JP4822240B2 - 二重パルスを使用して,低電圧のプラズマドーピングをする方法および装置。 - Google Patents

二重パルスを使用して,低電圧のプラズマドーピングをする方法および装置。 Download PDF

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Description

【0001】
発明の分野
本発明は,ワークピースへのイオン注入のために使用される,パルス化されるプラズマ処理システムに関し,特に,低注入電圧で,このようなシステムを動作させる方法および装置に関する。
【0002】
発明の背景
イオン注入は伝導性を変える不純物を,半導体ウエハに導入するための標準技術である。在来のイオン注入システムにおいて,所望の不純物材料がイオンソースでイオン化され,イオンは所定のエネルギーをもつイオンビームを形成するために加速され,イオンビームはウエハの表面に向けられる。ビームのエネルギーをもったイオンは半導体材料のバルク内に突き進み,半導体材料の結晶格子に埋め込まれ,所望の伝導性の領域を形成する。
【0003】
ウエハに注入される累積イオンドーズ量,注入深さ,ウエハ表面にわたるドーズ量の一様性,表面のダメージ,および不所望の汚染に関し,厳格な要件が,イオン注入に関する半導体製造プロセスに課せられている。注入ドーズ量および深さは注入領域の電気的活性を決定するが,半導体ウエハ上のすべてのデバイスが特定の制限内で,動作特性を有することを確実にするために,ドーズ量の一様性が要求される。過度の表面ダメージ,特に表面の化学的エッチ,または汚染はウエハ上の,前もって製造された構成を破壊することになる。
【0004】
ある応用例において,半導体ウエハに浅い接合部(不純物材料がウエハの表面近傍領域に限定されるところ)を形成する必要がある。このような応用例において,従前のイオン注入器の高エネルギー加速および関連したビーム形成装置が不要である。したがって,半導体ウエハにおいて,浅い接合部を形成するために,プラズマドーピング(PLAD)の使用が提案されている。
【0005】
PLADシステムにおいて,半導体ウエハがチェンバーに配置された伝導性プラテン上に配置され,プラテンがカソードとして機能する。所望のドーパント材を含むイオン化可能なガスがチェンバーに導入され,高電圧パルスがプラテンとアノード(またはチェンバー壁)の間に適用され,プラズマシースをもつプラズマがウエハの近傍に形成される。適用電圧は,プラズマ中のイオンがプラズマシースを横断し,ウエハ内に注入されるようにする。注入の深さは,ウエハとアノードとの間に適用される電圧に関連する。プラズマドーピングシステムが,Shengによる1994年10月11日に発行された米国特許第5,354,381号に記載されている。
【0006】
上記のPLADシステムにおいて,高電圧パルスはプラズマを発生し,正のイオンをプラズマからウエハに向けて加速する。プラズマソースイオン注入(Plasma-Source Ion Implantation),PSIIシステムのような,他のタイプのプラズマ注入システムにおいて,別個のプラズマソースが連続プラズマを与えるために使用される。(これら注入システムはまた,他の頭文字により,最も一般的であるPlasma-Immersion Ion Implantation,PIIIとして知られている。)このようなシステムにおいて,プラテンおよびウエハはこの連続プラズマに間隔をおいて浸され,高電圧パルスがプラテンおよびアノードの間に適用され,プラズマ中の正イオンがウエハに向けて加速される。このようなシステムは,Conradによる,1988年8月16日に発行された米国特許第4,764,394号に記載されている。
【0007】
