芳香族ジカルボン酸の製造における酸化反応工程を中心にした従来法の流れ図を図8に、そして、その概略と課題ついて以下に述べる。
先ず、101は、特許文献6及び3に記載されるように、原料p−キシレンを混合した反応原料混合槽となり、反応用の炭化水素原料と溶媒を混合と調製を同時にするシステムを想定した流れである。
従って、101は原料p−キシレンの混合あるいは混合しないに拘らず、反応母液貯槽110からの循環再使用母液と酢酸(新/回収酢酸)とを用いて反応溶媒の調製と酸化触媒を補充調製したのち、該調製溶媒に含有の触媒金属、臭素濃度の測定(分析位置A10)から換算(分析値−流量設定器AFC10)して反応に不足の触媒金属および臭素の各々を新しい触媒金属化合物(溶液あるいは液状)および臭素化合物(溶液あるいは液状)で再調製する槽となっている。即ち、反応原料混合槽101では、原料p−キシレンを混合する場合には、原料p−キシレン供給量とそのp−キシレンに対する所定の比(p−キシレン濃度)の溶媒量と酸化触媒の組成(触媒濃度)を調製する槽となり、原料p−キシレンを混合しない場合には、所定の溶媒量と酸化触媒の組成(触媒濃度)を調製する反応溶媒調製槽となっている。そして、これらは調製後の混合物(又は溶媒)の組成(濃度)を分析位置A10で測定し、夫々の濃度を再調製するフィードバック制御を行ってきた。
この方法では、原料p−キシレンに対する所定量の溶媒量(溶媒比又はp−キシレン濃度)は調製されたとしても、酸化触媒の濃度および組成の調製は母液の循環量およびその触媒濃度の変動に対して遅れた調製となり、不安定な調製となっていた。また、反応母液の循環使用による調製にあたっては、循環母液に含有されている多量の水を、上記方法では制御することは全く出来ていなかった。
そのため、特許文献2に記載されているように、その高まった溶媒中の水と反応生成水とによる反応液中の水含有量を一定値(15重量%)以下に保持するため、酸化反応槽102の還流凝縮液の一部を気液分離器104の底部から抜き出し、その抜き出し量に相当する量の新たな酢酸を酸化反応槽102に供給する方法が取られているが、それを商業的に行う連続方法として上記反応原料混合槽101にはその抜き出し相当量の酢酸を予め調製・供給されて、反応母液中の水濃度を15重量%以下に保持される方法が取られている。
この方法では凝縮液の抜き出し量の変動(増量あるいは減量)は反応液中の水濃度の変動をさせる(上昇あるいは低下)には効果はあるが、反応系内のハランスを崩し、酸化反応を不安定にする。また、供給酢酸量の変動は反応原料混合槽101での組成(触媒および水濃度)変動が伴われ、調製される反応原料混合液の組成変動が伴われ、酸化反応を不安定とする要因となってきた。
さらに付け加えるなら、新たな供給酢酸とは、脱水蒸留塔112の底部で回収された水含量約5重量%(2〜10重量%)の回収酢酸であり水濃度の変動の可能性を常に抱えている。(新/回収酢酸とは適時新規の工業用酢酸(99.5重量%酢酸)を補充して用いる酢酸で回収酢酸と殆ど変わらない。)そして、高圧ガス吸収塔105の下段で反応排ガスの含有蒸気を洗浄吸収させた洗浄酢酸を新/回収酢酸に混合して循環使用するなど、反応原料混合槽101に反応溶媒調製用として供給される新/回収酢酸の水濃度の変動の可能性は常に考慮されなければならない。
また、循環再使用される母液には、生成テレフタル酸の固体を固液分離機107で分離したのち酢酸による洗浄が行われた洗浄(排)液が含まれるプロセスもあるが、その洗浄(排)液の混入割合によって触媒濃度、水濃度が異なることもある。
従って、従来の商業用芳香族ジカルボン酸の製造方法では、反応原料混合槽101で調製される反応原料混合液には、常に幾つかの反応因子(溶媒比、触媒濃度および組成、水濃度)の変動の可能性があり、特に水濃度の変動には対応した精度の良い制御方法が取られず、非効率な酸化反応となる生産方式であった。
次に、酸化反応槽102では、反応原料混合槽101から反応原料混合液(含有p−キシレン)または反応溶媒と別途ライン(図示せず)からのp−キシレンとが所定量導入され、同時に該反応槽102下部より所定量の酸素含有ガス(通常は空気)を吹き込み酸化反応を持続させている。
また、該反応槽102では所定の温度範囲の酸化反応を液相で進行させるため、加圧状態が保たれるが、反応によって発生する多量の反応熱は、反応済み排ガス(排ガス)とともに反応系からの溶媒蒸気の発生により、該反応槽102頂部から持ち去られる。しかし、その発生蒸気含有の反応排ガスは反応槽102上部に設置の凝縮・冷却器103に導入され、発生蒸気のほぼ全量が凝縮され、凝縮液は気液分離器104で捕集され(100℃以下)たのち、該反応槽102に還流されるため、反応溶媒としての酢酸(水含有酢酸)は保持される構造になっている。そして、反応母液の循環使用などで、反応液中の水含有量を一定量以下に保持する必要から、該反応槽102に還流される凝縮液の一部が抜き出される方法が取られている。
その際には前記したように抜き出した凝縮液量に相当する酢酸を反応原料混合槽101に予め補充していることになるが、抜き出し量と補充酢酸量そしてそれらの水濃度によって、反応系内の水濃度、触媒濃度および組成などの変動がもたらされ、反応活性に影響を与えることになっていた。さらに、反応槽102圧力を保持しているため、反応温度に変動を与え、酸化反応を不安定にしてきた。
一方、反応槽102に所定時間滞留させた生成テレフタル酸含有の反応生成混合物は該反応槽102の液面制御LIC10により、反応槽102より圧力の低い2段目の酸化反応槽(図示せず)に移送し、酸化反応を完結させたのち、晶析槽106に供給され、圧力降下と冷却によってテレフタル酸結晶を晶出させる。
なお、2段目の酸化反応槽は、特許文献7及び8に記載されているように、1段目の酸化反応槽102からの反応生成混合物中に含有されている僅かの未反応p−キシレン、および、4−CBAなどの反応中間体の酸化反応を完結させるためのもので、1段目酸化反応槽102と同温度以下の温度で行われている。
次いで、晶析槽106の反応母液中に生成されたテレフタル酸結晶は、反応生成混合物として循環しながら固液分離機107に送られ、分離および洗浄を行ったのち、洗浄液(酢酸)含有のテレフタル酸ケーキとして回収される。そして、該ケーキを乾燥機108に導入し、乾燥したのち製品テレフタル酸となる。
分離された母液は反応母液貯槽110に一旦貯められ、反応溶媒調製用に循環使用される。また、分離テレフタル酸の洗浄は酢酸を用いて行われることが一般的であるが、その酢酸洗浄(排)液は一旦貯槽111に溜められるなどして、循環母液とともに反応溶媒調製用として再使用されることがある。
