JP4817573B2 - 圧縮成形物及びその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、圧縮成形物に関し、特に、耐摩損性の外殻を備える圧縮成形物及びそのような圧縮成形物の製造方法に関する。
また、本発明は、圧縮成形物に関し、特に、圧縮成形物中に含有される生菌類が損傷しておらず、且つ、圧縮成形物の表面が耐摩損性を有している圧縮成形物及びそのような圧縮成形物の製造方法に関する。
また、本発明は、圧縮成形物に関し、特に、圧縮成形物中に含有されるマイクロカプセルが損傷しておらず、且つ、圧縮成形物の表面が耐摩損性を有している圧縮成形物及びそのような圧縮成形物の製造方法に関する。
背景技術
錠剤は、携帯し易く、また、注射剤その他の製剤に比べ、投与し易い剤形であるため、各種有効成分を含有する医薬品や、乳酸菌等の生菌類、クロレラ、βカロチン、各種ビタミンその他の体に良いとされている成分や栄養補給成分を含有する食品の剤形として、幅広く使用されている。
このような錠剤は、一般に、打錠機を用い、成形材料を圧縮成形することにより製造されている。
ところで、成形材料を圧縮成形する際には、打錠機の臼、下杵及び上杵の各々の成形材料接触表面に、成形材料が付着して、製造される錠剤に、スティッキング、ラミネーティング、キャッピング等の打錠障害が発生するのを防止したり、成形材料を圧縮成形する際に、打錠機の臼、下杵及び上杵のギシツキを防止するために、成形材料中に、滑沢剤が添加されている。
そのような滑沢剤としては、例えば、医薬品錠剤を製造する場合には、ステアリン酸や、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等のステアリン酸金属塩等が用いられ、食品錠剤にあっては、ショ糖脂肪酸エステル又はグリセリン脂肪酸エステル粉末、硬化油脂等が用いられている。
このような、滑沢剤が予め添加された成形材料を圧縮成形して、錠剤を製造する、錠剤の製造方法は、一般に、内部滑沢法といわれている。
また、近時、錠剤の服用の簡便性を考慮して、水とともに服用してもよく、錠剤を口腔内で咀嚼して、唾液中に溶かして、水無しでも服用できるようにした、チュアブル錠が、医薬品のみならず、食品の剤形として、幅広く、用いられるようになっている。
しかしながら、内部滑沢法によって、錠剤を製造する場合には、成形材料を圧縮成形する際に、成形材料が、打錠機の臼、下杵及び上杵の各々の成形材料接触表面に、成形材料が付着するのを防止するためには、成形材料中に、相当量の滑沢剤を添加しなければならない。
しかしながら、成形材料中に、相当量の滑沢剤を添加した場合には、滑沢剤の撥水性が原因して、錠剤の溶解時間や崩壊時間が遅延し、体内への吸収が悪くなったり、効果の発現が遅くなったりする、という問題がある。
また、錠剤が、素錠の場合にあっては、保存や運搬時に、錠剤に外部から加わる振動などによって、錠剤表面に欠けが生じやすい、という問題がある。
特に、保存や運搬時に生じる錠剤表面の欠けは、瓶詰め包装のような場合に生じやすい。
錠剤の欠けを防止するためには、コーティング装置等を用いて、圧縮成形により製造された錠剤(素錠)の錠剤表面に、糖衣、膠衣、フィルムコーティング等の外殻を形成することが、一般的には、考えられるが、圧縮成形により製造された錠剤(素錠)の錠剤表面に、糖衣、膠衣、フィルムコーティング等の外殻を設けるには、錠剤の製造工程に、成形材料の圧縮成形工程の他に、更に、コーティング工程を設ける必要があるという問題や、コーティング装置等を用いて、圧縮成形により製造された錠剤(素錠)の錠剤表面に、糖衣、膠衣、フィルムコーティング等の外殻を施した場合には、錠剤表面にそのような外殻層が、しっかりと形成されてしまい、もはや、素錠とは言えないものとなる。
例えば、チュアブル錠にあっては、口腔内で噛んだ時に、外殻と内殻との味が著しく相違したり、また、口腔内に、外殻のかすが残ったり、服用者に不快感を与えることになるので、素錠であることが、望まれる。
更に、滑沢剤は、疎水性であるために、苦みの原因となる。
このため、従来の内部滑沢法で製造されたチュアブル剤は、口腔内で、錠剤を噛み砕いた際に、錠剤内部に分散している滑沢剤が起因する、服用者にとって、不快な味がする、という問題がある。
また、近時、乾燥凍結技術を利用して、例えば、ビフィズス菌、乳酸菌、酵母菌等の生菌類を含有させた生菌類含有錠剤(圧縮成形物)が、開発されている。
図43は、そのような従来の生菌類含有錠剤の一例を、一部を切り欠いて、模式的に示す斜視図である。
この生菌類含有錠剤tc1は、錠剤tc1中に、生菌類vmc・・・が、分散された構造になっている。
ところで、このような生菌類含有錠剤tc1を製造した場合、圧縮成形する成形材料中に、当然、生菌類vmc・・・が含まれることになるが、杵や臼を用いて、生菌類vmc・を含む成形材料を圧縮成形すると、成形材料中に含まれる生菌類vmc・・・に、成形材料を圧縮成形する際の力が加わり、錠剤tc中に含まれる生菌類vmc・・・の一部が損傷し、損傷した生菌類vmcが死滅するという問題がある。
かかる問題を解決するために、従来は、賦形剤として、クロレラ粉末を用い、生菌類を含有する成形材料を低圧で打錠(圧縮成形)しても、製造される錠剤に実用的な硬度が得られるような工夫がなされている(特開平8−80007号を参照)。
また、賦形剤として、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムと、クエン酸カルシウム又は無水リン酸水素カルシウムを用いたものが既に提案されている(特開平8−143463号を参照)。
また、賦形剤として、糖類(マンニトール、乳糖、ショ糖、ブドウ糖、ガがラクトース又はフルクトース)を用いたものも既に提案されている(特公平6−53658号を参照)。
しかしながら、生菌類を含有する成形材料を低圧で打錠(圧縮成形)した場合であっても、成形材料を圧縮成形する際の力によって、成形材料中に含まれる生菌類vmcが死滅するということを避けることはできない。
また、賦形剤を工夫したとしても、低圧で打錠(圧縮成形)した錠剤(圧縮成形物)は、保存や運搬中に、錠剤(圧縮成形)に欠けや摩耗が生じやすくなるという問題を有する。
また、上述したような、賦形剤を工夫して、成形材料中に含まれる生菌類vmcが死滅するということを避ける方法では、賦形剤の材料が限定され、生菌類含有錠剤を製造する際の、賦形剤の選択の幅が狭くなるという問題がある。
また、近時、DDS(ドラッグ・デリバリー・システム)を応用した種々の錠剤(圧縮成形物)が、開発されている。
図44は、そのような従来のマイクロカプセル含有錠剤の一例を、一部を切り欠いて、模式的に示す斜視図である。
この錠剤tc2は、一般に、スペイスタブと称されており、マトリックス(つなぎ部分)m中にマイクロカプセルmc・・・が、分散された構造になっている。
図45は、マイクロカプセルmcを模式的に示す断面図である。
マイクロカプセルmcは、包括剤マトリックス中に、液状の脂質の微小滴d・・・が封じ込められて、粉末化された構造になっている。
マイクロカプセルmcを含有する錠剤tc2は、マイクロカプセルmcを構成する包括剤マトリックスmpの材料によって、液状の脂質の微小滴d・・・中に溶解されている、疎水性の芳香成分や生理活性物質を目的とする速度で、徐々に放出(コントロール・リリース)させたり、マイクロカプセルmcを構成する包括剤マトリックスmpが、酸素の移動に対する障壁となるので、微小滴d・・・を構成する脂質の酸化が防げるため、マイクロカプセルmc中に分散されている微小滴d・・・の保存性を向上させたり、液状の脂質の微小滴d・・・中に溶解する生理活性物質や、微小滴d・・・を構成する脂質自体に、苦みがある場合にあっては、生理活性物質や、微小滴d・・・の苦み成分を包括剤マトリックスmp中に封じ込めることで、錠剤tc2を噛んで摂取する際に、その苦み成分が、味蕾を直接刺激しないようにすることで、苦みをマスクさせたり、また、マイクロカプセルmc中に分散されている微小滴d・・・を構成する脂質中に、生理活性物質を溶かした場合には、錠剤tc2を服用(摂取)した際に、脂質によって、生理活性物が消化酵素によって分解されることを防げるため、生理活性物質を目的とする腸管吸収部位まで、搬送することができ、また、粘着な脂質をマイクロカプセル化して粉末化することで、錠剤を製造する際の成形材料の取り扱い性が向上するといったような、種々の優れた効果があるので、種々の有効成分を含有する医薬品、食料品(例えば、健康食品や特定健康食品等)の分野で、幅広く用いられている。
しかしながら、錠剤tc2を製造した場合、圧縮成形する成形材料中に、当然、マイクロカプセルmc・・・が含まれることになるが、杵や臼を用いて、マイクロカプセルmc・・・を含む成形材料を圧縮成形すると、成形材料中に含まれるマイクロカプセルmc・・・に、成形材料を圧縮成形する際の力が加わり、マイクロカプセルmc・・・が損傷し、マイクロカプセルmc中に分散されている微小滴d・・・をが、例えば、βカロチン等の液状なものである場合にあっては、マイクロカプセルmc・・・から、液状物が漏れだし、酸素によって、酸化され、βカロチン等の力価が低下したりする。
かかる問題を解決するために、従来は、賦形剤として、クロレラ粉末を用いた成形材料を低圧で打錠(圧縮成形)しても、製造される錠剤に実用的な硬度が得られるような工夫がなされている(特開平8−80007号を参照)。
また、賦形剤として、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムと、クエン酸カルシウム又は無水リン酸水素カルシウムを用いたものが既に提案されている(特開平8−143463号を参照)。
また、賦形剤として、糖類(マンニトール、乳糖、ショ糖、ブドウ糖、ガがラクトース又はフルクトース)を用いたものも既に提案されている(特公平6−53658号を参照)。
しかしながら、賦形剤を工夫したとしても、低圧で打錠(圧縮成形)した錠剤(圧縮成形物)は、保存や運搬中に、錠剤(圧縮成形)に欠けや摩耗が生じることを完全には、避けることができない。
発明の開示
本発明の第1の目的は、以上のような問題を解決するためになされたものであって、溶解時間や崩壊時間が遅延したりせず、保存や運搬時に、錠剤表面に欠けが生じ難く、また、口腔内で、噛んだ場合にも、不快な味がすることのない圧縮成形物、及び、そのような圧縮成形物を製造する、圧縮成形物の製造方法を提供することを目的としている。
また、本発明の第2の目的は、賦形剤として、特殊な賦形剤を用いず、通常の錠剤を製造する際の打錠圧を加えても、圧縮成形される成形材料中に含まれる生菌類vmc・・・に損傷が発生せず、しかも、保存や運搬中に、錠剤(圧縮成形)に欠けや摩耗が生じることがない、生菌類含有圧縮成形物及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、生菌類vmc・・・を含有する成形材料を、低圧で、打錠(圧縮成形)した場合にあっても、やはり、錠剤中に含まれる、生菌類vmc・・・に損傷が生じていることを、知見するに至たり、生菌類vmc・・・を含有する成形材料を、打錠(圧縮成形)した場合に、錠剤中に含まれる、生菌類vmc・に損傷が生じるには、成形材料を打錠(圧縮成形)する際の打錠圧以外に、原因があるのではないか、ということを考えるに至った。
そこで、本発明者等は、上記した目的を解決するための手段について、長年、鋭意努力した結果、打錠圧を低くした場合にあっても、圧縮成形される成形材料中に含まれる生菌類vmc・・・に損傷が発生する原因が、成形材料中に含まれる、滑沢剤にあることを知見するに至った。
図46は、打錠圧を低くした場合にあっても、圧縮成形される成形材料中に含まれる生菌類vmc・・・に損傷が発生する作用を模式的に説明する説明図である。
一般に、生菌類vmc・・・を含有する錠剤(圧縮成形物)を製造する際には、まず、図46(a)に示すように、生菌類vmc・・・と、賦形剤Vと、滑沢剤Lと、必要により、その他の材料(図示せず。)とを準備し、次いで、これらを混合してた成形材料Mを準備する(図46(b)を参照)。
滑沢剤Lは、成形材料Mを圧縮成形する際に、臼の表面(内周壁面)、下杵の表面(上面)及び上杵の表面(下面)に、成形材料が付着して、製造する錠剤(圧縮成形物)に、スティッキング、ラミネーティング、キャッピング等の打錠障害が発生することや、臼や下杵や上杵に、ギシツキが生じるのを防ぐために、成形材料中に添加するものであって、成形材料M中には、滑沢剤Lが相当量添加されている。
滑沢剤Lとしては、医薬品の錠剤(圧縮成形物)を製造する場合にあっては、例えぱ、ステアリン酸、ステアリン酸金属塩(Al、Mg、K、Ca、Na)等の滑沢剤がよく用いられ、食品錠剤を(圧縮成形物)を製造する場合にあっては、例えば、ショ糖脂肪酸エステル等の滑沢剤がよく用いられる。
次に、以上のようにして作製した成形材料Mを、打錠機の臼、下杵及び上杵を用いて、順次、打錠(圧縮成形)し、錠剤(圧縮成形物)を製造する。
この圧縮成形工程においては、打錠機の臼、下杵、上杵、及び、臼、下杵及び上杵により圧縮成形される成形材料は、熱を帯びる。
そして、成形材料Mが圧縮成形時に熱を帯びると、この熱により、成形材料M中に含まれる滑沢剤Lが溶融し、溶融した滑沢剤Lが、溶融した滑沢剤Lの周囲に存在する、生菌類vmc・・・や、賦形剤V・・・にひっついたり、溶融した滑沢剤L同士が互いに融着したりする。
このような状態で、成形材料Mの打錠(圧縮成形)工程が進行すると、圧縮成形される成形材料中に含有される生菌類vmc・・・に、損傷が発生する。
このようにして、生菌類vmc・・・に、損傷が発生すると、錠剤tc中の生菌類vmc・・・の生存率が低下する。
本発明者は、以上の問題を解決する手段について、鋭意検討した結果、成形材料中に、滑沢剤Lを添加しないようにすれば、成形材料を、通常の打錠圧で打錠(圧縮成形)しても生菌類vmc・・・が破損せず、且つ、圧縮成形時に、成形材料に生じる熱で融解する滑沢剤を、打錠機の臼の表面(内周壁面)、下杵の表面(上面)及び上杵の表面(下面)に塗布して、表面(内周壁面)に、圧縮成形時に、成形材料に生じる熱で融解する滑沢剤が塗布された臼、表面(上面)に、圧縮成形時に、成形材料に生じる熱で融解する滑沢剤が塗布された下杵、及び、表面(下面)に、圧縮成形時に、成形材料に生じる熱で融解する滑沢剤が塗布された上杵を用いて、滑沢剤を含有せず、生菌類を含有する成形材料を、打錠(圧縮成形)すれば、圧縮成形時に、臼の表面(内周壁面)、下杵の表面(上面)及び上杵の表面(下面)に、成形材料が付着したりすることがなく、製造する錠剤(圧縮成形物)に、スティッキング、ラミネーティング、キャッピング等の打錠障害が発生することがなく、臼や下杵や上杵に、ギシツキを生じず、高い製造効率で、生菌類を含有する錠剤が製造できるとともに、錠剤の表面に、溶融した滑沢剤が転写され、錠剤表面に、耐摩損性を有する外殻が形成できることを想到し、本発明を完成するに至った。
また、本発明の第3の目的は、賦形剤として、通常の、賦形剤を用い、また、通常の錠剤を製造する際の打錠圧を加えても、圧縮成形される成形材料中に含まれるマイクロカプセルmc・・・に損傷が発生せず。しかも、保存や運搬中に、錠剤(圧縮成形)に欠けや摩耗が生じることがない、マイクロカプセル含有圧縮成形物及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、マイクロカプセルmc・・・を含有する成形材料を、低圧で、打錠(圧縮成形)した場合にあっても、やはり、錠剤中に含まれる、マイクロカプセルmc・・・に損傷が生じていることを、知見するに至たり、マイクロカプセルmc・・・を含有する成形材料を、打錠(圧縮成形)した場合に、錠剤中に含まれる、マイクロカプセルmc・・・に損傷が生じるには、成形材料を打錠(圧縮成形)する際の打錠圧以外に、原因があるのではないか、ということを考えるに至った。
そこで、本発明者等は、上記した目的を解決するための手段について、長年、鋭意努力した結果、打錠圧を低くした場合にあっても、圧縮成形される成形材料中に含まれるマイクロカプセルmc・・・に損傷が発生する原因が、成形材料中に含まれる、滑沢剤にあることを知見するに至った。
図47は、打錠圧を低くした場合にあっても、圧縮成形される成形材料中に含まれるマイクロカプセルmc・・・に損傷が発生する作用を模式的に説明する説明図である。
一般に、マイクロカプセルmc・・・を含有する錠剤(圧縮成形物)を製造する際には、まず、図47(a)に示すように、マイクロカプセルmc・・・と、賦形剤Vと、滑沢剤Lと、必要により、その他の材料(図示せず。)とを準備し、次いで、これらを混合してた成形材料Mを準備する(図47(b)を参照)。
滑沢剤Lは、成形材料Mを圧縮成形する際に、臼の表面(内周壁面)、下杵の表面(上面)及び上杵の表面(下面)に、成形材料が付着して、製造する錠剤(圧縮成形物)に、スティッキング、ラミネーティング、キャッピング等の打錠障害が発生することや、臼や下杵や上杵に、ギシツキが生じるのを防ぐために、成形材料中に添加するものであって、成形材料M中には、滑沢剤Lが相当量添加されている。
滑沢剤Lとしては、医薬品の錠剤(圧縮成形物)を製造する場合にあっては、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸金属塩(Al、Mg、K、Ca、Na)等の滑沢剤がよく用いられ、食品錠剤を(圧縮成形物)を製造する場合にあっては、例えば、ショ糖脂肪酸エステル等の滑沢剤がよく用いられる。
次に、以上のようにして作製した成形材料Mを、打錠機の臼、下杵及び上杵を用いて、順次、打錠(圧縮成形)し、錠剤(圧縮成形物)を製造する。
この圧縮成形工程においては、打錠機の臼、下杵、上杵、及び、臼、下杵及び上杵により圧縮成形される成形材料は、熱を帯びる。
そして、成形材料が圧縮成形時に熱を帯びると、この熱により、成形材料中に含まれる滑沢剤Lが溶融し、溶融した滑沢剤Lが、溶融した滑沢剤Lの周囲に存在する、マイクロカプセルmc・・・や、賦形剤V・・・にひっついたり、溶融した滑沢剤L同士が互いに融着する。
このような状態で、成形材料の打錠(圧縮成形)工程が進行すると、圧縮成形される成形材料中に含有されるマイクロカプセルmc・・・に、損傷が発生する(図47(c)を参照)。
本発明者は、以上の問題を解決する手段について、鋭意検討した結果、成形材料中に、滑沢剤Lを添加しないようにすれば、成形材料を、通常の打錠圧で打錠(圧縮成形)してもマイクロカプセルmc・・・が破損せず、且つ、圧縮成形時に、成形材料に生じる熱で融解する滑沢剤を、打錠機の臼の表面(内周壁面)、下杵の表面(上面)及び上杵の表面(下面)に塗布して、表面(内周壁面)に、圧縮成形時に、成形材料に生じる熱で融解する滑沢剤が塗布された臼、表面(上面)に、圧縮成形時に、成形材料に生じる熱で融解する滑沢剤が塗布された下杵、及び、表面(下面)に、圧縮成形時に、成形材料に生じる熱で融解する滑沢剤が塗布された上杵を用いて、滑沢剤を含有せず、マイクロカプセルを含有する成形材料を、打錠(圧縮成形)すれば、圧縮成形時に、臼の表面(内周壁面)、下杵の表面(上面)及び上杵の表面(下面)に、成形材料が付着したりすることがなく、製造する錠剤(圧縮成形物)に、スティッキング、ラミネーティング、キャッピング等の打錠障害が発生することがなく、臼や下杵や上杵に、ギシツキを生じず、高い製造効率で、マイクロカプセルを含有する錠剤が製造できるとともに、錠剤の表面に、溶融した滑沢剤が転写され、錠剤表面に、耐摩損性を有する外殻が形成できることを想到し、本発明を完成するに至った。
即ち、請求項1に記載の圧縮成形物は、圧縮成形物本体と、圧縮成形物本体の表面に設けられた外殻とを備える圧縮成形物であって、記外殻は、少なくとも、その一部に、少なくとも、外殻原料粉末が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が互いに熱融着した部分を含む。
ここで、本明細書で用いる用語、「圧縮成形物」は、いわゆる経口投与型の錠剤の他、経口投与型以外の錠剤も含む意味として用いており、「圧縮成形物」には、医薬品錠剤、栄養補給剤等の食品の錠剤が含まれる。また、「圧縮成形物」には、人間用の錠剤の他、動物薬や農薬等として用いる錠剤等も含まれる。
また、「圧縮成形物」には、素錠、チュアブル錠、発泡錠、持続性錠等が含まれる。
また、本明細書で用いる用語、「熱溶融」は、成形材料を、臼、下杵及び上杵を用いて、圧縮成形する際に発生する熱による熱溶融を意味する。
また、本明細書で用いる用語、「外殻は、その一部に熱融着した部分を含む。」は、圧縮成形物本体の表面に形成されている外殻に、外殻原料粉末が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が互いに熱融着した部分があれば本発明の技術範囲に含まれることを意味し、圧縮成形物本体の表面に形成されている外殻に、外殻原料粉末が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が互いに熱融着した部分が、存在する限り、例えば、熱溶融した外殻原料粉末と、熱溶融していない外殻原料粉末とが熱融着しているような部分を更に含む外殻が、圧縮成形物本体の表面に形成されている圧縮成形物や、また、例えば、圧縮成形物本体を構成する粉体の粒子、又は、圧縮成形物本体を構成する粒体の粒子に、熱溶融した外殻原料粉末が熱融着しているような部分を更に含む外殻が、圧縮成形物本体の表面に形成されている圧縮成形物も、当然に、本発明の技術範囲に含まれる。
尚、「圧縮成形物本体」中には、圧縮成形物が、医薬品錠剤、動物薬錠剤、農薬用錠剤である場合には、有効成分や、乳糖その他の賦形剤や補助剤や添加剤等の種々の材料が含まれていてよいが、滑沢剤を、含有していないことが好ましい。
これは、滑沢剤は、成形材料を圧縮成形する際に、臼の成形材料接触表面、下杵の成形材料接触表面、及び、上杵の成形材料接触表面への成形材料の付着を防止するためには、滑沢剤は、臼の成形材料接触表面、下杵の成形材料接触表面、及び、上杵の成形材料接触表面の各々と、臼、下杵及び上杵によって、圧縮成形される成形材料の表面との間に介在していればよく、成形材料の内部には含まれている必要がないこと、及び、成形材料中に、滑沢剤粉末が添加されている場合には、滑沢剤の撥水性が原因して、錠剤の溶解時間や崩壊時間が遅延し、体内への吸収が悪くなったり、効果の発現が遅くなったりするからである。
また、圧縮成形物が、チュアブル錠の場合には、口腔内で咀嚼して、唾液に溶かした際に、圧縮成形物本体中に、滑沢剤粉末が含まれている場合には、滑沢剤の疎水性が原因して、服用者に、不快な味(苦み)がするからである。
また、「圧縮成形物本体」中には、圧縮成形物が、食品用の錠剤である場合には、乳酸菌等の生菌類(凍結乾燥粉砕物)、クロレラ(凍結乾燥粉砕物)、βカロチン、各種ビタミンその他の体に良いとされている成分、及び/又は、栄養補給成分や、マンニトールその他の糖類、糖アルコール糖の賦形剤や補助剤や添加剤等の種々の材料が含まれていてよいが、ショ糖脂肪酸エステル粉末、グリセリン脂肪酸エステル粉末、硬化油脂は、含有していないことが好ましい。
これは、食品用の錠剤は、水とともにそのまま嚥下して服用してもよく、また、口腔内で咀嚼して、唾液に溶かして、水無しでも服用できるようにするために、チュアブル錠にされている場合が多いが、圧縮成形物本体中に、ショ糖脂肪酸エステル粉末、グリセリン脂肪酸エステル粉末、又は、硬化油脂粉末が添加されている場合には、ショ糖脂肪酸エステル粉末、グリセリン脂肪酸エステル粉末、又は、硬化油脂の撥水性が原因して、圧縮成形物の溶解時間や崩壊時間が遅延し、体内への体に良いとされている成分や栄養補給成分有効成分の吸収が悪くなったり、効果の発現が遅くなったりするからである。
「外殻原料粉末」としては、種々のものを用いることができるが、滑沢剤としての機能を有し、且つ、成形材料を、臼、下杵及び上杵を用いて、圧縮成形する際に発生する熱による熱溶融を生じ得る材料が好ましい。
また、「外殻原料粉末」の粒径は、特に限定されることはないが、通常、滑沢剤として、成形材料中に添加される滑沢剤粉末の粒径に比べて、やや大きめの粒径を用いる方が好ましい。即ち、外殻原料粉末としては、その粒径が、例えば、5μm以上50μm以下の範囲にあるものが好ましく、10μm以上20μm以下の範囲にあるものが、より好ましく、更に好ましくは、10μm以上15μm以下の範囲にあるものである。
これは、あまり粒径の小さい外殻原料粉末を用いた場合には、外殻原料粉末の一部が熱溶融し、外殻を形成した後において、外殻が緻密な構造になり過ぎて、圧縮成形物本体と、外殻との物性が著しく異なり、素錠としての性格が損なわれるからである。
また、あまり大きな粒径の外殻原料粉末を用いた場合には、圧縮成形物の表面が粗くなり、外殻の耐摩損性が損なわれるからである。
この圧縮成形物では、その表面に、少なくとも、外殻原料粉末が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が互いに融着した部分を含む外殻が形成されているので、保存や運搬中に欠けが生じ難い。
その一方、この圧縮成形物の表面に形成されている外殻は、少なくとも、外殻原料粉末の一部が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が互いに熱融着した部分を含む外殻で構成されており、コーティング装置等を用いて、素錠表面に、コーティング液をスプレーし、乾燥させて形成したような外殻に比較した場合には、脆く、口腔内で咀嚼した場合には、壊れ易いため、口腔内で咀嚼した際に、圧縮成形物本体(錠剤本体部)と、外殻との物性が著しく異なることに起因する、咀嚼時の違和感が無く、素錠のような噛み心地であるために、チュアブル錠としても、適している。
また、この圧縮成形物は、その表面に、外殻が形成されているに過ぎず、圧縮成形物本体内部に、滑沢剤を含ませないようにした場合には、この圧縮成形物は、圧縮成形物の溶解時間や崩壊時間が速く、目的とする部位で、直ちに溶ける。
従って、圧縮成形物本体内部に、滑沢剤を含ませないようにした場合には、この圧縮成形物は、体内へ速やかに吸収されので、速効性がある。
また、圧縮成形物本体内に、滑沢剤を含ませないようにした場合には、チュアブル錠として、口腔内で咀嚼した場合に、圧縮成形物本体内に、滑沢剤を含んでいないため、服用者に不快な味(苦み)を与えることがない。
請求項2に記載の圧縮成形物は、請求項1に記載の圧縮成形物の、外殻が、耐摩損性を有する。
ここで、本明細書で用いる用語、「耐摩損性」は、圧縮成形物本体の表面に、その一部に、少なくとも、外殻原料粉末が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が互いに熱融着した部分を含む外殻が形成されている限り、圧縮成形物本体の硬度に比べ、外殻の硬度が高い関係になっている圧縮成形物は、いずれも、本発明の技術範囲に含まれることを意味する。
この圧縮成形物では、その表面に、外殻原料粉末が、熱溶融し、溶融した外殻原料粉末同士が互いに融着した部分を含む外殻が耐摩損性を有しているので、保存や運搬中に欠けが生じない。
請求項3に記載の圧縮成形物は、請求項1又は請求項2に記載の圧縮成形物の、外殻原料粉末が、滑沢剤としての機能を有し、且つ、室温では粉体であり、圧縮成形時に発生する熱により溶融する粉体である。
この圧縮成形物では、外殻原料粉末が、滑沢剤としての機能を有しているので、圧縮成形物を製造する際に用いる臼の表面、上杵の表面及び下杵の表面に、外殻原料粉末を塗布すれば、圧縮成形物に打錠障害が生じない。
のみならず、外殻原料粉末は、室温では、粉体であるので、外殻となった後において、耐摩損性を発揮する。
請求項4に記載の圧縮成形物は、請求項1〜3のいずれかに記載の圧縮成形物の、外殻原料粉末の融点が、30℃以上80℃以下である。
外殻の外殻原料粉末の融点は、40℃以上78℃以下であることが更に好ましい。
これは、臼、下杵及び上杵を用いて、成形材料を圧縮成形する際に発生する熱は、成形材料を圧縮する際の打錠圧や、臼、下杵及び上杵により成形する成形材料の量や、成形材料の成分・組成等によって、一概に規定はできないが、概ね、成形材料を圧縮成形する際に、臼、下杵及び上杵は、概ね、30℃以上80℃以下の温度範囲の熱を持つ。
したがって、この温度範囲に融点(m.p.)がある、外殻原料粉末を用いれば、成形材料を圧縮する際の打錠圧によって、外殻原料粉末の一部が、熱溶融し、圧縮成形物本体の表面に、少なくとも、その一部が熱溶融した外殻原料粉末同士が互いに融着した部分を含む、外殻が形成される。
この圧縮成形物の圧縮成形物本体の表面に形成されている外殻は、30℃以上にならないと、溶けることがないため、室温(1℃〜30℃)や冷所(15℃以下)では、固まった状態であるので、室温や冷所で、保存・運搬する限り、保存や運搬時に、圧縮成形物の表面に欠けが生じない。
また、外殻原料粉末の融点が、上記範囲内で比較的低温のものを用いた場合には、口腔内に、圧縮成形物を入れると、口腔内で、外殻が速やかに溶けるため、素錠と同様の性状を有するため、チュアブル錠としても、違和感がない。
請求項5に記載の圧縮成形物は、請求項1〜4のいずれかに記載の圧縮成形物の、外殻原料粉末が、脂肪酸、脂肪酸金属塩及び脂肪酸エステルの群から選択される粉末である。
脂肪酸エステルとしては、例えば、糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等を挙げることができる。
糖脂肪酸エステルの糖としては、例えば、グルコース、ショ糖等の糖類や、ソルビトール、マンニトール等の糖アルコール等を挙げることができる。
また、脂肪酸、脂肪酸金属塩又は糖脂肪酸エステルの脂肪酸部分としては、炭素数が12以上22以下の飽和脂肪酸、例えば、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸(ステアリン酸)、ノナデシル酸、イコサン酸、ヘンイコサン酸、ドコサン酸(以上は、融点(m.p)は、44.2℃以上79.9℃の範囲内にある。)を挙げることができる。
脂肪酸金属塩の金属塩部分は、例えば、アルミニウム(Al)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)等を挙げることができる。
具体的には、脂肪酸金属塩としては、例えば、ステアリン酸金属塩(Al、Na、K、Ca、Mg等)を挙げることができる。
ショ糖脂肪酸エステルは、融点(m.p.)が、約52℃以上約62℃以下の温度範囲にあり、安全性に優れ、入手が容易で、しかも、外殻とした場合には、耐摩損性機能を十分に発揮するので、外殻原料として適している。
グリセリン脂肪酸エステルは、融点(m.p.)が、約62℃以上約68℃以下の温度範囲にあり、安全性に優れ、入手が容易で、しかも、外殻とした場合には、耐摩損性機能を十分に発揮するので、外殻原料として適している。
硬化油脂は、融点(m.p.)が、約40℃以上約48℃以下の温度範囲にあり、安全性に優れ、入手が容易で、しかも、外殻とした場合には、耐摩損性機能を十分に発揮するので、外殻原料として適している。
ステアリン酸は、融点(m.p.)が、56℃以上約72℃以下の温度範囲にあり、安全性に優れ、入手が容易で、しかも、外殻とした場合には、耐摩損性機能を十分に発揮するので、外殻原料として適している。
また、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、硬化油脂、及び、ステアリン酸は、滑沢剤(又は、離型剤)としての機能を有しているので、これらを、成形材料接触表面に塗布した臼、これらを、成形材料接触表面に塗布した下杵、及び、これらを、成形材料接触表面に塗布した上杵を用いて、成形材料を圧縮成形した場合、これらが、滑沢剤として機能するため、臼の成形材料接触表面、下杵の成形材料接触表面、及び/又は、上杵の成形材料接触表面に、成形材料が付着することがない。この結果、この圧縮成形物は、臼、下杵、及び、上杵により圧縮成形して製造する際に、スティッキングやラミネーティングやキャッピング等の打錠障害が生じる頻度が低いため、歩留まりが生じないため、高い生産効率で(工業的採算ベース)で、製造できるという、メリットもある。
この圧縮成形物では、安全性に優れ、入手も容易で、外殻を形成した場合、耐摩損機能を発揮し、且つ、滑沢剤(離型剤)としても機能する、外殻原料粉末を用いているので、この圧縮成形物は、安全性に優れ、保存や運搬時に、圧縮成形物の表面に欠けを生じ難く、また、製造し易い、といった優れた効果がある。
尚、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル粉末、硬化油脂は、大量摂取しても何ら問題がないため、医薬品錠剤や、食品の錠剤等に、その1日摂取量を考慮せずに、外殻原料として用いることができるが、外殻原料として、ステアリン酸を用いる場合には、1日用量が知れている医薬品錠剤の場合には、特に、その1日摂取量を考慮する必要が無いが、食品の錠剤のように、1日に、例えば、50錠、100錠を摂取するような錠剤にあっては、ステアリン酸の1日摂取量を考慮し、ステアリン酸の摂取量が、1日摂取量を超えないように、注意する必要がある。
請求項6に記載の圧縮成形物は、請求項1〜5のいずれかに記載の圧縮成形物の、圧縮成形物本体が、生菌類と製剤原料粉粒体とを含有し、且つ、製剤原料粉粒体が、圧縮成形時に発生する熱よりも高い融点を有する製剤原料粉粒体で概ね構成されている。
ここで、本明細書で用いる用語、「生菌類」は、一般には、乳酸菌、ビフィズス菌等の有用な腸内細菌や、納豆菌、酵母等の有用な細菌を乾燥凍結したものを粉砕し、粉粒体化したものをいう。
「圧縮成形時に発生する熱よりも高い融点を有する製剤原料粉粒体」は、その融点が、50℃以上の粉粒体材料で構成されていることが好ましく、70℃以上の粉粒体材料で構成されていることがより好ましくは、80℃以上の粉粒体材料で構成されていることが更に好ましい。
また、「圧縮成形時に発生する熱よりも高い融点を有する製剤原料粉粒体で概ね構成」は、製剤原料粉粒体中に、上記した融点以下のものが微量に添加されていてもよい、という意味で用いている。
この圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物)では、製剤原料粉粒体を、圧縮成形時に発生する熱よりも高い融点を有する材料で概ね構成しているので、圧縮成形時に、製剤原料粉粒体中には、圧縮成形時に発生する熱で溶ける成分が全く無いか殆どない。この結果、この圧縮成形物(生菌類含有錠剤)は、錠剤中に含まれる、生菌類が殆ど損傷を受けていない。
この結果、この圧縮成形物(生菌類含有錠剤)は、錠剤中に含まれる、生菌類の生存率が高いため、有効率が高い。
且つ、この圧縮成形物では、その表面に、少なくとも、外殻原料粉末が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が互いに融着した部分を含む外殻が形成されているので、保存や運搬中に欠けが生じ難い。
一方、この圧縮成形物の表面に形成されている外殻は、少なくとも、外殻原料粉末の一部が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が互いに熱融着した部分を含む外殻で構成されており、コーティング装置等を用いて、素錠表面に、コーティング液をスプレーし、乾燥させて形成したような外殻に比較した場合には、脆く、口腔内で咀嚼した場合には、壊れ易いため、口腔内で咀嚼した際に、圧縮成形物本体(錠剤本体部)と、外殻との物性が著しく異なることに起因する、咀嚼時の違和感が無く、素錠のような噛み心地であるために、チュアブル錠としても、適している。
請求項7に記載の圧縮成形物は、請求項1〜5のいずれかに記載の圧縮成形物の、圧縮成形物本体が、マイクロカプセルと製剤原料粉体とを含有し、且つ、製剤原料粉粒体が、圧縮成形時に発生する熱よりも高い融点を有する製剤原料粉粒体で概ね構成されている。
「圧縮成形時に発生する熱よりも高い融点を有する製剤原料粉粒体」は、その融点が、50℃以上の粉粒体材料で構成されていることが好ましく、70℃以上の粉粒体材料で構成されていることがより好ましくは、80℃以上の粉粒体材料で構成されていることが更に好ましい。
また、「圧縮成形時に発生する熱よりも高い融点を有する製剤原料粉粒体で概ね構成」は、製剤原料粉粒体中に、上記した融点以下のものが微量に添加されていてもよい、という意味で用いている。
この圧縮成形物(マイクロカプセル含有錠剤)では、製剤原料粉粒体を、圧縮成形時に発生する熱よりも高い融点を有する材料で概ね構成しているので、圧縮成形時に、製剤原料粉粒体には、圧縮成形時に発生する熱で溶ける成分が全く無いか殆どない。この結果、この圧縮成形物(マイクロカプセル含有錠剤)は、錠剤中に含まれる、マイクロカプセルが殆ど損傷を受けていない。
且つ、この圧縮成形物では、その表面に、少なくとも、外殻原料粉末が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が互いに融着した部分を含む外殻が形成されているので、保存や運搬中に欠けが生じ難い。
一方、この圧縮成形物の表面に形成されている外殻は、少なくとも、外殻原料粉末の一部が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が互いに熱融着した部分を含む外殻で構成されており、コーティング装置等を用いて、素錠表面に、コーティング液をスプレーし、乾燥させて形成したような外殻に比較した場合には、脆く、口腔内で咀嚼した場合には、壊れ易いため、口腔内で咀嚼した際に、圧縮成形物本体(錠剤本体部)と、外殻との物性が著しく異なることに起因する、咀嚼時の違和感が無く、素錠のような噛み心地であるために、チュアブル錠としても、適している。
請求項8に記載の圧縮成形物の製造方法は、臼、下杵及び上杵の成形材料接触表面の各々に、外殻原料粉末を塗布する工程と、外殻原料粉末が成形材料接触表面に塗布された臼、外殻原料粉末が成形材料接触表面に塗布された下杵、及び、外殻原料粉末が成形材料接触表面に塗布された上杵を用いて、成形材料を圧縮成形し、圧縮成形物本体を製造する工程とを備え、臼、下杵及び上杵が、成形材料を圧縮して、圧縮成形物本体を製造する際に発生する熱等により、臼の成形材料接触表面に塗布された外殻原料粉末の少なくとも一部、下杵の成形材料接触表面に塗布された外殻原料粉末の少なくとも一部、及び/又は、上杵の成形材料接触表面に塗布された外殻原料粉末の少なくとも一部が、熱溶融された状態で、臼の成形材料接触表面、下杵の成形材料接触表面、及び/又は、上杵の成形材料接触表面から、圧縮成形物本体の表面に転写され、圧縮成形物本体の表面に外殻を形成するようにした。
ここで、本明細書で用いる用語、「成形材料接触表面」は、組となる、臼の表面、下杵の表面、及び、上杵の表面中、臼、下杵及び上杵を用いて、成形材料を圧縮成形する際に、組となる、臼、下杵及び上杵により圧縮成形される成形材料が接触する表面を意味する。
より具体的に説明すると、「臼の成形材料接触表面」は、外殻原料粉末が塗布される、外殻原料粉末塗布位置における、臼の内周面のうち、この臼内に所定の位置まで挿入されている下杵の成形材料接触表面(上面)より上方の位置にある臼の内周面を意味する。
また、「下杵の成形材料接触表面」は、下杵の表面のうち、製造する圧縮成形物の鋳型面が形成されている表面(上面)を意味する。
また、「上杵の成形材料接触表面」は、上杵の表面のうち、製造する圧縮成形物の鋳型面が形成されている表面(下面)を意味する。
この圧縮成形物の製造方法では、臼、下杵及び上杵の各々の成形材料接触表面に、外殻原料粉末を塗布し、外殻原料粉末が成形材料接触表面に塗布された臼、外殻原料粉末が成形材料接触表面に塗布された下杵、及び、外殻原料粉末が成形材料接触表面に塗布された上杵を用いて、成形材料を圧縮成形し、圧縮成形物本体を製造すると同時に、臼、下杵及び上杵が成形材料を圧縮する際に発生する熱を用い、臼の成形材料接触表面に塗布されている外殻原料粉末の少なくとも一部、下杵の成形材料接触表面に塗布されている外殻原料粉末の少なくとも一部、及び/又は、上杵の成形材料接触表面に塗布されている外殻原料粉末の少なくとも一部を熱溶融し、臼の成形材料接触表面に、その一部が熱溶融した外殻原料、下杵の成形材料接触表面に、その一部が熱溶融した外殻原料、及び/又は、上杵の成形材料接触表面に、その一部が熱溶融した外殻原料を、臼、下杵及び上杵が、成形材料を圧縮成形して、圧縮成形物本体を形成する際に、臼の成形材料接触表面、下杵の成形材料接触表面、及び/又は、上杵の成形材料接触表面から、圧縮成形物本体の表面に転写することで、圧縮成形物本体の表面に外殻を形成している。
臼、下杵及び上杵が成形材料を圧縮する際に発生する熱等により、臼の成形材料接触表面に塗布されている外殻原料粉末の少なくとも一部、下杵の成形材料接触表面に塗布されている外殻原料粉末の少なくとも一部、及び/又は、上杵の成形材料接触表面に塗布されている外殻原料粉末の少なくとも一部が熱溶融すると、外殻原料粉末中には、熱溶融した外殻原料粉末同士が熱融着したり、及び/又は、熱溶融した外殻原料粉末と熱溶融していない外殻原料粉末とが熱融着したりする。
そして、臼、下杵及び上杵が成形材料を圧縮する際に発生する熱等により、熱溶融した、熱融着した外殻原料粉末を含む外殻原料粉末が、臼、下杵及び上杵が成形材料を圧縮成形することによって製造した圧縮成形物本体の表面に、臼の成形材料接触表面、下杵の成形材料接触表面、及び/又は、上杵の成形材料接触表面から転写され、圧縮成形物本体の表面に、その一部に、少なくとも、外殻原料粉末が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が互いに熱融着した部分を含む外殻が形成された圧縮成形物が製造される。
この圧縮成形物の製造方法では、臼、下杵及び上杵が、成形材料を圧縮成形して圧縮成形物本体を製造する際に、同時に、圧縮成形物本体の表面に外殻を形成しているので、一旦、圧縮成形することで得られた素錠を、コーティング装置等を用い、その素錠の表面に、外殻を形成するという、コーテング工程を用いる必要が無いので、製造ラインを、圧縮成形工程と、コーテング工程との2本立てにすることなく、圧縮成形工程のみで、外殻を有する圧縮成形物を製造できる。
したがって、この圧縮成形物の製造方法を用いれば、外殻を有する圧縮成形物を圧縮成形工程のみで製造できるため、製造工程が、極めて簡単になり、これにより、外殻を有する圧縮成形物を製造する際の製造コストを低く抑えることができる。
のみならず、この圧縮成形物の製造方法により製造される、圧縮成形物の表面に形成される外殻は、外殻原料粉末の一部が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が互いに融着した部分を含む外殻であるために、単に、外殻原料粉末が圧縮され、外殻原料粉末同士が、嵌合状態で結合している外殻ではなく、外殻原料粉末の一部が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が熱融着している部分を含む外殻によって覆われている。したがって、この圧縮成形物の外殻は、外殻原料粉末同士が圧縮されて、嵌合状態になって結合している外殻に比べ、機械的強度が高いため、外殻原料粉末同士が圧縮されて、嵌合状態になっている外殻を有する圧縮成形物に比べても、保存や運搬中に欠けが生じ難い。
その一方、この圧縮成形物の製造方法により製造される、圧縮成形物の表面に形成されている外殻は、外殻原料粉末が、熱溶融し、溶融した外殻原料粉末同士が互いに融着した部分を含む外殻であり、コーティング装置等を用いて、素錠表面に、コーティング液をスプレーし、乾燥させて形成したような外殻に比較した場合には、コーティング装置等を用いて、素錠の表面に形成された外殻に比べ、脆いため、口腔内で咀嚼した場合には、壊れ易いため、口腔内で咀嚼した際に、圧縮成形物本体と、外殻との物性が著しく異なることに起因する、咀嚼時の違和感が無く、素錠のような噛み心地であるために、チュアブル錠としても、適している。
圧縮成形物の保存・運搬の際に、圧縮成形物の表面に欠けが生じるのを防ぐためには、圧縮成形物の圧縮成形物本体の表面に形成する外殻は、圧縮成形物本体の表面に万遍なく均一に形成されていることが好ましい。
このように、圧縮成形物本体の表面に形成する外殻を圧縮成形物本体の表面に万遍なく均一に形成するためには、臼の成形材料接触表面、下杵の成形材料接触表面、及び、上杵の成形材料接触表面の各々に、外殻原料粉末の所定量を、均一に塗布する必要がある。
請求項9及び請求項10に記載の圧縮成形物の製造方法の各々は、臼の成形材料接触表面、下杵の成形材料接触表面、及び、上杵の成形材料接触表面の各々に、外殻原料粉末の所定量を、均一に塗布する技術を提案するものである。
即ち、請求項9に記載の圧縮成形物の製造方法は、請求項8に記載の圧縮成形物の製造方法の、臼、下杵及び上杵の成形材料接触表面の各々に、外殻原料粉末を塗布する工程が、正圧の脈動空気振動波に混和し、分散させた外殻原料粉末を、臼の成形材料接触表面、下杵の成形材料接触表面及び上杵の成形材料接触表面の各々に吹き付ける工程である。
この圧縮成形物の製造方法では、臼の成形材料接触表面、下杵の成形材料接触表面、及び、上杵の成形材料接触表面の各々に、外殻原料粉末を塗布する際に、臼の成形材料接触表面、下杵の成形材料接触表面、及び、上杵の成形材料接触表面の各々に、正圧の脈動空気振動波に混和し、分散させた外殻原料粉末を、吹き付けるようにしている。
ここに、本明細書で用いる用語、「脈動空気振動波」は、空気の流れに、圧力の高い部分(空気流の流速が遅い部分)と、圧力の低い部分(空気流の流速が速い部分)とが一定の周期で交互に現れる空気の波を意味する。
