JP4820467B2 - コークス炉炭化室炉壁へのカーボン付着状態の把握方法 - Google Patents

コークス炉炭化室炉壁へのカーボン付着状態の把握方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コークス炉炭化室炉壁へのカーボン付着状態を、複雑な機構を用いることなく、定量的にかつ精度良く把握する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
〈コークス炉炭化室〉
周知のように、コークス炉は、多数の炭化室(窯)がそれぞれ燃焼室にサンドイッチ状に挟まれて併設された構造を有する。石炭乾留中に発生したコークス炉ガスは、炭化室の上部に設けられている上昇管からベンド管を経てコレクチングメインパイプに吸引される。装炭、残留、窯出しの諸作業は、並列している窯につき数門離れた窯ごとに順次行われる。
【0003】
炭化室は、平面視では、通常押出機が位置するマシンサイドよりも、ガイド車および消火車が位置するコークサイドの方がわずかに広い間隔を有する。乾留後のコークスケーキを炭化室から押し出すには、押出機を正確に炭化室の前に位置させ、押出機に装備したラムを炭化室のマシンサイドからコークサイドに向けて突出させながら、そのラムヘッドにてコークスケーキをコークサイドから押し出す。
【0004】
〈炭化室炉壁へのカーボンの付着〉
ところで、炭化室には、操業の継続と共に炉壁にカーボンが付着、成長することを免れないが、カーボン付着量が多くなった成長後期においては、
(イ)炉壁に付着したカーボンにより炭化室容積が減少し、生産性が低下すること、
(ロ)炭化室の上部空間や上昇管の閉塞度合が進み、発生ガスの流通が阻害されること、
(ハ)コークス排出の際の押出抵抗が大きくなると窯詰まりの原因となり、押出機のラムに無理な力が加わって、極端な場合には押出不能という最悪の事態になること
などの問題点が発生する。
【0005】
ただし、炭化室の炉壁へのカーボンの付着は、必ずしも上記のような悪影響のみではない。すなわち、カーボン付着量がまだ少ない成長初期においては、
(ニ)付着カーボンが炉壁の目地を塞ぎ、燃焼室への発生ガス漏洩を抑制すること、
(ホ)付着カーボンが炉壁の目地、欠損を平滑化し、押出機によるコークスケーキの押出抵抗を低下させること
などの作用があり、その意味では、限定された量のカーボンの付着は必要な存在であると言うことができる。
【0006】
従って、徐々に成長していく炉壁付着カーボン量を適正に把握することは、コークス炉の安定操業の継続にとって常に留意すべき事項である。
【0007】
炉壁に付着するカーボン量が一定以上になったときに、付着カーボンを比較的容易に除去する方法としては、空窯の作成がある。空窯とは、石炭を装入せずに炭化室を1ないし数サイクル放置することであり、これにより炭化室炉壁に付着したカーボンを焼き落とすことができる。しかしながら、空窯操作を行うと、当然に生産性が低下することになり、また炭化室炉壁を傷めることにもなるので、空窯の実施回数はできるだけ少ない方が好ましいことは言うまでもなく、そのためには炭化室炉壁に付着するカーボン量を正確に把握しておく必要がある。
【0008】
また、カーボン除去方法として、空窯内に積極的にエアを導入し、強制的にカーボンを燃焼除去する方法もある。しかしながら、余り多量のカーボンを燃焼させすぎると、先に述べた(ニ)や(ホ)の利点を損なうことになる。
【0009】
〈カーボン付着状況の把握〉
従来、炭化室炉壁へのカーボン付着状況の把握のため、次のような方法が講じられまたは提案されている。
【0010】
(1)炭化室炉壁へのカーボン付着状況の把握は、一般的には、炉上作業者が装入孔より目視にて判断する方法が採られている。
【0011】
また、炭化室炉壁への付着カーボンを検出するために、
(2)コークス押出機の押出抵抗変化パターンより検出する方法(特開昭52−21002号公報等)、
(3)適当な方法で炭化室の幅を測定し、カーボン付着量を把握する方法(特開昭58−208384号公報、特開昭63−312390号公報等)、
(4)炉壁の放射温度より検知する方法(特開平3−43490号公報等)、