PSIIシステムを越えたPLADシステムの利点は,ターゲット対象物が注入されるときにのみプラズマがあることである。このことは,PSIIシステムの連続したプラズマにより作られる化学的に活性な種の減少,したがって,ウエハ表面への化学的なダメージの減少をもたらす。さらに,連続プラズマはまた,注入される汚染物を高レベルにし,パーティクルの生成を高レベルにする。PLADシステムは,ターゲット対象物がイオンを注入するためにバイアスされたときを除き,プラズマをオフにすることによりPSIIシステムを改良する。このことは,汚染物,パーティクル,および表面エッチングダメージのレベルを下げる。
【0008】
PLADシステムは,プラズマが着火し,イオンが注入できる最小のブレークダウン電圧Vbdをもつ。このブレークダウン電圧Vbdは,カソード表面材,システムに存在するガスのタイプ,システムにあるガス圧P,およびカソードからアノードまでの距離を含む,システムの物理的特徴により定義される。ある表面材およびガスのタイプに対して,ブレークダウン曲線VbdはP×dの関数であり,パッシェン曲線として知られている。プロセスはプラズマの物理テキストによく説明されている。典型的に,ブレークダウン電圧Vbdの最小値は,Pd500ミリトール‐cmに近い。SiのPLADに対して使用される共通フィードガス,BF3に対して,最小のブレークダウン電圧はVbd‐530Vである。他のドーパントフィードガス/基板の組み合わせも同様の最小ブレークダウン電圧Vbdをもつ。プラズマにおけるイオン注入エネルギーは従来技術のPLADシステムにおいて,カソードとアノードとの間の電圧に比例する。
【0009】
PLADシステムにおいて,カソードへのイオン電流は適用電圧,ガス圧,および表面状況の関数である。Vbdに近い電圧では,電流は低い。電圧または圧力が増加すると,電流も増加する。電流を増加させ,これにより注入時間を減少させるために,より高い圧力でかつVbdより上の電圧で動作することが望ましい。局所的な表面状態,表面温度,材料,材料の構成(結晶対アモルファス)などもまた局所イオン電流において一定の役割をもつ。
【0010】
次世代の集積回路では非常に浅い接合部が要求されことは確かである。在来のPLADシステムはしかし,ブレークダウン電圧Vbdのため,非常に浅い接合部の生成に対して非常に高い注入エネルギーをもつ。
【0011】
したがって,低エネルギーで,すなわち,短い注入時間で,非常に浅い接合部の形成を可能にする高電流,および電圧でドーパント材を注入することのできるPLADの必要性がある。
【0012】
発明の要約
本発明の一態様にしたがって,パルス化プラズマドーピングシステム内で,ターゲットにイオンを注入する方法が提供される。本方法は,注入のためのイオンを生成するために,着火電圧パルスVplasをイオン化可能なガスに与えること,イオンをターゲットに注入するために,注入電圧パルスVimpをターゲットに与えることを含み,ここで,注入電圧パルスVimpおよび着火電圧パルスVplasは時間的に少なくとも部分的に重なり,そして一つ以上の異なるパラメータをもつ。
【0013】
好適に,着火電圧パルスVplasはプラズマ着火カソードに結合され,注入電圧パルスVimpは,ターゲットが取り付けられる注入カソードに結合される。着火電圧パルスVplasおよび注入電圧パルスVimpは,それぞれ,第一および第二の高電圧パルスソースにより与えられ得る。
【0014】
注入電圧パルスVimpは着火電圧パルスVplasの関数でもよい。このことは,一実施例において,電圧分配器ネットワークを着火電圧パルスVplasに結合すること,電圧分配器ネットワークから注入電圧パルスVimpを発生することにより達成される。注入電圧パルスVimp振幅は,着火電圧パルスVplas振幅よりも小さくともよい。
【0015】
注入電圧パルスVimpは着火電圧パルスVplasと,実質的に同時に起こってもよい。これに代えて,注入電圧パルスVimpは着火電圧パルスVplasの開始のあとに始まり,着火電圧パルスVplasの終わりの前に終わってもよい。さらに,注入電圧パルスVimpは着火電圧パルスVplasの前で開始し,その後に終わってもよい。注入電圧パルスVimpは着火電圧パルスVplasが終わった後に生じてもよい。
【0016】
