JP4815728B2 - 燃料電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の単セルが積層されたスタックを有する燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複数の単セルが積層されたスタックを有する燃料電池が知られている。例えば特開2000−30730には、このような燃料電池として、各単セルに燃料ガスおよび酸化ガス(これらを総称して反応ガスという)を行き渡らせるための単セル内ガス通路が設けられ、燃料電池の運転状態に応じて単セル内ガス通路のパターンを切り替え可能なものが開示されている。
【0003】
具体的には、図10に示すように、スタックを構成する各単セル100の単セル内ガス通路は、各単セルごとに設けられた4つのガス小経路101,102,103,104の連通状態をバルブb1〜b19の開閉で切り替えることにより、そのパターンが切り替えられる。例えば、バルブb6,b7,b10,b11,b14,b15を開弁し、残りのバルブを閉弁すると、単セル内ガス通路は反応ガスがガス小経路101,ガス小経路102,ガス小経路103,ガス小経路104をこの順に通過する直列パターンとなる。また、バルブb1〜b3,b5,b7,b9,b12,b14,b16〜b19を開弁し、残りのバルブを閉弁すると、単セル内ガス通路は反応ガスがガス小経路101,ガス小経路102,ガス小経路103,ガス小経路104を一度に通過する並列パターンとなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記公報の直列パターンでは、各単セル100のガス小経路101を通過した反応ガスはスタックの外側に設けられた外部マニホルド110を経由して再び各単セル100のガス小経路102に分配され、その後も外部マニホルド110を経由しながら各単セル100に分配されるため、外部マニホルド110を経由する際に反応ガスが冷却されて凝縮水が生成し、この凝縮水が外部マニホルド110の閉塞を引き起こすおそれがある。すなわち、燃料電池のアノードでは燃料である水素が水和した状態で電解質膜を移動することから水分が不足気味となり、この水分を補うべく燃料ガスは水分を含んだ状態でスタックへ供給されること、また、カソードでは電気化学反応により水が生成し気化することから酸化ガスはこの水分を含んだ状態となること、更に、スタック内は電気化学反応が発熱反応であることから高温状態となっていること等から、反応ガスは高温化されて高い露点を持つことになり、少しの温度低下で凝縮水が発生しやすい状況となっている。これを防ぐには、外部マニホルド110やバルブb1〜b19を断熱・保温したりする必要があるが、コストが嵩むため好ましくない。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、ガス通路が凝縮水により閉塞されるおそれのない燃料電池を提供することを目的の一つとする。また、運転状態に応じて適切な電池性能を引き出すことのできる燃料電池を提供することを目的の一つとする。
【0006】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
本発明の燃料電池は、上述の目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
すなわち、本発明の燃料電池は、複数の単セルが積層されたスタックと、前記単セルごとに設けられた複数のガス小経路を連通して構成された単セル内ガス通路と、前記複数のガス小経路の連通状態を切り替えることにより前記単セル内ガス通路のパターンを切り替える切替手段とを備え、前記単セル内ガス通路はどのパターンかによらず該単セル内ガス通路を通過している途中の反応ガスが前記スタックの外側を経由することのないように形成され、前記切替手段は、前記反応ガスが前記単セルごとに設けられた複数のガス小経路を順次通過するよう前記複数のガス小経路を直列的に連通させる直列パターンと、前記反応ガスが前記単セルごとに設けられた複数のガス小経路を同方向に一度に通過するよう前記複数のガス小経路を並列的に連通させる並列パターンのいずれかの連通状態に切り替えることを特徴とする。
【0009】
本発明の燃料電池では、単セル内ガス通路がいずれのパターンにおいても、高い露点を持つ反応ガスが単セル内ガス通路を通過している途中でスタックの外側を経由することがないため、冷却されて凝縮水が発生する事態を回避できる。したがって、この燃料電池によれば、ガス通路が凝縮水により閉塞されるおそれがない。また、ガス通路が凝縮水により閉塞されることがないという効果に加えて、例えば流速を大きくしたいときには直列パターンを採用し、圧力損失を小さくしたいときには並列パターンを採用するといったように、運転状態に応じて適切な電池性能を引き出すことが可能となる。
【0010】
なお、「反応ガス」とは、起電力を発生させるための電気化学反応に供される燃料ガスや酸化ガスの総称である。
【0012】
本発明の燃料電池は、前記スタック内にて単セル積層方向に沿って設けられ、前記単セルごとに設けられた複数のガス小経路のうちの少なくとも一組の隣り合うガス小経路の片側の端部同士を連通する共有マニホルドを備え、前記切替手段は、前記共有マニホルドと前記スタックの外側に設けられたガス供給経路またはガス排出経路との連通・遮断を切り替えるようにしてもよい。このようにスタック内の共有マニホルドを利用することにより、本発明の燃料電池を比較的簡単に構成することができる。
