本発明は、第1及び第2の圧縮部を備え、第1の圧縮部で圧縮された冷媒を第2の圧縮部で圧縮する二段ロータリ圧縮機に関する。
ロータリ圧縮機は、小型化が可能なこと、また、構造が簡単であることから、冷凍冷蔵庫、空調機、ヒートポンプ式給湯機等に広く用いられている(非特許文献1参照)。また、地球温暖化防止を図る観点から、オゾン層破壊係数がゼロで地球温暖化係数の小さな自然冷媒のうちで特に毒性及び不燃性の炭酸ガス(CO2冷媒)が、フロンに代わる新たな冷媒として注目を集めている。
ところが、図17の表1(a)及び表1(b)に示すように、フロン冷媒を用いたロータリ圧縮機(単段ロータリ圧縮機)に比べて、CO2冷媒を用いたロータリ圧縮機(単段ロータリ圧縮機)は、吐出圧力(Pd)と吸入圧力(Ps)の圧縮比(Pd/Ps)が小さくなるものの、吐出圧力と吸入圧力の差圧(Pd−Ps)が大きくなる。そのため、シリンダ内部で偏心回転するローラに圧接してシリンダ内を吸入室(低圧)と圧縮室(低圧から高圧)に仕切っているベーンをローラに押しつける圧力が大きくなり、その結果、ローラに接触しているベーン先端が過度に摩耗するという問題がある。また、ベーンとこれが摺動するシリンダ面との隙間から冷媒が漏れるという問題がある。
表1の「フロン冷媒とCO2冷媒を用いたロータリ圧縮機の運転条件比較表」は、Ashrae基準(凝縮温度(CT)/蒸発温度(ET)=54.4/7.2[℃]、アブクール/スーパ−ヒート=8.3/27.8[K]から圧縮機吸入温度(Ts)=35℃、膨張弁前温度(Texp)=46.1℃の条件で、高圧型単段ロータリ圧縮機を運転したときの、圧縮機効率と圧力・温度条件を求めたものである。また、図13はフロン冷媒を用いた基本冷凍サイクルのp-h線図(モリエル線図)、図14はCO2冷媒を用いた基本冷凍サイクルのp-h線図(モリエル線図)である。
上述した単段ロータリ圧縮機と同様に、高圧シェル型の二段ロータリ圧縮機の場合も、低段側ベーンに着目すると、後段側ベーン背圧(高圧)とシリンダ内圧力(低圧から中間圧)の差圧が大きいことから低段側ベーン先端荷重(ベーンがローラに接触する圧力)が大きく、ベーンの摩耗及び冷媒の漏れが著しいという問題がある。
日本冷凍空調学会編、上級テキスト冷凍空調技術:冷凍編(平成12年)第100頁
そこで、本発明は、ベーン先端に加わる荷重を低下させること、ベーンの周りに好適なシール性と潤滑を形成することを目的とする。
このような目的を達成するため、本発明に係る一つの実施形態は、高圧シェル型密閉容器内に、電動機と、上記電動機によって駆動される第1及び第2の圧縮部を備え、上記第1の圧縮部で圧縮された冷媒を上記第2の圧縮部で圧縮するロータリ圧縮機において、上記第1及び第2の圧縮部はそれぞれ、シリンダと、上記シリンダ内を偏心回転するローラと、上記ローラに当接して上記シリンダと上記ローラとの間に形成された空間を吸入室と圧縮室に仕切るベーンを備えており、上記第1の圧縮部は上記ベーンの背後に形成された中間圧の背圧室を備えており、上記ロータリ圧縮機は、上記第1の圧縮部で圧縮された冷媒とこれに混入した油を上記第2の圧縮部に輸送する輸送経路と、上記第1の圧縮部で圧縮された冷媒と油の一部を分配して上記第1の圧縮部の背圧室に輸送するための分配器及び分配経路と、上記第1の圧縮部の背圧室に輸送する冷媒と油を冷却する冷却要素を備え、上記輸送経路は、上記密閉容器の外部に配置された上記冷却要素を介して、上記第1の圧縮部で圧縮された冷媒とこれに混入した油を上記第2の圧縮部に輸送し、上記分配器は、上記第1の圧縮部から上記第2の圧縮部に輸送される冷媒の流れに関して上記冷却要素の下流側に配置され、上記冷却要素にて冷却された冷媒と油の一部を上記分配経路を介して上記第1の圧縮部の背圧室に分配することを特徴とする。
このような構成を備えたロータリ圧縮機によれば、ベーン背圧とシリンダ内圧の差圧を小さくしてベーン先端荷重を低下させ、その摩耗を減少させることができる。また、ベーンの周囲に好適なシール性と潤滑が形成される。
以下、添付図面を参照して本発明に係る二段ロータリ圧縮機の複数の形態を説明する。なお、以下の説明では、「低圧」、「中間圧」、「高圧」の用語を用いるが、これらは圧力の相対的な大きさの程度を表したものであって、絶対的な値を示すものではない。また、二段圧縮機は、密閉容器内の圧力レベルによって大きく三種類に分類される。密閉容器内が蒸発器圧力、または、第1の圧縮部の吸入圧力に等しい場合は「低圧シェル型」、第1の圧縮部の吐出圧力、または、第2の圧縮部の吸入圧力に等しい場合は「中間圧シェル型」、ガスクーラ(超臨界以下で用いる場合はフロン冷媒と同様の凝縮器)圧力、または、第2の圧縮部の吐出圧力に等しい場合は「高圧シェル型」である。
実施の形態1
