JP4823975B2 - 感熱線及び該感熱線を備えた非接触給電装置 - Google Patents

感熱線及び該感熱線を備えた非接触給電装置 Download PDF

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本発明は、感熱線及び該感熱線を備えた非接触給電装置に関し、特に、インダクタンスを最小にした感熱線により、非接触給電装置の励磁電流で発生する磁界の影響を低減するとともに、感熱線のコストを低減することができる感熱線及び該感熱線を備えた非接触給電装置に関するものである。
非接触で負荷に電力を給電する場合、給電線の近傍に鉄等の金属物があると金属内を通る磁束により渦電流損失が発生し、その部分が局部過熱する。
このような危険に対し、下記の特許文献1や特許文献2に開示されるような非接触給電装置が提案されている。
特許文献1記載の非接触給電装置は、誘導線路から非接触で給電される受電コイルに沿って、非磁性体の一対の導線を所定温度で軟化する絶縁体で覆い、これら絶縁体で被覆された導線を撚り合わせて形成した感熱線を敷設し、前記一対の導線の一端をそれぞれ受電コイルの両端に接続し、受電コイルが前記所定温度以上となることにより感熱線の絶縁体が軟化して導線が短絡し、導線と受電コイルが閉回路を形成する構成としている。
この構成によれば、受電コイルの発熱により前記閉回路が形成されることによって、受電コイルのこれ以上の発熱を防止でき、焼損を防止することができる。
また、特許文献2記載の非接触給電装置は、ピックアップ部の両端部に先端をオープンとした感熱線を接続し、定電圧制御回路と負荷との間にサーキットプロテクタを介装し、このサーキットプロテクタの引き外しコイルとサージアブソーバの直列回路を負荷の両端に接続し、さらに感熱線にニクロム線を巻き、ニクロム線の両端をサーキットプロテクタの補助接点を介して定電圧制御回路の出力端に接続するようにしている。
この構成によれば、共振回路に異常電圧が発生したときに定電圧制御回路と負荷を給電側より引き外すことができ、異常電圧が定電圧制御回路などへ印加されることを防止でき、素子の破損などを回避することができる。
ところで、感熱線を1つの給電区間の数十メートル、工程間の天井搬送設備の給電線路全体で数百メートルの範囲に渡って給電線の近傍に感熱線を敷設する場合、通常は給電線を支持する給電線支持材に感熱線を敷設する溝を設け、その中に感熱線を挿入するか、あるいは、給電線を挿入する溝の中に感熱線を一緒に挿入するのが一般的である。
このように長い距離を敷設するためには、敷設の工事中に余分な弛みなどが生じた場合に、感熱線を引っ張って弛みをとるように作業するのは容易に想像することができ、工事を行いやすくするためには感熱線にもある程度の機械的強度が必要となる。
しかしながら、上記従来の非接触給電装置の感熱線では、導線の強度で感熱線の強度が決定されるため、強度の大きい感熱線を作るためには導線部分を太くする必要があった。
また、導線部分を太くすることで、給電線の磁界による渦電流で感熱線の導線自体が自己発熱するという問題が生じるとともに、感熱線自体のコストも上昇する。
特開平11−178104号公報 特開平11−341713号公報
本発明は、上記従来の感熱線及び該感熱線を備えた非接触給電装置が有する問題点に鑑み、インダクタンスを最小にした感熱線により、非接触給電装置の励磁電流で発生する磁界の影響を低減するとともに、感熱線のコストを低減することができる感熱線及び該感熱線を備えた非接触給電装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の感熱線は、所定温度で溶融する溶融層により導線同士が絶縁された感熱線において、感熱線を、それぞれが直径0.1〜0.2mmの内側導線と外側導線とによる同軸構造となし、内側導線と外側導線をそれぞれの巻ピッチが1〜2mmで、螺旋の向きが逆になるように螺旋状に巻回したことを特徴とする。