【0013】
具体的には、前記切替手段が前記共有マニホルドと前記ガス供給経路または前記ガス排出経路とを遮断したときには、反応ガスが前記隣り合うガス小経路の一方のガス小経路を流れたあと前記共有マニホルドを介して方向転換してもう一方のガス小経路を逆方向へと流れ、前記切替手段が前記共有マニホルドと前記ガス供給経路または前記ガス排出経路とを連通したときには、反応ガスが前記ガス供給経路から直接または前記ガス供給経路と連通した共有マニホルドを介して前記隣り合うガス小経路の各々に供給され、各ガス小経路を同方向に流れたあと直接または前記ガス排出経路と連通した共有マニホルドを介して前記ガス排出経路へと導かれるようにしてもよい。こうすれば、単セル内ガス通路のパターン変更を容易に行うことができる。例えば前出の直列パターンを採用するには切替手段により共有マニホルドとガス供給経路またはガス排出経路とを遮断すればよいし、並列パターンを採用するには切替手段により共有マニホルドとガス供給経路またはガス排出経路とを連通すればよい。
【0014】
本発明の燃料電池が共有マニホルドを備えているときには、前記切替手段は前記共有マニホルド内に設けられていてもよい。こうすれば、反応ガスが単セル内ガス通路を通過している途中で切替手段を経由する際にもスタックの外側を経由しないことが確実になるため、反応ガスが冷却されて凝縮水が発生する事態を確実に回避できる。
【0015】
本発明の燃料電池が共有マニホルドを備えているときには、前記切替手段は前記共有マニホルド外に設けられていてもよい。このとき、切替手段により共有マニホルドとガス排出経路またはガス供給経路とが遮断されているときには、共有マニホルドから切替手段までの区間はスタックの外側に位置することもあるが、そうであってもその区間は閉通路であり、一般に閉通路内の流体はほとんど流動せず滞留することから、単セル内ガス通路を通過している途中の反応ガスがこの区間に出入りすることはほとんどなく、このため単セル内ガス通路で凝縮水が発生することはほとんどない。
【0016】
本発明の燃料電池は、運転状態に応じて前記切替手段を介して前記複数のガス小経路の連通状態を切り替えることにより前記単セル内ガス通路のパターン変更を行う切替制御手段を備えていてもよい。こうすれば、燃料電池の運転状態に応じて単セル内ガス通路のパターン変更を制御できるため、運転状態に応じて適切な電池性能を引き出すことができる。
【0017】
なお、「運転状態」とは、燃料電池の運転状態であり、例えば出力の高低、ガス流量の高低、単セルの一構成要素である電解質膜の含水率の高低などが挙げられる。
【0018】
本発明の燃料電池が切替制御手段を備えているときには、更に反応ガスの流量を検出するガス流量検出手段を備えていてもよく、前記切替制御手段は、前記ガス流量検出手段によって検出された反応ガスの流量に応じて前記切替手段を介して前記複数のガス小経路の連通状態を切り替えることにより前記単セル内ガス通路のパターン変更を行うようにしてもよい。こうすれば、ガス流量に応じて適切な電池性能を引き出すことができる。
【0019】
ここで、「ガス流量検出手段」は、ガス流量を知ることができる手段であればよく、例えばガス流量を計量する手段であってもよいし、ガス流量を調量する手段であってもよい。
【0020】
具体的には、前記切替制御手段は、前記反応ガスの流量が小さいときには前記単セル内ガス通路が直列パターンになるように前記切替手段の切替制御を行い、前記反応ガスの流量が大きいときには前記単セル内ガス通路が並列パターンになるように前記切替手段の切替制御を行うようにしてもよい。こうすれば、反応ガスの流量が小さいときには直列パターンを採用して流速を稼いで反応ガスの拡散を促進することができ、反応ガスの流量が大きいときには並列パターンを採用して圧力損失を抑えることができる。
【0021】
本発明の燃料電池が切替制御手段を備えているときには、更に、前記単セルの一構成要素である電解質膜の含水率を検出する含水率検出手段を備えていてもよく、前記切替制御手段は、前記含水率検出手段によって検出された前記電解質膜の含水率に応じて前記切替手段を介して前記複数のガス小経路の連通状態を切り替えることにより前記単セル内ガス通路のパターン変更を行うようにしてもよい。こうすれば、電解質膜の含水率に応じて適切な電池性能を引き出すことができる。
【0022】
具体的には、前記切替制御手段は、前記電解質膜の含水率が高いときには前記単セル内ガス通路が直列パターンになるように前記切替手段の切替制御を行い、前記電解質膜の含水率が低いときには前記単セル内ガス通路が並列パターンになるように前記切替手段の切替制御を行うようにしてもよい。こうすれば、電解質膜の含水率が高いときには直列パターンを採用して流速を稼ぐことにより反応ガスによる水分の持ち出しを促進でき、電解質膜の含水率が低いときには並列パターンを採用して流速を落とすことにより反応ガスによる水分の持ち出しを抑えることができる。
【0023】
ここで、「含水率検出手段」は、単セルの出力電圧と含水率との関係を表す電圧変動プロファイルやマップを用いて現在の単セルの出力電圧に対応する含水率を求めてもよいし、単セルの電気抵抗と含水率との関係を表すマップを用いて現在の単セルの電気抵抗に対応する含水率を求めてもよい。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明を一層明らかにするために、本発明の一実施形態について図面を参照しながら以下に説明する。図1は、本実施形態の燃料電池10の概略構成を表す斜視図、図2は、燃料電池10を構成するスタックの基本単位である単セル20の構成を表す分解斜視図、図3は、本実施形態の燃料電池10が備えるセパレータ30の構成を表す平面図、図4は、本実施形態の電気的な接続を表す概略ブロック図である。なお、図2(b)は図2(a)をA視(白抜き矢印)からみた分解斜視図である。