〔1.概略構成〕図1は、本発明の実施の形態1に係る高圧シェル型二段ロータリ圧縮機の縦断面を示す。図示する圧縮機10は、略縦型円筒形の縦型密閉容器12を有する。密閉容器12はその内側に縦型円筒形の内部空間14を有し、該内部空間14の上部と下部にそれぞれ電動機20と回転圧縮要素22を収容し、底部に油(潤滑油)21を貯蔵している。
〔2.電動機〕電動機20は、内部空間14の中心軸(鉛直中心線)24を中心に配置された環状のステータ(固定子)26と、ステータ26の内側に配置されたロータ(回転子)28を有する。ステータ26は、密閉容器12に固定されており、ロータ28は中心軸24を中心に回転可能に支持されている。周知のように、ステータ26は、環状(ドーナッツ状)の電磁鋼板を積層した積層体と、積層体に形成されている複数の歯部(図示せず)に巻回されたコイルを有する。また、ロータ28は、中心軸24に沿って配置された回転軸30と、該回転軸30に固定された電磁鋼板の積層体と、該積層体に保持された複数の永久磁石からなる。
〔3.回転圧縮要素〕回転圧縮要素22は、低圧の冷媒ガスを加圧して中間圧の冷媒ガスを得る第1の圧縮部(低段側圧縮部)32と、中間圧の冷媒ガスを加圧して高圧の冷媒ガスを得る第2の圧縮部(高段側圧縮部)34を有する。
圧縮部の構成を模式的に表した図2を参照して説明すると、第1の圧縮部32は、中心軸24を中心とする環状の板からなるシリンダ36と、シリンダ36に囲まれた円筒空間40内において回転軸30を半径方向外側に膨出して形成された円形の偏心部44と、円筒空間40内で偏心部44の周囲に配置された環状のローラ48を有する。偏心部44は、中心軸24に対して所定の偏心量eだけ所定の方向(図2のX方向)に偏心している。従って、偏心部44に外装されたローラ48も同一の偏心量eだけ中心軸24からX方向に偏心している。偏心部44とローラ48の径は、図2に示すように、偏心したローラ48の外周面が回転軸30の回転と共にシリンダ36の内面に接触して該接触部をシールするように決められている。
シリンダ36には、該シリンダ36の内周面から外周面に向かって半径方向に伸びると共に外周面の手前に終端部を有するベーン溝52が形成されており、このベーン溝52にベーン56がローラ48に向かって進退自在に収容されている。中心軸24から半径方向外側に離れたベーン溝52の奥側(底部)には、ベーン56の背後に位置する背圧室60が形成されている。背圧室60にはばね64が配置されており、このばね64の付勢力によってベーン52の先端(中心軸側の端部)がローラ48の外周面に圧接し、シリンダ内周面とローラ外周面の間に形成されている空間を2つに分離している。実施の形態において、回転軸30の回転方向(図2の反時計回り方向)に関してベーン52の下流側に吸入室(低圧室)68、上流側に圧縮室(高圧室)72が形成されている。
圧縮前の冷媒ガスを吸入室68に供給し、圧縮後の冷媒ガスを圧縮室72から排出するために、シリンダ36にはベーン近傍の下流側と上流側にそれぞれ吸入路76と吐出路80が形成されている(図1参照)。また、吐出路80には吐出弁(逆止弁)84が設けてあり、圧縮室72から吐出された圧縮後の冷媒ガスが圧縮室72に戻らないようにしてある。
第2の圧縮部34も第1の圧縮部32に類似の構成を有する。したがって、第1の圧縮部32の構成を示している図2において、第1の圧縮部32の構成部分に対応する第2の圧縮部34の構成部分の符号を、第1の圧縮部32の構成部分を示す符号の後の括弧内に表している。第2の圧縮部34が第1の圧縮部32と異なる部分は、偏心部46の偏心方向が第1の圧縮部32における偏心部44の偏心方向(矢印X方向)とは逆の方向(矢印X’方向)である点である。したがって、第2の圧縮部34におけるベーン58、吸入路78、吐出路82、吐出弁86は、第1の圧縮部32におけるそれらの反対側(中心軸24に対して対称)に配置されている。
図1に戻り、第1の圧縮部32と第2の圧縮部34の間には中間仕切板90が配置されており、これにより第1の圧縮部32のシリンダ36内に形成された空間(吸入室68、圧縮室72)の上部と第2の圧縮部34のシリンダ38内に形成された空間(吸入室70、圧縮室74)の下部が閉鎖されている。第1の圧縮部32のシリンダ36の下には下部支持部材92が固定され、これによりシリンダ36内の空間の下部が閉鎖されており、第2の圧縮部34のシリンダ38の上には上部支持部材94が固定され、これによりシリンダ38内の空間の上部が閉鎖されている。下部支持部材92の下には下部カバープレート96が固定され、上部支持部材94の上には上部カバープレート98が固定されている。また、下部カバープレート96に対向する下部支持部材92の下面には低段側消音室100が形成されており、この低段側消音室100が吐出口102を介して後述する冷媒循環回路120に接続されている。上部カバープレート98に対向する上部支持部材94の上面には高段側消音室104が形成されており、この高段側消音室104が吐出口106を介して内部空間14に接続されている。