また、同じ目的を達成するため、本発明の非接触給電装置は、高周波電流を流す給電線と受電コイルとを介し、電磁誘導により地上設備から搬送車等に非接触で電力を供給するとともに、所定温度で溶融する溶融層により導線同士が絶縁された感熱線を、給電線による異常発熱発生が想定される部位に配設して異常発熱を検出するようにした非接触給電装置において、感熱線を、それぞれが直径0.1〜0.2mmの内側導線と外側導線とによる同軸構造となし、内側導線と外側導線をそれぞれの巻ピッチが1〜2mmで、螺旋の向きが逆になるように螺旋状に巻回したことを特徴とする。
この場合において、感熱線の電圧を検出し、該検出電圧が所定の閾値を上回ったときに導線の短絡を検知するとともに、検出電圧が所定の閾値を下回ったときに導線の断線を検知する異常検出回路を設けることができる。
また、感熱線を、給電線の近傍以外の異常発熱発生が想定される部位に配設することができる。
本発明の感熱線及び該感熱線を備えた非接触給電装置によれば内側導線の作る磁界と外側導線の作る磁界が相殺し、インダクタンスの小さい感熱線を製作することができ、非接触給電装置の励磁電流で発生する磁界の影響を低減することができる。
また、螺旋の向きが逆であれば、溶融層が解けたときに内側導線と外側導線とが直角に交差するため確実に短絡させることができる。
さらに、内側導線と外側導線を2重螺旋の同軸構造とすることから、感熱線の強度は内側導線を巻回する芯材等に担持させ、内側導線と外側導線には細い導線を使用することができ、これにより、仕上がり寸法が細くしかも強度のある感熱線を容易に製作するとともに、導線を細くすることで感熱線のコストを低減することができ、さらに、外側導線を貫通する磁束により渦電流が発生して外側導線が自己発熱することを防止することができる。
この場合において、感熱線の電圧を検出し、該検出電圧が所定の閾値を上回ったときに導線の短絡を検知するとともに、検出電圧が所定の閾値を下回ったときに導線の断線を検知する異常検出回路を設けることにより、感熱線の温度上昇による異常検知を導線の短絡で検知するとともに、感熱線の損傷を導線の断線で検出することができる。
また、感熱線を、給電線の近傍以外の異常発熱発生が想定される部位に配設することにより、例えば、給電線の線路の途中に設置される給電線路のインピーダンス調整コンデンサ等の接続部分の接触不良、あるいはコンデンサの劣化等での発熱異常を検出することができる。
以下、本発明の感熱線及び該感熱線を備えた非接触給電装置の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
図1〜図3に、本発明の感熱線及び該感熱線を備えた非接触給電装置の一実施例を示す。
非接触給電装置は、高周波電流を流す給電線1と受電コイル2とを介し、電磁誘導により地上設備から搬送車等(図示省略)に非接触で電力を供給するようにしている。
そして、この非接触給電装置は、所定温度で溶融する溶融層3により導線同士が絶縁された感熱線4を備え、該感熱線4を内側導線5と外側導線6とによる同軸構造となし、内側導線5と外側導線6をそれぞれ螺旋の向きが逆になるように螺旋状に巻回している。
感熱線4は、図1に示すように、強度部材となる中心のテンションメンバ7の周りに内側導線5を螺旋状に巻き、その周囲に所定の温度で溶融する熱可塑性樹脂からなる溶融層3を設けている。
そして、溶融層3の周囲に外側導線6を螺旋状に巻いている。外側導線6の巻き方向は内側導線5と螺旋の向きが逆になるように巻き、さらに、その周囲に保護絶縁層8を設けている。
テンションメンバ7は、通常の可動電線等で使用されているテトロンの撚り糸などで、内側導線5と外側導線6は直径0.1〜0.2mm程度の銅線を1本から数本の範囲で螺旋状に巻く。
