JP4818216B2 - 電極シートの製造方法および静電容量型入力装置 - Google Patents

電極シートの製造方法および静電容量型入力装置 Download PDF

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Description

本発明は、静電容量型入力装置などに用いられる電極シートを製造する方法に関する。また、携帯オーディオなどに備えられる静電容量型入力装置に関する。
タッチパネルや静電容量型入力装置などの入力装置の透明電極として、ポリチオフェン等のπ共役系導電性高分子を導電成分として含むものが検討されている。
π共役系導電性高分子は水溶液の状態で供給されているため、従来、パターン状の電極を形成する方法として、π共役系導電性高分子の水溶液をインクとして用い、スクリーン印刷する方法が検討されてきた。スクリーン印刷用のインクは、ある程度粘度が高くなければならないが、溶解性の点から、π共役系導電性高分子の水溶液の固形分濃度は低くされているため、粘度が低く、そのままではスクリーン印刷に適さない。
そこで、特許文献1,2では、π共役系導電性高分子の水溶液に増粘剤を添加して、スクリーン印刷に適した粘度にする方法が提案されている。
特表2002−500408号公報 特許第3855167号公報
しかし、増粘剤を添加した場合には、相対的にπ共役系導電性高分子の濃度が低くなり、導電性が低下した。そのため、スクリーン印刷により電極部を形成した電極シートを備える入力装置(特に静電容量型入力装置)では、動作信頼性が低くなることがあった。しかも、透明性も低下する(特にヘイズが大きくなる)ため、電極シートの裏面側にて形成される画像や電極シートの裏面側に配置される発光体の光等の視認性が低下することがあった。
さらに、π共役系導電性高分子水溶液に添加できる増粘剤の種類および量には制限があるため、π共役系導電性高分子水溶液に増粘剤を添加しても、印刷性を充分に改善できていなかった。したがって、π共役系導電性高分子水溶液に増粘剤を添加したインクを用いても、絶縁性透明基材上に精細なパターンの電極部を形成することは困難であった。
本発明は、前記事情を鑑みてなされたものであり、絶縁性透明基材上に、導電性および透明性が高く、しかも精細なパターンの電極部を形成できる電極シートの製造方法を提供することを目的とする。
また、動作信頼性が高く、また、電極シートの裏面側にて形成される画像や電極シートの裏面側に配置される発光体の光等の視認性が高い静電容量型入力装置を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を包含する。
[1] 絶縁性透明基材の片面または両面に、π共役系導電性高分子、可溶化高分子及び溶媒を含有する導電性高分子溶液により導電性塗膜を形成する工程と、
該導電性塗膜をドライエッチングして電極部を形成する工程とを有することを特徴とする電極シートの製造方法。
[2] ドライエッチングがプラズマエッチングであることを特徴とする[1]に記載の電極シートの製造方法。
[3] ドライエッチングが紫外光エッチングであることを特徴とする[1]に記載の電極シートの製造方法。
[4] [1]〜[3]のいずれかに記載の電極シートの製造方法により製造した電極シートを備えることを特徴とする静電容量型入力装置。
本発明の電極シートの製造方法によれば、絶縁性透明基材上に、導電性および透明性が高く、しかも精細なパターンの電極部を形成できる。
本発明の静電容量型入力装置は、動作信頼性が高く、また、電極シートの裏面側にて形成される画像や電極シートの裏面側に配置される発光体の光等の視認性が高い。
<電極シートの製造方法>
本発明の電極シートの製造方法の一実施形態例について説明する。
本実施形態例の電極シートの製造方法は、絶縁性透明基材の片面に導電性塗膜を形成する第1の工程と、図1に示すように、絶縁性透明基材11の片面に引き回し回路12を形成する第2の工程と、図2に示すように、前記導電性塗膜より電極部13,13・・・を形成する第3の工程と有して、電極シート10を製造する方法である。
(第1の工程)
本実施形態例では、導電性塗膜を形成する方法として、絶縁性透明基材11の片面全面に導電性高分子溶液を印刷または塗布する方法が適用される。
絶縁性透明基材11としては、例えば、透明樹脂フィルム、ガラス板などを用いる。
