JP4815651B2 - 固体高分子型電解質型燃料電池用ガス拡散電極 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体高分子電解質型燃料電池用ガス拡散電極およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体高分子電解質型燃料電池は、固体のイオン交換膜を電解質とし、アノードに燃料として例えば水素、カソードに酸化剤として例えば酸素を供給して電気化学的に反応させることによって電力を得る装置である。
【0003】
この場合の各電極における電気化学反応を下記に示す。
【0004】
アノード : H2 → 2H+ + 2e-
カソード : 1/2 O2+2H+ + 2e- → H2O
全反応 : H2 + 1/2 O2 → H2O
上式に示したようにアノードおよびカソードにおける反応には、酸素および水素のガスの供給、プロトン(H+)および電子(e-)の授受が必要であり、すべての反応はこれらが同時に満たされる電極内の三相界面、すなわち反応ガス、触媒、固体電解質の界面のみにおいて進行する。よって燃料電池には、触媒層表面から三相界面までのガス供給経路、アノードの三相界面から固体電解質膜を通してカソードの三相界面までのプロトン伝導経路、三相界面から集電体までの電子伝導経路が形成されている必要がある。
【0005】
そこで、触媒層と、集電体の役目を果たす導電性多孔質基材とからなるガス拡散電極を、固体高分子電解質膜の両面にアノードおよびカソードとして接合した膜・電極接合体が用いられる。なお、触媒層は触媒を担持したカーボン、固体高分子電解質、PTFE等の撥水剤を混合したもので、電極反応が行われる場所である。
【0006】
その中で、ガス拡散性およびプロトン伝導性は、燃料電池の性能を左右する大きな問題であり、より高性能な燃料電池を製作するためには、それらを向上させることが必須である。そこで戸塚らは、三次元連通孔を有した固体高分子電解質を形成することによって、ガス拡散性およびプロトン伝導性を著しく向上させた多孔質固体高分子電解質を開発し、燃料電池用電極に適用することを提案している(第39回電池討論会予稿集169−170)。しかしながら、燃料電池を電気自動車に搭載することを考えると、現在の出力では不十分であり、さらなる高出力化が望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、燃料電池において反応を進めるためには、触媒層中に連続したガス流通経路、プロトン伝導経路および電子伝導経路が必要である。そこで、本発明者は当初に戸塚らの方法によって、連通孔を有する固体高分子電解質を備えた電極を用いて、プロトン伝導性およびガス拡散性を向上させることを試みた。
【0008】
ところが、低電流密度領域における燃料電池の性能に関しては、良好な結果が得られたものの、燃料電池を高電流密度領域で運転したときには、固体高分子電解質膜へ水分を供給するための加湿やカソードにおける水の発生などから、上述の元連通孔を有する固体高分子電解質の連通孔内部や、表面に水が滞留しガス拡散性が阻害されて、出力が著しく低下する問題が生じた。
【0009】
一般には、水の発生、移動による水の滞留が起こらないようにするために、触媒層内にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子を混入したり、導電性多孔質基材表面へPTFEを塗布することによって撥水性を与えている。ところが、PTFEは強い撥水性があるものの、粒子自体が大きく、ガス拡散性がないために、さらに撥水性を高めるためにPTFEの混入割合を増加させると、プロトン伝導経路、電子伝導経路およびガス拡散経路を遮断する。
【0010】
本発明者は、連通孔を有する上記固体高分子電解質を備えた電極にPTFEを加えた電極を製作したが、良好なプロトン伝導性は得られたものの、PTFEは連通孔孔中の撥水性向上には寄与せず、ガス拡散性の不足から十分な性能が得られないことを確認した。
【0011】