〔4.冷媒循環回路〕油(潤滑油)21は、第2の圧縮部34が油に漬かる状態で蓄えられており、第2の圧縮部34のベーン58に直接供給される。具体的に、油21は、回転軸30の下端部に取り付けられた油ポンプ23で吸い上げられ、回転軸30の軸芯穴を通って、各回転圧縮要素のシリンダ内に供給される。第1の圧縮部32に供給された油は、シリンダ内圧縮室で冷媒に混入し、この冷媒と一緒に輸送配管30で輸送される。大部分の油は、油分離器または密閉容器を通過するときに冷媒と分離されて密閉容器内の底部に戻るが、分離されない油は冷媒といっしょに輸送配管120を循環する。図3と図1を参照すると、冷媒循環回路120は、輸送配管(主経路)122を有する。この輸送配管122は、密閉容器12の内部空間14から密閉容器12の外部空間に引き出された後、再び密閉容器12内に入って第1の圧縮部32の吸入路76に接続されており、その経路途中には凝集器124、膨張弁126、蒸発器128が順番に配置されている。
冷媒循環回路120はまた、密閉容器12の外部に配置された輸送配管(第1の輸送配管)130を有し、この輸送配管130が第1の圧縮部32における吐出口102と第2の圧縮部34における吸入路78を接続しており、冷却器(中間冷却器)132と分配器(分配要素)134を備えている。冷却器132は、第1の圧縮部32で圧縮された冷媒ガスと油を冷却するものである。分配器134は、第1の圧縮部32から第2の圧縮部34に輸送される冷媒ガスの流れに関して冷却器132の下流側に配置されている。また、分配器134は、分配経路136を介して第1の圧縮部32の背圧室60に接続されており、第1の輸送配管130に沿って輸送される冷媒ガスと油の一部が分配経路(第2の輸送配管)136に設けた絞り調整弁138を介して第1の圧縮部32の背圧室60に供給されるようにしてある。分配器132は、これが接続されている背圧室60の上方に配置することが好ましい。
分配器134には、冷媒ガスに含まれる油(潤滑油)を分離する油分離機能を備えた分配器(油分離器)と、油分離機能を備えていない分配器のいずれも利用できる。油分離機能付の分配器を用いる場合、分配器134で回収された油は分配経路136を通じて背圧室60に供給される。一方、油分離機能の無い分配器の場合も、背圧室60には油を含む冷媒ガスが背圧室60に供給される。
〔5.動作〕以上のように構成された高圧シェル型二段圧縮機10において、電動機20に所定の駆動電力が供給されると、ロータ28が回転する。その結果、図2に示すように、第1及び第2の圧縮部34では、ローラ48,50が図示する反時計回り方向に回転する。したがって、第1の圧縮部32では、吸入路76から吸入室68に供給された低圧の冷媒(例えば、CO2冷媒)がローラ48の回転に基づいて圧縮される。所定の圧力(中間圧)まで圧縮された冷媒ガスは吐出路80から吐出され、低段側消音室100から吐出口102を介して輸送配管130に供給される。輸送配管130を流れる中間圧の冷媒ガスは、冷却部132でほぼ外気温度近くまで冷却された後、分配器134に供給される。分配器134が油分離機能付の分配器の場合、分配器134に供給された中間圧冷媒ガスは、分配器134によって油が分離される。分離された油は、分配器134によって分配された一部の冷媒ガスと共に分配経路136を輸送される。分配経路136を輸送される中間圧冷媒ガスは、絞り調整弁138で流量調整された後、第1の圧縮部32の背圧室60に供給される。特に、分配器134が背圧室60の上方に配置される場合、重力作用によって背圧室60に油が効率的に供給される。分配器134が油分離機能を備えていない場合でも、分配された一部の冷媒ガスには油が含まれており、この油が第1の圧縮部32の背圧室60に供給される。
背圧室60に供給された中間圧の冷媒ガスはベーン56の背面に作用し、ばね64の付勢力と共に、ベーン56をローラ48に圧接する。その結果、ローラ48とこれに接するベーン先端部との間には良好なシールが形成される。分配器134が油分離機能を有するか否かに拘わらず、背圧室60に供給される冷媒ガスには油が含まれており、この油がベーン側面とこれに対向するベーン溝側壁との隙間に入り、両者の間を潤滑すると共にシールする。当然、油分離機能付き分配器を用いた場合、背圧室60に供給される油の量が多く、そのために更に良好な潤滑とシールが達成できる。また、冷却部132で冷却された低温の冷媒ガスが背圧室60に供給されるため、ベーン側面とベーン溝側壁との間に高いシール性が確保できる。