(5)炉壁の輝度より検知する方法(特開平3−111487号公報等)
などの方法も提案されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上記(1)のカーボン付着状況を炉上作業者が装入孔より目視にて判断する方法は、炭化室内を観察する機会がカーボン焼き落としのための空窯操作を行った直後などに限られるため、適切な時期にカーボン焼き落としをするために定期的に炭化室炉壁の観察を行うことが困難であった。
【0013】
上記(2)のカーボン検知方法は、炭化室にカーボンが付着することにより押出抵抗のパターンに異常が現れることを利用して検知するものであるが、押出抵抗パターンに異常が現れるのは、炉壁にカーボンが付着している場合だけでなく、炉壁に欠損を生じた場合や、炭化室自体が湾曲している場合についても、そのような異常が現れるため、原因をカーボンと特定することは困難である。また、押出抵抗の利用は、あくまで間接的なカーボン検出方法であり、直接的にカーボンを測定しているとは言い難い。
【0014】
上記(3)のカーボン検知方法は、炭化室の幅を測定し、炭化室プロフィルの設計値との差よりカーボン付着を検知する方法であって、カーボン付着量を正確に把握することができるが、その対象となる部分は炭化室幅の測定を行った部分のみであり、炭化室全体のカーボンを検知するという意味では不充分とならざるをえない。
【0015】
上記(4)のカーボン検知方法は、炭化室壁とカーボンとの放射率の差を利用して、両者の見掛け温度の違いからカーボンを検知する方法であるが、放射温度計の表示する温度差が炉壁とカーボンの放射率の差によるものか、実際の温度差によるものかが確認できないため、カーボン付着検出手段としてはやはり確実性に欠けるという問題点がある。また、上記(3)の炭化室幅の測定による検知方法の場合と同様に、検出対象となる部分は炉壁温度の測定を行った部分に限られるという問題もある。
【0016】
上記(5)のカーボン検知方法は、カーボンの燃焼による輝度の変化よりカーボンを検出する方法であって、カーボン付着状況を正確に把握することが可能であるが、この方法においても、検知対象位置が炉壁撮像に限定されること、定量化には画像解析などの二次的な処理が必要となること、カーボン検知のための設備が大きく、設備が高価になってしまうことなどの問題がある。
【0017】
〈発明の目的〉
本発明は、このような背景下において、コークス炉炭化室炉壁へのカーボン付着状態を、複雑な機構を用いることなく、定量的にかつ精度良く把握する方法を提供することを目的とするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明のコークス炉炭化室炉壁へのカーボン付着状態の把握方法の1つは、
コークス炉の炭化室(1)内または/および上昇管(2)内の酸素濃度の測定結果に基いて、炭化室(1)の炉壁(11)に付着したカーボンの付着状態を把握する方法であること、
炭化室(1)内または/および上昇管(2)内の酸素濃度の測定を、炭化室(1)の各装入孔(12)および上昇管(2)のトップカバー(2a)のうちの少なくとも1つを利用して行うこと、
炭化室(1)の全炉蓋(13)と全装入孔(12)および上昇管(2)のトップカバー(2a)を閉鎖した密閉状態で、炭化室(1)内または/および上昇管(2)内の酸素濃度の測定を行うこと、および、
炭化室(1)内または上昇管(2)内の酸素濃度の経時的な変化の度合を示す指標と、炭化室(1)の炉壁(11)へのカーボン付着面積を示す指標との関係を予め求めておき、その関係に基いて炭化室(1)の炉壁(11)へのカーボン付着状態を把握すること、
を特徴とするものである。
【0019】
本発明のコークス炉炭化室炉壁へのカーボン付着状態の把握方法の他の1つは、
コークス炉の炭化室(1)内または/および上昇管(2)内の酸素濃度の測定結果に基いて、炭化室(1)の炉壁(11)に付着したカーボンの付着状態を把握する方法であること、
炭化室(1)内または/および上昇管(2)内の酸素濃度の測定を、炭化室(1)の各装入孔(12)および上昇管(2)のトップカバー(2a)のうちの少なくとも1つを利用して行うこと、および、
