JP4817485B2 - 吸水性樹脂の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸水性樹脂の製造方法に関する。さらに詳しくは、生理用品や紙おむつ等の衛生材用途、保水剤や土壌改良剤等の農園芸用途、止水剤や結露防止剤等の工業資材用途等、特に衛生材用途に好適に使用し得る吸水性樹脂の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
吸水性樹脂は、通常、軽度に架橋された高分子化合物であり、例えば、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレンオキシド、澱粉−アクリロニトリルグラフト共重合体の加水分解物、ポリアクリル酸塩、ビニルアルコール−アクリル酸塩共重合体等の架橋物が知られている。
【0003】
近年、吸水性樹脂は、生理用品、おむつ等の衛生関係でさかんに使用されるようになり、この場合、人体に直接接触するため安全性が非常に重要視されている。しかしながら、これらの吸水性樹脂には、未反応モノマーや、乾燥工程における加熱のために一部が分解して生じたモノマーが含まれるという欠点がある。そこで、かかる残存するモノマーの含量を低減するために、種々の方法が提案されている。
【0004】
例えば、アゾ化合物および/または過酸化物を添加する方法(特開平1−24808号公報、特開平1−103644号公報、特開平6−172418号公報、特開平11−335404号公報、特開2000−26510号公報)、還元剤を添加する方法(特開昭63−118375号公報、特開平1−62317号公報、特開平4−120111号公報、特開平5−78412号公報、特開平6−192319号公報、特開平6−239921号公報、特開平6−240151号公報、特開平11−71424号公報)、水蒸気中で乾燥させる方法(特開平1−26604号公報、特開平1−271434号公報、特開平9−286864号公報)等が提案されている。
【0005】
しかしながら、前記の方法では、いずれも吸水性樹脂に残存するモノマーの含量を満足には低減できていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、残存するモノマーの含量が少ない吸水性樹脂の製造方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、逆相懸濁重合法により、水溶性エチレン性不飽和モノマーを必須成分とする吸水性樹脂を製造した後、得られた吸水性樹脂を含むスラリーを20〜100kPaの圧力下、60〜100℃の温度で乾燥することを特徴とする吸水性樹脂の製造方法に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる水溶性エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸〔「(メタ)アクリ」とは「アクリ」および「メタクリ」を意味する。以下同じ〕、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸またはそのアルカリ金属塩;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等のノニオン性モノマー;ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有不飽和モノマーまたはその四級化物等が挙げられ、これらは単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。なお、アルカリ金属塩におけるアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。
【0009】
前記水溶性エチレン性不飽和モノマーのうち好ましいものは、工業的に入手が容易な点で、アクリル酸またはそのアルカリ金属塩、メタクリル酸またはそのアルカリ金属塩、アクリルアミド、メタクリルアミドならびにN,N−ジメチルアクリルアミドである。
【0010】
前記水溶性エチレン性不飽和モノマーは、通常、水溶液として用いることができる。水溶性エチレン性不飽和モノマーの水溶液における水溶性エチレン性不飽和モノマーの濃度は、25重量%〜飽和濃度であることが好ましい。
【0011】
前記水溶性エチレン性不飽和モノマーの水溶液は、用いられる水溶性エチレン性不飽和モノマーが酸基を含む場合、その酸基をアルカリ金属によって中和してもよい。前記アルカリ金属による中和度は、得られる吸水性樹脂の浸透圧が大きく、吸水速度が速く、余剰のアルカリ金属の存在により安全性等に問題が生じない観点から、中和前の水溶性エチレン性不飽和モノマーの酸基の10〜100モル%の範囲にすることが好ましい。前記アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等を挙げることができる。これらの中では、ナトリウムおよびカリウムが好ましい。
【0012】
前記水溶性エチレン性不飽和モノマーの水溶液は、重合反応において、一括して添加してもよく、分割して添加してもよい。
【0013】
本発明の製造方法で採用される逆相懸濁重合は、例えば、水溶性エチレン性不飽和モノマーの水溶液を界面活性剤の存在下、炭化水素系溶媒中でラジカル重合開始剤を用いることによって行うことができる。
【0014】
