JP4824223B2 - 抗癌剤耐性克服剤 - Google Patents

抗癌剤耐性克服剤 Download PDF

Info

Publication number
JP4824223B2
JP4824223B2 JP2001252953A JP2001252953A JP4824223B2 JP 4824223 B2 JP4824223 B2 JP 4824223B2 JP 2001252953 A JP2001252953 A JP 2001252953A JP 2001252953 A JP2001252953 A JP 2001252953A JP 4824223 B2 JP4824223 B2 JP 4824223B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cells
bcrp
anticancer
drug resistance
anticancer drug
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2001252953A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003063989A (ja
Inventor
芳一 杉本
里美 塚原
康雄 今井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japanese Foundation for Cancer Research
Original Assignee
Japanese Foundation for Cancer Research
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japanese Foundation for Cancer Research filed Critical Japanese Foundation for Cancer Research
Priority to JP2001252953A priority Critical patent/JP4824223B2/ja
Publication of JP2003063989A publication Critical patent/JP2003063989A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4824223B2 publication Critical patent/JP4824223B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Steroid Compounds (AREA)
  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は抗癌剤耐性を獲得した癌に対して有効な抗癌剤及び当該抗癌剤のスクリーニングに有用な細胞に関する。
【0002】
【従来の技術】
塩酸イリノテカン等のカンプトテシン類、ミトキサントロン等の抗癌剤は、抗悪性腫瘍効果が極めて高いことから広く用いられているが、長期連用により抗癌効果が低下する場合のあることが指摘されている。
【0003】
癌細胞による、これらの抗癌剤に対する耐性獲得のメカニズムについては、最近研究されており、ABCトランスポータの一つであるBCRPが、これらの抗癌剤耐性獲得に関与していることが知られている(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 95(26), 15665-15670(1998))。すなわち、抗癌剤が長期連用されると癌細胞内にBCRPが発現し、当該BCRPは抗癌剤を細胞外へ排出することにより抗癌剤の細胞内蓄積を減少させる作用を有することが判明した。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、当該BCRP発現の増大のみにより抗癌剤耐性を獲得するに至った白血病細胞系は見出されておらず、良好な実験系が存在しないことから、抗癌剤耐性を克服するための手段の開発ができなかった。
従って、本発明の目的は、抗癌剤耐性克服剤のスクリーニングに有用な白血病細胞系、及び抗癌剤耐性を獲得した癌に対しても有効な抗癌剤を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者は、白血病細胞であるK562、P388等を用いてBCRP遺伝子の導入について検討したところ、外来性BCRP遺伝子を保有し、抗癌剤耐性を獲得した白血病細胞の樹立に成功した。そしてさらに当該白血病細胞を用いて種々の物質についてスクリーニングしたところ、ステロイドホルモン、女性ホルモン作用を有する化合物又はそれらのホルモンに拮抗作用を有する化合物が、抗癌剤耐性を獲得した白血病細胞への抗癌剤の取り込みを増大させ、その結果抗癌剤耐性を克服させる効果を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、ステロイドホルモン、女性ホルモン作用を有する化合物又はそれらのホルモンに拮抗作用を有する化合物を有効成分とするBCRPによる癌細胞の抗癌剤耐性克服剤を提供するものである。
