以下、本発明の計測システムの実施形態について図1〜図13を参照して説明する。
(基本構成)
本基本構成の計測システムは、図1に示すように、主幹ブレーカ10、及び主幹路11から分岐する分岐路12a,12bに設けられる分岐ブレーカ13A〜13Pを備える分電盤1内に、分電盤1内における所定の物理量(本基本構成では電流)を検出する複数(本基本構成では16個)のセンサ2A〜2Pと、各センサ2A〜2Pの検出出力に基づいて検出データを生成する複数の(本基本構成では16個の)センサユニット3A〜3Pと、各センサユニット3A〜3Pより検出データを収集し、収集した検出データを検出情報として出力する計測制御ユニット4と、計測制御ユニット4にセンサユニット3A〜3Pを鎖状に接続する伝送路6とを備えるとともに、分電盤1の外部に設けられて使用者に計測制御ユニット4から出力される検出情報の表示を行う表示ユニット5を備えている。
そして、16個のセンサユニット3A〜3Pは、伝送路6によって鎖状(数珠繋ぎ)に接続され、計測制御ユニット4は、始端のセンサユニット3Pにトリガ信号を出力するように構成され、各センサユニット3A〜3Pは、トリガ信号を受信すると検出データを生成して計測制御ユニット4へ送信し、この後に末端側(次段)のセンサユニットにトリガ信号を出力するように構成されている。尚、分岐ブレーカ13A〜13P、センサ2A〜2Pには、この順番に通し番号(No1〜No16)が付されている。
まず、分電盤1について簡単に説明する。分電盤1は、図1に示すように、低圧配電線100が接続される主幹ブレーカ10と、主幹ブレーカ10の負荷側端子(図示せず)にそれぞれ接続される主幹路11と、主幹路11の電圧極11a,11bの一方に一端が接続された分岐路12aと、主幹路11の中性極11cに一端が接続された分岐路12bと、分岐路12a,12bの他端側に設けられる分岐ブレーカ13A〜13Pと、これらが収納される筐体(図示せず)とで構成されている。
主幹ブレーカ10は、低圧配電線100の電圧極101,102に接続される電源側端子(図示せず)及び中性極103に接続される電源側端子(図示せず)と、電圧極101,102に接続される電源側端子に各別に対応して電圧極となる2つの負荷側端子(図示せず)と、中性極103に接続される電源側端子に対応して中性極となる負荷側端子(図示せず)と、電源側端子と負荷側端子とが通電している際にはオン側に位置する操作ハンドル(図示せず)を備えている。そして主幹ブレーカ10は、電源側端子と負荷側端子との間に過電流が生じた際にはこれら端子間を遮断するとともに、操作ハンドルをオフ側に位置させるように構成されている。
分岐ブレーカ13A〜13Pは、分岐路12a,12bの他端側をそれぞれ接続可能な分岐路用端子部(図示せず)と、負荷側の電源線(図示せず)を電気的に接続するための電源線用端子部(図示せず)と、通常時はオン側に位置する操作ハンドルHとを備えている。そして、分岐ブレーカ13A〜13Pは、分岐路用端子部と電源線用端子部との間に過電流が生じた際にこれら端子部間を遮断するとともに、操作ハンドルをオフ側に位置させるように構成されている。尚、主幹ブレーカ10及び分岐ブレーカ13A〜13Pは、過電流だけではなく、短絡電流の発生に対しても回路を遮断するように構成してもよい。
一方、主幹路11及び分岐路12a,12bは、いずれも導電性を有する金属板から形成されており、その幅、厚み等は、主幹ブレーカの最大定格電流に合わせた最大電流容量を有するように設定されている。
次に、本基本構成の計測システムの主要部分であるセンサ2A〜2Pと、センサユニット3A〜3Pと、計測制御ユニット4と、表示ユニット5と、伝送路6とについて説明する。ここで、センサ2A〜2Pと、センサユニット3A〜3Pと、伝送路6とは、プリント基板7上に形成されて一体化されており、まずプリント基板7について説明する。
プリント基板7は、複数の絶縁板を積層してなる多層構造のもの(すなわち多層基板)であって、図3に示すように、プリント基板7を表裏に貫通する分岐路12b用の挿通孔7aを複数備えている。また、プリント基板7には、プリント基板7を表裏に貫通するスルーホール7bが、各挿通孔7aの周辺部に挿通孔7aを囲繞するように複数形成されている。さらに、プリント基板7には、各挿通孔7aの周辺部に表面から中層(表面と裏面との間の層)まで貫通するスルーホール7cが複数形成されている。そして、このプリント基板7の表面には、センサ2A〜2P及びセンサユニット3A〜3Pが実装されるとともに、伝送路6が形成されている。尚、センサユニット3A〜3Pは、ディスクリート半導体等の必要な電子部品を個々にプリント基板に実装することで構成してもよいし、必要な電子部品をIC化(集積化)したものであってもよい。また尚、プリント基板7としては、上記のような多層基板に限らず、両面基板を用いてもよい。
センサ2A〜2Pは、各分岐ブレーカ13A〜13Pに対応する分岐路12bの電流値、つまりは分岐ブレーカ13A〜13Pに流れる電流値を検出するための電流センサである。このようなセンサ2A〜2Pは、いずれも同様の構成を有するものであるから、センサ2Pについてのみ詳細に説明する。
このセンサ2Pは、図3に示すように、上記のプリント基板7に形成されたコイル線路20からなるロゴスキコイルを有する電流センサであり、電流の微分形を検出出力として出力するものである。コイル線路20は、プリント基板7の挿通孔7aの周辺部のスルーホール7bを介してプリント基板7の表面に形成されたパターン21a(図3に実線で示す)及びプリント基板7の裏面に形成されたパターン21b(図3に点線で示す)を接続してなるコイル部21を有している。さらに、コイル部21の末端は、スルーホール7cを介して戻し線路22(図3に一点破線で示す)の一端側と接続されており、この戻し線路22は、他端側がコイル部21の末端側からコイル部21内を通ってコイル部21の始端側へ戻るようにプリント基板7の中層に形成されている。つまり、このセンサ2Pでは、コイル部21の始端側と、戻し配線22の他端側とが、それぞれ入力端子として用いられる。