以上のように商業用芳香族カルボン酸の製造における連続酸化反応過程に要求される酸化反応の安定化には、反応溶媒の安定した調製が基本となり、その溶媒供給量と原料ジアルキル芳香族炭化水素供給量に対する割合(溶媒比)、そして、反応系内の酸化触媒の濃度と組成比、そして水濃度を安定にさせることが最も重要な課題となっている。さらに、反応系での温度、圧力、ならびに反応原料の滞留時間の安定が確保されることが必要となる。
それにも拘らず、水濃度、触媒金族および臭素の濃度ならびに組成比の変動する循環母液(水8〜15重量%、触媒金族と臭素の濃度および臭素の金属比の変動)と水濃度の変動する酢酸(新/回収酢酸、水2〜10重量%、)を用いて反応溶媒を調製し、その反応溶媒は、還流凝縮液の一部抜き出し量とのバランスの中で、反応系内での安定した溶媒比(原料ジアルキル芳香族炭化水素供給量との割合)と水濃度、酸化触媒の濃度と組成比になるようにアバウトな調製がなされ、供給されることに課題がある。
そして、そののち、酸化反応系内での温度、排ガス中の酸素濃度などを如何に反応条件を安定化させるかに課題がある。
本発明の目的は、上記課題を解決すべく、初めて酸化反応の進行を安定化させ、品質の安定した製品ジカルボン酸を生産することができ、ならびに省資源化ならびに省エネルギー化された酸化反応を継続することができる芳香族ジカルボン酸の連続製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、コバルト、マンガンおよび臭素からなる触媒の存在下の酢酸溶媒中、ジアルキル芳香族炭化水素を分子状酸素含有ガスで液相酸化して芳香族ジカルボン酸を製造する方法において、
生成ジカルボン酸を分離した母液の少なくとも一部と酢酸とを用い、所定の触媒濃度になるように、コバルト化合物、マンガン化合物および臭素化合物を加えて、反応溶媒を反応溶媒調整槽で調製する調製工程と、
該調製工程で調製された反応溶媒を原料ジアルキル芳香族炭化水素の2.5〜4重量倍の割合で、該原料ジアルキル芳香族炭化水素とともに酸化反応槽に連続的に供給し、同時に分子状酸素ガスを前記酸化反応槽に吹き込み、前記酸化反応槽において液相状態で酸化反応を行う酸化反応過程と、該酸化反応過程での酸化反応の進行とともに、反応温度を維持するために前記酸化反応槽から発生する蒸気混合の反応排ガスを冷却し、該冷却された反応排ガスの凝縮液から少なくともその一部を抜き出し、残りを前記酸化反応槽に還流する凝縮・冷却過程と、該凝縮・冷却過程で少なくとも一部を抜き出した抜き出し液中の水濃度を測定したのち、その濃度が所定値になるように、前記抜き出し量を調節する抜き出し量調節過程と、該抜き出し量調節過程での抜き出し量の調節と同時に該抜き出し量にリンクされた相当量の酢酸を新たに前記酸化反応槽に別途ラインから供給する供給過程とを有する酸化反応工程とを有し、
該酸化反応工程において前記酸化反応槽での酸化反応により生成された反応混合物を前記酸化反応槽の液面制御により連続的あるいは間歇的に抜き出して生成テレフタル酸を得ることを特徴とする。
また、本発明は、前記酸化反応工程の凝縮・冷却過程において、前記酸化反応槽から発生する蒸気混合の反応排ガスの冷却を2つ以上の凝縮・冷却器を直列に連結して用い、該夫々の凝縮・冷却器からの凝縮液を前記酸化反応槽に還流し、最終段の還流凝縮液の少なくとも一部を抜き出すことを特徴とする。
また、本発明は、前記調製工程において、循環供給される母液中のコバルト、マンガン、臭素の濃度を予め測定し、該測定された母液中のコバルト、マンガン、臭素の濃度に応じて必要量のコバルト、マンガン化合物溶液と臭素化合物溶液を補充して、コバルト、マンガン、臭素の所定量含有の反応溶媒を調製すること特徴とする。
また、本発明は、前記調製工程において、複数の反応溶媒調整槽を用いて調製することを特徴とする。
また、本発明は、前記酸化反応工程の酸化反応過程において、前記調製工程で調製された反応溶媒を、前記原料ジアルキル芳香族炭化水素の2.5〜4重量倍の割合で、前記原料ジアルキル芳香族炭化水素と均一に混合して前記酸化反応槽に供給することを特徴とする。
また、本発明は、前記酸化反応工程において、更に、前記酸化反応槽の圧力を調節することにより前記酸化反応槽の反応温度を制御する反応温度制御過程を有することを特徴とする。
また、本発明は、前記反応温度制御過程において、前記酸化反応槽の圧力を調節することは、前記凝縮・冷却過程で得られる反応排ガスの凝縮液から気液分離器において分離された非凝縮性の反応排ガスについて高圧ガス吸収塔でガス洗浄が行われた排ガスの圧力を調節することであることを特徴とする。
また、本発明は、前記酸化反応工程において、更に、前記酸化反応槽に供給される酸素含有ガスの供給量を調節することによって、前記酸化反応槽から排出される排ガス中の酸素濃度を8容量%以下の所定濃度に制御する酸素濃度制御過程を有することを特徴とする。
また、本発明は、前記酸素濃度制御過程において、前記酸化反応槽から発生する蒸気混合の反応排ガスを凝縮・冷却器で冷却した後に気液分離器に導き、該気液分離器で分離された非凝縮性の反応排ガス中の酸素濃度を制御することを特徴とする。
本発明によれば、システムの構築とその制御によって、初めて酸化反応の進行を安定化させ、品質の安定した製品ジカルボン酸を生産することができ、ならびに省資源化ならびに省エネルギー化された酸化反応を継続することができる。中でも、製品品質の安定は、後続の精製装置、重合装置の安定化に大きく寄与し、夫々の製品品質の均一性が最も大きな効果となって現れる。そして夫々の装置の製品収率、ならびに省資源化の向上が図られることとなり、総合的に効率的生産方法となる効果は大きい。
また、本発明によれば、本酸化反応装置に対する直接的効果として、酸化反応に使用される酸化触媒、酢酸溶媒ならびに酸素含有ガスなどの変動による過剰な反応を抑え、製品収率が安定し、適正副資材とそれに伴う電力、蒸気エネルギーの変動も少なくなり、効率的ジカルボン酸の生産が可能になる。
特に、アルキル芳香族炭化水素の酸化反応では一般に生成カルボン酸の品質と反応溶媒となる酢酸の燃焼損失とは二律背反の関係にある。そのため商業生産では溶媒酢酸の燃焼損失の少ない反応領域で実施することを目標として、目標品質のカルボン酸を安定して生産することが望まれる。
例えば、図4に商業生産でのp−キシレンの酸化反応における製品テレフタル酸の純度(反応中間体である4−CBA含有量)と溶媒酢酸の燃焼損失量の関係の一実施例をプロットしたが、テレフタル酸純度の向上(4−CBA含有量の低下)は酢酸の燃焼損失量の上昇を招く関係にある。そのため、同一規格の4−CBA含有量のテレフタル酸を生産するにあたって、生産されるテレフタル酸の4−CBA含有量の安定(またはバラツキ)が生産の経済性を左右することになる。
具体的には、4−CBA生産規格が3,000ppmであるケースにおいて製品4−CBA含有量のバラツキが±500ppmである不安定な生産工程では、4−CBA含有量を2,500ppm(酢酸の燃焼損失量:約43kg/tonTA)を目標として生産しなければならない。しかし、バラツキが±100ppmの安定した生産が可能となれば、2,900ppm(酢酸の燃焼損失量:約41kg/tonTA)を生産目標として運転することができ、製品品質の安定と酢酸の燃焼損失量の低減の効果が現れる。