また本発明は、(A)ステロイドホルモン、女性ホルモン作用を有する化合物又はそれらのホルモンに拮抗作用を有する化合物、及び(B)癌細胞が耐性を獲得し得る抗癌剤を含有する抗癌剤を提供するものである。
さらにまた本発明は、外来性BCRP遺伝子を有する白血病細胞を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
まず、外来性BCRP遺伝子を有する白血病細胞について説明する。
【0008】
白血病細胞に導入すべきBCRP遺伝子は、DDBJのaccession number AB056867に登録されており、Doyle, L.A., Yang, W., Abruzzo, L. V., Krogmann, T., Gao, Y., Rishi, A.K. and Ross, D. D. Amultidrug resistance transporter from human MCF-7 breast cancer cells Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 95(26), 15665-15670(1998)などに記載されている。当該BCRP遺伝子としては、BCRPを発現し得るものであればよく、例えばレトロウイルスベクターに挿入したプラスミド、pHaBCRP、pHa−BCRP−IRES−DHFR等として用いることができる。より具体的にはMycエピトープを付したBCRPをレトロウイルスベクターに挿入したプラスミドが特に好ましい。
【0009】
白血病細胞としては、もともとBCRPを発現していないこと、培養が容易であること、BCRPによって輸送される抗癌剤に高い感受性を示すことなどから、K562細胞、P388細胞、L1210細胞、HL−60細胞、CCRF−CEM細胞等が好ましい。
【0010】
白血病細胞へのBCRP遺伝子の導入手段としては、BCRP遺伝子を導入したレトロウイルス等を用いれば常法に従い容易に行うことができる。
【0011】
かくして得られたBCRP遺伝子を有する白血病細胞は、BCRPを発現し、抗癌剤の細胞内への取り込みを低下させることにより、抗癌剤耐性を獲得しており、抗癌剤耐性克服剤のスクリーニング用細胞として有用である。特にレトロウイルスを用いて遺伝子導入されたBCRP発現白血病細胞では、親株と比べてDMR1、MRPなどの他の抗癌剤耐性遺伝子の変化がないこと、及び取り扱い性が良好であることから、BCRPによる抗癌剤耐性克服の研究に優れている。当該細胞は、直接in vitroでスクリーニングに用いてもよいが、マウス等の動物に移植することにより、in vivoのスクリーニングに用いることもできる。
【0012】
当該細胞を用いて検討した結果、ステロイドホルモン、女性ホルモン作用を有する化合物又はそれらのホルモンに拮抗作用を有する化合物を、これらの細胞に添加すると抗癌剤に対する感受性、すなわち抗癌剤による癌細胞増殖抑制効果が回復することが判明した。従って、これらの薬物は癌細胞の抗癌剤耐性克服剤として有用である。
【0013】
ここでステロイドホルモン、女性ホルモン作用を有する化合物、及びそれらのホルモンに拮抗作用を有する化合物としては、女性ホルモン及びその類縁体、女性ホルモン拮抗剤及びその類縁体が好ましい。具体的にはエストロン、エストラジオール、エストラジオールベンゾエート、エストラジオールジプロピオネート、エストラジオールバレレート、エチニルエストラジオール、エストリオール、エストリオールアセテートベンゾエート、エストリオールトリプロピオネート、結合型エストロゲン、メストラノール、ジエチルスチルベストロール、ジエチルスチルベストロールジプロピオネート、ホスフェストロル、リン酸エストラムスチンナトリウム等の卵胞ホルモンとその類縁体;プロゲステロン、プレグネロン、プレグナンジオール、ジドロゲステロン、ヒドロキシプロゲステロンカプロエート、メドロキシプロゲステロンアセテート、クロルマジノンアセテート、アリルエストレノール、ゲストノロンカプロエート等の黄体ホルモンとその類縁体;ノルエチステロン、アリルステロール等のノルテストステロン類;タモキシフェンサイトレート、トレミフェンサイトレート等の女性ホルモン拮抗剤が挙げられる。