本発明の他の態様にしたがって,ターゲットにイオンを注入するための,パルス化されたプラズマドーピングシステムが提供される。本システムは,注入のためのイオンを生成するために,着火電圧パルスVplasをイオン化可能なガスに与える手段,イオンをターゲットに注入するために,注入電圧パルスVimpをターゲットに与える手段,および注入電圧パルスVimpと着火電圧パルスVplasとの間のタイミングを取った関係を制御し,時間的に少なくとも部分的に重ね,そして一つ以上のパラメータをもたせる制御手段を含む。
【0017】
さらに,本発明の他の態様において,イオンをターゲットに注入する,パルス化プラズマドーピング装置が提供される。本装置は,着火電圧パルスVplasをイオン化可能なガスに与え,注入のためのイオンを生成するための第一の高電圧パルスソース,および注入電圧パルスVimpをターゲットに与え,イオンをターゲットに注入するための第一の装置を含み,ここで注入電圧パルスVimpおよび着火電圧パルスVplasは,時間的に少なくとも部分的に重なり,一つ以上の異なるパラメータをもつ。
【0018】
さらに,本発明の他の態様において,イオンをターゲットに注入するパルス化されるプラズマドーピング装置が提供される。システムはイオン化可能なガスを包含する真空チェンバー,基準電圧に結合したアノード(アノードは真空チェンバー内に配置される),真空チェンバー内に配置されるプラズマソースカソード,着火電圧パルスVplasをプラズマソースカソードに与えるための第一の高電圧パルスソース,ターゲットを支持するための注入カソード,および注入電圧パルスVimpを注入カソードに与えるための注入電圧パルスソースを含む。注入電圧パルスVimpおよび着火電圧パルスVplasは時間的に少なくとも部分的に重なり,一つ以上の異なるパラメータをもつ。
【0019】
本発明のよりよい理解のために,添付図面が参照されるが,ここで同じ要素には同じ符号が付されている。
【0020】
詳細な説明
従前のプラズマドーピング装置の例が図1に略示されている。プラズマドーピングチェンバー10が,囲まれた容積部12を画成する。チェンバー10内に配置されてプラテン(カソード)14が,半導体ウエハ20のようなワークピースを保持するための表面を提供する。半導体ウエハは単に,考えられるターゲットのタイプの一例である。本発明は,半導体ウエハへの注入に限定されるものではない。たとえば,工具,自動車の要素,スタンピングダイようの金属およびプラスチックへの注入もまた可能である。ウエハ20は,たとえば,プラテン14の平坦な表面にその周囲で留め付けることができる。プラテン14はウエハ20を支持し,ウエハ20に電気的な接続をなす。一例として,プラテン14は実質的に,平坦であり,ウエハ20を支持するための,電気伝導性のある表面を有する。他の例として,プラテン14はウエハ20への電気的な接続のために伝導性ピンを有する。
【0021】
アノード24がプラテン(カソード)14から空間的に離れるようにして,チェンバー10内に配置されている。アノード24はプラテン14に垂直な,矢印26で示された方向に可動となってもよい。アノード24は典型的に,チェンバー10の電気伝導性壁(両者とも接地されている)に接続されている。一つの例では,アノード24およびプラテン14は実質的に互いに平行となっている。
【0022】
ウエハ20およびカソード14は高電圧パルスソース30に接続され,その結果ウエハ20はカソードとして機能する。パルスソース30は典型的に,電圧が約100から10,000ボルト,持続時間が1から50ミリ秒の範囲で,パルス反復率が約100Hzから2KHzのパルスを与える。これらパルスパラメータ値は例示であり,他の値を利用できることは理解されよう。
【0023】