このように、センサ2A〜2Pとしてプリント基板7に形成したコイル線路20を用いれば、主幹ブレーカ10や、分岐ブレーカ13A〜13P、主幹路11、分岐路12a,12b等によって利用できるスペースが狭くなっている分電盤1の筐体内でも、センサ2A〜2Pを効率的に配置できるという効果を奏する。また、センサ2A〜2Pが分電盤1の施工時に邪魔にならず、分電盤1の施工性を損なうことがないという効果を奏する。さらに、このようなセンサ2A〜2Pは、空芯のものであるから、鉄芯(磁気コア)がないため小型化、及び軽量化を図れるという効果を奏し、しかも鉄芯による飽和がないという利点があり、これによりダイナミックレンジが広く、大電流を検出できる電流センサを得ることが可能になるという効果を奏する。
センサユニット3A〜3Pは、センサ2A〜2Pの検出出力に基づいて検出データを生成するものであって、いずれも同様の構成のものであるから、センサユニット3Aについてのみ詳細に説明する。センサユニット3Aは、図2(a)に示すように、センサ2Aが接続される接続端子30と、動作開始用のトリガ信号を受信したか否かを判別するトリガ信号受信部31と、センサ2Aより取得した検出出力に基づいて電流値の実効値からなる検出データを生成するデータ生成部32と、トリガ信号を受信するとデータ生成部32により生成された検出データを計測制御ユニット4へ送信するデータ送信部33と、検出データの送信後にトリガ信号を出力するトリガ信号送信部34と、これらの動作を制御する演算処理部35とを備えている。
トリガ信号受信部31は、受信した信号がトリガ信号であるか否かを判別し、受信した信号がトリガ信号である場合には、トリガ信号を受信したことを示す開始信号を演算処理部35に出力するように構成されている。尚、当然ながら、受信した信号がトリガ信号でない場合は、トリガ信号受信部31から演算処理部35には、開始信号は出力されない。
データ生成部32は、演算処理部35から生成開始信号を受け取った際に検出データの生成を開始するものであって、図2(a)に示すように、センサ2Aの検出出力を増幅する増幅部32aと、微分形で出力される検出出力を積分して電流波形を生成する積分部32bと、積分部32bにより得られた電流波形からその実効値を演算する実効値演算部32cと、実効値演算部32cにより得られた実効値(検出データ)をアナログ信号からデジタル信号に変換するA/D変換部32dと、A/D変換部32dでデジタル信号に変換された検出データを記憶するメモリ部32eとを備えている。
データ送信部33は、演算処理部35から後述するデータ送信開始信号を受け取ると、データ生成部32のメモリ部32eから最新の検出データを取得し、この検出データを所定のフォーマット(計測制御システム4との間で通信を行うためのフォーマット)の伝送用信号に変換して出力するように構成されている。また、データ送信部33は、検出データの送信が終了すると、演算処理部35に送信終了信号を出力するように構成されている。尚、データ送信部33は、データを送信する機能のみを備えているものであって、データを受信する機能を備えていない。
トリガ信号送信部34は、演算処理部35から後述するトリガ送信開始信号を受け取ると、上記のトリガ信号と同様のトリガ信号を出力するように構成されている。
演算処理部35は、例えばCPU等であって、所定の時間間隔でデータ生成部32に生成開始信号を出力するデータ生成部制御機能と、トリガ信号受信部31から開始信号を受け取るとデータ送信部33に前述のデータ送信開始信号を出力するデータ送信部制御機能と、データ送信部33から送信終了信号を受け取るとトリガ信号送信部34に前述のトリガ送信開始信号を出力するトリガ信号送信部制御機能とを備え、これらはソフトウェア等によって実現されている。尚、上記生成開始信号は、トリガ信号を受信した際に出力するようにしてもよい。
計測制御ユニット4は、図2(b)に示すように、トリガ信号を出力するトリガ信号出力部40と、センサユニット3A〜3Pが出力する検出データを受信するデータ受信部41と、記憶部42と、検出データを元に生成した検出情報から表示用データを生成して表示ユニット5へ出力する表示データ生成部43と、これらを制御する演算処理部44とを備えている。
トリガ信号出力部40は、センサユニットから検出データを収集するためのトリガ信号を出力するものであり、演算処理部44よりトリガ出力信号を受け取った際に、トリガ信号を出力するように構成されている。
データ受信部41は、センサユニット3A〜3Pのデータ送信部33が出力する伝送用信号を復調して検出データを取り出すためのものであって、受信した検出データを順次演算処理部44へ出力するように構成されている。また、このデータ受信部41は、受信したデータが検出データであるか否かを判別する機能を有している。
記憶部42は、不揮発性のメモリであって、例えば図4(a)に示すような、センサユニット3A〜3Pにより収集した検出データの順番(つまりは、データ受信部41が検出データを受信した順番)と、センサ(或いは分岐ブレーカ)の通し番号とを関連付けるためのテーブル情報が格納されている。
上記のテーブル情報は、使用者に混乱を生じさせず、表示ユニット5によって明確な表示を行うために用いている。つまり、本基本構成の計測システムでは、トリガ信号を受信した順にセンサユニット3A〜3Pから検出データが送信されるため、データ受信部41では、図1に示すように、センサ2P,2N,2L,2J,2H,2F,2D,2B,2A,2C,2E,2G,2I,2K,2M,2Oの順に検出データを受信することになる。この場合、受信した順に表示ユニット5に表示すると、センサ(分岐ブレーカ)の通し番号と受信した検出データの順番とが異なっているために、使用者に混乱を生じさせるおそれがあり、このような混乱を防止するためにテーブル情報を用いているのである。
尚、データ受信部41で検出データを受信する順番がセンサ2A〜2Pの通し番号順となるようにセンサユニット3A〜3Pを計測制御ユニット4に接続すれば、上記のようなテーブル情報は不要であるが、この場合、センサユニット3A〜3Pの接続が非常に複雑になってしまうというデメリットが生じることになる。言い替えれば、テーブル情報を用いることで、計測制御ユニット4で検出データを受信する順番を、センサユニット3A〜3Pの通し番号順となるようにセンサユニット3A〜3Pを接続しなくて済み、これによりセンサユニット3A〜3Pの接続が非常に複雑になってしまうことを防止できるのである。