炭化室(1)の全炉蓋(13)は閉鎖し、炭化室(1)の各装入孔(12)および上昇管(2)のトップカバー(12a)のうち全部ではない複数個所を解放すると共に残余は閉鎖した状態で、酸素含有ガスの自然または強制流通下における炭化室(1)内(または炭化室(1)内と上昇管(2)内)の酸素濃度を、炭化室(1)の各装入孔(12)または上昇管(2)のトップカバー(2a)のうちの少なくとも1つから、ガス検出手段(3)のプローブ(3a)を挿入して測定すること、
を特徴とするものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
【0021】
本発明においては、コークス炉の炭化室(1)内または/および上昇管(2)内の酸素濃度の測定結果に基いて、炭化室(1)の炉壁(11)に付着したカーボンの付着状態を把握する。
【0022】
酸素濃度の測定は、典型的には、炭化室(1)の装入孔(12)群および上昇管(2)のトップカバー(2a)のうちの少なくとも1つを利用して行う(たとえばそれらのうちの少なくとも1つから酸素濃度計(3)のプローブ(3a)を挿入して行う)。このときには、炭化室(1)の装入孔(12)群および上昇管(2)のトップカバー(2a)のうちの少なくとも1つから、適当なガス採取手段によりガスを採取した後、採取ガスの組成の測定を行うことも可能である。以下においては、酸素濃度計(3)のプローブ(3a)を挿入して行う場合についてさらに詳しく説明するが、本発明は酸素濃度の測定の態様を限定するものではない。
【0023】
カーボンが燃焼したときには炭化室(1)内または/および上昇管(2)内の酸素濃度が変化するので、その酸素濃度を測定するわけである。酸素濃度計(3)は、耐熱構造のプローブ(3a)を有するものが好適である。
【0024】
酸素濃度の測定結果に基くカーボンの付着状態の把握は、典型的には、次のようにしてなされる。
【0025】
第1の方法は、炭化室(1)の全炉蓋(13)と全装入孔(12)および上昇管(2)のトップカバー(2a)を閉鎖した密閉状態で、炭化室(1)内または/および上昇管(2)内の酸素濃度の測定を行う方法である。
【0026】
この第1の方法により炭化室(1)内の酸素濃度の測定を行うときには、閉鎖された炭化室(1)の各装入孔(12)のうち、どれか1つの装入孔(12)を通して酸素濃度計(3)のプローブ(3a)を挿入することにより測定を行えばよいが、2以上の装入孔(12)を通して2個所以上で測定を行ってもよい。装入孔(12)と共にまたは装入孔(12)に代えて、上昇管(2)のトップカバー(2a)から酸素濃度計(3)のプローブ(3a)を挿入して、測定することもできる。
【0027】
そして、この第1の方法にあっては、炭化室(1)内または上昇管(2)内の酸素濃度の経時的な変化の度合を示す指標と、炭化室(1)の炉壁(11)へのカーボン付着面積を示す指標との関係を予め求めておき、その関係に基いて炭化室(1)の炉壁(11)へのカーボン付着状態を把握することが好ましい。というのは、単に酸素濃度の絶対値の測定を行うときには、炭化室(1)の状況や測定時点によって、酸素濃度が異なることがあるからである。
【0028】
なお、酸素濃度の経時的な測定は、密閉時点を始点とするのが通常であるが、密閉してから所定の時間を経過した時点を始点として測定を開始することもできる。
【0029】
第2の方法は、炭化室(1)の全炉蓋(13)は閉鎖し、炭化室(1)の各装入孔(12)および上昇管(2)のトップカバー(2a)のうち全部ではない複数個所を解放すると共に残余は閉鎖した状態で、酸素含有ガス(たとえばエア)の自然または強制流通下における炭化室(1)内(または炭化室(1)内と上昇管(2)内)の酸素濃度を、炭化室(1)の各装入孔(12)または上昇管(2)のトップカバー(2a)のうちの少なくとも1つから酸素濃度計(3)のプローブ(3a)を挿入して測定する方法である。
【0030】