透明樹脂フィルムを構成する樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアクリル、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデン、ポリアリレート、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマーなどが挙げられる。これらの樹脂材料の中でも、強度等の点から、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
なお、本発明における絶縁性とは、体積抵抗率が1012Ω・cm以上のことである。また、透明とは、可視光を透過させたときの光線透過率が75%以上のことである。
絶縁性透明基材11の厚さは10〜100μmであることが好ましい。絶縁性透明基材11の厚さが10μm以上であれば、破断しにくく、100μm以下であれば、電極シート10を薄くできる。
導電性高分子溶液は、π共役系導電性高分子と可溶化高分子と溶媒とを含有する溶液である。該導電性高分子溶液から形成される塗膜は透明である。
π共役系導電性高分子としては、例えば、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)などが挙げられる。これらの中でも、導電性の点から、ポリピロール、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)が好ましい。
また、π共役系導電性高分子として、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリアニリン、ポリフェニレンビニレン、ポリチオナフテンなどを使用することもできる。
可溶化高分子とは、π共役系導電性高分子に配位して、単体では溶媒に不溶なπ共役系導電性高分子を可溶化させる高分子である。可溶化高分子としては、例えば、アニオン基を有する高分子、電子吸引基を有する高分子などが使用される。
アニオン基を有する高分子の具体例としては、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリルスルホン酸、ポリメタクリルスルホン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)、ポリイソプレンスルホン酸、ポリビニルカルボン酸、ポリスチレンカルボン酸、ポリアリルカルボン酸、ポリアクリルカルボン酸、ポリメタクリルカルボン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンカルボン酸)、ポリイソプレンカルボン酸、ポリアクリル酸等が挙げられる。
電子吸引性基を有する高分子の具体例としては、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル−スチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂や、ヒドロキシ基あるいはアミノ基含有樹脂をシアノエチル化した樹脂(例えば、シアノエチルセルロース)、ポリビニルピロリドン、アルキル化ポリビニルピロリドン、ニトロセルロースなどが挙げられる。
可溶化高分子の含有量は、π共役系導電性高分子1モルに対して0.1〜10モルの範囲であることが好ましく、1〜7モルの範囲であることがより好ましい。可溶化高分子の含有量が0.1モル以上であれば、π共役系導電性高分子へのドーピング効果が強くなり、導電性を充分に満たす。その上、溶媒への分散性及び溶解性が高くなり、均一な導電性高分子溶液を容易に得ることができる。また、可溶化高分子の含有量が10モル以下であれば、π共役系導電性高分子を充分に含むため、充分な導電性が得られる。
溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチレンホスホルトリアミド、アセトニトリル、ベンゾニトリル、クレゾール、フェノール、キシレノール、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジオキサン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル、3−メチル−2−オキサゾリジノンなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種類以上の混合物としてもよいし、他の有機溶剤との混合物としてもよい。