前記界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ヘキサグリセリルモノベヘレート等のノニオン系界面活性剤;脂肪酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルメチルタウリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホン酸塩等のアニオン系界面活性剤等を挙げることができる。これらの中では、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルおよびヘキサグリセリルモノベヘレート等のノニオン系界面活性剤が好ましく、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルおよびヘキサグリセリルモノベヘレートがより好ましく用いられる。前記界面活性剤の使用量は、水溶性エチレン性不飽和モノマーの水溶液100重量部に対して0.1〜5重量部が好ましく、0.2〜3重量部がより好ましい。
【0015】
前記ラジカル重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の水溶性ラジカル重合開始剤;過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリル等の油溶性ラジカル重合開始剤等を挙げることができる。また、水溶性ラジカル重合開始剤と亜硝酸塩等とを併用してレドックス系重合開始剤として用いることができる。これらの中では、入手が容易で保存安定性が良好である観点から、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過酸化ベンゾイルおよびアゾビスイソブチロニトリルが好ましい。
【0016】
前記ラジカル重合開始剤の使用量は、重合反応の時間を短縮し、急激な重合反応を防ぐ観点から、通常水溶性エチレン性不飽和モノマー1モルに対して0.00005〜0.01モルが好ましい。
【0017】
前記炭化水素系溶媒としては、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、リグロイン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等を挙げることができる。これらの中では、工業的に入手が容易で、品質が安定し、かつ安価である観点からn−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、トルエンおよびキシレンが好ましい。
【0018】
前記炭化水素系溶媒の使用量は、重合熱を除去し、重合温度を制御しやすい観点から、通常水溶性エチレン性不飽和モノマー100重量部に対して50〜600重量部が好ましく、100〜550重量部がさらに好ましい。
【0019】
前記重合反応には、さらに架橋剤を添加してもよい。前記架橋剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリグリセリン等のポリオール類のジまたはトリ(メタ)アクリル酸エステル類;前記ポリオール類と、マレイン酸、フマール酸等の不飽和酸類とを反応させて得られる不飽和ポリエステル類;N,N’−メチレンビスアクリルアミド等のビスアクリルアミド類;ポリエポキシドと(メタ)アクリル酸とを反応させて得られるジまたはトリ(メタ)アクリル酸エステル類;トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のポリイソシアネートと(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルとを反応させて得られるジ(メタ)アクリル酸カルバミルエステル類;アリル化澱粉、アリル化セルロース、ジアリルフタレート、N,N’,N”−トリアリルイソシアネート、ジビニルベンゼン等の重合性不飽和基を2個以上有する化合物;(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル等のジグリシジルエーテル化合物;エピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン、α−メチルエピクロルヒドリン等のハロエポキシ化合物;2,4−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート化合物等の反応性官能基を2個以上有する化合物を挙げることができる。
【0020】
前記架橋剤の添加量は、得られる重合体が適度な架橋により水溶性の性質が抑制され、十分な吸水性を示すようにするために、前記水溶性エチレン性不飽和モノマー100重量部に対して0.001〜2重量部とすることが好ましい。
【0021】
前記水溶性エチレン性不飽和モノマーの水溶液、界面活性剤、ラジカル重合開始剤等を炭化水素系溶媒中で攪拌下、加熱して、油中水系において、逆相懸濁重合を行う。前記重合反応の反応温度は、使用するラジカル重合開始剤によって異なるが、重合が迅速に進行し、重合時間が短くなり、経済的に好ましく、重合熱を除去することが簡単で、円滑に反応を行う観点から、20〜110℃が好ましく、40〜80℃が更に好ましい。反応時間は、通常、0.5〜4時間である。
【0022】
かくして得られた吸水性樹脂を含むスラリーは、前記炭化水素系溶媒と水の混合溶媒中に含水した吸水性樹脂が分散した溶液である。該吸水性樹脂を含むスラリーを特定の圧力下、特定の乾燥温度で乾燥することにより、残存するモノマーの含量が低減された吸水性樹脂を製造することができる。
【0023】
前記圧力は、乾燥効率を向上させる観点から、20〜100kPa、好ましくは50〜70kPaである。
【0024】
前記乾燥温度は、加熱による分解を抑制し、乾燥時間を短くする観点から、60〜100℃、好ましくは80〜90℃である。
