JP4822315B2 - ハイブリッド式電子銃 - Google Patents

ハイブリッド式電子銃 Download PDF

Info

Publication number
JP4822315B2
JP4822315B2 JP2005257977A JP2005257977A JP4822315B2 JP 4822315 B2 JP4822315 B2 JP 4822315B2 JP 2005257977 A JP2005257977 A JP 2005257977A JP 2005257977 A JP2005257977 A JP 2005257977A JP 4822315 B2 JP4822315 B2 JP 4822315B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electron beam
electron
cathodoluminescence
light
electron gun
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2005257977A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007073307A (ja
Inventor
幸志 渡邊
武司 宮崎
久米  博
秀世 大串
英之 大井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Crestec Corp
Original Assignee
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Crestec Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST, Crestec Corp filed Critical National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority to JP2005257977A priority Critical patent/JP4822315B2/ja
Publication of JP2007073307A publication Critical patent/JP2007073307A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4822315B2 publication Critical patent/JP4822315B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、半導体、金属、無機材料、有機材料、生体等のカソードルミネッセンス検出に関し、特に半導体や有機材料の薄膜や表面や界面上の極微量な不純物原子や欠陥及び結晶の品質を判定するために不可欠な電子状態を反映する微弱なカソードルミネッセンス信号の増幅に好適なカソードルミネッセンス検出装置の電子ビーム照射系に関する。
カソードルミネッセンス(CL)は、物質に電子銃からの電子ビームを照射したとき、その試料から放出される光で、カソードルミネッセンス分光法は、その光の放出過程が物質の固有の性質を反映する電子状態だけでなく、物質中の欠陥や不純物が作る電子状態に関する豊富な情報を与えることから、物質の非破壊評価手法として強力な手段であり、近年ますますその利用が盛んになってきている。
具体的には、CL分光法は、通常数 kVから数10
kVに加速された電子ビームを使用する。例えば物質が半導体である場合、その物質のバンドギャップよりも十分に大きいエネルギーの電子ビームが入射されると、エネルギーの一部は価電子帯にある電子を伝導帯に励起するのに使われ、結晶内には過剰の電子−正孔対が生じる。電子−正孔対の生成領域は、物質内における電子の飛程によって表現すことができる。
CLスペクトルは、電子ビームにより励起された電子−正孔対が欠陥や不純物がつくる電子状態を経由し再結合するときの放出される光のエネルギー分布として観測される。従って発光のピークエネルギーは各種の欠陥や不純物が作る電子状態により異なり、さらにその強度は電子状態の濃度に比例するので、CLスペクトルの解析から欠陥や不純物の電子状態を評価することができる。
上述した評価を実現するために、カソードルミネッセンス検出装置は、(1)電子ビーム照射系、(2)真空容器、(3)真空排気系、(4)試料を保持するためのステージ、(5)試料から放出されたカソードルミネッセンスを集光するための集光光学系、(6)集光された光を分光器へ転送する為の光転送系、(7)転送された光を分光するための分光系、(8)分光された光を検出するための検出系、(9)検出された信号を分析するための分析系から構成され、分光された光の波長に対する光の強度分布であるスペクトルもしくは電子ビームを走引させながらCLを取得することで画像(例えばCLマッピング)として視覚化し分析することができる。