また、本明細書で用いる用語、「正圧」は、この圧縮成形物の製造方法を実施する装置内の空気の圧力が、この圧縮成形物の製造方法を実施する装置外の空気の圧力に比べて、高い状態を意味する。
また、本明細書で用いる用語、「正圧の脈動空気振動波」には、脈動空気振動波の振幅の谷が、概ね、大気圧に等しく、振幅の山が、正圧の脈動空気振動波と、脈動空気振動波の振幅の山と谷とがともに、正圧の脈動空気振動波との双方が含まれる。
尚、この圧縮成形物の製造方法で用いる、正圧の脈動空気振動波は、用いる外殻原料粉末を空気に混和し、分散させるのに適した、周期、波長、波形、振幅等に設定される。
この圧縮成形物の製造方法では、用いる外殻原料粉末の物性(成分、組成、平均粒径、粒度分布等)に応じて、用いる外殻原料粉末を空気に混和し、分散させるのに適した、周期、波長、波形、振幅等を有する、正圧の脈動空気振動波を用いている。
これにより、外殻原料粉末は、一旦、正圧の脈動空気振動波すると、定常圧流の空気流に比べ、空気中に混和し、分散した外殻原料粉末が、空気と分離して、堆積したりするといった現象を生じ難い。
従って、正圧の脈動空気振動波中に、概ね一定量の外殻原料粉末を、定常圧流の空気流に比べ、長時間、混和し、分散させた状態に維持することができる。
且つ、正圧の脈動空気振動波には、圧力の高い部分(空気流の流速が遅い部分)と、圧力の低い部分(空気流の流速が速い部分)とが交互に現れるという性格があるため、例えば、重力との関係で、余分に外殻原料粉末が堆積しがちな、下杵の成形材料接触表面(下杵の上面)に、たとえ、余分な外殻原料粉末が付着・堆積したとしても、下杵の成形材料接触表面(下杵の上面)に、余分に付着・堆積した外殻原料粉末には、正圧の脈動空気振動波の圧力の高い部分(空気流の流速が遅い部分)と、圧力の低い部分(空気流の流速が速い部分)とが、交互に、吹き付けられる結果、下杵の成形材料接触表面(下杵の上面)にとって、余分な外殻原料粉末は、下杵の成形材料接触表面(下杵の上面)から吹き飛ばされる。この結果、重力との関係で、余分に外殻原料粉末が堆積しがちな、下杵の成形材料接触表面(下杵の上面)に、外殻原料粉末が、必要最小限の量で、均一に、塗布される。
また、下杵の成形材料接触表面(下杵の上面)に吹き付けられ、下杵の成形材料接触表面(下杵の上面)から吹き飛ばされた、外殻原料粉末は、臼の成形材料接触表面(臼の内周面)に付着する。ここで、臼の成形材料接触表面(臼の内周面)に余分な外殻原料粉末が付着・堆積したとしても、臼の成形材料接触表面(臼の内周面)に、余分に付着・堆積した外殻原料粉末には、正圧の脈動空気振動波の圧力の高い部分(空気流の流速が遅い部分)と、圧力の低い部分(空気流の流速が速い部分)とが、交互に、吹き付けられる結果、臼の成形材料接触表面(臼の内周面)にとって、余分な外殻原料粉末は、臼の成形材料接触表面(臼の内周面)から吹き飛ばされる。この結果、臼の成形材料接触表面(臼の内周面)にも、外殻原料粉末が、必要最小限の量で、均一に、塗布される。
また、重力との関係で、上杵の成形材料接触表面(上杵の下面)には、外殻原料粉末が付着・堆積し難いが、上杵の成形材料接触表面(上杵の下面)には、外殻原料粉末が、正圧の脈動空気振動波とともに、吹き付けられる結果、上杵の成形材料接触表面(上杵の下面)にも、外殻原料粉末が、必要最小限の量で、均一に、塗布される。
請求項10に記載の圧縮成形物の製造方法は、請求項9に記載の圧縮成形物の製造方法の、臼、下杵及び上杵の成形材料接触表面の各々に、外殻原料粉末を塗布する工程が、臼内に所定の位置まで挿入されている下杵の成形材料接触表面に、正圧の脈動空気振動波に混和し、分散させた外殻原料粉末を吹き付け、正圧の脈動空気振動波により、重力との関係で、下杵の成形材料接触表面に余分に堆積しがちな外殻原料粉末を吹き飛ばすことで、下杵の成形材料接触表面に外殻原料粉末を塗布するとともに、正圧の脈動空気振動波により、下杵の成形材料接触表面から吹き飛ばされた外殻原料粉末を臼の成形材料接触表面へ塗布する工程と、正圧の脈動空気振動波に混和し、分散され、下杵の成形材料接触表面及び臼の成形材料接触表面で消費されなかった外殻原料粉末を、時間をかけて、上杵の成形材料接触表面に吹き付けることで、外殻原料粉末を、上杵の成形材料接触表面に塗布する工程とを備える。
上杵の成形材料接触表面への外殻原料粉末の塗布時間は、下杵の成形材料接触表面及び臼の成形材料接触表面への外殻原料粉末の塗布時間を、1とした場合には、下杵の成形材料接触表面及び臼の成形材料接触表面への外殻原料粉末の塗布時間の2倍以上であることが好ましく、より好ましくは5倍以上、より好ましくは10倍である。
上杵の成形材料接触表面への外殻原料粉末の塗布時間の上限は、特に限定されないが、製造効率を考慮した場合には、上杵の成形材料接触表面への外殻原料粉末の塗布時間は、下杵の成形材料接触表面及び臼の成形材料接触表面への外殻原料粉末の塗布時間を、1とした場合には、下杵の成形材料接触表面及び臼の成形材料接触表面への外殻原料粉末の塗布時間の50倍以下であることが好ましい。
この圧縮成形物の製造方法では、特に、重力との関係で、余分な外殻原料粉末が堆積しがちな、下杵の成形材料接触表面(下杵の上面)への外殻原料粉末の塗布時間と、重力との関係で、外殻原料粉末が塗布され難い、上杵の成形材料接触表面(上杵の下面)への外殻原料粉末の塗布時間とを異ならせている点に特徴がある。
即ち、この圧縮成形物の製造方法では、重力との関係で、外殻原料粉末が塗布され難い、上杵の成形材料接触表面(上杵の下面)へは、重力との関係で、余分な外殻原料粉末が堆積しがちな、下杵の成形材料接触表面(下杵の上面)への外殻原料粉末の塗布時間に比べ、長い時間を費やして、外殻原料粉末を塗布することで、重力との関係で、余分な外殻原料粉末が堆積しがちな、下杵の成形材料接触表面(下杵の上面)への外殻原料粉末の塗布量と、重力との関係で、外殻原料粉末が塗布され難い、上杵の成形材料接触表面(上杵の下面)への外殻原料粉末の塗布量とが、同じ或いは概ね同じ量になるように調整している。
従って、この圧縮成形物の製造方法を用いれば、重力との関係で、外殻原料粉末が塗布され難い、上杵の成形材料接触表面(上杵の下面)へも外殻原料粉末の必要最低限の量を均一に塗布できるので、圧縮成形物の表面となる側の錠剤表面に、スティッキングや、ラミネーティングや、キャッピング等の打錠障害を生じることなく、圧縮成形物本体の表面に、その一部に、少なくとも、外殻原料粉末が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が互いに熱融着した部分を含む外殻が形成された、圧縮成形物を、打錠障害の発生頻度を少なくして、製造することができる。
請求項11に記載の圧縮成形物の製造方法は、請求項8〜10のいずれかに記載の圧縮成形物の製造方法の、外殻原料粉末が、滑沢剤としての機能を有し、且つ、室温では粉体であり、圧縮成形時に発生する熱により溶融する粉体である。
この圧縮成形物の製造方法では、外殻原料粉末が、滑沢剤としての機能を有しているので、圧縮成形物を製造する際に用いる臼の表面、上杵の表面及び下杵の表面に、外殻原料粉末を塗布すれば、圧縮成形物に打錠障害が生じない。
のみならず、外殻原料粉末は、室温では、粉体であるので、この圧縮成形物の製造方法により製造された圧縮成形物は、その外殻が、耐摩損性を発揮する。
請求項12に記載の圧縮成形物の製造方法は、請求項8〜11のいずれかに記載の圧縮成形物の製造方法で用いる、外殻原料粉末の融点が、30℃以上80℃以下である。
臼、下杵及び上杵を用いて、成形材料を圧縮成形する際に発生する熱は、成形材料を圧縮する際の打錠圧や、臼、下杵及び上杵により成形する成形材料の量や、成形材料の成分・組成等によって、一概に規定はできないが、概ね、成形材料を圧縮成形する際に、臼、下杵及び上杵は、概ね、30℃以上80℃以下の温度範囲の熱を持つ。
したがって、この温度範囲に融点(m.p.)がある、外殻原料粉末を用いれば、成形材料を圧縮する際の打錠圧によって、外殻原料粉末の一部が、熱溶融し、圧縮成形物本体の表面に、一部が熱溶融した外殻原料粉末同士が互いに融着した部分を含む、外殻が形成される。
この圧縮成形物の製造方法では、融点が、30℃以上80℃以下の外殻原料粉末を用いているので、圧縮成形物本体の表面に、外殻原料粉末の一部が、熱溶融し、少なくとも、その一部が互いに熱融着した部分を含む、外殻が形成される。
そして、この圧縮成形物の製造方法により製造される圧縮成形物の、圧縮成形物本体の表面に形成される外殻は、30℃以上にならないと、溶けることがないため、室温(1℃〜30℃)や冷所(15℃以下)では、固まった状態であるので、室温や冷所で、保存・運搬する限り、保存や運搬時に、圧縮成形物の表面に欠けが生じない。
また、外殻原料粉末の融点が、上記範囲内で比較的低温のものを用いた場合には、口腔内に、圧縮成形物を入れると、口腔内で、外殻が速やかに溶け、素錠と同様の性状を有するため、チュアブル錠としても、違和感がない。
請求項13に記載の圧縮成形物の製造方法は、請求項8〜12のいずれかに記載の圧縮成形物の製造方法で用いる、外殻原料粉末が、脂肪酸、脂肪酸金属塩及び脂肪酸エステルの群から選択される粉末である。
この圧縮成形物の製造方法では、安全性に優れ、入手も容易で、外殻を形成した場合、耐摩損機能を発揮し、且つ、滑沢剤(離型剤)としても機能する、外殻原料粉末を用いているので、この圧縮成形物の製造方法を用いれば、安全性に優れ、保存や運搬時に、圧縮成形物の表面に欠けを生じ難い、圧縮成形物を、高い製造効率で製造することができる。
請求項14に記載の圧縮成形物の製造方法は、請求項8〜13のいずれかに記載の圧縮成形物の製造方法で用いる、成形材料が、生菌類と、製剤原料粉粒体とを含有し、且つ、製剤原料粉粒体が、圧縮成形時に発生する熱よりも高い融点を有する製剤原料粉粒体で概ね構成されている。
この圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物)の製造方法では、製剤原料粉粒体を、圧縮成形時に発生する熱よりも高い融点を有する材料で概ね構成しているので、圧縮成形時に、製剤原料粉粒体中には、圧縮成形時に発生する熱で溶ける成分が全く無いか殆どない。この結果、この圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物)の製造方法により製造される圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物(錠剤))は、圧縮成形物(錠剤)中に含まれる、生菌類が殆ど損傷を受けていない。
即ち、この圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物)の製造方法により製造される生菌類含有圧縮成形物は、圧縮成形物内に含有されている生菌類の生存率が極めて高いため、高い有効性を発揮する。
この圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物)の製造方法では、臼、下杵及び上杵の各々の成形材料接触表面に、外殻原料粉末を塗布し、外殻原料粉末が成形材料接触表面に塗布された臼、外殻原料粉末が成形材料接触表面に塗布された下杵、及び、外殻原料粉末が成形材料接触表面に塗布された上杵を用いて、生菌類と、圧縮成形時に発生する熱よりも高い融点を有する材料で概ね構成された製剤原料粉粒体とを含有する成形材料を圧縮成形し、圧縮成形物本体を製造すると同時に、臼、下杵及び上杵が成形材料を圧縮する際に発生する熱を用い、臼の成形材料接触表面に塗布されている外殻原料粉末の少なくとも一部、下杵の成形材料接触表面に塗布されている外殻原料粉末の少なくとも一部、及び/又は、上杵の成形材料接触表面に塗布されている外殻原料粉末の少なくとも一部を熱溶融し、臼の成形材料接触表面に、その一部が熱溶融した外殻原料、下杵の成形材料接触表面に、その一部が熱溶融した外殻原料、及び/又は、上杵の成形材料接触表面に、その一部が熱溶融した外殻原料を、臼、下杵及び上杵が、成形材料を圧縮成形して、圧縮成形物本体を形成する際に、臼の成形材料接触表面、下杵の成形材料接触表面、及び/又は、上杵の成形材料接触表面から、圧縮成形物本体の表面に転写することで、圧縮成形物本体の表面に外殻を形成している。
臼、下杵及び上杵が成形材料を圧縮する際に発生する熱等により、臼の成形材料接触表面に塗布されている外殻原料粉末の少なくとも一部、下杵の成形材料接触表面に塗布されている外殻原料粉末の少なくとも一部、及び/又は、上杵の成形材料接触表面に塗布されている外殻原料粉末の少なくとも一部が熱溶融すると、外殻原料粉末中には、熱溶融した外殻原料粉末同士が熱融着したり、及び/又は、熱溶融した外殻原料粉末と熱溶融していない外殻原料粉末とが熱融着したりする。
そして、臼、下杵及び上杵が成形材料を圧縮する際に発生する熱等により、熱溶融した、熱融着した外殻原料粉末を含む外殻原料粉末が、臼、下杵及び上杵が成形材料を圧縮成形することによって製造した圧縮成形物本体の表面に、臼の成形材料接触表面、下杵の成形材料接触表面、及び/又は、上杵の成形材料接触表面から転写され、圧縮成形物本体の表面に、その一部に、少なくとも、外殻原料粉末が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が互いに熱融着した部分を含む外殻が形成された、生菌類含有圧縮成形物が製造される。
この圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物)の製造方法では、臼、下杵及び上杵が、成形材料を圧縮成形して圧縮成形物本体を製造する際に、同時に、圧縮成形物本体の表面に外殻を形成しているので、一旦、圧縮成形することで得られた素錠を、コーティング装置等を用い、その素錠の表面に、外殻を形成するという、コーテング工程を用いる必要が無いので、製造ラインを、圧縮成形工程と、コーテング工程との2本立てにすることなく、圧縮成形工程のみで、外殻を有する、圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物)を製造できる。
したがって、この圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物)の製造方法を用いれば、外殻を有する圧縮成形物を圧縮成形工程のみで製造できるため、製造工程が、極めて簡単になり、これにより、外殻を有する、生菌類含有圧縮成形物を製造する際の製造コストを低く抑えることができる。
のみならず、この圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物)の製造方法により製造される、圧縮成形物の表面に形成される外殻は、外殻原料粉末の一部が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が互いに融着した部分を含む外殻であるために、単に、外殻原料粉末が圧縮され、外殻原料粉末同士が、嵌合状態で結合している外殻ではなく、外殻原料粉末の一部が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が熱融着している部分を含む外殻によって覆われている。したがって、この圧縮成形物の外殻は、外殻原料粉末同士が圧縮されて、嵌合状態になって結合している外殻に比べ、機械的強度が高いため、外殻原料粉末同士が圧縮されて、嵌合状態になっている外殻を有する圧縮成形物に比べても、保存や運搬中に欠けが生じ難い。
その一方、この圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物)の製造方法により製造される、圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物)の表面に形成されている外殻は、外殻原料粉末が、熱溶融し、溶融した外殻原料粉末同士が互いに融着した部分を含む外殻であり、コーティング装置等を用いて、素錠表面に、コーティング液をスプレーし、乾燥させて形成したような外殻に比較した場合には、コーティング装置等を用いて、素錠の表面に形成された外殻に比べ、脆いため、口腔内で咀嚼した場合には、壊れ易いため、口腔内で咀嚼した際に、圧縮成形物本体と、外殻との物性が著しく異なることに起因する、咀嚼時の違和感が無く、素錠のような噛み心地であるために、チュアブル錠としても、適している。
圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物)の保存・運搬の際に、生菌類含有圧縮成
請求項15に記載の圧縮成形物の製造方法は、請求項8〜13のいずれかに記載の圧縮成形物の製造方法で用いる、成形材料が、マイクロカプセルと製剤原料粉体とを含有し、且つ、製剤原料粉粒体が、圧縮成形時に発生する熱よりも高い融点を有する製剤原料粉粒体で概ね構成されている。
この圧縮成形物(マイクロカプセル含有圧縮成形物)の製造方法では、製剤原料粉粒体を、圧縮成形時に発生する熱よりも高い融点を有する材料で概ね構成しているので、圧縮成形時に、製剤原料粉粒体中には、圧縮成形時に発生する熱で溶ける成分が全く無いか殆どない。この結果、この圧縮成形物(マイクロカプセル含有圧縮成形物)の製造方法により製造される圧縮成形物(マイクロカプセル含有圧縮成形物(錠剤))は、圧縮成形物(錠剤)中に含まれる、マイクロカプセルが殆ど損傷を受けていない。
また、この圧縮成形物の製造方法では、臼、下杵及び上杵の各々の成形材料接触表面に、外殻原料粉末を塗布し、外殻原料粉末が成形材料接触表面に塗布された臼、外殻原料粉末が成形材料接触表面に塗布された下杵、及び、外殻原料粉末が成形材料接触表面に塗布された上杵を用いて、マイクロカプセルと、圧縮成形時に発生する熱よりも高い融点を有する材料で概ね構成された製剤原料粉粒体とを含有する成形材料を圧縮成形し、圧縮成形物本体を製造すると同時に、臼、下杵及び上杵が成形材料を圧縮する際に発生する熱を用い、臼の成形材料接触表面に塗布されている外殻原料粉末の少なくとも一部、下杵の成形材料接触表面に塗布されている外殻原料粉末の少なくとも一部、及び/又は、上杵の成形材料接触表面に塗布されている外殻原料粉末の少なくとも一部を熱溶融し、臼の成形材料接触表面に、その一部が熱溶融した外殻原料、下杵の成形材料接触表面に、その一部が熱溶融した外殻原料、及び/又は、上杵の成形材料接触表面に、その一部が熱溶融した外殻原料を、臼、下杵及び上杵が、成形材料を圧縮成形して、圧縮成形物本体を形成する際に、臼の成形材料接触表面、下杵の成形材料接触表面、及び/又は、上杵の成形材料接触表面から、圧縮成形物本体の表面に転写することで、圧縮成形物本体の表面に外殻を形成している。
臼、下杵及び上杵が成形材料を圧縮する際に発生する熱等により、臼の成形材料接触表面に塗布されている外殻原料粉末の少なくとも一部、下杵の成形材料接触表面に塗布されている外殻原料粉末の少なくとも一部、及び/又は、上杵の成形材料接触表面に塗布されている外殻原料粉末の少なくとも一部が熱溶融すると、外殻原料粉末中には、熱溶融した外殻原料粉末同士が熱融着したり、及び/又は、熱溶融した外殻原料粉末と熱溶融していない外殻原料粉末とが熱融着したりする。
そして、臼、下杵及び上杵が成形材料を圧縮する際に発生する熱等により、熱溶融した、熱融着した外殻原料粉末を含む外殻原料粉末が、臼、下杵及び上杵が成形材料を圧縮成形することによって製造した圧縮成形物本体の表面に、臼の成形材料接触表面、下杵の成形材料接触表面、及び/又は、上杵の成形材料接触表面から転写され、圧縮成形物本体の表面に、その一部に、少なくとも、外殻原料粉末が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が互いに熱融着した部分を含む外殻が形成された、圧縮成形物(マイクロカプセル含有圧縮成形物)が製造される。
この圧縮成形物(マイクロカプセル含有圧縮成形物)の製造方法では、臼、下杵及び上杵が、成形材料を圧縮成形して、圧縮成形物本体を製造する際に、同時に、圧縮成形物本体の表面に外殻を形成しているので、一旦、圧縮成形することで得られた素錠を、コーティング装置等を用い、その素錠の表面に、外殻を形成するという、コーテング工程を用いる必要が無いので、製造ラインを、圧縮成形工程と、コーテング工程との2本立てにすることなく、圧縮成形工程のみで、外殻を有する、圧縮成形物(マイクロカプセル含有圧縮成形物)を製造できる。
したがって、この圧縮成形物(マイクロカプセル含有圧縮成形物)の製造方法を用いれば、外殻を有する圧縮成形物を圧縮成形工程のみで製造できるため、製造工程が、極めて簡単になり、これにより、外殻を有する、圧縮成形物(マイクロカプセル含有圧縮成形物)を製造する際の製造コストを低く抑えることができる。
のみならず、この圧縮成形物(マイクロカブセル含有圧縮成形物)の製造方法により製造される圧縮成形物の表面に形成される外殻は、外殻原料粉末の一部が熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が互いに融着した部分を含む外殻であるために、単に、外殻原料粉末が圧縮され、外殻原料粉末同士が、嵌合状態で結合している外殻ではなく、外殻原料粉末の一部が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が熱融着している部分を含む外殻によって覆われている。したがって、この圧縮成形物の外殻は、外殻原料粉末同士が圧縮されて、嵌合状態になって結合している外殻に比べ、機械的強度が高いため、外殻原料粉末同士が圧縮されて、嵌合状態になっている外殻を有する圧縮成形物に比べても、保存や運搬中に欠けが生じ難い。
その一方、この圧縮成形物(マイクロカプセル含有圧縮成形物)の製造方法により製造される、圧縮成形物(マイクロカプセル含有圧縮成形物)の表面に形成されている外殻は、外殻原料粉末が、熱溶融し、溶融した外殻原料粉末同士が互いに融着した部分を含む外殻であり、コーティング装置等を用いて、素錠表面に、コーティング液をスプレーし、乾燥させて形成したような外殻に比較した場合には、コーティング装置等を用いて、素錠の表面に形成された外殻に比べ、脆いため、口腔内で咀嚼した場合には、壊れ易いため、口腔内で咀嚼した際に、圧縮成形物本体と、外殻との物性が著しく異なることに起因する、咀嚼時の違和感が無く、素錠のような噛み心地であるために、チュアブル錠としても、適している。
発明を実施するための最良の形態
以下、図面を参照しながら、本発明に係る圧縮成形物の一例について、更に、詳しく説明する。
(発明の実施の形態1)
図1は、本発明に係る圧縮成形物を概略的に説明する説明図であり、図1(a)は、その斜視図を、また、図1(b)は、その断面図である。
この圧縮成形物(錠剤)ti1は、圧縮成形物本体(錠剤本体部)taと、圧縮成形物本体taの表面に形成された外殻tbとを備える。
圧縮成形物(錠剤)ti1が、医薬品錠剤、動物薬錠剤、農薬用錠剤である場合には、圧縮成形物本体(錠剤本体部)taは、有効成分や、乳糖その他の賦形剤や、必要により、補助剤や添加剤等の種々の材料を混合した粉粒体が、圧縮成形されて構成されている。
尚、圧縮成形物本体(錠剤本体部)ta中には、滑沢剤を、含有していないことが好ましい。
これは、滑沢剤は、成形材料を圧縮成形する際に、臼の成形材料接触表面、下杵の成形材料接触表面、及び、上杵の成形材料接触表面への成形材料の付着を防止するためには、滑沢剤は、臼の成形材料接触表面、下杵の成形材料接触表面、及び、上杵の成形材料接触表面の各々と、臼、下杵及び上杵によって、圧縮成形される成形材料の表面との間に介在していればよく、成形材料の内部には含まれている必要がないこと、及び、成形材料中に、滑沢剤粉末が添加されている場合には、滑沢剤の撥水性が原因して、圧縮成形物(錠剤)ti1の溶解時間や崩壊時間が遅延し、体内への有効成分の吸収が悪くなったり、効果の発現が遅くなったりするからである。
また、圧縮成形物(錠剤)ti1が、チュアブル錠の場合には、口腔内で咀嚼して、唾液に溶かした際に、圧縮成形物本体(錠剤本体部)ta中に、滑沢剤粉末が含まれている場合には、滑沢剤の疎水性が原因して、服用者に、不快な味(苦み)がするからである。
また、圧縮成形物(錠剤)ti1が、食品用の錠剤である場合には、圧縮成形物本体(錠剤本体部)taは、乳酸菌等の生菌類(凍結乾燥粉砕物)、クロレラ(凍結乾燥粉砕物)、βカロチン、各種ビタミンその他の体に良いとされている成分や栄養補給成分や、マンニトールその他の糖類、糖アルコール糖の賦形剤や、必要により、補助剤や添加剤等の種々の材料を混合した粉粒体が、圧縮成形されて構成されている。
尚、圧縮成形物本体(錠剤本体部)ta中には、ショ糖脂肪酸エステル粉末、グリセリン脂肪酸エステル粉末、又は、硬化油脂粉末は、含有していないことが好ましい。
これは、食品用の圧縮成形物(錠剤)ti1は、水とともにそのまま嚥下して服用してもよく、また、口腔内で咀嚼して、唾液に溶かして、水無しでも服用できるようにするために、チュアブル錠にされている場合が多いが、圧縮成形物本体(錠剤本体部)ta中に、ショ糖脂肪酸エステル粉末、グリセリン脂肪酸エステル粉末、硬化油脂粉末が添加されている場合には、ショ糖脂肪酸エステル粉末、グリセリン脂肪酸エステル粉末、又は、硬化油脂の撥水性が原因して、圧縮成形物(錠剤)ti1の溶解時間や崩壊時間が遅延し、体内への、体に良いとされている成分、及び/又は、栄養補給成分の吸収が悪くなったり、効果の発現が遅くなったりするからである。
外殻tbは、その硬度が、圧縮成形物本体(錠剤本体部)taの硬度に比べ、高い材料で形成されている。これにより、この外殻tbは、圧縮成形物(錠剤)ti1の保存・運搬時の、圧縮成形物(錠剤)ti1の表面に欠けが生じるのを防止する、耐摩損性を発揮している。
図2は、圧縮成形物(錠剤)ti1の圧縮成形物本体(錠剤本体部)taに形成されている、外殻tbの構造を拡大して模式的に説明する説明図であり、図2(a)は、外殻tbの構造を拡大して模式的に説明する平面図を、また、図2(b)は、外殻tbの構造を拡大して模式的に説明する断面図である。
外殻tbは、図2(a)及び図2(b)の各々に示すように、その一部に、少なくとも、外殻原料粉末が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が互いに熱融着した部分ptc・・・を含む。
外殻tbは、外殻原料粉末が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が互いに熱融着した部分ptc・・・を含む限り、例えば、外殻tb中に、熱溶融した外殻原料粉末と、熱溶融していない外殻原料粉末とが熱融着しているような部分を含んでいてもよく、また、例えば、外殻tb中に、圧縮成形物本体を構成する粉体の粒子、又は、圧縮成形物本体(錠剤本体部)taを構成する粒体の粒子に、熱溶融した外殻原料粉末が熱融着しているような部分を含んでいてもよい。
外殻原料粉末の粒径は、特に限定されることはないが、通常、滑沢剤として、成形材料中に添加される滑沢剤粉末の粒径に比べて、やや大きめの粒径を用いる方が好ましい。即ち、外殻原料粉末の粒径としては、例えば、5μm以上50μm以下が好ましく、10μm以上20μm以下であることが、より好ましく、更に好ましくは、10μm以上15μm以下である。
これは、あまり粒径の小さい外殻原料粉末を用いた場合には、外殻原料粉末の一部が熱溶融し、外殻tbを形成した後において、外殻tbが緻密な構造になり過ぎて、圧縮成形物本体(錠剤本体部)taと、外殻tbとの物性が著しく異なり、素錠としての性格が損なわれるからである。
また、あまり大きな粒径の外殻原料粉末を用いた場合には、圧縮成形物tの表面が粗くなり、外殻tbの耐摩損性が損なわれるからである。
外殻tbの外殻原料粉末の融点は、30℃以上80℃以下であることが好ましく、40℃以上78℃以下であることが、更に好ましい。
これは、臼、下杵及び上杵を用いて、成形材料を圧縮成形する際に発生する熱は、成形材料を圧縮する際の打錠圧や、臼、下杵及び上杵により成形する成形材料の量や、成形材料の成分・組成等によって、一概に規定はできないが、概ね、成形材料を圧縮成形する際に、臼、下杵及び上杵は、概ね、30℃以上80℃以下の温度範囲の熱を持つ。
したがって、この温度範囲に融点(m.p.)がある、外殻原料粉末を用いれば、成形材料を圧縮する際の打錠圧によって、外殻原料粉末の一部が、熱溶融し、圧縮成形物本体(錠剤本体部)taの表面に、少なくとも、その一部が熱溶融した外殻原料粉末同士が互いに融着した部分ptc・・・を含む、外殻tbが形成される。
次に、外殻tbの外殻原料粉末の好ましい具体例について説明する。
外殻tbの外殻原料粉末としては、脂肪酸、脂肪酸金属塩又は脂肪酸エステルを用いるのが好ましい。
脂肪酸エステルとしては、例えば、糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等を挙げることができる。
糖脂肪酸エステルの糖としては、例えば、グルコース、ショ糖等の糖類や、ソルビトール、マンニトール等の糖アルコール等を挙げることができる。
また、脂肪酸、脂肪酸金属塩又は糖脂肪酸エステルの脂肪酸部分としては、炭素数が12以上22以下の飽和脂肪酸、例えば、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸(ステアリン酸)、ノナデシル酸、イコサン酸、ヘンイコサン酸、ドコサン酸(以上は、融点(m.p)は、44.2℃以上79.9℃の範囲内にある。)を挙げることができる。
脂肪酸金属塩の金属塩部分は、例えば、アルミニウム(Al)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)等を挙げることができる。
また、脂肪酸金属塩としては、例えば、ステアリン酸金属塩(Al、Na、K、Ca、Mg等)を挙げることができる。
外殻tbの外殻原料粉末としては、より具体的には、例えば、ショ糖脂肪酸エステル粉末、グリセリン脂肪酸エステル粉末、硬化油脂粉末、又は、ステアリン酸粉末をその好ましい具体例として挙げることができる。
ショ糖脂肪酸エステルは、融点(m.p.)が、約52℃以上約62℃以下の温度範囲にあり、安全性に優れ、入手が容易で、しかも、外殻とした場合には、耐摩損性機能を十分に発揮するので、外殻原料として適している。
グリセリン脂肪酸エステルは、融点(m.p.)が、約62℃以上約68℃以下の温度範囲にあり、安全性に優れ、入手が容易で、しかも、外殻とした場合には、耐摩損性機能を十分に発揮するので、外殻原料として適している。
硬化油脂は、融点(m.p.)が、約40℃以上約48℃以下の温度範囲にあり、安全性に優れ、入手が容易で、しかも、外殻とした場合には、耐摩損性機能を十分に発揮するので、外殻原料として適している。
ステアリン酸は、融点(m.p.)が、56℃以上約72℃以下の温度範囲にあり、安全性に優れ、入手が容易で、しかも、外殻とした場合には、耐摩損性機能を十分に発揮するので、外殻原料として適している。
また、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、硬化油脂、及び、ステアリン酸は、滑沢剤(又は、離型剤)としての機能を有しているので、これらを、成形材料接触表面に塗布した臼、これらを、成形材料接触表面に塗布した下杵、及び、これらを、成形材料接触表面に塗布した上杵を用いて、成形材料を圧縮成形した場合、これらが、滑沢剤として機能するため、臼の成形材料接触表面、下杵の成形材料接触表面、及び/又は、上杵の成形材料接触表面に、成形材料が付着することがない。この結果、この圧縮成形物は、臼、下杵、及び、上杵により圧縮成形して製造する際に、スティッキングやラミネーティングやキャッピング等の打錠障害が生じる頻度が低いため、歩留まりが生じないため、高い生産効率で(工業的採算ベース)で、製造できるという、メリットもある。
この圧縮成形物(錠剤)ti1は、その表面に、少なくとも、外殻原料粉末が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が互いに融着した部分ptc・・・を含む外殻tbが形成されているので、保存や運搬中に欠けが生じ難い。
より具体的に説明すると、この圧縮成形物(錠剤)ti1は、外殻原料粉末同士が、臼、下杵及び上杵により、単に圧縮され、嵌合状態で結合している外殻ではなく、少なくとも、外殻原料粉末の一部が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が熱融着している部分ptc・・・を含む外殻tbによって覆われている。したがって、この圧縮成形物(錠剤)ti1の外殻tbは、外殻原料粉末同士が圧縮されて、嵌合状態になって結合している外殻に比べ、機械的強度が高いため、外殻原料粉末同士が圧縮されて、嵌合状態になっている外殻を有する圧縮成形物に比べても、保存や運搬中に欠けが生じ難い。
その一方、この圧縮成形物(錠剤)ti1の表面に形成されている外殻tbは、少なくとも、外殻原料粉末の一部が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が互いに熱融着した部分を含む外殻tbで構成されており、コーティング装置等を用いて、素錠表面に、コーティング液をスプレーし、乾燥させて形成したような外殻に比較した場合には、脆く、口腔内で咀嚼した場合には、壊れ易いため、口腔内で咀嚼した際に、圧縮成形物本体(錠剤本体部)taと、外殻tbとの物性が著しく異なることに起因する、咀嚼時の違和感が無く、素錠のような噛み心地であるために、チュアブル錠としても、適している。
また、この圧縮成形物(錠剤)ti1は、その表面に、外殻tbが形成されているに過ぎず、圧縮成形物本体(錠剤本体部)taの内部に、滑沢剤を含ませないようにした場合には、この圧縮成形物(錠剤)ti1は、圧縮成形物(錠剤)ti1の溶解時間や崩壊時間が速く、目的とする部位で、直ちに溶ける。
従って、圧縮成形物本体(錠剤本体部)taの内部に、滑沢剤を含ませないようにした場合には、この圧縮成形物(錠剤)ti1は、体内へ速やかに吸収されので、速効性がある。
また、圧縮成形物本体(錠剤本体部)ta内に、滑沢剤を含ませないようにした場合には、チュアブル錠として、口腔内で咀嚼した場合に、圧縮成形物本体(錠剤本体部)ta内に、滑沢剤を含んでいないため、服用者に不快な味(苦み)を与えることがない。即ち、圧縮成形物本体(錠剤本体部)ta内に、滑沢剤を含ませないようにした場合には、チュアブル錠としての味が優れている。
また、この圧縮成形物本体(錠剤本体部)taの表面に形成されている外殻は、30℃以上にならないと、溶けることがないため、室温(1℃〜30℃)や冷所(15℃以下)では、固まった状態(固体)であるので、室温や冷所で、保存・運搬する限り、保存や運搬時に、圧縮成形物(錠剤)ti1の表面に欠けが生じない。
また、外殻原料粉末の融点が、上記範囲内で比較的低温のものを用いた場合には、口腔内に、圧縮成形物(錠剤)ti1を入れると、口腔内の熱により、外殻tbが速やかに溶けるため、素錠と同様の性状を有するため、チュアブル錠としても、違和感がない。
次に、圧縮成形物(錠剤)ti1の製造方法について説明する。
図3は、圧縮成形物(錠剤)ti1の製造方法の一例を概略的に説明する工程図である。
圧縮成形物(錠剤)ti1を製造する際には、まず、打錠機を準備する。図3(a)は、打錠機の組となる、臼13、下杵14、及び、上杵15を概略的に示す断面図である。尚、図3(a)中、12で示す部材装置は、打錠機の回転テーブルの一部を示している。臼13は、回転テーブル12に形成されている。
次に、臼13内に、所定の位置まで、下杵14を挿入する。
臼13内に挿入する下杵14の成形材料接触表面(上面)S14の位置により、臼13の成形材料接触表面S13が規定される。
即ち、臼13の成形材料接触表面S13は、臼13の内周面の中、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14より上方の部分となる。
次に、臼13の成形材料接触表面S13、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14、及び、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15の各々に、外殻tbを形成する外殻原料粉末を、所定の膜厚で、均一に塗布する。
外殻原料粉末としては、滑沢剤(離型剤)としての機能を有し、且つ、その融点(m.p.)が、30℃以上80℃以下のもの、より好ましくは、40℃以上78℃以下のものを用いる。
具体的には、ショ糖脂肪酸エステル粉末、グリセリン脂肪酸エステル粉末、硬化油脂粉末、又は、ステアリン酸粉末を用いる。
また、外殻原料粉末としては、その粒径が、通常、滑沢剤として、成形材料中に添加される滑沢剤粉末の粒径に比べて、やや大きめの粒径のもの、より特定的に説明すると、外殻原料粉末としては、その粒径が、例えば、5μm以上50μm以下の範囲にあるものが好ましく、10μm以上20μm以下の範囲にあるものが、より好ましく、更に好ましくは、10μm以上15μm以下の範囲にあるものである。
これは、あまり粒径の小さい外殻原料粉末を用いた場合には、外殻原料粉末の一部が熱溶融し、外殻tbを形成した後において、外殻tbが緻密な構造になり過ぎて、圧縮成形物本体(錠剤本体部)taと、外殻tbとの物性が著しく異なり、素錠としての性格が損なわれるからである。
また、あまり大きな粒径の外殻原料粉末を用いた場合には、圧縮成形物(錠剤)ti1の表面が粗くなり、外殻tbの耐摩損性が損なわれるからである。
尚、臼13の成形材料接触表面S13、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14、及び、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15の各々に、外殻tbを形成する外殻原料粉末を、所定の膜厚で、均一に塗布する方法としては、種々の方法が考えられるが、臼13の成形材料接触表面S13、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14、及び、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15の各々に、外殻tbを形成する外殻原料粉末を、所定の膜厚で、均一に塗布する好ましい方法としては、臼13の成形材料接触表面S13、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14、及び、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15の各々に、正圧の脈動空気振動波に、外殻原料粉末を混和し、分散し、ノズル手段(図示せず。)から、正圧の脈動空気振動波に混和し、分散した、外殻原料粉末を、正圧の脈動空気振動波とともに吹き付ける方法がある。
ここに、「脈動空気振動波」は、空気の流れに、圧力の高い部分(空気流の流速が遅い部分)と、圧力の低い部分(空気流の流速が速い部分)とが一定の周期で交互に現れる空気の波を意味する。
また、「正圧」は、この圧縮成形物の製造方法を実施する装置内の空気の圧力が、この圧縮成形物の製造方法を実施する装置外の空気の圧力に比べて、高い状態を意味する。
図4(a)及び図4(b)の各々は、臼13の成形材料接触表面S13、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14、及び、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15の各々に外殻原料粉末を塗布する際に用いる、正圧の脈動空気振動波を例示的に示す説明図である。
臼13の成形材料接触表面S13、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14、及び、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15の各々に外殻原料粉末を塗布する際に用いる、正圧の脈動空気振動波は、図4(a)に示すような、脈動空気振動波の振幅の谷が、概ね、大気圧に等しく、振幅の山が、正圧の脈動空気振動波であっても、また、図4(b)に示すような、脈動空気振動波の振幅の山と谷とがともに、正圧の脈動空気振動波であってもよい。
尚、この圧縮成形物の製造方法で用いる、正圧の脈動空気振動波は、用いる外殻原料粉末を空気に混和し、分散させるのに適した、周期、波長、波形、振幅等に設定される。
この圧縮成形物の製造方法では、用いる外殻原料粉末の物性(成分、組成、平均粒径、粒度分布等)に応じて、用いる外殻原料粉末を空気に混和し、分散させるのに適した、周期、波長、波形、振幅等を有する、正圧の脈動空気振動波を用いている。
これにより、外殻原料粉末は、一旦、正圧の脈動空気振動波すると、定常圧流の空気流に比べ、空気中に混和し、分散した外殻原料粉末が、空気と分離して、堆積したりするといった現象を生じ難い。
従って、正圧の脈動空気振動波中に、概ね一定量の外殻原料粉末を、定常圧流の空気流に比べ、長時間、混和し、分散させた状態に維持することができる。
且つ、正圧の脈動空気振動波には、圧力の高い部分(空気流の流速が遅い部分)と、圧力の低い部分(空気流の流速が速い部分)とが交互に現れるという性格があるため、例えば、重力との関係で、余分に外殻原料粉末が堆積しがちな、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14に、たとえ、余分な外殻原料粉末が付着・堆積したとしても、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14に、余分に付着・堆積した外殻原料粉末には、正圧の脈動空気振動波の圧力の高い部分(空気流の流速が遅い部分)と、圧力の低い部分(空気流の流速が速い部分)とが、交互に、吹き付けられる結果、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14にとって、余分な外殻原料粉末は、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14から吹き飛ばされる。この結果、重力との関係で、余分に外殻原料粉末が堆積しがちな、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14に、外殻原料粉末が、必要最小限の量で、均一に、塗布される。
また、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14に吹き付けられ、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14から吹き飛ばされた、外殻原料粉末は、臼13の成形材料接触表面(内周面)S13に付着する。ここで、臼13の成形材料接触表面(内周面)S13に余分な外殻原料粉末が付着・堆積したとしても、臼13の成形材料接触表面(内周面)S13に、余分に付着・堆積した外殻原料粉末には、正圧の脈動空気振動波の圧力の高い部分(空気流の流速が遅い部分)と、圧力の低い部分(空気流の流速が速い部分)とが、交互に、吹き付けられる結果、臼13の成形材料接触表面(内周面)S13にとって、余分な外殻原料粉末は、臼13の成形材料接触表面(内周面)S13から吹き飛ばされる。この結果、臼13の成形材料接触表面(内周面)S13にも、外殻原料粉末が、必要最小限の量で、均一に、塗布される。
また、重力との関係で、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15には、外殻原料粉末が付着・堆積し難いが、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15には、外殻原料粉末が、正圧の脈動空気振動波とともに、吹き付けられる結果、上杵S15の成形材料接触表面(下面)S15にも、外殻原料粉末が、必要最小限の量で、均一に、塗布される。
次に、図3(c)に示すように、外殻原料粉末が塗布された成形材料接触表面(内周面)S13を有する臼13内の、臼13の成形材料接触表面(内周面)S13と、臼13内に、所定の位置まで挿入され、且つ、成形材料接触表面(上面)S14には、外殻原料粉末が塗布された、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14とにより形成される空間内に、成形材料を充填する。
圧縮成形物(錠剤)ti1が、医薬品錠剤、動物薬錠剤、農薬用錠剤である場合には、成形材料として、有効成分粉粒体や、乳糖その他の賦形剤粉粒体や、必要により、補助剤粉粒体や添加剤粉粒体等の種々の材料を混合した粉粒体を用いる。
尚、成形材料中には、滑沢剤を、添加しないことが好ましい。
これは、この例では、上述したように、外殻原料粉末としては、滑沢剤(離型剤)としての機能を有するものを用い、滑沢剤(離型剤)としての機能を有する外殻原料粉末を、臼13の成形材料接触表面(内周面)S13、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14、及び、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15の各々に、塗布しているので、成形材料中に、滑沢剤粉末を添加しなくても、臼13の成形材料接触表面(内周面)S13、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14、及び、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15の各々に、圧縮成形時に、成形材料が付着するという現象が殆ど生じないため、製造される圧縮成形物(錠剤)ti1に、スティッキング、ラミネーティング、キャッピング等の打錠障害が生じ難く、また、圧縮成形時に、臼13、下杵14、及び、上杵15に、ギシツキが生じ難いからである。