以上を鑑み、本発明は、プロトン伝導性に優れ、かつガス拡散性に優れた燃料電池用ガス拡散電極を得ることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の燃料電池用電極用ガス拡散電極は、触媒層が、触媒粒子と連通孔を有するプロトン伝導性固体高分子電解質とプロトン伝導性をもたない有孔性ポリフッ化ビニリデン系樹脂とを含むことを特徴し、さらに好ましくは、前記有孔性樹脂が、プロトン伝導性固体高分子電解質の連通孔中に設けられたことを特徴とする。
【0013】
そして、連通孔を有する固体高分子電解質の製造方法は、プロトン伝導性固体高分子電解質を溶媒aに溶解させた溶液a′を、アルコール性水酸基以外の極性基を有する溶媒bに浸漬することにより、溶媒aを溶媒bで置換し、その後溶媒bを除去する工程を経ることが好ましい。
【0014】
また、プロトン伝導性をもたない有孔性樹脂の製造方法は、プロトン伝導性をもたない樹脂を溶媒cに溶解させた溶液c′を、樹脂に対して不溶性でかつ溶媒cと相溶性のある溶媒dに浸漬することにより、溶媒cを溶媒dで置換し、その後溶媒dを除去する工程を経ることが好ましい。
【0015】
なお、以下では、「プロトン伝導性固体高分子電解質」を「固体高分子電解質(SPE)」と略記し、また、「プロトン伝導性をもたない有孔性樹脂」を「有孔性樹脂(R)」と略記する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る燃料電池用ガス拡散電極の構造例を、図面を用いてさらに具体的に説明する。
【0017】
図1〜図4は本発明における燃料電池用ガス拡散電極の構造を示したもので、図1〜図4において、1は固体高分子電解質(SPE)、2はカーボン粒子、3は固体高分子電解質(SPE)の連通孔、4は有孔性樹脂(R)、5は触媒粒子である。
【0018】
図1は固体高分子電解質(SPE)の連通孔中に有孔性樹脂(R)を備える前の構造、図2は固体高分子電解質(SPE)の連通孔中に有孔性樹脂(R)を備えた構造を示す。図1に示されるように、本発明における電極は、連通孔を有する固体高分子電解質(SPE)1と、触媒粒子として白金を高分散担持したカーボン粒子2とを含み、その連通孔を有する固体高分子電解質(SPE)の連通孔3の中に有孔性樹脂(R)4を備えることによって、高いプロトン伝導性と、ガス拡散性とを併せ持つ新規な電極である。
【0019】
これらの有孔性樹脂(R)4は、図2に示されるように固体高分子電解質(SPE)の連通孔内のみに配してもよいが、図3のように固体高分子電解質(SPE)の表面に、もしくは図4のように触媒層全体にも有孔性樹脂(R)を配することによってさらに高いガス拡散性を与える。また、必要に応じては従来どおり導電性多孔質基材および触媒層内にPTFE粒子を付与することもできる。
【0020】
すなわち、本発明によれば、連通孔を有した固体高分子電解質(SPE)を形成することによって、高いプロトンの伝導性が得られ、細孔内部の触媒粒子すなわち三相界面までの連続したプロトン伝導経路を確保することができ、さらにその連通孔中に配された有孔性樹脂(R)によって、連通孔内への水の滞留が防がれ、反応ガスが三相界面まで十分に供給されることによって、高い電流密度においても高活性な燃料電池用ガス拡散電極が得られる。
【0021】
なお、これらの有孔性樹脂(R)は、少なくとも固体高分子電解質(SPE)の連通孔中の一部に配してあれば、固体高分子電解質(SPE)の連通孔中すべてや、固体高分子電解質(SPE)の表面すべておよび表面の一部に配してもよい。
【0022】
本発明においては、触媒粒子として白金、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、パラジウム、オスミウムなどの白金族金属およびその合金粒子、もしくはこれらの触媒を担持した触媒担持カーボンを使用することが適している。
【0023】
また、固体高分子電解質(SPE)としては、プロトン交換膜を使用するが、その中でもパーフルオロカーボンスルフォン酸またはスチレン-ジビニルベンゼン系のスルフォン酸型固体高分子電解質を使用することが好ましい。
【0024】