一般に、電子銃、電子レンズ、偏向・非点収差補正器から構成されるカソードルミネッセンス検出装置で使用される電子ビーム照射系には、二次元での走査性や加速電圧に依存する深さ方向の情報分離の制御性の良さから市販の電子顕微鏡装置が利用される。この時、タングステン(Tungsten: W)ヘアピンエミッタを有する熱電子銃、六ホウ化ランタン(LaB6)エミッタを有する熱電子銃そしてW単結晶にZrOをコーティングしたZrO/Wエミッタを有する熱電界放出電子銃などの電子銃構造を選択することにより、高輝度のCL信号やレーザビームよりも非常に高精細な電子ビームを応用し、それぞれの電子銃の利点を生かした深さ方向や二次元方向の高い空間分解能で物質評価することができる。
また、電子顕微鏡には、電子ビーム励起電流法(EBIC)や電子プローブマイクロアナリシス(EPMA)等の組み込みが可能であり定量的な複合評価も可能である。
また、一般的な電子銃におけるエミッタ材料としては、鋭いポイント(先端:tips)からの電界電子放出を利用する電子エミッタおよび電子放出アレイに関する従来技術は古くからあり、これらのエミッタはゲーテッド・アレイ(gated arrays)と呼ばれる。これを実際に初めて実現化したものが、カリフォルニア州のStanford Research Instituteで研究しているC A Spindtによって発表された(非特許文献1)。それ以来、このようなエミッタ・アレイについての改良が、先端(tips)の体積及び表面を電気陽性要素で処理すること(doping)(特許文献1参照)を含めて、提案されて来ている。
さらに、エミッタ材料として基体のそれぞれの場所にバナジウム或いはバナジウム化合物を配置し、少なくとも10cmの-2の平均密度で前記場所に複数の放出サイトを創り出す工程を含む方法が知られている(特許文献2)。
米国特許第5,772,488号 特表2005−521217号公報 J. Appl.Phys. 39,7, pp 3504-3505, (1968)
しかし、上述された市販の電子顕微鏡を応用した電子ビーム照射系は、電子銃からの電子ビーム電流、スポットサイズの可動範囲及び加速電圧は、電子銃の構造や電子顕微鏡装置の性能に依存し限定されることになる。電子顕微鏡を使用するメリットは多くあるが、特に、二次電子像を精密に取得するという電子顕微鏡本来の目的を達成するために、励起電子ビーム電流は縮小する傾向にある。そのため、具体的には数マイクロアンペア以上における電子ビーム電流励起によるC L信号の評価及び研究はほとんどなく、いわゆる、評価・研究の空白領域が存在している。表1 は一般的な電子銃の構造とその性能を示す。
C L分光法は、物質中の固有の性質を反映する電子状態だけでなく、物質中の欠陥や不純物が作る電子状態を高い効率で電子ビーム励起(つまり、相対的に高い密度における電子−正孔対の生成)し微弱な発光をいかにして発生させ、それを捕らえるかが、カソードルミネッセンス装置の分析能力及び精度を決定する要素の一となる。特に、現在、半導体材料の体積が著しく縮小し高度化してゆく中で極微量の欠陥や不純物の重要性が増し、量子細線デバイスやナノデバイスの半導体分野の要請から、一段と信号強度の弱い多様な物質の単原子層あるいはサブモノレイヤの超薄膜や、ナノメートル領域の物質中に含まれる極微量の欠陥や不純物の信号検出が本質であり必要不可欠となっている。
図1は、一般的な電子顕微鏡のWヘアピンエミッタを有する熱電子銃を使用したときの電子ビーム電流とCL信号の関係を示す。図に示されるとおり、一般に、励起に使用される電子ビーム電流とCL信号強度比例関係にある。
本発明はこの関係に着目した。つまり、極微量の欠陥や不純物から、高い輝度のCL信号を得るためには、より大電流まで制御可能な電子ビームにより励起することが極めて有効となる。このとき電子−正孔対の生成量は単位面積あたりの電子ビーム量により決まるため、ビームスポット径の制御が必要になる。さらに、真空容器内の残留ガスは、電子ビームプローブと反応し、試料汚染の原因となる。これは、大電流のもとでは、非常に顕著になることが予測されるため、10-10 Torrよりも高真空な超高真空対応の電子ビーム照射系が必要となる。
本発明の目的は、現在のカソードルミネッセンス装置で使用されている電子ビーム照射系の検討により、従来の水準よりもさらに2桁以上のCL信号強度の増幅可能なカソードルミネッセンス装置の電子ビーム照射系を構成するハイブリッド式電子銃の構造を提供する。
本目的を達成するために、本発明は、電子銃、電子レンズ、偏向・非点収差補正器から構成されるカソードルミネッセンス検出装置の電子ビーム照射系で使用される電子銃に表1に示すような本来性能及び仕様の異なるLaB6エミッタを有する熱電子銃とZrO/Wエミッタを有する熱電放出電子銃の性能を同時に活用するための混合接続(ハイブリッド式)を可能にする離脱着機構を導入し、真空容器の真空を維持しつつ電子銃の交換のみで、6桁のダイナミックレンジを持つ電子ビーム電流制御及び3桁のダイナミックレンジを有する電子ビームスポット径制御を可能とする電子ビーム照射系(電子ビーム電流が、6×10 −7 マイクロアンペア以上、電子ビームスポット径が、0.016マイクロメートル以上)を実現する。