【0026】
本実施形態の燃料電池10は、固体高分子型燃料電池であって、主として、単セル20と、この単セル20が複数積層されたスタック11と、このスタック11に燃料ガスを給排するための燃料ガス供給管12および燃料ガス排出管16と、スタック11に酸化ガスを給排するための酸化ガス供給管22および酸化ガス排出管26と、単セル内ガス通路のパターンの切替制御を行う制御装置80(図4参照)とを備えている。
【0027】
単セル20は、電解質膜31を一対のガス拡散電極であるカソード32およびアノード33で挟み込んだ膜電極接合体(以下「MEA」という)34と、このMEA34を挟み込んだ一対のセパレータ30,30とから構成されている。電解質膜31は、固体高分子材料、例えばフッ素系樹脂により形成されたプロトン導電性のイオン交換膜(例えばデュポン社製のナフィオン膜)であり、湿潤状態で良好なプロトン伝導性を示す。電解質膜31の両面には、触媒電極としての白金または白金と他の金属から成る合金が塗布されている。カソード32およびアノード33は、共に炭素繊維からなる糸で織成したカーボンクロスにより形成されたガス拡散電極である。なお、カーボンクロスのほか、炭素繊維からなるカーボンペーパーまたはカーボンフェルトによって形成してもよく、十分なガス拡散性および導電性を有していればよい。セパレータ30は、ガス不透過の導電性部材、例えば、カーボンを圧縮してガス不透過とした成形カーボンにより形成されている。
【0028】
図2に示すように、セパレータ30の一辺の近傍には、この辺に沿って隣接する2つの孔部40、42が設けられており、この辺に対向する辺の近傍には、同じく隣接する2つの孔部41、43が設けられている。このうち、孔部40の長径は孔部42の長径の約半分であり、孔部43の長径は孔部41の長径の約半分である。また、前記一辺と直交する辺の近傍には、この辺に沿って隣接する2つの孔部50、52が設けられており、この辺に対応する辺の近傍には、同じく隣接する2つの孔部51、53が設けられている。このうち、孔部50の長径は孔部52の長径の約半分であり、孔部53の長径は孔部51の長径の約半分である。
【0029】
さらに、セパレータ30は、両面に複数の凹溝を備えている。すなわち、セパレータ30の一方の面には、孔部40と孔部41の略半分とを連通させる第1凹溝81と、孔部41の残り略半分と孔部42の略半分とを連通させる第2凹溝82と、孔部42の残り略半分と孔部43とを連通させる第3凹溝83とが設けられている。セパレータ30の他方の面には、孔部50と孔部51の略半分とを連通させる第1凹溝91と、孔部51の残り略半分と孔部52の略半分とを連通させる第2凹溝92と、孔部52の残り略半分と孔部53とを連通させる第3凹溝93とが設けられている。
【0030】
各凹溝は、隣接するガス拡散電極との間でガス小経路を形成する。すなわち、セパレータ30の一方の面に設けられた第1〜第3凹溝81〜83は、隣接するアノード33との間にそれぞれ第1〜第3燃料ガス小経路86〜88を形成し、セパレータ30の他方の面に設けられた第1〜第3凹溝91〜93は、隣接するカソード32との間にそれぞれ第1〜第3酸化ガス小経路96〜98を形成する。各単セル20は、燃料ガスを単セル20内に行き渡らせるための単セル内燃料ガス通路と、酸化ガスを単セル20内に行き渡らせるための単セル内酸化ガス通路とを有しているが、単セル内燃料ガス通路は第1〜第3燃料ガス小経路86〜88を適宜連通して構成され、単セル内酸化ガス通路は第1〜第3酸化ガス小経路96〜98を適宜連通して構成される。
【0031】
なお、一対のセパレータ30,30の間隙のうちMEA34が介在していない部分には図示しないシール部材が配置されている。このシール部材は、この部分で燃料ガスと酸化ガスとが混合するのを防止したり、これらのガスが外部に漏れ出すのを防止したりする役割を果たすと共に、一対のセパレータ30,30の互いに対向する孔部同士をシール状態を保ったまま連通する役割も果たす。
【0032】
スタック11は、セパレータ30、カソード32、電解質膜31、アノード33、セパレータ30の順序で順次重ね合わせていき、さらに、図1に示すように、その両端に集電板36、37、絶縁板38、39、エンドプレート34、35を順次配置して完成される。集電板36、37は緻密質カーボンや銅板などガス不透過な導電性部材によって形成され、絶縁板38、39はゴムや樹脂等の絶縁性部材によって形成され、エンドプレート34、35は剛性を備えた鋼等の金属によって形成されている。また、集電板36、37にはそれぞれ出力端子36A、37Aが設けられており、燃料電池10で生じた起電力を出力可能となっている。また、エンドプレート34、35は、図示しない加圧装置によって複数の単セル20をスタック積層方向に加圧して保持している。
【0033】
単セル20を積層してスタック11を組み立てたとき、図3に示すように、各セパレータ30に設けられた孔部40は、スタック11の内部をその積層方向に貫通する燃料ガス第1マニホルド60を形成し、同じく各セパレータ30に設けられた孔部41は、スタック11の内部をその積層方向に貫通する燃料ガス第2マニホルド61を形成し、同じく各セパレータ30に設けられた孔部42は、スタック11の内部をその積層方向に貫通する燃料ガス第3マニホルド62を形成し、同じく各セパレータ30に設けられた孔部43は、スタック11の内部をその積層方向に貫通する燃料ガス第4マニホルド63を形成する。