【0025】
乾燥の終点は、後述する吸水性樹脂の含水率が5重量%以下となる時である。乾燥時間は、乾燥温度により異なるが、通常、0.5〜5時間程度である。
【0026】
前記乾燥において用いられる乾燥機としては、通常、減圧装置を備え付けたバンド型乾燥機、溝型乾燥機、回転乾燥機、減圧装置および乾燥装置を備え付けたニーダー等の一般に使用されている乾燥機を使用することができる。本発明においては、バンド型乾燥機、溝型乾燥機、ニーダー等の乾燥機を好適に使用することができる。
【0027】
なお、本発明においては、残存するモノマーが、よりいっそう低減された吸水性樹脂を製造するために、ラジカル重合開始剤を吸水性樹脂を含むスラリーに添加してもよい。
【0028】
前記ラジカル重合開始剤としては、特に限定されず、例えば、2−(カルバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロハライド、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロハライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロハライド、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、(1−フェニルエチル)アゾジフェニルメタン、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4,4’−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)等のアゾ化合物;コハク酸パーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジキュミルパーオキサイド、t−ブチルキュミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、ジ−(t−ブチルパーオキシ)ブタン、ヘキシルパーオキシビバレート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシビバレート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等の有機過酸化物;過酸化水素等の無機過酸化物;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩等を挙げることができる。これらの中では、入手が容易で、安全である観点から、有機過酸化物、無機過酸化物および過硫酸塩、とりわけ、コハク酸パーオキサイド、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムおよび過硫酸ナトリウムが好ましい。
【0029】
前記ラジカル重合開始剤の添加量は、特に限定されないが、効率よく残存するモノマーを低減させる観点から、水溶性エチレン性不飽和モノマー100重量部に対して0.05〜2重量部が好ましく、0.1〜1重量部が更に好ましい。
【0030】
前記ラジカル重合開始剤の添加時期は、吸水性樹脂を製造した後、得られた吸水性樹脂を含むスラリーの乾燥を始める前、またはスラリーの乾燥中のいずれであってもよい。本発明においては、残存するモノマーの含量を低減させる観点から、吸水性樹脂の含水率が10重量%に低下するまで、好ましくは80重量%に低下するまでにラジカル重合開始剤を添加することが好ましい。なお、吸水性樹脂の含水率は、留出した水の重量から残存する水の重量を算出することにより、求めることができる。
【0031】
前記ラジカル重合開始剤は、粉末または原液で添加してもよく、水溶液または水分散液で添加してもよい。前記ラジカル重合開始剤の添加方法としては、吸水性樹脂を含むスラリーに前記ラジカル重合開始剤を均一に添加する目的から、水溶液または水分散液を噴霧する方法が好ましい。前記噴霧する方法としては、ポンプの圧力のみで噴霧する一流体ノズル、コンプレッサーからの圧縮気体を使って噴霧する二流体ノズル等を使用した一般的に用いられている噴霧方法が挙げられる。噴霧する際のミストの粒子径は、特に限定されないが、ラジカル重合開始剤を吸水性樹脂に均一に散布し、吸収させやすくする観点から、200μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましい。前記ラジカル重合開始剤の水溶液または水分散液の濃度は、通常0.5〜10重量%が好ましく、1〜5重量%が更に好ましい。
【0032】
噴霧後、前記と同様に吸水性樹脂を含むスラリーを特定の圧力下、特定の乾燥温度で乾燥することにより、残存するモノマーの含量がよりいっそう低減された吸水性樹脂を製造することができる。
【0033】
【実施例】
以下に実施例および比較例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明は、これら実施例によって何ら限定されるものではない。
【0034】
実施例1(ただし、参考例である。)
攪拌機、還流冷却器、滴下ロートおよび窒素ガス導入管を備えた1L容の四つ口円筒型丸底フラスコにn−ヘプタン550mLを加えた。これに界面活性剤としてHLBが13.1のヘキサグリセリルモノベヘレート(日本油脂(株)製、商品名:ノニオンGV−106)1.38gを添加して分散させ、50℃まで昇温して界面活性剤を溶解した後、30℃まで冷却した。
【0035】