導電性高分子溶液には、不飽和二重結合を2つ以上有する多官能アクリルが含まれることが好ましい。多官能アクリルは導電性塗膜形成時に重合し、かつ、架橋する。そのため、多官能アクリルを含むと、導電性塗膜の膜強度、耐熱水性および耐湿性が高くなる。
多官能アクリルとしては、例えば、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタジ(メタ)アクリレート、PEG400ジ(メタ)アクリレート、PEG300ジ(メタ)アクリレート、PEG600ジ(メタ)アクリレート、N,N’−メチレンビスアクリルアミド等の2官能アクリル、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の3官能アクリル、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(ペンタ)(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート等の4官能以上のアクリル、2官能以上のウレタンアクリレートが挙げられる。
導電性高分子溶液中の多官能アクリルの含有量は、0.05〜50質量%であることが好ましく、0.1〜40質量%であることがより好ましい。多官能アクリルの含有量が、0.05質量%より少なくなると、耐水性、耐熱水性、耐湿性が不足することがある。また、多官能アクリルの含有量が、50質量%より多くなると、導電性塗膜中のπ共役系導電性高分子の含有量が少なくなり、充分な導電性が得られにくくなる。
また、導電性高分子溶液には、膜強度、耐熱水性および耐湿性がより高くなることから、N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミドおよびN−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミドの一方または両方が含まれることが好ましい。
N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド(N−メチロール(メタ)アクリルアミド)、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシブチルアクリルアミド等が挙げられる。
N−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
これら(メタ)アクリルアミド化合物の含有量は、π共役系導電性高分子と可溶化高分子の合計100質量部に対して1〜5000質量部であることが好ましく、50〜500質量部であることがより好ましい。(メタ)アクリルアミド化合物の含有量が1質量部より少なくなると、導電性及び耐熱性が不足することがある。また、(メタ)アクリルアミド化合物の含有量が5000質量部より多くなると、導電性塗膜中のπ共役系導電性高分子の含有量が少なくなり、やはり充分な導電性が得ることが難しくなる。
また、導電性高分子溶液は、導電性をより高くするために、ドーパントを含有することが好ましい。
ドーパントとしては、ヨウ素、臭素等のハロゲン、PF、AsF、BF等のルイス酸、HF、HCl、HSO等のプロトン酸やパラトルエンスルホン酸、パラメトキシエチルトルエンスルホン酸等の有機酸、FeCl、TiCl等の遷移金属化合物、テトラシアノジメタン、テトラシアノテトラアザナフタレン、クロラニル等の有機物質、Li、Na、K等のアルカリ金属、Ca、Sr、Ba等のアルカリ土類金属等が挙げられる。
上記の成分を含む導電性高分子溶液を絶縁性基材11の片面全面に印刷する方法としては、例えば、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷などが挙げられる。
塗布方法としては、例えば、バーコーター、ダイコーター、コンマコーター、スプレーコーター、ロールコーター等の塗布装置を用いる方法が挙げられる。
印刷または塗布後には乾燥をおこなうことが好ましい。乾燥方法としては、例えば、熱風乾燥法、赤外線乾燥法、真空乾燥法などが挙げられる。
上記のような第1の工程により形成した導電性塗膜におけるπ共役系導電性高分子の含有量は10〜95質量%であることが好ましい。π共役系導電性高分子の含有量が10質量%以上であれば、充分な導電性を確保でき、95質量%以下であれば、導電性塗膜を容易に形成できる。
導電性塗膜の厚さは0.1〜5μmであることが好ましい。導電性塗膜の厚さが0.1μm以上であれば、充分な導電性を確保でき、5μm以下であれば、容易に塗膜を形成できる。