【0034】
燃料ガス第1マニホルド60は、スタック11の積層方向に並ぶ複数の第1燃料ガス小経路86の一端を連通する役割を果たし、燃料ガス第2マニホルド61は、スタック11の積層方向に並ぶ複数の第1燃料ガス小経路86の他端を連通すると共に同じくスタック11の積層方向に並ぶ複数の第2燃料ガス小経路87の他端を連通して第1および第2燃料ガス小経路86、87の他端同士を共有化する役割を果たし、燃料ガス第3マニホルド62は、スタック11の積層方向に並ぶ複数の第2燃料ガス小経路87の一端を連通すると共に同じくスタック11の積層方向に並ぶ複数の第3燃料ガス小経路88の一端を連通して第2および第3燃料ガス小経路87、88の一端同士を共有化する役割を果たし、燃料ガス第4マニホルド63は、スタック11の積層方向に並ぶ複数の第3燃料ガス小経路88の他端を連通する役割を果たす。
【0035】
また、同じく単セル20を積層してスタック11を組み立てたとき、各セパレータ30に設けられた孔部50は、スタック11の内部をその積層方向に貫通する酸化ガス第1マニホルド70を形成し、同じく各セパレータ30に設けられた孔部51は、スタック11の内部をその積層方向に貫通する酸化ガス第2マニホルド71を形成し、同じく各セパレータ30に設けられた孔部52は、スタック11の内部をその積層方向に貫通する酸化ガス第3マニホルド72を形成し、同じく各セパレータ30に設けられた孔部53は、スタック11の内部をその積層方向に貫通する酸化ガス第4マニホルド73を形成する。
【0036】
酸化ガス第1マニホルド70は、スタック11の積層方向に並ぶ複数の第1酸化ガス小経路96の一端を連通する役割を果たし、酸化ガス第2マニホルド71は、スタック11の積層方向に並ぶ複数の第1酸化ガス小経路96の他端を連通すると共に同じくスタック11の積層方向に並ぶ複数の第2酸化ガス小経路97の他端を連通して第1および第2酸化ガス小経路96、97の他端同士を共有化する役割を果たし、酸化ガス第3マニホルド72は、スタック11の積層方向に並ぶ複数の第2酸化ガス小経路97の一端を連通すると共に同じくスタック11の積層方向に並ぶ複数の第3酸化ガス小経路98の一端を連通して第2および第3酸化ガス小経路97、98の一端同士を共有化する役割を果たし、酸化ガス第4マニホルド73は、スタック11の積層方向に並ぶ複数の第3酸化ガス小経路98の他端を連通する役割を果たす。
【0037】
燃料ガス供給管12は、図示しない燃料ガス供給装置からスタック11に燃料ガスを供給するための管であり、スタック11の外側で分岐されて一方が燃料ガス供給分岐管13として構成され、他方がバルブ付き燃料ガス供給分岐管14として構成されている。燃料ガス供給分岐管13は、エンドプレート34に設けられた図示しないガス管取付口に接続され、集電板36および絶縁板38を介して燃料ガス第1マニホルド60に連通している。バルブ付き燃料ガス供給分岐管14は、エンドプレート34に設けられた図示しないガス管取付口に接続され、集電板36および絶縁板38を介して燃料ガス第3マニホルド62に連通しており、燃料ガスがこの管内を通過するのを許容するか禁止するかを切り替えると共に開度によって両分岐管13,14の流量比率を調節可能な燃料ガス供給用開閉バルブ15を備えている。
【0038】
燃料ガス排出管16は、スタック11から図示しない燃料ガス排出装置へ燃料ガスを排出するための管であり、スタック11の外側で燃料ガス排出分岐管17とバルブ付き燃料ガス排出分岐管18とが集合されている。燃料ガス排出分岐管17は、エンドプレート34に設けられた図示しないガス管取付口に接続され、集電板36および絶縁板38を介して燃料ガス第4マニホルド63に連通している。バルブ付き燃料ガス排出分岐管18は、エンドプレート34に設けられた図示しないガス管取付口に接続され、集電板36および絶縁板38を介して燃料ガス第2マニホルド61に連通しており、燃料ガスがこの管内を通過するのを許容するか禁止するかを切り替えると共に開度によって両分岐管17,18の流量比率を調節可能な燃料ガス排出用開閉バルブ19を備えている。
【0039】
酸化ガス供給管22は、図示しない酸化ガス供給装置からスタック11に酸化ガスを供給するための管であり、スタック11の外側で分岐されて一方が酸化ガス供給分岐管23として構成され、他方がバルブ付き酸化ガス供給分岐管24として構成されている。酸化ガス供給分岐管23は、エンドプレート34に設けられた図示しないガス管取付口に接続され、集電板36および絶縁板38を介して酸化ガス第1マニホルド70に連通している。バルブ付き酸化ガス供給分岐管24は、エンドプレート34に設けられた図示しないガス管取付口に接続され、集電板36および絶縁板38を介して酸化ガス第3マニホルド72に連通しており、酸化ガスがこの管内を通過するのを許容するか禁止するかを切り替えると共に開度によって両分岐管23,24の流量比率を調節可能な酸化ガス供給用開閉バルブ25を備えている。
【0040】