そしてこのときには、炭化室(1)の全炉蓋(13)は閉鎖し、炭化室(1)の各装入孔(12)のうち上昇管(2)から最も離れた位置にある装入孔(12a)と上昇管(2)のトップカバー(2a)との2個所を解放すると共に残余は閉鎖した状態で、酸素含有ガスの自然または強制流通下における炭化室(1)内および上昇管(2)内の酸素濃度を、炭化室(1)の装入孔(12a)以外の装入孔(12)(または、これらと、解放されている上昇管(2)のトップカバー(2a))から酸素濃度計(3)のプローブ(3a)を挿入して測定することが望ましい。このようにすると、酸素濃度の測定値とカーボンの付着状態との相関関係が最も密接なものとなるからである。なお、エアの自然流通を利用する場合は、エアは装入孔(12a)から炭化室(1)内に自然に流入し、炉内のガスが上昇管(2)のトップカバー(2a)を経て導出する。
【0031】
上記第1の方法や第2の方法として例示した方法により、炭化室(1)の炉壁(11)へのカーボンの付着状態が定量的にかつ精度良く把握できるので、付着カーボン量が一定以上になったときに、空窯を作成して付着カーボンを焼き落としたり、場合によっては炭化室(1)にエアなどの酸素含有ガスを導入して強制的にカーボンを燃焼除去すればよい。なお、これらの除去手段を講じてから、もう一度これらの方法により酸素濃度を測定すれば、炉壁(11)に残るカーボン付着面積を精度良く推定することができる。
【0032】
【実施例】
次に実施例をあげて本発明をさらに説明する。なお以下の実施例においては、酸素濃度の検出は、隔膜式のガルバニ電池式電気化学センサを用いて行った。
【0033】
実施例
(カーボン付着状態の目視図)
本出願人の加古川工場におけるコークス炉のうち、コークスケーキ押出後の炭化室(1)の中から、炉壁(11)へのカーボン付着量の多い炭化室(1)(A窯とする)と、炉壁(11)へのカーボン付着量の少ない炭化室(1)(B窯とする)とを選んだ。
【0034】
図1は、炉壁(11)へのカーボン付着量の多い炭化室(1)(A窯)のカーボン付着状態を、装入孔(12)から目視してスケッチした図である。炉壁(11)へのカーボン付着面積は、両壁の合計で約34平方メートルであった。
【0035】
図2は、炉壁(11)へのカーボン付着量の少ない炭化室(1)(B窯)のカーボン付着状態を、装入孔(12)から目視してスケッチした図である。炉壁(11)へのカーボン付着面積は、両壁の合計で約8平方メートルであった。
【0036】
図1、2において、(1)は炭化室、(11)は炉壁、(12)は装入孔、(13)は炉蓋、(2)は上昇管、(2a)はトップカバーである。なお図1、2において、北側炉壁、南側炉壁とあるのは、本出願人の加古川工場におけるコークス炉の炭化室(1)の左右の炉壁(11)のうち、北側または南側に位置する炉壁の意味である。
【0037】
(第1の方法によるカーボンの付着状態の把握)
図3は、第1の方法(密閉状態での酸素濃度のガス組成の測定)に従って、カーボン付着状態を把握する方法を示した説明図である。図3中、(3)は酸素濃度計、(3a)はその酸素濃度計(3)のプローブである。他の符号は、図1、2の場合と同じである。
【0038】
図1および図2で述べたA窯(カーボン付着量が多い)およびB窯(カーボン付着量が少ない)の2窯に対して、炭化室(1)の全炉蓋(13)と全装入孔(12)および上昇管(2)のトップカバー(2a)を閉鎖した密閉状態で、5個の装入孔(12)(1番孔、2番孔、3番孔、4番孔、5番孔)のうち上昇管(2)から最も離れた位置にある1番孔(装入孔(12a)とする)から、酸素濃度計(3)のプローブ(3a)を上部煉瓦の下端から1m深さにまで挿入して、炭化室(1)内の酸素濃度の経時的な変化を測定した。結果を表1に示す。表1中、「−」は測定を行っていない。
【0039】
【表1】

酸素濃度
測定開始後
経過時間 A窯 B窯

0.00min 20.7% 20.6%
0.25min 15.9% 18.8%
0.50min 11.9% 17.1%
0.75min 9.4% 15.2%
1.00min 7.6% 13.2%
1.25min 6.1% 11.6%
1.50min 4.6% 10.4%
1.75min 3.7% 9.3%
2.00min 2.7% 7.9%
2.25min 1.9% 7.1%
2.50min 1.4% 6.2%
2.75min 0.9% 5.7%
3.00min 0.5% −
3.25min 0.1% −
3.50min 0.0% −
6.50min 1.5%

【0040】