チェンバー10の包含する容積12は制御可能なバルブ32を介して,真空ポンプ34に連結される。ガスソース36が,質量流量コントローラ38を介して,チェンバー10に連結される。チェンバー10内に配置された圧力センサー44がチェンバーの圧力を示す信号をコントローラ46に与える。コントローラ46は検知チェンバー圧力を所望の圧力入力と比較し,制御信号をバルブ32に与える。制御信号はバルブ32を制御し,チェンバー圧力と所望の圧力との間の違いを最小化する。真空ポンプ34,バルブ32,圧力センサー44およびコントローラ46は閉じたループ圧力制御システムを構成する。圧力は典型的に,約1ミリトルから約500ミリトルの範囲で制御されるが,この範囲には限定されない。ガスソース36は,ワークピースへのイオンの注入のための所望のドーパントを含み,イオン化可能なガスを提供する。イオン化可能なガスの例は,BF3,N2,Ar,PF5およびB2H6を含む。質量流量コントローラ38はガスがチェンバー10に与えられる流速を制御する。図1に示された構成は,連続した流体のプロセスガスを一定のガス流速および一定の圧力で提供する。圧力およびガス流速は好適に制御され,反復結果を与える。
【0024】
動作において,ウエハ20はプラテン14上に配置される。そして,圧力制御システム,質量流量コントローラ38およびガスソース36は,チェンバー10内に所望の圧力およびガス流速を形成する。たとえば,チェンバー10は十ミリトルの圧力のBF3ガスで動作する。パルスソース30は一連の高電圧パルスをプラテン14に,したがってウエハ20に適用し,ウエハ20とアノード24との間にプラズマが発生する。従来から知られているように,プラズマ40はガスソース36からのイオン化可能なガスの正のイオンを含む。プラズマ40はさらに,プラテン14の近傍にプラズマシース42を含む。高電圧パルスがある間,アノード24とプラテン14との間に存在する電場は,プラズマ40から正イオンを,プラズマシース42を通ってプラテン14およびウエハ20に向けて加速する。加速されてイオンはウエハ20に注入され,不純物材料の領域を形成する。
【0025】
パルス電圧は,正イオンをウエハ20での所望の深さに注入するために選択される。パルスの数およびパルス持続時間は,ウエハ20に不純物材料(正イオン)の所望のドーズ量を与えるために選択される。パルス当たりの電流は,パルス電圧,ガス圧,ガス種,および電極の可変な位置の関数である。たとえば,カソードとアノードとの間隔は,いろいろな電圧に対して調節できる。ドーズ量プロセッサ70が,ターゲットウエハ20に蓄積する正イオンのドーズ量の測定のため,電流測定装置50に接続されている。一つのシステムにおいて,測定装置50はファラデーカップである。知られているように,ファラデーカップに入る正イオンは,カップに取り付けられた回路において電流を生じさせる。電流は時間当たりの正イオンの数,すなわちイオン電流を示す。
【0026】
ドーパント種が低エネルギーでターゲットウエハに注入される。PLADシステムおよびプロセスを提供するために,本発明は,プラズマ着火機能をイオン注入機能から分離する。これらの機能の分離は,上記したPSIIプロセスをこえるPLADプロセスの利点を維持するとともに,さらに,低エネルギーの注入能力,およびプラズマ着火パルスおよび注入パルスのパラメータを別個に制御できる能力を与える。
【0027】
本発明の第一の実施例にしたがったプラズマドーピングシステムが図2に示されている。プラズマソースカソード200が高電圧パルスソース30の出力部に結合している。ターゲットウエハ20は注入カソード202上に位置し,プラズマソースカソード200から離れている。従前の装置についての上記説明と同様に,ウエハ20は注入カソード202と電気的に接触している。
【0028】
直列抵抗R1およびR2を含む電圧分配器ネットワークがパルスソース30の出力部と基準電圧VREFとの間に接続されている。基準電圧は典型的に,応用例にそって他の電位を利用できるが,ここでは接地されている。注入カソード202は抵抗R1とR2の間のノードAに電気的に結合している。
【0029】