酸化ガス排出管26は、スタック11から図示しない酸化ガス排出装置へ酸化ガスを排出するための管であり、スタック11の外側で酸化ガス排出分岐管27とバルブ付き酸化ガス排出分岐管28とが集合されている。酸化ガス排出分岐管27は、エンドプレート34に設けられた図示しないガス管取付口に接続され、集電板36および絶縁板38を介して酸化ガス第4マニホルド73に連通している。バルブ付き酸化ガス排出分岐管28は、エンドプレート34に設けられた図示しないガス管取付口に接続され、集電板36および絶縁板38を介して酸化ガス第2マニホルド71に連通しており、酸化ガスがこの管内を通過するのを許容するか禁止するかを切り替えると共に開度によって両分岐管27,28の流量比率を調節可能な酸化ガス排出用開閉バルブ29を備えている。
【0041】
制御装置80は、図4に示すように、周知のCPU、ROM、RAM、クロック回路等を含んで構成され、スタック11へ供給する燃料ガスの流量に関する信号やスタック11へ供給する酸化ガスの流量に関する信号を入力するように接続され、また、燃料ガス供給用開閉バルブ15、燃料ガス排出用開閉バルブ19、酸化ガス供給用開閉バルブ25および酸化ガス排出用開閉バルブ29に制御信号を出力するように各バルブに電気的に接続されている。なお、燃料ガスの流量に関する信号は、燃料ガス供給管12に流量センサを設けてこの流量センサから入力してもよいし、図示しない燃料ガス供給装置などで調量している場合にはその調量に関する信号を入力してもよい。あるいは、これらの信号を制御装置80で生成する場合にはその信号を読み込むようにしてもよい。酸化ガスの流量に関する信号についても同様である。
【0042】
次に、単セル内燃料ガス通路および単セル内酸化ガス通路について説明する。
単セル内燃料ガス通路は、各単セル20ごとに設けられた第1〜第3燃料ガス小経路86〜88の連通状態を切り替えることにより2通りのパターンを採り得る。また、単セル内酸化ガス通路は、各単セル20ごとに設けられた第1〜第3酸化ガス小経路96〜98の連通状態を切り替えることにより同じく2通りのパターンを採り得る。以下には、そのパターンについて燃料ガスを例にとって説明する。
【0043】
第1のパターンは、燃料ガス供給用開閉バルブ15および燃料ガス排出用開閉バルブ19を全閉したときのパターンである。この場合、燃料ガスは、燃料ガス供給管12から燃料ガス供給分岐管13を介して燃料ガス第1マニホルド60のみに供給され、燃料ガス第4マニホルド63から燃料ガス排出分岐管17を介して燃料ガス排出管16へと排出される。このときの様子を図5に示す。図5(a)は第1のパターンにおける燃料ガスの給排を表した概略説明図で、図5(b)はそのときの単セル内燃料ガス通路を表した概略説明図である。
【0044】
具体的には、燃料ガス第1マニホルド60に供給された燃料ガスは、各単セル20を構成するセパレータ30に設けられた孔部40(つまり第1燃料ガス小経路86の一端)から第1燃料ガス小経路86に導かれ、孔部41(つまり第1燃料ガス小経路86の他端)に向かって流れていき、この孔部41と連通している燃料ガス第2マニホルド61に至る。この燃料ガス第2マニホルド61は、バルブ付き燃料ガス排出分岐管18に接続されているが、燃料ガス排出用開閉バルブ19は全閉状態であり燃料ガスの通過が禁止されているため、燃料ガス第2マニホルド61に至った燃料ガスは、ここで方向転換して孔部41(つまり第2燃料ガス小経路87の他端)から第2燃料ガス小経路87に導かれ、孔部42(つまり第2燃料ガス小経路87の一端)に向かって流れていき、この孔部42と連通している燃料ガス第3マニホルド62に至る。この燃料ガス第3マニホルド62は、バルブ付き燃料ガス供給分岐管14に接続されているが、燃料ガス供給用開閉バルブ15は全閉状態であり燃料ガスの通過が禁止されているため、燃料ガス第3マニホルド62に至った燃料ガスは、ここで方向転換して孔部42(つまり第3燃料ガス小経路88の一端)から第3燃料ガス小経路88に導かれ、孔部43(つまり第3燃料ガス小経路88の他端)に向かって流れていき、この孔部43と連通している燃料ガス第4マニホルド63に至る。そして、燃料ガス第4マニホルド63に至った燃料ガスは、燃料ガス排出分岐管17を介して燃料ガス排出管16へと導かれる。
【0045】
このように、単セル内燃料ガス通路の第1のパターンは、スタック11に供給された燃料ガスが各単セル20内の第1燃料ガス小経路86をその一端から他端へと流れ、続いて第2燃料ガス小経路87をその他端から一端へと逆向きに流れ、続いて第3燃料ガス小経路88をその一端から他端へと流れることから、単セル20ごとに設けられた第1〜第3燃料ガス小経路86〜88を順次通過する直列パターンである。このとき、単セル内燃料ガス通路を通過している燃料ガスはその途中でスタック11の外側を経由することがないため、燃料ガスが高い露点を持っていたとしても、冷却されて凝縮水が発生するといった事態は回避される。なお、バルブ付き燃料ガス供給分岐管14における燃料ガス第3マニホルド62から燃料ガス供給用開閉バルブ15までの区間や、バルブ付き燃料ガス排出分岐管18における燃料ガス第2マニホルド61から燃料ガス排出用開閉バルブ19までの区間はスタック11の外側に位置しているが、一般にこのような閉通路内の流体はほとんど流動せず滞留することから、単セル内燃料ガス通路を通過している途中の燃料ガスがこれらの区間に出入りすることはほとんどなく、このため単セル内燃料ガス通路内で凝縮水が発生することはほとんどない。
【0046】
次に、第2のパターンは、燃料ガス供給用開閉バルブ15および燃料ガス排出用開閉バルブ19を全開したときのパターンである。この場合、燃料ガスは、燃料ガス供給管12から両分岐管13,14を介して燃料ガス第1マニホルド60と燃料ガス第3マニホルド62の両方に供給され、燃料ガス第2マニホルド61と燃料ガス第4マニホルド63の両方から各分岐管17,18を介して燃料ガス排出管16へと排出される。このときの様子を図6に示す。図6(a)は第2のパターンにおける燃料ガスの給排を表した概略説明図で、図6(b)はそのときの単セル内燃料ガス通路を表した概略説明図である。