さらに、本発明に用いる有孔性樹脂(R)は、フッ化ビニリデン系樹脂を含有し、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリメタクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリイソプレン、もしくはこれらの誘導体を、単独で、あるいは混合してもよく、また、上記樹脂を構成する各種モノマーを共重合させた樹脂を用いてもよいが、好ましくは撥水性の高いフッ素樹脂、たとえば三フッ化塩化エチレン共重合体(PCTFE)、フッ化ビニル重合体(PVF)などの含フッ素ホモポリマーまたは、エチレン・四フッ化エチレン共重合体などの含フッ素コポリマーが好ましいし、これらの混合物でもよい。
【0025】
また、本発明に用いられる導電性多孔質基材は、発泡ニッケル、チタン繊維焼結体でも良いが、耐酸性や、電子導電性などの面で、炭素繊維などの焼結体である炭素材料からなる物が望ましい。
【0026】
本発明の燃料電池用ガス拡散電極に使用する連通孔を有する固体高分子電解質(SPE)は、固体高分子電解質(SPE)を溶媒aに溶解させた溶液a′を、アルコール性水酸基以外の極性基を有する溶媒bに浸漬することにより、溶媒aを溶媒bで置換し、その後溶媒bを除去する、いわゆる溶媒抽出法の工程を経て製造される。
【0027】
ここで、本発明に用いる溶媒aとしては、アルコールまたはアルコールと水の混合溶媒を使用することができ、その中でも、溶媒aとしてはアルコールを使用することが好ましい。また、また、固体高分子電解質(SPE)としては、プロトン交換膜を使用するが、その中でもパーフルオロカーボンスルフォン酸またはスチレン-ジビニルベンゼン系のスルフォン酸型固体高分子電解質を使用することが好ましく、固体高分子電解質溶液a′としては、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂をアルコールに溶解したものが好ましい。
【0028】
さらに、本発明に用いるアルコール性水酸基以外の極性基を有する溶媒bとしては、分子内にアルコキシカルボニル基を有する炭素鎖の炭素数が1〜7の有機溶媒、たとえば、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸アリル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、酪酸メチル、イソ酪酸メチル、酪酸エチル、イソ酪酸エチル、メタクリル酸メチル、酪酸プロピル、イソ酪酸イソプロピル、酢酸2-エトキシエチル、酢酸2−(2エトキシエトキシ)エチル等の単独、もしくは混合物、を用いるのが好ましい。
【0029】
また、本発明の燃料電池用電極に用いる有孔性樹脂(R)は、緻密で連続した項が形成されることから、たとえば溶媒抽出法を用いることが好ましい。つまり、樹脂を溶媒cに溶解させた溶液c′を、樹脂に対して不溶性でかつ溶媒cと相溶性のある溶媒dに浸漬することにより、溶媒cを溶媒dで置換し、その後溶媒dを除去する工程を経ることによって製造することが好ましい。
【0030】
ここで、本発明の有孔性樹脂(R)の製造に用いる樹脂は、フッ化ビニリデン系樹脂を含有し、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリメタクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリイソプレン、もしくはこれらの誘導体を、単独で、あるいは混合してもよく、また、上記樹脂を構成する各種モノマーを共重合させた樹脂を用いてもよいが、好ましくは撥水性の高いフッ素樹脂、たとえば三フッ化塩化エチレン共重合体(PCTFE)、フッ化ビニル重合体(PVF)などの含フッ素ホモポリマーまたは、エチレン・四フッ化エチレン共重合体などの含フッ素コポリマーが好ましいし、これらの混合物でもよい。
【0031】
そして、先の溶媒抽出法による有孔フッ素樹脂製作の際に、微細で均一な孔が得られることにより、PVdFホモポリマー、フッ化ビニリデン・六フッ化プロピレン重合体(P(VdF−HEP))または、フッ化ビニリデン・四フッ化エチレン共重合体(P(VdF−TFP))などのポリフッ化ビニリデン(PVdF)系樹脂が好ましい。中でも、撥水性に優れたフッ化ビニリデン重合体(PVdF)または柔らかくて取り扱いが容易なフッ化ビニリデン・六フッ化プロピレン共重合体(P(VdF−TFP))が好ましい。
【0032】
