JP4820484B2 - 電解コンデンサ用電解液およびそれを用いた電解コンデンサ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解コンデンサ用電解液およびそれを用いた電解コンデンサに関する。さらに詳しくは、有機酸の塩を溶質とし、金属酸化物のオルガノゾルを添加したことを特徴とする電解コンデンサ用電解液およびそれを用いた電解コンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
電解コンデンサは、小型でありながら大きな静電容量を有する点に特徴があり、低周波のフィルターやバイパス用に多用されている。電解コンデンサは、一般に陽極箔と陰極箔とをセパレータを介して巻回し、これをケースに収納して密封した構造を有している(図1、図2)。陽極箔には誘電体層として絶縁性酸化皮膜を形成したアルミニウムやタンタル等の弁金属が使用され、陰極箔にはエッチング処理を施したアルミニウム箔が一般に使用されている。そして、陽極と陰極の間に介在するセパレータには両極の短絡を防ぐために電解液を含浸させており、真の陰極として機能している。このため、電解液は電解コンデンサの特性に大きな影響を与える重要な構成物である。
【0003】
電解液特性の中でも電気伝導率は、電解コンデンサのエネルギー損失やインピーダンス特性などに直接関わることから、高い電気伝導率を有する電解液の開発が盛んに行われている。例えば、国際公開WO95/15572号パンフレットおよび特開平9−283379号公報では、フタル酸やマレイン酸などのアミジニウム塩をγ−ブチロラクトンなどの非プロトン性溶媒に溶解した電解液が提案されている。しかし、この種の電解液は、電気伝導度は高いが、耐電圧性が低いという欠点を有する。
【0004】
この問題を解決するものとして、特開平6−151250号公報には、電解液に対してシリカヒドロゾルを溶媒置換して得られたオルガノシリカゾルを添加することにより、電解液の高い電気伝導率を保ちつつ耐電圧を上昇させる方法が提案されている。前記公報によれば、シリカオルガノゾルの分散媒としては多価アルコール類、特にエチレングリコールが好ましいとされている。
【0005】
このようなシリカのアルコールゾルを添加した電解液においては、電解液中にシリカと共に必然的にアルコールも添加されて存在することとなる。しかしエチレングリコールをはじめとするアルコール類は、加熱により電解液の溶媒であるγ−ブチロラクトンや電解質であるカルボン酸と反応するので、電解液の電気伝導率が低下してしまう。そのため、このような電解液を使用した電解コンデンサは、高温環境下で動作させた場合、インピーダンスの増加が大きいという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、これらの従来技術の問題点を解決することを課題とした。すなわち本発明は、シリカなどの金属酸化物のオルガノゾルを添加した電解液において、電気伝導率と耐電圧性が共に高く、かつ熱安定性に優れた電解コンデンサ用電解液およびそれを用いた電解コンデンサを提供することを解決すべき課題とした。また、本発明は、工業的に安定供給可能で安価に製造できる電解コンデンサ用電解液およびそれを用いた電解コンデンサを提供できることも解決すべき課題とした。
【0007】
【課題を解決するための手段】
これらの課題を解決するために鋭意検討を進めた結果、本発明者らは電解液の溶媒および金属酸化物オルガノゾルの分散媒としてラクトンまたは環状スルホンまたはこれらの混合物を用いることによって所期の効果を有する優れた電解液を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、有機酸の塩および金属酸化物のオルガノゾルを含有する電解液であって、電解液の溶媒およびオルガノゾルの分散媒がラクトンまたは環状スルホンまたはこれらの混合物から選ばれてなる化合物である電解コンデンサ用電解液を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下において、本発明の電解コンデンサ用電解液および電解コンデンサについて詳細に説明する。
【0010】
本発明の電解コンデンサ用電解液は、有機酸の塩を溶質とする電解液に、金属酸化物のオルガノゾルが添加されている。有機酸の塩は、アニオン成分である有機酸イオンと、カチオン成分である対イオンとから構成される。
【0011】
本発明に用いる有機酸としては、芳香族ジカルボン酸またはヒドロキシ置換芳香族モノカルボン酸を用いることが好ましい。