表示データ生成部43は、演算処理部44より受け取った検出情報を元にして、該検出情報を表示ユニット5に表示させるための表示用データを生成し、生成した表示用データを外部の表示ユニット5へ出力するためのものである。
演算処理部44は、例えばCPU等であって、収集開始機能と、計数機能と、テーブル対応機能と、検出情報生成機能とをソフトウェアにより実現している。ここで、収集開始機能は、計測制御ユニット4に設けられた計測開始用のスイッチ(図示せず)がオンとなった際に、トリガ信号出力部40にトリガ出力信号を出力して、計測動作を開始させる機能である。尚、上記計測開始用のスイッチがオンとなっている間は、定期的にトリガ信号を出力するようになっている。
計数機能は、データ受信部41で受信した検出データが何番目に受信したデータであるかを計るための機能であり、データカウンタを備えている。そして、計数機能は、上記の計測開始用のスイッチが押された際にデータカウンタの値を0にリセットし、データ受信部41が検出データを受信する毎にデータカウンタの値をインクリメントするように構成されている。尚、計測開始用のスイッチが押された後は、トリガ出力信号を出力する毎にデータカウンタの値を0にリセットする。
検出情報生成機能は、受信した検出データを元に検出情報を生成して、表示データ生成部43に出力する機能であり、本基本構成では、検出情報として、電流値を示す情報を生成するように構成されている。尚、検出情報としては、電流値に限らず、電流の有無を示す情報や、電流値に基づく電流レベル(どの程度の電流が流れているかを段階的に示す数値や、電流値の大きさによって”過大”等の警告を示す文字)を示す情報等を用いるようにしてもよく、状況に応じて好適なものを採用すればよい。テーブル対応機能は、検出データの収集が終了した際、言い換えれば上記カウンタの値がセンサの総数(本基本構成では16)に達した際に、検出情報生成機能により処理された検出データと、分電盤内に設けられているセンサ2A〜2Pとを、記憶部42に格納されているテーブル情報(図4(a)参照)に基づいて関連付ける機能である。
表示ユニット5は、例えば液晶ディスプレイ(LCD)等であって、計測制御ユニット4から出力される表示用データに基づいて、図4(b)に示すように、画像表示部5aに、分岐ブレーカの番号と、その分岐ブレーカに対応する電流値との表示を行うように構成されている。尚、本基本構成では、表示ユニット5は分電盤1の外部に設けられているが、画像表示部5aを露出させた状態で分電盤1内に設けるようにしてもよい。
伝送路6は、図1に示すように、計測制御ユニット4にセンサユニット3A〜3Pを、トリガ用伝送線60とデータ用伝送線61とグラウンド線62との3線を用いて接続するものである。ここで、トリガ用伝送線60は、計測制御ユニット4のトリガ信号出力部40に始端のセンサユニット3Pのトリガ信号受信部31を1対1で接続する接続線60aと、センサユニットのトリガ信号送信部34に末端側(次段)のセンサユニットのトリガ信号受信部31を1対1で接続する送り用接続線60b〜60pとからなり、計測制御ユニット4に、センサユニット3A〜3Pを、センサユニット3P,3N,3L,3J,3H,3F,3D,3B,3A,3C,3E,3G,3I,3K,3M,3Oの順に鎖状に接続するものである。
また、データ用伝送線61は、計測制御ユニット4のデータ受信部41に各センサユニット3A〜3Pのデータ送信部33を接続するものであり、グラウンド線62は、計測制御ユニット4及び各センサユニット3A〜3P等においてトリガ用伝送線60及びデータ用伝送線61の電圧基準として用いられるものである。尚、グラウンド線62については図面の簡略化のためにセンサユニット3A〜3Pとの接続部分の図示は省略している。
以上により本基本構成の計測システムは構成されており、以下に計測システムの動作について図1及び図2(a),(b)を参照して説明する。
本基本構成の計測システムは、計測制御ユニット4に設けられた計測開始用のスイッチ(図示せず)を使用者がオンすることによって動作を開始する。上記スイッチがオンになると、計測制御ユニット4の演算処理部44からトリガ信号出力部40にトリガ出力信号が出力されるとともに、演算処理部44によってデータカウンタの値が0にリセットされる。そして、トリガ信号出力部40は、トリガ用伝送線60の接続線60aにトリガ信号を出力し、当該トリガ信号は、トリガ用伝送線60を介して始端のセンサユニット3Pのトリガ信号受信部31に伝送される。
トリガ信号を受信したセンサユニット3Pでは、トリガ信号受信部31が演算処理部35に開始信号を出力し、演算処理部35は、データ送信部33にデータ送信開始信号を出力する。データ送信部33は、データ送信開始信号を受信すると、データ生成部32のメモリ部32eから最新の検出データを取得し、この検出データを所定のフォーマットの伝送用信号に変換してデータ用伝送線61に出力する。このようにしてデータ用伝送線61に出力された検出データは、データ用伝送線61を介して計測制御ユニット4のデータ受信部41に伝送される。そして、検出データを受信した計測制御ユニット4では、データ受信部41で受信した検出データに、インクリメントしたデータカウンタの値(この場合は1)をラベルし、得られた検出データを元に検出情報を生成する。
また、センサユニット3Pでは、検出データの送信を行ったセンサユニット3Pのデータ送信部33が、演算処理部35に送信終了信号を出力し、送信終了信号を受け取った演算処理部35は、トリガ信号送信部34にトリガ送信開始信号を出力する。そして、トリガ送信開始信号を受け取ったトリガ信号送信部34は、上記のトリガ信号と同様のトリガ信号をトリガ用伝送線60の送り用接続線60bに出力し、このトリガ信号は、送り用接続線60bを介して末端側のセンサユニット3Nのトリガ信号受信部31に伝送される。
