図9の従来例のビューファインダーは、液晶表示モニタのチルト回転軸が一箇所であり、そのチルト調節角には限界があり、カメラヘッドを下方に向けて撮影を行った際、ビューファインダーはカメラ操作者から離れた位置になり、カメラ操作者がビューファインダーの表示画面を視認し難い欠点があったが、後者従来例のパン・チルト機構では、ビューファインダーの表示画面を傾斜させてカメラ操作者の位置に移動できるように改良されている。
しかし、図10のパン・チルト機構では、ビューファインダー9の表示面の傾斜角の調節可能な範囲が、支持腕部15で設定するビューファインダー9のチルト位置において、支持腕部15のチルト位置が最も高い位置にある場合は広く、最も低く位置にある場合では狭いといった不都合が生じる欠点があり、ビューファインダー9が支持腕部15のチルト角Aの何れのチルト位置にあってもビューファインダー9の可動範囲Bが一定であることが望まれており、改良の余地があった。
また、近年では、大型のビューファインダーが使用され、従来のパン・チルト機構では、ビューファインダーを支持する支持腕部が大型化しカメラ本体から異常に突出した形状になり、テレビカメラを高速にパン方向に回転させたり、或いはビューファインダーを不用意に操作した際に、カメラ本体及びその周辺機器などに接触し、液晶表示モニタ或いはカメラ本体及びその周辺機器を破損するおそれがあった。さらに、パン・チルト機構が後方に突出した形状であると、そのパン・チルト機構に装着したビューファインダーは、カメラ本体とその表示画面とがカメラ操作者と離れた位置となり、操作し難くなるといった欠点があり、改良の余地があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ビューファインダーのチルト位置に拘わらず、ビューファインダーの表示面の傾斜角の調節可能な範囲が一定であり、操作性の良好なビューファインダーのパン・チルト機構を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を達成したものであり、請求項1の発明は、ビデオカメラのビューファインダーの表示位置を調節するパン・チルト機構において、前記パン・チルト機構が、前記ビデオカメラの上部後方に装着される固定台に設けたパン回転軸を中心としてパン方向に回転するパン回転台と、前記パン回転台に、前記ビューファインダーを円弧状の軌跡に沿って上下方向に回動させるための第1のチルト回転軸と前記ビューファインダーの表示面の傾斜角を調節する第2のチルト回転軸とが設けられる支持用アーム部材とを備え、前記第2のチルト回転軸による前記ビューファインダーの表示面の傾斜角の調節に際し、前記支持用アーム部材のチルト位置に拘わらず、前記ビューファインダーのチルト方向の可動範囲を一定にするチルト回転規制機構を前記パン・チルト機構に備えることを特徴とするビューファインダーのパン・チルト機構である。
また、請求項2の発明は、前記チルト回転規制機構は、前記第1のチルト回転軸の近傍に設けたチルト回転軸に軸支され、かつ先端部に突起が設けられ、前記支持用アーム部材の動きに従動するチルト角規制用アーム部材と、
前記ビューファインダーの側壁部に固定され、前記支持用アームが軸支されるとともに前記チルト角規制用アーム部材と係合する円弧状の案内溝を設けた規制部材とを備え、
前記案内溝の長さによって、前記ビューファインダーのチルト方向の可動範囲を設定することを特徴とする請求項1に記載のビューファインダーのパン・チルト機構である。
また、請求項3の発明は、前記固定台には、前記ビューファインダーを前記ビデオカメラに対して前後方向へスライドさせるスライド機構が備えられ、前記ビューファインダーのパン方向の回転及び前記スライド機構による前後方向へのスライドに際し、前記ビューファインダーが前記ビデオカメラを含む周囲部材との干渉を防止するための前記パン方向の回転及び前後方向へのスライド可能な範囲を規制するストッパー部材を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のビューファインダーのパン・チルト機構である。
また、請求項4の発明は、前記ストッパー部材が、前記ビューファインダーの両側壁部に設けられる前記チルト角規制用アーム部材間に挟持され、前記ストッパー部材が前記ビューファインダーを所定のチルト角に調節した際、前記固定台に当接して前記パン回転台の回転及び前記スライド機構を規制することを特徴とする請求項3に記載のビューファインダーのパン・チルト機構である。