【0012】
芳香族ジカルボン酸の好適な具体例としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸等あるいはこれらの混合物が挙げられる。中でもフタル酸は、ラクトンなどの溶媒に対するその塩の溶解性が高く、これを用いた電解液は高い電気伝導率を有しかつ熱安定性に優れるので、特に好ましい。
【0013】
本明細書でいう「ヒドロキシ置換芳香族モノカルボン酸」とは、芳香族モノカルボン酸の芳香環を構成する炭素原子に少なくとも一つのヒドロキシ基が直接結合している化合物をいう。ヒドロキシ基の数は3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましく、1つであることがさらにより好ましい。芳香環の種類は特に制限されないが、ベンゼン環またはナフタレン環であることが好ましい。
【0014】
ヒドロキシ置換芳香族モノカルボン酸の好適な具体例としては、サリチル酸、3−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸または6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸等、およびこれらの混合物が挙げられる。中でも、低分子量で高電気伝導率の電解液を与えるサリチル酸が好ましい。
【0015】
本発明に用いる有機酸の塩を形成するカチオン成分としては、アミジニウム、四級アンモニウム、四級ホスホニウムまたは三級アミン(例えばトリアルキルアミン)を用いることが好ましい。
【0016】
アミジニウムの好適な具体例としては、1,3−ジメチルイミダゾリニウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリニウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム、1−エチル−2,3,4−トリメチルイミダゾリニウム、1,3,4−トリメチル−2−エチルイミダゾリニウム、1,2,3−トリメチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、5−メチル−1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノネン−5、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン−7、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1,2−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノネン−5、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン−7等あるいはこれらの混合物が挙げられる。特に好ましくは1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウムまたは1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウムである。中でも1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウムが最も好ましい。
【0017】
この1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム塩の製造方法としては、例えば次のような方法が挙げられる。1−エチル−2−メチル−1−イミダゾリンと炭酸ジメチルとをメタノール中で反応させ(N−メチル化反応)、得られた1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム炭酸メチル塩のメタノール溶液に等モル量の有機酸を反応させた後(中和脱炭酸反応)、メタノールを留去することにより目的の塩が得られる。
【0018】
四級アンモニウムの好適な具体例としては、テトラメチルアンモニウム、エチルトリメチルアンモニウム、ジエチルジメチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、N,N−ジメチルピロリジニウム、N−エチル−N−メチルピロリジニウム、N,N−ジメチルピペリジニウム、N−エチル−N−メチルピペリジニウム、N−メチルピリジニウム、N−ブチルピリジニウム等あるいはこれらの混合物が挙げられる。
【0019】