そして、それらを従来の装置を大きく改造することなく、分析ヶ所とその頻度の増加および調節設定器の設置と配管系統などの制御システムの変更のみによって達成される。
以上説明したように、商業生産における適正資材、適正エネルギーによる安定した生産は、製品の均質性による品質の向上をもたらし、生産コストの低減となり、大規模生産とともにより大きな効果となる。
本発明に係る芳香族ジカルボン酸の連続製造方法の実施の形態について図面を用いて説明する。
本発明者らはこれら酸化反応に影響を及ぼす多数の因子とその影響について解析し、安定した連続酸化反応を継続するには、安定した反応溶媒の調製と供給について検討を行い、さらに、その酸化反応においての系内の安定化に一義的に反応を制御できる方法について検討を重ねた。その結果、商業用芳香族ジカルボン酸生産装置において安定した連続酸化反応を遂行するには、反応溶媒の調製には、その量と含有酸化触媒の濃度とその組成比の調整に限定し、水濃度は供給溶媒中の濃度の如何に拘らず、反応系内において直接以下のシステムで調整する方法によって解決した。そして、反応温度、排ガス中の酸素濃度などの他の反応因子を以下のプロセスシステムならびにその制御システムを構築することによって到達した。
次に、本発明に係るプロセスシステムならびにその制御方法の一実施の形態について図1を用いて述べる。
(1)反応溶媒調製槽1では所定の溶媒量を、流量設定器FFC1による反応母液貯槽10からの母液と酢酸(新/回収酢酸25)とを配分した設定量にしたがって供給され、反応溶媒を調製する。なお、流量設定器FFC1の設定量は反応溶媒調製槽1から酸化反応槽2に供給される流量調節計FC5による溶媒供給量の情報から設定される。
そして、同時に、循環母液中に酸化触媒の夫々の濃度を分析計(分析位置)A1で測定し、流量設定器FFC1からの循環量情報と合わせて、分析値−流量設定器AFC1により、反応溶媒中の酸化触媒を所定の濃度と組成比になるように流量調節計FC4、FC3を調節して触媒金属化合物23、臭素化合物24を夫々加えて調製する。
しかし、上記した通り、この方法では固液分離機7で分離された分離母液の酸化触媒および水の濃度は洗浄(排)液の含有程度によって変動し、また、反応活性の程度によって臭素の触媒組成比が変動する。そして、上記分離母液と酢酸の調製割合によって酸化触媒と水の濃度が変わり、また、調製酢酸の水濃度の変動(高圧ガス吸収塔5からの洗浄酢酸26の含有割合にもよる)によっても調製溶媒の水濃度が変わってくる。そのため、本発明では、反応溶媒調製槽1では酸化反応槽2内での所定の溶媒量(または溶媒比、溶媒/原料ジアルキル芳香族炭化水素重量比=2.5〜4)と酸化触媒(重金属および臭素)濃度とその組成比(以下総称して触媒濃度と称す)のみの調製を行い、水濃度に注目することのないフィードフォワード方式の制御、調製とする。
なお、反応溶媒中の酸化触媒の濃度を分析計(分析位置)A2での測定によって、その安定度が確認できるが、触媒濃度変動の測定時間遅れ、また、反応溶媒調製槽1の相対容量が小さい(滞留時間が短い)などにより、循環母液などの触媒濃度変動を安定化しきれない場合には図2に図示したように、反応溶媒調製槽を1Aと1Bの2槽を設け、反応溶媒調製槽1Aを触媒濃度の粗調製、反応溶媒調製槽1Bを触媒濃度の微調製と言った触媒の再調製システムをとれば、反応溶媒量とその触媒濃度の安定化をより図ることができる。即ち、反応溶媒調製槽1Aで調製された溶媒を反応溶媒調製槽1Bに供給するに際して、触媒濃度を分析位置A1Bで測定し、さらに分析値−流量設定器AFC1Bの設定量により、同調製槽1Bにおいて流量調節計FC4B、FC3Bを調節して触媒金属化合物および臭素化合物を、必要によっては流量調節計FC2Bを調節して酢酸25を供給して調製するフィードフォワード方式の濃度調製を2重に行うことによって、調製精度の向上を図る。
その際においても溶媒量(溶媒比)を安定して供給するために、溶媒供給量は流量設定器FFC2の設定した流量を優先させた溶媒調製槽1Aおよび1Bでの溶媒量の調製を行う方法を取ることが好ましい。例えば、溶媒調製槽1Bの液面制御LIC2に合わせて溶媒調製槽1Aからの供給量の調節を行うなどの方法を取る。
(2)反応溶媒調製槽1に調製された所定の触媒濃度の反応溶媒と、原料ジアルキル芳香族炭化水素供給量基準(ジカルボン酸生産量から設定)の所定溶媒量とを流量設定器FFC2の設定値により流量調節計FC5、FC6を調節して供給し、原料ジアルキル芳香族炭化水素22の供給と混合あるいは個別に酸化反応槽2に供給される。なお、原料ジアルキル芳香族炭化水素22と反応溶媒とは夫々の所定量を混合したのち酸化反応槽に供給されることが反応の安定化には好ましく、個別の供給であっても酸化反応槽2に導入される前に、別途混合槽、ラインミキサーなどにより均一に混合されることが好ましい。
以上のシステムにより、所定濃度の酸化触媒を安定して含有した反応溶媒を、原料ジアルキル芳香族炭化水素の供給量に対して安定した供給量(溶媒比)で供給するシステムとなる。
これによって、酸化反応系内に想定される原料に対する溶媒量(溶媒比)ならびに触媒(金属および臭素)濃度を酸化反応槽2への供給前に設定され、それぞれを一義的に調節しながら供給することができる。これらの制御によって反応溶媒の量ならびに触媒濃度を安定化し、酸化反応の安定化を図る第一の方法とすることが出来る。
(3)次いで、酸化反応系内の水濃度は、反応溶媒中に供給される水に加えて、酸化反応からの生成水とにより形成され、その濃度の絶対値は供給溶媒中の水濃度とその供給溶媒量(溶媒比)などによって異なるが、そのままでは酸化反応系内の水濃度は約15〜25重量%となると予想される。そのため、この酸化反応の進行を阻害する系内での水濃度が低濃度に安定化することが次の重要な要因となる。
そこで、本発明者らは、図3に示すように、還流凝縮液の水濃度と反応系内(反応母液中)の水濃度に密接な関係があることを見出し、還流凝縮液の水濃度を制御することによって反応系内水濃度を調節できることを見出した。
即ち、気液分離器4の下部から一部抜き出される還流凝縮液の水濃度を分析計A3で測定したのち、例えば分析値−流量設定器AFC3において酸化反応系内の水濃度を推定し、流量調節計FC9を調節して抜き出し量を調整する方法である。
上記還流凝縮液の組成は酸化反応系から発生する蒸気の凝縮液であり、該発生蒸気の組成、即ち、水濃度は反応系の水濃度(反応母液の水濃度)と直接相関し、系内水濃度を知る最も迅速な方法であることが分かった。