分配器134によって分配された他の中間圧冷媒ガスは、第1の輸送配管130を通じて再び密閉容器12の内部に送り込まれた後、第2の圧縮部34の吸入路78から吸入室70に供給される。第2の圧縮部34の吸入室70に供給された中間圧冷媒ガスは、ローラ50の回転によって更に圧縮されて高圧冷媒ガスとなる。所定の圧力(高圧)まで圧縮された冷媒ガスは、吐出路82から吐出され、高段消音室104から吐出口106を介して、密閉容器12の内部空間14に吐出されて貯蔵される。
密閉容器12の内部空間14に貯蔵された高温の高圧冷媒ガスは、吐出パイプ123を介して輸送配管(主経路)122を通じてガスクーラ124に供給され、そこで凝縮されて液体になる。次に、液体となった冷媒は、膨張弁126を通過する際に膨張し、低温の低圧冷媒ガスになる。この低温・低圧冷媒ガスは蒸発器128に送られ、そこで被冷却媒体から熱を奪った後、密閉容器12の内部に送り戻され、第1の圧縮部32の吸入室68に供給される。
図16は、上述した冷凍サイクルを表したp−h線図(モリエル線図)である。
〔6.油分離機能付の分配器〕油分離機能付の分配器(油分離機能付の分配器)として、現在種々の形態のものが提供されており、例えば、形式と構造の観点から見た場合、遠心分離式(立形円筒内に旋回板を設け、ガスを旋回運動させて油滴を遠心力で分離する方式)、多孔板(バッフル)式(立形円筒内部に、小孔がある多数の複数の多孔板を斜めに設け、ガスが小孔を通過する際に油滴を分離する方式)、金網式(容器内に金網が円筒状に配置されており、ガスが金網を通過する際に、この金網によって油滴を分離する方式)、デミスタ式(ガス中の油滴をデミスタ内の線条で捕らえて分離する方式)がある。本発明に係るロータリ圧縮機には上述したすべての形態の分配器(油分離器)が適用可能である。例えば、デミスタ式油分離器を用いた場合、99%以上の油を分離回収することが可能であることから、十分に油を含む冷媒ガスを背圧室に送ることができ、高いシール効果及び潤滑作用が期待できる。
〔7.変形例1〕実施の形態1では分配器134を密閉容器12の外部に設けたが、分配機能と油分離機能を設ける場所は限定的事項ではない。例えば、図4(a)に示す変形例は、油分離機能付分配器140を回転圧縮要素22に設けている。具体的に、分配器140において、第1の圧縮部32の背圧室60と第2の圧縮部34の吸入路78を繋ぐ上下方向の冷媒ガス輸送路(バイパス)142が形成されている。また、輸送配管142の入口(上端部)近傍の吸入路部分には、油分離(回収)手段の金網144(図4(b)参照)が複数枚重ねて配置されている。図示するように、金網144は、これに回収された油が液滴状で冷媒ガス輸送路142に落下し易いように、上下方向に又は斜めに向けて配置し、その下端部を輸送配管142の入口に位置させることが好ましい。
このような構成を備えたロータリ圧縮機によれば、第2の圧縮部34に供給される中間圧冷媒ガスの一部が吸入路78から輸送配管142を介して第1の圧縮部32の背圧室60に落下供給される。また、冷媒ガス、特に冷媒ガスに含まれる油が、背圧室60にその上方から落下供給されるため、背圧室60はオイルリッチな状態に保たれる。しかも、背圧室60に供給される冷媒ガス及び油は、油分離手段の上流側で中間冷却部132によって冷却されている。そのため、ベーン側面とベーン溝側壁との間に更に高いシール性が確保できる。
〔8.変形例2〕図5は実施の形態1の変形例2を示す。変形例2は、変形例1のロータリ圧縮機から油分離用の金網を除いたものである。したがって、変形例2のロータリ圧縮機によれば、第2の圧縮部34の吸入路78に供給された中間圧冷媒ガスが該冷媒ガスに含まれる油と共にその一部が輸送配管142を通じて第1の圧縮部32の背圧室60に落下供給される。その結果、変形例1と同様に、背圧室60にその上方から油を含む冷媒ガスが落下供給されるため、背圧室60はオイルリッチな状態に保たれる。また、背圧室60に供給される冷媒ガス及び油は、油分離手段の上流側で中間冷却部によって冷却されているため、ベーン側面とベーン溝側壁との間に更に高いシール性が確保できる。
〔9.比較検討〕以下に示す複数の形態の二段ロータリ圧縮機の性能を解析した。解析の対象としてロータリ圧縮機は以下の通りである。
比較例1(背圧高圧型):第2の圧縮部から吐出されて密閉容器に蓄積された高圧冷媒ガスを第1の圧縮部の背圧室に供給する二段ロータリ圧縮機。第1の圧縮部の背圧室に供給される高圧冷媒ガスの輸送配管は、中間冷却部、分配器のいずれも備えていない。
比較例2(背圧中間圧型):第1の圧縮部から吐出された中間圧冷媒ガスを第1の圧縮部の背圧室に供給する二段ロータリ圧縮機。ただし、背圧室に通じる冷媒ガス輸送路は該背圧室の底部に接続されており、背圧室にその下方から冷媒ガスが供給される(特開2004−27970号公報に表されている二段ロータリ圧縮機)。第1の圧縮部の背圧室に供給される中間圧冷媒ガスの輸送配管は、中間冷却部、分配器のいずれも備えていない。