四級ホスホニウムの好適な具体例としては、テトラメチルホスホニウム、エチルトリメチルホスホニウム、ジエチルジメチルホスホニウム、トリエチルメチルホスホニウム、テトラエチルホスホニウム、テトラプロピルホスホニウム、テトラブチルホスホニウム等あるいはこれらの混合物が挙げられる。
【0020】
三級アミンの好適な具体例としては、トリメチルアミン、エチルジメチルアミン、ジエチルメチルアミン、トリエチルアミン等あるいはこれらの混合物が挙げられる。
【0021】
本発明では、溶質である有機酸塩の使用量が、全溶媒と該塩との合計重量に対して5〜35重量%であるのが好ましい。
【0022】
本発明の電解コンデンサ用電解液の主溶媒としては、ラクトン、環状スルホンまたはこれらの混合物が用いられる。本発明で用いられるラクトンの好適な具体例としては、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−バレロラクトン等が挙げられる。特に好ましいものはγ−ブチロラクトンである。
【0023】
本発明で用いる環状スルホンの好適な具体例としては、スルホラン、3−メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホラン、ペンタメチレンスルホン等が挙げられる。特に好ましいものはスルホラン、3−メチルスルホランである。ラクトンと環状スルホンとを混合して用いる場合、その好適な混合比率には特に制限がない。この場合、電解液の性能としては、環状スルホンの比率が高いほど高温での特性は向上し、低温での特性が低下する傾向にある。したがって、ここの電解コンデンサで必要となる電解液の性能に応じて適当な混合比率を選択すればよい。
【0024】
溶媒成分には、本発明の効果を損なわない範囲において、他の公知の副溶媒、例えばエチレングリコール、グリセリン、メチルセロソルブ、ジメチルホルムアミドなどの有機極性溶媒や水等を用いることができる。これら副溶媒の混合割合は、全溶媒(主溶媒+副溶媒)の合計重量に対して、副溶媒を5重量部以下の範囲で用いるのが望ましい。混合割合が5重量部を超えると、電解液中での金属酸化物のゾル状態が不安定化する恐れがある。この副溶媒の混合割合は、個々のコンデンサで必要となる電解液の性能によって異なるが、より好ましくは全溶媒100重量部に対し、副溶媒0.1〜3重量部の範囲である。
【0025】
本発明の電解コンデンサ用電解液は、溶質成分、溶媒成分以外に、金属酸化物のオルガノゾルを添加したものが用いられる。金属酸化物のオルガノゾルを添加することで、電解液の高い電導度を維持したまま耐電圧性を向上させることができる。ここで使用する金属酸化物としては、シリカ、アルミノシリケートまたはアルミノシリケート被覆シリカ等が挙げられる。金属酸化物の平均粒径は、好ましくは5〜100nmの範囲であり、より好ましくは10〜50nmの範囲である。この金属酸化物の添加量は、好ましくはフタル酸のアミジニウム塩と全溶媒との合計重量に対して、0.5〜20重量%の範囲であり、特に好ましいのは3〜15重量%である。
【0026】
これら金属酸化物は有機溶媒を分散媒とするオルガノゾルの形態で電解液に添加される。これら金属酸化物オルガノゾルは、特開平6−151250号公報に記載の方法、すなわちシリカなどの金属酸化物のヒドロゾルを溶媒置換して得られたものであることが好ましい。ここで分散に用いる有機溶媒には、電解液の溶媒として使用しているラクトンや環状スルホンのいずれかを主として用いることが必要である。他の溶媒を用いることは、電解液の特性へ悪影響を及ぼすため好ましくないが、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の溶媒、水等を含んでいてもよい。
【0027】
本発明の電解コンデンサ用電解液は、酸性リン化合物を含有していてもよい。好適な酸性リン化合物としてはリン酸ジブチル、リン酸ビス(2−エチルヘキシル)、リン酸ジイソデシル、リン酸ジパルミチル、リン酸ジステアリルなどのリン酸類;ブチルホスホン酸ブチル、2−エチルヘキシルホスホン酸(2−エチルヘキシル)、亜リン酸などのホスホン酸類;ジメチルホスフィン酸、ジブチルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸などのホスフィン酸類が挙げることができる。特に好ましいのはリン酸ジブチル、リン酸ビス(2−エチルヘキシル)、2−エチルヘキシルホスホン酸(2−エチルヘキシル)および亜リン酸である。酸性リン化合物の添加量は、好ましくは有機酸の塩と全溶媒との合計重量に対して0.1〜10重量%の範囲であり、特に好ましいのは0.5〜5重量%である。