そして、供給反応溶媒に含有される水に係わらず、供給溶媒中の水と反応生成水とからなる酸化反応系内の水濃度を還流凝縮液の水濃度の測定から迅速に推定したのち、流量調節計FC9を調節してその水含有の還流凝縮液の抜き出し量を調節することによって、酸化反応系内の水濃度を直接調節することができる。
一方、分析値−流量設定器AFC3によって設定された、その抜き出し量とリンクされた相当量の酢酸(新/回収酢酸)21を、流量調節計FC8を調節することにより酸化反応系に供給し、水含有量の異なる酢酸の反応系への出し入れによって連続的に溶媒置換を図る。そのため、上記溶媒調製槽1から供給の設定された反応系での溶媒量(溶媒比)を維持し、酸化触媒の濃度の維持と安定化も図ることが出来る。
なお、その抜き出し凝縮液の水濃度を分析計A3で直接、迅速に測定する方法(電気伝導度法、おるいは分光光度法)あるいはそれらをオンライン分析計による方法が好ましく、その測定結果に基づき自動あるいは人的に、その抜き出し量を分析値−流量設定器AFC3にて設定することになる。そして、供給される抜き出し量にリンクされた相当量の酢酸とは、抜き出し量と同量であることが単純で容易な制御法であるが、反応系内の溶媒量(溶媒比)などを考慮して、抜き出し量に対して供給原料炭化水素の±0.5重量倍の範囲、好ましくは±0.2重量倍の範囲を増減させた量を供給させることは可能である。しかし、何れの酢酸の供給量においても抜き出し量にリンクさせた安定した供給でなければならない。
従って、本発明では、供給溶媒中の水濃度また反応生成水に煩わされることなく、反応溶媒の調製は酸化触媒の濃度ならびにその供給量(溶媒比)の安定化を図って酸化反応系に供給する。そして、系内で還流している凝縮液を抜き出し、その水濃度を分析位置A3で測定したのち、その水濃度と反応系内の水濃度の関係の把握に基づいて、抜き出し量を分析値−流量設定器AFC3で設定して抜き出す。さらに、その流量設定器AFC3にリンクした相当量あるいは同量の酢酸(新/回収酢酸)21を酸化反応槽2に別途ラインから供給する。
この方法は、還流凝縮液中の水濃度のみに注目した一意的制御であり、反応溶媒の供給量ならびにその水濃度の関係することなく反応系内の水濃度を安定させて酸化反応を行わせることが可能となる。
なお、反応系内の水濃度(反応母液の水濃度)と還流凝縮液の水濃度の相関に関しては、本発明者らが用いた商業装置での反応母液と還流凝縮液との間には図3に示す相関が見られた。これは図1のフローに示す2基の凝縮・冷却器3A、3B(なお、3Aは蒸気発生器であり、3Bは水冷部である。)を直列に設置し、その夫々からの凝縮液を還流するシステムとした酸化反応系を用い、1段目凝縮還流液および後段の2段目還流凝縮液の夫々の一部を抜き出し、その抜き出し液の水濃度と分離母液(反応母液と想定)中の水濃度を測定・プロットしたものである。
この図から反応母液中の水濃度と還流凝縮液中の水濃度に相関は、2段目還流液の方が水濃度が高く、より安定した水濃度の凝縮液を抜き出すことになることが想定された。
これら相関から酸化反応槽2に設置された凝縮・冷却器3A、3Bの構造とその凝縮液の抜き出し方法によって異なる関係にあることが想定され、2段以上の複数段による凝縮・冷却器を用いて最終段の還流を抜き出す方法により高濃度の水を安定した濃度で抜き出すことが出来ることが分かった。そして、抜き出し量にリンクされた供給酢酸との水濃度の差を考えれば、少ない抜き出し量で制御することができ、2段以上の凝縮・冷却器は効率の良い制御法であると言える
以上のように、酸化反応槽2へは、原料ジアルキル芳香族炭化水素22の所定量の供給と酸化触媒濃度の調製された反応溶媒を所定量の割合で安定して供給し、供給溶媒中の水含有量に拘らず、反応系内の水濃度は酸化反応槽2における凝縮液の抜き出し液の水濃度で調節することによって、直接反応系の水濃度の調節を行ない、酸化反応における反応系内の組成(原料炭化水素、酢酸、水、)ならびに触媒濃度と言った静的条件の夫々を一義的に安定化するよう制御することができるようになる。
(4)次に、酸化反応槽2への酸素含有ガス30の供給によって反応が進行、継続されるが、反応に過剰な余剰酸素は反応排ガス中の酸素濃度として排出される。その排ガスの安全性確認のため分析計A0でその濃度が測定、確認されているが、該排ガス中の酸素濃度が生成テレフタル酸の純度の向上に資するものとして、排ガス中の酸素濃度を特定範囲(1.5〜6容量%)にすることが、反応系内の反応活性を検知する重要な要因でもある。そのため、排ガス中の酸素濃度を分析計A0で測定し、その濃度の安定化が酸化反応性能を安定化させる一つの要因でもあることから、排ガス中の酸素濃度を反応系への吹き込み酸素含有ガスの供給量で制御する方法をとることが好ましい。
従来、排ガス中の酸素濃度(反応活性)は反応系内の触媒、水と言った系内組成の変動に影響され、一義的に供給ガス量での制御は困難であったが、上記したように、反応系内の静的条件の安定化が図られることにより、排ガス中の酸素濃度はほぼ反応系への吹き込み酸素含有ガス量との間に一義的な関係が見られ、制御できるようになった。
従って、分析計A0の測定に基づく酸素濃度を±0.5容量%のバラツキの範囲に、好ましくは±0.2容量%のバラツキの範囲に、流量設定器AFC2で酸素含有ガス供給量を調節することが好ましいこともわかった。
(5)酸化反応槽2での温度は反応活性を支配する最も大きな因子であるが、反応系を直接加熱、冷却する装置を持たない本酸化反応では、反応熱除去のため発生する蒸気と反応系外に排出する排ガスとの蒸気混合ガスの発生による圧力バランスによって熱バランスが取られている。そのため、所定圧力の保持によって酸化反応が行われてきた従来の商業用生産装置では、反応系から発生する蒸気の量とその含水割合、排ガス量など変動によりその温度―圧力関係に変動が生じるため、反応温度の安定に苦慮していた。
しかし、前記したように、反応系内の静的条件面での安定化が図れるようにすることにより、圧力制御による商業生産装置においても温度−圧力関係における変動が少なくなるが、より好ましくは反応温度を圧力でもって一義的にコントロールする方法が好ましく、より温度の安定化が図られることになる。
従って、本発明では、温度指示計TIによって計測される酸化反応槽2の温度を、その他の因子に影響されることなく、圧力設定器TPC1により高圧ガス吸収塔5の出口圧力(酸化反応槽2の圧力に相当する)を圧力調節計PIC1を調節することにより一義的に制御し、反応温度の安定を図るものとなる。
(6)さらに、酸化反応の生成物に影響を与える因子として反応時間がある。酸化反応槽2での反応時間は、反応原料混合物が供給されたのち、該酸化反応槽2の底部から抜き出される反応生成混合物の平均的には滞留時間に相当する。そのため、生産装置として設定された反応原料混合物(原料ジアルキル芳香族炭化水素と反応溶媒)の供給に対する反応槽内での反応容量の割合が滞留時間に対応するため、反応容量の安定が重要である。