樹脂を溶解する溶媒cとしては、樹脂を溶解する物であればよく、ジメチルホルムアミド、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の炭酸エステル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル、ジメチルアセトアミド、1−メチルーピロリジノン、n−メチル-ピロリドン等が挙げられる。
【0033】
溶媒cと相溶性のある溶媒dとしては、水または水とアルコールの混合溶液が安価で好ましい。
【0034】
本発明においては、触媒層の固体高分子電解質(SPE)の連通孔中へ有孔性樹脂(R)を充填する際は、たとえば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)をn−メチルピロリドン(NMP)に溶解させたものを、水で抽出したものが撥水性、孔径の均一性などの面で好ましい。
【0035】
このように、連通孔を有する固体高分子電解質(SPE)を含む電極を製作するためには、たとえば、溶媒aとしてアルコール類を含有する溶媒を使用し、固体高分子電解質(SPE)を溶媒aに溶解した溶液a′と触媒粒子と導電剤としてのカーボンを混合した触媒ペーストを、導電性多孔質基材上に塗布したのち、触媒ペーストを塗布した導電性多孔質基材をアルコール性水酸基以外の極性基を有する溶媒bに浸漬し、溶媒aを溶媒bで置換し、その後溶媒bを除去する工程を経ることが好ましい。
【0036】
さらに、連通孔を有する固体高分子電解質(SPE)の連通孔中に有孔性樹脂(R)を設けた触媒層を製作するためには、たとえば、その連通孔を有する固体高分子電解質(PSE)を含む触媒層を備えた導電性多孔質基材に樹脂を溶媒cに溶解した溶液c′を含ませた後、導電性多孔質基材を樹脂に対して不溶性でかつ溶媒cと相溶性のある溶媒dに浸漬し、溶媒cを溶媒dで置換し、その後溶媒dを除去する工程を経ることが好ましい。
【0037】
【実施例】
以下、本発明を好適な実施例を用いて説明する。
【0038】
[実施例]
白金担持カーボン(田中貴金属製TEC−10V−30E、Valcan XC−72に白金を30wt%担持)と固体高分子電解質溶液(アルドリッチ社製、ナフィオン5wt%溶液)よりなる触媒ペーストを調製する。
【0039】
その触媒ペーストを導電性多孔質体のカーボン電極基材(0.5mm)上に300メッシュのステンレススクリーンを使用して塗布し、そのカーボン電極基材を酢酸ブチルに10分間浸漬し、固体高分子電解質溶液の溶媒を酢酸ブチルで置換した後、取り出して室温にて酢酸ブチルを乾燥し、白金担持カーボンと連通孔を有する固体高分子電解質とを含む触媒層を備えたカーボン電極基材Aを得た。
【0040】
得られた多孔質固体高分子電解質を備えたカーボン電極基材に、PVdF/NMP溶液(PVdF濃度6wt%)を真空含浸させた後、表面の余分なPVdF/NMP溶液を拭き取り、イオン交換水中に10分間浸漬して、NMPを水で置換したのち、乾燥して水を除去し、燃料電池用電極Aを得た。
【0041】
電極Aは、固体高分子電解質(SPE)の連通孔内、表面、および導電性多孔質体に有孔性樹脂(R)を備えた構造をしている。電極Aの白金量は、約1.0mg/cm2となるように、ペースト製作時の白金担持カーボン量を調整した。
【0042】
得られた電極Aをホットプレス(120℃)にて固体高分子電解質膜(デュポン社製、ナフィオン、膜厚150μm)の両面に接合し、燃料電池の単セルに組み込んでセルAを得た。
【0043】
[比較例1]
白金担持カーボン(田中貴金属製TEC−10V−30E、Valcan XC−72に白金を30wt%担持)と固体高分子電解質溶液(アルドリッチ社製、ナフィオン5wt%溶液)およびPTFE粒子分散溶液(三井デュポンフロロケミカル社製、テフロン30J)よりなるペーストを、撥水性を付与した導電性多孔質体のカーボン電極基材(0.5mm)上に塗布して、窒素雰囲気中で120℃、1時間乾燥して電極Bを得た。
【0044】
電極Bの白金量は、約1.0mg/cm2となるように、ペースト製作時の白金担持カーボンの量を調整した。得られた電極Bをホットプレス(120℃)にて固体高分子電解質膜(デュポン社製、ナフィオン、膜厚150μm)の両面に接合し、燃料電池の単セルに組み込んでセルBを得た。
【0045】
[比較例2]