内側導線5と外側導線6の間には、溶融層3が溶融して内側導線5と外側導線6が短絡したことを検出するために50V程度の電圧を印加する。
溶融層3の厚みは、内側導線5と外側導線6との電位差に対して絶縁耐圧を有する厚みでよく、0.3〜0.5mmの厚みがあれば十分に絶縁できる。
溶融層3は、所定温度でその材料が溶融するものであり、例えば、溶融温度が120℃前後で安定しているポリエチレン系樹脂が好適である。
内側導線5と外側導線6の巻き方向を反対にすることで、内側導線5の作る磁界と外側導線6の作る磁界が相殺し、インダクタンスの小さい感熱線4を製作することができる。
また、螺旋の向きが逆であれば、溶融層3が解けたときに内側導線5と外側導線6とが直角に交差するように短絡し、かつ、内側導線5と外側導線6のそれぞれの巻ピッチを1〜2mmにすることで確実に短絡させることができる。
外側導線6は、一般の同軸ケーブルのような編組線や、金属箔のリボンを隙間なく巻いて外側導線6の内部の電界を均一にするシールド線のような構造は、外側導線6を貫通する磁束により渦電流が発生し、外側導線6が自己発熱するため、本実施例では、細い銅線を隙間を空けて一定のピッチで螺旋状に巻く。
溶融層3の溶融温度は材料の種類できまり、溶融層3の厚みに依存しない。
また、保護絶縁層8はPVC(ポリ塩化ビニル)など電線材料として一般的な材料で溶融温度と関係なく、絶縁電圧で必要な厚みを設定することができる。
一方、図5に示す従来の撚り合わせた構造の感熱線4では、溶融層3の厚みは感熱線4の線間電圧だけでなく、敷設する場所の金属部との絶縁に必要な厚みを必要とし、また、撚り合わせるピッチも数センチメートル程度が製作上の限界となり、溶融層3の溶融時の導線41同士の接触は不安定になる欠点を有する。
これに対し、本実施例の感熱線4では、内側導線5と外側導線6を向きが異なる2重螺旋の同軸構造とすることから、これらの欠点を解消するとともに、仕上がり寸法の細い直径2mm以下の強度のある感熱線4を容易に製作することができる。
さらに、本実施例の感熱線4では、内側導線5と外側導線6が直径0.1〜0.2mm程度の銅線を1本から数本の範囲で用いるため、磁束を横切る面積が極めて小さく、渦電流損による自己発熱が極めて小さくなり、給電線1の近傍で又は給電線1に直接接触するように給電線1と並行して敷設することも可能である。
なお、感熱線4は、溶融層3が溶融すれば自己修復されることはなく、使い捨てになる。
しかしながら、感熱線4の溶融層3が溶融するのは事故発生の結果として発生する事象であるので、通常は給電線1や給電線支持材9が既に損傷を受けている。
感熱線4は、給電線1と対になって交換する消耗部品と考え、敷設する際の長さは給電線1と同程度で分割し、交換が容易に行えるように敷設する。
図2に、異常検出回路のブロック図を示す。
発振回路で一定周波数の正弦波信号を生成し、電力増幅し、トランスで絶縁し電流制限抵抗を直列に挿入し、感熱線4に接続する。感熱線端部は終端抵抗で接続する。感熱線4の抵抗は100メートルを敷設するとして数100Ωないし1kΩとなる。
絶縁トランスの2次側で60Vの電圧を発生し、電流制限抵抗を3kΩ、終端抵抗を10kΩ、感熱線4の抵抗を1kΩとすると感熱線4の内側導線5と外側導線6には常時4.3mAの電流が流れ、内側導線5と外側導線6の線間電圧は43ボルトになる。
溶融層3が解けて内側導線5と外側導線6が短絡した場合、短絡する場所によって15mAから20mAに電流が増加する。
感熱線4の溶融層3は熱可塑性樹脂の溶融温度に達すると、流動性を伴って溶融する。このとき、溶融した樹脂が内側導線5と外側導線6の間に分子レベルの薄い皮膜を形成する。
この薄い皮膜は電気的に絶縁体であるが、内側導線5と外側導線6の間にある程度の電界強度を確保することで薄い皮膜を焼ききって電気的に短絡させる。