(第2の工程)
引き回し回路12を形成する方法としては、例えば、絶縁性透明基材11に導電性ペーストを、引き回し回路12が形成されるパターンで印刷する方法、金属箔を絶縁性透明基材11に貼り合わせた後、金属箔を、引き回し回路12が形成されるパターンでエッチングする方法、金属めっきの膜を絶縁性透明基材11に形成した後、金属めっきの膜を、引き回し回路12が形成されるパターンでエッチングする方法などが挙げられる。
導電性ペーストは、導電性粒子とバインダと溶媒とを含むものである。
導電性粒子の材質としては、例えば、金、銀、銅、ニッケル、カーボン、およびこれらのうちの2種以上を含む合金などが挙げられる。これらの中でも導電性に優れることから、銀が好ましい。
バインダとしては、ポリエステル系、アクリル系、ウレタン系、フッ素系、シリコーン系、又はエポキシ系の各種樹脂を挙げることができる。これらの樹脂は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、バインダが放射線硬化性樹脂であってもよい。ここで、放射線硬化性樹脂とは、紫外線や電子線等の放射線によって硬化する樹脂である。
放射線硬化性樹脂の具体例としては、放射線硬化性プレポリマーが挙げられる。放射線硬化性プレポリマーとしては、例えば、エステルアクリレート、エーテルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、アミノ樹脂アクリレート、アクリル樹脂アクリレート、不飽和ポリエステル等のラジカル重合型、エポキシ樹脂、ビニルエーテルを有する樹脂等のカチオン重合型、アリール基やアクリロイル基を有するオリゴマーとポリチオールを組み合わせたチオール・エン付加型のもの等が挙げられる。
導電性ペーストの印刷方法としては、例えば、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷などが挙げられ、中でも、スクリーン印刷が好ましい。
金属箔としては、例えば、電解銅箔、圧延銅箔、電解ニッケル箔、ステンレス箔、アルミニウム箔等が使用される。
金属めっきの膜としては、例えば、金、銀、銅、ニッケル等のめっき膜が挙げられる。
金属箔または金属めっきの膜のエッチング方法としては、例えば、金属箔または金属めっきの膜の上にマスキングを配置し、ウェットエッチングまたはドライエッチングする方法などが挙げられる。
ここで用いるマスキングは、金属箔または金属めっきの膜の、引き回し回路12になる部分を覆うものであり、後述のドライエッチングで適用されるものと同様のものが用いられる。
引き回し回路12の厚さは5〜50μmであることが好ましい。引き回し回路12の厚さが5μm以上であれば、第3の工程にて引き回し回路12がエッチングされても、充分な厚さの引き回し回路12が残り、50μm以下であれば、電極シート10を薄くできる。
(第3の工程)
本実施形態例の第3の工程にて形成する電極部13は中心角が30度の扇形である。電極部13は合計9個形成され、これらが集合して円形状になっている。
導電性塗膜よりパターン状の電極部13,13・・・を形成する際には、エッチング液を用いないでエッチングするドライエッチングを適用する。
ドライエッチングとしては、例えば、プラズマエッチング、光エッチング、イオンビームエッチングなどが挙げられ、中でも、簡便により精細なパターンの電極部13を形成できることから、プラズマエッチング、光エッチングが好ましい。
プラズマエッチングは、プラズマによって発生したラジカルをエッチング対象物に衝突させる方法、プラズマによって発生したイオンをエッチング対象物に衝突させる方法(反応性イオンエッチング法)のいずれであってもよいが、短時間で精細にエッチングできることから、反応性イオンエッチング法が好ましい。
反応性イオンエッチング法では、例えば、金のエッチングレートが約15nm/分、ポリマーのエッチングレートが50〜300nm/分である。
反応性イオンエッチング法を適用する場合の各種エッチング条件は、導電性塗膜の大きさ、厚さ、エッチング装置の種類などに応じて適宜設定されるものである。
イオンの発生源となるガス(エッチングガス)としては、例えば、アルゴンガス、塩素系ガス(BCl、Cl、CCl等)、フッ素系ガス(CF、CHF、C、SF等)などが挙げられるが、汎用的である点で、アルゴンガスが好ましい。アルゴンガスを用いた場合には、プラズマによって生じさせたArを導電性塗膜に衝突させる。