【0014】
また、抗癌剤耐性克服剤の対象となる抗癌剤としては、BCRPにより耐性を生じる抗癌剤であれば制限されないが、例えば塩酸イリノテカン、トポテカン等のカンプトテシン類;ミトキサントロン等のアンスラキノン類;7−ヒドロキシスタウロスポリン等のスタウロスポリン類;アドリアマイシン等のアンスラサイクリン類が挙げられる。
【0015】
また、本発明の抗癌剤耐性克服剤の対象癌は、前記の抗癌剤の適用対象となる癌であれば特に制限されない。
【0016】
本発明の(A)抗癌剤耐性克服剤と(B)前記の癌細胞が耐性を獲得し得る抗癌剤とを併用すれば、耐性を獲得した癌に対する治療効果が回復するので、これら成分(A)及び(B)を含有する組成物は新たな抗癌剤として有用である。
【0017】
本発明の抗癌剤耐性克服剤又は新たな抗癌剤は、これらの成分が従来用いられている製剤をそのまま併用することにより投与してもよいが、これらの成分を含む新たな製剤としてもよい。これらの製剤の形態としては、経口剤、注射剤(筋肉、皮下、静脈を含む)、坐剤、外用剤(パッチ剤、塗布剤)等が挙げられる。
【0018】
本発明の抗癌剤耐性克服剤の投与量は、投与法、症状等により異なるが、1日あたり1mg〜10g、特に100mg〜3gが好ましい。また、(B)癌細胞が耐性を獲得し得る抗癌剤の投与量は、通常の薬効量でよく、例えば、1mg〜1g、特に2mg〜300mgが好ましい。
【0019】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
【0020】
実施例1
(1)BCRP遺伝子
本発明では、PCR法を用いてヒト胎盤mRNAより単離したヒトBCRPcDNAを用いた。このPCRでは、Clontech社のHuman placenta Marathon-ready cDNAを鋳型とし、プライマーとしてヒトBCRP cDNAの5’側のプライマー1S(CCT GAG ATC CTG AGC CTT TGG TT)(配列番号1)および3’側のプライマー5AS(GAT GGC AAG GGA ACA GAA AAC AAC A)(配列番号2)の2本のオリゴヌクレオチドを用いて、Clontech社のAdvantage cDNA PCR kitを用いて、94℃で1分の反応を1回行った後、94℃で30秒、68℃で3分の反応を35回繰り返し、最後に94℃で30秒、68℃で15分の反応を1回行い、約2150bpの増幅されたcDNAを得た。これをpCR2.1プラスミドにサブクローニングして、Applied Biosystems社のABI PRISM377 DNAシークエンサーを用いて塩基配列を決定した。独立な4クローンの塩基配列を決定し、PCRによる変異と推定される部分は除いて、本遺伝子のコード領域の塩基配列とそれから予想されるアミノ酸配列を推定した。この塩基配列を配列番号3、推定されるアミノ酸配列を配列番号4に示す。本発明では、この配列を野生型BCRPの配列とする。本発明のBCRPの配列はDDBJ accession number AB056867として登録されている。
【0021】
(2)BCRP発現プラスミドの作成
次に、このBCRP cDNAにMycエピトープを付けてレトロウイルスベクターに挿入するために、末端の修飾を目的とした2度目のPCRを行った。Mycエピトープタグを付加するためのPCRでは、上記のPCR反応で得られたヒトBCRP cDNAを鋳型とし、Mycエピトープタグを含む5’側のプライマー5Myc−204S(CCC CGC GGC ATG GAA CAA AAA CTC ATC TCA GAA GAG GAT CTG TCT TCC AGT AAT GTC GAA GTT TTT ATC CCA GTG TC)(配列番号5)および3’側のプライマー8AS(CGC CTC GTG GAT GGC AAG GGA ACA GAA AAC AAC A)(配列番号6)の2本のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いた。PCRはClontech社のAdvantage cDNA PCR kitを用いて、94℃で1分の反応を1回行った後、94℃で30秒、68℃で3分の反応を20回繰り返し、最後に94℃で30秒、68℃で15分の反応を1回行い、約2200bpの増幅されたcDNAを得た。増幅されたcDNAをサブクローニングして塩基配列を決定し、PCRによる変異が起きていないことを確認した。