したがって、絶縁トランスの2次側での発生電圧は20〜30V以上の電圧であれば十分である。
一方、この電圧が100Vを超えると絶縁耐圧など考慮すべき事項が増え、細い仕上がり寸法の感熱線4の製作が困難になる。
なお、電気事業法の規定に基づく電気設備基準では設備の維持、安全等の目的で電線の使用箇所に対して許容電流等を規定している。電圧が60V以下は小勢力回路のカテゴリーに入り、より高い電圧の回路に使用する電線類と適用される規格・基準が異なり仕上がり寸法の細い感熱線4での運用は小勢力回路として使用するのが好ましい。しかし、これに限定するものではない。
ところで、発振回路は、数Hzから数10Hzの間の周波数にすることにより、給電線1に流す励磁電流の周波数の10kHzと周波数を2桁以上も離すことができ、回路電流をシャント抵抗で検出した後に増幅した際に、給電線1からの誘導による10kHzの励磁電流の成分をローパスフィルタで容易に除去し、電流を検出することができる。
また、差動増幅器により、感熱線4に誘起した同相成分の誘起電圧を効果的に除去する。
溶融層3の溶融により短絡し、通常電流が短絡電流に増加したことを、基準電圧V2と検出した電圧を比較し基準電圧V2より上昇したことで短絡を検知する。
一方、感熱線4が何らかの原因で断線した場合は、回路電流が通常の4.3mAからゼロに減少するため、コンパレータで基準電圧V1と比較し、基準電圧V1よりも下回ったことで断線を検出する。
基準電圧V1や基準電圧V2で設定する閾値は、通常電流と異常状態が判別可能な値であれば任意に設定できる。その例として正常値と異常値の中間値近辺に設定することで、ノイズによる誤動作等を回避した設定ができる。
なお、日本国内では電波法の規定により10kHz以上の高周波利用設備は所管官庁(設置する地区を所管する総務省の管轄する総合通信局)に設置の届け出が必要なため、10kHz以下の周波数を採用している。外国メーカでは20kHz前後を使用しているが、本実施例は10kHz以上の周波数の非接触給電装置にも対応できる。
図2のローパスフィルタは10kHzよりも高い周波数の信号を除去するので、給電線1の励磁周波数が10kHzよりも高い周波数であっても、誘導等による不要な信号の除去の効果が増強される方向に作用するため、10kHz以上の非接触給電装置であっても適用可能である。
これらの感熱線4の異常発熱による短絡と、何らかの原因による感熱線4の断線を高周波電源装置を設置している側の地上側で検出し、図示していない給電線1に励磁電流を供給する高周波電源装置の出力を停止する。高周波電源源装置の出力を停止することで、誘導過熱は停止し火災や事故の損害の増加を未然に防止することができる。
感熱線4と直列に電流制限抵抗を挿入するのは感熱線4が短絡した場合、内側導線5あるいは外側導線6が断面積の小さい極めて細い銅線で構成しているため許容電流が小さく、電流制限抵抗がない場合に短絡電流で焼損し断線状態に至ることがある。この場合、短絡の結果生じた断線と別の要因により生じた断線とは、見分けることができなくなるので、短絡による断線を防止し、短絡の結果生じた断線と別の要因により生じた断線とを見分けることができるようにするため、回路電流を制限するようにする。
本実施例では、通常電流に対して短絡電流の増加を閾値よりも大きいかどうかだけを判定しているが、短絡電流の大きさは感熱線4の駆動電源からの距離に比例して感熱線4の導線抵抗が増加する一次式の関係が存在し、短絡電流が減少する距離と電流値は一義的に決定できるため、短絡箇所を推定することも可能である。
異常が発生したとき、その異常状態を継続するかどうかは異常の発生した状況により必ずしも一定ではない。異常発生時に高周波電源装置の出力を停止し、その後、一時的に感熱線4の短絡状態が解消したとしても高周波電源装置の出力停止を維持するのは、信号出力回路で異常状態の検出を自己保持すれば容易に実現できる。