白金担持カーボン(田中貴金属製TEC−10V−30E、Valcan XC−72に白金を30wt%担持)と固体高分子電解質溶液(アルドリッチ社製、ナフィオン5wt%溶液)よりなる触媒のペーストを調製する。
【0046】
その触媒ペーストを導電性多孔質体のカーボン電極基材(0.5mm)上に300メッシュのステンレススクリーンを使用して塗布し、そのカーボン電極基材を酢酸ブチルに10分間浸漬した後、取り出して室温にて酢酸ブチルを乾燥すると、触媒粒子とカーボンと、三次元連通孔を有する固体高分子電解質とを含む触媒層を備えたカーボン電極基材Cを得た。
【0047】
電極Cの白金量は、約1.0mg/cm2となるように、ペースト製作時の白金担持カーボン量を調整した。得られた電極Cをホットプレス(120℃)にて固体高分子電解質膜(デュポン社製、ナフィオン、膜厚150μm)の両面に接合し、燃料電池の単セルに組み込んでセルCを得た。
【0048】
これらのセルを用いて、アノード側供給ガスとして水素、カソード側供給ガスとして酸素を用いた際の電流―電圧特性を図5に、アノード側供給ガスとして水素、カソード側供給ガスとして空気を用いた際の電流―電圧特性を図6に示す。運転条件は、供給ガス圧は1気圧で、それぞれ70℃の密閉水槽中でバブリングすることによって加湿した。そしてセルの運転温度は60℃とし、各電流値での測定時の保持時間は2分とした。
【0049】
図5、6から明らかなように、本発明によるセルAは、従来のセルB、およびCと比べて、各電流密度において、高い出力電圧が得られた。とくに図6に見られるように、カソード側供給ガスとして空気を用いた場合にはその差が顕著であった。
【0050】
これは、連通孔を有する固体高分子電解質(SPE)の孔内および表面に有孔性のPVdFを配した電極Aを使用したセルAにおいて、連通孔を有した固体高分子電解質(SPE)は高いプロトン伝導性があり、さらにその連通孔中および表面に撥水性のある有孔性のPVdFを配することによって、連通孔内および表面への水の滞留が防がれ、酸素分圧の低い空気使用時にも孔内部まで酸素の供給が可能となり、従来の電極に比べて出力が向上した。
【0051】
【発明の効果】
本発明の燃料電池用電極によれば、その触媒層内のプロトン伝導性固体高分子電解質には多くの連通孔があり、その連通孔を有するプロトン伝導性固体高分子電解質の孔内および表面に、プロトン伝導性をもたない有孔性ポリフッ化ビニリデン系樹脂を配することによって、高いプロトン伝導性と高いガス拡散性とをもつ燃料電池用ガス拡散電極得られ、電流密度の高い領域においても高性能な燃料電池の製造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る燃料電池用電極の、固体高分子電解質(SPE)の孔中に有孔性樹脂(R)を備える前の構造を示す模式図。
【図2】 本発明に係る燃料電池用電極の、固体高分子電解質(SPE)の孔中に有孔性樹脂(R)を備えた構造を示す模式図。
【図3】 本発明に係る燃料電池用電極の、固体高分子電解質(SPE)の表面にも有孔性樹脂(R)を備えた構造を示す模式図。
【図4】 本発明に係る燃料電池用電極の、触媒層全体に有孔性樹脂(R)を備えた構造(R)を示す模式図。
【図5】アノードに水素を、カソードに酸素を用いた場合のセルの電流―電圧特性を示す図。
【図6】アノードに水素を、カソードに空気を用いた場合のセルの電流―電圧特性を示す図。
【符号の説明】
1 固体高分子電解質(SPE)
2 カーボン粒子
3 固体高分子電解質(SPE)の連通孔
4 有孔性樹脂(R)
5 触媒粒子
Claims (2)
- 固体高分子電解質型燃料電池用のガス拡散電極において、触媒層が、触媒粒子と連通孔を有するプロトン伝導性固体高分子電解質とプロトン伝導性をもたない有孔性ポリフッ化ビニリデン系樹脂とを含むことを特徴とする燃料電池用ガス拡散電極。
- 前記有孔性樹脂がプロトン伝導性固体高分子電解質の連通孔中に設けられたことを特徴とする請求項1記載の燃料電池用ガス拡散電極。
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1999
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