また、請求項5の発明は、一対の前記第1のチルト回転軸が前記パン回転台に設けられた軸受部に夫々設けられ、前記一対の第1のチルト回転軸が夫々収納される前記軸受部にトルク発生機構が設けられ、前記支持用アーム部材のチルト方向の回動に基づいて、前記トルク発生機構により発生するトルク圧をチルト方向で異ならせたことを特徴とする請求項1に記載のビューファインダーのパン・チルト機構である。例えば、ビューファインダーを降下させる場合に発生するトルク圧を大きくし、持ち上げる場合に発生するトルク圧を小さく設定することで、チルト方向で両第1のチルト回転軸に発生するトルク圧を異ならせることができる。トルク発生機構の一例としては、一方の第1のチルト回転軸にダンパーを設け、他方の第1のチルト回転軸にスプリングを設けることにより、チルト方向によってトルク圧を異ならせることが可能であり、無論、ビューファインダーを支持する両第1のチルト回転軸にトルク圧の異なるダンパーを用いてもよい。
請求項1の発明では、ビデオカメラのビューファインダーの表示位置を調節するパン・チルト機構において、前記パン・チルト機構が、前記ビデオカメラの上部後方に装着される固定台に設けたパン回転軸を中心としてパン方向に回転するパン回転台と、前記パン回転台に、前記ビューファインダーを円弧状の軌跡に沿って上下方向に回動させるための第1のチルト回転軸と前記ビューファインダーの表示面の傾斜角を調節する第2のチルト回転軸とが設けられる支持用アーム部材とを備え、前記第2のチルト回転軸による前記ビューファインダーの表示面の傾斜角の調節に際し、前記支持用アーム部材のチルト位置に拘わらず、前記ビューファインダーのチルト方向の可動範囲を一定にするチルト回転規制機構を前記パン・チルト機構に備えるビューファインダーのパン・チルト機構であるので、第1のチルト回転軸を中心とし円弧状の軌跡に沿って支持用アーム部材を上下方向に可動させて任意のチルト位置にビューファインダーを設定した後、第2のチルト回転軸を回転軸としてビューファインダーの表示面の傾斜角を一定の範囲で調節することが可能であり、ビューファインダーの表示面を、何れのチルト位置においても違和感なく、最適な位置に調節することができる。さらに、ビューファインダーがビデオカメラの後部に近接した位置に配置されるので、カメラ操作者がビデオカメラを操作する際の操作性が良好になる利点がある。
また、請求項2の発明では、前記チルト回転規制機構は、前記第1のチルト回転軸の近傍に設けたチルト回転軸に軸支され、かつ先端部に突起が設けられ、前記支持用アーム部材の動きに従動するチルト角規制用アーム部材と、
前記ビューファインダーの側壁部に固定され、前記支持用アームが軸支されるとともに前記チルト角規制用アーム部材と係合する円弧状の案内溝を設けた規制部材とを備え、
前記案内溝の長さによって、前記ビューファインダーのチルト方向の可動範囲を設定することを特徴とする請求項1に記載のビューファインダーのパン・チルト機構であるので、支持用アーム部材に従動するチルト角規制用アーム部材が備えられ、チルト角規制用アーム部材が規制部材に設けた円弧状の案内溝に係合し支持用アーム部材と従動して動作し、何れのチルト位置においても円弧状の案内溝で規制された一定の範囲を可動し、ビューファインダーの表示面の傾斜角を調節することができる利点があり、ビデオカメラの操作性が良好になる利点がある。
また、請求項3の発明は、前記固定台には、前記ビューファインダーを前記ビデオカメラに対して前後方向へスライドさせるスライド機構が備えられ、前記ビューファインダーのパン方向の回転及び前記スライド機構による前後方向へのスライドに際し、前記ビューファインダーが前記ビデオカメラを含む周囲部材との干渉を防止するための前記パン方向の回転及び前後方向へのスライド可能な範囲を規制するストッパー部材を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のビューファインダーのパン・チルト機構であるので、ビューファインダーをスライド機構によって、前後方向にスライドさせた際、ストッパー部材がカメラ本体後部や固定台に当接し、ビューファインダーがカメラ本体との不用意な接触を排除することができる利点がある。さらに、パン・チルト機構にストッパー部材とを備えることにより、ビデオカメラの機種又は構造が異なる場合であってもストッパー部材で不用意な干渉を防止できる利点がある。