プラズマエッチング装置として、日立ハイテクノロジーズ社製SPC−100を用い、エッチングガスとしてアルゴンガスを用いた場合、アルゴンガス供給量を3〜7cm/分とすることが好ましい。また、真空度を10〜30Paとすることが好ましい。
光エッチングとしては、例えば、紫外線の照射によりエッチングする紫外光エッチングが挙げられる。紫外線としては、エキシマレーザやYAGレーザ等の高調波を使用した光を用いることができる。
ドライエッチングの際には、導電性塗膜の表面の、電極部13になる部分に、マスキングを配置する。
マスキングとしては、例えば、レジスト剤、ドライフィルム、再剥離可能な微粘着テープにカッティングプロッタ、レーザ等によりスリットを形成させたマスキングテープなどが用いられる。これらの厚さは導電性塗膜より厚いことが好ましい。レジスト剤、ドライフィルム、マスキングテープなどからなるマスキングを用いた場合には、プラズマエッチング後に除去することにより、電極部13になる部分が現れる。
また、マスキングとして、ステンレス等の金属の板に、エッチング、レーザ穿孔、パンチ、マシニング等の加工を施して、スリットを形成したマスキングプレートを用いることもできる。このようなマスキングプレートは繰り返し使用することができるため、同一の電極部を連続して形成する場合に適している。
光エッチングを行う場合には、マスキングは光を遮蔽する材料で構成されていなければならない。
以上説明した電極シート10の製造方法はスクリーン印刷を適用してパターン状の電極部13を形成する方法ではないから、導電性高分子溶液に増粘剤を含有させる必要がない。したがって、導電性高分子溶液より形成した導電性塗膜は導電性および透明性に優れ、このような導電性塗膜から形成したパターン状の電極部13も導電性および透明性に優れる。
また、導電性塗膜をドライエッチングすることにより、精細なパターンの電極部13を絶縁性透明基材上に形成できる。
ところで、一般に、エッチング方法として、ウェットエッチング、ブラストエッチングが知られており、これらのエッチング方法を適用しても電極部13を形成することは可能である。しかし、アルカリ水溶液を用いるウェットエッチングによると、作業性が低下し、しかもアルカリ水溶液を廃棄するための処理を行わなければならず、煩雑である。また、ブラストエッチングによると、ブラストに使用した研磨剤や削り取られたものが電極部13の表面あるいは絶縁性透明基材11の表面に付着しやすいため、透明性を低下させるという欠点を有している。
これらの方法に対し、ドライエッチングでは、アルカリ水溶液を取り扱うことがないから、作業性が高い。また、削り取られたものは質量が小さく、真空排気等によって容易にエッチング室から排出させることができるため、電極部13の表面および絶縁性透明基材11の表面に付着しにくく、透明性低下を防止できる。
なお、本発明の電極シートの製造方法は、上述した実施形態に限定されない。上述した実施形態例では、絶縁性透明基材11の片面に導電性塗膜を形成したが、絶縁性透明基材11の両面に導電性塗膜を形成してもよい。
また、上述した実施形態例では、引き回し回路12を形成した後に電極部13を形成したが、電極部13を形成した後に引き回し回路12を形成してもよい。
また、本発明において、電極部のパターンには制限はなく、例えば、図3に示すような、絶縁性透明基材11上に、複数の電極部14,14・・が一方向に配列したパターンであってもよい。
<静電容量型入力装置>
本発明の静電容量型入力装置の一実施形態例について説明する。
図4に、本実施形態例の静電容量型入力装置を示す。この静電容量型入力装置1は、電極シート10と、電圧印加部20と、静電容量検出部30と、判定部40と、表示板50と、発光体60とを具備するものである。
本実施形態例における電極シート10は、上述した製造方法により得られたものである。
電圧印加部20は、隣接する電極部13,13を所定電圧で印加するものである。
静電容量検出部30は、隣接する電極部13,13の間の静電容量の変化量を検出するものである。
判定部40は、静電容量検出部30に接続され、静電容量検出部30により検出された静電容量の変化量が閾値を超えた際に、入力されたものと判定するものである。
表示板50は、電極部13の表面に設置されたものである。表示板50の具体例としては、抜き文字が設けられた板、着色された板などが挙げられる。
発光体60は、発光ダイオード(LED)等であり、電極シートの裏面側(人間側と反対側)に設置されたものである。また、発光体60は判定部40に接続され、入力されたと判定された際に発光または消光するようになっている。