実施例1(中間冷却型〔油分離器あり〕):実施の形態1で説明したように、第1の圧縮部から吐出された中間圧冷媒ガスを中間冷却器で冷却した後、油分離機能付の分配器で分離回収した油を含むオイルリッチな中間圧冷媒ガスを第1の圧縮部の背圧室に輸送する二段ロータリ圧縮機(図1参照)。
実施例2(中間冷却型〔油分離器なし〕):油分離機能の無い分配器を用い、第1の圧縮部から吐出された中間圧冷媒ガスを中間冷却器で冷却した中間圧冷媒ガスを分配器から第1の圧縮部の背圧室に輸送する二段ロータリ圧縮機(図1参照)。
実施例3(変形例1:油分離器(金網)あり):変形例1の二段ロータリ圧縮機(図4参照)。
実施例4(変形例2:油分離器(金網)なし):変形例2の二段ロータリ圧縮機(図5参照)。
〔解析結果〕解析結果を表2:高圧シェル型CO2二段ロータリ圧縮機の低段側ベーン背圧室への中間圧導入の比較(Ashrea基準、中間冷却あり)に示す。表2及び以下に説明する別の表中、「ベーン動作環境」欄において、「ベーン背面とシリンダ内の差圧」欄の「大」は4Pa以上、「中」は2〜4MPa、「小」は2MPa以下を意味し、「ベーン背面温度」欄の「超高温」は100℃以上、「高温」は50〜100℃、「常温」は20〜50℃、「低温」は20℃以下を意味し、「ベーン背面室油濃度」欄の「超濃」は90%以上、「濃」は60〜90%、「中」は30〜60%、「淡」は10〜30%、「希薄」は10%以下を意味する。「改善効果」欄において、「圧縮機効率」は理論断熱圧縮動力/圧縮機入力で定義され、「ベーン摩擦損失」と「ベーン隙間漏れによる損失」は、実験と理論式から推定した値である。推定方法は、例えば「幸田ら、“ロータリ圧縮機の性能解析”、空気調和・冷凍連合講演会講演論文集(’89)による。「ベーン摺動部の耐摩耗性、シール性」は、以上の推定値と試験結果(耐久性評価)からベーン摺動部の耐摩耗性、シール性を総合的に相対評価したもので、それぞれ「×」は不良、「△」は普通、「○」は良好、「◎」は極めて良好を意味する。
〔検討〕表18から明らかなように、比較例1の場合、第1の圧縮部のベーン背面には密閉容器内に蓄えられている油が潤沢に供給されるが、背圧室に供給される冷媒は高温高圧であるため、ベーン先端の受ける荷重が大きく、また良好な潤滑状態も得られない。比較例2の場合、第1の圧縮部のベーン背面には中間圧の冷媒が供給されるが、背圧室にその下方から冷媒を供給しているため、背圧室に十分な油が供給されず、潤滑やシール性が悪い。これに対し、本発明の実施形態に係る実施例1では、中間圧で低温の油が背圧室に潤沢に供給されるので、良好な潤滑とシール性が得られる。圧縮機効率に着目した場合、実施例1はもとより、他の実施例2〜4においても、比較例1,2よりも高い圧縮機効率を得られることが理解できる。
〔10.変形例3〕実施の形態1では、第1の圧縮部32から吐出された中間圧冷媒を環境温度(大気温度)まで放熱させる熱交換器を中間冷却器として利用している。しかし、二段圧縮冷凍サイクルで用いられる中間冷却要素としては、フラッシュ式、液冷却式、直接膨張式の冷却器が知られており、これらを実施の形態1の中間冷却器として利用することができる。なお、フラッシュ式冷却器を用いた場合、第1の圧縮部から吐出した高温・中間圧の冷媒は、ガスクーラから供給される冷媒と気液分離器機能付容器内で混合され、そのうちの飽和ガスが第2の圧縮部の吸入室に送り込まれる。そして、このような形態の中間冷却器を用いた二段ロータリ圧縮機は、上述した実施の形態1のロータリ圧縮機と同様の作用効果(潤滑とシール性の向上)が得られる。
〔11.変形例4〕図6は、変形例4に係るインジェクション式の高圧シェル型ロータリ圧縮機の冷媒循環回路150を示す。このロータリ圧縮機において、第2の圧縮部34の圧縮室から吐出された冷媒を第1の圧縮部32の吸入室に案内する輸送配管(主経路)152には、上流側から下流側に向かって順番に、ガスクーラ154、膨張用キャピラリチューブ156、液タンク158、膨張用キャピラリチューブ160、冷蔵用蒸発器162、及び冷凍用蒸発器164が設けてある。液タンク158と第2の圧縮部34の吸入室は別の輸送配管(第1のバイパス)166を通じて流体的に接続されており、この冷媒輸送回路(第1のバイパス)166に分配器168が設けてある。分配器168は第1の圧縮部32の背圧室60と輸送配管(第2のバイパス)170を通じて流体的に接続されており、この輸送配管(第2のバイパス)170に絞り調整弁172が設けてある。分配器168は、背圧室60の上方に配置することが好ましい。輸送配管(第1のバイパス)166は液タンク158と分配器168の間にある分岐部174において分岐しており、その分岐路(輸送配管、第3のバイパス)176が冷蔵用蒸発器162と冷凍用蒸発器164の間で輸送配管(主経路)152に接続されている。