また、請求項4の発明では、前記ストッパー部材が、前記ビューファインダーの両側壁部に設けられる前記チルト角規制用アーム部材間に挟持され、前記ストッパー部材が前記ビューファインダーを所定のチルト角に調節した際、前記固定台に当接して前記パン回転台の回転及び前記スライド機構を規制することを特徴とする請求項3に記載のビューファインダーのパン・チルト機構であるので、ストッパー部材をチルト角規制用アーム部材間に設けることで、チルト角規制用アーム部材はパン方向の回転及びチルト方向の回転に受動し、ストッパー部材がカメラ本体等に接触すればパン回転台の回転及びスライド機構によるスライド位置を規制することが可能であり、ビューファインダーがカメラ本体等に接触して損傷するのを防止することができる利点がある。
また、請求項5の発明では、一対の前記第1のチルト回転軸が前記パン回転台に設けられた軸受部に夫々設けられ、前記一対の第1のチルト回転軸が夫々収納される前記軸受部にトルク発生機構が設けられ、前記支持用アーム部材のチルト方向の回動に基づいて、前記トルク発生機構により発生するトルク圧をチルト方向で異ならせたことを特徴とする請求項1に記載のビューファインダーのパン・チルト機構であるので、ビューファインダーを下向きに可動させる場合は、トルク発生機構により適度なトルク圧を発生させてチルト角を設定することができ、かつ、ビューファインダーを上向きに可動させる場合は、トルク発生機構によりトルク圧を減衰させることによって、ビューファインダーを軽く押し上げて調節することが可能であり、カメラ操作者によるビューファインダーの急激な上昇や降下を防止することができ、操作性が良好になる利点がある。
以下、本発明に係るビューファインダーのパン・チルト機構の実施の形態について図面を参照し説明する。なお、図1は本発明の一実施形態を示す側面図であり、本実施形態のパン・チルト機構に装着したビューファインダーをカメラ本体に装備し、ビューファインダーがカメラ本体と平行であり最も高い位置に設定した状態を示す側面図である。図2は図1の本実施形態の背面斜視図であり、図3はパン・チルト機構のみを示した背面斜視図であり、図中Aは要部分解斜視図である。図4は本実施形態をカメラ本体に装着したビューファインダーを除く背面斜視図であり、ビューファインダーを最も低い位置に設定した場合の背面斜視図である。図5はカメラ本体に本実施形態のパン・チルト機構を装着した上面図であり、ビューファインダーを左右に90°パン可能範囲を示す図である。図6(a)〜(d)は本実施形態のチルト方向の動作を示すとともに可動範囲を示す側面図である。図7(a)〜(c)は本実施形態におけるビューファインダーを最上位のチルト位置に設定した場合の動作を示す側面図であり、図8(a)〜(c)はビューファインダーを最下位のチルト位置に設定した場合の動作を示す側面図である。
図1〜図4を参照し、本発明のパン・チルト機構20の一実施形態について説明する。本実施形態のパン・チルト機構20は、カメラ操作者がカメラマウント装置1に装着したビデオカメラ3或いはテレビカメラのビューファインダー30の表示位置を最適な位置に調節可能とする機構であり、パン・チルト機構20は、パン機構部20aとチルト機構部20bとから構成されている。本実施形態は、カメラマウント装置1又はビデオカメラのカメラ本体3の上部後方に装着される固定台40が設けられ、固定台40にはパン回転軸41を中心にビューファインダー30をパン方向(水平方向)に回転させるためのパン回転台42が設けられ、パン回転台42には、ビューファインダー30を円弧状の軌跡に沿って上下方向に可動させるための第1のチルト回転軸45a,45bとビューファインダー30の表示面の傾斜角を調節する第2のチルト回転軸60a,60bとが設けられた支持用アーム部材50a,50bが備えられ、かつ第2のチルト回転軸60a,60bによるビューファインダー30の表示面の傾斜角の調節に際し、支持用アーム部材50a,50bのチルト位置に拘わらず、ビューファインダー30のチルト方向の可動範囲を一定に設定するチルト回転規制機構70が設けられている。チルト回転規制機構70は、ビューファインダー30を最適なチルト位置に調節する際にビューファインダー30がカメラ本体3やその周辺機器等に接触して損傷するのを防止する機能を有する。