トリガ信号を受信したセンサユニット3Nでは、上記のセンサユニット3Pと同様の動作が行われ、これによりセンサ2Nの検出出力に基づく検出データがデータ用伝送線61を介して計測制御ユニット4のデータ受信部41に伝送される。そして、センサユニット3Nから検出データを受信した計測制御ユニット4では、データ受信部41で受信した検出データに、インクリメントしたカウンタの値(この場合は2)をラベルし、得られた検出データを元に検出情報を生成する。
また、検出データの送信終了後、センサユニット3Nのトリガ信号送信部34が出力するトリガ信号は、送り用接続線60cを介して末端側のセンサユニット3Lのトリガ信号受信部31に伝送される。
以後、同様の動作が繰り返されることで、トリガ信号は、トリガ用伝送線60を介して末端のセンサユニット3Oまで伝達される。計測制御システム4が、末端のセンサユニット3Oの検出データを受信した際(つまりは、データカウンタの値が16になった際)には、演算処理部44は、センサユニット3A〜3Pより全ての検出データを得たと判断し、検出データの順番と、分電盤1内に設けられているセンサ2A〜2Pとを、記憶部42に格納されているテーブル情報に基づいて関連付けて、検出情報を表示データ生成部43に出力する。
表示データ生成部43は、得られた検出情報を元に表示用データを生成して表示ユニット5へ出力する。上記表示用データを受け取った表示ユニット5では、画像表示部5aに当該表示用データに基づく画像表示(例えば、図4(b)に示すような画像表示)を行い、これにより本基本構成の計測システムの動作が終了し、使用者は表示ユニット5の画像表示を見ることによって、各分岐ブレーカの電流値を知ることができる。
以上述べた本基本構成の計測システムによれば、16個のセンサユニット3A〜3Pは計測制御ユニット4に、16個のセンサユニット3A〜3Pを鎖状に接続するトリガ用伝送線60と、データ用伝送線61と、グラウンド線62とを有する伝送路6を用いて接続されているので、従来のようにセンサユニット毎にハーネス線等を用いてセンサユニットを計測制御ユニットに接続する場合と比べて、計測システムに必要な配線量を大幅に減らすことができ、これにより省配線化を図ることができるという効果を奏する。
また、計測制御ユニット4は、トリガ用伝送線60を介して始端のセンサユニット3Pにトリガ信号を出力し、各センサユニット3A〜3Pは、トリガ信号を受信すると検出データを伝送路6のデータ用伝送線61を介して計測制御ユニット4へ送信した後にトリガ用伝送線60を介して末端側のセンサユニットにトリガ信号を出力するから、計測制御ユニット4には、各センサユニットの検出データが、トリガ信号を受け取ったセンサユニット順に伝送される。そのため計測制御ユニット4が受信した検出データの順番によって、各検出データがどのセンサによるものであるかを識別することが可能となり、これによりアドレス設定のような高度で複雑な設定を行う必要がなくなるという効果を奏する。
また、センサ2A〜2Pと、センサユニット3A〜3Pと、伝送路6とは、プリント基板7上に形成されて一体化されており、これによりプリント基板を用いずにセンサ2A〜2Pと、センサユニット3A〜3Pと、伝送路6とを分電盤1内に設ける場合に比べて低コスト化を図ることが可能になるという効果を奏する。
加えて、このようにプリント基板7を利用することによって、主幹ブレーカ10や、分岐ブレーカ13A〜13P、主幹路11、分岐路12a,12b等によって利用できるスペースが狭くなっている分電盤1の筐体内でも、センサ2A〜2Pと、センサユニット3A〜3Pと、伝送路6とを効率的に配置することが可能となり、しかもプリント基板7の設置によって各種部品や配線の施工性が悪化することもないという効果を奏する。さらに、計測制御ユニット4と、センサユニット3A〜3Pとの間の通信を有線である伝送路6によって行っているので、無線を用いて通信を行う場合に比べて、分電盤内に生じるノイズの影響を低減できるという効果を奏する。
ところで、上記のトリガ信号は、アナログ形式の信号であってもよいが、例えば図5に示すようにHIGH(5V)とLOW(0V)のデジタル形式の信号(図5に示す例では、“00001010”の1バイトの信号)としてもよい。このようにすれば、デジタル形式の信号は一般にアナログ形式の信号として伝送路6に現れるノイズによる影響を受け難いために、トリガ信号に悪影響が生じることを抑制でき、これにより計測システムが誤動作してしまうことを防止できるという効果を奏する。尚、デジタル形式のトリガ信号は、上記のような信号の他、“00000000”や、“00001111”、“11110000”等であってもよく、また、1バイトの信号に限らず、複数ビットからなる信号であればよい。
尚、本基本構成では、センサ2A〜2Pとして、分岐路12bの電流値を検出する電流センサを用いているが、センサ2A〜2Pとしては、主幹路11の電流値を検出する電流センサであってもよいし、主幹路や分岐路の所定位置での電圧や、主幹路や分岐路の電力、分電盤内の温度等であってもよく、所望の物理量を検出するセンサを用いることができる。
また尚、上記の例では、計測開始用のスイッチ(図示せず)を計測制御ユニット4に設けているが、このような計測開始用のスイッチを、表示ユニット5に付設し、計測開始用のスイッチの操作によって、表示ユニット5から計測制御ユニット4に信号を送り、この信号によって計測動作を開始させるようにしてもよい。つまり、計測開始用のスイッチは、使用者が操作しやすい場所等、状況に応じて好適な場所に設ければよいのである。
(実施形態)
本実施形態の計測システムは、計測制御ユニットと伝送路の構成が上記基本構成の計測システムと異なっており、その他の構成は略同様であるから、同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
すなわち、本実施形態の計測システムは、図6に示すように、分電盤1内に、センサ2A〜2Pと、センサユニット3A〜3Pと、各センサユニット3A〜3Pより検出データを収集し、収集した検出データを検出情報として出力する計測制御ユニット4Aと、計測制御ユニット4Aにセンサユニット3A〜3Pを鎖状に接続する伝送路6Aとを備えるとともに、表示ユニット5を備えている。