プラズマソースカソード200に適用されるプラズマ着火電圧パルスVplasがプラズマを着火するが,パルス持続時間の間,プラズマを維持するために十分なものである。注入カソード202における注入電圧パルスVimpが,所望の注入深さを生成するために選択された振幅をもつ。注入カソード202に適用される注入電圧パルスVimpの振幅は次の通りに定義される。
Vimp=(R2/(R1+R2))(Vplas‐(Iimp*R1))
ここで,Vplasは高電圧パルスソース30により発生した電圧で,Iimpは注入カソード202に適用される電流である。電圧Vplasの,注入電圧Vimpに対する電圧比は1:1から10:1またはそれよりも大きい範囲にある。
【0030】
R1およびR2の一方または両方は,可変抵抗であってもよい。可変抵抗の使用により,注入カソード202における注入電圧Vimpの振幅は柔軟にセットできる。注入カソードに適用される電圧パルスの振幅は,所望の値に調節できる。その結果,注入深さは慎重に選択することができる。注入カソードに適用される電圧は,プラズマを着火するために必要とされる電圧より低い(パッシェン曲線以下の電圧を含む)注入電圧を可能にする。
【0031】
上記は500ボルト以下の電圧で,プラズマドーピングが達成できるシステムを説明する。シリコン(Si)ウエハについて,圧力が200ミリトルの窒素(N2)で,着火電圧パルスが約700ボルトとした,本発明により行われるテストにおいて,イオンはシリコンウエハに,約375ボルトの注入電圧で注入された。抵抗R1は約4.27kオーム,抵抗R2は6.22kオームである。これら値は,単に例示であり,限定のためのものではない。さらに,本発明は,注入電圧,すなわち,88ボルト程度に低い(本発明がより低い電圧でさえ動作すると期待されている)注入カソードの電圧で動作した。
【0032】
注入カソード202は,ターゲットウエハ20がプラズマ40に露出されるように,機械的に配置される。ウエハ20のプラズマ40による露出は,一様なイオン注入を確実にするために,ウエハ20の表面にわたって比較的一様であるべきである。
【0033】
図2の実施例において,注入カソード202は抵抗R1およびR2を含む,電圧分配器ネットワークに結合している。したがって,注入電圧パルスVimp振幅はプラズマ電圧パルスVplas振幅の関数で,R1およびR2の値により決定される。しかし,パルスの開始および終わりの時は同じである。このことは,注入の一様性に良好な効果をもたらす。さらに,注入電圧Vimpは常に,着火電圧Vplasよりも低い。したがって,最大の注入電圧はVplasにより限定される。この問題は,本発明の第二の実施例(注入電圧パルスVimpおよび着火電圧パルスVplasは別個に発生する)には存在しない。
【0034】
図3に示されているように,二つの電圧パルスソース30,30'はそれぞれ,注入カソード202およびプラズマソースカソード200に結合している。前記実施例と同様に,ウエハ20は注入カソード202に配置される。高電圧パルスソース30'はプラズマ40を着火するための着火電圧パルスVplasを出力する。他の高電圧パルスソース30は,ウエハ20上の注入電圧を形成するための注入電圧パルスVimpを出力する。
【0035】
動作において,プラズマ40は着火電圧パルスVplasにより開始し,着火パルスの持続期間の間維持される。プラズマ密度は,注入電圧御パルスVimpに独立した着火電圧パルスVplasにより制御される。振幅およびパルス幅を含む,各パルスのパラメータは別個に制御できる。さらに,パルスの相対的なタイミングもまた制御できる。注入電圧パルスVimpは,プラズマ着火電圧プパルスVplasが適用された後の,所定の時間で開始し,プラズマ着火電圧パルスVplasの終わりの前に,終了してもよい。その結果,プラズマの初期不安定性が避けられ,注入の一様性は改良される。他の構成において,パルスは,抵抗ネットワークについて上述した実施例の動作と同様に,同時に生じるようにセットしてもよい。さらに,注入電圧パルスVimpは,着火電圧パルスVplasの前に始まり,その後に終了してもよい。注入電圧パルスVimpは,着火電圧パルスVplasが終わる前に,生じてもよい。後者場合,注入電圧パルスVimpは,着火電圧パルスVplasがオフになった直後,プラズマは依然としてチェンバーにあることから,“afterglow(残光)”状態にある。また,注入電圧パルスVimp振幅は,着火電圧パルスVplasと同じ,それよりも大きくまたはそれよりも小さくなるよう調節できる。発明者は, 100ミリアンペアの電流における,6インチのウエハへのBF3の88ボルトの注入を示した。