図3に、感熱線の敷設方法の実施例を示す。
給電線1を支える給電線支持材9の給電線1の下側、あるいは受電コイル2の下方などに感熱線4を挿入する溝を設け、その中に感熱線4を挿入する。
給電線支持材9は、熱可塑性樹脂(通常は耐熱性塩ビ樹脂やABS樹脂など)の押し出し成型で製作するため、給電線支持材9の押し出しの型に溝を追加することは容易であり、成型時に感熱線4を敷設する溝を設けることで、給電線1を敷設する際に、感熱線4も同時に敷設することができる。
例えば、給電線支持材9の内側や近傍に鉄製のスパナやねじ回しを置いたり、あるいは他の装置のメンテナンスで外したパネル等を給電線1の近傍に誤って置いたりすることを考慮し、これらが誘導加熱するリスクに対しての保護を行う場合は、感熱線4を敷設する溝の場所は給電線1よりも下側の床に近いところが適している。
また、給電装置の受電側となる搬送車等の受電コイル2や、搬送車自体の異常、故障により異常発熱、あるいは搬送車の受電コイル2と給電線1の位置関係が変化し、両者が接触し給電線1や感熱線4が断線する事故を想定するのであれば、給電線1の近傍に設置する。
感熱線4の位置は特に限定されるものではないので、想定されるリスクに対応し、複数箇所に溝を設け、その全てに敷設することも可能である。
次に、感熱線を敷設する他の実施例として、図4に示す端子部分の温度検知を説明する。
給電線1は単位長あたりに固有のインダクタンスを持ち、その値は通常は5μH/m程度の値を示す。給電線1に10kHzの周波数で100Aの電流を流した場合、給電線1には約30V/mの電圧降下を生じる。20mの距離としても600Vの電圧が生じるため、給電線1の距離が長くなる場合には一定間隔で給電線1と直列にコンデンサ10を挿入し当該区間の給電線1の電圧を一定値以下に抑制する。
このコンデンサ10には、耐圧と許容電流の大きいコンデンサが必要になり、その入手が困難になる。このため、比較的安価な複数のポリエステルフィルムコンデンサを複数個使用し、等価的に耐圧と許容電流の大きなコンデンサを構成する。
コンデンサ10の接続は、絶縁した銅バー11(銅板)にコンデンサ10の電極端子をねじ留めするが、ねじ留めしている部分の弛みが発生すると電極部分で発熱し、電極部分や銅バー11、コンデンサ10の焼損を招く。
この部分の異常発熱の検出に、感熱線4を銅バー11に密着するよう巻きつける。
感熱線4は、局部的な加熱でも当該箇所の感熱線4が溶融し短絡することで温度異常を検出することができる。
図4では、銅バー部分に感熱線4を密着して巻きつける例を示しているが、コンデンサ10や給電線1に接続する電線部分に巻きつけて当該部分の温度上昇を検出することも可能である。
銅バー部分のその他の異常検出方法として、銅バー11にバイメタル式温度スイッチ、あるいはサーミスタ温度センサを設置し、異常な温度上昇を検出することはパワー素子半導線の放熱器の温度異常の検出方法から容易に類推される公知の方法である。
しかし、本実施例の検出方法では、内側導線5と外側導線6間の印加電圧や電流制限抵抗、終端抵抗を適切に選定し、複数の区間に分割された感熱線4を全て直列に接続し、検出回路を1つでシステムの中の広い範囲の異常を監視することも可能である。
特に、公知の温度スイッチ等は温度スイッチの配線を別途行う必要があるが、感熱線4が信号伝送の配線を兼用する本実施例では、少ない敷設工数と配線の工数で異常検出を行うことができる。
なお、日本国内では低圧電気は交流では600V以下、高圧電気は600V以上で区分され、高圧電気の点検や保守には労働安全衛生法第59条第3項、第119条で規定された特別教育を行う必要がある。
このため、高圧電気に該当しないよう電圧を抑制し、有資格者の人員確保、安全面で保守や点検をやりやすくしている。
