JP4823440B2 - 撥水性軽量気泡コンクリートの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築材料として好適に利用される、外表面および内部空隙表面に撥水層を有する撥水性軽量気泡コンクリートの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
軽量気泡コンクリートは、軽量かつ断熱性に優れるため、建築材料として、ビルおよび住宅の外壁材、床材、間仕切り材、天井材、屋根材等に広く使用されている。
しかしながら、多孔質体であるがゆえ、その空隙内に水分を含み易く、過剰に吸水すると、断熱性や強度が低下したり、寒冷地においては凍害の発生原因になる等の問題がある。このことから、その施工にあたっては、たとえば十分な防水効果が得られる塗装を施したり、撥水性のコーティング材を塗布したりする等、吸水性が高い材料であることを十分考慮した設計が必須となっている。
【0003】
建築用軽量気泡コンクリートの吸水を防止する方法としては、一般的には材料表面を塗装することが行われているが、軽量気泡コンクリートは多孔体であるために、その表面および切断面には内部空隙が露出することによる凸凹が多く、塗装による防水効果を確実とするためには、平滑面を有する材料よりも多くの塗料を塗布することが必要である。また、現場における塗装においては、温度や湿度などの塗装条件が物件によって異なることもあり、ピンホールなどの発生を抑えた高品質の塗装を行うことが難しいため、必要塗布量はさらに多くなる傾向がある。
【0004】
塗装条件が最適化された工場において塗装を行った材料については、塗料量を必要以上に多くしなくとも十分な防水性能を確保することも可能であるが、建築材料は現場で切断加工する場合等も多いため、切断面の防水性についてはやはり現場での塗装等に頼る必要がある。このように、塗装によって多孔質系材料の吸水を完全に防止するには、多量の塗料を用いる必要があることからコスト高になるばかりでなく、ひび割れ等が発生し易くなるという問題もある。
【0005】
そこで、軽量気泡コンクリートの吸水速度を低減する方法として、特開昭58−55359号公報、特開平3−54175号公報において、軽量気泡コンクリート製造工程の原料スラリーにポリジメチルシロキサンを添加する方法が提案されている。しかしながら、該方法においては、ポリジメチルシロキサンは原料段階でスラリーに混入されるため、製造時の反応などにも影響し、あまり多量には混入できない。従って、このような方法では、軽量気泡コンクリートの吸水し易いという問題をある程度解決することはできるが、本質的に吸水を防止するには至らず、防水のためには依然、高品質の塗装が必要であった。
【0006】
また、特開平6−271371号公報において、軽量気泡コンクリートを密閉容器に入れ減圧状態にした後、アルキルアルコキシシランの蒸気を流入させる方法が提案されている。しかし、この方法では、軽量気泡コンクリートの内部まで十分な撥水性を有する撥水層は得られなかった。
そこで、従来から広く使用されている軽量気泡コンクリートについて、その吸水性をさらに低下させる技術が切望されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、軽量気泡コンクリートの外表面および内部空隙表面にアルキルアルコキシシランからなる十分な撥水性を有する撥水層を有する撥水性軽量気泡コンクリートの製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するにあたり、水蒸気を含むキャリアガスを使用することで、より効果的に外表面および任意の切断面において撥水性を示す撥水性軽量気泡コンクリートが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
[1] アルキルアルコキシシラン蒸気を軽量気泡コンクリートに接触させて、撥水性軽量気泡コンクリートを製造する方法において、アルキルアルコキシシラン蒸気と分圧20000Pa以上の水蒸気を含むキャリアガスとの混合ガスを軽量気泡コンクリートに接触させることを特徴とする撥水性軽量気泡コンクリートの製造方法、
[2] 撥水層を形成しようとする軽量気泡コンクリートを反応容器内に配置した後に、ガス溜め容器内のアルキルアルコキシシラン蒸気とキャリアガスの混合ガスの圧力が反応容器の圧力よりも高い状態で、ガス溜め容器と反応容器とを遮断しているガス開閉手段を開き、ガス溜め容器の混合ガスをその圧力差によって、撥水層を形成しようとする軽量気泡コンクリートが配置された反応容器に流入させる工程を有することを特徴とする、[1]記載の撥水性軽量気泡コンクリートの製造方法、