すなわち、本発明は、カソードルミネッセンス検出装置の電子ビーム照射系で使用される電子銃であって、ZrO/Wエミッタ及びLaB6エミッタを有する複数の電子銃とを有し、それぞれの電子銃を切り替えて活用するための真空を維持しつつ電子銃を交換できるハイブリッド接続離脱着機構を具備し、電子ビーム電流制御が6桁のダイナミックレンジを持ち、かつ、電子ビームスポット径制御が3桁のダイナミックレンジを有することを特徴とするカソードルミネッセンス検出装置のための電子銃である。
また、本発明は、カソードルミネッセンス検出装置が、(1)電子ビーム照射系、(2)真空容器、(3)真空排気系、(4)試料を保持するためのステージ、(5)試料から放出されたカソードルミネッセンスを集光するための集光光学系、(6)集光された光を分光器へ転送するための光転送系、(7)転送された光を分光するための分光系、(8)分光された光を検出するための検出系、(9)検出された信号を分析するための分析系から構成されるカソードルミネッセンス検出装置において、当該カソードルミネッセンス検出装置のための電子銃を備えたカソードルミネッセンス検出装置である。
さらに、本発明は、カソードルミネッセンス検出装置が、(1)電子ビーム照射系、(2)真空容器、(3)真空排気系、(4)試料を保持するためのステージ、(5)試料から放出されたカソードルミネッセンスを集光するための集光光学系、(6)集光された光を分光器へ転送するための光転送系、(7)転送された光を分光するための分光系、(8)分光された光を検出するための検出系、(9)検出された信号を分析するための分析系から構成されるカソードルミネッセンス検出装置であって、(5')集光光学系を構成する集光ミラーに色収差と球面収差を同時に補正できるカセグレン式光学配置とし、電子ビームを試料に照射しながら、電子ビーム照射領域からのカソードルミネッセンス取得と同時に試料の高倍率の光学顕微鏡像をリアルタイムで取得することを特徴とするカソードルミネッセンス検出装置において、当該カソードルミネッセンス検出装置のための電子銃を備えたカソードルミネッセンス検出装置である。
また、本発明において、ハイブリッド接続できる離脱着機構が、真空容器の真空を維持しつつ電子銃の交換を行うことができるが、このとき、真空は、10−10Torrよりも高真空な超高真空とすることができる。
本ハイブリッド式電子銃を用いることで、それ以外のカソードルミネッセンス検出装置の構成要素を一切変更することなく、一般的なカソードルミネッセンス用電子ビーム照射系では到達できない6桁のダイナミックレンジを持つ電子ビーム電流制御及び3桁のダイナミックレンジを有する電子ビームスポット径制御である複数の電子銃(電子ビーム電流が、6×10 −7 マイクロアンペア以上、電子ビームスポット径が、0.016マイクロメートル以上)を可能とする高ダイナミックレンジにおける分析装置となる。このことはCL分光法に電子顕微鏡が一般的に使用されるようになって以来、限定されてきた研究・評価のパラメータ空間を格段に拡大させることを意味する。同時に、本目的のCL信号強度の2桁以上の増幅のみならず、ハイブリッド式電子銃は物質の高密度電子ビーム励起源としての役割も担う。物質中に生成された電子−正孔対はその密度に応じて様々な相移転を起こすことが知られており、「多体効果」として学術的な一つの領域を形成している。物質の高密度励起状態から発現される多様な物理現象は、光、量子相関、照明、環境エレクトロニクスなどの新たな素子応用へ直結した現象として多くの可能性を秘めている。
このように、本発明によれば、カソードルミネッセンス法の評価限界を超越し他の評価手法を凌駕する、物質の原子・分子レベルでの情報を与え、半導体結晶評価の分野にとどまらず、多様な分野でのカソードルミネッセンス法の応用の可能性を広げることに貢献するものと期待される。すなわち、本発明は、単原子層レベルあるいはサブモノレイヤレベルの半導体、金属、有機物などの超薄膜や、半導体を代表とする物質中の極微量の不純物や欠陥からのカソードルミネッセンススペクトル及び時間・波長分解されたカソードルミネッセンス像による定常的もしくは過渡的な物性評価や電子状態評価に極めて有効である。
本発明の電子銃が用いられるカソードルミネッセンス(CL)装置は、典型的には、試料に電子銃からの電子ビームを照射したとき試料から放出される光で、カソードルミネッセンス検出装置は、主に(1)電子ビーム照射系、(2)真空容器、(3)真空排気系、(4)試料を保持するためのステージ、(5)試料から放出されたカソードルミネッセンスを集光するための集光光学系、(6)集光された光を分光器へ転送する為の光転送系、(7)転送された光を分光するための分光系、(8)分光された光を検出するための検出系、(9)検出された信号を分析するための分析系から構成され、分光された光の波長に対する光の強度分布であるスペクトルもしくは電子ビームを走引させながらCLを取得することで画像(CLマッピング)として視覚化し分析する装置である。