また、成形材料中に、滑沢剤粉末が添加されている場合には、滑沢剤の撥水性が原因して、圧縮成形物(錠剤)ti1の溶解時間や崩壊時間が遅延し、体内への有効成分の吸収が悪くなったり、効果の発現が遅くなったりするからである。
また、圧縮成形物(錠剤)ti1が、チュアブル錠の場合には、口腔内で咀嚼して、唾液に溶かした際に、圧縮成形物本体(錠剤本体部)ta中に、滑沢剤粉末が含まれている場合には、滑沢剤の疎水性が原因して、服用者に、不快な味(苦み)がするからである。
また、圧縮成形物(錠剤)ti1が、食品用の錠剤である場合には、成形材料としては、乳酸菌等の生菌類(凍結乾燥粉砕物)、クロレラ(凍結乾燥粉砕物)、βカロチン、各種ビタミンその他の体に良いとされている成分、及び/又は、栄養補給成分や、マンニトールその他の糖類、糖アルコール糖の賦形剤や、必要により、補助剤や添加剤等の種々の材料を混合した粉粒体を用いる。
尚、成形材料中には、ショ糖脂肪酸エステル粉末、グリセリン脂肪酸エステル粉末、又は、硬化油脂は、含有していないことが好ましい。
滑沢剤を、含有していないことが好ましい。
これは、食品用の圧縮成形物(錠剤)ti1は、水とともにそのまま嚥下して服用してもよく、また、口腔内で咀嚼して、唾液に溶かして、水無しでも服用できるようにするために、チュアブル錠にされている場合が多いが、圧縮成形物本体(錠剤本体部)ta中に、ショ糖脂肪酸エステル粉末、グリセリン脂肪酸エステル粉末、又は、硬化油脂が添加されている場合には、ショ糖脂肪酸エステル粉末、グリセリン脂肪酸エステル粉末、又は、硬化油脂の撥水性が原因して、圧縮成形物(錠剤)ti1の溶解時間や崩壊時間が遅延し、体内への、体に良いとされている成分や栄養補給成分の吸収が悪くなったり、効果の発現が遅くなったりするからである。
次に、図3(d)に示すように、外殻原料粉末が塗布された成形材料接触表面(内周面)S13を有する臼13、外殻原料粉末が塗布された成形材料接触表面(上面)S14を有する下杵14、及び、外殻原料粉末が塗布された成形材料接触表面(下面)S15を有する上杵15を用い、臼13と下杵14とにより形成された空間内に充填された成形材料を、圧縮成形する。
図5は、外殻原料粉末が塗布された成形材料接触表面(内周面)S13を有する臼13、外殻原料粉末が塗布された成形材料接触表面(上面)S14を有する下杵14、及び、外殻原料粉末が塗布された成形材料接触表面(下面)S15を有する上杵15を用い、成形材料を圧縮成形する際に、臼13の成形材料接触表面(内周面)S13に塗布された、外殻原料粉末に生じる現象、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14に塗布された、外殻原料粉末に生じる現象、及び、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15に塗布された、外殻原料粉末に生じる現象を、模式的に説明する、説明図である。
尚、成形材料を圧縮成形する際に、臼13の成形材料接触表面(内周面)S13に塗布された、外殻原料粉末、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14に塗布された、外殻原料粉末、及び、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15に塗布された、外殻原料粉末の各々に生じる現象は同様であるので、図5では、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15に塗布された、外殻原料粉末に生じる現象のみを図示し、臼13の成形材料接触表面(内周面)S13に塗布された、外殻原料粉末、及び、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14に塗布された、外殻原料粉末の各々に生じる現象については、図示するのを省略する。
上杵15の成形材料接触表面(下面)S15に塗布された、外殻原料粉末は、図5(a)に示すように、外殻原料粉末が互いに吸着した状態で、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15に付着している。
次に、外殻原料粉末が塗布された成形材料接触表面(内周面)S13を有する臼13、外殻原料粉末が塗布された成形材料接触表面(上面)S14を有する下杵14、及び、外殻原料粉末が塗布された成形材料接触表面(下面)S15を有する上杵15を用い、成形材料を圧縮成形を開始すると、圧縮成形する成形材料の表面に、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15が押し当てられ、外殻原料粉末を介在して、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15と、成形材料の表面とが接触する(図5(b)を参照)。
次に、外殻原料粉末が塗布された成形材料接触表面(内周面)S13を有する臼13、外殻原料粉末が塗布された成形材料接触表面(上面)S14を有する下杵14、及び、外殻原料粉末が塗布された成形材料接触表面(下面)S15を有する上杵15を用い、成形材料を圧縮成形を行うと、成形材料が、臼13、下杵14、及び、上杵15により圧縮され、熱を発生する。
また、臼13の成形材料接触表面(内周面)S13に塗布された外殻原料粉末、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14に塗布された外殻原料粉末、及び、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15に塗布された外殻原料粉末の各々も、圧縮され、熱を発生する。
そして、成形材料から発生した熱、及び、外殻原料粉末から発生した熱により、臼13の成形材料接触表面(内周面)S13に塗布された外殻原料粉末の一部が熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が熱融着したり、熱溶融した外殻原料粉末と、熱溶融していない外殻原料粉末とが熱融着したり、熱溶融した外殻原料粉末が、成形材料を構成する粉粒体の粒子と熱融着したりして、圧縮成形物本体(錠剤本体部)taの表面に外殻tbとして形成される。
同様に、成形材料から発生した熱、及び、外殻原料粉末から発生した熱により、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14に塗布された外殻原料粉末の一部が熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が熱融着したり、熱溶融した外殻原料粉末と、熱溶融していない外殻原料粉末とが熱融着したり、熱溶融した外殻原料粉末が、成形材料を構成する粉粒体の粒子と熱融着したりして、圧縮成形物本体(錠剤本体部)taの表面に外殻tbとして形成される。
また、同様に、成形材料から発生した熱、及び、外殻原料粉末から発生した熱により、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15に塗布された外殻原料粉末の一部が熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が熱融着したり、熱溶融した外殻原料粉末と、熱溶融していない外殻原料粉末とが熱融着したり、熱溶融した外殻原料粉末が、成形材料を構成する粉粒体の粒子と熱融着したりして、圧縮成形物本体(錠剤本体部)taの表面に外殻tbとして形成される(以上については、図5(c)を参照)。
以上の工程により、圧縮成形物本体(錠剤本体部)taの表面に、少なくとも、その一部に、外殻原料粉末が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が互いに熱融着した部分を含む外殻tbが形成された圧縮成形物(錠剤)ti1が製造される。
そして、このようにして製造された、圧縮成形物(錠剤)ti1は、例えば、臼13内の上方に下杵14を移動させることにより、臼13内から取り出される(図3(e)を参照)。
この圧縮成形物の製造方法では、臼13、下杵14及び上杵15の各々の成形材料接触表面S13、S14、S15に、外殻原料粉末を塗布し、外殻原料粉末が成形材料接触表面(内周面)S13に塗布された臼13、外殻原料粉末が成形材料接触表面(上面)S14に塗布された下杵14、及び、外殻原料粉末が成形材料接触表面(下面)S15に塗布された上杵15を用いて、成形材料を圧縮成形し、圧縮成形物本体(錠剤本体部)tbを製造すると同時に、臼13、下杵13及び上杵15が成形材料を圧縮する際に発生する熱を用い、臼13の成形材料接触表面(内周面)S13に塗布されている外殻原料粉末の少なくとも一部、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14に塗布されている外殻原料粉末の少なくとも一部、及び/又は、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15に塗布されている外殻原料粉末の少なくとも一部を熱溶融し、臼13の成形材料接触表面(内周面)S13に、その一部が熱溶融した外殻原料、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14に、その一部が熱溶融した外殻原料、及び/又は、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15に、その一部が熱溶融した外殻原料を、臼13、下杵14及び上杵15が、成形材料を圧縮成形して、圧縮成形物本体(錠剤本体部)taを形成する際に、臼13の成形材料接触表面(内周面)S13、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14、及び/又は、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15から、圧縮成形物本体(錠剤本体部)taの表面に転写することで、圧縮成形物本体(錠剤本体部)taの表面に外殻tbを形成している。
臼13、下杵14及び上杵15が成形材料を圧縮する際に発生する熱等により、臼13の成形材料接触表面(内周面)S13に塗布されている外殻原料粉末の少なくとも一部、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14に塗布されている外殻原料粉末の少なくとも一部、及び/又は、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15に塗布されている外殻原料粉末の少なくとも一部が熱溶融すると、外殻原料粉末中には、熱溶融した外殻原料粉末同士が熱融着したり、及び/又は、熱溶融した外殻原料粉末と熱溶融していない外殻原料粉末とが熱融着したり、熱溶融した外殻原料粉末が、成形材料を構成する粉粒体の粒子に熱融着したりする。
そして、臼13、下杵14及び上杵15が成形材料を圧縮する際に発生する熱等により、熱溶融した、熱融着した外殻原料粉末を含む外殻原料粉末が、臼13、下杵14及び上杵15が成形材料を圧縮成形することによって製造した圧縮成形物本体(錠剤本体部)taの表面に、臼13の成形材料接触表面(内周面)S13、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14、及び/又は、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15から転写され、圧縮成形物本体(錠剤本体部)taの表面に、その一部に、少なくとも、外殻原料粉末が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が互いに熱融着した部分ptc・・・を含む外殻tbが形成された圧縮成形物tが製造される。
この圧縮成形物の製造方法では、臼13、下杵14及び上杵15が、成形材料を圧縮成形して圧縮成形物本体(錠剤本体部)taを製造する際に、同時に、圧縮成形物本体(錠剤本体部)taの表面に外殻tbを形成しているので、一旦、圧縮成形することで得られた素錠を、コーティング装置等を用い、その素錠の表面に、外殻を形成するという、コーティング工程を用いる必要が無いので、製造ラインを、圧縮成形工程と、コーティング工程との2本立てにすることなく、圧縮成形工程のみで、外殻tbを有する圧縮成形物tを製造できる。
したがって、この圧縮成形物の製造方法を用いれば、外殻tbを有する圧縮成形物tを圧縮成形工程のみで製造できるため、製造工程が、極めて簡単になり、これにより、外殻tbを有する圧縮成形物tを製造する際の製造コストを低く抑えることができる。
のみならず、この圧縮成形物の製造方法により製造される、圧縮成形物tの表面に形成される外殻tbは、外殻原料粉末の、少なくとも、一部が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が互いに融着した部分ptc・・・を含む外殻tbであるために、この圧縮成形物の製造方法により製造される、圧縮成形物tは、単に、外殻原料粉末が圧縮され、外殻原料粉末同士が、嵌合状態で結合している外殻ではなく、少なくとも、外殻原料粉末の一部が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が熱融着している部分おtc・・・を含む外殻tbによって覆われている。したがって、この圧縮成形物tの外殻tbは、単に、外殻原料粉末同士が圧縮されて、嵌合状態になって結合している外殻に比べ、機械的強度が高いため、単に、外殻原料粉末同士が圧縮されて、嵌合状態になっている外殻を有する圧縮成形物に比べても、保存や運搬中に欠けが生じ難い。
その一方、この圧縮成形物の製造方法により製造される圧縮成形物tの表面に形成されている外殻tbは、外殻原料粉末の一部が、熱溶融し、溶融した外殻原料粉末同士が互いに融着した部分を含む外殻tbであり、コーティング装置等を用いて、素錠表面に、コーティング液をスプレーし、乾燥させて形成したような外殻に比較した場合には、コーティング装置等を用いて、素錠の表面に形成された外殻に比べ、脆いため、口腔内で咀嚼した場合には、壊れ易い。このため、口腔内で咀嚼した際に、圧縮成形物本体(錠剤本体部)と、外殻との物性が著しく異なることに起因する、咀嚼時の違和感が無く、素錠のような噛み心地であるために、チュアブル錠としても、適している。
また、この圧縮成形物の製造方法では、融点(m.p.)が、30℃以上80℃以下の外殻原料粉末を用いているので、圧縮成形物本体(錠剤本体部)taの表面に、外殻原料粉末の一部が、熱溶融し、少なくとも、その一部が互いに熱融着した部分ptc・・・を含む、外殻tbが形成される。
そして、この圧縮成形物の製造方法により製造される圧縮成形物(錠剤)ti1の、圧縮成形物本体(錠剤本体部)taの表面に形成される外殻tbは、30℃以上にならないと、溶けることがないため、室温(1℃〜30℃)や冷所(15℃以下)では、固まった状態であるので、室温や冷所で、保存・運搬する限り、保存や運搬時に、圧縮成形物(錠剤)ti1の表面に欠けが生じない。
また、外殻原料粉末の融点(m.p.)が、上記範囲内で比較的低温のものを用いた場合には、口腔内に、圧縮成形物(錠剤)ti1を入れると、口腔内の熱により、外殻tbが速やかに溶け、素錠と同様の性状を有するため、チュアブル錠としても、違和感がない。
且つ、この圧縮成形物の製造方法では、安全性に優れ、入手も容易で、外殻tbを形成した場合、耐摩損機能を発揮し、且つ、滑沢剤(離型剤)としても機能する、外殻原料粉末を用いているので、この圧縮成形物の製造方法を用いれば、安全性に優れ、保存や運搬時に、圧縮成形物(錠剤)ti1の表面に欠けを生じ難い、圧縮成形物(錠剤)ti1を、高い製造効率で製造することができる。
(発明の実施の形態2)
図6は、本発明に係る、生菌類含有圧縮成形物を概略的に説明する説明図であり、図6(a)は、その斜視図を、また、図6(b)は、その断面図である。
この圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物(錠剤))ti2は、生菌類vmc・・・を含有する圧縮成形物本体(錠剤本体部)taと、生菌類vmc・・・を含有する圧縮成形物本体taの表面に形成された外殻tbとを備える。
圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物(錠剤))ti2が、医薬品錠剤、動物薬錠剤、農薬用錠剤である場合には、圧縮成形物本体(錠剤本体部)taの生菌類vmc・・・以外の部分(即ち、マトリックス部分(つなぎ部分))は、乳糖その他の賦形剤や、必要により、補助剤や添加剤等の種々の微量添加材料を混合した製剤原料粉粒体が、圧縮成形されて構成されている。
この圧縮成形物(生生菌類含有圧縮成形物(錠剤))ti2は、圧縮成形物本体(錠剤本体部)taの生菌類vmc・・・以外の部分を構成する製剤原料粉粒体を、生菌類vmc・・・を含有する成形材料を、圧縮成形する際に、発生する熱よりも高い融点を有する材料で概ね構成している。
より具体的に説明すると、この圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物(錠剤))ti2が、医薬品の錠剤である場合には、製剤原料粉粒体中には、通常、成形材料中に添加されている滑沢剤(ステアリン酸、ステアリン酸金属塩(Al、Mg、K、Ca、Na)等)が添加されていない。
また、この圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物(錠剤))ti2が、食品の錠剤である場合には、製剤原料粉粒体中には、通常、成形材料中に添加されている滑沢剤(ショ糖脂肪酸エステル等)が添加されていない。
外殻tbは、その硬度が、圧縮成形物本体(錠剤本体部)taの硬度に比べ、高い材料で形成されている。これにより、この外殻tbは、圧縮成形物(錠剤)ti2の保存・運搬時の、圧縮成形物(錠剤)ti2の表面に欠けが生じるのを防止する、耐摩損性を発揮している。
図7は、圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物(錠剤))ti2の圧縮成形物本体(錠剤本体部)taの表面に形成されている、外殻tbの構造を拡大して模式的に説明する説明図であり、図7(a)は、外殻tbの構造を拡大して模式的に説明する平面図を、また、図7(b)は、外殻tbの構造を拡大して模式的に説明する断面図である。
外殻tbは、図7(a)及び図7(b)の各々に示すように、その一部に、少なくとも、外殻原料粉末が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が互いに熱融着した部分pt・・・を含む。
外殻tbは、外殻原料粉末が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が互いに熱融着した部分pt・・・を少なくとも含む限り、例えば、外殻tb中に、熱溶融した外殻原料粉末と、熱溶融していない外殻原料粉末とが熱融着しているような部分を含んでいてもよく、また、例えば、外殻tb中に、圧縮成形物本体を構成する粉体の粒子、又は、圧縮成形物本体(錠剤本体部)taを構成する粒体の粒子に、熱溶融した外殻原料粉末が熱融着しているような部分を含んでいてもよい。
外殻原料粉末の粒径は、特に限定されることはないが、通常、滑沢剤として、成形材料中に添加される滑沢剤粉末の粒径に比べて、やや大きめの粒径を用いる方が好ましい。即ち、外殻原料粉末の粒径としては、例えば、5μm以上50μm以下が好ましく、10μm以上20μm以下であることが、より好ましく、更に好ましくは、10μm以上15μm以下である。
これは、あまり粒径の小さい外殻原料粉末を用いた場合には、外殻原料粉末の一部が熱溶融し、外殻tbを形成した後において、外殻tbが緻密な構造になり過ぎて、圧縮成形物本体(錠剤本体部)taと、外殻tbとの物性が著しく異なり、素錠としての性格が損なわれるからである。
また、あまり大きな粒径の外殻原料粉末を用いた場合には、圧縮成形物tの表面が粗くなり、外殻tbの耐摩損性が損なわれるからである。
外殻tbの外殻原料粉末の融点は、30℃以上80℃以下であることが好ましく、40℃以上78℃以下であることが、更に好ましい。
これは、臼、下杵及び上杵を用いて、成形材料を圧縮成形する際に発生する熱は、生菌類vmc・・・を含有する成形材料を圧縮する際の打錠圧や、臼、下杵及び上杵により成形する、生菌類vmc・・・を含有する成形材料の量や、生菌類vmc・・・を含有する成形材料の成分・組成等によって、一概に規定はできないが、概ね、生菌類vmc・・・を含有する成形材料を圧縮成形する際に、臼、下杵及び上杵は、概ね、30℃以上80℃以下の温度範囲の熱を持つ。
したがって、この温度範囲に融点(m.p.)がある、外殻原料粉末を用いれば、生菌類vmc・・・を含有する成形材料を圧縮する際の打錠圧によって、外殻原料粉末の一部が、熱溶融し、生菌類vmc・・・を含有する圧縮成形物本体(錠剤本体部)taの表面に、少なくとも、その一部が熱溶融した外殻原料粉末同士が互いに融着した部分pt・・・を含む、外殻tbが形成される。
次に、外殻tbの外殻原料粉末の好ましい具体例について説明する。
外殻tbの外殻原料粉末としては、例えば、ショ糖脂肪酸エステル粉末、グリセリン脂肪酸エステル粉末、硬化油脂粉末、又は、ステアリン酸粉末をその好ましい具体例として挙げることができる。
ショ糖脂肪酸エステルは、融点(m.p.)が、約52℃以上約62℃以下の温度範囲にあり、安全性に優れ、入手が容易で、しかも、外殻とした場合には、耐摩損性機能を十分に発揮するので、外殻原料として適している。
グリセリン脂肪酸エステルは、融点(m.p.)が、約62℃以上約68℃以下の温度範囲にあり、安全性に優れ、入手が容易で、しかも、外殻とした場合には、耐摩損性機能を十分に発揮するので、外殻原料として適している。
硬化油脂は、融点(m.p.)が、約40℃以上約48℃以下の温度範囲にあり、安全性に優れ、入手が容易で、しかも、外殻とした場合には、耐摩損性機能を十分に発揮するので、外殻原料として適している。
ステアリン酸は、融点(m.p.)が、56℃以上約72℃以下の温度範囲にあり、安全性に優れ、入手が容易で、しかも、外殻とした場合には、耐摩損性機能を十分に発揮するので、外殻原料として適している。
また、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、硬化油脂、及び、ステアリン酸は、滑沢剤(又は、離型剤)としての機能を有しているので、これらを、成形材料接触表面に塗布した臼、これらを、成形材料接触表面に塗布した下杵、及び、これらを、成形材料接触表面に塗布した上杵を用いて、成形材料を圧縮成形した場合、これらが、滑沢剤として機能するため、臼の成形材料接触表面、下杵の成形材料接触表面、及び/又は、上杵の成形材料接触表面に、成形材料が付着することがない。この結果、この圧縮成形物は、臼、下杵、及び、上杵により圧縮成形して製造する際に、スティッキングやラミネーティングやキャッピング等の打錠障害が生じる頻度が低いため、歩留まりが生じないため、高い生産効率で(工業的採算ベース)で、製造できるという、メリットもある。
この圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物(錠剤))ti2は、圧縮成形物(錠剤)内部に含有される生菌類vmc・・・が損傷を受けておらず、圧縮成形物(錠剤)ti2中に含まれる生菌類の生存率が高いため、圧縮成形物(錠剤)ti2の本来の目的とする機能が損なわれることなく、発揮される。
また、この圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物(錠剤))ti2は、その表面に、少なくとも、外殻原料粉末が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が互いに融着した部分pt・・・を含む外殻tbが形成されているので、保存や運搬中に欠けが生じ難い。
より具体的に説明すると、この圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物(錠剤))ti2は、外殻原料粉末同士が、臼、下杵及び上杵により、単に圧縮され、嵌合状態で結合している外殻ではなく、少なくとも、外殻原料粉末の一部が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が熱融着している部分pt・・・を含む外殻tbによって覆われている。したがって、この圧縮成形物(錠剤)ti2の外殻tbは、外殻原料粉末同士が圧縮されて、嵌合状態になって結合している外殻に比べ、機械的強度が高いため、外殻原料粉末同士が圧縮されて、嵌合状態になっている外殻を有する生菌類含有圧縮成形物に比べても、保存や運搬中に欠けが生じ難い。
その一方、この圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物(錠剤))ti2の表面に形成されている外殻tbは、少なくとも、外殻原料粉末の一部が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が互いに熱融着した部分を含む外殻tbで構成されており、コーティング装置等を用いて、素錠表面に、コーティング液をスプレーし、乾燥させて形成したような外殻に比較した場合には、脆く、口腔内で咀嚼した場合には、壊れ易いため、口腔内で咀嚼した際に、生菌類含有圧縮成形物本体(錠剤本体部)taと、外殻tbとの物性が著しく異なることに起因する、
咀嚼時の違和感が無く、素錠のような噛み心地であるために、チュアブル錠としても、適している。
また、この例に示す圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物(錠剤))ti2は、その表面に、外殻tbが形成されているに過ぎず、生菌類含有圧縮成形物本体(錠剤本体部)taの内部に、滑沢剤を含ませないようにしているので、この圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物(錠剤))ti2は、圧縮成形物(生生菌類含有圧縮成形物(錠剤))ti2の溶解時間や崩壊時間が速く、目的とする部位で、直ちに錠剤が溶け、錠剤内部に含有されている生菌類vmc・・・が放出される。
また、生菌類含有圧縮成形物本体(錠剤本体部)ta内に、滑沢剤を含ませないようにした場合には、チュアブル錠として、口腔内で咀嚼した場合に、生菌類含有圧縮成形物本体(錠剤本体部)ta内に、滑沢剤を含んでいないため、服用者に不快な味(苦み)を与えることがない。即ち、生菌類含有圧縮成形物本体(錠剤本体部)ta内に、滑沢剤を含ませないようにした場合には、チュアブル錠としての味が優れている。
また、この生菌類含有圧縮成形物本体(錠剤本体部)taの表面に形成されている外殻は、30℃以上にならないと、溶けることがないため、室温(1℃〜30℃)や冷所(15℃以下)では、固まった状態(固体)であるので、室温や冷所で、保存・運搬する限り、保存や運搬時に、圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物(錠剤))ti2の表面に欠けが生じない。
また、外殻原料粉末の融点が、上記範囲内で比較的低温のものを用いた場合には、口腔内に、圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物(錠剤))ti2を入れると、口腔内の熱により、外殻tbが速やかに溶けるため、素錠と同様の性状を有するため、チュアブル錠としても、違和感がない。
次に、圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物(錠剤))ti2の製造方法について説明する。
圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物(錠剤))ti2は、図3に示した圧縮成形物の製造方法と同様の製造方法によって製造できる。
また、図8は、圧縮成形物(生生菌類含有圧縮成形物(錠剤))ti2の製造工程を模式的に説明する説明図である。
まず、図8(a)に示すように、生菌類vmc・・・と、賦形剤Vとを準備する。
尚、この例では、生菌類vmc・・・と、賦形剤Vとを準備した例を示しているが、これら以外に、補助剤等の添加剤が含まれていても良い。
但し、賦形剤Vや、賦形剤Vの他に補助剤等の添加剤が含まれる場合にあっては、製剤原料粉粒体は、圧縮成形時に発生する熱よりも高い融点を有する材料で概ね構成されている。
次に、生菌類vmc・・・と、賦形剤V(賦形剤Vの他に補助剤等の添加剤が含まれる場合にあっては、製剤原料粉粒体)とを混合し、生菌類vmc・・・を含有する成形材料Mを準備する。
また、圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物(錠剤))ti2を製造する際には、まず、打錠機を準備する。
次に、図3(a)に示すように、臼13内に、所定の位置まで、下杵14を挿入する。
臼13内に挿入する下杵14の成形材料接触表面(上面)S14の位置により、臼13の成形材料接触表面S13が規定される。
即ち、臼13の成形材料接触表面S13は、臼13の内周面の中、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14より上方の部分となる。
次に、臼13の成形材料接触表面S13、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14、及び、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15の各々に、外殻tbを形成する外殻原料粉末を、所定の膜厚で、均一に塗布する。
外殻原料粉末としては、滑沢剤(離型剤)としての機能を有し、且つ、その融点(m.p.)が、30℃以上80℃以下のもの、より好ましくは、40℃以上78℃以下のものを用いる。
具体的には、ショ糖脂肪酸エステル粉末、グリセリン脂肪酸エステル粉末、硬化油脂粉末、又は、ステアリン酸粉末を用いる。
また、外殻原料粉末としては、その粒径が、通常、滑沢剤として、成形材料中に添加される滑沢剤粉末の粒径に比べて、やや大きめの粒径のもの、より特定的に説明すると、外殻原料粉末としては、その粒径が、例えば、5μm以上50μm以下の範囲にあるものが好ましく、10μm以上20μm以下の範囲にあるものが、より好ましく、更に好ましくは、10μm以上15μm以下の範囲にあるものである。
これは、あまり粒径の小さい外殻原料粉末を用いた場合には、外殻原料粉末の一部が熱溶融し、外殻tbを形成した後において、外殻tbが緻密な構造になり過ぎて、生菌類含有圧縮成形物本体(錠剤本体部)taと、外殻tbとの物性が著しく異なり、素錠としての性格が損なわれるからである。
また、あまり大きな粒径の外殻原料粉末を用いた場合には、圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物(錠剤))ti2の表面が粗くなり、外殻tbの耐摩損性が損なわれるからである。
尚、臼13の成形材料接触表面S13、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14、及び、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15の各々に、外殻tbを形成する外殻原料粉末を、所定の膜厚で、均一に塗布する方法としては、種々の方法が考えられるが、臼13の成形材料接触表面S13、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14、及び、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15の各々に、外殻tbを形成する外殻原料粉末を、所定の膜厚で、均一に塗布する好ましい方法としては、臼13の成形材料接触表面S13、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14、及び、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15の各々に、正圧の脈動空気振動波に、外殻原料粉末を混和し、分散し、ノズル手段(図示せず。)から、正圧の脈動空気振動波に混和し、分散した、外殻原料粉末を、正圧の脈動空気振動波とともに吹き付ける方法がある。
臼13の成形材料接触表面S13、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14、及び、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15の各々に外殻原料粉末を塗布する際に用いる、正圧の脈動空気振動波は、図4(a)に示すような、脈動空気振動波の振幅の谷が、概ね、大気圧に等しく、振幅の山が、正圧の脈動空気振動波であっても、また、図4(b)に示すような、脈動空気振動波の振幅の山と谷とがともに、正圧の脈動空気振動波であってもよい。
尚、この生菌類含有圧縮成形物の製造方法で用いる、正圧の脈動空気振動波は、用いる外殻原料粉末を空気に混和し、分散させるのに適した、周期、波長、波形、振幅等に設定される。
この圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物)の製造方法では、用いる外殻原料粉末の物性(成分、組成、平均粒径、粒度分布等)に応じて、用いる外殻原料粉末を空気に混和し、分散させるのに適した、周期、波長、波形、振幅等を有する、正圧の脈動空気振動波を用いている。
これにより、外殻原料粉末は、一旦、正圧の脈動空気振動波すると、定常圧流の空気流に比べ、空気中に混和し、分散した外殻原料粉末が、空気と分離して、堆積したりするといった現象を生じ難い。
従って、正圧の脈動空気振動波中に、概ね一定量の外殻原料粉末を、定常圧流の空気流に比べ、長時間、混和し、分散させた状態に維持することができる。
且つ、正圧の脈動空気振動波には、圧力の高い部分(空気流の流速が遅い部分)と、圧力の低い部分(空気流の流速が速い部分)とが交互に現れるという性格があるため、例えば、重力との関係で、余分に外殻原料粉末が堆積しがちな、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14に、たとえ、余分な外殻原料粉末が付着・堆積したとしても、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14に、余分に付着・堆積した外殻原料粉末には、正圧の脈動空気振動波の圧力の高い部分(空気流の流速が遅い部分)と、圧力の低い部分(空気流の流速が速い部分)とが、交互に、吹き付けられる結果、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14にとって、余分な外殻原料粉末は、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14から吹き飛ばされる。この結果、重力との関係で、余分に外殻原料粉末が堆積しがちな、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14に、外殻原料粉末が、必要最小限の量で、均一に、塗布される。
また、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14に吹き付けられ、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14から吹き飛ばされた、外殻原料粉末は、臼13の成形材料接触表面(内周面)S13に付着する。ここで、臼13の成形材料接触表面(内周面)S13に余分な外殻原料粉末が付着・堆積したとしても、臼13の成形材料接触表面(内周面)S13に、余分に付着・堆積した外殻原料粉末には、正圧の脈動空気振動波の圧力の高い部分(空気流の流速が遅い部分)と、圧力の低い部分(空気流の流速が速い部分)とが、交互に、吹き付けられる結果、臼13の成形材料接触表面(内周面)S13にとって、余分な外殻原料粉末は、臼13の成形材料接触表面(内周面)S13から吹き飛ばされる。この結果、臼13の成形材料接触表面(内周面)S13にも、外殻原料粉末が、必要最小限の量で、均一に、塗布される。
また、重力との関係で、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15には、外殻原料粉末が付着・堆積し難いが、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15には、外殻原料粉末が、正圧の脈動空気振動波とともに、吹き付けられる結果、上杵S15の成形材料接触表面(下面)S15にも、外殻原料粉末が、必要最小限の量で、均一に、塗布される。
次に、図3(c)に示すように、外殻原料粉末が塗布された成形材料接触表面(内周面)S13を有する臼13内の、臼13の成形材料接触表面(内周面)S13と、臼13内に、所定の位置まで挿入され、且つ、成形材料接触表面(上面)S14には、外殻原料粉末が塗布された、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14とにより形成される空間内に、成形材料を充填する。
この成形材料は、生菌類vmc・・・と、圧縮成形時に発生する熱よりも高い融点を有する材料で概ね構成された、製剤原料粉粒体との混合物である。
生菌類含有圧縮成形物(錠剤)ti2が、医薬品錠剤、動物薬錠剤、農薬用錠剤である場合には、成形材料として、有効成分含有生菌類や、乳糖その他の賦形剤粉粒体や、必要により、補助剤粉粒体や添加剤粉粒体等の種々の材料を混合した粉粒体を用いる。
また、圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物(錠剤))ti2が、食品用の錠剤である場合には、成形材料としては、乳酸菌等の生菌類(凍結乾燥粉砕物)、クロレラ(凍結乾燥粉砕物)、βカロチン、各種ビタミンその他の体に良いとされている成分、及び/又は、栄養補給成分を含有させた生菌類や、マンニトールその他の糖類、糖アルコール糖の賦形剤や、必要により、補助剤や添加剤等の種々の材料を混合した粉粒体を用いる。
次に、図3(d)に示すように、外殻原料粉末が塗布された成形材料接触表面(内周面)S13を有する臼13、外殻原料粉末が塗布された成形材料接触表面(上面)S14を有する下杵14、及び、外殻原料粉末が塗布された成形材料接触表面(下面)S15を有する上杵15を用い、臼13と下杵14とにより形成された空間内に充填された、生菌類を含有する成形材料を、圧縮成形する。
図9は、外殻原料粉末が塗布された成形材料接触表面(内周面)S13を有する臼13、外殻原料粉末が塗布された成形材料接触表面(上面)S14を有する下杵14、及び、外殻原料粉末が塗布された成形材料接触表面(下面)S15を有する上杵15を用い、成形材料を圧縮成形する際に、臼13の成形材料接触表面(内周面)S13に塗布された、外殻原料粉末に生じる現象、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14に塗布された、外殻原料粉末に生じる現象、及び、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15に塗布された、外殻原料粉末に生じる現象を、模式的に説明する、説明図である。
尚、成形材料を圧縮成形する際に、臼13の成形材料接触表面(内周面)S13に塗布された、外殻原料粉末、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14に塗布された、外殻原料粉末、及び、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15に塗布された、外殻原料粉末の各々に生じる現象は同様であるので、図9では、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15に塗布された、外殻原料粉末に生じる現象のみを図示し、臼13の成形材料接触表面(内周面)S13に塗布された、外殻原料粉末、及び、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14に塗布された、外殻原料粉末の各々に生じる現象については、図示するのを省略する。
上杵15の成形材料接触表面(下面)S15に塗布された、外殻原料粉末は、図9(a)に示すように、外殻原料粉末が互いに吸着した状態で、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15に付着している。
次に、外殻原料粉末が塗布された成形材料接触表面(内周面)S13を有する臼13、外殻原料粉末が塗布された成形材料接触表面(上面)S14を有する下杵14、及び、外殻原料粉末が塗布された成形材料接触表面(下面)S15を有する上杵15を用い、成形材料を圧縮成形を開始すると、圧縮成形する成形材料の表面に、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15が押し当てられ、外殻原料粉末を介在して、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15と、生菌類vmc・・・を含有する成形材料の表面とが接触する(図9(b)を参照)。
次に、外殻原料粉末が塗布された成形材料接触表面(内周面)S13を有する臼13、外殻原料粉末が塗布された成形材料接触表面(上面)S14を有する下杵14、及び、外殻原料粉末が塗布された成形材料接触表面(下面)S15を有する上杵15を用い、成形材料を圧縮成形を行うと、成形材料が、臼13、下杵14、及び、上杵15により圧縮され、熱を発生する。
また、臼13の成形材料接触表面(内周面)S13に塗布された外殻原料粉末、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14に塗布された外殻原料粉末、及び、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15に塗布された外殻原料粉末の各々も、圧縮され、熱を発生する。
そして、成形材料から発生した熱、及び、外殻原料粉末から発生した熱により、臼13の成形材料接触表面(内周面)S13に塗布された外殻原料粉末の一部が熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が熱融着したり、熱溶融した外殻原料粉末と、熱溶融していない外殻原料粉末とが熱融着したり、熱溶融した外殻原料粉末が、成形材料を構成する粉粒体の粒子と熱融着したりして、生菌類含有圧縮成形物本体(錠剤本体部)taの表面に外殻tbとして形成される。
同様に、生菌類vmc・・・を含有する成形材料から発生した熱、及び、外殻原料粉末から発生した熱により、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14に塗布された外殻原料粉末の一部が熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が熱融着したり、熱溶融した外殻原料粉末と、熱溶融していない外殻原料粉末とが熱融着したり、熱溶融した外殻原料粉末が、成形材料を構成する粉粒体の粒子と熱融着したりして、生菌類含有圧縮成形物本体(錠剤本体部)taの表面に外殻tbとして形成される。
また、同様に、生菌類vmc・・・を含有する成形材料から発生した熱、及び、外殻原料粉末から発生した熱により、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15に塗布された外殻原料粉末の一部が熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が熱融着したり、熱溶融した外殻原料粉末と、熱溶融していない外殻原料粉末とが熱融着したり、熱溶融した外殻原料粉末が、成形材料を構成する粉粒体の粒子と熱融着したりして、生菌類含有圧縮成形物本体(錠剤本体部)taの表面に外殻tbとして形成される。
以上の工程により、生菌類含有圧縮成形物本体(錠剤本体部)taの表面に、少なくとも、その一部に、外殻原料粉末が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が互いに熱融着した部分を含む外殻tbが形成された圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物(錠剤))ti2が製造される。
一方、生菌類vmc・・・を含有する成形材料中、製剤原料粉粒体は、生菌類vmc・・・を含有する成形材料が、圧縮成形される時に、成形材料に発生する熱よりも高い融点を有する材料で概ね構成されているので、生菌類vmc・・・を含有する成形材料は、圧縮成形時に、溶融する成分を全く含んでいないか、含んでいたとしても微量であるため、溶融した成分が、溶融した成分の周囲に存在する、生菌類vmc・・・や、賦形剤V・・・にひっついたり、溶融した成分同士が互いに融着するといった現象を生じない。