なお、パン・チルト機構20は、カメラマウント装置1又はカメラ本体3の上部後方に設けられたパン・チルト機構装着具(例えば、ホットシュー等)に固定台40を嵌着することにより装備される。また、ビューファインダー30は、ビューファインダー30の両側壁部に架橋状に設けた把持部31が設けられ、把持部31を手で握るなどしてビューファインダー30を上下方向(チルト方向)及びパン方向に回動させることができる。
パン・チルト機構20は、パン機構部20aの固定台40がカメラ本体の後方上部に設けたパン・チルト機構装着具に装着され、固定台40は、例えば長板状であり、長板状の固定台40の長手方向の両側壁部にパン・チルト機構20をカメラ本体3の前後方向にスライド可能とするガイド部40aが設けられ、固定台40にはパン・チルト機構20をカメラ本体3の前後方向に摺動可能とする摺動基台43がガイド部40aに嵌合してパン・チルト機構20のスライド機構を構成している。摺動基台43にはパン回転軸41が貫通し、パン回転軸41を中心にパン方向に回動するようにパン回転台42が設けられ、摺動基台43を挟むように、パン回転台42と固定台40とが設けられている。また、パン回転軸41にはロックレバー(ロック部材)44が設けられ、ロックレバー44によりパン回転台42を固定台40に固定するロック機構が設けられている。
チルト機構部20bは、パン回転台42に左右後方(カメラ本体の後方側)に突出する支持腕部42a,42bが夫々設けられ、支持腕部42aの先端部には第1のチルト回転軸45aを回動自在に収納する軸受部42cが設けられ、かつ支持腕部42bの先端部には第1のチルト回転軸45bを回動自在に収納する軸受部42dが設けられ、支持用アーム部材50a,50bが、第1のチルト回転軸45a,45bに回動自在に軸支されてカメラ本体3等の後方に突出し、ビューファインダー30の側壁面に平行に延在し、支持用アーム部材50a,50bの夫々の他端部は、ビューファインダー30の側壁部に回動自在に第2のチルト回転軸60a,60bにより軸支されている。チルト機構部20bは、第1のチルト回転軸45a,45bによりビューファインダー30を円弧状の軌跡に沿って上下方向(チルト方向)に可動させる機能を有する。また、支持用アーム部材50a,50bの他端の第2のチルト回転軸60a,60bは、ビューファインダー30を回動自在に軸支し、ビューファインダー30の表示面の傾斜角の調節する機能を有する。パン・チルト機構20には、この支持用アーム部材50a,50bに従動してビューファインダー30の表示面の傾斜角(チルト角)を一定にするためのチルト回転規制機構70が設けられている。
また、パン・チルト機構20をスライド機構によりスライドさせて支持用アーム部材50a,50bによるチルト角を調節するに際し、ビューファインダー30を最も降下させたチルト位置におけるスライド操作でカメラ本体3等との不用意な干渉を防止するため、後述するチルト角規制用アーム部材70a,70b間にストッパー部材76が設けられている。パン・チルト機構20をスライドさせてカメラ本体3の近接した際、ストッパー部材76が固定台40或いはカメラ本体3の後部に当接するようにし、ビューファインダー30が損傷しないようにし、ビューファインダー30のパン方向の何れのパン位置においても前後方向のスライド可能な範囲を規制するように構成されている。さらに、ストッパー部材76は、パン・チルト機構20の機械的強度を保つ機能をも有する。
また、第1のチルト回転軸45a,45bにはトルク発生機構が備えられ、ビューファインダー30を降下させる場合は大きなトルク圧が発生し、上方に持ち上げる場合はトルク圧が小さくなるように設定し操作性を良好なものとしている。例えば、第1のチルト回転軸45aにはダンパーが、第1のチルト回転軸45bにはスプリングが夫々設けられている。第1のチルト回転軸45aに設けられるダンパーは、ビューファインダー30を下方方向に押し下げる際にトルク圧を発生させてビューファインダー30が急激に降下しないようにし、ビューファインダー30を上方に回動させる際はダンパーにより発生したトルク圧が減衰するようにし、第1のチルト回転軸45bに設けられたスプリングがビューファインダー30を上方に回動させる際に適度なトルク圧を発生させてビューファインダー30が急激に上昇するのを防止し、ビューファインダー30のチルト角の調節が滑らかなできるようにしている。