圧105℃加熱16時間乾燥法により測定した値、すなわち乾燥前の試料重量に対する乾燥前後の重量差の比率(%)であって、具体的には、式:乾燥前後の重量差(乾燥前試料重量−乾燥後試料重量)/乾燥前試料重量×100によ
り算出した値である。
前記乾燥麺類の加水処理は、茹で処理、浸漬処理、噴霧処理、蒸気加熱処理やこれらの組み合わせ処理等により行うことができるが、なかでも茹で処理により行うことが望ましい。これにより、適度な弾力ある食感を得ることができる。当初原料が前記の水分含量で
ある場合には、特段加水処理を施さずにそのまま用いることもできる。
麺類、特にパスタ等の茹で処理は、例えば、ボイル槽を用い、70℃〜105℃(沸騰状態)、1秒〜20分間の条件により行えばよい。なお、使用するパスタ原料によっては
、茹で処理において食塩水を用いることにより、パスタに塩味を付与することができる。
また、前記した乾燥麺類の水分含量の調整は、長期保存後の麺類の食感に大きな影響を
及ぼすものであり、製造する製品の保存温度域に応じて、適宜調整することが望ましい。
これは、麺類と液体食品を混合後、長期間保存した場合、麺類の水分含量は、飽和状態になるまで吸水されるものと思われたが、固液混合後、殺菌等の加熱処理を行わない場合、固液混合後から所定時間を経過するまでの間、その水分含量は上昇するが、一定程度でその上昇が止まり、その水分含量が維持される。また、前記水分上昇程度が、その保存温
度域に大きく起因するためである。
前記所定時間は、固液混合食品の混合時から72時間を経過するまでの間であり、少なくとも、その時間内において、容器に収容密封された固液混合食品を常温雰囲気下またはチルド雰囲気下で保存する場合、それぞれの保存雰囲気温度に応じて、乾燥麺類の水分調整を行えばよい。なお、例えば、製品を、常温流通し、チルド販売する場合にあっては、
常温雰囲気下で保存する場合の条件に基づき、水分調整すればよい。
また、前記した所定時間内において、製品が、常温雰囲気下とチルド雰囲気下で保存さ
れる場合には、各雰囲気下で保存する場合の条件の間で、適宜水分調整を行えばよい。
なお、ここで、上記チルド雰囲気とは、一般に特定の定義はなされていないが、−5℃
〜10℃の温度雰囲気のこといい、常温雰囲気とは10℃より高い温度雰囲気をいう。
前記乾燥麺類の水分含量は、具体的には、少なくとも固形食品と液体食品の混合時から所定時間を経過するまでの間において、容器に収容密封された固液混合食品を常温雰囲気下で保存する場合には、前記加水処理により、13〜50重量%、好ましくは、25〜50重量%に調整することが望ましい。これにより、麺類を液体食品と混合した後、麺類の水分含量を60〜77重量%に維持することができ、長期保存した後に食する場合、ふやけのない弾力のある食感を味わうことができる。すなわち、喫食するときの麺類の水分含量を60〜77重量%程度に維持するためには、常温雰囲気下での保存時における麺類の水分上昇程度を勘案し、前記水分範囲になるよう乾燥麺類の水分含量を調整する必要があ
る。
前記水分範囲よりその水分含量が少ない場合には、ふやけのない麺類を得ることはできるが、食感の硬いものになり、反対に、その水分含量が多い場合には、ふやけてしまい弾
力性のない食感になる。
前記した茹で処理により前記範囲の水分含量に調整する場合には、70℃〜105℃(
沸騰状態)、1秒〜15分間の条件により行うことが望ましい。
また、少なくとも固形食品と液体食品の混合時から所定時間を経過するまでの間において、容器に収容密封された固液混合食品をチルド雰囲気下で保存する場合には、前記乾燥麺類の水分含量を、加水処理により、20〜55重量%、好ましくは、30〜55重量%に調整することが望ましい。これにより、常温雰囲気下での保存時の場合と同様、麺類を液体食品と混合した後、麺類の水分含量を60〜77重量%に維持することができ、長期保存した後に食する場合、ふやけのない弾力のある食感を味わうことができる。すなわち、喫食するときの麺類の水分含量を60〜77重量%程度に維持するためには、チルド雰囲気下での保存時における麺類の水分上昇程度を勘案し、前記水分範囲になるよう乾燥麺
類の水分含量を調整する必要がある。
前記水分範囲よりその水分含量が少ない場合には、ふやけのない麺類を得ることはできるが、食感の硬いものになり、反対に、その水分含量が多い場合には、ふやけてしまい弾
力性のない食感になる。
前記した茹で処理により前記範囲の水分含量に調整する場合には、70℃〜105℃(
沸騰状態)、1秒〜20分間の条件により行うことが望ましい。
本発明は、前記したように水分含量を調整した麺類に殺菌処理を施すが、かかる殺菌処理を蒸気により行うことが重要である。これにより、殺菌処理中において、一旦調整した
麺類の水分含量の変動を抑えることができる。