【0036】
プラズマ着火電圧パルスVplasと注入電圧パルスVimpとの間のタイミングを取った関係,ならびにそれらの各持続時間および振幅は,所望の特定の結果および応用例に依存する。種々のパラメータとして,限定的ではないが,カソード表面材料,使用される特定のガス,カソードからアノードまでの距離,および所望の注入深さが含まれる。
【0037】
図4Aに示されているように,プラズマ着火電圧パルスVplasは振幅Vpおよび持続時間Tpをもつ。一実施例において,図4Bに示されているように,注入電圧パルスVimp1は着火電圧パルスVplasと実質的に同時に生じ,したがって,パルス幅Tpを含む。注入電圧振幅VIはしかし,プラズマ電圧パルス振幅Vpと同じ,それよりも大きくまたはそれよりも小さくセットすることができる。
【0038】
これに代え,図4Cに示されているように,注入電圧パルスVimp2の開始は,着火電圧パルスVplasの開始より,時間Δt1だけ遅延している。注入電圧パルスVimpは,着火電圧パルスVplasの終了前,Δt2で終わるパルス幅TIを有する。着火電圧パルスと注入電圧パルスとの間の他のタイミング関係も,上述したように(タイミングブロック図は示されていないが)本発明の範囲内である。
【0039】
着火電圧パルスVplasと注入電圧パルスVimpとの間のタイミングを取った関係は,高電圧パルスソース30,30'の両方に接続された同期モジュール82により達成される。同期モジュール82は,同期タイミング信号を高電圧パルスソースにそれぞれ出力する二つのパルス信号発生器(図示せず)を含むことができる。パルス信号発生器は当業者には周知であり,多くのいろいろな業者から入手可能である。これら発生器は,順に,VplasとVimpとの間のタイミングを取った関係を形成する高電圧ソースの間のタイミングを取った関係を形成するように構成されている。
【0040】
本発明は,平行なプレートアノードおよびカソードを使用して,PLADシステムの動作とともに説明されてきた。種々のソースカソード/注入カソードの幾何学形状も利用できる。
【0041】
本発明の第一の他の構成が中空カソードを使用するものである。PLADに使用される中空カソードは,本件とともに譲り受けた出願(代理人番号V2277/7084)に記載されており,その内容はここに組み込まれる。
【0042】
図5に示されているように,アノード24は注入カソード202に向かい合うように配置される。アノード24および注入カソード202は互いに実質的に平行になっている。中空の円筒状カソード300がアノード24と注入カソード202の間の容積を囲むように配置される。
【0043】
本発明の第二の他の構成において,図6に示されているように,アノード24および注入カソード202は互いに平行で,間隔が空けられている。矩形または四角の中空カソード300'は,アノード24と注入カソード202との間の容積を囲むように配置される。
【0044】
中空カソード300,300'をもつ略示ブロック図が図7に断面図とともに示されている。アノード24は基準電圧ターミナル(典型的に接地されている)に電気的に接続されるとともに,中空カソード300または300'は,着火電圧パルスVplasを受けるために,パルスソース30の出力部に電気的に接続されている。注入カソード202は上述したように,抵抗R1およびR2を含む抵抗ネットワークから注入電圧パルスVimpを受ける。
【0045】
これに代えて,図8に示されているように,二つの電圧パルスソース30,30'は注入カソード202および中空カソード30(または300')にそれぞれ結合されてもよい。システムの動作は,図3に関して上述したと同じである。