このようにビューファインダー30を上向き又は下向きに可動させた場合とで第1のチルト回転軸45a,45bに発生するトルク圧を異ならせるようにしている。トルク発生機構の一例とし、第1のチルト回転軸45aにダンパーを用い、第1のチルト回転軸45bにスプリングを用いることを示したが、上下チルト方向によってトルク圧を異ならせることができるならば、何れのトルク発生機構を用いても良い。例えば、左右の第1のチルト回転軸45a,45bにトルク圧の異なるダンパーを用いても良いし、両者をスプリングとしても良い。
また、支持用アーム部材50a,50bは側面外観がへの字形状であり、屈曲したへの字形状の支持用アーム部材50a,50bから、さらに同一屈曲方向に、第1のチルト回転軸45a,45bの夫々軸中心から外方に突出した突出部51a,51bが設けられている。突出部51a,51bの先端部は支持軸52で強固に連結され、支持用アーム部材50a,50bがビューファインダー30をパン方向及びチルト方向に回転させた際に、パン・チルト機構20が歪みを生じないようにしている。また、支持用アーム部材50a,50bの何れか一方にビューファインダー30の配線コードを固定するホールダー(図示無し)が設けられ、配線コードをこのホールダーに固定しビューファインダー30をパン方向及びチルト方向に回転させた際、配線コードがカメラ本体3やパン・チルト機構20自体等への絡み付きを防止している。
チルト回転規制機構70は、ビューファインダー30のチルト角を一定にするためにビューファインダー30が回動可能な範囲を規制する機能を有し、チルト角規制用アーム部材70a,70bとビューファインダー30の両側壁面に設けられる規制部材72a,72bとからなり、チルト角規制用アーム部材70aの一端は、第1のチルト回転軸45aが設けられた軸受部42c内の近傍にチルト回転軸71aにより軸支され、かつその先端部内面側にはビューファインダー30の側壁面方向に突出する突起73aが設けられ、同様に、チルト角規制用アーム部材70bの一端は第1のチルト回転軸45bが設けられた軸受部42d内の近傍にチルト回転軸71bで軸支され、その先端部内側にはビューファインダー30の側壁面方向に突出する突起73bが設けられている。規制部材72a,72bは、ビューファインダー30の両側壁部に固定され、支持用アーム部材50a,50bに夫々設けた第2のチルト回転軸60a,60bが規制部材72a,72bの軸受部75a,75bに夫々軸支され、かつ、規制部材72a,72bにはチルト角規制用アーム部材70a,70bの突起73a,73bと夫々係合する円弧状の案内溝74a,74bが夫々設けられている。
案内溝74a,74bはチルト回転軸71a,71bの軸中心を中心とする円弧状の溝であり、案内溝74a,74bの長さによって、ビューファインダー3の表示面の傾斜角(チルト角)、即ちビューファインダー3の表示面のチルト方向の可動範囲を設定することができる。例えば、円弧状の案内溝74a,74bを30°〜45°に設定すれば、ビューファインダー30を水平位置(ビューファインダー30の表示面がカメラの入射光軸に対し垂直)に設定し、その水平位置から上下方向の可動範囲を定めるチルト角、即ちビューファインダー30の表示面の傾斜角を30°〜45°の範囲で回動させることができる。また、円弧状の案内溝74a,74bの長さを任意に設定することにより所望の可動範囲(チルト角)に設定することができる。なお、チルト方向の可動範囲を設定するチルト角が45°を超える場合、カメラ機種等によってはビューファインダーがカメラ本体等に干渉する可能性があり、カメラ機種等に応じて可動範囲を任意に設定する。