[3] ガス溜め容器内のアルキルアルコキシシラン蒸気とキャリアガスの混合ガスを反応容器内に流入させた後、ガス開閉手段を閉め、ガス溜め容器内の混合ガスの圧力を、その時点における反応容器内の圧力より高くし、再度ガス開閉手段を開き、反応容器にガス溜め容器の混合ガスを流入させる工程を、少なくとも一回行うことを特徴とする、[2]記載の撥水性軽量気泡コンクリートの製造方法、
[4] ガス溜め容器内のアルキルアルコキシシラン蒸気とキャリアガスの混合ガスを反応容器内に流入させた後、ガス開閉手段を閉めて反応容器を開放もしくは減圧にした後に、再度ガス開閉手段を開き、反応容器にガス溜め容器内の混合ガスを流入させる工程を、少なくとも一回行うことを特徴とする、[2]または[3]記載の撥水性軽量気泡コンクリートの製造方法、
である。
【0009】
本発明について、以下に詳細を説明する。
本発明において撥水性を付与させる軽量気泡コンクリートとしては、従来一般に製造されている軽量気泡コンクリートで良く、例えば、珪石やセメント、生石灰、石膏などを主成分に、アルミニウム粉などの気泡剤を混合して、得られた原料スラリーを型枠に注入し、切断に適した硬度になるまで養生した後、型枠から外して半硬化状のモルタルブロックとし、これを緊張配設したピアノ線などの線材で切断したものをオートクレーブ養生することにより製造されるものである。
【0010】
本発明において、アルキルアルコキシシランとは、nを1から3の整数として、一般式を(R1)nSi(OR2)4-nで表すことができる。ここで、R1は炭素数1〜18のアルキル基であり、R2はアルキル基であれば特に限定はされないが、最も汎用的なメチル基、エチル基が好ましい。nが2または3の場合、R1はそれぞれ同じであっても異なっていても良く、また、nが1または2の場合にはR2はそれぞれ同じであっても異なっていても良い。
【0011】
本発明において、キャリアガスとは、アルキルアルコキシシラン蒸気に混入させ、撥水性を付与しようとする軽量気泡コンクリートを配置する反応容器内の圧力よりも高い圧力の混合ガスを得る目的で使用するものであり、ガス溜め容器の温度および内容積において少なくとも20000Pa以上の蒸気圧を示す水蒸気を含む、水蒸気単独あるいは水蒸気と他のガスとの混合ガスである。該キャリアガスは、40000Pa以上の蒸気圧を示す水蒸気を含むことが好ましく、100000Pa以上の蒸気圧を示す水蒸気を含むことが更に好ましい。ここで他のガスとは、アルキルアルコキシシランガスや水蒸気と極端な反応性を有するものでない限り、種類は特に限定されない。例えば、ヘリウム、アルゴン、窒素、空気、エタノールなどを用いることができる。
【0012】
また、キャリアガスの圧力は、該圧力を高くするには製造設備に相応の耐圧性能が必要となるため、あまり高い圧力のキャリアガスを使用することは経済的でない。本発明においては、キャリアガスの圧力は、3000000Pa以下、好ましくは2000000Pa以下、さらに好ましくは1600000Pa以下である。
キャリアガスとして、例えば、水蒸気を含まない窒素ガスを用いた場合には、比較例2に後述するように、ガス溜め容器と反応容器との間の圧力差を同一にした場合であっても、撥水性発現には違いが認められ、キャリアガスとして水蒸気混入ガスを利用することが、製造上有益であることが判る。
【0013】
従来、アルキルアルコキシシランガスに水蒸気を混入すると、アルキルアルコキシシランガス同士の加水分解、脱水縮合に伴う分子量増大がガス溜め容器内で起こってしまうため、アルキルアルコキシシランをガスとして反応容器に送り込んで撥水性軽量気泡コンクリートを得る上では好ましくなく、むしろガス溜め容器内の水分を取り除くことが望ましいと考えられていた。
【0014】
しかしながら、本発明者らは、アルキルアルコキシシランガスは、水蒸気と混入しただけで直ちに加水分解、重合反応が起こるほどには高い反応性を有しておらず、酸あるいはアルカリ触媒が存在しない条件ならば混合ガスとして比較的安定して存在し、アルキルアルコキシシランガスと水蒸気を含む混合蒸気を反応容器側に送り込むことが可能であり、却ってキャリアガスとして水蒸気混入ガスを利用することが、製造上有益であることを見出した。
【0015】
詳細な機構は不明であるが、以下のように推測している。反応容器内に送り込まれたアルキルアルコキシシランガスは、蒸気圧差を推進力として軽量気泡コンクリートブロック表面から内部まで浸透していくが、この過程で、軽量気泡コンクリートブロック表面近傍にトラップされてしまい、ブロック内部空隙まで到達できないアルキルアルコキシシランがいくらか存在すると推測される。水蒸気が同時に存在すると、軽量気泡コンクリート表面および内部空隙表面において、アルキルアルコキシシランガスをトラップし易い部分に競争的に水分子の吸着が同時に起こるなどしてその部分の吸着能を低下させ、従って、アルキルアルコキシシランガスが希薄であっても、軽量気泡コンクリートブロックの内部までガスが到達し易くなったものと推測される。