さらに、ここで(5)集光光学系を構成する集光ミラーに色収差と球面収差を同時に補正できるカセグレン式光学配置とし、電子ビームを試料に照射しながら、電子ビーム照射領域からのカソードルミネッセンス取得と同時に試料の高倍率の光学顕微鏡像をリアルタイムで取得することを特徴とするカソードルミネッセンス検出装置を用いることができる。
本発明は、電子銃、電子レンズ、偏向・非点収差補正器から構成されるカソードルミネッセンス検出装置の電子ビーム照射系で使用される電子銃に関するものである。具体的には、本来性能及び仕様の異なるLaB6エミッタを有する熱電子銃とZrO/Wエミッタを有する熱電放出電子銃の特徴を同時に活用するための混合接続(ハイブリッド式)を可能にする離脱着機構を導入し、真空容器の真空を維持しつつ電子銃の交換のみで、6桁のダイナミックレンジを持つ電子ビーム電流制御(6×10-7マイクロアンペア〜400 マイクロアンペア 以上)及び3桁のダイナミックレンジを有する電子ビームスポット径制御(0.016 マイクロメートル〜100 マイクロメートル 以上)を可能とする電子ビーム照射系を実現する。本ハイブリッド式電子銃を用いることで、カソードルミネッセンス検出装置は、従来の一般的なカソードルミネッセンス用電子ビーム照射系では到達できない高ダイナミックレンジにおける分析装置となる。
図2は、電子ビーム照射系の構成図を示す。電子ビーム照射系は主に電子銃、電子レンズそして偏向・非点収差補正器から構成される。表1に示したように、電子銃は一般にWヘアピンエミッタを有する熱電子銃、LaB6エミッタを有する熱電子銃そしてZrO/Wエミッタを有する熱電界放出電子銃などの電子銃構造がある。本発明のハイブリッド式電子銃は、図3に示すようなLaB6エミッタを有する熱電子銃とZrO/Wエミッタを有する熱電界放出電子銃を採用し、ハイブリッド化する。本来LaB6エミッタを有する熱電子銃とZrO/Wエミッタを有する熱電界放出電子銃は、専用となる電子レンズ及び偏向・非点補正器の性能さらに電子銃とそれらの機械的接続部分が要求されるが、それらを共通化し、電子銃部分を交換可能にする。この時、LaB6エミッタのチップ先端形状には輝度変化が少なく超寿命化を実現させるために、先端角90°,直径100マイクロメートルフラット形状のチップを採用した。特に、大電流を得る為にはエミッタから放出される電子を大きな入射角で初段レンズに集める必要がある。このとき,最終段レンズの開き角は初段レンズ入射角に縮小率を乗じた値で決まるため、最終段レンズはより大きな開き角となり,開き角の3乗で増加する球面収差の影響が著しく大きくなり得策ではない。一方,縮小率を1つまり等倍系で使用する場合は球面収差の影響を小さく押さえることができる。本電子ビーム照射系ではこれらの電子銃に離脱着可能な機構を導入しハイブリッド式電子銃を実現する。
一般的にLaB6エミッタの光源径(クロスオーバ径)は10マクロm程度である。つまり数十〜数百マイクロメートル台のビーム径を得るには,縮小率を小さくして(拡大系),球面収差を押さえ込む方法が得策である。電子レンズ系は縮小系で使用するのが一般的であるが,本レンズ系の縮小率は凡そ30〜0.2の範囲で使用可能なレンズ系とした。一方、ZrO/Wエミッタの熱電解放出現象は,10-10 Torrより高真空な超高真空環境下でのみで発現する。そのため、電子銃の真空度は10-10 Torr台が得られる排気系の構成とした。排気系は電子銃室とレンズ系間に動排気用オリフィスを設け,それぞれをイオンポンプで排気する動排気系とした。
図4は、本ハイブリッド式電子銃で実現可能な電子ビーム電流に対するビームスポット径の関係を示す。上述した形態により、Wヘアピンエミッタを有する電子銃と比較して高輝度、長寿命そして高電流安定性を実現できるLaB6エミッタを有する電子銃は、大電流の電子ビーム電流制御領域をカバーし、さらに、ZrO/Wエミッタを有する電子銃では到達できない、ナノメートルサイズまでのビームスポット径制御領域をカバーする。結果的に、6桁のダイナミックレンジを持つ電子ビーム電流制御及び3桁のダイナミックレンジを有する電子ビームスポット径制御を可能とする高ダイナミックレンジの電子ビーム照射系(電子ビーム電流が、6×10 −7 マイクロアンペア以上、電子ビームスポット径が、0.016マイクロメートル以上)となる。表1に本ハイブリッド式電子銃を使用した電子ビーム照射系の性能を示す。
一方、真空容器内の残留ガスは、電子ビームプローブと反応し、試料汚染の原因となるため電子ビーム照射系本体に対する工夫が必要となる。特に、大電流のもとでは、非常に顕著になることが予測されるため、10-10 Torrよりも高真空な超高真空対応の電子ビーム照射系が必要となる。電子ビーム照射系における主なガス放出源は、電子レンズ及び偏向・非点収差補正器で使用される構造に起因する。本電子ビーム照射系では、そのガス放出源となる電子レンズ及び偏向・非点収差補正器に静電タイプを採用した。これにより、真空容器内の到達真空度は3×10-11Torrより真空度の良い環境を実現できている。