【0028】
本発明の電解コンデンサ用電解液には、必要に応じて上記溶質および溶媒以外の成分を添加することができる。
【0029】
本発明の電解コンデンサ用電解液は、上記した各成分を撹拌、混合することにより得られる。混合においては、微粒子状の金属酸化物が十分に分散していることが必要である。
【0030】
本発明は、上記電解コンデンサ用電解液を使用した電解コンデンサも提供する。
【0031】
本発明の電解コンデンサの構造や材質は、上記電解コンデンサ用電解液を使用するものである限り特に制限されない。したがって、従来から使用されている電解コンデンサや新たに提案されている電解コンデンサに本発明の電解コンデンサ用電解液を使用する場合は、全て本発明の範囲内に含まれる。
【0032】
本発明の電解コンデンサの典型的な構成例として、図1および図2に示す巻回型素子構造を例示することができる。この例では、陽極箔(1)に対向させて陰極箔(2)を配置し、その間にセパレータ(3)を介在させて巻回している。これをアルミニウムでできた外装ケース(6)に入れ、該ケースをブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、シリコーンゴム等のパッキングを介してフェノール積層板、ポリプロピレン、ポリフェニレンスルフィド等の封口材(5)で密閉することによって電解コンデンサにしている。本発明の電解コンデンサ用電解液は、陽極箔と陰極箔に挟まれたセパレータ(3)に含浸して使用する。セパレータにはクラフト紙やマニラ紙が一般に使用されるが、特にこれらに限定されるのもではない。
【0033】
本発明の電解コンデンサは、高周波数におけるインピーダンスが低く、また耐電圧が高く、さらに高温での安定性に優れる。このため本発明は、低インピーダンス、高耐熱性、長寿命が要求される定格電圧100Vまでの電解コンデンサとして有効に利用することができる。
【0034】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、操作等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
【0035】
(実施例1〜4、比較例1〜4)
後記表1に示す組成を混合し、固体成分を溶解または均一に分散して電解液を調製した。表中、各成分の量は重量部で示した。シリカは平均粒径が約25nmのγ−ブチロラクトンゾルを用い、これを基本電解液(溶質および溶媒)に添加して所定の組成の電解液を調製した。
【0036】
得られた電解液について、電気伝導率、耐電圧性および熱安定性を評価した。まず、25℃における電気伝導率を測定した。次いで、図1に示す巻回型素子に電解液を含浸し、巻回型素子をアルミ外装ケースに収納してブチルゴムで封口した構造のアルミ電解コンデンサを作製した。これに10mAの定電流を105℃にて印加したときの電圧−時間の上昇カーブではじめにスパイクあるいはシンチレーションが観測された電圧値を耐電圧値とした。使用したアルミ電解コンデンサ素子の仕様は、ケースサイズ10φ×20L、定格電圧200V、静電容量20μFであった。電気伝導率と耐電圧の測定結果を表1に示す。
【0037】
【表1】
Figure 0004820484
表1の実施例1〜4では、金属酸化物としていずれもシリカを用いた。
表1の実施例1および2および比較例1および2では、有機酸の塩としてフタル酸水素(1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム)を使用している。表1の実施例1では溶媒としてγ−ブチロラクトンを単独で使用した。この電解液とγ−ブチロラクトンとエチレングリコールの混合溶媒(重量比80:20)を使用した電解液(比較例1)との性能を比較すると、同等の耐電圧を有しながらより高い電気伝導率を示しているので好ましい。また表1の実施例2では溶媒としてγ−ブチロラクトンとスルホランの混合溶媒(重量比50:50)を使用した。この電解液とさらにエチレングリコールが混合した溶媒(重量比40:40:20)を使用した電解液(比較例2)との性能を比較すると、この場合も同等の耐電圧を有しながらより高い電気伝導率を示しているので好ましい。
【0038】
表1の実施例3では、有機酸の塩としてサリチル酸(1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム)を用い、溶媒としてγ−ブチロラクトンを単独で使用した。この電解液とエチレングリコールを含む電解液(比較例3)を比較すると、電気伝導率、耐電圧ともに高いので好ましい。