また、上記の表1の結果を図4に示す。図4中の白丸はA窯についての測定値、黒丸はB窯についての測定値であり、横軸は密閉時の測定開始後経過時間(min)、縦軸は酸素濃度(%)である。
【0041】
図5は、炉壁カーボン付着面積と酸素濃度低下速度定数との関係を示したグラフであり、横軸は炉壁カーボン付着面積(平方メートル)、縦軸は酸素濃度低下速度定数(1/sec)である。この図5のグラフは、表1の結果からA窯およびB窯について酸素濃度低下速度定数を求め(A窯:0.019/sec、B窯:0.007/sec)、図1、2の目視によるカーボン付着面積(A窯:約34平方メートル、B窯:約8平方メートル)に対してプロットしたものである。
【0042】
上記における酸素濃度低下速度定数は、カーボンの燃焼を一次反応とみなした場合の反応速度定数であって、単位は「1/sec」である。具体的には、測定開始経過時間ごとの酸素濃度(単位は「%」)から酸素濃度(初期濃度−反応した酸素濃度)ごとの酸素濃度低下速度(単位は「%/sec」)を計算し、両者の傾きを求めるという手順で算出した。算出方法を示した説明図を図6として添付する。図6における記号の意味は次の通りである。
酸素初期濃度 :a[%]
反応した酸素濃度 :x[%]
測定開始後経過時間 :t [sec]
酸素濃度低下速度定数 :k [1/sec
【0043】
上記図5のグラフを用いれば、ある空窯の実測により酸素濃度低下速度定数がわかれば、その窯の炉壁(11)のカーボン付着面積を定量的に推定することができる。
【0044】
(第2の方法によるカーボンの付着状態の把握)
図7は、第2の方法(エア流入下での酸素濃度等のガス組成の測定)に従って、カーボン付着状態を把握する方法を示した説明図である。図7中の符号は、図1、2および図3の場合と同じである。
【0045】
図1および図2で述べたA窯(カーボン付着量が多い)およびB窯(カーボン付着量が少ない)の2窯につき、全炉蓋(13)は閉鎖し、炭化室(1)の各装入孔(12)のうち上昇管(2)から最も離れた装入孔(1番孔)(12a)と上昇管(2)のトップカバー(2a)との2個所を解放すると共に残余は閉鎖した状態で、エアの自然流通下における炭化室(1)内および上昇管(2)内の酸素濃度を測定した。測定は、装入孔(12a)以外の装入孔(2番孔、3番孔、4番孔、5番孔)(12)および解放されている上昇管(2)のトップカバー(表2ではTPと表示)(2a)から酸素濃度計(3)のプローブ(3a)を上部煉瓦の下端から1m深さ(上昇管(2)のトップカバー(2a)については図7に図示した位置)にまで挿入することにより行い、指示値が30秒以上一定値を示した時点をもって測定値とした。結果を表2に示す。
【0046】
【表2】

酸素濃度

測定位置 A窯 B窯

2番孔下 6.3% 16.9%
3番孔下 7.5% 17.2%
4番孔下 8.6% 17.9%
5番孔下 10.3% 18.3%
上昇管TP 12.3% 18.1%

【0047】
また、上記の表2の結果を図8に示す。図8中の白丸はA窯(カーボン付着面積:約34平方メートル)についての測定値、黒丸はB窯(カーボン付着面積:約8平方メートル)についての測定値であり、横軸は測定位置、縦軸は酸素濃度(%)である。
【0048】
図8から、付着カーボン量の多いA窯の方が、付着カーボン量の少ないB窯よりも酸素濃度の低下が大きく、従って、エアの自然流通下における炭化室(1)内の酸素濃度を実測すれば、その窯の炉壁(11)のカーボン付着面積を定量的に推定することができることがわかる。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、コークス炉の炭化室(1)内または/および上昇管(2)内の酸素濃度の測定結果に基いて、炭化室(1)の炉壁(11)に付着したカーボンの付着状態を把握することができる。
【0050】
このように、炭化室(1)の炉壁(11)へのカーボン付着状態を、複雑な機構を用いることなく、定量的にかつ精度良く把握することができるので、カーボン付着量の適正な管理が可能となる。そのため、次のような種々の好ましい作用効果が得られる。
・コークス押出トラブルの低減が可能となり、炉体の損傷を抑えることができ、また押出トラブルに伴なう生産性の低下も防ぐことができること。