また、高圧になれば汎用の電気部品では絶縁耐圧が不足する等の要因が発生するとともに、絶縁に必要な距離が大きくなり、装置の大型化とコストの上昇を招くため、低圧電気の範囲内で使うことが望ましい。
以上、本発明の感熱線及び該感熱線を備えた非接触給電装置について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができる。
例えば、図2の回路構成において終端抵抗を省略し、短絡検知だけに機能を限定する方法がある。
また、終端抵抗に並列コンデンサを接続し、給電線1の励磁周波数近傍のインピーダンスを下げ、感熱線4に誘起する誘導ノイズを小さくすることも可能である。
感熱線4を敷設すると、感熱線4と床面の金属部分の間に生じる静電容量を生じ、この静電容量を介して流れる誘導電流を小さくするため、感熱線4をフェライトのトロイダルコアに複数回通してコモンモードノイズに対するインピーダンスを上昇させることも、図2の回路構成の中の差動増幅器の効果を増強するものであり、本実施例の趣旨を逸脱するものではない。
また、受電コイル2に感熱線4を密着して設置し、受電コイル2の異常を検出することもできる。
受電コイル2から共振コンデンサ、整流回路までの配線に感熱線4を並行配置し、異常検知することも、本実施例の趣旨を逸脱するものではない。
感熱線と感熱線による異常検出方法は、搬送車の機上側と地上側設備で同一方法で実現でき、同じ部材、同じ検出装置を使うことで、統一された概念により非接触給電装置の安全性を本実施例により担保することができる。
本発明の感熱線及び該感熱線を備えた非接触給電装置は、インダクタンスを最小にした感熱線により、非接触給電装置の励磁電流で発生する磁界の影響を低減するとともに、感熱線のコストを低減することができるという特性を有していることから、非接触給電装置以外にも、例えば、自動車車体工場等の塗装ラインなどの温度上昇により火災の危険があるコンベア装置等に好適に適用することができる。
本発明の非接触給電装置の感熱線の一実施例を示す一部破断斜視図である。 同非接触給電装置の異常検出回路を示すブロック図である。 同非接触給電装置の感熱線の敷設例を示す断面図である。 同感熱線を端子部分に配設した実施例を示す正面図である。 従来の感熱線を示す斜視図である。
1 給電線
2 受電コイル
3 溶融層
4 感熱線
5 内側導線
6 外側導線
7 テンションメンバ
8 保護絶縁層
9 給電線支持材
10 コンデンサ
11 銅バー

Claims (4)

  1. 所定温度で溶融する溶融層により導線同士が絶縁された感熱線において、感熱線を、それぞれが直径0.1〜0.2mmの内側導線と外側導線とによる同軸構造となし、内側導線と外側導線をそれぞれの巻ピッチが1〜2mmで、螺旋の向きが逆になるように螺旋状に巻回したことを特徴とする感熱線。
  2. 高周波電流を流す給電線と受電コイルとを介し、電磁誘導により地上設備から搬送車等に非接触で電力を供給するとともに、所定温度で溶融する溶融層により導線同士が絶縁された感熱線を、給電線による異常発熱発生が想定される部位に配設して異常発熱を検出するようにした非接触給電装置において、感熱線を、それぞれが直径0.1〜0.2mmの内側導線と外側導線とによる同軸構造となし、内側導線と外側導線をそれぞれの巻ピッチが1〜2mmで、螺旋の向きが逆になるように螺旋状に巻回したことを特徴とする非接触給電装置。
  3. 感熱線の電圧を検出し、該検出電圧が所定の閾値を上回ったときに導線の短絡を検知するとともに、検出電圧が所定の閾値を下回ったときに導線の断線を検知する異常検出回路を設けたことを特徴とする請求項2記載の非接触給電装置。
  4. 感熱線を、給電線の近傍以外の異常発熱発生が想定される部位に配設したことを特徴とする請求項2又は3記載の非接触給電装置。
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