【0039】
表1の実施例4では、有機酸の塩としてフタル酸水素トリエチルアミン塩を用い、溶媒としてγ−ブチロラクトンを単独で使用した。この電解液とエチレングリコールを含む電解液(比較例4)を比較すると、電気伝導率は同等であり耐電圧が高いので好ましい。
【0040】
次に、本発明の電解液を用いて使用定格電圧80Vの電解コンデンサを作製し、熱安定性を評価した。使用したアルミ電解コンデンサ素子の仕様は、ケースサイズ10φ×20L、定格電圧80V、静電容量120μFであった。作製したコンデンサに対して125℃の高温下で1000時間の負荷試験を行い、静電容量およびインピーダンスの変化を測定した。コンデンサの静電容量は120Hzにて、インピーダンスは100kHzにて測定した。結果を表2に示す。
【0041】
【表2】
Figure 0004820484
高温での負荷試験においては、一般に使用する電解液の熱安定性が高いほどインピーダンス値の変化が小さく、この値が小さいほどコンデンサとしては好ましい。本発明の実施例1および比較例1の電解液を比較すると、γ−ブチロラクトン単独溶媒を使用した電解液は負荷試験後のインピーダンス値がより小さく、優れた熱安定性を示した。一方、γ−ブチロラクトンとエチレングリコールの混合溶媒を使用した電解液は初期的な耐電圧性は優れていたものの(表2)、高温での安定性に劣るためにインピーダンスが大幅に増大しており、コンデンサの特性劣化が激しい。
【0042】
【発明の効果】
本発明の電解コンデンサ用電解液は高い電導度とともに高い耐電圧性を有し、かつ熱安定性に優れた電解液である。
【0043】
そのため、本発明の電解コンデンサ用電解液を用いることにより、従来定格電圧35V以下の領域でしか得られなかった低損失で低いインピーダンス特性を有する電解コンデンサを、定格電圧が35Vを超える電圧領域でも実現することができ、なおかつ125℃といった高温でも安定した特性を示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】電解コンデンサの巻回型素子の斜視図である。
【図2】電解コンデンサの断面図である。
【符号の説明】
1 陽極箔
2 陰極箔
3 セパレータ
4 リード線
5 封口材
6 外装ケース

Claims (9)

  1. 有機酸の塩および金属酸化物のオルガノゾルを含有する電解液であって、電解液の溶媒およびオルガノゾルの分散媒が、ラクトン、環状スルホンおよびこれらの混合物から選択され、エチレングリコール、グリセリン、メチルセロソルブ、ジメチルホルムアミドおよび水から選択される更なる溶媒が、溶媒の合計100重量部に対して、5重量部以下である、電解コンデンサ用電解液。
  2. 有機酸が、芳香族ジカルボン酸、ヒドロキシ置換芳香族モノカルボン酸又はこれらの混合物である、請求項1に記載の電解コンデンサ用電解液。
  3. 有機酸が、フタル酸、サリチル酸又はこれらの混合物である、請求項1または2に記載の電解コンデンサ用電解液。
  4. 有機酸の塩が、アミジニウム塩、四級アンモニウム塩、四級ホスホニウム塩、三級アミン塩又はこれらの混合物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電解コンデンサ用電解液。
  5. アミジニウムが、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム又はこれらの混合物である、請求項4に記載の電解コンデンサ用電解液。
  6. 金属酸化物が、シリカ、アルミノシリケートおよびアルミノシリケート被覆シリカからなる群から選択される化合物であり、その平均粒径が、5〜100nmである、請求項1に記載の電解コンデンサ用電解液。
  7. ラクトンがγ−ブチロラクトンであり、環状スルホンがスルホランまたは3−メチルスルホランである、請求項1に記載の電解コンデンサ用電解液。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の電解コンデンサ用電解液を用いた電解コンデンサ。
  9. 電極表面に電気絶縁性の酸化皮膜を有する陽極側電極と、これにセパレータを介して対向して配置された陰極側電極を有する構造の電解コンデンサであって、該セパレータに保持される電解液が、請求項1〜7のいずれか1項に記載の電解コンデンサ用電解液である電解コンデンサ。
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