従って、本発明では、上記(2)の反応原料混合物の安定して供給したのち、酸化反応槽2の反応容量を液面指示調節計LIC1の計測と該酸化反応槽2の底部の流量調節計FC10の排出弁による液面の定位置制御により、反応容量、ひいては反応時間の安定が図ることができる。
なお、反応液面の定位置制御は反応生成物の連続抜き出し、あるいは反応生成物スラリーの円滑な流動性の面からの間歇的な抜き出しによって行われる。
以上説明した通り、本発明は、酸化反応に複雑に絡み合った数多くの影響因子を夫々を一義的に制御可能な方式とし、上記(1)、(2)、(3)に記載の静的条件因子の安定化を図るともに、上記(4)、(5)、(6)に記載した吹込み酸素含有ガス、反応温度などの酸化反応の動的条件による活性因子の夫々をその他の因子に影響されることなく制御し、これらの全ての条件因子を安定化させることによって始めて本酸化反応を安定して継続することができ、効率的なジカルボン酸の連続生産を可能にするものとなる。
中でも、反応系内の水濃度を還流凝縮液の水濃度の測定・制御によって一義的に制御を可能にしたことは酸化反応の安定化と効率化に大きく寄与した。
以上のように、連続酸化反応の諸条件を安定化することにより生成された反応生成混合物には均一な品質の生成ジカルボン酸が酸化反応槽2から排出され、引き続き2段目の酸化反応(図示せず)、晶析槽6による晶析、固液分離機7による固液分離、乾燥機8による乾燥などの連続した後処理工程へと流れて安定して処理され、製品ジカルボン酸(製品テレフタル酸)40および分離母液の循環使用ならびに酢酸の回収が、図8に示された従来のシステムを大きく変えることなく実施することができ、均一な製品を効率よく生産することが出来る。
次に、本発明に係る芳香族ジカルボン酸の連続製造方法を実施するにあたっての詳細な条件について説明する。
上記したように、本発明に係る酸化反応槽2での酸化反応は、コバルト、マンガンおよび臭素からなる酸化触媒の存在下、酢酸を溶媒として分子状酸素ガスによって液相状態でジアルキル芳香族炭化水素を酸化して、芳香族ジカルボン酸を生産するものであり、各種反応条件で行うことができ、それら酸化反応における諸条件の夫々を設定目標とし一義的に制御することのできるシステムを構築、その調節と制御によって安定した酸化反応を連続して行い、該ジカルボン酸の生産を行うことにある。
中でも、本発明は、供給溶媒の水濃度に拘らず、反応系内の水濃度を酸化反応槽2の還流凝縮液の抜き出しと分析計A3で計測される還流凝縮液の水濃度で制御するシステムを構築し、反応阻害物質である水を一義的にコントロールすることにある。
先ず、酸化反応に使用される酢酸溶媒は、原料ジアルキル芳香族炭化水素22に対し約2重量倍以上を用いた状態で酸化することが出来るが、反応後冷却され、生成混合物スラリーが配管輸送などのハンドリングなどでトラブルを起こさない量にする必要であり、また、反応系での酢酸の燃焼損失(図4に示すように酢酸燃焼損失量が40〜42kg/ton TA)と言った観点からは(酢酸の損失量はジカルボン酸に対して換算される。)低い溶媒量で実施することが好ましい。そのため、本発明を実施するには原料ジアルキル芳香族炭化水素22に対して2.5〜4重量倍、好ましくは2.5〜3.5重量倍の範囲の溶媒量を使用することになり、それらの比率を変動することなく、一定量での供給を維持することが必要であるが、実際はその変動幅を数%のバラツキの範囲で制御し、供給することが好ましい。
そして、反応溶媒調製槽1(1A、1B)において、溶媒の調製には循環される分離母液が使用されるが、その循環母液の量は反応溶媒に対して全部あるいは全く用いなくても実施可能であるが、通常は40〜95重量%の割合の母液が使用され、不足の割合の量を新/回収酢酸25で補充して調製される。本発明ではこれらの調製割合の変動は何ら問題ないが、調製された反応溶媒量として安定して制御されねばならず、原料ジアルキル芳香族22に対する比率(溶媒比=溶媒量/原料ジアルキル芳香族炭化水素)は流量設定器FFC2で安定した調節がなされる。
反応に使用される酸化触媒には、触媒金属23としてコバルト、マンガン、ニッケル、クロムなどの重金属を用いることが出来るが、商業的に循環使用される母液中の金属成分としてはコバルト、マンガンからなる触媒金属が好ましく、本発明ではコバルト、マンガン金属が用いられる。そして、その循環母液の調製割合に拘らず、コバルト成分をその調製溶媒に対して0.02〜0.2重量%を使用し、マンガン成分をコバルト成分に対して1〜150重量%の割合に、さらに臭素成分を触媒金属(コバルト+マンガン)量に対して0.5〜5重量倍の割合に、補充用の金属化合物ならびに臭素化合物を用いて安定して調製される。
これらの濃度範囲の中で、反応温度、反応滞留時間などの他の条件との組み合わせで生成物の収率ならびに品質などから夫々コバルト、マンガン、および臭素の濃度を設定して各装置で実施されているが、その設定した夫々の濃度を安定して調製される。そしてその安定性はそれぞれの濃度ならびに組成比に対して数%程度のバラツキの範囲に調製されることが好ましい。
また、循環使用される分離母液には、洗浄(排)液貯槽11から生成ジカルボン酸の洗浄(排)液が混入するが、その混入割合の変動により触媒濃度の変動が起ることがあっても、その都度、反応溶媒としての酸化触媒濃度の変動が起らないよう安定して調製される。
補充する触媒金属化合物は酢酸塩ならびにナフテン酸塩の形で、臭素化合物には触媒金属塩ならびに他の無機元素を含まない化合物として用いられるが、本発明では金属成分には酢酸塩あるいは臭化物として、臭素成分には臭化水素酸が用いられる。そして、その補充、調製を容易にするため夫々を水あるいは酢酸に溶かされ、溶液として用いられ、取り扱いにおいても好ましい方法となる。
なお、反応母液中のコバルト、マンガンの濃度は、生成水による希釈などのため、供給溶媒中のコバルト、マンガンの濃度より低濃度となることはあるが、コバルトに対するマンガンの組成比は通常変わらず回収される。しかし、臭素は酸化反応の活性により供給量の約15〜60重量%の割合で消失するため、供給溶媒中の臭素の濃度より20〜70%の濃度低下された臭素の濃度を有する母液が回収されることになる。そのため、それら補充用触媒の夫々の化合物溶液は、触媒金属溶液として、コバルトとマンガンは同一溶液に溶解し、コバルト成分で約3〜8重量%、マンガン成分とコバルト成分との組成比は調製反応溶媒と同一組成比に調製しておくと、その後の補充、調製が容易となる。また、臭素溶液は市販の工業用臭化水素酸(47重量%HBr(水)溶液)をそのまま補充、調製用とされる。