このような状態で、成形材料の打錠(圧縮成形)工程が進行する結果、圧縮成形される成形材料中に含有される生菌類vmc・・・には、損傷が発生しない。
そして、このようにして製造された、圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物(錠剤))ti2は、例えば、臼13内の上方に下杵14を移動させることにより、臼13内から取り出される(図3(e)を参照)。
この圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物)の製造方法では、生菌類vmc・・・を含有する成形材料中に、圧縮成形時に、成形材料に生じる熱により溶融する成分粉粒体を含ませないようにしたので、製造される、生菌類含有圧縮成形物中の、生菌類が損傷しない(図8(c)及び図9(c)を参照)。
また、この圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物)の製造方法では、臼13、下杵14及び上杵15の各々の成形材料接触表面S13、S14、S15に、外殻原料粉末を塗布し、外殻原料粉末が成形材料接触表面(内周面)S13に塗布された臼13、外殻原料粉末が成形材料接触表面(上面)S14に塗布された下杵14、及び、外殻原料粉末が成形材料接触表面(下面)S15に塗布された上杵15を用いて、成形材料を圧縮成形し、生菌類含有圧縮成形物本体(錠剤本体部)tbを製造すると同時に、臼13、下杵13及び上杵15が成形材料を圧縮する際に発生する熱を用い、臼13の成形材料接触表面(内周面)S13に塗布されている外殻原料粉末の少なくとも一部、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14に塗布されている外殻原料粉末の少なくとも一部、及び/又は、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15に塗布されている外殻原料粉末の少なくとも一部を熱溶融し、臼13の成形材料接触表面(内周面)S13に、その一部が熱溶融した外殻原料、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14に、その一部が熱溶融した外殻原料、及び/又は、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15に、その一部が熱溶融した外殻原料を、臼13、下杵14及び上杵15が、生菌類vmc・・・を含有する成形材料を圧縮成形して、生菌類vmc・・・を含有する生菌類含有圧縮成形物本体(錠剤本体部)taを形成する際に、臼13の成形材料接触表面(内周面)S13、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14、及び/又は、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15から、生菌類含有圧縮成形物本体(錠剤本体部)taの表面に転写することで、生菌類含有圧縮成形物本体(錠剤本体部)taの表面に外殻tbを形成している。
臼13、下杵14及び上杵15が成形材料を圧縮する際に発生する熱等により、臼13の成形材料接触表面(内周面)S13に塗布されている外殻原料粉末の少なくとも一部、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14に塗布されている外殻原料粉末の少なくとも一部、及び/又は、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15に塗布されている外殻原料粉末の少なくとも一部が熱溶融すると、外殻原料粉末中には、熱溶融した外殻原料粉末同士が熱融着したり、及び/又は、熱溶融した外殻原料粉末と熱溶融していない外殻原料粉末とが熱融着したり、熱溶融した外殻原料粉末が、成形材料を構成する粉粒体の粒子に熱融着したりする。
そして、臼13、下杵14及び上杵15が、生菌類vmc・・・を含有する成形材料を圧縮する際に発生する熱等により、熱溶融し、熱融着した外殻原料粉末を含む外殻原料粉末が、臼13、下杵14及び上杵15が成形材料を圧縮成形することによって製造した生菌類含有圧縮成形物本体(錠剤本体部)taの表面に、臼13の成形材料接触表面(内周面)S13、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14、及び/又は、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15から転写され、生菌類を含有する圧縮成形物本体(錠剤本体部)taの表面に、その一部に、少なくとも、外殻原料粉末が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が互いに熱融着した部分pt・・・を含む外殻tbが形成された生菌類含有圧縮成形物tが製造される。
この圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物)の製造方法では、臼13、下杵14及び上杵15が、成形材料を圧縮成形して生菌類含有圧縮成形物本体(錠剤本体部)taを製造する際に、同時に、生菌類を含有する圧縮成形物本体(錠剤本体部)taの表面に外殻tbを形成しているので、一旦、圧縮成形することで得られた素錠を、コーティング装置等を用い、その素錠の表面に、外殻を形成するという、コーテング工程を用いる必要が無いので、製造ラインを、圧縮成形工程と、コーテング工程との2本立てにすることなく、圧縮成形工程のみで、外殻tbを有する圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物(錠剤))ti2を製造できる。
したがって、この圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物)の製造方法を用いれば、外殻tbを有する生菌類含有圧縮成形物tを圧縮成形工程のみで製造できるため、製造工程が、極めて簡単になり、これにより、外殻tbを有する生菌類含有圧縮成形物tを製造する際の製造コストを低く抑えることができる。
のみならず、この生菌類含有圧縮成形物の製造方法により製造される、圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物(錠剤))ti2の表面に形成される外殻tbは、外殻原料粉末の、少なくとも、一部が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が互いに融着した部分pt・・を含む外殻tbであるために、この生菌類含有圧縮成形物の製造方法により製造される、圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物(錠剤)ti2は、単に、外殻原料粉末が圧縮され、外殻原料粉末同士が、嵌合状態で結合している外殻ではなく、少なくとも、外殻原料粉末の一部が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が熱融着している部分pt・・・を含む外殻tbによって覆われている。したがって、この生菌類含有圧縮成形物tの外殻tbは、単に、外殻原料粉末同士が圧縮されて、嵌合状態になって結合している外殻に比べ、機械的強度が高いため、単に、外殻原料粉末同士が庄縮されて、嵌合状態になっている外殻を有する生菌類含有圧縮成形物に比べても、保存や運搬中に欠けが生じ難い。
その一方、この生菌類含有圧縮成形物の製造方法により製造される圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物(錠剤)ti2の表面に形成されている外殻tbは、外殻原料粉末の一部が、熱溶融し、溶融した外殻原料粉末同士が互いに融着した部分を含む外殻tbであり、コーティング装置等を用いて、素錠表面に、コーティング液をスプレーし、乾燥させて形成したような外殻に比較した場合には、コーティング装置等を用いて、素錠の表面に形成された外殻に比べ、脆いため、口腔内で咀嚼した場合には、壊れ易い。このため、口腔内で咀嚼した際に、生菌類を含有する圧縮成形物本体(錠剤本体部)と、外殻との物性が著しく異なることに起因する、咀嚼時の違和感が無く、素錠のような噛み心地であるために、チュアブル錠としても、適している。
また、この圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物)の製造方法では、融点(m.p.)が、30℃以上80℃以下の外殻原料粉末を用いているので、生菌類含有圧縮成形物本体(錠剤本体部)taの表面に、外殻原料粉末の一部が、熱溶融し、少なくとも、その一部が互いに熱融着した部分pt・・・を含む、外殻tbが形成される。
そして、この圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物)の製造方法により製造される圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物(錠剤))ti2の、生菌類を含有する圧縮成形物本体(錠剤本体部)taの表面に形成される外殻tbは、30℃以上にならないと、溶けることがないため、室温(1℃〜30℃)や冷所(15℃以下)では、固まった状態であるので、室温や冷所で、保存・運搬する限り、保存や運搬時に、圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物(錠剤))ti2の表面に欠けが生じない。
また、外殻原料粉末の融点(m.p.)が、上記範囲内で比較的低温のものを用いた場合には、口腔内に、生菌類含有圧縮成形物(錠剤)ti2を入れると、口腔内の熱により、外殻tbが速やかに溶け、素錠と同様の性状を有するため、チュアブル錠としても、違和感がない。
且つ、この圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物)の製造方法では、安全性に優れ、入手も容易で、外殻tbを形成した場合、耐摩損機能を発揮し、且つ、滑沢剤(離型剤)としても機能する、外殻原料粉末を用いているので、この生菌類含有圧縮成形物の製造方法を用いれば、圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物(錠剤))内部に含まれる生菌類が損傷を受けておらず、しかも、安全性に優れ、保存や運搬時に、生菌類含有圧縮成形物(錠剤)ti2の表面に欠けを生じ難い、生菌類含有圧縮成形物(錠剤)ti2を、高い製造効率で製造することができる。(発明の実施の形態3)
図10は、本発明に係る、圧縮成形物(マイクロカプセル含有圧縮成形物)を概略的に説明する説明図であり、図10(a)は、その斜視図を、また、図10(b)は、その断面図である。
この圧縮成形物(マイクロカプセル含有圧縮成形物(錠剤))ti3は、マイクロカプセルmc・・・を含有する圧縮成形物本体(錠剤本体部)taと、マイクロカプセルmc・・・圧縮成形物本体taの表面に形成された外殻tbとを備える。
なお、図10中、miで示す部分は、マトリックス(つなぎ部分)を示している。
圧縮成形物(錠マイクロカプセル含有圧縮成形物(錠剤))ti3が、医薬品錠剤、動物薬錠剤、農薬用錠剤である場合には、マイクロカプセルmc・・・以外の圧縮成形物本体(錠剤本体部)ta(即ち、マトリックス(つなぎ部分)mi)は、乳糖その他の賦形剤や、必要により、補助剤や添加剤等の種々の微量添加材料を混合した製剤原料粉粒体が、圧縮成形されて構成されている。
この圧縮成形物(マイクロカプセル含有圧縮成形物(錠剤))ti3は、マトリックス(つなぎ部分)miを構成する製剤原料粉粒体を、マイクロカプセルmc・・・を含有する成形材料を、圧縮成形する際に、発生する熱よりも高い融点を有する材料で概ね構成している。
より具体的に説明すると、この圧縮成形物(マイクロカプセル含有圧縮成形物(錠剤))ti3が、医薬品の錠剤である場合には、製剤原料粉粒体中には、通常、成形材料中に添加されている滑沢剤(ステアリン酸、ステアリン酸金属塩(Al、Mg、K、Ca、Na)等)が添加されていない。
また、この圧縮成形物(マイクロカプセル含有圧縮成形物(錠剤))ti3が、食品の錠剤である場合には、製剤原料粉粒体中には、通常、成形材料中に添加されている滑沢剤(ショ糖脂肪酸エステル等)が添加されていない。
外殻tbは、その硬度が、圧縮成形物本体(錠剤本体部)taの硬度に比べ、高い材料で形成されている。これにより、この外殻tbは、圧縮成形物(錠剤)ti3の保存・運搬時の、圧縮成形物(錠剤)ti3の表面に欠けが生じるのを防止する、耐摩損性を発揮している。
図11は、圧縮成形物(マイクロカプセル含有圧縮成形物(錠剤))ti3の圧縮成形物本体(錠剤本体部)taの表面に形成されている、外殻tbの構造を拡大して模式的に説明する説明図であり、図11(a)は、外殻tbの構造を拡大して模式的に説明する平面図を、また、図11(b)は、外殻tbの構造を拡大して模式的に説明する断面図である。
外殻tbは、図11(a)及び図11(b)の各々に示すように、その一部に、少なくとも、外殻原料粉末が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が互いに熱融着した部分pt・・・を含む。
外殻tbは、外殻原料粉末が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が互いに熱融着した部分pt・・・を少なくとも含む限り、例えば、外殻tb中に、熱溶融した外殻原料粉末と、熱溶融していない外殻原料粉末とが熱融着しているような部分を含んでいてもよく、また、例えば、外殻tb中に、圧縮成形物本体を構成する粉体の粒子、又は、圧縮成形物本体(錠剤本体部)taを構成する粒体の粒子に、熱溶融した外殻原料粉末が熱融着しているような部分を含んでいてもよい。
外殻原料粉末の粒径は、特に限定されることはないが、通常、滑沢剤として、成形材料中に添加される滑沢剤粉末の粒径に比べて、やや大きめの粒径を用いる方が好ましい。即ち、外殻原料粉末の粒径としては、例えば、5μm以上50μm以下が好ましく、10μm以上20μm以下であることが、より好ましく、更に好ましくは、10μm以上15μm以下である。
これは、あまり粒径の小さい外殻原料粉末を用いた場合には、外殻原料粉末の一部が熱溶融し、外殻tbを形成した後において、外殻tbが緻密な構造になり過ぎて、圧縮成形物本体(錠剤本体部)taと、外殻tbとの物性が著しく異なり、素錠としての性格が損なわれるからである。
また、あまり大きな粒径の外殻原料粉末を用いた場合には、圧縮成形物tの表面が粗くなり、外殻tbの耐摩損性が損なわれるからである。
外殻tbの外殻原料粉末の融点は、30℃以上80℃以下であることが好ましく、40℃以上78℃以下であることが、更に好ましい。
これは、臼、下杵及び上杵を用いて、成形材料を圧縮成形する際に発生する熱は、マイクロカプセルmc・・・を含有する成形材料を圧縮する際の打錠圧や、臼、下杵及び上杵により成形する、マイクロカプセルmc・・・を含有する成形材料の量や、マイクロカプセルmc・・・を含有する成形材料の成分・組成等によって、一概に規定はできないが、概ね、マイクロカプセルmc・・・を含有する成形材料を圧縮成形する際に、臼、下杵及び上杵は、概ね、30℃以上80℃以下の温度範囲の熱を持つ。
したがって、この温度範囲に融点(m.p.)がある、外殻原料粉末を用いれば、マイクロカプセルmc・・・を含有する成形材料を圧縮する際の打錠圧によって、外殻原料粉末の一部が、熱溶融し、マイクロカプセルmc・・・を含有する圧縮成形物本体(錠剤本体部)taの表面に、少なくとも、その一部が熱溶融した外殻原料粉末同士が互いに融着した部分ptc・・・を含む、外殻tbが形成される。
次に、外殻tbの外殻原料粉末の好ましい具体例について説明する。
外殻tbの外殻原料粉末としては、例えば、ショ糖脂肪酸エステル粉末、グリセリン脂肪酸エステル粉末、硬化油脂粉末、又は、ステアリン酸粉末をその好ましい具体例として挙げることができる。
ショ糖脂肪酸エステルは、融点(m.p.)が、約52℃以上約62℃以下の温度範囲にあり、安全性に優れ、入手が容易で、しかも、外殻とした場合には、耐摩損性機能を十分に発揮するので、外殻原料として適している。
グリセリン脂肪酸エステルは、融点(m.p.)が、約62℃以上約68℃以下の温度範囲にあり、安全性に優れ、入手が容易で、しかも、外殻とした場合には、耐摩損性機能を十分に発揮するので、外殻原料として適している。
硬化油脂は、融点(m.p.)が、約40℃以上約48℃以下の温度範囲にあり、安全性に優れ、入手が容易で、しかも、外殻とした場合には、耐摩損性機能を十分に発揮するので、外殻原料として適している。
ステアリン酸は、融点(m.p.)が、56℃以上約72℃以下の温度範囲にあり、安全性に優れ、入手が容易で、しかも、外殻とした場合には、耐摩損性機能を十分に発揮するので、外殻原料として適している。
また、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、硬化油脂、及び、ステアリン酸は、滑沢剤(又は、離型剤)としての機能を有しているので、これらを、成形材料接触表面に塗布した臼、これらを、成形材料接触表面に塗布した下杵、及び、これらを、成形材料接触表面に塗布した上杵を用いて、成形材料を圧縮成形した場合、これらが、滑沢剤として機能するため、臼の成形材料接触表面、下杵の成形材料接触表面、及び/又は、上杵の成形材料接触表面に、成形材料が付着することがない。この結果、この圧縮成形物は、臼、下杵、及び、上杵により圧縮成形して製造する際に、スティッキングやラミネーティングやキャッピング等の打錠障害が生じる頻度が低いため、歩留まりが生じないため、高い生産効率で(工業的採算ベース)で、製造できるという、メリットもある。
この圧縮成形物(マイクロカプセル含有圧縮成形物(錠剤))ti3は、圧縮成形物(錠剤)内部に含有されるマイクロカプセルmc・・・が損傷を受けていないので、圧縮成形物(錠剤)の本来の目的とする機能が損なわれることなく、発揮される。
また、この圧縮成形物(マイクロカプセル含有圧縮成形物(錠剤))ti3は、その表面に、少なくとも、外殻原料粉末が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が互いに融着した部分ptc・・・を含む外殻tbが形成されているので、保存や運搬中に欠けが生じ難い。
より具体的に説明すると、この圧縮成形物(マイクロカプセル含有圧縮成形物(錠剤))ti3は、外殻原料粉末同士が、臼、下杵及び上杵により、単に圧縮され、嵌合状態で結合している外殻ではなく、少なくとも、外殻原料粉末の一部が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が熱融着している部分ptc・・・を含む外殻tbによって覆われている。したがって、この圧縮成形物(錠剤)ti3の外殻tbは、外殻原料粉末同士が圧縮されて、嵌合状態になって結合している外殻に比べ、機械的強度が高いため、外殻原料粉末同士が圧縮されて、嵌合状態になっている外殻を有する圧縮成形物に比べても、保存や運搬中に欠けが生じ難い。
その一方、この圧縮成形物(マイクロカプセル含有圧縮成形物(錠剤))ti3の表面に形成されている外殻tbは、少なくとも、外殻原料粉末の一部が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が互いに熱融着した部分を含む外殻tbで構成されており、コーティング装置等を用いて、素錠表面に、コーティング液をスプレーし、乾燥させて形成したような外殻に比較した場合には、脆く、口腔内で咀嚼した場合には、壊れ易いため、口腔内で咀嚼した際に、圧縮成形物本体(錠剤本体部)taと、外殻tbとの物性が著しく異なることに起因する、咀嚼時の違和感が無く、素錠のような噛み心地であるために、チュアブル錠としても、適している。
また、この例に示す圧縮成形物(マイクロカプセル含有圧縮成形物(錠剤))ti3は、その表面に、外殻tbが形成されているに過ぎず、圧縮成形物本体(錠剤本体部)taの内部に、滑沢剤を含ませないようにしているので、この圧縮成形物(マイクロカプセル含有圧縮成形物(錠剤))ti3は、圧縮成形物(錠剤)ti3の溶解時間や崩壊時間が速く、目的とする部位で、直ちに錠剤が溶け、錠剤内部に含有されているマイクロカプセルmc・・・が放出される。
従って、この例に示すように、マイクロカプセル含有圧縮成形物本体(錠剤本体部)taの内部に、滑沢剤を含ませないようにした場合には、この圧縮成形物(マイクロカプセル含有圧縮成形物(錠剤))ti3は、目的とする部位で、直ちに、マイクロカプセルmc・・・が放出され、しかも、放出されるマイクロカプセルmc・・・が
、損傷を受けていないため、マイクロカプセルmc・・・本来の目的とする機能が損なわれることなく、発揮される。
また、圧縮成形物本体(錠剤本体部)ta内に、滑沢剤を含ませないようにした場合には、チュアブル錠として、口腔内で咀嚼した場合に、圧縮成形物本体(錠剤本体部)ta内に、滑沢剤を含んでいないため、服用者に不快な味(苦み)を与えることがない。即ち、圧縮成形物本体(錠剤本体部)ta内に、滑沢剤を含ませないようにした場合には、チュアブル錠としての味が優れている。
また、この圧縮成形物本体(錠剤本体部)taの表面に形成されている外殻は、30℃以上にならないと、溶けることがないため、室温(1℃〜30℃)や冷所(15℃以下)では、固まった状態(固体)であるので、室温や冷所で、保存・運搬する限り、保存や運搬時に、圧縮成形物(錠剤)ti3の表面に欠けが生じない。
また、外殻原料粉末の融点が、上記範囲内で比較的低温のものを用いた場合には、口腔内に、圧縮成形物(錠剤)ti3を入れると、口腔内の熱により、外殻tbが速やかに溶けるため、素錠と同様の性状を有するため、チュアブル錠としても、違和感がない。
次に、圧縮成形物(錠剤)ti3の製造方法について説明する。
この圧縮成形物(錠剤)ti3の製造方法は、図3に示す圧縮成形物(錠剤)の製造方法と同様である。
また、図12は、圧縮成形物(マイクロカプセル含有圧縮成形物(錠剤))ti3の製造工程を模式的に説明する説明図である。
まず、図12(a)に示すように、マイクロカプセルmc・・・と、賦形剤Vとを準備する。
尚、図12(a)に示す例では、賦形剤Vを用いた例を示しているが、圧縮成形物(マイクロカプセル含有圧縮成形物(錠剤))ti3を製造する際には、賦形剤Vの他に、補助剤等の微量添加剤が含まれていてよい。
この場合、賦形剤V、補助剤等の製剤原料粉粒体は、圧縮成形時に発生する熱よりも高い融点を有する材料で概ね構成する。
次に、マイクロカプセルmc・・・と、賦形剤Vとを混合し、マイクロカプセルmc・・・を含有する成形材料Mを準備する。
賦形剤Vの他に、補助剤等の微量添加剤が含まれている場合には、マイクロカプセルmc・・・と、製剤原料粉粒体とを混合し、マイクロカプセルmc・・・を含有する成形材料を準備する(図12(b)を参照)。
また、打錠機を準備する。
次に、図3(a)に示すように、臼13内に、所定の位置まで、下杵14を挿入する。
臼13内に挿入する下杵14の成形材料接触表面(上面)S14の位置により、臼13の成形材料接触表面S13が規定される。
即ち、臼13の成形材料接触表面S13は、臼13の内周面の中、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14より上方の部分となる。
次に、臼13の成形材料接触表面S13、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14、及び、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15の各々に、外殻tbを形成する外殻原料粉末を、所定の膜厚で、均一に塗布する。
外殻原料粉末としては、滑沢剤(離型剤)としての機能を有し、且つ、その融点(m.p.)が、30℃以上80℃以下のもの、より好ましくは、40℃以上78℃以下のものを用いる。
具体的には、ショ糖脂肪酸エステル粉末、グリセリン脂肪酸エステル粉末、硬化油脂粉末、又は、ステアリン酸粉末等を用いる。
また、外殻原料粉末としては、その粒径が、通常、滑沢剤として、成形材料中に添加される滑沢剤粉末の粒径に比べて、やや大きめの粒径のもの、より特定的に説明すると、外殻原料粉末としては、その粒径が、例えば、5μm以上50μm以下の範囲にあるものが好ましく、10μm以上20μm以下の範囲にあるものが、より好ましく、更に好ましくは、10μm以上15μm以下の範囲にあるものである。
これは、あまり粒径の小さい外殻原料粉末を用いた場合には、外殻原料粉末の一部が熱溶融し、外殻tbを形成した後において、外殻tbが緻密な構造になり過ぎて、圧縮成形物本体(錠剤本体部)taと、外殻tbとの物性が著しく異なり、素錠としての性格が損なわれるからである。
また、あまり大きな粒径の外殻原料粉末を用いた場合には、圧縮成形物(錠剤)ti3の表面が粗くなり、外殻tbの耐摩損性が損なわれるからである。
尚、臼13の成形材料接触表面S13、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14、及び、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15の各々に、外殻tbを形成する外殻原料粉末を、所定の膜厚で、均一に塗布する方法としては、種々の方法が考えられるが、臼13の成形材料接触表面S13、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14、及び、上杵15の成形材料接触裏面(下面)S15の各々に、外殻tbを形成する外殻原料粉末を、所定の膜厚で、均一に塗布する好ましい方法としては、臼13の成形材料接触表面S13、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14、及び、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15の各々に、正圧の脈動空気振動波に、外殻原料粉末を混和し、分散し、ノズル手段(図示せず。)から、正圧の脈動空気振動波に混和し、分散した、外殻原料粉末を、正圧の脈動空気振動波とともに吹き付ける方法がある。
臼13の成形材料接触表面S13、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14、及び、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15の各々に外殻原料粉末を塗布する際に用いる、正圧の脈動空気振動波は、図4(a)に示すような、脈動空気振動波の振幅の谷が、概ね、大気圧に等しく、振幅の山が、正圧の脈動空気振動波であっても、また、図4(b)に示すような、脈動空気振動波の振幅の山と谷とがともに、正圧の脈動空気振動波であってもよい。
尚、この圧縮成形物の製造方法で用いる、正圧の脈動空気振動波は、用いる外殻原料粉末を空気に混和し、分散させるのに適した、周期、波長、波形、振幅等に設定される。
この圧縮成形物の製造方法では、用いる外殻原料粉末の物性(成分、組成、平均粒径、粒度分布等)に応じて、用いる外殻原料粉末を空気に混和し、分散させるのに適した、周期、波長、波形、振幅等を有する、正圧の脈動空気振動波を用いている。
これにより、外殻原料粉末は、一旦、正圧の脈動空気振動波すると、定常圧流の空気流に比べ、空気中に混和し、分散した外殻原料粉末が、空気と分離して、堆積したりするといった現象を生じ難い。
従って、正圧の脈動空気振動波中に、概ね一定量の外殻原料粉末を、定常圧流の空気流に比べ、長時間、混和し、分散させた状態に維持することができる。
且つ、正圧の脈動空気振動波には、圧力の高い部分(空気流の流速が遅い部分)と、圧力の低い部分(空気流の流速が速い部分)とが交互に現れるという性格があるため、例えば、重力との関係で、余分に外殻原料粉末が堆積しがちな、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14に、たとえ、余分な外殻原料粉末が付着・堆積したとしても、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14に、余分に付着・堆積した外殻原料粉末には、正圧の脈動空気振動波の圧力の高い部分(空気流の流速が遅い部分)と、圧力の低い部分(空気流の流速が速い部分)とが、交互に、吹き付けられる結果、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14にとって、余分な外殻原料粉末は、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14から吹き飛ばされる。この結果、重力との関係で、余分に外殻原料粉末が堆積しがちな、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14に、外殻原料粉末が、必要最小限の量で、均一に、塗布される。
また、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14に吹き付けられ、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14から吹き飛ばされた、外殻原料粉末は、臼13の成形材料接触表面(内周面)S13に付着する。ここで、臼13の成形材料接触表面(内周面)S13に余分な外殻原料粉末が付着・堆積したとしても、臼13の成形材料接触表面(内周面)S13に、余分に付着・堆積した外殻原料粉末には、正圧の脈動空気振動波の圧力の高い部分(空気流の流速が遅い部分)と、圧力の低い部分(空気流の流速が速い部分)とが、交互に、吹き付けられる結果、臼13の成形材料接触表面(内周面)S13にとって、余分な外殻原料粉末は、臼13の成形材料接触表面(内周面)S13から吹き飛ばされる。この結果、臼13の成形材料接触表面(内周面)S13にも、外殻原料粉末が、必要最小限の量で、均一に、塗布される。
また、重力との関係で、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15には、外殻原料粉末が付着・堆積し難いが、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15には、外殻原料粉末が、正圧の脈動空気振動波とともに、吹き付けられる結果、上杵S15の成形材料接触表面(下面)S15にも、外殻原料粉末が、必要最小限の量で、均一に、塗布される。
次に、図3(c)に示すように、外殻原料粉末が塗布された成形材料接触表面(内周面)S13を有する臼13内の、臼13の成形材料接触表面(内周面)S13と、臼13内に、所定の位置まで挿入され、且つ、成形材料接触表面(上面)S14には、外殻原料粉末が塗布された、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14とにより形成される空間内に、成形材料を充填する。
この成形材料は、マイクロカプセルmc・・・と、圧縮成形時に発生する熱よりも高い融点を有する材料で概ね構成された、製剤原料粉粒体との混合物である。
圧縮成形物(マイクロカプセル含有圧縮成形物(錠剤))ti3が、医薬品錠剤、動物薬錠剤、農薬用錠剤である場合には、成形材料として、有効成分含有マイクロカプセルや、乳糖その他の賦形剤粉粒体や、必要により、補助剤粉粒体や添加剤粉粒体等の種々の材料を混合した粉粒体を用いる。
また、圧縮成形物(錠剤)ti3が、食品用の錠剤である場合には、成形材料としては、乳酸菌等の生菌類(凍結乾燥粉砕物)、クロレラ(凍結乾燥粉砕物)、βカロチン、各種ビタミンその他の体に良いとされている成分、及び/又は、栄養補給成分を含有させたマイクロカプセルや、マンニトールその他の糖類、糖アルコール糖の賦形剤や、必要により、補助剤や添加剤等の種々の材料を混合した粉粒体を用いる。
次に、図3(d)に示すように、外殻原料粉末が塗布された成形材料接触表面(内周面)S13を有する臼13、外殻原料粉末が塗布された成形材料接触表面(上面)S14を有する下杵14、及び、外殻原料粉末が塗布された成形材料接触表面(下面)S15を有する上杵15を用い、臼13と下杵14とにより形成された空間内に充填された、マイクロカプセルを含有する成形材料を、圧縮成形する。
図13は、外殻原料粉末が塗布された成形材料接触表面(内周面)S13を有する臼13、外殻原料粉末が塗布された成形材料接触表面(上面)S14を有する下杵14、及び、外殻原料粉末が塗布された成形材料接触表面(下面)S15を有する上杵15を用い、成形材料を圧縮成形する際に、臼13の成形材料接触表面(内周面)S13に塗布された、外殻原料粉末に生じる現象、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14に塗布された、外殻原料粉末に生じる現象、及び、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15に塗布された、外殻原料粉末に生じる現象を、模式的に説明する、説明図である。
尚、成形材料を圧縮成形する際に、臼13の成形材料接触表面(内周面)S13に塗布された、外殻原料粉末、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14に塗布された、外殻原料粉末、及び、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15に塗布された、外殻原料粉末の各々に生じる現象は同様であるので、図13では、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15に塗布された、外殻原料粉末に生じる現象のみを図示し、臼13の成形材料接触表面(内周面)S13に塗布された、外殻原料粉末、及び、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14に塗布された、外殻原料粉末の各々に生じる現象については、図示するのを省略する。
上杵15の成形材料接触表面(下面)S15に塗布された、外殻原料粉末は、図13(a)に示すように、外殻原料粉末が互いに吸着した状態で、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15に付着している。
次に、外殻原料粉末が塗布された成形材料接触表面(内周面)S13を有する臼13、外殻原料粉末が塗布された成形材料接触表面(上面)S14を有する下杵14、及び、外殻原料粉末が塗布された成形材料接触表面(下面)S15を有する上杵15を用い、成形材料を圧縮成形を開始すると、圧縮成形する成形材料の表面に、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15が押し当てられ、外殻原料粉末を介在して、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15と、マイクロカプセルmc・・・を含有する成形材料の表面とが接触する(図13(b)を参照)。
次に、外殻原料粉末が塗布された成形材料接触表面(内周面)S13を有する臼13、外殻原料粉末が塗布された成形材料接触表面(上面)S14を有する下杵14、及び、外殻原料粉末が塗布された成形材料接触表面(下面)S15を有する上杵15を用い、成形材料を圧縮成形を行うと、成形材料が、臼13、下杵14、及び、上杵15により圧縮され、熱を発生する。
また、臼13の成形材料接触表面(内周面)S13に塗布された外殻原料粉末、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14に塗布された外殻原料粉末、及び、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15に塗布された外殻原料粉末の各々も、圧縮され、熱を発生する。
そして、成形材料から発生した熱、及び、外殻原料粉末から発生した熱により、臼13の成形材料接触表面(内周面)S13に塗布された外殻原料粉末の一部が熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が熱融着したり、熱溶融した外殻原料粉末と、熱溶融していない外殻原料粉末とが熱融着したり、熱溶融した外殻原料粉末が、成形材料を構成する粉粒体の粒子と熱融着したりして、圧縮成形物本体(錠剤本体部)taの表面に外殻tbとして形成される。
同様に、マイクロカプセルmc・・・を含有する成形材料から発生した熱、及び、外殻原料粉末から発生した熱により、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14に塗布された外殻原料粉末の一部が熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が熱融着したり、熱溶融した外殻原料粉末と、熱溶融していない外殻原料粉末とが熱融着したり、熱溶融した外殻原料粉末が、成形材料を構成する粉粒体の粒子と熱融着したりして、圧縮成形物本体(錠剤本体部)taの表面に外殻tbとして形成される。
また、同様に、マイクロカプセルmc・・・を含有する成形材料から発生した熱、及び、外殻原料粉末から発生した熱により、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15に塗布された外殻原料粉末の一部が熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が熱融着したり、熱溶融した外殻原料粉末と、熱溶融していない外殻原料粉末とが熱融着したり、熱溶融した外殻原料粉末が、成形材料を構成する粉粒体の粒子と熱融着したりして、圧縮成形物本体(錠剤本体部)taの表面に外殻tbとして形成される(以上については、図13(c)を参照)。
以上の工程により、圧縮成形物本体(錠剤本体部)taの表面に、少なくとも、その一部に、外殻原料粉末が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が互いに熱融着した部分を含む外殻tbが形成された圧縮成形物(錠剤)ti3が製造される。
一方、マイクロカプセルmc・・・を含有する成形材料中、製剤原料粉粒体は、マイクロカプセルmc・・・を含有する成形材料が、圧縮成形される時に、成形材料に発生する熱よりも高い融点を有する材料で概ね構成されているので、マイクロカプセルmc・・・を含有する成形材料は、圧縮成形時に、溶融する成分を全く含んでいないか、含んでいたとしても微量であるため、溶融した成分が、溶融した成分の周囲に存在する、マイクロカプセルmc・・・や、賦形剤V・・・にひっついたり、溶融した成分同士が互いに融着するといった現象を生じない。
このような状態で、成形材料の打錠(圧縮成形)工程が進行する結果、圧縮成形される成形材料中に含有されるマイクロカプセルmc・・・には、損傷が発生しない。
そして、このようにして製造された、圧縮成形物(マイクロカプセル含有圧縮成形物(錠剤))ti3は、例えば、臼13内の上方に下杵14を移動させることにより、臼13内から取り出される(図3(e)を参照)。
この圧縮成形物(マイクロカプセル含有圧縮成形物)の製造方法では、マイクロカプセルmc・・・を含有する成形材料中に、圧縮成形時に、成形材料に生じる熱により溶融する成分粉粒体を含ませないようにしたので、製造される、圧縮成形物(マイクロカプセル含有圧縮成形物(錠剤))ti3中の、マイクロカプセルが損傷しない(図12(c)及び図13(c)を参照)。
また、この圧縮成形物(マイクロカプセル含有圧縮成形物)の製造方法では、臼13、下杵14及び上杵15の各々の成形材料接触表面S13、S14、S15に、外殻原料粉末を塗布し、外殻原料粉末が成形材料接触表面(内周面)S13に塗布された臼13、外殻原料粉末が成形材料接触表面(上面)S14に塗布された下杵14、及び、外殻原料粉末が成形材料接触表面(下面)S15に塗布された上杵15を用いて、成形材料を圧縮成形し、圧縮成形物本体(錠剤本体部)tbを製造すると同時に、臼13、下杵13及び上杵15が成形材料を圧縮する際に発生する熱を用い、臼13の成形材料接触表面(内周面)S13に塗布されている外殻原料粉末の少なくとも一部、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14に塗布されている外殻原料粉末の少なくとも一部、及び/又は、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15に塗布されている外殻原料粉末の少なくとも一部を熱溶融し、臼13の成形材料接触表面(内周面)S13に、その一部が熱溶融した外殻原料、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14に、その一部が熱溶融した外殻原料、及び/又は、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15に、その一部が熱溶融した外殻原料を、臼13、下杵14及び上杵15が、マイクロカプセルmc・・・を含有する成形材料を圧縮成形して、マイクロカプセルmc・・・を含有する圧縮成形物本体(錠剤本体部)taを形成する際に、臼13の成形材料接触表面(内周面)S13、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14、及び/又は、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15から、圧縮成形物本体(錠剤本体部)taの表面に転写することで、圧縮成形物本体(錠剤本体部)taの表面に外殻tbを形成している。
臼13、下杵14及び上杵15が成形材料を圧縮する際に発生する熱等により、臼13の成形材料接触表面(内周面)S13に塗布されている外殻原料粉末の少なくとも一部、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14に塗布されている外殻原料粉末の少なくとも一部、及び/又は、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15に塗布されている外殻原料粉末の少なくとも一部が熱溶融すると、外殻原料粉末中には、熱溶融した外殻原料粉末同士が熱融着したり、及び/又は、熱溶融した外殻原料粉末と熱溶融していない外殻原料粉末とが熱融着したり、熱溶融した外殻原料粉末が、成形材料を構成する粉粒体の粒字に熱融着したりする。
そして、臼13、下杵14及び上杵15が、マイクロカプセルmc・・・を含有する成形材料を圧縮する際に発生する熱等により、熱溶融し、熱融着した外殻原料粉末を含む外殻原料粉末が、臼13、下杵14及び上杵15が成形材料を圧縮成形することによって製造した圧縮成形物本体(錠剤本体部)taの表面に、臼13の成形材料接触表面(内周面)S13、下杵14の成形材料接触表面(上面)S14、及び/又は、上杵15の成形材料接触表面(下面)S15から転写され、マイクロカプセルを含有する圧縮成形物本体(錠剤本体部)taの表面に、その一部に、少なくとも、外殻原料粉末が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が互いに熱融着した部分ptc・・・を含む外殻tbが形成された圧縮成形物tが製造される。
この圧縮成形物(マイクロカプセル含有圧縮成形物)の製造方法では、臼13、下杵14及び上杵15が、成形材料を圧縮成形して圧縮成形物本体(錠剤本体部)taを製造する際に、同時に、マイクロカプセルを含有する圧縮成形物本体(錠剤本体部)taの表面に外殻tbを形成しているので、一旦、圧縮成形することで得られた素錠を、コーティング装置等を用い、その素錠の表面に、外殻を形成するという、コーテング工程を用いる必要が無いので、製造ラインを、圧縮成形工程と、コーテング工程との2本立てにすることなく、圧縮成形工程のみで、外殻tbを有する圧縮成形物tを製造できる。
したがって、この圧縮成形物(マイクロカプセル含有圧縮成形物)の製造方法を用いれば、外殻tbを有する圧縮成形物tを圧縮成形工程のみで製造できるため、製造工程が、極めて簡単になり、これにより、外殻tbを有する圧縮成形物tを製造する際の製造コストを低く抑えることができる。
のみならず、この圧縮成形物(マイクロカプセル含有圧縮成形物)の製造方法により製造される、圧縮成形物tの表面に形成される外殻tbは、外殻原料粉末の、少なくとも、一部が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が互いに融着した部分ptc・・・を含む外殻tbであるために、この圧縮成形物(マイクロカプセル含有圧縮成形物)の製造方法により製造される、圧縮成形物(マイクロカプセル含有圧縮成形物(錠剤))ti3は、単に、外殻原料粉末が圧縮され、外殻原料粉末同士が、嵌合状態で結合している外殻ではなく、少なくとも、外殻原料粉末の一部が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が熱融着している部分pt・・・を含む外殻tbによって覆われている。したがって、この圧縮成形物tの外殻tbは、単に、外殻原料粉末同士が圧縮されて、嵌合状態になって結合している外殻に比べ、機械的強度が高いため、単に、外殻原料粉末同士が圧縮されて、嵌合状態になっている外殻を有する圧縮成形物に比べても、保存や運搬中に欠けが生じ難い。