【0016】
また、水蒸気の混入により、アルキルアルコキシシランガスがある程度加水分解された状態で反応容器に送り込まれるため、軽量気泡コンクリート表面および内部空隙表面での撥水層形成をより容易にすることも、優れた撥水性軽量気泡コンクリートが得られる理由の一つと推測している。もちろん、工業生産上、水蒸気は最も汎用的で利用し易いガスの一つであるため、キャリアガスとして水蒸気単独で使用することにはなんら問題は生じない。
【0017】
本発明における製造設備は、例えば、内部のガスを排出可能な2個の密閉容器を、開閉可能なガス開閉手段、好ましくは開閉可能なバルブを介して接続したものを使用することができる。密閉容器は、使用するアルキルアルコキシシラン蒸気とキャリアガスとの混合ガスの温度および圧力に耐える材質、強度のもので作られたものであれば良く、容量は特に限定されない。アルキルアルコキシシラン蒸気およびキャリアガスは、容器中で加熱して発生させてもよいし、あらかじめ他の設備で発生させた蒸気を導入してもよい。
【0018】
本発明において、ガス溜め容器とは、アルキルアルコキシシラン蒸気およびキャリアガスを溜めておく容器であって、内部のガスを排出可能な密閉容器を言う。反応容器とは、撥水性を付与しようとする軽量気泡コンクリートを配置する容器であって、内部のガスの排出可能な密閉容器を言う。
【0019】
本発明においては、アルキルアルコキシシラン蒸気とキャリアガスとの混合ガスを入れたガス溜め容器と、撥水性を付与しようとする軽量気泡コンクリートを配置した反応容器とを、バルブ等のガス開閉手段を介して接続した装置を用い、ガス溜め容器のガス圧力を反応容器のガス圧力よりも高い状態でガス開閉手段を開く。そうすると、ガス溜め容器内の混合ガスがその圧力差によって反応容器に流入するともに軽量気泡コンクリート内部にまで到達する。この混合ガス中のアルキルアルコキシシラン蒸気は、軽量気泡コンクリート表面および内部空隙表面において加水分解・脱水縮合を進行し、撥水性を発現させる。
【0020】
軽量気泡コンクリートブロック体の内部深くまでアルキルアルコキシシラン蒸気を導入するための推進力となるのは、ガス溜め容器と反応容器との圧力差に起因するガス圧力差である。ここで言うガス圧力差とは、ガス開閉手段開放直後での反応容器内圧力とガス開放手段開放直前での反応容器内圧力との差、すなわちアルキルアルコキシシランを含むガスを流入させたことによる反応容器内圧力の上昇分のことである。この推進力、すなわちガス圧力差が十分でないと、内部まで撥水性を発現させることはできない。
【0021】
軽量気泡コンクリートの板厚は、さまざまな種類のものがあり、内部まで撥水性を発現させるのに必要なガス圧力差は一概には言えないが、例えば100mm厚の軽量気泡コンクリートの場合には約25000Pa以上、好ましくは33000Pa以上、更に好ましくは50000Pa以上の圧力差である。
反応容器のガス圧力の下限はいわゆる真空状態であり、キャリアガスを使用しないでアルキルアルコキシシラン蒸気のみを使用した場合には、ガス溜め容器と反応容器との間の圧力差は、最大でも当該温度におけるアルキルアルコキシシランの蒸気圧までであり、それ以上にすることは原理的に不可能である。
【0022】
アルキルアルコキシシランは、一般的に蒸気圧はそれほど大きくなく、高い蒸気圧を持つアルキルアルコキシシランガスを得るためには、より高い温度が必要になる。また、アルキル基やアルコキシル基の炭素数が大きい場合には、特にその傾向が強くなる。一方、撥水性発現に寄与するのはアルキル基であり、一般的に大きなアルキル基の方が、高い撥水性を示す。従って、高い撥水性を得るには大きなアルキル基を有したアルキルアルコキシシランを使用することがより有効になるが、その場合には、軽量気泡コンクリート内部まで速やかに充填させるのに必要なガス圧力差を得るために必要な温度は高くなってしまう。
【0023】
これを行おうとすれば、より高温に耐える設備が必要になる上、むやみに温度を上げてもアルキルアルコキシシランの分解が起こってしまい、アルキルアルコキシシランによっては必要なガス圧力差が得られない場合もある。また、撥水性を付与しようとする軽量気泡コンクリートにとっても、通常の製造条件よりも高い温度にさらされることは好ましくない。
【0024】
本発明は、水蒸気を含むキャリアガスを利用することによって、アルキルアルコキシシラン単独では十分な蒸気圧を得られない温度条件であっても、推進力となる、ガス溜め容器と反応容器とのガス圧力差を十分な大きさにすることができることを見出したことによるものでもある。本発明により、軽量気泡コンクリート内部まで混合ガスが到達するために必要な推進力を容易に得ることが可能になる。
【0025】