計測制御ユニット4Aは、図7に示すように、基本構成の計測制御ユニット4と同様のトリガ信号出力部40と、データ受信部41と、記憶部42と、表示データ生成部43と、演算処理部44とに加えて、トリガ信号入力部45を備えており、トリガ信号入力部45は、受信した信号がトリガ信号である場合には、トリガ信号を受信したことを示す受信信号を演算処理部44に出力するように構成されている。
演算処理部44は、基本構成で述べた収集開始機能と、データカウンタ機能と、テーブル対応機能と、検出情報生成機能とに加えて、異常検出機能(エラー検出機能)を備えている。
上記異常検出機能は、演算処理部44がトリガ信号出力部40にトリガ出力信号を出力した後から(トリガ信号出力部40がトリガ信号を出力した後から)、演算処理部44がトリガ信号入力部45から受信信号を受け取るまでの間に、データ受信部41で受信した検出データの数(データカウンタの値)が規定数(つまりはセンサ2A〜2Pの数である16)と一致しない場合に異常が発生していると判断するように構成されている。
この場合、ノイズによって検出データが消されてしまったり、ノイズを検出データとして誤認識してしまったりといったノイズの影響によって検出データに発生する異常や、データ用伝送線61の断線、センサユニット3A〜3Pのデータ送出部33の故障等、検出データに関連する異常を検出することが可能となる。
また、異常検出機能は、タイマカウンタを備えており、演算処理部44がトリガ信号出力部40にトリガ出力信号を出力した時点でタイマカウンタをスタートさせ、タイマカウンタの値が所定値となっても(すなわちトリガ信号の出力から所定時間経過しても)、末端のセンサユニット3Oからの応答が得られない場合(本実施形態ではトリガ信号入力部45にトリガ信号が入力されなかった場合)には、異常が発生していると判断するように構成されている。ここで、異常検出の判断基準となる上記の所定時間は、検出データの数と、伝送路6の伝送速度とに基づいて算出した、全ての検出データを得るために必要な時間を元に設定している。尚、タイマカウンタの値は、計測開始用のスイッチがオンとなった際、或いは計測動作が終了した際に0にリセットされるようになっている。
この場合、ノイズによってトリガ信号が消されてしまったり、ノイズをトリガ信号として誤認識してしまったりといったノイズの影響によりトリガ信号に発生する異常や、トリガ用伝送線60の断線、センサユニット3A〜3Pのトリガ信号受信部31やトリガ信号送信部34の故障等、トリガ信号に関連する異常を検出することが可能となる。
そして、異常検出機能は、計測システムにおいて異常が発生していると判断した際には、表示ユニット5に異常発生を示す表示(異常表示)を行わせるために、異常表示用信号を表示データ生成部43へ出力するようになっている。尚、表示ユニット5に表示を行わせる際には、異常の発生原因(上記の検出データに関連するものか、トリガ信号に関連するものか)によって、表示を変えれば、異常発生時の対処が容易となる。
伝送路6Aは、図6に示すように、計測制御ユニット4Aにセンサユニット3A〜3Pを、トリガ用伝送線60とデータ用伝送線61とグラウンド線62と戻り配線63との4線を用いて接続するものである。ここで、戻り配線63は、末端のセンサユニット3Oのトリガ信号送信部34を、計測制御ユニット4Aのトリガ信号入力部45に接続するためのものであり、これにより計測制御ユニット4Aのトリガ信号出力部40より出力されたトリガ信号が、センサユニット3A〜3Pを一巡して計測制御ユニット4Aのトリガ信号入力部45に戻ってくるようにしている。つまり、戻り配線63とトリガ用伝送線60とによって、計測制御ユニット4Aから出力されたトリガ信号を、計測制御ユニット4Aに戻すためのループ線路を形成しているのである。
以上により本実施形態の計測システムは構成されており、計測システムによる電流値の計測動作については、上記基本構成の計測システムと同様であるから、以下では、本実施形態に特有の計測制御ユニット4Aにおける異常検出動作についてのみ図8に示すフローチャートを参照して説明する。
まず、計測開始用のスイッチ(図示せず)を使用者がオンすることによって動作が開始されると、データカウンタの値と、タイマカウンタの値とが0にリセットされる(ステップS1)。同時に、計測制御ユニット4Aの演算処理部44からトリガ信号出力部40にトリガ出力信号が出力され、これによりトリガ信号出力部40がトリガ信号をトリガ用伝送線60に出力するとともに(ステップS2)、タイマカウンタのカウントがスタートする(ステップS3)。そして、トリガ信号がトリガ用伝送線60を介して伝達されることによって、各センサユニット3A〜3Pが検出データを出力し、計測制御システム4Aでは、検出データを受信する毎にデータカウンタの値がインクリメントされる(ステップS4)。
次のステップS5では、トリガ信号に関連する異常検出が行われる。この異常検出は、上述したように、タイマカウンタの値が所定値になったときに、トリガ信号入力部45がトリガ信号を受信しているか否かによって行われ、トリガ信号を受信していればステップS6へ進み、トリガ信号を受信していなければステップS7bへ進む。
ステップS6では、検出データに関連する異常検出が行われる。この異常検出は、上述したように、トリガ信号入力部45より受信信号を受け取った時のデータカウンタの値がセンサ2A〜2Pの数である16と一致するか否かによって行われ、データカウンタの値が16であれば、ステップS7aへ進み、データカウンタの値が16でなければ、ステップS7bへ進む。
ステップS7aは、異常が検出されなかった場合の動作であり、上記の基本構成で述べたように、表示ユニット5に検出情報を表示して、使用者に検出結果の報知を行い、一連の動作を終了する。一方、ステップS7bは、異常を検出した場合の動作であり、表示ユニット5に異常情報を表示して、使用者に異常が発生したことの報知を行い、一連の動作を終了する。