その一方、この圧縮成形物の製造方法により製造される圧縮成形物tの表面に形成されている外殻tbは、外殻原料粉末の一部が、熱溶融し、溶融した外殻原料粉末同士が互いに融着した部分を含む外殻tbであり、コーティング装置等を用いて、素錠表面に、コーティング液をスプレーし、乾燥させて形成したような外殻に比較した場合には、コーティング装置等を用いて、素錠の表面に形成された外殻に比べ、脆いため、口腔内で咀嚼した場合には、壊れ易い。このため、口腔内で咀嚼した際に、マイクロカプセルを含有する圧縮成形物本体(錠剤本体部)と、外殻との物性が著しく異なることに起因する、咀嚼時の違和感が無く、素錠のような噛み心地であるために、チュアブル錠としても、適している。
また、この圧縮成形物(マイクロカプセル含有圧縮成形物)の製造方法では、融点(m.p.)が、30℃以上80℃以下の外殻原料粉末を用いているので、圧縮成形物本体(錠剤本体部)taの表面に、外殻原料粉末の一部が、熱溶融し、少なくとも、その一部が互いに熱融着した部分ptc・・・を含む、外殻tbが形成される。
そして、この圧縮成形物(マイクロカプセル含有圧縮成形物)の製造方法により製造される圧縮成形物(錠剤)ti3の、マイクロカプセルを含有する圧縮成形物本体(錠剤本体部)taの表面に形成される外殻tbは、30℃以上にならないと、溶けることがないため、室温(1℃〜30℃)や冷所(15℃以下)では、固まった状態であるので、室温や冷所で、保存・運搬する限り、保存や運搬時に、マイクロカプセル含有圧縮成形物(錠剤)ti3の表面に欠けが生じない。
また、外殻原料粉末の融点(m.p.)が、上記範囲内で比較的低温のものを用いた場合には、口腔内に、圧縮成形物(錠剤)ti3を入れると、口腔内の熱により、外殻tbが速やかに溶け、素錠と同様の性状を有するため、チュアブル錠としても、違和感がない。
且つ、この圧縮成形物(マイクロカプセル含有圧縮成形物)の製造方法では、安全性に優れ、入手も容易で、外殻tbを形成した場合、耐摩損機能を発揮し、且つ、滑沢剤(離型剤)としても機能する、外殻原料粉末を用いているので、この圧縮成形物(マイクロカプセル含有圧縮成形物)の製造方法を用いれば、マイクロカプセル含有圧縮成形物(錠剤)内部に含まれるマイクロカプセルが損傷を受けておらず、しかも、安全性に優れ、保存や運搬時に、圧縮成形物(マイクロカプセル含有圧縮成形物(錠剤))ti3の表面に欠けを生じ難い、圧縮成形物(マイクロカプセル含有圧縮成形物(錠剤))ti3を、高い製造効率で製造することができる。
次に、上述した発明の実施の形態1〜3に示す圧縮成形物を製造するのに、更に、好適な、圧縮成形物の製造方法について説明する。
図14は、本発明に係る、圧縮成形物の製造方法の他の一例でを実施するのに好適な外殻原料粉末塗布装置の一例を概略的に示す斜視図である。
また、図15は、本発明に係る圧縮成形物の製造方法の他の一例でを実施するのに好適な外殻原料粉末塗布装置の一例のコンセプトを概略的に示す分解斜視図である。
この外殻原料粉末塗布装置1は、塗布装置本体1aと、上杵用外殻原料塗布ユニット1bとを備える。
この外殻原料粉末塗布装置1では、図15より明らかなように、塗布装置本体1aと、上杵用外殻原料塗布ユニット1bとを一体成形品とするのではなく、塗布装置本体1aに対して、上杵用外殻原料塗布ユニット1bを、別体に設け、塗布装置本体1aに対して、上杵用外殻原料塗布ユニット1bを交換可能にしているという、新規な構成を備えている。
この例では、塗布装置本体1aは、所定の位置に、溝や凹部が設けられた樹脂ブロックになっており、また、上杵用外殻原料塗布ユニット1bも、所定の位置に、溝や凹部が設けられた樹脂ブロックになっている。
尚、塗布装置本体1a及び上杵用外殻原料塗布ユニット1bの詳しい形状・構造については、後程、詳述する。
図16は、この外殻原料粉末塗布装置1が取り付けられる場所を概略的に説明する平面図である。
より具体的に説明すると、図16は、ロータリ型打錠機11を、ロータリ型打錠機11を構成する回転テーブル12を中心にして、概略的に示す平面図である。
ロータリ型打錠機11は、回転軸に対して回転可能に設けられた、回転テーブル12を備える。
この回転テーブル12には、その周方向には、複数の臼13・・・が設けられている。
複数の臼13・・・の各々には、複数の臼13・・・の各々に対応するように、複数の下杵(図18、図24及び図26等に示す複数の下杵14・・・を参照)と、複数の上杵(図18、図24及び図26等に示す複数の上杵15・・・を参照)とが設けられている。
複数の下杵(図18、図24及び図26等に示す複数の下杵14・・・を参照)の各々と、複数の上杵(図18、図24及び図26等に示す複数の上杵15・・・を参照)の各々とは、回転テーブル12、より詳しくは、回転テーブル12の周方向に設けられている複数の臼13・・・と同期して回転するようにされている。
且つ、複数の下杵(図18、図24及び図26等に示す複数の下杵14・・・を参照)と、複数の上杵(図18、図24及び図26等に示す複数の上杵15・・・を参照)とは、カム機構(図示せず。)によって、回転テーブル12の所定の位置で、回転軸方向に、上下方向に移動するようになっている。
尚、図16中、21で示す部材装置は、成形材料を臼13・・・の各々内に充填するフィードシューを、22で示す部材装置は、フィードシュー21から臼13・・・の各々内に充填された成形材料を一定量にするためのスクレーパを、又、23で示す部材装置は、製造された錠剤tを排出シート24へ排出するために設けられている錠剤排出用スクレーパを、各々、示している。
また、図16中、R1で示す位置は、外殻原料噴霧位置である。
また、R2で示す位置は、成形材料充填位置であり、このロータリ型打錠機11では、成形材料充填位置R1には、フィードシュー21が取り付けられている。
また、R3で示す位置は、予備打錠位置であり、このロータリ型打錠機11では、予備打錠位置R3において、臼13・・・の各々内に充填された成形材料が、臼13・・・の各々と組にされた、下杵14・・・の各々及び上杵15・・・の各々により、順次、予備打錠されるようになっている。
また、R4で示す位置は、本打錠位置であり、このロータリ型打錠機11では、本打錠位置R4において、予備打錠位置R3において予備打錠された、臼13・・・の各々内に充填されている成形材料が、臼13・・・の各々と組にされた、下杵14・・・の各々及び上杵15・・・の各々により、本格的に圧縮成形され、順次、錠剤t・・・にされるようになっている。
また、R5で示す位置は、錠剤排出位置であり、このロータリ型打錠機11では、錠剤排出位置R5において、下杵14・・・の各々が、臼13・・・の各々内を上昇し、臼13・・・の各々内において製造されている錠剤t・・・が、順次、錠剤排出用スクレーパ23により、排出シート24へ排出されるようになっている。
次に、本発明に係る外殻原料粉末塗布装置1の構成及びロータリ型打錠機11への取付方法について、説明する。
本発明に係る外殻原料粉末塗布装置1は、錠剤排出位置R5と成形材料充填位置R2との間の位置、即ち、外殻原料噴霧位置R1に設けられる。
図17は、ロータリ型打錠機11の外殻原料噴霧位置R1に取り付けられた外殻原料粉末塗布装置1を拡大して概略的に示す平面図を示している。
また、図18は、図17中に示した、XVIII−XVIII線に従う、外殻原料粉末塗布装置1の概略的な断面図である。
外殻原料粉末塗布装置1を構成する塗布装置本体1aは、取付台p1aを有している。
塗布装置本体1aを、回転テーブル12上に取り付ける際には、取付台p1aを、回転テーブル12から外方に張り出すようにし、回転テーブル12の外方の所定の位置に設けられているスタンド等の塗布装置本体取付具(図示せず)に、取付台p1aを取り付ける。
また、塗布装置本体1aを回転テーブル12上に取り付ける際には、図17に示すように、塗布装置本体1aの下面S1a2が、回転テーブル12の表面S12に接するようにして、塗布装置本体1aを回転テーブル12上に取り付ける。
塗布装置本体1aの下面S1a2は、回転テーブル12がその表面S12を塗布装置本体1aの下面S1a2に接してスムーズに回転できるように、十分に研磨されている。
塗布装置本体1aは、その下面S1a2に、下杵用外殻原料噴霧口h1を備える。
下杵用外殻原料噴霧口h1は、回転テーブル12の周方向に設けられた複数の臼13・・・の回転軌道上に位置するように設けられる。
また、塗布装置本体1aを回転テーブル12上に取り付ける際には、図18に示すように、塗布装置本体1aの下面S1a2が、回転テーブル12の表面S12に概ね接するようにして、塗布装置本体1aを回転テーブル12上に取り付ける。
塗布装置本体1aの下面S1a2は、回転テーブル12がその表面S12を塗布装置本体1aの下面S1a2に接してスムーズに回転できるように、十分に研磨されている。
塗布装置本体1aの下面S1a2は、回転テーブル12の表面S12に接触しているか、近接していることが好ましい。
塗布装置本体1aの下面S1a2は、回転テーブル12の表面S12に近接させる場合には、塗布装置本体1aの下面S1a2と、回転テーブル12の表面S12との間の隙間は、狭ければ狭い程、好ましい。
より具体的に説明すると、塗布装置本体1aの下面S1a2と、回転テーブル12の表面S12との間の隙間は、好ましくは、100μm以下、より好ましくは、50μm以下、特に好ましくは、30μm以下である。
このように、塗布装置本体1aの下面S1a2と、回転テーブル12の表面S12との間の隙間を狭くすると、この隙間を通って、滑沢剤粉末が、外部へ飛散するという現象を防ぐことができる。
また、塗布装置本体1aの下面S1a2には、回転テーブル12の表面S12上又は臼13・・・内に付着している汚れ(残余の成形材料及び/又は残余の滑沢剤粉末)を除去し、回転テーブル12の表面及び臼13・・・内を清浄するための吸引凹所h7が設けられている。
尚、この例では、接続口j6は、上杵用吸引口h6と、吸引凹所h7との双方に接続されており、接続口j6に接続された余剰滑沢剤吸引手段(図26に示す余剰滑沢剤吸引手段101)を駆動すれば、上杵用吸引口h6に、上杵用吸引口h6内に向かう、吸引雰囲気の空気流と、吸引凹所h7に、吸引凹所h7内に向かう、吸引雰囲気の空気流との双方が発生するようにしてあるが、これは、単なる例示であって、接続口j6は、必ずしも、上杵用吸引口h6と、吸引凹所h7との双方に接続されている必要はなく、接続口j6が上杵用吸引口h6にのみ接続され、吸引凹所h7には、接続口j6とは別の接続口(図示せず。)を接続するようにし、吸引凹所h7には、別の接続口(図示せず。)に接続した吸引手段(図示せず。)を接続し、接続口j6に接続された余剰滑沢剤吸引手段(図26に示す余剰滑沢剤吸引手段101)を駆動すれば、上杵用吸引口h6に、上杵用吸引口h6内に向かう、吸引雰囲気の空気流が発生し、吸引凹所h7に接続された別の接続口(図示せず。)に接続した吸引手段を駆動すれば、吸引凹所h7に、吸引凹所h7内に向かう、吸引雰囲気の空気流との双方が発生するようにしてもよい。
この下杵用外殻原料噴霧口h1は、塗布装置本体1aの下面S1a2に対し、垂直方向又は概ね垂直方向を向いている。
また、塗布装置本体1aは、その下面S1a2に、下杵用外殻原料噴霧口h1から、回転テーブル12の回転によって、外殻原料噴霧位置R1に送られてきた臼13の内周面S13及びその臼13内に所定の位置まで挿入されている下杵14の上面S14に、順次、噴霧された外殻原料粉末を、上杵用外殻原料塗布ユニット1bに供給する、外殻原料供給通路h2を備える。
この例では、塗布装置本体1aは、その下面S1a2に、下杵用外殻原料噴霧口h1と上杵用外殻原料塗布ユニット1bとの間を導通するように設けられた凹状の溝を有しており、外殻原料供給通路h2は、塗布装置本体1aの下面S1a2に設けられた凹状の溝と、回転テーブル12の表面S12とにより形成されている。
尚、この例では、塗布装置本体1aの、上杵用外殻原料塗布ユニット1bが取り付けられる部分には、上部が開口した中空室h3が設けられており、外殻原料供給通路h2は、下杵用外殻原料噴霧口h1と中空室h3とを導通するように、下杵用外殻原料噴霧口h1と中空室h3との間に設けられている。
また、この例では、中空室h3は、平面視した場合、複数の臼13・・・の回転軌道と一致または概ね一致するような湾曲した形状を有している。
更に、この例では、塗布装置本体1aは、その下面S1a2の、回転テーブル12の回転方向と順方向となる側に、下杵用吸引口h4を備える。
下杵用吸引口h4には、ブロア等で構成された、余剰外殻原料除去用吸引手段(図示せず。)が接続されており、余剰外殻原料除去用吸引手段(図示せず。)を駆動すると、下杵用吸引口h4内に向かう吸引雰囲気の空気流が発生するようになっている。
この下杵用吸引口h4は、回転テーブル12の回転により、塗布装置本体1aの下方を移動する臼13・・・の各々により、下杵用吸引口h4と、下杵用外殻原料噴霧口h1とが導通されることがないような、下杵用外殻原料噴霧口h1から離設した位置に設けられている。
より具体的に説明すると、この例では、下杵用吸引口h4は、下杵用吸引口h4と下杵用外殻原料噴霧口h1との間の距離L1が、臼13・・・の各々の直径L13より長くなる関係の位置に設けられている(L1>L13)。
また、下杵用吸引口h4は、回転テーブル12の回転軸から外方向に向かう、長いスリット孔にされている。
このスリット孔にされている下杵用吸引口h4は、回転テーブル12の、複数の臼13・・・の各々の周辺の表面に、付着した余分な外殻原料粉末を効率良く除去できるようにするために、回転テーブル12の回転によって、下杵用吸引口h4の下方位置を通過する、複数の臼13・・・の各々を跨ぐような長さにされている。
上杵用外殻原料塗布ユニット1bは、上述したように、塗布装置本体1aに、交換可能に取り付けられるようになっている。
図14及び図15では、塗布装置本体1aに、上杵用外殻原料塗布ユニット1bを取り付けた例を示しているが、より詳しくは、製造する錠剤の錠剤表面の刻印や割線の有無等により、例えば、塗布装置本体1aには、後程、詳細に説明する、図19、図20、図21、図22及び図23の各々に示すような、上杵用外殻原料塗布ユニット1b−0、1b−1、1b−2、1b−3、1b−4が、交換可能に取り付けられる。
この例では、上杵用外殻原料塗布ユニット1bは、ボルトv、v等の固定手段により、塗布装置本体1aに取り付けられるようになっている。
図15中、h11、h11で示す孔は、ボルトv、v等の固定手段を挿通するために、上杵用外殻原料塗布ユニット1bに設けられたボルト挿通孔を、また、h12、h12で示す孔は、ボルトv、v等の固定手段を螺合するためのボルト螺合孔を示している。
上杵用外殻原料塗布ユニット1bは、その上面側S1b1側に、上杵用外殻原料噴霧口h5を備える。
この上杵用外殻原料噴霧口h5は、複数の上杵15・・・の回転軌道に沿って長く設けられたスリット孔(貫通孔)になっている。
より特定的に説明すると、上杵用外殻原料噴霧口h5は、複数の上杵15・・・の回転軌道に一致又は概ね一致するように且つ長区設けられたスリット孔(貫通孔)になっている。
そして、この外殻原料粉末塗布装置1では、上杵用外殻原料塗布ユニット1bを塗布装置本体1aに取り付けた後の状態において、上杵用外殻原料噴霧口h5が、塗布装置本体1aに設けられている、上部が開口した中空室h3の上方に位置するようになっており、中空室h3と、上杵用外殻原料塗布ユニット1bとの間が導通するようになっている。
この構成により、この外殻原料粉末塗布装置1では、下杵用外殻原料噴霧口h1から噴霧され、塗布装置本体1aの下杵用外殻原料噴霧口h1と導通するように設けられた外殻原料供給通路h2を介して、中空室h3に送られてきた外殻原料が、上杵用外殻原料噴霧口h5から噴霧されるようになっている。
更に、この例では、上杵用外殻原料塗布ユニット1bは、スリット形状の上杵用外殻原料噴霧口h5に沿って、複数の上杵15・・・を、順次、収容する上杵収容溝Dを備える。
この例では、上杵用外殻原料塗布ユニット1bの上杵収容溝Dの底面に、上杵用外殻原料噴霧口h5が設けられている。
この外殻原料粉末塗布装置1では、1台の塗布装置本体1aに対して、上杵用外殻原料噴霧口h5の形状が異なる複数の上杵用外殻原料塗布ユニットがそのように、予め、用意されている。
図19〜図23の各々に示す図は、そのような複数の上杵用外殻原料塗布ユニットの各々を例示的に示す概略的な平面図である。
図19に示す上杵用外殻原料塗布ユニット1b−0は、錠剤表面に刻印が設けられていない錠剤を製造するのに適した、標準タイプの錠剤製造用の上杵用外殻原料塗布ユニットを提案している。
この上杵用外殻原料塗布ユニット1b−0は、複数の上杵15・・・の回転軌道に沿って湾曲するように設けられた上杵収容溝Dの底面の中央部に、複数の上杵15・・・の回転軌道に沿って、比較的、幅の広い、スリット形状の上杵用外殻原料噴霧口(このタイプの上杵用外殻原料噴霧口5hを、図19中では、上杵用外殻原料噴霧口h5−0と表している。)を有している。
したがって、この上杵用外殻原料塗布ユニット1b−0を用いれば、複数の上杵15・・・の各々が、上杵用外殻原料噴霧口h5(h5−0)の始端esから終端eeまで移動する間に、上杵用外殻原料噴霧口h5(h5−0)から供給される外殻原料粉末が、常に、上杵15・・・の各々の下面S15の概ね中心部分に、衝突し、その後、上杵15・・・の各々の下面S15に従って、外殻原料粉末が、上杵15・・・の各々の下面S15の外周側に移行するので、上杵15・・・の各々の下面S15全体に、万遍なく、外殻原料粉末が塗布される。
この結果、この上杵用外殻原料塗布ユニット1b−0を用いれば、錠剤表面に刻印が設けられていない錠剤を、錠剤表面に打錠障害を発生させることなく、効率よく、製造することができる。
また、図20に示す上杵用外殻原料塗布ユニット1b−1は、錠剤表面に、会社コードの刻印や、医薬品コードの刻印が設けられている錠剤や、錠剤表面に、会社コードの刻印や、医薬品コードの刻印や、割線が設けられている錠剤を製造するのに適した、刻印入りタイプの錠剤製造用の上杵用外殻原料塗布ユニットを提案している。
この上杵用外殻原料塗布ユニット1b−1は、複数の上杵15・・・の回転軌道に沿って湾曲するように設けられた上杵収容溝Dの底面に、複数の上杵15・・・の回転軌道に沿って、階段状のスリット形状の上杵用外殻原料噴霧口h5(このタイプの上杵用外殻原料噴霧口5hを、図20中では、上杵用外殻原料噴霧口h5−1と表している。)を有している。
したがって、この上杵用外殻原料塗布ユニット1b−1を用いれば、複数の上杵15・・・の各々が、上杵用外殻原料噴霧口h5(h5−1)の始端esから終端eeまで移動する間に、まず、複数の上杵15・・・の回転軌道に沿って湾曲するように設けられた上杵収容溝Dの底面の、医薬品コードの刻印を形成する雄型が通過する、上杵収容溝Dの底面の中央部からずれた位置に設けられた、第1段部d1−1から供給される外殻原料粉末により、複数の上杵15・・・の各々の下面S15・・・に設けられている、医薬品コードの刻印を形成する雄型M2が設けられている部分が十分に塗布され、次いで、上杵収容溝Dの底面の中央部に設けられている第2段部d1−2から供給される外殻原料粉末により、複数の上杵15・・・の各々の下面S15・・・の中央部、又は、複数の上杵15・・・の各々の下面S15・・・に、割線C3形成する雄型M3が設けられている場合にあっては、この雄型M3が設けられている部分が十分に塗布され、最後に、上杵収容溝Dの底面の、上杵収容溝Dの底面の中央部から、第1段部d1−1とは逆方向にずれた位置に設けられている、第3段部d1−3から供給される外殻原料粉末により、複数の上杵15・・・の各々の下面S15・・・に設けられている、会社コードの刻印を形成する雄型M1が設けられた部分が十分に塗布される。
この結果、この上杵用外殻原料塗布ユニット1b−1を用いれば、錠剤表面に、会社コードの刻印や、医薬品コードの刻印が設けられている錠剤や、錠剤表面に、会社コードの刻印や、医薬品コードの刻印や、割線が設けられている錠剤を、錠剤表面に打錠障害を発生させることなく、効率よく、製造することができる。
また、図21に示す上杵用外殻原料塗布ユニット1b−2は、錠剤表面に、割線が設けられている分割錠剤を製造するのに適した、刻印入りタイプの錠剤製造用の上杵用外殻原料塗布ユニットを提案している。
この上杵用外殻原料塗布ユニット1b−2は、複数の上杵15・・・の回転軌道に沿って湾曲するように設けられた上杵収容溝Dの底面の中央部に、複数の上杵15・・・の回転軌道に沿って、図19に示す、上杵用外殻原料塗布ユニット1b−0に設けられている上杵用外殻原料噴霧口h5(h5−0)に比べ、幅の狭いスリット形状の上杵用外殻原料噴霧口h5(このタイプの上杵用外殻原料噴霧口5hを、図21中では、上杵用外殻原料噴霧口h5−2と表している。)を有している。
したがって、この上杵用外殻原料塗布ユニット1b−2を用いれば、複数の上杵15・・・の各々が、上杵用外殻原料噴霧口h5(h5−2)の始端esから終端eeまで移動する間に、この幅の狭いスリット形状の上杵用外殻原料噴霧口h5(h5−2)から供給される外殻原料粉末により、上杵用外殻原料噴霧口h5(h5−0)を用いた場合に比べ、複数の上杵15・・・の各々の下面S15・・・に設けられている割線を形成する雄型M3が設けられている部分が十分に塗布される。
この結果、この上杵用外殻原料塗布ユニット1b−2を用いれば、錠剤表面に、割線が設けられている錠剤を、錠剤表面に打錠障害を発生させることなく、効率よく、製造することができる。
また、図22に示す上杵用外殻原料塗布ユニット1b−3は、錠剤表面に、割線が設けられた錠剤や、錠剤表面に、会社コードの刻印や、医薬品コードの刻印や、割線が設けられている錠剤を製造するのに適した、刻印入りタイプの錠剤製造用の上杵用外殻原料塗布ユニットを提案している。
この上杵用外殻原料塗布ユニット1b−3は、複数の上杵15・・・の回転軌道に沿って湾曲するように設けられた上杵収容溝Dの底面の中央部に、複数の上杵15・・・の回転軌道に沿うように設けられた、スリット形状の上杵用外殻原料主噴霧口hmと、この上杵用外殻原料主噴霧口hmの途中から、所定の間隔を隔てるようにして、上杵用外殻原料主噴霧口hmに対し、両側に、概ね垂直方向に分岐するように形成された、複数の上杵用外殻原料分岐噴霧口hb・・・とを備える、上杵用外殻原料噴霧口h5(このタイプの上杵用外殻原料噴霧口5hを、図22中では、上杵用外殻原料噴霧口h5−3と表している。)を有している。
したがって、この上杵用外殻原料塗布ユニット1b−3を用いれば、複数の上杵15・・・の各々が、上杵用外殻原料噴霧口h5(h5−3)の始端esから終端eeまで移動する間に、複数の上杵15・・・の回転軌道に沿って湾曲するように設けられた上杵収容溝Dの底面の中央部に設けられた、上杵用外殻原料主噴霧口hmから供給される外殻原料粉末により、複数の上杵15・・・の各々の下面S15・・・に設けられている割線を形成する雄型M3が設けられている部分が十分に塗布される。また、上杵用外殻原料主噴霧口hmの所々に設けられている、複数の上杵用外殻原料分岐噴霧口hb・・・から供給される外殻原料粉末により、複数の上杵15・・・の各々の下面S15・・・に設けられている、会社コードの刻印を形成する雄型が設けられている部分や、医薬品コードの刻印を形成する雄型が設けられている部分が十分に塗布される。
また、図23に示す上杵用滑沢剤塗布ユニット1b−4は、錠剤表面に、割線が設けられた錠剤や、錠剤表面に、会社コードの刻印や、医薬品コードの刻印や、割線が設けられている錠剤を製造するのに適した、刻印入りタイプの錠剤製造用の上杵用滑沢剤塗布ユニットを提案している。
この上杵用滑沢剤塗布ユニット1b−4は、上杵用滑沢剤噴霧口h5を、スリット形状にするのではなく、複数の噴霧孔hs・・・を、上杵15・・・の回転軌道に沿って、配列している。
このように、上杵用滑沢剤噴霧口h5を、複数の噴霧孔hs・・・で構成した場合には、複数の噴霧孔hs・・・の各々から、空気とともに噴霧される滑沢剤に、ある種の整流作用のような作用が働き、複数の噴霧孔hs・・・の上を、上杵15が移動する間に、上杵15の下面S15に、滑沢剤が均一に塗布される。
また、複数の噴霧孔hs・・・は、1列に設けても良いが、複数列にして設けるようにしてもよい。
また、複数の噴霧孔hs・・・を、複数列にして設ける場合にあっては、列毎に設けられる噴霧孔hs・・・の各々を、隣接する列に設けられる噴霧孔hs・・・の各々の間に位置する関係に設けることが好ましい。
この例では、複数の噴霧孔hs・・・を3列にして設けている。
また、中心の列に設けられる複数の貫通孔hs・・・の各々を、この中心の列を挟むようにして設けられている2つの列の各々に設けられる複数の貫通孔hs・・・の各々の間に位置するように設けている。
このように、複数の噴霧孔hs・・・を、複数列にして設ける場合にあっては、列毎に設けられる噴霧孔hs・・・の各々を、隣接する列に設けられる噴霧孔hs・・・の各々の間に位置する関係(互い違いの関係)に配置した場合には、上杵用滑沢剤噴霧口h5を、ジグザグ形状に設けた場合と同様の効果が得られる。
したがって、この上杵用滑沢剤塗布ユニット1b−4は、錠剤表面に、割線が設けられた錠剤や、錠剤表面に、会社コードの刻印や、医薬品コードの刻印や、割線が設けられている錠剤を製造するのに適している。
更に、この外殻原料粉末塗布装置1では、上杵用外殻原料塗布ユニット1bの上杵用外殻原料噴霧口h5の概ね上方位置に、上杵用吸引手段(図示せず。)が接続された、上杵用吸引口h6が設けられるようになっている。
この上杵用吸引口h6は、上杵用外殻原料噴霧口h5の全体を覆うような形状になっている。
尚、この例では、上杵用吸引口h6は、上杵収容溝Dの側壁の一部をなすように設けられており、その入り口は、複数の上杵15・・・の回転軌道に沿って、湾曲した形状になっている。
この構成により、上杵用吸引手段(図示せず。)を駆動することで、上杵用外殻原料塗布ユニット1bの上杵用外殻原料噴霧口h5の始端esから終端eeの上方に、概ね一様な、上杵用外殻原料噴霧口h5から上杵用吸引口h6に向かう、空気流を形成できるようになっている。
尚、図14、図15、図16、図17及び図18中、j1で示す部材は、塗布装置本体1aの下杵用外殻原料噴霧口h1に、正圧の脈動空気振動波に混和した外殻原料を供給する導管が接続される接続口を、j4で示す部材は、下杵用吸引口h4と余剰外殻原料除去用吸引手段(図示せず。)との間を接続する導管が接続される接続口を、また、j6で示す部材は、上杵用吸引口h6と上杵用吸引手段(図示せず。)との間を接続する導管が接続される接続口を示している。
この例では、接続口j1、j4、j6の各々への導管の接続を簡単に行えるように、接続口j1、j4、j6を、いずれも、塗布装置本体1aの取付台p1aの上面側に設けている。
次に、ロータリ型打錠機11の錠剤を製造する際の動作について説明する。
まず、このロータリ型打錠機11を用いて、錠剤を製造する際には、塗布装置本体1aを、外殻原料噴霧位置R1に取り付ける。
この時、塗布装置本体1aを、回転テーブル12上の、外殻原料噴霧位置R1に、塗布装置本体1aの下面S1a2が、回転テーブル12の表面S12に接するように、且つ、下杵用外殻原料噴霧口h1が、回転テーブル12の周方向に設けられている、複数の臼13・・・の回転軌道上に位置するように、固定的に取り付ける。
次に、製造する錠剤の形状、より特定的には、錠剤の錠剤表面に設けられる、会社コードの刻印の有無、医薬品コードの刻印の有無、及び/又は、割線の有無等により、最適の形状の上杵用外殻原料噴霧口h5を有する、上杵用外殻原料塗布ユニット1b(この例では、上杵用外殻原料塗布ユニット1b−0、1b−1、1b−3、1b−3、1b−4のいずれか)を取り付ける。
また、接続口j1に接続された導管を介して接続された、外殻原料供給源(図示せず。)から、正圧の脈動空気振動波の混和した外殻原料粉末を、下杵用外殻原料噴霧口h1に供給する。
より詳しく説明すると、本発明で用いる正圧の脈動空気振動波は、外殻原料粉末の物性によっても異なるため、一概には限定できないものの、例えば、10Hz以上40Hz以下の周波数のものを用いるのが好ましい。
上記した周波数を有する、正圧の脈動空気振動波を用いた場合には、この脈動空気振動波の振幅を調整することで、従来の、定常圧流を用いた粉体材料の空気輸送等では調整(ハンドリング)が困難であった、外殻原料粉末の微量定量供給、より特定的には、外殻原料粉末の200mg/分以上2000mg/分以下の微量定量供給を行うことができる。
尚、正圧の脈動空気振動波に、外殻原料粉末を混和する外殻原料供給装置(定量フィーダ)の詳しい構成については、後程、詳しく説明する。
次に、回転テーブル12、複数の下杵14・・・、及び、複数の上杵15・・・を所定の回転速度で、各々が、互いに、同期するようにして回転させる。
また、フィードシュー21に、錠剤化する、マイクロカプセルmc・・・を含有する成形材料を供給する。
尚、このフィードシュー21に供給されるマイクロカプセルmc・・・成形材料中には、この成形材料が圧縮される際に、成形材料に発生する熱によって溶融する製剤原料(一般には、滑沢剤)は、添加しない。
また、接続口j6に接続された導管を介して接続されている、上杵用吸引手段(図示せず。)を所定の駆動量で駆動する。
また、塗布装置本体1aに下杵用吸引口h4が設けられている場合にあっては、下杵用吸引口h4に接続されている、余剰外殻原料除去用吸引手段(図示せず。)を所定の駆動量で駆動する。
更に、上杵用吸引口h6が、上杵用外殻原料塗布ユニット1bの上杵用外殻原料噴霧口h5の概ね上方位置に設けられている場合にあっては、上杵用吸引口h6に接続されている、上杵用吸引手段(図示せず。)を所定の駆動量で駆動する。
次に、以上の工程により、この外殻原料粉末塗布装置1により行われる、回転テーブル12に設けられている複数の臼13・・・の各々の内周面S13、複数の下杵14・・・の各々の下面S14・・・、及び、複数の上杵15・・・の各々の下面S15・・・へ外殻原料粉末を塗布する塗布方法(動作原理)について、以下に、説明する。
図24は、この外殻原料粉末塗布装置1の動作原理を概略的に説明する説明図である。
また、図24は、外殻原料粉末塗布装置1の、臼13の内周面S13、下杵14の上面S14、及び、上杵15の上面S15の各々への外殻原料(粉末)の塗布方法(動作・原理)を模式的に説明するタイムチャートである。
回転テーブル12、複数の下杵14・・・、及び、複数の上杵15・・・を回転させると、回転テーブル12に設けられている複数の臼13・・・、複数の下杵14・・・、及び、複数の上杵15・・・が、順次、外殻原料噴霧位置R1へ送られてくる。
まず、この外殻原料粉末塗布装置1の塗布装置本体1aの、複数の臼13・・・の各々の内周面S13・・・、及び、複数の下杵14・・・の各々の上面S14・・・へ外殻原料粉末を塗布する動作・原理について説明する。
図24(a)は、そのようにして、外殻原料噴霧位置R1に送られてきた、複数の臼13、13、複数の下杵14、14、及び、複数の上杵15、15を例示的に表している。
より詳しく説明すると、図24(a)は、図示されている、2個の上杵15、15の中、想像線で示した上杵15と組になる臼13が、丁度、塗布装置本体1aの下面S1a2に設けられている下杵用外殻原料噴霧口h1の下位置に送られてきて、下杵用外殻原料噴霧口h1の下位置に送られてきた臼13内に所定の位置まで挿入されている下杵14の表面S14に、状態を示しており、正圧の脈動空気振動波に混和された外殻原料粉末が、噴霧されている状態を示している。
図24(a)に示す状態では、下杵用外殻原料噴霧口h1が、塗布装置本体1aの下面S1a2に対し、垂直方向又は概ね垂直方向を向いているので、下杵用外殻原料噴霧口h1から、正圧の脈動空気振動波とともに、噴霧される外殻原料粉末は、下杵用外殻原料噴霧口h1の下位置に送られてきている、臼13内に所定の位置まで挿入されている下杵14の表面S14に、概ね垂直方向に吹き付けられる。
この外殻原料粉末塗布装置1では、回転テーブル12の回転によって、下杵用外殻原料噴霧口h1の下方位置にきた臼13内に所定の位置まで挿入されている下杵14の上面S14に、正圧の脈動空気振動波に混和した外殻原料粉末を噴霧するようにしている。このため、この正圧の脈動空気振動波の圧力の強弱によって、重力との関係で、下杵14の上面S14に余分に付着しがちな外殻原料粉末が吹き飛ばされる結果、下杵14の上面S14に外殻原料粉末が余分に付着することがない。
また、正圧の脈動空気振動波の圧力の強弱によって、下杵14の上面S14から吹き飛ばされた外殻原料粉末は、臼13の内周面(より特定的には、臼の成形材料接触面、更に特定的には、臼の内周面の、下杵の上面よりも上方の表面)S13に、付着する。
且つ、この外殻原料粉末塗布装置1では、外殻原料供給通路h2を、下杵用外殻原料噴霧口h1と、中空室h3とを導通するように設けているので、下杵14の上面S14及び臼13の内周面S13にとって、余剰の外殻原料粉末は、正圧の脈動空気振動波とともに、外殻原料供給通路h2を通って、中空室h3へと送られる。
更に、この外殻原料粉末塗布装置1では、上杵用吸引手段(図示せず。)を所定の駆動量で駆動することで、外殻原料供給通路h2に、下杵用外殻原料噴霧口h1から中空室h3へ向かう気流を発生させているので、下杵14の上面S14及び臼13の内周面にとって、余剰の外殻原料粉末を、上杵用外殻原料塗布ユニット1bに誘導される。
この結果、この外殻原料粉末塗布装置1を用いれば、下杵14の上面S14及び臼13の内周面にとって、余剰の外殻原料粉末を、上杵用外殻原料塗布ユニット1bに誘導しているので、下杵14の上面S14及び臼13の内周面S13にとって、余剰の外殻原料粉末が、下杵の上面及び臼の内周面に、付着することがない。
また、この外殻原料粉末塗布装置1では、上杵用吸引口h6を、上杵用外殻原料塗布ユニット1bの上杵用外殻原料噴霧口h5の全体を覆うような形状にしている。この結果、上杵用吸引手段(図示せず。)を所定の駆動量で駆動すると、複数の上杵15・・・の回転軌道に沿って、湾曲するように、スリット形状にされている上杵用外殻原料噴霧口h5の始端esから終端eeまでの間に、上杵用外殻原料噴霧口h5から上杵用吸引口h6に向かう、一様な気流が発生するので、この一様な気流に乗って、上杵用外殻原料噴霧口h5の始端esから終端eeまでの間から、外殻原料粉末が万遍なく噴霧される。
図24(b)は、図24(a)の状態から、所定の時間が経過した状態を示している。
より詳しく説明すると、図24(b)は、図24(a)に図示した、2個の上杵15、15の中、想像線で示した上杵15と組になる臼13が、塗布装置本体1aの下面S1a2に設けられている下杵用外殻原料噴霧口h1の下流側の、下杵用外殻原料噴霧口h1と下杵用吸引口h4との間に送られた状態を示している。
この状態では、下杵用外殻原料噴霧口h1は、回転テーブル12の表面S12により閉じられた状態になっているので、回転テーブル12に設けられている臼13・・・、及び、これらの臼13・・・の各々内に所定の位置まで挿入されている、複数の下杵14・・・への、外殻原料粉末の噴霧は行われない。
したがって、この外殻原料粉末塗布装置1を用いれば、回転テーブル12の臼13・・以外の場所に、外殻原料粉末が塗布されることがない。
これにより、この外殻原料粉末塗布装置1では、回転テーブル12の、複数の臼13・・・の各々の周辺の表面に付着している外殻原料粉末が、成形材料充填位置R2において、臼13・・・内に落下するという現象が生じないため、成形材料中に、外殻原料粉末が含まれることがない。
従って、この外殻原料粉末塗布装置1を用いれば、錠剤内部が、外殻原料粉末によって汚染されていない、錠剤を製造することができる。
また、この外殻原料粉末塗布装置1では、例えば、この外殻原料粉末塗布装置1に、電磁弁(図示せず。)及び電磁弁(図示せず。)の開閉を制御する、電磁弁開閉制御手段を設け、回転テーブル12の回転によって、下杵用外殻原料噴霧口h1の下方位置に、臼13・・・の各々が来たときに、断続的に外殻原料粉末を噴霧(クロックパルスブロウイング)するようにしなくても、下杵用外殻原料噴霧口h1の下方位置に、複数の臼13・・・の各々が来たときにのみ、回転テーブル12に設けられている臼13・・・、及び、これらの臼13・・・の各々内に所定の位置まで挿入されている、複数の下杵14・・・への、外殻原料粉末の噴霧が行われるため、装置を複雑化することなく、下杵用外殻原料噴霧口h1の下方位置に、臼13・・・の各々が来たときに、断続的に外殻原料粉末を噴霧(クロックパルスブロウイング)するのと同様の効果を得ることができる。
これにより、この外殻原料粉末塗布装置1を用いれば、ロータリ型打錠機11の臼13・・・の各々の表面(内周面)S13・・・、下杵14・・・の各々の表面(上面)S14・・・、及び、上杵15・・・の各々の表面(下面)S15・・・以外の場所が、外殻原料(粉末)によって汚染されることが防がれる。
一方、図24(b)から明らかなように、この外殻原料粉末塗布装置1では、外殻原料供給通路h2を、下杵用外殻原料噴霧口h1と、中空室h3とを導通するように設けているので、複数の臼13・・・の各々が、下杵用外殻原料噴霧口h1の下方位置に来ておらず、下杵用外殻原料噴霧口h1から複数の臼13・・・の各々内への外殻原料粉末の噴霧が行われていない時にも、外殻原料粉末は、正圧の脈動空気振動波とともに、外殻原料供給通路h2を通って、中空室h3へと送られる。
これにより、下杵用外殻原料噴霧口h1から複数の臼13・・・の各々内への外殻原料粉末の噴霧が行われていない時にも、上杵用外殻原料塗布ユニット1bの上杵用外殻原料噴霧口h5から、連続的に、外殻原料粉末が噴霧される。
図24(c)は、図24(b)の状態から、更に、所定の時間が経過した状態を示している。
より詳しく説明すると、図24(c)は、図24(b)に図示した、2個の上杵15、15の中、想像線で示した上杵15と組になる臼13が、塗布装置本体1aの下面S1a2に設けられている下杵用吸引口h4の下方位置に送られた状態を示している。
図24(c)に示す状態では、下杵用吸引口h4に接続されている余剰外殻原料除去用吸引手段(図示せず。)を駆動することにより、下杵用吸引口h4内に向かう吸引雰囲気の気流により、下杵用吸引口h4の下方位置に送られてきた臼13の内周面S13に余分に付着している外殻原料粉末、及び/又は、この臼13内に所定の位置まで挿入されている下杵14の上面S14に余分に付着している外殻原料粉末の除去が行われる。
のみならず、この例では、図24(b)と図24(c)との関係を見れば明らかなように、下杵用吸引口h4は、回転テーブル12の回転により、塗布装置本体1aの下方を移動する臼13・・・の各々により、下杵用吸引口h4と、下杵用外殻原料噴霧口h1とが導通されることがないような、下杵用外殻原料噴霧口h1から離設した位置に設けられている。
この結果、この外殻原料粉末塗布装置1を用いれば、図16からも明らかなように、この下杵用吸引口h4と下杵用外殻原料噴霧口h1との位置関係により、回転テーブル12の回転により、塗布装置本体1bの下方を移動する臼13・・・の各々内に所定の位置まで挿入されている下杵14・・・の各々の上面S14・・・へ、下杵用外殻原料噴霧口h1から噴霧される、外殻原料粉末の噴霧量に、一切、影響を与えることなく、余剰外殻原料除去用吸引手段(図示せず。)の駆動量を任意に調整できるので、余剰外殻原料除去用吸引手段(図示せず。)の駆動量を、重力との関係で、複数の下杵14・・・の各々の上面S14・・・に余分に堆積した外殻原料粉末や、回転テーブル12の、複数の臼13・・・の各々の内周面S13・・・や、回転テーブル12の、複数の臼13・・・の各々の周辺に付着した外殻原料粉末を除去するのに最適な駆動量にすることができる。
これにより、この外殻原料粉末塗布装置1を用いれば、重力との関係で、余分な外殻原料粉末が堆積しがちな複数の下杵の各々の上面に、必要最小限の外殻原料粉末を均一に塗布できるので、錠剤の表面全体に、最小限の外殻原料粉末が付着した錠剤を効率良く製造することができる。
のみならず、この外殻原料粉末塗布装置1を用いれば、回転テーブル12の、複数の臼13・・・の各々の周辺に付着した外殻原料粉末を完全に除去することができるので、複数の臼13・・・の各々の周辺に付着した外殻原料粉末が、成形材料充填位置R2において、臼13・・・内に落下するという現象が生じないため、成形材料中に、外殻原料粉末が含まれることがない。
この結果、この外殻原料粉末塗布装置1を用いれぱ、錠剤内部が、外殻原料粉末によって汚染されていない、錠剤を製造することができる。
一方、図24(c)から明らかなように、この外殻原料粉末塗布装置1では、外殻原料供給通路h2を、下杵用外殻原料噴霧口h1と、中空室h3とを導通するように設けているので、複数の臼13・・・の各々が、下杵用外殻原料噴霧口h1の下方位置に来ておらず、下杵用外殻原料噴霧口h1から複数の臼13・・・の各々内への外殻原料粉末の噴霧が行われていない時にも、外殻原料粉末は、正圧の脈動空気振動波とともに、外殻原料供給通路h2を通って、中空室h3へと送られる。
これにより、下杵用外殻原料噴霧口h1から複数の臼13・・・の各々内への外殻原料粉末の噴霧が行われていない時にも、上杵用外殻原料塗布ユニット1bの上杵用外殻原料噴霧口h5から、連続的に、外殻原料粉末が噴霧される。
次に、この外殻原料粉末塗布装置1の上杵用外殻原料塗布ユニット1bの、複数の上杵15・・・の各々の下面S15・・・へ外殻原料粉末を塗布する動作・原理について説明する。
まず、上杵用外殻原料塗布ユニット1bとして、製造する錠剤の錠剤表面に設けられる、会社コードの刻印の有無や、医薬品コードの刻印の有無や、割線の有無によって、最適な上杵用外殻原料塗布ユニット1b(例えば、図19、図20、図21、図22及び図23の各々に示す、上杵用外殻原料塗布ユニット1b−0、1b−1、1b−2、1b−3、1b−4を参照)を選択する。
次に、外殻原料粉末塗布装置1の塗布装置本体1aは、外殻原料塗布位置R1に固定したままの状態で、塗布装置本体1aに、選択した上杵用外殻原料塗布ユニット1b(例えば、図19、図20、図21、図22及び図23の各々に示す、上杵用外殻原料塗布ユニット1b−0、1b−1、1b−2、1b−3、1b−4のいずれか)を取り付ける。
この外殻原料粉末塗布装置1では、複数の上杵15・・・の各々の下面S15・・・への外殻原料粉末の塗布は、以下のようにして行われる。
まず、この例では、図24(a)に示すように、図示されている、2個の上杵15、15の中、想像線で示した上杵15と組になる臼13が、丁度、塗布装置本体1aの下面S1a2に設けられている下杵用外殻原料噴霧口h1の下方位置に送られてきた状態においては、塗布装置本体1aの下面S1a2に設けられている下杵用外殻原料噴霧口h1の下方に位置する臼13と組にされている上杵(図24(a)中、想像線で示す上杵13)の下面S13への外殻原料粉末の塗布は、既に、終了している。
塗布装置本体1aの下面S1a2に設けられている下杵用外殻原料噴霧口h1の下方に臼13が位置している時に、この例では、次の上杵(図24(a)中、実線で示す上杵)15の下面S15への外殻原料粉末の塗布が開始される。
且つ、上杵用吸引口h6は、上杵用外殻原料塗布ユニット1bの上杵用外殻原料噴霧口h5上を通過する、複数の上杵15・・・の各々の下面S15・・・の上方となる位置に設けられているので、上杵(図24(a)中、実線で示す上杵)15は、このスリット形状にされた上杵用外殻原料噴霧口h5上を、その始端esから終端eeまで移動していく間に、複数の上杵15・・・の各々の下面S15・・・には、外殻原料粉末が、時間をかけて、順次、塗布されることになる。
即ち、この外殻原料粉末塗布装置1では、図25からも明らかなように、重力との関係で、外殻原料粉末が付着し難い、複数の上杵15・・・の各々の下面S15・・・に対しては、重力との関係で、外殻原料粉末が付着しやすい、複数の下杵14・・・の各々の上面S14・・・に比べ、長い時間を費やして、外殻原料粉末の塗布を行うようにしている。
この結果、上杵用外殻原料塗布ユニット1bを用いれば、重力との関係で、外殻原料粉末が塗布され難い、複数の上杵の各々の下面にも、必要量の外殻原料粉末を均一に塗布できる。
のみならず、上述したように、この例では、上杵用外殻原料塗布ユニット1bの上方に、上杵用外殻原料噴霧口h5の全体を覆うよう、上杵用吸引口h6を設けているので、上杵用吸引口h6に接続された上杵用吸引手段(図示せず。)を駆動すれば、複数の上杵15・・・の回転軌道に沿うように湾曲するように、且つ、長く設けられたスリット状の上杵用吸引口h6の始端esから終端eeに至るまで、万遍なく、上杵用外殻原料噴霧口h5から上杵用吸引口h6に向かう、一様の空気流(この空気流は、上杵用外殻原料噴霧口h5から上杵用吸引口h6に向かう、概ね、層流になっている。)が発生する。
これにより、回転テーブル12と同期して回転する複数の上杵15・・・は、順次、上杵用外殻原料塗布ユニット1bのスリット形状の上杵用外殻原料噴霧口h5上を、その始端esから終端eeまで移動する間に、スリット形状の上杵用外殻原料噴霧口h5から上杵用吸引口h6に向かう気流に乗って移動する外殻原料粉末に晒されることになり、複数の上杵15・・・の各々の下面S15・・・へ、外殻原料粉末が衝突することで、重力との関係で、外殻原料粉末が塗布され難い、複数の上杵15・・・の各々の下面S15・・・に対しても、順次、外殻原料粉末が均一に塗布される。