【0046】
本発明を好適な実施例に基づいて記述してきたが,特許請求の範囲により画成される発明の範囲から逸脱することなく種々の変更,修正をなしうることは当業者には明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は,従前のプラズマドーピングシステムの略示ブロック図である。
【図2】 図2は,本発明の第一の実施例にしたがったプラズマドーピングシステムの略示ブロック図である。
【図3】 図3は,本発明の第二の実施例にしたがったプラズマドーピングシステムの略示ブロック図である。
【図4】 図4は,図3に示された実施例の動作を示すタイミング図である。
【図5】 図5は,円筒状で中空のカソードを使用する,本発明の第一の変形例である。
【図6】 図6は,矩形で中空のカソードを使用する,本発明の第二の変形例である。
【図7】 図7は,図2の実施例とともに使用される中空のカソードを示す,一部断面となった略示ブロック図である。
【図8】 図8は,図3の実施例とともに使用される中空のカソードを示す,一部断面となった略示ブロック図である。

Claims (27)

  1. イオンをターゲットに注入する,パルス化されるプラズマドーピングシステムであって,
    イオン化可能なガスを包含する真空チェンバーと,
    基準電圧に結合され,真空チェンバー内に配置されるアノードと,
    真空チェンバー内に配置されるプラズマソースカソードと,
    注入のためのイオンを生成するためにイオン化可能なガスおよびプラズマソースカソードに,第一の振幅を有する,着火電圧パルスVplasを適用するための第一の高電圧パルスソースと,
    ターゲットを支持する注入カソードと,
    イオンをターゲットに注入するために,注入カソードに,第二の振幅をもつ注入電圧パルスVimpを適用するための注入電圧パルスソースと,
    を含み,
    第一の振幅は第二の振幅より大きい,ところのパルス化されるプラズマドーピング装置。
  2. 注入電圧パルスソースは,着火電圧パルスソースに結合した電圧分配器ネットワークを含む,請求項1に記載のパルス化されるプラズマドーピングシステム。
  3. 注入電圧パルスソースは,
    第二の高電圧パルスソース,および
    注入電圧パルスVimpと着火電圧パルスVplasの適用のタイミングを制御するために,第一および第二の高電圧パルスソースに結合した同期装置を含む,請求項1に記載のパルス化されるプラズマドーピングシステム。
  4. 同期装置は,注入電圧パルスVimpの始まりおよび終わりが,着火電圧パルスVplasの始まりおよび終わりとそれぞれ同時に起こるように第一および第二の高電圧パルスソースを制御する,請求項3に記載のパルス化されるプラズマドーピングシステム。
  5. 同期装置は,注入電圧パルスVimpが着火電圧パルスVplasの始まりの後に始まり着火電圧パルスVplasの終わりの前に終わるように,第一および第二の高電圧パルスソースを制御する,請求項3に記載のパルス化されるプラズマドーピングシステム。
  6. 注入電圧パルスVimpおよび着火電圧パルスVplasは時間的に,少なくとも部分的に互いに重なる,請求項1に記載のパルス化されるプラズマドーピングシステム。
  7. 注入電圧パルスVimpは,着火電圧パルスVplasが終了した後に始まる,請求項1に記載のパルス化されるプラズマドーピングシステム。
  8. パルス化されるプラズマドーピングシステムにおいて,イオンをターゲットに注入する方法であって,
    注入のためのイオンを生成するために,振幅Vpを有するプラズマ電圧パルスVplasをイオン化可能なガスに適用する工程と,
    イオンを注入するために,振幅Viを有する注入電圧パルスVimpをターゲットに適用する工程と,
    振幅Vpが振幅Viよりも大きくなるように,振幅Vpおよび振幅Viを制御する工程と,