HAエピトープタグを付加するためのPCRでは、上記のPCR反応で得られたヒトBCRP cDNAを鋳型とし、HAエピトープタグを含む5’側のプライマー5HA−204S(CCC CGC GGC ATG TAC CCA TAC GAC GTC CCA GAC TAC GCT ATG TCT TCC AGT AAT GTC GAA GTT TTT ATC CCA GTG TC)(配列番号7)および3’側のプライマー8AS(CGC CTC GTG GAT GGC AAG GGA ACA GAA AAC AAC A)(配列番号6)の2本のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いた。PCRはClontech社のAdvantage cDNA PCRキットを用いて、94℃で1分の反応を1回行った後、94℃で30秒、68℃で3分の反応を20回繰り返し、最後に94℃で30秒、68℃で15分の反応を1回行い、約2200bpの増幅されたcDNAを得た。増幅されたcDNAをサブクローニングして塩基配列を決定し、PCRによる変異が起きていないことを確認した。
これらのcDNAの両末端をSstIIとXhoIの2種の制限酵素で切断後、SstIIとXhoIで切断したpHaプラスミドベクターとT4 DNAリガーゼを用いてライゲーションした。このライゲーション反応液をE.coliDH5alphaに導入し、pHaプラスミドベクターのSstIIサイトとXhoIサイトの間にBCRP cDNAが挿入されたクローンpHaMycBCRPおよびpHaHABCRPを得た。
【0022】
(3)BCRPレトロウイルスの作成
最初に、マウスのamphotropic retrovirus packaging cell lineであるPA317細胞にリン酸カルシウム法を用いてpHaMycBCRPおよびpHaHABCRPを導入した。遺伝子導入後の細胞を1ng/mLのミトキサントロンで選択し、遺伝子導入細胞を得た。この細胞の培養上清を集めて0.45μmのフィルターで濾過してレトロウイルス液とした。
【0023】
(4)K562/MycBCRP細胞の作成
MycBCRPレトロウイルス液をヒト白血病K562細胞の培養に加えて遺伝子導入を行った。レトロウイルスを添加した細胞を20ng/mLのSN−38(7−エチル−10−ヒドロキシカンプトテシン:塩酸イリノテカンの活性体)で選択し、遺伝子導入細胞を得た。この細胞をK562/MycBCRPと名付けた。K562およびK562/MycBCRPは7%のウシ胎児血清を添加したRPMI1640培地で培養した。K562/MycBCRP細胞にBCRP蛋白が発現していることは、抗BCRP抗体を用いたウエスタンブロットにて確認した(図1)。K562細胞はヒトの白血病細胞であるが、もともとBCRPを発現していないこと、培養が容易であること、ミトキサントロン、塩酸イリノテカンなどのBCRPによって輸送される抗癌剤に高い感受性を示すことから、BCRP遺伝子導入細胞の親株として適している。また、K562細胞およびK562/MycBCRP細胞を免疫不全マウスに移植してBCRP阻害剤などの動物実験が可能である。
【0024】
(5)P388/MycBCRP細胞の作成
MycBCRPレトロウイルス液をマウス白血病P388細胞の培養に加えて遺伝子導入を行った。レトロウイルスを添加した細胞を20ng/mLのSN−38で選択し、遺伝子導入細胞を得た。この細胞をP388/MycBCRPと名付けた。P388およびP388/MycBCRPは7%のウシ胎児血清を添加したRPMI1640培地で培養した。P388/MycBCRP細胞にBCRP蛋白が発現していることは、抗BCRP抗体を用いたウエスタンブロットにて確認した。P388細胞はマウスの白血病細胞であるが、もともとBCRPを発現していないこと、培養が容易であること、ミトキサントロン、塩酸イリノテカンなどのBCRPによって輸送される抗癌剤に高い感受性を示すことから、BCRP遺伝子導入細胞の親株として適している。また、P388細胞およびP388/MycBCRP細胞はマウスに移植可能であり、BCRP阻害剤などのin vivoの動物実験が可能である。
【0025】
実施例2(細胞増殖試験)
K562細胞とK562/MycBCRP細胞のSN−38およびミトキサントロンに対する感受性を細胞増殖阻害試験にて調べた。両細胞を12穴プレート(イワキ)に1万個/1mL/ウエルでまき、続いてmediumで各濃度に希釈した薬剤をウエルあたり1mL加えた。このプレートを5%炭酸ガス培養器で37℃、5日間培養した。5日後、9.5mLのセルパック希釈液(東亞医用電子)を入れたビーカーに各ウエルの細胞液をそれぞれ加え、Sysmex CDA−500自動細胞数計測装置(東亞医用電子)にて細胞数を計測した。図2では、各濃度の薬剤添加時における細胞数を薬剤無添加の細胞数で除し、(%of control)で表した。