即ち、この外殻原料粉末塗布装置1では、図25からも明らかなように、重力との関係で、外殻原料粉末が付着し難い、複数の上杵15・・・の各々の下面S15・・・に対しては、吸引雰囲気下で外殻原料粉末の塗布を行い、重力との関係で、外殻原料粉末が付着しやすい、複数の下杵14・・・の各々の上面S14・・・に対しては、加圧雰囲気下で外殻原料粉末の塗布を行うというように、複数の上杵15・・・の各々の下面S15・・・への外殻原料粉末の塗布方法と、複数の下杵14・・・の各々の上面S14・・・への外殻原料粉末の塗布方法とを、異ならせている。
この外殻原料粉末塗布装置1では、重力の関係を考慮して、複数の上杵15・・・の各々の下面S15・・・への外殻原料粉末の塗布を、最適な塗布方法を用いて、塗布するようにしているので、重力との関係で、外殻原料粉末が付着し難い、複数の上杵15・・・の各々の下面S15・・・に対しても、外殻原料粉末が均一に塗布される。
また、複数の上杵15の各々の下面S15・・・にとって余剰分となる外殻原料粉末は、上杵用吸引口h6内に、吸引除去されるので、複数の上杵15・・・の各々の下面S15・・・に、必要最小限の外殻原料粉末を均一に塗布することが可能になる。
のみならず、複数の上杵15・・・の各々の下面S15・・・にとって余剰分となる外殻原料粉末は、上杵用吸引口h6内に、吸引除去されるので、ロータリ型打錠機の、外殻原料粉末塗布装置1以外の部分が、外殻原料粉末により汚染されることがない。
従って、この外殻原料粉末塗布装置1を用いれぱ、錠剤内部が、外殻原料粉末によって汚染されていない、錠剤を製造することができる。
また、上杵用吸引手段(図示せず。)の駆動量を調整することで、複数の下杵14・・・の各々の上面S14・・・、及び、複数の臼13・・・の各々の内周面S13・・・の各々に塗布する外殻原料粉末の塗布量を調整することも可能である。
また、この外殻原料粉末塗布装置1では、上杵用外殻原料塗布ユニット1bの、スリット形状の上杵用外殻原料噴霧口h6に沿って、上杵収容溝Dを設け、スリット形状の上杵用外殻原料噴霧口h6から噴霧される外殻原料粉末が、直ちに分散することなく、上杵収容溝D内に止まるようにしているので、重力との関係で、外殻原料粉末が塗布され難い、複数の上杵15・・・の各々の下面S15・・・へ、複数の上杵15・・・の各々が、上杵収容溝D内の、スリット形状の上杵用外殻原料噴霧口h6の上方に沿って移動する間に、効率良く、外殻原料粉末が塗布される。
また、スリット形状の上杵用外殻原料噴霧口h6から噴霧される外殻原料粉末が、直ちに分散することなく、上杵収容溝D内に止まるようにしているので、ロータリ型打錠機の、上杵用外殻原料塗布ユニット1bの上杵収容溝D以外の部分が、外殻原料粉末により汚染されることがない。
従って、この外殻原料粉末塗布装置1を用いれば、錠剤内部が、外殻原料粉末によって汚染されていない、錠剤を製造することができる。
次に、本発明に係る圧縮成形物の製造方法で用いている、「正圧の脈動空気振動波」を発生する、脈動空気振動波発生装置、この脈動空気振動波発生装置を駆動することにより発生させた、正圧の脈動空気振動波中に、定量的に、外殻原料(粉末)を混和する、定量フィーダ装置、及び、外殻原料粉末塗布装置1による、複数の臼13・・・の各々の内周面S13・・・、複数の下杵14・・・の各々の上面S14・・・、及び、複数の上杵15・・・の各々の下面S15・・・の各々への外殻原料(粉末)の塗布量を調整するための、外殻原料(粉末)の濃度測定装置について、概説する。
図26は、外殻原料粉末塗布装置1を備える、外部滑沢式打錠機の構成を概略的に示す全体構成図である。
この外部滑沢式打錠機Aは、ロータリ型打錠機11と、ロータリ型打錠機11の外殻原料塗布位置に設けられた外殻原料粉末塗布装置1と、脈動空気振動波発生装置31と、脈動空気振動波発生装置31を駆動することにより発生させた、正圧の脈動空気振動波に、定量的に、外殻原料(粉末)を混和し、分散する、定量フィーダ装置61と、定量フィーダ装置61により、正圧の脈動空気振動波中に混和した外殻原料粉末の濃度を測定するための外殻原料濃度測定手段91と、余剰外殻原料吸引手段101と、この外部滑沢式打錠機Aの全体を制御・統括する演算処理装置111とを備える。
脈動空気振動波発生装置31は、ブロア等の圧縮空気源32と、圧縮空気源32により発生させた圧縮空気を、正圧の脈動空気振動波に変換する脈動空気振動波変換装置33とを備える。
尚、図26中、34で示す部材装置は、必要により設けられ、電磁弁等で構成され、圧縮空気源32により発生させた圧縮空気の流量を調整する、流量制御装置を示している。
流量制御装置34は、信号線を介して、演算処理装置111に接続されており、演算処理装置111からの指令によって、導管T2内へ流す空気の流量を調整できるようになっている。
この例では、圧縮空気源32と流量制御装置34とは、導管T1により接続されており、また、流量制御装置34と脈動空気振動波変換装置33とは、導管T2により接続されており、圧縮空気源32より発生させた圧縮空気は、導管T1を介して、流量制御装置34に供給され、流量制御装置34により、所定の流量に調整された後、導管T2を介して、脈動空気振動波変換装置33に供給されるようになっている。
また、図26中、35で示す部材装置は、圧縮空気を脈動空気振動波に変換する、回転カム(図36に示す回転カム39を参照。)を回転駆動するための、モータ等の回転駆動手段を示している。
この回転駆動手段35は、信号線を介して、演算処理装置111に接続されており、演算処理装置111からの指令によって、回転駆動手段35の回転軸(図36に示す回転軸axを参照)の回転速度を制御できるようにされている。
脈動空気振動波発生装置31と、定量フィーダ装置61とは、導管T3により接続されており、脈動空気振動波発生装置31により発生させた、正圧の脈動空気振動波が、導管T3を介して、定量フィーダ装置61に供給されるようになっている。
より具体的に説明すると、脈動空気振動波発生装置31の脈動空気振動波変換装置33には、導管T3の一端T3aが接続されており、導管T3の他端T3bが、定量フィーダ装置61の分散室63の脈動空気振動波供給口63e1に接続されている。
定量フィーダ装置61と、外殻原料粉末塗布装置1とは、導管T4により接続されており、定量フィーダ装置61から排出され、導管T4内で、正圧の脈動空気振動波に混和し、分散された外殻原料(粉末)が、導管T4を介して、外殻原料粉末塗布装置1に供給されるようになっている。
より具体的に説明すると、定量フィーダ装置61を構成する分散室63の排出口63e2には、導管T4の一端が接続されており、導管T4の他端T4bが、外殻原料粉末塗布装置1の、下杵用外殻原料噴霧口(図5に示す下杵用外殻原料噴霧口h5)に接続されている接続口(図14、図15、図16、図17及び図18に示す接続口j1)に接続されている。
余剰外殻原料吸引手段91は、導管T5を介して、外殻原料粉末塗布装置1の上杵用吸引口h6の接続口j6に接続される。
導管T5は、途中で、2本の分岐管T5a、T5bに分岐した後、再び、1本の導管T5cにされ、導管T5cにされている。
そして、余剰外殻原料吸引手段101は、導管T5cに接続されている。
外殻原料濃度測定手段91は、導管T5の分岐管T5aに設けられている。
演算処理装置111は、信号線を介して、ロータリ型打錠機11、脈動空気振動波発生装置31、定量フィーダ装置61、余剰外殻原料吸引手段91、及び、外殻原料濃度測定手段91の各々と接続されており、ロータリ型打錠機11、脈動空気振動波発生装置31、定量フィーダ装置61、及び、余剰外殻原料吸引手段91、外殻原料濃度測定手段91の各々と信号のやりとりを行うことで、ロータリ型打錠機11、脈動空気振動波発生装置31、定量フィーダ装置61、余剰外殻原料吸引手段91、及び、外殻原料濃度測定手段101の各々を集中制御できるようになっている。
尚、図26では、演算処理装置111とロータリ型打錠機11との間を接続している信号線については、図示するのを省略している。また、この例では、演算処理装置111と、ロータリ型打錠機11、脈動空気振動波発生装置31、定量フィーダ装置61、外殻原料濃度測定手段91、及び、余剰外殻原料吸引手段101の各々とを信号線で接続したものを例示しているが、演算処理装置111と、ロータリ型打錠機11、脈動空気振動波発生装置31、定量フィーダ装置61、外殻原料濃度測定手段91、及び、余剰外殻原料吸引手段101の各々との間は、信号のやりとりができればよく、有線であっても、また、無線であってもよい。
次に、定量フィーダ装置61の構成について、更に詳しく説明する。
図27は、本発明に係るマイクロカプセル含有圧縮成形物の製造方法で用いる、外殻原料粉末塗布装置と組み合わせて使用するのに好適な定量フィーダを概略的に示す構成図である。
この定量フィーダ装置61は、粉体材料を貯留する粉体材料貯蔵ホッパー62と、分散室63と、粉体材料貯蔵ホッパー62と分散室63との間をつなぐ筒状管64と、弾性体膜65と、弾性体膜取付具71とを備える。
粉体材料貯蔵ホッパー62の材料排出口h62aには、材料切出弁66が設けられており、材料切出弁66により、材料排出口h62aの開閉ができるようになっている。
筒状管64は、上開口部h64aと、下開口部h64bとを備える。
筒状管64は、粉体材料貯蔵ホッパー62の材料排出口h62aに上開口部h64aを接続するようにして、粉体材料貯蔵ホッパー62の下方に気密に取り付けられている。
また、筒状管64の下開口部h64bには、弾性体膜65が、筒状管64の下開口部h64の底面をなすように、弾性体膜取付具71を用いて、気密に、取り付けられている。
更に、筒状管64の下開口部h64bには、弾性体膜取付具71により、筒状管64の下開口部h64bに取り付けられた弾性体膜65を介在させて、分散室63が気密に接続されている。
筒状管64内には、筒状管64内の圧力を検出するための圧力センサーs1が設けられている。
圧力センサーs1は、信号線を介して、演算処理装置111に接続されており、圧力センサーs1が検出した筒状管64内の圧力の値は、演算処理装置111に送られるようになっている。
筒状管64は、上部筒状管部64aと、下部筒状管部64bとを備える。
そして、上述した材料切出弁66は、上部筒状管部64a内に収容されている。
また、下部筒状管部64bは、透明な樹脂で製されている。
より詳しく説明すると、下部筒状管部64bは、例えば、ガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の光透過性を有する材料で製されている。
また、下部筒状管部64bの内周面S64bは、内周面S64bに、外殻原料(粉末)が付着するのを防止するために、鏡面加工されている。
尚、下部筒状管部64bの内周面S64bへの外殻原料(粉末)の付着を防ぐという観点からは、下部筒状管部64bは、上記した材料中では、ポリカーボネート樹脂であることが好ましい。尚、このことは、本発明者等の実験データに基づいている。
下部筒状管部64bには、下部筒状管部64b内の弾性体膜65上に堆積貯留する外殻原料(粉末)の量を検出するレベルセンサーs2が付設されている。
圧力センサーs2は、信号線を介して、演算処理装置111に接続されており、圧力センサーs2の検出値は、演算処理装置111に送られるようになっている。
このレベルセンサーs2は、赤外線や可視光線等の光を発光する発光素子s2aと、発光素子s2aより照射された光を受光する受光素子s2bとを備える。
発光素子s2aと、受光素子s2bとは、下部筒状管部64bを挟むようにして、対向配置されている。
そして、レベルセンサーs2を設ける位置(弾性体膜65からレベルセンサーs2の設けられる位置の高さ)Hthで、下部筒状管部64b内の弾性体膜65上に堆積貯留される外殻原料(粉末)の量を検出できるようになっている。
即ち、下部筒状管部64b内の弾性体膜65上に堆積貯留される外殻原料(粉末)の量が、レベルセンサーs2を設ける位置(弾性体膜65からレベルセンサーs1の設けられている位置の高さ)Hthを超えると、発光素子s2aから照射された光が、外殻原料(粉末)により遮られ、受光素子s2bで受光できなくなる(オフになる。)ので、この時、下部筒状管部64b内の弾性体膜65上に堆積貯留される外殻原料(粉末)の弾性体膜65上からの高さHが、高さHthを超えていることが検出できる(H>Hth)。
また、下部筒状管部64b内の弾性体膜65上に堆積貯留される外殻原料(粉末)の量が、レベルセンサーs2を設ける位置(弾性体膜65からレベルセンサーs2の設けられている位置の高さ)Hth未満になると、発光素子s2aから照射された光が、受光素子s2bで受光できる(オンになる。)ので、この時、下部筒状管部64b内の弾性体膜65上に堆積貯留される外殻原料(粉末)の弾性体膜65上からの高さHが、高さHth未満になっていることが検出できる(H<Hth)。
したがって、レベルセンサーs2の検出値に基づいて、発光素子s2aから照射された光を、受光素子s2bが受光している(オンになっている)間は、材料切出弁66を下方に移動して、粉体貯留ホッパー62の排出口h62aを開いた状態にし、発光素子s2aから照射された光が、受光素子s2bで受光できなくなったとき(オフになったとき)、材料切出弁66を上方に移動して、粉体貯留ホッパー62の排出口62aを閉じた状態にすれば、定量フィーダ装置61を駆動している間、下部筒状管部64b内の弾性体膜65上に、常に、概ね一定量の外殻原料(粉末)が貯留堆積するように制御することができる。
次に、粉体材料貯蔵ホッパー62の構成について説明する。
図28は、粉体材料貯蔵ホッパー62を概略的に説明する説明図であり、図28(a)は、粉体材料貯蔵ホッパー62の一部を切り欠いて概略的に示す一部切欠き斜視図を、また、図28(b)は、粉体材料貯蔵ホッパー62の概略的な平面図である。
図27及び図28を参照しながら説明すると、粉体材料貯蔵ホッパー62の材料投入口h62bには、蓋体62aが、着脱自在に、且つ、気密に取り付けられるようになっている。
また、粉体材料貯蔵ホッパー62のコーン部62cには、ガス噴射ノズル手段n、nが設けられている。
ガス噴射ノズル手段n、nの各々は、そのガス噴射口hn、hnが、粉体材料貯蔵ホッパー62の内周面に対し、概ね接線方向を向くように、設けられている。
より特定的に説明すると、この例では、ガス噴射口hn、hnの各々は、粉体材料貯蔵ホッパー62の内周面に対し、概ね接線方向を向くように、且つ、一方向を向くように設けられており、ガス噴射ノズル手段n、nの各々から、ガスを噴射すると、粉体材料貯蔵ホッパー62内に、ガス噴射ノズル手段n、nの各々ガス噴射口hn、hn方向に旋回する、空気流が発生するようになっている。
また、粉体材料貯蔵ホッパー62には、導管T6が接続されている。
導管T6は、大気に導通するようになっており、その途中には、圧力調整弁vp1と、開閉バルブ(ガス抜き弁)v1とが設けられている。
圧力調整弁vp1及び開閉バルブv1の各々は、ソレノイド式の電磁弁で構成されている。
また、圧力調整弁vp1及び開閉バルブv1の各々は、演算処理装置111に信号線を介して接続されており、演算処理装置111からの指令信号に基づいて、開閉するようになっている。
また、粉体材料貯蔵ホッパー62には、導管T7が接続されている。
導管T7は、粉体材料貯蔵ホッパー62と導管1とを接続するように設けられており、その途中には、圧力調整弁vp2と、開閉バルブv2とが設けられている。
圧力調整弁vp2及び開閉バルブv2の各々は、ソレノイド式の電磁弁で構成されている。
また、圧力調整弁vp2及び開閉バルブv2の各々は、演算処理装置111に信号線を介して接続されており、演算処理装置111からの指令信号に基づいて、開閉するようになっている。
また、ガス噴射ノズル手段n、nの各々には、導管T8が接続されている。
尚、図27及び図28では、ガス噴射ノズル手段n、nの一方に接続されている導管T8のみを図示しているが、実際には、ガス噴射ノズル手段n、nの他方にも、導管T8が接続されている。
ガス噴射ノズル手段n、nの各々に接続される導管T8は、導管1に接続されている。ガス噴射ノズル手段n、nの各々に接続される導管T8の各々の途中には、圧力調整弁vp3が設けられている。
圧力調整弁vp3は、ソレノイド式の電磁弁で構成されている。
また、圧力調整弁vp3は、演算処理装置111に信号線を介して接続されており、演算処理装置111からの指令信号に基づいて、開閉するようになっており、且つ、導管1内に、圧縮空気源32から供給されている圧縮空気を所定の流量の空気流にして、粉体材料貯蔵ホッパー62内に設けられている、ガス噴射ノズル手段n、nの各々から、ガスを噴射したり、ガスの噴射を停止したりすることができるようになっている。
尚、この例では、粉体材料貯蔵ホッパー62内に、2つのガス噴射ノズル手段n、nを設けた例を示しているが、ガス噴射ノズル手段nは、1個であってもよく、3個以上設けられていてもよい。
また、粉体材料貯蔵ホッパー62には、圧力センサーs2が設けられており、圧力センサーs3により、粉体材料貯蔵ホッパー62内の圧力が測定できるようになっている。
圧力センサーs3は、信号線を介して、演算処理装置111に接続されており、圧力センサーs3の測定値が、演算処理装置111に送られるようになっている。
また、この例では、材料切出弁66として、材料切出弁本体66bと、可動部66aとを備えるものを用いている。
この可動部66aは、空気圧によって上下に動くようにされている。
より詳しく説明すると、材料切出弁本体66bは、導管T9を介して、導管T1に接続されている。
この例では、導管T9は、3方向弁v3によって、2本の分岐管T9a、T9bにされ、材料切出弁本体66bに接続されている。
3方向弁v3は、ソレノイド式の電磁弁で構成されている。
この3方向弁v3は、演算処理装置111に信号線を介して接続されており、演算処理装置111からの指令信号に基づいて、分岐管T9aを開閉したり、分岐管T9bを開閉したりすることができるようになっている。
より具体的に説明すると、この定量フィーダ装置61では、レベルセンサーs2を動作状態にした際に、発光素子s2aから照射された光を、受光素子s2bが受光している(オンになっている)間は、演算処理装置111からの指令により、3方向弁v3が、分岐管T9aを開いた状態にし、分岐管T9bを閉じた状態にし、材料切出弁66の可動部66aが下方向に移動させて、粉体材料貯蔵ホッパー62の材料排出口h62aが開いた状態になるようにされている。
また、この定量フィーダ装置61では、発光素子s2aから照射された光を、受光素子s2bが受光しなくなる(オフになる)と、演算処理装置111からの指令により、3方向弁v3が、分岐管T9bを開いた状態にし、分岐管T9aを閉じた状態にし、材料切出弁66の可動部66aが上方向に移動させて、可動部66aにより、粉体材料貯蔵ホッパー62の材料排出口h62aが閉じた状態になるようにされている。
また、レベルセンサーs2を停止状態にすると、3方向弁v3により、分岐管T9bを開いた状態にし、分岐管T9aを閉じた状態にし、材料切出弁66の可動部66aが上方向に移動させて、可動部66aにより、粉体材料貯蔵ホッパー62の材料排出口h62aが閉じた状態になるようにされている。
次に、この定量フィーダ装置61で用いる弾性体膜65の構成について説明する。
図29は、弾性体膜65を概略的に示す平面図である。
弾性体膜65には、貫通孔h65が設けられている。
この例では、貫通孔h65は、弾性体膜65の中央部に、スリット形状に設けられている。
尚、図29では、弾性体膜65の中央部に、スリット形状の貫通孔h65を有するものを示したが、これは、単なる例示であって、定量フィーダ装置61で用いる弾性体膜は、貫通孔が設けられておればよく、弾性体膜65に限定されることはなく、例えば、図30に示すような、複数の貫通孔h65・・・を有する弾性体膜65Aのようなものであってもよい。
尚、弾性体膜に複数の貫通孔を設ける場合には、図23に示すように、複数の貫通孔の各々は、互いに、ランダムに設けられていてもよい。また、複数の貫通孔の各々の形状・大きさは、同じであってもよく、また、異なっていてもよい。
また、弾性体膜に複数の貫通孔を設ける場合には、複数の貫通孔を、弾性体膜の同一円周上に、設けても良い。この場合、複数の貫通孔の各々をスリット形状にし、スリット形状にされた複数の貫通孔の各々を、各々の長さ方向を、円周の接線方向に設けることが好ましい。
更に、弾性体膜に複数の貫通孔を設ける場合には、複数の貫通孔の各々をスリット形状にし、スリット形状にされた複数の貫通孔の各々を、弾性体膜に設けた、複数の同心円の各々に、スリット形状にされた複数の貫通孔の各々を、各々の長さ方向を、複数の同心円の各々の円周の接線方向に設けてもよい。
次に、弾性体膜取付具71の構成について、説明する。
図31は、弾性体膜取付具71を概略的に示す斜視図であり、弾性体膜65が既に取り付けられた状態を示している。
また、図32は、図31に示す弾性体膜取付具71の構成を概略的に示す分解斜視図であり、また、図33は、図31に示す弾性体膜取付具71の構成を概略的に示す断面図である。
この弾性体膜取付具71は、図32及び図33に図示されるように、台座72と、突き上げ部材73と、押さえ部材74とを備える。
台座72には、中空h71が設けられており、中空h71の外周には、突き上げ部材73を載置するための、リング状の載置面S71が設けられている。更に、台座72には、中空h71をリング状に取り囲むようにV溝Dvが設けられている。
突き上げ部材73は、中空h72を有する。この例では、突き上げ部材73は、図33に示すように、その下面に、段差部P1が設けられており、台座72上に、突き上げ部材73を載置すると、段差部P1が、台座72の載置面S71上に位置するようにされている。
また、この例では、突き上げ部材73を台座72上に載置した際に、突き上げ部材73の段差部P1より下方に延設するように設けられている下方延設部P2が、台座72の中空h71内に収まるようにされている。即ち、突き上げ部材73の下方延設部P2は、その外径d2が、台座72の中空h71の内径d1に等しいか、やや小さい寸法に精密加工されている(d2≦d1)。
更に、この例では、突き上げ部材73は、その上方部P3の外周に、断面視した場合、上側から下側が広がる傾斜面が設けられている。
押さえ部材74は、中空h73を有する。また、押さえ部材74の、台座72に向き合う表面S74には、台座72の表面に設けられたV溝Dvに嵌まり合うように、リング形状の、V字形状の突起Cvが設けられている。
尚、図31及び図32中、75で示す部材は、ボルト等の締付手段を示している。
また、図33中、h74で示す孔は、台座72に形成された、締付手段75の固定孔を、また、h75で示す孔は、押さえ部材74に形成された、締付手段75の固定孔を、各々、示している。また、図32中、h76で示す孔は、台座72に形成され、目的とする装置(この例では、図27に示す、分散室63の上部33a)へ、弾性体膜取付具71を、ボルト等の固定手段(図示せず。)により取り付けるための固定孔を、また、h77で示す孔は、押さえ部材74に形成され、目的とする装置(この例では、図27に示す、筒状管64の下部筒状管部64b)へ、弾性体膜取付具71を、ボルト等の固定手段(図示せず。)により取り付けるための固定孔を、各々、示している。
この例では、押さえ部材74の中空h73の内径d4は、突き上げ部材73の外径d3に等しいか、やや大きい寸法に精密加工されている(d4≧d3)。
次に、この弾性体膜取付具71に弾性体膜65を取り付ける手順について説明する。
弾性体膜取付具71に弾性体膜65を取り付ける際には、まず、台座72の表面に、突き上げ部材73を載置する。
次いで、突き上げ部材73上に、弾性体膜65を載置する。
次に、突き上げ部材73及び弾性体膜65をともに覆うように、突き上げ部材73上に押さえ部材74を載置する。この時、台座72に形成された固定孔h74・・・の各々と、押さえ部材74に形成された固定孔h75・・・の各々とを整列させるようにする。
次に、ボルト等の締付手段75・・・の各々を、固定孔h75・・・の各々に挿通し、固定孔h75・・・の各々に挿通した締付手段75・・・の各々を、固定孔h74・・・の各々に螺合等することで、台座72に対して、押さえ部材4を締め付けていく。
この弾性体膜取付具71では、台座72上に載置した突き上げ部材73上に、弾性体膜65を載置しているので、押さえ部材74を台座72に対して締め付けていくと、弾性体膜65は、突き上げ部材73により、押さえ部材74方向に突き上げられる。
この結果、弾性体膜65は、押さえ部材74方向により突き上げられることで、弾性体膜65の内側から外周側に引き伸ばされる。
最初のうちは、突き上げ部材73により、引き伸ばされた弾性体膜65は、突き上げ部材73の外周面P3と、押さえ部材74の中空h73を形成する面(内周面)との間の隙間を介して、台座72の表面に設けられているV溝Dvと、押さえ部材74の、台座72に向き合う表面に設けられているV字形状の突起Cvとの間に嵌挿されていく。
更に、ボルト等の締付手段75・・・の各々により、押さえ部材74を台座72に対して締め付けていくと、弾性体膜65は、突き上げ部材73により、押さえ部材74方向に突き上げられた状態のまま、突き上げ部材73の外周面P3と、押さえ部材74の中空h73の内周面との間に、挟持される。且つ、突き上げ部材73により、押さえ部材74方向により突き上げられることで、弾性体膜65の内側から外周側に引き伸ばされた部分が、台座72の表面に設けられているV溝Dvと、押さえ部材74の、台座72に向き合う表面に設けられているV字形状の突起Cvとの間に、挟持される。
即ち、この弾性体膜取付具71では、まず、台座72上に載置した突き上げ部材73上に、弾性体膜65を載置し、次いで、押さえ部材74を台座72に対して締め付けていくようにしているので、弾性体膜65が、突き上げ部材73により、押さえ部材74方向に突き上げられ、これにより、弾性体膜65が、その内方側から外周側に引き伸ばされた状態にされ、更に、このようにして、突き上げ部材73により引き伸ばされた弾性体膜65の外周部分が、台座72の表面に設けられたV溝Dvと、押さえ部材74の、台座2に向き合う表面に設けられたV字形状の突起Cvに挟持される。この結果、この弾性体膜取付具71では、台座72上に載置した突き上げ部材73上に、弾性体膜65を載置し、押さえ部材74を台座72に対して締め付けていくという簡単な操作で、弾性体膜65を、ピンと張った状態にすることができる。
更に、この弾性体膜取付具71では、突き上げ部材73の外周に、断面視した場合、上側から下側が広がる傾斜面P3を設けている。
この傾斜面P3は、この弾性体膜取付具71では、重要な要素になっているので、この作用について、以下に詳しく説明する。
即ち、この弾性体膜取付具71では、突き上げ部材73の外周に、断面視した場合、上側から下側が広がる傾斜面P3を設けているので、弾性体膜65は、押さえ部材74方向により突き上げられることで、弾性体膜65の内側から外周側に引き伸ばされた部分が、台座72の表面に、リング状に設けられているV溝Dvと、押さえ部材74の、台座72に向き合う表面に、リング状に設けられているV字形状の突起Cvとの間に、移行し易い。
より具体的に説明すると、突き上げ部材73の傾斜面P3の外径が、押さえ部材74の中空h73の内径d4より十分に小さい関係にある時は、弾性体膜65は、突き上げ部材73の傾斜面P3と、押さえ部材74の中空h73を形成している表面との間の隙間(間隔)が十分にあるため、突き上げ部材73により、弾性体膜65の内側から外側に引き伸ばされた部分は、この隙間(間隔)を通って、台座72の表面に、リング状に設けられているV溝Dv方向へ、たやすく、誘導される。
また、突き上げ部材73の外周に設けられている傾斜面P3は、断面視した場合、上側から下側が広がるようにされているので、突き上げ部材73により、弾性体膜65の内側から外側に引き伸ばされた部分は、この傾斜面P3の表面に沿って、台座72の表面に、リング状に設けられているV溝Dv方向へ誘導される。
そして、ボルト等の締付手段75・・・の各々を、固定孔h75・・・の各々に挿通し、、固定孔h75・・・の各々に挿通した締付手段75・・・の各々を、固定孔h74・・・の各々に螺合等して、台座72に対して、押さえ部材74を締め付けていくことで、突き上げ部材73の傾斜面P3の外径が、押さえ部材74の中空h73の内径d4に次第に接近し、突き上げ部材73の傾斜面P3の傾斜面P3と、押さえ部材74の中空h73を形成している表面との間の隙間(間隔)が、概ね、弾性体膜65の厚み(肉厚)程度になると、弾性体膜65は、突き上げ部材73の傾斜面P3と、押さえ部材74の中空h73を形成している表面との間に挟持されることになる。
以上の作用によっても、この弾性体膜取付具71では、台座72上に載置した突き上げ部材73上に、弾性体膜65を載置し、その後、ボルト等の締付手段75・・・の各々を用いて、押さえ部材74を台座72に対して締め付けていくという簡単な操作で、弾性体膜65を、ピンと張った状態にすることができる。
また、ボルト等の締付手段75・・・の各々を用いて、押さえ部材74を台座72に対して締め付けていくと、突き上げ部材73の外周の傾斜面P3と、押さえ部材74の中空の内周面との間隔が次第に狭くなり、突き上げ部材73の外周面P3と、押さえ部材74の中空h73の内周面との間に、しっかりと挟持されるため、押さえ部材74を台座72に締め付けた後において、弾性体膜65が弛むことがない。
また、この弾性体膜取付具71では、弾性体膜65を取り付ければ、弾性体膜65が、突き上げ部材73の傾斜面P3と、押さえ部材74の中空h73を形成している表面との間と、押さえ部材74の、台座72に向き合う表面に、リング状に設けられているV字形状の突起Cvと、台座72に、リング状に設けられているV字形状の溝Dvとの間とに、2重にロックされた状態になるため、押さえ部材74を台座72に締め付けた後において、弾性体膜65が弛むことがない。
従って、弾性体膜65を張る際に、この弾性体膜取付具71により、弾性体膜65を張るようにすれば、粉体材料噴霧装置1の使用中に、弾性体膜65が弛むことがないため、長期に亘って、これらの装置の正確な動作を維持できる。
以上により、弾性体膜取付具71への弾性体膜65の取付作業が終了すれば、図20に示すように、弾性体膜65が取り付けられた弾性体膜取付具71の押さえ部材74を、筒状管64の下部筒状管部64bに、気密に取り付け、台座72を、分散室33の上部33aに、気密に取り付ける。
次に、分散室63の構成について説明する。
分散室63には、図27に示すように、分散室63内に、正圧の脈動空気振動波を供給する、脈動空気振動波供給口63e1と、排出口63e2とが設けられている。
脈動空気振動波供給口63e1には、図26に示す、導管T3が接続されるようになっており、導管T3を介して、分散室63内に、正圧の脈動空気振動波が供給されるようになっている。
また、排出口63e2には、図26に示す、導管T4の一端T4aが接続されるようになっており、導管T4の他端T4bから、外殻原料(粉末)が、正圧の脈動空気振動波に混和し分散した状態で、正圧の脈動空気振動波とともに、噴霧されるようになっている。
尚、この例では、導管T4の他端T4bは、図26に示すように、外殻原料粉末塗布装置1の塗布装置本体1bの下杵用外殻原料噴霧口h1に接続されている接続口j1に接続されている。
また、分散室63は、その内部において、正圧の脈動空気振動波が旋回流になり易いように、その内部の形状が、概ね円筒形状にされている。尚、ここでは、分散室63の内部の形状が、概ね円筒形状にされている例を示しているが、分散室63の内部の形状は、その内部において、正圧の脈動空気振動波が旋回流になり易い形状にされておればよく、その内部の形状は、必ずしも、概ね円筒形状にされている場合に限定されることはない。
また、この例では、脈動空気振動波供給口63e1は、分散室63には、その下方の位置に、分散室63の内周面の概ね接線方向に設けられている。
また、排出口63e2は、分散室63の上方の位置に、分散室63の内周面の概ね接線方向に設けられている。
ここで、分散室63に設ける脈動空気振動波供給口63e1の取付位置の方向について、図34を用いて、更に、詳しく説明する。 図34は、分散室63を平面視した場合の、分散室63に設ける脈動空気振動波供給口63e1の取付位置の方向を模式的に示す平面図であり、図34(a)は、分散室63に対する、脈動空気振動波供給口63e1の好ましい取付位置の方向を説明する説明図であり、図34(b)は、分散室63に対する、脈動空気振動波供給口63e1の実質的な取付可能位置の方向を説明する説明図である。
尚、図34(a)及び図34(b)の各々に、曲線で示す矢印は、分散室63内に発生する、正圧の脈動空気振動波の旋回流の向きを模式的に示している。
分散室63内に、正圧の脈動空気振動波の旋回流を発生させるためには、分散室63に対して、脈動空気振動波供給口63e1は、分散室63の内周面に対して、概ね、接線方向(図34(a)中、破線Ltで示される方向)に設けられていることが好ましい。
しかしながら、脈動空気振動波供給口63e1は、図34(a)に示すように、分散室63の内周面に対して、概ね、接線方向に設けられている必要はなく、脈動空気振動波供給口63e1は、分散室63内に、支配的な1個の旋回流を形成できる限り、図34(b)に示すように、分散室63の内周面に対して、概ね、接線方向(例えば、図34(b)中、破線Ltで示される方向)と等価な方向(即ち、分散室63の内周面の接線方向(例えば、図34(b)中、破線Lt)に平行な方向)に設けられていてもよい。
尚、脈動空気振動波供給口63e1を、図34(b)中に、想像線Lcで示すように、分散室63の中心線方向に設けた場合には、分散室63内の形状が、概ね円筒形状の場合には、いずれが支配的とも言えない2個の旋回流が発生するので、このような方向に設けるのは、分散室63内に、正圧の脈動空気振動波の旋回流を発生させることを考慮した場合には、あまり好ましいとは言えない。
以上のことを勘案すると、例えば、分散室63の接線(図34(b)に示す、破線で示す、ある接線Lt)と中心線(図34(b)に想像線で示す中心線Lc)との間の距離をLt−cとすると、脈動空気振動波供給口63e1は、接線Ltに一致しているか、接線Ltから脈動空気振動波供給口63e1までの距離Lt−63e1が、距離Lt−cの、2/3以下の位置にあることが好ましい(0≦距離Lt−63e1≦2/3×距離Lt−c)。
より特定的には、脈動空気振動波供給口63e1は、接線Ltに一致しているが、接線Ltから脈動空気振動波供給口63e1までの距離Lt−63e1が、距離Lt−cの、1/2以下の位置にあることが更に好ましい(0≦距離Lt−63e1≦1/2×距離Lt−c)。更に言えば、脈動空気振動波供給口63e1は、接線Ltに一致しているか、接線Ltから脈動空気振動波供給口63e1までの距離Lt−4aが、距離をLt−cの、1/3以下の位置にあることが尚一層好ましい(0≦距離Lt−63e1≦1/3×距離Lt−c)。
次いで、分散室63に設ける脈動空気振動波供給口63e1と排出口63e2との位置関係について、図35を用いて、詳しく説明する。
図35は、分散室63を平面視した場合の、分散室63に設ける脈動空気振動波供給口63e1と排出口63e2との位置を模式的に説明する図であり、図35(a)は、分散室63に対する、脈動空気振動波供給口63e1と排出口63e2との好ましい取付位置を説明する説明図であり、図35(b)は、分散室63に対する、脈動空気振動波供給口63e1と排出口63e2との実質的な取付可能位置を説明する説明図である。
尚、図35(a)及び図35(b)の各々に、曲線で示す矢印は、分散室63内に発生する、正圧の脈動空気振動波の旋回流の向きを模式的に示している。
分散室63に、排出口63e2を、図35(a)に示すような位置に設けた場合には、分散室63内に発生する、脈動空気振動波の旋回流の向き(空気の進行方向)と逆方向に排出口63e2が設けられる関係になり、この場合には、排出口63e2における、空気に分散させて流動化させた外殻原料(粉末)の排出効率を低く設定できる。
これとは逆に、排出口63e2における、空気に分散させて流動化させた外殻原料(粉末)の排出効率を高くしたい場合には、図35(b)に例示的に示す、排出口63e2a又は排出口63e2bのように、分散室63内に発生する、正圧の脈動空気振動波の旋回流の向きと順方向に排出口63e2を設けるのが好ましい。
また、例えば、分散室63の接線(図35(a)に示す、破線で示す、ある接線Lt)と中心線(図35(a)に想像線で示す中心線Lc)との間の距離をLt−cとすると、排出口63e2は、接線Ltに一致しているか、接線Ltから排出口63e2までの距離Lt−63e2が、距離Lt−cの、2/3以下の位置にあることが好ましい(0≦距離Lt−63e2≦2/3×距離Lt−c)。
より特定的には、排出口63e2は、接線Ltに一致しているか、接線Ltから排出口63e2までの距離Lt−63e2が、距離Lt−cの、1/2以下の位置にあることが更に好ましい(0≦距離Lt−63e2≦1/2×距離Lt−c)。更に言えば、排出口63e2は、接線Ltに一致しているか、接線Ltから排出口4bまでの距離Lt−63e2が、距離をLt−cの、1/3以下の位置にあることが尚一層好ましい(0≦距離Lt−63e2≦1/3×距離Lt−c)。
更に、この定量フィーダ装置61には、筒状管64と、分散室63との間に、バイパス管Tvが設けられている。
このバイパス管Tvは、分散室63内に、正圧の脈動空気振動波を供給した際に、筒状管64内の圧力と、分散室63内の圧力とが、速やかに平衡に達するようにすることで、分散室63内に供給される、正圧の脈動空気振動波によって、上下に振動する弾性体膜65の振動が、正圧の脈動空気振動波に追従するようにするために設けられている。
尚、このバイパス管Tvは、定量フィーダ装置61にとって、必須の構成部材ではないことを付記しておく。
次に、脈動空気振動波発生装置の構成について、以下に説明する。
図36は、脈動空気振動波発生装置31の構成を、脈動空気振動波変換装置33を中心にして、概略的に示す断面図である。
脈動空気振動波変換装置33は、空気供給ポート36aと、空気排出ポート36bとを備える中空室36と、中空室36内に設けられた弁座37と、弁座37を開閉するための弁体38と、弁座37に対して弁体38を開閉させるための回転カム39とを備える。
空気供給ポート36aには、導管T4が接続されており、また、空気排出ポート36bには、導管T2が接続されている。
また、図36中、36cで示す部分は、中空室36に、必要により設けられる、圧力調整ポートを示しており、圧力調整ポート36cには、圧力調整弁40が、大気との導通・遮断をするように設けられている。
弁体38は、軸体38aを備え、軸体38aの下端には、回転ローラ38bが回転可能に設けられている。
また、脈動空気振動波変換装置33の装置本体33aには、弁体38の軸体38aを、気密に且つ上下方向に移動可能に収容するための、軸体収容孔h33が形成されている。
回転カム39は、内側回転カム39aと、外側回転カム39bとを備える。
内側回転カム39a及び外側回転カム39bの各々には、回転ローラ38bの概ね直径分の距離を隔てるようにして、所定の凹凸パターンが形成されている。
回転カム39は、外殻原料(粉末)の物性に応じて、外殻原料(粉末)が混和し、分散し易い凹凸パターンを有するものが用いられる。
回転カム39の内側回転カム39aとの外側回転カム39bとの間には、回転ローラ38bが、回転可能に、嵌挿されている。
尚、図36中、axで示す部材は、モータ等の回転駆動手段(図26に示す回転駆動手段35)の回転軸を示しており、回転軸axには、回転カム39が、交換可能に取り付けられるようになっている。
次に、脈動空気振動波発生装置31により、導管T3内へ、正圧の脈動空気振動波を供給する方法について説明する。
導管T3内へ、正圧の脈動空気振動波を供給する際には、まず、回転駆動手段35の回転軸axに、外殻原料(粉末)の物性に応じて、外殻原料(粉末)が混和し、分散し易い凹凸パターンを有する回転カム39を取り付ける。
次に、圧縮空気源32を駆動することにより、導管T3内へ、圧縮空気を供給する。
導管T3内へ供給された圧縮空気は、流量制御装置34が設けられている場合にあっては、流量制御装置34により、所定の流量に調整された後、導管T4に送られ、導管T4に送られた、所定の流量の圧縮空気は、空気供給ポート36aから中空室36内へと供給される。
また、圧縮空気源32を駆動するとともに、回転駆動手段35を駆動することで、回転駆動手段35の回転軸axに取り付けた回転カム39を所定の回転速度で回転させる。
これにより、回転ローラ38bが、所定の回転速度で回転駆動している回転カム39の内側回転カム39aとの外側回転カム39bとの間で、回転し、回転カム39に設けられている凹凸パターンに従って、再現性良く、上下運動する結果、弁体38が、回転カム39に設けられている凹凸パターンに従って、弁座38を開閉する。
また、中空室36に、圧力調整ポート36cや圧力調整弁30が設けられている場合にあっては、圧力調整ポート36cに設けられている圧力調整弁40を適宜調整することにより、導管T3に供給する、正圧の脈動空気振動波の圧力を調節する。
以上の操作により、導管T3に、正圧の脈動空気振動波が供給される。
尚、導管T3内に供給される正圧の脈動空気振動波の波長は、回転カム39に設けられている凹凸パターン及び/又は回転カム39の回転速度により、適宜調節される。また、正圧の脈動空気振動波の波形は、回転カム39に設けられている凹凸パターンにより、調節することができ、正圧の脈動空気振動波の振幅は、圧縮空気源32の駆動量を調節したり、流量制御装置34が設けられている場合にあっては、流量制御装置34の調節をしたり、圧力調整ポート36cや圧力調整弁30が設けられている場合にあっては、圧力調整ポート36cに設けられている圧力調整弁40を適宜調整したり、又は、これらを組み合わせて調節すること等により、任意に、調節できる。
次に、外殻原料濃度測定手段91の構成について詳しく説明する。
図37は、図26に示す、外殻原料濃度測定手段91の部分を中心にして拡大して概略的に示す構成図である。
導管T5は、その一端(図19中に示す、導管T5の一端eT5)は、外殻原料粉末塗布装置1の塗布装置本体(図14、図15、図16及び図17の各々中に示す、塗布装置本体1b)の下杵用外殻原料噴霧口(図18に示す、下杵用外殻原料噴霧口h6)に接続されている接続口(図14、図15、図16、図17及び図18に示す、接続口j1)に接続されており、且つ、途中で、2つの分岐管T5a、T5bにされ、更に、途中で、1本の導管T5cにまとめられてから、余剰外殻原料吸引手段101に接続されている。
余剰外殻原料吸引手段101は、信号線を介して、演算処理装置111に接続されており、演算処理装置111からの指令によって、余剰外殻原料吸引手段101の駆動量を制御できるようにされている。
分岐管T5aには、外殻原料粉末塗布装置1に近い方から余剰外殻原料吸引手段101方向に、電磁バルブ等の導管開閉手段v4と、外殻原料濃度測定手段91とが設けられている。
導管開閉手段v4は、信号線を介して、演算処理装置111に接続されており、演算処理装置111からの指令に基づいて、分岐管T5aを開閉できるようになっている。
また、この例では、外殻原料濃度測定手段91として、光透過式粉体濃度測定手段を用いている。
外殻原料濃度測定手段(光透過式粉体濃度測定手段)91は、測定セル92と、光透過式測定装置s4とを備える。
測定セル92は、石英等で製されており、分岐管T5aの途中に接続されている。
光透過式測定装置s4は、レーザー光線を照射するレーザ光線照射系装置s4aと、レーザ光線照射系装置s4aから照射され、被検出体により散乱した光を受光する散乱光受光系装置s4bとを備え、Mie理論に基づいて、被検出体の流量、粒径、粒度分布及び濃度等を測定できるようになっている。この例では、レーザ光線照射系装置s4aと、散乱光受光系装置s4bとは、測定セル92を挟むようにして、概ね対向配置されており、測定セル92の部分で、分岐管T5a内を流れる粉体(この例では、外殻原料(粉末))の流量、粒径、粒度分布及び濃度等を測定できるようにされている。
光透過式測定装置s4は、信号線を介して、演算処理装置111に接続されており、光透過式測定装置s4と演算処理装置111との間で、信号のやりとりができるようになっている。
また、分岐管T5bには、電磁バルブ等の導管開閉手段v5が設けられている。
導管開閉手段v5は、信号線を介して、演算処理装置111に接続されており、演算処理装置111からの指令に基づいて、分岐管T5bを開閉できるようになっている。
また、導管T5cには、電磁バルブ等の導管開閉手段v6が設けられている。
導管開閉手段v6は、信号線を介して、演算処理装置111に接続されており、演算処理装置111からの指令に基づいて、分岐管T5cを開閉できるようになっている。
次に、外殻原料濃度測定手段(光透過式粉体濃度測定手段)91の動作について、説明する。
外部滑沢式打錠機Aを用いて、錠剤を製造する際には、外殻原料濃度測定手段(光透過式粉体濃度測定手段)91の光透過式測定装置s4は、動作状態にされる。
また、導管開閉手段v1と導管開閉手段v3とを開いた状態にし、導管開閉手段v2を閉じた状態にし、余剰外殻原料吸引手段101を駆動する。
また、脈動空気振動波発生装置31及び定量フィーダ装置61を各々駆動することで、正圧の脈動空気振動波に混和し、分散させた外殻原料粉末を、外殻原料粉末塗布装置1内に供給する。