    を含む方法。
  9. プラズマ電圧パルスVplasおよび注入電圧パルスVimpは,第一および第二の電圧ソースにより与えられる,請求項8に記載の方法。
  10. 注入電圧パルスVimpおよびプラズマ電圧パルスVplasは時間的に,少なくとも部分的に重なる,請求項8に記載の方法。
  11. 注入電圧パルスVimpの始まりおよび終わりが,着火電圧パルスVplasの始まりおよび終わりとそれぞれ同時に起こる,請求項8に記載の方法。
  12. 注入電圧パルスVimpは,プラズマ電圧パルスVplasの始まりの後で始まり,プラズマ電圧パルスVplasの終わりの前に終わる,請求項8に記載の方法。
  13. さらに,
    プラズマ電圧パルスVplasを電圧分配器ネットワークに結合する工程と,
    電圧分配器ネットワークから注入電圧パルスVimpを発生する工程と,
    を含む,請求項8に記載の方法。
  14. 注入電圧パルスVimpを適用する工程は,イオンをターゲットに,非常に浅い注入深さで注入するために,注入電圧パルスVimpをターゲットに適用することを含む,請求項8に記載の方法。
  15. さらに,
    プラズマ電圧パルスVplasをプラズマ着火カソードに結合する工程と,
    注入電圧パルスVimpをターゲットが配置される注入カソードに結合する工程とを含む,請求項8に記載の方法。
  16. さらに,
    直列になった第一の抵抗R1を有する第一の抵抗器および第二の抵抗R2を有する第二の抵抗器を含む抵抗ネットワークに,ターゲットを結合する工程を含み,
    抵抗ネットワークは,プラズマ電圧パルスVplasと基準電圧との間に結合される,請求項15に記載の方法。
  17. 振幅Viは振幅Vpの関数である,請求項8に記載の方法。
  18. 振幅Viは注入のためのイオンを生成するために必要な最小の電圧より小さい,請求項8に記載の方法。
  19. 振幅Viは375ボルトより小さい,請求項18に記載の方法。
  20. 振幅Viは対応するパッシェン曲線電圧以下である,請求項18に記載の方法。
  21. さらに,注入電圧パルスVimpを適用するために,プラズマ電圧パルスVplasを分割する工程を含む,請求項8に記載の方法。
  22. さらに,時間的に少なくとも部分的に重なるようにするため,プラズマ電圧パルスVplasおよび注入電圧パルスVimpを同期する工程を含む,請求項8に記載の方法。
  23. パルス化されるプラズマドーピングシステムにおいて,イオンをターゲットに注入する方法であって,
    注入のためのイオンを生成すべく,アノードとプラズマソースカソードとの間にイオン化可能なガスをイオン化するため,アノードとプラズマソースカソードとの間に,振幅Vpを有するプラズマ電圧パルスVplasを適用する工程と,
    イオンをターゲットに注入するために,ターゲットを支持する注入カソードとアノードとの間に,振幅Viを有する注入電圧パルスVimpを適用する工程と,
    振幅Vpが振幅Viよりも大きくなるように,振幅Vpおよび振幅Viを制御する工程と,
    を含む方法。
  24. プラズマ電圧パルスVplasの適用および注入電圧パルスVimpの適用の工程は,同期された第一および第二の電圧ソースにより実施される,請求項23に記載の方法。
  25. 注入電圧パルスVplasおよびプラズマ電圧パルスVplasは,時間的に,少なくとも部分的に重なる,請求項23に記載の方法。
  26. さらに,注入電圧パルスVimpを適用するために,プラズマ電圧パルスVplasを分割する工程を含む,請求項23に記載の方法。
  27. プラズマ電圧パルスVplasの適用の工程は,アノードおよび注入カソードとの間のプラズマ放電領域を囲む中空のプラズマソースカソードと,アノードとの間にプラズマ電圧パルスVplasを適用することを含む,請求項23に記載の方法。
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