キャリアガスを使用する場合、混合ガス中に含まれるアルキルアルコキシシラン蒸気は、アルキルアルコキシシラン蒸気単独で十分な圧力差を確保できる温度で撥水性付与を行う場合よりも希薄であるので、製造条件によっては、たとえ軽量気泡コンクリート内部まで混合ガスが到達していても、撥水層を形成するためには不十分な量である場合がある。
このような場合は、処理温度を高くしてアルキルアルコキシシラン蒸気の含有割合を大きくする方法もあるが、キャリアガスとアルキルアルコキシシラン蒸気との混合割合を調整すれば、任意のガス圧力の混合ガスが得られることから、1回目の撥水層形成操作に引き続いて、ガス開閉手段を閉じた後に、ガス溜め容器のガス圧力をその時点における反応容器のガス圧力以上になるように、ガス溜め容器内をアルキルアルコキシシラン蒸気とキャリアガスで満たし、ガス開閉手段を開き、再び反応容器に混合ガスを送り込むことが可能である。
【0026】
このように、ガス溜め容器から反応容器に、繰り返しアルキルアルコキシシラン蒸気を含む混合ガスを送ることにより、目的とする撥水性能を示す撥水層を外表面および内部空隙表面に有した軽量気泡コンクリートを得るために十分なアルキルアルコキシシラン蒸気を供給することができるので、優れた撥水性軽量気泡コンクリートを得ることが可能になる。
また、1回目の撥水層形成操作に引き続いて、ガス開閉手段を閉じた後に、反応容器を開放するか、減圧にした後に反応容器を密閉し、ガス開閉手段を開放してガス溜め容器内の混合ガスを反応容器に流入させることで、優れた撥水性軽量気泡コンクリートを得ることも可能である。
【0027】
たとえば、アルキルアルコキシシランの中でも、ヘキシルトリエトキシシラン(アルキル基の炭素数6)やオクチルトリエトキシシラン(アルキル基の炭素数8)、あるいはそれ以上の大きさのアルキル基を有するアルキルアルコキシシランの場合、軽量気泡コンクリート製造に一般的に用いられる温度180℃であっても蒸気圧が低く、軽量気泡コンクリート板厚が厚い場合などには、アルキルアルコキシシラン蒸気単独で十分なガス圧力差を確保することは難しく、本発明に示すような、水蒸気を含むキャリアガスの利用や、該キャリアガスを利用して蒸気圧差を調整し、繰り返しアルキルアルコキシシラン蒸気を反応容器に送り込む方法等が、優れた撥水性軽量気泡コンクリートを製造する上で非常に有効になる。
【0028】
本発明において、ガス溜め容器から反応容器に混合ガスを送り込む操作は数分〜数十分程度の極めて短い時間間隔で行うことが可能である。撥水性付与工程が短時間の場合など、一部未反応のアルキルアルコキシシランが、軽量気泡コンクリート外表面および内部空隙表面に存在して、十分な撥水性を発現することができない場合があるが、この場合には室温で数日〜数週間放置することにより反応が進行し、撥水性が発現するようになる。撥水性発現をさらに促進するためには加熱処理を行うことが効果的であり、60℃〜180℃で0.5〜5時間程度加熱することが好ましい。ここで、加熱方法は特に限定されないが、一般的な熱風加熱や遠赤外線加熱または水蒸気加熱などを使用することができる。
【0029】
上記したように、軽量気泡コンクリート内部への浸透は、アルキルアルコキシシラン蒸気とキャリアガスとの混合ガスのガス圧力と反応容器内のガス圧力との圧力差が推進力となるため、混合ガスのガス圧力は軽量気泡コンクリートが置かれた反応容器内のガス圧力よりも高く設定することが重要であり、その圧力差は大きい方が早く、確実に内部まで浸透するので好ましいが、被撥水性付与物となる軽量気泡コンクリートの総容積および板厚、また、ガス溜め容器と反応容器の容量比などによって最も効率的、経済的な値を設定することができる。
【0030】
本発明は、ガス溜め容器にアルキルアルコキシシラン蒸気と水蒸気を含むキャリアガスとの混合ガスを入れ、反応容器に軽量気泡コンクリートを配置し、ガス溜め容器内の混合ガスのガス圧力を反応容器内のガス圧力よりも高くした後に、それらの容器をつなぐガス開閉手段を一定時間開放するものである。内部まで十分な撥水性が得られない場合には、ガス開閉手段を閉じた後にガス溜め容器にアルキルアルコキシシラン蒸気とキャリアガスとの混合ガスを導入し反応容器内よりも高いガス圧力にした後に、再度ガス開閉手段を一定時間開放するという操作を少なくとも1回繰り返すことによって、より多くのアルキルアルコキシシランを軽量気泡コンクリート内部に送り込むことができ、優れた撥水性軽量気泡コンクリートを得ることができる。
【0031】
また、内部まで十分な撥水性が得られない場合には、1回目の撥水層形成操作に引き続いて、ガス開閉手段を閉じた後に、反応容器を開放するか、減圧にした後に該反応容器を密閉し、ガス開閉手段を開放してガス溜め容器内の混合ガスを反応容器に流入させることで、優れた撥水性軽量気泡コンクリートを得ることも可能である。