続いて、本実施形態によるビューファインダーのチルト位置の調節方法について説明する。本実施形態では、図5に示すように、パン回転軸41を中心としパン回転台42がカメラ本体3の前後方向中心線Cから左右水平方向に90°回転可能であり、左右水平方向に90°の範囲で任意のパン位置に設定することができる。先ず、パン機構部20aには、固定台40に摺動基台43を摺動可能に設けたスライド機構が設けられており、カメラ操作者は、ビューファインダー30が装着されたパン・チルト機構20を前後に摺動させ所定スライド位置に設定し任意のパン位置に設定した後、ロックレバー44を締めて所望のスライド位置及びパン位置に固定する。次いで、スライド位置及びパン位置を固定した後、ビューファインダー30を所望のチルト角(第1チルト角)に設定し、ビューファインダー30の表示面の傾斜角(第2チルト角)を調節し、ビューファインダー30の表示面を最適なチルト位置に設定する。なお、本実施形態において、スライド位置を固定した後、パン回転台40を固定するように構成しても良い。
本実施形態では、第1のチルト角を設定した後、ビューファインダー30の表示画面の傾斜角(第2のチルト角)を設定しており、第1のチルト角は、図6(a)〜(d)に示すように、チルト位置Ta〜Tbによるチルト角(第1チルト角)T1 の範囲内で任意に設定可能であり、かつ図7(a)〜(b)及び図8(a)〜(b)に示すように、ビューファインダー30の表示面の傾斜角(第2チルト角)を第1チルト角T1 の範囲内で調節することができる。なお、図6(a)〜(d)は、ビューファインダー30及びカメラ本体3を省略した図であり、同図(a)が第1チルト角の調節で、ビューファインダー30を最も高い位置に設定したチルト位置Taにあり、同図(b)〜(d)の順に徐々にビューファインダー30を降下させた図を示し、同図(d)が最も降下したチルト位置Tbに設定した図を示している。カメラ操作者は、例えば、最も高い位置(図6(a))にあるビューファインダー30の把持部31を握って降下させたり、上昇させたりし、図6(a)〜(d)に示すチルト角(第1チルト角)T1 の任意のチルト位置にビューファインダー30を設定することができる。
カメラ操作者は、把持部31を握ってビューファインダー30を降下させるように操作すると、図6(a)のチルト位置にある支持用アーム部材50a(50b)が第1のチルト回転軸45a(45b)を軸中心として回動し、支持用アーム部材50a(50b)に従動してチルト角規制用アーム部材70a(70b)が動く。チルト角規制用アーム部材70a(70b)は、チルト回転軸71a(71b)を軸中心に回動するとともにその先端部に設けられた突起73a(73b)が規制部材70a(70b)に設けられた円弧状の案内溝74a(74b)に摺動自在に係合しており、チルト角規制用アーム部材70a(70b)は円弧状の案内溝74a(74b)に従って動く。案内溝74a(74b)は、第2チルト回転軸60a(60b)の軸中心とする円弧状の溝であり、図6(a)では突起73a(73b)が案内溝74a(74b)内の前方位置にあり、この時のチルト位置がTaである。また、図6(b)では突起73a(73b)が僅かに後方位置に移動し、図6(d)では最も後方位置となり、突起73a(73b)が最も後方位置にある時のチルト位置がTbである。突起73a(73b)が案内溝74a(74b)で規制されることにより、チルト角規制用アーム部材70a(70b)は案内溝74a(74b)に規制されて任意のチルト角T1 に設定することができる。即ち、案内溝74a(74b)により第1チルト角による可動範囲が設定される。支持用アーム部材50a(50b)による任意のチルト角が設定されると、第1のチルト回転軸45bに設けたロックレバー(ロック部材)21を締めて固定する。このように第1チルト角は、規制部材70a(70b)に設けた案内溝74a(74b)の円弧の長さにより設定することができ、案内溝74a(74b)の溝の長さにより、ビューファインダー30のチルト方向の回動可能な範囲(第1チルト角)を設定することができる。なお、第1チルト角の何れのチルト位置においても突起73a(73b)が案内溝74a(74b)の中央に位置している場合、ビューファインダー30の表示面がビデオカメラに入射する光軸に対し概ね直交しており、この時、ビューファインダー30が概ね水平に設定されている。