このように構成されたインジェクション式のロータリ圧縮機によれば、第2の圧縮部34から輸送配管(主経路)152に吐出された高圧冷媒は、ガスクーラ154で冷却された後、膨張用キャピラリチューブ156で膨張減圧して低温の中間圧冷媒となる。冷却された中間圧冷媒は液タンク158に貯蔵される。液タンク158に貯蔵された中間圧冷媒は、その大部分がキャピラリチューブ160で膨張し低圧冷媒となり、冷蔵用蒸発器162、冷凍用蒸発器164で被冷却媒体から熱を奪って後、第1の圧縮部32の吸入室に供給される。一方、液タンク158に貯蔵されている中間圧冷媒の一部は、輸送配管(第1のバイパス)166に供給され、一部が輸送配管(第3のバイパス)176を介して蒸発器162,164の間で輸送配管(主経路)152に戻され、その他は分配器168に供給されてそこで2つに分配される。分配された一方の中間圧冷媒は第2の圧縮部34の吸入室に供給され、分配された他の中間圧冷媒は絞り調整弁172を介して第1の圧縮部32の背圧室60に供給される。このとき、図4及び図5を参照して説明したように、背圧室60にはその上方から供給することが好ましい。これにより、上述したロータリ圧縮機と同様に、第1の圧縮部32の背圧室60はオイルリッチな状態に保たれ、ベーン側面とベーン溝側壁との間に高いシール性と潤滑が確保できる。なお、上述のように、分配器168は油分離機能付の分配器(油分離器)であってもよいし、油分離機能の無い分配器であってもよい。ただし、分配器168に油分離機能の無い分配器を使用する場合、分配器168から背圧室60までの経路のいずれかに油分離器を設けてもよい。
〔12.変形例5〕図7は変形例5に係るロータリ圧縮機の冷媒循環回路180、図15はこのロータリ圧縮機の冷凍サイクル(p−h線図)を示し、上述した実施の形態が備えている中間冷却部を省略されている点に特徴を有する。このロータリ圧縮機によれば、第1の圧縮部32の圧縮室から吐出した冷媒は、密閉容器12の外部に伸びている第1の輸送配管130を輸送され、分配器134で分配される。分配された一方の冷媒は再び密閉容器12の内部に戻されて第2の圧縮部34の吸入室に供給され、他の冷媒は絞り調整弁138で流量調整されて第1の圧縮部32の背圧室60に供給される。このとき、図1〜図6を参照して説明したように、背圧室60にはその上方から供給することが好ましい。これにより、上述したロータリ圧縮機と同様に、第1の圧縮部32の背圧室60はオイルリッチな状態に保たれ、ベーン側面とベーン溝側壁との間に高いシール性と潤滑が確保できる。
〔比較検討〕変形例5に係る二段ロータリ圧縮機(中間冷却部の無い高圧シェル型CO2二段ロータリ圧縮機)と、上述した比較例1,2で用いたロータリ圧縮機と同型式のロータリ圧縮機(中間冷却部の無い高圧シェル型CO2二段ロータリ圧縮機)〔比較例3,4〕について性能を比較した。比較方法は、実施の形態1で説明したとおりである。結果を、図19の表3に示す。この表に示すように、比較例3では第1の圧縮部のベーン背面に油が冷媒と共に潤沢に供給されるが、この冷媒と油は高温高圧であるためにベーン先端荷重が大きく、潤滑も良くない。また、比較例4では、第1の圧縮部の背圧室に中間圧中温の冷媒が供給されるが、油の濃度が薄く、そのために潤滑とシール性が良くない。これに対し、変形例5では、第1の圧縮部の背圧室に中間圧常温の油が冷媒と共に潤沢に供給されるので、良好な潤滑とシール性が得られる。具体的に、変形例5では、比較例3,4に比べて圧縮機効率が約3%向上した。
実施の形態2
実施の形態2に係るロータリ圧縮機は、中間圧シェル型の二段ロータリ圧縮機で、その構成と冷媒循環回路をそれぞれ図8と図9に示す。この中間圧シェル型二段ロータリ圧縮機10Bの基本的な構成は、上述した高圧シェル型二段ロータリ圧縮機10に類似している。したがって、同一又は類似の構成部分には同一の符号を付し、両者の相違点のみを以下に説明する。具体的に、中間圧シェル型二段ロータリ圧縮機10Bは、第1の圧縮部32から吐出した中間圧冷媒(例えば、CO2冷媒)を密閉容器12の内部空間14に貯蔵するために、第1の圧縮部32の吐出口102が輸送配管192を介して密閉容器12の内部空間14に接続されている。また、密閉容器12の内部空間14に貯蔵されている中間圧冷媒を第2の圧縮部34の吸入室70に供給するために、これら内部空間14と吸入室70が別の輸送配管194を介して接続されている。第2の圧縮部34から吐出される高圧冷媒を輸送する別の輸送配管(主経路)196は、ガスクーラ124、膨張弁126、蒸発器128を介して第1の圧縮部32の吸入室68に接続されている。この輸送配管196は、ガスクーラ124と膨張弁126の間に、第2の圧縮部34の背圧室62の上方に配置された分配器198を備えており、この分配器198と第2の圧縮部34の背圧室62が別の輸送配管(バイパス)200を介して接続されており、この輸送配管200に絞り調整弁202が設けてある。上述のように、分配器198は、背圧室62の上方に設けることが好ましい。