図5は、実際に本ハイブリッド電子源による電子ビーム照射系を使用した場合の一例を示す。ここでは、電子ビーム電流に対するAlN薄膜とダイヤモンド薄膜からのCL発光強度の関係を示し、AlN薄膜の厚さは1nm程度である。また、ダイヤモンド薄膜からのCL信号は235nmに発光ピークを示すエキシトン再結合による発光をプロットした。
図5よりわかるように、AlN薄膜では、従来の電子顕微鏡を使用したCL信号強度と比較して2桁以上増加を実現できていことを示す。一方、ダイヤモンド薄膜の場合、電子ビーム電流に対しある電子ビーム電流を境に急激に増大する現象が発見された。この現象は、本ハイブリッド式電子銃を使用し、低欠陥密度で高純度のデバイスグレードの高品質なダイヤモンド薄膜によって初めて観測された。この非線形効果は、欠陥や不純物原子などによる外因性再結合中心が減少し、高い励起電子ビーム電流領域で生成された高密度なエキシトンが薄膜中で作用することによって発生したと思われ、今後、高密度下におけるエキシトンの振る舞いの基礎物理学的観点と同時に、この発光の波長が235nmであることからダイヤモンドによる深紫外線発光デバイスに直結した現象として応用物理学的観点からも重要である。特に、この非線形に振る舞う現象は、従来の電子顕微鏡を利用したカソードルミネッセンス装置では到達不可能な励起領域、つまり研究の空白領域から発見された新しい物理現象であり、本ハイブリッド式電子銃の技術的意義は極めて大きい。
本発明によれば、従来の高感度カソードルミネッセンス検出装置で測定可能な最も弱いカソードルミネッセンス信号をさらに2桁以上のCL信号強度として増幅することができる。本発明では、現在のカソードルミネッセンス装置で使用されている電子ビーム照射系の検討により、一般的なカソードルミネッセンス用電子ビーム照射系では到達できない高ダイナミックレンジにおける分析装置を実現させるものである。微弱なCL信号強度の2桁以上の増幅は、材料の評価結果を左右する決定的な極微量の欠陥や不純物の評価を可能にするため、画期的なものとなる。すなわち、本発明は、単原子層レベルあるいはサブモノレイヤレベルの半導体、金属、有機物などの超薄膜や、半導体を代表とする物質中の極微量の不純物や欠陥からのカソードルミネッセンススペクトルや時間・波長分解されたカソードルミネッセンス像による定常的もしくは過渡的な物性評価や電子状態評価に極めて有効である。同時に、真空容器の真空を維持しつつ電子銃の交換のみで、6桁のダイナミックレンジを持つ電子ビーム電流制御及び3桁のダイナミックレンジを有する電子ビームスポット径制御は単一の電子源を構成する構造では不可能であり、ハイブリッド式電子銃は物質の高密度電子ビーム励起源として、電子ビームを必要とするあらゆる分野への技術的役割も担うので産業上利用価値が高い。
電子ビーム電流とCL信号の関係を示す。ここでは、典型的な電子顕微鏡の電子ビーム照射系を使用した時の、電子ビーム電流に対するダイヤモンドからエキシトン発光強度の変化がプロットされている。 本発明の電子ビーム照射系の構成図を示す。 (a)LaB6エミッタを有する熱電子銃と(b) ZrO/Wエミッタを有する熱電界放出電子銃での相違する部品図を示す。 電子ビーム電流に対するビームスポット径の関係を示す。 電子ビーム電流に対するCL発光強度の変化。黒丸はダイヤモンド薄膜、白丸はAlN薄膜からのCL発光強度の変化を示す。