以上述べた本実施形態の計測システムによれば、上記基本構成と同様の効果を奏する上に、次のような効果を奏する。すなわち、末端のセンサユニット3Oのトリガ信号送信部34には、該トリガ信号送信部34から出力されるトリガ信号を計測制御ユニット4Aに伝送する戻り配線63が接続されているので、計測制御ユニット4Aが出力したトリガ信号を、センサユニット3A〜3Pを一巡して計測制御ユニット4Aに戻すことができるという効果を奏する。しかも、計測制御ユニット4Aに設けられた異常検出機能によって、トリガ信号を出力してから所定時間以内に末端のセンサユニット3Oのトリガ信号が得られない場合は、表示ユニット5に異常発生を示す表示を行わせることができるという効果を奏する。
また、計測制御ユニット4Aに、末端のセンサユニット3Oのトリガ信号を伝送しているから、計測システムによる計測を繰り返し行う際に、計測制御ユニット4Aにおけるトリガ信号の受信のタイミングを、計測制御ユニット4Aからトリガ信号を出力するタイミングとして用いることができる。このようにすれば、末端のセンサユニット3Oからトリガ信号を受信した時点で、始端のセンサユニット3Pにトリガ信号を出力することが可能となるから、データの更新を速やかに開始することができ、これにより計測制御ユニット4Bから出力するトリガ信号間の時間間隔に無駄がなくなって、計測の繰り返しを非常に効率良く行えるようになる。また、計測制御ユニット4Bから出力するトリガ信号の間隔を短くしすぎると、前のトリガ信号による検出データに、後のトリガ信号による検出データが混じってしまうおそれがあるが、上記のようにすれば、このような問題が生じることもなくなる。
一方、本実施形態の異常検出機能を、上記基本構成の計測システムに採用するようにしてもよい。基本構成では、末端のセンサユニット3Oのトリガ信号送信部34が開放されているので(計測制御ユニットにトリガ信号が伝送されるように構成されていないので)、異常検出には、末端のセンサユニット3Oの検出データを用いる。すなわち、計測制御ユニットがトリガ信号を出力してから所定時間以内に末端のセンサユニット3Oの検出データが得られない場合は、異常が発生したと判断するように設定すればよい。
(参考例1)
本参考例の計測システムは、計測制御ユニットと伝送路の構成が上記実施形態の計測システムと異なっており、その他の構成は略同様であるから、同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
すなわち、本参考例の計測システムは、図9に示すように、分電盤1内に、センサ2A〜2Pと、センサユニット3A〜3Pと、各センサユニット3A〜3Pより検出データを収集し、収集した検出データを検出情報として出力する計測制御ユニット4Bと、計測制御ユニット4にセンサユニット3A〜3Pを鎖状に接続する伝送路6Bとを備えるとともに、表示ユニット5を備えている。
計測制御ユニット4Bは、上記の実施形態の計測制御ユニット4Aとは異なり、トリガ信号入力部45を備えておらず、その代わりに、データ受信部41が、受信した信号が、センサユニット3A〜3Pが出力した伝送用信号であるか、トリガ信号であるかを判別をする機能を備えている。そして、データ受信部41は、受信した信号がトリガ信号である場合には、トリガ信号を受信したことを示す受信信号を演算処理部44に出力し、受信した信号が伝送用信号であれば、上記基本構成と同様の処理を行うように構成されている。尚、トリガ信号出力部40、記憶部42、表示データ生成部43、及び演算処理部44の構成については、上記実施形態と同様であるから説明を省略する。
伝送路6Bは、基本構成の伝送路6と同様に、計測制御ユニット4にセンサユニット3A〜3Pを、トリガ用伝送線60とデータ用伝送線61とグラウンド線62とを用いて接続するものであるが、末端のセンサユニット3Oのトリガ信号送信部34をデータ用伝送路61に接続する接続部64を備えている点で異なっている。この接続部64は、例えば、NチャンネルMOSトランジスタ等のトランジスタであって、コレクタを出力端子、ベースを入力端子として用いる所謂オープンコレクタ形式で用いられている。
以上により本参考例の計測システムは構成されており、その動作については、上記実施形態と略同様であるから、説明を省略する。
そして、本参考例の計測システムによれば、上記実施形態の計測システムと同様の効果を奏する上に、末端のセンサユニット3Oの出力するトリガ信号を計測制御ユニットに伝送する線路としてデータ用伝送線を用いていることによって、実施形態の計測システムとは異なり、末端のセンサユニット3Oを計測制御ユニットに接続するための戻り配線63を設ける必要がなくなるとともに、計測制御ユニットにトリガ信号入力部45を設ける必要がなくなるから、省配線化を図ることが可能になるという効果を奏する。
(参考例2)
本参考例の計測システムは、センサユニットと伝送路の構成が上記参考例1の計測システムと異なっており、その他の構成は略同様であるから、同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
すなわち、本参考例の計測システムは、図10に示すように、分電盤1内に、16個のセンサ2A〜2Pと、15個のセンサユニット8A〜8Oと、各センサユニット8A〜8Oより検出データを収集し、収集した検出データを検出情報として出力する計測制御ユニット4Bと、計測制御ユニット4Bにセンサユニット3A〜3Pを鎖状に接続する伝送路6Cとを備えるとともに、表示ユニット5を備えている。そして、15個のセンサユニット8A〜8Oは、伝送路6Cによって鎖状(数珠繋ぎ)に接続され、計測制御ユニット4Bは、始端のセンサユニット8Oにトリガ信号を出力するように構成され、各センサユニット8A〜8Oは、トリガ信号を受信すると検出データを計測制御ユニット4Bへ送信し、この後に末端側(次段)のセンサユニットにトリガ信号を出力するように構成されている。
センサユニット8A〜8Oは、上記基本構成のセンサユニット3A〜3Pと同様に、センサ2A〜2Pの検出出力に基づいて検出データを生成するものであって、図10に示すように、センサユニット8Bには、2個のセンサ2A,2Cが接続されており、残りの14個のセンサユニット8A,8C〜8Oには、残りの14個のセンサ2B,2D〜2Pがそれぞれ接続されている。尚、これらセンサユニット8A〜8Oは、いずれも同様の構成のものであり、以下の説明では、センサが2つ接続されているセンサユニット8Bについてのみ詳細に説明する。