これらの酸化触媒の濃度調製には、図1および図2で述べたように循環使用される母液中の酸化触媒の濃度を分析計A1で測定し、分析値−流量設定器AFC1により流量調節計FC4、FC3を調節して補充量を迅速に対応することにより酸化触媒の濃度調製の安定化に繋げなければならい。そのため、試験室などにおける定期的測定の頻度の増加と測定時間の短縮とその調製に迅速に対応する方法を取ってもよいが、酸化触媒の調製が酸化反応の安定化に重要な要因の一つであるため、オンラインによる自動分析とそれの接続により自動調製をすることの方が好ましい。自動分析計A1、A2としてはコバルト、マンガンおよび臭素を同時に測定できる蛍光X線分析法によるオンライン分析計(例えば、米国SPECTRO社製 On-Line Catalyst Analyzer)が用いられ、その補充量を流量調節する方法が取られることが好ましい。
次に、反応溶媒調製槽1(1A、1B)で調製された反応溶媒を原料ジアルキル芳香族炭化水素22との割合(2.5〜4重量比)で酸化反応槽2に安定的に供給され、同時に酸化反応槽2の底部より酸素含有ガス30が連続して供給され、酸化反応が行われる。その供給に空気を用いる場合には原料ジアルキル芳香族炭化水素に換算して約3.5Nm3/kg以上で行われるが、分析計A0で計測される排ガス中の酸素濃度が8容量%以下になるように分析値−流量設定器AFC0により流量調節計FC7を調節して空気供給量が制限される。本発明では、さらに排ガス中の酸素濃度を2〜5容量%の範囲の一定容量%に維持するように酸素含有ガス供給量が調節されることが好ましい。そして、その排ガス酸素濃度における安定性をその濃度で約±0.5容量%のバラツキ内にとどめるよう酸素含有ガスの供給量で制御される。
次いで、本酸化反応では生成水などの水は酸化反応阻害物質であることは周知の通りであるが、本発明では、供給溶媒の含水量に拘らず、反応系内水濃度を、上記したように凝縮還流液の水濃度の測定と、その抜き出し量とによって制御される。凝縮還流液の水濃度の測定は分析計A3によって行われ、凝縮還流液の抜き出し量は分析値−流量設定器AFC3による流量調節計FC9の調整によって制御される。商業用生産で実施される反応系内水濃度(あるいは母液中の水濃度でもある)は通常約8〜14重量%の範囲で調製されるが、本発明ではその濃度を一定濃度に安定して制御することにあり、その制御範囲は濃度で±1重量%以内の変動、好ましくは±0.5重量%以内の変動に抑えられるように行われることが必要である。
そのため、本発明では、設定された水濃度の反応母液に調節するには、凝縮還流液の水濃度を分析計A3で測定し、目標の水濃度になるようその抜き出し量を流量調節計FC9により調節することにある。該目標の水濃度とは、還流液の水濃度と反応母液の水濃度との関係において反応母液の目標水濃度から例えば分析値−流量設定器AFC3によって設定されるものである。
その対応関係は図3に示したように、還流液の水濃度と反応母液の水濃度に相関が見られることから、凝縮・冷却器3A、3Bの装置構造および凝縮還流液の抜き出し位置などの酸化反応装置システム特有の相関がある。中でも図3に見られるように、2段目3Bの還流液の水濃度と母液中の水濃度をプロットした〇印とその相関ライン(実線)の関係は安定した相関と還流液の水濃度が母液の水濃度に比べて2.5〜3.5倍に濃縮した水濃度となるため、還流液中の水濃度の制御はより安定した反応系の制御を可能とする。
例えば、系内水濃度を上記±0.5重量%以内の制御を行うには、還流凝縮液の水濃度で約±1重量%以内を目標に流量調節計FC9による調節が行われることになる。このように2段以上に分けて凝縮液を還流させ、最終段から抜き出すシステムでは測定値に対する制御の安定性がより高まり好ましい方法となる。
従って、本発明を実施するにあたっては、酸化反応槽2の凝縮還流液を少なくとも2段階(3A、3B)に分け還流させ、後段還流液(最終段凝縮液)の水濃度を分析計A3及び分析値−流量設定器AFC3により管理してその凝縮液の抜き出し量を流量調節計FC9により制御することが好ましい。
また、管理目標となる水濃度は酸化反応槽2および凝縮・冷却器3A、3Bの構造ならびにシステムなどにより、反応母液との相関関係が変わってくると考えられるが、管理目標となる数値は反応母液中の水濃度で±1重量%、好ましくは±0.5重量%の範囲の安定した反応が行われる。
さらに、本発明では凝縮還流液の水濃度を分析計A3で迅速に測定し、流量調節計FC9による抜き出し量の調節ならびに流量調節計FC8による酢酸の供給制御に結びつけなければならないが、水濃度のオンライン自動分析計を用いて、その測定結果に基づいて夫々を調節、制御をすることが好ましい。凝縮還流液は酢酸と水が主成分であるため、自動分析計A3には特定波長の光の吸収を測定する光学的測定器(例えば、島津社製 Photometric Analyzer)あるいは電気伝導度で測定することが出来る。
一方、上記したように、抜き出された凝縮還流液に対して、反応系内の溶媒量を安定に保持するため、別途溶媒酢酸の相当量が反応系に供給されるが、その量は抜き出された凝縮液量と同量であることが調節を容易にし好ましい。しかし、反応系の溶媒比を大きく変化させることのない量、例えばp−キシレン22の0.5重量倍以内の量を、上記の同量の量から変化させて調節することには問題はない。
但し、何れのケースにおいても、変動のない(安定した)抜き出し量と供給量が維持され、系内の溶媒の持続した安定が保持されなければならない。
次いで、酸化反応の安定した進行において重要な因子である温度は185〜210℃の範囲で行われるが、その制御範囲は±1℃範囲、好ましくは±0.5℃範囲の安定した温度を目標とする。本発明では上記したように、従来実施されていた定圧制御法ではなく、温度指示計TIで測定される温度に基づいて温度−圧力設定器TPC1で設定される圧力を基に圧力調節計PIC1で調節される圧力コントロールによる定温反応を安定して実施することになり、上記の温度範囲および制御範囲に保持することとなる。
そして、反応の安定した継続にもう一つの重要な因子の反応時間、即ち、本酸化反応では反応槽内での平均滞留時間は約30分〜3時間の間で行われ、上記したように生産量が設定された酸化反応槽に対しては液面指示調節計LIC1で測定される液面での流量調節計FC10による位置制御で滞留時間の安定を維持される。そのため反応生成混合物の順調な排出流れが確保されなければならない。
そのため、酸化反応槽2から排出された反応生成混合物は、2段目の反応槽(図示せず)ならびに晶析槽6、固液分離機7などの後処理システムならびに装置によって安定して処理が行われる必要があり、機器のトラブルなど安定した生産が阻害されることは避けられるべきである。
以上述べてきた本発明に係る制御システムの構築にあたって、各分析計(分析位置)A1〜A3、流量設定などの設定器FFC1、FFC2、AFC0、AFC1,AFC3は、酸化反応の性格上迅速に制御することが好ましく、自動分析計あるいは自動設定制御が好ましいが、必ずしも自動である必要はなく、分析頻度を増加などして、人的判断、労力を介在した制御によって、酸化反応を安定化されることが出来ればその限りではない。