・炭化室(1)の容積減少による生産性の低下を防止できること。
・炭化室(1)上部空間、上昇管(2)の閉塞による発生ガスの炉外漏洩を抑制できること。
・炭化室(1)の炉壁(11)への付着カーボンが少ないことに基く炉壁目地切れの発生に伴う燃焼室への発生ガスの漏洩、およびそれに続く煙突からの黒煙発生を抑制できること。
・適切なタイミングで空窯作成を行うことができるので、カーボン付着量の少ない窯を空窯にして炉体を傷めるようなおそれがないこと。
【0051】
加えて、測定項目が酸素濃度というガス組成のみであるため、測定のための特殊な機器や装置を要せず、かつ迅速な測定、評価が可能であるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】炉壁(11)へのカーボン付着量の多い炭化室(1)(A窯)のカーボン付着状態を、装入孔(12)から目視してスケッチした図である。
【図2】炉壁(11)へのカーボン付着量の少ない炭化室(1)(B窯)のカーボン付着状態を、装入孔(12)から目視してスケッチした図である。
【図3】第1の方法(密閉状態での酸素濃度の測定)に従って、カーボン付着状態を把握する方法を示した説明図である。
【図4】第1の方法(密閉状態での酸素濃度の測定)にかかる表1の結果を示したグラフである。
【図5】炉壁カーボン付着面積と酸素濃度低下速度定数との関係を示したグラフである。
【図6】図5における酸素濃度低下速度の算出方法を示した説明図である。
【図7】第2の方法(エア流入下での酸素濃度の測定)に従って、カーボン付着状態を把握する方法を示した説明図である。
【図8】第2の方法(エア流入下での酸素濃度の測定)にかかる表2の結果を示したグラフである。
【符号の説明】
(1)…炭化室、
(11)…炉壁、
(12)…装入孔、
(12a)…(上昇管(2)から最も離れた)装入孔、
(13)…炉蓋、
(2)…上昇管、
(2a)…トップカバー、
(3)…酸素濃度計、
(3a)…プローブ

Claims (2)

  1. コークス炉の炭化室(1)内または/および上昇管(2)内の酸素濃度の測定結果に基いて、炭化室(1)の炉壁(11)に付着したカーボンの付着状態を把握する方法であること、
    炭化室(1)内または/および上昇管(2)内の酸素濃度の測定を、炭化室(1)の各装入孔(12)および上昇管(2)のトップカバー(2a)のうちの少なくとも1つを利用して行うこと、
    炭化室(1)の全炉蓋(13)と全装入孔(12)および上昇管(2)のトップカバー(2a)を閉鎖した密閉状態で、炭化室(1)内または/および上昇管(2)内の酸素濃度の測定を行うこと、および、
    炭化室(1)内または上昇管(2)内の酸素濃度の経時的な変化の度合を示す指標と、炭化室(1)の炉壁(11)へのカーボン付着面積を示す指標との関係を予め求めておき、その関係に基いて炭化室(1)の炉壁(11)へのカーボン付着状態を把握すること、
    を特徴とするコークス炉炭化室炉壁へのカーボン付着状態の把握方法。
  2. コークス炉の炭化室(1)内または/および上昇管(2)内の酸素濃度の測定結果に基いて、炭化室(1)の炉壁(11)に付着したカーボンの付着状態を把握する方法であること、
    炭化室(1)内または/および上昇管(2)内の酸素濃度の測定を、炭化室(1)の各装入孔(12)および上昇管(2)のトップカバー(2a)のうちの少なくとも1つを利用して行うこと、および、
    炭化室(1)の全炉蓋(13)は閉鎖し、炭化室(1)の各装入孔(12)および上昇管(2)のトップカバー(12a)のうち全部ではない複数個所を解放すると共に残余は閉鎖した状態で、酸素含有ガスの自然または強制流通下における炭化室(1)内(または炭化室(1)内と上昇管(2)内)の酸素濃度を、炭化室(1)の各装入孔(12)または上昇管(2)のトップカバー(2a)のうちの少なくとも1つから、酸素濃度計(3)のプローブ(3a)を挿入して測定すること、
    を特徴とするコークス炉炭化室炉壁へのカーボン付着状態の把握方法。
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