更に、これらの操作を組み合わせて行うことも可能である。即ち、1回目の撥水層形成操作に引き続いて、ガス開閉手段を閉じた後に、反応容器を開放するか、減圧にし、一方ガス溜め容器にはアルキルアルコキシシラン蒸気とキャリアガスとの混合ガスを導入し、再度ガス開閉手段を一定時間開放するという操作を行い、優れた撥水性軽量気泡コンクリートを得ることも可能である。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明における実施例を記す。
【0033】
【実施例1】
ヒーターにより加熱可能な内寸法200mm×200mm×250mm(内容積10L)の密閉容器2台を、バルブを介して接続した装置を用い、一方をガス溜め容器として、もう一方を反応容器として用いた。軽量気泡コンクリート(商品名:へーベル、旭化成建材(株)製)から、長さ200mm、幅100mm、厚さ50mmの試料を切り出し、試験片として用いた。
【0034】
ガス溜め容器にプロピルトリエトキシシラン(KBE−3033、信越化学工業(株)製)25gを入れ、容器内の空気を真空ポンプ(ダイアフラム真空ポンプ、DAH−60)で1300Paまで排気した後、145℃に加熱した。プロピルトリエトキシシランの蒸気圧は27000Paとなった。さらに、このガス溜め容器中にキャリアガスとして水蒸気を注入し、全体の圧力を100000Paまで上げた。一方、反応容器に上記の軽量気泡コンクリート試験片を入れ、145℃に加熱後、反応容器内を5000Paに減圧した。その後、バルブを10秒間開放すると、両容器の圧力差によってガス溜め容器から反応容器にプロピルトリエトキシシラン蒸気および水蒸気の混合ガスが流入し、反応容器は50000Paとなった。バルブを閉じた後、反応容器を145℃で1時間保持した。
【0035】
得られた試験片を長さ方向の中央部で切断した幅100mm、厚さ50mmの切断面上を外表面近傍(外表面より約1mm)2点および幅方向に25mm間隔で3点、厚さ方向に外表面近傍(外表面より約1mm)2点および12.5mm間隔で3点、合計25箇所における水の接触角を、協和界面化学(株)製の接触角計(CA-DT型)で測定したところ、すべての測定点において、水の接触角は約130度となり、均一な撥水性を有することが確認できた。
【0036】
【実施例2】
実施例1と同様の装置、軽量気泡コンクリート試験片を用い、ガス溜め容器にプロピルトリエトキシシラン25gを入れ、容器内の空気を実施例1と同様に真空ポンプで排気した後、145℃に加熱した。プロピルトリエトキシシランの蒸気圧は27000Paとなった。さらに、このガス溜め容器中にキャリアガスとして水蒸気を注入し、全体の圧力を47000Paまで上げた。一方、反応容器に上記の軽量気泡コンクリート試験片を入れ、145℃に加熱後、反応容器内を5000Paに減圧した。その後、バルブを10秒間開放すると、両容器の圧力差によってガス溜め容器から反応容器にプロピルトリエトキシシラン蒸気および水蒸気の混合ガスが流入し、反応容器は26000Paとなった。バルブを閉じた後、反応容器を145℃で1時間保持した。
【0037】
得られた試験片を長さ方向の中央部で切断した幅100mm、厚さ50mmの切断面上を外表面近傍(外表面より約1mm)2点および幅方向に25mm間隔で3点、厚さ方向に外表面近傍(外表面より約1mm)2点および12.5mm間隔で3点、合計25箇所における水の接触角を、協和界面化学(株)製の接触角計(CA-DT型)で測定したところ、すべての測定点において、水の接触角は約130度となり、均一な撥水性を有することが確認できた。
【0038】
【実施例3】
実施例1と同様の装置、軽量気泡コンクリート試験片を用い、ガス溜め容器にプロピルトリエトキシシラン25gを入れ、容器内の空気を実施例1と同様に真空ポンプで排気した後、130℃に加熱した。プロピルトリエトキシシランの蒸気圧は16000Paとなった。さらに、このガス溜め容器中にキャリアガスとして水蒸気を注入し、全体の圧力を50000Paまで上げた。反応容器に上記の軽量気泡コンクリート試験片を入れ、130℃に加熱後、容器内を5000Paに減圧した。その後、バルブを10秒間開放すると、両容器の圧力差によってガス溜め容器から反応容器にプロピルトリエトキシシランおよび水蒸気の混合ガスが流入し、ガス溜め容器および反応容器は約25000Paとなった。
【0039】
バルブを閉めた後、各容器の温度を保持したまま5分間放置すると、ガス溜め容器内に残存しているプロピルトリエトキシシランが蒸発し、僅かに圧力上昇が認められた。更にガス溜め容器内の圧力が100000Paになるまで水蒸気を注入した後、再度バルブを10秒間開き、プロピルトリエトキシシラン蒸気と水蒸気の混合ガスを反応容器にさらに送り込んだ。反応容器は、圧力62000Paとなった。バルブを閉じた後、反応容器を130℃で1時間保持した。