チルト角規制用アーム部材70a(70b)をロックレバー21で固定し任意の第1チルト角に設定した後、把持部31を操作してビューファインダー30の表示面の傾斜角(第2チルト角)を所望のチルト角に調整する。図7(a)〜(c)及び図8(a)〜(c)を参照し説明すると、図7(a)が第1チルト角の最も高い位置に水平に設定された状態を示し、突起73a(73b)は円弧状の案内溝74a(74b)内の中央に位置している。また、図8(a)はビューファインダー30が最も低い位置に水平に設定された状態を示し、円弧状の案内溝74a(74b)内の中央に位置している。図7(b)は水平状態からビューファインダー30の表示面を、チルト角T2 上方に回動させた状態を示し、突起73a(73b)は案内溝74a(74b)内の後方(カメラ本体側)に位置している。また、図7(c)は水平に設定したビューファインダー30の表示面を、チルト角T3 下方に回動させた状態を示し、突起73a(73b)は案内溝74a,74b内の前方(表示面側)に位置している。図8(a)では、突起73a(73b)は円弧状の案内溝74a(74b)内の中央に位置し、図8(b)は水平に設定されたビューファインダー30をチルト角T2 上方に回動させた状態を示し、突起73a(73b)は案内溝74a(74b)内の後方(カメラ本体側)に位置し、図8(c)は水平に設定したビューファインダー30をチルト角T3 下方に回動させた状態を示し、突起73a(73b)は案内溝74a,74b内の前方(表示面側)に位置している。このようにビューファインダー30の表示面の傾斜角(第2チルト角)は、チルト角T2 ,T3 の範囲で任意に設定することができ、任意の第2チルト角を調節した後、ロックレバー(ロック部材)22を締めて第2チルト角を固定する。なお、チルト角T2 ,T3 は、第1のチルト角T1 の何れのチルト角においてもに等しい角度である。
このように支持用アーム部材50a(50b)は任意の第1チルト角の設定に際しチルト角規制用アーム部材70a(70b)が従動し、任意の第1チルト角に設定した後、第1チルト角を固定して支持用アーム部材50a(50b)の回動を規制し、ビューファインダー30の傾斜角を調節して第2チルト角を設定する。その際、傾斜角の変動に応じてチルト角規制用アーム部材70a(70b)が従動する。支持用アーム部材50a(50b)が第1チルト角の何れのチルト位置にあっても、案内溝74a,74bの長さにより第2チルト角を一定にすることができる。
上記のように、本実施形態では、ビデオカメラやテレビカメラのビューファインダーの表示位置を調節するパン・チルト機構において、パン・チルト機構が、ビデオカメラの上部後方に装着される固定台に設けたパン回転軸を中心としてパン方向に回転するパン回転台と、パン回転台に、ビューファインダーを円弧状の軌跡に沿って上下方向に回動させるための第1のチルト回転軸とビューファインダーの表示面の傾斜角を調節する第2のチルト回転軸とが設けられた支持用アーム部材とを備え、第2のチルト回転軸によるビューファインダーの表示面の傾斜角の調節に際し、支持用アーム部材のチルト位置に拘わらず、ビューファインダーのチルト方向の可動範囲を一定にするチルト回転規制機構を前記パン・チルト機構に備えたパン・チルト機構であり、従来例のものよりビューファインダーの表示位置の調節における自由度が増し、使い易いカメラシステムを構築できる。
また、ビューファインダーをビデオカメラに対し前後方向(ビデオカメラの入射光軸方向に沿って前後方向)へ摺動可能なスライド機構を備え、第1と第2チルト角によりビューファインダーを任意のチルト角に設定することができる。また、ビューファインダーを第1チルト回転軸を軸中心に上昇又は降下させた任意のチルト角で、パン方向の回転が可能であり、パン位置及びチルト角を設定する際し、ビューファインダーがカメラ本体及び他の周辺機器との干渉を防止するためのストッパー部材が設けられており、安全性が向上し、さらに、第2チルト回転軸を軸中心にビューファインダーの表示面の傾斜角の調節可能な範囲が一定であるので、従来例のものよりビューファインダーの表示位置の調節における自由度が増し、使い易いカメラシステムを構築できる。
また、ビューファインダーを支持する支持用アーム部材が、ビューファインダーの両側壁に配置され、逆への字状に組み込まれており、ビューファインダーをより下方に配置でき、大型のビューファインダーを装着したとしても、従来と比較してビデオカメラから極端に外方に突出することがなく、大型のビューファインダーを搭載したとしてもコンパクトに装着することができ、しかも、ビューファインダーの近傍にビデオカメラの後部が位置し、カメラ操作者がビデオカメラの操作がし易く、従来例のものより使い易いカメラシステムを構築できる。