外殻原料粉末塗布装置1内に供給された外殻原料(粉末)の一部は、外殻原料粉末塗布装置1内に送り込まれてきている、上杵42・・・の各々の表面(下面)S42、下杵43・・・の各々の表面(上面)S43、及び、臼45・・・の各々の内周面S45への塗布に用いられるが、余分な外殻原料(粉末)は、上杵用吸引口(図18に示す、上杵用吸引口h6)から、導管T5、分岐管T5a及び導管T5cを通って、余剰外殻原料吸引手段101へと吸引される。
このとき、外殻原料濃度測定手段(光透過式粉体濃度測定手段)91を構成する光透過式測定装置s4によって、測定セル92内、即ち、分岐管T5a内を流れる外殻原料(粉末)の流量、粒径、粒度分布及び濃度等が測定され、この測定値が演算処理装置111に送られる。
そして、光透過式測定装置s4の測定値に基づいて、流量制御装置(図26、図27及び図36に示す、流量制御装置34)を調整したり、脈動空気振動波発生装置31を構成する圧縮空気源32の駆動量を、適宜、調節したりすることで、外殻原料粉末塗布装置1内の外殻原料(粉末)の濃度等を調節する。
尚、以上のような操作を行っていると、測定セル92の内周面に、外殻原料(粉末)が付着し、光透過式測定装置s4が、測定セル92の内周面に付着した外殻原料(粉末)の影響を受けて、分岐管T5a内を流れる、外殻原料(粉末)の流量等を正確に測定できなくなるという問題が生じる。かかる場合には、光透過式測定装置s4の測定値から、測定セル92の内周面に付着した外殻原料(粉末)の影響分(ノイズ)を除去する補正が必要になるが、この外部滑沢式打錠機装置Aでは、測定セル92の内周面に付着した外殻原料(粉末)の影響分(ノイズ)を測定する際には、余剰外殻原料吸引手段111は駆動した状態に維持して、導管開閉手段v4を閉じ、導管開閉手段v5を開いた状態にする。すると、上杵用吸引口(図18に示す、上杵用吸引口h6)から、上杵用吸引口(図18に示す、上杵用吸引口h6)内に吸引された、外殻原料(粉末)は、導管T5、分岐管T5b及び導管T5cを通って、余剰外殻原料吸引手段111へと吸引される。この結果、分岐管T5a内へは、外殻原料(粉末)が通らなくなる。
この時、光透過式測定装置s4を駆動させれば、測定セル92へ付着している外殻原料(粉末)の影響分(ノイズ)を測定できる。
この測定セル92へ付着している外殻原料(粉末)の影響分(ノイズ)の測定値は、例えば、演算処理装置111の記憶手段に一時記憶させる。
その後、余剰外殻原料吸引手段101を駆動した状態に維持して、導管開閉手段v4を開き、導管開閉手段v5を閉じた状態にし、分岐管T5a内へ、外殻原料(粉末)を、再び、通すようにし、光透過式測定装置s4を駆動し、測定セル92内を通る、外殻原料(粉末)の流量等を測定し、予め、演算処理装置111の記憶手段に記憶させている、補正プログラムと、測定セル92へ付着している外殻原料(粉末)の影響分(ノイズ)の測定値とに基づいて、光透過式測定装置s4の測定値から、測定セル92へ付着している外殻原料(粉末)の影響分(ノイズ)を除去した補正値を算出する。この補正値に基づいて、流量制御装置34を調整したり、脈動空気振動波発生装置31を構成する圧縮空気源31の駆動量を、適宜、調節したりすれば、外殻原料粉末塗布装置1内の外殻原料(粉末)の濃度等を、測定セル92へ付着している外殻原料(粉末)の影響(ノイズ)を受けることなく、所望の濃度に調節できる。
また、この外部滑沢式打錠機装置Aでは、測定セル92へ付着している外殻原料(粉末)の影響分(ノイズ)の測定する際にも、上杵用吸引口(図18に示す、上杵用吸引口h6)からの吸引を停止する必要がないので、測定セル92へ付着している外殻原料(粉末)の影響分(ノイズ)の測定している間も、錠剤の製造を続けることができる、という効果がある。
次に、外部滑沢式打錠機Aの動作について、例示的に、以下に、説明する。
図38は、この外部滑沢式打錠機Aの演算処理装置111の記憶部(図示せず。)に予め記憶されている、外部滑沢式打錠機Aの動作プログラムを概略的に示すフローチャートである。
また、図39は、外部滑沢式打錠機Aの定量フィーダ装置61の粉体材料貯蔵ホッパー62に設けられているガス噴射ノズル手段n、nの動作、及び、材料切出弁64の動作を概略的に説明する説明図である。
尚、この外部滑沢式打錠機Aの外殻原料粉末塗布装置1による、回転テーブル12に設けられている複数の臼13・・・の各々の内周面S13・・・、複数の下杵14の各々の上面S14・・・、及び、複数の上杵15・・・の各々の下面S15・・・へ外殻原料粉末を塗布する塗布方法(動作・原理)、及び、回転テーブル12に設けられている複数の臼13・・・、複数の下杵14・・・、及び、複数の上杵15・・・により、成形材料を錠剤化する錠剤の製造方法については、既に、説明したので、ここでは、脈動空気振動波発生装置31により発生させる、正圧の脈動空気振動波の発生工程、定量フィーダ装置61により、脈動空気振動波発生装置31により発生させた、正圧の脈動空気振動波に、外殻原料(粉末)を混和し、分散させる工程、及び、定量フィーダ装置61により、正圧の脈動空気振動波中に混和し、分散された外殻原料粉末が、正圧の脈動空気振動波とともに、外殻原料粉末塗布装置1を構成する塗布装置本体1aの下杵用外殻原料噴霧口h1に接続されている接続口j1まで、導管T4を介して、気力輸送される工程を中心にして説明する。
この外部滑沢式打錠機Aでは、定量フィーダ装置61の粉体材料貯蔵ホッパー62の材料排出口h62aは、材料切出弁66により、閉じられた状態になっている(図39(a)を参照)。
まず、この外部滑沢式打錠機Aを用いて錠剤を製造する際には、既に、説明したように、ロータリ型打錠機11のフィードシュー21に、錠剤化する、成形材料を供給する。
また、定量フィーダ装置61を構成する粉体材料貯蔵ホッパー62内に、粉体材料貯蔵ホッパー62の材料投入口h62bから外殻原料(粉末)を収容する。
次に、粉体材料貯蔵ホッパー62の材料投入口h62bに、蓋体62aを気密に取り付ける。
また、脈動空気振動波変換装置33の回転駆動手段35の回転軸axに、粉体材料貯蔵ホッパー62内に貯留する外殻原料(粉末)の物性に応じて、この外殻原料(粉末)が空気に混和し、分散し易い、波形の正圧の脈動空気振動波を発生させることのできる、凹凸パターンを有する回転カム39を取り付ける。
また、圧力調整弁vp1、vp2を調整する。
また、流量制御装置34を調整する。
また、圧縮空気源32を動作状態にする。
この状態では、脈動空気振動波変換装置33の圧力調整弁40は、開いた状態にされており、圧縮空気源32を駆動することにより発生させた圧縮空気は、導管T1、流量制御装置32、導管T2を介して、脈動空気振動波変換装置33へ至り、圧力調整ポート36cから大気中へと放出され、導管T3内へとは送り込まれないようになっている。
また、レベルセンサーs2を動作状態にする(図29に示す、ステップ1を参照)。
また、筒状管64内に設けられている、圧力センサーs1を動作状態にする(図38に示す、ステップ2を参照)。
また、粉体材料貯蔵ホッパー62に設けられている、圧力センサーs3を動作状態にする(図38に示す、ステップ3を参照)。
この外部滑沢式打錠機Aでは、レベルセンサーs2、圧力センサーs1及び圧力センサーs3がいずれも動作状態にされたことが確認されると、以下の動作が開始される。
定量フィーダ装置61の筒状管64内の弾性体膜65の上には、最初は、外殻原料(粉末)が堆積・貯留されていないので、レベルセンサーs2を動作状態にされると、発光素子s2aから照射された光が、受光素子s2bによって受光される。
この時、演算処理装置111は、弾性体膜65上の外殻原料(粉末)の量(高さ)Hが、しきい値(Hth)以下である(H<Hth)と判断する(ステップ4を参照)。
この場合、演算処理装置111は、圧力調整弁vp3を所定の調整量で、一定時間、開いた状態にし、その後、再び、閉じた状態にする。
圧力調整弁vp3が、開いた状態にされると、圧縮空気源32から供給されてくるガス噴射ノズル手段n、nへ送られ、ガス噴射ノズル手段n、nの各々のガス噴射口hn、hnから、噴射される。ガス噴射口hn、hnの各々は、粉体材料貯蔵ホッパー62の内周面に対し、概ね接線方向を向くように、且つ、一方向を向くように設けられているので、ガス噴射ノズル手段n、nの各々のガス噴射口hn、hnから噴射された、圧縮空気は、粉体材料貯蔵ホッパー62内で、一方向に旋回する、空気流となる(図39(b)を参照)。
このガス噴射ノズル手段n、nの各々のガス噴射口hn、hnから噴射され、粉体材料貯蔵ホッパー62内で、一方向に旋回する、空気流により、たとえ、粉体材料貯蔵ホッパー62のコーン部62cの付近で、外殻原料(粉末)が固結して固結部が生じていたとしても、外殻原料(粉末)のそのような固結部が、砕かれ、且つ、コーン部62cの付近の外殻原料(粉末)中に、空気が含まれた状態となるので、材料切出弁66が材料排出口h62aを開いた状態にされた場合に、材料排出口h62aから粉体材料貯蔵ホッパー62内に貯留された外殻原料(粉末)が、ファンネルフロウを生じることなく、材料排出口h62aからスムーズに定量的に排出されることになる。
演算処理装置111は、ガス噴射ノズル手段n、nからの圧縮空気の噴射が終了したことを確認すると、筒状管64内に設けられている圧力センサーs1の検出値(筒状管64内の圧力Pr64)と、粉体材料貯蔵ホッパー62内に設けられている圧力センサーs3の検出値(粉体材料貯蔵ホッパー62内の圧力Pr62)とを比較する(ステップ7を参照)。
ステップ7において、演算処理装置111が、粉体材料貯蔵ホッパー62内の圧力Pr62が、筒状管64内の圧力Pr64に比べて高い(圧力Pr62>圧力Pr64)と判断した場合には、演算処理装置111は、開閉バルブ(ガス抜き弁)v1が、開いた状態にする。これにより、粉体材料貯蔵ホッパー62内の圧力が下がる。尚、開閉バルブ(ガス抜き弁)v1は、演算処理装置111からの指令によって、粉体材料貯蔵ホッパー62内の圧力Pr62と、筒状管64内の圧力Pr64との圧力が等しくなるまで開いた状態にされ、粉体材料貯蔵ホッパー62内の圧力Pr62と、筒状管64内の圧力Pr64との圧力が等しくなると、閉じた状態にされる(ステップ8を参照)。
ステップ7において、演算処理装置111が、粉体材料貯蔵ホッパー62内の圧力Pr62が、筒状管64内の圧力Pr64に比べて低い(圧力Pr62<圧力Pr64)と判断した場合には、演算処理装置111は、開閉バルブv2を、開いた状態にする。これにより、圧縮空気源32から供給される圧縮空気が、筒状管64内に供給され、筒状管64内の圧力Pr64が高くなる。尚、開閉バルブv2は、粉体材料貯蔵ホッパー62内の圧力Pr62と、筒状管64内の圧力Pr64との圧力が等しくなるまで開いた状態にされ、粉体材料貯蔵ホッパー62内の圧力Pr62と、筒状管64内の圧力Pr64との圧力が等しくなると、閉じた状態にされる(ステップ9を参照)。
ステップ7において、演算処理装置111が、粉体材料貯蔵ホッパー62内の圧力Pr62と、筒状管64内の圧力Pr64とが等しい(圧力Pr62=圧力Pr64)と判断した場合には、演算処理装置111は、3方向弁v3を分岐管T9aを開いた状態にし、分岐管T9bを閉じた状態にする。これにより、材料切出弁66の可動部66aが下方向に移動し、粉体材料貯蔵ホッパー62の材料排出口h62aが開いた状態にされる(図39(c)を参照)。
上述したように、粉体材料貯蔵ホッパー62のコーン部62cの付近の外殻原料(粉末)に固結部が生じていたとしても、そのような固結部は、ガス噴射ノズル手段n、nの各々のガス噴射口hn、hnから噴射された空気によって、崩され、空気を含んだ状態にされているため、粉体材料貯蔵ホッパー62の材料排出口h62aが開いた状態にされると、ファンネルフロウを生じることなく、定量的に、外殻原料(粉末)が、粉体材料貯蔵ホッパー62の材料排出口h62aから筒状管64内へと排出される。
粉体材料貯蔵ホッパー62の材料排出口h62aから筒状管64内へと排出された、外殻原料(粉末)は、弾性体膜65上に堆積して行く。
そして、弾性体膜65上に堆積した外殻原料(粉末)の量(高さH)が、レベルセンサーs2が設けられている位置の高さHthを超えると、発光素子s2aから照射された光が、外殻原料(粉末)により遮られ、受光素子s2bで受光できなくなる(オフになる。)。
この時、演算処理装置111は、3方向弁v3を分岐管T9aを閉じた状態にし、分岐管T9bを開いた状態にする。これにより、材料切出弁66の可動部66aが上方向に移動し、粉体材料貯蔵ホッパー62の材料排出口h62aが閉じた状態にされる。
これにより、材料切出弁66の可動部66aが、上方向に移動して、粉体材料貯蔵ホッパー62の材料排出口h62aが閉じた状態になるので、粉体材料貯蔵ホッパー62内から筒状管64内への外殻原料(粉末)の排出が、停止する。
以上により、筒状管64内の弾性体膜65の上には、外殻原料(粉末)が、弾性体膜65の上から高さHthの位置まで堆積した状態になる。
以上の状態になった後、脈動空気振動波発生装置31を駆動状態にする。
即ち、脈動空気振動波発生装置31の脈動空気振動波変換装置33の回転駆動手段35を所定の回転速度で回転駆動し、この回転駆動手段35の回転軸axに取り付けられている回転カム(図36に示す回転カム39を参照。)を所定の回転速度で回転させる。
回転カム(図36に示す回転カム39を参照。)を所定の回転速度で回転させると、弁体38が、回転カム39に設けられている凹凸パターンに従って、上下運動をし、弁座37を開閉する。
また、圧力調整弁40が、所定の調整量で、閉じられた状態にされる。
これにより、脈動空気振動波変換装置33の空気排出ポート36bから、導管T3内に、所定の周期、振幅、波形及び振動数の、正圧の脈動空気振動波が送出される。
尚、正圧の脈動空気振動波の、周期、振幅、波形及び振動数は、圧縮空気源32の駆動量を適宜調節したり、流量制御装置34を適宜調節したり、脈動空気振動波変換装置33の回転駆動手段35を所定の回転速度を適宜調整したり、余剰外殻原料吸引手段101の駆動量を適宜調整したり、あるいは、これらの少なくとも2つを組み合わせて調整したりすることによって、調整できる。
脈動空気振動波変換装置33の空気排出ポート36bから、導管T3内に送出された、正圧の脈動空気振動波は、導管T3を介して、脈動空気振動波供給口63e1から、定量フィーダ装置61の分散室63内へと供給される。
次に、定量フィーダ装置61の動作について説明する。
図40は、定量フィーダ装置61の弾性体膜65の動作を模式的に示す説明図である。
導管T3内へ供給された、正圧の脈動空気振動波は、脈動空気振動波供給口63e1から分散室63内に供給され、分散室63内で、下方から上方に向かって、竜巻のような渦巻き流のように旋回する、正圧の脈動空気振動波となり、排出口63e2から排出される。
この分散室63内において発生した、旋回する、正圧の脈動空気振動波は、脈動空気振動波としての性質は失われていないため、弾性体膜65は、正圧の脈動空気振動波の周波数、振幅、波形に従って振動する。
例えば、分散室63内に送り込まれる、正圧の脈動空気振動波が山の状態になり、分散室63内の圧力Pr63が、筒状管64内の圧力Pr64に比べて高くなった場合(圧力Pr63>圧力Pr64)には、弾性体膜65は、図40(a)に示すように、その中央部が上方に湾曲した形状に弾性変形する。
この時、貫通孔h65は、断面視した場合、貫通孔h65の上側が開いた、概ねV字形状になり、このV字形状になった貫通孔h65内に、筒状管64内の弾性体膜65上に貯留した外殻原料(粉末)の一部が落下する。
また、この定量フィーダ装置61では、分散室63と筒状管64との間に、新たに、バイパス管Tvを設けているので、弾性体膜65は、その初期の張り状態を中立状態にして、上下のほぼ均等の振幅で、上下振動するので、振動が精度よく行える。
即ち、この定量フィーダ装置61では、筒状管64と分散室63との間の空気流通路を、弾性体膜65に設けられた貫通孔h65と、バイパス管Tvの2系統にしているので、空気は、流通し易い方を通じて、筒状管64と分散室63との間を流れる。
即ち、図40(a)に示したように、弾性体膜65の貫通孔h65を通じて、分散室63から筒状管64へ空気が流入する際には、バイパス管Tv内に、筒状管64から分散室63へと流れる気流が発生するため、バイパス管Tvが無いものに比べ、弾性体膜65の貫通孔h65を通じて、分散室63から筒状管64へ空気が流入が、スムーズに行われる。
次いで、分散室63内に送り込まれる、正圧の脈動空気振動波が、その振幅の谷に向かうにつれ、分散室63内の圧力Pr63と、筒状管64内の圧力Pr64とが等しくなってくると(圧力Pr63=圧力Pr64)には、弾性体膜65は、その復元力により、その中央が上方向に湾曲した形状から、元の状態に戻ってくる。この時、貫通孔h65の形状も、上側が開いた、概ねV字形状から元の形状に戻るが、貫通孔h65が、上側が開いた、概ねV字形状になった際に、貫通孔h65内に落下した、粉体材料が、貫通孔h65に挟み込まれた状態になる(図40(b)を参照)。
この定量フィーダ装置1では、筒状管64と分散室63との間の空気流通路を、弾性体膜65に設けられた貫通孔h65と、バイパス管Tvの2系統にしているので、空気は、流通し易い方を通じて、筒状管64と分散室63との間を流れる。
即ち、分散室63と筒状管64との間における空気の流通が、バイパス管Tvと、弾性体膜65に設けられた貫通孔h65との双方の協働によって行われるため、分散室63内の圧力Pr63と、筒状管64の圧力Pr65とが、バイパス管Tvが無いものに比べ、速く平衡状態になる。
このことを、別の表現で説明すると、図40(b)に示したように、弾性体膜65の貫通孔h65を通じて、筒状管64から分散室63へ空気が流入する際には、貫通孔h65が閉塞しても、バイパス管Tvを通じて、筒状管64から分散室63へと空気が流れるため、バイパス管Tvが無いものに比べ、分散室63の圧力と筒状管64の圧力とが、速やかに平衡状態になる。
次いで、分散室63内に供給されている、正圧の脈動空気振動波が、その振幅の谷になり、分散室63の圧力が、低くなると、弾性体膜65は、その中央が下方向に湾曲した形状に、弾性変形する。この時、貫通孔h65は、断面視した場合、下側が開いた、概ね逆V字形状になる。そして、貫通孔h65が、概ね逆V字形状になった際に、貫通孔h65内に挟み込まれていた、粉体材料が、分散室63内に落下する(図40(c)を参照)。
分散室63内へ、貫通孔h65内に挟み込まれていた、粉体材料が、排出される際に、この装置1では、筒状管64と分散室63との間の空気流通路を、弾性体膜65に設けられた貫通孔h65と、バイパス管Tvの2系統にしているので、空気は、流通し易い方を通じて、筒状管64と分散室63との間を流れる。
即ち、図40(c)に示したように、弾性体膜65が、その中央が下方に湾曲した形状となり、筒状管64の体積が大きくなった際には、バイパス管Tvを通じて、分散室63から筒状管64へ、空気が流れ込むため、貫通孔h65を通じての、分散室63から筒状管64への空気の流れ込みは、生じない。これにより、貫通孔h65を通じての粉体材料の排出が、バイパス管Tvが無いものに比べ、スムーズに行われる。
このように、この定量フィーダ装置61では、分散室63内に、正圧の脈動空気振動波を供給した際に、筒状管64内の圧力と分散室63内の圧力との平衡になるのに要する時間が速くなり、正圧の脈動空気振動波の振動に対して、弾性体膜がの上下の振動の応答性が優れている。この結果、貫通孔h65を通じて行われる粉体の排出が、正圧の脈動空気振動波に応答して、定量的に、行われる。
更に、この定量フィーダ装置61では、分散室63内へ落下した外殻原料(粉末)は、分散室63内を旋回している、正圧の脈動空気振動波に混和し、分散し、流動化して、排出口63e2より、正圧の脈動空気振動波とともに、導管T4内へ送り出される。
導管T4内へ、正圧の脈動空気振動波に混和し、分散した状態で送り出された、外殻原料(粉末)は、正圧の脈動空気振動波により気力輸送され、導管T4の他端(図26に示す導管T4の他端T4b)から、外殻原料粉末塗布装置1内へと供給される。
次に、ロータリ型打錠機11を駆動する。
外殻原料粉末塗布装置1による、ロータリ型打錠機11の回転テーブル12に設けられている臼13・・・の各々の表面(内周面)S13・・・への外殻原料(粉末)の塗布状態、下杵14・・・の各々の表面(上面)S14・・・への外殻原料(粉末)の塗布状態、及び、上杵15・・・の各々の表面(上面)S15・・・への外殻原料(粉末)の塗布状態が、最適になれば、フィードシュー21から、臼13・・・の各々内へ、成形材料を供給し、臼13・・・の各々と、臼13・・・の各々と組になる下杵14・・・及び上杵15・・・を用いて、成形材料を圧縮成形して、錠剤t・・・を連続的に製造する。
外殻原料粉末塗布装置1による、ロータリ型打錠機11の回転テーブル12に設けられている臼13・・・の各々の表面(内周面)S13・・・、下杵14・・・の各々の表面(上面)S14・・・、及び、上杵15・・・の各々の表面(上面)S15・・・への外殻原料(粉末)の塗布を行っている間、圧力センサーs1、レベルセンサーs2及び圧力センサーs3は動作状態にされ、レベルセンサーs2の発光素子s2aより照射された光を受光素子s2bが受光すると、図38及び図39に示した手順により、粉体材料貯蔵ホッパー62の材料排出口h62aに設けられている材料切出弁66が開き、材料排出口h62aから、粉体材料貯蔵ホッパー62内に貯留した外殻原料(粉末)の筒状管64への排出が行われ、レベルセンサーs2の発光素子s2aより照射された光を受光素子s2bが受光しなくなると、粉体材料貯蔵ホッパー62の材料排出口h62aに設けられている材料切出弁66が閉じた状態となり、粉体材料貯蔵ホッパー62内に貯留した外殻原料(粉末)の筒状管64への排出が停止するという動作が繰り返し行われ、これにより、外殻原料粉末塗布装置1による、ロータリ型打錠機11の回転テーブル12に設けられている臼13・・・の各々の表面(内周面)S13・・・、下杵14・・・の各々の表面(上面)S14・・・、及び、上杵15・・・の各々の表面(上面)S15・・・への外殻原料(粉末)の塗布を行っている間、筒状管64内の弾性体膜65上の外殻原料(粉末)の量(高さH)が、常に、一定量(一定の高さHth)に維持されるようになっている。
尚、外殻原料粉末塗布装置1による、ロータリ型打錠機11の回転テーブル12に設けられている臼13・・・の各々の表面(内周面)S13・・・、下杵14・・・の各々の表面(上面)S14・・・、及び、上杵15・・・の各々の表面(上面)S15・・・への外殻原料(粉末)の塗布方法、及び、ロータリ打錠機11の動作については、既に、詳しく説明したので、ここでの説明は、省略する。
この定量フィーダ装置61では、弾性体膜65の、その中央部を振動の腹として、外周部を振動の節とする、上下方向の振動は、分散室63内へ供給される、正圧の脈動空気振動波の周波数、振幅、波形に従って、一義的に振動する。従って、分散室63内へ供給される、正圧の脈動空気振動波を一定にしている限り、常に、一定量の外殻原料(粉末)が、弾性体膜65の貫通孔h65を通じて、分散室63内へ精度良く排出されるので、この定量フィーダ装置61は、例えば、一定量の粉体(この例では、外殻原料(粉末))を、目的とする場所(この例では、外殻原料粉末塗布装置1)に供給する装置として優れている。
また、この定量フィーダ装置61には、分散室63内へ供給する正圧の脈動空気振動波の周波数、振幅、波形を制御すれば、目的とする場所(この例では、外殻原料粉末塗布装置1)に供給する粉体(この例では、外殻原料(粉末))の量を容易に変更することができるという利点をも合わせ持っている。
更に、この定量フィーダ霧装置61では、分散室63内において、正圧の脈動空気振動波を、下方から上方に向かう旋回流にしているので、分散室63内に排出された粉体(この例では、外殻原料(粉末))中に、たとえ、凝集した粒径の大きい粒子が含まれていたとしても、その多くは、分散室63内を旋回している、正圧の脈動空気振動波に巻き込まれることにより、小さな粒径になるまで分散される。
のみならず、この定量フィーダ装置61では、分散室63内において、正圧の脈動空気振動波を、下方から上方に向かう旋回流にしているため、分散室63は、サイクロンと同様の、分粒機能を有している。これにより、概ね所定の粒径の粉体(この例では、外殻原料(粉末))が、排出口63e2から導管T2内へと排出される。一方、凝集した粒径の大きい粒子は、分散室63内の下方の位置を旋回し続け、分散室63内を旋回している、正圧の脈動空気振動波に巻き込まれることにより、所定の粒径まで分散されてから、排出口63e2から、導管T2内へと排出される。
従って、この定量フィーダ装置61を用いれば、目的とする場所(この例では、外殻原料粉末塗布装置1)に、粒径の揃った粉体(この例では、外殻原料(粉末))の一定量を供給できるという利点もある。
また、導管T4内へ供給された粉体(この例では、外殻原料(粉末))は、導管T4の他端T4bまで、正圧の脈動空気振動波により気力輸送されることになる。
これにより、この定量フィーダ装置61では、導管T4内へ供給された粉体(この例では、外殻原料(粉末))を、導管T4の他端T4bまで、一定流量の定常圧空気により気力輸送するような装置に見られるような、導管T4内における、粉体の堆積現象や、導管T4内における、粉体の吹き抜け現象が発生し難い。
したがって、この定量フィーダ装置61では、分散室63の排出口63e2から導管T4内へ排出された当初の粉体(この例では、外殻原料(粉末))の濃度が維持された状態で、粉体(この例では、外殻原料(粉末))が、導管T4の他端T4bから排出されるので、導管T4の他端T4bから噴霧される粉体(この例では、外殻原料(粉末))の定量性を精密にコントロールすることができる。
更に、この定量フィーダ装置61では、粉体材料噴霧装置1を動かしている間、弾性体膜65上に、常に、概ね、一定量(レベルセンサーs2を設ける位置(弾性体膜65からレベルセンサーs2の設けられる位置の高さHth)の粉体(この例では、外殻原料(粉末))が存在するようにしているので、弾性体膜65の貫通孔h65から排出される粉体(この例では、外殻原料(粉末))の排出量が、弾性体膜65上に存在する、粉体(この例では、外殻原料(粉末))の量が変動することで、変動するという現象が生じない。これによっても、この定量フィーダ装置61は、例えば、一定量の粉体(この例では、外殻原料(粉末))を、目的とする場所(この例では、外殻原料粉末塗布装置1)に供給する装置として優れている。
また、この定量フィーダ装置61を用いれば、分散室63内に、たとえ、大粒の粉体(この例では、外殻原料(粉末))が排出されたとしても、その大部分が、分散室63内を旋回している、正圧の脈動空気振動波に巻き込まれることにより、所定の粒径まで砕かれて、排出口63e2から、導管T4内へと排出されるため、分散室63内に、大粒の粉体(この例では、外殻原料(粉末))が堆積し難い。
これにより、この定量フィーダ装置61では、この定量フィーダ装置61を、長時間、駆動しても、分散室63内に、粉体(この例では、外殻原料(粉末))が堆積することが無いため、分散室63内を清掃する作業回数を減らすことができる。
したがって、この定量フィーダ装置61を備える外部滑沢式打錠機Aには、外部滑沢式打錠機Aを用いて、連続打錠を行っている最中に、分散室63内を清掃する作業が、殆ど不要となる。このため、外部滑沢式打錠機Aを用いれば、外部滑沢錠剤(錠剤の内部に、外殻原料粉末を含まない錠剤)を、効率良く、製造することができるという効果もある。
のみならず、この粉体材料噴霧装置1では、弾性体膜65を、図31、図32及び図33に示した弾性体膜取付具71を用いることにより、張った状態にしているので、弾性体膜65の弛みが原因となって、この定量フィーダ装置61の定量性が損なわれることもない。
これにより、この外部滑沢式打錠機Aの演算処理措置111の記憶部に、錠剤の製造条件を記憶させれば、演算処理措置11の記憶部に記憶させた錠剤の製造条件に従って、所望の外部滑沢錠を長時間に亘って、安定して生産することができる。
尚、この外部滑沢式打錠機Aでは、錠剤tを製造している間、適宜、光透過式濃度測定装置91により、測定セル92内を通過する外殻原料(粉末)をモニターすることで、外殻原料粉末塗布装置1内の外殻原料(粉末)の濃度等が調節できるようにされているが、この外部滑沢式打錠機Aでは、上述したように、測定セル92へ付着している外殻原料(粉末)の影響分(ノイズ)を測定する際に、脈動空気振動波発生装置31定量フィーダ装置61、ロータリ型打錠機11及び余剰外殻原料吸引手段101を停止する必要が無いため、錠剤を、生産効率良く、製造することができるという効果もある。
尚、脈動空気振動波発生装置31を構成する脈動空気振動波変換装置33として、回転カム39を回転させることにより、弁体38を、回転カム39に設けられた凹凸パターンに従って、上下に移動させ、弁体38により、弁座37を開閉することで、所望の正圧の脈動空気振動波を導管T3内に供給するようにしたものについて説明したが、これは、所望の正圧の脈動空気振動波を、正確に、導管T3内に供給できるようにした、好ましい例を示したに過ぎず、脈動空気振動波変換装置としては、例えば、図41に例示するようなロータリ型の脈動空気振動波変換装置31Aや、図42に例示するようなロータリ型の脈動空気振動波変換装置31Bを用いてもよい。
図41に示す脈動空気振動波発生装置31Aは、図36に示す脈動空気振動波発生装置31とは、脈動空気振動波変換装置の構成が異なっている以外は、同様の構成であるので、相当する部材装置については、相当する参照符号を付して、その説明を省略する。
脈動空気振動波発生装置31Aの脈動空気振動波変換装置33Aは、円筒形の筒状体122と、筒状体122内の中空室123を概ね2分割するように、筒状体122の中心軸を回転軸122aとして、回転軸122aに取り付けられたロータリ弁124とを備える。回転軸122aは、電動モータ等の回転駆動手段(図示せず。)により、所定の回転速度で回転するようになっている。
筒状体122の外周壁には、導管T2と、導管T3とが、所定の隔たりを設けて、接続されている。
脈動空気振動波発生装置31Aを用いて、導管T3内に、所望の正圧の脈動空気振動波を供給する際には、圧縮空気源32を駆動して、導管T1内に、所定の圧縮空気を供給する。流量制御装置34が設けられている場合にあっては、流量制御装置34を適宜調節することで、導管T2内へ供給する圧縮空気の流量を調節する。
また、電動モータ等の回転駆動手段(図示せず。)により、回転軸122aを所定の回転速度で回転させることで、回転軸122aに取り付けられたロータリ弁124を所定の回転速度で回転させる。
すると、例えば、ロータリ弁124が実線で示すような位置にあるときは、導管T2と、導管T3との間が導通状態になっているので、圧縮空気源32より発生させた圧縮空気は、導管T2から導管T3へと供給される。
また、例えば、ロータリ弁124が想像線で示すような位置にあるときは、導管T2と、導管T3との間が、ロータリ弁124により、遮断された状態になる。
この時、筒状体122内の、ロータリ弁124により仕切られた一方の空間Sp1には、導管T2から圧縮空気が供給され、この空間Sp1では空気の圧縮が行われる。
一方、筒状体122内の、ロータリ弁124により仕切られた一方の空間Sp2では、空間Sp2内に蓄えられていた圧縮空気が、導管T3内へと供給される。
このような動作が、ロータリ弁93の回転により繰り返し行われることにより、導管T3内へ、正圧の脈動空気振動波が送られる。
次に、図42に示す脈動空気振動波発生装置31Bについて、概略的に説明する。
図42は、脈動空気振動波発生装置31Bを、概略的に示す分解斜視図である。
尚、図42に示す脈動空気振動波発生装置31Bは、図36に示す脈動空気振動波発生装置31とは、脈動空気振動波変換装置33Bの構成が異なっている以外は、同様の構成であるので、相当する部材装置については、相当する参照符号を付して、その説明を省略する。
脈動空気振動波発生装置31Bの脈動空気振動波変換装置33Bは、円筒形の筒状体132と、筒状体132内に、回転可能に設けられた回転弁体133とを備える。
筒状体132は、一方端132e1が開口し、他方端132e2が、蓋体132cにより閉じられた構造になっており、その側周面には、吸気口132aと、送波口132bとを備える。
吸気口132aには、圧縮空気源(図26に示す圧縮空気源32を参照)に接続される導管T2が接続され、送波口132bには、定量フィーダ装置61に接続される導管T3が接続される。
尚、図42中、132dで示す部分は、回転弁体133を枢着する回転軸受け孔を示している。
回転弁体133は、中空h133aを有する円筒形状をしており、その側周面S133には、開口部h133b、h133bが設けられている。また、回転弁体133は、一方端133e1が、開口しており、他方端133e2が、蓋体133cにより閉じられた構造になっている。
また、回転弁体133は、その回転中心軸に、回転軸134が延設されている。回転軸134には、電動モータ等の回転駆動手段(図示せず。)が接続されており、回転駆動手段(図示せず。)を駆動すると、回転弁体133が、回転軸134を中心にして回転するようになっている。
回転弁体133の側周面S133の外径は、筒状体132の内径に概ね一致しており、回転弁体133を、筒状体132内に収容し、回転弁体133を回転させると、回転弁体133の側周面S133が、筒状体132の内周面に沿って摺動するようになっている。
尚、図42中、133dで示す部分は、筒状体132の蓋体132cに設けられている回転軸受け孔132dに回転可能に収容される回転軸を示している。
回転弁体133は、筒状体132内に、回転軸133dを回転軸受け孔132dに取り付けた状態で、回転可能に設けられている。
脈動空気振動波発生装置31Bを用いて、導管T3内に、所望の正圧の脈動空気振動波を供給する際には、圧縮空気源32を駆動して、導管T1及び導管T2内へ圧縮空気を供給する。
また、電動モータ等の回転駆動手段(図示せず。)により、回転軸134を所定の回転速度で回転させることで、回転弁体133を所定の回転速度で回転させる。
すると、例えば、回転弁体133の開口部h133aが、送波口132bの位置にある時には、導管T2と導管T3との間が導通状態になり、この時、導管T3に圧縮空気が送り出される。
また、例えば、回転弁体133の側周面S133が、送波口132bの位置にある時は、導管T2と導管T3との間が、側周面S133により遮断されるので、この時、導管T3内に圧縮空気が送り出されない。
このような動作が、回転弁体133の回転により繰り返し行われることにより、導管T3内へ、正圧の脈動空気振動波が送られる。
尚、正圧の脈動空気振動波の減衰する性質を考慮した場合には、脈動空気振動波発生装置から、オンオフがはっきりした切れの良い、正圧の脈動空気振動波を発生する方が好ましい。このようなオンオフがはっきりした切れの良い、正圧の脈動空気振動波を発生するには、どちらかというと、図41に例示するようなロータリ型の脈動空気振動波変換装置33Aや、図42に例示するようなロータリ型の脈動空気振動波変換装置33Bよりも、図36に示すような回転カム型の脈動空気振動波変換装置31を用いる方が好ましい。
また、上述した発明の実施の形態では、粉体材料貯蔵ホッパー62内に、外殻原料(粉末)を貯留した場合を例にして説明したが、定量フィーダ装置61は、外殻原料噴霧用の外殻原料粉末塗布装置に限られることはなく、種々の粉体の定量フィーダ装置として用いることができる。
例えば、定量フィーダ装置61を、射出成形機の金型近傍位置に付設し、粉体材料貯蔵ホッパー62内に、離形剤(粉末)を貯留し、射出成形機の、ノズルタッチ工程、型締めされた金型内へ溶融樹脂を射出する射出工程、金型内へ射出された溶融樹脂を冷却する冷却工程、及び、金型を開いて、金型内で成形された樹脂成型品を取り出す、取り出し工程の射出成形サイクルにおいて、金型の鋳型面へ樹脂成型品が付着するのを防止するために、取り出し工程において、金型が開かれ、金型内で、成形された樹脂成型品を取り出しが行われた直後に、可動型及び固定型の間の型締めエリア内に、ロボット手段等により定量フィーダ装置61の噴霧口T4bを接近させて、可動型の鋳型面及び固定型の鋳型面の各々に、離形剤(粉末)を噴霧し、その後、可動型と固定型との間の型締めエリア内から、噴霧口T4bを型締めエリア外へ退避させるようにした、射出成形金型用の離形剤噴霧用定量フィーダ装置として、好適に用いることができる。
また、定量フィーダ装置31の粉体材料貯蔵ホッパー62内に、食品、樹脂、化学物質等の各種粉体を収容すれば、定量フィーダ装置31を、そのような粉体の定量フィーダ装置として使用することができる。
次に、具体的な実験データに基づいて、本発明を説明する。
(実験例1)
実験例1として、図26に示す外部滑沢式打錠機Aを用い、圧縮成形物(錠剤)の表面に、ショ糖脂肪酸エステルからなる外殻tbを形成した圧縮成形物(錠剤)を作製した。
尚、外部滑沢式打錠機Aを構成するロータリ型打錠機81としては、HT−X−20SS−UW型,杵20本立て(畑製作所製)を使用した。
また、杵型としては、直径が、11mmで、2段R面を有するものを使用した。
また、この圧縮成形物(錠剤)を製造する際には、定量フィーダ装置51の粉体材料貯蔵ホッパー52内に、ショ糖脂肪酸エステル粉末(商品名:「DKエステルF20W」、第一工業製薬株式会社製)を貯留し、ロータリ型打錠機81の回転速度を、15rpmとし、正圧の脈動空気振動波を用い、外殻原料粉末噴霧装置1へ、ショ糖脂肪酸エステル粉末(商品名:「DKエステルF20W」、第一工業製薬株式会社製)の平均噴霧量が、7236mg/分(min.)となるようにして、生菌製剤(乾燥凍結粉砕物,商品名:FDビフィズスATK,協和発酵工業株式会社製)10重量部に、ショ糖脂肪酸エステルが、0.4重量部、賦形剤として、マルトース顆粒(商品名:「サンマルトシロ」、株式会社林原商事社製)と、乳糖(商品名:「タブレトース」、メグレ・ジャパン株式会社製)とを、重量比で、4:6に混合したものを用い、全体を100重量部となるようにして、ショ糖脂肪酸エステルの外殻tbを有する圧縮成形物(錠剤)を打錠した。
尚、一錠の重量は、450mgであった。
打錠条件としては、予圧杵先間隔を5.92mmに固定し、本圧杵先間隔を2.00mmとした。
次に、以上により製造した、外殻tbを有する圧縮成形物(錠剤)の摩損度試験を行った。
より詳しくは、外殻tbを有する圧縮成形物(錠剤)の14錠を試料とし、摩損度試験機PTF−10E型(PHARNMATEST社製)を使用した。
試験は、外殻tbを有する圧縮成形物(錠剤)の14錠を摩損度試験機PTF−10E型(PHARNMATEST社製)のドラム内に収容した後、このドラムを摩損度試験機PTF−10E型(PHARNMATEST社製)の本体に装着し、ドラムを毎分25回転で、4分間回転した後の、圧縮成形物(錠剤)の摩損状態を目視試験によって調べた。
結果を表1に示す。
(比較例)
比較例として、ロータリ型打錠機として、外部滑沢式打錠機Aを構成するロータリ型打錠機(HT−X−20SS−UW型,杵20本立て(畑製作所製))を使用し、ロータリ型打錠機11の回転速度を、15rpmとし、生菌製剤(乾燥凍結粉砕物,商品名:FDビフィズスATK,協和発酵工業株式会社製)10重量部に、ショ糖脂肪酸エステルを5重量部、賦形剤として、マルトース顆粒(商品名:「サンマルトシロ」、株式会社林原商事社製)と、乳糖(商品名:「タブレトース」、メグレ・ジャパン株式会社製)とを、重量比で、4:6に混合したものを用い、全体を100重量部となるようにし、ショ糖脂肪酸エステルを予め配合した成形材料を、通常の内部滑沢法で打錠し、外観形状が、視認によっては、実験例の錠剤と差異が無い、圧縮成形物(錠剤)を製造した。
尚、一錠の重量は、450mgであった。
打錠条件としては、予圧杵先間隔を5.92mmに固定し、本圧杵先間隔を2.00mmとした。
次に、以上により製造した、圧縮成形物(錠剤)の摩損度試験を行った。
より詳しくは、外殻tbを有する圧縮成形物(錠剤)の14錠を試料とし、摩損度試験機PTF−10E型(PHARNMATEST社製)を使用した。
試験は、外殻tbを有する圧縮成形物(錠剤)の14錠を摩損度試験機PTF−10E型(PHARNMATEST社製)のドラム内に収容した後、このドラムを摩損度試験機PTF−10E型(PHARNMATEST社製)の本体に装着し、ドラムを毎分25回転で、4分間回転した後の、圧縮成形物(錠剤)の摩損状態を目視試験によって調べた。
結果を、表1に示す。
【表1】
表1の結果から、本発明に係る、外殻tbを有する圧縮成形物(錠剤)では、摩損試験後、錠剤の表面に欠けが認められなかったのに対し、比較例では、14錠中、11例に、錠剤の表面に欠けが認められた。
また、実験例の圧縮成形物(錠剤)と、比較例(錠剤)とを、無作為抽出した、ボランティアに、ダブルブラインド試験(DBT)で、実際に口腔内で咀嚼して服用してもらった所、実験例の圧縮成形物(錠剤)と、比較例(錠剤)とは、味が、実験例の圧縮成形物(錠剤)の方が、比較例(錠剤)に比べ、苦みが著しく少ないことが明らかになった。
(実験例2)
実験例として、図26に示す外部滑沢式打錠機Aを用い、生菌類含有圧縮成形物(錠剤)の表面に、ショ糖脂肪酸エステルからなる外殻tbを形成した生菌類含有圧縮成形物(錠剤)を作製した。
より詳しく説明すると、生菌類として、FDビフィズスATK(協和醗酵工業株式会社製のビフィズス菌を含有する生菌製剤)を使用した。
まず、FDビフィズスATK(協和醗酵工業株式会社製)10重量部と、賦形剤として、マルトース(商品名:「サンマルトシロ」(株式会社林原商事製)と乳糖(商品名:「タブレットース」、メグレ・ジャパン株式会社製)とを重量比で、4:6に混合したものを用い、成形材料を準備した。
次に、外部滑沢式打錠機Aを用い、錠剤表面に、外殻を有する、生菌類含有圧縮成形物(錠剤)を製造した。
外殻を形成する材料としては、ショ糖脂肪酸エステル粉末(商品名:「DKエステルF20W」、第一工業製薬株式会社製)を用いた。
以上により製造した、外殻tbを有する生菌類含有圧縮成形物(錠剤)は、FDビフィズスATK(協和醗酵工業株式会社製)が10重量部で、外殻が0.4重量部で、残部が、賦形剤(マルトース(商品名:「サンマルトシロ」(株式会社林原商事製)と乳糖(商品名:「タブレットース」、メグレ・ジャパン株式会社製)とを重量比で、4:6に混合したもの)で構成され、全体が、100重量部となるように調整した。尚、1錠当たりの重量は、450mgであった。
また、外部滑沢式打錠機Aを構成するロータリ型打錠機11としては、HT−X−20SS−UW型,杵20本立て(畑製作所製)を使用した。
また、杵型としては、直径が、11mmで、2段R面を有するものを使用した。
また、この生菌類含有圧縮成形物(錠剤)を製造する際には、定量フィーダ装置61の粉体材料貯蔵ホッパー62内に、ショ糖脂肪酸エステル粉末(商品名:「DKエステルF20W」、第一工業製薬株式会社製)を貯留し、ロータリ型打錠機11の回転速度を、15rpmとし、正圧の脈動空気振動波を用い、外殻原料粉末噴霧装置1へ、ショ糖脂肪酸エステル粉末の平均噴霧量が、7236mg/分(min.)となるようにした。
打錠条件としては、予圧杵先間隔を5.92mmに固定し、本圧杵先間隔を2.00mmとした。
(比較例)
比較例として、FDビフィズスATK(協和醗酵工業株式会社製)10重量部と、ショ糖脂肪酸エステル粉末(商品名:「DKエステルF20W」、第一工業製薬株式会社製)5重量部と、賦形剤として、マルトース(商品名:「サンマルトシロ」(株式会社林原商事製)と乳糖(商品名:「タブレットース」、メグレ・ジャパン株式会社製)とを重量比で、4:6に混合した成形材料を準備した。
次に、上記において準備した、FDビフィズスATK(協和醗酵工業株式会社製)と、ショ糖脂肪酸エステル粉末と、マルトース(商品名:「サンマルトシロ」(株式会社林原商事製)と、乳糖(商品名:「タブレットース」、メグレ・ジャパン株式会社製)とを混合した成形材料を圧縮成形して生菌類含有圧縮成形物(錠剤)を製造した。
ロータリ型打錠機11としては、HT−X−20SS−UW型,杵20本立て(畑製作所製)を使用した。
また、杵型としては、直径が、11mmで、2段R面を有するものを使用した。
尚、1錠当たりの重量は、450mgであった。
(生菌類の生存菌数試験)
次に、以上により製造した、実験例の錠剤(外殻tbを有する生菌類含有圧縮成形物(錠剤))と、比較例の錠剤とについて、日健協のビフィズス菌測定法に準じて、各々の錠剤中に含まれる、生菌数を測定した。
結果を表2に示す。
【表2】
表2の結果から明らかなように、実験例の錠剤の方が、比較例の錠剤に比べ、生菌類の生存率が、有意に高いことが明らかになった。
(摩損試験)
次に、以上により製造した、実験例の錠剤(外殻tbを有する生菌類含有圧縮成形物(錠剤))と、比較例の錠剤の摩損度試験を行った。
より詳しくは、外殻tbを有する生菌類含有圧縮成形物(錠剤)の14錠を試料とした。
また、比較例の錠剤の14錠を試料とした。
摩損試験では、摩損度試験機PTF−10E型(PHARNMATEST社製)を使用した。
試験は、外殻tbを有する生菌類含有圧縮成形物(錠剤)の14錠を摩損度試験機PTF−10E型(PHARNMATEST社製)のドラム内に収容した後、このドラムを摩損度試験機PTF−10E型(PHARNMATEST社製)の本体に装着し、ドラムを毎分25回転で、4分間回転した後の、生菌類含有圧縮成形物(錠剤)の摩損状態を目視試験によって調べた。