【0040】
プロピルトリエトキシシランと水蒸気の混合蒸気を1度だけ反応容器に送り込んだ段階での撥水性発現状況を測定する目的で、上記の製造条件と同一で行い、バルブを閉じた後、反応容器を130℃で1時間保持した後の試験片切断面の水接触角を実施例1と同様に測定した。その結果、表面付近の水との接触角は約130度であるが、中央部付近には水との接触角が90度以下になる部分が存在していた。
また、プロピルトリエトキシシランと水蒸気の混合蒸気を2度反応容器に送り込んだ後に得られた撥水性軽量気泡コンクリート試験片について、実施例1と同様に水の接触角を測定したところ、すべての測定点において、水の接触角は約130度となり、均一な撥水性を有することが確認できた。
【0041】
【実施例4】
実施例1と同様の装置、軽量気泡コンクリート試験片を用い、ガス溜め容器にプロピルトリエトキシシラン25gを入れ、該容器内の空気を実施例1と同様に真空ポンプで排気した後、120℃に加熱した。プロピルトリエトキシシランの蒸気圧は10600Paとなった。さらに、このガス溜め容器中にキャリアガスとして水蒸気を注入し、全体の圧力を30000Paまで上げた。反応容器に上記の軽量気泡コンクリート試験片を入れ、120℃に加熱後、容器内を5000Paに減圧した。その後、バルブを10秒間開放する(1度目)と、両容器の圧力差によってガス溜め容器から反応容器にプロピルトリエトキシシランおよび水蒸気の混合ガスが流入し、ガス溜め容器および反応容器は約15000Paとなった。
【0042】
バルブを閉めた後、各容器の温度を保持したまま5分間放置すると、ガス溜め容器内に残存しているプロピルトリエトキシシランが蒸発し、僅かに圧力上昇が認められた。更にガス溜め容器内の圧力が50000Paになるまで水蒸気を注入した後、再度バルブを10秒間開き(2度目)、プロピルトリエトキシシランと水蒸気の混合蒸気を反応容器にさらに送り込んだ。反応容器の圧力は約32000Paとなった。バルブを閉めた後、各容器の温度を保持したまま5分間放置した後、さらにガス溜め容器内の圧力が100000Paになるまで水蒸気を注入した後、バルブを10秒間開き(3度目)、プロピルトリエトキシシランと水蒸気の混合蒸気を反応容器にさらに送り込んだ。反応容器の圧力は約62000Paとなった。バルブを閉じた後、反応容器を120℃で1時間保持した。
【0043】
プロピルトリエトキシシランと水蒸気の混合蒸気を2度反応容器に送り込んだ段階での撥水性発現状況を測定する目的で、上記の製造条件と同一で行い、混合ガスを2度目まで反応容器に送り込んだ段階でバルブを閉じた後、反応容器を120℃で1時間保持した後の試験片切断面の水接触角を実施例1と同様に測定した。その結果、表面付近の水との接触角は約130度であるが、中央部付近には水との接触角が90度以下になる部分が存在していた。
プロピルトリエトキシシランと水蒸気の混合蒸気を3度反応容器に送り込んだ本実施例により得られた軽量気泡コンクリート試験片について、実施例1と同様に水の接触角を測定したところ、すべての測定点において、水の接触角は約130度となり、均一な撥水性を有することが確認できた。
【0044】
【実施例5】
実施例1と同様の装置、軽量気泡コンクリート試験片を用い、ガス溜め容器にプロピルトリエトキシシラン25gを入れ、該容器内の空気を真空ポンプで排気した後、130℃に加熱した。プロピルトリエトキシシランの蒸気圧は16000Paとなった。さらに、このガス溜め容器中にキャリアガスとして水蒸気を注入し、全体の圧力を50000Paまで上げた。反応容器に上記の軽量気泡コンクリート試験片を入れ、130℃に加熱後、容器内を5000Paに減圧した。その後、バルブを10秒間開放すると、両容器の圧力差によってガス溜め容器から反応容器にプロピルトリエトキシシランおよび水蒸気の混合ガスが流入し、ガス溜め容器および反応容器はそれぞれ約25000Paとなった。バルブを閉じた後、反応容器を130℃で1時間保持した。ここでいったん反応容器を大気開放し、130℃に再加熱後、反応容器内を5000Paに減圧した。ガス溜め容器内に、再度130℃でプロピルトリエトキシシランと水蒸気の混合ガス(50000Pa)を充填した後、反応容器へと送り込んだ。
【0045】
プロピルトリエトキシシランと水蒸気の混合蒸気を1度だけ反応容器に送り込んだ段階での撥水性発現状況を測定する目的で、上記の製造条件と同一で行い、1度だけの混合ガスの送り込みの後、反応容器を130℃で1時間保持した後の試験片切断面の水接触角を実施例1と同様に測定した。その結果、表面付近の水との接触角は約130度であるが、中央部付近には水との接触角が90度以下になる部分が存在していた。
反応容器の大気開放をはさんで、混合ガスの反応容器への送り込みおよび加熱保持を2回繰り返して得られた軽量気泡コンクリート試験片について、水の接触角を実施例1と同様に測定したところ、すべての測定点において、水の接触角は約130度となり、均一な撥水性を有することが確認できた。