更に、本発明に係る制御システムにおいて、気液分離器14において凝縮液が分離された非凝縮性の反応排ガスは、ガス分析計A0を用いて、反応排ガス中の酸素濃度を測定、安全性を確認したのち、高圧ガス吸収塔5に送られる。そして、該高圧ガス吸収塔5では酢酸33、次いで水32を用いてガス洗浄を行い、反応排ガス中に含有している蒸気状の酢酸、p−キシレン、酢酸メチルなどの含有成分を吸収、除去したのち排ガス31として大気に放出される。
上記高圧ガス吸収塔5の下段の吸収・洗浄に用いた酢酸の洗浄(排)液は反応溶媒調製用の酢酸26として再使用できるが、上段の吸収・洗浄に用いた水洗浄(排)液は脱水蒸留塔12に移送され、酢酸36が回収される。
なお、反応排ガスの圧力は高圧ガス吸収塔5の出口まで保持され、その排出ラインの圧力指示調節計PIC1によって酸化反応槽2の圧力として調節される。
また、抜き出された凝縮液は水濃度が高いため、直接脱水蒸留塔12に移送され、酢酸36が回収されているのが通常である。
さらに、商業用テレフタル酸の製造のプロセスには、循環使用されなかった余剰の反応母液などの酢酸含有液から酢酸を回収する後処理工程がある。それは反応母液貯槽10に残された(循環使用されなかった)分離母液および余剰の酢酸洗浄(排)液が、適時反応母液蒸発槽13に移送され、上部から酢酸などの蒸発留分(酢酸、水、p−キシレン、酢酸メチルなど)が回収される。
一方、上記蒸発槽13の底部からは母液に溶解していた不揮発分(酸化触媒成分、テレフタル酸、4−CBA(4−カルボキシベンズアルデヒド)、p−トルイル酸、安息香酸など)がスラリー状あるいはペースト状の残渣分35として排出される。そして、上記蒸発槽13の上部から回収された蒸発留分は主に酢酸と水であるため、酢酸を回収する脱水蒸留塔12に移送されたのち、底部から酢酸36が回収され、回収酢酸(水含有量2〜10重量%)として反応溶媒調製用、テレフタル酸結晶洗浄用などに循環使用される。
また、上記蒸留塔12の頂部からは水を主成分とした生成水34が留出されるが、僅かのp−キシレン、酢酸メチルなどが含有されるため、分離、回収などのさらなる後処理を行ったのち生成水は廃棄される。
なお、本製造工程の各セクションから回収される、高圧ガス吸収塔5の上段の水による洗浄(排)液などの低濃度酢酸含有水は、脱水蒸留塔12あるいは反応溶媒蒸発槽13に直接送られ、酢酸が回収され循環使用されるが、高圧ガス吸収塔5の下段の酢酸洗浄(排)液のように高濃度の酢酸排液(水約20重量%以下の酢酸)は反応溶媒調製用の酢酸として使用されることとなる。
次に、具体的実施例でもって本発明に係る実施の態様ならびにその効果について詳述する。なお、本酸化反応の安定性の効果を、生成された製品テレフタル酸中の4−CBA含有量で製品の均一性と反応の安定性を評価し、排ガス中のCO2(炭酸ガス)、CO(一酸化炭素ガス)含有量から、供給p−キシレン量をもとに生成テレフタル酸に対する溶媒酢酸の燃焼損失量に換算し、反応活性の安定した進行を評価した。
[実施例]
図1に示されたフローに基づいた装置システムを用いてテレフタル酸の連続生産をおこなった。
酸化反応設備として、回転攪拌機を備えた高圧の酸化反応槽2(直径3.1m、高さ6m、内容量約48m3)を用い、該酸化反応槽2の上部に、発生する反応排蒸気混合ガスの凝縮性成分を凝縮、冷却させるともに非凝縮性ガス成分を冷却させる凝縮・冷却器3A、3Bを設置し、凝縮液を2段階に分けて酸化反応槽2に還流させたのち、気液分離器4で分離された反応排ガス31を高圧ガス吸収塔5で洗浄して系外に排出する構造になっている。なお、凝縮・冷却器3の第1段目3Aは高温の反応排蒸気混合ガスと水と熱交換して蒸気を発生させる蒸気発生器になっており、第2段目3Bはこの排蒸気混合ガスをさらに水と熱交換させて凝縮と冷却させる構造である。そして、反応系からの生成水の抜き出しは、2段目3Bの凝縮還流液の一部を気液分離器4から抜き出すことの出来るようになったものを用いた。
先ず、反応母液貯槽10及び洗浄(排)液貯槽11から得られる、生成テレフタル酸を分離した反応母液あるいは分離テレフタル酸を酢酸洗浄した洗浄(排)液が混合された循環母液を230重量部/時と酢酸貯槽(図示せず)から新/回収酢酸25を70重量部/時の割合で反応溶媒調製槽1に連続し供給し、反応溶媒を調製した。その際、循環母液中のコバルト、マンガン、臭素を分析位置A1で測定し、反応溶媒調製槽1の反応溶媒中のコバルト、マンガン、臭素が夫々565ppm、275ppm、1470ppmになるように、分析値−流量設定器AFC1を通して補充用の触媒金属溶液(コバルト3.44wt%、マンガン1.67wt%)および47重量%臭化水素酸液の調節量を設定したのち、夫々から触媒を補充して触媒濃度を調製する。その時、反応溶媒調製槽1に調製された反応溶媒の組成および触媒濃度を分析位置A2の位置で測定を行い、確認をおこなった。なお、分析位置A1の測定は米国SPECTRO社製 On-Line Catalyst Analyzerを用いて自動分析を行い、測定値信号がディジタル型プロセス制御システムを通して設定器による自動制御が行われた。
次いで、p−キシレン貯槽(図示せず)からの原料p−キシレン100重量部/時と反応溶媒調製槽1からの反応溶媒300重量部/時との割合(溶媒比:3.0重量倍)で夫々を酸化反応槽2の供給ラインに設置されたラインミキサー(図示せず)に連続して供給し、混合しながら酸化反応槽2に供給する。同時に酸化反応槽2の下部に空気を約4.0Nm3/p−キシレンkgの割合で吹き込み反応を行った。そして、気液分離器4から得られる排ガス中の酸素ガス濃度(分析位置A0、オンライン酸素分析計)が3.5±0.5容量%になるよう空気吹き込み量をマニュアルにより流量調節計FC7を調節し、連続して酸化反応を行った。同時に、排ガス中のCO2、CO成分を測定し(分析位置A0、オンラインガス分析計)、酢酸燃焼損失量に換算した。
その間、酸化反応槽2の温度を195±1℃になるよう高圧ガス吸収塔5の出口圧力で圧力調節計PIC1で調節した結果、圧力14.1〜15.0kg/cm2Gの範囲でコントロールすることが出来た。また、酸化反応槽2に取り付けられた凝縮・冷却器3の2段目の還流凝縮液の一部を抜き出し、その凝縮液中の水濃度を分析位置A3で測定し、濃度が33wt%になるように、流量設定器AFC3の設定を通して凝縮液の抜き出し量を調節するとともに抜き出し量と同量の新/回収酢酸21の供給を行った。その時の凝縮液中の水濃度は分析位置A3で1時間毎に測定し、流量設定器AFC3でもって抜き出し量、酢酸供給量の調節を行った。