Claims (4)

  1. カソードルミネッセンス検出装置の電子ビーム照射系で使用される電子銃であって、ZrO/Wエミッタ及びLaB6エミッタを有する複数の電子銃とを有し、それぞれの電子銃を切り替えて活用するための真空を維持しつつ電子銃を交換できるハイブリッド接続離脱着機構を具備し、電子ビーム電流制御が6桁のダイナミックレンジを持ち、かつ、電子ビームスポット径制御が3桁のダイナミックレンジを有することを特徴とするカソードルミネッセンス検出装置のための電子銃。
  2. カソードルミネッセンス検出装置が、(1)電子ビーム照射系、(2)真空容器、(3)真空排気系、(4)試料を保持するためのステージ、(5)試料から放出されたカソードルミネッセンスを集光するための集光光学系、(6)集光された光を分光器へ転送するための光転送系、(7)転送された光を分光するための分光系、(8)分光された光を検出するための検出系、(9)検出された信号を分析するための分析系から構成されるカソードルミネッセンス検出装置において請求項1に記載のカソードルミネッセンス検出装置のための電子銃を備えたカソードルミネッセンス検出装置
  3. カソードルミネッセンス検出装置が、(1)電子ビーム照射系、(2)真空容器、(3)真空排気系、(4)試料を保持するためのステージ、(5)試料から放出されたカソードルミネッセンスを集光するための集光光学系、(6)集光された光を分光器へ転送するための光転送系、(7)転送された光を分光するための分光系、(8)分光された光を検出するための検出系、(9)検出された信号を分析するための分析系から構成されるカソードルミネッセンス検出装置であって、(5')集光光学系を構成する集光ミラーに色収差と球面収差を同時に補正できるカセグレン式光学配置とし、電子ビームを試料に照射しながら、電子ビーム照射領域からのカソードルミネッセンス取得と同時に試料の高倍率の光学顕微鏡像をリアルタイムで取得することを特徴とするカソードルミネッセンス検出装置において請求項1に記載のカソードルミネッセンス検出装置のための電子銃を備えたカソードルミネッセンス検出装置
  4. 真空が、10−10Torrよりも高真空な超高真空である請求項1に記載のカソードルミネッセンス検出装置に用いるための電子銃。
JP2005257977A 2005-09-06 2005-09-06 ハイブリッド式電子銃 Active JP4822315B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005257977A JP4822315B2 (ja) 2005-09-06 2005-09-06 ハイブリッド式電子銃