【0047】
具体的には、燃料ガス第1マニホルド60に供給された燃料ガスは、各単セル20を構成するセパレータ30に設けられた孔部40(つまり第1燃料ガス小経路86の一端)から第1燃料ガス小経路86に導かれ、孔部41(つまり第1燃料ガス小経路86の他端)に向かって流れていき、この孔部41に至る。また、燃料ガス第3マニホルド62に供給された燃料ガスは、各単セル20を構成するセパレータ30に設けられた孔部41(つまり第2および第3燃料ガス小経路87,88の一端)から第2および第3燃料ガス小経路87,88に導かれ、第2燃料ガス小経路87に導かれた燃料ガスは孔部41(つまり第2燃料ガス小経路87の他端)に向かって流れていき、この孔部41に至り、一方、第3燃料ガス小経路88に導かれた燃料ガスは孔部43(つまり第3燃料ガス小経路88の他端)に向かって流れていき、この孔部43に至る。そして、孔部41に至った燃料ガスは、燃料ガス第2マニホルド61およびバルブ付き燃料ガス排出分岐管18を介して燃料ガス排出管16に導かれ、孔部43に至った燃料ガスは、燃料ガス第4マニホルド63および燃料ガス排出分岐管17を介して燃料ガス排出管16に導かれる。
【0048】
このように、単セル内燃料ガス通路の第2のパターンは、スタック11に供給された燃料ガスが各単セル20内の第1〜第3燃料ガス小経路86〜88を同方向に一度に通過する並列パターンである。このときも、単セル内燃料ガス通路を通過している燃料ガスはその途中でスタック11の外側を経由することがないため、燃料ガスが高い露点を持っていたとしても、冷却されて凝縮水が発生するといった事態が回避される。
【0049】
このように第1〜第3燃料ガス小経路86〜88の連通状態を切り替えることにより、第1〜第3燃料ガス小経路86〜88を連通して構成される単セル内燃料ガス通路のパターンが変更される。なお、酸化ガスについても、燃料ガスと同様に直列パターンと並列パターンがあるが、燃料ガスと同様のためその詳細な説明は省略する。
【0050】
次に、以上の構成を備えた燃料電池10の具体的な動作について、図7のフローチャートに基づいて説明する。制御装置80のCPUは、所定タイミングごとに、ROMに記憶された複数の制御プログラムの中からガス通路最適化プログラムを読み出して、一時的にRAMにデータを記憶しながらこれを実行する。
【0051】
このガス通路最適化プログラムが開始されると、制御装置80は、スタック11に供給される燃料ガスの流量に関する信号を入力し(ステップS100)、その流量が予め定められた所定量C1を越えるか否かを判断する(ステップS110)。そして、スタック11に供給される燃料ガスの流量が所定量C1を超えないのとき(例えば低出力のとき)には、燃料ガス供給用開閉バルブ15および燃料ガス排出用開閉バルブ19を全閉し、単セル内燃料ガス通路を直列パターンに設定する(ステップS120、図5参照)。この結果、単セル内燃料ガス通路の流路幅が狭められ、単セル内燃料ガス通路を流れる燃料ガスの流速が増大し、乱流が発生することにより触媒電極へのガス拡散が促進される。一方、スタック11に供給される燃料ガスの流量が所定値C1を越えるとき(例えば高出力のとき)には、燃料ガス供給用開閉バルブ15および燃料ガス排出用開閉バルブ19を全開し、単セル内燃料ガス通路を並列パターンに設定する(ステップS130、図6参照)。この結果、単セル内燃料ガス通路の流路幅が広がり、単セル内燃料ガス通路を流れる燃料ガスの圧力損失が抑えられる。
【0052】
続いて、スタック11に供給される酸化ガスの流量に関する信号を入力し(ステップS140)、その流量が予め定められた所定量C2を超えるか否かを判断する(ステップS150)。そして、スタック11に供給される酸化ガスの流量が所定量C2を超えないとき(例えば低出力のとき)には、酸化ガス供給用開閉バルブ25および酸化ガス排出用開閉バルブ29を全閉し、単セル内酸化ガス通路を直列パターンに設定し(ステップS160)、このルーチンを終了する。この結果、単セル内酸化ガス通路の流路幅が狭められ、単セル内酸化ガス通路を流れる酸化ガスの流速が増大し、乱流が発生することにより触媒電極へのガス拡散が促進される。一方、スタック11に供給される酸化ガスの流量が所定値C2を越えるとき(例えば高出力のとき)には、酸化ガス供給用開閉バルブ25および酸化ガス排出用開閉バルブ29を全開し、単セル内酸化ガス通路を並列パターンに設定し(ステップS170)、このルーチンを終了する。この結果、単セル内酸化ガス通路の流路幅が広がり、単セル内酸化ガス通路を流れる酸化ガスの圧力損失が抑えられる。
【0053】
以上詳述した本実施形態の燃料電池10によれば、単セル内燃料ガス通路や単セル内酸化ガス通路がいずれのパターンにおいても、高い露点を持つ燃料ガスや酸化ガスが単セル内燃料ガス通路や単セル内酸化ガス通路を通過している途中でスタック11の外側を経由することがないため、冷却されて凝縮水が発生する事態を回避でき、各ガス通路が凝縮水により閉塞されるおそれがない。
【0054】
また、燃料ガス第2マニホルド61や燃料ガス第3マニホルド62、あるいは、酸化ガス第2マニホルド71や酸化ガス第3マニホルド72のように、隣り合うガス小経路の端部同士を連通する共有マニホルドを利用することにより、単セル内燃料ガス通路や単セル内酸化ガス通路が比較的簡単な構成で上述の効果が得られる。