K562/MycBCRPはSN−38に約20倍の耐性を、ミトキサントロンに約10倍の耐性を示した(図2)。
【0026】
実施例3(ステロイドホルモンによるBCRPの耐性克服)
次に、BCRPの抗癌剤耐性に対する各種ステロイドホルモンの効果を調べた。K562細胞とK562/MycBCRP細胞の両細胞を12穴プレート(イワキ)に1万個/1mL/ウエルでまき、続いてmediumで各濃度に希釈したステロイドホルモンをウエルあたり0.5mL加え、mediumで各濃度に希釈したSN−38あるいはミトキサントロンをウエルあたり0.5mL加えた。このプレートを5%炭酸ガス培養器で37℃、5日間培養した。5日後、9.5mLのセルパック希釈液(東亞医用電子)を入れたビーカーに各ウエルの細胞液をそれぞれ加え、Sysmex CDA−500自動細胞数計測装置(東亞医用電子)にて細胞数を計測した。図3に、3μMあるいは10μMのエストロンによるBCRPの抗癌剤耐性の克服を示す。エストロンはBCRPを発現していないK562細胞の抗癌剤感受性には影響を与えなかったが、K562/MycBCRPの培養にエストロンを加えると、SN−38、ミトキサントロンに対する耐性が大幅に減弱した(図3)。エストロンのかわりにエストラジオールを用いて同様の試験を行ったところ、やはりK562/MycBCRPのSN−38、ミトキサントロンに対する耐性が減弱した(図4)。この耐性克服作用は他のステロイドホルモンであるエストリオール、プロゲステロン、プレグネノロンでも見られた。表1に、これらのステロイドホルモン添加によるSN−38あるいはミトキサントロンに対する感受性の変化を、細胞増殖を50%阻害する濃度で表した。
【0027】
【表1】
Figure 0004824223
【0028】
実施例4(ステロイドホルモンによるBCRP発現細胞のトポテカン取り込みの増大)
これらステロイドホルモンが抗癌剤の細胞への取り込みに影響を与えるかどうかを調べた。K562、K562/MycBCRP細胞を100μMのエストラジオール、エストリオール、エストロン、プロゲステロン、プレグネノロンの存在下あるいは非存在下で20μMのトポテカンと37℃、30分間加温したのち、細胞外の薬剤を氷冷リン酸緩衝生理食塩水で洗浄除去した。細胞に取り込まれたトポテカンの蛍光を日本ベクトン社のFACS Caliburで測定した。その結果を図5に示す。これら5種のステロイドはK562細胞のトポテカンの細胞内取り込みには影響しなかったが、K562/MycBCRP細胞のトポテカンの細胞内取り込みを増加させた。また、エストラジオールの誘導体であるエトスラジオール−3−ベンゾエートおよびエストラジオール−17−アセテートについて同様の実験を行ったところ、これらエストラジオール誘導体もK562/MycBCRP細胞のトポテカンの細胞内取り込みを増加させた(図6)。
【0029】
実施例5(抗ホルモン剤によるBCRP発現細胞のトポテカン取り込みの増大)
次に、抗ホルモン剤が抗癌剤の細胞への取り込みに影響を与えるかどうかを調べた。K562、K562/MycBCRP細胞を100μMのタモキシフェン、ジエチルスチルベステロール、ジエチルスチルベステロールジプロピオネート、トレミフェンの存在下あるいは非存在下で20μMのトポテカンと37℃、30分間加温したのち、細胞外の薬剤を氷冷リン酸緩衝生理食塩水で洗浄除去した。細胞に取り込まれたトポテカンの蛍光を日本ベクトン社のFACSCaliburで測定した。その結果を図7に示す。これら4種の抗ホルモン剤はステロイドと同様にK562細胞のトポテカンの細胞内取り込みには影響しなかったが、K562/MycBCRP細胞のトポテカンの細胞内取り込みを増加させた。よって、これら抗ホルモン剤もBCRPの耐性克服に有効であると考えられる。
【0030】
以上より、これらのステロイドホルモンおよび抗ホルモン剤は、BCRPの発現により低下した抗癌剤の細胞内取り込みを上昇(回復)させることにより、BCRPによる抗癌剤耐性を克服することが示された。
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば耐性発生により充分に薬効の発現できなかった抗癌剤の効果を良好に回復できることから、抗癌剤の投薬量の管理が容易となり、その結果副作用を抑制した癌化学療法が可能となる。
【0032】
【配列表】
Figure 0004824223
Figure 0004824223
Figure 0004824223
Figure 0004824223
Figure 0004824223
Figure 0004824223
Figure 0004824223
Figure 0004824223
Figure 0004824223