【0046】
【実施例6】
実施例1と同様の装置、軽量気泡コンクリート試験片を用い、ガス溜め容器にヘキシルトリエトキシシラン25gを入れ、該容器内の空気を実施例1と同様にして真空ポンプで排気した後、180℃に加熱した。ヘキシルトリエトキシシランの蒸気圧は16000Paとなった。さらに、このガス溜め容器中にキャリアガスとして水蒸気を注入し、全体の圧力を50000Paまで上げた。反応容器に上記の軽量気泡コンクリート試験片を入れ、180℃に加熱後、容器内を5000Paに減圧した。その後、バルブを10秒間開放すると、両容器の圧力差によってガス溜め容器から反応容器にヘキシルトリエトキシシランおよび水蒸気の混合ガスが流入し、ガス溜め容器および反応容器はそれぞれ27500Paとなった。
【0047】
バルブを閉めた後、各容器の温度を保持したまま5分間放置すると、ガス溜め容器内に残存しているヘキシルトリエトキシシランが蒸発し、僅かに圧力上昇が認められた。更にガス溜め容器内の圧力が100000Paになるまで水蒸気を注入した後、再度バルブを10秒間開き、ヘキシルトリエトキシシランと水蒸気の混合蒸気を反応容器にさらに送り込んだ。反応容器は、圧力63750Paとなった。バルブを閉じた後、反応容器を180℃で1時間保持した。
【0048】
得られた試験片を長さ方向の中央部で切断した幅100mm、厚さ50mmの切断面上を幅方向に外表面近傍(外表面より約1mm)2点および中央部に25mm間隔で3点、厚さ方向に外表面近傍(外表面より約1mm)2点および中央部に12.5mm間隔で3点、合計25箇所における水の接触角を、協和界面化学(株)製の接触角計(CA-DT型)で測定したところ、すべての測定点において、水の接触角は約150度となり、均一な撥水性を有するとともに、炭素数が多いアルキル基を有するアルキルアルコキシシランを使用することにより、より高い撥水性能を有する撥水性軽量気泡コンクリートが得られることが確認できた。
【0049】
【比較例1】
キャリアガスとなる水蒸気を使用しなかった他は、実施例1と同様の温度条件で撥水性付与を試みたものである。
実施例1と同様の装置、軽量気泡コンクリート試験片を用い、ガス溜め容器にプロピルトリエトキシシラン25gを入れ、該容器内の空気を実施例1と同様に真空ポンプで排気した後、145℃に加熱した。プロピルトリエトキシシランの蒸気圧は27000Paとなった。反応容器に上記の軽量気泡コンクリート試験片を入れ、145℃に加熱後、該容器内を5000Paに減圧した。その後、バルブを10秒間開放すると、両容器の圧力差によってガス溜め容器から反応容器にプロピルトリエトキシシラン蒸気が流入し、ガス溜め容器および反応容器は16000Paとなった。バルブを閉じた後、反応容器を145℃で1時間保持した。
【0050】
得られた試験片を長さ方向の中央部で切断した幅100mm、厚さ50mmの切断面上を幅方向に外表面近傍(外表面より約1mm)2点および中央部に25mm間隔で3点、厚さ方向に外表面近傍(外表面より約1mm)2点および中央部に12.5mm間隔で3点、合計25箇所における水の接触角を、協和界面化学(株)製の接触角計(CA-DT型)で測定したところ、表面から12.5mm以内の22点においては水の接触角が約130度であったが、表面から12.5mmを越える深さの3点においては、接触角は90度に満たなかった。
撥水性が発現している部分の詳細を調べるため、切断面の幅方向の中央において、厚さ方向に5mm間隔で水の接触角を測定したところ、表面から20mm以上である3点では90度に満たなかったことから、撥水性発現深さは20mm未満であると判断した。
【0051】
【比較例2】
キャリアガスとして水蒸気を使わず、窒素ガスを用いた他は、実施例2と同様の温度、圧力条件で撥水性付与を試みたものである。
実施例1と同様の装置、軽量気泡コンクリート試験片を用い、ガス溜め容器にプロピルトリエトキシシラン25gを入れ、該容器内の空気を実施例1と同様に真空ポンプで排気した後、145℃に加熱した。プロピルトリエトキシシランの蒸気圧は27000Paとなった。ここで、ガス溜め容器に窒素ガスを加え、全体の圧力を47000Paまで上げた。一方、反応容器に上記の軽量気泡コンクリート試験片を入れ、145℃に加熱後、反応容器内を5000Paに減圧した。その後、バルブを10秒間開放すると、両容器の圧力差によってガス溜め容器から反応容器にプロピルトリエトキシシラン蒸気および窒素の混合ガスが流入し、反応容器は26000Paとなった。バルブを閉じた後、反応容器を145℃で1時間保持した。
【0052】