センサユニット8Bは、図11(a)に示すように、センサと接続される複数(本参考例では2つ)の接続端子30a,30bと、トリガ信号受信部31と、データ生成部32と、データ送信部33と、トリガ信号送信部34と、入力切替部36と、センサ検出部37と、これらを制御する演算処理部38とを備えている。尚、トリガ信号受信部31と、データ生成部32と、トリガ信号送信部34とについては、上記基本構成と同様のものであるから説明を省略する。
入力切替部36は、使用する接続端子30a,30bの切り替えを時間的に行うものである。つまり、入力切替部36は、演算処理部38によって制御されて、所定時間毎に、データ生成部32に接続する接続端子30a,30bを切り替えるように構成されている。尚、上記所定時間は、自由に設定できるようにしてもよい。また尚、切替のタイミングも所定時間毎ではなく、任意のタイミングで行うようにしてもよい。
センサ検出部37は、各接続端子30a,30bに入力されている電圧値と所定の閾値との比較結果によって、各接続端子30a,30bにセンサが接続されているか否かの検出を行うものである。さらに詳しく説明すると、センサ検出部37は、例えば各接続端子30a,30bに入力されている電圧値と所定の閾値とを比較するコンパレータ等を備えている。そして、センサ検出部37は、接続端子に入力されている電圧値が所定の閾値以上であれば、当該接続端子にセンサが接続されていないことを示すセンサ未接続信号を演算処理部38に出力し、接続端子に入力されている電圧値が所定の閾値未満であれば、当該接続端子にセンサが接続されていることを示すセンサ接続信号を演算処理部38に出力するように構成されている。
ここで、センサが接続されているか否かの判断基準となる上記の所定の閾値は、センサの検出出力に対して十分に大きな値(例えば、数Vの直流電圧)としてあり、センサが接続されているにもかかわらず、センサが接続されていないと誤認識することがないようにしている。
そのため、センサユニット8Bの接続端子にセンサを接続しない場合には、例えば図11(b)に示すように、センサを接続しない接続端子30bに、所定の閾値以上の入力電圧を与える電圧入力部9を接続するのである。この電圧入力部9は、例えば、抵抗R1,R2からなる直列回路を介して内部電源Vccを接地することで構成され、抵抗R1,R2間の部位が接続端子30bに接続される。
演算処理部38は、例えばCPU等であって、入力切替部36を制御して使用する接続端子を時間的に切り替えるセンサ選択機能と、該センサ選択機能により選択したセンサの検出データを生成するために、データ生成部32に生成開始信号を出力する機能と、トリガ信号受信部31から開始信号を受け取った際に、センサ検出部37で検出したセンサの検出データを、データ送信部33から所定の順番でデータ用伝送線61に出力させるためのデータ送信開始信号をデータ送信部33に出力するデータ送信機能と、データ送信部33から送信終了信号を受け取った際に、トリガ信号送信部34にトリガ送信開始信号を出力する機能とを備え、これらはソフトウェア等により実現されている。
上記センサ選択機能は、所定の時間毎に、データ生成部32に接続する接続端子30a,30bを切り替える切替手段と、センサ検出部38の検出結果に応じて入力切替部36の切え替えを規制する切替規制手段とを備えている。この切替規制手段は、センサ検出部37により接続端子にセンサが接続されていないことを検出した際に(センサ検出部37からセンサ未接続信号を受け取った際に)、センサが接続されていない接続端子へ切り替えを行わないように、入力切替部36による接続端子30a,30bの切り替えを規制するものである。このような切替規制手段によれば、センサが接続されていない接続端子への切り替えを行わなくて済むから、無駄な動作を省いて、センサユニットの動作効率を向上できるという効果を奏する。
ここで、センサユニット8Bにおける検出データの生成動作について図12に示すフローチャートを参照して説明する。
まず、ステップS10では、検出データを生成するセンサを選択するために接続端子30a,30bの切り替えが行われ、ここでは、センサ2Aの検出データを得るために、接続端子30aが入力切替部36によってデータ生成部32に接続され、同時に、演算処理部38からデータ生成部32に生成開始信号が出力される。
ステップS11では、生成開始信号を受け取ったデータ生成部32によって検出データの生成が行われる。この作業は、センサ2Aの検出出力を増幅部32aが増幅し、積分部32bが増幅部32aの出力を積分し、実効値演算部32cが積分部32bにより得られた電流波形からその実効値を演算し、A/D変換部32dが実効値演算部32cにより得られた実効値(検出データ)をアナログ信号からデジタル信号に変換することで行われる。
そして、ステップS12において、A/D変換部32dによりデジタル信号に変換された検出データが、メモリ部32eに接続端子30aと関連付けて記憶される。
次のステップS13では、ステップS10同様、検出データを生成するセンサを選択するために接続端子30a,30bの切り替えが行われ、ここでは、センサ2Cの検出データを得るために、接続端子30bが入力切替部36によってデータ生成部32に接続され、同時に、演算処理部38からデータ生成部32に生成開始信号が出力される。
ステップS14では、ステップS11と同様に、生成開始信号を受け取ったデータ生成部32によって検出データの生成が行われ、ステップS15において、メモリ部32eに、A/D変換部32dによりデジタル信号に変換された検出データが、メモリ部32eに接続端子30aと関連付けて記憶される。
これ以後、ステップS10〜S15までの動作が繰り返し行われ、データ生成部32の記憶部32eには、センサ2A,2C毎の検出データが蓄積される。尚、上記の例では、検出データを蓄積するとしたが、常に上書きするようにしてもよい。