【0055】
更に、共有マニホルド61,62,71,72から各開閉バルブ15,19,25,29までの区間はスタック11の外側に位置しているが、これらの区間は閉通路であるので燃料ガスや酸化ガスが出入りすることはほとんどなく、このため単セル内燃料ガス通路や単セル内酸化ガス通路で凝縮水が発生することはほとんどない。
【0056】
更にまた、切替制御手段としての制御装置80は、単セル内燃料ガス通路や単セル内酸化ガス通路につき、ガス流量が小さいときには直列パターンに設定することにより流速を大きくして触媒電極へのガス拡散を促進することができ、ガス流量が大きいときには並列パターンに設定することにより圧力損失を小さく抑えることができる。この結果、運転状態に応じて適切な電池性能を引き出すことができ、燃料電池10の出力域(ダイナミックレンジ)を広げることができる。
【0057】
なお、本発明は上記実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【0058】
例えば、上記実施形態では燃料ガスや酸化ガスの流量に関する信号に応じて単セル内燃料ガス通路や単セル内酸化ガス通路のパターンを切り替えたが、単セル20の出力電圧と電解質膜31の含水率との関係を表す電圧変動プロファイルを制御装置80のROMに記憶しておき、この電圧変動プロファイルに基づき現在の出力電圧から電解質膜31の含水率を求め、この含水率に応じて単セル内燃料ガス通路や単セル内酸化ガス通路のパターンを切り替えてもよい。具体的には、含水率が高いときには直列パターンを採用して流速を稼ぐことによりガスによる水分の持ち出しを促進し、含水率が低いときには並列パターンを採用して流速を落とすことによりガスによる水分の持ち出しを抑えるようにしてもよい。こうすれば、電解質膜31の含水率に応じて適切な電池性能を引き出すことができる。
【0059】
また、上記実施形態では、燃料ガスについていえば燃料ガス供給用開閉バルブ15および燃料ガス排出用開閉バルブ19の両方を全閉するか全開するかのいずれかに制御したが、各バルブ15,19を独立に制御したり開度を制御したりしてもよい。こうすれば、並列パターンと直列パターンとを組み合わせた流れを実現できる。例えば、図8に示すように燃料ガス排出用開閉バルブ19を全閉にし燃料ガス供給用開閉バルブ15を少し開けることにより、第1燃料ガス小経路86のガス流量を直列パターンのときよりも減らしてこの第1燃料ガス小経路86内の電解質膜31の乾燥を防ぐと同時に、燃料ガス第3マニホルド62を介して第3燃料ガス小経路88に燃料ガスを継ぎ足すことにより第3燃料ガス小経路88でのガス濃度の低下を防ぐことができる。なお、酸化ガスについても同様である。
【0060】
更に、上記実施形態では、燃料ガスについていえば燃料ガス供給用開閉バルブ15および燃料ガス排出用開閉バルブ19をそれぞれ燃料ガス第3マニホルド62および燃料ガス第2マニホルド61の外側つまりスタック11の外側に設けたが、これらのバルブ15,19をスタック11の内部に設けてもよい。すなわち、図9に示すように、燃料ガス第1マニホルド60と燃料ガス第3マニホルド62とを連通させて併合マニホルド160とし、この併合マニホルド160に燃料ガス供給管12を接続し、この第1併合マニホルド160内において第1燃料ガス小流路86と第2燃料ガス小流路87との境界位置に開閉バルブ114を設ける。それと共に、燃料ガス第2マニホルド61と燃料ガス第4マニホルド63とを連通させて併合マニホルド161とし、この併合マニホルド161に燃料ガス排出管16を接続し、この併合マニホルド161内において第2燃料ガス小経路87と第3燃料ガス小経路88との境界位置に開閉バルブ119を設ける。そして、単セル内燃料ガス通路を直列パターンに設定する場合には両バルブ114,119を全閉し(図9(b)参照)、並列パターンに設定する場合には両バルブ114,119を全開する(図9(c)参照)。こうすれば、燃料ガスが単セル内燃料ガス通路を通過している途中でバルブ114,119を経由する際にもスタック11の外側を経由しないことが確実になるため、燃料ガスが冷却されて凝縮水が発生する事態を確実に回避できる。なお、酸化ガスについても同様である。
【0061】
更にまた、上記実施形態では、高出力時においては基本的には並列パターンを採用したが、単セル20の電圧やガス供給圧力等をモニタリングすることによりフラッディング現象の発生が認められた場合には、一時的に直列パターンとしてガス流速を上げ、水分を強制排出することによりフラッディング現象を解消するようにしてもよい。
【0062】
そしてまた、上記実施形態では、単セル内燃料ガス通路と単セル内酸化ガス通路の両方についてパターンの切替を行ったが、どちらか一方のみについてパターンの切替を行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の燃料電池の概略構成を表す斜視図である。
【図2】燃料電池を構成するスタックの基本単位である単セルの構成を表す分解斜視図である。
【図3】燃料電池が備えるセパレータの構成を表す平面図である。
【図4】本実施形態の電気的な接続を表す概略ブロック図である。
【図5】第1のパターン(直列パターン)における燃料ガスの給排および単セル内燃料ガス通路の概略説明図である。
【図6】第2のパターン(並列パターン)における燃料ガスの給排および単セル内燃料ガス通路の概略説明図である。
【図7】ガス通路最適化プログラムのフローチャートである。