前記蒸気殺菌は、例えば、上方に開口を有する有底の金属容器に麺類を充填し、蒸気が供給された殺菌装置内に所定時間存在させ、麺類と蒸気を直接接触させることにより行う
ことができる。
前記殺菌において麺類を充填する容器は、麺類と蒸気が直接接触すれば、その形状、材質等は特に限定されるものではなく、最終製品に用いる容器をそのまま用いてもよい。麺
類を一食分ごとに上記の殺菌用容器に充填して処理することが望ましい。
また、殺菌条件については、例えば、常温保存できる製品を製造する場合には、120℃、4分間相当の殺菌条件、すなわち食品衛生法の容器包装詰加圧加熱殺菌食品の製造基準を満たす殺菌条件を採用すればよく、具体的には、105〜140℃、1秒〜150分間、好ましくは110〜135℃、5秒〜40分間の条件で、また、チルド保存する製品を製造する場合には、90〜125℃、1秒〜150分間、好ましくは95〜120℃、
5秒〜40分間の条件で殺菌することが望ましい。
なお、麺類を殺菌する場合、前記した他の固形食品を前記容器内に一緒に入れて行って
もよい。
前記したとおり、それぞれ別殺菌した麺類を含む固形食品と液体食品を無菌雰囲気下で
混合し、最終製品を製造する。
例えば、固形食品の殺菌装置に、所定のクリーン度に設定した無菌チャンバーを連設し、殺菌された固形食品を該無菌チャンバー内に取り出し、固形食品が製品容器に充填されている場合には、そこに殺菌済みの液体食品を充填する。また、固形食品が製品容器と異なる金属容器等に充填されている場合には、製品容器に移し替え、その後、該製品容器に殺菌済みの液体食品を充填する。次いで、製品容器の開口部をシールして、該無菌チャンバーから取り出し、所定の温度域に基づき保存すればよい。なお、前記した製品容器は、カップ状、トレイ状等の成形容器、あるいはパウチ容器等、商品形態に応じて任意に選定
すればよい。
以上のように製造された本発明の固液混合食品に含まれる麺類は、長期保存後においても、水分含量60〜77重量%、好ましくは60〜75重量%、また、乾燥麺類との重量比2.2〜3.9倍量、好ましくは2.2〜3.6倍量を維持することができ、家庭やレストラン等で乾燥麺類を茹でて得られた通常の弾力のあるふやけのない麺類の食感、性状
と同程度のものになる。
以下、本発明を実施例等により、更に詳しく説明する。
水分含量10.3%の乾燥パスタ(ペンネ)12.5gを、沸騰水(食塩濃度3%)中で1分間茹で処理した後、流水で冷却し、20gのペンネ(水分含量43.9%)を得た。これを上方に開口を有する有底の金属容器に充填し、加圧加熱殺菌装置内において、11
5℃、20分間、蒸気殺菌処理を施した。
一方、クリームスープを別途加熱調理し、これをチューブ式殺菌装置を用い、135℃
、10秒間の条件で加熱殺菌処理した。
次に、前記加圧加熱殺菌装置に連設された無菌チャンバー(クラス100以下)に取り出された殺菌済みのペンネを、前記無菌チャンバー内において金属容器からプラスチック製のカップ容器に移し替え、引き続き、該製品容器内に前記殺菌済みのクリームスープ160gを充填した後、該製品容器の開口部を殺菌済みのシート状のプラスチック蓋材で覆い、製品容器フランジ部をヒートシールすることにより密封処理し、容器入りのペンネ含
有クリームスープを得、これを無菌チャンバーから取り出し、チルド保存(5℃)した。
(比較例1)
沸騰水(食塩濃度1%)中で10分間茹で処理した後、流水で冷却し、30.9gのペンネ(水分含量63.7%)を得ること以外は、実施例1と同様の方法により、容器入りのペンネ含有クリームスープを得、これを無菌チャンバーから取り出し、チルド保存(5
℃)した。
(比較例2)
水分含量10.3%の乾燥パスタ(ペンネ)12.5gと、加熱調理したクリームスープ167.5gを耐熱性のプラスチック製カップ容器に充填密封した後、レトルト殺菌処理(122℃、30分)を行い、容器入りのペンネ含有クリームスープを得、これを常温保
存した。
(コントロール品)家庭で料理した通常のペンネ含有クリームスープ 水分含量10.3%の乾燥パスタ(ペンネ)12.5gを沸騰水(食塩濃度1%)中で10分間(標準茹で時間)茹で処理した後、30gのペンネ(水分含量62.6%)を得た。これを別途、加熱
調理しておいたクリームスープに入れ、コントロール品とした。
(実験例1)
実施例1、比較例1により得られたペンネ含有クリームスープを一定期間チルド保存した後、また比較例2により得られたペンネ含有クリームスープを一定期間常温保存した後、そこに含まれるペンネの水分含量ならびに保存期間中におけるペンネの重量変化を確認し、これを家庭で料理した通常のペンネ含有クリームスープ(コントロール品)と対比し
た。
同時に、各ペンネの食感を、コントロール品を5点、もっとも食感の悪かった比較例2のペンネを1点とし、これに基づき官能評価した。(パネル7名の平均点)その結果を表
1に示す。