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005257977A JP4822315B2 (ja) 2005-09-06 2005-09-06 ハイブリッド式電子銃

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007073307A JP2007073307A (ja) 2007-03-22
JP4822315B2 true JP4822315B2 (ja) 2011-11-24

Family

ID=37934600

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005257977A Active JP4822315B2 (ja) 2005-09-06 2005-09-06 ハイブリッド式電子銃

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4822315B2 (ja)

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62223957A (ja) * 1986-03-26 1987-10-01 Hitachi Ltd ハイブリツド荷電粒子光学系
JPS6445047A (en) * 1987-08-14 1989-02-17 Nippon Telegraph & Telephone Measuring device for cathode luminesence
JPH01213944A (ja) * 1988-02-20 1989-08-28 Shimadzu Corp 電子線照射型分析装置
WO2001092956A1 (fr) * 2000-05-30 2001-12-06 Mitsubishi Denki Kabushiki Kaisha Detecteur d'image
JP2003014671A (ja) * 2001-06-29 2003-01-15 Canon Inc 固体表面観察装置と固体表面観察方法
JP2004047196A (ja) * 2002-07-10 2004-02-12 Hitachi Ltd 電子顕微鏡
US7176610B2 (en) * 2004-02-10 2007-02-13 Toshiba Machine America, Inc. High brightness thermionic cathode

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007073307A (ja) 2007-03-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Bogner et al. A history of scanning electron microscopy developments: Towards “wet-STEM” imaging
Tusche et al. Spin resolved bandstructure imaging with a high resolution momentum microscope
US7683319B2 (en) Charge control apparatus and measurement apparatus equipped with the charge control apparatus
US10141155B2 (en) Electron beam emitters with ruthenium coating
JP2000514238A (ja) 汎用走査型電子顕微鏡としての電子ビームマイクロカラム
Vladár et al. The scanning electron microscope
Ul-Hamid et al. Components of the SEM
JP4822315B2 (ja) ハイブリッド式電子銃
Notte et al. An Introduction to Helium Ion Microscopy and its Nanotechnology Applications
JP2021048114A (ja) 走査型電子顕微鏡および走査型電子顕微鏡の2次電子検出方法
US6812461B1 (en) Photocathode source for e-beam inspection or review
KR20200027042A (ko) 고해상도의 전자 빔 장치
JP2003014671A (ja) 固体表面観察装置と固体表面観察方法
JP2004319149A (ja) 電子源およびそれを用いた電子ビーム装置
JP6038794B2 (ja) 電子顕微鏡法用に構成された、高電圧下で放射する電子銃
Inada et al. Hitachi's development of cold-field emission scanning transmission electron microscopes
Pease Significant advances in scanning electron microscopes (1965–2007)
Powell et al. A scanning Auger electron microscope for surface studies
JP6377920B2 (ja) 高輝度電子銃、高輝度電子銃を用いるシステム及び高輝度電子銃の動作方法
Bachmann et al. The “LED‐version” of the electron gun: An electron source for operation in ambient pressure environments based on silicon field emitter arrays
JP4292176B2 (ja) 走査電子顕微鏡
Zhang Nanoscale Scale Imaging of Photoexcited States Using Electron Microscopy
Frank Advances in scanning electron microscopy
Li et al. Carrier emission of n-type gallium nitride illuminated by femtosecond laser pulses
Ul-Hamid et al. Specialized SEM Techniques

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080729

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080704

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080821

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110224

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110302

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110422

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110525

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110709

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110824

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110901

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4822315

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140916

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250