このように構成された中間圧シェル型二段ロータリ圧縮機10Bによれば、第1の圧縮部32は吸入した低圧冷媒を圧縮して中間圧冷媒を生成する。生成された中間圧冷媒は、輸送配管192を介して密閉容器12の内部空間14に供給される。密閉容器12内の中間圧冷媒は、別の輸送配管194を介して第2の圧縮部34に供給され、そこで圧縮されて高圧冷媒が生成される。生成された高圧冷媒は、輸送配管(主経路)196を輸送され、ガスクーラ124で凝縮された後、膨張弁126で膨張され、低温の低圧冷媒ガスになる。この低温・低圧冷媒ガスは蒸発器128に送られ、そこで被冷却媒体から熱を奪った後、再び密閉容器12の内部に送り戻され、第1の圧縮部32に供給される。一方、ガスクーラ124を通過した低温高圧冷媒の一部は分配器198から輸送配管(バイパス)200に供給され、絞り調整弁202で流量調整された後、第2の圧縮部34の背圧室62にその上方から供給される。したがって、背圧室62に供給された中間圧の冷媒ガスはベーン58の背面に作用し、ばね66の付勢力と共に、ベーン58をローラ50に圧接する。その結果、ローラ50とこれに接するベーン先端部との間には良好なシールが形成される。また、分配器198が油分離機能を有するか否かに拘わらず、背圧室62に供給される冷媒ガスには油が含まれており、この油がベーン側面とこれに対向するベーン溝側壁との隙間に入り、両者の間を潤滑すると共にシールする。当然、油分離機能付き分配器を用いた場合、背圧室62に供給される油の量が多く、そのために更に良好な潤滑とシールが達成できる。また、ガスクーラ124で冷却された低温の高圧冷媒が背圧室62に供給されるため、ベーン側面とベーン溝側壁との間に高いシール性が確保できる。
〔変形例〕図10は、実施の形態2に係る中間圧シェル型二段ロータリ圧縮機10Bの変形例を示す。この変形例は、輸送配管196においてガスクーラ124の上流側に油分離機能付の分配器198又は油分離機能の無い分配器198が設けられている点で異なる。この変形例に係る中間圧シェル型二段ロータリ圧縮機でも、上述した実施の形態2の圧縮機と同様に、第2の圧縮部34の背圧室には低温のオイルリッチな高圧冷媒が供給されるため、ベーン側面とベーン溝側壁との間に高いシール性と潤滑が確保できる。
〔比較検討〕実施の形態2に係る二段ロータリ圧縮機(図9と図10に示す中間圧シェル型CO2二段ロータリ圧縮機)と、高温高圧の冷媒を第2の圧縮部の背圧室に供給する中間圧シェル型CO2二段ロータリ圧縮機(比較例5)について性能を比較した。比較方法は、実施の形態1で説明したとおりである。結果を、図20の表4に示す。この表に示すように、比較例3では第2の圧縮部のベーン背面に高圧の冷媒が供給されるものの、油の濃度が薄くて高温であるため、適当な潤滑とシール性が得られない。これに対し、実施の形態2では、第2の圧縮部の背圧室に十分な濃度の油が供給されるため、必要な潤滑とシール性が確保できる。
実施の形態3
実施の形態3に係るロータリ圧縮機は、低圧シェル型の二段ロータリ圧縮機で、その構成と冷媒循環回路をそれぞれ図11と図12に示す。この低圧シェル型二段ロータリ圧縮機1Bの基本的な構成は、上述した高圧シェル型二段ロータリ圧縮機10と中間圧シェル型二段ロータリ圧縮機10Aに類似している。したがって、同一又は類似の構成部分には同一の符号を付し、両者の相違点のみを以下に説明する。具体的に、低圧シェル型二段ロータリ圧縮機10Bでは、第1の圧縮部32の吐出口102が輸送配管202を介して第2の圧縮部34の吸入路78に接続されており、第1の圧縮部32から吐出される中間圧冷媒(例えば、CO2冷媒)が第2の圧縮部34に供給されるようにしてある。また、密閉容器12の内部空間14が別の輸送配管204を介して第1の圧縮部32の吸入路76に接続されており、密閉容器12内に貯蔵されている低圧冷媒が第1の圧縮部32に供給されるようにしてある。さらに、第2の圧縮部34から吐出される高圧冷媒を輸送する別の輸送配管(主経路)206は、ガスクーラ208、膨張弁210、蒸発器212を介して密閉容器12の内部空間14に接続されている。この輸送配管206は、ガスクーラ208と膨張弁210の間に、第1及び2の圧縮部32,34の背圧室60,62の上方に配置された分配器214を備えており、分配器214が第1の圧縮部32の背圧室60及び第2の圧縮部34の背圧室62と輸送配管(第1のバイパス)216と別の輸送配管(第2のバイパス)218を介してそれぞれ接続されており、これら背圧室60,62に低温の高圧媒体を供給するようにしてある。また、輸送配管(第1のバイパス)216と別の輸送配管(第2のバイパス)218に絞り調整弁220,222がそれぞれ設けてある。