表1から明らかなように、本発明品のペンネは、コントロール品に近く、その食感および形状も優れたものであった。一方、乾燥パスタを通常の調理と同様茹で処理し、殺菌しクリームスープと混合した比較例1のペンネは、チルド保存されていたため、若干そのふやけ程度は抑えられていたもののコントロール品には及ばず、本発明品と対比しても、劣ったものであった。また、レトルト処理した比較例2のペンネは、かなりやわらかく弾力
性のないふやけたものであった。
水分含量10.3%の乾燥パスタ(ペンネ)12.5gを、沸騰水(食塩濃度3%)中で1分間茹で処理した後、流水で冷却し、20gのペンネ(水分含量43.9%)を得た。これを上方に開口を有する有底の金属容器に充填し、加圧加熱殺菌装置内において、11
5℃、20分間、蒸気殺菌処理を施した。
一方、クリームスープを別途加熱調理し、これをチューブ式殺菌装置を用い、135℃、10秒間の条件で加熱殺菌処理した。
次に、実施例1と同様の方法により、容器入りのペンネ含有クリームスープを得、これを無菌チャンバーから取り出し、常温保存した。
(比較例3)
沸騰水(食塩濃度1%)中で10分間茹で処理した後、流水で冷却し、30.9gのペンネ(水分含量63.7%)を得ること以外は、実施例2と同様の方法により、容器入り
のペンネ含有クリームスープを得、これを無菌チャンバーから取り出し、常温保存した。
(実験例2)
実施例2、比較例2、3により得られたペンネ含有クリームスープを一定期間常温保存した後、そこに含まれるペンネの水分含量ならびに保存期間中におけるペンネの重量変化を確認し、これを前記した家庭で料理した通常のペンネ含有クリームスープ(コントロール品)と対比した。 同時に、各ペンネの食感を、コントロール品を5点、もっとも食感の悪かった比較例2のペンネを1点とし、これに基づき官能評価した。(パネル7名の平
均点)その結果を表2に示す。
表2から明らかなように、本発明品のペンネが、常温流通品の中では、コントロール品に最も近く、その食感および形状も優れたものであった。一方、乾燥パスタを通常の調理と同様茹で処理し、殺菌しクリームスープと混合した比較例3のペンネは、コントロール品には及ばず、本発明品と対比しても、劣ったものであった。また、レトルト処理した比
較例2のペンネは、かなりやわらかく弾力性のないふやけたものであった。
(実験例3)
前記したコントロール品に含まれるペンネと実施例1、比較例2により得られたペンネ含有クリームスープを7日間チルド保存した後、クリームスープに含まれるペンネについて、レオメーター((株)山電 レオナーRE-3305)を用い、破断強度を測定し、その硬さを評価した。その結果を表3に示す。 なお、レオメーターの測定に用いるパスタは、2mmメッシュに乗せ、流水で20秒間スープを洗い流して固液分離をし、メッシュの上で2分間水切りし、さらに表面の水分を紙に吸水させ水切りしたものを使用した。測定は、室温にて行い、プランジャー((株)山電製プランジャーNo.49 先端1mm平面幅、刃角度30°、W13×D30×H25)を用い、試料台速度1mm/sにてペンネの最大長さ方向に平行に押し切るときの破断強度を10サンプル測定し、その平均を求
めた。
表3から明らかなように、本発明品のペンネは、コントロール品とほぼ同程度の硬さを有し、全くふやけておらず、一方、レトルト処理した比較例2のペンネは、かなりやわら
かく弾力性のないものであった。

Claims (4)

  1. パスタを含む固形食品と液体食品を別に殺菌処理した後、これらを無菌雰囲気下で混合してなる容器入りの固液混合食品の製造方法であって、
    前記パスタとして乾燥パスタを用い、該乾燥パスタに加水処理を施し、水分含量を13〜55重量%に調整する工程、
    上記加水処理を施したパスタを蒸気と直接接触させて殺菌処理を行う工程、
    上記殺菌処理を施したパスタと別に殺菌処理した液体食品とを無菌雰囲気下で混合して容器に収容密封する工程、
    以上の工程を記載の順で行うことを特徴とする固液混合食品の製造方法。
  2. 前記乾燥パスタの加水処理を茹で処理により行う請求項1記載の固液混合食品の製造方法。
  3. 少なくとも固形食品と液体食品の混合時から72時間を経過するまでの間において、容器に収容密封された固液混合食品を常温雰囲気下で保存する場合には、前記加水処理によって乾燥パスタの水分含量を、13〜50重量%に調整する請求項1または請求項2記載の固液混合食品の製造方法。
  4. 少なくとも固形食品と液体食品の混合時から72時間を経過するまでの間において、容器に収容密封された固液混合食品をチルド雰囲気下で保存する場合には、前記加水処理によって乾燥パスタの水分含量を、20〜55重量%に調整する請求項1または請求項2記載の固液混合食品の製造方法。
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