同様に、比較例の錠剤の14錠を摩損度試験機PTF−10E型(PHARNMATEST社製)のドラム内に収容した後、このドラムを摩損度試験機PTF−10E型(PHARNMATEST社製)の本体に装着し、ドラムを毎分25回転で、4分間回転した後の、生菌類含有圧縮成形物(錠剤)の摩損状態を目視試験によって調べた。
結果を表3に示す。
【表3】
表3の結果から、本発明に係る、外殻tbを有する生菌類含有圧縮成形物(錠剤)では、摩損試験後、錠剤の表面に欠けが認められなかったのに対し、比較例では、14錠中、11例に、錠剤の表面に欠けが認められた。
また、実験例の生菌類含有圧縮成形物(錠剤)と、比較例(錠剤)とを、無作為抽出した、ボランティアに、ダブルブラインド試験(DBT)で、実際に口腔内で咀嚼して服用してもらった所、実験例の生菌類含有圧縮成形物(錠剤)と、比較例(錠剤)とは、味が、実験例の生菌類含有圧縮成形物(錠剤)の方が、比較例(錠剤)に比べ、苦みが著しく少ないことが明らかになった。
(実験例3)
実験例3として、図26に示す外部滑沢式打錠機Aを用い、マイクロカプセル含有圧縮成形物(錠剤)の表面に、ショ糖脂肪酸エステルからなる外殻tbを形成したマイクロカプセル含有圧縮成形物(錠剤)を作製した。
より詳しく説明すると、マイクロカプセルとして、バイオカロチン08ビーズ(協和醗酵工業株式会社製のβ−カロチン含有マイクロカプセル))を使用した。
まず、バイオカロチン08ビーズ(協和醗酵工業株式会社製)5重量部と、賦形剤として、マルトース(商品名:「サンマルトシロ」(株式会社林原商事製)とを混合した成形材料を準備した。
次に、外部滑沢式打錠機Aを用い、錠剤表面に、外殻を有する、マイクロカプセル含有圧縮成形物(錠剤)を製造した。
外殻を形成する材料としては、ショ糖脂肪酸エステル粉末(商品名:「DKエステルF20W」、第一工業製薬株式会社製)を用いた。
以上により製造した、外殻tbを有するマイクロカプセル含有圧縮成形物(錠剤)は、バイオカロチン08ビーズ(協和醗酵工業株式会社製)が5重量部で、外殻が0.4重量部で、残部が、賦形剤で構成され、全体が、100重量部となるように調整した。尚、1錠当たりの重量は、450mgであった。
また、外部滑沢式打錠機Aを構成するロータリ型打錠機11としては、HT−X−20SS−UW型,杵20本立て(畑製作所製)を使用した。
また、杵型としては、直径が、11mmで、2段R面を有するものを使用した。
また、このマイクロカプセル含有圧縮成形物(錠剤)を製造する際には、定量フィーダ装置61の粉体材料貯蔵ホッパー62内に、ショ糖脂肪酸エステル粉末(商品名:「DKエステルF20W」、第一工業製薬株式会社製)を貯留し、ロータリ型打錠機11の回転速度を、15rpmとし、圧の脈動空気振動波を用い、外殻原料粉末噴霧装置1へ、ショ糖脂肪酸エステル粉末の平均噴霧量が、7236mg/分(min.)となるようにした。
打錠条件としては、予圧杵先間隔を5.92mmに固定し、本圧杵先間隔を2.00mmとした。
(比較例)
比較例として、バイオカロチン08ビーズ(協和醗酵工業株式会社製)5重量部と、ショ糖脂肪酸エステル粉末(商品名:「DKエステルF20W」、第一工業製薬株式会社製)5重量部と、賦形剤として、マルトース(商品名:「サンマルトシロ」(株式会社林原商事製)とを混合した成形材料を準備した。
次に、上記において準備した、バイオカロチン08ビーズと、ショ糖脂肪酸エステル粉末と、マルトース(商品名:「サンマルトシロ」(株式会社林原商事製)とを混合した成形材料を圧縮成形して圧縮成形物(錠剤)を製造した。
ロータリ型打錠機11としては、HT−X−20SS−UW型,杵20本立て(畑製作所製)を使用した。また、杵型としては、直径が、11mmで、2段R面を有するものを使用した。尚、1錠当たりの重量は、450mgであった。
(マイクロカプセルの損傷度試験)
次に、以上により製造した、実験例の錠剤(外殻tbを有するマイクロカプセル含有圧縮成形物(錠剤))の所定数量を乳鉢ですりつぶし、すりつぶした粉を、4.5g採り、シクロヘキサンに溶解し、全体容量を、50mlにした。
次に、以上のようにして調整した溶液を、室温、暗所で、30分間放置した後、濾過し、濾液中の、OD445nmを測定した。
また、比較例の錠剤(バイオカロチン08ビーズと、ショ糖脂肪酸エステル粉末と、マルトース(商品名:「サンマルトシロ」(株式会社林原商事製)とを混合した成形材料を圧縮成形して圧縮成形物(錠剤))の所定数量を乳鉢ですりつぶし、すりつぶした粉を、4.5g採り、シクロヘキサンに溶解し、全体容量を、50mlにした。
次に、以上のようにして調整した溶液を、室温、暗所で、30分間放置した後、濾過し、濾液中の、OD445nmを測定した。
尚、OD445nm値の上昇は、壊れたマイクロカプセルから溶出したβ−カロチンの量と、正の相関関係を有する。結果を表4に示す。
【表4】
表4の結果から明らかなように、マイクロカプセルからのβ−カロチンの溶出量(OD値)は、実験例の錠剤の方が、比較例の錠剤に比べて、有意に少なかった。
また、実験例の錠剤の方が、打錠圧が高い場合であっても、マイクロカプセルからのβ−カロチンの溶出量(OD値)の上昇が抑えられた。
今回、使用した、バイオカロチン08ビーズは、このマイクロカプセル自体が、打錠耐性を有しているので、実験例と比較例との差は、表1のようになったが、打錠耐性を有していないマイクロカプセルを用いれば、実験例と比較例との差は、尚、一層、顕著になるものと思われる。
(摩損試験)
次に、以上により製造した、実験例の錠剤(外殻tbを有するマイクロカプセル含有圧縮成形物(錠剤))と、比較例の錠剤の摩損度試験を行った。
より詳しくは、外殻tbを有するマイクロカプセル含有圧縮成形物(錠剤)の14錠を試料とした。
また、比較例の錠剤の14錠を試料とした。
摩損試験では、摩損度試験機PTF−10E型(PHARNMATEST社製)を使用した。
試験は、外殻tbを有するマイクロカプセル含有圧縮成形物(錠剤)の14錠を摩損度試験機PTF−10E型(PHARNMATEST社製)のドラム内に収容した後、このドラムを摩損度試験機PTF−10E型(PHARNMATEST社製)の本体に装着し、ドラムを毎分25回転で、4分間回転した後の、マイクロカプセル含有圧縮成形物(錠剤)の摩損状態を目視試験によって調べた。
同様に、比較例の錠剤の14錠を摩損度試験機PTF−10E型(PHARNMATEST社製)のドラム内に収容した後、このドラムを摩損度試験機PTF−10E型(PHARNMATEST社製)の本体に装着し、ドラムを毎分25回転で、4分間回転した後の、マイクロカプセル含有圧縮成形物(錠剤)の摩損状態を目視試験によって調べた。
結果を表5に示す。
【表5】
表5の結果から、本発明に係る、外殻tbを有するマイクロカプセル含有圧縮成形物(錠剤)では、摩損試験後、錠剤の表面に欠けが認められなかったのに対し、比較例では、14錠中、11例に、錠剤の表面に欠けが認められた。
また、実験例のマイクロカプセル含有圧縮成形物(錠剤)と、比較例(錠剤)とを、無作為抽出した、ボランティアに、ダブルブラインド試験(DBT)で、実際に口腔内で咀嚼して服用してもらった所、実験例のマイクロカプセル含有圧縮成形物(錠剤)と、比較例(錠剤)とは、味が、実験例のマイクロカプセル含有圧縮成形物(錠剤)の方が、比較例(錠剤)に比べ、苦みが著しく少ないことが明らかになった。
産業上の利用可能性
以上、詳細に説明したように、請求項1に記載の圧縮成形物では、その表面に、少なくとも、外殻原料粉末が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が互いに融着した部分を含む外殻が形成されているので、保存や運搬中に欠けが生じ難い。
その一方、この圧縮成形物の表面に形成されている外殻は、少なくとも、外殻原料粉末の一部が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が互いに熱融着した部分を含む外殻で構成されており、コーティング装置等を用いて、素錠表面に、コーティング液をスプレーし、乾燥させて形成したような外殻に比較した場合には、脆く、口腔内で咀嚼した場合には、壊れ易いため、口腔内で咀嚼した際に、圧縮成形物本体(錠剤本体部)と、外殻との物性が著しく異なることに起因する、咀嚼時の違和感が無く、素錠のような噛み心地であるために、チュアブル錠としても、適している。
また、この圧縮成形物は、その表面に、外殻が形成されているに過ぎず、圧縮成形物本体内部に、滑沢剤を含ませないようにした場合には、この圧縮成形物は、圧縮成形物の溶解時間や崩壊時間が速く、目的とする部位で、直ちに溶ける。
従って、圧縮成形物本体内部に、滑沢剤を含ませないようにした場合には、この圧縮成形物は、体内へ速やかに吸収されので、速効性がある。
また、圧縮成形物本体内に、滑沢剤を含ませないようにした場合には、チュアブル錠として、口腔内で咀嚼した場合に、圧縮成形物本体内に、滑沢剤を含んでいないため、服用者に不快な味(苦み)を与えることがない。
請求項2に記載の圧縮成形物では、その表面に、外殻原料粉末が、熱溶融し、溶融した外殻原料粉末同士が互いに融着した部分を含む外殻が耐摩損性を有しているので、保存や運搬中に欠けが生じない。
請求項3に記載の圧縮成形物では、その表面に、外殻原料粉末が、熱溶融し、溶融した外殻原料粉末同士が互いに融着した部分を含む外殻が耐摩損性を有しているので、保存や運搬中に欠けが生じない。
請求項4に記載の圧縮成形物では、この圧縮成形物の圧縮成形物本体の表面に形成されている外殻は、30℃以上にならないと、溶けることがないため、室温(1℃〜30℃)や冷所(15℃以下)では、固まった状態であるので、室温や冷所で、保存・運搬する限り、保存や運搬時に、圧縮成形物の表面に欠けが生じない。
また、外殻原料粉末の融点が、上記範囲内で比較的低温のものを用いた場合には、口腔内に、圧縮成形物を入れると、口腔内で、外殻が速やかに溶けるため、素錠と同様の性状を有するため、チュアブル錠としても、違和感がない。
請求項5に記載の圧縮成形物では、安全性に優れ、入手も容易で、外殻を形成した場合、耐摩損機能を発揮し、且つ、滑沢剤(離型剤)としても機能する、外殻原料粉末を用いているので、この圧縮成形物は、安全性に優れ、保存や運搬時に、圧縮成形物の表面に欠けを生じ難く、また、製造し易い、といった優れた効果がある。
請求項6に記載の圧縮成形物では、製剤原料粉粒体を、圧縮成形時に発生する熱よりも高い融点を有する材料で概ね構成しているので、圧縮成形時に、製剤原料粉粒体中には、圧縮成形時に発生する熱で溶ける成分が全く無いか殆どない。この結果、この圧縮成形物(生菌類含有錠剤)は、錠剤中に含まれる、生菌類が殆ど損傷を受けていない。
この結果、この圧縮成形物(生菌類含有錠剤)は、錠剤中に含まれる、生菌類の生存率が高いため、有効率が高い。
且つ、この圧縮成形物では、その表面に、少なくとも、外殻原料粉末が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が互いに融着した部分を含む外殻が形成されているので、保存や運搬中に欠けが生じ難い。
一方、この圧縮成形物の表面に形成されている外殻は、少なくとも、外殻原料粉末の一部が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が互いに熱融着した部分を含む外殻で構成されており、コーティング装置等を用いて、素錠表面に、コーティング液をスプレーし、乾燥させて形成したような外殻に比較した場合には、脆く、口腔内で咀嚼した場合には、壊れ易いため、口腔内で咀嚼した際に、圧縮成形物本体(錠剤本体部)と、外殻との物性が著しく異なることに起因する、咀嚼時の違和感が無く、素錠のような噛み心地であるために、チュアブル錠としても、適している。
請求項7に記載の圧縮成形物では、製剤原料粉粒体を、圧縮成形時に発生する熱よりも高い融点を有する材料で概ね構成しているので、圧縮成形時に、製剤原料粉粒体中には、圧縮成形時に発生する熱で溶ける成分が全く無いか殆どない。この結果、この圧縮成形物(マイクロカプセル含有錠剤)は、錠剤中に含まれる、マイクロカプセルが殆ど損傷を受けていない。
且つ、この圧縮成形物では、その表面に、少なくとも、外殻原料粉末が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が互いに融着した部分を含む外殻が形成されているので、保存や運搬中に欠けが生じ難い。
一方、この圧縮成形物の表面に形成されている外殻は、少なくとも、外殻原料粉末の一部が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が互いに熱融着した部分を含む外殻で構成されており、コーティング装置等を用いて、素錠表面に、コーティング液をスプレーし、乾燥させて形成したような外殻に比較した場合には、脆く、口腔内で咀嚼した場合には、壊れ易いため、口腔内で咀嚼した際に、圧縮成形物本体(錠剤本体部)と、外殻との物性が著しく異なることに起因する、咀嚼時の違和感が無く、素錠のような噛み心地であるために、チュアブル錠としても、適している。
請求項8に記載の圧縮成形物の製造方法では、臼、下杵及び上杵の各々の成形材料接触表面に、外殻原料粉末を塗布し、外殻原料粉末が成形材料接触表面に塗布された臼、外殻原料粉末が成形材料接触表面に塗布された下杵、及び、外殻原料粉末が成形材料接触表面に塗布された上杵を用いて、成形材料を圧縮成形し、圧縮成形物本体を製造すると同時に、臼、下杵及び上杵が成形材料を圧縮する際に発生する熱を用い、臼の成形材料接触表面に塗布されている外殻原料粉末の少なくとも一部、下杵の成形材料接触表面に塗布されている外殻原料粉末の少なくとも一部、及び/又は、上杵の成形材料接触表面に塗布されている外殻原料粉末の少なくとも一部を熱溶融し、臼の成形材料接触表面に、その一部が熱溶融した外殻原料、下杵の成形材料接触表面に、その一部が熱溶融した外殻原料、及び/又は、上杵の成形材料接触表面に、その一部が熱溶融した外殻原料を、臼、下杵及び上杵が、成形材料を圧縮成形して、圧縮成形物本体を形成する際に、臼の成形材料接触表面、下杵の成形材料接触表面、及び/又は、上杵の成形材料接触表面から、圧縮成形物本体の表面に転写することで、圧縮成形物本体の表面に外殻を形成している。
この圧縮成形物の製造方法では、臼、下杵及び上杵が、成形材料を圧縮成形して圧縮成形物本体を製造する際に、同時に、圧縮成形物本体の表面に外殻を形成しているので、一旦、圧縮成形することで得られた素錠を、コーティング装置等を用い、その素錠の表面に、外殻を形成するという、コーティング工程を用いる必要が無いので、製造ラインを、圧縮成形工程と、コーティング工程との2本立てにすることなく、圧縮成形工程のみで、外殻を有する圧縮成形物を製造できる。
したがって、この圧縮成形物の製造方法を用いれば、外殻を有する圧縮成形物を圧縮成形工程のみで製造できるため、製造工程が、極めて簡単になり、これにより、外殻を有する圧縮成形物を製造する際の製造コストを低く抑えることができる。
のみならず、この圧縮成形物の製造方法により製造される、圧縮成形物の表面に形成される外殻は、外殻原料粉末の一部が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が互いに融着した部分を含む外殻であるために、単に、外殻原料粉末が圧縮され、外殻原料粉末同士が、嵌合状態で結合している外殻ではなく、外殻原料粉末の一部が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が熱融着している部分を含む外殻によって覆われている。したがって、この圧縮成形物の外殻は、外殻原料粉末同士が圧縮されて、嵌合状態になって結合している外殻に比べ、機械的強度が高いため、外殻原料粉末同士が圧縮されて、嵌合状態になっている外殻を有する圧縮成形物に比べても、保存や運搬中に欠けが生じ難い。
その一方、この圧縮成形物の製造方法により製造される、圧縮成形物の表面に形成されている外殻は、外殻原料粉末が、熱溶融し、溶融した外殻原料粉末同士が互いに融着した部分を含む外殻であり、コーティング装置等を用いて、素錠表面に、コーティング液をスプレーし、乾燥させて形成したような外殻に比較した場合には、コーティング装置等を用いて、素錠の表面に形成された外殻に比べ、脆いため、口腔内で咀嚼した場合には、壊れ易いため、口腔内で咀嚼した際に、圧縮成形物本体と、外殻との物性が著しく異なることに起因する、咀嚼時の違和感が無く、素錠のような噛み心地であるために、チュアブル錠としても、適している。
請求項9に記載の圧縮成形物の製造方法では、臼の成形材料接触表面、下杵の成形材料接触表面、及び、上杵の成形材料接触表面の各々に、外殻原料粉末を塗布する際に、臼の成形材料接触表面、下杵の成形材料接触表面、及び、上杵の成形材料接触表面の各々に、正圧の脈動空気振動波に混和し、分散させた外殻原料粉末を、吹き付けるようにしている。
この圧縮成形物の製造方法では、用いる外殻原料粉末の物性(成分、組成、平均粒径、粒度分布等)に応じて、用いる外殻原料粉末を空気に混和し、分散させるのに適した、周期、波長、波形、振幅等を有する、正圧の脈動空気振動波を用いている。
これにより、外殻原料粉末は、一旦、正圧の脈動空気振動波すると、定常圧流の空気流に比べ、空気中に混和し、分散した外殻原料粉末が、空気と分離して、堆積したりするといった現象を生じ難い。
従って、正圧の脈動空気振動波中に、概ね一定量の外殻原料粉末を、定常圧流の空気流に比べ、長時間、混和し、分散させた状態に維持することができる。
且つ、正圧の脈動空気振動波には、圧力の高い部分(空気流の流速が遅い部分)と、圧力の低い部分(空気流の流速が速い部分)とが交互に現れるという性格があるため、例えば、重力との関係で、余分に外殻原料粉末が堆積しがちな、下杵の成形材料接触表面(下杵の上面)に、たとえ、余分な外殻原料粉末が付着・堆積したとしても、下杵の成形材料接触表面(下杵の上面)に、余分に付着・堆積した外殻原料粉末には、正圧の脈動空気振動波の圧力の高い部分(空気流の流速が遅い部分)と、圧力の低い部分(空気流の流速が速い部分)とが、交互に、吹き付けられる結果、下杵の成形材料接触表面(下杵の上面)にとって、余分な外殻原料粉末は、下杵の成形材料接触表面(下杵の上面)から吹き飛ばされる。この結果、重力との関係で、余分に外殻原料粉末が堆積しがちな、下杵の成形材料接触表面(下杵の上面)に、外殻原料粉末が、必要最小限の量で、均一に、塗布される。
また、下杵の成形材料接触表面(下杵の上面)に吹き付けられ、下杵の成形材料接触表面(下杵の上面)から吹き飛ばされた、外殻原料粉末は、臼の成形材料接触表面(臼の内周面)に付着する。ここで、臼の成形材料接触表面(臼の内周面)に余分な外殻原料粉末が付着・堆積したとしても、臼の成形材料接触表面(臼の内周面)に、余分に付着・堆積した外殻原料粉末には、正圧の脈動空気振動波の圧力の高い部分(空気流の流速が遅い部分)と、圧力の低い部分(空気流の流速が速い部分)とが、交互に、吹き付けられる結果、臼の成形材料接触表面(臼の内周面)にとって、余分な外殻原料粉末は、臼の成形材料接触表面(臼の内周面)から吹き飛ばされる。この結果、臼の成形材料接触表面(臼の内周面)にも、外殻原料粉末が、必要最小限の量で、均一に、塗布される。
また、重力との関係で、上杵の成形材料接触表面(上杵の下面)には、外殻原料粉末が付着・堆積し難いが、上杵の成形材料接触表面(上杵の下面)には、外殻原料粉末が、正圧の脈動空気振動波とともに、吹き付けられる結果、上杵の成形材料接触表面(上杵の下面)にも、外殻原料粉末が、必要最小限の量で、均一に、塗布される。
請求項10に記載の圧縮成形物の製造方法では、特に、重力との関係で、余分な外殻原料粉末が堆積しがちな、下杵の成形材料接触表面(下杵の上面)への外殻原料粉末の塗布時間と、重力との関係で、外殻原料粉末が塗布され難い、上杵の成形材料接触表面(上杵の下面)への外殻原料粉末の塗布時間とを異ならせている点に特徴がある。
即ち、この圧縮成形物の製造方法では、重力との関係で、外殻原料粉末が塗布され難い、上杵の成形材料接触表面(上杵の下面)へは、重力との関係で、余分な外殻原料粉末が堆積しがちな、下杵の成形材料接触表面(下杵の上面)への外殻原料粉末の塗布時間に比べ、長い時間を費やして、外殻原料粉末を塗布することで、重力との関係で、余分な外殻原料粉末が堆積しがちな、下杵の成形材料接触表面(下杵の上面)への外殻原料粉末の塗布量と、重力との関係で、外殻原料粉末が塗布され難い、上杵の成形材料接触表面(上杵の下面)への外殻原料粉末の塗布量とが、同じ或いは概ね同じ量になるように調整している。
従って、この圧縮成形物の製造方法を用いれば、重力との関係で、外殻原料粉末が塗布され難い、上杵の成形材料接触表面(上杵の下面)へも外殻原料粉末の必要最低限の量を均一に塗布できるので、圧縮成形物の表面となる側の錠剤表面に、スティッキングや、ラミネーティングや、キャッピング等の打錠障害を生じることなく、圧縮成形物本体の表面に、その一部に、少なくとも、外殻原料粉末が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が互いに熱融着した部分を含む外殻が形成された、圧縮成形物を、打錠障害の発生頻度を少なくして、製造することができる。
請求項11に記載の圧縮成形物の製造方法では、外殻原料粉末が、滑沢剤としての機能を有しているので、圧縮成形物を製造する際に用いる臼の表面、上杵の表面及び下杵の表面に、外殻原料粉末を塗布すれば、圧縮成形物に打錠障害が生じない。
のみならず、外殻原料粉末は、室温では、粉体であるので、この圧縮成形物の製造方法により製造された圧縮成形物は、その外殻が、耐摩損性を発揮する。
請求項12に記載の圧縮成形物の製造方法では、融点が、30℃以上80℃以下の外殻原料粉末を用いているので、圧縮成形物本体の表面に、外殻原料粉末の一部が、熱溶融し、少なくとも、その一部が互いに熱融着した部分を含む、外殻が形成される。
そして、この圧縮成形物の製造方法により製造される圧縮成形物の、圧縮成形物本体の表面に形成される外殻は、30℃以上にならないと、溶けることがないため、室温(1℃〜30℃)や冷所(15℃以下)では、固まった状態であるので、室温や冷所で、保存・運搬する限り、保存や運搬時に、圧縮成形物の表面に欠けが生じない。
また、外殻原料粉末の融点が、上記範囲内で比較的低温のものを用いた場合には、口腔内に、圧縮成形物を入れると、口腔内で、外殻が速やかに溶け、素錠と同様の性状を有するため、チュアブル錠としても、違和感がない。
請求項13に記載の圧縮成形物の製造方法では、安全性に優れ、入手も容易で、外殻を形成した場合、耐摩損機能を発揮し、且つ、滑沢剤(離型剤)としても機能する、外殻原料粉末を用いているので、この圧縮成形物の製造方法を用いれば、安全性に優れ、保存や運搬時に、圧縮成形物の表面に欠けを生じ難い、圧縮成形物を、高い製造効率で製造することができる。
請求項14に記載の圧縮成形物の製造方法では、製剤原料粉粒体を、圧縮成形時に発生する熱よりも高い融点を有する材料で概ね構成しているので、圧縮成形時に、製剤原料粉粒体中には、圧縮成形時に発生する熱で溶ける成分が全く無いか殆どない。この結果、この圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物)の製造方法により製造される圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物(錠剤))は、圧縮成形物(錠剤)中に含まれる、生菌類が殆ど損傷を受けていない。
即ち、この圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物)の製造方法により製造される生菌類含有圧縮成形物は、圧縮成形物内に含有されている生菌類の生存率が極めて高いため、高い有効性を発揮する。
この圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物)の製造方法では、臼、下杵及び上杵の各々の成形材料接触表面に、外殻原料粉末を塗布し、外殻原料粉末が成形材料接触表面に塗布された臼、外殻原料粉末が成形材料接触表面に塗布された下杵、及び、外殻原料粉末が成形材料接触表面に塗布された上杵を用いて、生菌類と、圧縮成形時に発生する熱よりも高い融点を有する材料で概ね構成された製剤原料粉粒体とを含有する成形材料を圧縮成形し、圧縮成形物本体を製造すると同時に、臼、下杵及び上杵が成形材料を圧縮する際に発生する熱を用い、臼の成形材料接触表面に塗布されている外殻原料粉末の少なくとも一部、下杵の成形材料接触表面に塗布されている外殻原料粉末の少なくとも一部、及び/又は、上杵の成形材料接触表面に塗布されている外殻原料粉末の少なくとも一部を熱溶融し、臼の成形材料接触表面に、その一部が熱溶融した外殻原料、下杵の成形材料接触表面に、その一部が熱溶融した外殻原料、及び/又は、上杵の成形材料接触表面に、その一部が熱溶融した外殻原料を、臼、下杵及び上杵が、成形材料を圧縮成形して、圧縮成形物本体を形成する際に、臼の成形材料接触表面、下杵の成形材料接触表面、及び/又は、上杵の成形材料接触表面から、圧縮成形物本体の表面に転写することで、圧縮成形物本体の表面に外殻を形成している。
臼、下杵及び上杵が成形材料を圧縮する際に発生する熱等により、臼の成形材料接触表面に塗布されている外殻原料粉末の少なくとも一部、下杵の成形材料接触表面に塗布されている外殻原料粉末の少なくとも一部、及び/又は、上杵の成形材料接触表面に塗布されている外殻原料粉末の少なくとも一部が熱溶融すると、外殻原料粉末中には、熱溶融した外殻原料粉末同士が熱融着したり、及び/又は、熱溶融した外殻原料粉末と熱溶融していない外殻原料粉末とが熱融着したりする。
そして、臼、下杵及び上杵が成形材料を圧縮する際に発生する熱等により、熱溶融した、熱融着した外殻原料粉末を含む外殻原料粉末が、臼、下杵及び上杵が成形材料を圧縮成形することによって製造した圧縮成形物本体の表面に、臼の成形材料接触表面、下杵の成形材料接触表面、及び/又は、上杵の成形材料接触表面から転写され、圧縮成形物本体の表面に、その一部に、少なくとも、外殻原料粉末が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が互いに熱融着した部分を含む外殻が形成された、生菌類含有圧縮成形物が製造される。
この圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物)の製造方法では、臼、下杵及び上杵が、成形材料を圧縮成形して圧縮成形物本体を製造する際に、同時に、圧縮成形物本体の表面に外殻を形成しているので、一旦、圧縮成形することで得られた素錠を、コーティング装置等を用い、その素錠の表面に、外殻を形成するという、コーテング工程を用いる必要が無いので、製造ラインを、圧縮成形工程と、コーテング工程との2本立てにすることなく、圧縮成形工程のみで、外殻を有する、圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物)を製造できる。
したがって、この圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物)の製造方法を用いれば、外殻を有する圧縮成形物を圧縮成形工程のみで製造できるため、製造工程が、極めて簡単になり、これにより、外殻を有する、生菌類含有圧縮成形物を製造する際の製造コストを低く抑えることができる。
のみならず、この圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物)の製造方法により製造される、圧縮成形物の表面に形成される外殻は、外殻原料粉末の一部が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が互いに融着した部分を含む外殻であるために、単に、外殻原料粉末が圧縮され、外殻原料粉末同士が、嵌合状態で結合している外殻ではなく、外殻原料粉末の一部が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が熱融着している部分を含む外殻によって覆われている。したがって、この圧縮成形物の外殻は、外殻原料粉末同士が圧縮されて、嵌合状態になって結合している外殻に比べ、機械的強度が高いため、外殻原料粉末同士が圧縮されて、嵌合状態になっている外殻を有する圧縮成形物に比べても、保存や運搬中に欠けが生じ難い。
その一方、この圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物)の製造方法により製造される、圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物)の表面に形成されている外殻は、外殻原料粉末が、熱溶融し、溶融した外殻原料粉末同士が互いに融着した部分を含む外殻であり、コーティング装置等を用いて、素錠表面に、コーティング液をスプレーし、乾燥させて形成したような外殻に比較した場合には、コーティング装置等を用いて、素錠の表面に形成された外殻に比べ、脆いため、口腔内で咀嚼した場合には、壊れ易いため、口腔内で咀嚼した際に、圧縮成形物本体と、外殻との物性が著しく異なることに起因する、咀嚼時の違和感が無く、素錠のような噛み心地であるために、チュアブル錠としても、適している。
請求項15に記載の圧縮成形物の製造方法では、臼、下杵及び上杵が、成形材料を圧縮成形して圧縮成形物本体を製造する際に、同時に、圧縮成形物本体の表面に外殻を形成しているので、一旦、圧縮成形することで得られた素錠を、コーティング装置等を用い、その素錠の表面に、外殻を形成するという、コーテング工程を用いる必要が無いので、製造ラインを、圧縮成形工程と、コーテング工程との2本立てにすることなく、圧縮成形工程のみで、外殻を有する、圧縮成形物(マイクロカプセル含有圧縮成形物)を製造できる。
したがって、この圧縮成形物(マイクロカプセル含有圧縮成形物)の製造方法を用いれば、外殻を有する圧縮成形物を圧縮成形工程のみで製造できるため、製造工程が、極めて簡単になり、これにより、外殻を有する、圧縮成形物(マイクロカプセル含有圧縮成形物)を製造する際の製造コストを低く抑えることができる。
のみならず、この圧縮成形物(マイクロカプセル含有圧縮成形物)の製造方法により製造される、圧縮成形物の表面に形成される外殻は、外殻原料粉末の一部が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が互いに融着した部分を含む外殻であるために、単に、外殻原料粉末が圧縮され、外殻原料粉末同士が、嵌合状態で結合している外殻ではなく、外殻原料粉末の一部が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が熱融着している部分を含む外殻によって覆われている。したがって、この圧縮成形物の外殻は、外殻原料粉末同士が圧縮されて、嵌合状態になって結合している外殻に比べ、機械的強度が高いため、外殻原料粉末同士が圧縮されて、嵌合状態になっている外殻を有する圧縮成形物に比べても、保存や運搬中に欠けが生じ難い。
その一方、この圧縮成形物(マイクロカプセル含有圧縮成形物)の製造方法により製造される、圧縮成形物(マイクロカプセル含有圧縮成形物)の表面に形成されている外殻は、外殻原料粉末が、熱溶融し、溶融した外殻原料粉末同士が互いに融着した部分を含む外殻であり、コーティング装置等を用いて、素錠表面に、コーティング液をスプレーし、乾燥させて形成したような外殻に比較した場合には、コーティング装置等を用いて、素錠の表面に形成された外殻に比べ、脆いため、口腔内で咀嚼した場合には、壊れ易いため、口腔内で咀嚼した際に、圧縮成形物本体と、外殻との物性が著しく異なることに起因する、咀嚼時の違和感が無く、素錠のような噛み心地であるために、チュアブル錠としても、適している。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明に係る圧縮成形物の一例を概略的に説明する説明図であり、図1(a)は、その斜視図を、また、図1(b)は、その断面図である。
図2は、図1に示す圧縮成形物の圧縮成形物本体に形成されている、外殻の構造を拡大して模式的に説明する説明図であり、図2(a)は、外殻の構造を拡大して模式的に説明する平面図を、また、図2(b)は、外殻の構造を拡大して模式的に説明する断面図である。
図3は、本発明に係る圧縮成形物の製造方法の一例を概略的に説明する工程図である。
図4は、本発明に係る圧縮成形物で用いている、「正圧の脈動空気振動波」を模式的に示す説明図であり、図4(a)は、脈動空気振動波の振幅の山が、大気圧よりも高く、その振幅の谷が、大気圧に等しいか、概ね等しい、脈動空気振動波を例示的に示しており、また、図4(b)は、脈動空気振動波の振幅の山と谷との双方が、大気圧よりも高い脈動空気振動波を例示的に示している。
図5は、本発明に係る圧縮成形物の、外殻原料粉末が塗布された成形材料接触表面を有する臼、外殻原料粉末が塗布された成形材料接触表面を有する下杵、及び、外殻原料粉末が塗布された成形材料接触表面を有する上杵を用い、成形材料を圧縮成形する際に、臼の成形材料接触表面に塗布された、外殻原料粉末に生じる現象、下杵の成形材料接触表面に塗布された、外殻原料粉末に生じる現象、及び、上杵の成形材料接触表面に塗布された、外殻原料粉末に生じる現象を、模式的に説明する、説明図である。
図6は、本発明に係る圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物)の一例を概略的に説明する説明図であり、図6(a)は、その斜視図を、また、図6(b)は、その断面図である。
図7は、図6に示す圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物)の圧縮成形物本体(生菌類含有圧縮成形物本体)に形成されている、外殻の構造を拡大して模式的に説明する説明図であり、図7(a)は、外殻の構造を拡大して模式的に説明する平面図を、また、図7(b)は、外殻の構造を拡大して模式的に説明する断面図である。
図8は、本発明に係る圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物)の製造方法の一例を概略的に説明する工程図である。
図9は、本発明に係る圧縮成形物(生菌類含有圧縮成形物)の製造方法において、外殻原料粉末が塗布された成形材料接触表面を有する臼、外殻原料粉末が塗布された成形材料接触表面を有する下杵、及び、外殻原料粉末が塗布された成形材料接触表面を有する上杵を用い、成形材料を圧縮成形する際に、臼の成形材料接触表面に塗布された、外殻原料粉末に生じる現象、下杵の成形材料接触表面に塗布された、外殻原料粉末に生じる現象、及び、上杵の成形材料接触表面に塗布された、外殻原料粉末に生じる現象を、模式的に説明する、説明図である。
図10は、本発明に係る圧縮成形物(マイクロカプセル含有圧縮成形物)の一例を概略的に説明する説明図であり、図10(a)は、その斜視図を、また、図10(b)は、その断面図である。
図11は、図10に示す、圧縮成形物(マイクロカプセル含有圧縮成形物)のマイクロカプセル含有圧縮成形物本体に形成されている、外殻の構造を拡大して模式的に説明する説明図であり、図11(a)は、外殻の構造を拡大して模式的に説明する平面図を、また、図11(b)は、外殻の構造を拡大して模式的に説明する断面図である。
図12は、本発明に係る圧縮成形物(マイクロカプセル含有圧縮成形物)の製造方法の一例を概略的に説明する工程図である。
図13は、本発明に係る圧縮成形物(マイクロカプセル含有圧縮成形物)の製造方法において、外殻原料粉末が塗布された成形材料接触表面を有する臼、外殻原料粉末が塗布された成形材料接触表面を有する下杵、及び、外殻原料粉末が塗布された成形材料接触表面を有する上杵を用い、成形材料を圧縮成形する際に、臼の成形材料接触表面に塗布された、外殻原料粉末に生じる現象、下杵の成形材料接触表面に塗布された、外殻原料粉末に生じる現象、及び、上杵の成形材料接触表面に塗布された、外殻原料粉末に生じる現象を、模式的に説明する、説明図である。
図14は、本発明に係る圧縮成形物の製造方法で用いる、外殻原料粉末塗布装置の一例を概略的に示す斜視図である。
図15は、本発明に係る圧縮成形物の製造方法で用いる、外殻原料粉末塗布装置の一例のコンセプトを概略的に示す分解斜視図である。
図16は、本発明に係る圧縮成形物の製造方法で用いる、外殻原料粉末塗布装置が取り付けられる場所を概略的に説明する平面図である。
図17は、本発明に係る圧縮成形物の製造方法で用いる、外殻原料粉末塗布装置が、ロータリ型打錠機の外殻原料噴霧位置に取り付けられた状態を拡大して概略的に示す平面図である。
図18は、図17中に示した、XVIII−XVIII線に従う、本発明に係る圧縮成形物の製造方法で用いる、外殻原料粉末塗布装置の概略的な断面図である。
図19は、本発明に係る圧縮成形物の製造方法で用いる、外殻原料粉末塗布装置で用いる、上杵用外殻原料塗布ユニットの一例を概略的に示す平面図である。
図20は、本発明に係る圧縮成形物の製造方法で用いる、外殻原料粉末塗布装置で用いる、上杵用外殻原料塗布ユニットの他の一例を概略的に示す平面図である。
図21は、本発明に係る圧縮成形物の製造方法で用いる、外殻原料粉末塗布装置で用いる、上杵用外殻原料塗布ユニットの他の一例を概略的に示す平面図である。
図22は、本発明に係る圧縮成形物の製造方法で用いる、外殻原料粉末塗布装置で用いる、上杵用外殻原料塗布ユニットの他の一例を概略的に示す平面図である。
図23は、本発明に係る圧縮成形物の製造方法で用いる、外殻原料粉末塗布装置で用いる、上杵用外殻原料塗布ユニットの他の一例を概略的に示す平面図である。
図24は、本発明に係る圧縮成形物の製造方法で用いる、外殻原料粉末塗布装置の動作原理を概略的に説明する説明図である。
図25は、本発明に係る圧縮成形物の製造方法で用いる、外殻原料粉末塗布装置の、臼の内周面、下杵の上面、及び、上杵の上面の各々への外殻原料(粉末)の塗布方法(動作・原理)を模式的に説明するタイムチャートである。
図26は、本発明に係る圧縮成形物の製造方法で用いる、外殻原料粉末塗布装置を備える、外部滑沢式打錠機の構成を概略的に示す全体構成図である。
図27は、本発明に係る圧縮成形物の製造方法で用いる、外殻原料粉末塗布装置と組み合わせて使用するのに好適な、定量フィーダ装置を概略的に示す構成図である。
図28は、本発明に係る圧縮成形物の製造方法で用いる、外殻原料粉末塗布装置と組み合わせて使用するのに好適な、粉体材料貯蔵ホッパーを概略的に説明する説明図であり、図28(a)は、粉体材料貯蔵ホッパーの一部を切り欠いて概略的に示す一部切欠き斜視図を、また、図28(b)は、粉体材料貯蔵ホッパーの概略的な平面図である。
図29は、図27に示す、定量フィーダ装置で用いられている、弾性体膜の一例を概略的に示す平面図である。
図30は、図27に示す、定量フィーダ装置で用いられている、弾性体膜の他の一例を概略的に示す平面図である。
図31は、図27に示す、定量フィーダ装置で用いられている、弾性体膜取付具を概略的に示す斜視図であり、弾性体膜が既に取り付けられた状態を示している。
図32は、図27に示す弾性体膜取付具の構成を概略的に示す分解斜視図である。
図33は、図27に示す弾性体膜取付具の構成を概略的に示す断面図である。
図34は、図27に示す、定量フィーダ装置の分散室を平面視した場合の、分散室に設ける脈動空気振動波供給口の取付位置の方向を模式的に示す平面図であり、図34(a)は、分散室に対する、脈動空気振動波供給口の好ましい取付位置の方向を説明する説明図であり、図34(b)は、分散室に対する、脈動空気振動波供給口の実質的な取付可能位置の方向を説明する説明図である。
図35は、図27に示す、定量フィーダ装置の分散室を平面視した場合の、分散室に設ける脈動空気振動波供給口と排出口との位置を模式的に説明する図であり、図35(a)は、分散室に対する、脈動空気振動波供給口と排出口との好ましい取付位置を説明する説明図であり、図35(b)は、分散室に対する、脈動空気振動波供給口と排出口との実質的な取付可能位置を説明する説明図である。
図36は、本発明に係る圧縮成形物の製造方法で用いる、外殻原料粉末塗布装置と組み合わせて使用するのに好適な、脈動空気振波発生装置の構成を、脈動空気振動波変換装置を中心にして、概略的に示す断面図である。
図37は、図26に示す、外殻原料濃度測定手段の部分を中心にして拡大して概略的に示す構成図である。
図38は、本発明に係る圧縮成形物の製造方法で用いる、外殻原料粉末塗布装置を備える、外部滑沢式打錠機の演算処理装置の記憶部に予め記憶されている、外部滑沢式打錠機の動作プログラムを概略的に示すフローチャートである。
図39は、本発明に係る圧縮成形物の製造方法で用いる、外殻原料粉末塗布装置を備える、外部滑沢式打錠機の定量フィーダ装置の粉体材料貯蔵ホッパーに設けられているガス噴射ノズル手段の動作、及び、材料切出弁の動作を概略的に説明する説明図である。
図40は、本発明に係る圧縮成形物の製造方法で用いる、外殻原料粉末塗布装置と組み合わせて使用するのに好適な、定量フィーダ装置の弾性体膜の動作を模式的に示す説明図である。
図41は、本発明に係る圧縮成形物の製造方法で用いる、外殻原料粉末塗布装置と組み合わせて使用するのに好適な、脈動空気振動波発生装置の他の一例の構成を、一部を切り欠いて、概略的説明する、構成図である。
図42は、本発明に係る圧縮成形物の製造方法で用いる、外殻原料粉末塗布装置と組み合わせて使用するのに好適な、脈動空気振動波発生装置の他の一例の構成を、概略的説明する、分解斜視図である。
図43は、従来の生菌類含有錠剤の一例を、一部を切り欠いて、模式的に示す斜視図である。
図44は、従来のマイクロカプセル含有錠剤の一例を、一部を切り欠いて、模式的に示す斜視図である。
図45は、従来のマイクロカプセルを模式的に示す断面図である。
図46は、従来の生菌類含有錠剤の製造方法では、打錠圧を低くした場合にあっても、圧縮成形される成形材料中に含まれる生菌類に損傷が発生する作用を模式的に説明する説明図である。
図47は、従来のマイクロカプセル含有錠剤の製造方法において、打錠圧を低くした場合にあっても、圧縮成形される成形材料中に含まれるマイクロカプセルに損傷が発生する作用を模式的に説明する説明図である。
Claims (4)
- 圧縮成形物本体と、前記圧縮成形物本体の表面に設けられた外殻とを備える圧縮成形物であって、前記圧縮成形物本体が、生菌類と製剤原料粉粒体とを含有し、且つ、前記製剤原料粉粒体が融点50℃以上の粉粒体材料で構成されており、前記外殻は、少なくとも、その一部に、少なくとも、外殻原料粉末が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が互いに熱融着した部分を含む、圧縮成形物。
- 圧縮成形物本体と、前記圧縮成形物本体の表面に設けられた外殻とを備える圧縮成形物であって、前記圧縮成形物本体が、マイクロカプセルと製剤原料粉体とを含有し、且つ、前記製剤原料粉粒体が融点50℃以上の粉粒体材料で構成されており、前記外殻は、少なくとも、その一部に、少なくとも、外殻原料粉末が、熱溶融し、熱溶融した外殻原料粉末同士が互いに熱融着した部分を含む、圧縮成形物。
- 臼、下杵及び上杵の成形材料接触表面の各々に、外殻原料粉末を塗布する工程と、 前記外殻原料粉末が成形材料接触表面に塗布された臼、前記外殻原料粉末が成形材料接触表面に塗布された下杵、及び、前記外殻原料粉末が成形材料接触表面に塗布された上杵を用いて、成形材料を圧縮成形し、圧縮成形物本体を製造する工程とを備え、 前記臼、前記下杵及び前記上杵が、前記成形材料を圧縮して、圧縮成形物本体を製造する際に発生する熱等により、前記臼の成形材料接触表面に塗布された前記外殻原料粉末の少なくとも一部、前記下杵の成形材料接触表面に塗布された前記外殻原料粉末の少なくとも一部、及び/又は、前記上杵の成形材料接触表面に塗布された前記外殻原料粉末の少なくとも一部が、熱溶融された状態で、前記臼の成形材料接触表面、前記下杵の成形材料接触表面、及び/又は、前記上杵の成形材料接触表面から、前記圧縮成形物本体の表面に転写され、前記圧縮成形物本体の表面に外殻を形成するようにした、前記成形材料が、生菌類と製剤原料粉粒体とを含有し、且つ、前記製剤原料粉粒体が融点50℃以上の粉粒体材料で構成されている、圧縮成形物の製造方法。
- 臼、下杵及び上杵の成形材料接触表面の各々に、外殻原料粉末を塗布する工程と、 前記外殻原料粉末が成形材料接触表面に塗布された臼、前記外殻原料粉末が成形材料接触表面に塗布された下杵、及び、前記外殻原料粉末が成形材料接触表面に塗布された上杵を用いて、成形材料を圧縮成形し、圧縮成形物本体を製造する工程とを備え、 前記臼、前記下杵及び前記上杵が、前記成形材料を圧縮して、圧縮成形物本体を製造する際に発生する熱等により、前記臼の成形材料接触表面に塗布された前記外殻原料粉末の少なくとも一部、前記下杵の成形材料接触表面に塗布された前記外殻原料粉末の少なくとも一部、及び/又は、前記上杵の成形材料接触表面に塗布された前記外殻原料粉末の少なくとも一部が、熱溶融された状態で、前記臼の成形材料接触表面、前記下杵の成形材料接触表面、及び/又は、前記上杵の成形材料接触表面から、前記圧縮成形物本体の表面に転写され、前記圧縮成形物本体の表面に外殻を形成するようにした、前記成形材料が、マイクロカプセルと製剤原料粉体とを含有し、且つ、 前記製剤原料粉粒体が融点50℃以上の粉粒体材料で構成されている、圧縮成形物の製造方法。
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