一方、酸化反応槽2で生成された反応生成混合物は酸化反応槽2に取り付けられたγ線液面計による液面指示調節計LICを35%(滞留時間約60分)に維持するよう排出流量を調節し、2段目の反応槽(図示せず:温度約188℃)に排出した。続いて図1のフローに従って晶析槽6、固液分離機7、ならびに乾燥機8を通して製品テレフタル酸40を得て製品サイロ9に貯蔵された。なお、固液分離機7には酢酸37が洗浄液として供給される。その間、約95℃まで冷却された晶析槽6の反応生成スラリーを分析位置A4でサンプル採取したのち、固液分離し、その分離母液を反応母液として水濃度ならびに触媒含有量を測定した。そして、乾燥機8から得られた製品テレフタル酸の4−CBA含有量を測定し、反応生成物の品質とした。
以上の連続した反応が定常に安定した時点を起点として120時間の間、夫々のデータを4時間毎に採取、測定した。
「反応溶液の組成(図5の実施例に供給溶液として、H2O、コバルト(Co)、臭素(Br)については示す。マンガン(Mn)は154〜187ppmの値を示した。)」は分析位置A2での確認測定値である。また、「反応母液の組成(図5の実施例に反応母液として、H2O、コバルト、臭素については示す。マンガンは248〜255ppmの値を示した。)」は測定位置A4での確認測定値であり、図6の実施例に示すように製品テレフタル酸の4−CBA含有量となった。そして酢酸燃焼損失量(12時間毎)を、対応する時点での4−CBA含有量とで図示したのが図4である。
これらの結果から、反応溶媒中の水濃度が変動しているにかかわらず、凝縮液抜き出し量を90〜130重量部/時と大きく調節することにより、その水濃度を32.5〜33.2wt%の濃度範囲にコントロールすることができ、図5の実施例に示すように、反応母液中の触媒濃度の安定も保つことが出来た。その結果、図4に実施例として示すように酢酸の燃焼損失量を低く抑えることができ、図4及び図7に実施例として示すように、得られた製品の4−CBA含有量も安定したものとなった。
[比較例]
図8のフローに示される装置システムを用いてテレフタル酸の生産を行った。なお、酸化反応槽102ならびにその他の装置は上記実施例と同じテレフタル生産装置を用いて行ったが、酸化反応を制御するための分析位置ならびにシステムは図8に示されるフローに従った。但し、酸化反応槽102の上部に設置された凝縮・冷却器103は図1に図示されている2段階還流方式による方法であり、凝縮液の抜き出しは2段目の還流液で行った。
先ず、反応原料混合槽101において、原料p−キシレンを100重量部/時間を供給し、同時に、反応母液貯槽110から生成テレフタル酸を分離した母液を230重量部/時間ならびに酢酸貯槽(図示せず)からの新/回収酢酸を220重量部/時間の割合で供給、混合し、約550重量部/時の反応原料混合液を調製した。さらに、コバルト濃度3.44重量%、マンガン濃度1.67重量%の補充用触媒金属溶液2.1重量部/時間と47重量%臭化水素酸を0.6重量部/時間との割合で反応原料混合槽101に加え酸化触媒の濃度をも調製した。
なお、今回実施した比較例では、上記新/回収酢酸には高圧ガス洗浄塔105の下段の酢酸洗浄(排)液を約50重量部/時間の割合でブレンドされた酢酸を用いたが、循環母液の触媒濃度の変動を抑えるため、固液分離機107において分離したテレフタル酸を洗浄した洗浄(排)液をブレンドした循環母液を使用することなく反応原料混合液(or反応溶液)の調製を行った。従って、洗浄(排)液は反応母液蒸発槽113に排出した。
上記に調製された反応原料混合液を550重量部/時間(p−キシレン:100重量部/時間、反応溶媒:450重量倍/時間)の割合で酸化反応槽102に供給し、同時に、空気を約4.0Nm3/時間/p−キシレンkgの割合を吹き込みながら、2段目の還流凝縮液を約110重量部/時間で連続して抜き出し、反応槽圧力14.5kg/cm2G、を維持して酸化反応を継続しテレフタル酸の生産を行った。
その際、酸化反応槽102に供給された反応原料混合液の組成および触媒濃度を分析位置A10で測定し、目標組成(p−キシレン:18.2wt%、コバルト:340ppm、マンガン165ppm、臭素:900ppm)から大幅なハズレのないことを確認した。その間、供給の反応原料混合液中の水濃度の測定結果から凝縮液の抜き出し量を105〜120重量部/時間の範囲で変化することがあったが、反応温度TIは193〜199℃の間で変動し、排ガス中の酸素濃度(A11)は2.3〜4.4容量%の間で変化した。同時に前記と同様、排ガス中のCO2、CO成分の測定結果(A11)から酢酸燃焼損失量をも算出した。
なお、反応槽102に取り付けられたγ線液面計は45%(滞留時間約60分)に維持するように液面指示調節計LIC10で反応生成混合物を2段目の酸化反応槽(図示せず、温度約185℃)へ抜き出した。続いて上記実施例と同様に晶析槽106に反応生成スラリーを得てのち、反応母液の水濃度ならびに触媒含有量を測定(分析位置A12)、確認した。そして、その時得られた製品テレフタル酸の4−CBA含有量を測定し、反応生成物の品質とした。
上記実施例と同様、以上の酸化反応が定常に進行した時点を起点に120時間の間、データを4時間毎に採取、測定した。「反応原料混合物の組成(図7に供給溶液として、H2O、コバルト(Co)、臭素(Br)については示す。)」には分析位置A10での測定結果で、原料p−キシレンと反応溶媒との混合物組成であるが、他は実施例と同じところでの測定結果である。また、「反応母液の組成(図7の比較例に反応母液として、H2O、コバルト、臭素については示す。)」は測定位置A12での確認測定値であり、図4及び図6の比較例に示すようにその時点での製品テレフタル酸の4−CBA含有量と酢酸燃焼損失量(12時間毎)である。
これらの結果から、上記実施例のデータに比較して変動の大きい酸化反応となり、その生産期間での酢酸の燃焼損失量は大きいテレフタル酸の生産となった。
1…反応溶媒調製槽、1A…反応溶媒調製槽A、1B…反応溶媒調製槽B、2…酸化反応槽、3…凝縮・冷却器、3A…凝縮・冷却器(蒸気発生器:1段目)、3B…凝縮・冷却器(水冷部:2段目)、4…気液分離器、5…高圧ガス吸収塔、6…晶析槽、7…固液分離機、8…乾燥機、9…製品サイロ、10…反応母液貯槽、11…洗浄(排)液貯槽、12…脱水蒸留塔、13…反応母液蒸発槽、21…新/回収酢酸、22…P−キシレン、23…触媒金属、24…臭素化合物、25…新/回収酢酸、26…洗浄酢酸、30…酸素含有ガス、31…排ガス、32…水、33…新/回収酢酸、34…排水、35…残渣、36…回収酢酸、37…新/回収酢酸、40…製品テレフタル酸、A0〜A4、A1A、A1B…分析計or分析位置、FC1〜FC10、FC1B、FC2A、FC3A、FC3B、FC4A、FC4B…流量調節計、PIC1…圧力調節計、TI…温度指示計、LIC1〜LIC2…液面指示調節計、FFC1〜FFC2…流量−流量設定器、TPC1…温度−圧力設定器、AFC0〜AFC1、AFC3、AFC1A、AFC1B…分析値−流量設定器。