得られた試験片を長さ方向の中央部で切断した幅100mm、厚さ50mmの切断面上を幅方向に外表面近傍(外表面より約1mm)2点および中央部に25mm間隔で3点、厚さ方向に外表面近傍(外表面より約1mm)2点および中央部に12.5mm間隔で3点、合計25箇所における水の接触角を、協和界面化学(株)製の接触角計(CA-DT型)で測定したところ、表面から12.5mm以内の22点においては水の接触角が約130度であったが、表面から12.5mmを越える深さの3点においては、接触角は90度に満たなかった。
撥水性が発現している部分の詳細を調べるため、切断面の幅方向の中央において、厚さ方向に5mm間隔で水の接触角を測定したところ、表面から20mm以内である点では約130度であったが、中央の1点では90度に満たなかった。
【0053】
【比較例3】
キャリアガスとなる水蒸気を使用しなかった他は、実施例5と同様の温度条件でヘキシルトリエトキシシランによる撥水性付与を試みたものである。
実施例1と同様の装置、軽量気泡コンクリート試験片を用い、ガス溜め容器にヘキシルトリエトキシシラン25gを入れ、該容器内の空気を実施例1と同様に真空ポンプで排気した後、180℃に加熱した。ヘキシルトリエトキシシランの蒸気圧は27000Paとなった。反応容器に上記の軽量気泡コンクリート試験片を入れ、180℃に加熱後、容器内を5000Paに減圧した。その後、バルブを10秒間開放すると、両容器の圧力差によってガス溜め容器から反応容器にヘキシルトリエトキシシラン蒸気が流入し、ガス溜め容器および反応容器はそれぞれ16000Paとなった。バルブを閉じた後、反応容器を180℃で1時間保持した。
【0054】
得られた試験片を長さ方向の中央部で切断した幅100mm、厚さ50mmの切断面上を幅方向に外表面近傍(外表面より約1mm)2点および中央部に25mm間隔で3点、厚さ方向に外表面近傍(外表面より約1mm)2点および中央部に12.5mm間隔で3点、合計25箇所における水の接触角を、協和界面化学(株)製の接触角計(CA-DT型)で測定したところ、表面から12.5mm以内の22点においては水の接触角が約150度であったが、表面から12.5mmを越える深さの3点においては、接触角は90度に満たなかった。
撥水性が発現している部分の詳細を調べるため、切断面の幅方向の中央において、厚さ方向に5mm間隔で水の接触角を測定したところ、表面から20mm以上である3点では90度に満たなかったことから、撥水性発現深さは20mmmm未満であると判断した。
【0055】
【発明の効果】
本発明に記した方法によれば、軽量気泡コンクリート表面および内部空隙表面にアルキルアルコキシシランからなる撥水層を形成することによって撥水性能を発現する撥水性軽量気泡コンクリートの製造方法において、同一のアルキルアルコキシシランに対しては、従来よりも低温での処理が可能になる。さらには、蒸気圧が低いために軽量気泡コンクリート内部まで蒸気として浸透させることが困難であった、大きなアルキル基を有するアルキルアルコキシシランを撥水剤として用いることが容易になり、種々の撥水性軽量気泡コンクリートをより簡単に製造可能である。
Claims (4)
- アルキルアルコキシシラン蒸気を軽量気泡コンクリートに接触させて、撥水性軽量気泡コンクリートを製造する方法において、アルキルアルコキシシラン蒸気と分圧20000Pa以上の水蒸気を含むキャリアガスとの混合ガスを軽量気泡コンクリートに接触させることを特徴とする撥水性軽量気泡コンクリートの製造方法。
- 撥水層を形成しようとする軽量気泡コンクリートを反応容器内に配置した後に、ガス溜め容器内のアルキルアルコキシシラン蒸気とキャリアガスの混合ガスの圧力が反応容器の圧力よりも高い状態で、ガス溜め容器と反応容器とを遮断しているガス開閉手段を開き、ガス溜め容器の混合ガスをその圧力差によって、撥水層を形成しようとする軽量気泡コンクリートが配置された反応容器に流入させる工程を有することを特徴とする、請求項1の撥水性軽量気泡コンクリートの製造方法。
- ガス溜め容器内のアルキルアルコキシシラン蒸気とキャリアガスの混合ガスを反応容器内に流入させた後、ガス開閉手段を閉め、ガス溜め容器内の混合ガスの圧力を、その時点における反応容器内の圧力より高くし、再度ガス開閉手段を開き、反応容器にガス溜め容器の混合ガスを流入させる工程を、少なくとも一回行うことを特徴とする、請求項2記載の撥水性軽量気泡コンクリートの製造方法。
- ガス溜め容器内のアルキルアルコキシシラン蒸気とキャリアガスの混合ガスを反応容器内に流入させた後、ガス開閉手段を閉めて反応容器を開放もしくは減圧にした後に、再度ガス開閉手段を開き、反応容器にガス溜め容器内の混合ガスを流入させる工程を、少なくとも一回行うことを特徴とする、請求項2または3記載の撥水性軽量気泡コンクリートの製造方法。
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