ところで、センサユニット8A,8C〜8Oには、上述したようにセンサ2B,2D〜2Pがそれぞれ接続されているため、センサユニット8A,8C〜8Oは、一方の接続端子30aにセンサが接続され、他方の接続端子30bに電圧入力部9が接続されている。そのため、センサユニット8A,8C〜8Oでは、切替規制手段によって接続端子30bへの切替が規制され、図12におけるステップS11,S12の動作が繰り返し行われることになる。
データ送信部33は、基本構成と同様のものであるが、演算処理部38からデータ送信開始信号を受け取ると、センサ検出部37により検出したセンサの検出データをデータ生成部32のメモリ部32eから取得して伝送用信号に変換し、演算処理部38で指定された順番にデータ用伝送線61に出力するように構成されている。図11(a)に示すセンサユニット8Bの場合であれば、図11(c)に示すように、最初にセンサ2Aの検出データ(図11(c)中にデータAで示す)がデータ用伝送路61に出力され、この後にセンサ2Cの検出データ(図11(c)中にデータBで示す)がデータ用伝送路61に出力されることになる。一方、図11(b)に示すように、センサユニット8Bの接続端子30bにセンサ2Cではなく電力入力部9が接続されている場合、データ送信部33からは、センサ2Aの検出データのみがデータ用伝送路61に出力されることになる。
以上によりセンサユニット8A〜8Oは構成されている。そして、センサユニット8Bは、センサが2個接続されているから、トリガ信号を受信すると図11(c)に示すように、センサ2Aの検出データ(図11(c)中にデータAで示す)をデータ用伝送線61に出力してからセンサ2Cの検出データ(図11(c)中にデータBで示す)を出力し、言い換えれば、各センサ2A,2Cの検出データを順次送信し、この後に、トリガ信号を出力するという動作を行うことになる。また、センサユニット8A,8C〜8Oは、センサが1個接続されているから、トリガ信号を受信すると、1つの検出データを送信し、この後に、トリガ信号を出力するという動作を行うことになる。
一方、伝送路6Cは、図10に示すように、計測制御ユニット4Bにセンサユニット8A〜8Oを、トリガ用伝送線65とデータ用伝送線61とグラウンド線62との3線を用いて接続するものである。ここで、トリガ用伝送線65は、計測制御ユニット4Bのトリガ信号出力部40に始端のセンサユニット8Oのトリガ信号受信部31を1対1で接続する接続線65aと、センサユニットのトリガ信号送信部34に末端側(次段)のセンサユニットのトリガ信号受信部31を1対1で接続することで、計測制御ユニット4にセンサユニット8A〜8Nを、センサユニット8O,8M,8K,8I,8G,8E,8C,8A,8B,8D,8F,8H,8J,8L,8Nの順に鎖状に接続する送り用接続線65b〜65oとからなる。
また、データ用伝送線61は、計測制御ユニット4Bのデータ受信部41に各センサユニット8A〜8Oのデータ送信部33を接続するものであり、グラウンド線62は、計測制御ユニット4B及び各センサユニット8A〜8O等においてトリガ用伝送線65及びデータ用伝送線61の電圧基準として用いられるものである。さらに、本参考例では、上記参考例1と同様に、末端のセンサユニット8Nのトリガ信号送信部34をデータ用伝送路61に接続する接続部64を備えている。
以上述べた本参考例の計測システムによれば、センサユニット8A〜8Oが、センサが接続される2つの接続端子30a,30bと、使用する接続端子30a,30bを時間的に切り替える入力切替部36を備え、入力切替部36により使用する接続端子30a,30bを切り替えることで、各接続端子30a,30bに接続されているセンサから検出出力を取得して検出データを生成し、生成した検出データを計測制御ユニットに順次送信するように構成されている。そのため、計測制御ユニット4Bからトリガ信号を出力した際には、計測制御ユニット4Bに、各センサ2A〜2Pの検出データが、順番に(センサ2P,2N,2L,2J,2H,2F,2D,2B,2A,2C,2E,2G,2I,2K,2M,2Oの順番に)入力されることとなり、その結果、上記参考例1と同様の効果を奏する。
その上、本参考例の計測システムによれば、1つのセンサユニットに複数のセンサを接続することができるから、上記基本構成、上記実施形態、及び、上記参考例1のように1つのセンサユニットに1つのセンサを接続する場合に比べて、省スペース化及び省配線化を図ることができるという効果を奏する。また、センサユニット8A〜8Oには、接続端子30a,30bに入力されている電圧値と所定の閾値との比較結果によって、接続端子30a,30bにセンサが接続されているか否かを検出するセンサ検出部37が設けられているから、接続端子30a,30bそのものをセンサ検出用の端子として用いることができ、これにより接続端子30a,30bにセンサが接続されているか否かの検出用(認識用)の端子を別途設ける必要が無くなる。そのため、センサユニット8A〜8OをIC化する際等に、センサ検出用の端子を設けなくて済み、製造コストや、製造の容易性等の面で有利であるという効果を奏する。
ところで、図11(a)に示すセンサユニット8Bでは、接続端子30a,30bと、データ生成部32の増幅部32aとの間に、入力切替部36を設けているが、例えば図13に示すように、接続端子30a,30bにそれぞれ増幅部32a,32aを接続し、これら増幅部32a,32aと、積分部32bとの間に、入力切替部36を設けるようにしてもよい。
尚、上記の例では、センサユニット8A〜8Oには、それぞれ2つの接続端子30a,30bが設けられているが、このような接続端子の数は、2つに限られるものではなく、さらに多くの接続端子を設けるようにしてもよい。
また尚、センサユニット8A〜8Oに種類の異なるセンサ、例えば電流センサと温度センサとを設け、様々な物理量を同時に検出できるようにしてもよい。さらに、この場合、トリガ信号の種類によってセンサユニットに出力させる検出データを選択できるようにしてもよく、このようにすれば、電流センサの検出データや、温度センサの検出データ、或いはその両方の検出データを選択的に収集することが可能となる。