このように構成された低圧シェル型二段ロータリ圧縮機10Bによれば、第1の圧縮部32は密閉容器12内に貯蔵されている低圧冷媒を圧縮して中間圧冷媒を生成する。生成された中間圧冷媒は、輸送配管202を介して第2の圧縮部34に供給され、そこで圧縮されて高圧冷媒が生成される。生成された高圧冷媒は、輸送配管(主経路)206を輸送され、ガスクーラ208で凝縮された後、膨張弁210で膨張され、低温の低圧冷媒ガスになる。この低温・低圧冷媒ガスは蒸発器212に送られ、そこで被冷却媒体から熱を奪った後、再び密閉容器12の内部に送り戻され、第1の圧縮部32に供給される。一方、ガスクーラ208を通過した低温高圧冷媒は、分配器214から輸送配管216、218に供給され、絞り調整弁220,222で流量調整された後、第1及び第2の圧縮部32,34の背圧室60,62にそれぞれ上方から供給される。したがって、背圧室60,62に供給された冷媒はベーン56,58の背面に作用し、ばね64,66の付勢力と共に、ベーン56,58をローラ48,50に圧接する。その結果、ローラ48,50とこれに接するベーン先端部との間には良好なシールが形成される。また、分配器214が油分離機能を有するか否かに拘わらず、背圧室60,62に供給される冷媒には油が含まれており、この油がベーン側面とこれに対向するベーン溝側壁との隙間に入り、両者の間を潤滑すると共にシールする。当然、油分離機能付き分配器を用いた場合、背圧室60,62に供給される油の量が多く、そのために更に良好な潤滑とシールが達成できる。また、ガスクーラで冷却された低温の高圧冷媒が背圧室に供給されるため、ベーン側面とベーン溝側壁との間に高いシール性が確保できる。
なお、本実施の形態については従来例との比較は示さないが、上述した実施の形態1,2と同様に、本実施形態3についても適当な潤滑とシール性が得られる。
また、本発明の二段ロータリ圧縮機で取り扱う冷媒にはCO2冷媒、フロン冷媒などの種々の冷媒を用いることができるが、CO2冷媒を用いた圧縮機ではガスクーラ(高圧)側が超臨界域で10MPa程度に達してベーン背圧とシリンダ内圧の差圧がフロン冷媒を用いたときよりも大きくなるため、本発明の効果がより顕著に表れる。
実施の形態1に係る高圧シェル型二段ロータリ圧縮機の縦断面図。
図1に示す圧縮機の圧縮部を模式的に表した横断面図。
実施の形態1に係る圧縮機の冷媒輸送回路図。
図1に示す圧縮機の変形例1を示す圧縮機の部分断面図。
図4(a)に示す金網の正面図。
図1に示す圧縮機の変形例2を示す圧縮機の部分断面図。
実施の形態1に係る圧縮機の変形例4の冷媒輸送回路図。
実施の形態1に係る圧縮機の変形例5の冷媒輸送回路図。
実施の形態2に係る中間圧シェル型二段ロータリ圧縮機の縦断面図。
図8に示す圧縮機の冷媒輸送回路図。
実施の形態2に係る圧縮機の変形例の冷媒輸送回路図。
実施の形態3に係る中間圧シェル型二段ロータリ圧縮機の縦断面図。
図8に示す圧縮機の冷媒輸送回路図。
フロン冷媒を用いたロータリ圧縮機(単段ロータリ圧縮機)のp-h線図。
CO2冷媒を用いたロータリ圧縮機(単段ロータリ圧縮機)のp-h線図。
中間冷却部の無い二段ロータリ圧縮機のp-h線図。
中間冷却部のある二段ロータリ圧縮機のp-h線図。
フロン冷媒とCO2冷媒の運転条件比較表(表1(a))とCO2二段圧縮機の運転条件比較表(表1(b))を示す図。
高圧シェル型CO2二段圧縮機の低段側ベーン背圧室への中間圧導入の比較表を示す図。
高圧シェル型CO2二段圧縮機のベーン背圧室への中間圧導入の比較結果表を示す図。
中間圧型CO2二段圧縮機のベーン背圧室への中間圧導入の比較表を示す図。
符号の説明
10:二段ロータリ圧縮機、12:密閉容器、14:円筒空間、16:上部空間、18:下部空間、20:電動機、22:回転圧縮要素、24:中心軸、26:ステータ、28:ロータ、30:回転軸、32:第1の圧縮部、34:第2の圧縮部、36、38:シリンダ、40,42:円筒空間、44,46:偏心部、48,50:ローラ、52,54:ベーン溝、56,58:ベーン、60,62:背圧室、64,66:ばね、68,70:吸入室(低圧室)、72,74:圧縮室(高圧室)、76,78:吸入路、80,82:吐出路、84,86:吐出弁、90:中間仕切板、92:下部支持部材、94:上部支持部材、96:下部カバープレート、98:上部カバープレート、100:低段消音室、120:冷媒循環回路、124:凝縮器、126:膨張弁、128:蒸発器、130:第1の輸送配管、132:冷却部(中間冷却部)、134:分配器、136:分配経路(第2の輸送配管)、138:絞り調整弁。