【図面の簡単な説明】
【図1】K562/MycBCRP細胞中にBCRP蛋白が発現していることを示すウエスタンブロットの結果を示す図である。
【図2】K562/MycBCRP細胞の抗癌剤耐性獲得の程度を示す図である。
【図3】K562/MycBCRP細胞の抗癌剤耐性に対するエストロンの効果を示す図である。
【図4】K562/McyBCRP細胞の抗癌剤耐性に対するエストラジオールの効果を示す図である。
【図5】各種ステロイドホルモンによるK562/MycBCRP細胞のトポテカン取り込みの増大効果を示す図である。
【図6】各種ステロイドホルモン類縁体によるK562/MycBCRP細胞のトポテカン取り込みの増大効果を示す図である。
【図7】各種抗ホルモン剤によるK562/MycBCRP細胞のトポテカン取り込みの増大効果を示す図である。

Claims (1)

  1. (A)エストラジオール、エストロン及びプレグネノロンから選ばれるステロイドホルモンと、(B)塩酸イリノテカン、SN−38、トポテカン及びミトキサントロンから選ばれる癌細胞がBCRPによる耐性を獲得し得る抗癌剤とを含有する、BCRPにより抗癌剤耐性を獲得した癌に対する抗癌剤。
JP2001252953A 2001-08-23 2001-08-23 抗癌剤耐性克服剤 Expired - Lifetime JP4824223B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001252953A JP4824223B2 (ja) 2001-08-23 2001-08-23 抗癌剤耐性克服剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001252953A JP4824223B2 (ja) 2001-08-23 2001-08-23 抗癌剤耐性克服剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003063989A JP2003063989A (ja) 2003-03-05
JP4824223B2 true JP4824223B2 (ja) 2011-11-30

Family

ID=19081347

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001252953A Expired - Lifetime JP4824223B2 (ja) 2001-08-23 2001-08-23 抗癌剤耐性克服剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4824223B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006069910A (ja) * 2004-08-31 2006-03-16 Yoshiichi Sugimoto 抗癌剤耐性克服剤
EP1864972A4 (en) 2005-03-30 2009-11-11 Yakult Honsha Kk BCRP / ABCG2 INHIBITOR
EP2036561B1 (en) 2006-06-22 2017-05-10 Nippon Chemiphar Co., Ltd. Agent for overcoming resistance to anti-cancer agent
US20110097335A1 (en) 2008-03-31 2011-04-28 Yoshikazu Sugimoto Abc transporter protein expression inhibitor

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003063989A (ja) 2003-03-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR102630499B1 (ko) 항트랜스페린 수용체 항체 및 이의 용도
AU768269B2 (en) Apoptosis inducing agents and methods
JP5908406B2 (ja) 下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(pacap)の類似体およびその使用方法
Segal-Abramson et al. Direct effects of luteinizing hormone-releasing hormone agonists and antagonists on MCF-7 mammary cancer cells.
TWI539960B (zh) 激素分泌調節劑、包括其的組成物以及其用途
TW200412349A (en) Eponemycin and epoxomicin analogs and uses thereof
CN111712242B (zh) 使用趋化因子受体2(ccr2)拮抗剂和pd-1/pd-l1抑制剂的联合治疗
JP2013500253A (ja) 7−エチル−10−ヒドロキシカンプトテシンのマルチアーム型ポリマー性複合体と組み合わせたher2受容体拮抗薬を用いるher2陽性がんの治療方法
TW200823232A (en) Metastin derivatives and use thereof
KR20120082896A (ko) 유사분열 억제제 내성 암의 치료에 사용하기 위한 n-(4-((3-(2-아미노-4-피리미디닐)-2-피리디닐)옥시)페닐)-4-(4-메틸-2-티에닐)-1-프탈라진아민
US20120238533A1 (en) (Heteroarylmethyl) Thiohydantoins as anticancer drugs
US20100291242A1 (en) Antagonist against tolerance to anticancer drugs
CN117295747A (zh) 抗癌核激素受体靶向化合物
JP4824223B2 (ja) 抗癌剤耐性克服剤
TR201809422T4 (tr) Anti-androjen peptitler ve bunların kanser tedavisinde kullanımları.
JP2022512826A (ja) MetAP2阻害剤のバイオマーカーとその応用
US6521635B1 (en) Inhibition of MXR transport by acridine derivatives
AU2008232311A1 (en) Methods and compositions for treating prostate cancer
CA3162935A1 (en) Modified antisense oligonucleotide for inhibition of foxp3 expression
JP2004524371A (ja) 核レセプターを介するペプチド核酸の細胞核内導入
WO2016175252A1 (ja) ピラジンカルボキサミド化合物を有効成分とする医薬組成物
Teller et al. Comparative effects of a series of prolactin inhibitors, 17β-estradiol and 2α-methyldihydrotestosterone propionate, on growth of 7, 12-dimethylbenz (a) anthracene-induced rat mammary carcinomas
JP2020505379A (ja) 新規化合物(イムノレリン)
JP2020537688A (ja) 筋ジストロフィーの処置のためのチオモルホリノオリゴヌクレオチド
US7838495B2 (en) Compositions and methods of use of EPB1, and ErbB3 binding protein

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070713

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20070713

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100810

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101005

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110105

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110303

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20110405

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110609

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110705

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20110711

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110906

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110908

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4824223

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140916

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term