この静電容量型入力装置1は、以下のようにして使用する。
まず、電圧印加部20により電極部13,13・・・を所定電圧で印加し、静電容量検出部30により、隣接する電極部13,13の間の静電容量を監視する。
人が表示板50に指を近接させると、その指の近接によって電極部13,13の間の静電容量が変化する。静電容量検出部30は、その静電容量の変化量を検出し、その値を判定部40に伝送する。そして、判定部40にて、静電容量の変化量が閾値を超えた際に、入力されたものと判定し、その判定結果の信号を制御部(図示せず)等に伝送する。
上述した静電容量型入力装置1は、上述した製造方法により製造した導電性および透明性が高い電極シート10を備えるため、動作信頼性が高く、また、電極シート10の裏面側の発光体60から発生される光の視認性が高い。
厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの片面に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)およびポリスチレンスルホン酸の水溶液(エイチ・シー・シュタルク社製バイトロンPJ−500)を、バーコーターにより塗布した。その後、乾燥させて、厚さ200nmで表面抵抗率が1000Ωの導電性塗膜を形成した。また、PETフィルムと導電性塗膜との積層体の全光線透過率は85%であった。
次いで、PETフィルムの導電性塗膜が形成された側の面に、銀ペーストをスクリーン印刷して、図1に示すような、厚さ18μmの引き回し回路12を形成した。
次いで、導電性塗膜の表面に、得ようとする電極部のパターンと同じパターンの開口部が形成されたメタルマスクを載せ、剥離可能なレジスト剤(株式会社アサヒ化学研究所製、#228T)を厚さ80μmになるように印刷し、150℃、10分間加熱して硬化させた。
次いで、レジスト剤が印刷されたPETフィルムと導電性塗膜の積層体を、プラズマエッチング装置(日立ハイクテクノロジーズ社製SPC−100)のエッチング室内に挿入し、エッチング室内の真空度20Pa、アルゴンガス供給量5cm/分、出力600Wの条件で、2分間、導電性塗膜をプラズマエッチングした。このエッチングにより、図2に示すように、扇形の電極部13を円形状に8個形成した。なお、エッチングの際に、引き回し回路12の表面の一部も削れてしまうが、引き回し回路12の厚みは導電性塗膜より大幅に厚い上に、銀のエッチングレートはポリマーのエッチングレートより遅いので、全く影響がない。
その後、硬化したレジスト剤をピンセットでつまみ、得られた電極部13から引き剥がして、電極シート10を得た。
得られた電極シート10の電極部13,13同士の絶縁性を、デジタルマルチメータにより調べた。その結果、電極部13,13同士の絶縁性は確保されており、ドライエッチングによって、所望のパターンで電極部13が形成されていることを確認できた。
本発明の電極シートの製造方法の一実施形態例において形成される引き回し回路を示す平面図である。 本発明の電極シートの製造方法の一実施形態例において形成される電極シートを示す平面図である。 本発明の電極シートの製造方法により製造される電極シートの他の例を示す平面図である。 本発明の静電容量型入力装置の一実施形態例を説明する図である。
符号の説明
1 静電容量型入力装置
10 電極シート
11 絶縁性透明基材
12 引き回し回路
13,14 電極部
20 電圧印加部
30 静電容量検出部
40 判定部
50 表示板
60 発光体

Claims (4)

  1. 絶縁性透明基材の片面または両面に、π共役系導電性高分子、可溶化高分子及び溶媒を含有する導電性高分子溶液により導電性塗膜を形成する工程と、
    該導電性塗膜をドライエッチングして電極部を形成する工程とを有することを特徴とする電極シートの製造方法。
  2. ドライエッチングがプラズマエッチングであることを特徴とする請求項1に記載の電極シートの製造方法。
  3. ドライエッチングが紫外光エッチングであることを特徴とする請求項1に記載の電極シートの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の電極シートの製造方法により製造した電極シートを備えることを特徴とする静電容量型入力装置。
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