【図8】本実施形態の変形例における燃料ガスの給排および単セル内燃料ガス通路の概略説明図である。
【図9】本実施形態の変形例における燃料ガスの給排および単セル内燃料ガス通路の概略説明図である。
【図10】従来例の概略説明図である。
【符号の説明】
10…燃料電池、11…スタック、12…燃料ガス供給管、13…燃料ガス供給分岐管、14…バルブ付き燃料ガス供給分岐管、15…燃料ガス供給用開閉バルブ、16…燃料ガス排出管、17…燃料ガス排出分岐管、18…バルブ付き燃料ガス排出分岐管、19…燃料ガス排出用開閉バルブ、20…単セル、22…酸化ガス供給管、23…酸化ガス供給分岐管、24…バルブ付き酸化ガス供給分岐管、25…酸化ガス供給用開閉バルブ、26…酸化ガス排出管、27…酸化ガス排出分岐管、28…バルブ付き酸化ガス排出分岐管、29…酸化ガス排出用開閉バルブ、30…セパレータ、31…電解質膜、32…カソード、33…アノード、34…MEA、40〜43,50〜53…孔部、60〜63…燃料ガス第1〜第4マニホルド、70〜73…酸化ガス第1〜第4マニホルド、80…制御装置、81〜83…第1〜第3凹溝、86〜88…第1〜第3燃料ガス小経路、91〜93…第1〜第3凹溝、96〜98…第1〜第3酸化ガス小経路、

Claims (7)

  1. 複数の単セルが積層されたスタックと、
    前記単セルごとに設けられた複数のガス小経路を連通して構成された単セル内ガス通路と、
    前記複数のガス小経路の連通状態を切り替えることにより前記単セル内ガス通路のパターンを切り替える切替手段と
    を備え、
    前記単セル内ガス通路はどのパターンかによらず該単セル内ガス通路を通過している途中の反応ガスが前記スタックの外側を経由することのないように形成され、
    前記切替手段は、前記反応ガスが前記単セルごとに設けられた複数のガス小経路を順次通過するよう前記複数のガス小経路を直列的に連通させる直列パターンと、前記反応ガスが前記単セルごとに設けられた複数のガス小経路を同方向に一度に通過するよう前記複数のガス小経路を並列的に連通させる並列パターンのいずれかの連通状態に切り替える
    ことを特徴とする燃料電池。
  2. 請求項1記載の燃料電池であって、
    前記スタック内にて単セル積層方向に沿って設けられ、前記単セルごとに設けられた複数のガス小経路のうちの少なくとも一組の隣り合うガス小経路の片側の端部同士を連通する共有マニホルド
    を備え、
    前記切替手段は、前記共有マニホルドと前記スタックの外側に設けられたガス供給経路またはガス排出経路との連通・遮断を切り替える
    燃料電池。
  3. 前記切替手段が前記共有マニホルドと前記ガス供給経路または前記ガス排出経路とを遮断したときには、反応ガスが前記隣り合うガス小経路の一方のガス小経路を流れたあと前記共有マニホルドを介して方向転換してもう一方のガス小経路を逆方向へと流れ、
    前記切替手段が前記共有マニホルドと前記ガス供給経路または前記ガス排出経路とを連通したときには、反応ガスが前記ガス供給経路から直接または前記ガス供給経路と連通した共有マニホルドを介して前記隣り合うガス小経路の各々に供給され、各ガス小経路を同方向に流れたあと直接または前記ガス排出経路と連通した共有マニホルドを介して前記ガス排出経路へと導かれる
    請求項2記載の燃料電池。
  4. 前記切替手段は、前記共有マニホルド内に設けられている
    請求項2又は3に記載の燃料電池。
  5. 前記切替手段は、前記共有マニホルド外に設けられている
    請求項2又は3に記載の燃料電池。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の燃料電池であって、
    運転状態に応じて前記切替手段を介して前記複数のガス小経路の連通状態を切り替えることにより前記単セル内ガス通路のパターン変更を行う切替制御手段と、
    反応ガスの流量を検出するガス流量検出手段と
    を備え、
    前記切替制御手段は、前記ガス流量検出手段によって検出された反応ガスの流量に応じて前記切替手段を介して前記複数のガス小経路の連通状態を切り替えることにより前記単セル内ガス通路のパターン変更を行うものであり、前記反応ガスの流量が小さいときには前記単セル内ガス通路が直列パターンになるように前記切替手段の切替制御を行い、前記反応ガスの流量が大きいときには前記単セル内ガス通路が並列パターンになるように前記切替手段の切替制御を行う
    燃料電池。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の燃料電池であって、
    運転状態に応じて前記切替手段を介して前記複数のガス小経路の連通状態を切り替えることにより前記単セル内ガス通路のパターン変更を行う切替制御手段と、
    前記単セルの一構成要素である電解質膜の含水率を検出する含水率検出手段
    を備え、
    前記切替制御手段は、前記含水率検出手段によって検出された前記電解質膜の含水率に応じて前記切替手段を介して前記複数のガス小経路の連通状態を切り替えることにより前記単セル内ガス通路のパターン変更を行うものであり、前記電解質膜の含水率が高いときには前記単セル内ガス通路が直列パターンになるように前記切替手段の切替制御を行い、前記電解質膜の含水率が低いときには前記単セル内ガス通路が並列パターンになるように前記切替手段の切替制御を行う
    燃料電池。
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