一方、500mL容の三角フラスコを別に用意し、これに80重量%のアクリル酸水溶液92gを加えた。これに、外部から冷却しつつ20.1重量%の水酸化ナトリウム水溶液152.6gを滴下してアクリル酸の75モル%を中和し、その後、過硫酸カリウム0.11gと架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル0.019gとをさらに加えて溶解した。これにより、アルカリ金属によって中和されたアクリル酸の水溶液245gが得られた。
【0036】
次に、前記500mL容の三角フラスコの内容物の全量を前記四つ口円筒型丸底フラスコに加えて分散させ、系内を窒素ガスで置換した後に昇温し、浴温を70℃に保持して3時間かけて1段目の重合反応を行って、重合スラリー液を得た。
【0037】
1段目の重合反応により得られた重合スラリー液を20℃に冷却し、前記と同様のアルカリ金属によって中和されたアクリル酸の水溶液245gを重合スラリー液に滴下した。30分間系内を窒素ガスにより十分に置換して昇温し、浴温を70℃に保持して3時間かけて2段目の重合反応を行った。
【0038】
重合反応終了後、得られた吸水性樹脂を含むスラリーをジャケット付きステンレス鋼製ニーダーを用いて、55kPaの圧力下、内温90℃で2時間乾燥して吸水性樹脂192.9gを得た。得られた吸水性樹脂中の残存モノマー含量は、177ppmであり、吸水量は、71g/gであった。
【0039】
実施例2(ただし、参考例である。)
実施例1において、65kPaの圧力下、内温80℃で2.2時間乾燥した以外は、実施例1と同様にして、吸水性樹脂192.2gを得た。得られた吸水性樹脂の残存モノマー含量は、143ppmであり、吸水量は、70g/gであった。
【0040】
実施例3
攪拌機、還流冷却器および窒素ガス導入管を備えた1L容の四つ口円筒型丸底フラスコにn−ヘプタン550mLを加えた。これに界面活性剤としてHLBが13.1のヘキサグリセリルモノベヘレート(日本油脂(株)製、商品名:ノニオンGV−106)1.38gを添加して分散させ、50℃まで昇温して界面活性剤を溶解した後、30℃まで冷却した。
【0041】
一方、500mL容の三角フラスコを別に用意し、これに80重量%のアクリル酸水溶液92gを加えた。これに、外部から冷却しつつ20.1重量%の水酸化ナトリウム水溶液152.6gを滴下してアクリル酸の75モル%を中和し、その後、過硫酸カリウム0.11gと架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル0.019gとをさらに加えて溶解した。これにより、アルカリ金属によって中和されたアクリル酸の水溶液245gが得られた。
【0042】
次に、前記500mL容の三角フラスコの内容物の全量を前記四つ口円筒型丸底フラスコに加えて分散させ、系内を窒素ガスで置換した後に昇温し、浴温を70℃に保持して3時間かけて重合反応を行って、重合スラリー液を得た。
【0043】
重合反応終了後、得られた吸水性樹脂を含むスラリーに、2重量%過硫酸カリウム水溶液46gを二流体噴霧ノズルを用いて噴霧し、ジャケット付きステンレス鋼製ニーダーを用いて、65kPaの圧力下、内温80℃で1.5時間乾燥して、吸水性樹脂93.3gを得た。得られた吸水性樹脂中の残存モノマー含量は、19ppmであり、吸水量は、69g/gであった。
【0044】
比較例1
実施例1において、常圧(101.3kPa)、内温120℃で2時間乾燥した以外は、実施例1と同様にして吸水性樹脂191.2gを得た。得られた吸水性樹脂中の残存モノマー含量は、781ppmであり、吸水量は、69g/gであった。
【0045】
なお、各実施例および比較例において得られた吸水性樹脂の残存モノマー含量および吸水量は以下の方法により測定した。
【0046】
(1)残存モノマー含量の測定方法
吸水性樹脂2gを0.9重量%食塩水500gに分散し、室温で1時間攪拌した。次いで、濾過して吸水性樹脂と0.9重量%食塩水を分離し、得られた0.9重量%食塩水中に溶解しているモノマー含量を高速液体クロマトグラフィーにより測定した。
【0047】
(2)吸水量の測定方法
吸水性樹脂1gを0.9重量%食塩水250mLに分散し、充分に膨潤させ、次いで、200メッシュの金網で濾過した。得られた膨潤樹脂重量を測定し、式:
〔吸水量〕=〔膨潤樹脂重量(g)〕−〔吸水性樹脂重量(1g)〕
に基づいて、吸水量を求めた。
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、吸水性樹脂を含むスラリーを特定の温度、特定の圧力で乾燥することにより、残存するモノマーの含量が少ない吸水性樹脂を製造することができる。
【0049】
したがって、本発明の製造方法によって製造された吸水性樹脂は、生理用品や紙おむつ等の衛生材用途、保水剤や土壌改良剤等の農園芸用途、止水剤や結露防止剤等の工業資材用途等の広範な分野で利用することができる。特に、本発明の製造方法によって製造された吸水性樹脂は、衛生材関連において好適に使用することができるものである。
Claims (2)
- 逆相懸濁重合法により、水溶性エチレン性不飽和モノマーを必須成分とする吸水性樹脂を製造した後、得られた吸水性樹脂を含むスラリーを20〜100kPaの圧力下、60〜100℃の温度で乾燥することを特徴とする吸水性樹脂の製造方法であって、乾燥に際して該スラリーにラジカル重合開始剤を添加する、吸水性樹脂の製造方法。
- 吸水性樹脂を含むスラリーに添加されるラジカル重合開始剤の量が、水溶性エチレン性不飽和モノマー100重量部に対して0.05〜2重量部である、請求項1に記載の製造方法。
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